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技術 バルーンカテーテル及びその製造方法並びに処置方法

出願人 テルモ株式会社
発明者 後藤博森本克己黒崎靖夫
出願日 2017年3月23日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-507394
公開日 2019年1月31日 (5ヶ月経過) 公開番号 WO2017-164280
状態 未査定
技術分野 媒体導出入付与装置
主要キーワード 外周構成 中空長尺体 各長尺体 添加物層 添加剤層 羽根形 移動ピン 内部支持体
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

薬剤生体組織へ効果的に送達できるバルーンカテーテル及びその製造方法並びに処置方法を提供する。カテーテルシャフト11の先端部にバルーン12を有し、独立した長軸を有して延在する水不溶性薬剤結晶である複数の長尺体33がバルーン12の表面に設けられ、収縮状態のバルーン12は、周方向に複数の羽根部40と、カテーテルシャフト11の周方向に沿う周面部41とを有し、羽根部40はバルーン12の周方向に沿って折り畳まれ、周面部41のうち、折り畳まれた羽根部40に向かう面は、長尺体33の先端部が、バルーン12の表面及び他の長尺体33に接触していない領域を有し、折り畳まれた羽根部40のうち、外周側に向かう面は、長尺体33の先端部が、バルーン12の表面または他の長尺体33に接触している領域を有するバルーンカテーテル10である。

概要

背景

生体管腔内に生じた病変部(狭窄部)改善のため、バルーンカテーテルが広く用いられている。バルーンカテーテルは、通常、長尺カテーテルシャフトと、このカテーテルシャフトの先端側に設けられて径方向拡張可能バルーンとを備えている。収縮されているバルーンを、細い生体管腔を経由して体内目的場所まで到達させた後に拡張させることで、病変部を押し広げることができる。

一方、病変部をバルーンにより強制的に押し広げると、内皮細胞が過剰に増殖して病変部に新たな狭窄(再狭窄)を発症する場合がある。このため、最近では、バルーンの表面に狭窄を抑制するための薬剤コーティングした薬剤溶出性バルーン(Drug Eluting Balloon;DEB)が用いられている。薬剤溶出性バルーンは、拡張することで表面にコーティングされている薬剤を病変部に放出し、薬剤を生体組織移行させることができ、これにより、再狭窄を抑制することができる。

近年では、バルーンの表面にコーティングされる薬剤の形態型(morphological form)が、病変部におけるバルーン表面からの薬剤の放出性組織移行性に影響を及ぼすことが明らかになりつつある。例えば特許文献1には、バルーンの表面に、薬剤の結晶が長尺に形成されたバルーンカテーテルが記載されている。

概要

薬剤を生体組織へ効果的に送達できるバルーンカテーテル及びその製造方法並びに処置方法を提供する。カテーテルシャフト11の先端部にバルーン12を有し、独立した長軸を有して延在する水不溶性薬剤の結晶である複数の長尺体33がバルーン12の表面に設けられ、収縮状態のバルーン12は、周方向に複数の羽根部40と、カテーテルシャフト11の周方向に沿う周面部41とを有し、羽根部40はバルーン12の周方向に沿って折り畳まれ、周面部41のうち、折り畳まれた羽根部40に向かう面は、長尺体33の先端部が、バルーン12の表面及び他の長尺体33に接触していない領域を有し、折り畳まれた羽根部40のうち、外周側に向かう面は、長尺体33の先端部が、バルーン12の表面または他の長尺体33に接触している領域を有するバルーンカテーテル10である。

目的

本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、薬剤を生体組織へ効果的に送達できるバルーンカテーテル及びその製造方法並びに処置方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

カテーテルシャフトの先端部にバルーンを有し、独立した長軸を有して延在する水不溶性薬剤結晶である複数の長尺体が前記バルーンの表面に設けられているバルーンカテーテルであって、前記バルーンの表面において前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面または他の長尺体に接触しているバルーンカテーテル。

請求項2

前記長尺体は、前記バルーンの表面の全領域で傾倒している請求項1に記載のバルーンカテーテル。

請求項3

前記バルーンの表面において前記長尺体が、前記バルーンの表面に対してなす角度が30度以下である請求項1または2に記載のバルーンカテーテル。

請求項4

前記バルーンの表面に対してなす角度が30度以下である前記長尺体は、前記バルーンの周方向に傾倒している請求項3記載のバルーンカテーテル。

請求項5

収縮状態の前記バルーンは、周方向に複数の羽根部と、前記カテーテルシャフトの周方向に沿う周面部とを有すると共に、前記羽根部は前記バルーンの周方向に沿って折り畳まれ、前記周面部のうち、折り畳まれた前記羽根部に向かう面は、前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面及び他の長尺体に接触していない領域を有し、折り畳まれた前記羽根部のうち、外周側に向かう面は、前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面または他の長尺体に接触している領域を有する請求項1に記載のバルーンカテーテル。

請求項6

折り畳まれた前記羽根部のうち、前記周面部に向かう面は、前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面及び他の長尺体に接触していない領域を有する請求項5に記載のバルーンカテーテル。

請求項7

折り畳まれた前記羽根部と前記周面部との間には、少なくとも一部に空間部が形成され、前記羽根部と周面部の表面のうち、前記空間部に面する領域は、前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面及び他の長尺体に接触していない請求項5または6に記載のバルーンカテーテル。

請求項8

前記バルーンの周面部のうち、外周側に向かう面は、前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面または他の長尺体に接触している領域を有する請求項5〜7のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。

請求項9

前記バルーンの表面のうち、外周側に向かう面は、前記長尺体が、前記バルーンの表面に対してなす角度が30度以下である領域を有する請求項5〜8のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。

請求項10

前記バルーンの表面に対してなす角度が30度以下である前記長尺体は、前記バルーンの周方向に傾倒している請求項9に記載のバルーンカテーテル。

請求項11

前記水不溶性薬剤は、ラパマイシンパクリタキセルドセタキセル、またはエベロリムスである請求項1〜10のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。

請求項12

独立した長軸を有して延在する水不溶性薬剤の結晶である複数の長尺体がバルーンの表面に設けられているバルーンカテーテルの製造方法において、前記バルーンの表面に前記長尺体を形成するステップと、前記バルーンに径方向に突出する羽根部を形成するステップと、前記バルーンに形成された羽根部を周方向に沿って寝かせるステップと、を有し、前記バルーンに羽根部を形成するステップ、または前記バルーンの羽根部を寝かせるステップのいずれかにおいて、前記バルーンを変形させるために作用させる力によって、前記バルーンの表面の前記長尺体を傾倒させ、少なくとも前記長尺体の先端部を、前記バルーンの表面または他の長尺体に接触させるバルーンカテーテルの製造方法。

請求項13

周方向に複数配置されたブレードにより、前記バルーンに形成された羽根部を周方向に沿って寝かせ、前記ブレードで前記バルーンの表面を押圧する際に、前記ブレードを前記バルーンの周方向に沿って移動させることで、前記長尺体を前記バルーンの周方向に向かって傾倒させる請求項12に記載のバルーンカテーテルの製造方法。

請求項14

周方向に複数配置されたブレードにより、前記バルーンに形成された羽根部を周方向に沿って寝かせ、前記ブレードで前記バルーンの表面を押圧する際に、前記バルーンを周方向に回転させることで、前記長尺体を前記バルーンの周方向に向かって傾倒させる請求項12に記載のバルーンカテーテルの製造方法。

請求項15

前記バルーンに羽根部を形成するステップ、または前記バルーンの羽根部を寝かせるステップのいずれかにおいて、前記バルーンを変形させるために作用させる力によって、前記バルーンの外周側に向かう面の前記長尺体を傾倒させ、少なくとも、折り畳まれた前記羽根部のうち、外周側に向かう面に、前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面または他の長尺体に接触している領域を形成する請求項12に記載のバルーンカテーテルの製造方法。

請求項16

請求項1〜11のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルを使用して生体管腔内の病変部に薬剤送達する処置方法であって、前記バルーンを生体管腔内に挿入して病変部へ到達させるステップと、前記バルーンを拡張させて前記長尺体を生体組織押し付けるステップと、前記バルーンを収縮させて生体管腔から抜去するステップと、を有する処置方法。

技術分野

0001

本発明は、表面に薬剤コーティングされたバルーンを有するバルーンカテーテル及びその製造方法並びに処置方法に関する。

背景技術

0002

生体管腔内に生じた病変部(狭窄部)改善のため、バルーンカテーテルが広く用いられている。バルーンカテーテルは、通常、長尺カテーテルシャフトと、このカテーテルシャフトの先端側に設けられて径方向拡張可能なバルーンとを備えている。収縮されているバルーンを、細い生体管腔を経由して体内目的場所まで到達させた後に拡張させることで、病変部を押し広げることができる。

0003

一方、病変部をバルーンにより強制的に押し広げると、内皮細胞が過剰に増殖して病変部に新たな狭窄(再狭窄)を発症する場合がある。このため、最近では、バルーンの表面に狭窄を抑制するための薬剤をコーティングした薬剤溶出性バルーン(Drug Eluting Balloon;DEB)が用いられている。薬剤溶出性バルーンは、拡張することで表面にコーティングされている薬剤を病変部に放出し、薬剤を生体組織移行させることができ、これにより、再狭窄を抑制することができる。

