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技術 エネルギー処置システム及び、そのエネルギー処置システムにおけるエネルギー発生装置

出願人 オリンパス株式会社
発明者 林田剛史本田賢田中一恵
出願日 2016年7月11日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2017-521177
公開日 2018年7月12日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 WO2018-011858
状態 特許登録済
技術分野 手術用機器
主要キーワード 出力制御パラメータ 挟持構造 復帰期間 エネルギー体 高周波信号出力 立ち上がり状態 短絡検知 出力中断
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図面 (12)

課題・解決手段

エネルギー処置システム及びその制御方法は、超音波エネルギー及び高周波エネルギーを組み合わせたエネルギー供給により処置を行い、スパーク発生前兆を検知した際に、スパークが発生する前兆と判断し、プローブ接触状態から離脱する前に、少なくとも高周波エネルギーの出力を、予め記憶されたプローブの形状により異なるミスト量に基づく出力低下制御期間の間、低下させる。

概要

背景

一般に、生体組織などの処置対象部位切開凝固等の処置を施す装置として、例えば、特許文献1:日本国特許第5465353号には、高周波信号出力(以下、高周波出力又は、高周波エネルギーと称する)と超音波信号出力(以下、超音波出力又は超音波エネルギーと称する)とを個々に又は組み合わせて同時に出力して、切開等の処置を行う手術システムに用いられる、エネルギー処置具が開示されている。

概要

エネルギー処置システム及びその制御方法は、超音波エネルギー及び高周波エネルギーを組み合わせたエネルギー供給により処置を行い、スパーク発生前兆を検知した際に、スパークが発生する前兆と判断し、プローブ接触状態から離脱する前に、少なくとも高周波エネルギーの出力を、予め記憶されたプローブの形状により異なるミスト量に基づく出力低下制御期間の間、低下させる。

目的

本発明は、超音波エネルギー及び高周波エネルギーを組み合わせた出力により処置を行い、処置中にスパークの発生の前兆を検知する制御を行うエネルギー処置システム及びその制御方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

先端に設けたプローブ超音波エネルギー高周波エネルギーとを組み合わせて同時に出力して被検体処置を行うエネルギー処置具と、前記超音波エネルギーに伴い、前記プローブにより発生するミスト量に関わる情報を記憶するプローブミスト量記憶部と、前記エネルギー処置具に対して前記超音波エネルギーを供給する超音波エネルギー発生装置と、前記エネルギー処置具に対して前記高周波エネルギーを供給する高周波エネルギー発生装置と、前記プローブミスト量記憶部から読み出した前記情報に基づき、前記ミスト量に応じた時間長の前記高周波エネルギーの出力を低下させる出力低下制御期間を設定するシステム制御部と、前記プローブによるスパークが発生する前兆又はスパークの発生を検知するスパーク発生前兆検知部と、前記スパーク発生前兆検知部から前記前兆又はスパークの発生の情報に基づき、少なくとも前記高周波エネルギーの出力を前記出力低下制御期間の間、低下させるエネルギー制御部と、を具備することを特徴とするエネルギー処置システム

請求項2

前記システム制御部は、前記プローブと導電性手術器具との接触状態から前記プローブが離脱する前に、又は、前記接触状態から前記プローブが離脱した直後にスパークを消弧するように、前記超音波エネルギーと前記高周波エネルギーのうちの、少なくとも前記高周波エネルギーの出力を前記出力低下制御期間の間、低下させることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー処置システム。

請求項3

前記システム制御部は、前記エネルギー制御部に対して、前記出力低下制御期間の後に、前記高周波エネルギーに傾斜を持たせた出力増加により再出力を行わせることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー処置システム。

請求項4

前記エネルギー制御部は、前記高周波エネルギーの出力を前記出力低下制御期間の間、前記超音波エネルギーの出力低下又は出力中断を行うことを特徴とする請求項2に記載のエネルギー処置システム。

請求項5

超音波エネルギーと高周波エネルギーとを組み合わせて同時に出力するエネルギー処置具のプローブにより被検体に処置を行い、予め記憶された前記プローブの形状により異なるミスト量に基づき、該ミスト量に応じた時間長の前記高周波エネルギーの出力を低下させる出力低下制御期間を設定し、前記プローブによるスパークの発生の前兆が検知された際に、少なくとも前記高周波エネルギーの出力を前記出力低下制御期間の間、低下させることを特徴とするエネルギー処置システムの制御方法

技術分野

0001

処置対象部位に対して、超音波エネルギー高周波エネルギーを組み合わせて出力し、処置を施すエネルギー処置システム及びその制御方法に関する。

背景技術

0002

一般に、生体組織などの処置対象部位に切開凝固等の処置を施す装置として、例えば、特許文献1:日本国特許第5465353号には、高周波信号出力(以下、高周波出力又は、高周波エネルギーと称する)と超音波信号出力(以下、超音波出力又は超音波エネルギーと称する)とを個々に又は組み合わせて同時に出力して、切開等の処置を行う手術システムに用いられる、エネルギー処置具が開示されている。

0003

前述したエネルギー処置具は、先端に設けた処置部を介して、超音波エネルギーと高周波エネルギーを同時に処置対象部位に出力することにより、切開及び凝固を同時に行うことができ、処置がより円滑に行われる。その一方、切開によって処置部の周囲に処置対象部位から削り取った脂肪分を含む微小な部位、油分、水分がミスト状に空気中に拡散する。以下の説明において、ミスト状に拡散した微小な部位、油分、水分を単に、ミストと称している。

0004

また、高周波出力が印加されたプローブを、電位差を有する手術に用いる手術器具(例えば、鉗子等の処置具)に接触させてしまった後、離れる際に放電スパーク)が発生する。これらの微小な部位が空気中に数多く拡散した周囲環境下でスパークが加わる、即ち、ミストの量、空気中の酸素及びスパーク発生の3つの要因が揃うと、瞬間的で局所的な燃焼現象が発生し、処置箇所を含めその周囲に損傷を与えはしないが、術者視界が一瞬、遮られる。

