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技術 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

出願人 京セラドキュメントソリューションズ株式会社
発明者 清水智文岡田英樹
出願日 2017年4月27日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2018-519157
公開日 2019年3月28日 (7ヶ月経過) 公開番号 WO2017-203931
状態 特許登録済
技術分野 電子写真における感光体 電子写真における乾式現像 電子写真一般。全体構成、要素
主要キーワード 高温乾燥機 炭酸カルシウム層 付着成分 芳香族単環炭化水素 添加モル数 中間層用樹脂 総電気量 非金属酸化物
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この項目の情報は公開日時点(2019年3月28日)のものです。
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図面 (7)

課題・解決手段

電子写真感光体(1)は、導電性基体(2)と感光層(3)とを備える。感光層(3)は、電荷発生剤電子輸送剤とを含有する単層型感光層(3c)である。電子輸送剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含む。感光層(3)と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量は、+7.0μC/g以上である。一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立して、ハロゲン原子等を表す。m、n及びYは、各々、明細書中のm、n及びYと同義である。

化1】

概要

背景

電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)は、電子写真方式画像形成装置に用いられる。感光体としては、例えば、積層型感光体又は単層型感光体が用いられる。積層型感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層型感光層を備える。

特許文献1に記載の感光体は、感光層を備える。感光層は、例えば、化学式(E−1)で表される化合物を含有する。

概要

電子写真感光体(1)は、導電性基体(2)と感光層(3)とを備える。感光層(3)は、電荷発生剤電子輸送剤とを含有する単層型感光層(3c)である。電子輸送剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含む。感光層(3)と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量は、+7.0μC/g以上である。一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立して、ハロゲン原子等を表す。m、n及びYは、各々、明細書中のm、n及びYと同義である。

目的

本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、形成画像における白点の発生を抑制可能な電子写真感光体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

導電性基体感光層とを備える電子写真感光体であって、前記感光層は、電荷発生剤電子輸送剤とを含有する単層の感光層であり、前記電子輸送剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含み、前記感光層と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの前記炭酸カルシウムの帯電量は、+7.0μC/g以上である、電子写真感光体。(前記一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子を少なくとも1個有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基、ハロゲン原子を少なくとも1個有し、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、ハロゲン原子を少なくとも1個有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又はハロゲン原子を少なくとも1個有する炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表し、m及びnは、各々独立して、0以上5以下の整数を表し、m及びnの両方が0を表すことはなく、Yは、−CO−O−CH2−、−CO−又は−CO−O−を表す。)

請求項2

前記一般式(1)中、mは0を表し、Yは、−CO−O−CH2−又は−CO−を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。

請求項3

前記一般式(1)中、R2は、ハロゲン原子を表し、mは、0を表し、nは、1又は2を表し、Yは、−CO−O−CH2−又は−CO−を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。

請求項4

前記一般式(1)中、Yは、−CO−O−CH2−を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。

請求項5

前記一般式(1)中、nは2を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。

請求項6

前記一般式(1)で表される化合物は、下記化学式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)又は(1−5)で表される化合物である、請求項1に記載の電子写真感光体。

請求項7

前記感光層は、正孔輸送剤を更に含有し、前記正孔輸送剤は、下記一般式(2)で表される化合物を含む、請求項1に記載の電子写真感光体。(前記一般式(2)中、R21〜R26は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、r、s、v及びwは、各々独立して、0以上5以下の整数を表し、t及びuは、各々独立して、0以上4以下の整数を表す。)

請求項8

前記感光層は、バインダー樹脂を更に含有し、前記一般式(1)で表される化合物の含有量は、100質量部の前記バインダー樹脂に対して、20質量部以上40質量部以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。

請求項9

前記感光層は、バインダー樹脂を更に含有し、前記バインダー樹脂は、下記一般式(3)で表される樹脂を含む、請求項1に記載の電子写真感光体。(前記一般式(3)中、R31〜R36は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、但し、R35及びR36は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表してもよく、p+q=1.00であり、0.00≦p≦0.90である。)

請求項10

請求項1に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ

請求項11

請求項1に記載の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備え、前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を帯電し、前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成し、前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像し、前記転写部は、前記トナー像を前記電子写真感光体から記録媒体へ転写し、前記転写部が前記トナー像を前記電子写真感光体から前記記録媒体へ転写するときに、前記電子写真感光体は前記記録媒体と接触している、画像形成装置

請求項12

前記現像部は、前記電子写真感光体と接触しながら、前記静電潜像を前記トナー像として現像する、請求項11に記載の画像形成装置。

請求項13

前記現像部は、前記電子写真感光体の前記表面を清掃する、請求項11に記載の画像形成装置。

請求項14

前記帯電部は、帯電ローラーである、請求項11に記載の画像形成装置。

請求項15

前記帯電部は、前記電子写真感光体の前記表面を正極性に帯電する、請求項11に記載の画像形成装置。

技術分野

0001

本発明は、電子写真感光体プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。

背景技術

0002

電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。感光体としては、例えば、積層型感光体又は単層型感光体が用いられる。積層型感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層型感光層を備える。

0003

特許文献1に記載の感光体は、感光層を備える。感光層は、例えば、化学式(E−1)で表される化合物を含有する。

0004

先行技術

0005

特開2008−156302号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、特許文献1に記載の化学式(E−1)で表される化合物を含む感光層を備える感光体には、形成画像における白点の発生を抑制することについて、いまだ改善の余地が残されている。

0007

本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、形成画像における白点の発生を抑制可能な電子写真感光体を提供することである。また、本発明の目的は、このような電子写真感光体を備えることで、形成画像における白点の発生を抑制可能なプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明の電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備える。前記感光層は、電荷発生剤電子輸送剤とを含有する単層の感光層である。前記電子輸送剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含む。前記感光層と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの前記炭酸カルシウムの帯電量は、+7.0μC/g以上である。

0009

0010

前記一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子を少なくとも1個有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基、ハロゲン原子を少なくとも1個有し炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、ハロゲン原子を少なくとも1個有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又はハロゲン原子を少なくとも1個有する炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表す。m及びnは、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。m及びnの両方が0を表すことはない。Yは、−CO−O−CH2−、−CO−又は−CO−O−を表す。

0011

本発明のプロセスカートリッジは、上述の電子写真感光体を備える。

0012

本発明の画像形成装置は、上述の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を帯電する。前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記トナー像を前記電子写真感光体から記録媒体へ転写する。前記転写部が前記トナー像を前記電子写真感光体から前記記録媒体へ転写するときに、前記電子写真感光体は前記記録媒体と接触している。

発明の効果

0013

本発明の電子写真感光体によれば、形成画像における白点の発生を抑制することができる。また、本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、このような電子写真感光体を備えることで、形成画像における白点の発生を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す断面図である。
本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す断面図である。
本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す断面図である。
感光層と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量を測定する方法を説明するための図である。
本発明の実施形態に係る電子写真感光体を備える画像形成装置の構成の一例を示す図である。
本発明の実施形態に係る電子写真感光体に含有される化学式(1−1)で表される化合物の1H−NMRスペクトルである。

0015

以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。

0016

以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。更に、反応式(r−a)〜(r−d)及び(r−a1)〜(r−d1)で表される反応の各々を、反応(r−a)〜(r−d)及び(r−a1)〜(r−d1)と記載することがある。一般式(1)、(2)、(A)、(B)、(B’)、(B’’)、(C)、(D)、(F)、(G)で表される化合物の各々を、化合物(1)、(2)、(A)、(B)、(B’)、(B’’)、(C)、(D)、(F)、(G)と記載することがある。化学式(1−1)〜(1−5)、(2−1)、(CGM−1)、(CGM−2)、(A−1)〜(A−3)、(B−1)〜(B−5)、(C−1)〜(C−5)、(D−1)〜(D−5)、(E−1)〜(E−2)、(F−1)及び(G−1)で表される化合物の各々を、(1−1)〜(1−5)、(2−1)、(CGM−1)、(CGM−2)、(A−1)〜(A−3)、(B−1)〜(B−5)、(C−1)〜(C−5)、(D−1)〜(D−5)、(E−1)〜(E−2)、(F−1)及び(G−1)と記載することがある。