0004

近年では、バルーンの表面にコーティングされる薬剤の形態型(morphological form)が、病変部におけるバルーン表面からの薬剤の放出性組織移行性に影響を及ぼすことが明らかになりつつある。例えば特許文献1には、バルーンの表面に、薬剤の結晶が長尺に形成されたバルーンカテーテルが記載されている。

先行技術

0005

米国特許出願公開第2014/0271775号明細書

発明が解決しようとする課題

0006

薬剤を溶出するバルーンカテーテルは、治療における効果を高めるため、バルーン表面の薬剤の生体組織への送達性が高いことが望まれる。

0007

本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、薬剤を生体組織へ効果的に送達できるバルーンカテーテル及びその製造方法並びに処置方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成する本発明に係るカテーテルは、カテーテルシャフトの先端部にバルーンを有し、独立した長軸を有して延在する水不溶性薬剤の結晶である複数の長尺体が前記バルーンの表面に設けられているバルーンカテーテルであって、
前記バルーンの表面において前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面または他の長尺体に接触している。

0009

また、上記目的を達成する本発明に係るカテーテルの製造方法は、独立した長軸を有して延在する水不溶性薬剤の結晶である複数の長尺体がバルーンの表面に設けられているバルーンカテーテルの製造方法において、
前記バルーンの表面に前記長尺体を形成するステップと、
前記バルーンに径方向に突出する羽根部を形成するステップと、
前記バルーンに形成された羽根部を周方向に沿って寝かせるステップと、を有し、
前記バルーンに羽根部を形成するステップ、または前記バルーンの羽根部を寝かせるステップのいずれかにおいて、前記バルーンを変形させるために作用させる力によって、前記バルーンの表面の前記長尺体を傾倒させ、少なくとも前記長尺体の先端部を、前記バルーンの表面または他の長尺体に接触させる。

0010

また、上記目的を達成する本発明に係る処置方法は、バルーンカテーテルを使用して生体管腔内の病変部に薬剤を送達する処置方法であって、
前記バルーンを生体管腔内に挿入して病変部へ到達させるステップと、
前記バルーンを拡張させて前記長尺体を生体組織に押し付けるステップと、
前記バルーンを収縮させて生体管腔から抜去するステップと、を有する。

発明の効果

0011

上記のように構成したバルーンカテーテルは、バルーンを生体管腔内で移動させる際、バルーンの表面において長尺体が傾倒状態となっているので、長尺体がバルーンの表面から剥離しにくく、バルーンの挿入中における薬剤の逸失を抑えて、目的の位置まで薬剤を効果的に送達させることができる。

0012

前記長尺体は、前記バルーンの表面の全領域で傾倒しているようにすれば、長尺体がバルーンの全領域において剥離することを抑制できる。

0013

前記バルーンの表面において前記長尺体が、前記バルーンの表面に対してなす角度が30度以下であるようにすれば、傾倒状態の長尺体が、バルーンの表面に対して寝た状態となって、バルーンの挿入時に生体管腔の内壁などと接触しても、剥離することを効果的に抑制することができる。

0014

前記バルーンの表面に対してなす角度が30度以下である前記長尺体は、前記バルーンの周方向に傾倒しているようにすれば、バルーンの進行方向と異なる方向に長尺体が向いているため、バルーンの挿入時における長尺体の剥離を、より確実に抑制することができる。

0015

収縮状態の前記バルーンは、周方向に複数の羽根部と、前記カテーテルシャフトの周方向に沿う周面部とを有すると共に、前記羽根部は前記バルーンの周方向に沿って折り畳まれ、前記周面部のうち、折り畳まれた前記羽根部に向かう面は、前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面及び他の長尺体に接触していない領域を有し、折り畳まれた前記羽根部のうち、外周側に向かう面は、前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面または他の長尺体に接触している領域を有する。このように構成したバルーンカテーテルは、バルーンを血管内で移動させる際、折り畳まれた状態のバルーンは、外周側に露出する領域では薬剤結晶の長尺体が傾倒しているので、長尺体が剥離しにくく、バルーンの挿入中における薬剤の逸失を抑えて、目的の位置まで薬剤を効果的に送達させることができる。一方で、バルーンが拡張すると、折り畳まれた状態では外周側に露出しない領域も、外周側に露出し、この領域では薬剤結晶の長尺体は立設状態であるので、病変部に対し薬剤を効果的に移行させることができる。つまり、薬剤を病変部に効果的に送達しつつ、病変部における薬剤の移行も効果的に行うことができる。

0016

折り畳まれた前記羽根部のうち、前記周面部に向かう面は、前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面及び他の長尺体に接触していない領域を有するようにすれば、羽根部のうち周面部に向かう面は、バルーンが折り畳まれた状態で外周側に露出しない領域であるから、バルーンの拡張時に立設状態の長尺体が存在する領域がより広くなり、病変部に対する薬剤の移行をより効率的にすることができる。

0017

折り畳まれた前記羽根部と前記周面部との間には、少なくとも一部に空間部が形成され、前記羽根部と周面部の表面のうち、前記空間部に面する領域は、前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面及び他の長尺体に接触していないようにすることもできる。これにより、折り畳まれた羽根部と周面部との間の領域で、長尺体の立設状態を維持できる空間部を確保することができる。

0018

前記バルーンの周面部のうち、外周側に向かう面は、前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面または他の長尺体に接触している領域を有するようにしてもよい。バルーンの羽根部が周面部の全てを覆っていない場合には、外周側に露出する周面部の領域の薬剤結晶の長尺体が傾倒した状態となっているが、上記のように構成すれば、バルーンの挿入時における長尺体の剥離をより抑えることができる。

0019

前記バルーンの表面のうち、外周側に向かう面は、前記長尺体が、前記バルーンの表面に対してなす角度が30度以下である領域を有するようにしてもよい。これにより、傾倒した状態の長尺体が、バルーンの表面に対して寝た状態となって、バルーンの挿入時に生体管腔の内壁などと接触しても、剥離することを効果的に抑制することができる。

0020

前記バルーンの表面に対してなす角度が30度以下である前記長尺体は、前記バルーンの周方向に傾倒しているようにすれば、バルーンの進行方向と異なる方向に長尺体が向いているため、バルーンの挿入時における長尺体の剥離を、より確実に抑制することができる。

0021

前記水不溶性薬剤は、ラパマイシンパクリタキセルドセタキセル、またはエベロリムスであるようにすれば、血管内の狭窄部の再狭窄を良好に抑制できる。

0022

上記のように構成したバルーンカテーテルの製造方法は、バルーンに羽根部を形成するステップ、または羽根部を折り畳むステップにおいてバルーンに作用する力を利用して、バルーンの表面において、長尺体を立設状態から傾倒状態に変化させることができる。

0023

周方向に複数配置されたブレードにより、前記バルーンに形成された羽根部を周方向に沿って寝かせ、前記ブレードで前記バルーンの表面を押圧する際に、前記ブレードを前記バルーンの周方向に沿って移動させることで、前記長尺体を前記バルーンの周方向に向かって傾倒させるようにすれば、長尺体をバルーンの周方向に沿って傾倒させることができる。

0024

周方向に複数配置されたブレードにより、前記バルーンに形成された羽根部を周方向に沿って寝かせ、前記ブレードで前記バルーンの表面を押圧する際に、前記バルーンを周方向に回転させることで、前記長尺体を前記バルーンの周方向に向かって傾倒させるようにすれば、長尺体をバルーンの周方向に沿って傾倒させることができる。

0025

前記バルーンに羽根部を形成するステップ、または前記バルーンの羽根部を寝かせるステップのいずれかにおいて、前記バルーンを変形させるために作用させる力によって、前記バルーンの外周側に向かう面の前記長尺体を傾倒させ、少なくとも、折り畳まれた前記羽根部のうち、外周側に向かう面に、前記長尺体の先端部が、前記バルーンの表面または他の長尺体に接触している領域を形成するようにすれば、バルーンに羽根部を形成するステップ、または羽根部を折り畳むステップにおいてバルーンに作用する力を利用して、バルーンの表面の一部について、長尺体を立設状態から傾倒状態に変化させることができる。

0026

上記のように構成した処置方法は、折り畳まれた状態のバルーンを血管内で移動させる際に、バルーンの挿入中における薬剤の逸失を抑え、目的の位置まで薬剤を効果的に送達させることができる。また、バルーンの表面の一部に立設状態の薬剤の結晶を有する場合には、バルーンを病変部で拡張させた際に、立設状態の薬剤の結晶が露出し、病変部に対し薬剤を効果的に移行させることができる。