0005

手術方法によっては、ミストの発生及び空気の存在は、避けられない状態も生じている。特に日本国特許第5465353号に記載されるように、高周波信号出力と超音波信号出力を組み合わせで使用する場合、超音波信号出力によるキャビテーション作用による多量のミストが発生する。ミストの発生を避けることはできないが、高周波出力によるスパークの発生を防止することで燃焼現象は回避することができる。このため、その高周波出力の供給を中断して停止させる中断期間を設けることにより、スパークの発生を防止することができる。その反面、中断期間中は、超音波出力のみによる処置となるため、エネルギー処置具の切開性能が低下してしまい、術者に対しては、処置中に切開のスムーズさに欠けて違和感を与えることとなる。

0006

そこで本発明は、超音波エネルギー及び高周波エネルギーを組み合わせた出力により処置を行い、処置中にスパークの発生の前兆を検知する制御を行うエネルギー処置システム及びその制御方法を提供する。

0007

本発明に従う実施形態に係るエネルギー処置システムは、先端に設けたプローブに超音波エネルギーと高周波エネルギーとを組み合わせて同時に出力して被検体に処置を行うエネルギー処置具と、前記超音波エネルギーに伴い、前記プローブにより発生するミスト量に関わる情報を記憶するプローブミスト量記憶部と、前記エネルギー処置具に対して前記超音波エネルギーを供給する超音波エネルギー発生装置と、前記エネルギー処置具に対して前記高周波エネルギーを供給する高周波エネルギー発生装置と、前記プローブミスト量記憶部から読み出した前記情報の基づき、前記ミスト量に応じた時間長の前記高周波エネルギーの出力を低下させる出力低下制御期間を設定するシステム制御部と、前記プローブによるスパークが発生する前兆又はスパークの発生を検知するスパーク発生前兆検知部と、前記スパーク発生前兆検知部から前記前兆又はスパークの発生の情報に基づき、少なくとも前記高周波エネルギーの出力を前記出力低下制御期間の間、低下させるエネルギー制御部と、を具備する。

0008

さらに、本発明の実施形態によるエネルギー処置システムの制御方法は、超音波エネルギーと高周波エネルギーとを組み合わせて同時に出力するエネルギー処置具のプローブにより被検体に処置を行い、予め記憶された前記プローブの形状により異なるミスト量に基づき、該ミスト量に応じた時間長の前記高周波エネルギーの出力を低下させる出力低下制御期間を設定し、前記プローブによるスパークの発生の前兆が検知された際に、少なくとも前記高周波エネルギーの出力を前記出力低下制御期間の間、低下させる。

図面の簡単な説明

0009

図1は、第1の実施形態に係るエネルギー処置システムの概念的な構成例を示す図である。
図2は、短絡検知部の構成例を示すブロック図である。
図3は、放電伴う短絡について説明するための高周波出力電圧の変化の状態を示す図である。
図4は、第1の出力制御方法について説明するためのタイミングチャートである。
図5は、第1の出力制御方法について説明するためのフローチャートである。
図6は、第2の実施形態に係るエネルギー処置システムの概念的な構成例を示す図である。
図7は、第2の実施形態の短絡検知部の構成例を示すブロック図である。
図8は、第2の出力制御方法について説明するためのタイミングチャートである。
図9は、第2の出力制御方法について説明するためのフローチャートである。
図10は、第3の実施形態による第3の出力制御方法について説明するためのタイミングチャートである。
図11は、第4の実施形態の短絡検知部の構成例を示すブロック図である。

実施例

0010

以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るエネルギー処置システムの概念的な構成例を示す図、図2は、本実施形態における短絡検知部5の構成例を示す図である。

0011

このエネルギー処置システム1は、超音波−高周波エネルギー発生装置2と、操作スイッチ11と、図示しない超音波振動素子を備える超音波−高周波併用ハンドピース等のエネルギー処置具12とで構成される。

0012

超音波−高周波エネルギー発生装置2は、高周波電力を含む駆動用電力を生成する電源部3と、エネルギー制御部4と、短絡検知部5と、演算処理部(CPU)を含むシステム制御部8と、により構成される。尚、この構成は、本発明の技術的特徴を実現できる構成部のみを示しており、他の一般的に備えられている構成部、例えば表示部などは、標準的に備えているものとする。以下の説明において、エネルギーは、高周波電力や他の駆動用電力を含む電気的エネルギー及び、振動により発生する振動波エネルギーを含むものとする。尚、高周波をHFとして略称を用いている場合もある。

0013

これらのうち、電源部3は、超音波振動素子を駆動させて超音波エネルギーを生成するための超音波用電力を生成する超音波エネルギー発生部3aと、高周波エネルギー(高周波出力)を生成する高周波エネルギー発生部3bとで構成される。

0014

エネルギー制御部4は、超音波エネルギー制御部4aと、高周波エネルギー制御部4bとで構成される。エネルギー制御部4は、システム制御部8から後述する高周波エネルギー制御信号及び超音波エネルギー制御信号を受ける。高周波エネルギー制御部4bは、高周波エネルギーの供給、停止及び出力値増減を行い、且つ超音波エネルギー制御部4aは、超音波用電力の供給、停止及び周波数変調を行う。エネルギー制御部4は、スイッチング回路等の回路構成だけではなく、ソフトウェア制御でもよく、システム制御部8の指示により、後述する各出力制御方法の復帰期間における高周波エネルギー制御信号及び超音波エネルギーの立ち上がり状態を適宜、選択して実施することが可能なように汎用性を有している。

0015

短絡検知部5は、パラメータ検出部6と、スパーク発生前兆検知部7とで構成される。パラメータ検出部6は、スパークの発生前兆を検知するために用いるパラメータを検知又は算出する。スパーク発生前兆検知部7は、スパークが発生する前兆の有無を検知して、システム制御部8にそれぞれの結果を送信する。スパーク発生前兆とは、スパークが発生するより前に生じる電気的・物理的パラメータの変動を示すことである。

