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技術 ラウリン酸型チョコレート用油脂組成物及びこれを含有するチョコレート

出願人 不二製油株式会社
発明者 渡邊慎平神田奈々子
出願日 2017年4月3日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2017-544795
公開日 2018年4月19日 (1年5ヶ月経過) 公開番号 WO2017-179455
状態 特許登録済
技術分野 食用油脂 菓子
主要キーワード デモールド 被毒触媒 硬さ変化 スナップ性 グレーニング 継時的 ブルーム防止剤 多形転移
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

ラウリン酸非テンパリング型チョコレートにおいて、ココアバターが高配合でき、常温流通時にも耐えうる耐熱性を持ち、光沢、食感風味などが良好であり、継時的ブルーム発現硬さ変化を抑制できるノーテンパリングチョコレート用油脂の提供を課題とする。ラウリン酸型ハードバターにUSU型トリグリセリドを含む油脂を適切な割合で配合するで、これまで不可能であったラウリン酸型ハードバター使用チョコレートでの高ココアバター配合が可能となった。

概要

背景

チョコレート類に使用される油脂(ココアバターを含めた広義ハードバター)は、チョコレートを製造する際のテンパリングの要否により、テンパリング型と非テンパリング型の二種に大別される。テンパリング型ハードバターは、ココアバターの如くその主要なトリグリセリド成分が1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリドからなるのが特徴であり、シャープで良好な口溶けを持ち、ココアバターと任意に置換して使用できるが、結晶多型現象を持つためテンパリング処理を施す必要があり、使用用途が限定される面がある。

非テンパリング型ハードバターは、トランス酸型とラウリン酸型に大別され、トランス酸型は、液体油脂硬化触媒及び含硫化合物若しくは被毒触媒等の触媒の存在下で異性化硬化する事により得られるトランス酸型不飽和脂肪酸を主要構成脂肪酸としており、テンパリング型に比べると口溶けのシャープさ及び風味が劣る。

さらに近年、各種脂肪酸に関する多くの栄養生理学的な知見が明らかになりつつある。例えば、トランス酸を多く含む油脂の摂取量が過剰である場合には、動脈硬化などの心臓病になるリスクを高めるとの研究結果が得られており、これらトランス酸が低減されたまたはトランス酸を実質的に含まないタイプのハードバターが要望されている。

一方、ラウリン酸型は、ラウリン酸が主たる構成脂肪酸であり、テンパリング型と同様のシャープで良好な口溶けを持ち、安価でデモールド性も良好であり、さらには固化速度も十分早いため、成型チョコレートから菓子パン被覆用チョコレート等幅広く利用されている。

しかしながらラウリン酸型ハードバターにおいて、その構成トリアシルグリセロールはココアバターに含有されるトリアシルグリセロールと構造的に大きく異なることからココアバターとの相溶性が著しく低く、ココアバターを多く含むカカオマスやココアバターをラウリン酸型非テンパリング型チョコレートに多量に配合すると、長期保管時にココアバター中の対称型トリアシルグリセロールのみが凝集し、更に多形転移が進行することにより、チョコレートにブルームが発生して外観を損ねたり、グレーニングが発生し、喫食時にざらざらした食感感じるようになる欠点も知られている。従って、ラウリン酸型非テンパリング型チョコレートには、通常、カカオマスやココアバターを多量に配合することができず、そのため、風味の面で劣るという欠点があった。しかしながら、近年の消費者嗜好性の向上から、ラウリン酸型非テンパリング型チョコレートの種々の利点を残しつつ、ココアバターをより多く配合した風味の良いラウリン酸型非テンパリング型チョコレートが市場において求められるようになってきている。

上記のようなココアバターを大量に使用できないという問題点を解決すべく、特許文献1では炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が90質量%以上である油脂をラウリン酸型非テンパリングチョコレートに含有させ、更に、ポリグリセリン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種類以上の乳化剤を0.01〜2質量%含有するチョコレートが開示され、3日間ないしは7日間のブルーム発現が抑制することが可能となったが、未だ保存期間としては短く不十分であり、より長期の保存性を得るための解決策が未だ提示されていない。

