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技術 中空コイルばねと、車両用懸架装置

出願人 日本発條株式会社横浜機工株式会社
発明者 梅澤昌弘竹田大輔
出願日 2017年3月29日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2018-509393
公開日 2018年10月25日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 WO2017-170789
状態 特許登録済
技術分野 ばね 車体懸架装置
主要キーワード 半円球形 不等ピッチコイルばね 円筒コイルばね 弧状曲面 荷重軸 回転抑制 懸架用 先端中心
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年10月25日)のものです。
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図面 (13)

課題・解決手段

中空素線(20)からなる中空コイルばね(10)であって、素線(20)の端部(20a)に端末封止部(30)が形成されている。端末封止部(30)は、素線(20)の中心を通る軸線(X1)を対称軸とする回転対称形である。この中空コイルばね(10)は、端壁部(41)と端面弧状曲面(42)とを有している。端壁部(41)は、軸線(X1)に対して垂直な端面(40)を含んでいる。端壁部(41)の中心の軸線(X1)上に、先端中心閉鎖部(43)が形成されている。ばね座(11)は、ベース部材(50)とシート部材(51)とを有している。中空コイルばね(10)の座巻部(10a)がシート部材(51)に接している。座巻部(10a)の端面(40)が、ばね座(11)のストッパ壁(52)と対向している。

概要

背景

自動車等の車両の懸架装置は、コイルばねと、上側のばね座と、下側のばね座とを有している。上側のばね座は、コイルばねの上端を支持する。下側のばね座は、コイルばねの下端を支持する。コイルばねは、下側のばね座と上側のばね座との間で圧縮される。そしてこのコイルばねは、下側のばね座と上側のばね座との間に加わる荷重の大きさに応じて伸縮する。車両の燃料消費量を少なくするため、あるいは走行性能を高めるために、車両を軽量化する要望がますます高まっている。懸架装置を構成するコイルばねも例外ではなく、軽量化を余儀なくされている。

特許文献1に、コイルばねを軽量化する手段として、中空素線を用いる中空コイルばねが記載されている。特許文献1の中空コイルばねは、素線とは別部品であるキャップによって、素線の先端の開口を塞いでいる。このため素線の先端がコイルばね製造装置チャックによって固定されたときに、キャップが潰れる可能性がある。また、キャップが外れる可能性もある。特許文献2には、中空コイルばねの素線の先端の開口をスピニング加工によって閉鎖する技術が記載されている。その素線の先端はスピニング加工によって半球形ドーム形)に成形される。

概要

中空の素線(20)からなる中空コイルばね(10)であって、素線(20)の端部(20a)に端末封止部(30)が形成されている。端末封止部(30)は、素線(20)の中心を通る軸線(X1)を対称軸とする回転対称形である。この中空コイルばね(10)は、端壁部(41)と端面弧状曲面(42)とを有している。端壁部(41)は、軸線(X1)に対して垂直な端面(40)を含んでいる。端壁部(41)の中心の軸線(X1)上に、先端中心閉鎖部(43)が形成されている。ばね座(11)は、ベース部材(50)とシート部材(51)とを有している。中空コイルばね(10)の座巻部(10a)がシート部材(51)に接している。座巻部(10a)の端面(40)が、ばね座(11)のストッパ壁(52)と対向している。

目的

本発明の目的は、座巻部の先端がばね座に対して所定位置から移動することを防止でき、かつ、ばね座の損傷を抑制することもできる中空コイルばねと、中空コイルばねを備えた車両用懸架装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

螺旋形に巻かれた中空素線(20)からなる中空コイルばね(10)であって、前記中空コイルばね(10)は、前記素線(20)の端部に形成された端末封止部(30)(30A)(30B)を有し、前記端末封止部(30)(30A)(30B)は、前記素線(20)の中心を通る軸線(X1)を対称軸とする回転対称形をなし、前記軸線(X1)に沿う断面において、前記軸線(X1)に対し垂直な端面(40)を含む端壁部(41)と、前記端面(40)と素線(20)の外周面との間に形成された弧状曲面(42)と、前記端壁部(41)の中心で前記軸線(X1)上に存する先端中心閉鎖部(43)と、を有した中空コイルばね(10)。

請求項2

請求項1に記載の中空コイルばね(10)において、前記端末封止部(30)(30A)(30B)の前記端壁部(41)の内面に、前記軸線(X1)上に存する回転対称形の凹部(45)を有した中空コイルばね(10)。

