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技術 湿式塗装ブース循環水の不粘着化処理剤及び湿式塗装ブース循環水の不粘着化処理方法

出願人 栗田工業株式会社
発明者 有元雄太
出願日 2017年3月24日 (3年11ヶ月経過) 出願番号 2017-535119
公開日 2018年4月5日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 WO2017-170234
状態 特許登録済
技術分野 凝集又は沈殿
主要キーワード スラッジ回収装置 不粘着剤 不粘着化剤 塗料噴霧装置 炭酸ナトリウム粉末 換算含有量 不粘着化 使用塗料
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題・解決手段

比較的少ない薬剤添加量で、また、pH調整のためのアルカリ剤以外に2つの薬剤を必要とすることなく、1剤で溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水不粘着化処理を効率的に行う。塩基度60%以上のアルミニウム塩とアルカリ剤を溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水に添加して、pH7以上、好ましくは7.5以上で溶剤系塗料の不粘着化を行う。予め調製されたアルミニウム塩粉末アルカリ剤粉末粉末混合品を用いて簡便に処理を行うこともできる。

概要

背景

自動車電気機器金属製品などの塗装工程ではスプレー塗装が行なわれており、被塗物塗着しないオーバースプレーペイント余剰塗料)が多量に発生する。その発生量は、塗着効率の高い静電塗装を除けば使用塗料の50%から60%程度にも達する。したがって、塗装工程の環境から余剰塗料を除去、回収する必要がある。余剰塗料の捕集には、通常、水洗による湿式塗装ブースが採用されており、水洗水循環使用される。循環水中塗料残留して蓄積することを防止するため、循環水中の余剰塗料を凝集分離することが行われている。

塗料は大別して、溶剤としてシンナーなどの有機溶剤のみを用いた溶剤系塗料と、水を用いた水性塗料とがある。溶剤系塗料は、水性塗料に比べ、耐候性耐チッピング性などに優れており、特に自動車用上塗りクリアー塗装においては多く使われている。溶剤系塗料は、循環水中に取り込まれた余剰塗料の粒子粘着性が高いため、諸設備に付着して激しい汚れを生じたり、凝集して大きな固まりになって目詰まりを生じやすい。

このため、溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水凝集処理に際しては、溶剤系塗料を不粘着化することが重要となる。

湿式塗装ブース循環水の処理において、アルミニウム系無機凝集剤を用いることは公知である。特許文献1には、水性塗料と溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の処理に、タンニンカチオンモノマー共重合体ポリ塩化アルミニウムの混合物を用いることが提案されている。特許文献2には、水性塗料を対象に、無機凝集剤高分子凝集助剤とを併用することが提案されている。

溶剤系塗料の不粘着化剤としては、粘土鉱物フェノール樹脂、タンニン等を使用する例がある。しかし、これらは不粘着化のためにカチオン性薬剤を併用添加する必要がある。特許文献3では、フェノール樹脂とアルキルアミンエピクロルヒドリン縮合物等のカチオン系ポリマーを湿式塗装ブース循環水に所定の割合で添加する方法が提案されている。

特許文献3に記載されるように、溶剤系塗料の不粘着剤としてフェノール樹脂等のアニオン性の薬剤が知られているが、これらは、カチオン性の薬剤と併用し、両薬剤の添加量を制御して循環水イオンバランスを保つために、煩雑な薬注制御が必要である。

USP5,614,103
特開昭52−71538号公報
特許第4069799号公報

概要

比較的少ない薬剤添加量で、また、pH調整のためのアルカリ剤以外に2つの薬剤を必要とすることなく、1剤で溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の不粘着化処理を効率的に行う。塩基度60%以上のアルミニウム塩とアルカリ剤を溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水に添加して、pH7以上、好ましくは7.5以上で溶剤系塗料の不粘着化を行う。予め調製されたアルミニウム塩粉末アルカリ剤粉末粉末混合品を用いて簡便に処理を行うこともできる。

目的

本発明は上記従来の問題点を解決し、煩雑な薬注制御を必要とすることなく、1剤で溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の不粘着化処理を効率的に行うことができる湿式塗装ブース循環水処理剤及び湿式塗装ブース循環水の処理方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水処理剤であって、塩基度60%以上のアルミニウム塩を含むことを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

