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技術 ポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜、分離膜及びそれらの製造方法

出願人 旭化成メディカル株式会社
発明者 樋渡淳一中島志朗
出願日 2017年3月14日 (3年11ヶ月経過) 出願番号 2018-516368
公開日 2018年12月6日 (2年2ヶ月経過) 公開番号 WO2017-195457
状態 特許登録済
技術分野 半透膜を用いた分離 消毒殺菌装置 合成繊維 繊維製品への有機化合物の付着処理
主要キーワード 液状添加物 ポッティング加工 結晶化核 施行者 試験モジュール ポリマー押出量 ポリエチレン製チューブ 日本国特許庁
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この項目の情報は公開日時点(2018年12月6日)のものです。
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課題・解決手段

ポリエチレン系樹脂を含み、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とを有する多孔質中空糸膜であって、分子量10000以下の成分の質量分率が、17.5質量%以上であり、かつ分子量100万以上の成分の質量分率が、1.5質量%未満であるポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜。

概要

背景

近年、体外循環血液浄化療法の一つとして、多孔質中空糸膜からなる分離膜を用いて患者の血液から血球成分と、病因物質が含まれる血漿成分とを分離し、代替の血漿成分を、浄化した血液とともに患者の体内に戻す、血漿交換療法が注目されている。

多孔質中空糸膜を製造する方法として、非溶媒誘起相分離法熱誘起相分離法溶融延伸開孔法等が知られている。このうち、溶融延伸開孔法は、結晶性高分子化合物溶融して中空糸状に紡出し、巻き取った中空糸延伸により多孔化を図り、多孔質中空糸膜とする方法である。この方法で得られる多孔質中空糸膜は、製造工程で溶媒可塑剤等の液状成分が用いられていないため、使用時に液状成分の溶出の恐れがなく、血漿分離用途に適している。
なお、血漿分離への適用に際し、多孔質中空糸膜が疎水性高分子素材とする場合、多孔質表面は親水性物質等で覆われ、親水性低蛋白吸着性を付与され、血液適合性が高められる。また、多孔質中空糸膜の孔径は、血液から血球成分と血漿成分の分離の点から、0.01〜2μmの範囲に制御される。さらに、多孔質中空糸膜は、血漿分離の前に安全性の面から滅菌処理される。
ところで、溶融延伸開孔法による多孔構造は、延伸前の中空糸(以下、「延伸前中空糸」という。)のラメラ積層体冷延伸によって開裂させ、生じた微小孔をさらに熱延伸で拡大させることで得られる。
しかし、延伸前中空糸に成長の不十分なラメラ積層体が含まれていると、延伸後の多孔質中空糸膜には糸長方向の所々に0.1〜50mm程度の開孔されていない部分(以下、「未延伸部」という。)が生じる。未延伸部は多孔化されていないため分離機能を持たないが、多孔質中空糸膜の一部を構成するにすぎないので、分離膜本来の分離性透過性等を低下させるまでには至らない。つまり未延伸部を含む多孔質中空糸膜は分離膜として機能上、品質上問題とはならない。
ところが、未延伸部を含む多孔質中空糸膜が血漿分離に用いられる場合、以下の点で治療上の問題がある。すなわち、延伸前中空糸は半透明外観を呈しているが、延伸後の多孔質中空糸膜は、その細孔による光の乱反射のため白化する。一方、細孔を持たない未延伸部は、延伸前中空糸の外観を反映し、半透明のままである。血漿交換療法において血液は、多孔質中空糸膜の中空部通液される。この際、多孔質中空糸膜に半透明である未延伸部が存在すると、中空部を通る血液が透過して見える。そのため治療施行者は、未延伸部から血液が漏洩したと誤認する。血漿交換療法において血液の漏洩が発見された場合、治療は中断されるところ、未延伸部による血液のいわば擬似的な漏洩は、実際の血液の漏洩とは区別され難く、そのためこの擬似的な漏洩によっても治療が中断させることになり、患者の治療機会を失わせる。以上の点から、血漿交換療法においては良好な分離性・透過性等に加え、未延伸部がない、均質性に優れた多孔質中空糸膜が求められる。

特許文献1に、溶融延伸開孔法で得られる多孔質中空糸膜の均質性を改善する手段として、多孔質中空糸膜を構成する結晶性高分子に、結晶化核形成能を有する金属化合物を0.01重量%以上加える方法が開示されている。しかし、特許文献1に開示された多孔質中空糸膜は、中空糸長方向と中空糸断面方向微細空孔分布の改善を図られたものであり、未延伸部の解消には繋がっていない。

概要

ポリエチレン系樹脂を含み、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とを有する多孔質中空糸膜であって、分子量10000以下の成分の質量分率が、17.5質量%以上であり、かつ分子量100万以上の成分の質量分率が、1.5質量%未満であるポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜。

目的

本発明の課題は、血漿分離用分離膜基材としても使用できる、未延伸部が少ない、均質性に優れたポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜を提供する

効果

実績

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請求項1

ポリエチレン系樹脂を含み、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とを有する多孔質中空糸膜であって、分子量10000以下の成分の質量分率が、17.5質量%以上であり、かつ分子量100万以上の成分の質量分率が、1.5質量%未満である、ポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜。

請求項2

前記ポリエチレン系樹脂が、オレフィン系ワックスを含む、請求項1に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜。

請求項3

前記オレフィン系ワックスが、密度960kg/m3以上の高密度低分子量エチレン重合体、密度940kg/m3未満である低密度低分子量エチレン重合体、低分子量エチレン−プロピレン共重合体、及び、低分子量エチレン−ブテン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種類である、請求項2に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜。

請求項4

前記ポリエチレン系樹脂が、高密度ポリエチレンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜。

請求項5

請求項1〜4のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜と、該ポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の表面の少なくとも一部に設けられた親水性高分子を含む親水性層と、を有する分離膜

請求項6

前記親水性高分子が、エチレンビニルアルコール系共重合体である、請求項5に記載の分離膜。

請求項7

JISK7210(コードD)で測定したメルトフローレートMFR/D)が0.03以上である、請求項5又は6に記載の分離膜。

請求項8

血漿分離用である、請求項5〜7いずれか1項に記載の分離膜。

請求項9

ポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物から中空糸を製造する工程と、前記中空糸を延伸して多孔質中空糸膜を形成する工程と、を有する、ポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法であって、前記ポリエチレン系樹脂又は前記樹脂組成物が、分子量が1000以下の成分を1.0質量%以上含む、ポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法。

請求項10

前記ポリエチレン系樹脂が、粘度平均分子量が700以上8000以下のオレフィン系ワックスを0.1〜10.0質量%を含む、請求項9に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法。

請求項11

前記ポリエチレン系樹脂が、高密度ポリエチレンである、請求項9又は10に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法。

請求項12

前記ポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物の、JISK7210(コードD)で測定したメルトフローレート(MFR/D)が3.0〜10.0であり、かつJISK7210(コードG)で測定したメルトフローレート(MFR/G)が150〜300である、請求項9〜11いずれか1項に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法。

請求項13

前記オレフィン系ワックスが、密度960kg/m3以上の高密度低分子量エチレン重合体、密度940kg/m3未満である低密度低分子量エチレン重合体、低分子量エチレン−プロピレン共重合体、及び、低分子量エチレン−ブテン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種類である、請求項10〜12のいずれか1項に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法。

請求項14

前記オレフィン系ワックスが、密度960kg/m3以上の高密度低分子量エチレン重合体である、請求項13に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法。