請求項3

螺旋形に巻かれた中空の素線(20)からなり、座巻部(10a)を有した中空コイルばね(10)と、前記座巻部(10a)を支持するばね座(11)とを具備し、前記中空コイルばね(10)は、前記素線(20)の端部に形成された端末封止部(30)(30A)(30B)を有し、前記端末封止部(30)(30A)(30B)は、前記素線(20)の中心を通る軸線(X1)を対称軸とする回転対称形をなし、前記軸線(X1)に沿う断面において、前記軸線(X1)に対し垂直な端面(40)を含む端壁部(41)と、前記端面(40)と素線(20)の外周面との間に形成された弧状曲面(42)と、前記端壁部(41)の中心で前記軸線(X1)上に存する先端中心閉鎖部(43)とを有し、前記ばね座(11)がストッパ壁(52)を有し、前記端面(40)と前記ストッパ壁(52)とが対向した状態において前記座巻部(10a)が前記ばね座(11)に配置された車両用懸架装置

請求項4

請求項3に記載の車両用懸架装置において、前記ばね座(11)が、前記ストッパ壁(52)を有する金属製のベース部材(50)と、該ベース部材(50)上に載置された非金属製シート部材(51)とを含み、前記端末封止部(30)(30A)(30B)が前記シート部材(51)に接している車両用懸架装置。

技術分野

0001

この発明は、自動車等の車両の懸架装置の軽量化に寄与できる中空コイルばねと、中空コイルばねを備えた車両用懸架装置に関する。

背景技術

0002

自動車等の車両の懸架装置は、コイルばねと、上側のばね座と、下側のばね座とを有している。上側のばね座は、コイルばねの上端を支持する。下側のばね座は、コイルばねの下端を支持する。コイルばねは、下側のばね座と上側のばね座との間で圧縮される。そしてこのコイルばねは、下側のばね座と上側のばね座との間に加わる荷重の大きさに応じて伸縮する。車両の燃料消費量を少なくするため、あるいは走行性能を高めるために、車両を軽量化する要望がますます高まっている。懸架装置を構成するコイルばねも例外ではなく、軽量化を余儀なくされている。

0003

特許文献1に、コイルばねを軽量化する手段として、中空素線を用いる中空コイルばねが記載されている。特許文献1の中空コイルばねは、素線とは別部品であるキャップによって、素線の先端の開口を塞いでいる。このため素線の先端がコイルばね製造装置チャックによって固定されたときに、キャップが潰れる可能性がある。また、キャップが外れる可能性もある。特許文献2には、中空コイルばねの素線の先端の開口をスピニング加工によって閉鎖する技術が記載されている。その素線の先端はスピニング加工によって半球形ドーム形)に成形される。

先行技術

0004

特開2007−127227号公報
特開2012−117612号公報

発明が解決しようとする課題

0005

コイルばねが圧縮されると、該コイルばねの座巻部にコイル軸まわりのトルクが発生する。ばね座上に配置された前記座巻部が、前記トルクによってコイル軸まわりに回転すると、コイルばねの荷重軸反力作用線)がずれてしまう。荷重軸がずれたコイルばねは、所定の特性を発揮することができないことがある。このため懸架装置用のコイルばねは、座巻部が回転してしまうことを防ぐために、回転抑制手段が設けられている。回転抑制手段の一例は、ばね座に形成されたストッパ壁を有する段部である。座巻部の素線の先端を前記ストッパ壁に当てることにより、座巻部が回転することを防いでいる。

0006

特許文献2は、スピニング加工によって座巻部の先端が半円球形に成形されている。このため座巻部を回転させるトルクが作用した時に、座巻部の先端が前記ストッパ壁を乗り越えてしまう可能性がある。座巻部の先端が前記ストッパ壁を乗り越えると、座巻部が正規の位置からずれてしまう。座巻部の位置がずれると、コイルばねの荷重軸(反力作用線)が変化してしまう。このため懸架用コイルばねとしての所望の特性を発揮することができなくなるおそれがある。また、ばね座に対して座巻部が回転すると、ばね座と座巻部との摩擦により異音が発生したり、ばね座が摩耗したりする。

