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技術 固形癌治療剤

出願人 YANCHERS株式会社
発明者 島田順一
出願日 2017年7月7日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2018-526462
公開日 2018年11月8日 (1年3ヶ月経過) 公開番号 WO2018-008761
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 列スキャン 物理作用 撮影下 陰影部分 注入試験 本発明組成 放射線被ばく シリコーンゴム製品
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年11月8日)のものです。
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図面 (3)

課題・解決手段

要約固形癌細胞組織ごと硬化させて癌細胞死滅又は増殖抑制し、固めてしまうことが可能な、新規な固形癌治療剤が開示されている。固形癌治療剤は、細胞組織内で重縮合可能なエトキシ基含有化合物を有効成分として含有する液体組成物から成る。固形癌治療剤は、肺癌のような固形癌の細胞組織ごと硬化させて癌細胞を死滅又は増殖抑制し、固めてしまうことが可能なものである。従来の治療法では、癌細胞が血流乗り転移する懸念を払拭できなかったが、この固形癌治療剤は瞬時に癌細胞を囲い込んでしまうため、転移の危険を大幅に減らすことができる。

概要

背景

近年のコンピュータ技術進化により、CTスキャナーでは16列スキャンはありふれたものとなり、2012年胸部外科学会では320列のCTスキャンによる肺病変の3次元的検討も報告されていた。今後、さらなる指数関数的な放射線画像診断性能の向上が続いており、基本的に「空気」という放射線透過性の極めてよい、つまり黒で表現される器質「空気」を多く含有する「」という臓器は極めて高い画像描出のS/N比をもっており、微小病変が描出されやすい。このことから、微小なすりガラス陰影肺がん発見できるようになってきた。現在よりも、格段の診断性能があがったときには、肺胞細胞の大きさレベルで、「7個分が肺癌に変化している」と診断される時代が来るかもしれない。人工知能の搭載診断装置の開発もすすめば、さらに病変発見率の上昇も予見され、すりガラス陰影の肺がんの病変が発見される頻度は、世界的に加速度的に上昇し、さらに患者数が増加する事が予想される。

肺の基本構造である肺胞は、肺での酸素二酸化炭素ガス交換ができるように、空気をふくむ空気の部屋を薄く平たい肺胞細胞が包んでいる。肺胞を構成する細胞群周辺には、肺胞の内腔の水や細胞を栄養する血液などの体液の水分、さらに肺胞細胞自身の細胞壁の脂質や細胞質の水分などが存在している。肺癌の初期の肺胞上皮癌は、この肺胞を構成する細胞群が癌になり、増殖をきたすものである。

肺癌の外科治療は、物理的に対象を摘除する作用を用いて、癌に対する局所治療立場をとる。肺葉切除術区域切除術部分切除術摘出範囲や解剖学的な手技の違いはあるものの根底は局所治療である。放射線治療放射線の物理エネルギーを用いた細胞障害の作用を用いて局所治療をおこなう。装置の違いはあるが、局所治療である。ラジオ波焼灼術はラジオ波により生成せしめた熱で癌細胞焼灼するという作用であり、より広範囲施術できる43℃程度に加熱する温熱療法と呼ばれるものも含め局所治療である。組織凍結治療術は、熱を奪い細胞組織を凍らせて死滅しようとする局所治療である。

このように癌に対する局所治療法も技術の進歩により革新してきているが、いずれも局所物理作用を用いて癌細胞組織への障害を意図したものである。

概要

要約固形癌の細胞組織ごと硬化させて癌細胞を死滅又は増殖抑制し、固めてしまうことが可能な、新規な固形癌治療剤が開示されている。固形癌治療剤は、細胞組織内で重縮合可能なエトキシ基含有化合物を有効成分として含有する液体組成物から成る。固形癌治療剤は、肺癌のような固形癌の細胞組織ごと硬化させて癌細胞を死滅又は増殖抑制し、固めてしまうことが可能なものである。従来の治療法では、癌細胞が血流乗り転移する懸念を払拭できなかったが、この固形癌治療剤は瞬時に癌細胞を囲い込んでしまうため、転移の危険を大幅に減らすことができる。