請求項15

請求項9〜14のいずれか1項に記載の製造方法によってポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜を得る工程と、前記多孔質中空糸膜の表面の少なくとも一部に親水性高分子を含む親水性層を設ける工程とを含む分離膜の製造方法。

請求項16

前記親水性高分子が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体である、請求項15に記載の分離膜の製造方法。

請求項17

さらに、前記多孔質中空糸膜を、放射線よって滅菌する工程を含む、請求項15又は16に記載の分離膜の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ポリエチレン系樹脂を含む多孔質中空糸膜に関し、特に、特定の物質を分離、排除するために使用される分離膜(とりわけ、血漿交換療法において、血液から血漿を分離する際に好適に用いられる分離膜)の基材として好適に利用できる多孔質中空糸膜、及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、体外循環血液浄化療法の一つとして、多孔質中空糸膜からなる分離膜を用いて患者の血液から血球成分と、病因物質が含まれる血漿成分とを分離し、代替の血漿成分を、浄化した血液とともに患者の体内に戻す、血漿交換療法が注目されている。

0003

多孔質中空糸膜を製造する方法として、非溶媒誘起相分離法熱誘起相分離法溶融延伸開孔法等が知られている。このうち、溶融延伸開孔法は、結晶性高分子化合物溶融して中空糸状に紡出し、巻き取った中空糸延伸により多孔化を図り、多孔質中空糸膜とする方法である。この方法で得られる多孔質中空糸膜は、製造工程で溶媒可塑剤等の液状成分が用いられていないため、使用時に液状成分の溶出の恐れがなく、血漿分離用途に適している。
なお、血漿分離への適用に際し、多孔質中空糸膜が疎水性高分子素材とする場合、多孔質表面は親水性物質等で覆われ、親水性低蛋白吸着性を付与され、血液適合性が高められる。また、多孔質中空糸膜の孔径は、血液から血球成分と血漿成分の分離の点から、0.01〜2μmの範囲に制御される。さらに、多孔質中空糸膜は、血漿分離の前に安全性の面から滅菌処理される。
ところで、溶融延伸開孔法による多孔構造は、延伸前の中空糸(以下、「延伸前中空糸」という。)のラメラ積層体冷延伸によって開裂させ、生じた微小孔をさらに熱延伸で拡大させることで得られる。
しかし、延伸前中空糸に成長の不十分なラメラ積層体が含まれていると、延伸後の多孔質中空糸膜には糸長方向の所々に0.1〜50mm程度の開孔されていない部分(以下、「未延伸部」という。)が生じる。未延伸部は多孔化されていないため分離機能を持たないが、多孔質中空糸膜の一部を構成するにすぎないので、分離膜本来の分離性透過性等を低下させるまでには至らない。つまり未延伸部を含む多孔質中空糸膜は分離膜として機能上、品質上問題とはならない。
ところが、未延伸部を含む多孔質中空糸膜が血漿分離に用いられる場合、以下の点で治療上の問題がある。すなわち、延伸前中空糸は半透明外観を呈しているが、延伸後の多孔質中空糸膜は、その細孔による光の乱反射のため白化する。一方、細孔を持たない未延伸部は、延伸前中空糸の外観を反映し、半透明のままである。血漿交換療法において血液は、多孔質中空糸膜の中空部通液される。この際、多孔質中空糸膜に半透明である未延伸部が存在すると、中空部を通る血液が透過して見える。そのため治療施行者は、未延伸部から血液が漏洩したと誤認する。血漿交換療法において血液の漏洩が発見された場合、治療は中断されるところ、未延伸部による血液のいわば擬似的な漏洩は、実際の血液の漏洩とは区別され難く、そのためこの擬似的な漏洩によっても治療が中断させることになり、患者の治療機会を失わせる。以上の点から、血漿交換療法においては良好な分離性・透過性等に加え、未延伸部がない、均質性に優れた多孔質中空糸膜が求められる。

0004

特許文献1に、溶融延伸開孔法で得られる多孔質中空糸膜の均質性を改善する手段として、多孔質中空糸膜を構成する結晶性高分子に、結晶化核形成能を有する金属化合物を0.01重量%以上加える方法が開示されている。しかし、特許文献1に開示された多孔質中空糸膜は、中空糸長方向と中空糸断面方向微細空孔分布の改善を図られたものであり、未延伸部の解消には繋がっていない。

先行技術

0005

特開昭54−77729号

発明が解決しようとする課題

0006

本発明の課題は、血漿分離用分離膜の基材としても使用できる、未延伸部が少ない、均質性に優れたポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜を提供すること、さらには、そのような多孔質中空糸膜を用いて、血液の擬似的な漏洩が少ない分離膜を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは鋭意検討した結果、多孔質中空糸膜に含まれる、分子量が10000以下の成分及び分子量が100万以上の成分の割合が特定の範囲にある場合や、原料として用いるポリエチレン系樹脂、又はポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物が、分子量が1000以下の成分を1.0質量%以上含む場合、とりわけ、JIS K7210(コードD)で測定したメルトフローレート(以下、「MFR/D」という。)、及びJIS K7210(コードG)で測定したメルトフローレート(以下、「MFR/G」という。)が特定の範囲にある場合、に上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。

0008

すなわち本発明は以下の通りである。
[1]ポリエチレン系樹脂を含み、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とを有する多孔質中空糸膜であって、分子量10000以下の成分の質量分率が、17.5質量%以上であり、かつ分子量100万以上の成分の質量分率が、1.5質量%未満であるポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜。
[2]前記ポリエチレン系樹脂が、オレフィン系ワックスを含む、[1]に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜。[3]前記オレフィン系ワックスが、密度960kg/m3以上の高密度低分子量エチレン重合体、密度940kg/m3未満である低密度低分子量エチレン重合体、低分子量エチレン−プロピレン共重合体、及び、低分子量エチレン−ブテン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種類である、[2]に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜。
[4]前記ポリエチレン系樹脂が、高密度ポリエチレンである、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜と、該ポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の表面の少なくとも一部に設けられた親水性高分子を含む親水性層と、を有する分離膜。
[6]前記親水性高分子が、エチレンビニルアルコール系共重合体である、[5]に記載の分離膜。
[7]JIS K7210(コードD)で測定したメルトフローレート(MFR/D)が0.03以上である、[5]又は[6]に記載の分離膜。
[8]血漿分離用である、[5]〜[7]のいずれかに記載の分離膜。
[9]ポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物から中空糸を製造する工程と、前記中空糸を延伸して多孔質中空糸膜を形成する工程と、を有する、ポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法であって、前記ポリエチレン系樹脂又は前記樹脂組成物が、分子量が1000以下の成分を1.0質量%以上含む、ポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法。
[10]前記ポリエチレン系樹脂が、粘度平均分子量が700以上8000以下のオレフィン系ワックスを0.1〜10.0質量%を含む、[9]に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法。
[11]前記ポリエチレン系樹脂が、高密度ポリエチレンである、[9]又は[10]に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法。
[12]前記ポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物の、JIS K7210(コードD)で測定したメルトフローレート(MFR/D)が3.0〜10.0であり、かつJIS K7210(コードG)で測定したメルトフローレート(MFR/G)が150〜300である、[9]〜[11]のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法。
[13]前記オレフィン系ワックスが、密度960kg/m3以上の高密度低分子量エチレン重合体、密度940kg/m3未満である低密度低分子量エチレン重合体、低分子量エチレン−プロピレン共重合体、及び、低分子量エチレン−ブテン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種類である、[10]〜[12]のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法。
[14]前記オレフィン系ワックスが、密度960kg/m3以上の高密度低分子量エチレン重合体である、[13]に記載のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜の製造方法。
[15][9]〜[14]のいずれかに記載の製造方法によってポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜を得る工程と、前記多孔質中空糸膜の表面の少なくとも一部に親水性高分子を含む親水性層を設ける工程とを含む分離膜の製造方法。
[16]前記親水性高分子が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体である、[15]に記載の分離膜の製造方法。
[17]
さらに、前記多孔質中空糸膜を、放射線よって滅菌する工程を含む、[15]又は[16]に記載の分離膜の製造方法。