請求項2

請求項1において、前記アルミニウム塩が塩基性塩化アルミニウムであって、アルミニウム塩素との質量比Al/Clが1.0以上であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

請求項3

請求項1又は2において、前記アルミニウム塩とアルカリ剤とを含むことを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

請求項4

請求項3において、前記アルミニウム塩粉末アルカリ剤粉末との粉混合品であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

請求項5

請求項4において、前記アルミニウム塩粉末と前記アルカリ剤粉末の混合割合が、前記混合品を前記湿式塗装ブース循環水に添加したときのpHが7以上となるように調整されていることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

請求項6

請求項4又は5において、前記アルカリ剤粉末が炭酸ナトリウム粉末であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

請求項7

請求項1ないし6のいずれか1項において、前記アルミニウム塩が高塩基性塩化アルミニウムであることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

請求項8

溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の処理方法であって、塩基度60%以上のアルミニウム塩を該湿式塗装ブース循環水に添加し、該湿式塗装ブース循環水のpHを7以上に調整することを特徴とする湿式塗装ブース循環水の処理方法。

請求項9

請求項8において、前記アルミニウム塩が塩基性塩化アルミニウムであって、アルミニウムと塩素との質量比Al/Clが1.0以上であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水の処理方法。

請求項10

請求項8又は9において、前記湿式塗装ブース循環水に前記アルミニウム塩とアルカリ剤とを添加することを特徴とする湿式塗装ブース循環水の処理方法。

請求項11

請求項10において、前記アルミニウム塩の粉末とアルカリ剤の粉末との混合物を前記湿式塗装ブース循環水に添加する方法であって、該混合物添加後の該湿式塗装ブース循環水のpHが7以上となるように、該アルミニウム塩の粉末と該アルカリ剤の粉末との混合割合を調整することを特徴とする湿式塗装ブース循環水の処理方法。

技術分野

背景技術

0002

自動車電気機器金属製品などの塗装工程ではスプレー塗装が行なわれており、被塗物塗着しないオーバースプレーペイント余剰塗料)が多量に発生する。その発生量は、塗着効率の高い静電塗装を除けば使用塗料の50%から60%程度にも達する。したがって、塗装工程の環境から余剰塗料を除去、回収する必要がある。余剰塗料の捕集には、通常、水洗による湿式塗装ブースが採用されており、水洗水循環使用される。循環水中に塗料が残留して蓄積することを防止するため、循環水中の余剰塗料を凝集分離することが行われている。

0003

塗料は大別して、溶剤としてシンナーなどの有機溶剤のみを用いた溶剤系塗料と、水を用いた水性塗料とがある。溶剤系塗料は、水性塗料に比べ、耐候性耐チッピング性などに優れており、特に自動車用上塗りクリアー塗装においては多く使われている。溶剤系塗料は、循環水中に取り込まれた余剰塗料の粒子粘着性が高いため、諸設備に付着して激しい汚れを生じたり、凝集して大きな固まりになって目詰まりを生じやすい。

0004

このため、溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の凝集処理に際しては、溶剤系塗料を不粘着化することが重要となる。

0005

湿式塗装ブース循環水の処理において、アルミニウム系無機凝集剤を用いることは公知である。特許文献1には、水性塗料と溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の処理に、タンニンカチオンモノマー共重合体ポリ塩化アルミニウムの混合物を用いることが提案されている。特許文献2には、水性塗料を対象に、無機凝集剤高分子凝集助剤とを併用することが提案されている。

0006

溶剤系塗料の不粘着化剤としては、粘土鉱物フェノール樹脂、タンニン等を使用する例がある。しかし、これらは不粘着化のためにカチオン性薬剤を併用添加する必要がある。特許文献3では、フェノール樹脂とアルキルアミンエピクロルヒドリン縮合物等のカチオン系ポリマーを湿式塗装ブース循環水に所定の割合で添加する方法が提案されている。

0007

特許文献3に記載されるように、溶剤系塗料の不粘着剤としてフェノール樹脂等のアニオン性の薬剤が知られているが、これらは、カチオン性の薬剤と併用し、両薬剤の添加量を制御して循環水イオンバランスを保つために、煩雑な薬注制御が必要である。