上記のような解決策の他に、特許文献2には、ラウリン酸型非テンパリングチョコレートに2種のモノグリセライド脂肪酸エステルを特定の比率で配合してなるブルーム防止剤が提供されており、3か月以上の保存性を有するラウリン酸型非テンパリングチョコレートを得ることができる解決策が提示されているが、ココアバターの配合量がチョコレート中5重量%以下と非常に少なく、そのため風味面において不十分であった。

概要

ラウリン酸型非テンパリング型チョコレートにおいて、ココアバターが高配合でき、常温流通時にも耐えうる耐熱性を持ち、光沢、、食感、風味などが良好であり、継時的なブルーム発現や硬さ変化を抑制できるノーテンパリングチョコレート用油脂の提供を課題とする。ラウリン酸型ハードバターにUSU型トリグリセリドを含む油脂を適切な割合で配合するで、これまで不可能であったラウリン酸型ハードバター使用チョコレートでの高ココアバター配合が可能となった。なし

目的

本発明によれば、ラウリン酸型ハードバターを用いて製造された非テンパリングチョコレートにおいて、ラウリン酸型ハードバターの安価で、固化速度が速く、デモールド性が良好でかつシャープな口溶けといった利点を維持しつつ、ラウリン酸型ハードバターの課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

油脂A及び油脂Bを含む油脂組成物であって、油脂A及び油脂Bの合計量が当該油脂組成物中50重量%以上であり、油脂Aと油脂Bの比率(油脂A/油脂B)が0.5〜23であることを特徴とする油脂組成物。油脂A:構成脂肪酸中炭素数14以下の飽和脂肪酸を35%以上含み、10℃におけるSFCが80%以上であり、20℃におけるSFCが55%以上であり、40℃におけるSFCが12%以下である油脂油脂B:炭素数16〜22の飽和脂肪酸(S)がグリセリンの2位に、炭素数18の不飽和脂肪酸(U)がグリセリンの1,3位に結合したUSU型トリアシルグリセロールを10〜100重量%含有する油脂

請求項2

前記油脂Bがジグリセリドを5重量%以上含む請求項1に記載の油脂組成物。

請求項3

前記油脂Bがエステル交換工程及びまたは分別工程を経て得られた油脂である請求項1又は2に記載の油脂組成物の製造方法。

請求項4

請求項1に記載の油脂組成物を用いてなるチョコレートであって、チョコレート油脂中のSUS型トリアシルグリセロール含量とUSU型トリアシルグリセロール含量との比(SUS/USU)が0.6〜5.0であることを特徴とするチョコレート。但しSUS型トリアシルグリセロール:炭素数16〜22の飽和脂肪酸(S)がグリセリンの1,3位に、炭素数18の不飽和脂肪酸(U)がグリセリンの2位に結合したトリアシルグリセロール

請求項5

チョコレート油脂中ココアバターを4〜40重量%以上含む請求項4記載のチョコレート。

技術分野

0001

本発明は、チョコレートに使用する油脂組成物及びこれを用いたチョコレートに関する。

背景技術

0002

チョコレート類に使用される油脂(ココアバターを含めた広義ハードバター)は、チョコレートを製造する際のテンパリングの要否により、テンパリング型と非テンパリング型の二種に大別される。テンパリング型ハードバターは、ココアバターの如くその主要なトリグリセリド成分が1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリドからなるのが特徴であり、シャープで良好な口溶けを持ち、ココアバターと任意に置換して使用できるが、結晶多型現象を持つためテンパリング処理を施す必要があり、使用用途が限定される面がある。

0003

非テンパリング型ハードバターは、トランス酸型とラウリン酸型に大別され、トランス酸型は、液体油脂硬化触媒及び含硫化合物若しくは被毒触媒等の触媒の存在下で異性化硬化する事により得られるトランス酸型不飽和脂肪酸を主要構成脂肪酸としており、テンパリング型に比べると口溶けのシャープさ及び風味が劣る。