0017

以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基及び炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。

0018

ハロゲン原子(ハロゲン基)は、例えば、フッ素原子フルオロ基)、塩素原子クロロ基)、臭素原子ブロモ基)又はヨウ素原子ヨード基)である。

0019

炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例としては、メチル基エチル基プロピル基イソプロピル基n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基イソペンチル基、ネオペンチル基又はヘキシル基が挙げられる。

0020

炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基又はオクチル基が挙げられる。

0021

炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、非置換である。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基又はシクロデシル基が挙げられる。

0022

炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基の例としては、フェニル基ナフチル基アントリル基又はフェナントリル基が挙げられる。

0023

炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基が結合した炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。

0024

<1.感光体>
本実施形態は感光体に関する。本実施形態に係る感光体は、導電性基体と感光層とを備える。

0025

以下、図1A図1Cを参照して、感光体1の構造について説明する。図1A図1Cは、本実施形態に係る感光体1の一例を示す断面図である。

0026

図1Aに示すように、感光体1は、例えば、導電性基体2と感光層3とを備える。感光体1には、感光層3として、単層の感光層(以下、単層型感光層と記載する)3cが備えられる。感光体1は、単層型感光層3cを備えるいわゆる単層型感光体である。

0027

図1Bに示すように、感光体1は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、中間層4(下引き層)とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と単層型感光層3cとの間に設けられる。図1Aに示すように、感光層3は導電性基体2上に直接設けられてもよいし、図1Bに示すように、感光層3は導電性基体2上に中間層4を介して間接的に設けられてもよい。

0028

図1Cに示すように、感光体1は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、保護層5とを備えてもよい。保護層5は、単層型感光層3c上に設けられる。

0029

単層型感光層3cの厚さは、単層型感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。単層型感光層3cの厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。

0030

感光層3としての単層型感光層3cは、電荷発生剤と電子輸送剤としての化合物(1)とを含有する。単層型感光層3cは、正孔輸送剤及びバインダー樹脂のうちの一以上を更に含有してもよい。単層型感光層3cは、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。電荷発生剤と、電子輸送剤と、必要に応じて添加される成分(例えば、正孔輸送剤、バインダー樹脂又は添加剤)とは、一層の感光層3(単層型感光層3c)に含有される。

0031

形成画像における白点の発生を抑制するためには、化合物(1)を含有する単層型感光層3cが、感光体1の最表面層として配置されることが好ましい。

0032

以上、図1A図1Cを参照して、感光体1の構造について説明した。次に、感光体の要素について説明する。

0033

<1−1.感光層>
感光層は、電子輸送剤として化合物(1)を含有する。感光層と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量(以下、炭酸カルシウムの帯電量と記載することがある)は、+7.0μC/g以上である。これにより、本実施形態の感光体には、以下の利点があると推測される。

0034

理解を容易にするために、形成画像に白点が発生する一因について説明する。画像形成において記録媒体(例えば、紙)と感光体とが接触するときに、記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)が感光体の表面に付着することがある。感光体の表面に記録媒体の微小成分が付着すると、画像形成の露光工程において感光体に露光された光を、その微小成分が遮ることがある。露光された光が微小成分によって遮られた部分は、感光体の表面電位が低下し難い。表面電位の低下が不十分な部分にはトナーが付着し難いため、形成画像に白点が発生する。

0035

ここで、画像形成において記録媒体(例えば、紙)と感光体とが接触するとき、記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)が感光体によって摩擦されて、微小成分が負極性又は所望の値より低い正極性に帯電することがある。しかし、本実施形態の感光体の感光層は、化合物(1)を含有する。化合物(1)はハロゲン原子を有し且つ所定の化学構造を有するため、電気陰性度が高い。微小成分と本実施形態の感光体とが接触し、電気陰性度が高い化合物(1)を含有する感光体によって微小成分が摩擦されたときに、微小成分が所望の値以上の正極性に帯電する傾向がある。画像形成の帯電工程で感光体の表面が正極性に帯電される場合、正極性に帯電された感光体の表面と、所望の値以上の正極性を帯びる微小成分とは電気的に反発する。微小成分の帯電量が大きな正の値になるほど、感光体の表面との電気的な反発は大きくなる。これにより、感光体の表面に微小成分が付着し難くなる。その結果、形成画像における白点の発生を抑制することができる。

0036

更に、化合物(1)は、Yで表される−CO−O−CH2−、−CO−又は−CO−O−の部位を有する。これらの部位は極性を有するため、極性基を有するバインダー樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)と化合物(1)との相溶性が向上する。相溶性が向上すると、均一な感光層を形成し易くなり、感光体の電気特性(以下、感度特性と記載する)が損なわれることを抑制することができる。

0037

上述のように、炭酸カルシウムの帯電量は、+7.0μC/g以上である。炭酸カルシウムは、記録媒体の微小成分の一例である紙粉の主成分である。炭酸カルシウムの帯電量が+7.0μC/g未満であると、感光体と記録媒体の微小成分とが摩擦したときの微小成分の正帯電性が不十分であり、形成画像に白点が発生し易くなる。炭酸カルシウムの帯電量は、+7.0μC/g以上+15.0μC/g以下であることが好ましく、+8.0μC/g以上+9.5μC/g以下であることがより好ましく、+9.0μC/g以上+9.5μC/g以下であることが一層好ましい。

0038

以下、図2を参照して、感光層3と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量を測定する方法を説明する。炭酸カルシウムの帯電量は、第一ステップ、第二ステップ、第三ステップ及び第四ステップを行うことにより測定される。第一ステップでは、感光層3を2個準備する。感光層3の一方が第一感光層30である。感光層3の他方が第二感光層32である。第一感光層30及び第二感光層32は、直径3cmの円形状である。第二ステップでは、0.007gの炭酸カルシウムを、第一感光層30の上に載せる。これにより、炭酸カルシウムで構成される炭酸カルシウム層24を形成する。続いて、炭酸カルシウム層24上に第二感光層32を載せる。第三ステップでは、温度23℃且つ相対湿度50%RHの環境下で、第二感光層32を固定したまま、回転速度60rpmで60秒間第一感光層30を回転させる。これにより、第一感光層30と第二感光層32との間で、炭酸カルシウム層24に含まれる炭酸カルシウムを摩擦して炭酸カルシウムを帯電させる。第四ステップでは、帯電させた炭酸カルシウムを、帯電量測定装置を用いて吸引する。吸引された炭酸カルシウムの総電気量Qと質量Mとを帯電量測定装置を用いて測定し、式Q/Mから炭酸カルシウムの帯電量を算出する。なお、炭酸カルシウムの帯電量は、具体的には、実施例に記載の方法で測定される。以上、図2を参照して、感光層3と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量を測定する方法を説明した。

0039

(電子輸送剤)
電子輸送剤は、化合物(1)を含む。電子輸送剤は、例えば、単層型感光層中で電子を輸送し、単層型感光層にバイポーラー(両極性)の特性を付与する。単層型感光層が電子輸送剤として化合物(1)を含有することにより、紙と感光体とが接触したときに、電気陰性度が高い化合物(1)を含有する感光体によって記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)が摩擦され、微小成分を所望の正の値に帯電させることができる。

0040

化合物(1)は、下記一般式(1)で表される。化合物(1)は、ナフトキノン誘導体である。

0041

0042

一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子を少なくとも1個有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基、ハロゲン原子を少なくとも1個有し炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、ハロゲン原子を少なくとも1個有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又はハロゲン原子を少なくとも1個有する炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表す。m及びnは、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。但し、m及びnの両方が0を表すことはない。よって、化合物(1)は、ハロゲン原子を必須に有する。Yは、−CO−O−CH2−、−CO−又は−CO−O−を表す。

