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課題・解決手段

[課題]副生物の生成等を抑制でき、目的物であるビフェニルベンズイミダゾール誘導体収率を向上させることのできる製造方法を提供する。[解決手段]塩基の存在下、(R1は、C1〜6アルキル基であり、R2は、C1〜6アルキル基、シレキセチル基、又はメドキソミル基である。)で示されるベンズイミダゾール誘導体と、(RAは、シアノ基、又は1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル基であり、Xは、ハロゲン原子である。)で示されるビフェニル化合物とを反応させて、で示されるビフェニルベンズイミダゾール誘導体を製造する方法であって、前記反応が、(R3、R4、およびR5は、それぞれ、水素原子、又はC1−6アルキル基等である。ただし、R3〜R5の内2つ以上の基が同時に水素原子となることはない。)で示される分岐アルコールを含む反応溶媒中で行われる製造方法。

概要

背景

カンデサルタンアジルサルタン等のサルタン系の原薬は、降圧剤として使用されており、その利用価値は極めて高い。これらサルタン系の原薬は、下記式で示される構造を有している。

式中、R、R’、R’’、およびzは、それぞれ該当する原薬によって異なる。例えば、Rがテトラゾール−5−イル基であり、R’がエトキシ基であり、R’’が7−(シレキセチルオキシカルボニル)基である場合には、前記原薬はカンデサルタンシレキセチルである。また、Rが5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基であり、R’がエトキシ基であり、R’’がカルボキシル基である場合には、前記原薬はアジルサルタンである。さらには、Rが5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基であり、R’がエトキシ基であり、R’’がメドキソミルオキシカルボニル基である場合には、前記原薬はアジルサルタンメドキソミルである。

これら原薬は、その構造が複雑であり、多くの工程を経て合成されている。例えば、カンデサルタンシレキセチルは、以下の反応式で表される方法により製造されている(特許文献1等参照)。

このような原薬を製造する工程においては、その中間体を製造する工程も重要となる。すなわち、最終的に得られる原薬は、数多くの工程を経て得られるため、各中間体の収率純度等が原薬の品質、又は製造コストに大きく影響する。そのため、該中間体の製造方法についても様々な検討がなされている。

例えば、サルタン系原薬の中間体である下記式

で示される一種シアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体は、カンデサルタンシレキセチル、アジルサルタン、アジルサルタンメドキソミルの中間体として使用できる、非常に有用な化合物である(例えば、特許文献2参照)。

前記式で示されるシアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体は、多くの製造方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。具体的には、特許文献2、および非特許文献1には、o−フタル酸から、ニトロ化クルチウス転位、シアノビフェニル化、還元、および環化の各反応を実施する製法が記載されている。この方法では、前段階で得られた化合物に対して各反応を実施しており、総収率の低下、高価な試薬原単位上昇に伴うコストアップなどの問題があった。そのため、より直接的に連続した工程を低減した安価な製造方法の開発が望まれていた。

そこで、原料となる化合物をそれぞれ別々に合成し、得られた化合物同士(原料化合物同士)を反応させる、工程の少ない反応として、下記反応式で示されるベンズイミダゾール誘導体とビフェニル化合物(シアノビフェニルブロマイド)を縮合する方法が提案されている(例えば、特許文献3、および4参照)。

具体的には、特許文献3、および4には、前記ベンズイミダゾール誘導体と前記シアノビフェニルブロマイドとを、塩基存在下、メタノール、又はエタノール中で反応させて前記シアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体を製造する方法が示されている。

また、工程数をより低減させるために、前記ビフェニル化合物においてシアノ基トリフェニル基で保護されたテトラゾリル基に置き換えた化合物と、前記ベンズイミダゾール誘導体とを反応させる方法も知られている(特許文献5、非特許文献1参照)。具体的には、塩基の存在下、ジメチルホルムアミド中でこの反応を行う方法が記載されている。

さらに、前記ビフェニル化合物においてシアノ基をベンジル基で保護されたテトラゾリル基に置き換えた化合物と、前記ベンズイミダゾール誘導体とを、塩基の存在下、アルコール(例えば、メタノール、又はイソプロピルアルコール)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の溶媒中で反応させる方法も知られている(非特許文献2、特許文献6、7参照)。なお特許文献6には、保護基としてトリチル基も挙げられている。

概要

[課題]副生物の生成等を抑制でき、目的物であるビフェニルベンズイミダゾール誘導体の収率を向上させることのできる製造方法を提供する。[解決手段]塩基の存在下、(R1は、C1〜6アルキル基であり、R2は、C1〜6アルキル基、シレキセチル基、又はメドキソミル基である。)で示されるベンズイミダゾール誘導体と、(RAは、シアノ基、又は1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル基であり、Xは、ハロゲン原子である。)で示されるビフェニル化合物とを反応させて、で示されるビフェニルベンズイミダゾール誘導体を製造する方法であって、前記反応が、(R3、R4、およびR5は、それぞれ、水素原子、又はC1−6アルキル基等である。ただし、R3〜R5の内2つ以上の基が同時に水素原子となることはない。)で示される分岐アルコールを含む反応溶媒中で行われる製造方法。

目的

そのため、より直接的に連続した工程を低減した安価な製造方法の開発が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

塩基の存在下、下記式(1)(式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜6のアルキル基、シレキセチル基、又はメドキソミル基である。)で示されるベンズイミダゾール誘導体と、下記式(2)(式中、RAは、シアノ基、又は1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル基であり、Xは、ハロゲン原子である。)で示されるビフェニル化合物とを反応させて、下記式(3)(式中、R1、およびR2は、前記式(1)におけるものと同義であり、RAは、前記式(2)におけるものと同義である。)で示されるビフェニルベンズイミダゾール誘導体を製造する方法であって、前記の反応が、下記式(4)(式中、R3、R4、およびR5は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又は炭素数2〜12のアルキルオキシアルキル基である。ただし、R3、R4、およびR5の内、2つ以上の基が同時に水素原子となることはない。)で示される分岐アルコールを含む反応溶媒中で行われるビフェニルベンズイミダゾール誘導体の製造方法。

請求項2

前記分岐アルコールが、イソプロピルアルコール2−ブタノール、t−ブタノール2−ペンタノール、および3−ペンタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のビフェニルベンズイミダゾール誘導体の製造方法。

請求項3

前記分岐アルコールが、2級アルコールである請求項1又は2に記載のビフェニルベンズイミダゾール誘導体の製造方法。

請求項4

前記反応溶媒が、さらに、極性溶媒(ただし、前記分岐アルコールを除く。)を含む請求項1〜3の何れか一項に記載のビフェニルベンズイミダゾール誘導体の製造方法。

請求項5

前記反応が、下記式(5)(式中、R6は、炭素数1〜12のアルキル基であり、複数のR6は、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。)で示されるヨウ触媒の存在下で行われる請求項1〜4の何れか一項に記載のビフェニルベンズイミダゾール誘導体の製造方法。

