図面 (/)

技術 炭化水素液体燃料の製造方法

出願人 株式会社レボインターナショナル
発明者 傳慶一東裕一郎荘所大策
出願日 2017年1月31日 (3年3ヶ月経過) 出願番号 2018-520347
公開日 2019年4月25日 (1年0ヶ月経過) 公開番号 WO2017-208497
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 金属融点 超微粒子金属 高圧ガス設備 廃オイル mm粒子 定量液体 物理吸着量 当初計画
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年4月25日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題・解決手段

接触水素化分解触媒の存在下で、水素供給圧力を0.1〜1.0MPaとし、原料油の液量の液空間速度を0.05〜10.0hr-1とし、及び原料油1Lあたりの水素の流量を50〜3,000NLとして、原料油を接触水素化分解して炭化水素液体燃料を製造する方法であって、該接触水素化分解触媒が、硫黄化合物と分解触媒とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程1)、工程1で得られた固形物と金属成分とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程2)、工程2で得られた固形物を焼成する工程(工程3)、及び工程3で得られた固形物を還元するか、又は工程3で得られた固形物を還元した後、硫化処理を行う工程(工程4)、を含む方法によって調製される、炭化水素液体燃料を製造する方法。本発明により、所定の処方にて油脂類およびバイオマス乾留油、または石油中炭化水素等の原料油を、常圧程度の低圧水素の供給で接触水素化分解することが達成できる。

概要

背景

再生可能であり、かつカーボンニュートラルにより二酸化炭素を排出する量を低減する観点から、バイオマスから炭化水素を製造することが注目されており、液体燃料とすることが望まれている。

現在バイオマスを原料とする燃料は、脂肪酸メチルエステルデイーゼル燃料として実用化されている。しかしながら、脂肪酸メチルエステルは、油脂をメチルエステル化する工程において、副産物として原料である油脂の10%程度のグリセリンが生じ、このグリセリンの完全な除去が困難で燃料品質も低下する。また低温流動性の観点からも、脂肪酸メチルエステルは粘度が大きいので問題がある。また脂肪酸メチルエステルは、炭素鎖不飽和結合基を持ち酸化安定性が悪い。このように脂肪酸メチルエステルは品質に問題を残している。

次の世代の炭化水素液体燃料として、バイオマス原料油を触媒存在下、水素高温高圧の下で反応させ油脂のアルキル鎖を炭化水素とするものが考えられているが、実用化されている石油燃料製造のための技術すなわち高温高圧の水素化分解技術を踏襲したものに留まっている(特許文献1および非特許文献1)。これらの文献によれば、2〜5MPaの高圧が必要とされており、常圧ではほとんど反応は進行しないと推定でき常圧の実験結果は記載されていない。特許文献1では好ましい圧力として1〜5MPaを推奨している。特に参考にすべき当該分野の研究は非特許文献1であり、触媒がシリカアルミナ担持したNi、Moであり、原料油脂ジャトロファ油で、加圧固定床式反応装置(1〜8Mpa)を用いて実験しているが常圧の実験結果は記載されていない。

その他には、油脂類ガス化し、そのガスからフィッシャートロップシュ合成を経由して炭化水素を製造することも考えられている。これらは石油原料の場合の工程と同様で参考にはなるが高温高圧技術である。

上記の文献などでの油脂類の接触水素化処理方法は、水素化により油脂類の不飽和結合基を飽和化し、酸素を除去するとともに油脂類のトリグリセライドが分解されるものである。水素化脱酸素反応においては、高温高圧の下、触媒存在でトリグリセライドと水素から、水素化脱水反応脱カルボニル反応と脱二酸化炭素反応により、パラフィン系炭化水素、水、プロパンなどが生成する。

例えば、触媒として水素化脱硫触媒、油脂類として精製パーム油を使用し、反応圧力6MPa、反応温度260℃以上で、パーム油が分解し、85%程度の軽油留分、10%の水、5%のガス(二酸化炭素、メタン、プロパン)が生成することが開示されている。得られた生成物は、炭素数15〜炭素数18の直鎖炭化水素で構成され、軽油に近い物性を有しているとされている(非特許文献2)。しかしながら、N−パラフィンが主成分であるため低温流動性に欠けることや、その他燃料としての特性を十分満足させるものではない。

一方、石油中の炭化水素に対する接触水素化分解技術は、ほぼ完成の域にあり実用化がなされているのは周知である。成書(非特許文献3)によれば、分解触媒としてゼオライト系固体酸触媒白金などの貴金属を添加した触媒が用いられ、高温高圧下の反応で、ナフサ灯油、軽油などが生成されるとされている。この際、炭素鎖の分解の他に、環化脱水素化、脱水素化、異性化が起こり発熱量、オクタン価セタン価など燃料に要求される物性が付与される。白金の触媒への添加で、上記諸反応で水素の不足に起因する触媒上の炭素生成高圧水素で抑制され触媒寿命が実用に耐え得るとされている。しかしながら完全な炭素生成が抑制されるわけではなく触媒寿命に限界がある。より長寿命の触媒開発が望まれている。

概要

接触水素化分解触媒の存在下で、水素の供給圧力を0.1〜1.0MPaとし、原料油の液量の液空間速度を0.05〜10.0hr-1とし、及び原料油1Lあたりの水素の流量を50〜3,000NLとして、原料油を接触水素化分解して炭化水素液体燃料を製造する方法であって、該接触水素化分解触媒が、硫黄化合物と分解触媒とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程1)、工程1で得られた固形物と金属成分とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程2)、工程2で得られた固形物を焼成する工程(工程3)、及び工程3で得られた固形物を還元するか、又は工程3で得られた固形物を還元した後、硫化処理を行う工程(工程4)、を含む方法によって調製される、炭化水素液体燃料を製造する方法。本発明により、所定の処方にて油脂類およびバイオマス乾留油、または石油中の炭化水素等の原料油を、常圧程度の低圧水素の供給で接触水素化分解することが達成できる。

目的

再生可能であり、かつカーボンニュートラルにより二酸化炭素を排出する量を低減する観点から、バイオマスから炭化水素を製造することが注目されており、液体燃料とすることが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