0043

R1及びR2で表されるハロゲン原子(ハロゲン基)としては、塩素原子(クロロ基)又はフッ素原子(フルオロ基)が好ましい。

0044

R1及びR2で表される炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましい。R1で表される炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、ハロゲン原子を少なくとも1個有する。R1で表される炭素原子数1以上8以下のアルキル基が有するハロゲン原子は、塩素原子(クロロ基)又はフッ素原子(フルオロ基)であることが好ましい。R1で表される炭素原子数1以上8以下のアルキル基が有するハロゲン原子の数は、1個以上17個以下であることが好ましく、1個又は2個であることがより好ましい。

0045

R1及びR2で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。R1で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基は、ハロゲン原子を少なくとも1個有する。R1で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基が有するハロゲン原子は、塩素原子(クロロ基)又はフッ素原子(フルオロ基)であることが好ましい。R1で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基が有するハロゲン原子の数は、1個以上10個以下であることが好ましく、1個又は2個であることがより好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、ハロゲン原子に加えて、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を更に有してもよい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましい。

0046

R1及びR2で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、フェニル基を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましい。R1で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、ハロゲン原子を少なくとも1個有する。R1で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基が有するハロゲン原子は、塩素原子(クロロ基)又はフッ素原子(フルオロ基)であることが好ましい。R1で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基が有するハロゲン原子の数は、1個以上22個以下であることが好ましく、1個又は2個であることがより好ましい。

0047

R1及びR2で表される炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、ハロゲン原子を少なくとも1個有する。R1で表される炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基が有するハロゲン原子は、塩素原子(クロロ基)又はフッ素原子(フルオロ基)であることが好ましい。R1で表される炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基が有するハロゲン原子の数は、1個以上19個以下であることが好ましく、1個又は2個であることがより好ましい。

0048

m及びnは、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。但し、m及びnの両方が0を表すことはない。mとnとの和は、1以上10以下(即ち、1≦m+n≦10)であることが好ましく、1以上2下(即ち、1≦m+n≦2)であることがより好ましい。形成画像における白点の発生を好適に抑制するためには、mは0を表すことが好ましい。形成画像における白点の発生を好適に抑制するためには、nは、1又は2を表すことが好ましく、2を表すことがより好ましい。R1におけるハロゲン原子の数が多くなるほど、感光体によって記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)が摩擦されたときに、微小成分が感光体の帯電極性同極性で且つ大きな値の帯電量を有する傾向がある。

0049

一般式(1)中、R1の結合位置(置換位置)は特に限定されない。R1はフェニル基のオルト位メタ位及びパラ位の何れに結合してもよい。mが2以上5以下の整数を表す場合、複数のR1は互いに同一であってもよく異なっていてもよい。

0050

一般式(1)中、R2の結合位置(置換位置)は特に限定されない。R2はフェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合してもよい。nが2以上5以下の整数を表す場合、複数のR2は互いに同一であってもよく異なっていてもよい。nが1である場合、R2はフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。nが2である場合、R2がフェニル基のオルト位及びパラ位に結合すること、又はR2がフェニル基のメタ位及びパラ位に結合することが好ましい。

0051

Yは、−CO−O−CH2−、−CO−又は−CO−O−を表す。−CO−O−CH2−、−CO−及び−CO−O−のカルボニル基が、各々、一般式(1)中のナフトキノン部位と結合する。形成画像における白点の発生を好適に抑制するためには、Yは、−CO−O−CH2−又は−CO−を表すことが好ましい。形成画像における白点の発生を好適に抑制しつつ感光体の感度特性を向上させるためには、Yは、−CO−O−CH2−を表すことがより好ましい。

0052

形成画像における白点の発生を好適に抑制するためには、一般式(1)中のmが0を表し、Yが−CO−O−CH2−又は−CO−を表すことが好ましい。

0053

形成画像における白点の発生を好適に抑制するためには、一般式(1)中のmが0を表し、Yが−CO−O−CH2−又は−CO−を表し、R2がハロゲン原子を表し、nが1又は2を表すことがより好ましい。

0054

化合物(1)の具体例としては、化合物(1−1)〜(1−5)が挙げられる。化合物(1−1)〜(1−5)の各々は、下記化学式(1−1)〜(1−5)で表される。

0055

0056

[化合物(1)の製造方法]
化合物(1)は、例えば、下記の反応(r−a)〜(r−d)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。これらの反応以外に、必要に応じて適宜な工程が含まれてもよい。反応(r−a)〜(r−d)で示す反応式においてR1、R2、m、n及びYは、一般式(1)中のR1、R2、m、n及びYと同義である。反応(r−a)〜(r−d)で示す反応式において、Xはハロゲン原子を表す。

0057

0058

反応(r−a)では、後述する反応(r−b)で使用する化合物(B’)を製造する。化合物(B’)は、一般式(B)中のYが−CO−O−CH2−である化合物である。反応(r−a)では、1モル当量の化合物(F)と、1モル当量の化合物(A)とを反応させて、1モル当量の化合物(B’)を得る。1モルの化合物(F)に対して、1モル以上5モル以下の化合物(A)を添加することが好ましい。反応(r−a)の反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましい。反応(r−a)の反応時間は3時間以上10時間以下であることが好ましい。

0059

反応(r−a)には、脱水縮合剤が使用されてもよい。脱水縮合剤としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、水溶性カルボジイミド(WSCD)、ジフェニルリン酸アジドDPPA)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスジメチルアミノホスホニウム塩BOP)、ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム(PyBOP)、2−クロロ−4,6−ジメトキシトリアジン(CDMT)、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド又は2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物(MNBA)が挙げられる。脱水縮合剤の量は、1モルの化合物(F)に対して、1モル以上3モル以下であることが好ましい。

0060

反応(r−a)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテルクロロホルムジクロロメタンアセトン又は酢酸エチルが挙げられる。

0061

0062

反応(r−b)では、1モル当量の化合物(G)と、1モル当量の化合物(B)とを反応させて、1モル当量の化合物(C)を得る。反応(r−b)で使用される化合物(B)は、下記化合物(B’)、化合物(B’’)又は化合物(B’’’)である。化合物(B’)は、一般式(B)中のYが−CO−O−CH2−である化合物である。化合物(B’’)は、一般式(B)中のYが−CO−である化合物である。化合物(B’’’)は、一般式(B)中のYが−CO−O−である化合物である。化合物(B’)は、反応(r−a)によって合成することができる。化合物(B’’)及び(B’’’)は、公知の方法で合成されてもよく、市販品が使用されてもよい。

0063

0064

反応(r−b)では、1モルの化合物(G)に対して、1モル以上5モル以下の化合物(B)を添加することが好ましい。反応(r−b)の反応温度は70℃以上100℃以下であることが好ましい。反応(r−b)の反応時間は2時間以上6時間以下であることが好ましい。

0065

反応(r−b)には、塩基が使用されてもよい。塩基としては、例えば、ナトリウムアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシド)、金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム又は水素化カリウム)又はn−ブチルリチウムが挙げられる。塩基の量は、1モルの化合物(G)に対して、1モル以上2モル以下であることが好ましい。

0066

反応(r−b)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。

0067

0068

反応(r−c)では、塩基の存在下で、1モル当量の化合物(C)から1モル当量の化合物(D)を得る。反応(r−c)の反応温度は70℃以上100℃以下であることが好ましい。反応(r−c)の反応時間は2時間以上6時間以下であることが好ましい。