0016

システム制御部8は、超音波−高周波エネルギー発生装置2内の構成部に対して、駆動制御を行う機能を有している。システム制御部8は、短絡検知部5の結果から、通常の被検体へ超音波エネルギー及び高周波エネルギーの出力を維持し処置を継続する又は、それらの出力を中断はしないが、エネルギー制御部4へ超音波エネルギー及び高周波エネルギーの出力を低下させた制御状態で、処置を継続することでスパークの発生を防止して、スパークがトリガーとなる後述する極局所的な燃焼現象の発生を防止する。エネルギー制御部4は、後述するように、高周波エネルギー及び超音波エネルギーのそれぞれの出力レベルを制御し、設定された期間を経過した際に、再度、それぞれを再出力させる等の制御を行う。
操作スイッチ11は、超音波−高周波エネルギー発生装置2側又はエネルギー処置具12側に設けられ、超音波−高周波エネルギー発生装置2の駆動を指示する。

0017

エネルギー処置具12について説明する。
エネルギー処置具12は、処置具本体部13から先端側にプローブ14が延出し、対極板外部電極)10と組み合わせによるモノポーラ型の構成例である。処置具本体部13内には、図示しない超音波振動素子及び、プローブ毎に発生するミスト量を記憶するプローブミスト量記憶部9が備えられる。

0018

この超音波振動素子は、超音波エネルギー制御部4aから超音波用電力が供給されて超音波振動を発生させて、超音波エネルギーとして出力する。尚、このエネルギー処置具12は、プローブ14の先端側に挟持構造が設けられたバイポーラ型であってもよい。この挟持構造として、開閉可動するジョープローブ先端に取り付けられる。

0019

図2を参照して、短絡検知部5のパラメータ検出部6及びスパーク発生前兆検知部7について説明する。
パラメータ検出部6は、HF電流ピーク検知部31と、HFインピーダンス算出部32と、HF出力電圧検知部33とで構成される。
HF電流ピーク検知部31は、エネルギー制御部4より出力された高周波エネルギーにおけるHF電流ピーク値を検出し、HF出力電圧検知部33は、その高周波エネルギーから高周波出力電圧(HVPS)を検出する。HFインピーダンス算出部32は、高周波電流値及び高周波出力電圧から電力値を算出し、さらに、この電力値から高周波インピーダンス値を算出する。スパーク発生前兆検知部7は、スパークが発生する前兆の有無について判断を行う。

0020

図3を参照して、スパーク発生前兆検知部7について説明する。
前述したように、超音波エネルギーと高周波エネルギーとを同時に処置対象部位100に出力して切開等の処置を行った場合、処置対象部位から削り取った部位、油分、水分は、脂肪性部位も含み、微小な部位、油分、水分となってミスト状に拡散する。例えば、酸素等の支燃性ガスが含まれる空気中に、これらのミスト状の微小な部位、油分、水分が数多く拡散した環境下で放電(スパーク)が加わると、即ち、ミスト、空気(酸素等の支燃性ガス)及びスパーク発生の3つの要因が揃うと、瞬間的で局所的な燃焼現象が発生し、処置箇所を含めその周囲に損傷を与えはしないが、術者の視界が一瞬、遮られる。

0021

本実施形態は、処置箇所が空気(支燃性ガス)の雰囲気下で燃焼現象を生じさせるミスト量が拡散していた場合には、スパークの発生を防止する対策が必要となる。
スパーク発生前兆検知部7は、パラメータ検出部6における、HF電流ピーク検知部31、HFインピーダンス算出部323及びHF出力電圧検知部33の何れかの検知結果から現在、スパークが発生していると判断した場合には、発生前兆の検知は行わず、直ちにシステム制御部8へ判断結果を送信し、後述する高周波エネルギーを低下させる制御を行う。一方、処置箇所が空気(酸素:支燃性ガス)の雰囲気下で燃焼現象を生じさせるだけのミスト量が存在していた場合には、スパークの発生前兆の検知を行い、その発生を防止する。

0022

図3を参照して、スパーク発生前兆検知部7について説明する。
一般的に、スパークは、高周波エネルギーを出力しているプローブ14が鉗子等の電位の低い導電性の手術器具に接し、その接触状態から離脱して離れた際や、手術器具が電気的抵抗の高い処置箇所(脂肪に囲まれた処置箇所等)における接触状態から離脱する際に発生する。図3に示すように、出力された高周波エネルギーのHF出力電圧(HVPS)は、プローブ14と他の手術器具に接触した際に、即ち短絡した際に、過電流が流れて、高周波電流は、高周波電流ピーク値となる。HF出力電圧も過電圧となり上昇した後、一旦、平坦化し、プローブ14と他の手術器具が離れると共に降下する。このスパークは、接触状態から離脱すると発生し、さらに、ある距離以上離れると、消弧する。これと同期するように、HFインピーダンスは、接触により下降して低いインピーダンス値となり、接触している手術器具からプローブ14が離脱すると、上昇して元のインピーダンス値に収束するように復帰する。

0023

図2に示すパラメータ検出部6における、HF電流ピーク検知部31、HFインピーダンス算出部32及びHF出力電圧検知部33からのパラメータによるスパークが発生する前兆となる判断について説明する。

0024

HF出力電圧検知部33は、プローブ14が導電性の手術器具に接触した際に、図3に示すように、通常のHF出力電圧Vaから過電圧Vbまで上昇する電圧変化を検知する。スパーク発生前兆検知部7は、その上昇途中で、予め定めたスパークが発生し得る判断基準電圧Vcを超えた場合、プローブ14が離脱する際に、スパークが発生するものとして、スパーク発生の前兆[スパーク発生前兆検知ポイント又は、スパーク発生検知ポイントとする]があると判断する。この判断基準電圧[閾値]Vcは、通常のHF出力電圧Vaとの差電圧Vsに基づき設定される。従って、判断基準電圧Vcは、一意の閾値ではなく、HF出力電圧Vaが推移した場合には、判断基準電圧Vcの電圧値も合わせて推移する。本実施形態における判断基準電圧Vcは、10Vから50Vの範囲内では判断可能であり、設定値としては、25V程度が好適する。

