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技術 電磁波透過性金属部材、これを用いた物品、及び、電磁波透過性金属フィルムの製造方法

出願人 日東電工株式会社
発明者 西尾創待永広宣山形一斗有本将治陳暁雷林内梨恵
出願日 2017年6月28日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-525204
公開日 2019年4月18日 (5ヶ月経過) 公開番号 WO2018-003847
状態 未査定
技術分野 積層体(2) レーダ方式及びその細部
主要キーワード 透過減衰率 二値化処理画像 遮断軸 加熱原料 母材シート 渦電流測定 クラック幅 クラック層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題・解決手段

製造コストが安価であり、且つ、製造が容易である、金属光沢電磁波透過性の双方を兼ね備えた電磁波透過性金属部材と、これを用いた物品、及び、電磁波透過性金属フィルムの製造方法を提供する。金属層クラック層とを含み、金属層とクラック層は、それぞれの各面内に、互いに実質的に平行な複数の直線状クラックを有する。金属層の直線状クラックとクラック層の直線状クラックは、それぞれの層を厚み方向に貫通し、且つ、厚み方向において連続している。

概要

背景

例えば、フロントグリルエンブレムバンパーといった自動車フロント部分に搭載されるミリ波レーダーカバー部材を装飾するために、金属光沢電磁波透過性の双方を兼ね備えた金属部材が求められている。

ミリ波レーダーは、ミリ波帯電磁波(周波数約77GHz、波長約4mm)を自動車の前方に送信し、ターゲットからの反射波を受信して、反射波を測定、分析することで、ターゲットとの距離や、ターゲットの方向、サイズを計測することができるものである。計測結果は、車間計測、速度自動調整ブレーキ自動調整などに利用することができる。ミリ波レーダーが配置される自動車のフロント部分は、いわば自動車の顔であり、ユーザに大きなインパクトを与える部分であるから、金属光沢調フロント装飾で高級感を演出することが好ましい。しかしながら、自動車のフロント部分に金属を使用した場合には、ミリ波レーダーによる電磁波の送受信が実質的に不可能、或いは、妨害されてしまう。したがって、ミリ波レーダーの働きを妨げることなく、自動車の意匠性を損なわせないために、金属光沢と電磁波透過性の双方を兼ね備えた金属部材が必要とされている。有効な解決策の一つとして、金属層を不連続とし、この不連続部分を利用して電磁波透過性を付与する金属部材が幾つか提案されている。

例えば、特許文献1には、真空蒸着法により基材の表面にインジウムアイランド状成膜した金属被膜が提案されている。アイランド状に成膜されたインジウム被膜は、金属光沢を有するとともに、アイランド間の隙間により電磁波を透過させることができる。

一方、特許文献2には、加熱処理を利用した金属膜加飾シートの製造方法が提案されている。この金属膜加飾シートは、基体シート上にクラック誘発層と該クラック誘発層に接して形成された特定の金属を材料とした金属膜層とを形成した母材シートを作成し、この母材シートに所定の張力負荷しつつ高温(120℃−200℃)にすることによって糸状面構造体クラックを形成したものである。

特許文献3も、特許文献2と同様に、加熱処理を利用するものである。ここでは、樹脂基材上に成膜したアルミニウム(Al)膜と該アルミニウム膜上に成膜したクロム膜とを、樹脂基材と共に高温(120℃)で加熱することにより、熱応力を利用してアルミニウム膜とクロム膜とを不連続とする。

特許文献4も、加熱処理を利用するものであり、ここでは、無電解めっき法により基材の表面に金属光沢を有する導通膜を形成した後、この導通膜をアフターベーキングすることによって導通膜に電磁波を透過させるためのアイランド状の微細クラックを形成するものとされている。

概要

製造コストが安価であり、且つ、製造が容易である、金属光沢と電磁波透過性の双方を兼ね備えた電磁波透過性金属部材と、これを用いた物品、及び、電磁波透過性金属フィルムの製造方法を提供する。金属層とクラック層とを含み、金属層とクラック層は、それぞれの各面内に、互いに実質的に平行な複数の直線状クラックを有する。金属層の直線状クラックとクラック層の直線状クラックは、それぞれの層を厚み方向に貫通し、且つ、厚み方向において連続している。

目的

本願発明は、これら従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、製造コストが安価であり、且つ、製造が容易である、金属光沢と電磁波透過性の双方を兼ね備えた電磁波透過性金属部材と、これを用いた物品、及び、電磁波透過性金属フィルムの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

金属層クラック層とを含み、前記金属層と前記クラック層は、それぞれの各面内に、互いに実質的に平行な複数の直線状クラックを有し、前記金属層の直線状クラックと前記クラック層の直線状クラックは、それぞれの層を厚み方向に貫通し、且つ、厚み方向において連続していることを特徴とする電磁波透過性金属部材

請求項2

前記金属層又は前記クラック層の少なくとも一方の面内に含まれる相隣り合う前記直線状クラックが互いに成す角度が、±10°以下である請求項1に記載の電磁波透過性金属部材。

請求項3

前記金属層又は前記クラック層の400μm□の面内に含まれる複数の前記直線状クラックの中から任意に選択した2本の直線状クラックが互いに成す角度のうち40%以上が±10°以下である請求項1又は2に記載の電磁波透過性金属部材。

請求項4

前記金属層又は前記クラック層の400μm□の面内に含まれる複数の前記直線状クラックの中から任意に選択した2本の直線状クラックに関して、前記選択された2本の直線状クラックが互いに成す角度のうち40%以上が±10°以下であり、且つ、40%以上が80°以上且つ100°以下である請求項3に記載の電磁波透過性金属部材。

請求項5

前記金属層又は前記クラック層の400μm□の面内に含まれる複数の前記直線状クラックのうち、80%以上が基準直線に対して±5°以下の範囲にある請求項1又は2に記載の電磁波透過性金属部材。

請求項6

基材フィルム上に金属層とクラック層とを積層して成る多層フィルムを、前記基材フィルム側に折り返した状態で一方向にのみ屈曲延伸することにより、前記金属層と前記クラック層に直線状クラックが形成された請求項1又は2に記載の電磁波透過性金属部材。

請求項7

前記金属層又は前記クラック層の400μm□の面内に含まれる複数の前記直線状クラックのうち、基準直線に対して±5°以下の範囲にあるものが、70%以下である請求項1又は2に記載の電磁波透過性金属部材。

請求項8

基材フィルム上に金属層とクラック層とを積層して成る多層フィルムを、前記基材フィルム側に折り返した状態で複数の方向に屈曲延伸することにより、前記金属層と前記クラック層に直線状クラックが形成された請求項1又は2に記載の電磁波透過性金属部材。

請求項9

前記直線状クラックの長さが200μm以上である請求項1乃至8のいずれかに記載の電磁波透過性金属部材。

請求項10

前記金属層と前記クラック層が所定の曲率で屈曲されているときに、屈曲側から遠い側に配置された層に生じる前記直線状クラックの幅が、0.1nm〜100nm以下である請求項1乃至9のいずれかに記載の電磁波透過性金属部材。

請求項11

前記金属層の厚さと前記クラック層の厚さの比が0.1〜20以下である請求項1乃至10のいずれかに記載の電磁波透過性金属部材。

請求項12

前記金属層の厚さが、10nm〜1000nmである請求項1乃至11のいずれかに記載の電磁波透過性金属部材。

請求項13

前記クラック層の厚さが、5nm〜5000nmである請求項1乃至12のいずれかに記載の電磁波透過性金属部材。

請求項14

前記クラック層が、モース硬度が4以上の金属、該金属を主成分とする合金、およびセラミックスから選択された少なくとも一種を含む物質から成る請求項1乃至13のいずれかに記載の電磁波透過性金属部材。