0004

さらに近年、各種脂肪酸に関する多くの栄養生理学的な知見が明らかになりつつある。例えば、トランス酸を多く含む油脂の摂取量が過剰である場合には、動脈硬化などの心臓病になるリスクを高めるとの研究結果が得られており、これらトランス酸が低減されたまたはトランス酸を実質的に含まないタイプのハードバターが要望されている。

0005

一方、ラウリン酸型は、ラウリン酸が主たる構成脂肪酸であり、テンパリング型と同様のシャープで良好な口溶けを持ち、安価でデモールド性も良好であり、さらには固化速度も十分早いため、成型チョコレートから菓子パン被覆用チョコレート等幅広く利用されている。

0006

しかしながらラウリン酸型ハードバターにおいて、その構成トリアシルグリセロールはココアバターに含有されるトリアシルグリセロールと構造的に大きく異なることからココアバターとの相溶性が著しく低く、ココアバターを多く含むカカオマスやココアバターをラウリン酸型非テンパリング型チョコレートに多量に配合すると、長期保管時にココアバター中の対称型トリアシルグリセロールのみが凝集し、更に多形転移が進行することにより、チョコレートにブルームが発生して外観を損ねたり、グレーニングが発生し、喫食時にざらざらした食感感じるようになる欠点も知られている。従って、ラウリン酸型非テンパリング型チョコレートには、通常、カカオマスやココアバターを多量に配合することができず、そのため、風味の面で劣るという欠点があった。しかしながら、近年の消費者嗜好性の向上から、ラウリン酸型非テンパリング型チョコレートの種々の利点を残しつつ、ココアバターをより多く配合した風味の良いラウリン酸型非テンパリング型チョコレートが市場において求められるようになってきている。

0007

上記のようなココアバターを大量に使用できないという問題点を解決すべく、特許文献1では炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が90質量%以上である油脂をラウリン酸型非テンパリングチョコレートに含有させ、更に、ポリグリセリン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種類以上の乳化剤を0.01〜2質量%含有するチョコレートが開示され、3日間ないしは7日間のブルーム発現が抑制することが可能となったが、未だ保存期間としては短く不十分であり、より長期の保存性を得るための解決策が未だ提示されていない。

0008

上記のような解決策の他に、特許文献2には、ラウリン酸型非テンパリングチョコレートに2種のモノグリセライド脂肪酸エステルを特定の比率で配合してなるブルーム防止剤が提供されており、3か月以上の保存性を有するラウリン酸型非テンパリングチョコレートを得ることができる解決策が提示されているが、ココアバターの配合量がチョコレート中5重量%以下と非常に少なく、そのため風味面において不十分であった。

先行技術

0009

特許公開2014−103875号公報
特許公開平7—247496号公報

発明が解決しようとする課題

0010

上記のように、ラウリン酸型非テンパリング型チョコレートにおいて、ココアバター含量が高くても、ブルームやグレーニングが長期で発生しにくく、かつ、光沢、、デモールド性、食感などが良好なラウリン酸型非テンパーチョコレート用油脂が求められている。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、種々検討の結果、特定のトリアシルグリセロール種を適切な割合でラウリン酸型ハードバターに配合することで、上記課題を解決できることを見出した。すなわちラウリン酸型ハードバターにUSU型トリグリセリドを含む油脂を適切な割合で混合することにより、テンパリング作業を実施せずともココアバターが高配合でき、冷却成型時の固化速度が十分に速く、常温流通にも耐えうる耐熱機能を自在に付与することができ、光沢、艶、食感、口溶け、風味などが良好であり、長期保存時に発現するブルームやグレーニングを抑制することができるラウリン酸型非テンパリング型チョコレートを可能にするチョコレート用油脂を開発し、本発明に至った。さらに驚くべきことに、菓子やパンに被覆したラウリン酸型非テンパリング型チョコレートで頻繁に生ずる割れや剥がれといった課題をも克服でき、従来のラウリン酸型ハードバターの多くの課題を解決することを可能にした。