0025

また、HFインピーダンス算出部32は、図4に示すように、プローブ14が導電性の手術器具に接触した際に、HFインピーダンスも低下するように変化する。スパーク発生前兆検知部7は、その低下が予め設定した判断基準インピーダンスの範囲で変化が発生した場合、プローブ14が接触状態から離脱する際に、スパークが発生するものと仮定し、スパーク発生の前兆があると判断する。この判断基準インピーダンスは、接触前の通常時のインピーダンス値に対して、接触後のインピーダンス値の低下が−500Ωから−1500Ωの範囲内では判断可能であり、設定値としては、−1000Ω程度が好適する。

0026

さらに、HF電流ピーク検知部31は、プローブ14が導電性の手術器具に接触した際に、過電流が流れて、そのピーク電流が予め設定した変化量を超えた場合、プローブ14が接触状態から離脱する際に、スパークが発生する前兆であると判断する。この電流の変化量については、装置毎に測定を行い、適宜設定される。

0027

発生要因判断部36の判断結果及び、スパーク発生前兆検知部7の判断結果は、システム制御部8に送信される。システム制御部8は、これらの判断結果から、通常の処置のまま継続する制御又は、処置を中断せずに、エネルギー制御部4による超音波エネルギー及び高周波エネルギーの出力を低下させる制御を行った状態で処置を継続することで、スパークの発生をトリガーとする燃焼現象の発生を防止する。

0028

前述した燃焼現象が発生する要因(ミスト量及び空気)が存在している環境下において、本実施形態では、プローブ14が導電性の手術器具から離れた際に、前述した燃焼現象を導くスパークが発生しないように、離れる前に高周波出力を低下させるように、高周波エネルギーを低減する制御を行う。高周波エネルギーは、少なくともスパークが確実に発生しない距離まで離れる間を高周波エネルギーの出力制御期間として、少なくともその期間中は低下された状態を維持する。尚、スパークが発生したとしても、燃焼現象に至る前に、スパークを消弧するように対処してもよい。従って、プローブ14が導電性の手術器具に接触した後、その接触状態から離脱する前から離脱直後までの間、即ち、スパークの発生前から燃焼現象に至る前までの間に、高周波エネルギーの出力を低下させればよい。

0029

出力低下された高周波エネルギーは、一例として、高周波電圧・電流による高周波電力が10Wから15Wの範囲内で好ましくは、10W程度であり、開放電圧300Vrms以下及び最大高周波電流が4Arms以下に設定される。実際にエネルギー処置システムを作製した場合には、例えば、開放電圧300Vrms、及び最大高周波電流が4Armsで制限されるシステム構成となる。

0030

本実施形態では、高周波エネルギーの出力低下は、スパークの発生の前兆を判断してから少なくとも50msec以内に開始されるように設定される。また、高周波エネルギーの出力を低下又は停止させる出力制御期間は、20msec以上であればよく、例えば、50msecに設定してもよい。また、後述するが、出力低下又は出力中断した状態から再出力する場合に、出力に傾斜を持たせて徐々に増加させることが好ましく、例えば、30V/msecから3V/msecの範囲内でプローブの形状やミスト発生量に基づき適宜、設定される。

0031

尚、燃焼現象を招かない高周波電力として、通常的に15Wに設定してもよい。尚、この例では、高周波エネルギーをスパークが発生しない数値まで低減しながら、処置を継続した例であるが、高周波エネルギーの供給を停止させた状態であってもよい。

0032

エネルギー処置具12について説明する。
エネルギー処置具12は、処置具本体部13から先端側にプローブ14が延出し、対極板(外部電極)10と組み合わせによるモノポーラ型の構成例である。処置具本体部13内には、図示しない超音波振動素子及び、超音波振動によりプローブ毎に発生するミスト量を記憶するプローブミスト量記憶部9と、が備えられる。

0033

この超音波振動素子は、超音波エネルギー制御部4aから超音波用電力が供給されて超音波振動を発生させて、超音波エネルギーとして、プローブ14に出力する。尚、このエネルギー処置具12は、プローブ14の先端側に挟持構造が設けられたバイポーラ型であってもよい。この挟持構造として、開閉可動するジョーがプローブ先端に取り付けられる。

0034

超音波振動するプローブを処置箇所に押し付けて、削り取るように処理を行うため、プローブ14による処置時のミストの発生量は、超音波エネルギーで振動するプローブ14に生じるキャビテーションのレベルの大きさにより影響される。このため、キャビテーションのレベルを小さくすることで、ミストの発生量も減少させることができる。

0035

前述した処置時のミストの発生量は、超音波エネルギーで振動するプローブ14に生じるキャビテーションのレベルの大きさにより影響されるため、キャビテーションのレベルを小さくすることで、ミストの発生量も減少させることができる。即ち、手術における切開の効率は、ある程度下がるが、超音波エネルギーを小さくすることで、キャビテーションのレベルが小さくなり、ミストの発生量も減少する。発生したミストは、浮遊して、近傍に付着したり、外部に排出されて、経時と共に減少する。

0036

このキャビテーションのレベルは、プローブ先端の処置部の形状でも大きく異なっている。つまり、同一の超音波振動(超音波エネルギー)を供給しても、処置対象部位100に押し当てられる処置部が、平坦で当接する面積が小さくなるほど、キャビテーションのレベルは小さくなり、フック等の凸部が設けられている程、キャビテーションのレベルは大きくなる。つまり、処置部として例えば、平坦なヘラを有するプローブ、曲面を持つヘラ(スパチュラ)を有するプローブ及び、フック等の突起を有するプローブの順にキャビテーションのレベルが大きくなり、ミスト量も多くなっている。