0069

反応(r−c)で使用される塩基としては、例えば、ナトリウムアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシド)、金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム又は水素化カリウム)又はn−ブチルリチウムが挙げられる。塩基の量は、1モルの化合物(G)に対して、1モル以上2モル以下であることが好ましい。

0070

反応(r−b)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。

0071

0072

反応(r−d)では、酸化剤の存在下で、1モル当量の化合物(D)から、1モル当量の化合物(1)を得る。反応(r−d)の反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましい。反応(r−d)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。

0073

反応(r−d)で使用される酸化剤としては、例えば、クロラニル又は過マンガン酸カリウムが挙げられる。酸化剤の量は、1モルの化合物(D)に対して、1モル以上3モル以下であることが好ましい。

0074

単層型感光層は、電子輸送剤として、化合物(1)のみを含有してもよい。また、単層型感光層は、化合物(1)に加えて、化合物(1)以外の電子輸送剤(以下、その他の電子輸送剤と記載することがある)を更に含有してもよい。その他の電子輸送剤の例としては、キノン系化合物ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントンジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸無水マレイン酸又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物ナフトキノン系化合物、ニトロアトラキノン系化合物又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。電子輸送剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。化合物(1)の含有量は、電子輸送剤の合計質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。

0075

電子輸送剤としての化合物(1)の含有量は、100質量部のバインダー樹脂に対して、20質量部以上40質量部以下であることが好ましい。化合物(1)の含有量が100質量部のバインダー樹脂に対して20質量部以上であると、感光体の感度特性を向上させ易い。化合物(1)の含有量が100質量部のバインダー樹脂に対して40質量部以下であると、感光層を形成するための溶剤に化合物(1)が溶解し易く、均一な感光層を形成し易くなる。

0076

(電荷発生剤)
感光層としての単層型感光層は、電荷発生剤を含有する。電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料ペリレン系顔料ビスアゾ顔料トリスアゾ顔料ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料トリフェニルメタン系顔料スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料又はキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0077

フタロシアニン系顔料としては、例えば、化学式(CGM−1)で表される無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(CGM−2)で表されるチタニルフタロシアニンヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。

0078

0079

0080

無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型又はY型結晶(以下、α型、β型又はY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのV型結晶が挙げられる。クロロガリウムフタロシアニンの結晶としては、クロロガリウムフタロシアニンのII型結晶が挙げられる。

0081

例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましい。感光層に正孔輸送剤として化合物(1)が含有される場合に感度特性を特に向上させるためには、電荷発生剤としてはY型チタニルフタロシアニンがより好ましい。

0082

Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。

0083

CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダー充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。

0084

短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。

0085

電荷発生剤の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上4.5質量部以下であることが特に好ましい。

0086

(正孔輸送剤)
単層型感光層は、例えば正孔輸送剤を含有する。正孔輸送剤としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、又はジ(アミノフェニルエテニルベンゼン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物オキサゾール系化合物イソオキサゾール系化合物チアゾール系化合物チアジアゾール系化合物イミダゾール系化合物ピラゾール系化合物又はトリアゾール系化合物が挙げられる。正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0087

正孔輸送剤の一例としては、化合物(2)が挙げられる。化合物(2)は、下記一般式(2)で表される。

0088

0089

一般式(2)中、R21〜R26は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。r、s、v及びwは、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。t及びuは、各々独立して、0以上4以下の整数を表す。

0090

一般式(2)中、R21〜R26は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。r、s、v及びwは、各々独立して、0又は1を表すことが好ましい。t及びuは、各々独立して、0又は1を表すことが好ましい。

0091

一般式(2)で表される化合物の具体例としては、化合物(2−1)が挙げられる。化合物(2−1)は下記化学式(2−1)で表される。

0092

0093

単層型感光層に含有される正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。

0094

(バインダー樹脂)
単層型感光層は、バインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂スチレンブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体ポリエチレン樹脂エチレン酢酸ビニル共重合体塩素化ポリエチレン樹脂ポリ塩化ビニル樹脂ポリプロピレン樹脂アイオノマー樹脂塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂ポリアミド樹脂ウレタン樹脂ポリスルホン樹脂ジアリルフタレート樹脂ケトン樹脂ポリビニルブチラール樹脂ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂エポキシ樹脂フェノール樹脂尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリレートエポキシ化合物アクリル酸付加物)又はウレタンアクリレートウレタン化合物のアクリル酸付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0095

これらの樹脂の中では、加工性機械的特性光学的特性及び耐摩耗性バランスに優れた単層型感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂の例としては、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂又はビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。ポリカーボネート樹脂としては、下記一般式(3)で表される樹脂(以下、樹脂(3)と記載することがある)が好ましい。

0096

0097

一般式(3)中、R31〜R36は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。但し、R35及びR36は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表してもよい。p+q=1.00であり、0.00≦p≦0.90である。

0098

一般式(3)中のR31〜R36が表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。

0099

一般式(3)中のR31〜R36が表す炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。

0100

一般式(3)中、R31、R32、R33及びR34は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は水素原子を表すことが好ましく、水素原子又はメチル基を表すことがより好ましく、水素原子を表すことが更に好ましい。R35及びR36は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表すことが好ましく、互いに結合してシクロヘキシリデン基を表すことがより好ましい。

0101

一般式(3)中、R31、R32、R33及びR34は、各々水素原子を表し、R35及びR36は、互いに結合してシクロヘキシリデン基を表すことが好ましい。一般式(3)中、R31、R32、R33及びR34は、各々水素原子を表し、R35及びR36は、互いに結合してシクロヘキシリデン基を表し、pは0.30以上0.70以下の数を表し、qは0.30以上0.70以下の数を表し、m+n=1.00であることがより好ましい。

0102

一般式(3)中、pが0.00であり、qが1.00であり、R33及びR34は、各々水素原子を表し、R35及びR36は、互いに結合してシクロヘキシリデン基を表すことも好ましい。

0103

樹脂(3)は、一般式(3a)で表される繰返し構造単位(以下、繰返し単位(3a)と記載することがある)と、一般式(3b)で表される繰返し構造単位(以下、繰返し単位(3b)と記載することがある)とを含む。なお、一般式(3a)中のR31及びR32は、各々一般式(3)中のR31及びR32と同義である。一般式(3b)中のR33、R34、R35及びR36は、各々一般式(3)中のR33、R34、R35及びR36と同義である。

0104

0105

0106

一般式(3)中、pは、樹脂(3)における繰返し単位(3a)と繰返し単位(3b)との合計物質量(モル数)に対する、繰返し単位(3a)の物質量(モル数)の比率モル分率)を表す。qは、樹脂(3)における繰返し単位(3a)と繰返し単位(3b)との合計物質量(モル数)に対する、繰返し単位(3b)の物質量(モル数)の比率(モル分率)を表す。0.00≦p≦0.70であることが好ましく、0.00≦p≦0.40であることがより好ましい。pが0.00であること、又は0.30≦p≦0.70であることも好ましい。

0107

樹脂(3)は、繰返し単位(3a)と繰返し単位(3b)とがランダムに共重合したランダム共重合体であってもよい。或いは、樹脂(3)は、繰返し単位(3a)と繰返し単位(3b)とが交互に共重合した交互共重合体であってもよい。或いは、樹脂(3)は、1以上の繰返し単位(3a)と、1以上の繰返し単位(3b)とが周期的に共重合した周期的共重合体であってもよい。或いは、樹脂(3)は、複数の繰返し単位(3a)からなるブロックと、複数の繰返し単位(3b)からなるブロックとが共重合したブロック共重合体であってもよい。

0108

樹脂(3)の具体例としては、下記化学式(3−1)又は(3−2)で表されるポリカーボネート樹脂が挙げられる。化学式(3−1)で表されるポリカーボネート樹脂は、一般式(3)中のpが0.00であり、qが1.00である樹脂である。化学式(3−1)で表されるポリカーボネート樹脂は、繰り返し単位(3b)のみによって構成される。化学式(3−2)で表されるポリカーボネート樹脂は、一般式(3)中のpが0.40であり、qが0.60である樹脂である。