0012

すなわち本発明の第1は、油脂A及び油脂Bを含む油脂組成物であって、油脂A及び油脂Bの合計量が当該油脂組成物中50重量%以上であり、油脂Aと油脂Bの比率(油脂A/油脂B)が0.5〜23であることを特徴とする油脂組成物、
油脂A:構成脂肪酸中に炭素数14以下の飽和脂肪酸を35%以上含み、10℃におけるSFCが80%以上であり、20℃におけるSFCが55%以上であり、40℃におけるSFCが12%以下である油脂
油脂B:炭素数16〜22の飽和脂肪酸(S)がグリセリンの2位に、炭素数18の不飽和脂肪酸(U)がグリセリンの1,3位に結合したUSU型トリアシルグリセロールを10〜100重量%含有する油脂、
本発明の第2は、前記油脂Bがジグリセリドを5重量%以上含む第1に記載の油脂組成物、
本発明の第3は、前記油脂Bがエステル交換工程及びまたは分別工程を経て得られた油脂である第1又は2に記載の油脂組成物の製造方法、
本発明の第4は、第1に記載の油脂組成物を用いてなるチョコレートであって、チョコレート油脂中のSUS型トリアシルグリセロール含量とUSU型トリアシルグリセロール含量との比(SUS/USU)が0.6〜5.0であることを特徴とするチョコレート。 但しSUS型トリアシルグリセロール:炭素数16〜22の飽和脂肪酸(S)がグリセリンの1,3位に、炭素数18の不飽和脂肪酸(U)がグリセリンの2位に結合したトリアシルグリセロール。
本発明の第5は、チョコレート油脂中ココアバターを4〜40重量%以上含む第4記載のチョコレートである。

発明の効果

0013

本発明によれば、ラウリン酸型ハードバターを用いて製造された非テンパリングチョコレートにおいて、ラウリン酸型ハードバターの安価で、固化速度が速く、デモールド性が良好でかつシャープな口溶けといった利点を維持しつつ、ラウリン酸型ハードバターの課題であるココアバター相溶性の低さを大幅に改善することでチョコレート原料中のカカオマスの配合量を増量できるので、風味面でも大幅に改善され、またブルームやグレーニングの発現を抑制できることで継時的な物性や外観変化もなく、さらに菓子やパンに被覆した際の割れや剥がれを抑制することができる。

0014

以下、本発明を詳細に説明する。

0015

本発明の油脂組成物は、ラウリン酸型ハードバターである油脂AにUSU型トリアシルグリセロールを含む油脂Bを混合した油脂組成物である。

0016

油脂Aの炭素数14以下の飽和脂肪酸含量は35重量%以上が必須であり、好ましくは45重量%以上、より好ましくは55重量%以上,更に好ましくは65重量%以上であり、35重量%未満では十分な固化速度が得られず、デモールド性も不十分であり好ましくない。また油脂Aの10℃におけるSFCは80%以上が必須であり、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%であり、80%未満では十分な硬さやスナップ性、更にはデモールド性が得られず好ましくない。さらに油脂Aの20℃におけるSFCは55%以上が必須であり、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上であり、最も好ましくは96%以上である。55%未満では十分な硬さやスナップ性、更にはデモールド性が得られず好ましくない。油脂Aの40℃におけるSFCは12%以下が必須であり、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下であり、また好ましくは1%以上である。12%を超えるとチョコレートとしての口どけが悪化し、いわゆるワキシー感を発現してしまうため好ましくない。

0017

油脂BのUSU型トリアシルグリセロール含量は10重量%以上が必須であり、好ましくは15%、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは60重量%以上、最も好ましくは80重量%以上である。また好ましくは95%以下、更に好ましくは90%以下である。10重量%未満であると、ブルームやグレーニングを十分に抑制できず好ましくない。さらに油脂Bのジグリセリド含量は、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上、更に好ましくは10%以上、最も好ましくは14%以上である。ジグリセリドが5重量%未満であると、ブルームやグレーニングの抑制効果が十分でない場合がある。