図面の簡単な説明

0027

本実施形態に係るバルーンカテーテルを示す正面図である。
バルーンカテーテルの先端部の断面図である。
バルーンの表面の薬剤結晶からなる長尺体を示す概略斜視図である。
バルーンの表面の薬剤結晶からなる長尺体及び基層を示す概略図である。
傾倒状態の薬剤結晶からなる長尺体を示す概略斜視図である。
バルーンの折り畳み前状態(図6(a))、バルーンに羽根部を形成した状態(図6(b))、バルーンを折り畳んだ状態(図6(c))の断面図である。
バルーンコーティング装置を示す概略図である。
バルーンに接触したディスペンシングチューブを示す断面図である。
バルーン折り畳み装置を示す斜視図である。
プリーティング部のブレードの配置及びフィルム供給部を示す正面図である。
プリーティング部のブレードを示す正面図である。
フォールディング部のブレードの配置及びフィルム供給部を示す正面図である。
フォールディング部のブレードを示す正面図である。
プリーティング部に配置したバルーンカテーテルを示す断面図である。
プリーティング部のブレードを回動させてバルーンに羽根部を形成した状態のブレードを示す正面図である。
フォールディング部に配置したバルーンカテーテルを示す断面図である。
フォールディング部のブレードを回動させバルーンの羽根部を畳んだ状態のブレードを示す正面図である。
本実施形態に係るバルーンカテーテルにより血管の狭窄部を押し広げた状態を示す断面図である。
基層がフィルムアモルファスである場合の長尺体及び基層を示す概略図である。
バルーンの外表面の第1の長尺体および基層を示す概略図である。
バルーンの外表面の第2の長尺体および基層を示す概略図である。
バルーンの外表面の第3の長尺体および基層を示す概略図である。
バルーンの外表面の長尺体および基層を示す概略図である。
バルーンの外表面の固定側長尺体、分離側長尺体および基層を示す概略図である。
異なる形態の羽根部を有する折り畳み状態のバルーンの断面図である。

実施例

0028

以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書では、バルーンカテーテル10の生体管腔に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。

0029

まず、本実施形態のバルーンカテーテルについて説明する。バルーンカテーテル10は、図1に示すように、長尺で中空状のカテーテルシャフト11と、カテーテルシャフト11の先端側端部に設けられるバルーン12と、バルーン12の表面に設けられる薬剤を含むコート層30と、カテーテルシャフト11の基端側端部に固着されたハブ13とを有している。コート層30が設けられたバルーン12は、使用されるまで、保護シース15により覆われて保護される。

0030

バルーン12の軸心方向の長さは特に限定されないが、好ましくは5〜500mm、より好ましくは10〜300mm、さらに好ましくは20〜200mmである。

0031

バルーン12の拡張時の外径は、特に限定されないが、好ましくは1〜10mm、より好ましくは2〜8mmである。

0032

バルーン12のコート層30が形成される前の表面は、平滑であり、非多孔質である。バルーン12のコート層30が形成される前の外表面は、膜を貫通しない微小な孔があってもよい。または、バルーン12のコート層30が形成される前の外表面は、平滑であって非多孔質である範囲と、膜を貫通しない微小な孔がある範囲の両方を備えてもよい。微小な孔のサイズは、例えば、直径が0.1〜5μm、深さが0.1〜10μmであり、1つの結晶に対して、1つまたは複数の孔を有してもよい。また、微小な孔のサイズは、例えば、直径が5〜500μm、深さが0.1〜50μmであり、1つの孔に対して、1つまたは複数の結晶を有してもよい。

0033

このバルーンカテーテル10は、長尺なカテーテルシャフト11を生体器官内に挿通させ、その遠位側に設けられたバルーン12を病変部で拡張させることで、病変部を押し広げて治療を行うことができるものである。

0034

次に、カテーテルシャフト11の先端部及びバルーン12の構造について説明する。図2に示すように、カテーテルシャフト11は、中空状の外管20と、中空状の内部支持体である内管21とを有している。内管21は、外管20の中空内部に納められており、カテーテルシャフト11は、先端部において二重管構造となっている。内管21の中空内部は、ガイドワイヤ14を挿通させるガイドワイヤルーメン23を形成する。また、外管20の中空内部であって、内管21の外側には、バルーン12の拡張用流体流通させる拡張ルーメン22が形成される。内管21は、開口部24において外部に開口している。内管21は、外管20の先端よりもさらに先端側まで突出している。

0035

バルーン12は、基端側端部が外管20の先端部に固定され、先端側端部が内管21の先端部に固定されている。これにより、バルーン12の内部が拡張ルーメン22と連通している。拡張ルーメン22を介してバルーン12に拡張用流体を注入することで、バルーン12を拡張させることができる。拡張用流体は気体でも液体でもよく、例えばヘリウムガスCO2ガス、O2ガス、空気、またはこれらの混合ガス等の気体や、生理食塩水造影剤等の液体を用いることができる。なお、図2において、バルーン12は拡張した状態である。

0036

バルーン12の軸心方向における中央部には、拡張させた際に外径が等しい円筒状のストレート部12a(拡張部)が形成され、ストレート部12aの軸心方向の両側に、外径が徐々に変化するテーパ部12bが形成される。そして、ストレート部12aの表面の全体に、薬剤を含むコート層30が形成される。なお、バルーン12においてコート層30を形成する範囲は、ストレート部12aのみに限定されず、ストレート部12aに加えてテーパ部12bの少なくとも一部が含まれてもよい。または、コート層30を形成する範囲は、ストレート部12aの一部のみであってもよい。

0037

外管20及び内管21は、ある程度の可撓性を有する材料により形成されるのが好ましい。そのような材料としては、例えば、ポリエチレンポリプロピレンポリブテンエチレン−プロピレン共重合体エチレン酢酸ビニル共重合体アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂ポリアミドポリアミドエラストマーポリエステルポリエステルエラストマーポリウレタンポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂シリコーンゴムラテックスゴム等が挙げられる。

0038

バルーン12は、ある程度の柔軟性と血管や組織等に到達した際に拡張されて、その表面に有するコート層30から薬剤を放出できるようにある程度の硬度を有するものが好ましい。具体的には、金属や、樹脂で構成されるが、コート層30が設けられるバルーン12の少なくとも表面は、樹脂で構成されていることが好ましい。バルーン12の少なくとも表面の構成材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ナイロンエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。そのなかでも、好適にはポリアミド類が挙げられる。すなわち、薬剤をコートする医療機器の拡張部の表面の少なくとも一部がポリアミド類である。ポリアミド類としては、アミド結合を有する重合体であれば特に制限されないが、例えば、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプロラクタムナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミドナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカラクタムナイロン11)、ポリドデカノラクタム(ナイロン12)などの単独重合体カプロラクタムラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン6/11)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/ 66)などの共重合体、アジピン酸メタキシレンジアミンとの共重合体、またはヘキサメチレンジアミンとm,p−フタル酸との共重合体などの芳香族ポリアミドなどが挙げられる。さらに、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などをハードセグメントとし、ポリアルキレングリコールポリエーテル、または脂肪族ポリエステルなどをソフトセグメントとするブロック共重合体であるポリアミドエラストマーも、本発明に係る医療用具の基層として用いられる。上記ポリアミド類は、1種単独で使用してもよい。また、上記ポリアミド類は、2種以上を併用してもよい。特に、バルーン12はポリアミドの滑らかな表面を有することが好ましい。

0039

バルーン12には、その表面上に、後述する方法によって、直接またはプライマー層等の前処理層を介してコート層30が形成される。コート層30は、図3、4に示すように、バルーン12の表面31に層状に配置される水溶性低分子化合物を含む添加物層である基層32(賦形剤)と、独立した長軸を有して延在する水不溶性薬剤の結晶である複数の長尺体33とを有している。

0040

コート層30に含まれる薬剤量は、特に限定されないが、0.1μg/mm2〜10μg/mm2、好ましくは0.5μg/mm2〜5μg/mm2の密度で、より好ましくは0.5μg/mm2〜3.5μg/mm2、さらに好ましくは1.0μg/mm2〜3μg/mm2の密度で含まれる。また、コート層30の結晶の量は、特に限定されないが、5〜500000crystal/10μm2(10μm2当たりの結晶の数)、好ましくは50〜50000crystal/10μm2、より好ましくは500〜5000crystal/10μm2である。

0041

長尺体33は、中空である場合と、中実である場合がある。バルーン12の表面に、中空の長尺体33と、中実の長尺体33の両方が存在してもよい。長尺体33は、中空である場合、少なくともその先端付近が中空である。長尺体33の長軸に直角な(垂直な)面における長尺体33の断面は中空を有する。当該中空を有する長尺体33は長軸に直角な(垂直な)面における長尺体33の断面が多角形である。当該多角形は、例えば3角形、4角形、5角形、6角形などである。したがって、長尺体33は先端(または先端面)と基端(または基端面)とを有し、先端(または先端面)と基端(または基端面)との間の側面が複数のほぼ平面で構成された長尺多面体として形成される。また、長尺体は、針状であってもよい。この結晶形態型(中空長尺体結晶形態型)は基層表面において、ある平面の全体または少なくとも一部を構成する。

0042

長軸を有する長尺体33の軸方向の長さは5μm〜20μmが好ましく、9μm〜11μmがより好ましく、10μm前後であるのがさらに好ましい。長軸を有する長尺体33の径は、0.01μm〜5μmであるのが好ましく、0.05μm〜4μmであるのがより好ましく、0.1μm〜3μmであるのがさらに好ましい。長軸を有する長尺体33の軸方向の長さと径の組み合わせの例として、長さが5μm〜20μmのときに径が0.01〜5μmである組み合わせ、長さが5〜20μmのときに径が0.05〜4μmである組み合わせ、長さが5〜20μmのときに径が0.1〜3μmである組み合わせが挙げられる。長軸を有する長尺体33は、長軸方向に略直線状であるが、曲線状に湾曲していてもよい。バルーン12の表面に、直線状の長尺体33と、曲線状の長尺体33の両方が存在してもよい。