0008

USP5,614,103
特開昭52−71538号公報
特許第4069799号公報

0009

本発明は上記従来の問題点を解決し、煩雑な薬注制御を必要とすることなく、1剤で溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の不粘着化処理を効率的に行うことができる湿式塗装ブース循環水処理剤及び湿式塗装ブース循環水の処理方法を提供することを目的とする。

0010

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、従来一般的にアルミニウム系無機凝集剤として用いられているポリ塩化アルミニウム(塩基度50%程度)や硫酸バンドに比べて、塩基度60%以上の高塩基性アルミニウム塩が、溶剤系塗料の不粘着化効果に優れ、この高塩基性アルミニウム塩であれば、他の薬剤を併用することなく、アルカリ剤によりpH7以上、好ましくはpH7.5以上に調整するのみで、溶剤系塗料に対して高い不粘着化効果を得ることができることを見出した。

0011

即ち、本発明は以下を要旨とする。

0012

[1]溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水処理剤であって、塩基度60%以上のアルミニウム塩を含むことを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

0013

[2] [1]において、前記アルミニウム塩が塩基性塩化アルミニウムであって、アルミニウム塩素との質量比Al/Clが1.0以上であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

0014

[3] [1]又は[2]において、前記アルミニウム塩とアルカリ剤とを含むことを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

0015

[4] [3]において、前記アルミニウム塩粉末アルカリ剤粉末との粉混合品であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

0016

[5] [4]において、前記アルミニウム塩粉末と前記アルカリ剤粉末の混合割合が、前記混合品を前記湿式塗装ブース循環水に添加したときのpHが7以上となるように調整されていることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

0017

[6] [4]又は[5]において、前記アルカリ剤粉末が炭酸ナトリウム粉末であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

0018

[7] [1]ないし[6]のいずれかにおいて、前記アルミニウム塩が高塩基性塩化アルミニウムであることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。

0019

[8]溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の処理方法であって、塩基度60%以上のアルミニウム塩を該湿式塗装ブース循環水に添加し、該湿式塗装ブース循環水のpHを7以上に調整することを特徴とする湿式塗装ブース循環水の処理方法。

0020

[9] [8]において、前記アルミニウム塩が塩基性塩化アルミニウムであって、アルミニウムと塩素との質量比Al/Clが1.0以上であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水の処理方法。

0021

[10] [8]又は[9]において、前記湿式塗装ブース循環水に前記アルミニウム塩とアルカリ剤とを添加することを特徴とする湿式塗装ブース循環水の処理方法。

0022

[11] [10]において、前記アルミニウム塩の粉末とアルカリ剤の粉末との混合物を前記湿式塗装ブース循環水に添加する方法であって、該混合物添加後の該湿式塗装ブース循環水のpHが7以上となるように、該アルミニウム塩の粉末と該アルカリ剤の粉末との混合割合を調整することを特徴とする湿式塗装ブース循環水の処理方法。

発明の効果

0023

本発明によれば、煩雑な薬注制御を要することなく、1剤で溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の不粘着化処理を効果的に行うことができる。

0024

本発明では、不粘着化のための薬剤は、塩基度60%以上のアルミニウム塩と必要に応じて用いられるアルカリ剤のみでよく、従来のようにアニオン系の薬剤とカチオン系の薬剤とを併用した2剤を所定の割合で薬注制御する必要がない。また、処理時のpHも7以上、好ましくは7.5以上であればよい。

