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技術 発光装置

出願人 シチズン電子株式会社シチズン時計株式会社
発明者 加藤達也舟久保拓也吉澤恒太小山田和
出願日 2017年6月16日 (3年5ヶ月経過) 出願番号 2018-524055
公開日 2019年4月11日 (1年7ヶ月経過) 公開番号 WO2017-217549
状態 特許登録済
技術分野 LED素子のパッケージ
主要キーワード 角度指向性 フィラー含有層 封止直後 沈降状態 沈降層 基体上面 ダム材 沈降時間
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題・解決手段

歩留まりを低下させることなく製造でき、LED素子からの光を波長変換する蛍光体が発した熱が実装基板を通じて放出され易く、かつ出射光色度角度指向性が生じにくい発光装置を提供する。発光装置は、実装基板と、実装基板上に実装されたLED素子と、LED素子により励起される蛍光体、および平均粒径が1nm〜100nmの範囲内であるナノフィラーを含有し、LED素子を封止する透光性封止樹脂とを有し、封止樹脂は、LED素子の上面および側面ならびにLED素子の斜め上方を覆うように蛍光体が沈降して形成され、LED素子の形状に沿うように盛り上がった蛍光体の沈降層を有する。

概要

背景

基板上にLED(発光ダイオード素子実装され、蛍光体を含有する透光性樹脂によりそのLED素子封止された発光装置LEDパッケージ)が知られている。こうした発光装置では、LED素子からの光と、LED素子からの光により蛍光体を励起させて得られる光とを混合させることにより、用途に応じて白色光などが得られる。

特許文献1には、発光素子と、その発光素子を配置する凹部を有するパッケージと、蛍光体とフィラーが含有された樹脂とを備える発光装置が記載されている。この発光装置では、比重大小関係が(蛍光体)>(フィラー)>(樹脂)であり、凹部の底面側および発光素子の上面を覆う蛍光体堆積層の上にフィラー堆積層が配置され、凹部の底面側に配置された蛍光体堆積層は発光素子の発光層の高さよりも低く、凹部の底面側に配置された蛍光体堆積層の上に配置されたフィラー堆積層が発光層の側面を被覆している。

特許文献2には、基体と、基体の上面にマウント部を介して実装された発光素子と、発光素子を封止する封止樹脂とを含む発光装置であって、封止樹脂は、マウント部上で発光素子を覆う蛍光体含有第1層と、マウント部の周り基体上面に形成された蛍光体含有第2層と、マウント部の周りの蛍光体含有第2層上に形成されたフィラー含有層とを有する発光装置が記載されている。

また、特許文献3には、蛍光体粒子を分散して含有するガラスからなる光変換部材であって、蛍光体粒子の表面に50%粒径が50nm以下のナノフィラー吸着されており、ガラス中にさらに50%粒径D50が5〜30μmである耐熱フィラーを分散して含有する光変換部材が記載されている。

概要

歩留まりを低下させることなく製造でき、LED素子からの光を波長変換する蛍光体が発した熱が実装基板を通じて放出され易く、かつ出射光色度角度指向性が生じにくい発光装置を提供する。発光装置は、実装基板と、実装基板上に実装されたLED素子と、LED素子により励起される蛍光体、および平均粒径が1nm〜100nmの範囲内であるナノフィラーを含有し、LED素子を封止する透光性の封止樹脂とを有し、封止樹脂は、LED素子の上面および側面ならびにLED素子の斜め上方を覆うように蛍光体が沈降して形成され、LED素子の形状に沿うように盛り上がった蛍光体の沈降層を有する。

目的

本発明は、歩留まりを低下させることなく製造でき、LED素子からの光を波長変換する蛍光体が発した熱が実装基板を通じて放出され易く、かつ出射光の色度の角度指向性が生じにくい発光装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