0007

従って本発明の目的は、座巻部の先端がばね座に対して所定位置から移動することを防止でき、かつ、ばね座の損傷を抑制することもできる中空コイルばねと、中空コイルばねを備えた車両用懸架装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明の1つの実施形態は、螺旋形に巻かれた中空の素線からなる中空コイルばねであって、前記素線の端部に端末封止部が形成されている。前記端末封止部は、前記素線の中心を通る軸線対称軸とする回転対称形をなし、前記軸線に沿う断面において、端壁部と、弧状曲面と、閉鎖部とを有している。端壁部は、前記軸線に対し垂直な端面を含んでいる。前記弧状曲面は、前記端面と素線の外周面との間に形成されている。前記先端中心閉鎖部は、前記端壁部の中心で前記軸線上に形成されている。前記端壁部の内面に、前記軸線上に存する回転対称形の凹部を有してもよい。前記端末封止部が形成される前に、予め前記素線の先端部の内側あるいは外側に面取り加工部を形成してもよい。この面取り加工部を予め形成しておくことにより、前記端末封止部を形成する際に所望の前記凹部を形成することが可能となる。

0009

本実施形態の端末封止部を形成するために絞り加工が行われる。絞り加工は、加熱された素線を前記軸線まわりに回転させるとともに、絞り治具を素線の外周面に接触させる。この絞り治具を素線の先端に向かって前記軸線方向に移動させつつ、絞り治具を素線の中心に向けて移動させる。この絞り加工を1回以上繰り返すことにより、中空の素線の先端開口部が絞られてゆく。最終的に素線の先端開口部が軸線(回転中心)上で接合一体化する。これにより、密閉された先端中心閉鎖部が形成される。さらに前記絞り治具を素線の径方向に移動させる。あるいは前記絞り治具とは別の面押し治具によって、端末封止部を軸線方向に押す。これにより、前記端面が形成される。

0010

1つの実施形態に係る車両用懸架装置は、前記中空コイルばねと、該中空コイルばねの座巻部を支持するばね座とを具備している。前記端末封止部の前記端面と前記ストッパ壁とが対向した状態で前記座巻部が前記ばね座に配置されている。前記ばね座の一例は、金属製のベース部材と、該ベース部材上に載置されたラバーシート等の非金属製シート部材とを含み、このシート部材に前記端末封止部が接する。

発明の効果

0011

本発明に係る中空コイルばねによれば、素線の端部がばね座のストッパ壁を乗り越えてしまうことを端末封止部の端面によって防止できる。従来の一般的な中実コイルばねは、中実の素線の先端が素線の径方向に切断された切断面を有しているため、切断面の角部がばね座のラバーシートに接すると、ラバーシート部材が損傷することがある。これに対し本発明の中空コイルばねは、端末封止部の端面と外周面との間に弧状曲面が形成されているため、端末封止部がラバーシート等の非金属製のシート部材に接しても、シート部材が損傷することを抑制できる。

図面の簡単な説明

0012

図1は、第1の実施形態に係る中空コイルばねを備えた車両用懸架装置の一部を示す斜視図である。
図2は、図1に示された懸架装置の中空コイルばねの端部の断面図である。
図3は、図2に示された中空コイルばねの端部の正面図である。
図4は、図1に示された懸架装置の一部の断面図である。
図5は、絞り加工装置の一部を模式的に示す側面図である。
図6は、端末封止部が形成される前の素線の端部の一例を示す断面図である。
図7は、図5に示された絞り加工装置の絞り治具と素線の端部を示す断面図である。
図8は、端部の内側に面取り部を有する素線の例を示す断面図である。
図9は、端部の外側に面取り部を有する素線の例を示す断面図である。
図10は、素線の端部と面押し治具を示す断面図である。
図11は、第2の実施形態に係る端末封止部の断面図である。
図12は、第3の実施形態に係る端末封止部の断面図である。

実施例

0013

以下に第1の実施形態に係る中空コイルばねと、この中空コイルばねを備えた車両用懸架装置について、図1から図7を参照して説明する。
図1は、車両用懸架装置の一例として、マクファーソンストラットタイプの懸架装置1の一部を示している。本実施形態の懸架装置1は、中空コイルばね10と、下側のばね座11と、上側のばね座12と、ショックアブソーバ13とを備えている。下側のばね座11は、中空コイルばね10の下側の座巻部10aを支持する。上側のばね座12は、中空コイルばね10の上側の座巻部10bを支持する。ショックアブソーバ13は、ストラットとして機能する。中空コイルばね10は、マクファーソン・ストラットタイプ以外の懸架装置に使用されてもよい。

0014

図1に示された中空コイルばね10は、下側のばね座11と上側のばね座12との間に圧縮された状態(予荷重を与えた状態)で車体に組付けられる。この中空コイルばね10は、車体の上方から負荷される荷重を弾性的に支持する。中空コイルばね10は、荷重の大きさに応じてばね座11,12間で圧縮される。このため、荷重に応じてばね座11,12間の距離が変化する。