図面の簡単な説明

0025

実施例で用いた実験装置を示す模式図である。

0026

以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。

0027

作用機構
本発明においては、溶剤系塗料の不粘着化のための薬剤として、塩基度60%以上のアルミニウム塩、好ましくは塩基性塩化アルミニウムを用いる。本発明における塩基度は、JIS K 1475−1996に従って測定された値である。塩基性塩化アルミニウムは一般式[Al2(OH)nCl6−n]m(0<n<6,m≦10)で表され、塩基度は(n/6)×100(%)として計算することができる。そして、塩基性塩化アルミニウムを用いた場合には、アルミニウムと塩素との質量比Al/Clは1以上であることが好ましく、特に1.2以上であることが好ましい。更には、アルミニウムと塩素との質量比Al/Clの上限は2以下、好ましくは1.9以下であることが好ましい。ここでアルミニウムおよび塩素はそれぞれ発光分光分析法およびイオンクロマトグラフ法などによって測定することができる。一般的なPAC(塩基度=50%)や低塩基性のPAC(塩基度=34%)、硫酸バンドと比較して、塩基度60%以上のPAC等のアルミニウム塩、特にAl/Clが1以上である塩基性塩化アルミニウムは、溶剤系塗料の不粘着化効果に優れる。このような塩基度60%以上のアルミニウム塩は、Al2O3に対するCl含有量が少なく、腐食イオン混入量を削減することができる点においても有利である。なお、一般的なPACや低塩基性のPACのAl/Clは0.4〜0.8程度である。

0028

本発明で用いる塩基度60%以上のアルミニウム塩が溶剤系塗料の不粘着化効果に優れる作用機構の詳細は明らかではないが、酸性のアルミニウム塩がpHの上昇により析出フロック化する際、pH7.5以上であれば、高塩基性アルミニウム塩由来のAl(OH)3のフロックが多く生成し、これが不粘着化に対して有効に作用しているものと考えられる。
同じアルミニウム塩でも塩基度の差異により不粘着化効果が異なるのは、析出するフロック径によるものと考えられる。例えば、塩基度50%のPACを用いた場合、析出するフロックの平均粒子径はpH7.0で10μm程度であるのに対して、塩基度60%のアルミニウム塩であれば、pH7.0で平均粒子径2μmの細かいフロックが生成することで、溶剤系塗料の粘着性がより効果的に低減されるものと推定される。

0029

[アルミニウム塩]
本発明で用いるアルミニウム塩は、塩基度60%以上の高塩基性のアルミニウム塩(以下、「高塩基性アルミニウム塩」と称す場合がある。)である。特に塩基度60%以上の塩基性塩化アルミニウム(以下「高塩基性塩化アルミニウム」と称す場合がある。)を好適に用いることができる。高塩基性塩化アルミニウムを用いた場合には、アルミニウムと塩素との質量比Al/Clは1以上であることが好ましく、特に1.2以上であることが好ましい。そして、アルミニウムと塩素との質量比Al/Clの上限は2以下、好ましくは1.9以下であることが好ましい。塩基度の異なるアルミニウム塩を2種以上併用してもよいし、混合して使用してもよい。

0030

[アルカリ剤]
本発明においては、高塩基性アルミニウム塩と共に、必要に応じてアルカリ剤を併用して湿式塗装ブース循環水のpHを7以上、好ましくは7.5以上に調整する。湿式塗装ブース循環水のpHが7未満であると、高塩基性アルミニウム塩による溶剤系塗料の不粘着化効果を十分に得ることができないことがある。

0031

アルカリ剤としては水酸化ナトリウム苛性ソーダ)、水酸化カリウム水酸化カルシウム消石灰)、炭酸ナトリウムの1種又は2種以上を用いることができる。
これらのうち、粉末で提供される消石灰や炭酸ナトリウムは、後述の通り、高塩基性アルミニウム塩の粉末との粉末混合品として一剤化することができ、取り扱い性に優れる。

0032

薬剤添加量
湿式塗装ブース循環水への高塩基性アルミニウム塩の添加量は、湿式塗装ブース循環水中の溶剤系塗料の濃度や粘着性に応じて、十分な不粘着化効果が得られるように適宜決定される。高塩基性アルミニウム塩の添加量が少な過ぎると十分な不粘着化効果が得られず、多過ぎても添加量に見合う効果は得られず薬剤コストや凝集汚泥発生量の増加等の面で好ましくない。一般的には、湿式塗装ブース循環水に対してAl2O3換算の添加量として5〜60mg/L程度添加することが好ましい。湿式塗装ブース循環水中の溶剤系塗料固形分に対して、Al2O3換算の添加量が0.5〜5重量%程度となるように添加することが好ましい。