実装基板と、前記実装基板上に実装されたLED素子と、前記LED素子により励起される蛍光体、および平均粒径が1nm〜100nmの範囲内であるナノフィラーを含有し、前記LED素子を封止する透光性封止樹脂と、を有し、前記封止樹脂は、前記LED素子の上面および側面ならびに前記LED素子の斜め上方を覆うように前記蛍光体が沈降して形成され、前記LED素子の形状に沿うように盛り上がった前記蛍光体の沈降層を有する、ことを特徴とする発光装置

請求項2

前記封止樹脂は、平均粒径が1μm〜100μmの範囲内であるフィラーをさらに含有する、請求項1に記載の発光装置。

請求項3

前記封止樹脂は、前記沈降層の上側に配置され、下方に向かうほど前記蛍光体をより高い濃度で含有する分散層と、前記分散層の上側に配置され、前記蛍光体を前記分散層よりも低い濃度で含有する樹脂層と、をさらに有する、請求項1または2に記載の発光装置。

請求項4

前記実装基板は、周辺部よりも高さが一段高いマウント部を有し、前記LED素子は、前記マウント部の上面に実装されている、請求項3に記載の発光装置。

技術分野

0001

本発明は、発光装置に関する。

背景技術

0002

基板上にLED(発光ダイオード素子実装され、蛍光体を含有する透光性樹脂によりそのLED素子封止された発光装置(LEDパッケージ)が知られている。こうした発光装置では、LED素子からの光と、LED素子からの光により蛍光体を励起させて得られる光とを混合させることにより、用途に応じて白色光などが得られる。

0003

特許文献1には、発光素子と、その発光素子を配置する凹部を有するパッケージと、蛍光体とフィラーが含有された樹脂とを備える発光装置が記載されている。この発光装置では、比重大小関係が(蛍光体)>(フィラー)>(樹脂)であり、凹部の底面側および発光素子の上面を覆う蛍光体堆積層の上にフィラー堆積層が配置され、凹部の底面側に配置された蛍光体堆積層は発光素子の発光層の高さよりも低く、凹部の底面側に配置された蛍光体堆積層の上に配置されたフィラー堆積層が発光層の側面を被覆している。

0004

特許文献2には、基体と、基体の上面にマウント部を介して実装された発光素子と、発光素子を封止する封止樹脂とを含む発光装置であって、封止樹脂は、マウント部上で発光素子を覆う蛍光体含有第1層と、マウント部の周り基体上面に形成された蛍光体含有第2層と、マウント部の周りの蛍光体含有第2層上に形成されたフィラー含有層とを有する発光装置が記載されている。

0005

また、特許文献3には、蛍光体粒子を分散して含有するガラスからなる光変換部材であって、蛍光体粒子の表面に50%粒径が50nm以下のナノフィラー吸着されており、ガラス中にさらに50%粒径D50が5〜30μmである耐熱フィラーを分散して含有する光変換部材が記載されている。

先行技術

0006

特開2016−026404号公報
国際公開第2012/029695号
特開2015−046579号公報

0007

封止樹脂内の蛍光体はLED素子からの光によって励起されることで発熱するため、封止樹脂内に蛍光体を分散させると、発光時に封止樹脂の温度が上昇し、封止樹脂の寿命およびLED素子の発光効率の低下につながる。このため、製造時に封止樹脂内で蛍光体を自然沈降させてから封止樹脂を硬化させることで、蛍光体をLED素子の実装基板に近い側に配置して、蛍光体からの熱を実装基板側に放出し易くすることが望ましい。しかしながら、封止樹脂内で蛍光体を完全に沈降させると、実装基板の上面およびLED素子の上面には蛍光体が堆積するが、LED素子の側面および角部(斜め上方)には蛍光体層が形成されにくい。この場合、LED素子の斜め上方への出射光に対する蛍光体による波長変換が不十分になるため、その方向ではLED素子の発光波長に対応する色が強くなり、発光装置の発光面に色ムラが生じる(すなわち、出射光の色度角度指向性が生じる)。