0015

本実施形態の中空コイルばね10は、螺旋形に成形(コイリング)された中空の素線(中空のワイヤ)20を有している。素線20は、ばね鋼からなる。中空コイルばね10の具体的な形状は、円筒コイルばねに限らず、たる形コイルばね鼓形コイルばねテーパコイルばね不等ピッチコイルばね、その他の形状のばねなど、種々の形態であってもよい。

0016

素線20の材料は、熱間(例えば鋼がオーステナイト化する温度域)で加工されるばね用の鋼材である。鋼材の種類は特に限定されないが、例えば一般的な懸架コイルばね用の鋼材を使用できる。ばね鋼以外にも、例えば高強度鋼浸炭用鋼でもよい。あるいは炭素濃度が0.15〜0.60wt%程度の低炭素鋼を使用することができる場合もある。要するに各種鋼材を適用することができる。

0017

中空コイルばね10の両端すなわち素線20の両端部20a,20bに、それぞれ、端末封止部30が形成されている。端末封止部30は、素線20が螺旋形に成形(コイリング)される前に、予め、絞り加工装置60によって形成される。

0018

図2は、端末封止部30の軸線に沿う方向の断面を示している。図3は、図2に示された端末封止部30の正面図である。素線20の軸線X1と直角な径方向の断面は円形である。図2に示されるように端末封止部30は、素線20の中心C(図3に示す)を通る軸線X1を対称軸とする回転対称形をなしている。すなわちこの端末封止部30は、軸線X1まわりに任意の角度まで回転しても、軸線X1に沿う断面が変わらない形状である。軸線X1に沿う断面とは、素線20の中心C(軸線X1)を通る長手方向の断面のことである。素線20の内部に密閉空間31が形成されている。

0019

端末封止部30は、端壁部41と、弧状曲面42とを有している。端壁部41は、ほぼ平らな端面40を含んでいる。端面40は、軸線X1(対称軸)に対して垂直である。弧状曲面42は、素線20の外周面20cと端面40との間に円弧状に形成されている。この弧状曲面42は、素線20の外周面20cと端面40との間を滑らかな曲面をなしてつないでいる。素線20の内面20dは、外周面20cと同様に、軸線X1を対称軸とする回転対称形である。

0020

端壁部41の中心で軸線X1上に、先端中心閉鎖部43が形成されている。中空の素線20の先端(先端開口部)20eが、絞り加工によって軸線X1に向けて絞り込まれる。絞り込まれた素線20の先端(先端開口部)20eが、軸線X1上で合わさって接合し一体化することにより、先端中心閉鎖部43が形成される。中空の素線20の先端20eは、先端中心閉鎖部43において密封されている。端壁部41の内面には、軸線X1を対称軸とする回転対称形の凹部45が形成されている。凹部45の中心(凹部45の先端45a)は、先端中心閉鎖部43と同様に、軸線X1(対称軸)上に位置している。

0021

図4図1に示された懸架装置1の一部である。図4に下側のばね座11の一部と端末封止部30とが示されている。ばね座11は、金属製のベース部材50と、非金属製のシート部材51とを有している。シート部材51は、ベース部材50上に配置されている。シート部材51は、ラバーシート等の非金属材料からなる。シート部材51が合成樹脂製であってもよい。

0022

ばね座11に段部53が形成されている。段部53はストッパ壁52を備えている。ストッパ壁52は、中空コイルばね10の座巻部10aの位置を規制する機能を有している。端末封止部30の端面40がばね座11のストッパ壁52と対向して配置されている。端末封止部30の端面40の位置がストッパ壁52によって規制される。これにより、座巻部10aの位置決めがなされるとともに、座巻部10aがコイル軸まわりに回転することが抑制される。上側のばね座12には、上側の座巻部10bを所定位置に保持するための段部が形成されているとよい。

0023

本実施形態の中空コイルばね10の端末封止部30は、ほぼ平坦な端面40を有している。端面40は軸線X1と垂直である。この端面40が、ばね座11のストッパ壁52と対向している。座巻部10aにコイル軸まわりのトルクが作用すると、平らな端面40がストッパ壁52に突き当たる。これにより、端末封止部30が段部53を乗り上げ動きを抑制することができるため、座巻部10aの位置が安定する。座巻部10aの位置が安定することにより、中空コイルばね10の荷重軸が変化してしまうことを防止できる。しかも座巻部10aがばね座11に対しコイル軸まわりに回転することが抑制されるため、摩擦によって異音が発生したり、ばね座11が摩耗したりすることを防止できる。