接触水素化分解触媒の存在下で、水素供給圧力を0.1〜1.0MPaとし、原料油の液量の液空間速度を0.05〜10.0hr−1とし、及び水素の流量と原料油の流量との比率を原料油1Lあたり水素を50〜3,000NLとして、原料油を接触水素化分解して炭化水素液体燃料を製造する方法であって、該接触水素化分解触媒が、チオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素及びチオアセトアミドからなる群より選択される1種以上の硫黄化合物と分解触媒とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程1)、工程1で得られた固形物と少なくとも一種類の金属成分とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程2)、工程2で得られた固形物を焼成する工程(工程3)、及び工程3で得られた固形物を還元するか、又は工程3で得られた固形物を還元した後、硫化処理を行う工程(工程4)、を含む方法によって調製される、炭化水素液体燃料を製造する方法。

請求項2

原料油が、菜種油綿実油パーム油ココナツ油、ヒマワリ油大豆油米油、油ヤシ油ココヤシ油ジャトロファ油オリーブ油廃食油ダーク油動物油バイオマス乾留油軽油又は軽油の炭素数より多い石油中炭化水素成分、及び各種廃オイルからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の炭化水素液体燃料を製造する方法。

請求項3

分解触媒が、シリカ、シリカ−アルミナゼオライト、シリカ−ジルコニア、アルミナ−ジルコニア及びチタニアからなる群より選択される1種以上の固体酸である、請求項1又は2に記載の炭化水素液体燃料を製造する方法。

請求項4

金属が、白金ルテニウムパラジウムイリジウムニッケル、鉄、コバルトモリブデンレニウム、銅及びマグネシウムからなる群より選択される1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化水素液体燃料の製造方法。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化水素液体燃料を製造する方法によって製造された炭化水素液体燃料。

請求項6

原料油を接触水素化分解することにより炭化水素液体燃料を製造するための装置であって、少なくとも、原料油及び水素ガス供給部、反応部並びに反応生成物回収部から構成され、該反応部には、チオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素及びチオアセトアミドからなる群より選択される1種以上の硫黄化合物と分解触媒とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程1)、工程1で得られた固形物と少なくとも一種類の金属成分とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程2)、工程2で得られた固形物を焼成する工程(工程3)、及び工程3で得られた固形物を還元するか、又は工程3で得られた固形物を還元した後、硫化処理を行う工程(工程4)、を含む方法によって製造される接触水素化分解触媒が存在する、炭化水素液体燃料製造装置

技術分野

0001

本発明は、原料油、例えば油脂類およびバイオマス乾留油、または石油中炭化水素等を接触水素化分解することにより得られる、低温流動性に優れ耐酸化性を有する等の液体燃料として優れた炭化水素液体燃料、該炭化水素液体燃料の製造方法、及び該炭化水素液体燃料の製造装置に関する。

背景技術

0002

再生可能であり、かつカーボンニュートラルにより二酸化炭素を排出する量を低減する観点から、バイオマスから炭化水素を製造することが注目されており、液体燃料とすることが望まれている。

0003

現在バイオマスを原料とする燃料は、脂肪酸メチルエステルデイーゼル燃料として実用化されている。しかしながら、脂肪酸メチルエステルは、油脂をメチルエステル化する工程において、副産物として原料である油脂の10%程度のグリセリンが生じ、このグリセリンの完全な除去が困難で燃料品質も低下する。また低温流動性の観点からも、脂肪酸メチルエステルは粘度が大きいので問題がある。また脂肪酸メチルエステルは、炭素鎖不飽和結合基を持ち酸化安定性が悪い。このように脂肪酸メチルエステルは品質に問題を残している。

0004

次の世代の炭化水素液体燃料として、バイオマス原料油を触媒存在下、水素高温高圧の下で反応させ油脂のアルキル鎖を炭化水素とするものが考えられているが、実用化されている石油燃料製造のための技術すなわち高温高圧の水素化分解技術を踏襲したものに留まっている(特許文献1および非特許文献1)。これらの文献によれば、2〜5MPaの高圧が必要とされており、常圧ではほとんど反応は進行しないと推定でき常圧の実験結果は記載されていない。特許文献1では好ましい圧力として1〜5MPaを推奨している。特に参考にすべき当該分野の研究は非特許文献1であり、触媒がシリカアルミナ担持したNi、Moであり、原料油脂ジャトロファ油で、加圧固定床式反応装置(1〜8Mpa)を用いて実験しているが常圧の実験結果は記載されていない。

0005

その他には、油脂類をガス化し、そのガスからフィッシャートロップシュ合成を経由して炭化水素を製造することも考えられている。これらは石油原料の場合の工程と同様で参考にはなるが高温高圧技術である。

0006

上記の文献などでの油脂類の接触水素化処理方法は、水素化により油脂類の不飽和結合基を飽和化し、酸素を除去するとともに油脂類のトリグリセライドが分解されるものである。水素化脱酸素反応においては、高温高圧の下、触媒存在でトリグリセライドと水素から、水素化脱水反応脱カルボニル反応と脱二酸化炭素反応により、パラフィン系炭化水素、水、プロパンなどが生成する。

0007

例えば、触媒として水素化脱硫触媒、油脂類として精製パーム油を使用し、反応圧力6MPa、反応温度260℃以上で、パーム油が分解し、85%程度の軽油留分、10%の水、5%のガス(二酸化炭素、メタン、プロパン)が生成することが開示されている。得られた生成物は、炭素数15〜炭素数18の直鎖炭化水素で構成され、軽油に近い物性を有しているとされている(非特許文献2)。しかしながら、N−パラフィンが主成分であるため低温流動性に欠けることや、その他燃料としての特性を十分満足させるものではない。

0008

一方、石油中の炭化水素に対する接触水素化分解技術は、ほぼ完成の域にあり実用化がなされているのは周知である。成書(非特許文献3)によれば、分解触媒としてゼオライト系固体酸触媒白金などの貴金属を添加した触媒が用いられ、高温高圧下の反応で、ナフサ灯油、軽油などが生成されるとされている。この際、炭素鎖の分解の他に、環化脱水素化、脱水素化、異性化が起こり発熱量、オクタン価セタン価など燃料に要求される物性が付与される。白金の触媒への添加で、上記諸反応で水素の不足に起因する触媒上の炭素生成高圧水素で抑制され触媒寿命が実用に耐え得るとされている。しかしながら完全な炭素生成が抑制されるわけではなく触媒寿命に限界がある。より長寿命の触媒開発が望まれている。

0009

特開2011−148909号公報

先行技術

0010

第6回新エネルギーシンポジウム(2011年3月11日) “植物油からのバイオ軽油(BHD)の製造” (独)産業技術総合研究所 劉、田、稲葉、高原
小山ら“自動車燃料のための植物油の水素化処理工程”SAEpaper, No.2007-01-2030(2007) 1-6
新しい触媒化学第2班池ら 三共出版1997年