0043

コーティング後であってバルーン12が折り畳まれる前の長軸を有する長尺体33は、バルーン12の表面に対して寝ることなく立っているように形成される。この際の長尺体33は、バルーン12のプリーティング(バルーンに羽根部40を形成するステップ)やフォールディング(羽根部40を折り畳むステップ)により長尺体33の角度が変わり、バルーン12の表面に対する長尺体33の長軸の角度を変化させることができる。したがって、最初からバルーン12の表面に寝たように形成される結晶は、バルーン12の表面や隣接する長尺体33に固着(固定)されるのに対し、立っている長尺体33は、バルーン12の表面や隣接する長尺体33と物理的に固定されて形成されていない。このため、立っている長尺体33は、例えばバルーン12の表面や隣接する長尺体33に接触するように位置付けられている(配置されている)だけであり、三次元的に位置を変更可能である。したがって、コーティング後の長尺体33は、バルーン12のプリーティングやフォールディングの前後で角度や位置が変わり得るように形成されている。長尺体33の一部は、バルーン12の表面に埋め込まれていてもよい。

0044

基層32は、林立する複数の長尺体33の間の空間に分配されて存在する。コート層30を構成する物質の割合は、水不溶性薬剤の結晶の方が、基層32よりも大きい体積を占めることが好ましい。基層32を構成する賦形剤は、マトリックスを形成しない。マトリックスとは、比較的高分子の物質(ポリマーなど)が連続して構成された層であり、網目状の三次元構造を形成し、その中に微細な空間が存在する。したがって、結晶を構成する水不溶性薬剤はマトリックス物質中に付着していない。結晶を構成する水不溶性薬剤は、マトリックス物質中に埋め込まれてもいない。基層32は、長尺体33がある領域に存在し、長尺体33がない領域にはなくてもよい。

0045

基層32はバルーン12の表面で水溶液の状態でコートされた後、乾燥して層として形成される。基層32はアモルファスである。基層32は、結晶粒子であってもよい。基層32は、アモルファス及び結晶粒子の混合物として存在してもよい。図4の基層32は、結晶粒子及び/または粒子状アモルファスの状態である。基層32は、水不溶性薬剤を含んだ層として形成されている。または、基層32は、水不溶性薬剤を含まない独立した層として形成されてもよい。基層32の厚みは、0.1〜5μm、好ましくは0.3〜3μm、より好ましくは0.5〜2μmである。

0046

中空長尺体の形態型の長尺体33を有するコート層30は、体内に送達する際に、毒性が低く、狭窄抑制効果が高い。中空長尺体結晶形態を含む水不溶性薬剤は、薬剤が組織に移行した時に結晶の一つの単位が小さくなるために組織への浸透性が良く、かつ、良好な溶解性を有するため、有効に作用して狭窄を抑制できる。また、薬剤が大きな塊として組織に残留することが少ないために毒性が低くなると考えられる。

0047

また、中空長尺体結晶形態型を含む層は、複数の、長軸を有するほぼ均一な長尺体33であり、かつ基層表面に規則性を有してほぼ均一に並び立っている形態型である。したがって、組織に移行する結晶の大きさ(長軸方向の長さ)が約10μmと小さい。そのために病変患部に均一に作用し、組織浸透性が高まる。さらに、移行する結晶の寸法が小さいために過剰量の薬剤が、過剰時間、患部に留まることがなくなるために、毒性を発現することなく、高い狭窄抑制効果を示すことが可能であると考えられる。

0048

バルーン12の表面にコーティングされる薬剤は、非結晶質(アモルファス)型を含んでもよい。結晶や非晶質は、コート層30において規則性を有するように配置されてもよい。または、結晶や非晶質は、不規則に配置されてもよい。

0049

薬剤結晶である長尺体33の、バルーン12の表面における状態についてさらに説明する。図3に示すように、長尺体33が形成された状態では、各長尺体33は、バルーン12の表面に対して立設状態(erected state)となっている。これに対し、バルーン12の表面に外部から力を加えることにより、図5に示すように長尺体33を傾倒状態(tilted state)とすることができる。長尺体33が傾倒状態とは、長尺体33の先端部がバルーン12の表面または他の長尺体33に接触した状態を言う。傾倒状態の長尺体33のうち、先端部がバルーン12の表面に接触しているものは、長尺体33が根元付近から湾曲してバルーン12の表面に対し接している。また、傾倒状態の長尺体33のうち、他の長尺体33に接触しているものは、先端部がバルーン12の表面からある程度離れていて、バルーン12の表面と平行になっている。傾倒状態の長尺体33は、バルーン12の表面に対してなす角度であるθが30度以下であることが望ましい。長尺体33が傾倒状態でない場合、すなわち、長尺体33の先端部がバルーン12の表面または他の長尺体33に接触していない場合に、長尺体33が立設状態であるというものとする。傾倒状態となっている長尺体33は、根元部が折れていてもよい。また、長尺体33は、折れていなくてもよい。

0050

長尺体33は、バルーン12の表面の一部領域では立設状態であり、他の一部領域では傾倒状態となっている。ここで、長尺体33が特定の領域において立設状態であるとは、当該特定の領域内の長尺体33のうち、50体積%以上、好ましくは70体積%以上の長尺体33が立設状態であることをいい、長尺体33が特定の領域において傾倒状態であるとは、当該特定の領域内の長尺体33のうち、50体積%以上、好ましくは70体積%以上の長尺体33が傾倒状態であることをいう。

0051

バルーン12は、図6(a)に示すように、内部に拡張用流体が注入された状態で断面略円形状を有する。この状態から、後述するプリーティング部120により、バルーン12は図6(b)に示すような羽根部40を有する形態とされる。この状態において、バルーン12の表面は、カテーテルシャフト11の周方向に沿う周面部41の領域と、外周側に突出する羽根部40の領域とに分けられる。また、羽根部40は、折り畳まれることで周面部41に向かう面となる羽根内側部40aと、折り畳まれることで外周側に向かう面となる羽根外側部40bとを有している。

0052

図6(b)の状態から、後述するフォールディング部130により、バルーン12は図6(c)に示すような折り畳まれた形態とされる。この状態において、周面部41は、羽根部40の羽根内側部40aと対向する対向面部41aと、外周側に向かう外周構成面部41bとに分けられる。また、バルーン12が折り畳まれた状態では、羽根部40の根元部と周面部41との間に、根元側空間部42が形成される。根元側空間部42の領域では、羽根部40と周面部41との間に、微小な隙間が形成される。一方、羽根部40の根元側空間部42よりも先端側の領域は、周面部41に対して密接した状態となっている。羽根部40の周方向長さに対する根元側空間部42の周方向長さの割合は、1〜95%の範囲である。

0053

図6(c)の状態で、バルーン12の外周側に向かう面は、羽根部40の羽根外側部40bと、周面部41の外周構成面部41bである。本実施形態では、バルーン12の表面のうち、外周側に向かう羽根部40の羽根外側部40bと周面部41の外周構成面部41bの領域は、長尺体33が傾倒状態となっている。この領域で傾倒する長尺体33は、バルーン12の周方向に寝た状態となっている。一方、互いに対向する羽根部40の羽根内側部40aと周面部41の対向面部41aの領域のうち、根元側空間部42に面する領域では、長尺体33は立設状態となっている。羽根内側部40aと周面部41の対向面部41aの領域のうち、根元側空間部42に面していない領域、すなわち羽根部40と周面部41とが密接している領域では、長尺体33は傾倒状態となっている。

0054

バルーン12は、図6(c)の折り畳まれた状態で生体管腔内に挿入されていく。このため、図6(c)の状態でバルーン12の外周側に向かう面である羽根部40の羽根外側部40bと周面部41の外周構成面部41bが、生体管腔の内周面に接触することになる。この領域では、長尺体33が傾倒状態であるため、長尺体33は生体管腔の内周面に引っ掛かりにくい。特に、長尺体33はバルーン12の周方向に沿って寝た状態となっているので、生体管腔の内周面により引っ掛かりにくい。したがって、バルーン12が生体管腔内に挿入される際に、長尺体33がバルーン12から剥離しにくくして、長尺体33を確実に病変部まで送達させることができる。また、バルーン12の外周面摩擦が小さくなるので、バルーン12の通過性も良好にすることができる。

0055

一方、図6(c)の状態で外周側に露出しない羽根部40の羽根内側部40aと周面部41の対向面部41aの領域は、長尺体33が立設状態となっており、バルーン12が病変部で拡張されることで、外周側に露出する。そして、これらの領域で長尺体33は立設状態であるので、バルーン12が拡張することで病変部の内壁面に長尺体33が移行しやすい。

0056

このように、本実施形態のバルーンカテーテル10では、折り畳んだ状態のバルーン12において、外周側に露出する領域では長尺体33が傾倒状態で、折り畳まれて外周側に露出しない領域では長尺体33を立設状態としたことで、生体管腔内の通過時における長尺体33の脱落を防止しつつ、病変部における長尺体33の移行性を良好にし、これらを両立させることができる。