発明の効果

0009

本発明によれば、血液の擬似的な漏洩が少ない、血漿分離用分離膜の基材としても使用できる未延伸部が少なく、均質性の高いポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜を提供することができる。

図面の簡単な説明

0010

本発明の多孔質中空糸膜の構造の具体例を示すモデル図である。

0011

以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。

0012

本実施形態の多孔質中空糸膜は、ポリエチレン系樹脂を含む。なお、該多孔質中空糸膜は、そのまま分離膜として使用することができるが、さらにその表面の少なくとも一部を、親水性高分子を含む親水性層で被覆すると、より血漿分離に適したものとなる。加えて、放射線などにより滅菌処理を施すことで、一層血漿分離に適した分離膜となる。
そして、前記多孔質中空糸膜は、分子量10000以下の成分の質量分率が17.5質量%以上であり、かつ分子量100万以上の成分の質量分率が、1.5質量%未満である。

0013

本実施形態の多孔質中空糸膜は、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリル(分子鎖集合体からなる短繊維状体(ただし、長さに限定はない))と、そのミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部(ミクロフィブリルどうしの端部をつなぐ節状の連結部)とを有し、隣り合うミクロフィブリルの間に形成されたスリット状の細孔を複数有している。上記結束部は、例えば、配向した(または略平行な)ミクロフィブリル同士の端部をつないでいる。結節部−複数のミクロフィブリル−結節部からなる構造は、糸長方向に繰り返されて、略網目構造を構成していてもよい。このような構造は、一般に、溶融延伸開孔法で得られる多孔質中空糸膜に見られる構造であり、中空糸の内壁外壁の表面を走査型電子顕微鏡等で観察することによって確認することができる。この構造の具体例を図1に示す。
溶融延伸開孔法によれば、膜内残留する液状添加物の溶出が無く、血漿分離用途に適する多孔質中空糸膜が得られることから、本実施形態においては、多孔質中空糸膜は溶融延伸開孔法により製造されることが好ましい。

0014

本実施形態の多孔質中空糸膜は、ポリエチレン系樹脂を含む。多孔質中空糸膜中のポリエチレン系樹脂の含有量に限定はないが、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。また、100質量%であってもよい。
そして、多孔質中空糸膜の、分子量10000以下の成分の質量分率は、17.5質量%以上であり、好ましくは18.0質量%以上であり、特に好ましくは18質量%以上20.0質量%未満である。また、多孔質中空糸膜の、分子量100万以上の成分の質量分率は、1.5質量%未満であり、1.45質量%以下であってもよいし、1.35質量以下であってもよい。 多孔質中空糸膜中の分子量10000以下の成分の質量分率が17.5質量%以上、かつ分子量100万以上の成分の質量分率は、1.5質量%未満となるように多孔質中空糸膜の原料を調整すると、溶融延伸開孔法によって、未延伸部が少ない多孔質中空糸膜を製造することができることが分かった。ただし、分子量10000以下の成分が多過ぎる場合には多孔質中空糸膜の耐圧強度が低下し、使用時に中空糸膜の破断破裂が生じる恐れがあるため、分子量10000以下の成分の質量分率は20.0質量%未満であることが好ましい。また、分子量100万以上の成分が少なすぎる場合には、延伸前中空糸の弾性回復率が低下するため適切な延伸開孔がなされず、所望の孔径範囲の多孔質中空糸膜が得られないため、分子量100万以上の成分は1質量%以上であることが好ましい。

0015

本実施形態において、多孔質中空糸膜の分子量10000以下の成分の質量分率、及び分子量100万以上の成分の質量分率は、多孔質中空糸膜の原料であるポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物の分子量分布を適宜調整することにより調整することができるが、特に、原料の分子量1000以下の成分の質量分率やメルトフローレートなどに影響を受けるため、これらを調整することによって、容易に多孔質中空糸膜の分子量10000以下の成分の質量分率を17.5質量%以上、分子量100万以上の成分の質量分率を1.5質量%未満とすることができることが分かった。なお、ここで、「ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物」とは、本実施形態の多孔質中空糸膜を構成するポリエチレン系樹脂含有材料のうち、一種類のポリエチレン系樹脂単体以外のものをいい、例えば、複数のポリエチレン系樹脂の混合物(例えば、後述する主原料のポリエチレン系樹脂とオレフィン系ワックスの混合物等)、ポリエチレン系樹脂とその他の樹脂の混合物、及び、これらに、樹脂以外の添加物を添加したもの等が挙げられる。
すなわち、多孔質中空糸膜の分子量10000以下の成分の質量分率を17.5質量%以上、かつ分子量100万以上の成分の質量分率を1.5質量%未満とするには、原料の分子量分布を適宜調整しながら多孔質中空糸膜を製造すればよいが、原料の分子量分布を細かく調整しなくても、原料として分子量1000以下の成分が、概ね1.0質量%以上の範囲に調整されたポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂含有樹脂組成物を用いると、容易に多孔質中空糸膜の分子量10000以下の成分の質量分率を17.5質量%以上、分子量100万以上の成分の質量分率を1.5質量%未満とすることができる。
とりわけ、MFR/D(JIS K7210(コードD)で測定したメルトフローレート)が3.0〜10.0で、MFR/G(JIS K7210(コードG)で測定したメルトフローレート)が150〜300となるような分子量分布を有するポリエチレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂含有樹脂組成物において、分子量1000以下の成分を1.0質量%以上の範囲とすると、これから得られた多孔質中空糸膜の分子量10000以下の成分の質量分率は17.5質量%以上、分子量100万以上の成分の質量分率は1.5質量%未満となり易い。
なお、原料の分子量1000以下の成分の割合が多いほど、多孔質中空糸膜の分子量10000以下の成分の質量分率は大きくなる傾向にあるが、分子量1000以下の成分が多すぎる場合には、このような低分子量成分が多孔質中空糸膜から溶出・脱離するという問題が生じるため、原料のポリエチレン系樹脂又は樹脂組成物中の分子量1000以下の成分は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下であることがさらに好ましい。

0016

また、ポリエチレン系樹脂含有多孔質中空糸膜を製造する際に、原料のポリエチレン系樹脂又は樹脂組成物として、分子量1000以下の成分の質量分率が1.0質量%以上であるものを用いた場合、延伸前原糸のラメラ積層体の成長が促され、それによってラメラ積層体の糸長方向、膜厚方向への均一化が図られることが分かった。作用機構は明らかではないが、ポリエチレン系樹脂又は樹脂組成物中の分子量1000以下の成分が可塑剤的に働き、ポリエチレン系樹脂の結晶化速度を緩和させることが、ラメラ積層体の成長を促進させ、均一化に繋がるものと考えられる。
したがって、このような観点からも、ポリエチレン系樹脂又は樹脂組成物として、分子量1000以下の成分の質量分率が1.0質量%以上の範囲にあるものを用いることが好ましい。