請求項6

請求項1〜5の何れか一項に記載の製造方法により前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体を製造する工程であって、前記ベンズイミダゾール誘導体が下記式(1’)(式中、Etはエチル基であり、R2は炭素数1〜6のアルキル基である。)で示されるベンズイミダゾール誘導体であり、前記ビフェニル化合物が下記式(2’)(式中、Trはトリフェニルメチル基であり、Xは前記式(2)におけるものと同義である。)で示されるビフェニル化合物であり、前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体が下記式(3’)(式中、Etはエチル基であり、Trはトリフェニルメチル基であり、R2は炭素数1〜6のアルキル基である。)で示されるカンデサルタン中間体である工程、前記カンデサルタン中間体のエステル基加水分解することにより、下記式(6)(式中、Etはエチル基であり、Trはトリフェニルメチル基である。)で示されるトリチルカンデサルタンを製造する工程、ならびに前記トリチルカンデサルタンにシレキセチル基を導入することにより、下記式(7)(式中、Etはエチル基であり、Trはトリフェニルメチル基である。)で示されるトリチルカンデサルタンシレキセチルを製造する工程を含むトリチルカンデサルタンシレキセチルの製造方法。

請求項7

請求項6に記載の製造方法により前記トリチルカンデサルタンシレキセチルを製造する工程、および前記トリチルカンデサルタンシレキセチルを脱トリチル化することにより、下記式(8)で示されるカンデサルタンシレキセチルを製造する工程を含むカンデサルタンシレキセチルの製造方法。

請求項8

請求項1〜5の何れか一項に記載の製造方法により前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体を製造する工程であって、前記ベンズイミダゾール誘導体が下記式(1’)(式中、Etはエチル基であり、R2はシレキセチル基である。)で示されるベンズイミダゾール誘導体であり、前記ビフェニル化合物が下記式(2’)(式中、Trはトリフェニルメチル基であり、Xは前記式(2)におけるものと同義である。)で示されるビフェニル化合物であり、前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体が下記式(7)(式中、Etはエチル基であり、Trはトリフェニルメチル基である。)で示されるトリチルカンデサルタンシレキセチルである工程、および前記トリチルカンデサルタンシレキセチルを脱トリチル化することにより、下記式(8)で示されるカンデサルタンシレキセチルを製造する工程を含むカンデサルタンシレキセチルの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、医薬中間体として有用なビフェニルベンズイミダゾール誘導体新規な製造方法等に関する。

背景技術

0002

カンデサルタンアジルサルタン等のサルタン系の原薬は、降圧剤として使用されており、その利用価値は極めて高い。これらサルタン系の原薬は、下記式で示される構造を有している。

0003

式中、R、R’、R’’、およびzは、それぞれ該当する原薬によって異なる。例えば、Rがテトラゾール−5−イル基であり、R’がエトキシ基であり、R’’が7−(シレキセチルオキシカルボニル)基である場合には、前記原薬はカンデサルタンシレキセチルである。また、Rが5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基であり、R’がエトキシ基であり、R’’がカルボキシル基である場合には、前記原薬はアジルサルタンである。さらには、Rが5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基であり、R’がエトキシ基であり、R’’がメドキソミルオキシカルボニル基である場合には、前記原薬はアジルサルタンメドキソミルである。

0004

これら原薬は、その構造が複雑であり、多くの工程を経て合成されている。例えば、カンデサルタンシレキセチルは、以下の反応式で表される方法により製造されている(特許文献1等参照)。

0005

このような原薬を製造する工程においては、その中間体を製造する工程も重要となる。すなわち、最終的に得られる原薬は、数多くの工程を経て得られるため、各中間体の収率純度等が原薬の品質、又は製造コストに大きく影響する。そのため、該中間体の製造方法についても様々な検討がなされている。

0006

例えば、サルタン系原薬の中間体である下記式

0007

で示される一種シアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体は、カンデサルタンシレキセチル、アジルサルタン、アジルサルタンメドキソミルの中間体として使用できる、非常に有用な化合物である(例えば、特許文献2参照)。

0008

前記式で示されるシアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体は、多くの製造方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。具体的には、特許文献2、および非特許文献1には、o−フタル酸から、ニトロ化クルチウス転位、シアノビフェニル化、還元、および環化の各反応を実施する製法が記載されている。この方法では、前段階で得られた化合物に対して各反応を実施しており、総収率の低下、高価な試薬原単位上昇に伴うコストアップなどの問題があった。そのため、より直接的に連続した工程を低減した安価な製造方法の開発が望まれていた。

0009

そこで、原料となる化合物をそれぞれ別々に合成し、得られた化合物同士(原料化合物同士)を反応させる、工程の少ない反応として、下記反応式で示されるベンズイミダゾール誘導体とビフェニル化合物(シアノビフェニルブロマイド)を縮合する方法が提案されている(例えば、特許文献3、および4参照)。

0010

具体的には、特許文献3、および4には、前記ベンズイミダゾール誘導体と前記シアノビフェニルブロマイドとを、塩基存在下、メタノール、又はエタノール中で反応させて前記シアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体を製造する方法が示されている。

0011

また、工程数をより低減させるために、前記ビフェニル化合物においてシアノ基トリフェニル基で保護されたテトラゾリル基に置き換えた化合物と、前記ベンズイミダゾール誘導体とを反応させる方法も知られている(特許文献5、非特許文献1参照)。具体的には、塩基の存在下、ジメチルホルムアミド中でこの反応を行う方法が記載されている。

0012

さらに、前記ビフェニル化合物においてシアノ基をベンジル基で保護されたテトラゾリル基に置き換えた化合物と、前記ベンズイミダゾール誘導体とを、塩基の存在下、アルコール(例えば、メタノール、又はイソプロピルアルコール)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の溶媒中で反応させる方法も知られている(非特許文献2、特許文献6、7参照)。なお特許文献6には、保護基としてトリチル基も挙げられている。

0013

特許第2514282号
国際公開第2013/114305号
中国特許出願公開第102766138号
国際公開第2006/015134号
中国特許出願公開第101323610号
国際公開第2014/034868号
国際公開第2014/051008号

先行技術

0014

Jounal of Medicinal Chemistry, 1993, Vol. 36, No.15
ACS Catalysis 2014,4(11)4047−4050

発明が解決しようとする課題

0015

以上の通り、ビフェニル化合物を使用することにより、少ない工程で前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体を製造することができる。

0016

しかしながら、従来の方法では、ビフェニルベンズイミダゾール誘導体の収率が低いという問題があった。

0017

本発明者等が、その問題を検討したところ、以下のことが要因であると考えられた。すなわち、特許文献3、および4に記載の方法では、前記反応をメタノール、又はエタノールの反応溶媒中で実施しているが、前記シアノビフェニルブロマイドとこれら反応溶媒とが反応して、副生物(以下、「エーテル副生物」と記載する場合もある)を多量に発生させることが原因であると推定された。すなわち、前記方法等では、該エーテル副生物を除去する必要があるため、目的物であるシアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体の収率が低下するものと考えられた。また、以上の理由から、前記方法等では、多量のシアノビフェニルブロマイドが必要となり、この点でも前記方法等は改善の余地があった。

0018

加えて、前記方法等では、前記ベンズイミダゾール誘導体の2つの窒素原子の内、シアノビフェニル化合物と反応させるべき窒素原子ではない方の窒素原子にシアノビフェニル化合物が結合した、下記式