0109

0110

0111

バインダー樹脂の粘度平均分子量は、25,000以上であることが好ましく、25,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が25,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、単層型感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、単層型感光層を形成し易くなる。

0112

バインダー樹脂の製造方法は、樹脂(3)を製造できれば、特に限定されない。樹脂(3)の製造方法の一例として、ポリカーボネート樹脂の繰返し単位を構成するためのジオール化合物ホスゲンとを縮重合させる方法(いわゆる、ホスゲン法)が挙げられる。より具体的には、例えば、一般式(3c)で表されるジオール化合物と、一般式(3d)で表されるジオール化合物と、ホスゲンとを、縮重合させる方法が挙げられる。なお、一般式(3c)中のR31及びR32は、各々一般式(3)中のR31及びR32と同義である。一般式(3d)中のR33、R34、R35及びR36は、各々一般式(3)中のR33、R34、R35及びR36と同義である。樹脂(3)の製造方法の別の例として、ジオール化合物とジフェニルカーボネートとをエステル交換反応させる方法も挙げられる。

0113

0114

0115

(添加剤)
単層型感光層は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤ラジカル捕捉剤、1重項消光剤又は紫外線吸収剤)、軟化剤表面改質剤増量剤増粘剤、分散安定剤、ワックスアクセプタードナー界面活性剤可塑剤増感剤又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール)、ヒンダードアミンパラフェニレンジアミンアリールアルカンハイドロキノンスピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物又は有機燐化合物が挙げられる。

0116

<1−2.導電性基体>
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウムモリブデンクロムカドミウムチタンニッケルパラジウムインジウムステンレス鋼又は真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。

0117

導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。

0118

<1−3.中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。

0119

無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタンアルミナ酸化ジルコニウム酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子又は非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。

0120

中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、添加剤を含有してもよい。中間層の添加剤の例は、感光層の添加剤の例と同じである。

0121

<1−4.感光体の製造方法>
感光体は、例えば、以下のように製造される。感光体は、単層型感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。単層型感光層用塗布液は、電荷発生剤、電子輸送剤及び必要に応じて添加される成分(例えば、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。

0122

単層型感光層用塗布液に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノールエタノールイソプロパノール又はブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサンオクタン又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼントルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン四塩化炭素又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。

0123

塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミルロールミルボールミルアトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。

0124

単層型感光層用塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。

0125

単層型感光層用塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法スプレーコート法スピンコート法又はバーコート法が挙げられる。

0126

単層型感光層用塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。

0127

なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。

0128

<2.画像形成装置>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る感光体1を備える画像形成装置100について説明する。図3に画像形成装置100の構成の一例を示す。

0129

画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置100は例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置100がカラー画像形成装置である場合、画像形成装置100は、例えばタンデム方式を採用する。以下、タンデム方式の画像形成装置100を例に挙げて説明する。

0130

画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部52とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。

0131

画像形成ユニット40は、感光体1と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。画像形成ユニット40の中央位置に、感光体1が設けられる。感光体1は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。感光体1の周囲には、帯電部42を基準として感光体1の回転方向上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48が設けられる。なお、画像形成ユニット40には、クリーニング部(不図示)及び除電部(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。

0132

帯電部42は、感光体1の表面を帯電する。帯電部42は、非接触方式又は接触方式である。非接触方式の帯電部42の例は、コロトロン帯電器又はスコロトロン帯電器である。接触方式の帯電部42の例は、帯電ローラー又は帯電ブラシである。

0133

画像形成装置100は、帯電部42として帯電ローラーを備えることができる。感光体1の表面を帯電するときに、帯電ローラーは感光体1と接触する。感光体1の表面に記録媒体P(例えば、紙)の微小成分(例えば、紙粉)が付着している場合には、接触した帯電ローラーによって微小成分が感光体1の表面に押圧される。これにより、感光体1の表面に微小成分が固着し易い。しかし、画像形成装置100は、微小成分の付着により引き起こされる白点の発生を抑制可能な感光体1を備えている。このため、画像形成装置100は、帯電部42として帯電ローラーを備える場合であっても、微小成分が感光体1の表面に固着し難く、形成される画像における白点の発生を抑制することができる。

0134

帯電部42は感光体1の表面を正極性に帯電することが好ましい。本実施形態の感光体1と記録媒体Pとが接触して摩擦されると、記録媒体Pは正極性に帯電する傾向がある。帯電部42によって感光体1の表面が正極性に帯電されると、感光体1の表面と、正極性に摩擦帯電される記録媒体Pとが、電気的に反発する。その結果、記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)が感光体1の表面に付着し難く、形成画像における白点の発生を好適に抑制することができる。

0135

露光部44は、帯電された感光体1の表面を露光する。これにより、感光体1の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。

0136

現像部46は、感光体1に形成された静電潜像にトナーを供給する。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。感光体1は、トナー像を担持する像担持体に相当する。トナーは、一成分現像剤として用いられてもよい。或いは、トナーと所望のキャリアとを混合して、トナーを二成分現像剤において用いてもよい。トナーが一成分現像剤として用いられる場合、現像部46は、感光体1に形成された静電潜像に一成分現像剤であるトナーを供給する。トナーが二成分現像剤において用いられる場合、現像部46は、感光体1に形成された静電潜像に、二成分現像剤に含まれるトナーとキャリアとのうちトナーを供給する。

0137

現像部46は、感光体1と接触しながら静電潜像をトナー像として現像することができる。すなわち、画像形成装置100は、いわゆる接触現像方式を採用することができる。感光体1の表面に記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)が付着している場合には、接触した現像部46によって微小成分が感光体1の表面に押圧される。これにより、感光体1の表面に微小成分が固着し易い。しかし、画像形成装置100は、微小成分の付着により引き起こされる白点の発生を抑制可能な感光体1を備えている。このため、画像形成装置100は、接触現像方式を採用する場合であっても、微小成分が感光体1の表面に固着し難く、形成される画像における白点の発生を抑制することができる。

0138

現像部46は、感光体1の表面を清掃することができる。すなわち、画像形成装置100は、いわゆるクリーナーレス方式を採用することができる。現像部46は、感光体1の表面に残留する成分(以下、「残留成分」と記載することがある)を除去することができる。残留成分の一例は、トナー成分であり、より具体的には、トナー又は遊離した外添剤である。残留成分の別の例は、非トナー成分であり、より具体的には記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)である。クリーナーレス方式を採用する画像形成装置100では、クリーニング部(例えば、クリーニングブレード)によって感光体1の表面の残留成分が掻き取られない。そのため、クリーナーレス方式を採用する画像形成装置100では、通常、感光体1の表面に残留成分が残り易い。しかし、本実施形態の感光体1は、微小成分の付着により引き起こされる白点の発生を抑制することができる。従って、このような感光体1を備える画像形成装置100は、クリーナーレス方式を採用したとしても、感光体1の表面に残留成分、特に記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)が残り難い。その結果、画像形成装置100は、形成される画像における白点の発生を抑制することができる。

0139

現像部46が感光体1の表面を効率的に清掃するためには、以下に示す条件(a)及び条件(b)を満たすことが好ましい。
条件(a):接触現像方式を採用し、感光体1と現像部46との間に周速(回転速度)差が設けられる。
条件(b):感光体1の表面電位と、現像バイアス電位とが以下の数式(b−1)及び数式(b−2)を満たす。
0(V)<現像バイアスの電位(V)<感光体1の未露光領域の表面電位(V)・・・(b−1)
現像バイアスの電位(V)>感光体1の露光領域の表面電位(V)>0(V)・・・(b−2)