0017

前述のとおり、原料のポリエチレン系樹脂又は樹脂組成物のMFR/Dが3.0〜10.0、MFR/Gが150〜300であると、多孔質中空糸膜中の分子量10000以下の成分の質量分率を17.5質量%以上、分子量100万以上の成分の質量分率を1.5質量%未満とすることが容易になるが、加えて、前述した、原料として分子量1000以下の成分の質量分率が1.0質量%以上であるものを用いた場合に見られるラメラ積層体の糸長方向、膜厚方向への均一化がより促進される傾向にある。これは、溶融粘度が適切な範囲にあると、分子量1000以下の成分が可塑剤的に働き、ポリエチレン系樹脂の結晶化速度を緩和させるという作用がより発揮されやすいためと推測される。
ポリエチレン系樹脂又は樹脂組成物のMFR/Dは、より好ましくは3.5〜6.0、さらに好ましくは3.8〜5.8であり、MFR/Gは、より好ましくは160〜270、さらに好ましくは、170〜200である。

0018

ここで、ポリエチレン系樹脂とは、エチレンの単独重合体又はエチレンと他の単量体成分との共重合体(他の単量体成分の含有量は5モル%以下であることが好ましい)をいい、本実施形態における好ましい具体例として高密度で分岐が少ない高密度ポリエチレンが挙げられる。高密度ポリエチレンの密度(JIS K7112:1999による)は、950kg/m3以上が好ましく、より好ましくは960kg/m3以上である。
一般に、密度が950kg/m3未満の高密度ポリエチレンから得られる延伸前原糸は、結晶化度が低く、そのため、延伸により得られる多孔質中空糸膜の孔径を所望の(例えば、血漿分離に適した)範囲とするための延伸条件の調整が難しい。

0019

本実施形態において、血漿分離用途に用いる場合には、多孔質中空糸膜の孔径は、0.01〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.6μmである。
ここで、孔径は、バブルポイント法(JIS K3832:1990)で測定される最大孔径をいう。

0020

本実施形態において、多孔質中空糸膜の原料であるポリエチレン系樹脂又は樹脂組成物の分子量1000以下の成分の質量分率を調整する方法に限定はなく、ポリエチレン系樹脂又は樹脂組成物として、最初から分子量1000以下の成分の質量分率が1.0質量%以上であるものを用いてもよいし、例えば、主原料のポリエチレン系樹脂にオレフィン系ワックスを配合することによっても分子量1000以下の成分の質量分率を1.0質量%以下である樹脂組成物とすることができる。
具体的には、オレフィン系ワックスを、主原料のポリエチレン系樹脂とオレフィン系ワックスの総量に対して概ね0.1〜10.0質量%の範囲内で(主原料のポリエチレン系樹脂の含有量が90.0〜99.9質量%の範囲内となるように)、ポリエチレン系樹脂に配合すれば良い。ただし、実際の、オレフィン系ワックスの配合量は、上記を目安として、それぞれの性状に応じて決めることができる。
オレフィン系ワックスは、粘度平均分子量が700〜8000であることが好ましく、より好ましくは2000〜6000の範囲である。粘度平均分子量が700未満のオレフィン系ワックスは、分子量が低過ぎて多孔質中空糸膜から溶出する恐れがある。一方、粘度平均分子量が10000を超えるオレフィン系ワックスは、分子量が高過ぎて可塑剤効果が失われ、ラメラ積層体の成長促進と均一化が期待できない。
本実施形態において、粘度平均分子量(Mv)は、デカリン溶液中に試料を異なる濃度で溶解し、135℃で求めた還元粘度を濃度0に外挿して求めた極限粘度[η](dl/g)から、以下の数式Aにより算出される。
Mv=(5.34×104)×[η]1.49

0021

本実施形態において、オレフィン系ワックスは、密度960kg/m3以上の高密度低分子量エチレン重合体、密度940kg/m3未満である低密度低分子量エチレン重合体、低分子量エチレン−プロピレン共重合体、及び、低分子量エチレン−ブテン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種類であることが好ましい。
ここで、高密度低分子量エチレン重合体とは、密度が950kg/m3以上であり、粘度平均分子量が10000以下である、エチレン基基本骨格とする重合体をいい、低密度低分子量エチレン重合体とは、密度が950kg/m3未満であり、粘度平均分子量が10000以下である、エチレン基を基本骨格とする重合体をいう。
また、低分子量エチレン−プロピレン共重合体とは、粘度平均分子量が10000以下である、エチレン−プロピレン基を基本骨格とする共重合体をいい、低分子量エチレン−ブテン共重合体とは、粘度平均分子量が10000以下である、エチレン−ブテン基を基本骨格とする共重合体をいう。
本実施形態において、オレフィン系ワックスとしては、主原料のポリエチレン系樹脂との相溶性から、密度が960kg/m3以上の高密度低分子量エチレン重合体が好ましく、より好ましくは密度が970kg/m3以上の高密度低分子量エチレン重合体である。
本実施形態において、ポリオレフィン系ワックスを含む樹脂組成物のMFR/Dは3.0〜10.0であることが好ましく、より好ましくは3.5〜6.0であり、さらに好ましくは、3.8〜5.8である。またポリオレフィン系ワックスが配合されたポリエチレン系樹脂のMFR/Gは150〜300であることが好ましく、より好ましくは160〜270であり、さらに好ましくは、170〜200である。

0022

本実施形態において、多孔質中空糸膜には、ポリエチレン系樹脂、オレフィン系ワックスに加え、任意の添加物を含有してもよい。このような添加物としては、例えば、酸化防止剤潤滑剤、紫外線吸収剤光安定剤等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、商品名「Irganox1010」、「Irganox1076」、Irgafos168」等が挙げられる。潤滑剤としては、例えば、モンタン酸カルシウムステアリン酸カルシウムステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。このような任意の添加物の合計含有量は、多孔質中空糸膜の5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。

0023

本実施形態の多孔質中空糸膜は、疎水性高分子であるポリエチレン系樹脂を含む。疎水性高分子は、血液との相互作用が生じるため、これを血漿分離用分離膜等に利用する場合には、多孔質中空糸膜の表面を、親水性高分子を含む親水性層で被覆することが好ましい。
親水性高分子としては、例えば、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシプロピルメタクリレートポリビニルピロリドン、及びエチレン−ビニルアルコール系共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。中でも、ポリエチレン系樹脂との接着性が良く、多孔構造の孔表面からの剥離が少ないエチレン−ビニルアルコール系共重合体が好ましい。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体としては、ランダム重合体ブロック重合体、又はグラフト重合体等いずれのタイプであってもよいが、共重合体のエチレン含量は20〜70モル%の範囲内にあることが好ましく、親水性と接着性のバランスの観点で、25〜50モル%の範囲内にあることがより好ましい。
エチレン含量が20モル%以上であることにより、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のポリエチレン系樹脂に対する接着性がより良く、多孔構造の孔表面と親水性層の剥離が起こるのを防止することができる。
また、エチレン含量が70モル%以下であることにより、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を含む親水性層と血液との間の相互作用を小さくすることができる。
本実施形態において、多孔質中空糸膜に含まれるポリエチレン系樹脂が高密度ポリエチレンである場合、エチレン鎖共有することから接着性が増加するため、親水性高分子としては、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を用いることが好ましい。