目的

記事情に鑑み、本願発明の目的は、固形癌の細胞組織ごと硬化させて癌細胞を死滅又は増殖抑制し、固めてしまうことが可能な、新規な固形癌治療剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
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- 件

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請求項1

細胞組織内で重縮合可能なエトキシ基含有化合物を有効成分として含有する液体組成物から成る固形癌治療剤

請求項2

前記エトキシ基含有化合物が、エトキシ基含有ケイ素化合物である請求項1記載の固形癌治療剤。

請求項3

前記エトキシ基含有ケイ素化合物が、エトキシシラン化合物である請求項2記載の固形癌治療剤。

請求項4

前記エトキシシラン化合物が、エチルシリケート及びその縮合物並びにメチルトリエトキシシラン及びその縮合物から成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の固形癌治療剤。

請求項5

シアノアクリレート系モノマーをさらに含む請求項1〜4記載の固形癌治療剤。

請求項6

前記シアノアクリレート系モノマーが、メチル2−シアノアクリレートエチル2−シアノアクリレート、iso-プロピル2−シアノアクリレート、n-プロピル2−シアノアクリレート、n-ブチル2−シアノアクリレート、iso-ブチル2−シアノアクリレート、t-ブチル2−シアノアクリレート、ヘキシル2−シアノアクリレート、エトキシエチル2−シアノアクリレート、オクチル2−シアノアクリレート及びビスアルキレン2−シアノアクリレート)化合物から成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項5記載の固形癌治療剤。

請求項7

遷移金属エトキシドをさらに含む請求項2〜6のいずれか1項に記載の固形癌治療剤。

請求項8

前記遷移金属エトキシドがチタンエトキシドである請求項7記載の固形癌治療剤。

請求項9

X線造影剤又はMRI造影剤をさらに含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の固形癌治療剤。

請求項10

前記固形癌が肺癌である請求項1〜9のいずれか1項に記載の固形癌治療剤。

請求項11

固形癌治療用の、請求項1〜10のいずれか1項に記載された液体組成物。

請求項12

請求項1〜10のいずれか1項に記載された液体組成物を、固形癌患者癌組織投与することを含む、固形癌の治療方法

技術分野

0001

本願発明は、固形癌治療剤に関する。

背景技術

0002

近年のコンピュータ技術進化により、CTスキャナーでは16列スキャンはありふれたものとなり、2012年胸部外科学会では320列のCTスキャンによる肺病変の3次元的検討も報告されていた。今後、さらなる指数関数的な放射線画像診断性能の向上が続いており、基本的に「空気」という放射線透過性の極めてよい、つまり黒で表現される器質「空気」を多く含有する「」という臓器は極めて高い画像描出のS/N比をもっており、微小病変が描出されやすい。このことから、微小なすりガラス陰影肺がん発見できるようになってきた。現在よりも、格段の診断性能があがったときには、肺胞細胞の大きさレベルで、「7個分が肺癌に変化している」と診断される時代が来るかもしれない。人工知能の搭載診断装置の開発もすすめば、さらに病変発見率の上昇も予見され、すりガラス陰影の肺がんの病変が発見される頻度は、世界的に加速度的に上昇し、さらに患者数が増加する事が予想される。

0003

肺の基本構造である肺胞は、肺での酸素二酸化炭素ガス交換ができるように、空気をふくむ空気の部屋を薄く平たい肺胞細胞が包んでいる。肺胞を構成する細胞群周辺には、肺胞の内腔の水や細胞を栄養する血液などの体液の水分、さらに肺胞細胞自身の細胞壁の脂質や細胞質の水分などが存在している。肺癌の初期の肺胞上皮癌は、この肺胞を構成する細胞群が癌になり、増殖をきたすものである。

0004

肺癌の外科治療は、物理的に対象を摘除する作用を用いて、癌に対する局所治療立場をとる。肺葉切除術区域切除術部分切除術摘出範囲や解剖学的な手技の違いはあるものの根底は局所治療である。放射線治療放射線の物理エネルギーを用いた細胞障害の作用を用いて局所治療をおこなう。装置の違いはあるが、局所治療である。ラジオ波焼灼術はラジオ波により生成せしめた熱で癌細胞焼灼するという作用であり、より広範囲施術できる43℃程度に加熱する温熱療法と呼ばれるものも含め局所治療である。組織凍結治療術は、熱を奪い細胞組織を凍らせて死滅しようとする局所治療である。