0008

封止樹脂の過熱と発光面の色ムラの両方を防止するためには、封止樹脂内で蛍光体が分散した状態と沈降した状態との中間である「半沈降状態」を実現できるとよい。蛍光体の沈降状態は、発光装置の製造時に、封止樹脂を未硬化の状態に保ったまま例えば数時間放置することで得られるため、原理的には、沈降途中に封止樹脂を硬化させれば半沈降状態になると考えられる。しかしながら、沈降時間を短くして半沈降状態を実現しようとすると、製品ごとのバラつきが大きくなり、安定した生産ができないため、こうした方法をとることは、現実的には難しい。

0009

そこで、本発明は、歩留まりを低下させることなく製造でき、LED素子からの光を波長変換する蛍光体が発した熱が実装基板を通じて放出され易く、かつ出射光の色度の角度指向性が生じにくい発光装置を提供することを目的とする。

0010

実装基板と、実装基板上に実装されたLED素子と、LED素子により励起される蛍光体、および平均粒径が1nm〜100nmの範囲内であるナノフィラーを含有し、LED素子を封止する透光性の封止樹脂とを有し、封止樹脂は、LED素子の上面および側面ならびにLED素子の斜め上方を覆うように蛍光体が沈降して形成され、LED素子の形状に沿うように盛り上がった蛍光体の沈降層を有することを特徴とする発光装置が提供される。

0011

上記の発光装置では、封止樹脂は、平均粒径が1μm〜100μmの範囲内であるフィラーをさらに含有することが好ましい。

0012

上記の発光装置では、封止樹脂は、沈降層の上側に配置され、下方に向かうほど蛍光体をより高い濃度で含有する分散層と、分散層の上側に配置され、蛍光体を分散層よりも低い濃度で含有する樹脂層とをさらに有することが好ましい。

0013

上記の発光装置では、実装基板は、周辺部よりも高さが一段高いマウント部を有し、LED素子は、マウント部の上面に実装されていることが好ましい。

0014

上記の発光装置は、歩留まりを低下させることなく製造でき、LED素子からの光を波長変換する蛍光体が発した熱が実装基板を通じて放出され易く、かつ出射光の色度の角度指向性が生じにくい。

図面の簡単な説明

0015

(A)および(B)は、発光装置1の断面図および上面図である。
(A)および(B)は、比較例の発光装置1’と発光装置1の断面写真である。
(A)〜(D)は、発光装置1,1’の蛍光体層を説明するための模式図である。
(A)および(B)は、発光装置2の断面図および上面図である。
(A)〜(D)は、発光装置2,2’の蛍光体層を説明するための模式図である。
(A)〜(D)は、発光装置3,3’の蛍光体層を説明するための模式図である。
(A)〜(C)は、発光装置1の封止樹脂30内の一部を示す拡大写真である。

実施例

0016

以下、図面を参照しつつ、発光装置について説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。

0017

図1(A)および図1(B)は、それぞれ発光装置1の断面図および上面図である。発光装置1は、発光素子としてLED素子を含み、蛍光体による波長変換を利用して白色光などを出射する発光装置(LEDパッケージ)であり、例えば各種の照明用LED光源として利用される。発光装置1は、主要な構成要素として、実装基板10、LED素子20および封止樹脂30を有する。なお、LED素子20の個数は1個に限らず、発光装置は、実装基板10上に複数のLED素子20が実装されたものであってもよい。

0018

実装基板10は、LED素子20を外部電源に接続するための図示しない2つの接続電極を有し、上面にLED素子20が実装される基板である。例えば、実装基板10は、セラミック基板であってもよいし、耐熱性および放熱性に優れたアルミニウムまたは銅などの金属基板と、LED素子20の配線パターンおよび接続電極が形成された絶縁性回路基板とを貼り合わせたものであってもよい。あるいは、実装基板10は、LED素子20が実装され封止樹脂30が充填される凹部を有し、LED素子20を外部電源に接続するための2つのリード電極が設けられたLEDパッケージの基体であってもよい。