0057

次に、上述したバルーン12上のコート層30を形成するためのバルーンコーティングシステムを説明する。本システムは、バルーン12にコート層30を形成するためのバルーンコーティング装置50(図7を参照)と、コート層30が形成されたバルーン12を折り畳むためのバルーン折り畳み装置100(図9を参照)とを備えている。バルーンコーティング装置50を用いることで、バルーン12の表面に、独立した長軸を有して延在する水不溶性薬剤の結晶である複数の長尺体が形成される。この後、バルーン折り畳み装置100によりバルーン12を折り畳むことで、バルーン12の表面の一部の領域において、長尺体33が立設状態から傾倒状態となる。

0058

まず、バルーンコーティング装置50について説明する。バルーンコーティング装置50は、図7、8に示すように、バルーンカテーテル10を回転させる回転機構部60と、バルーンカテーテル10を支持する支持台70とを有する。バルーンコーティング装置50は、さらに、バルーン12の表面にコーティング溶液を塗布するディスペンシングチューブ94が設けられる塗布機構部90と、ディスペンシングチューブ94をバルーン12に対して移動させるための移動機構部80と、バルーンコーティング装置50を制御する制御部99とを有する。

0059

回転機構部60は、バルーンカテーテル10のハブ13を保持し、内蔵されるモーター等の駆動源により、バルーン12の軸心を中心としてバルーンカテーテル10を回転させる。バルーンカテーテル10は、ガイドワイヤルーメン23内に芯材61が挿通されて保持されるとともに、芯材61によってコーティング溶液のガイドワイヤルーメン23内への流入が防止されている。また、バルーンカテーテル10は、拡張ルーメン22への流体の流通を操作するために、ハブ13の基端開口部13aに、流路開閉を操作可能な三方活栓が接続される。

0060

支持台70は、カテーテルシャフト11を内部に収容して回転可能に支持する管状の基端側支持部71と、芯材61を回転可能に支持する先端側支持部72とを備えている。なお、先端側支持部72は、可能であれば、芯材61ではなしにカテーテルシャフト11の先端部を回転可能に支持してもよい。

0061

移動機構部80は、バルーン12の軸心と平行な方向へ直線的に移動可能な移動台81と、ディスペンシングチューブ94が固定されるチューブ固定部83とを備えている。移動台81は、内蔵されるモーター等の駆動源によって、直線的に移動可能である。チューブ固定部83は、ディスペンシングチューブ94の上端を移動台81に対して固定している。したがって、移動台81が移動することで、ディスペンシングチューブ94がバルーン12の軸心と平行な方向へ直線的に移動する。また、移動台81には、塗布機構部90が載置されており、塗布機構部90を軸心に沿う両方向へ直線的に移動させる。

0062

塗布機構部90は、バルーン12の表面にコーティング溶液を塗布する部位である。塗布機構部90は、コーティング溶液を収容する容器92と、任意の送液量でコーティング溶液を送液する送液ポンプ93と、コーティング溶液をバルーン12に塗布するディスペンシングチューブ94とを備えている。

0063

送液ポンプ93は、例えばシリンジポンプであり、制御部99によって制御されて、容器92から吸引チューブ91を介してコーティング溶液を吸引し、供給チューブ96を介してディスペンシングチューブ94へコーティング溶液を任意の送液量で供給することができる。送液ポンプ93は、移動台81に設置され、移動台81の移動により直線的に移動可能である。なお、送液ポンプ93は、コーティング溶液を送液可能であればシリンジポンプに限定されず、例えばチューブポンプであってもよい。

0064

ディスペンシングチューブ94は、供給チューブ96と連通しており、送液ポンプ93から供給チューブ96を介して供給されるコーティング溶液を、バルーン12の表面へ吐出する部材である。ディスペンシングチューブ94は、可撓性を備えた円管状の部材である。ディスペンシングチューブ94は、チューブ固定部83に上端が固定されており、チューブ固定部83から鉛直方向下方へ延在し、下端である吐出端97に開口部95が形成されている。ディスペンシングチューブ94は、移動台81を移動させることで、移動台81に設置される送液ポンプ93とともに、バルーンカテーテル10の軸心方向に沿う両方向へ直線的に移動可能である。ディスペンシングチューブ94は、バルーン12に押し付けられて撓んだ状態で、コーティング溶液をバルーン12の表面に供給可能である。

0065

なお、ディスペンシングチューブ94は、コーティング溶液を供給可能であれば、円管状でなくてもよい。また、ディスペンシングチューブ94は、開口部95からコーティング溶液を吐出可能であれば、鉛直方向に延在していなくてもよい。

0066

ディスペンシングチューブ94は、バルーン12への接触負担を低減し、かつバルーン12の回転に伴う接触位置の変化を撓みにより吸収できるように、柔軟な材料であることが好ましい。ディスペンシングチューブ94の構成材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(テトラフルオロエチレンエチレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)等のフッ素系樹脂等を適用できるが、可撓性を有して変形可能であれば、特に限定されない。

0067

ディスペンシングチューブ94の外径は、特に限定されないが、例えば0.1mm〜5.0mm、好ましくは0.15mm〜3.0mm、より好ましくは0.3mm〜2.5mmである。ディスペンシングチューブ94の内径は、特に限定されないが、例えば0.05mm〜3.0mm、好ましくは0.1mm〜2.0mm、より好ましくは0.15mm〜1.5mmである。ディスペンシングチューブ94の長さは、特に限定されないが、バルーン直径の5倍以内の長さであることがよく、例えば1.0mm〜50mm、好ましくは3mm〜40mm、より好ましくは5mm〜35mmである。

0068

制御部99は、例えばコンピュータにより構成され、回転機構部60、移動機構部80及び塗布機構部90を統括的に制御する。したがって、制御部99は、バルーン12の回転速度、ディスペンシングチューブ94のバルーン12に対する軸心方向への移動速度、ディスペンシングチューブ94からの薬剤吐出速度等を、統括的に制御することができる。

0069

ディスペンシングチューブ94によりバルーン12に供給されるコーティング溶液は、コート層30の構成材料を含む溶液または懸濁液であり、水不溶性薬剤、賦形剤、有機溶媒及び水を含んでいる。コーティング溶液がバルーン12の表面に供給された後、有機溶媒及び水が揮発することで、バルーン12の表面に、独立した長軸を有して延在する水不溶性薬剤の結晶である複数の長尺体を有するコート層30が形成される。コーティング溶液の粘度は、0.5〜1500cP、好ましくは1.0〜500cP、より好ましくは1.5〜100cPである。

0070

水不溶性薬剤とは、水に不溶または難溶性である薬剤を意味し、具体的には、水に対する溶解度が、pH5〜8で5mg/mL未満である。その溶解度は、1mg/mL未満、さらに、0.1mg/mL未満でもよい。水不溶性薬剤は脂溶性薬剤を含む。

0071

いくつかの好ましい水不溶性薬剤の例は、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリンを含むシクロスポリン類、ラパマイシン等の免疫活性剤、パクリタキセル等の抗がん剤抗ウイルス剤または抗菌剤、抗新生組織剤、鎮痛剤及び抗炎症剤抗生物質抗てんかん剤、不安緩解剤、抗麻痺剤、拮抗剤ニューロンブロック剤抗コリン作動剤及びコリン作動剤、抗ムスカリン剤及びムスカリン剤、抗アドレナリン作用剤抗不整脈剤抗高血圧剤ホルモン剤ならびに栄養剤を含む。

0072

水不溶性薬剤は、好ましくは、ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エベロリムスからなる群から選択される少なくとも1つが好ましい。本明細書においてラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エベロリムスとは、同様の薬効を有する限りそれらの類似体及び/またはそれらの誘導体を含む。例えば、パクリタキセルとドセタキセルは類似体の関係にある。ラパマイシンとエベロリムスは誘導体の関係にある。これらのうちでは、パクリタキセルがさらに好ましい。

0073

賦形剤は、バルーン12上で基層32を構成する。賦形剤は、水溶性低分子化合物を含む。水溶性の低分子化合物の分子量は、50〜2000であり、好ましくは50〜1000であり、より好ましくは50〜500であり、さらに好ましくは50〜200である。水溶性の低分子化合物は、水不溶性薬剤100質量部に対して、好ましくは5〜10000質量部、より好ましくは5〜200質量部、さらに好ましくは8〜150質量部である。水溶性の低分子化合物の構成材料は、セリンエチルエステルクエン酸エステルポリソルベート水溶性ポリマー、糖、造影剤、アミノ酸エステル短鎖モノガルボン酸のグリセロールエステル医薬として許容される塩及び界面活性剤等、あるいはこれら二種以上の混合物等が使用できる。水溶性の低分子化合物は、親水基疎水基を有し、水に溶解することを特徴とする。水溶性の低分子化合物は、非膨潤性または難膨潤性であることが好ましい。賦形剤は、バルーン12上でアモルファス(非晶質)であることが好ましい。水溶性の低分子化合物を含む賦形剤は、バルーン12の表面上で水不溶性薬剤を均一に分散させる効果を有する。基層32となる賦形剤は、ハイドロゲルでないことが好ましい。基層32は低分子化合物であることで、水溶液に接すると膨潤することなく速やかに溶解する。さらに、血管内でのバルーン12の拡張時に基層32が溶解しやすくなることで、バルーン12の表面上の水不溶性薬剤の長尺体33を放出しやすくなり、血管への薬剤の付着量を増加させる効果を有する。基層32がウルトラビスト(Ultravist)(登録商標)のような造影剤からなるマトリクスである場合、結晶粒子がマトリクスに埋め込まれ、バルーン12の基材上からマトリクスの外側に向かって結晶が生成しない。これに対し、本実施形態の長尺体33は、バルーン12の基材の表面から基層32の外側まで延在する。長尺体33の基層32よりも外側に位置する部分の長さは、長尺体33の基層32内に位置する部分の長さより長い。基層32は、結晶である長尺体33の基部33aを支持するように形成される。

