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技術 担持体、添着シート部材、エアフィルタ、担持体の製造方法及び添着シート部材の製造方法

出願人 倉敷繊維加工株式会社
発明者 渡辺充哲
出願日 2017年6月21日 (1年6ヶ月経過) 出願番号 2017-559466
公開日 2018年6月21日 (6ヶ月経過) 公開番号 WO2017-221996
状態 特許登録済
技術分野 他類に属さない組成物 車両用空気調和 空気の消毒,殺菌または脱臭 濾過材 マイクロカプセルの製造
主要キーワード バブリング水 マクロクラック バブリング容器 付着加工 送風ブロア 整形加工 スラリー液滴 検量線作成用試料
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図面 (10)

課題・解決手段

本発明は、機能性物質を長期間にわたって放散することができる担持体、前記担持体を添着した添着シート部材、前記添着シート部材を用いたエアフィルタを提供することを目的とする、機能性物質からなる核体と、前記核体の表面を覆うコーティング層とからなる担持体であって、該コーティング層は、ガラス化した無機結合剤とその無機結合剤中に分散する無機骨材とからなり、かつ、該コーティング層表面には、前記核体となる機能性物質に通ずる開口部を有するマイクロクラックが形成されており、前記機能性物質が、前記マイクロクラックより外部に放散されるようにしたことを特徴とする担持体である。

概要

背景

従来、野菜果物、肉などの生鮮食料品鮮度を低下させる酸化劣化を抑制する鮮度保持を目的として、冷蔵庫保管庫などに抗酸化機能性物質の組み込みや機器を利用した抑制方法などが提案されている。それらの材料や機器を利用した抑制方法をエアコン空気清浄機などに応用することで、生活環境中から発生するさまざまな酸化性物質を抑制する提案もなされている。また、抗酸化機能を有する機能性物質が空気中に放散されると、化学反応により室内から酸化性物質が削減され、加えて機能性物質に保湿機能があれば、その放散された成分は肌から吸収され、保湿効果を発揮し、肌荒れ等の改善が期待できる。 このような抗酸化機能を有する機能性物質としては、例えば、L−アスコルビン酸ビタミンC)及びその誘導体などがあり、肌荒れ防止健康管理を目的として、医薬品をはじめとして健康サプリメント化粧品衣類などに使用され、それら物質の摂取や衣類の着用などにより、直接吸収させて利用されている。 機能性物質を利用した技術としては、例えば、特許文献1(特開2004−51521号公報)には、含有する物質がコラーゲン誘導体ビタミン類から選ばれる1種又は2種以上であり、増粘剤を含有したシルクを混合したレーヨン不織布が記載されている。また、特許文献2(特開2006−45491号公報)には、有効成分を担持したシート部材エアフィルタとして採用した場合に、エアフィルタに含有される有効成分が放散される旨、記載されている。

しかしながら、医薬品や化粧品などの分野で、ビタミンCなどの抗酸化物質を単独で用いた場合には、その効果に持続性が乏しく、1回ずつの効果しか期待できない。また、直接服用する場合では、意識的に摂取しなければならず、忘れてしまうと持続的に摂取できないという問題がある。抗酸化物質と空気中の酸化性物質とを持続的に接触させるためには、エアフィルタは好適と考えられるが、抗酸化性物質を単独でエアフィルタに添着させた場合では、例えばビタミンCなどは酸化劣化しやすく、空気中に放散されることにより、短期間で酸化してしまう。そのため従来の技術では長期にわたる使用には適さない。 特許文献2では、長期にわたる性能維持には2種類以上の材料を混合するとの記載があるが、機能性物質の放散量を制御することができず、長寿命化のためには添加量が多くなってしまうという問題がある。 また、ビタミンCなどの抗酸化物質は、空気中の湿度により放散量が変化することが記載されている。加湿手段を設けることで低湿度時の放散性を維持することは出来るが、加湿装置の設置が必要である。 さらにキャビンエアフィルタでは、加湿しすぎによる窓の曇りによる安全性の低下は許されず、加湿制御が煩雑となってしまう。

概要

本発明は、機能性物質を長期間にわたって放散することができる担持体、前記担持体を添着した添着シート部材、前記添着シート部材を用いたエアフィルタを提供することを目的とする、機能性物質からなる核体と、前記核体の表面を覆うコーティング層とからなる担持体であって、該コーティング層は、ガラス化した無機結合剤とその無機結合剤中に分散する無機骨材とからなり、かつ、該コーティング層表面には、前記核体となる機能性物質に通ずる開口部を有するマイクロクラックが形成されており、前記機能性物質が、前記マイクロクラックより外部に放散されるようにしたことを特徴とする担持体である。

目的

本発明の目的は、加湿装置やその他加湿手法を用いることなく、簡便に抗酸化物質などの機能性物質を長期間にわたって放散することができる担持体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

機能性物質からなる核体と、その核体の表面を覆うコーティング層とからなる担持体であって、該コーティング層は、ガラス化した無機結合剤とその無機結合剤中に分散する無機骨材とからなり、かつ、該コーティング層表面には、前記核体となる機能性物質に通ずる開口部を有するマイクロクラックが形成されており、前記機能性物質が、前記マイクロクラックより外部に放散されるようにしたことを特徴とする担持体。

請求項2

前記コーティング層に分散する無機骨材は、粒径0.1〜1.0μmのシリカ又はアルミナ粒子であり、前記無機結合剤は、コロイダルシリカコロダルタングステン珪酸リチウム珪酸カリウム珪酸ナトリウム一種類あるいはこれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項1に記載の担持体。