発明が解決しようとする課題

0011

従って本発明の課題は、油脂類およびバイオマス乾留油、または石油中の炭化水素等の原料油を接触水素化分解することにより、低温流動性や酸化安定性および燃料としての燃焼効率着火定性などが灯油もしくは軽油に相当する液体燃料や、その製造方法を提供することにある。さらに本発明の課題は、その製造装置を経済的に提供することにある。さらに本発明の課題は、従来より低い供給圧力水素ガスを供給しても液体燃料が製造可能な触媒や、かかる触媒を用いた製造方法および製造装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、各種の炭化水素液体燃料の原料を、新規に工夫された触媒の存在下、常圧ないし1.0MPa以下の低圧で、接触水素化分解を行うことにより、灯油あるいは軽油相当の液体燃料を経済的に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。

0013

即ち、本発明の要旨は、
〔1〕接触水素化分解触媒の存在下で、
水素の供給圧力を0.1〜1.0MPaとし、
原料油の液量の液空間速度を0.05〜10.0hr−1とし、及び
水素の流量と原料油の流量との比率を原料油1Lあたり水素を50〜3,000NLとして、
原料油を接触水素化分解して炭化水素液体燃料を製造する方法であって、
該接触水素化分解触媒が、
チオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素及びチオアセトアミドからなる群より選択される1種以上の硫黄化合物と分解触媒とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程1)、
工程1で得られた固形物と少なくとも一種類の金属成分とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程2)、
工程2で得られた固形物を焼成する工程(工程3)、及び
工程3で得られた固形物を還元するか、又は工程3で得られた固形物を還元した後、硫化処理を行う工程(工程4)、
を含む方法によって調製される、
炭化水素液体燃料を製造する方法;
〔2〕前記〔1〕に記載の炭化水素液体燃料を製造する方法によって製造された炭化水素液体燃料;並びに
〔3〕原料油を接触水素化分解することにより炭化水素液体燃料を製造するための装置であって、少なくとも、原料油及び水素ガス供給部、反応部並びに反応生成物回収部から構成され、
該反応部には、
チオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素及びチオアセトアミドからなる群より選択される1種以上の硫黄化合物と分解触媒とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程1)、
工程1で得られた固形物と少なくとも一種類の金属成分とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程2)、
工程2で得られた固形物を焼成する工程(工程3)、及び
工程3で得られた固形物を還元するか、又は工程3で得られた固形物を還元した後、硫化処理を行う工程(工程4)、
を含む方法によって製造される接触水素化分解触媒が存在する、
炭化水素液体燃料製造装置;に関する。

発明の効果

0014

本発明によれば、所定の処方にて油脂類およびバイオマス乾留油、または石油中の炭化水素等の原料油を、常圧程度の低圧水素の供給で接触水素化分解することが達成できる。かかる方法によって得られた炭化水素液体燃料は、灯油および軽油相当品であり、本発明によればかかる燃料を経済的に製造することができる。

図面の簡単な説明

0015

図1は、触媒Aとゼオライトの細孔の分布を示すグラフである。
図2は、触媒Bとゼオライトの細孔の分布を示すグラフである。
図3は、本発明の炭化水素液体燃料製造装置の概略図である。
図4は、反応生成物の凝縮成分クロマトグラムである。

0016

1.炭化水素液体燃料の製造方法
本発明の炭化水素液体燃料の製造方法は、
接触水素化分解触媒の存在下で、
水素の供給圧力を0.1〜1.0MPaとし、
原料油の液量の液空間速度を0.05〜10.0hr−1とし、及び
水素の流量と原料油の流量との比率を原料油1Lあたり水素を50〜3,000NLとして、
原料油を接触水素化分解して炭化水素液体燃料を製造する方法であって、
該接触水素化分解触媒が、
チオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素及びチオアセトアミドからなる群より選択される1種以上の硫黄化合物と分解触媒とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程1)、
工程1で得られた固形物と少なくとも一種類の金属成分とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程2)、
工程2で得られた固形物を焼成する工程(工程3)、及び
工程3で得られた固形物を還元するか、又は工程3で得られた固形物を還元した後、硫化処理を行う工程(工程4)、
を含む方法によって調製される、
炭化水素液体燃料を製造する方法である。

0017

本発明における原料油としては、限定されるわけではないが、菜種油綿実油、パーム油、ココナツ油、ヒマワリ油大豆油米油、油ヤシ油ココヤシ油、ジャトロファ油、オリーブ油などの油脂類から選ばれる1種以上であることが好ましい。さらには藻類からの油脂や動物油も好ましい。また天ぷら油使用済み廃食油は、現状ではより好ましい。油脂加工プロセスから出るダーク油、さらには動物油も利用可能である。バイオマス乾留油は剪定材などの廃木材を原料としたものであり、本発明における原料油に包含される。石油中の炭化水素も本発明における原料油に包含され、軽油および軽油より炭素数の多い成分、および各種廃オイルが挙げられる。原料油は1種類から構成されていてもよく、複数の種類から構成されていても良い。

0018

炭化水素液体燃料の製造の際の反応操作の一例を説明する。本発明においては、所定の反応条件の下、水素とともに原料油を、特定の触媒を充填した触媒層を通過させることにより生成油を得るものである。
処理する際の水素の供給圧力は、0.1〜1.0MPaであり、0.8MPa以下が好ましく、0.1〜0.5MPaがより好ましい。1.0MPaを超える圧力では、法令上、高圧ガス設備規制を受けるので、経済的に望ましくなくなる。より好ましいのは常圧または製造装置の圧力損失に見合って所定の水素流量を保持できる圧力である。水素の供給圧力が上記の下限値に満たない場合には、反応性が低下したり活性が急速に低下したりする傾向がある。
なお、低圧水素の場合、炭化物前駆体初期炭素重合物)は、水素不足で生じる傾向があるので、水素添加が好ましい。水素添加は熱力学的に水素の加圧系が有利であり、高圧水素は意味があるが、通常の油脂の水素添加(二重結合基の飽和化)が0.2〜0.8Mpaで可能であることを考えれば、高くても0.8Mpa程度の低圧水素で炭化物前駆体の水素添加を実施することができる。

0019

原料油の流量を所定の値に設定する。具体的には前記原料油の流量を液空間速度0.05〜10.0hr−1に設定する。好ましくは0.1〜5.0hr−1であり、より好ましくは1〜2hr−1である。本発明において、液空間速度は低いほど反応に有利な傾向にあるが、上記の下限値未満の場合は、極めて大きな内容積反応器が必要となり過大な設備投資が必要となる傾向があり、他方、液空間速度が上記の上限値を超える場合は、反応が十分に進行しなくなる傾向がある。