0005

このように癌に対する局所治療法も技術の進歩により革新してきているが、いずれも局所物理作用を用いて癌細胞組織への障害を意図したものである。

先行技術

0006

1)肝細胞癌合併食道静脈瘤に対する予防的硬化療法臨床評価日消誌 92(1) 47−55、1995
2)下肢静脈瘤硬化療法-液状硬化療法からフォーム硬化療法へ、THEJOURNALof JAPANESE COLLEGE of ANGIOLOGY Vol。 49、 2009

発明が解決しようとする課題

0007

診断精度の向上と高齢化にともなう悪性新生物の患者の増加により、微小な肺がん病変が急増しつつある。高齢者には、手術に対しての耐術能が低く、定型的な手術が安全にできないこともある。病変が微小で多発している場合には、すべてを手術で切除することはできない。複数種類がん併発するなど、病気同時並行的に存在しており、すべてを根治的治療することはできない。放射線治療では、治療照射線量総量に上限がある。

0008

記事情に鑑み、本願発明の目的は、固形癌の細胞組織ごと硬化させて癌細胞を死滅又は増殖抑制し、固めてしまうことが可能な、新規な固形癌治療剤を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本願発明者は、鋭意研究の結果、エトキシ基含有化合物を含む液体組成物が、固形癌細胞組織に浸潤し、生体内の水が関与した反応で硬化し、この硬化物、及びこの硬化反応の際に遊離するエタノール発熱反応による熱により固形癌細胞を死滅又は増殖抑制させることが可能であることを見出し、本発明を完成した。

0010

すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
(1)細胞組織内で重縮合可能なエトキシ基含有化合物を有効成分として含有する液体組成物から成る固形癌治療剤。
(2) 前記エトキシ基含有化合物が、エトキシ基含有ケイ素化合物である(1)記載の固形癌治療剤。
(3) 前記エトキシ基含有ケイ素化合物が、エトキシシラン化合物である(2)記載の固形癌治療剤。
(4) 前記エトキシシラン化合物が、エチルシリケート及びその縮合物並びにメチルトリエトキシシラン及びその縮合物から成る群より選ばれる少なくとも1種である(3)記載の固形癌治療剤。
(5)シアノアクリレート系モノマーをさらに含む(1)〜(4)記載の固形癌治療剤。
(6) 前記シアノアクリレート系モノマーが、メチル2−シアノアクリレートエチル2−シアノアクリレート、iso-プロピル2−シアノアクリレート、n-プロピル2−シアノアクリレート、n-ブチル2−シアノアクリレート、iso-ブチル2−シアノアクリレート、t-ブチル2−シアノアクリレート、ヘキシル2−シアノアクリレート、エトキシエチル2−シアノアクリレート、オクチル2−シアノアクリレート及びビスアルキレン2−シアノアクリレート)化合物から成る群より選ばれる少なくとも1種である(5)記載の固形癌治療剤。
(7)遷移金属エトキシドをさらに含む(1)〜(6)のいずれかに記載の固形癌治療剤。
(8) 前記遷移金属エトキシドがチタンエトキシドである(7)記載の固形癌治療剤。
(9)X線造影剤又はMRI造影剤をさらに含む(1)〜(8)のいずれかに記載の固形癌治療剤。
(10) 前記固形癌が肺癌である(1)〜(9)のいずれかに記載の固形癌治療剤。
(11) 固形癌治療用の、(1)〜(10)のいずれかに記載された液体組成物。
(12) (1)〜(10)のいずれかに記載された液体組成物を、固形癌患者癌組織投与することを含む、固形癌の治療方法

発明の効果

0011

本発明により、固形癌細胞を、部位特異的に死滅又は増殖抑制させることができる新規な固形癌治療剤が提供された。本発明の固形癌治療剤は、液体であり、細い注射針を用いる注射により癌組織に直接投与することができるので、低侵襲性であり、組織を切除することもないので、患者の負担は小さく、高齢者にも容易に適用可能である。また、1つの臓器に複数の癌組織が発生している場合にも、容易に対応可能である。