請求項3

シート部材基材上に、前記請求項1又は2に記載の担持体が添着された添着シート部材。

請求項4

請求項3の添着シート部材を用いた車両用空調装置エアフィルタ

請求項5

機能性物質からなる核体と、その核体の表面を覆うコーティング層とからなり、該コーティング層は、ガラス化した無機結合剤とその無機結合剤中に分散する無機骨材とからなり、かつ、該コーティング層表面には、前記核体となる機能性物質に通ずるマイクロクラックが形成され、前記機能性物質が前記マイクロクラックより外部に放散されるようにした担持体の製造方法であって、前記核体、前記無機結合剤及び無機骨材とを混合してスラリーを製造する工程と、前記スラリーをスプレードライヤー加工法によって、前記核体表面に、前記無機結合剤及び無機骨材を被覆して前駆担持体を製造する工程と、前記前駆担持体を不活性ガス又は水素雰囲気の炉中に載置して、前記前駆担持体を焼成して前記無機結合剤をガラス化するとともに、冷却して前記コーティング層にマイクロクラックを形成する工程と、を有することを特徴とする担持体の製造方法。

請求項6

請求項5で製造した担持体を添着用樹脂と混合して薬液を製造する工程と、前記薬液を基材の表面に付着させる工程と、前記薬液を付着させた基材を乾燥して基材上に前記担持体を添着させる工程とを有することを特徴とする添着シート部材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、機能性物質からなる核体と、その核体の表面を覆うコーティング層とからなる担持体、それを添着した添着シート部材、それを用いたエアフィルタ、担持体の製造方法及び添着シート部材の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来、野菜果物、肉などの生鮮食料品鮮度を低下させる酸化劣化を抑制する鮮度保持を目的として、冷蔵庫保管庫などに抗酸化機能性物質の組み込みや機器を利用した抑制方法などが提案されている。それらの材料や機器を利用した抑制方法をエアコン空気清浄機などに応用することで、生活環境中から発生するさまざまな酸化性物質を抑制する提案もなされている。また、抗酸化機能を有する機能性物質が空気中に放散されると、化学反応により室内から酸化性物質が削減され、加えて機能性物質に保湿機能があれば、その放散された成分は肌から吸収され、保湿効果を発揮し、肌荒れ等の改善が期待できる。 このような抗酸化機能を有する機能性物質としては、例えば、L−アスコルビン酸ビタミンC)及びその誘導体などがあり、肌荒れ防止健康管理を目的として、医薬品をはじめとして健康サプリメント化粧品衣類などに使用され、それら物質の摂取や衣類の着用などにより、直接吸収させて利用されている。 機能性物質を利用した技術としては、例えば、特許文献1(特開2004−51521号公報)には、含有する物質がコラーゲン誘導体ビタミン類から選ばれる1種又は2種以上であり、増粘剤を含有したシルクを混合したレーヨン不織布が記載されている。また、特許文献2(特開2006−45491号公報)には、有効成分を担持したシート部材をエアフィルタとして採用した場合に、エアフィルタに含有される有効成分が放散される旨、記載されている。

0003

しかしながら、医薬品や化粧品などの分野で、ビタミンCなどの抗酸化物質を単独で用いた場合には、その効果に持続性が乏しく、1回ずつの効果しか期待できない。また、直接服用する場合では、意識的に摂取しなければならず、忘れてしまうと持続的に摂取できないという問題がある。抗酸化物質と空気中の酸化性物質とを持続的に接触させるためには、エアフィルタは好適と考えられるが、抗酸化性物質を単独でエアフィルタに添着させた場合では、例えばビタミンCなどは酸化劣化しやすく、空気中に放散されることにより、短期間で酸化してしまう。そのため従来の技術では長期にわたる使用には適さない。 特許文献2では、長期にわたる性能維持には2種類以上の材料を混合するとの記載があるが、機能性物質の放散量を制御することができず、長寿命化のためには添加量が多くなってしまうという問題がある。 また、ビタミンCなどの抗酸化物質は、空気中の湿度により放散量が変化することが記載されている。加湿手段を設けることで低湿度時の放散性を維持することは出来るが、加湿装置の設置が必要である。 さらにキャビンエアフィルタでは、加湿しすぎによる窓の曇りによる安全性の低下は許されず、加湿制御が煩雑となってしまう。

先行技術

0004

特開2004−51521号公報
特開2006−45491号公報

発明が解決しようとする課題

0005

そこで、本発明の目的は、加湿装置やその他加湿手法を用いることなく、簡便に抗酸化物質などの機能性物質を長期間にわたって放散することができる担持体を提供することである。 また、その担持体を添着した添着シート部材、それを用いたエアフィルタを提供することも目的とする。 さらに、本発明の他の目的は、上記担持体の製造方法及び添着シート部材の製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