0037

本実施形態では、使用するプローブ14に対して、既知の超音波エネルギーを供給したときのキャビテーションのレベルの大きさと発生するミスト量のデータを取得する。尚、キャビテーションのレベルの大きさと、発生するミスト量とが関係づけられていれば、何れか一方でもよい。また、超音波エネルギーの供給を中断(供給停止)又は低下させる操作が想定された場合には、燃焼現象が生じないミスト量に減少する減少時間を取得する。このミスト量に応じて、高周波エネルギーの出力低下(又は、出力中断)期間が設定され、適正な低下中断期間を設定することができ、また、再出力のタイミングも設定される。プローブの形状によって、発生するミスト量が異なっているため、使用する形状が異なるプローブ全てにおいて、設定されたキャビテーション(又は、超音波エネルギー)のレベルの時に発生するミスト量を予め取得し、減少時間等も把握しておく。後述するが、プローブミスト量記憶部9には、この時に取得されたミスト量が記憶されている。

0038

従って、図4に示すように、キャビテーションのレベルの大きければ、発生するミストの発生量が多くなり、高周波エネルギーの出力制御期間(出力低下または出力中断期間)が長くなり、さらに、再出力における増加の傾きが緩やかになる。前述した再出力の傾きが30V/msecから3V/msecの範囲であれば、3V/msec側に設定される。反対に、キャビテーションのレベルの小さければ、発生するミストの発生量が少なくなり、高周波エネルギーの出力制御期間が短く、再出力における増加の傾きは、前述した再出力の傾きが30V/msec側に設定される。

0039

プローブミスト量記憶部9は、予めプローブ形状により異なるミスト量を記憶しておき、エネルギー処置具12を超音波−高周波エネルギー発生装置2に取り付けるだけで、好適な高周波エネルギーの出力低下制御期間の設定を行うことができる。ミスト量の設定は、エネルギー処置具12側にID情報を持たせておき、接続時の初期設定の際に通信による自動認識であってもよいし、また、プローブ14を超音波−高周波エネルギー発生装置2に接続した者が画面表示されたプローブ各種から選択指示により、ミスト量を設定してもよい。また、処置の途中で、別形状のプローブのエネルギー処置具12に交換したとしても、接続し直すだけで、高周波エネルギーの出力低下制御期間を入れ替えることができる。

0040

次に、図4に示すタイミングチャート及び、図5に示すフローチャートを参照して、第1の出力制御方法について説明する。
まず、エネルギー処置具12を超音波−高周波エネルギー発生装置2に接続した際に、記憶されているミスト量に基づき、期間T1〜T2の範囲内で高周波エネルギーの出力低下制御期間が設定される(ステップS1)。

0041

次に、操作スイッチ11のON操作により、ON信号がシステム制御部8に入力されると、電源部3が駆動されて、超音波用電力及び高周波エネルギーがそれぞれ生成され、エネルギー制御部4の超音波エネルギー制御部4aと高周波エネルギー制御部4bに出力される。

0042

超音波エネルギー制御部4a及び、高周波エネルギー制御部4bは、それぞれに、短絡検知部5を経て、エネルギー処置具12に供給し、超音波エネルギー及び高周波エネルギーをプローブ14の先端に同時に発生させる。エネルギー処置具12は、高周波エネルギーと超音波エネルギーとを同時に出力して、処置対象の処置が行われる(ステップS2)。

0043

この処置の進行に応じて、処置対象部位に含まれる脂肪成分を含む生体組織がミスト状となって発生し、プローブ14の周囲にミストが増加する。このミストは、超音波振動で削り取られた脂肪成分を含む生体組織の微小な組織片と、高周波エネルギーにより焼けた生体組織や脂肪組織から発生するガスと、を含むものとする。但し、ミストの主要な割合としては、脂肪成分、水分を含む生体組織の微小な組織片が占めるものとしている。

0044

処置中において、現在、スパークが発生しているか否かを判断する(ステップS3)。この判断で、現在、スパークが発生していたならば(YES)、直ちにシステム制御部8へ判断結果を送信し、後述する高周波エネルギーの出力低下制御を行う。一方、現在、スパークが発生していなければ(NO)、スパーク発生前兆検知部7によるスパークの発生前兆の検知を行う(ステップS4)。

0045

スパーク発生前兆検知部7は、図4に示す検知期間内に、前述したHF電流ピーク検知部32、HFインピーダンス算出部33及びHF出力電圧検知部34から得られた検知結果からスパークが発生する前兆があるか否かを判断する(ステップS5)。この判断で、スパーク発生の前兆がなければ(NO)、ステップS8に進み、スパーク発生の前兆検知を行いつつ、高周波エネルギーの出力をそのまま継続する。一方、スパークが発生する前兆があると判断された場合(YES)、図4に示すようにスパークが発生する前、又はスパークから燃焼現象に至る前に、プローブミスト量記憶部9から読み出されて設定された高周波エネルギーの出力低下制御期間において、高周波エネルギーの出力を低下させる(ステップS6)。この時、超音波エネルギーは出力を維持するが、限定されたものではなく、設定や事情(出力制御期間の長さ等)に応じて出力を停止させてもよい。

0046

その後、高周波エネルギーを出力低下した状態から、出力の増加に傾きを持たせて再出力させる(ステップS7)。再出力の後、処置を継続するか否かを判断し(ステップS8)、処置を継続するのであれば(NO)、ステップS3に戻り、短絡検知部5による検知を継続する。一方、処置が終了であれば(YES)高周波エネルギーと超音波エネルギーの出力を停止し(ステップS9)、終了する。