0074

有機溶媒は、特に限定されないが、テトラヒドロフランアセトングリセリンエタノールメタノールジクロロメタンヘキサンエチルアセテート、水、中でもテトラヒドロフラン、エタノール、アセトン、水のうち、これらのいくつかの混合溶媒が好ましい。例えば、テトラヒドロフランと水、テトラヒドロフランとエタノールと水、テトラヒドロフランとアセトンと水、アセトンとエタノールと水、テトラヒドロフランとアセトンとエタノールと水といった組み合わせが挙げられる。

0075

次に、上述したバルーンコーティング装置50を用いてバルーン12の表面に水不溶性薬剤の結晶を形成する方法を説明する。

0076

初めに、バルーンカテーテル10の基端開口部13aに接続した三方活栓を介して、拡張用の流体をバルーン12内に供給する。次に、バルーン12を拡張させた状態で三方活栓を操作して拡張ルーメン22を密封し、バルーン12を拡張させた状態を維持する。バルーン12は、血管内での使用時の圧力(例えば8気圧)よりも低い圧力(例えば4気圧)で拡張される。なお、バルーン12を拡張させずに、バルーン12の表面にコート層30を形成することもでき、その場合には、拡張用の流体をバルーン12内に供給する必要はない。

0077

次に、ディスペンシングチューブ94がバルーン12の表面と接触しない状態で、バルーンカテーテル10を支持台70に回転可能に設置し、ハブ13を回転機構部60に連結する。

0078

次に、移動台81の位置を調節して、ディスペンシングチューブ94を、バルーン12に対して位置決めする。このとき、バルーン12においてコート層30を形成する最も先端側の位置に、ディスペンシングチューブ94を位置決めする。一例として、ディスペンシングチューブ94の延在方向(吐出方向)は、バルーン12の回転方向と逆方向である。したがって、バルーン12は、ディスペンシングチューブ94を接触させた位置において、ディスペンシングチューブ94からのコーティング溶液の吐出方向と逆方向に回転する。これにより、コーティング溶液に刺激を与え、薬剤結晶の核の形成を促すことができる。そして、ディスペンシングチューブ94の開口部95へ向かう延在方向(吐出方向)が、バルーン12の回転方向と逆方向であることで、バルーン12の表面に形成される水不溶性薬剤の結晶は、結晶が各々独立した長軸を有する複数の長尺体を含む形態型(morphological form)を含んで形成されやすい。なお、ディスペンシングチューブ94の延在方向は、バルーン12の回転方向と逆方向でなくてもよく、したがって同方向とすることができ、または垂直とすることもできる。

0079

次に、送液ポンプ93により送液量を調節しつつコーティング溶液をディスペンシングチューブ94へ供給し、回転機構部60によりバルーンカテーテル10を回転させるとともに、移動台81を移動させて、ディスペンシングチューブ94をバルーン12の軸心方向に沿って徐々に基端方向へ移動させる。ディスペンシングチューブ94の開口部95から吐出されるコーティング溶液は、ディスペンシングチューブ94がバルーン12に対して相対的に移動することで、バルーン12の外周面に螺旋を描きつつ塗布される。

0080

ディスペンシングチューブ94の移動速度は、特に限定されないが、例えば0.01〜2mm/sec、好ましくは0.03〜1.5mm/sec、より好ましくは0.05〜1.0mm/secである。コーティング溶液のディスペンシングチューブ94からの吐出速度は、特に限定されないが、例えば0.01〜1.5μL/sec、好ましくは0.01〜1.0μL/sec、より好ましくは0.03〜0.8μL/secである。バルーン12の回転速度は、特に限定されないが、例えば10〜300rpm、好ましくは30〜250rpm、より好ましくは50〜200rpmである。コーティング溶液を塗布する際のバルーン12の直径は、特に限定されないが、例えば1〜10mm、好ましくは2〜7mmである。

0081

この後、バルーン12の表面に塗布されたコーティング溶液に含まれる有機溶媒が、水よりも先に揮発する。したがって、バルーン12の表面に、水不溶性薬剤、水溶性低分子化合物及び水が残された状態で、有機溶媒が揮発する。このように、水が残された状態で有機溶媒が揮発すると、水不溶性の薬剤が、水を含む水溶性低分子化合物の内部で析出し、結晶核から結晶が徐々に成長して、バルーン12の表面に、結晶が各々独立した長軸を有する複数の長尺体33を含む形態型(morphological form)の薬剤結晶が形成される。なお、この状態の長尺体33は、バルーン12の表面に対して立った状態となっている。長尺体33の基端は、バルーン12の表面、基層32の表面または内部に位置する可能性がある(図4を参照)。有機溶媒が揮発して薬剤結晶が複数の長尺体33として析出した後、水が有機溶媒よりもゆっくり蒸発し、水溶性低分子化合物を含む基層32が形成される。水が蒸発する時間は、薬剤の種類、水溶性低分子化合物の種類、有機溶媒の種類、材料の比率、コーティング溶液の塗布量等に応じて適宜設定されるが、例えば、1〜600秒程度である。

0082

そして、バルーン12を回転させつつディスペンシングチューブ94を徐々にバルーン12の軸心方向へ移動させることで、バルーン12の表面に、軸心方向へ向かってコート層30を徐々に形成する。バルーン12のコーティングする範囲の全体に、長尺体33を有するコート層30が形成された後、回転機構部60、移動機構部80及び塗布機構部90を停止させる。

0083

この後、バルーンカテーテル10をバルーンコーティング装置50から取り外して、バルーン12のコーティングが完了する。

0084

次に、バルーン折り畳み装置100について説明する。バルーン折り畳み装置100は、バルーン12を内管21に対し巻き付けるように折り畳むことのできる装置である。

0085

バルーン折り畳み装置100は、図9に示すように、台状に形成された基台110に、プリーティング部120、フォールディング部130及び支持台140が配置されている。プリーティング部120は、バルーン12に径方向に突出する羽根部40を形成できる。フォールディング部130は、バルーン12に形成された羽根部40を周方向に寝かせて畳むことができる。支持台140は、バルーンカテーテル10を載置して保持できる。バルーン12に形成される羽根部40は、バルーン12の略軸心方向に延びる折り目によって形成され、バルーン12の軸心に対して垂直な断面で見たとき、折り目がバルーン12の長軸から周方向に突出するように形成される。羽根部40の長軸方向の長さは、バルーン12の長さを超えない。羽根部40がカテーテルシャフト11から周方向に突出する方向の長さは、1〜8mmである。羽根部40の数は特に限定されず、2枚、3枚、4枚、5枚、6枚、7枚のいずれかから選択することができるが、本実施形態では3枚である。

0086

基台110には、プリーティング部120に対して第1フィルム155及び第2フィルム156を供給するフィルム供給部150が、プリーティング部120に隣接して配置されている。また、基台110には、フォールディング部130に対して第1フィルム181及び第2フィルム182を供給するフィルム供給部180が、フォールディング部130に隣接して配置されている。

0087

プリーティング部120は、基台110に対して垂直な前面板121を有し、前面板121はバルーンカテーテル10の先端部を挿入可能な挿入孔121aを有している。また、フォールディング部130は、基台110に対して垂直な前面板131を有し、前面板131はバルーンカテーテル10の先端部を挿入可能な挿入孔131aを有している。フォールディング部130の前面板131は、プリーティング部120の前面板121が面する方向に対して所定角度異なる方向に向かって面している。

0088

支持台140のプリーティング部120及びフォールディング部130から離れた側には、基台110から上方に突出する支持軸111が枢着している。支持台140は、支持軸111を中心に基台110の上面をスライド移動することで、プリーティング部120の前面板121に対向する位置及びフォールディング部130の前面板131に対向する位置に、位置決めできる。

0089

支持台140は、基台110に載置される基部141と、基部141上を水平移動可能な保持台部142とを有している。基部141は、基台110の上面を摺動可能である。保持台部142は、基部141の上面をスライド移動し、プリーティング部120またはフォールディング部130へ向かって前進または後退可能である。

0090

保持台部142の上面には、バルーンカテーテル10のカテーテルシャフト11を載置可能な溝状の載置部142aが形成されている。また、保持台部142には、載置部142aの一部を上方から覆うように保持部143が設けられる。保持部143は、載置部142aに載置されたバルーンカテーテル10のカテーテルシャフト11を保持して固定できる。なお、バルーンカテーテル10を固定できるのであれば、他の方法によりバルーンカテーテル10を固定してもよい。