0019

で示される異性体の生成割合が多くなる場合があることが確認された。この異性体は、目的物と類似の化合物であるため、この異性体を含むまま次の反応に進むと、さらに目的物とは異なる不純物が副生されることになる。そのため、このような異性体は、中間体であってもその副生量が少ないことが望まれる。

0020

特許文献3、および4には、得られたシアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体に前記エーテル副生物が含まれることは記載されていない。特許文献3には、さらに、得られたシアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体に、前記異性体が含まれることも記載されていない。しかしながら、本発明者等の検討によれば、前記方法等においては、該シアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体を反応系内から取り出す前、すなわち、反応終了後反応液中には、前記エーテル副生物が多く含まれ、また、前記異性体も含まれることが確認できた。前記方法等では、このエーテル副生物、および異性体を除去するために、該シアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体のロスが多くなる結晶化方法を採用しているものと考えられる。

0021

上記の異性体の問題は、上述した特許文献5、および非特許文献1に記載された方法においても生じ、同様に改善の余地があった。

0022

また、非特許文献2、特許文献6、および7に記載の方法においても、上述したエーテル副生物の問題、異性体の問題が生じる場合があった。加えて、これらの方法においては、保護基としてベンジル基を有する原料化合物を使用しているため、前記原薬の製造の最終工程で行う脱保護反応において、水素源、例えば、水素ガス、あるいはギ酸アンモニウムパラジウム金属等を使用する必要があった。このため、カンデサルタンシレキセチルの工業的な生産を行う際に、水素ガスの爆発を防いで安全性を高めるために、あるいは最終目的物(原薬)に有害な金属が混入することを抑制するために、厳密な制御が必要となる点で改善の余地があった。

0023

したがって、本発明の目的は、前記のエーテル副生物の生成等を抑制することができ、目的物であるビフェニルベンズイミダゾール誘導体の収率を向上させることのできる製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0024

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。先ず、後工程(すなわち、前記原薬の製造において前記ビフェニルベンズイミダゾールを製造した後の工程)において、脱保護反応、あるいは反応を容易とするため、ビフェニル化合物を、シアノ基、あるいは1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル基を有する化合物に絞って様々な検討を行った。そして、前記エーテル副生物、および異性体の生成を抑制するために、様々な検討を行った。特に、前記ビフェニルブロマイド(ハライド)と反応し難く、かつ、前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体の収率を高めることが可能な反応溶媒の検討を行った。その結果、特定の構造を有する2級、又は3級の分岐アルコールを少なくとも含む反応溶媒を使用することにより、エーテル副生物の生成を抑制できることを見出した。加えて、条件を調整すれば目的物の選択率(すなわち、目的物および異性体に占める目的物の割合)を向上させることができ、反応時間を短くできることも見出し、本発明を完成するに至った。

0025

すなわち、第一の本発明は、
(1)塩基の存在下、
下記式(1)

0026

(式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル基であり、
R2は、炭素数1〜6のアルキル基、シレキセチル基、又はメドキソミル基である。)
で示されるベンズイミダゾール誘導体と、
下記式(2)

0027

(式中、RAは、シアノ基、又は1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル基であり、
Xは、ハロゲン原子である。)
で示されるビフェニル化合物とを反応させて、
下記式(3)

0028

(式中、R1、およびR2は、前記式(1)におけるものと同義であり、
RAは、前記式(2)におけるものと同義である。)
で示されるビフェニルベンズイミダゾール誘導体を製造する方法であって、
前記の反応が、下記式(4)

0029

(式中、R3、R4、およびR5は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又は炭素数2〜12のアルキルオキシアルキル基である。ただし、R3、R4、およびR5の内、2つ以上の基が同時に水素原子となることはない。)
で示される分岐アルコールを含む反応溶媒中で行われるビフェニルベンズイミダゾール誘導体の製造方法である。

0030

また、第一の本発明は、以下の態様をとることができる。

0031

(2)前記分岐アルコールが、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、t−ブタノール2−ペンタノール、および3−ペンタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である。

0032

(3)前記分岐アルコールが、2級アルコールである。

0033

(4)前記反応溶媒が、さらに、極性溶媒(ただし、前記式(4)で示される分岐アルコールを除く。)を含む。

0034

(5)前記反応が、下記式(5)

0035

(式中、R6は、炭素数1〜12のアルキル基であり、複数のR6は、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。)
で示されるヨウ触媒の存在下で行われる。

0036

第二の本発明は、
(6)前記(1)〜(5)の何れかの製造方法により前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体を製造する工程であって、
前記ベンズイミダゾール誘導体が下記式(1’)

0037

(式中、Etはエチル基であり、R2は炭素数1〜6のアルキル基である。)
で示されるベンズイミダゾール誘導体であり、
前記ビフェニル化合物が下記式(2’)

0038

(式中、Trはトリフェニルメチル基(「トリチル基」とも記載する。)であり、Xは前記式(2)におけるものと同義である。)
で示されるビフェニル化合物であり、
前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体が下記式(3’)

0039

(式中、Etはエチル基であり、Trはトリフェニルメチル基であり、R2は炭素数1〜6のアルキル基である。)
で示されるカンデサルタン中間体である工程、
前記カンデサルタン中間体のエステル基加水分解することにより、下記式(6)

0040

(式中、Etはエチル基であり、Trはトリフェニルメチル基である。)
で示されるトリチルカンデサルタン(以下、単に「トリチルカンデサルタン」と記載する場合もある。)を製造する工程、ならびに
前記トリチルカンデサルタンにシレキセチル基を導入することにより、下記式(7)

0041

(式中、Etはエチル基であり、Trはトリフェニルメチル基である。)
で示されるトリチルカンデサルタンシレキセチルを製造する工程
を含むトリチルカンデサルタンシレキセチルの製造方法
である。

0042

第三の本発明は、
(7)前記(6)の製造方法により、前記トリチルカンデサルタンシレキセチルを製造する工程、および
前記トリチルカンデサルタンシレキセチルを脱トリチル化することにより、下記式(8)

0043

で示されるカンデサルタンシレキセチルを製造する工程
を含むカンデサルタンシレキセチルの製造方法である。

0044

第四の本発明は、
(8)前記(1)〜(5)の何れかの製造方法により前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体を製造する工程であって、
前記ベンズイミダゾール誘導体が下記式(1’)

0045

(式中、Etはエチル基であり、R2はシレキセチル基である。)
で示されるベンズイミダゾール誘導体であり、
前記ビフェニル化合物が下記式(2’)

0046

(式中、Trはトリフェニルメチル基であり、Xは前記式(2)におけるものと同義である。)
で示されるビフェニル化合物であり、
前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体が下記式(7)

0047

(式中、Etはエチル基であり、Trはトリフェニルメチル基である。)
で示されるトリチルカンデサルタンシレキセチルである工程、および
前記トリチルカンデサルタンシレキセチルを脱トリチル化することにより、下記式(8)

0048

で示されるカンデサルタンシレキセチルを製造する工程
を含むカンデサルタンシレキセチルの製造方法である。

発明の効果

0049

本発明の方法によれば、カンデサルタン、アジルサルタン等のサルタン系の原薬の中間体であるビフェニルベンズイミダゾール誘導体を、ベンズイミダゾール誘導体の転化率が高く、前記エーテル副生物等が少ない状態で得ることができる。つまり、高い収率でビフェニルベンズイミダゾール誘導体を得ることができる。その結果、本発明の方法により得られるビフェニルベンズイミダゾール誘導体から該サルタン系の原薬を製造することにより、効率よく、該原薬の収率および純度を高め、コスト低減を図ることができる。