0020

水素流量と原料油の流量の比率は、原料油1Lあたり水素を50〜3,000NL(ノルマルリットル)に設定する。好ましくは、原料油1Lあたり水素を100〜2,000NLとする。水素と原料油との比率が上記の下限値に満たない場合には、反応性が低下したり活性が急速に低下したりする傾向がある。他方、当該比率が上記の上限値を超える場合には、水素供給機等の過大な設備投資が必要となる傾向がある。

0021

接触水素化分解触媒は、公知の反応管等の反応器に充填されることが好ましい。反応器の形式としては、固定床方式を採用することができる。水素は原料油に対して向流又は並流のいずれの形式を採用することができる。また、複数の反応器を用いて、向流、並流を組み合せた形式としてもよい。一般的な形式としては、ダウンフローであり、気液双並流形式を採用することができる。また、反応器は単独又は複数を組み合せてもよく、一つの反応器内部を複数の触媒床区分した構造を採用してもよい。

0022

反応温度すなわち前記原料油と水素を保持する温度は、好ましくは200〜500℃である。200℃未満では原料種類によって所望の反応が進行しない場合があり、500℃を超えると原料油の炭素生成が進行し触媒寿命が短くなる傾向がある。反応温度としては、より好ましくは250〜500℃、さらに好ましくは300〜450℃である。

0023

反応器内で接触水素化分解された成分を、例えば気液分離工程や精留工程等を経て所定の留分を含有する炭化水素液体燃料に分画することができる。かかる処理によって軽油又は灯油に相当する炭化水素液体燃料を製造することができる。なお、原料油に含まれている酸素分硫黄分の反応に伴って水、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素等が発生する可能性があるが、複数の反応器の間や生成物回収工程に気液分離設備やその他の副生ガス除去装置を設置して、これらの成分を除去することができる。
このようにして、軽油又は灯油に相当する炭化水素液体燃料を製造することができる。

0024

2.接触水素化分解触媒
本発明の炭化水素液体燃料の製造方法は、接触水素化分解触媒の存在下に原料油、例えば油脂類およびバイオマス乾留油、または石油中の炭化水素と低圧の水素ガスとを反応させることで達成される。該触媒は、例えば以下のような方法、即ち、
硫黄化合物と分解触媒とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程1)、
工程1で得られた固形物と少なくとも一種類の金属成分とを水系媒体中で撹拌し、固液分離する工程(工程2)、
工程2で得られた固形物を焼成する工程(工程3)、及び
工程3で得られた固形物を還元するか、又は工程3で得られた固形物を還元した後、硫化処理を行う工程(工程4)、
を含む方法によって調製することができる。

0025

工程1〜工程4の触媒調製は、例えば、予め反応管にゼオライトを充填しておき、順次、工程1から工程4の処理を、調整液などを循環接触させた後液抜き、および熱処理などガス接触を行うなどを繰り返すIn situ方式で行うのが、工業的には好ましく推奨される。

0026

工程1では、硫黄化合物と分解触媒とを水系媒体中で撹拌し、固液分離が行われる。
例えば、蒸留水100gに対して、分解触媒を好ましくは5〜30g、より好ましくは10〜20g、硫黄化合物を好ましくは3〜15g、より好ましくは5〜10g適用し、これらを常温(例えば15〜25℃)で撹拌する。撹拌時間としては、好ましくは6〜24時間、より好ましくは12〜24時間である。次いで、常法によって固液分離を行い、固形物を回収する。固液分離の際に、固形物を複数回水で洗浄しても構わない。

0027

本発明における分解触媒は限定されないが、触媒担体として機能する固体酸が好ましく、シリカ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、シリカ−ジルコニア、アルミナ−ジルコニア及びチタニアからなる群より選択される1種以上の固体酸がより好ましいものとして推奨される。ゼオライトとは結晶中に微細孔を有するアルミノケイ酸塩であり、Y型ゼオライト、X型ゼオライト、ZSMゼオライトなどが好ましい。中でもY型ゼオライトの細孔径が最も大きく分解目的のより大きな分子が浸入しやすく細孔内を有効に使用できるので、本発明ではより好ましい。

0028

これらの固体酸の粒径としては、0.01〜3.0mmのものが好ましく、0.03〜3.0mmのものがより好ましい。粒子サイズが0.01mmより小さくなると、触媒層の圧力損失が過大になり、また飛散する触媒の量が増す傾向にあって好ましくない。また粒子サイズが3mmより大きくなると、触媒間に空間ができるので、油脂が通ることができるが、粒子が大きい分、単位体積当り表面積が小さいので、接触効率が悪くなる傾向にあり好ましくない。工業的利用の場合は触媒粒子の取り扱い(ハンドリング)の点で、0.5〜3mm粒子径のものがより好ましく採用される。

0029

油脂のトリグリセライド部位はアルカリ触媒および水素化金属触媒で水素ガスの下、脱カルボニル反応、脱炭酸反応、水素化脱水反応により分解される。炭素鎖の切断による低分子化分解、脱水素反応異性化反応及び環化反応など、灯油もしくは軽油への燃料改質で要求される反応は、固体酸のブレンステッド酸点により生起されるカルニームイオンによって進行する(上記非特許文献3)。したがって、上記二点を満足させるためには固体酸を金属触媒担体として機能させ、金属触媒を担持させることが前記諸反応に対応する必要条件である。したがって触媒担体は、固体酸であり、アルミナの塩基点を有するシリカ−アルミナやゼオライトが好適である。

0030

ゼオライトは細孔径も小さく比表面積が大きくなるので好ましい。しかしながら、油脂類の場合、分子の大きさは約40Å程度で例えばY型ゼオライトの細孔径は大略最大10Åであり、ゼオライトの触媒作用は分解初期段階では、有効に働くのは触媒粒子の外表面に限られる。しかしながら、細孔内に金属触媒超微粒子充満させるように多くの金属を担持させれば、水素は細孔内に素早く浸入する(細孔入口分解ガス気体が存在するので気相である)ので、該金属触媒により水素は解離されて活性な水素が多く発生する。白金族金属は水素の解離に有用で、ニッケルは活性なスピルオーバー水素を伝達する。ゼオライトの分解活性点の酸点は炭化水素の分解反応時、重合などにより重質な炭化水素種(カーボン)が生成して活性を失うのであるが、活性なスピルオーバー水素によって再生が繰り返され、結果的に炭素析出が抑制される。また、活性なスピルオーバー水素は固体酸のブレンステッド酸受容されるので(日本吸着学会 Adsorption News Vol.25, No2 (July 2011)、服部 英触媒45、327(2003))、ゼオライト内部から外表面に伝達すると推定される。全体として、ゼオライト粒子表面で、油脂の分解、水素化が促進される。多量の活性水素がゼオライト粒子の内部から表面に供給されるので、分解による水素不足で炭素が生成することを抑制する。かくして、1MPa以下の低圧水素でも炭素生成が抑制され効率よく触媒機能が発揮される。