0140

条件(a)に示す接触現像方式を採用し、感光体1と現像部46との間に周速差が設けられていると、感光体1の表面は現像部46と接触し、感光体1の表面の付着成分が現像部46との摩擦により除去される。現像部46の周速は、感光体1の周速よりも速いことが好ましい。

0141

条件(b)では、現像方式反転現像方式である場合を想定している。単層型感光体である感光体1の感度特性を向上させるためには、トナーの帯電極性、感光体1の未露光領域の表面電位、感光体1の露光領域の表面電位及び現像バイアスの電位が何れも正極性であることが好ましい。なお、感光体1の未露光領域の表面電位及び露光領域の表面電位は、転写部48がトナー像を感光体1から記録媒体Pへ転写した後、帯電部42が次周回の感光体1の表面を帯電する前に測定される。

0142

条件(b)の数式(b−1)を満たすと、感光体1に残留したトナー(以下、残留トナーと記載することがある)と感光体1の未露光領域との間に作用する静電斥力が、残留トナーと現像部46との間に作用する静電的斥力に比べ大きくなる。このため、感光体1の未露光領域の残留トナーは、感光体1の表面から現像部46へと移動し、回収される。

0143

条件(b)の数式(b−2)を満たすと、残留トナーと感光体1の露光領域との間に作用する静電的斥力が、残留トナーと現像部46との間に作用する静電的斥力に比べ小さくなる。このため、感光体1の露光領域の残留トナーは、感光体1の表面に保持される。感光体1の露光領域に保持されたトナーは、そのまま画像形成に使用される。

0144

転写ベルト50は、感光体1と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。

0145

転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、感光体1から記録媒体Pへ転写する。感光体1から記録媒体Pにトナー像が転写されるときに、感光体1は記録媒体Pと接触している。すなわち、画像形成装置100は、いわゆる直接転写方式を採用する。転写部48は、例えば転写ローラーである。

0146

画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラックシアンマゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。なお、画像形成装置100がモノクロ画像形成装置である場合には、画像形成装置100は、画像形成ユニット40aを備え、画像形成ユニット40b〜40dは省略される。

0147

定着部52は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部52は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。

0148

<3.プロセスカートリッジ>
次に、図3を引き続き参照して、本実施形態の感光体1を備えるプロセスカートリッジについて説明する。プロセスカートリッジは、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジは、感光体1を備える。プロセスカートリッジは、感光体1に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48からなる群より選択される少なくとも1つを更に備えていてもよい。プロセスカートリッジには、クリーニング装置(不図示)及び除電器(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、感光体1の感度特性等が劣化した場合に、感光体1を含めて容易かつ迅速に交換することができる。

0149

以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。

0150

<1.単層型感光層を形成するための材料>
感光体の単層型感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。

0151

<1−1.電荷発生剤>
電荷発生剤として、X型無金属フタロシアニンを準備した。X型無金属フタロシアニンは、実施形態で述べた化学式(CGM−1)で表される無金属フタロシアニンであった。また、X型無金属フタロシアニンの結晶構造はX型であった。

0152

<1−2.正孔輸送剤>
正孔輸送剤として、実施形態で述べた化合物(2−1)を準備した。

0153

<1−3.バインダー樹脂>
バインダー樹脂として、樹脂(3−1a)及び(3−2a)を準備した。

0154

樹脂(3−1a)は、実施形態で述べた化学式(3−1)で表されるポリカーボネート樹脂であった。樹脂(3−1a)の粘度平均分子量は、30000であった。

0155

樹脂(3−2a)は、実施形態で述べた化学式(3−2)で表されるポリカーボネート樹脂であった。樹脂(3−2a)の粘度平均分子量は、30000であった。

0156

<1−4.電子輸送剤>
電子輸送剤として、実施形態で述べた化合物(1−1)〜(1−5)を準備した。化合物(1−1)〜(1−5)を、実施形態で述べた反応(r−a)〜(r−d)を行うことにより製造した。具体的な製造方法は、次の通りであった。

0157

(反応(r−a))
反応(r−a)の化合物(F)として、下記化合物(F−1)を使用した。反応(r−a)の化合物(A)として、下記化合物(A−1)、(A−2)又は(A−3)を使用した。そして、反応(r−a)の反応生成物である化合物(B’)として、下記化合物(B−1)、(B−2)又は(B−3)を得た。

0158

0159

0160

0161

化合物(B−1)の具体的な製造方法は、次の通りであった。反応(r−a)として下記反応(r−a1)を行うことによって、化合物(B−1)を得た。

0162

0163

反応(r−a1)では、化合物(F−1)と化合物(A−1)とを反応させて化合物(B−1)を得た。詳しくは、化合物(F−1)(ブロモ酢酸、1.39g、10mmol)及び化合物(A−1)(1.43g、10mmol)をクロロホルム(50mL)に溶解させ、クロロホルム溶液を得た。クロロホルム溶液に、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(4.12g、20mmol)を加えた。得られた混合物を室温(25℃)で8時間攪拌した。8時間攪拌した後、混合物を濾過して、濾液を得た。濾液を減圧してクロロホルムを留去し、残渣を得た。残渣を、展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。その結果、化合物(B−1)が得られた。化合物(B−1)の収量は、2.11gであった。化合物(F−1)からの化合物(B−1)の収率は、80mol%であった。

0164

以下の点を変更した以外は化合物(B−1)の製造と同じ方法で反応(r−a1)を行うことにより、化合物(B−2)を得た。化合物(A)として、化合物(B−1)の製造における化合物(A−1)(1.43g、10mmol)の代わりに、化合物(A−2)(1.77g、10mmol)を使用した。その結果、化合物(B’)として、化合物(B−1)の代わりに、化合物(B−2)が得られた。化合物(B−2)の収量は、2.24gであった。化合物(F−1)からの化合物(B−2)の収率は、75mol%であった。

0165

以下の点を変更した以外は化合物(B−1)の製造と同じ方法で反応(r−a1)を行うことにより、化合物(B−3)を得た。化合物(A)として、化合物(B−1)の製造における化合物(A−1)(1.43g、10mmol)の代わりに、化合物(A−3)(1.26g、10mmol)を使用した。その結果、化合物(B’)として、化合物(B−1)の代わりに、化合物(B−3)が得られた。化合物(B−3)の収量は、1.98gであった。化合物(F−1)からの化合物(B−3)の収率は、80mol%であった。

0166

(反応(r−b))
反応(r−b)の化合物(G)として、下記化合物(G−1)を使用した。反応(r−b)の化合物(B)として、化合物(B−1)〜(B−5)の何れかを使用した。化合物(B−1)〜(B−3)として、上述の反応(r−a)で得られた化合物(B−1)〜(B−3)を使用した。下記化合物(B−4)及び(B−5)として、市販品を使用した。そして、反応(r−b)の反応生成物である化合物(C)として、下記化合物(C−1)〜(C−5)の何れかを得た。

0167

0168

0169

0170

化合物(C−1)の具体的な製造方法は、次の通りであった。反応(r−b)として下記反応(r−b1)を行うことによって、化合物(C−1)を得た。

0171

0172

反応(r−b1)では、化合物(G−1)と化合物(B−1)とを反応させて化合物(C−1)を得た。詳しくは、化合物(G−1)(フェニルインダンジオン、2.22g、10mmol)及び40%水素化ナトリウム(NaH、0.72g、12mmol)を、アルゴンガスで置換した容器に入れた。容器を氷冷した後、容器に蒸留したテトラヒドロフラン(100mL)を加えた。容器に、化合物(B−1)(2.63g、10mmol)の蒸留テトラヒドロフラン(50mL)溶液を更に加えた。容器の内容物を、攪拌しながら90℃で4時間還流した。続いて、容器内に水を加えて、固体析出させた。析出した固体を濾過して、残渣を得た。残渣をクロロホルムに溶解させてクロロホルム溶液を得た。クロロホルム溶液に水を加えて抽出し、有機層を得た。有機層から溶媒であるクロロホルムを留去し、残渣を得た。残渣を、クロロホルム/メタノール(体積比率1/1)で晶析した。その結果、化合物(C−1)が得られた。化合物(C−1)の収量は3.23gであった。化合物(G−1)からの化合物(C−1)の収率は80mol%であった。