0024

親水性層は親水性高分子のみからなっていてもよいし、親水性高分子以外の添加剤を含有してもよい。その場合、親水性高分子の含有量が、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
ここで、親水性層で被覆された多孔質中空糸膜の親水性の度合いは、水の接触角によって評価できる。接触角の測定法には、静的接触角法と動的接触角法の2種類があるが、多孔膜表面のモルフォロジーが反映される動的接触角法が好ましい。動的接触角法の中でも試料の形状の自由度が高い、ウェルルミ法がより好ましい。接触角については、後退接触角が水中での物質の表面の親水性を直接反映するため、多孔質中空糸膜の親水性の度合い判断する上で重要な指標となる。
本実施形態において、親水性層で被覆された多孔質中空糸膜の水の後退接触角は、0〜15度であることが好ましく、より好ましくは0〜10度であり、さらに好ましくは0〜5度である。水の後退接触角が15度を超えると、血漿分離用分離膜として用いた場合に血漿蛋白吸着溶血血栓の形成等を引き起こすおそれが出る。
なお、ウェルヘルミ法による多孔質中空糸膜の水に対する後退接触角の測定は、例えば、以下のようにして実施することができる。
検査用水として注射用水(扶薬品工業(株)製日本薬局方)、測定装置として動的接触角測定器(DataPysics InstrumentGmbH社製 DCAT11)を用いる。多孔質中空糸膜を約2cmに切断し、上記測定装置に装着する。測定時のモータースピードは0.10mm/秒、浸漬深さは10mmとし、前進及び後退を1サイクルとして、5サイクルの測定を行う。5回の測定によって得られた値の平均値を後退接触角とする。

0025

本実施形態の多孔質中空糸膜の製造方法は、溶融延伸開孔法等により多孔質中空糸膜を作る工程を含み、多孔質中空糸膜を血漿分離用分離膜として使用する場合にはさらにコーティング法等により親水性高分子含む親水性層を多孔質中空糸膜の表面に形成する工程を含むことが好ましい。
溶融延伸開孔法においては、主原料のポリエチレン系樹脂や必要に応じてオレフィン系ワックスを含む樹脂組成物を中空糸状に溶融紡出し、巻き取った中空糸(延伸前原糸)を延伸により多孔化させ、多孔質中空糸膜を得る。
また、コーティング法においては、例えば、前記多孔質中空糸膜を親水性高分子が含まれる有機溶媒等(コーティング液)中に浸漬し、取り出したのち、溶媒を熱で乾燥し、多孔質中空糸膜の表面に親水高分子を被覆する。
溶融延伸開孔法による多孔質中空糸膜の製造は、例えば特公平6−91945号公報で示される手順に基づいて実施できる。

0026

以下、本実施形態の多孔質中空糸膜/分離膜の製造方法における、多孔質中空糸膜を作成する手順の一例を述べる。
(1)主原料のポリエチレン系樹脂や、主原料のポリエチレン系樹脂及びオレフィン系ワックスを含む樹脂組成物を、押出機により溶融混練する。
(2)溶融状態のポリエチレン系樹脂(又は樹脂組成物)を、円形二重紡口により紡糸筒中へ中空糸状に押し出し、高ドラフト(例えば、ドラフト比1000〜8000)で巻き取り、ラメラ積層体が形成された中空糸(延伸前原糸)として巻き取る。
(3)延伸前原糸をオーブンにて二段階に分けて熱処理する。
(4)前記延伸前原糸を低温(例えば、10〜40℃)下で延伸(例えば、延伸倍率10〜50%)し、ラメラ積層体の間を開裂させ、微小孔を作る。
(5)必要に応じ、さらに熱延伸(例えば、80〜130℃下、延伸倍率200〜500%)によって孔の拡大を図る。
(6)熱セット孔構造を固定させる。
以上の手順によって、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、そのミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とを有する多孔質中空糸膜を得ることができる。
なお、多孔質中空糸膜の原料がオレフィン系ワックスを含む樹脂組成物の場合には、例えば、主原料として用いるポリエチレン系樹脂(例えば、90.0〜99.9質量%)と、オレフィン系ワックス(例えば、0.1〜10.0質量%)とを単軸押出機により溶融混練し、ペレタイザーによってペレット状のものとしてから、溶融混練(上記工程(2))に供してもよい。

0027

分子量1000以下の成分が1.0質量%以上であるポリエチレン系樹脂、とりわけオレフィン系ワックスポリエチレンを含む樹脂組成物を用いて溶融延伸開孔法により多孔質中空糸膜を製造する場合、未延伸部が少ない多孔質中空糸膜を製造するには、以下の二要件を満たすことが好ましいことが判明した。
第一に、延伸前原糸が形成されてから巻き取られるまでの空走時間(原料が紡口(具体的には円形二重紡口)から押し出され、中空糸として巻き取られるまでの滞留時間)を1秒以上、より好ましくは1.1秒以上、確保することである。第二に、延伸前原糸を延伸するのに先立ち、二段階で熱処理することである。特に、一段階目の温度を二段階目よりも10〜15℃低くすることが好ましい。熱処理方法、温度及び時間に限定はないが、例えば、熱処理方法としてはオーブン等の恒温室に入れることが挙げられ、温度、時間については、一段目を90〜105℃、2〜10時間、二段目を100〜120℃、1〜2時間とすることができる。
作用機構は明らかではないものの、これらの二要件が、原料であるポリエチレン系樹脂や樹脂組成物の特性と相俟って、延伸前原糸のラメラ積層体の成長と均質性を促し、未延伸部を低減させるものと考える。

0028

本実施形態の分離膜を製造するに際し、親水性高分子を含む親水性層を多孔質中空糸膜の表面の少なくとも一部に形成する方法は、特に限定されるものではないが、親水性高分子としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体を用いる場合、例えば、特公平4−27891号公報に示されているコーティング法を利用できる。
すなわち、多孔質中空糸膜を、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が所定濃度水混和性有機溶剤水溶液加熱溶解された溶液に所定時間浸漬放置し、次いで過剰の該溶液を除去した後、所定温度熱風で乾燥することで、親水性層を表面に有する多孔質中空糸膜を得ることができる。
得られた親水性層を有する多孔質中空糸膜は、未延伸部が少ないため血液の擬似漏洩が無く、均質性に優れ、血漿分離用途に適した分離膜となる。
さらに驚くべきことに、本実施形態の多孔質中空糸膜は、その上に親水性高分子を含む親水性層を設けても、親水性高分子の溶出が少なく、そのため、より親水性・低蛋白質吸着性に優れ、血液との適合性が向上した分離膜とすることができる。
親水性高分子の溶出が少ない理由は明らかではないが、本実施形態の多孔質中空糸膜は、比表面積が大きく、親水性高分子との接触面積が大きいためと推察する。

0029

さらに、本実施形態の多孔質中空糸膜を血漿分離用分離膜に使用する場合には、使用前に滅菌処理されていることが好ましい。したがって、本実施形態の分離膜の製造方法は、多孔質中空糸膜を滅菌する工程を含むことが好ましい。上述の親水性層を設ける場合には、親水性層形成後の多孔質中空糸膜を滅菌することが好ましい。
滅菌法については、エチレンオキサイドガス滅菌高圧蒸気滅菌放射線滅菌等がある。このうち電子線やガンマ線等よる放射線滅菌は被処理物包装状態のまま処理できることから好ましい。本実施形態において、多孔質中空糸膜は、滅菌効果の高いガンマ線を照射して滅菌されることが特に好ましい。ただし、ガンマ線の照射線量が高すぎる場合、分離膜としての性能が低下するため、ガンマ線の照射線量は、分離膜の素材に応じて調整される。本実施形態においては、20kGyから40kGyの範囲であることが好ましい。
本実施形態において、多孔質中空糸膜がガンマ線滅菌される場合、ガンマ線滅菌後の多孔質中空糸膜を構成する材料のMFR/Dは0.03以上であることが好ましい。MFR/Dが0.03以上であれば分離膜としての性能は損なわれない。
なお、未延伸部が多い多孔質中空糸膜は、ガンマ線滅菌されると、溶融粘性を示さなくなり、MFR/Dの測定ができなくなる。原因は明らかではないが、未延伸部が多孔化されていないため、その部分のエネルギー密度が高くなり、ラジカルが発生することで分子鎖間に架橋反応が生じ、網状構造が形成されるため溶融粘性が失われるものと推察される。