0031

化学工学的考察によれば、触媒粒子表面は液膜で覆われており、水素は液に溶解し溶解水素拡散して金属触媒に到達せねばならない。水素の溶解度は極少で、水素移動抵抗になり高圧水素が必要になるのである。本発明における接触水素化分解触媒は、細孔内部から酸点を通じて金属触媒に到達するので、水素は常圧でも十分に供給されると推定できる。

0032

しかしながら、ゼオライト等の細孔内により多くの金属粒子を担持させる手段は、従来より知られていなかった。本発明者らは、以上の推定、考察にしたがって、触媒構造を実現すべく鋭意研究した結果、新規な触媒調製法を発明するに至った。

0033

本発明で使用される硫黄化合物としては、チオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素及びチオアセトアミドからなる群より選択される1種以上が挙げられる。

0034

工程2では、工程1で得られた固形物と少なくとも一種類の金属成分とを水系媒体中で撹拌し、固液分離が行われる。
例えば、蒸留水100gに対して、工程1で得られた固形物を好ましくは5〜30g、より好ましくは10〜20g、金属成分を好ましくは0.2〜5.0g、より好ましくは0.3〜3.0g適用し、これらを常温(例えば15〜25℃)で撹拌する。撹拌時間としては、好ましくは2〜8時間、より好ましくは4〜8時間である。次いで、常法によって固液分離を行い、固形物を回収する。固液分離の際に、固形物を複数回水で洗浄しても構わない。複数の金属を適用する場合、金属成分を混合して適用しても良く、一種の金属成分について撹拌、固液分離を行った後、別の金属成分について撹拌、固液分離を行っても良い。

0035

金属成分としては、白金、ルテニウムパラジウムイリジウム、ニッケル、鉄、コバルトモリブデンレニウム、銅及びマグネシウムから選ばれる1種以上の金属であることが好ましい。油脂原料の場合、エステル部の分解および水素化には銅を添加させることが効果的である。Cuはアルカリ金属性質も備えているので脱炭酸反応に効果を示し、またCuの酸化還元反応の効果で脱酸素を通して水を発生してエステル部の分解に寄与する。したがって、Cuの添加が推奨される。またアルカリ触媒による脱炭酸反応を考慮すると酸化マグネシウムが効果があることから、マグネシウムを添加しておくことが推奨される。さらに、工程4において還元後に硫化処理を行う場合、モリブデンを添加することが好ましい。従って、ニッケルと、貴金属中でも安価なルテニウムと、そして銅あるいはマグネシウムとの複合が機能性および経済性でさらに好ましく、さらにモリブデンを使用することがより好ましい。

0036

工程3では、工程2で得られた固形物の焼成が行われる。固形物の焼成は、最初に水素(ガス)で焼成し、次いで空気で焼成することが好ましい。
工程2で得られた固形分を乾燥し、水素ガス中で、好ましくは150〜300℃で熱処理する。より好ましい温度は200〜250℃である。この水素ガス中での熱処理時間は1〜5時間行うのが好ましい。しかる後、空気中で好ましくは300〜500℃で焼成する。より好ましい温度は、350〜450℃である。この空気中での熱処理時間は1〜5時間行うのが好ましい。

0037

このような焼成工程の推定メカニズムは次の通りである。
水素下での熱処理で金属イオンメタル化し硫黄分が硫黄粒子となる。両者が原子状クラスター粒子の混合物となる。空気下の焼成で、有機物が分解飛散し、硫黄粒子もSO2となって飛散し、クラスターサイズの空隙を持つ金属触媒成分の超微粒子が生成される。空気中で500℃を超える熱処理では、金属融点の1/3の温度を超えるので、多くの場合、熱拡散による凝集がおこる可能性が大きく、前記クラスターサイズの空隙が消滅する傾向にあり望ましくない。

0038

この空隙を持つラネーニッケ型の触媒粒子は、凝集してもその粒子サイズは、ゼオライト細孔径にあるので10Å以下の大きさにとどまり、金属粒子の比表面積は大きいままに保たれる。

0039

工程4では、工程3で得られた固形物の還元が行われる。固形物の還元は、水素(ガス)の存在下で加熱することで達成できる。
加熱の際の温度は、前記空気焼成の場合と同様に、500℃以下が好ましく、450℃以下がより好ましい。一方加熱温度の下限値としては、250℃が好ましく、300℃がより好ましい。処理時間は好ましくは1〜5時間である。

0040

あるいは、工程3で得られた固形物の還元を行った後、硫化処理を行う方法も、工程4の選択肢の一つである。この場合の固形物の好ましい還元条件は、前記と同じである。このような硫化処理によって、触媒寿命のより長期化が可能となるため好ましい。

0041

還元処理が行われた後の固形物の硫化処理は、例えば、固形物と硫化水素含有水素とを接触させることによって実施することができ
具体的には、硫化水素を好ましくは1〜5体積%含有する水素ガス中で、好ましくは300〜400℃で固形物を熱処理する。硫化処理の処理時間は1〜3時間であることが好ましい。ガス流量は、例えば、1〜10NL/時間が好適である。

0042

本明細書における工程1〜4の推定メカニズムは以下の通りである。
原料成分の分解、改質(異性化、脱水素など)に伴い、ゼオライト酸点に炭素物質蓄積して活性が低下するが、その原因は、活性水素不足であり、そのまた原因は、活性水素を発生させる金属が熱などで凝集(シンタリング)を起こして、表面積が小さくなり、活性水素発生の能力減退するからである。従って、触媒の活性低下を防止するためには、その根本原因を除くこと、即ち、以下に詳述するように金属超微粒子を多量に存在させること、及び/又は金属超微粒子を凝集させないことが根本対策となる。