請求項15

前記セラミックスが、金属、シリコン、及びホウ素から選択された少なくとも一種を含む元素酸化物、窒化物炭化物酸窒化物のいずれかを含有する請求項14に記載の電磁波透過性金属部材。

請求項16

前記金属層のモース硬度が1以上4未満である請求項1乃至15のいずれかに記載の電磁波透過性金属部材。

請求項17

前記金属層が、Al、Cu、Ag、Au、Znから選択された少なくとも一種の金属、および該金属を主成分とする合金のいずれかを含む請求項16に記載の電磁波透過性金属部材。

請求項18

請求項1乃至17のいずれかに記載の電磁波透過性金属部材と、基材フィルムとを含む、電磁波透過性金属フィルム

請求項19

請求項1乃至17のいずれかに記載の電磁波透過性金属部材と、樹脂成形物基材とを含む、電磁波透過性金属樹脂部材。

請求項20

請求項1乃至17のいずれかに記載の電磁波透過性金属部材、又は、請求項18に記載の電磁波透過性金属フィルム、又は、請求項19に記載の電磁波透過性金属樹脂部材を用いた、車載用レーダー装置

請求項21

請求項5または6に記載の電磁波透過性金属部材を含む、レーダーカバー

請求項22

請求項5または6に記載の電磁波透過性金属部材を含む、偏波アンテナ

請求項23

長尺の基材フィルム上に金属層とクラック層とを積層して成る多層フィルムを該多層フィルムの長尺方向と交差する方向に沿って前記基材フィルム側に折り返した状態で該多層フィルムを前記長尺方向に屈曲延伸することにより、前記金属層と前記クラック層に直線状クラックを形成することを特徴とする電磁波透過性金属フィルムの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、金属光沢を有し且つ電磁波透過性を有する電磁波透過性金属部材と、これを用いた物品、及び、電磁波透過性金属フィルムの製造方法に関する。

背景技術

0002

例えば、フロントグリルエンブレムバンパーといった自動車フロント部分に搭載されるミリ波レーダーカバー部材を装飾するために、金属光沢と電磁波透過性の双方を兼ね備えた金属部材が求められている。

0003

ミリ波レーダーは、ミリ波帯電磁波(周波数約77GHz、波長約4mm)を自動車の前方に送信し、ターゲットからの反射波を受信して、反射波を測定、分析することで、ターゲットとの距離や、ターゲットの方向、サイズを計測することができるものである。計測結果は、車間計測、速度自動調整ブレーキ自動調整などに利用することができる。ミリ波レーダーが配置される自動車のフロント部分は、いわば自動車の顔であり、ユーザに大きなインパクトを与える部分であるから、金属光沢調フロント装飾で高級感を演出することが好ましい。しかしながら、自動車のフロント部分に金属を使用した場合には、ミリ波レーダーによる電磁波の送受信が実質的に不可能、或いは、妨害されてしまう。したがって、ミリ波レーダーの働きを妨げることなく、自動車の意匠性を損なわせないために、金属光沢と電磁波透過性の双方を兼ね備えた金属部材が必要とされている。有効な解決策の一つとして、金属層を不連続とし、この不連続部分を利用して電磁波透過性を付与する金属部材が幾つか提案されている。

0004

例えば、特許文献1には、真空蒸着法により基材の表面にインジウムアイランド状成膜した金属被膜が提案されている。アイランド状に成膜されたインジウム被膜は、金属光沢を有するとともに、アイランド間の隙間により電磁波を透過させることができる。

0005

一方、特許文献2には、加熱処理を利用した金属膜加飾シートの製造方法が提案されている。この金属膜加飾シートは、基体シート上にクラック誘発層と該クラック誘発層に接して形成された特定の金属を材料とした金属膜層とを形成した母材シートを作成し、この母材シートに所定の張力負荷しつつ高温(120℃−200℃)にすることによって糸状面構造体クラックを形成したものである。

0006

特許文献3も、特許文献2と同様に、加熱処理を利用するものである。ここでは、樹脂基材上に成膜したアルミニウム(Al)膜と該アルミニウム膜上に成膜したクロム膜とを、樹脂基材と共に高温(120℃)で加熱することにより、熱応力を利用してアルミニウム膜とクロム膜とを不連続とする。

0007

特許文献4も、加熱処理を利用するものであり、ここでは、無電解めっき法により基材の表面に金属光沢を有する導通膜を形成した後、この導通膜をアフターベーキングすることによって導通膜に電磁波を透過させるためのアイランド状の微細クラックを形成するものとされている。

先行技術

0008

特開2000−159039号公報
特開2010−5999号公報
特開2009−286082号公報
特開2011−163903号公報

発明が解決しようとする課題

0009

特許文献1の技術によれば、実用に耐え得るレベルの電磁波透過性を有する金属部材が得られるが、多くの文献(例えば、特許文献4)が指摘しているように、インジウムは高価であるため、この方式では、製造コストが高くなってしまう。
これに対し、特許文献2乃至4は、インジウムを使用しない技術であるため材料コストの問題はないものの、加熱処理を行うために相当の設備投資が必要となり、また、材料費は安く済むものの、加熱原料が必要となるため製造コストは高くなる。更に、加熱を行う場合には加熱温度や加熱時間の細かな管理が必要であって、管理がうまく成されない場合にはクラックの制御が不安定となり、この結果、電磁波透過特性にばらつきが出たり、また、金属光沢部材が白濁してしまうといった問題が生じてしまう。更に、クラックを形成する際に加熱工程を伴うことから金属層と基材との線膨張係数の違いから部材がカールしてしまい、金属光沢部材の外観が悪化するといった新たな問題も生じ得る(例えば、特許文献4の0052段落)。

0010

本願発明は、これら従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、製造コストが安価であり、且つ、製造が容易である、金属光沢と電磁波透過性の双方を兼ね備えた電磁波透過性金属部材と、これを用いた物品、及び、電磁波透過性金属フィルムの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

上記の課題を解決するため、本発明の一態様による電磁波透過性金属部材は、金属層とクラック層とを含み、前記金属層と前記クラック層は、それぞれの各面内に、互いに実質的に平行な複数の直線状クラックを有し、前記金属層の直線状クラックと前記クラック層の直線状クラックは、それぞれの層を厚み方向に貫通し、且つ、厚み方向において連続していることを特徴としている。
尚、上記「直線状クラック」における「直線状」の語は、従来技術における隙間やクラック、例えば、特許文献1に記載されているようなアイランド状の隙間と区別するために付した語であって、勿論、完全な直線であることを意味しない。「直線状クラック」には、請求項で規定した方法、即ち、「長尺基材フィルム上に金属層とクラック層とを積層して成る多層フィルムを多層フィルムの長尺方向と交差する方向に沿って基材フィルム側に折り返した状態で多層フィルムを長尺方向に屈曲延伸すること」によって形成され得る程度の直線性を有した全てのクラックが含まれる。また、上記「実質的に平行」の語も、勿論、完全に平行であることを意味する語ではなく、本発明の適用対象であるミリ波レーダーや、携帯電話スマートフォンタブレット型PC、ノート型PC、冷蔵庫等に使用可能な程度に平行であるものを含む。