図面の簡単な説明

0012

本発明の固形癌治療剤をラット肺に注入した際の研究用マイクロCT写真である。肺胞を構成する細胞群の構造(A)の中に、硬化した組成物(B)を認める。
本発明の固形癌治療剤をラット肺に注入した後の肺組織ヘマトキシリンエオシン(HE)染色した標本顕微鏡写真である(倍率400倍)。

0013

上記の通り、本発明の固形癌治療剤は、細胞組織内で重縮合可能なエトキシ基含有化合物を有効成分として含有する液体組成物から成る。「細胞組織」は、細胞を含む生体組織を意味する。細胞組織には水が存在するので、生体内の水が関与した反応で細胞組織に浸潤し硬化する。また、細胞組織において重縮合が起きる際に、エトキシ基の加水分解によりエタノールが発生し、このエタノールが癌細胞を死滅又は増殖抑制させるのに役立つ。

0014

エトキシ基含有化合物としては、各種金属エトキシド化合物を挙げることができるが、生体内に注入することを考えると金属イオンが有害なものの使用は避けねばならず、その観点からは金属としてはケイ素、チタン、ジルコニウムアルミニウムビスマスなどを挙げることができる。中でも、特にケイ素、チタンが好ましく用いられ、特にエトキシ基含有ケイ素化合物が好ましい。なお、これらの金属エトキシドのうち、遷移金属エトキシドについては、生体内での硬化速度を高めることができるので、添加剤として用いることもでき、これについては後述する。

0015

エトキシ基含有ケイ素化合物としては、エトキシ基を含むケイ素化合物としては、多くの化合物を挙げることができるが、硬化可能であり、且つ三次元化構造を取り得る化合物として、3官能性シラン化合物及び4官能性シラン化合物を挙げることができる。

0016

3官能性シラン化合物の有機官能基としては、炭素数が1から10の置換基、好ましくはアルキル基、を有する化合物が適用できるが、中でも生体に対する弊害を少なくするため、及び3次元架橋構造を取り易い置換基としてメチル基が好ましく用いられる。

0017

具体的な化合物としては、メチルトリエトキシシラン化合物を挙げることができるが、生体内注入後の揮散防止、及び拡散防止のためには予め脱水縮合させてオリゴマー構造として用いることが好ましい。

0018

オリゴマー化は、メチルトリエトキシシランなどの3官能性シラン化合物に適当量の水を添加し、部分加水分解と脱水縮合を逐次行わせることにより調製可能である。部分加水分解は、室温で行うことができるが、反応速度を高めるために加熱下において行うこともできる。部分加水分解に用いる水の量は、特に限定されないが、通常、シラン化合物モルに対して0.5〜2モル、好ましくは、0.8〜1.2モル程度である。部分加水分解反応の時間は、特に限定されないが、加水分解反応混合液が透明になるまで撹拌を続けることが望ましく、通常、一昼夜(12時間以上)程度である。部分加水分解と同時に縮合によるオリゴマー化も進行し、ダイマートリマーテトラマー等のオリゴマーが生成する。部分加水分解時に生成するエタノール等のアルコールは、組織への注入時に局所的に細胞成長を抑止するとの観点から除去しておくことが好ましい。アルコールの除去は、エバポレーター等を用いて加熱下で行うことがでる。エバポレーターの条件としては、60mmHg程度の減圧下、温度が通常30℃〜70℃程度、時間が10分〜60分程度である。また、加水分解に際しては反応を速やかに行わせるために、酸性水を添加することも可能である。

0019

4官能性シラン化合物としては、テトラエチルシリケートが挙げられる。該化合物もメチルトリエトキシシランなどの3官能性シラン化合物と同様、生体内注入後の揮散防止、及び拡散防止のために上記と同様に予め脱水縮合させてオリゴマー構造として用いることが好ましい。

0020

該化合物におけるオリゴマー化も3官能性シラン化合物と同様の手法で得ることが可能であり、条件を選ぶことでダイマー、トリマー、テトラマーなどいろいろの縮合度オリゴマー化合物の構造を取らすことが可能である。

0021

3官能性シラン化合物と4官能性シラン化合物はそれぞれ単独でも使用可能であるが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、硬化速度を制御する目的から、3官能性シラン化合物と4官能性シラン化合物を混合して用いることもできる。