0030

本実施形態において多孔質中空糸膜をガンマ線により放射線滅菌する方法に限定はないが、以下にその手順の一例を挙げる。
(1)長さ250mmの分離膜2200本を束ね分離膜束を血漿分離用の容器に挿入し、両端にポリウレタン樹脂等のポッティング剤注入して両端をシールした後、ヘッダーを付け、血漿分離モジュール(以下、モジュールという。)を作成する。
(2)モジュールに生理食塩水充填し、振動などを加え、内部の空気を完全に抜く。
(3)両端のヘッダー部を密封する。
(4)モジュールをガンマ線照射設備持ち込み、所定の線量でガンマ線を照射する。

0031

以下、実施例・比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例における評価及び分析は下記の方法で行った。
(1)未延伸発生率
走行する多孔質中空糸膜の下方から光を当て、上方から糸影を画像センサで連続的に所定時間観測し、光の透過により糸影が途切れる部分を未延伸部とみなし、未延伸数n(単位:個)を計測した。観測時間に走行した多孔質中空糸膜の長さL(単位:m)と未延伸数nから未延伸発生率Eを式1から求めた。
Eが低いほど多孔質中空糸膜の糸長方向の均質性は高く、好ましくは0.2個/m・%以下であり、より好ましくは0.1個/m・%以下である。
式1:E=(n/L)×100(個/m・%)

0032

(2)血液擬似漏洩確認試験
濾過有効長250mmの分離膜2200本を束ねた分離膜束を、濾液ポートを1つ以上有する筒状透明容器内に挿入して充填し、分離膜束の端部と容器端部とをウレタン樹脂によりポッティング加工し、さらに硬化したウレタン樹脂層を切断して分離膜をその端部に開口させた後、容器両端部に被濾液流通口を有するヘッダーキャップを装着した中空糸膜型モジュールを10点成型した。
これら10点のモジュールをホルダーに立て置きし、各モジュールの下端の被濾液流通口から(開明株式会社製朱墨液)をポンプにて送液し、モジュール内部の全ての分離膜の中空部を朱墨で満たした。各モジュールの両端の被濾液流通口を閉じ、モジュールをホルダーから取り外し、モジュール側面から内部の分離膜束の外周を目視し、朱色スポットの有無を確認した。朱色スポットを血液擬似漏洩と見なし、10点のモジュール全てに朱色スポットが無い場合、血液擬似漏洩は無いと判定した。

0033

(3)溶出物試験
分離膜1.5gを70℃の熱水150mLに入れ、温調しながら1時間保持した。その後放冷し、熱水5mLを取り出し、試験管に入れ、栓をした。
試験管を手で持ち、3分間激しく振り混ぜた。3分間静置後、生じた泡の状態を確認した。泡が完全に消失した場合、親水性高分子の溶出は「無し」と判定した。

0034

(4)内径膜厚測定
分離膜を内径5mmのポリエチレン製チューブ内に挿入し、チューブ内の分離膜の周りシリコン接着剤を注入した。シリコン接着剤の硬化後、ポリエチレン製チューブの横断面をカミソリ割断した。チューブ端面に表出した分離膜の断面をマイクロスコープで観察し、画像解析ソフト(MediaCyberbetics社製Image−pro plus)を用い、円相当径としての外径DO)及び内径(DI)を求めた。
DIを分離膜の内径とし、DOとDIの差の半分を分離膜の膜厚として求めた。

0035

(5)ポリエチレン系樹脂(またはポリエチレン樹脂にオレフィン系ワックスが配合された樹脂組成物)の分子量1000以下の成分の質量分率(以下、「mf(1000)率」という。)の測定
(5−1)ポリエチレン系樹脂の濃度が1.0mg/mLとなるように1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)を添加した。
(5−2)高温溶解器を用いて静置(160℃×0.5時間)の後、揺動(160℃×1時間)を行い、ポリエチレン系樹脂をTCBに溶解させた。
(5−3)加温状態(160℃)のまま、1.0μmフィルターで濾過し、濾過液をGPC測定試料とした。
(5−4)以下の条件でGPC測定を行った。
・測定装置:高温GPC装置アジレント・テクノロジーPL−GPC220)
カラム:TSKgelGMHHR−H(20) 2本
装置温度:全流路140℃
溶離液:TCB(0.05%4,4‘−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール含有)
試料注入量:200μL
検出器示唆屈折率検出器RI
較正曲線単分散ポリスチレン標準試料とし、換算係数(0.43)を用い、1次で計算した。
(5−5)較正曲線から分子量ごとの質量分率を計算し、mf(1000)率を求めた。

0036

(6)多孔質中空糸膜を構成するポリエチレン系樹脂、または樹脂組成物の分子量10000以下の成分の質量分率(以下、「mf(10000)率」という。)および分子量100万以上の質量分率(以下「mf(100万)率」という。)の測定
(6−1)分離膜30mgを5mLのジメチルスルホキシド中に50時間浸漬し、表面の親水性層を除去し、多孔質中空糸膜を得た。以下、これを試料とした。
(6−2)前記試料をさらにメタノール/水=60/40(容量比)に6時間浸漬し、その後室温にて真空乾燥した。
(6−3)乾燥後の試料を量し、試料濃度が1.0mg/mlとなるようにTCBを添加した。
(6−4)高温溶解器を用いて静置(160℃×0.5時間)の後、揺動(160℃×1時間)を行い、試料をTCBに溶解させた。
(6−5)加温状態(160℃)のまま、1.0μmフィルターで濾過し、濾過液をGPC測定試料とした。
(6−6)以下の条件でGPC測定を行った。
・測定装置:高温GPC装置(アジレント・テクノロジー製PL−GPC220)
・カラム:TSKgelGMHHR−H(20) 2本
・装置温度:全流路160℃
・溶離液:TCB(0.05%ジブチルヒドロキシトルエン含有)
・試料注入量:500μL
・検出器:示唆屈折率検出器RI
・較正曲線:単分散ポリスチレンを標準試料とし、換算係数(0.43)を用い、1次で計算した。
(6−7)較正曲線から分子量ごとの質量分率を計算し、mf(10000)率、及びmf100万)率を求めた。

0037

(実施例1)
高密度ポリエチレン(密度965kg/m3、MFR/D:5.1、MFR/G:186、mf(1000)率:1.4質量%)を原料とし、中空二重紡口を用い、ポリマー押出量16.1g/分、中空窒素量22.5mL/分、紡口温度150℃、紡速200m/分、紡糸ドラフト比3400、空走時間1.2秒にて紡糸し、中空糸(延伸前原糸)を得た。
次いで延伸前原糸をオーブン中で100℃にて6時間、更に温度を上げ、115℃にて1時間熱処理した。熱処理後の延伸前原糸を用いて、以下連続的に冷延伸、熱延伸、熱セットを行った。具体的には、室温下で冷延伸倍率30%の冷延伸を行い、次いで102℃で熱延伸倍率200%、115℃でさらに43%の2段熱延伸を行った後、128℃の空気加熱槽中でロール間の速度調整により、第1段が27%、第2段が17%の熱セット率にて2段熱セットを行い、多孔質中空糸膜を得た。この多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されていることが確認できた。また、多孔質中空糸膜の未延伸発生率は0.07(個/m・%)であった。
エチレン含量38モル%のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を75容量%エタノール水溶液に加熱溶解させ0.5質量%溶液とした。温度を50℃に維持した該溶液中に、前記多孔質中空糸膜を浸漬し、10分間放置した。次いで過剰のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を除いた後、50℃の熱風で3時間乾燥して、エチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる親水性層を表面に有する分離膜を得た。得られた分離膜の内径は320μm、膜厚は45μmであった。
分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は19.0質量%、mf(100万)率は1.4質量%だった。
血液擬似漏洩確認試験において、朱色スポットは確認されず、血液擬似漏洩は「無し」と判定された。溶出物試験において、3分間静置の間に泡は消失し、親水性高分子の溶出は「無し」と判定された。
さらに、前記分離膜を用いて血漿分離モジュールを作成し、25kGyの線量でガンマ線を照射した。しかる後、血漿分離モジュールから分離膜を取り出し、該分離膜をジメチルスルホキシドに50時間浸漬し、その後50容量%メタノール水溶液にて洗浄し、5時間真空乾燥後、MFR/Dを測定したところ0.03であった。