(1)本発明の担持体は、機能性物質からなる核体と、その核体の表面を覆うコーティング層とからなる担持体であって、該コーティング層は、ガラス化した無機結合剤とその無機結合剤中に分散する無機骨材とからなり、かつ、該コーティング層表面には、前記核体となる機能性物質に通ずる開口部を有するマイクロクラックが形成されており、前記機能性物質が、前記マイクロクラックより外部に放散されるようにしたことを特徴とする。(2)本発明の担持体は、上記(1)において、前記コーティング層に分散する無機骨材は、粒径0.1〜1.0μmのシリカ又はアルミナ粒子であり、前記無機結合剤は、コロイダルシリカコロダルタングステン珪酸リチウム珪酸カリウム珪酸ナトリウム一種類あるいはこれらの組み合わせからなることを特徴とする。(3)本発明の添着シート部材は、上記(1)又は(2)の担持体が添着されたことを特徴とする。(4)本発明の車両用空調装置のエアフィルタは、上記(3)の添着シート部材が用いられていることを特徴とする。(5)本発明の担持体の製造方法は、機能性物質からなる核体と、その核体の表面を覆うコーティング層とからなり、該コーティング層は、ガラス化した無機結合剤とその無機結合剤中に分散する無機骨材とからなり、かつ、該コーティング層表面には、前記核体となる機能性物質に通ずるマイクロクラックが形成され、前記機能性物質が前記マイクロクラックより外部に放散されるようにした担持体の製造方法であって、前記核体、前記無機結合剤及び無機骨材とを混合してスラリーを製造する工程と、前記スラリーをスプレードライヤー加工法によって、前記核体表面に、前記無機結合剤及び無機骨材を被覆して前駆担持体を製造する工程と、前記前駆担持体を不活性ガス又は水素雰囲気の炉中に載置して、前記前駆担持体を焼成して前記無機結合剤をガラス化するとともに、冷却して前記コーティング層にマイクロクラックを形成する工程と、を有することを特徴とする。(6)本発明の添着シート部材の製造方法は、上記(5)で製造した担持体を添着用樹脂と混合して薬液を製造する工程と、前記薬液を基材の表面に付着させる工程と、前記薬液を付着させた基材を乾燥して基材上に前記担持体を添着させる工程とを有することを特徴とする。

発明の効果

0007

本発明の担持体は、機能性物質からなる核体と、その核体の表面を覆うコーティング層とからなり、該コーティング層は、ガラス化した無機結合剤とその無機結合剤中に分散する無機骨材とからなり、かつ、該コーティング層表面には、前記核体となる機能性物質に通ずるマイクロクラックが形成されており、前記機能性物質が、前記マイクロクラックより外部に放散されるようにしたので、コーティング層に形成されたマイクロクラックの数や大きさ(開口率)を調整することにより、機能性物質の放散量や放散期間を制御することができ、長期間にわたって機能性物質放散の効果が持続される。 また、この担持体を添着した添着シート部材やエアフィルタは、長期間にわたって抗酸化性能などの機能性が持続され、エアフィルタの交換間隔延ばすことができる。

図面の簡単な説明

0008

本発明の添着シート部材を説明する模式図である。
本発明の(a)添着シート部材と(b)基材を説明する具体的写真である。
本発明に係る担持体を製造するための装置の一例であるスプレードライヤー加工装置を示す図である。
本発明に係る担持体の表面の状態を説明する写真である。
本発明に係る添着用薬液の基材への付着において、ディッピング法の装置を説明する図である。
本発明の添着シート部材を用いたエアフィルタの例を説明する写真である。
本発明の実施例における放散性能評価装置を説明する図である。
本発明の実施例におけるエアフィルタの抗酸化性能の評価結果を示す図である。
本発明に係るエアフィルタを取り付けた車両用空調装置を説明する図である。

0009

以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。同一部材同一部位には同一記号を付した。以下に、本発明に係る担持体の形態とその製造方法を説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。

0010

<担持体> 担持体は、機能性物質からなる核体と、その核体の表面を覆うコーティング層からなり、該コーティング層は、溶融後にガラス化した無機結合剤と、その無機結合剤中に分散する無機骨材とからなる。該コーティング層の表面には、核体となる機能性物質に通ずる開口部を有するマイクロクラックが形成されており、前記機能性物質がそのマイクロクラックより外部に放散されるようにしたものである。

0011

<担持体の核体となる機能性物質> 機能性物質としては、例えば、ビタミン類、カテキン類タンニン類天然保湿成分因子植物由来製油又はヒアルロン酸類などが挙げられ、単独又はこれらの組み合わせを用いることができる。シート部材の使用目的によって、用いる機能性物質を適宜決定する。 ビタミン類としては、ビタミンビタミン誘導体、ビタミンに近い働きをするビタミン様物質などが挙げられる。 また、ビタミンとしては、L−アスコルビン酸、レチノール、d-l-トコフェロールパントテン酸ニコチン酸アミドビオチンフィトナジオン葉酸が挙げられる。 また、ビタミン誘導体としては、アスコルビルエチルアスコルビルグルコシド、(アスコルビル/コレステリルリン酸ナトリウム、(アスコルビル/トコフェリルリン酸カリウム、アスコルビルメチルシラノールペクチン、アスコルビルリン酸(Mg/K)、アスコルビルリン酸(Mg/Na)、アスコルビルリン酸(Mg/亜鉛)、アスコルビルリン酸Ca、アスコルビルリン酸Naなどのアスコルビン酸の誘導体が好適に適用される。揮発性抗酸化物質として、さらに、上記その他、リン酸アスコルビルMg、リン酸アスコルビル3Na、リン酸アスコルビルアミノプロピル、アスコルビン酸Ca、アスコルビン酸Mg、アスコルビン酸テトラヘキシルデシル、アスコルビン酸ポリペプチド、アスコルビン酸硫酸2Na、ステアリン酸アスコルビル、テトラ2−ヘキシルデカン酸L−アスコルビル、キトサンアスコルビン酸、パンテニルエチル、パントテン酸アミドMEA、パントテン酸ポリペプチド、ジカルボエトキシパントテン酸エチル、リン酸トコフェロール2Na、ジカプリル酸ピリドキシンリン酸ピリドキサールニコチン酸ヘキシル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジルニコチン酸メチルなども用いることができる。