0050

また、前記式(2)で表されるビフェニル化合物として1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル基を有するビフェニル化合物を使用した場合であれば、より短い工程でカンデサルタンシレキセチルを製造することができ、第四の本発明によれば、特に短い工程でカンデサルタンシレキセチルを製造することができる。

0051

本発明は、塩基の存在下、前記式(1)で示されるベンズイミダゾール誘導体(以下、単に「ベンズイミダゾール誘導体」と記載する場合もある。)と、前記式(2)で示されるビフェニル化合物(以下、単に「ビフェニル化合物」と記載する場合もある。)とを反応させて、前記式(3)で示されるビフェニルベンズイミダゾール誘導体(以下、単に「ビフェニルベンズイミダゾール誘導体」と記載する場合もある。)を製造する方法において、特定の構造を有する分岐アルコールを含む反応溶媒中で前記ベンズイミダゾール誘導体と前記ビフェニル化合物との反応(以下、この反応を「本発明の反応」とも記載する。)を実施することを特徴とする。以下、本発明について順を追って説明する。

0052

(原料化合物;ベンズイミダゾール誘導体)
本発明で使用する原料化合物のベンズイミダゾール誘導体は、下記式(1)

0053

で示される。

0054

式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル基である。この中でも、得られるビフェニルベンズイミダゾール誘導体の有用性、利用のし易さを考慮すると、エチル基が好ましい。

0055

式中、R2は、炭素数1〜6のアルキル基、シレキセチル基、又はメドキソミル基である。この中でも、得られるビフェニルベンズイミダゾール誘導体の有用性、利用のし易さ、および該ベンズイミダゾール誘導体自体の生産性を考慮すると、R2は、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、メチル基、又はエチル基であることが特に好ましい。

0056

なお、本発明において「シレキセチル基」とは、

0057

(右端の直線は、隣接する原子への結合を示す。)
で表される基をいう。なお、他の化学式においては、メチル基を−CH3と表記せず、単に−と表記している。

0058

前記式(1)で示されるベンズイミダゾール誘導体は、公知の化合物であり、公知の方法に従って製造することができる。

0059

(原料化合物;ビフェニル化合物)
本発明で使用するもう一方の原料化合物のビフェニル化合物は、下記式(2)

0060

(式中、RAは、シアノ基、又は1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル基であり、
Xは、ハロゲン原子である。)
で示されるビフェニル化合物である。

0061

前記ビフェニル化合物は、RAがシアノ基である場合には、下記式(2’’)

0062

(式中、Xはハロゲン原子である。)
で示される化合物(以下「シアノビフェニル化合物」と記載する場合もある。)である。

0063

また、前記ビフェニル化合物は、RAが1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル基である場合には、下記式(2’)

0064

(式中、Xはハロゲン原子であり、Trはトリフェニルメチル基(すなわち、トリチル基)である。)
で示される化合物(以下「テトラゾリルビフェニル化合物」と記載する場合もある。)である。

0065

前記ビフェニル化合物自体の生産性、および本発明の反応の反応性等を考慮すると、式(2)中のハロゲン原子Xとしては臭素原子、または塩素原子が好ましく、臭素原子がさらに好ましい。

0066

前記ビフェニル化合物(2)は、公知の化合物であり、公知の方法に従って製造することができる。

0067

本発明において、該ビフェニル化合物の使用量は、特に制限されるものではないが、前記ベンズイミダゾール誘導体1モルに対して、0.8〜5モルとすることが好ましく、0.9〜2.0モルとすることがより好ましく、1.0〜1.5モルとすることがさらに好ましい。本発明によれば、反応溶媒と該ビフェニル化合物との反応を抑制することができるため、該ビフェニル化合物の使用量を低減できる。

0068

(ビフェニル化合物:シアノビフェニル化合物)
本発明において、前記シアノビフェニル化合物を使用する利点は、以下の通りである。

0069

前記シアノビフェニル化合物を使用する場合には、得られる生成物はシアノ基を有するシアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体である。以下に詳述するが、該シアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体は、様々なサルタン系の原薬の中間体であり、この中間体を一旦製造すれば、この中間体を様々なサルタン系原薬と製造することができる。そのため、その有用性が高い。

0070

また、本発明の方法であれば、通常はシアノビフェニル化合物中のシアノ基は反応することがないため、シアノ基の反応に起因する副生物が増えたり、不純物が増加することがない。

0071

(ビフェニル化合物:テトラゾリルビフェニル化合物)
本発明において、前記テトラゾリルビフェニル化合物を使用する利点は、以下の通りである。

0072

前記テトラゾリルビフェニル化合物を使用する場合には、得られる生成物はトリチル基で保護されたテトラゾリル基を有するビフェニルベンズイミダゾール誘導体である。本発明の反応においては、前記テトラゾリルビフェニル化合物の脱トリチル基の反応が起こり難いため、下記に詳述するが、第二の本発明、または第三もしくは第四の本発明により、副反応等が少ない状態で、かつ少ない工程で、それぞれトリチルカンデサルタンシレキセチル、またはカンデサルタンシレキセチルを製造できる。

0073

(塩基)
本発明において、前記原料化合物同士の反応は、塩基の存在下で実施する。反応系内を塩基の存在下とすることは、反応系内に塩基を添加することにより達成できる。

0075

中でも、反応性、入手のし易さ、後工程の処理のし易さ等を考慮すると、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩が好ましい。この中でも、高収率で目的とするビフェニルベンズイミダゾール誘導体を得るためには、炭酸カリウムが好ましい。

0076

また、塩基の使用量は、特に制限されるものではないが、反応性、および後工程における処理のし易さ等を考慮すると前記ベンズイミダゾール誘導体1モルに対して、0.5〜10モルとすることが好ましく、1.0〜5.0モルとすることがさらに好ましい。なお、前記塩基の使用量は、複数種類の塩基を使用した場合には、その合計モル数を基準とする。

0077

(その他の触媒)
本発明において、反応時間を短くするためには、前記塩基に加えて、さらに下記式(5)

0078

で示されるヨウ素触媒を反応系内に存在させることが好ましい。

0079

前記式(5)において、Iはヨウ素原子、Nは窒素原子を表す。

0080

R6は、炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、複数のR6は、互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。

0081

このようなヨウ素触媒の中でも、入手のし易さ等を考慮すると、テトラメチルアンモニウムアイオダイドテトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラn−ブチルアンモニウムアイオダイド、又はベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド等を使用することが好ましい。これらヨウ素触媒は、1種単独で使用することもできるし、複数種のものを使用することもできる。この中でも、反応性、および後工程における処理のし易さ、コスト等を考慮すると、テトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイドを使用することが好ましい。