0012

上記態様の電磁波透過性金属部材において、前記金属層又は前記クラック層の少なくとも一方の面内に含まれる相隣り合う前記直線状クラックが互いに成す角度が、±10°以下であるのが好ましい。

0013

また、上記態様の電磁波透過性金属部材において、前記金属層又は前記クラック層の400μm□(一辺400μmの正方形(以下、同様))の面内に含まれる複数の前記直線状クラックの中から任意に選択した2本の直線状クラックが互いに成す角度のうち40%以上が±10°以下であるのが好ましい。
更に、上記態様の電磁波透過性金属部材において、前記金属層又は前記クラック層の400μm□の面内に含まれる複数の前記直線状クラックの中から任意に選択した2本の直線状クラックに関して、前記選択された2本の直線状クラックが互いに成す角度のうち40%以上が±10°以下であり、且つ、40%以上が80°以上且つ100°以下であるのが好ましい。

0014

また、上記態様の電磁波透過性金属部材において、前記金属層又は前記クラック層の400μm□の面内に含まれる複数の前記直線状クラックのうち、80%以上が基準直線に対して±5°以下の範囲にあってもよい。
「基準直線」とは、任意に定めた所定の角度を有する第一の直線と、この第一の直線を通る任意の点を中心に所定の方向に所定の角度だけ回転させた第二の直線と、の間の領域において、第一の直線から単位角刻みに複数の直線を引き、これら複数の直線それぞれと及びこれら複数の直線それぞれと並行な直線(但し、第二の直線及びこの第二直線と並行な直線)と重なり合う直線状クラックの長さの合計を、上記任意の点を中心として所定の角度毎に360°方向の全てについて求め、求めた合計のうち、最も大きな値を有する領域を規定している第一の直線と第二の直線の中間に位置する直線を意味する。
基準直線に対して±5°以下の範囲にある直線状クラックの割合が大きい場合には、直線状クラックが、所定の方向に揃っていることを意味し、従って、良好な偏波特性が得られると考えてよい。

0015

上記態様の電磁波透過性金属部材において、基材フィルム上に金属層とクラック層とを積層して成る多層フィルムを、前記基材フィルム側に折り返した状態で一方向にのみ屈曲延伸することにより、前記金属層と前記クラック層に直線状クラックが形成されてもよい。ここでいう「一方向」は、屈曲延伸される方向が一方向のみに沿っていうことを意味し、往復搬送処理も含まれる。

0016

更に、上記態様の電磁波透過性金属部材において、前記金属層又は前記クラック層の400μm□の面内に含まれる複数の前記直線状クラックのうち、基準直線に対して±5°以下の範囲にあるものが、70%以下であってもよい。
基準直線に対して所定範囲の角度を有する直線と重なり合う直線状クラックの割合が小さい場合には、直線状クラックが、所定の方向に揃っていないことを意味し、従って、偏波特性は悪化するものの、その一方で、透過性は良好となる。

0017

上記態様の電磁波透過性金属部材において、基材フィルム上に金属層とクラック層とを積層して成る多層フィルムを、前記基材フィルム側に折り返した状態で複数の方向に屈曲延伸することにより、前記金属層と前記クラック層に直線状クラックが形成されてもよい。ここでいう「複数の方向」とは、屈曲延伸される方向が複数の方向であることを意味し、各方向において往復搬送されてもよい。

0018

また、上記態様の電磁波透過性金属部材において、前記直線状クラックの長さが200μm以上であるのが好ましい。

0019

また、上記態様の電磁波透過性金属部材において、前記金属層と前記クラック層が所定の曲率で屈曲されているときに、屈曲側から遠い側に配置された層に生じる前記直線状クラックの幅が、0.1nm〜100nm以下であるのが好ましい。

0020

更に、上記態様の電磁波透過性金属部材において、前記金属層の厚さと前記クラック層の厚さの比が0.1〜20以下、前記金属層の厚さが、10nm〜1000nm、前記クラック層の厚さが、5nm〜5000nmであるのが好ましい。

0021

また、上記態様の電磁波透過性金属部材において、前記クラック層が、モース硬度が4以上の金属、該金属を主成分とする合金、およびセラミックスから選択された少なくとも一種を含む物質から成るのが好ましい。

0022

上記態様の電磁波透過性金属部材において、前記セラミックスは、金属、シリコン、及びホウ素から選択された少なくとも一種を含む元素酸化物、窒化物炭化物酸窒化物のいずれかを含有する物質であるのが好ましい。

0023

また、上記態様の電磁波透過性金属部材において、前記金属層のモース硬度が1以上4未満であり、また、前記金属層が、Al、Cu、Ag、Au、Znから選択された少なくとも一種の金属、および該金属を主成分とする合金のいずれかを含むことが好ましい。

0024

本発明の一態様によれば、上記態様の電磁波透過性金属部材と基材フィルムとを含む電磁波透過性金属フィルム、或いは、電磁波透過性金属部材と樹脂成形物基材とを含む電磁波透過性金属樹脂部材を提供することもできる。

0025

上記の課題を解決するため、本発明の一態様による電磁波透過性金属フィルムの製造方法は、長尺の基材フィルム上に金属層とクラック層とを積層して成る多層フィルムを該多層フィルムの長尺方向と交差する方向に沿って前記基材フィルム側に折り返した状態で該多層フィルムを前記長尺方向に屈曲延伸することにより、前記金属層と前記クラック層に直線状クラックを形成することを特徴としている。

発明の効果

0026

製造コストが安価であり、且つ、製造が容易である、金属光沢と電磁波透過性を兼ね備えた電磁波透過性金属部材と、これを用いた物品、及び、電磁波透過性金属フィルムの製造方法が提供される。

図面の簡単な説明

0027

本発明の金属フィルムの概略断面図である。
金属フィルムの製造工程を概略的に示した図である。
製造に用いることができる装置構成の一部を概略的に示した図である。
金属フィルムに生じた直線状クラックの光学顕微鏡像である。
図4と同じ領域の画像を二値化処理した画像である。
金属フィルムの断面の拡大画像である。
本発明の他の例による金属フィルムの二値化処理画像である。

実施例

0028

以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一つの好適な実施形態について説明する。以下においては、説明の便宜のために本発明の好適な実施形態のみを示すが、勿論、これによって本発明を限定しようとするものではない。

0029

<1.基本構成
図1に、本発明の一実施形態による電磁波透過性金属部材(以下、「金属部材」という。)1と、該金属部材1を用いた本発明の一実施形態による電磁波透過性金属フィルム(以下、「金属フィルム」という。)3、3Aの概略断面図を示す。

0030

金属部材1は、少なくとも金属層11とクラック層12を含む。金属フィルム3、3Aは、これら金属層11とクラック層12に加え、更に、少なくとも基材フィルム10を含む。図1の(a)に示した金属フィルム3は、基材フィルム10上にクラック層12と金属層11をこの順に積層したもの、一方、図1の(b)に示した金属フィルム3Aは、基材フィルム10上に金属層11とクラック層12とをこの順に積層したものである。本願の金属フィルム3、3’には、図1の(a)、(b)に示した双方の型が含まれる。