0043

(1)金属超微粒子を高分散で多量に存在させる方法
公知の金属イオン含侵法では、高分散を目的にすると担持量が多くすることが困難になり、1質量%程度以下の金属の担持量に適しているが(上記非特許文献3)、本発明に係る上記の方法では、高分散で担持量を大きくすることが可能であり、金属の担持量を好ましくは3〜30質量%とすることができる。本発明において、接触水素化分解触媒における金属の担持量としては、より好ましくは3〜25質量%であり、さらに好ましくは5〜20質量%である。該担持量は、例えば、工程2における金属成分の適用量を適宜調整することによって所望の範囲に設定することができる。金属成分が複数の場合、金属の担持量は各金属成分の合計量となる。
なお、錯体金属イオン(例えば金属アンミン錯体イオンなど)をイオン交換法で担持することも可能であるが、工程が複雑であり経済的でない。それに上記のクラスターサイズの空隙を持つ超微粒子金属を作成することは不可能である。

0044

(2)金属超微粒子の凝集を防止する方法
工程2において空気焼成することにより、さきの硫黄化合物は酸化分解し、硫黄は二酸化硫黄として飛散する。その結果、硫黄粒子の後にクラスターサイズの空隙が生ずる。金属成分として予めモリブデンを添加しておけば、モリブデン超微粒子も存在している。水素化分解反応に使用する前に、硫化処理をすれば、硫黄と親和性の大きいモリブデンは硫化モリブデンMoS2となって、該クラスターサイズの空隙に存在しうる。このMoS2は金属ナノ粒子集団の内部に存在し、金属同士の凝集を阻止するクサビの役目をすると推定される。しかも該金属ナノ粒子集団はナノサイズ以下のゼオライト内部領域内に存在しているので、金属粒子は凝集が進んだとしても1ナノ以上に成長することはなく金属の性能劣化は生じない。すなわち活性水素発生能力は一定に保持される。

0045

しかしながら長時間の水素化分解反応継続の結果、炭素が徐々に蓄積し許容されない程度に分解反応効率が低下した場合は、炭素除去が必要になる。触媒から炭素除去を行う場合、空気などで、酸化除去を行うのが推奨される。酸化除去を行うことで、クラスターサイズ空隙においてモリブデンは脱硫酸化でMoO3になるが、再び硫化水素/水素ガスの処理でMoS2に再生すると考えられる。したがって、本発明における接触水素化分解触媒は、金属微粒子の凝集を抑制しながら炭素の除去ができる触媒の再生操作が可能になるという優れた使用性を有する。

0046

粒子内元素分散の解析はICP発光分析等で可能であるが、より簡便な分析法を採用して解析することも可能である。

0047

本発明における接触水素化分解触媒は、エステル部を持たないバイオマス乾留油および石油中の炭素水素の燃料改質反応(分解、脱水素、異性化、環化反応)にも対応できる触媒である。したがって、本発明における触媒は、油脂原料にかぎらずバイオマス原料や、さらには石油中の炭化水素の燃料改質触媒と広く応用できるものである。

0048

本発明における接触水素化分解触媒は、分解触媒を担体として、金属粒子が担体表面だけでなく担体内部にも担持されている構造を有すると推定される。従って、接触水素化分解触媒の比表面積と、金属粒子が担持される前の分解触媒の比表面積とを比較すると、前者はより少なくなっている。従って、本発明における接触水素化分解触媒の一つの態様として、接触水素化分解触媒の比表面積と金属粒子が担持される前の分解触媒の比表面積の比率(即ち、〔接触水素化分解触媒の比表面積(m2/g)〕/〔金属粒子が担持される前の分解触媒の比表面積(m2/g)〕)が0.50〜0.95であることが好ましく、0.55〜0.85であることがより好ましい。この比率が小さいほど、金属粒子がより多く担持されていると言うことができる。接触水素化分解触媒や分解触媒の比表面積は、実施例に記載のBET法を利用して求めることができる。

0049

本発明における接触水素化分解触媒のBET比表面積は、例えば、150m2/g以上が好ましく、250m2/g以上がより好ましく、400m2/g以上がさらに好ましく、1200m2/g以下が好ましく、1000m2/g以下がより好ましく、800m2/g以下がさらに好ましい。

0050

本発明の特徴の一つは、比較的低コストで発明を実施できる点にある。石油原料系の技術を、本発明分野の各種原料油にそのまま適用するという考えもあるが、白金などの高価な貴金属の触媒への使用や、高圧水素を使用することなどは、特にバイオマス原料を対象にする場合は地産地消型の燃料製造装置が重要なので、経済的に受容されるための問題となる。接触水素化分解は高温高圧水素を使用することが前提のように解釈され、そうすることによりはじめて可能であるというのが技術通念として常識化しているのが実情であり、したがって本発明における触媒は当該プロセスを低圧化しその合理化に多大の影響をあたえるものと考えている。

0051

3.炭化水素液体燃料及び炭化水素液体燃料製造装置
本発明の炭化水素液体燃料は、本発明の炭化水素液体燃料の製造方法によって製造されたことを特徴とする。得られた炭化水素液体燃料は、沸点や炭素数の観点から軽油又は灯油に相当する炭化水素の混合物であり、燃料としての価値が高い。

0052

本発明の炭化水素液体燃料製造装置は、原料油を接触水素化分解することにより炭化水素液体燃料を製造するための装置であって、原料油の供給手段、水素ガスの供給手段、原料油の流量と水素ガスの流量を調節する手段を備え、さらに、供給された原料油と供給された水素ガスを、接触水素化分解触媒存在下で反応させる反応部を備えた炭化水素液体燃料製造装置である。さらに、本発明の炭化水素液体燃料製造装置には、必要に応じて、水素ガス製造装置反応終了物蒸留分離する生成物分離装置等がさらに備えられていることが好ましい。

0053

以下、図3を参照しつつ本発明の炭化水素液体燃料製造装置をより具体的に説明する。
本発明の製造装置は、(1)原料油及び水素ガス供給部、(2)反応部並びに(3)反応生成物回収部の少なくとも三部から構成される。(1)の原料油及び水素ガス供給部では、原料油はライン1から液供給ポンプ2を通して反応管7の上部に、水素はライン3から水素ガス流量調節ユニット4を通して反応管7の上部(好ましくは原料油供給箇所の下流)に供給される。(2)の反応部では、内部中央に温度計5が設置された反応管7は、温度計6を備えた電気加熱炉8で加熱および温度調節が行われる。(3)の反応生成物回収部では、反応管7の下部から排出される気液混合物凝縮器9で冷却され、次いで気液分離装置10に導かれる。凝縮物受器11で主に水分が回収される。生成炭化水素および未反応物冷却機能を備えた凝縮物受器12に蓄えられる。凝縮物受器12からは未反応水素ガスおよびガス状の炭化水素が排出される(ガス状炭化水素は別の装置で水素ガスと分離され、燃料などとして使用される。)。凝縮物受器12の内容物は別の蒸留装置で、軽油又は灯油相当の炭化水素と未反応物(高沸点物)に分離される。