0082

本発明において、前記ヨウ素触媒を使用する場合には、該ヨウ素触媒の使用量は、反応性、および後工程における処理のし易さ等を考慮すると前記ベンズイミダゾール誘導体1モルに対して、0.001〜1.0モルとすることが好ましく、0.01〜0.1モルとすることがさらに好ましい。なお、前記ヨウ素触媒の使用量は、複数種類のヨウ素触媒を使用した場合には、その合計モル数を基準とする。

0083

(反応溶媒)
(分岐アルコール)
本発明の特徴は、前記塩基、および必要に応じて使用される前記ヨウ素触媒の存在下で、前記2つの原料化合物同士の反応を、下記式(4)

0084

で示される分岐アルコールを含む反応溶媒中で実施することにある。

0085

式中、R3、R4、およびR5は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又は炭素数2〜12のアルキルオキシアルキル基であり、ただし、R3、R4、およびR5の内、同時に2つ以上の基が水素原子となることはない基である。言い換えれば、前記式(4)で示される分岐アルコールは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、および炭素数2〜12のアルキルオキシアルキル基から選ばれる基を少なくとも1つ有する2級、又は3級アルコールである。なお、これら分岐アルコールは、1種単独で使用することもできるし、複数種のものを混合して使用することもできる。

0086

得られるビフェニルベンズイミダゾール誘導体の収率、後処理のし易さ等を考慮すると、R3、R4、およびR5における水素原子以外の基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基イソプロピル基、n−ブチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、およびn−ブトキシメチル基等が好ましい。

0087

前記アルコール(4)としては、ビフェニルベンズイミダゾール誘導体の生成割合を高くする観点から、前記テトラゾリルビフェニル化合物が使用される場合であればさらに脱トリチル化を抑制する観点から、炭素数3〜6の2級、又は3級アルコールが好ましく、特に炭素数3〜6の2級アルコールが好ましい。

0088

以上の分岐アルコールの中でも、具体的には、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)、2−ブタノール、t−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノールを使用することが好ましい。これらの中でも、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、t-ブタノール、2−ペンタノール、又は3−ペンタノールがより好ましく、2−ブタノールが、ビフェニルベンズイミダゾール誘導体の収率、取り扱い易さ(除去のし易さ)、汎用性、安全性等の点で特に好ましい。

0089

また、ビフェニル化合物の種類に応じて、以下の分岐アルコールを使用することが特に好ましい。例えば、シアノビフェニル化合物を使用する場合には、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、t−ブタノール、2−ペンタノール、又は3−ペンタノールを使用することがより好ましい。その中でも、特に、収率、および異性体の抑制効果を考慮すると、イソプロピルアルコール、又は2−ブタノールを使用することが特に好ましい。イソプロピルアルコールを使用することにより、ベンズイミダゾール誘導体の転化率を高め、エーテル副生物の生成を抑制できる。さらには比較的異性体の生成を抑制することもできるため、ビフェニルベンズイミダゾール誘導体の収率を向上させることができる。この効果は、前記分岐アルコールとシアノ基との間の反応性に関連しているものと考えられる。また、2−ブタノールを使用することにより、比較的高い収率を達成しながら、異性体の生成を抑制できる。

0090

一方、テトラゾリルビフェニル化合物を使用する場合にも、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、t−ブタノール、2−ペンタノール、又は3−ペンタノールを使用することがより好ましい。その中でも、ベンズイミダゾール誘導体の転化率が高いこと、エーテル副生物、および異性体の抑制効果を考慮すると、2−ブタノール、3−ペンタノール、又はt−ブタノールを使用することが特に好ましい。以上の効果に加えて、2−ブタノール、3−ペンタノール、又はt−ブタノールを使用すると、トリチル基の脱離反応が抑制されると考えられる。2−ブタノール、3−ペンタノール、又はt−ブタノールの中でも、ビフェニルベンズイミダゾール誘導体の収率、取り扱い易さ(除去のし易さ)、汎用性、安全性等を考慮すると、2−ブタノールを使用することが好ましい。

0091

反応溶媒が以上に説明した分岐アルコールであれば、ビフェニル化合物と反応溶媒との反応物であるエーテル副生物の生成量を抑制できる。これは、該ビフェニル化合物と該分岐アルコールとの反応性が低く、エーテル副生物の生成を抑制できることが理由と考えられる。

0092

前記分岐アルコールを含む反応溶媒が使用される本発明において、たとえば反応温度を比較的低い値(室温付近、たとえば10〜30℃)とするなど、反応条件を調整すれば、前記異性体の副生を顕著に抑制できる。この理由は明らかではないが、以下のように推定している。すなわち、前記ベンズイミダゾール誘導体における反応させたい一方の窒素原子(下式における1位の窒素原子)に、前記分岐アルコールが水素結合等により作用し、その結果、該窒素原子に塩基が作用し易くなり、高い選択性(「高い選択性」とは、生成される前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体および前記異性体に占める前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体の割合が高いことをいう。)で目的とする前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体が得られるものと推定している。使用する分岐アルコールの種類にもよるが、直鎖アルコールよりも選択性が高くなる場合があるのは、以下のことが理由であると推定している。つまり、直鎖アルコールの酸素原子水酸基の酸素原子)よりも電子密度が高い分岐アルコールの酸素原子が、該窒素原子と結合した水素原子に強く作用するものと考えられる。このことが、高い選択性を発揮する原因だと推定している。特に比較的低い反応温度の場合、前記作用が顕著に発揮されるものと考えられる。このような効果は、シアノビフェニル化合物を使用した場合に顕著となる。

0093

さらには、前記テトラゾリルビフェニル化合物を使用した場合に、本発明の反応における脱トリチル基の反応を抑制することができる。

0094

(その他の極性溶媒)
本発明において、反応溶媒は、反応系内に不可避的に混入される溶媒を除き、全量が前記分岐アルコールであってもよい。ただし、本発明の反応において反応時間を短くするためには、反応溶媒は、極性溶媒(前記分岐アルコールを除く。)を含むこともできる。

0095

本発明において、分岐アルコールと併用して使用する極性溶媒としては、比誘電率が好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上である極性溶媒が好ましい。比誘電率の上限は、特に制限されるものではないが、100である。該極性溶媒は、非プロトン性極性溶媒であってもよいし、ヘテロ原子を含む極性溶媒であってもよい。中でも窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子のようなヘテロ原子を含む極性溶媒を使用することが好ましい。好適な極性溶媒を具体的に例示すれば、アセトニトリル(比誘電率37)、N,N−ジメチルホルムアミド(比誘電率38)、N,N—ジメチルアセトアミド(比誘電率38)、N−メチル−2−ピロリドン(比誘電率32.2)、ジメチルスルホキシド(比誘電率47)が挙げられる。さらに、極性溶媒を使用する場合において、エーテル副生物の発生を抑制し、高い選択性を達成し、反応時間を短くし、さらには、後処理を容易にするためには、前記極性溶媒の中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N—ジメチルアセトアミドを使用することが好ましい。

0096

これら極性溶媒は、1種単独で使用することもできるし、複数種のものを混合して使用することもできる。

0097

(分岐アルコールと極性溶媒との配合割合
本発明において、極性溶媒を使用する場合には、エーテル副生物の発生を抑制し、高い選択性を達成するためには、分岐アルコールを1mlとしたとき、極性溶媒を0.01〜1mlとすることが好ましく、0.05〜0.5mlとすることがより好ましく、0.1〜0.3mlとすることがさらに好ましい。なお、複数種の極性溶媒を使用する場合は、該複数種の極性溶媒の合計量が前記範囲を満足すればよい。