0019

LED素子20は、例えば、紫外域から青色領域にわたる波長の光を出射する窒化ガリウム系化合物半導体などで構成された素子である。以下では、LED素子20は、発光波長帯域が450〜460nm程度の青色光を発光する青色LED素子であるとして説明するが、LED素子20は、他の波長の光を出射する素子であってもよい。LED素子20は実装基板10の上面にダイボンディングによって実装され、LED素子20の正負電極は、2本のボンディングワイヤ21(以下、単にワイヤ21という)により、実装基板10上の接続電極に電気的に接続されている。発光装置が複数のLED素子20を有する場合には、LED素子20同士もワイヤ21によって電気的に接続される。なお、LED素子20の実装方法は、ワイヤボンディングに限らず、フリップチップであってもよい。

0020

封止樹脂30は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの透光性の樹脂であり、LED素子20およびワイヤ21を一体的に封止する。また、封止樹脂30は、LED素子20により励起される蛍光体、フィラーおよびナノフィラーを含有する。発光装置1は、封止樹脂30の流れ出しを防止するダム材である樹脂製の枠体を有してもよく、その場合、その枠体で囲まれた内側領域に封止樹脂30を充填してLED素子20およびワイヤ21を封止してもよい。

0021

封止樹脂30が含有する蛍光体は、1種類でも複数種類でもよい。LED素子20が青色LEDである場合には、封止樹脂30は、例えば、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)などの黄色蛍光体、およびCaAlSiN3:Eu2+などの赤色蛍光体を含有する。この場合、発光装置1は、LED素子20からの青色光と、それによって黄色蛍光体および赤色蛍光体を励起させて得られる黄色光および赤色光とを混合させることで得られる白色光を出射する。封止樹脂30が含有する蛍光体粒子の平均粒径は、例えば、数十μm程度である。

0022

封止樹脂30が含有するフィラーは、平均粒径が1μm〜100μmの範囲内であるミクロンサイズの粒子状無機材料である。フィラーとしては、例えば、二酸化ケイ素シリカ)、アルミナチタニアジルコニアまたはマグネシアなどを使用してもよい。フィラーは、封止樹脂30内で光を拡散させて、LED素子20および封止樹脂30で構成される発光装置1の発光領域全体を一様に発光させる散乱材として機能する。

0023

封止樹脂30が含有するナノフィラーは、平均粒径が1nm〜100nmの範囲内であるナノサイズの粒子状の無機材料である。フィラーとナノフィラーは、粒径が3桁程度異なるが、同じ物質であってもよい。ナノフィラーとしては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、アルミナ、チタニア、ジルコニアまたはマグネシアなどを使用してもよい。なお、ナノフィラーは、耐熱性を有し、蛍光体粒子に吸着し易いものであることが好ましい。後述するように、ナノフィラーは、蛍光体粒子の沈降を抑制して、蛍光体粒子の半沈降状態を実現する。

0024

発光装置1の製造時には、まず、LED素子20が実装基板10の上面にダイボンディングにより固定され、LED素子20の正負の電極が実装基板10上の接続電極にワイヤボンディングにより接続される。続いて、LED素子20の周囲に、上記の蛍光体、フィラーおよびナノフィラーを含有する透光性の封止樹脂30が充填されて、LED素子20およびワイヤ21が封止される。そして、封止樹脂30を未硬化の状態に保ったまま、例えば数時間かけて封止樹脂30内の蛍光体とフィラーを実装基板10およびLED素子20の上面に自然沈降させ、数時間経過後に、例えば加熱により封止樹脂30を硬化させる。これにより、図1(A)および図1(B)に示す発光装置1が完成する。