0022

本発明で用いる組成物は、シアノアクリレート系モノマーをさらに含むことが好ましい。シアノアクリレート系モノマーは、反応速度を制御する有機成分として機能し、また、重合時に50℃程度まで発熱するので、この熱により癌細胞を死滅又は増殖抑制することができる。シアノアクリレート化合物は手術のときの皮膚の閉鎖や手術時の皮膚の接合時に用いられるが、皮膚表面の水分と反応し、50℃くらいまで温度上昇をしたのちに、樹脂化する特性を持っており、発熱反応するという意味で好ましい成分と言える。

0023

シアノアクリレートとしては、すでに多くの化合物が開発され、市販もされている。単官能シアノアクリレート化合物の具体例としては、メチル2−シアノアクリレート、エチル2−シアノアクリレート、iso-プロピル2−シアノアクリレート、n-プロピル2−シアノアクリレート、n-ブチル2−シアノアクリレート、iso-ブチル2−シアノアクリレート、t-ブチル2−シアノアクリレート、ヘキシル2−シアノアクリレート、エトキシエチル2−シアノアクリレート、オクチル2−シアノアクリレートなどが挙げられる。

0024

さらには、これらの2官能性化合物として、ビス(アルキレン2−シアノアクリレート)化合物を用いることで単独で3次元架橋構造とすることも可能である。具体的化合物としては、ビス(メチレン2−シアノアクリレート)、ビス(ブチレン2−シアノアクリレート)などが挙げられる。なお、このような、単独で3次元架橋構造とすることが可能なシアノアクリレート化合物を用いれば、上記したエトキシ基含有化合物を用いなくても、シアノアクリレート化合物単独でも固形癌治療薬として利用可能である。

0025

これらシアノアクリレート化合物は一種のみならず、二種以上の混合物として使用することも可能である。また、これらシアノアクリレート化合物の粘度を調節するために、各種増粘剤を添加したものも好ましく用いられる。

0026

増粘剤としてはポリメチルメタクリレートなどのアクリル系化合物セルロース系化合物ポリジメチルシロキサン等のシリコーン化合物を用いることができる。増粘剤の添加量は、後述する好ましい粘度が達成される量であればよく、通常、30重量%以下である。

0027

シアノアクリレート化合物の粘度は、併用するエトキシ基含有化合物の種類、組成比などによって適宜決定することができる。

0028

本発明で用いる組成物中には細胞組織に注入後、速やかに硬化させることを目的として、且つエタノール放出を可能とするエトキシド化合物としてはエトキシ化遷移金属化合物を用いることができる。エトキシ化遷移金属化合物を添加することにより、硬化反応がより速やかに起き、癌組織により局限して組成物を注入することが可能になる。

0029

かかるエトキシ化遷移金属化合物としては、単に反応性を制御し得るのみでは不十分であり、生体内に注入することを考えると有害な金属イオンの使用は避けるべきであり、その観点からはチタン化合物が好ましい。

0030

また、反応性の制御可能なチタン化合物としては、生体内の水と反応し、且つエタノール放出が可能なチタンエトキシド化合物を挙げることができる。チタンエトキシド化合物としては、4官能チタンテトラエトキシドが好ましい。

0031

チタンエトキシド化合物は、上記したエトキシ基含有ケイ素化合物と同様、あらかじめ一部縮合してオリゴマー化させて用いることも好ましい。

0032

本発明に用いられる組成物は、液体であり、無溶媒系で用いられる。なお、エトキシ基含有化合物を予めオリゴマー化して用いる場合には、その際に生成する水をそのまま加水分解水として用いることができる。

0033

本発明組成物における各成分の組成比は注入される部位などによって適宜決定することができるが、通常はシアノアクリレート化合物100重量部に対して、エトキシ基含有ケイ素化合物および/またはその縮合物が1重量部から1000重量部、さらにチタン化合物および/またはその縮合物が0.01重量部から10重量部であることが好ましい。また、組成物中のエトキシ基含有ケイ素化合物の濃度は、組成物の全重量に対し、通常、5重量%〜90重量%程度である。