0018

本発明の油脂組成物に含まれる油脂Aと油脂Bは合計で50重量%以上が必要であり、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、また好ましくは90重量%以下、更に好ましくは80重量%以下であり、50重量%未満では、硬さやデモールド性や固化速度が十分でなく、好ましくない。さらに油脂Aと油脂Bの比率(油脂A/油脂B)が0.5〜23であることが必須であり、好ましくは1〜6、より好ましくは2〜5、さらに好ましくは2.5〜4であり、0.5未満では固化速度や硬さ、デモールド性が十分でなく好ましくない。

0019

ラウリン酸型ハードバターである油脂Aとしては例えば、パーム核油ヤシ油等の植物油脂の1種類以上の単独または混合油、それらの加工油脂(硬化、分別及びエステル交換から選択される1種以上の加工工程を含む)や、パーム核油やヤシ油を配合し、他の動物油脂や植物油脂を調合し加工した油脂が挙げられる。そのうち特に、パーム核油の分別硬質側及びその極度硬化油脂やパーム核油の部分水素添加油、更にはパーム核油やヤシ油の加工油脂と、他の植物油脂や動物油脂を調合しエステル交換を実施したものが好適に用いられる。

0020

USUを含有する油脂である油脂Bとしては例えば、豚脂の他、大豆油なたね油、ひまわり種子油綿実油落花生油米糠油コーン油サフラワー油オリーブ油カポック油ゴマ油月見草油パーム油シア脂サル脂、イリッペ脂乳脂牛脂、豚脂等の植物油脂、動物油脂の1種以上の単独又は混合油、それらの加工油脂(硬化、分別及びエステル交換から選択される1種以上の加工工程を含む)が挙げられる。そのうち特に化学法酵素法などのエステル交換工程及びまたは分別工程を経て得られた油脂が好適に用いられる。

0021

本発明のチョコレート用油脂組成物においては、本発明の効果を阻害しない程度であれば、油脂Aと油脂B以外の油脂を含有させてもよい。例えば融点45℃以上の油脂を含む場合はチョコレートの固化速度を改善する点で好適である。融点45℃以上の油脂としてはハイエルシン菜種油極度硬化油パーム極度硬化油、菜種極度硬化油などが例示される。融点45℃以上の油脂の含有量に特に制限はないが、通常は、合計量として、油脂組成物の全重量に対し、10重量%未満であり、好ましくは5重量%未満であり、特に好ましくは3重量%未満である。

0022

本発明の油脂組成物用いたチョコレートは、ココアバターを高配合しても、ブルームやグレーニングの問題が生じにくい。発明者らは、これらブルームやグレーニングの問題は、チョコレートの長期保存中にココアバター由来の対称型トリアシルグリセロール(SUS)のみが凝集し、更に多形転移が進行することにより起こり、これを本発明の油脂組成物に含まれるUSUが抑制すると考えている。よってチョコレート中のSUS含量に対するUSUの含量が重要であり、油脂中のUSUとSUSの比(USU/SUS)が0.6〜5.0である必要がある。そして好ましくは0.9以上、更に好ましくは1.0以上、また好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。USU含量とSUS含量の比が0.6未満の場合、ブルームやグレーニングを十分に抑制できず好ましくなく、また5.0を超える場合、固化速度やデモールド性、耐熱保型性が不十分となるため好ましくない。

0023

本発明のチョコレートはチョコレート油脂中ココアバターを4〜40%含むのが好ましい。より好ましくは8%以上、更に好ましくは15%以上、最も好ましくは20%以上である。またより好ましくは35%以下、更に好ましくは30%以下、最も好ましくは25%以下である。チョコレート油脂中ココアバターが4%未満であるとチョコレート風味が良好なチョコレートが比較的得にくい傾向にある。