0098

(反応溶媒の使用量)
本発明において、反応溶媒の使用量は、特に制限されるものではなく、反応系内で十分に前記ベンズイミダゾール誘導体と前記ビフェニル化合物とが接触できる量を使用すればよい。具体的には、反応溶媒を、前記ベンズイミダゾール誘導体1gに対して反応溶媒が0.5〜100mlとなる量で使用することが好ましく、1〜20mlとなる量で使用することがさらに好ましい。なお、この量は、23℃における反応溶媒の量である。また、反応溶媒が前記極性溶媒を含む場合には、前記反応溶媒の量は、前記分岐アルコールと極性溶媒との合計量が前記範囲を満足すればよい。なお、複数種の分岐アルコール、および複数種の極性溶媒を使用した場合には、それら全ての合計量が前記範囲を満足すればよい。

0099

(その他の反応条件)
本発明を実施するには、塩基の存在下、前記ベンズイミダゾール誘導体と前記ビフェニル化合物とを前記反応溶媒中で接触させればよい。そのため、前記反応溶媒中で、前記塩基、前記ベンズイミダゾール誘導体、および前記シアノビフェニル化合物を攪拌混合することが好ましい。

0100

本発明において、反応系内に各成分を導入する手順は特に制限されるものではない。例えば、必要に応じて反応溶媒で希釈した塩基、必要に応じて使用される前記ヨウ素触媒、前記ベンズイミダゾール誘導体、および前記ビフェニル化合物を同時に反応系内に導入しながら攪拌混合することができる。また、必要に応じて反応溶媒で希釈した一方の原料化合物を反応系内に先に導入して攪拌混合しておき、必要に応じて反応溶媒で希釈した他方の原料化合物を該反応系内に添加する方法を採用することもできる。他方の原料化合物を反応系内に添加する場合において、塩基、および必要に応じて使用されるヨウ素触媒は、予め一方の原料化合物と共に反応系内に先に導入しておくこともできるし、他方の原料化合物を添加するのと同時に反応系内に添加することもできるし、他方の原料化合物を添加した後、別途、反応系内に添加することもできる。

0101

本発明において、反応温度は、特に制限されるものではなく、エーテル副生物の発生を抑制し、高い選択率を達成し、ビフェニルベンズイミダゾール誘導体を高い収率で得るためには、−30〜150℃とすることが好ましい。中でも、エーテル副生物の発生をより抑止し、より高い選択性、より高い収率とするためには、反応温度は0〜100℃とすることが好ましく、5〜70℃とすることがより好ましく、10〜60℃とすることがさらに好ましい。さらに反応温度は25〜60℃とすることも好ましい。また、エーテル副生物の発生を抑止し、高い選択性を達成しつつ、反応時間を短くし、収率をより高めるためには、40〜60℃とすることが特に好ましい。反応時間も、特に制限されるものではなく、原料化合物の消費状態、又は生成するビフェニルベンズイミダゾール誘導体の量を確認しながら適宜決定すればよい。具体的には、0.5〜72時間で十分であり、1〜24時間程度であってもよい。

0102

その他、反応系内の雰囲気も、特に制限されるものではなく、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下の何れの雰囲気下でも実施することができる。また、反応系内の圧力も、特に制限されるものではなく、本発明の反応は、大気圧下、減圧下、加圧下の何れの状態で実施してもよい。

0103

(目的物の取り出し、精製)
本発明においては、以上の方法に従い反応を行うことにより、目的とするビフェニルベンズイミダゾール誘導体を製造することができる。該ビフェニルベンズイミダゾール誘導体を反応系内から取り出す方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が採用できる。例えば、貧溶媒となる水を系内に加えて前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体を結晶化させる方法、溶媒による抽出、洗浄、あるいは反応溶媒の留去を行った後、得られた固形分を再結晶する方法等が採用できる。また、得られたビフェニルベンズイミダゾール誘導体の純度を、スラリー精製、再結晶、カラム精製等により高めることができる。

0104

本発明の方法によれば、目的とする下記式(3)

0105

(式中、R1、およびR2は、前記式(1)におけるものと同義であり、
RAは、前記式(2)におけるものと同義である。)
で示されるビフェニルベンズイミダゾール誘導体の収率を高めることができる。以下、前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体を、RAがシアノ基の場合には「シアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体」と記載する場合もあり、RAが1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル基の場合には「カンデサルタン中間体」と記載する場合もある。

0106

本発明者等の検討によれば、前記分岐アルコールを使用しない場合には、具体的には、反応溶媒としてメタノール、エタノールなど直鎖アルコールを使用した場合には、該直鎖アルコールとビフェニル化合物とが反応し、エーテル副生物が多量に生成することが分かった。本発明で使用する分岐アルコールは、該直鎖アルコールよりも嵩高いため、ビフェニル化合物との反応が進み難いものと考えられる。

0107

また、該直鎖アルコールを使用した場合には、エーテル副生物が多く生成することが一要因と考えられるが、ベンズイミダゾール誘導体の転化率が低い。そして、使用する原料、反応条件等にもよるが、反応液中に、下記式(B)

0108

(式中、R1、R2、およびRAは、前記式(3)におけるものと同義である。)
で示される異性体の生成割合が高くなる場合があった。このように該直鎖アルコールを使用した場合、転化率が低く、異性体も生成することから、結果的に目的物の収率が低下する。

0109

これに対し、本発明においては、分岐アルコールを含む反応溶媒を使用することにより、前記エーテル副生物の生成を低減できると共に、該異性体の生成割合も抑制できるため、前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体の収率を向上させることができる。

0110

さらに、前記ビフェニル化合物として前記シアノビフェニル化合物を使用して、得られたシアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体からカンデサルタン、又はアジルサルタン等のサルタン系原薬を製造した場合に、不純物を効率よく低減できる。

0111

前記シアノビフェニル化合物を使用した場合には、前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体におけるRAはシアノ基となり、該シアノ基は目的とする原薬に応じて様々な基に置換することができる。そのため、得られた化合物がシアノビフェニルベンズイミダゾール誘導体である場合には、得られた化合物はカンデサルタン、又はアジルサルタンの中間体とすることができるため、有用性が高くなる。

0112

また、前記ビフェニル化合物としてテトラゾリルビフェニル化合物を使用した場合には、前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体として、下記式(3’)

0113

(式中、Etはエチル基であり、Trはトリフェニルメチル基である。)
で示されるカンデサルタン中間体が製造される。

0114

前記式(3’)においてR2が炭素数1〜6のアルキル基である場合には、本発明のビフェニルベンズイミダゾール誘導体の製造方法によりカンデサルタン中間体を製造した後、得られたカンデサルタン中間体のエステル基を加水分解することにより、下記式(6)

0115

(式中、Etはエチル基であり、Trはトリフェニルメチル基である。)
で示されるトリチルカンデサルタンを製造することができる。加水分解は公知の方法で実施することができる。

0116

さらには、続いて、得られたトリチルカンデサルタンにシレキセチル基を導入し、下記式(7)