0173

以下の点を変更した以外は化合物(C−1)の製造と同じ方法で反応(r−b1)を行うことにより、化合物(C−2)〜(C−5)の何れかを得た。化合物(B)として、化合物(C−1)の製造における化合物(B−1)の代わりに、表1に示す化合物(B−2)〜(B−5)の何れかを使用した。化合物(B)の添加質量を、化合物(C−1)の製造における2.63gから、表1に示す添加質量に変更した。なお、化合物(B)の添加モル数は、化合物(C−1)の製造における10mmolから変更しなかった。その結果、化合物(C)として、化合物(C−1)の代わりに、化合物(C−2)〜(C−5)の何れかが得られた。得られた化合物(C−2)〜(C−5)の収量を表1に示す。また、化合物(G−1)からの化合物(C−2)〜(C−5)の収率を表1に示す。

0174

0175

(反応(r−c)及び反応(r−d))
反応(r−c)では、反応(r−c)の化合物(C)として、化合物(C−1)〜(C−5)の何れかを使用した。そして、反応(r−c)の反応生成物である化合物(D)として、下記化合物(D−1)〜(D−5)の何れかを得た。反応(r−d)では、反応(r−d)の化合物(D)として、反応(r−c)で得られた化合物(D−1)〜(D−5)の何れかを使用した。そして、反応(r−d)の反応生成物である化合物(1)として、化合物(1−1)〜(1−5)の何れかを得た。

0176

0177

化合物(D−1)の具体的な製造方法は次の通りであった。反応(r−c)として下記反応(r−c1)を行うことによって、化合物(D−1)を得た。

0178

0179

反応(r−c1)では、化合物(C−1)(4.04g、10mmol)、40%水素化ナトリウム(NaH、0.72g、12mmol)を、アルゴンガスで置換した容器に入れた。容器を氷冷した後、容器に蒸留したテトラヒドロフラン(100mL)を加えた。容器の内容物を、攪拌しながら90℃で4時間還流した。続いて、容器内に水を加えて、固体を析出させた。析出した固体を濾過して、残渣を得た。残渣をクロロホルムに溶解させてクロロホルム溶液を得た。クロロホルム溶液に水を加えて抽出し、有機層を得た。有機層から溶媒であるクロロホルムを留去し、残渣を得た。残渣をクロロホルム/ヘキサン(体積比率1/1)で晶析し、化合物(D−1)の粗生成物を得た。化合物(D−1)の粗生成物を精製することなく、反応(r−d)にそのまま使用した。

0180

化合物(1−1)の具体的な製造方法は次の通りであった。反応(r−d)として下記反応(r−d1)を行うことによって、化合物(1−1)を得た。

0181

0182

反応(r−d1)では、反応(r−c1)で得られた化合物(D−1)の粗生成物及びクロラニル(3.69g、15mmol)をクロロホルム100mLに溶解し、クロロホルム溶液を得た。クロロホルム溶液を、室温(25℃)で8時間攪拌した。8時間攪拌した後、混合物を濾過して、濾液を得た。濾液を減圧してクロロホルムを留去し、残渣を得た。残渣を、展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。その結果、化合物(1−1)が得られた。化合物(1−1)の収量は、2.41gであった。化合物(C−1)からの化合物(1−1)の二段階収率は、60mol%であった。

0183

以下の点を変更した以外は化合物(D−1)の製造と同じ方法で反応(r−c1)を行うことにより、化合物(D−2)〜(D−5)の何れかを得た。化合物(C)として、化合物(D−1)の製造における化合物(C−1)の代わりに、表2に示す化合物(C−2)〜(C−5)の何れかを使用した。化合物(C)の添加質量を、化合物(D−1)の製造における4.04gから、表2に示す添加質量に変更した。なお、化合物(C)の添加モル数は、化合物(D−1)の製造における10mmolから変更しなかった。その結果、化合物(D)として、化合物(D−1)の代わりに、化合物(D−2)〜(D−5)の何れかが得られた。

0184

以下の点を変更した以外は化合物(1−1)の製造と同じ方法で反応(r−d1)を行うことにより、化合物(1−2)〜(1−5)の何れかを得た。化合物(D)として、化合物(1−1)の製造における化合物(D−1)の代わりに、表2に示す化合物(D−2)〜(D−5)の何れかを使用した。その結果、化合物(1)として、化合物(1−1)の代わりに、化合物(1−2)〜(1−5)の何れかが得られた。

0185

0186

次に、1H−NMRプロトン核磁気共鳴分光計)を用いて、製造した化合物(1−1)〜(1−5)の1H−NMRスペクトルを測定した。磁場強度は270MHzに設定した。溶媒として、重水素化クロロホルム(CDCl3)を使用した。内部標準物質としてテトラメチルシランTMS)を使用した。

0187

化合物(1−1)〜(1−5)のうちの代表例として、化合物(1−1)の1H−NMRスペクトルを、図4に示す。化合物(1−1)の1H−NMRスペクトルの化学シフト値を以下に示す。測定された1H−NMRスペクトル及び化学シフト値から、化合物(1−1)が得られていることを確認した。化合物(1−2)〜(1−5)も同じように、測定された1H−NMRスペクトル及び化学シフト値から、化合物(1−2)〜(1−5)の各々が得られていることを確認した。

0188

化合物(1−1):1H−NMR(270MHz,CDCl3)δ=8.14−8.19(m,2H),7.79−7.83(m,2H),7.30−7.44(m,7H),6.96(s,2H),5.11(s,2H).

0189

電子輸送剤として、化合物(E−1)及び(E−2)も準備した。化合物(E−1)及び(E−2)は、各々、下記化学式(E−1)及び(E−2)で表される。

0190

0191

0192

<2.感光体の製造>
単層型感光層を形成するための材料を用いて、感光体(P−1)〜(P−16)を製造した。

0193

<2−1.感光体(P−1)の製造>
容器内に、電荷発生剤としてのX型無金属フタロシアニン2質量部、正孔輸送剤としての化合物(2−1)50質量部、電子輸送剤としての化合物(1−1)30質量部、バインダー樹脂としての樹脂(3−1a)100質量部及び溶剤としてのテトラヒドロフラン600質量部を投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて12時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、単層型感光層用塗布液を得た。単層型感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長238.5mm)上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した単層型感光層用塗布液を、120℃で80分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層型感光層(膜厚30μm)を形成した。その結果、感光体(P−1)が得られた。

0194

<2−2.感光体(P−2)〜(P−16)の製造>
以下の点を変更した以外は、感光体(P−1)の製造と同じ方法で、感光体(P−2)〜(P−16)の各々を製造した。感光体(P−1)の製造に用いた電子輸送剤としての化合物(1−1)を、表3に示す種類の電子輸送剤に変更した。バインダー樹脂100質量部に対する電子輸送剤の含有量(添加量)を、感光体(P−1)の製造における30質量部から、表3に示す含有量(添加量)に変更した。感光体(P−1)の製造に用いたバインダー樹脂としての樹脂(3−1a)を、表3に示す種類のバインダー樹脂に変更した。

0195

<3.感度特性の評価>
製造した感光体(P−1)〜(P−16)の各々に対して、感度特性を評価した。感度特性の評価は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を+600Vに帯電させた。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプ白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光エネルギー1.5μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、感光体の表面に照射した。照射が終了してから0.5秒経過した時の感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位:+V、以下、露光後電位と記載する)とした。測定された感光体の露光後電位(VL)を、表3に示す。なお、露光後電位(VL)が小さい正の値であるほど、感光体の感度特性が優れていることを示す。