0031

金属部材1又は金属フィルム3、3’では、金属層11とクラック層12のそれぞれに、直線状のクラック11’、12’が形成されている。これら直線状クラック11’、12’は、それぞれの層11、12を厚み方向(図示矢印「α」方向)に貫通していると共に、厚み方向「α」において連続して1つの直線状クラック15を成している。このような直線状クラック15を設けることにより、電磁波の透過を妨害する金属層11を設けているにもかかわらず、金属部材1は、電磁波を透過させることができる。後述の説明から明らかなように、基材フィルム10は、電磁波の透過を妨げることはない。

0032

<2.金属部材及び金属フィルムの製造>
図2図3を参照して、金属部材1及び金属フィルム3、3’の製造方法の一例を説明する。図2は、図1と同様の断面図を用いて製造工程を概略的に示したもの、また、図3は、製造に用いることができる装置の構成の一部を概略的に示したものである。尚、金属フィルムに関して、ここでは図1の(a)に示した金属フィルム3を用いて説明を行うが、図1の(b)に示した金属フィルム3Aについても同じ方法で製造することができる。

0033

(1) 先ず、図2の(a)に示すように、長尺の基材フィルム10上に金属層11とクラック層12が積層された多層フィルム20を準備する。クラック層12は、真空蒸着スパッタリングイオンプレーティング等によって、金属層11は、これらに加え、更に、メッキによって形成する。但し、大面積でも厚みを厳密に制御できる点からスパッタリング法が好ましい。金属層11とクラック層12の間、或いは、クラック層12と基材フィルム10の間には、他の層(図示されていない)を介在させずに直接接触させるのが好ましいが、必ずしも直接接触させる必要はなく、各層は上に説明した直線状クラック15を形成することができる態様で積層されていれば十分である。

0034

(2) 次いで、図3に示す装置構成を用いて、多層フィルム20を屈曲延伸させる。この装置構成は主として円柱円筒でもよい)部材30を含む。円柱部材30は、例えば、ドラムロッドであってもよく、それらの材質は、木材、プラスチック、金属のいずれであってもよい。但し、屈曲延伸時には多層フィルム20に比較的大きな張力を加える必要があるため、他の材質に比べて剛性が大きい金属を用いるのが好ましい。円柱部材30は、多層フィルム20の長尺方向(図示矢印「β」方向)と交差する方向「γ」に設置される。長尺方向「β」と交差方向「γ」が成す角度は、90°に設定するのが好ましい。尚、90°からの誤差の範囲は±5°以内とするのが好ましい。このような範囲であれば、効率的に直線状クラック11’、12’を発生させることができるからである。多層フィルム20は、円柱部材30の周面に沿って所定の曲率を有するRを付けた状態で、換言すれば、円柱部材30を利用して基材フィルム10側に折り返して屈曲させた状態で、張力をかけながら長尺方向「β」に沿って複数回搬送させる。このとき多層フィルム20にかける張力は30N〜200Nが好ましい。このような大きさとすることにより、金属層11に直線状クラック11’を誘発する張力を維持しつつ、基材フィルム10の破断を防ぐことができる。また、多層フィルム20の移動速度は1cm/秒以上が好ましい。このような速度とすることにより、効率的に直線状クラック11’、12’を発生させることができる。

0035

この屈曲延伸処理により、図2の(b)に示すように、屈曲側に近い側、図2の金属フィルム3の例で言えば、クラック層12には、クラック層12を貫通した状態で、幅「A」の直線状クラック12’が交差方向「γ」に沿って生じ、一方、屈曲側から遠い側、即ち、金属層11には、クラック層12における直線状クラック12’の発生時に金属層11に生じる応力によって、金属層11を貫通した状態で、幅「B」の直線状クラック11’が交差方向「γ」に沿って誘発される。これら直線状クラック12’と直線状クラック11’は、それらの厚み方向「α」において連続しており、この結果、金属層11を設けているにも拘わらず、電磁波を透過させることが可能となる。尚、直線状クラック12’、11’の幅「A」、「B」の大きさの差は極僅かであって、電磁波透過性の観点からは無視できる程度のものである。また、これらの幅「A」、「B」の大きさは、大きなものでもせいぜい100nm程であって、金属フィルム3の外観に影響を与えるものではない。

0036

(3)図2の(b)に示す状態で使用することもできるが、図2の(c)に示すように、金属層11やクラック層12を平坦な状態に戻してもよい。平坦な状態に戻した場合、直線状クラック15の幅「C」は、屈曲状態における幅「A」や「B」よりも若干小さくなる。しかしながら、この場合であっても、直線状クラック15は、依然として、金属層11やクラック層12を貫通し、また、それらの層の厚み方向において連続した状態にあり、また、直線状クラックを一旦発生させた後は、これが完全に埋まることはなく、従って、図2の(c)の状態で使用しても、電磁波透過性に大きな影響を与えることはない。

0037

金属フィルムの電磁波透過性は、直線状クラックの幅「A」ないし「C」や、複数の相隣り合う直線状クラックのピッチ幅(後述する図4によく示されている)によって微調整することができる。これらの幅やピッチは、円柱部材30の曲率を調整することによって簡単に調整することができる。例えば、図3に示した円柱部材30よりも大きな曲率を有する円柱部材を使用することによって、幅「A」ないし「C」をより大きく設定し、また、相隣り合う直線状クラックのピッチ幅を小さく設定することができる。また、直線状クラックの方向は、張力をかける方向、即ち、長尺方向「β」と交差方向「γ」が成す角度を調整することによって簡単に調整することもできる。

0038

金属部材1は、金属フィルム3の製造時に形成された金属部材1を転写させることによって得ることができる。更に、この金属部材1を樹脂基材に転写すれば、金属部材1と樹脂基材(図示されていない)を含む電磁波透過性金属樹脂部材を製造することもできる。

0039

<3.基材フィルム>
基材フィルム10には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレートポリアミドポリ塩化ビニルポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマーCOP)、ポリスチレンポリプロピレン(PP)、ポリエチレンポリシクロオレフィンポリウレタンアクリルPMMA)、ABSなどの単独重合体共重合体からなる透明フィルムを用いることができる。これらの部材は、張力をかけた屈曲延伸に適しており、また、これらの部材によれば、金属光沢や電磁波透過性に影響を与えることもない。但し、金属層11やクラック層12を形成する観点から、蒸着スパッタ等の高温に耐え得るものであることが好ましく、従って、上記材料の中でも、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ABS、ポリプロピレン、ポリウレタンが好ましい。なかでも、耐熱性コストとのバランスがよいことからポリエチレンテレフタレートが好ましい。
尚、基材フィルム10は、単層フィルムでもよいし積層フィルムでもよい。厚さは、例えば、6μm〜250μm程度が好ましい。金属層11やクラック層12との付着力を強くするために、プラズマ処理などが施されてもよい。

0040

<4.クラック層>
クラック層12は、直線状クラック12’の発生時に、これと接した又はこれと隣接して配置された金属層11に生じる応力を利用して、該金属層11に直線状クラック12’と連続した直線状クラック11’を誘発させるためのものであるから、直線状クラック12’を生じやすい物質であるとともに、金属層11に十分な応力を与えることができるものであることが必要である。