0012

カテキン類としては、茶由来カテキンが挙げられる。茶由来のカテキンの主たる成分は、エピガロカテキンエピガロカテキンガレートエピカテキンエピカテキンガレート等である。

0013

タンニン類としては、市販の精製されたタンニン酸や、五倍子没食子などタンニン酸含有天然植物抽出物、またはその半精製物をそのまま用いることも出来る。また、ピロガロール没食子酸没食子酸エステルも用いる事が出来る。タンニン類としては、精製されたタンニン酸が不純物を含まないので特に好ましい。核体となる機能性物質の平均粒子径は、目標とする放散時間にも関係するものであるが、製造上1〜20μmものが好ましい。

0014

<コーティング層>核体を覆うコーティング層は、無機結合剤と無機骨材を含んでいるとともに、その表面にマイクロクラックを有している。コーティング層は、水素や、窒素などの不活性ガス雰囲気中での焼成で、消失しない無機材料からなる。

0015

<マイクロクラック>コーティング層には、マイクロクラックが開口して形成されており、そのマイクロクラックは、核体となる機能性物質に通じている。

0016

<無機骨材>コーティング層には、マイクロクラック発生の起点となる無機骨材が分散されている。無機骨材としては、後述する無機結合剤の融点よりも高温の融点を有する、シリカ、アルミナなどのセラミックス粒子が挙げられる。無機結合剤を800℃に焼成しても無機骨材は溶融せずに、冷却時にマイクロクラックを形成する際の起点とするためである。この観点から、無機骨材の平均粒子径(直径)は、0.1〜1.0μmのものが好ましい。0.1μmより小さいとマイクロクラックの起点とならず機能性物質の放散量が少なく、1.0μmを超えるとマイクロクラックの隙間が大きくなり機能性物質の放散量が多くなりすぎる。

0017

<無機結合剤>コーティング層を構成する無機結合剤としては、例えば、珪酸系であるコロイダルシリカ、ケイ酸カルシウムエチルシリケートケイ酸ナトリウム(水ガラス)、ケイ酸カリウムケイ酸リチウム、アルミナ系であるアルミン酸カルシウム、β−アルミナ、ベーマイトアルミナゾル、リン酸系であるリン酸カルシウムリン酸アルミニウム及びリン酸マグネシウムからなる無機素材が挙げられる。 無機結合剤は無機骨材と混合され、機能性物質の表面にコーティング加工されるが、無機結合剤の材質を前述の無機骨材と近い材質にすることで、担持体の表面にコーティング層を均一に形成することができる。加えて、後述の焼成工程において、コーティング層にマイクロクラックを形成させる際に無機骨材表面と結合することができて、コーティング層からの無機骨材の剥離脱落を抑制することができる。中でも、コロイダルシリカ、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)は、水懸濁液にて市販されており、入手しやすいため、好適に用いられる。

0018

<担持体の粒径> 担持体の大きさ(平均粒子径)は、1μm〜20μmとすることが好ましい。担持体の平均粒子径が1μmより小さいと、担持体をシートの基材に付着する際に添着用樹脂に担持体が埋まってしまい、機能性物質の空気中への放散が大幅に低下してしまうからである。一方、平均粒子径が20μmを超えると、担持体を混合した添着用薬液を基材に加工する際に、保液タンク含浸パット内で担持体が沈降分離してしまい、薬液添着量が安定しなくなるからである。

0019

<添着シート部材> 本発明の実施形態に係る添着シート部材10を拡大した模式的な説明図を図1に示す。図1に示すように、添着シート部材10は、基材11上に、添着用樹脂12を介して担持体13が添着されている部材である。 本発明において、添着シート部材(図1(10))とは、基材(図1(11))上に担持体を添着加工した、薄くて面積の広いものをいう。ロール状に巻き取ったものでもよいし、所定の寸法に切断した平面状のものでもよく、その形態を限定するものではない。その製造方法については、後述する。

0020

図2(a)は、添着シート部材(図1(10))の具体的写真であり、図2(b)は、これを構成するベースとなる基材(図1(11))の具体的写真である。

0021

<基材> この基材11は、例えば、パルプ、綿等の天然繊維ポリプロピレンポリエチレンポリエステルナイロン、レーヨン、ポリビニルアルコール等の合成繊維;によってつくられたシート状物であり、それら繊維素材は、単独または混合して使用することができる。 また、シート状物の種別は問わないが、通気性保形性調達のしやすさなどから不織布が良く、スパンボンドメルトブローン短繊維不織布、湿式不織布など用途に応じ、選択することができる。

0022

<エアフィルタ> 次に、実施形態の添着シート部材を用いて、機能性物質を空気中に徐々に放散させることができるエアフィルタについて説明する。エアフィルタの作製にあたっては、添着シート部材を適宜裁断し、平板状またはプリーツ状に加工し、必要に応じて枠を追加工してエアフィルタ(ユニット)とする(後述の図6参照)。