0024

本発明のチョコレートに含まれるSUSは上記ココアバター由来以外であってもよく、具体的にはパーム油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、ココアバター等の植物性油脂又はその分別油が挙げられる。また各種動植物油脂と脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルとを用いて製造した酵素エステル交換油及びその分別油が挙げられる。そしてSUSを含有する油脂としてパーム油中融点部油脂を含む場合はチョコレートとしての口どけの点で好適である。この場合パーム油中融点部油脂の含有量に特に制限はないが、通常は、合計量として本発明の油脂組成物中の30重量%未満であり、好ましくは20重量%未満であり、特に好ましくは10重量%未満であり、最も好ましくは5重量%未満である。

0025

本発明でいうチョコレートとは、規約(「チョコレート類の表示に関する公正規約」)乃至法規上の規定により限定されるものではなく、スイートチョコレート、ミルクチョコレート、準スイートチョコレート、準ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート或いはストロベリーのようなカラーチョコレート、及びフィリングチョコレート類さらに油脂加工食品をも含む意味で使用する。

0026

以下に実施例を記載するが、この発明の技術思想がこれらの例示によって限定されるものではない。なお、特に断らない限り%、部は重量基準を示す。

0027

(ラウリン酸型油脂Aの作成)
油脂Aa:パーム核分別高融点部の極度硬化油脂(炭素数14以下の飽和脂肪酸含量81%、10℃におけるSFC97%、20℃におけるSFC96%、40℃におけるSFC0%)
油脂Ab: パーム核部分水素添加油脂(炭素数14の飽和脂肪酸含量69%、10℃におけるSFC95%、20℃におけるSFC84%、40℃におけるSFC1%)
油脂Ac:パーム核油85部、パーム油5部、ハイエルシン酸菜種極度硬化油10部のエステル交換後、極度硬化を行った油脂(炭素数14の飽和脂肪酸含量59%、10℃におけるSFC96%、20℃におけるSFC86%、40℃におけるSFC5%)
油脂Ad:ヤシ油50部、パームステアリン40部、ハイエルシン酸菜種極度硬化油10部のエステル交換油脂(炭素数14の飽和脂肪酸含量38%、10℃におけるSFC83%、20℃におけるSFC58%、40℃におけるSFC4%)
油脂Ae:油脂Ac70部とパームステアリン10部、パーム油50部、パーム核分別低融点部40部のエステル交換油30部を調合した油脂(炭素数14の飽和脂肪酸含量48%、10℃におけるSFC91%、20℃におけるSFC69%、40℃におけるSFC0%)
油脂Af:油脂Aa37.5部と油脂Ad62.5部を調合した油脂(炭素数14以下の飽和脂肪酸54%、10℃におけるSFC88%、20℃におけるSFC72%、40℃におけるSFC7%)

0028

(USU含有油脂Baの作成)
菜種極度硬化油30部とオレイン酸エチル70部を混合し、既知の方法にて脱色を行った後、この混合物を市販の1,3特異性リパーゼによりエステル交換を行った。このエステル交換反応物を、既知の蒸留操作により脂肪酸エチルを除去してエステル交換油脂を得た。本油脂を既知の方法にて分別することにより高融点部を除去し、精製することにより、USUを81重量%、ジグリセリドを7.0%含有する油脂Baを得た。

0029

(USU含有油脂Bbの作成)
パーム油、パームステアリン、パーム極度硬化油を既知の方法にてエステル交換を行った後、この油脂を既知の方法にて分別することにより高融点部及び中融点部を除去し、精製することによりUSUを17重量%、ジグリセリドを17.0%含有する油脂Bbを得た。