0117

(式中、Etはエチル基であり、Trトリフェニルメチル基である。)
で示されるトリチルカンデサルタンシレキセチルを製造することができる。シレキセチル基の導入は公知の方法で実施することができる。

0118

あるいは、前記式(3’)においてR2がシレキセチル基である場合には、本発明のビフェニルベンズイミダゾール誘導体の製造方法により、前記ビフェニルベンズイミダゾール誘導体ないし前記カンデサルタン中間体として、前記式(7)で表されるトリチルカンデサルタンシレキセチルを製造することができる。

0119

さらには、前記のいずれかの方法で前記トリチルカンデサルタンシレキセチルを製造した後、脱トリチル化反応により、前記トリチルカンデサルタンシレキセチルから下記式(8)で示されるカンデサルタンシレキセチルを製造することができる。

0120

前記脱トリチル化反応(すなわち脱保護反応)は、公知の方法で実施でき、水、酸、アルコール、又はアルカリを使用することにより、特に、安全な水、及び/又はアルコールを使用することにより、実施することができる。

0121

前記ビフェニル化合物が前記テトラゾリルビフェニル化合物である場合に、本発明によれば、脱保護反応を実施し易いカンデサルタン中間体が製造されるため、最終的にはカンデサルタンシレキセチルも容易な方法で製造できる。

0122

以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。

0123

(原料化合物にシアノビフェニル化合物を使用した例)
[実施例1]
2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸メチルエステル(1.00g、4.541mmol、「ベンズイミダゾール誘導体」)、炭酸カリウム(1.26g、9.08mmol、「塩基」)、および2−ブタノール(10mL、「反応溶媒」)を反応容器に導入して、室温(23℃)で5分攪拌した。

0124

さらに4’−ブロモメチル−2−シアノ−1,1’−ビフェニル(1.30g、4.80mmol、「シアノビフェニル化合物」)とテトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド(0.084g、0.23mmol、「ヨウ素触媒」)を加えて、2−ブタノールを含む反応溶媒中、室温で24時間攪拌して反応を行った。

0125

得られた反応液に、水(10mL)、酢酸エチル(20mL)、およびクロロホルム(30mL)を加えて撹拌し、有機層高速液体クロマトグラフィー(以下「HPLC」と記載する。)で測定したところ、ベンズイミダゾール誘導体の転化率17.2%(area%)、副生物(4’−(2−ブトキシ)メチル−2−シアノ−1,1’−ビフェニル、「エーテル副生物」)0%(area%)、目的物(1−[(2’−シアノ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)メチル]−2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸メチルエステル):異性体=93%(area%):7%(area%)であった。

0126

[実施例2]
2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸メチルエステル(1.00g、4.541mmol、「ベンズイミダゾール誘導体」)、炭酸カリウム(1.26g、9.08mmol、「塩基」)、および2−ブタノール(10mL「反応溶媒」)を反応容器に導入して室温で5分間攪拌した。

0127

さらに4’−ブロモメチル−2−シアノ−1,1’−ビフェニル(1.30g、4.80mmol、「シアノビフェニル化合物」)とテトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド(0.084g、0.23mmol、「ヨウ素触媒」)を加えて、2−ブタノールを含む反応溶媒中、50℃で11時間攪拌して反応を行った。

0128

得られた反応液に、水(350mL)を加えて攪拌、濾過して白色固体を得た。この固体を55℃で19時間送風乾燥することにより目的物(1−[(2’−シアノ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)メチル]−2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸メチルエステル)の粗体(1.83g)を得た。該粗体をアセトニトリルに溶解させてHPLCで測定したところ、ベンズイミダゾール誘導体の転化率84.9%(area%)、エーテル副生物0%(area%)、目的物:異性体=90%(area%):10%(area%)であった。

0129

[実施例3]
反応温度を40℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。

0130

[実施例4]
2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸メチルエステル(1.00g、4.541mmol、「ベンズイミダゾール誘導体」)、炭酸カリウム(1.26g、9.08mmol、「塩基」)、および1−メトキシ−2−プロパノール(10mL、「反応溶媒」)を反応容器に導入して室温で5分間攪拌した。

0131

さらに4’−ブロモメチル−2−シアノ−1,1’−ビフェニル(1.30g、4.80mmol、「シアノビフェニル化合物」)とテトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド(0.084g、0.23mmol、「ヨウ素触媒」)を加えて、1−メトキシ−2−プロパノールを含む反応溶媒中、室温で24時間攪拌して反応を行った。

0132

得られた反応液に、水(10mL)、酢酸エチル(20mL)、およびクロロホルム(30mL)を加えて撹拌し、有機層をHPLCで測定したところ、ベンズイミダゾール誘導体の転化率73.0%(area%)、エーテル副生物0%(area%)、目的物:異性体=81%(area%):19%(area%)であった。

0133

[実施例5]
2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸メチルエステル(5.00g、22.7mmol、「ベンズイミダゾール誘導体」)、炭酸カリウム(6.3g、45.4mmol、「塩基」)、2−ブタノール(40mL、「反応溶媒」)、およびN,N−ジメチルアセトアミド(10mL、「反応溶媒(極性溶媒)」)を反応容器に導入して室温で5分間攪拌した。

0134

さらに4’−ブロモメチル−2−シアノ−1,1’−ビフェニル(6.5g、24mmol、「シアノビフェニル化合物」)とテトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド(0.42g、1.15mmol、「ヨウ素触媒」)を加えて、2−ブタノール、およびN,N−ジメチルアセトアミド(極性溶媒)を含む反応溶媒中、室温で24時間攪拌して反応を行った。

0135

得られた反応液に、水(400mL)を加えて撹拌し、析出した結晶を濾過、乾燥することにより、目的物(1−[(2’−シアノ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)メチル]−2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸メチルエステル)の粗体(9.28g)を得た。該粗体をアセトニトリル溶解してHPLCで測定したところ、ベンズイミダゾール誘導体の転化率84.0%(area%)、エーテル副生物0%(area%)、目的物:異性体=87%(area%):13%(area%)であった。

0136

この粗体に酢酸エチルを加え、加熱撹拌後、濾過した。得られた固体を乾燥することにより目的物の純品(7.5g、80%)を得た。得られた純品の分析結果は以下の通りであった。
Mp;167℃。
IR(KBr);3444,2953,2227,1721,1550,1269,1035,746 cm-1。
1H−NMR(CDCl3);δ1.49(t,J=7.1Hz,3H),δ3.75(s,3H),δ4.67(q,J=7.0Hz,2H),δ5.69(s,2H),δ7.09−7.75(m,11H)。

0137

[実施例6]
反応溶媒として2−ブタノールの代わりにイソプロピルアルコール(10mL)を使用し反応温度を40℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。

0138

[実施例7]
反応溶媒として2−ブタノールの代わりに1−エトキシ−2−プロパノール(10mL)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。

0139

[実施例8]
反応溶媒として2−ブタノールの代わりに1−ブトキシ−2−プロパノール(10mL)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。

0140

[実施例9]
反応溶媒として2−ブタノールの代わりに2−ペンタノール(10mL)を使用し反応温度を40℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。