0023

次に、本発明の担持体の製造方法について説明する。製造方法は、概略以下の工程からなる。

0024

スラリー液の作製> まず、機能性物質、無機結合剤、無機骨材を所定の質量比率で混合し、これに溶媒を加えて作製する。スラリー液の濃度は、特に規定するものではなく、スプレードライヤー加工装置での噴霧乾燥条件などの製造条件を考慮して適宜決定する。 また、スラリー液の溶媒は、水を主溶媒とするが、分散安定性を確保するためにアルコールなどの有機溶媒を含んでいてもよい。

0025

<前駆担持体の作製> 前駆担持体は、前記スラリー液を、図3に示すスプレードライヤー加工装置に導入し液滴化し、これを乾燥させることにより作製することができる(本明細書では焼成前のものを前駆担持体という)。 次に、作製したスラリー液をスプレードライヤー加工装置で噴霧、乾燥させる。スプレードライヤー加工工程においては、スラリー液を、微細液滴状態にする液滴化工程(霧化)と、微細な液滴を熱風に接触させて乾燥させる乾燥工程(乾燥)とを有し、核体となる機能性物質の表面に、無機結合剤及び無機骨材からなるコーティング層が形成された前駆担持体を得ることができる。

0026

<スプレードライヤー加工装置>図3は、前駆担持体を製造するための装置の一例である、スプレードライヤー加工装置の概略図である。図3に示すように、スプレードライヤー加工装置は、スラリー液タンク21、送風ブロア22、ノズル23、乾燥室24、ヒーター26、サイクロン27、バグフィルタ28、及び排風ブロア29を有する。 ノズル23は、乾燥室24の上部に配設されている。ノズル23は乾燥室24内に開口するスラリー液供給経路21aと空気供給路経路(図示せず)とを備えている。スラリー液供給経路21aにはスラリー液を供給するスラリー液タンク21が接続され、空気供給経路(図示せず)には空気を供給する送風機が接続されている。 スラリー液供給経路21aから供給されたスラリー液と、空気供給経路(図示せず)から供給された噴出空気が、ノズル23にて衝突することで、スラリー液を微細な液滴状に噴霧する。

0027

乾燥室24は、内部が空洞の円筒形乾燥機である。上部にはノズル23が配設されるほか、送風ブロア22から空気が導入される送風口22aが開口している。 加えて、送風ブロア22と送風口22aとの間には、乾燥室24内に導入される空気を所定温度にまで加熱できるヒーター26が設けられている。 つまり、スラリー液は液体供給経路21aを通じてノズル23に供給され、同時に空気供給路からノズル23に空気を供給することで霧化されて、乾燥室24内に噴霧されるのである。

0028

乾燥室24の排出口はサイクロン27に接続されている。サイクロン27の排出口はバグフィルタ28に接続されている。バグフィルタ28には排風ブロア29が接続される。 サイクロン27及びバグフィルタ28の下部には、生成物回収できる排出口を備えている。

0029

(液滴化工程)。 次に、送風ブロア22からの空気はヒーター26により加熱され、乾燥室24内に導入される。乾燥室24内では霧化したスラリー液滴加熱空気とが接触して、スラリー液滴は乾燥されると同時に、機能性物質の粒子の表面に無機材料からなるコーティング層が形成されて、前駆担持体が作製される(乾燥工程)。

0030

上記乾燥工程での空気温度は、入口温度で100℃以上300℃以下に設定する事が好ましい。

0031

作製された前駆担持体は、熱風とともに乾燥室24内を落下し、サイクロン27に送られ、大部分の前駆担持体は回収される。回収されなかった前駆担持体は、バグフィルタ28に送出されて全て回収される。このようにして作製された前駆担持体の表面の状態を図4(7)に示す。

0032

<焼成、冷却、マイクロクラック形成> 上記のようにして作製された前駆担持体を、水素、又は窒素などの不活性ガス雰囲気中で焼成して、コーティング層にマイクロクラックを形成させる。この時、コーティング層中に配合される、無機骨材と無機結合剤の質量比率によって、コーティング層に形成されるマイクロクラックの割合(開口率)が調整できる。この開口率の制御によって、機能性物質の放散量を調整することができる。なお、水素、又は不活性ガス雰囲気中で前駆担持体を焼成することで、開口部から機能性物質を酸化消失させることなく、機能性物質の放散機能を有した状態でマイクロクラックを形成することができる。すなわち、前駆担持体を酸化雰囲気で焼成すると、機能性物質(例えばL−アスコルビン酸などの抗酸化物質)は、酸化して燃失してしまい、放散機能は失われてしまうのである。 焼成の温度や時間は、特定するものではないが、コーティング層中の無機結合剤を溶融・ガラス化し、冷却時にコーティング層にマイクロクラックを形成できればよく、例えば700〜900℃での焼成が好適である。

0033

焼成後に冷却して、コーティング層にマイクロクラックを形成した担持体の表面の状態を、図4(1)〜(6)に示す。図4に示すように、コーティング層には多数のマイクロクラックが観察できる。コーティング層中の、無機骨材と無機結合剤の質量比率や冷却条件などを制御して焼成することにより、担持体表面のマイクロクラックの大きさや数を調整することができる。 なお、前駆担持体を焼成しないと、コーティング層にマイクロクラックが形成されないので(図4(7))、機能性物質の放散は困難である。