0024

端面40と外周面20cとの間に弧状曲面42が形成されている。端末封止部30は軸線X1を対称軸とする回転対称形である。コイリングの際にねじられた素線20の端部20aが軸線X1まわりのどのような回転位置にあっても、弧状曲面42がシート部材51に接することができる。このため素線20の端部20aがラバーシートや樹脂シート等の比較的柔らかいシート部材51に接しても、シート部材51が傷付くことを弧状曲面42によって抑制できる。

0025

図5は、絞り加工装置60の一部を模式的に示す側面図である。絞り加工装置60によって、素線(中空のワイヤ)20の端部20aに端末封止部30が形成される。図6は、端末封止部30が形成される前の素線20の断面図である。素線20の外径Dの一例はφ19mm、厚さTの一例は3mmである。素線20は軸線X1を対称軸とする回転対称形である。

0026

図5に示す絞り加工装置60は、旋盤61と、加熱手段62と、絞り機構64とを有している。旋盤61は、素線20をチャックして軸線X1まわりに回転させる。加熱手段62は、素線20の端部20aを加熱する。絞り機構64は、ローラ状の絞り治具63を備えている。加熱手段62の一例はガスバーナである。加熱手段62の好ましい他の例は、高周波誘導加熱コイルである。素線20の端部20aを加熱するためには、高周波誘導加熱コイルが推奨される。回転する素線20に絞り治具63が接した状態において、絞り治具63は自転軸63aを中心に従動回転する。

0027

素線20の端部20aが旋盤61によって回転する。回転する素線20の端部20aが加熱手段62によって例えばオーステナイト化温度に加熱される。加熱された素線20は赤くなり、加工に適した柔らかさとなる。加熱された素線20が旋盤61によって軸線X1まわりに回転する。こうして加熱され、回転する素線20の端部20aの外周面20cに、絞り治具63の先端が当てられる。絞り治具63の先端を、素線20の先端(先端開口部)20eから数十ミリ(例えば20mm)の絞り開始点P1(図5図6に示す)に当てる。さらにこの絞り治具63を、矢印P2で示す方向(軸線X1に沿う方向)に移動させる。これと同時に、絞り治具63を軸線X1に向かって素線20の径方向に移動させる。

0028

このような絞り治具63の動きにより、素線20の先端(先端開口部)20eを、外周面20c側から軸線X1に向かって摺り寄せるように塑性流動させる。そして素線20の先端(先端開口部)20eの径が次第に小さくなるように絞ってゆく。この絞り加工を、素線20の温度があまり低下しないうちに複数回行う。こうすることにより、絞り込まれた素線20の先端20eが軸線X1上で接合して一体となる。その結果、密封された先端中心閉鎖部43が端壁部41に形成される。

0029

さらに図7に示すように、絞り治具63を軸線X1と垂直(直角)な方向(矢印P3で示す方向)に移動させる。この移動により、軸線X1と略垂直で平坦化された端面40が形成される。端壁部41の中心で軸線X1上に、先端中心閉鎖部43が存在する。この先端中心閉鎖部43は絞り加工により密閉されている。このため、端壁部41の外部から水や油、ガス等の流体が先端中心閉鎖部43を通って密閉空間31内に浸入することを回避できる。

0030

端末封止部30の端面40と弧状曲面42とは、絞り加工装置60によって端末封止部30を成形する際に形成される。すなわち端面40と弧状曲面42とは、絞り加工の途中で、絞り治具63の移動軌跡に応じて形成することができる。このため、端面40や弧状曲面42を形成するための機械加工等の別工程をわざわざ追加する必要がない。端壁部41の内面には、軸線X1を対称軸とする回転対称形の凹部45が形成されている。素線20の先端(先端開口部)20eを絞り治具63によって絞り込むことにより、軸線X1上に先端中心閉鎖部43が形成される。端壁部41の内側には軸線X1を中心とする回転対称形の凹部45が形成されているため、軸線X1上に先端中心閉鎖部43を形成する作業を比較的容易に行うことができる。