0033

アルカリ剤は必要に応じて、湿式塗装ブース循環水のpHが7以上、好ましくは7.2以上、より好ましくは7.5以上となるように添加される。通常水処理におけるアルミニウム塩による凝集処理でのpH領域は約6〜7であるが、本発明において、高塩基性アルミニウム塩は、凝集目的ではなく、析出したアルミニウムフロックが溶剤系塗料を不粘着化させるために用いるため、pH7以上、好ましくはpH7.2以上、より好ましくはpH7.5以上にpH調整する。pHの上限については、不粘着化の効果の面においては特に制限はないが、薬剤コスト、装置の耐アルカリ性の観点から、通常8.5以下である。

0034

添加形態添加箇所
高塩基性アルミニウム塩とアルカリ剤の添加形態としては特に制限はなく、これらは別々に添加してもよく、予め混合して一剤化して添加してもよい。

0035

薬剤の添加位置にも特に制限はなく、湿式塗装ブース循環水の循環液に添加してもよく、循環水槽に添加してもよいが、余剰塗料に対して高濃度で薬剤を添加させる観点から、循環ラインに添加することが好ましい。高塩基性アルミニウム塩とアルカリ剤とを別々に添加する場合は、同じ薬注点又は隣接した薬注点に添加することが好ましい。

0036

高塩基性アルミニウム塩、アルカリ剤を二剤として別々に添加する場合も、予め一剤化して添加する場合も、粉末の形態で添加してもよく、水に溶解させて液体としても添加してもよい。特に、高塩基性アルミニウム塩とアルカリ剤とを予め混合し一剤化したものを添加する場合、高塩基性アルミニウム塩粉末とアルカリ剤の粉末とを混合し、粉末混合品として添加することもできる。即ち、本発明の湿式塗装ブース循環水処理剤は、高塩基性アルミニウム塩粉末とアルカリ剤粉末との粉末混合品であってもよい。この場合、湿式塗装ブース循環水に添加したときに、pH7以上、好ましくはpH7.2以上、より好ましくはpH7.5以上となるようにアルミニウム塩粉末とアルカリ剤粉末との混合割合を予め調整しておくことにより、一剤の粉末薬剤で良好な作業性のもとに溶剤系塗料の不粘着化処理を行える。

0037

粉末混合品における高塩基性アルミニウム塩粉末とアルカリ剤粉末との混合割合は、処理対象の湿式塗装ブース循環水の水質に応じて適宜決定される。アルカリ剤として炭酸ナトリウムを用いる場合、高塩基性アルミニウム塩:炭酸ナトリウムの混合割合は、重量比で1:0.1〜1の範囲で適宜設定される。

0038

このような粉末混合品の場合、吸湿や粉末同士の固着等を防止するために、粘土鉱物や炭酸カルシウムなどの無機素材を配合することも可能である。

0039

本発明によれば、高塩基性アルミニウム塩とpH調整のためのアルカリ剤のみの添加で、イオン性の調整を要することなく、不粘着化処理を効率的に行うことができる。本発明により不粘着化された溶剤系塗料を含むアルミニウムフロックは、循環水槽の水面に浮上するため、これを人手により回収したり、フロートが付いており、水の表面を吸引できるポンプを用い、公知のスラッジ回収装置を利用して系外へ排出することができる。

0040

以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。

0041

[使用薬剤]
以下の実施例、及び比較例では、処理薬剤として以下のものを用いた。なお、以下において、塩基度は、JIS K 1475−1996に規定された方法で測定したものである。また、Al203換算濃度およびClイオン濃度はそれぞれ発光分光分析法およびイオンクロマトグラフ法によって測定したものである。そして、アルミニウムと塩素との質量比Al/Clは、Al203換算濃度およびClイオン濃度に基づき算出した値である。
薬剤1:PAC水溶液(大明化学社製PAC「タイパック6010」、塩基度:50.0%、Al2O3換算濃度:10重量%、Clイオン濃度:8.2重量%、Al/Cl質量比:0.6、比重:1.2)
薬剤2:高塩基性塩化アルミニウム水溶液(塩基度:62.7%、Al2O3換算濃度:23重量%、Clイオン濃度:7.6重量%、Al/Cl質量比:1.6、比重:1.3)
薬剤3:フェノール樹脂のアルカリ水溶液(群栄化学社製フェノール樹脂「レジトップ4324」20重量%と、48%苛性ソーダ10重量%と、純水70重量%の混合液、比重1.1)
薬剤4:高塩基性塩化アルミニウム粉末(塩基度:62.7%、Al2O3換算含有量:46重量%、Clイオン濃度:15.2重量%(換算濃度)、Al/Cl質量比:1.6)と炭酸ナトリウム粉末の混合品(溶解後のpHが試験条件のpHとなるように、炭酸ナトリウムの量を調整したもの)
薬剤5:アルキルアミン・エピクロルヒドリン縮合物の水溶液(アルキルアミン・エピクロルヒドリン縮合物濃度:50重量%、比重1.15)
薬剤6:PAC水溶液(東信化学社製PAC「W−PAC」、塩基度:約33.6%、Al2O3換算濃度:10重量%、Clイオン濃度:11.5重量%、Al/Cl質量比:0.5、比重:1.2)
薬剤7:硫酸アルミニウム水溶液(Al2O3換算濃度:8重量%、比重1.3)