0091

支持台140がプリーティング部120の前面板121に対向している状態において、保持台部142の載置部142aの延長線上に、前面板121に形成される挿入孔121aの中心が位置する。このため、載置部142aにカテーテルシャフト11が載置されたバルーンカテーテル10は、プリーティング部120に対し挿入孔121aの中心位置から内部に挿入される。支持台140がフォールディング部130の前面板131に対向している状態では、保持台部142の載置部142aの延長線上に、前面板131に形成される挿入孔131aの中心が位置する。このため、載置部142aにカテーテルシャフト11が載置されたバルーンカテーテル10は、保持台部142を基部141上でスライド移動させることで、フォールディング部130に対し挿入孔131aの中心位置から内部に挿入される。

0092

次に、プリーティング部120の構造について説明する。図10に示すように、プリーティング部120は、内部に3つの羽根形成用のブレード122を有している。各ブレード122は、挿入されるバルーンカテーテル10の軸心方向に沿う各位置における断面形状が、同形状で形成される板状の部材である。ブレード122は、バルーン12が挿通される中心位置を基準として、それぞれが120度の角度をなすように配置されている。すなわち、各ブレード122は、周方向において等角度毎に配置されている。ブレード122は、外周端部付近に回動中心部122aを有し、この回動中心部122aを中心として回動することができる。また、ブレード122は、回動中心部122aより内周側に、軸心方向に延びる移動ピン122dを有している。移動ピン122dは、プリーティング部120内で回転可能な回転部材124に形成される嵌合溝124aに嵌合している。回転部材124は、略水平方向に延びる梁部126に連結されている。回転部材124は、油圧シリンダーやモーター等の駆動源125から力を受けて傾く梁部126から回転力を受けて回動可能である。回転部材124が回転すると、嵌合溝124aに嵌合する移動ピン122dが周方向へ移動し、これにより、各々のブレード122が回動中心部122aを中心として回動する。3つのブレード122が回動することにより、ブレード122に囲まれた中心部の空間領域を狭めることができる。なお、ブレード122の数は、2つ以上であれば、特に限定されない。

0093

ブレード122は、図11に示すように、回動中心部122aと反対側の内周端部に、略弧状の第1形状形成部122bと第2形状形成部122cとを有している。第1形状形成部122bは、ブレード122が回動するのに伴い、プリーティング部120内に挿通されるバルーン12の表面に当接して、バルーン12に径方向に突出する羽根部40を形成することができる。第2形状形成部122cは、ブレード122が回動するのに伴い、バルーン12に形成される羽根部40に当接し、その羽根部40を所定方向に湾曲させることができる。また、プリーティング部120は、ブレード122を加熱するためのヒーター(図示しない)を有している。ブレード122のバルーンカテーテル10の軸心方向に沿う長さは、バルーン12の長さよりも長い。また、ブレード122の第1形状形成部122b及び第2形状形成部122cの長さは、ブレード122の全長に渡っている。また、ブレード122の第1形状形成部122b及び第2形状形成部122cの長さが、ブレード122の全長に渡っていなくてもよい。

0094

ブレード122には、フィルム供給部150から樹脂製の第1フィルム155及び第2フィルム156が供給される。各フィルムを案内するため、プリーティング部120内には複数の回転軸部123が設けられている。第1フィルム155は、第1フィルム保持部151から回転軸部123を介して、上部に配置されているブレード122の表面に係っている。また、第1フィルム155は、ブレード122から回転軸部123を経て、図示しないモーター等の駆動源により回転駆動されるフィルム巻取部153に至っている。第2フィルム156は、第2フィルム保持部152から回転軸部123を介して、下部に配置されている2つのブレード122に係っている。また、第2フィルム156は、回転軸部123を経て、フィルム巻取部153に至っている。これらにより、バルーン12が挿通されるプリーティング部120の中心位置は、第1フィルム155と第2フィルム156に囲まれた状態となっている。

0095

第1フィルム155と第2フィルム156は、バルーン12がプリーティング部120に挿入され、ブレード122が回動してバルーン12に羽根部40を形成する際に、バルーン12がブレード122の表面に直接接触しないように保護する機能を有する。バルーン12の羽根部40を形成した後、第1フィルム155と第2フィルム156はフィルム巻取部153に所定長さが巻き取られる。すなわち、第1フィルム155及び第2フィルム156のバルーン12に一度接触した部分は、再度バルーン12に接触せず、バルーン12が挿入される度に新しい部分がプリーティング部120の中心位置に供給される。

0096

図11に示すように、バルーン12の挿入前の状態において、3つのブレード122の第1形状形成部122b及び第2形状形成部122cは、それぞれ離隔した状態となっている。ブレード122間の中心領域は、それぞれ略弧状の第1形状形成部122bに囲まれており、折り畳み前のバルーン12を挿入することができる。

0097

次に、フォールディング部130の構造について説明する。図12に示すように、フォールディング部130は、内部に10個の羽根畳み用のブレード132を有している。各ブレード132は、挿入されるバルーンカテーテル10の軸心方向に沿う各位置における断面形状が、同形状で形成される板状の部材である。ブレード132は、バルーンが挿通される中心位置を基準として、それぞれが36度の角度をなすように配置されている。すなわち、各ブレード132は、周方向において等角度毎に配置されている。ブレード132は、略中央付近に回動中心部132aを有し、この回動中心部132aを中心として回動することができる。また、各ブレード132は、略外周端部付近に、軸方向に延びる移動ピン132cを有している。移動ピン132cは、フォールディング部130内で回転可能な回転部材133に形成される嵌合溝133aに嵌合している。回転部材133は、略水平方向に延びる梁135に連結されている。回転部材133は、油圧シリンダーやモーター等の駆動源134から力を受けて傾く梁135から回転力を受けて回動可能である。回転部材133が回転すると、嵌合溝133aに嵌合する移動ピン132cが周方向へ移動し、これにより、各々のブレード132が回動中心部132aを中心として回動する。10個のブレード132が回動することにより、ブレード132に囲まれた中心部の空間領域を狭めることができる。なお、ブレード132の数は、10個に限定されない。

0098

ブレード132は、先端側が屈曲すると共に、先端部132bはった形状を有している。先端部132bは、ブレード132が回動するのに伴い、フォールディング部130内に挿通されるバルーン12の表面に当接して、バルーン12に形成された羽根部40を周方向に寝かせるように畳むことができる。また、フォールディング部130は、ブレード132を加熱するためのヒーター(図示しない)を有している。

0099

ブレード132には、フィルム供給部180から樹脂製の第1フィルム181及び第2フィルム182が供給される。各フィルムの供給構造は、プリーティング部120の場合と同様である。第1フィルム181と第2フィルム182は、ブレード132によって囲まれた中央の空間領域を挟むように対向配置される。これら第1フィルム181と第2フィルム182により、フォールディング部130に挿入されたバルーン12は、ブレード132の表面に直接接触しないようにすることができる。第1フィルム181と第2フィルム182は、ブレード132を経て、図示しないモーター等の駆動源により回転駆動されるフィルム巻取部183に至っている。

0100

図13に示すように、バルーン12の挿入前の状態において、各ブレード132の先端部132bは、それぞれ周方向に離隔した状態となっている。ブレード132に囲まれた中心領域であって第1フィルム181と第2フィルム182の間には、羽根部40を形成されたバルーン12を挿入することができる。

0101

次に、バルーン折り畳み装置100を用いて、バルーンコーティング装置50により薬剤の結晶が表面に形成されたバルーン12を折り畳む方法を説明する。

0102

まず、バルーン12に羽根部40を形成するために、カテーテルシャフト11を、支持台140の載置部142aに載置して保持部143により保持する。バルーン12には、ハブ13に取り付けられる三方活栓、ハブ13及び内管21を通じて拡張用流体が注入され、バルーン12はある程度拡張した状態とされる。また、プリーティング部120のブレード122が加熱される。ガイドワイヤルーメン23には、芯材61が挿入される。この芯材61によって、カテーテルシャフト11の自重による撓みが抑制される。

0103

次に、図14に示すように、保持台部142を基部141上でスライド移動させて、バルーンカテーテル10を挿入孔121aからプリーティング部120に挿入する。

0104

次に、駆動源125を作動させて回転部材124(図10を参照)を回転させると、図15に示すように、ブレード122が回動し、各ブレード122の第1形状形成部122bが互いに近づき、ブレード122間の中心領域が狭まる。これに伴い、ブレード122間の中心領域に挿入されたバルーン12は、第1形状形成部122bによって内管22に対し押し付けられる。バルーン12のうち第1形状形成部122bによって押圧されない部分は、ブレード122の先端部と、当該ブレード122に隣接するブレード122の第2形状形成部122cとの間の隙間に押し出され、一方に湾曲した羽根部40が形成される。ブレード122によりバルーン12は約50〜60度に加熱されるので、形成された羽根部40はそのままの形を維持することができる。このようにして、バルーン12に周方向3枚の羽根部40が形成される。