0141

[実施例10]
反応溶媒として2−ブタノールの代わりに3−ペンタノール(10mL)を使用し反応温度を40℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。

0142

[実施例11]
反応溶媒として2−ブタノールの代わりにt−ブタノール(10mL)を使用し反応温度を40℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。

0143

[比較例1]
反応溶媒として2−ブタノールの代わりにメタノール(10mL)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。

0144

HPLCによる分析結果は、ベンズイミダゾール誘導体の転化率52.0%(area%)、副生物(4’−メトキシメチル−2−シアノ−1,1’−ビフェニル;エーテル副生物)28.8%(area%)、目的物:異性体=90%(area%):10%(area%)であった。

0145

[比較例2]
反応溶媒として2−ブタノールの代わりにエタノール(10mL)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。

0146

HPLCによる分析結果は、ベンズイミダゾール誘導体の転化率22.8%(area%)、副生物(4’−エトキシメチル−2−シアノ−1,1’−ビフェニル;エーテル副生物)16.2%(area%)、目的物:異性体=89%(area%):11%(area%)であった。

0147

[比較例3]
反応溶媒として2−ブタノールの代わりにN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。

0148

[比較例4]
反応温度を40℃とした以外は、比較例3と同様の操作を行った。

0149

[比較例5]
反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドの代わりにN,N−ジメチルアセトアミドを使用した以外は、比較例4と同様の操作を行った。

0150

以上の実施例1〜11および比較例1〜5の結果を表1に示す。

0151

以上の通り、前記分岐アルコール含む反応溶媒を使用することにより、前記エーテル副生物の生成を抑制できた。また、前記分岐アルコール含む反応溶媒を使用し、反応温度を10〜30℃とすることにより、前記異性体の生成割合を抑制することもできた(実施例1)。さらに、反応温度を40〜60℃とするか、さらに極性溶媒を含む反応溶媒を使用することにより、前記異性体の副生を抑制しつつ、ベンズイミダゾール誘導体の転化率を高くすることができるため、目的物の収率を高くすることができた(実施例2、4)。

0152

[比較参考例1]
(比較例1のエーテル副生物の合成(確認))
2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸メチルエステルを仕込まず、反応温度を50℃とし、5時間とした以外は、比較例1と同様の操作を行った。反応後、得られた反応液を濾過し、濾過液活性炭処理、さらに、セライト濾過した。この濾過液を減圧濃縮し得られた固体を、酢酸エチルを加えて結晶化することにより、4’−メトキシメチル−2−シアノ−1,1’−ビフェニル(770mg、収率72.2%)を得た。本品のHPLCの保持時間は、比較例1のHPLCの不純物ピークの保持時間と一致した。
Mp;79℃。
IR(KBr);3437,2888,2224,1595,1481,1381,1197,1093,960,824,770 cm-1。
1H−NMR(CDCl3);δ3.44(s,3H),δ4.53(s,2H),δ7.42−7.78(m,8H)。

0153

(原料化合物にテトラゾリルビフェニル化合物を使用した例)
[実施例12]
2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸メチルエステル(1.0g、4.54mmol、「ベンズイミダゾール誘導体」)、炭酸カリウム(1.25g、9.05mmol、「塩基」)、5−[4’−(ブロモメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル]−1−(トリフェニルメチル)−1H−テトラゾール(3.04g、5.45mmol、「テトラゾリルビフェニル化合物」)、及び反応溶媒としてイソプロピルアルコール20mlを25℃で混合し、40℃(反応温度)にて24時間撹拌した。反応液を冷却後、イソプロピルアルコールを約15ml留去した後、水20mlを添加しクロロホルムで抽出を行った。得られた有機相をHPLCで測定したところ、ベンズイミダゾール誘導体の転化率は31%であった。

0154

エーテル副生物(4’−(2−プロポキシ)メチル−2−トリフェニルメチルテトラゾール−1,1’−ビフェニル)は無かった(0%(0area%))。目的物:異性体=91%(area%):9%(area%)であった。

0155

[実施例13]
反応溶媒としてイソプロピルアルコールの代わりに2−ブタノール(20mL)を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行った。

0156

[実施例14]
反応溶媒としてイソプロピルアルコールの代わりに2−ブタノール(16mL)およびN,N−ジメチルアセトアミド(4mL)を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行った。

0157

[実施例15]
反応溶媒としてイソプロピルアルコールの代わりに2−ペンタノール(20mL)を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行った。

0158

[実施例16]
反応溶媒としてイソプロピルアルコールの代わりに3−ペンタノール(20mL)を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行った。

0159

[実施例17]
反応溶媒としてイソプロピルアルコールの代わりにt−ブタノール(20mL)を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行った。

0160

[実施例18]
反応溶媒としてイソプロピルアルコールの代わりに1−メトキシ−2−プロパノール(20mL)を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行った。

0161

[実施例19]
反応溶媒としてイソプロピルアルコールの代わりに1−エトキシ−2−プロパノール(20mL)を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行った。

0162

[実施例20]
反応溶媒としてイソプロピルアルコールの代わりに1−ブトキシ−2−プロパノール(20mL)を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行った。

0163

[比較例6]
反応溶媒としてイソプロピルアルコールの代わりにメタノール(20mL)を用いた以外は、実施例12と同様な方法にて反応を行った。その結果、目的物を1.26g(収率40%)得た。目的物:異性体=92%:8%であった。

0164

[比較例7]
反応溶媒としてメタノールの代わりにエタノール(20mL)を使用した以外は、比較例6と同様の操作を行った。(20mL)
[比較例8]
反応溶媒としてメタノールの代わりにN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)を使用した以外は、比較例6と同様の操作を行った。

0165

[比較例9]
反応溶媒としてメタノールの代わりにN,N−ジメチルアセトアミド(20mL)を使用した以外は、比較例6同様の操作を行った。

0166

以上の実施例12〜20および比較例6〜9の結果を表2に示す。

0167

[実施例21]
実施例13で得られた2−エトキシ−1−[2’−[1−トリフェニルメチル−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸メチルエステル(カンデサルタン中間体)1g(1.43mmol)を1NNaOH水溶液6mlとエタノール20mlとの混合溶媒中、70℃で3時間撹拌した。反応液を冷却後、反応液に、1N HCl 6mlを入れた氷水を徐々に加えた。塩化メチレンで抽出を行い、乾燥、ろ過後、濃縮を行い、トリチルカンデサルタン(式(6)で示される化合物)の粗体を固形物として0.89g(1.30mmol)得た。

0168

得られたトリチルカンデサルタンの粗体0.8g(0.12mmol)をジメチルホルムアミド8mlに溶解し、さらに炭酸カリウム0.19g(0.14mmol)及びシクロヘキシル1−ヨードエチルカーボナート0.46g(0.22mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗浄、乾燥後、溶媒を留去し、トリチルカンデサルタンシレキセチル(式(7)で示される化合物)の粗体を残渣として得た。

実施例

0169

得られた残渣をメタノール20mlに溶解させ、1N HCl 4mlを加え室温で1時間撹拌した。反応液を濃縮後、水を加え酢酸エチルで抽出し、得られた有機相を水洗、乾燥を行った。その後溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、カンデサルタンシレキセチルを白色固体として0.35g(0.057mmol、収率49%)得た。

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