0041

このような理由から、クラック層12の厚さは、通常5nm〜5000nmであり、10〜1000nmが好ましく、20〜200nmがより好ましい。

0042

また、所定の硬さを有する物質は、適度に薄いものであれば、破壊強さが比較的小さく割れ易いと考えられることから、クラック層12には、例えば、モース硬度が4以上の金属、例えば、Cr、Ti、W、V、Nb、Mo、Niから選択された少なくとも一種を含む金属、又は、該金属を主成分とする合金が適している。同様の理由から、脆性が非常に高いセラミックスも、クラック層12に適したものといえる。セラミックスは、金属、およびシリコン、ホウ素から選択された少なくとも一種を含む元素の酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物のいずれかを含有していてもよい。ここで言う酸化物には、例えば、Al2O3、ITO(スズドープ酸化インジウム)、ZnO、TiO2、Nb2O5、SiO2等が含まれ、窒化物には、例えば、AlN、TiN、SiN、BN等が含まれ、炭化物には、例えばTiC、SiC等が含まれる。尚、ITOは、高価なInを含有する物質であるが、Inと他の物質との混合物であることから、Inそのものを使用する場合よりも製造コストは安くなる。
以下の表1に、主な金属のモース硬度を示す。

0043

0044

<5.金属層>
金属層11は、十分な金属光沢を発揮し得ることは勿論、直線状クラック12’に誘発されて直線状クラック11’を生じ得るものであることが必要である。一方で、クラックが生じた際には、散乱や白濁など外観を阻害しない程度のクラック幅が必要であり、上記クラック層に含まれる金属よりも硬さが小さい物質が望ましい。

0045

このような理由から、金属層11としては、モース硬度が1以上4未満の金属が適しており、例えば、Al、Cu、Ag、Au、Znから選択された少なくとも一種の金属、および該金属を主成分とする合金のいずれかを含むことが好ましい。特に、物質の安定性や価格等の理由からAl、Cuおよびそれらの合金が好ましい。

0046

金属層11の厚さは、直線状クラック11’が誘発され易くなるように、通常10nm〜1000nmであり、20〜200nmが好ましく、30〜100nmがより好ましい。この厚さは、均一な膜を形成するのにも適しており、また、最終製品である樹脂成形品見栄えも良い。また、上記の金属層11やクラック層12の厚さや脆性等を考慮して、金属層の厚さとクラック層の厚さの比、即ち、金属層の厚さ/クラック層の厚さは、0.1〜20の範囲が好ましく、0.2〜10の範囲がより好ましい。更に、同様の理由から、金属層11のモース硬度は、クラック層12のモース硬度よりも小さいことが好ましく、通常1〜4未満であり、2〜3.5が好ましい。

0047

<6.直線状クラック>
図4に、金属フィルム3に生じた直線状クラックの光学顕微鏡像を示す。この図は、図1の(a)に示した金属フィルム3に対応する画像であるが、図1の(b)に示した金属フィルム3Aについても同様の画像が得られると考えてよい。また、この画像は、金属フィルム3を金属ロッド巻き付けた状態(図2の(b)に相当する状態)で撮影されたものであるため、これらの直線状クラック11’の幅(図2の(b)における幅「B」に相当)は、金属層11やクラック層12を平坦な状態に戻した状態(図2の(c)に相当する状態)における直線状クラックの幅(図2の(c)における幅「C」に相当)よりも若干大きく強調されたものとなっている。また、図4は、実際上は、金属層11の直線状クラック11’だけを示すものであるが、直線状クラック11’と直線状クラック12’は厚み方向において連続していることから、金属層11の直線状クラック11’とクラック層12の直線状クラック12’の双方を示していると見ることもできる。

0048

図4から明らかなように、金属層11やクラック層12は、それぞれの各面内に、互いに実質的に平行な複数の直線状クラック(図2の(b)、(c)における直線状クラック11’、12’、15に相当)を有する。例えば、ミリ波レーダーを用いて送受信される電磁波は指向性を有することから、このような直線状クラックは、ミリ波レーダーのような装置の使用に適したものということができる。ここでいう「実質的に平行」には、完全には平行でないが、指向性を有した電磁波の使用に使用可能な程度に平行のものも勿論含まれる。

0049

直線状クラックは一方向だけでなく複数の方向に形成されてもよい。例えば、フィルムの長尺方向「β」(図3参照)でフィルムの屈曲延伸を行って図4に示す直線状クラックを形成した後に、フィルムの角度を90°回転させ、「β」と直行する方向「γ」にて屈曲延伸を行うことで、直線状クラックが互いに交差した格子状の金属フィルムを得ることができる。この場合、電磁波の指向性に関係なく、あらゆる方位に高い電磁波透過性を有する電磁波透過性金属部材を得ることができる。

0050

これらの直線状クラック11’、12’、15は微小ではあっても、シート抵抗を大きく増大させる。シート抵抗が増大することにより電磁波透過減衰率は小さくなり、電磁波透過減衰率が小さくなることにより金属フィルム3、3’に十分な電磁波透過性が付与される。金属フィルム3、3’のシート抵抗は、通常100Ω/□以上であり、好ましくは200Ω/□以上、より好ましくは400Ω/□以上である。また、本発明に係る金属フィルム3、3’の電磁波透過減衰率は、通常−10dB以下であり、好ましくは−5dB以下、より好ましくは−1dB以下である。

0051

金属フィルム3、3’の、屈曲時における直線状クラックの幅、より正確には、屈曲側から遠い側に配置された層、例えば、図4の例では金属層11の、直線状クラック11’(12’)の幅は、金属フィルム3を直径6mmの金属ロッドの周囲に基材フィルム側に折り返した状態で巻き付けた状態において、通常0.1nm〜100nmであり、好ましくは0.2nm〜60nm、より好ましくは0.3nm〜30nmである。尚、屈曲時における直線状クラック11’(12’)の幅は、金属層11を平坦な状態に戻した状態における直線状クラック15の幅よりも若干大きく強調されたものとなっていることから、いずれにせよ、直線状クラックの幅は、上記のものと同じか又はそれより小さい値となる。

0052

また、金属フィルム3、3’において、面内に含まれる相隣り合う直線状クラック11’、12’、15が互いに成す角度は、通常±10°以下であり、好ましくは±5°以下である。これらの角度差は、例えば、ミリ波レーダーについては実質的に平行な角度であるということができる。

0053

直線状クラックを略矩形の格子状とした場合、任意の400μm□の面内に含まれる複数の直線状クラック11’、12’、15の中から任意に選択した2本の直線状クラックが互いに成す角度のうちの通常40%以上が±10°以下であり、好ましくは±5°以下であり、より好ましくは±2°以下である。同様に直線状クラックを略矩形の格子状とした場合、400μm□の面内に含まれる複数の直線状クラック11’、12’、15の中から任意に選択した2本の直線状クラックが互いに成す角度のうちの通常40%以上が±10°以下(好ましくは±5°以下であり、より好ましくは±2°以下)であり、且つ、40%以上は80°以上(好ましくは85°以下であり、より好ましくは±87°以上)且つ100°以下(好ましくは105°以下であり、より好ましくは102°以下)である。このように、直線状クラックのバラツキを抑えることにより、性能を向上させることができる。

0054

金属フィルム3、3’において、直線状クラック11’、12’、15の長さは、通常200μm以上、好ましくは500μm以上である。例えば、ミリ波レーダーで送受信される信号の波長は4mm程度であることから、この長さは、ミリ波レーダーの使用には十分であると考えられる。

0055

<7.実施例1乃至4、及び、比較例1乃至8>
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。金属フィルムに関して各種試料を準備し、可視光反射率表面抵抗、及びマイクロ波電界透過減衰量を評価した。可視光反射率は、金属光沢に関する評価、表面抵抗とマイクロ波電界透過減衰量は、電磁波透過性に関する評価である。可視光反射率と表面抵抗の値は大きい方が好ましく、マイクロ波電界透過減衰量の値は小さい方が好ましい。
評価方法の詳細は以下のとおりである。