0034

また、組成物の粘度は、穿刺時の疼痛の少ない22ゲージ針を通して、注入できるよう粘度を調製することが好ましい。具体的には注入時の液粘度としては、1mPaSから100 mPaSが用いられるが、注入時にあまり余計な力を入れずに注入を行うためには60 mPaS以下が好ましく、更には40 mPaS以下がより好ましい。注入のしやすさと液の漏出防止の観点からは、2mPaSから30mPaSが最も好ましい。組成物が、このような粘度を有するように各成分の濃度を選択することができ、必要に応じて、上記した増粘剤を添加することもできる。

0035

本発明で用いる組成物には、ケイ素原子チタン原子が含まれるため、X線CTや、MRI等による可視化が可能であるが、より鮮明な像を得るために、X線造影剤又はMRI造影剤を添加することもできる。造影剤の添加量は、適宜選択されるが、通常、0.1重量%〜5重量%程度である。

0036

本発明の治療剤により治療される固形癌としては、特に限定されないが、肺癌、腎臓癌胃癌等が好ましく、特に、肺癌が好ましい。

0037

本発明の固形癌治療剤を適用して固形癌を治療する際には、高解像度CTでCT撮影をしながら、注射針を癌組織(肺癌のすりガラス陰影部分等)に進めて、組成物液を注入する。将来的には、磁性体の性能向上と磁場センサの性能向上と医療者放射線被ばく忌避のため、MRI撮影下での外来での注入硬化治療が可能になると考えられる。また、注射針の挿入については、超音波画像撮影下での操作も好適に用いることができる。

0038

本発明で用いる液体組成物を細胞組織に注入すると、生体内の水分によりエトキシ基の加水分解が起きてエタノールが生成し、同時にオリゴマーが縮合して樹脂化されて硬化する。この硬化とエタノールの作用及び硬化時の発熱による温熱効果により、癌細胞が死滅又は増殖抑制される。

0039

本発明の固形癌治療剤又はその好ましい実施形態は、以下のような優れた特徴を有し、超早期の固形癌の治療に有効である。
(1)生体内の水が関与した反応で細胞組織に浸潤し硬化する液体組成物である。
(2) 生体内の水により惹起された発熱反応で、細胞組織に浸潤し硬化することで細胞成長抑止効果がある。
(3)組成物は生体内の細胞組織中の水分のみならず、レシチンの関与で硬化反応が促進されることから、細胞組織から組成物の漏れ抑止効果も期待される。
(4) 組成物はエトキシ化合物を含むことからエタノール放出特性を有し、細胞成長抑止効果が大きい。
(5)エトキシシラン化合物を含む生体内分解が起こりにくく、長期にわたって細胞成長抑止効果が持続する。
(6)チタン系触媒を含むことからエタノール放出特性に加えて、硬化速度を制御可能であり、医師による治療が実施しやすい。
(7) 反応速度を制御するための有機成分を添加したことで、患部細胞外への漏出が無い。
(8) 反応速度を制御するための有機成分がシアノアクリレート系モノマーであるため、生体内の水により惹起された反応が発熱反応であり、細胞組織に浸潤し硬化することで細胞成長抑止効果が大きい。
(9)組織内の空隙などに浸潤し、生体内の細胞組織中の水分と反応し生体内の体温で反応が加速され、化学的に硬化して細胞組織を物理的に閉じ込める。
(10) 目的の部位に、生検針内視鏡用カテーテルで注入できる粘度をそなえた液状であるため、治療がやり易い。
(11)X線透視装置X線断層撮影装置などの画像解析装置で、撮影して確認できるように、撮影時に可視化できる。
(12)MRI装置などの画像解析装置で、撮影して確認できるように、撮影時に可視化できる。
(13) 生体内にある水分による重合開始重合熱の放出、良好な生体適合性、重合時のエタノール放出による癌細胞殺傷機能などを持たせることが可能である。生体適合性に関しては、コンタクトレンズシリコーンゴム製品医療機器として幅広利用実績があることから、人体に使用する際にも、そのままの物性で使用可能な材質になりうる。
(14) 硬化後の樹脂画像診断装置で位置を詳細に確認できるので、必要に応じて追加で組成物の注入投与ができる。