0042

供試塗料]
供試塗料としては、溶剤系自動車用クリアー塗料を用いた。

0043

試験方法
試験方法は以下の通りである。
図1に示す実験装置を用いて試験を実施した。この実験装置は、循環水槽1内の循環水を100L/分でポンプPにより循環して、循環水槽上部の塗料が噴霧される水幕板2上に流下させるように構成されているものである。3は塗料噴霧装置であり、11は循環配管、12は、循環水を系外へ排出するための排出配管、13は排気配管、V1,V2はバルブ、Fは排気ファンである。

0044

湿式塗装ブース循環水に以下の薬剤をそれぞれ所定濃度で添加した後、硫酸又は苛性ソーダにより所定のpHに調整して装置を稼動させた(ただし、実施例2では、薬剤4の添加のみでpH調整)。次に、供試塗料を10g/分で2分間スプレーし、その後装置を停止した。
装置の停止直後に循環水槽の水面に浮上したスラッジの粘着性(直後不粘着性)を指触にて調べ、下記基準で評価した。
このスラッジを容器にとり、24時間放置後のスラッジの粘着性(乾燥後不粘着性)を同様に指触により評価した。

0045

評価基準
◎:粘着なし
○:粘着ないが、指でこねると容易に固まる
△:やや粘着あり
×:粘着大

0046

比較例1:薬剤添加せず
比較例2:薬剤1を6.3mL(Al2O3換算濃度15mg/L)添加
比較例3:薬剤3を3.4mL(樹脂純分15mg/L)又は5.1ml(樹脂純分22.5mg/L)添加すると共に、薬剤5を0.2g併用添加
比較例4:薬剤6を6.3mL(Al2O3換算濃度15mg/L)添加
比較例5:薬剤7を7.2mL(Al2O3換算濃度15mg/L)添加
実施例1:薬剤2を2.5mL(Al2O3換算濃度15mg/L)添加
実施例2:薬剤4として、高塩基性塩化アルミニウム粉末/炭酸ナトリウム粉末混合比(g)を1.63/0、1.63/0.13、又は1.63/0.49としたもの(いずれもAl2O3換算濃度15mg/L)を添加

0047

比較例1〜5及び実施例1,2の結果を表1〜7に示す。

0048

0049

0050

0051

0052

0053

0054

0055

[考察]
上記の試験結果から次のことが分かる。
Al2O3換算濃度及びpHをそろえた試験のなかで、塩基度の高い塩化アルミニウム塩のみが不粘着効果があり、またその中でもpHを7.0以上、より不粘着を利かせるためにはpH7.5以上にすることにより、不粘着性効果が有効に発揮される(表2,4〜7)。

0056

高塩基性塩化アルミニウムは、素材純分として見たとき、表3に示される既存技術の樹脂(薬剤3+薬剤5)よりも少ない添加量で優れた不粘着効果を発揮する。
pH7.0での直後不粘着性で比較しても、高塩基性塩化アルミニウムは従来よりも直後不粘着性が良く、pHによる影響も受けにくい。

0057

薬剤4の粉末混合品の場合、循環水の腐敗によるpHの低下などを考慮し、高塩基性塩化アルミニウム:炭酸ナトリウムの配合比率を変え、炭酸ナトリウムの量を増やすことも可能である。

実施例

0058

本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
本出願は、2016年3月31日付で出願された日本特許出願2016−071912に基づいており、その全体が引用により援用される。

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