0196

<4.炭酸カルシウムの帯電量の測定>
製造した感光体(P−1)〜(P−16)の各々に対して、炭酸カルシウムの帯電量を測定した。

0197

以下、図2を再び参照して、感光層3(単層型感光層3cに相当)と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量を測定する方法を説明する。炭酸カルシウムの帯電量は、下記の第一ステップ、第二ステップ、第三ステップ及び第四ステップを行うことにより測定した。炭酸カルシウムの帯電量の測定には、治具10を使用した。

0198

治具10は、第一台12と、回転シャフト14と、回転駆動部16(例えば、モーター)と、第二台18とを備えている。回転駆動部16は、回転シャフト14を回転させる。回転シャフト14は、回転シャフト14の回転軸Sを中心に回転する。第一台12は、回転シャフト14と一体になって、回転軸Sを中心に回転する。第二台18は、回転することなく固定されている。

0199

(第一ステップ)
第一ステップでは、感光層3を2個準備した。以下、2個の感光層3の一方を第一感光層30と、2個の感光層3の他方を第二感光層32と記載する。まず、膜厚L1が30μmである第一感光層30を備える第一フィルム20を準備した。また、膜厚L2が30μmである第二感光層32を備える第二フィルム22を準備した。詳しくは、第一フィルム20及び第二フィルム22として、オーバーヘッドプロジェクタ(OHP)フィルムを使用した。第一フィルム20及び第二フィルム22の大きさは、各々、直径3cmの円形状であった。第一フィルム20及び第二フィルム22の各々の上に、感光体(P−1)の製造に使用した単層型感光層用塗布液を塗布した。塗布した単層型感光層用塗布液を、120℃で80分間熱風乾燥させた。その結果、第一感光層30を備える第一フィルム20、及び第二感光層32を備える第二フィルム22が得られた。

0200

(第二ステップ)
第二ステップでは、0.007gの炭酸カルシウムを、第一感光層30上に載せた。これにより、炭酸カルシウムから構成される炭酸カルシウム層24を、第一感光層30上に形成した。そして、炭酸カルシウム層24上に第二感光層32を載せた。第二ステップの具体的な手順は以下の通りであった。

0201

まず、第一フィルム20を、両面テープを用いて第一台12に固定した。第一フィルム20が備える第一感光層30上に、0.007gの炭酸カルシウムを載せた。これにより、炭酸カルシウムから構成される炭酸カルシウム層24を第一感光層30上に形成した。炭酸カルシウム層24が第二感光層32と接触するように、両面テープを用いて第二フィルム22を第二台18に固定した。これにより、下から順に、第一台12、第一フィルム20、第一感光層30、炭酸カルシウム層24、第二感光層32、第二フィルム22及び第二台18が配置された。第一台12、第一フィルム20、第一感光層30、第二感光層32、第二フィルム22及び第二台18の各中心が、回転軸Sを通るように配置された。

0202

(第三ステップ)
第三ステップでは、温度23℃且つ相対湿度50%RHの環境下で、第二感光層32を固定したまま、回転速度60rpmで60秒間第一感光層30を回転させた。具体的には、回転駆動部16を駆動させて、回転シャフト14、第一台12、第一フィルム20及び第一感光層30を、回転速度60rpmで60秒間、回転軸Sを中心に回転させた。これにより、炭酸カルシウム層24に含まれる炭酸カルシウムが第一感光層30と第二感光層32との間で摩擦され、炭酸カルシウムが帯電した。

0203

(第四ステップ)
第四ステップでは、第三ステップで帯電させた炭酸カルシウムを治具10から取出し、帯電量測定装置(吸引式小型帯電量測定装置、トレック社製「MODEL 212HS」)を用いて吸引した。吸引された炭酸カルシウムの総電気量Q(単位:+μC)と質量M(単位:g)とを、帯電量測定装置を用いて測定した。式「帯電量=Q/M」から、炭酸カルシウムの帯電量(摩擦帯電量、単位:+μC/g)を算出した。

0204

感光体(P−2)〜(P−16)の各々の炭酸カルシウムの帯電量は、次の点を変更した以外は、感光体(P−1)の炭酸カルシウムの帯電量の測定と同じ方法で評価した。第一ステップにおいて、感光体(P−1)の製造に使用した単層型感光層用塗布液の代わりに、感光体(P−2)〜(P−16)の製造に使用した単層型感光層用塗布液の各々を使用した。

0205

感光体(P−1)〜(P−16)の各々について、算出された炭酸カルシウムの帯電量を表3に示す。なお、炭酸カルシウムの帯電量が大きい正の値であるほど、第一感光層30及び第二感光層32に対して炭酸カルシウムが正帯電し易いことを示す。

0206

<5.画像特性の評価>
製造した感光体(P−1)〜(P−16)の各々に対して、画像特性を評価した。画像特性の評価は、温度32.5℃、相対湿度80%RHの環境下で行った。評価機として、画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「モノクロプリンターFS−1300D」の改造機)を用いた。具体的には、非接触現像方式を接触現像方式に改造した。ブレードクリーニング方式をクリーナーレス方式に改造した。スコロトロン帯電器を帯電ローラーに改造した。帯電ローラーの帯電極性を正極性に設定した。なお、この画像形成装置は、直接転写方式を採用していた。記録媒体として、京セラドキュメントソリューションズ株式会社販売「京セラドキュメントソリューションズブランド紙VM−A4」(A4サイズ)を使用した。評価機による評価には、一成分現像剤(試作品)を使用した。

0207

評価機を用いて、感光体の回転速度168mm/秒の条件で、20000枚の記録媒体に画像I(印字率1%の画像)を連続して印刷した。続いて、1枚の記録媒体に画像II(A4サイズの黒色ソリッド画像)を印刷した。画像IIが形成された記録媒体を肉眼で観察し、画像II内に現れる白点の数を数えた。感光体に記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)が付着するほど、画像II内の白点の個数が増加する傾向がある。画像II内に現れる白点の個数を、表3に示す。

0208

表3中、ETM及びVLは、各々、電子輸送剤及び露光後電位を示す。ETM含有量(添加量)は、100質量部のバインダー樹脂に対する電子輸送剤の含有量(添加量)を示す。

0209

0210

感光体(P−1)〜(P−12)の感光層は、電荷発生剤と電子輸送剤としての化合物(1)とを含有する単層型感光層であった。具体的には、一般式(1)に包含される化合物(1−1)〜(1−5)の何れかが含有されていた。感光層と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量が+7.0μC/g以上であった。そのため、表3から明らかなように、これらの感光体では、形成画像における白点の個数が少なく、白点の発生が抑制されていた。また、これらの感光体では、感光体の感度特性を損なうことなく、形成画像における白点の発生を抑制することができた。

0211

一方、感光体(P−13)〜(P−16)の感光層は、化合物(1)を含有していなかった。化合物(E−1)は一般式(1)に包含される化合物ではなかった。具体的には、化合物(E−1)は、一般式(1)中のm及びnの両方が0を表し、ハロゲン原子を有していなかった。また、化合物(E−2)は一般式(1)に包含される化合物ではなかった。具体的には、化合物(E−2)は、ハロゲン原子を有していたが、一般式(1)で表される化合物の骨格を有していなかった。また、感光体(P−13)〜(P−16)の感光層は、炭酸カルシウムの帯電量が+7.0μC/g未満であった。そのため、表3から明らかなように、これらの感光体では、これらの感光体では、形成画像における白点の個数が多く、形成画像における白点の発生を抑制することができなかった。

実施例

0212

以上のことから、本発明に係る感光体は、形成画像における白点の発生を抑制することが示された。また、本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、形成画像における白点の発生を抑制することが示された。

0213

本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、記録媒体に画像を形成するために利用することができる。

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