0025

図2(A)は比較例の発光装置1’の断面写真であり、図2(B)は発光装置1の断面写真である。発光装置1’は、封止樹脂以外の点では上記の発光装置1と同じ構成を有する。発光装置1’の封止樹脂30’は、黄色蛍光体および赤色蛍光体ならびに二酸化ケイ素のフィラーを含有し、ナノフィラーを含有しないシリコーン樹脂である。一方、発光装置1の封止樹脂30は、黄色蛍光体および赤色蛍光体ならびに二酸化ケイ素のフィラーおよびナノフィラーを含有するシリコーン樹脂である。黄色蛍光体、赤色蛍光体およびフィラーの平均粒径は数μm〜数十μm程度であり、ナノフィラーの平均粒径は数nm〜数十nm程度である。また、封止樹脂30におけるナノフィラーの濃度は、0.5wt%程度である。

0026

図3(A)〜図3(D)は、発光装置1,1’の蛍光体層を説明するための模式図である。詳細には、図3(A)は、発光装置1’の製造時に、LED素子20が封止樹脂30’で封止された直後の断面を示し、図3(B)は、封止樹脂30’内の蛍光体が沈降し、完成品となった発光装置1’の断面を示す。同様に、図3(C)は、発光装置1の製造時に、LED素子20が封止樹脂30で封止された直後の断面を示し、図3(D)は、封止樹脂30内の蛍光体が沈降し、完成品となった発光装置1の断面を示す。発光装置1,1’は、封止直後は同じ状態であるが、蛍光体の沈降状態が互いに異なる。

0027

図2(A)および図3(B)に示すように、発光装置1’では、封止樹脂30’内の黄色蛍光体、赤色蛍光体およびフィラーの粒子は、実装基板10の上面およびLED素子20の上面に沈降している。より詳細には、発光装置1’では、実装基板10の上面およびLED素子20の上面に、黄色蛍光体および赤色蛍光体の沈降層31’が形成され、その上は、蛍光体粒子を実質的に含有しない樹脂層33’になっている。沈降層31’は、主に黄色蛍光体を含む層と、主に赤色蛍光体を含む層とに分かれている。発光装置1’では、図3(B)に破線34で示したLED素子20の上面の角部(斜め上方)には、蛍光体の沈降層が形成されていない。

0028

一方、図2(B)および図3(D)に示すように、発光装置1では、封止樹脂30内の黄色蛍光体および赤色蛍光体は、一様に分散した状態と完全に沈降した状態との中間である半沈降状態になっている。より詳細には、発光装置1の封止樹脂30は、黄色蛍光体、赤色蛍光体およびフィラーの沈降層31と、沈降層31の上側に配置され、下方に向かうほどこれらの蛍光体をより高い濃度で含有する分散層32と、分散層32の上側に配置され、蛍光体粒子を実質的に含有しない樹脂層33とを有する。樹脂層33内にも蛍光体粒子は多少存在し得るが、樹脂層33の蛍光体の濃度は、分散層32(の上端)の蛍光体の濃度よりも低い。

0029

なお、沈降層31と分散層32の境界、および分散層32と樹脂層33の境界は、実際には明確に規定されないこともあるが、図3(D)では便宜的に破線で示している。また、図示した例とは異なり、封止樹脂30の上端まで蛍光体粒子が存在し、封止樹脂30は沈降層31と分散層32だけで構成されていてもよいが、封止樹脂30の上端における蛍光体の濃度は0に近いことが好ましい。

0030

発光装置1では、LED素子20の上面および側面ならびにLED素子20の斜め上方を覆うように蛍光体が沈降し、図3(D)に破線34で示したLED素子20の上面の角部にも蛍光体の沈降層31が形成されている。沈降層31は、図1(B)に示すように、LED素子20の前後左右のどの方向にも図3(D)に示したものと同様に広がり、LED素子20の4方の側面、上面、および斜め上方(上面の4方の周囲)を等方的に覆っている。発光装置1の沈降層31は、発光装置1’の沈降層31’とは異なり、LED素子20の形状に沿うように盛り上がった一続きの層になっている。