0030

試作1 実施例、比較例の油脂組成物の作成)
油脂Baと油脂Aaを11.2部対88.8部で混合し実施例1の油脂組成物を得た。(油脂A/油脂B=7.9)
油脂Baと油脂Aaを17.7部対82.3部で混合し実施例2の油脂組成物を得た。(油脂A/油脂B=4.6)
油脂Baと油脂Aaを24.9部対75.1部で混合し実施例3の油脂組成物を得た。(油脂A/油脂B=3.0)
油脂Baと油脂Aaを32.8部対67.2部で混合し実施例4の油脂組成物を得た。(油脂A/油脂B=2.1)
油脂Aaを単品で比較例1および比較例2の油脂組成物とした。
油脂Baと油脂Aaを69.9部対30.1部で混合し比較例3の油脂組成物を得た。(油脂A/油脂B=0.43)
油脂Baと油脂Aaを5.5部対95.5部で混合し比較例4の油脂組成物を得た。(油脂A/油脂B=17.2)
油脂Baと油脂Aaを30.6部対69.4部で混合し比較例5の油脂組成物を得た。(油脂A/油脂B=2.3)
油脂Baと油脂Aaを3.8部対96.2部で混合し比較例6の油脂組成物を得た。(油脂A/油脂B=25.4)
上記の油脂組成物を用いて表1の配合を基に、常法に従いチョコレート生地を試作した。また表2にチョコレート中の油脂組成を示す。

0031

0032

上記の割合にて調製したチョコレート生地を、品温60℃になるまで加温後、十分に撹拌した後に、品温45℃にてモールド流し込み、テンパリング処理を施さず15℃、30分の冷却にて固化させ、デモールドした。これらサンプルを15℃一定、20℃一定、25℃一定、15〜25℃/日のサイクルの条件にて6か月の保存し、表面状態を観察した結果を表3に示す。さらに、25℃で保存したチョコレートを20℃で1週間安定化させた後の喫食評価結果を表4に示す。

0033

基準 −:光沢有、−+:光沢鈍る、+:光沢無 わずかにブルーム、++:ブルーム発生商品価値無、+++〜:全面激しくブルーム
6か月保存後 全ての保存条件で −評価を維持しているものを合格とした。

0034

0035

実施例1A〜4Aはそれぞれ表面状態はいずれの保存温度条件でも6か月間良好な状態を保っていた。また喫食評価においてもスナップ性、口どけ共に良好であり、チョコレートの風味も十分強いものであった。一方比較例1A、2A及び4Aの表面にはブルームの発生が見られ、しかも口どけ及び風味発現は共に不良であった。比較例3A及び5Aはそれぞれ表面状態は良好ではあったがスナップ性が不良であった。比較例6Aは表面状態は良好でスナップ性、口どけ共に良好であったがカカオマスの配合がないためか風味が弱い問題があった。

0036

(試作2 実施例、比較例の油脂組成物の作成)
油脂Bbと油脂Aaを22.7部対77.3部で混合し実施例5を得た。(油脂A/油脂B=3.4)
油脂Bbと油脂Abを22.7部対77.3部で混合し実施例6を得た。(油脂A/油脂B=3.4)
油脂Bbと油脂Acを22.7部対77.3部で混合し実施例7を得た。(油脂A/油脂B=3.4)
油脂Bbと油脂Adを22.7部対77.3部で混合し実施例8を得た。(油脂A/油脂B=3.4)
油脂Bbと油脂Aeを22.7部対77.3部で混合し実施例9を得た。(油脂A/油脂B=3.4)
油脂Bbと油脂Aaを45.3部対54.7部で混合し実施10を得た。(油脂A/油脂B=1.2)
油脂Bbと油脂Abを45.3部対54.7部で混合し実施11を得た。(油脂A/油脂B=1.2)
油脂Bbと油脂Acを45.3部対54.7部で混合し実施12を得た。(油脂A/油脂B=1.2)
油脂Bbと油脂Adを45.3部対54.7部で混合し実施13を得た。(油脂A/油脂B=1.2)
油脂Bbと油脂Aeを45.3部対54.7部で混合し実施14を得た。(油脂A/油脂B=1.2)
油脂Aaを単品で比較例7の油脂組成物とした。
油脂Abを単品で比較例8の油脂組成物とした。
油脂Acを単品で比較例9の油脂組成物とした。
油脂Adを単品で比較例10の油脂組成物とした。
油脂Aeを単品で比較例11の油脂組成物とした。
実施例5〜14、比較例7〜11の油脂組成物を用いて、表5の配合にて常法に従い実施例5A〜14A、比較例7A〜11Aのチョコレート生地を調製した。また表6及び7にチョコレート中の油脂組成を示す。