0038

(実施例2)
高密度ポリエチレン(密度962kg/m3、MFR/D:5.2、MFR/G:195、mf(1000)率:1.0質量%)を原料とし、中空二重紡口を用い、ポリマー押出量16.0g/分、中空窒素量22.0mL/分、紡口温度149℃、紡速200m/分、紡糸ドラフト比3430、空走時間1.2秒にて紡糸し、中空糸(延伸前原糸)を得た。
次いで延伸前原糸をオーブン中で100℃にて8時間、更に温度を上げ、115℃にて2時間熱処理した。熱処理後の延伸前原糸を用いて、以下連続的に冷延伸、熱延伸、熱セットを行った。具体的には、室温下で冷延伸倍率30%の冷延伸を行い、次いで105℃で熱延伸倍率200%、115℃でさらに43%の2段熱延伸を行った後、127℃の空気加熱槽中でロール間の速度調整により、第1段が27%、第2段が17%の熱セット率にて2段熱セットを行い、多孔質中空糸膜を得た。この多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されていた。未延伸発生率は0.07(個/m・%)であった。
実施例1記載の手順に従い、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を塗布処理し、分離膜を得た。得られた分離膜の内径は315μm、膜厚は44μmであった。
分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は18.0質量%、mf(100万)率は1.3質量%だった。
血液擬似漏洩確認試験において、朱色スポットは確認されず、血液擬似漏洩は「無し」と判定された。溶出物試験において、親水性高分子の溶出は認められなかった。
実施例1記載の手順に従い、前記分離膜にガンマ線を照射した後、MFR/Dを測定したところ、0.05であった。

0039

(実施例3)
高密度ポリエチレン(密度967kg/m3、MFR/D:2.8、MFR/G:114、mf(1000)率:0.7質量%)を原料とし、中空二重紡口を用い、ポリマー押出量16.1g/分、中空窒素量22.5mL/分、紡口温度155℃、紡速200m/分、紡糸ドラフト比3400、空走時間1.2秒にて紡糸し、中空糸(延伸前原糸)を得た。
次いで延伸前原糸をオーブン中で100℃にて8時間、更に温度を上げ、115℃にて1時間熱処理した。熱処理後の延伸前原糸を用いて、以下連続的に冷延伸、熱延伸、熱セットを行った。具体的には、室温下で冷延伸倍率30%の冷延伸を行い、次いで102℃で熱延伸倍率200%、115℃でさらに43%の2段熱延伸を行った後、127℃の空気加熱槽中でロール間の速度調整により、第1段が27%、第2段が17%の熱セット率にて2段熱セットを行い、多孔質中空糸膜を得た。
この際の多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されていることが確認できた。多孔質中空糸膜の未延伸発生率は0.29(個/m・%)であった。
分離膜の内径は315μm、膜厚は45μmであった。分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は17.5質量%、mf(100万)率は1.4質量%だった。
血液擬似漏洩確認試験において、試験モジュールに朱色スポットがある束が確認され、血液擬似漏洩は「有り」と判定された。溶出物試験において、3分間静置の間に泡は消失し、親水性高分子の溶出は「無し」と判定された。

0040

(比較例1)
高密度ポリエチレン(密度966kg/m3、MFR/D:5.1、MFR/G:183、mf(1000)率:0.8質量%)を原料とした以外は、実施例1記載の手順に従い、多孔質中空糸膜、次いで分離膜を得た。
この多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されており、また、未延伸発生率は1.20(個/m・%)であった。
分離膜の内径は320μm、膜厚は46μmであった。分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は17.3質量%、mf(100万)率は1.1質量%であった。
血液擬似漏洩確認試験において、試験モジュールに朱色スポットがある束が確認され、血液擬似漏洩は「有り」と判定された。溶出は認められなかった。
実施例1、前記分離膜をガンマ線照射した後、MFR/Dの測定を試みたが、溶融しなかったため測定できなかった。

0041

(比較例2)
高密度ポリエチレン(密度965kg/m3、MFR/D:5.0、MFR/G:155、mf(1000)率:0.8質量%)を原料とした以外は、実施例1記載の手順に従い、多孔質中空糸膜、次いで分離膜を得た。
この多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されており、また、未延伸発生率は0.34(個/m・%)であった。
分離膜の内径は320μm、膜厚は46μmであった。分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は17.5質量%、mf(100万)率は1.5質量%であった。
血液擬似漏洩確認試験において、試験モジュールに朱色スポットがある束が確認され、血液擬似漏洩は「有り」と判定された。溶出は認められなかった。

0042

(比較例3)
高密度ポリエチレン(密度965kg/m3、MFR/D:1.4、MFR/G:90、mf(1000)率:0.6質量%)を原料とし、中空二重紡口を用い、ポリマー押出量15.5g/分、中空窒素量22.5mL/分、紡口温度155℃、紡速200m/分、紡糸ドラフト比3540、空走時間1.2秒にて紡糸し、中空糸(延伸前原糸)を得た。
次いで延伸前原糸をオーブン中で100℃にて6時間、更に温度を上げ、115℃にて1時間熱処理した。熱処理後の延伸前原糸を用いて、以下連続的に冷延伸、熱延伸、熱セットを行った。具体的には、室温下で冷延伸倍率30%の冷延伸を行い、次いで102℃で熱延伸倍率200%、115℃でさらに43%の2段熱延伸を行った後、128℃の空気加熱槽中でロール間の速度調整により、第1段が27%、第2段が17%の熱セット率にて2段熱セットを行い、多孔質中空糸膜を得た。この多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されていた。未延伸発生率は2.75(個/m・%)であった。
その後、実施例1記載の手順に従い、分離膜を得た。
分離膜の内径は320μm、膜厚は43μmであった。分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は16.9質量%、mf(100万)率は2.4質量%であった。
血液擬似漏洩確認試験において、試験モジュールに朱色スポットがある束が確認され、血液擬似漏洩は「有り」と判定された。溶出が認められた。