0031

封止樹脂30としてシリコーン樹脂を、フィラーおよびナノフィラーとして二酸化ケイ素を使用する場合には、封止樹脂30内のナノフィラーの濃度が0.4〜0.5wt%程度であれば、封止樹脂30を未硬化に保ったまま十分長い時間が経過すると、図2(B)および図3(D)に示した半沈降状態が得られる。この半沈降状態では、一部の蛍光体粒子が封止樹脂中に分散したままであり、時間が経過しても完全な沈降状態にはならない。

0032

一方、封止樹脂30内がナノフィラーを含有しても、その濃度が0.2wt%以下であると、図2(A)および図3(B)に示した発光装置1’と同じ沈降状態になる。また、封止樹脂30内のナノフィラーの濃度が0.5wt%を超えると、十分長い時間が経過しても蛍光体は十分に沈降せず、図3(C)に示したものに近い分散状態が維持される。封止樹脂30内のナノフィラーの濃度が高いほど、蛍光体は沈降しにくくなる。

0033

蛍光体が封止樹脂30内に分散したままであると、上記の通り、発光時に封止樹脂30の温度が上がり過ぎるおそれがある。封止樹脂30としてシリコーン樹脂を、フィラーおよびナノフィラーとして二酸化ケイ素を使用する場合には、封止樹脂30の耐熱温度との関係から、使用可能なナノフィラーの量の上限は、0.5wt%程度になる。この上限値は、封止樹脂およびナノフィラーの材質によって決まる値である。

0034

なお、蛍光体を沈降しにくくする目的で封止樹脂30として高粘度の樹脂を使用しても、粘度に応じて沈降時間が長くなるだけであり、最終的には、図2(A)および図3(B)に示した沈降状態になる。図2(B)および図3(D)に示した半沈降状態を得るためには、粒径がナノサイズであるナノフィラーを封止樹脂30に含有させる必要がある。

0035

発光装置1のように、蛍光体、フィラーおよびナノフィラーを含有する封止樹脂30を用いると、蛍光体はある程度沈降するが、完全沈降にはならず、LED素子20の角部にも蛍光体層を形成することができる。封止樹脂30に蛍光体とミクロンサイズのフィラーを含有させるだけでは蛍光体は完全沈降してしまうが、さらにナノフィラーを一定量追加することで、蛍光体を「ふんわりと」沈殿させることが可能になる。ナノフィラーを一定量含有すれば、蛍光体の種類や濃度を変えても、また、フィラーの種類や濃度を変えても、図2(B)および図3(D)に示した半沈降状態は維持される。なお、上記の通り、フィラーは主に散乱材として機能するものであるため、蛍光体粒子の半沈降状態を実現するためには、封止樹脂30は必ずしもフィラーを含有しなくてもよい。

0036

図7(A)〜図7(C)は、発光装置1の封止樹脂30内の一部を示す拡大写真である。図7(A)〜図7(C)の写真は、それぞれ、2千倍、3千倍、2万倍の倍率撮影されたものであり、各写真の下端に示す白色の線の長さが、それぞれ、10μm、1μm、1μmに相当する。図7(B)は図7(A)の一部を、図7(C)は図7(B)の一部を、それぞれ拡大したものに相当する。

0037

図7(A)における符号51〜53は、それぞれ、赤色蛍光体、黄色蛍光体およびフィラーの粒子であり、図7(A)では、封止樹脂30内に混入しているミクロンサイズの粒子が見られる。一方、ナノフィラーについては、蛍光体やフィラーよりも粒径が3桁程度小さいため、図7(A)では粒子そのものは見えないが、多数の粒子が集まって凝集体を形成しており、図7(A)に符号54で示す縞模様がその凝集体に相当する。ナノフィラーの濃度がある程度高ければ、その凝集体によって、図7(B)および図7(C)に拡大して示すように、封止樹脂30内で網目のように入り組んだ層構造網目構造)が形成される。このため、比重が軽い蛍光体粒子は、その網目構造によって封止樹脂30内に保持されるので、時間が経過しても下方に沈降しにくくなると考えられる。