0056

(1)可視光反射率
日立ハイテクノロジーズ社製分光光度計U4100を用い、550nmの測定波長における反射率を測定した。基準として、Al蒸着ミラーの反射率を反射率100%とした。
十分な金属光沢を有するため、可視光反射率は、40%以上が必要であり、60%以上であるのが好ましく、更に好ましくは70%以上である。尚、可視光反射率が、40%以下であると、金属光沢が著しく低下し、外観に優れないという問題がある。

0057

(2)表面抵抗
ナプソン社製非接触式抵抗測定装置NC−80MAPを用い、JIS−Z2316に準拠し、渦電流測定法により表面抵抗を測定した。
表面抵抗は、例えば、100Ω/□以上であることが必要であり、200Ω/□以上であるのが好ましく、更に400Ω/□以上であることがより好ましい。尚、100Ω/□以下であると、充分な電磁波透過性が得られないという問題がある。

0058

(3)マイクロ波電界透過減衰量
1GHzにおける電界透過減衰量をKEC法測定評価治具およびアジレント社製スペクトルアナライザCXA signal Analyzer NA9000Aを用いて評価した。
マイクロ波電界透過減衰量は、−10dB以下であることが必要であり、−5dB以下であるのが好ましく、−1dB以下であることがより好ましい。尚、−10dB以上であると、90%以上の電磁波が遮断されるという問題がある。
なお、ミリ波レーダーの周波数帯域(76〜80GHz)における電磁波透過性と、マイクロ波帯域(1GHz)における電磁波透過性には相関性があり、比較的近い値を示すことから、ここでは、マイクロ波帯域(1GHz)における電磁波透過性を指標とした。

0059

以下の表2に、評価結果を示す。表2中の「層構成」の欄に示した「上層」とは、屈曲側(基材フィルム10側)から遠い側の層を意味し、「下層」とは、屈曲側に近い側の層を意味する。また、金属層又はクラック層のいずれか一方のみが設けられている場合、設けられている層には「有り」と、設けられていない層には「−」と記載した。尚、実施例1及び比較例1において「モース硬度」の欄に値が記載されていないのは、単に、モース硬度の正確な値を測定しづらいからであって、モース硬度が小さいことを意味しない。クラック層に使用される材料のモース硬度は、少なくとも4以上であって、金属層に使用される材料のモース硬度に比して十分に大きいものとなっている。

0060

0061

[実施例1]
上層に金属層を、下層にクラック層を配置した例である。基材フィルム(図1図2の基材フィルム10に相当)として、三菱樹脂社製PETフィルム(厚さ125μm)を用いた。基材フィルム上にスパッタリング法にて50nmのITO層を形成し、次いで、ITO層の上にスパッタリング法で70nmのアルミニウム(Al)層を形成して、多層フィルムを得た。尚、ITOは、In2O3に対してSnO2を10wt%含有させたものである。

0062

次いで、図3を参照して説明したように、この多層フィルムを直径6mmの金属ロッドの周囲に基材フィルム側に折り返した状態で巻き付け、100Nの力で10cm/秒の速度で移動させることにより金属フィルムを製造した。屈曲延伸処理は、長尺方向「β」にてフィルムを往復搬送し、この処理を12回行った。

0063

図4に、この屈曲延伸処理によって得られた金属フィルム表面の光学顕微鏡像を、また、図5に、図4と同じ領域の画像を二値化処理した画像を示す。図5の画像サイズは400μm□であり、この領域内に含まれる直線状クラック(図2の(c)における直線状クラック15に相当)の数、間隔、長さを解析した。更に、図6に、金属フィルムの断面を透過型電子顕微鏡TEM)によって拡大した画像をSEM画像とともにそれぞれ示す。尚、図4乃至図6の画像は、金属フィルムを直径6mmの金属ロッドに巻き付けた状態で撮影されたものであることから、厳密には、巻き付けていない状態に比べて直線状クラックが強調されたものになっているが、ナノオーダーである金属ロッドの直径に対して、マイクロオーダーである画像領域は極めて小さいことから、巻き付けていない場合であっても、図4等と実質的に同じ画像が得られると考えてよい。

0064

図4図5から、面内に複数の直線状クラックが発生していることが分かる。また、図6から、上層(Al層)の直線状クラックと、下層(ITO層)の直線状クラックが、それぞれの層を厚み方向に貫通している共に、厚み方向において連続して1つの直線状クラックを形成していることが分かる。

0065

図5に示した単位面積当たりの面内には、23本の直線状クラックが含まれる。これら23本について更に解析を行ったところ、相隣り合う直線状クラック同士の間隔は、平均11μmであった。また、図5における垂直方向を0°として、面内に含まれる直線状クラックの平行度のバラツキを測定したところ、−3.4〜+1.4°の範囲であった。また、面内に含まれる複数の直線状クラックの中から任意に選択した2本の直線状クラックが互いに成す角度のうちの50%以上が±0.5°以下であり、90%以上が±2.0°以下であった。更に、図5に示す直線状クラックを形成した後に、これと直行する方向にて屈曲延伸を行うことで直線状クラックが互いに交差した格子状の金属フィルムを得たところ、単位面積当たりの面内に含まれる複数の直線状クラックが互いに成す角度のうちの50%以上が±0.5°以下であり、且つ、40%以上が0.5°以上且つ1°以下であった。

0066

実施例1の構成によれば、可視光反射率、表面抵抗、及びマイクロ波電界透過減衰量の全てについて、良好な結果が得られた。即ち、金属光沢と電磁波透過性の双方を兼ね備えた金属フィルム、或いは、金属部材が得られた。

0067

[実施例2]
実施例1と同様に、上層に金属層を、下層にクラック層を配置した例であるが、クラック層をアルミナ(Al2O3)とした。その他の条件については、実施例1と同じである。尚、アルミナのモース硬度は9であるのに対し、金属層として用いたアルミニウム(Al)のモース硬度は2.5である。
この場合も、金属光沢と電磁波透過性の双方を兼ね備えた金属フィルム、或いは、金属部材が得られた。

0068

[実施例3]
実施例1、2と異なり、上層にクラック層を、下層に金属層を配置した例である。また、実施例1と異なり、クラック層を45nmのクロム(Cr)とし、金属層を20nmのアルミニウム(Al)とした。その他の条件については、実施例1と同じである。尚、クロムのモース硬度は8.5であるのに対し、アルミニウムのモース硬度は2.5である。
この場合も、金属光沢と電磁波透過性の双方を兼ね備えた金属フィルム、或いは、金属部材が得られた。

0069

[実施例4]
実施例1と異なり、多層フィルムを複数の方向に屈曲延伸処理することにより、更に詳細には、長尺方向「β」(図3参照)に屈曲延伸処理した後に、「β」と直交する方向「γ」に屈曲延伸処理を行うことで、直線状クラックが互いに交差した形状を有する金属部材を得た。
この場合も、金属光沢と電磁波透過性の双方を兼ね備えた金属フィルム、或いは、金属部材が得られた。

0070

[比較例1]
実施例1と同様に、上層に金属層を、下層にクラック層を配置した例である。しかしながら、実施例1と異なり、屈曲延伸処理は行わなかった。その他の条件については、実施例1と同じである。
この場合は、金属光沢については良好な結果が得られたが、電磁波透過性については不十分な結果となった。