0034

<担持体を添着用樹脂と混合して添着用薬液を作製する工程> 前工程にて作製された担持体を、基材に添着させるため添着用樹脂と混合して、添着用薬液を作製する。

0035

<添着用樹脂>シート部材は、添着用樹脂を介して、基材に担持体を添着させて作製する。添着用樹脂の種類としては、水分散エマルジョン樹脂水溶性樹脂であり、エチレン酢酸ビニル系樹脂アクリル酸エステル系樹脂塩ビ系樹脂CMC、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、単独でまたは混合して使用することができる。なかでも、塩ビ系樹脂やアクリル系樹脂は低臭気であり安定性も良く、好適である。 また、添着用樹脂は、最低成膜温度が0℃から40℃の間の特性の樹脂を使用すると脱落も少なく、また仕上がった製品がべたつかず良好に加工できる。

0036

<担持体と添着用樹脂の質量比率> 担持体と添着用樹脂の質量比率は、担持体:添着用樹脂=15:1〜1:1の範囲の質量比調合することが好ましい。この範囲であれば、担持体の脱落も少なく、覆われた添着用樹脂によって機能性物質の放散を妨げることも少ない。さらに、担持体:添着用樹脂=10:1〜5:1の範囲の質量比とすれば、好適である。すなわち、添着用樹脂の質量比率が上記の範囲を下回れば、担持体は基材に添着しにくくなり脱落が多く使用に適さない。逆に、添着用樹脂の質量比率が上記の範囲を上回れば、添着用樹脂が担持体表面を覆ってしまい、機能性物質の放散が妨げられる。

0037

<添着用薬液のピックアップ量> 添着用薬液を付着加工する場合のピックアップ量は、基材目付量の100〜300質量%で調整すれば、添着用薬液の付着が安定するため適しており、150〜250質量%で調整すればさらに好適である。

0038

<添着用薬液の濃度> 添着用薬液の濃度は、添着量と添着用薬液のピックアップ量から必然的に求められるが、5〜40質量%で調合すると、添着用薬液の調合のしやすさ、添着用薬液の安定性から適しており、さらに10〜30質量%で調合すると好適である。

0039

<添着用薬液の付着、乾燥によるシート部材の作製> 上記担持体と添着用樹脂の混合された添着用薬液は、ディッピング法、スプレー法コーティング法等により基材に付着加工され、乾燥工程を経ることで、担持体を添着したシート部材となる。これら方法の中では、コーティング法は、表面に塗りこむため通気性の低下を生じやすく、また、スプレー法では飛散ロスが大きいため散布量の管理が難しいという問題がある。そのため、付着量の管理が簡単なディッピング法を使用するのが好ましい。

0040

図5は、ディッピング法の装置の一例である。ディッピング法においては、担持体と添着用樹脂とを混合した添着用薬液に、基材をディッピングして添着用薬液を付着させ、次に複数のニップロールで構成されるマングル絞り装置を通過させて、基材上の添着用薬液の付着量を一定に調整し、乾燥工程を経て巻取り、担持体を添着させた添着シート部材を作製する。

0041

<ディッピング後の乾燥> ディッピング後の乾燥は、機能性物質の熱劣化を抑えるため、150℃以下の熱風乾燥機で2分以内に乾燥させることが好ましい。 また、シリンダー乾燥機で乾燥させる場合は、ロール表面温度を130℃以下で2分以内の乾燥を行うのが良く、さらには120℃以下で1分以内に乾燥させることで、機能性物質の劣化がさらに抑えられて好適である。

0042

<担持体の添着量> 本発明において、実施形態に係る添着シート部材は、シート部材に添着される担持体の添着量を特定するものではないが、エアフィルタなどに用いる場合は、抗酸化性を有する担持体の添着量が3〜30g/m2であることが好ましく、5〜20g/m2であることがより好ましい。担持体の添着量が3g/m2より少ないと放散効果がなく、一方、30g/m2より多いと通気抵抗が上昇してしまい、エアフィルタには好適ではない。

0043

図6は、添着シート部材を使用したエアフィルタの例である。この例ではシート部材をプリーツ加工して使用している。

0044

空調装置の例>図9は、車両用空調装置に実施形態のエアフィルタを取り付けた概略図である。車両用空調装置30は、インテークドア36の切り替えにより、車室外空気又は車室内空気気流37が、ブロア32によって取り込まれ、本実施形態に係る車両用空調装置のエアフィルタ33を通過させることによって、エアフィルタ33中の機能性物質を含んだ気流35を、エバポレータ34を通過して車内に放散させることができる。

0045

<その他用途> 本発明の添着シート部材は、通気性があるためマスクにも応用できる。本発明の添着シート部材を応用したマスクは、シート部材をプリーツ型又は立体型整形加工し、衛生マスクとして使用できる。本発明の添着シート部材を応用したマスクは、市販の衛生マスクが持つ本来の機能に加えて、機能性物質の効果、抗酸化効果、保湿効果等を付与することができる。例えば、機能性物質にL−アスコルビン酸誘導体を使用すれば、当該物質は徐々に放散されるので、長期間にわたって吸引させたり接触させることができ、保湿にも有効と考えられる。

0046

以下に、本発明の実施例を示す。まず、スラリー作製において、混合する機能性物質(核体)と無機材料(コーティング層)の割合を変えて、コーティング層の厚みを変化させた担持体を作製した。表1に、試料1〜試料19を示す。試料1〜試料4は、機能性物質(L−アスコルビン酸)20質量%:無機材料(無機骨材+無機結合剤)80質量%で配合してコーティング層を比較的厚くした試料である。これに対し、試料16〜試料19は、機能性物質(L−アスコルビン酸)80質量%:無機材料(無機骨材+無機結合剤)20質量%で配合してコーティング層を比較的薄くした試料である。その他の試料5〜試料15は、表1に示す割合とした。