0047

以上説明した本実施形態によれば、高周波エネルギー及び超音波エネルギーを同時に出力するプローブで処置を行っている際に、プローブの周囲環境において、燃焼現象を生じさせる3つの発生要因(ミスト量、支燃性ガス及びスパーク発生)を検知する。尚、本実施形態において、支燃性ガス(酸素)の検知は、プローブの周囲に大気即ち、空気が存在する雰囲気下で処置が行われる場合には、支燃性ガスが発生要因として検知されているものとする。この支燃性ガスの有無の検知は、エネルギー処置具12を超音波−高周波エネルギー発生装置2に接続した際に、図示しない表示パネル等で選択表示させて、直接的に支燃性ガスの有無又は、間接的には手術方法(後述する気腹器の使用の有無)で設定してもよい。

0048

本実施形態によるスパーク発生前兆検知部7は、プローブ14の周囲環境に、酸素等の支燃性ガスが含まれる空気中で脂肪成分を含む微小な部位、油分、水分が数多く拡散し、さらにスパークの発生要因を持つ環境となった際に、スパーク発生前兆の検知及び判断を行う。スパーク発生前兆検知部は、プローブ14の接触により生じた過電流又は過電圧が規定された閾値を超えた際に、スパークが発生する前兆と判断して、プローブ14の接触状態からの離脱前に高周波エネルギーの出力を低下又は中断するため、スパークの発生が防止され、懸念される燃焼現象の発生を防止することができる。

0049

さらに、本実施形態によれば、予めエネルギー処置具内に記録されたプローブ形状毎の超音波振動由来のミスト量に基づく、好適な高周波エネルギーの出力低下制御期間の設定を行うことができる。つまり、超音波振動に基づいたミスト量というエネルギー処置具内のメモリに記録されたプローブごとのパラメータ(ミスト量)により、超音波振動とは異なるエネルギー体である高周波エネルギーの出力制御パラメータを変更・最適化することにより超音波振動と高周波エネルギーコンバインならではの発生リスクを未然に防止することができる。
また、プローブの形状に応じて発生するミスト量を把握し、予め発生するミスト量が想定できるため、スパーク発生の前兆が検知された際に、燃焼現象の発生の有無が把握でき、高周波エネルギーの出力を低下させている制御期間を、処置効率の低下を最小限に留める適正な出力低下制御期間に設定することができる。

0050

[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に係るエネルギー処置システムの概念的な構成例を示す図、図7は、短絡検知部の構成例を示すブロック図である。図8は、第2の出力制御方法について説明するためのタイミングチャート、図9は、第2の出力制御方法について説明するためのフローチャートである。以下の説明において、第1の実施形態におけるエネルギー処置システム1と同じ構成部位には、同じ参照符号を付し、またフローチャートのステップ番号においても同じ内容には同じステップ番号を付して、その詳細な説明は省略する。

0051

このエネルギー処置システム1は、超音波−高周波エネルギー発生装置2と、操作スイッチ11と、図示しない超音波振動素子を備える超音波−高周波併用ハンドピース等のエネルギー処置具12と、不活性ガス供給部15とで構成される。

0052

本実施形態のエネルギー処置システムは、不活性ガスをプローブ14の周囲に供給する不活性ガス供給部15と、不活性ガス供給部15から不活性ガスが供給されていることを検知する不活性ガス供給検知部34(図7)とを備える。発生要因判断部6は、プローブ14が不活性ガスの雰囲気下であることを判断した際に、スパーク発生前兆検知判断部7に対して、スパークの発生の前兆を検知を中断するように指示する。

0053

以下、詳細に説明する。図6に示す不活性ガス供給部15は、内視鏡下手術において、術中の視界を確保するために、プローブ14の周辺に不活性ガスとして、例えば二酸化炭素(CO2)ガスを供給する。

0054

ここで、処置における支燃性ガスと不活性ガスについて説明する。
まず、支燃性ガスについて、開腹等の切開を伴う手術であれば、大気下で行われるため、支燃性ガス(酸素)を含む空気を排除することはできない。しかし、処置対象部位の近傍に小さな穴であるポータルを開けて、硬性鏡等の内視鏡やエネルギー処置具等の処置具を挿入して手術を行う内視鏡視下手術においては、視界を確保するために、不活性ガス供給部15として、例えば、気腹器を用いて、二酸化炭素ガスを供給しながら手術を実施する。この場合、脂肪成分を含むミストが数多く存在する雰囲気内でスパークが発生しても燃焼現象には至らない。尚、仮定として、切開を伴う手術であっても、高周波エネルギーを出力中のプローブの周囲に、二酸化炭素ガスを吹き付ける形態があったならば、内視鏡視下手術と同様にスパークが発生しても燃焼現象には至らないことも考えられる。

0055

図7を参照して、本実施形態の短絡検知部5のパラメータ検出部6及びスパーク発生前兆検知部7について説明する。
パラメータ検出部6は、HF電流ピーク検知部31と、HFインピーダンス算出部32と、HF出力電圧検知部33と、不活性ガス供給検知部34と、キャビテーション検知部35と、で構成される。これらのうち、キャビテーション検知部35は、例えば、圧電体を利用した検出器で超音波エネルギー制御部4aから出力された超音波エネルギーから電気信号を生成して、検知信号としてもよい。さらに、本実施形態においては、キャビテーションとミスト量を関連づけており、エネルギー処置具12のプローブ14における既知のミスト量からキャビテーションを検知したことにしてもよい。

0056

不活性ガス供給検知部34は、高周波エネルギーが印加されているとき、即ち術中に、プローブ14の周辺に、例えば、二酸化炭素ガスが不活性ガス供給部15から供給されているか否かを検知する。

0057

スパーク発生前兆検知部7は、スパーク発生前兆判断を行うか否かを判断する発生要因判断部36と、スパークが発生する前兆の有無について判断を行うスパーク発生前兆判断部37とで構成される。