0071

[比較例2]
実施例1と同様に、上層に金属層を、下層にクラック層を配置した例である。上層のアルミニウム(Al)の厚さは70nmとし、更に、クラック層としてアルミナ(Al2O3)を用いた。実施例1と異なり、屈曲延伸処理は行わなかった。また、その他の条件については、実施例1と同じである。
この場合も、金属光沢については良好な結果が得られたが、電磁波透過性については不十分な結果となった。

0072

[比較例3]
実施例1と異なり、上層にクラック層を、下層に金属層を配置した例である。また、実施例1と異なり、屈曲延伸処理は行わず、また、クラック層として45nmのクロムを用い、金属層として20nmのアルミニウムを用いた。その他の条件については、実施例1と同じである。
この場合も、金属光沢については良好な結果が得られたが、電磁波透過性については不十分な結果となった。

0073

[比較例4]
実施例1と異なり、上層にクラック層を、下層に金属層を配置した例である。また、実施例1と異なり、クラック層として45nmのクロムを用い、金属層として20nmのアルミニウムを用いた。更に、屈曲延伸処理を行う代わりに、加熱処理を行った。加熱は、金属フィルムを2時間、120度の環境下に置くことによるものである。その他の条件については、実施例1と同じである。
この場合は、金属光沢については良好な結果が得られたが、電磁波透過性については不十分な結果となった。また、加熱処理後に金属フィルムがカールしてしまい実用に供することが困難であった。

0074

[比較例5、6]
実施例1と異なり、金属層だけを用いた例である。金属層としては70nmのアルミニウムを用いた。更に、比較例5については、屈曲延伸処理を行わず、比較例6については、実施例1と同様に、屈曲延伸処理を行った。その他の条件については、実施例1と同じである。
この場合、金属光沢については良好な結果が得られたが、電磁波透過性については不十分な結果となった。

0075

[比較例7、8]
実施例1と異なり、クラック層だけを用いた例である。また、実施例1と異なり、クラック層として50nmのクロムを用いた。更に、比較例7については、屈曲延伸処理を行わず、比較例8については、実施例1と同様に、屈曲延伸処理を行った。その他の条件については、実施例1と同じである。
この場合、電磁波透過性については良好な結果が得られたが、外観が白濁し、可視光反射率が著しく低下してしまうため、金属光沢については不十分な結果となった。

0076

<8.実施例5乃至9、及び、比較例9>
各種の金属フィルムにつき、可視光反射率、電波透過減衰量偏波度、及びクラック割合を評価した。「可視光反射率」は、上記実施例1等における「可視光反射率」と同じもの、「電波透過減衰量」は、上記実施例1等における「マイクロ波電界透過減衰量」に実質的に相当するものであって、電磁波透過性に関する評価である。「偏波度」は、直線状クラックの方向が所定の方向に揃っていることによって得られる偏波特性に関する評価である。大きな偏波度は、電磁波の指向性が高いことを意味し、この指向性の観点からは、偏波度は大きければ大きいほどよい。「クラック割合」は、偏波度と相関することから、これについても評価対象とした。評価方法の詳細は以下のとおりである。

0077

(1)可視光反射率
実施例1等と同じ装置を用いて同じ方法で測定した。

0078

(2)電波透過減衰量(透過率
76.5GHzにおける電波透過減衰量を、キーコム社製透過・反射減衰測定システムLAF-26.5Aを用いて評価した。電波透過減衰量は、上記実施例1等における「マイクロ波電界透過減衰量」に相当するが、ここでは「透過軸」と「遮断軸」の電波透過減衰量をそれぞれ別個に求めた。上記実施例1等における「マイクロ波電界透過減衰量」は、実質的に、「透過軸」の電波透過減衰量に相当する。ここで「透過軸」の電波透過減衰量とは、上記計測システムにおいて、入出射アンテナ電界成分の「偏波方向」を「基準とすべき直線状クラック」の方向に対して、垂直になるように配置した場合に得られる電波透過減衰量を意味し、一方、「遮断軸」の電波透過減衰量とは、平行になるように配置した場合に得られる電波透過減衰量を意味する。「偏波方向」が楕円の場合には、その長軸を偏波方向として使用する。「基準とすべき直線状クラック」は、下記「(4)クラック割合」における「基準直線」に沿うものとした。「透過軸」の電波透過減衰量は、上記実施例1等における「マイクロ波電界透過減衰量」と同様に、−10dB以下であることが必要であり、−5dB以下であるのが好ましく、−1dB以下であることがより好ましい。
「透過率」は、電波透過減衰量を求めるためのものではなく、下記「(3)偏波度」を求めるために必要な値であって、電波透過減衰量の値を用いて、以下の式を用いて求めることができる。
透過率(%)=10^(-X/10)×100 (ただし、Xは、電波透過減衰量(dB))

0079

(3)偏波度
偏波度は、「透過軸」の電波透過減衰量についての透過率(%)(ここでは、「T1」という)と、「遮断軸」の電波透過原子量についての透過率(%)(ここでは、「T2」という)の比、即ち、T1/T2で算出される値である。偏波度は、使用目的に応じて、適宜、調整することになるが、一般的に好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは4000以上である。

0080

(4)クラック割合
図7を参照して、クラック割合の算出法を説明する。この図は、図5に相当する図であって、後述する実施例9の金属フィルム表面の光学顕微鏡像を二値化処理した画像である。図5と同様に、画像サイズは400μm□に設定されている。図7を参照して説明するが、図5に示すクラックについても同じ方法で算出することができる。
先ず、図7の画像について、任意に定めた所定の角度を有する第一の直線と、この第一の直線を通る任意の点を中心に所定の方向に2°回転させた第二の直線と、の間の領域において、第一の直線から0.1°刻みで複数の直線を引き、これら複数の直線それぞれ及びこれら複数の直線それぞれと並行な直線(但し、第二の直線及びこの第二直線と並行な直線は含めない)と重なり合う直線状クラックの長さの合計(以下、「合計長」という)を求める。次いで、上述した第二の直線を第一の直線として、且つ、上述した任意の点を中心に所定の方向に更に2°回転させた直線を第二の直線として、同様の方法で合計長を求める。同じ処理を複数回繰り返し、360°分、即ち、計90個の合計長を求める。
次いで、これら計90個の合計長を総計し、直線状クラックの総長(以下、「総長」という)を求める。
また、これら90個の合計長のうち、最も大きい「合計長」を有する領域(以下、「最大領域」という)を抽出する。
更に、最大領域を規定している第一の直線と第二の直線の中間に位置する直線(以下、「基準直線」という)に対して±5°以下の範囲にある直線状クラックの合計長の和を求める。更に詳細には、最大領域における合計長と、最大領域から所定の方向に2°回転させた領域における合計長及び更に2°回転させた領域における合計長と、最大領域から所定の方向とは反対方向に2°回転させた領域における合計長及び更に2°回転させた領域における合計長とを、合計した値(以下、「総合計長」という)を求める。
「クラック割合」は、「総合計長」が「総長」に対して占める割合、即ち、
クラック割合(%)= 総合計長(μm)/総長(μm)
である。
クラック割合は、偏波度と相関しており、指向性の観点から大きければ大きいほど良く、80%以上100%以下が好ましく、より好ましくは90%以上100%以下であり、更に好ましくは95%以上100%以下、更に好ましくは97%以上100%以下である。
一方、偏波度やクラック割合が大きくなると、遮断される電磁波が多くなり、この結果、電磁波透過性は悪化してしまう。このように、偏波度と電磁波透過性は、トレードオフの関係にあり、電磁波透過性の観点からは、偏波度やクラック割合はある程度小さい方が好ましい。電磁波透過性の観点から、クラック割合は、65%以下が好ましく、より好ましくは62%以下である。下限は特に制限されないが、指向性との釣り合いから、好ましくは、30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上である。