0038

発光装置1では、蛍光体が完全沈降せず、LED素子20の角部も含めて一定の厚みの蛍光体層が形成されるので、LED素子20の斜め上方への出射光も、他の方向への出射光と同様に封止樹脂30内の蛍光体によって波長変換される。したがって、発光装置1では、出射光の色度に角度指向性が生じにくくなるので、発光面の色ムラが生じにくい。また、発光装置1では、半沈降状態が実現され、蛍光体粒子が実装基板10に近い側に配置されているため、蛍光体からの熱は実装基板10側に放出され易く、封止樹脂30の過熱も生じにくい。また、封止樹脂30内のナノフィラーの濃度を同じにすれば最終的には同じ半沈降状態が得られるため、発光装置1では、ナノフィラーを用いずに沈降途中で封止樹脂を硬化させる場合と比べて、製品ごとの色度のバラつきは小さくなり、歩留まりも向上する。

0039

図4(A)および図4(B)は、それぞれ、発光装置2の断面図および上面図である。発光装置2は、実装基板以外の点では上記の発光装置1と同じ構成を有する。発光装置2の実装基板10’は、周辺部12よりも高さが一段高いマウント部11を有し、LED素子20はマウント部11の上面に実装されている。言い換えると、発光装置2では、実装基板10’上でLED素子20が実装されるマウント部11の周辺部12は、マウント部11よりも一段低い凹部になっている。周辺部12に対するマウント部11の高さは、LED素子20の高さと同程度であることが好ましい。なお、マウント部11は、実装基板10’と一体で構成されていてもよいし、実装基板10’とは別体のものが実装基板10’に取り付けられていてもよい。また、発光装置2でも、LED素子20の個数は1個に限らず、複数であってもよい。

0040

図5(A)〜図5(D)は、発光装置2,2’の蛍光体層を説明するための模式図である。発光装置2’は、封止樹脂以外の点では上記の発光装置2と同じ構成を有する。発光装置2’の封止樹脂40’は、発光装置1’の封止樹脂30’と同様に、黄色蛍光体、赤色蛍光体およびフィラーを含有するが、ナノフィラーを含有しない。一方、発光装置2の封止樹脂40は、黄色蛍光体、赤色蛍光体、フィラーおよびナノフィラーを含有する。図5(A)は、発光装置2’の製造時に、LED素子20が封止樹脂40’で封止された直後の断面を示し、図5(B)は、封止樹脂40’内の蛍光体が沈降し、完成品となった発光装置2’の断面を示す。同様に、図5(C)は、発光装置2の製造時に、LED素子20が封止樹脂40で封止された直後の断面を示し、図5(D)は、封止樹脂40内の蛍光体が沈降し、完成品となった発光装置2の断面を示す。

0041

図5(B)に示すように、発光装置2’では、実装基板10’のマウント部11および周辺部12の上面、ならびにLED素子20の上面に、黄色蛍光体および赤色蛍光体の沈降層41’が形成されている。沈降層41’は、主に黄色蛍光体を含む層と、主に赤色蛍光体を含む層とに分かれている。沈降層41’の上は、蛍光体粒子を実質的に含有しない樹脂層43’になっている。発光装置2’では、図5(B)に破線44で示したLED素子20の上面の角部(斜め上方)には、蛍光体の沈降層が形成されていない。

0042

一方、図5(D)に示すように、発光装置2の封止樹脂40は、発光装置1の沈降層31、分散層32および樹脂層33と同様の沈降層41、分散層42および樹脂層43を有する。発光装置2でも、LED素子20の上面および側面ならびにLED素子20の斜め上方を覆うように蛍光体が沈降し、図5(D)に破線44で示したLED素子20の上面の角部にも、蛍光体の沈降層41が形成されている。沈降層41も、LED素子20の4方の側面、上面、および斜め上方(上面の4方の周囲)を等方的に覆っている。