0047

これらの試料1〜試料19を、スプレードライヤーにかけて、水素炉中で800℃焼成し、表3に示す冷却条件で、平均粒径1〜20μmの担持体1〜19(担持体9〜12は平均粒径1μm)を製造した。<加工条件>スプレードライヤー温度:230℃(空気中)焼成温度:800℃(水素雰囲気)急冷条件:800℃〜500℃の領域を下記の温度 (150℃、200℃、250℃、300℃の4段階) 500℃以下の領域を100℃/分で徐冷した。使用原料は下記のとおりとした。核体:L−アスコルビン酸コーティング層無機結合剤:コロイダルシリカ(スノーテックス30:固形分30%)無機骨材:非晶質シリカ粒子(平均粒子径=0.1〜1.0μm) 無機結合剤:無機骨材=85:15の割合でスラリーに混合した。

0048

次に、コーティング層の組成を変化させた担持体を作製した。表2に、試料20〜試料28を示す。

試料20〜試料28では、スラリー中において、機能性物質(L−アスコルビン酸):無機材料=60質量%:無機材料40質量%に固定し、無機材料中の、無機結合剤:無機骨材の割合を変化させた。これらの試料20〜試料28を、スプレードライヤーにかけて、水素炉中で800℃焼成し、担持体20〜28を製造し、表3に示す冷却条件で、平均粒径1〜20μmの担持体20〜28を製造した。<加工条件>スプレードライヤー温度:230℃(空気中)焼成温度:800℃(水素雰囲気)急冷条件:800℃〜500℃の領域を250℃/分の降温速度で制御 500℃以下の領域を100℃/分で徐冷した。

0049

使用原料は下記のとおりとした。核体:L−アスコルビン酸コーティング層無機結合剤:コロイダルシリカ(スノーテックス30:固形分濃度30%の水懸濁液)無機骨材:非晶質シリカ粒子(平均粒子径=0.1、0.3、1.0μm)

0050

[実施例1〜28] 作製した担持体1〜28を、最低成膜温度が30℃のアクリル酸エステルエマルジョン樹脂と5:1の割合で混合し、水で希釈して30%の添着用薬液を得た。 この添着用薬液に、平均繊維径デニール坪量40g/m2のポリエステル製の不織布基材をディッピングした後、マングル加工し、130℃の熱風乾燥機にて、1分乾燥させ、抗酸化物質の添着量が5g/m2の添着シート部材を作製した。 この添着シート部材を用い、幅50mm×長さ50mm×山高さ20mmで山数20のエアフィルタを作製し、図7に示す放散性能評価装置にて、機能性物質(L−アスコルビン酸)を水に吸収させ、DPPHラジカル消去法により抗酸化性能を評価した。その評価結果を図8(a)、(b)に示す。なお、抗酸化性物質の添着量は、マングルのピックアップ量で調整した。

0051

[比較例1]機能性物質としてL−アスコルビン酸(表面処理して非水溶性とした平均粒子径1.0μm)を準備し、コーティング層として、無機骨材として平均粒子径0.5μmのシリカ粒子、無機結合剤としてコロイダルシリカ(商品名スノーテックス30:固形分濃度30%の水懸濁液)を準備した。機能性物質、無機骨材、無機結合剤(固形分濃度30%の水懸濁液)を、試料9と同じ割合になるように混合し、この混合液に水を加えてスラリー液を作製した。そのスラリー液をスプレードライヤー装置で霧化し、230℃の熱風空気で乾燥させて、前駆担持体を得た。 この前駆担持体は、未焼成のため、表面にマイクロクラックが形成されていない(図4(7)の前駆担持体)。 その後の作製条件、方法は、実施例と同様にしてエアフィルタを作製し、抗酸化性能を観察したが、L−アスコルビン酸はほとんど検出できなかった。

0052

[比較例2]機能性物質としてL−アスコルビン酸(抗酸化機能を有する)を40質量%に溶解させた水溶液に、添着用樹脂として最低成膜温度が30℃のアクリル酸エステルエマルジョン樹脂を5:1の割合で混合し、水で希釈して30%の添着用薬剤を得た。この添着用薬剤に、平均繊維径6デニール、坪量40g/m2のポリエステル製の不織布基材をディッピングした後、マングル加工し、130℃の熱風乾燥機にて1分乾燥させ、担持体の添着量が5g/m2のシート部材を作製した。 比較例2は、前記実施例と異なり、前駆担持体を形成する工程を経ずに、単に機能性物質を基材に添着させた例である。 その後の作製条件、方法は、実施例と同様にしてエアフィルタを作製し、抗酸化性能を評価した。当初は、2.5mg/L程度のL−アスコルビン酸濃度を示していたが、40日経過でほぼ検出できなくなった。

0053

評価法> 上記の評価方法を以下に説明する。図7は、実施例、比較例のエアフィルタについて、機能性物質の放散特性を測定するために用いた装置である。この装置は、エアフィルタを固定するダクトと、フィルタから放散される機能性物質を捕捉するためのバブリング容器、空気を吸引するためのポンプ流量調整器を備えている。