0081

以下の表3に、評価結果を示す。「金属層」、「クラック層」、「可視光反射率」の項目は、表2を参照して説明したとおりである。クラック処理条件について、屈曲回数と、基材フィルム等を巻き付ける金属ロッドの直径を変更した。実施例6乃至8において「モース硬度」の欄に値が記載されていないのは、単に、モース硬度の正確な値を測定しづらいからであって、モース硬度が小さいことを意味しない。クラック層に使用される材料のモース硬度は、少なくとも4以上であって、金属層に使用される材料のモース硬度に比して十分に大きいものとなっている。尚、下記表中の偏波度の値は、実データを元に算出した値であって、有効数字の関係上、同表中のT1/T2の値とは厳密には一致していない。

0082

0083

[実施例5]
先ず、実施例2と同じ層構成の多層フィルムをこれと同じ方法で作製した。次いで、実施例2と同様に、直径6mmの金属ロッドを使用して屈曲延伸処理を施した。但し、この屈曲延伸処理は、実施例2と異なり、長尺方向「β」に沿ってフィルムを2回往復搬送するものとした。結果、図4に示すものと同様の光学顕微鏡像が得られ、また、図5に示すものと同様の二値化処理画像が得られた。

0084

この場合、図5に示した単位面積(400μm□)に相当する面内に含まれる直線状クラックの総長は、4317μm、総合計長は、4167μmとなり、クラック割合は、97%と高い値が得られた。また、クラック割合と相関する偏波度についても、2599と良好な値が得られ、高い偏波特性を有するものとなった。

0085

更に、可視光反射率と電波透過減衰量についても、良好な結果が得られた。即ち、金属光沢と電磁波透過性の双方を兼ね備えた金属フィルム、或いは、金属部材が得られた。

0086

[実施例6]
実施例5と異なり、下層のクラック層に、50nmのSTOを用いた。また、屈曲延伸処理は、実施例5と異なり、長尺方向「β」にてフィルムを「60回」往復搬送させた。その他の条件については、実施例5と同じである。

0087

この場合、図5に示した単位面積(400μm□)に相当する面内に含まれる直線状クラックの総長は、4423μm、総合計長は、4326μmとなり、クラック割合は、98%と高い値が得られた。また、クラック割合と相関する偏波度についても、4822と大きな値が得られ、高い偏波特性を有するものとなった。更に、可視光反射率と電波透過減衰量についても、良好な結果が得られた。

0088

[実施例7]
実施例5と異なり、下層のクラック層に、50nmのAZOを用いた。屈曲延伸処理は、実施例5と異なり、長尺方向「β」にてフィルムを「60回」往復搬送させた。その他の条件については、実施例5と同じである。

0089

この場合、図5に示した単位面積(400μm□)に相当する面内に含まれる直線状クラックの総長は、3861μm、総合計長は、3762μmとなり、クラック割合は、97%と高い値が得られた。また、クラック割合と相関する偏波度についても、3229と大きな値が得られ、高い偏波特性を有するものとなった。更に、可視光反射率と電波透過減衰量についても、良好な結果が得られた。

0090

[実施例8]
実施例5と異なり、上層の金属層には、50nmの銅(Cu)を用い、下層のクラック層には、50nmのITOを用いた。尚、ITOは、実施例1と同様に、In2O3に対してSnO2を10wt%含有させたものである。屈曲延伸処理は、実施例5と異なり、長尺方向「β」にてフィルムを「60回」往復搬送させた。その他の条件については、実施例5と同じである。

0091

この場合、図5に示した単位面積(400μm□)に相当する面内に含まれる直線状クラックの総長は、5582μm、総合計長は、5572μmとなり、クラック割合は、99%と高い値が得られた。また、クラック割合と相関する偏波度については、10872と非常に大きな値が得られ、偏波特性については非常に良好な結果が得られた。電波透過減衰量についても、良好な結果が得られたが、可視光反射率については、実施例5等と比較して劣るものとなった。

0092

[実施例9]
実施例5と異なり、上層にクラック層を、下層に金属層を配置した。金属層には、実施例5と同様に、アルミニウム(Al)を用いたが、その厚みは、20nmとした。一方、クラック層には、実施例5と異なり、45nmのクロム(Cr)を用いた。屈曲延伸処理は、実施例1と同様に、往復搬送処理を2回行った。その他の条件については、実施例1と同じである。尚、前述した図7は、この実施例で得られた金属フィルム表面の光学顕微鏡像を二値化処理した画像を示している。

0093

この場合、図5に示した単位面積(400μm□)に相当する面内に含まれる直線状クラックの総長は、9762μm、総合計長は、6079μmとなり、クラック割合は、62%となった。また、クラック割合と相関する偏波度については、30と小さな値となった。このように、クラック割合や偏波度については、実施例5等よりも劣る結果となったが、その一方で、電磁波透過性については、−0.6dBと、実施例5等よりも良好な結果が得られた。更に、可視光反射率と電波透過減衰量についても、良好な結果が得られた。

0094

[比較例9]
実施例5と異なり、屈曲延伸処理は行わなかった。その他の条件については、実施例5と同じである。
この場合は、金属光沢については良好な結果が得られたが、電磁波透過性については不十分な結果となった。

0095

<8.評価>
実施例及び比較例から明らかなように、金属層又はクラック層の一方だけでは、金属光沢と電磁波透過性の双方を満足する結果は得られなかった(比較例5乃至8)。従って、少なくとも金属層とクラック層の双方を設ける必要がある。
また、金属層とクラック層を設けた場合であっても、屈曲延伸処理を行わない場合(比較例1乃至3、5、7、9)、或いは、加熱処理(比較例4)を行った場合には、良好な結果は得られなかった。
更に、金属層がクラック層よりも厚い場合には、モース硬度の相異にもよるであろうが、良好な結果は得られにくい(実施例1及び比較例1、実施例2及び比較例2)。
また、多層フィルムに、長尺方向と交差する方向だけでなく、長尺方向にも、直線状クラックを発生させることにより、格子状(基盤目状)に直線状クラックを形成した場合には、電磁波透過性が更に向上する結果が得られた(実施例3)。
更にまた、優れた偏波特性を得ることも可能であり(実施例5乃至8)、その一方で、偏波特性が小さい場合には良好な電磁波透過性が得られることが明らかとなった(実施例9)。

0096

本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。

0097

本発明に係る金属フィルムや金属部材は、例えば、フロントグリル、エンブレム、バンパーといった自動車のフロント部分に搭載されるミリ波レーダーのカバー部材を装飾するために好適に用いることができる。また、レドーム等のレーダーカバーとして、又は、基地局等の偏波用のアンテナに用いることもできる。しかしながら、勿論、これに限定されるものではなく、例えば、携帯電話やスマートフォン、タブレット型PC、ノート型PC、冷蔵庫など、意匠性と電磁波透過性の双方が要求される様々な用途にも利用できる。

0098

1金属部材
3、3A金属フィルム
10基材フィルム
11金属層
11’ 直線状クラック
12クラック層
12’ 直線状クラック
15 直線状クラック
20 多層フィルム

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