0043

発光装置2でも、封止樹脂40がナノフィラーを含有することで、蛍光体が完全沈降せず、LED素子20の角部も含めて一定の厚みの蛍光体層が形成されるため、出射光の色度に角度指向性が生じにくくなり、発光面の色ムラが生じにくい。また、発光装置2でも、発光装置1と同様に、蛍光体からの熱は実装基板10’側に放出され易く、ナノフィラーを用いずに沈降途中で封止樹脂を硬化させて半沈降状態を実現する場合と比べて、製品の歩留まりも向上する。

0044

発光装置1では、図3(D)に示したように、LED素子20の側方が沈降層31に埋まっているので、LED素子20から側方に出射された光は、上方への出射光と比べて、蛍光体層をより長く通過する。一方、発光装置2では、LED素子20が実装されるマウント部11と比べて周辺部12が低い位置にあるため、周辺部12に沈降した蛍光体は、発光装置1の場合よりも、LED素子20に対して低い位置にある。これにより、発光装置2では、LED素子20の側方、斜め上方および上方における沈降層41の厚さがほぼ均一になるため、光の出射方向によらず、ほぼ均一に波長変換が行われる。したがって、発光装置2では、発光装置1と比べてさらに発光面の色ムラが生じにくい。また、発光装置2では、特に複数のLED素子20を有する場合に、LED素子20同士の間に無駄な蛍光体層ができないため、発光装置1と比べて光の取出し効率も高くなる。

0045

図6(A)〜図6(D)は、発光装置3,3’の蛍光体層を説明するための模式図である。発光装置3,3’は、それぞれ、封止樹脂70,70’が含有する蛍光体が黄色蛍光体の1種類のみである点を除いて、上記の発光装置1,1’と同じ構成を有する。図6(A)〜図6(D)は、それぞれ、図3(A)〜図3(D)と同じ状態を示す図である。発光装置3の封止樹脂70は、黄色蛍光体、フィラーおよびナノフィラーを含有し、発光装置3’の封止樹脂70’は、黄色蛍光体およびフィラーを含有する。

0046

図6(B)に示す封止樹脂70’内の沈降層71’および樹脂層73’は、沈降層71’が蛍光体の種類ごとの複数層に分かれていない点を除いて、図3(B)の沈降層31’および樹脂層33’と同様のものである。ナノフィラーがない封止樹脂70’内では、蛍光体粒子が完全に沈降するため、破線74で示したLED素子20の上面の角部(LED素子20の発光層22の側方)には沈降層71’がなく、発光層22は樹脂層73’内で露出している。

0047

図6(D)に示す封止樹脂70内の沈降層71、分散層72および樹脂層73は、図3(D)の沈降層31、分散層32および樹脂層33と同様のものである。ナノフィラーがある封止樹脂70内では、破線74で示したLED素子20の上面の角部にも蛍光体粒子の沈降層71が形成され、半沈降状態が実現されている。封止樹脂70内では、LED素子20の発光層22の側方が沈降層71で覆われており、半沈降状態は、LED素子の発光層が蛍光体粒子の沈降層で覆われた状態であるとも言える。

0048

LED素子20が青色LEDである場合には、青色光との組合せで白色光を出射できるように、発光装置の封止樹脂は、蛍光体として黄色蛍光体のみを含有してもよい。この場合、黄色蛍光体として粒径(メジアン径D50)が1〜30μmかつ比重が2〜10g/cm3のものを使用し、封止樹脂70(シリコーン樹脂)に対するナノフィラーの濃度を0.2〜1.5wt%の範囲内とすることが好ましい。なお、黄色蛍光体は、ナノフィラーの濃度が0.2wt%以下であると完全沈降し、ナノフィラーの濃度が1.5wt%を超えると封止樹脂70内に分散したままとなる。封止樹脂70が0.2〜1.5wt%のナノフィラーを含有すれば、半沈降状態が実現されるので、図6(D)に示す発光装置3でも、発光装置の発光面の色ムラや封止樹脂70の過熱が生じにくくなる。

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