0054

測定は、図7に示す装置を、恒温恒湿BOX内に設置して連続運転を行い、7日毎に機能性物質の空気中への放散量を、DPPHラジカル消去法で評価する。

0055

本評価法では、真空ポンプ、流量調整器は、評価用フィルタを組み込んだダクト、バブリング装置に一定流量の空気を流すために用いる。また、機能性物質を捕捉するためのバブリング容器は、機能性物質の酸化を押さえるために光を遮断してあり、吸収液としては純水を使用した。なお、機能性物質は純水に100%吸収されるものとした。 なお、本評価法では、既知濃度の機能性物質(L−アスコルビン酸溶液)を作製、分光光度計にて検量線を作製した後、実施例、比較例のエアフィルタについて採取したバブリング液を同様に測定し検量線から濃度を算出した。

0056

本評価法で用いたエアフィルタからの放散量測定条件は、以下のとおりである。・吸引量:0.5m3/min・各測定時のバブリング液への吸収時間:60分・恒温恒湿BOX内温湿度:温度:25℃、湿度:55%

0057

<機能性物質の放散量の算出> 機能性物質の放散量は、DPPHラジカル消去法によって算出する。この方法に使用するDPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)は、物質構造内にラジカルを有しており、機能性物質との接触があれば、DPPHに存在するラジカルが消失する。その際、DPPH溶液の液色がその度合いに応じ、紫色から黄色に変化する。その変化を分光光度計にて測定し、標準液と比較することで、抗酸化性能の多少を示す値となる。

0058

<DPPH溶液の作成> DPPH(和光純薬製:1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)を、エタノールに0.125mmol濃度となるよう溶解させ、30℃の恒温振とう水槽に入れて作製し、DPPH溶液とした。

0059

<検量線の作成>標準機能性物質として、L−アスコルビン酸を用い、純水に溶解させ0.50、1.00、1.50、2.00mg/L濃度の4点の標準水溶液を作製した。 作製した4点の標準水溶液1mLを30℃に保温したDPPH溶液5mLに加え、4点の検量線作成用試料とした。加えて標準水溶液の代わりに純水を使用し、検量線作成用試料も作製した。 作製した5点の検量線作成用試料を分光光度計にて測定し、検量線を作成した。

0060

<実施例、比較例の抗酸化性能の測定> 実施例、比較例にて採取されたバブリング液から1mLを採取し、前述のDPPH溶液5mLに加えて、分光光度計にて測定し、検量線から機能性物質の濃度を測定した。

0061

<実施例の検証> 実施例にて、作製された担持体の表面の状態を示す写真を図4(1)〜(6)に示す。比較例1に示す前駆担持体は、図4(7)に見られるように、スプレードライヤー加工直後(未焼成)においては、その表面がコーティング層で覆われた状態であり、マイクロクラックは形成されていない。その後、担持体を水素雰囲気中で焼成、急冷することにより、コーティング層にマイクロクラックが形成される(図4(1)〜(6))。さらに、図4(1)〜(6)に示すように、コーティング層中における無機骨材と無機結合剤の配合割合を変えることにより、担持体のコーティング層に種々の開口率(大きさや数など)のマイクロクラックを形成することができ、使用目的に合った担持体を製造することができる。

0062

次に、実施例及び比較例にて作製したエアフィルタの機能性物質の放散試験の結果をまとめて図8(a)、(b)に示す。図8(a)、(b)の縦軸は、バブリング水リットル当たりの機能性物質(抗酸化成分)の濃度を示し、数値の高い方がエアフィルタからの機能性物質の放散量が多いことを示す。また、横軸は経過時間(日数)を示す。

0063

図8(a)、(b)に示すように、コーティング層中の無機骨材と無機結合材との割合を変えたり、担持体の製造条件を変更したりすることにより、担持体のマイクロクラックの大きさや数を制御し、機能性物質の放散量や、放散持続時間を制御できることがわかる。

0064

なお、比較例1では、初期から機能性物質の放散量が少なく、抗酸化の効果がなかった。これは、担持体の表面にマクロクラックが形成されていないため、機能性物質の放散が十分でないことが原因と考えられる。

0065

また、比較例2では、機能性物質を覆うコーティング層が存在せず、空気と直接接触しているため、初期は機能性物質の放散量が多いが、1ヶ月を超えたところで機能性物質を使い切り、放散しなくなったものと推測される。

実施例

0066

車両用エアフィルタ] 実施例の担持体11を用いた添着シート部材を用いて、200mm×200mm×28mmサイズ(山数30)にプリーツ加工して、車両用エアフィルタを製作した。 この車両用エアフィルタを、図9で例示される車両用空調装置に取り付けた。 その結果、車両用エアフィルタを通して車内に放散される空気は、促進試験の結果、1年間以上の長期にわたり、機能性物質が放散されることがわかった。

0067

本発明の担持体、それを添着した添着シート部材は、車両用エアコン用フィルタ、自動車キャビン清浄化フィルタ、冷蔵庫などの家電製品や、マスクなどに用いることで、長期にわたり機能性物質を放散することができ、産業上の利用可能性が高い。

0068

10:シート部材11:基材12:添着用樹脂13:担持体21:スラリー液タンク21a:スラリー液供給経路22:送風ブロア22a:送風口 23:ノズル24:乾燥室26:ヒーター27:サイクロン28:バグフィルタ29:排風ブロア30:車両用空調装置32:ブロア 33:エアフィルタ34:エバポレータ35:浄化気流36:インテークドア37:気流

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