0054

本発明の炭化水素液体燃料製造装置の反応部には、上記の工程1〜工程4を含む方法によって製造される接触水素化分解触媒が存在する。かかる触媒によって、0.1〜1.0MPaという低圧の供給圧力で水素ガスを供給しても、軽油相当又は灯油相当の炭化水素液体燃料を容易に製造することができる。

0055

水素ガス製造装置は、例えば、本発明の炭化水素液体燃料製造装置において生成物から分離された低沸点ガス状物リサイクル原料供給部、または都市ガスの供給部を備えた、水蒸気改質反応装置(例えば、ルテニウム−アルミナ触媒を有する装備)が挙げられる。

0056

生成物分離を行うための生成物分離装置は、例えば常圧または減圧蒸留塔を採用することができる。低沸点ガス状物質は水素ガス製造装置にリサイクルされる。また、軽油相当分は、灯油相当分が多く所望される場合は接触水素化分解装置にリサイクル供給されて灯油相当分に変換してもよい。

0057

生成物分離装置、すなわち蒸留塔下部から排出される高沸点物は、燃焼用燃料として回収し、全体装置に必要な熱源に利用するために燃焼エネルギー回収装置に供給してもよい。

0058

以下、本発明を実施例等に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例等に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例等で用いた材料の詳細は次の通りである。
ゼオライト(Y型ゼオライト、商品名:360HUDIA、東ソー社製、粒径:粉砕品250〜600μm)
硝酸ニッケル(硝酸ニッケル(II)六水和物和光純薬株式会社製)
硝酸ルテニウム(商品名:トリニトラトシルルテニウム(II)硝酸溶液、和光純薬株式会社製)

0059

[触媒の調製]
製造例1
多量の金属をゼオライト細孔内に充填する目的で、ゼオライト100質量部に対してNiを9質量部、Ruを3質量部(計12質量部)含有させた。

0060

[チオ尿素添加]
ゼオライトのチオ尿素処理を次の手順で行った。
ゼオライトを15g用意した。これとは別に、チオ尿素7.0gを蒸留水100gに溶解させた。次いで、300mLナスフラスコに両者を投入した。
エバポレーターにこのナスフラスコを取り付け、常温で24時間攪拌した(攪拌混合中に10回程度減圧処理した)。攪拌終了後固液分離し、得られた固形物を蒸留水100gにより水洗した。さらに固液分離とこの水洗を3回繰り返して、粉末を得た。得られた粉末に蒸留水100gを加えたものをaとした。

0061

ゼオライトの金属処理を次の手順で行った。
[ルテニウム添加]
N4O10Ruの硝酸溶液(濃度52%)の2.7g(Ruとして0.45g)を蒸留水25gで希釈した。次いで、上記のaの全量(固形物は22.0g)とこのルテニウム溶液とを混合し、エバポレーターにて常温で4時間攪拌した。その後上記と同様に固液分離と水洗を繰り返して粉末を得た。得られた粉末に蒸留水100gを加えたものをbとした。
[ニッケル添加]
Ni(NO3)2・6H2Oの6.6g(Niとして1.32g)を蒸留水25gに溶解させた。次いで、上記のbの全量(固形物は22.45g)とこのニッケル溶液とを混合し、エバポレーターにて常温で4時間攪拌した。その後上記と同様に固液分離と水洗を繰り返して粉末を得、cとした。

0062

触媒仕上げは次の手順で行った。
[自然乾燥]
cをろ紙に広げ、24時間かけて自然乾燥させた。得られた粉末をdとした。
[反応管充填]
上記のdを20cc反応管に充填した。充填後の反応管をeとした。
[水素通気焼成]
上記のeに水素通気を4時間行った。通気中、反応管を200℃に加熱した。加熱後の反応管をfとした。
[空気通気 焼成]
上記のfに空気通気を4時間行った。通気中、反応管を400℃に加熱した。加熱後の反応管をgとした。
[水素通気還元]
上記のgに水素通気を4時間行った。通気中、反応管を350℃に加熱した。加熱後の反応管をhとし、反応管h中から粉末を取り出して、触媒Aを得た。

0063

比較例1
チオ尿素処理を行わなかったこと以外は製造例1と同じ方法で調製した。具体的には、濃度15質量%のゼオライトの水系スラリーを製造例1におけるaに相当するものとして、以後の操作を製造例1と同様に行い、触媒Bを調製した。

0064

[触媒の分析]
上記触媒A及び触媒Bにおけるゼオライトの細孔に、金属がどの程度充満しているかについて、以下のように分析した。
触媒A、触媒B及び触媒の製造に使用したゼオライトのそれぞれについて、Micrometrics社製ASAP2020を用いて、BET比表面積及び細孔の分布を測定した。それぞれの比表面積を表1に示し、細孔の分布を示すグラフを図1及び図2に示した。なお、図1及び図2では、ゼオライトの細孔の分布を実線で示し、触媒A(製造例1)及び触媒B(比較例1)の細孔の分布を実線で示した。

0065

0066

触媒Aの比表面積は484m2/gであり、ゼオライトの628m2/gと比較して低下していたことが分かった。即ち、〔接触水素化分解触媒の比表面積(m2/g)〕/〔金属粒子が担持される前の分解触媒の比表面積(m2/g)〕=0.77であった。さらに図1から、触媒Aでは細孔が減少していることが確認された。

0067

上記の細孔比表面積の減少から、細孔に金属がどの程度の容積で充満しているかについて、下記のように、幾何学的におおよその計算を行った。
ブランク細孔半径をR、金属が担持されて平均的に細孔の壁がカバーされて細孔半径rに減少したと仮定する。Lを細孔長さとして、
比表面積の比、即ち2πrL/2πRL=484/628=約0.77となるので、r=0.77Rとする。
細孔容積の比、即ちπr2L/πR2L=(r/R)2=0.772=約0.59。
即ち、触媒Aの細孔容積の40%程度が金属で占められている計算になる。

0068

細孔容積の40%が金属で占められているとすると、細孔容積と金属見かけ比重とによって表2のように金属の担持質量%が計算される。

0069

0070

金属担持量合計に関しては、外比で12質量%であった。
上記表2によると、細孔容積0.2〜0.4cm3/g、金属比重1〜2の条件で矛盾はおこらない(金属が多孔質の場合、その比重が1〜2となることもあり得るからである。)。
以上、このような分析により、触媒Aにおいては大略細孔容積の40%が金属で占められている。即ち、当初計画した程度の細孔内への金属充填が達せられた。