0058

発生要因判断部36は、前述した極局所的な燃焼現象が発生する3つの要因の有無を判断し、支燃性ガスが無ければ、スパークが生じても燃焼現象は発生しないと判断する。一方、処置箇所が支燃性ガスの雰囲気下で燃焼現象を生じさせるミストが空気中に存在していた場合には、スパークの発生を防止する必要があると判断する。これらの判断結果をシステム制御部8及びスパーク発生前兆判断部37へ指示する。スパーク発生前兆判断部37は、発生要因判断部36の判断結果を受けて、スパーク発生の前兆を検知するか否かを判断する。

0059

よって、発生要因判断部36は、プローブ14の周囲に支燃性ガスが存在しているか否かの判断で、プローブ周囲に例えば、二酸化炭素の不活性ガス等が供給されていれば、ミスト量が燃焼現象が発生する規定値を超えていたとしても、燃焼現象は生じないと判断し、システム制御部8に、その判断結果を送信する。システム制御部8は、その判断結果を受けて、これまでの通常状態である超音波エネルギーと高周波エネルギーの供給を維持させる。スパーク発生前兆検知部7に対しても、発生前兆の検知は行わないように指示信号を送信する。

0060

この判断動作に加えて、発生要因判断部36は、パラメータ検出部6における、HF電流ピーク検知部32、HFインピーダンス算出部33及びHF出力電圧検知部34の何れかの検知結果から現在、スパークが発生していると判断した場合には、スパーク発生前兆検知部7による発生前兆の検知は行わず、直ちにシステム制御部8へ判断結果を送信し、後述する高周波エネルギーを低下させる制御を行う。
一方、発生要因判断部36は、処置箇所が空気(酸素:支燃性ガス)の雰囲気下で燃焼現象を生じさせるミストが存在していた場合には、スパークの発生を防止するために、スパーク発生前兆検知部7に対して、発生前兆の検知を行うように指示信号を送信する。

0061

図8に示すタイミングチャート及び、図9に示すフローチャートを参照して、第の実施形態におけるエネルギー処置システム1におけるスパーク発生前兆検知を含む第2の出力制御方法について説明する。
操作スイッチ11のON操作により、システム制御部8が超音波エネルギー制御部4a及び、高周波エネルギー制御部4bを制御して、電源部3から出力された超音波用電力及び高周波エネルギーをエネルギー処置具12に供給する。超音波エネルギー及び高周波エネルギーを出力する。エネルギー処置具12は、高周波エネルギーと超音波エネルギーとをプローブ14の先端に同時に出力させて、処置対象の処置が行われる(ステップS11)。この処置の進行に応じて、処置対象部位に含まれる脂肪成分を含む生体組織がミスト状となって発生する。

0062

次に、前述した発生要因判断部36は、不活性ガス供給検知部34の検知結果から、この処置が不活性ガス(二酸化炭素ガス)が供給された環境下で行われているか否かを判断する(ステップS12)。この判断で、二酸化炭素ガスの雰囲気下で処置が行われていた場合、スパークが発生したとしても、前述した燃焼現象は発生しないと判断され(YES)、スパーク発生前兆検知は行わず(ステップS13)、高周波エネルギー及び超音波エネルギーの出力をそのまま継続する(ステップS14)。出力を継続したまま、ステップS19へ進む。

0063

一方、発生要因判断部36は、二酸化炭素ガスが供給された環境下で処置が行われていないと判断した場合(NO)、さらに、現在、スパークが発生しているか否かを判断する(ステップS15)。この判断で、現在、スパークが発生していたならば(YES)、直ちにシステム制御部8へ判断結果を送信し、後述する高周波エネルギーの制御を行う。一方、現在、スパークが発生していなければ(NO)、スパーク発生前兆検知部7によるスパークの発生前兆の検知を行う(ステップS16)。

0064

スパーク発生前兆検知部7は、図8に示す検知期間内に、前述したHF電流ピーク検知部31、HFインピーダンス算出部32及びHF出力電圧検知部33から得られた検知結果からスパークが発生する前兆があるか否かを判断する(ステップS17)。この判断で、スパーク発生の前兆がなければ(NO)、この前兆検知を行いつつ、高周波エネルギーの出力をそのまま継続する。一方、スパークが発生する前兆があると判断された場合(YES)、図8に示すようにスパークが発生する前、又はスパークから燃焼現象になる前に、高周波エネルギーの出力を低下させる制御を行う(ステップS18)。この時、高周波エネルギーの出力低下制御期間は、前述したようにプローブ形状、ミスト量又は、キャビテーションに応じて適宜、設定される。また、この例では、超音波エネルギーは出力を維持するが、限定されたものではなく、設定や事情(出力制御期間の長さ等)に応じて出力を停止させてもよい。

0065

図3に示した例であれば、加電流値又は過電圧値により規定されたスパーク発生前兆検知ポイントSpからスパーク発生までの時間として、約10msec以内(好適には約8msec以内)に高周波エネルギーの出力を低下させれば、スパークによる燃焼現象の発生を防止することができる。その出力制御期間の後、高周波エネルギーを出力低下又は出力中断した状態から、出力の増加に傾斜を持たせて再出力させる(ステップS19)。

0066

再出力の後、処置を継続するか否かを判断し(ステップS20)、処置を継続するのであれば(NO)、ステップ12に戻り、短絡検知部5による検知を継続する。一方、処置が終了であれば(YES)高周波エネルギーと超音波エネルギーの出力を停止し(ステップS21)、終了する。

0067

以上説明した本実施形態によれば、高周波エネルギー及び超音波エネルギーを同時に出力するプローブで処置を行っている際に、プローブの周囲環境において、燃焼現象を生じさせる3つの発生要因(ミスト量、支燃性ガス及びスパーク発生)を検知する。二酸化炭素等の不活性ガスがプローブ周囲に供給されて、不活性ガス雰囲気であった場合には、燃焼現象には至らないため、スパークが発生する前兆を検知する必要が無く、また、高周波エネルギーの出力を低下又は、中断する必要が無い。