0043

(比較例4)
高密度ポリエチレン(密度944kg/m3、MFR/D:0.5、MFR/G:33、mf(1000)率:0.6質量%)を原料とし、中空二重紡口を用い、ポリマー押出量15.6g/分、中空窒素量22.5mL/分、紡口温度170℃、紡速200m/分、紡糸ドラフト比3520、空走時間1.2秒にて紡糸し、中空糸(延伸前原糸)を得た。
次いで延伸前原糸をオーブン中で100℃にて6時間、更に温度を上げ、115℃にて1時間熱処理した。熱処理後の延伸前原糸を用いて、以下連続的に冷延伸、熱延伸、熱セットを行った。具体的には、室温下で冷延伸倍率30%の冷延伸を行い、次いで102℃で熱延伸倍率200%、115℃でさらに43%の2段熱延伸を行った後、128℃の空気加熱槽中でロール間の速度調整により、第1段が27%、第2段が17%の熱セット率にて2段熱セットを行い、多孔質中空糸膜を得た。この多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されていた。未延伸発生率は13.80(個/m・%)であった。
その後、実施例1記載の手順に従い、分離膜を得た。
分離膜の内径は320μm、膜厚は43μmであった。分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は16.0質量%、mf(100万)率は2.8質量%であった。
血液擬似漏洩確認試験において、試験モジュールに朱色スポットがある束が確認され、血液擬似漏洩は「有り」と判定された。溶出試験において、親水性物質の溶出が認められ、溶出は「有り」と判定された。

0044

(比較例5)
高密度ポリエチレン(密度961kg/m3、MFR/D:2.9、MFR/G:145、mf(1000)率:1.0質量%)を原料とした以外は、実施例3記載の手順に従い、多孔質中空糸膜、次いで分離膜を得た。
この多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されており、また、未延伸発生率は0.66(個/m・%)であった。
分離膜の内径は316μm、膜厚は45μmであった。分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は17.0質量%、mf(100万)率は1.7質量%であった。
血液擬似漏洩確認試験において、朱色スポットが確認され、血液擬似漏洩は「有り」と判定された。溶出は認められなかった。

0045

(実施例4)
比較例1で用いた高密度ポリエチレンを99.0質量%、並びに高密度低分子量エチレン重合体(オレフィン系ワックス)(密度970kg/m3、粘度平均分子量4000)を1.0質量%配合した樹脂組成物(MFR/D:5.1、MFR/G:188、mf(1000)率:1.1質量%)を得た。この樹脂組成物を原料とし、実施例1記載の手順に従い、多孔質中空糸膜を作成し、さらに分離膜を得た。
ここで得られた多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されており、また、未延伸発生率は0.08(個/m・%)だった。
分離膜の内径は321μm、膜厚は45μmであった。分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は18.5質量%、mf(100万)率は1.1質量%だった。
血液擬似漏洩確認試験において、朱色スポットは確認されず、血液擬似漏洩は「無し」と判定された。溶出物は認められなかった。
実施例1記載の手順に従い、前記分離膜にガンマ線を照射した後、MFR/Dを測定したところ、0.11であった。

0046

(実施例5)
比較例1で用いた高密度ポリエチレンを95.0質量%、並びに高密度低分子量エチレン重合体(オレフィン系ワックス)(密度980kg/m3、粘度平均分子量2000)を5.0質量%配合した樹脂組成物を得た(MFR/D:5.8、MFR/G:239、mf(1000)率:1.2質量%)。この樹脂組成物を原料とし、実施例1記載の手順に従い、多孔質中空糸膜を作成し、さらに分離膜を得た。
ここで得られた多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されていた。未延伸発生率は0.10(個/m・%)であった。
分離膜の内径は320μm、膜厚は46μmであった。分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は19.3質量%、mf(100万)率は1.0質量%であった。
血液擬似漏洩確認試験において、血液擬似漏洩は認められなかった。溶出物試験において溶出物は認められなかった。

0047

(実施例6)
比較例1で用いた高密度ポリエチレンを98.0質量%、並びに低密度低分子量エチレン重合体(オレフィン系ワックス)(密度935kg/m3、粘度平均分子量2000)を2.0質量%配合した樹脂組成物を得た(MFR/D:5.5、MFR/G:263、mf(1000)率:1.0質量%)。この樹脂組成物を原料とし、2回目熱処理温度、熱処理時間が各々117℃、2時間であること以外は実施例1記載の手順に従い、多孔質中空糸膜、続いて分離膜を得た。
この多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されており、また、未延伸発生率は0.16(個/m・%)だった。
分離膜の内径は322μm、膜厚は46μmであった。分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は18.7質量%、mf(100万)率は1.1質量%であった。
血液擬似漏洩及び溶出物は認められなかった。

0048

(実施例7)
比較例1で用いた高密度ポリエチレンを98.0質量%、並びに低密度低分子量エチレン−プロピレン重合体(オレフィン系ワックス)(密度940kg/m3、粘度平均分子量2000)を2.0質量%配合した樹脂組成物を得た(MFR/D:6.0、MFR/G:290、mf(1000)率:1.1質量%)。この樹脂組成物を原料とし、紡口温度が152℃あること以外は実施例1記載の手順に従い、多孔質中空糸膜を作成し、さらに分離膜を得た。
ここで得られた多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成された。未延伸発生率は0.20(個/m・%)であった。
分離膜の内径は326μm、膜厚は44μmであった。分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は18.0質量%、mf(100万)率は1.1質量%であった。
血液擬似漏洩確認試験において、朱色スポットは確認されず、血液擬似漏洩は「無し」と判定された。溶出物試験において、親水性高分子の溶出は「無し」と判定された。

0049

(実施例8)
比較例1で用いた高密度ポリエチレンを95.0質量%、並びに高密度低分子量エチレン重合体(オレフィン系ワックス)(密度970kg/m3、粘度平均分子量4000)を5.0質量%配合した樹脂組成物を得た(MFR/D:5.7、MFR/G:191、mf(1000)率:1.5質量%)。この樹脂組成物を原料とし、実施例1記載の手順に従い、多孔質中空糸膜、さらに分離膜を得た。
この多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されており、また、未延伸発生率は0.17(個/m・%)であった。
分離膜の内径は318μm、膜厚は44μmであった。分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は20.2質量%、mf(100万)率は1.0質量%であった。
血液擬似漏洩確認試験において、朱色スポットは確認されず、血液擬似漏洩は「無し」と判定された。溶出物試験において、親水性高分子の溶出は「有り」と判定された。

0050

(比較例6)
高密度ポリエチレン(密度964kg/m3、MFR/D:5.0、MFR/G:172、mf(1000率):0.7質量%)を99.0質量%、並びに高密度低分子量エチレン重合体(オレフィン系ワックス)(密度970kg/m3、粘度平均分子量4000)を1.0質量%配合した樹脂組成物を得た(MFR/D:5.2、MFR/G:193、mf(1000)率:0.9.質量%)。この樹脂組成物を原料とし、実施例1記載の手順に従い、多孔質中空糸膜を作成し、次いで分離膜を得た。
ここで得た多孔質中空糸膜の内壁をSEM(5000倍)で確認したところ、糸長方向に配向した複数のミクロフィブリルと、該ミクロフィブリルの両端に連結したラメラ積層体からなる結節部とから構成されていた。未延伸発生率は1.55(個/m・%)であった。
分離膜の内径は322μm、膜厚は43μmであった。分離膜からエチレン−ビニルアルコール共重合体を除去して得た多孔質中空糸膜のmf(10000)率は17.4質量%、mf(100万)率は1.5質量%であった。
血液擬似漏洩確認試験において、試験モジュールに朱色スポットがある束が確認され、血液擬似漏洩は「有り」と判定された。溶出物試験において、親水性高分子の溶出は「無し」と判定された。
実施例1記載の手順に従い、前記分離膜をガンマ線照射した後、MFR/Dの測定を試みたが、溶融しなかったため測定できなかった。

実施例

0051

0052

本発明のポリエチレン系樹脂多孔質中空糸膜は、血漿交換療法において用いることができるという医療分野における産業上の利用可能性を有する。

0053

本願は、2016年5月13日に日本国特許庁に出願された日本特許出願(特願2016−097423)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

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