0031

素線20の両端部20a,20bにそれぞれ端末封止部30が形成される。そののち、素線20をコイルばね製造装置によって螺旋形に巻くことにより、コイルばね10が形成される。コイルばね製造装置の一例は、回転するマンドレルと、回転ヘッド部と、素線の先端を回転ヘッド部に固定するためのチャックと、素線を案内するガイドなどを備えている。素線20の先端(端末封止部30)が前記チャックによって回転ヘッド部に固定される。マンドレルを回転させながら、前記ガイドをマンドレルの軸線方向に移動させることにより、素線20が所定ピッチでマンドレルに巻き付く。すなわちこのコイルばね10は熱間加工により螺旋状に成形される。

0032

素線20の先端の端末封止部30には、軸線X1と垂直な端面40を有する端壁部41が形成されている。端壁部41を有する端末封止部30は、素線20の径方向に加わる荷重に対して大きな剛性を発揮できる。このため端末封止部30がコイルばね製造装置のチャックによってクランプされる際に、端末封止部30が潰れたり変形したりすることを回避できる。よって、端末封止部30の形状が維持された状態で、素線20をマンドレルに巻付けることができる。

0033

図8は、素線20の端部20aの内側に面取り部70が形成された例である。素線20の外径Dがφ19mm、厚さTが3mmの素線20の場合、面取り部70の長さL1を2mmとした。面取り部70はこれ以外の長さであってもよい。この例のように素線20の内側に面取り部70を有する素線20の端部20aを、図5に示す絞り加工装置60によって絞り加工を行うことにより、図2に示すような端末封止部30を形成してもよい。

0034

図9は、素線20の端部20aの外側に面取り部71が形成された例である。素線20の外径Dがφ19mm、厚さTが3mmの素線20の場合、面取り部71の長さL2を2mmとした。面取り部71はこれ以外の長さであってもよい。この例のように素線20の外側に面取り部71を有する素線20の端部20aを、図5に示す絞り加工装置60によって絞り加工を行うことにより、図2に示すような端末封止部30を形成してもよい。

0035

図10は、端面40を形成するための他の手段として使用される面押し治具80を示している。この面押し治具80を、軸線X1に沿う方向(図10に矢印P4で示す方向)から端壁部41に押付ける。この面押し治具80によって、ほぼ平坦な端面40を形成することができる場合がある。

0036

図11は、第2の実施形態に係る端末封止部30Aの断面を示している。この端末封止部30Aも、第1の実施形態の端末封止部30と同様に、素線20の軸線X1を対称軸とする回転対称形をなしている。すなわち端末封止部30Aは、軸線X1(対称軸)に沿う断面において、端壁部41と、弧状曲面42と、先端中心閉鎖部43と、凹部45とを有している。端壁部41は、軸線X1に対して垂直な端面40を含んでいる。弧状曲面42は端面40と外周面20cとに連なっている。先端中心閉鎖部43は、端壁部41の中心で軸線X1上に形成されている。さらにこの端末封止部30Aは、端面40と弧状曲面42との間に形成されたテーパ部90を有している。

0037

図12は、第3の実施形態に係る端末封止部30Bの断面を示している。この端末封止部30Bも、素線20の軸線X1を対称軸とする回転対称形をなしている。すなわち端末封止部30Bは、軸線X1(対称軸)に沿う断面において、端壁部41と、弧状曲面42と、先端中心閉鎖部43と、凹部45とを有している。端壁部41は、軸線X1に対して垂直な端面40を含んでいる。弧状曲面42は、端面40と外周面20cとに連なっている。先端中心閉鎖部43は、端壁部41の中心で軸線X1上に形成されている。

0038

本発明を実施するに当たり、中空コイルばねの具体的な形状や配置をはじめとして、端末封止部の位置や形状、懸架装置を構成する上側のばね座や下側のばね座の形状、配置等を種々に変更して実施できることは言うまでもない。本発明の中空コイルばねは、自動車以外の車両の懸架装置に適用することもできるし、マクファーソン・ストラットタイプ以外の懸架装置に用いることもできる。

0039

1…懸架装置、10…中空コイルばね、10a,10b…座巻部、11…下側のばね座、12…上側のばね座、20…素線、20a…端部、20c…外周面、20d…内面、20e…先端、30,30A,30B…端末封止部、31…密閉空間、40…端面、41…端壁部、42…弧状曲面、43…先端中心閉鎖部、45…凹部、50…べース部材、51…シート部材、52…ストッパ壁、53…段部、60…絞り加工装置、61…旋盤、62…加熱手段、63…絞り治具、64…絞り機構、70…内側の面取り部、71…外側の面取り部、80…面押し治具、X1…素線の軸線(対称軸)。

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