0037

0038

0039

上記の割合にて調製したチョコレート生地を、品温60℃になるまで加温後、十分に撹拌した後に、品温45℃にてプラスチックカップに流し込み、テンパリング処理を施さず5℃の冷却にて固化させた。これらサンプルを20℃一定4か月、25℃一定2か月の条件で保存した。表面状態を観察した結果を表8に示す。

0040

基準 −:光沢有、−+:光沢鈍る、+:光沢無 わずかにブルーム、++:ブルーム発生商品価値無、+++〜:全面激しくブルーム
20℃保存では4か月、25℃保存では2か月の期間中 −又は−+評価を維持しているものを合格とした。

0041

実施例5A〜14Aの表面状態観察結果は合格であった。一方比較例7A〜11Aは不合格であった。

0042

(試作3 実施例、比較例の油脂組成物の作成)
油脂Ba29.2部、油脂Af50.4部、ココアバター12部、パーム分別低融点部(ヨウ素価67)6.3部、パーム低融点部部分水素添加油(ヨウ素価35)2.1部を混合し実施例15の油脂組成物を得た。(油脂A/油脂B=1.7)
油脂Ba26.2部、油脂Af55.6部、ココアバター9部、パーム分別低融点部(ヨウ素価67)6.9部、パーム低融点部部分水素添加油(ヨウ素価35)2.3部を混合し実施例16の油脂組成物を得た。(油脂A/油脂B=2.1)
油脂Ba23.2部、油脂Af60.7部、ココアバター6部、パーム分別低融点部(ヨウ素価67)7.6部、パーム低融点部部分水素添加油(ヨウ素価35)2.5部を混合し実施例17の油脂組成物を得た。(油脂A/油脂B=2.6)
油脂Ba17.2部、油脂Af70.9部、パーム分別低融点部(ヨウ素価67)8.4部、パーム低融点部部分水素添加油(ヨウ素価35)3.0部を混合し実施例18の油脂組成物を得た。(油脂A/油脂B=4.1)
油脂Af75.4部、ココアバター12部、パーム分別低融点部(ヨウ素価67)9.4部、パーム低融点部部分水素添加油(ヨウ素価35)3.2部を混合し比較例12の油脂組成物を得た。
油脂Af78.0部、ココアバター9部、パーム分別低融点部(ヨウ素価67)9.7部、パーム低融点部部分水素添加油(ヨウ素価35)3.3部を混合し比較例13の油脂組成物を得た。
油脂Af80.6部、ココアバター6部、パーム分別低融点部(ヨウ素価67)10.1部、パーム低融点部部分水素添加油(ヨウ素価35)3.4部を混合し比較例14の油脂組成物を得た。
油脂Af85.7部、パーム分別低融点部(ヨウ素価67)10.7部、パーム低融点部部分水素添加油(ヨウ素価35)3.6部を混合し比較例15の油脂組成物を得た。

0043

実施例15〜18、比較例12〜15の油脂組成物を用いて、表9の配合にて常法に従い実施例15A〜18A、比較例12A〜15Aのチョコレート生地を調製した。また表10にチョコレート中の油脂組成を示す。

0044

上記の割合にて調製したチョコレート生地を、品温60℃になるまで加温後、十分に撹拌した後に、品温45℃まで冷却し、ロールパンの表面に目付量3.1±0.5gでコーティングを実施し、5℃冷却にて固化させた。これらサンプルを5℃雰囲気化にて、包丁カットした際の割れ及び剥がれを評価した。評価結果を表11に示す。

0045

実施例

0046

実施例15A〜18Aのチョコレートは割れ及び剥がれが少なく良好であった。一方比較例12A〜15Aは割れ及び剥がれが激しく不良であった。

0047

本発明により、ラウリン酸型非テンパリング型チョコレートにおいて、ココアバター含量が高くても、ブルームやグレーニングが長期で発生しにくく、かつ、光沢、艶、デモールド性、食感などが良好なラウリン酸型非テンパー型チョコレート用油脂の提供が可能となった。

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