0071

次いで、図1及び図2で示される細孔分布について検討した。
図1より、触媒Aでは、ゼオライトのみの場合に比べて細孔が減少していることが分かった。その減少分は分布曲線の差を積分したものに相当し、明らかに有意な量であると言えた。即ち、図1から、触媒Aにおいては目的通り細孔内に金属を浸入(担持)させることに成功していることが分かった。

0072

一方、触媒Bについて検討すると、表1から、得られた比較例1の触媒Bの比表面積は621m2/gであり、ゼオライトの628m2/gと比較してほとんど違いは見られなかった。さらに図2より、ゼオライトの細孔部分布と触媒B(比較例1)のそれとは同等であり、このことから触媒Bの細孔内には金属がほとんど浸入(担持)していないことが示された。従って、触媒Bの細孔には金属の浸入(担持)が殆どないことが示唆された。

0073

この解析により、大量添加のNi金属についての解釈が可能となった。一方、比較例1の方法では、ゼオライトの細孔への金属担持が難しいことが明らかになった。ゼオライト細孔が小さすぎるために、触媒Bでは浸入(担持)できたとしても細孔入口の極近傍に限られることが推定できた。

0074

さらに、触媒A、触媒B及び触媒の製造に使用したゼオライトのそれぞれについて、SEM-EDS(HITACHI製、SU3500)を用い、それらの粒子の表面の元素分析を行った。触媒Aは、上記のようにその細孔内にNi及びRuが十分に細孔内に浸透していると推定されたため、この分析により、その影響が表面元素分析値に現れているかどうかを検討した。

0075

製造例1及び比較例1では、ともに最終段階で固液分離を行い、表面に物理吸着している金属は洗い流されているものと考えられた。
ここでは少量添加のRuに注目すると、製造例1で得られた触媒Aでは、元素分析結果から、Ruが0.37%存在することが確認された。一方、比較例1で得られた触媒Bでは、元素分析の結果から、Ruは0.09%しか存在していないことが分かった。このことは、細孔に浸入(担持)したRuのゼオライト表面極近傍の内部での化学吸着量の現れであり、比較例1の物理吸着量の表面元素分析値0.09%の4倍多く存在することが観察された。
上より、製造例1の方が比較例1よりもRuが多く検出していることから、ゼオライト内部の細孔内に金属が担持されていることが分かる。

0076

[反応成績]
実施例1
炭化水素液体燃料製造装置として、図3に示すような構成の常圧の固定床流通式反応装置を用い、反応管7内部に触媒(20cc)を充填し、1段階反応で油脂類の接触水素化分解反応を行った、反応器としては内径10.22mm、触媒充填長さ244mmの反応管7を用い、触媒層には熱電対を中心に設置し、触媒層の温度を実測した。
反応器は、電気加熱炉8により温度調節を行い、反応生成物は、常温水冷却器で冷却した後、凝縮成分の分離を行った。凝縮物受器(炭化水素)12に回収された液体成分のガスクロトグラフィー分析を行った。水素流量は、流量制御弁で制御した。原料油である油脂類の供給は定量液体ポンプで行った。

0077

反応条件は以下の通りであった。
原料:市販の食用菜種油(SHOWAキャノーラ油
触媒:ゼオライト330、Ni 3質量%、Ru 1質量%、Cu 1質量%(粒径250〜600μm)
触媒に関しては、製造例1で示したように、金属触媒を外比12質量%までは、ゼオライト細孔内に充満できることが確認できた。よって、ゼオライトの炭素鎖の分解能と水素化能のバランスを考慮して、外比でNi:3質量%、Ru:1質量%、さらに最適化を期するため銅を1質量%の計5質量%が十分に細孔内に充填できる触媒設計を行い、製造例1と同様に調製した。
反応温度:450℃、
水素(ガス)の供給圧力:常圧(0.102MPa)
LHSV=1.85(原料油供給量L/Hr/触媒L)
原料油流量:37ミリリットル/Hr
水素流量:7200ノルマルミリリットル/Hr
(即ち、原料油1Lあたり、水素ガスの流量は194.6NLであった。)

0078

反応生成物の凝縮成分の炭化水素収率(反応生成物の蒸留分離)は、炭化水素(灯油、軽油相当品)として77質量%であった。残りの23質量%は、高沸点残渣及び付着ロスであった。なお、反応後の凝集物には凝集物に対して数体積%の水分が観察されたので、分層分離した(定量的には、界面が不明確のため測定できなかった。明らかな水分のみを分離した)。この水分は油脂のエステル部位の分解で酸素が水素化されて水分に変換したものである。このように、本発明の方法によれば、常圧水素で油脂の接触水素化分解が達成されることが確認された。

実施例

0079

つぎに、反応生成物の凝縮成分をガスクロマトグラフィー分析した。結果を図4に示す。この結果から、得られた凝縮成分は灯油と軽油の混合物相当の炭化水素であることが分かった。すなわち、炭素鎖の分解が進行していることが確かめられた。
本触媒では、常圧水素下でも分解に伴う炭素生成が抑制され触媒劣化もなく、連続定常運転が可能であった(即ち、反応テストで8時間の連続運転を達成することができた。反応中、水素の供給圧力に変動なく炭素生成による触媒層の通気抵抗に変わりはなかった。反応終了後、触媒を取り出して観察したところ、炭素による粒子融着も全く観察されず、触媒は元の粒状の形態を保持していた。)。
かかる凝縮成分はそのまま燃料として使用することが可能である。さらに反応条件の最適化(温度、LHSV、水素供給量、圧力1MPa以下など)及び触媒調製の最適化(モリブデン添加/硫化処理)を行うことで、炭素数に加えて、軽油、灯油の特性により近づけることができ、触媒寿命の工業的な長期化を達成できる。分留すれば、灯油相当品、軽油相当品が別個に得られる。

0080

本発明の製造方法で得られた炭化水素液体燃料は、軽油相当の燃料又は灯油相当の燃料として好適に用いることができる。

0081

1ライン
2液供給ポンプ
3 ライン
4水素ガス流量調節ユニット
5温度計
6 温度計
7反応管
8電気加熱炉
9凝縮器
10気液分離装置
11凝縮物受器(水分)
12 凝縮物受器(炭化水素)

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

この 技術と関連性が強い技術

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い法人

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い人物

該当するデータがありません

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