0068

本実施形態によるスパーク発生前兆検知部7は、プローブ14の周囲環境に、酸素等の支燃性ガスが含まれる空気中で脂肪成分を含む微小な部位、油分、水分が数多く拡散し、さらにスパークの発生要因を持つ環境となった際に、スパーク発生前兆の検知及び判断を行う。スパーク発生前兆検知部は、プローブ14の接触により生じた過電流又は過電圧が規定された閾値を超えた際に、スパークが発生する前兆と判断して、プローブ14の接触状態からの離脱前に高周波エネルギーの出力を低下又は中断するため、スパークの発生が防止され、懸念される燃焼現象の発生を防止することができる。

0069

[第3の実施形態]
次に第3の実施形態について説明する。
図10は、第3の実施形態に係るエネルギー処置システムの第3の出力制御方法について説明するためのタイミングチャートである。

0070

本実施形態においては、前述した第1の実施形態のエネルギー処置システム1と同等の構成であり、図1に示す装置構成を参照して説明する。本実施形態は、スパーク発生前兆を検知した際に、高周波エネルギーの出力低下又は出力中断(出力停止)に加えて、超音波エネルギーの出力も停止させる制御方法である。

0071

まず、操作スイッチ11のON操作により、システム制御部8の制御で、超音波用電力及び高周波エネルギーが出力され、処置対象の処置が行われる。この処置の進行より、プローブ14の周囲にミストが増加する。この時、燃焼現象の可能性があると判断されたならば、スパーク発生前兆検知部7によるスパークの発生前兆の検知が行われる。

0072

スパーク発生前兆検知部7は、プローブ14と他の導電性の手術器具との接触があった場合には、接触後の検知期間内に、HF電流ピーク検知部32、HFインピーダンス算出部33及びHF出力電圧検知部34から得られた検知結果からスパークが発生する前兆があると判断された場合、スパークが発生する前、又はスパークから燃焼現象になる前に、高周波エネルギーの出力を停止せずに、例えば、15W以下(好適には10W以下)に低下させる。同時に、超音波エネルギーは、出力を停止させて、プローブ14の周辺のミスト量が低下することを待機する。この待機時間となる出力低下制御期間は、前述した第1の実施形態における処置具器具内のメモリ手段に格納され、プローブ形状毎に設定されたミスト量によって定まる高周波エネルギーの出力低下制御期間に基づき設定される。
その出力制御期間の後、出力を低下させている高周波エネルギー及び、出力を停止している超音波エネルギーを共に、出力の増加に傾斜を持たせて再出力させる。

0073

以上説明した本実施形態によれば、前述した第1の実施形態に加えて、スパークが発生する前兆を検知した場合に、高周波エネルギーの出力を低下させて且つ超音波エネルギーは、出力を停止させているため、プローブの周囲のミスト量の減少が早くなり結果的に、出力低下制御期間を短くするとができる。
つまり、超音波振動に基づいたミスト量というエネルギー処置具内のメモリに記録されたプローブごとのパラメータ(ミスト量)により、超音波振動とは異なるエネルギー体である高周波エネルギーの出力制御パラメータを変更・最適化することにより超音波振動と高周波エネルギーコンバインならではの発生リスクを未然に防止することができる。

0074

[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態について説明する。
図11は、第4の実施形態の短絡検知部の構成例を示すブロック図である。以下の説明において、第1の実施形態におけるエネルギー処置システム1と同じ構成部位には、同じ参照符号を付し、またフローチャートのステップ番号においても同じ内容には同じステップ番号を付して、その詳細な説明は省略する。

0075

前述した第1の実施形態では、エネルギー処置具12に取り付けられているプローブのるミスト量を記憶するプローブミスト量記憶部9をエネルギー処置具12内に設けた構成例である。エネルギー処置具12は、一度処置を行ったものは、再利用のための滅菌等の処理はせずに、廃棄する場合がある。このため、エネルギー処置具12の低コスト化を図るために、本実施形態では、超音波−高周波エネルギー発生装置2内にプローブ情報記憶部として設けて、プローブ毎のミスト量と、そのミスト量に従って設定される高周波エネルギーの出力低下制御期間を記憶している。

0076

この構成において、エネルギー処置具12を超音波−高周波エネルギー発生装置2に接続した際に、図示しないタッチパネル等により、形状が異なる複数個のプローブ14が表示される。術者又は手術スタッフは、このうちで、エネルギー処置具12に取り付けられているプローブの形状と同じ表示された形状を選択することにより、プローブ情報記憶部41から高周波エネルギーの出力低下制御時間が読み出されて、システム制御部8に設定される。

0077

また、プローブ情報記憶部41は、ミスト量及び高周波エネルギーの出力低下制御期間に関する情報の他に、超音波エネルギーの出力低下又出力中断(出力停止)を選択情報の1つとして記憶する。プローブ形状の設定の際に、高周波エネルギーの出力低下制御期間中における超音波エネルギーの出力の低下又は中断等の設定を行う。この超音波エネルギーの出力の低下又は中断を設定した場合には、プローブ形状によって選択された高周波エネルギーの出力低下制御期間に対して、さらに、超音波エネルギーの低下又は中断の影響が加味された時間調整が行われる。

0078

本実施形態によれば、プローブ形状による高周波エネルギーの出力低下制御期間だけでは無く、超音波エネルギーの出力が考慮されて調整された高周波エネルギーの出力低下制御期間を得ることができ、検知されたスパーク発生の前兆に対して、より効率的で手術に影響する時間を短くすることができる。
つまり、超音波振動に基づいたミスト量というエネルギー処置具内のメモリに記録されたプローブごとのパラメータ(ミスト量)により、超音波振動とは異なるエネルギー体である高周波エネルギーの出力制御パラメータを変更・最適化することにより超音波振動と高周波エネルギーコンバインならではの発生リスクを未然に防止することができる。
また、エネルギー処置具12にプローブミスト量記憶部9を搭載した構成に変わって、超音波−高周波エネルギー発生装置2内に、プローブ情報記憶部として設けているため、エネルギー処置具12の製造コストの上昇を抑えることができる。

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