0040

以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。

0041

実施例1
トリメチルシロキシケイ酸商品名MQ-1600、東レ・ダウコーニング社製)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名Z-6011、東レ・ダウコーニング社製)、ヒドロキシル末端のポリジメチルシロキサン(商品名PMX-0156、東レ・ダウコーニング社製)を重量基準で5:3:2に混合したものと、イオメプロール(Iomeprol、非イオン性X線造影剤)とを混合し、室温での硬化状態を確認したところ、組織注入のためのシリンジ通過性と数分レベルでのゲル化を確認できた。X線CTによる可視化についても、イオメプロール5wt%程度の混合で、明瞭に視認できることも確認した。

0042

実施例2
エトキシ化化合物含有組成物の調製
メチルトリエトキシシラン1モルに対し、ほぼ等モルの水を添加混合し、混合液が透明になるまで撹拌を行って加水分解物を調製した。その後、生成した加水分解物中のエタノールをエバポレーターによる加熱・減圧下(50℃、30分)で除去してメチルトリエトキシシランのオリゴマー化合物(1)を得た。

0043

(2)液体組成物の調製
A液の調製:前項(1)で調製したオリゴマー化合物(1)2.42部、およびチタンテトラエトキシド0.08部を加えて、A液とした。
B液:市販のiso-ブチル2-シアノアクリレートを用いた。
組成物の調製:前記A液0.25部とB液0.75部を使用直前に混合し、液体組成物とした。

0044

(3)ラットへの注入試験
29Gの注射針で、(2)で調製した液体組成物0.03mLをラット肺に注入した。CT画像装置、MRI画像装置で注入した樹脂が硬化し、硬化して不動化し、注入部位外に漏出していないことを確認した。この際の研究用マイクロCTによる写真を図1に示す。図1に示されるように、肺胞を構成する細胞(A)の構造の中に、注入した組成物(B)を認める。

0045

実施例3
実施例2においてB液をiso-ブチル2-シアノアクリレート/エチル2-シアノアクリレート=2/1(重量比)に変える以外は全て同様に行った。ラットへの注入試験結果も同様であった。

0046

実施例4
実施例2においてA液をオリゴマー化合物(1)2.48部、およびチタンテトラエトキシド0.02部に変え、さらにB液をi-ブチル2-シアノアクリレート/iso-プロピル2-シアノアクリレート=2/1(重量比)に変える以外は全て同様に行った。ラットへの注入試験結果も同様であった。

0047

実施例5
A液の調製:エトキシ化シリコーン樹脂として実施例1において調製したメチルトリエトキシシランから得られたオリゴマー化合物(1)2.4部と市販のエチルシリケートオリゴマー化合物2.4部およびチタンテトラエトキシド0.1部を加えて、A液とした。
B液:市販のPMMA系増粘剤添加のエチル2-シアノアクリレートを用いた。
液体組成物の調製:前記A液0.25部とB液0.75部を使用直前に混合し、液体組成物とした。

0048

得られた組成物は室温で2時間安定であり、注射針で患部に注入可能な安定性を有し、且つ生体内の水が関与した反応で細胞組織に浸潤し、硬化する特性を有していた。

0049

実施例6
得られた組成物の硬化特性をin vitroで評価する目的で、実施例5記載の組成物中1重量部に0.075重量部のレシチンを添加混合したところ、組成物が直ちにゲル化したことが認められ、非常に早い反応速度で硬化反応が進行することが確認できた。

実施例

0050

さらに、上記と同様にして本発明の固形癌治療剤をラットの肺に注入した後の肺組織を取り出して、ヘマトキシリンエオシン(HE)染色を行った。結果を図2に示す(倍率400倍)。組成物が樹脂化し、樹脂周辺の肺胞上皮細胞壊死していることが認められる。

0051

本発明の固形癌治療剤は、固形癌の細胞組織ごと硬化させて癌細胞を死滅又は増殖抑制し、固めてしまうことが可能なものであり、医療分野において、固形癌治療剤として有用である。従来の治療法では、癌細胞が血流乗り転移する懸念を払拭できなかったが、本発明の固形癌治療剤は瞬時に癌細胞を囲い込んでしまうため、転移の危険を大幅に減らすことができる。

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