0105

このとき、各ブレード122のバルーン12と接触する表面は、第1フィルム155及び第2フィルム156によって覆われており、バルーン12はブレード122の表面に直接接触することはない。バルーン12に羽根部40を形成した後、ブレード122を元の位置に戻すように回動させ、バルーン12はプリーティング部120から引き抜かれる。なお、プリーティングの過程において、バルーン12の内部の体積が減少するため、それに合わせて、三方活栓を調節して拡張用流体を外部に排出し、バルーン12を収縮(deflate)させることが好ましい。これにより、バルーン12に過剰な力が作用することを抑制できる。

0106

バルーン12は、突出する羽根部40が形成されることで、図15及び図6(b)に示すように、第2形状形成部122cに押圧されて羽根部40の外周側に向かう面を構成する羽根外側部40bと、ブレード122の先端部に押圧されて羽根部40の周面部41と対向する面を構成する羽根内側部40aと、第1形状形成部122bに押圧されて内管21の周面に沿う周面部41とが形成される。

0107

プリーティングの過程では、羽根部40を形成するためにバルーン12を収縮させつつブレード122で押圧するため、ブレード122による強い押圧力は必要としない。したがって、ブレード122によりバルーン12が押圧されても、バルーン12の表面に形成された結晶の構造はほとんど変化しない。すなわち、バルーン12の表面に形成された長尺体33は、プリーティングの工程を通して立設状態を維持する。なお、プリーティングの過程において、バルーン12を過拡張させた後に、少し収縮(deflate)させるステップ、または、バルーン12を過拡張とならない程度に拡張させた後に、少し収縮させるステップを有していてもよい。

0108

次に、保持台部142を基部141の上面で移動させてプリーティング部120から離間させ、バルーンカテーテル10をプリーティング部120から引き抜く。次に、支持台140の向きを変化させ、フォールディング部130の前面板131に対向する位置に、支持台140を位置決めする。この後、保持台部142を基部141の上面で移動させて、図16に示すように、バルーンカテーテル10を挿入孔131aからフォールディング部130内に挿入する。フォールディング部130のブレード132は、予め50〜60度程度に加熱されている。

0109

羽根部40が形成されたバルーン12をフォールディング部130に挿入した後、図17に示すように、駆動源134を作動させて回転部材133を回転させると、ブレード132が回動し、各ブレード132の先端部132bが互いに近づき、ブレード132間の中心領域が狭まる。これに伴い、ブレード132間の中心領域に挿入されたバルーン12は、各ブレード132の先端部132bによって羽根部40が周方向に寝かされた状態となる。ブレード132は、バルーン12の挿入前に予め加熱されており、ブレード132によってバルーン12が加熱されるので、ブレード132により周方向に寝かされた羽根部40は、そのままの形を維持することができる。このとき、各ブレード132のバルーン12と接触する表面は、第1フィルム181及び第2フィルム182によって覆われており、バルーン12はブレード132の表面に直接接触することはない。

0110

バルーン12の羽根部40が折り畳まれると、図17及び図6(c)に示すように、羽根部40のうち羽根内側部40aと、周面部41のうち対向面部41aとが重なって接触し、バルーン12の表面同士が対向して重なりあう。また、羽根部40のうち羽根外側部40bと、周面部41のうち外周構成面部41bとは、外周側に露出する。折り畳まれた状態で外周側に露出する羽根外側部40bと外周構成面部41bは、ブレード132に押圧される第1フィルム181と第2フィルム182から周方向に擦れるような押圧力を受け、さらに加熱される。ブレード132によるバルーン12に対する押圧力、押圧時間及び加熱温度を適切に設定することにより、羽根外側部34aと外周構成面部41bに設けられる薬剤結晶の長尺体33は寝かされ、立設状態から傾倒状態に変化する。このとき、バルーン12の表面は、ブレード132から周方向に沿って力を受けるので、長尺体33はバルーン12の周方向に沿って寝かされる。

0111

互いに対向して重なりあう羽根内側部40aと対向面部41aは、外部に露出しないため、ブレード132からの押圧力が間接的に作用する。また、羽根内側部40aと対向面部41aは、互いに完全には密着した状態となっていない。このため、これらの領域に設けられる長尺体33に作用する力を、長尺体33が立設状態を維持できる程度に調節することができる。これにより、羽根内側部40aと対向面部41aについては、バルーン12が折り畳まれても長尺体33が立設状態とすることができる。

0112

バルーン12の羽根部40を畳んだ後、ブレード132を元の位置に戻すように回動させる。次に、把持部110からバルーンカテーテル10を取り外し、バルーン12をフォールディング部130から引き抜く。次に、保持部143によるカテーテルシャフト11の保持を解除し、バルーン12を筒状の保護シース15(図1を参照)で覆って、バルーンカテーテル10におけるバルーン12の折り畳みが完了する。保護シース15は、バルーン12からの薬剤の脱落を抑制する部材であり、バルーンカテーテル10を使用する前に取り除かれる。

0113

これらの工程により、バルーン12が折り畳まれると共に、バルーン12表面のうち特定の領域の長尺体33を、立設状態から傾倒状態とすることができる。

0114

次に、本実施形態に係るバルーンカテーテル10の使用方法を、血管内の狭窄部を治療する場合を例として説明する。

0115

まず、術者は、セルジンガー法等の公知の方法により、皮膚から血管を穿刺し、イントロデューサ(図示せず)を留置する。次に、バルーンカテーテル10の保護シース15を外し、プライミングを行った後、ガイドワイヤルーメン23内にガイドワイヤ200(図18を参照)を挿入する。この状態で、ガイドワイヤ200及びバルーンカテーテル10をイントロデューサの内部より血管内へ挿入する。続いて、ガイドワイヤ200を先行させつつバルーンカテーテル10を進行させ、バルーン12を狭窄部300へ到達させる。なお、バルーンカテーテル10を狭窄部300まで到達させるために、ガイディングカテーテルを用いてもよい。

0116

バルーン12を血管内で移動させる際、折り畳まれた状態のバルーン12は、外周側に露出する領域では薬剤結晶の長尺体33が傾倒状態であるので、長尺体33は剥離しにくい。すなわち、バルーン12の挿入中における薬剤の逸失を抑え、目的の位置まで薬剤を効果的に送達させることができる。

0117

バルーン12を狭窄部300に配置した後には、ハブ13の基端開口部13aより、インデフレーターまたはシリンジ等を用いて拡張用流体を所定量注入し、拡張ルーメン22を通じてバルーン12の内部に拡張用流体を送り込む。これにより、図18に示すように、折り畳まれたバルーン12が拡張し、狭窄部300が、バルーン12によって押し広げられる。このとき、バルーン12の表面に設けられる薬剤結晶を含むコート層30が、狭窄部300に接触する。バルーン12を拡張させてコート層30を生体組織に押し付けると、コート層30に含まれる低分子化合物である基層32が徐々にまたは速やかに溶けつつ、薬剤が生体へ送達される。バルーン12が拡張すると、折り畳まれた状態では外周側に露出しない領域も、外周側に露出し、この領域では薬剤結晶の長尺体33は立設状態であるので、狭窄部300に対し薬剤が効果的に移行される。したがって、狭窄部300の再狭窄が、効果的に抑制される。

0118

この後、拡張用流体をハブ13の基端開口部13aより吸引して排出し、バルーン12を収縮させて折り畳まれた状態とする。この後、イントロデューサを介して血管よりガイドワイヤ200及びバルーンカテーテル10を抜去し、手技が終了する。

0119

次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態のバルーンカテーテル10は、バルーン12の表面の長尺体33の配置以外は、第1の実施形態と同じである。本実施形態において薬剤結晶の長尺体33は、バルーン12の表面の全域において、50体積%以上、好ましくは70体積%以上が傾倒状態となっている。また、傾倒状態の長尺体33は、バルーン12の周方向に沿って傾倒している。バルーン12が生体管腔内を挿入されていく際に、バルーン12の表面が生体管腔の内壁面に接触すると、薬剤結晶の長尺体33が生体管腔の内壁面に摺接する。この場合に、長尺体33が立設状態であると、長尺体33が内壁面に引っ掛かり、折れるなどしてコート層30から剥離する可能性がある。本実施形態の薬剤結晶の長尺体33は、バルーン12の表面において傾倒状態であるので、生体管腔の内壁面に引っ掛かりにくく、バルーン12の表面から剥離することを抑制できる。特に、長尺体33はバルーン12の周方向に沿って傾倒しており、長尺体33の向いている方向がバルーン12の挿入方向と異なるので、長尺体33の剥離をより効果的に抑制することができる。

0120

本実施形態のバルーン12上にコート層30を形成しバルーン12を折り畳むためのバルーンコーティングシステムは、第1の実施形態と同じである。このバルーンコーティングシステムを用いて折り畳まれたバルーン12を形成する際の工程も下記の点を除き第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と異なる点は、フォールディング部130でバルーン12の羽根部40を折り畳む際、バルーン12の表面のうち、外周側に露出する面の領域は、ブレード132からの力を直接受け、その力によって、薬剤結晶の長尺体33が傾倒させられる。また、ブレード132によるバルーン12に対する押圧力、押圧時間及び加熱温度を適切に設定することにより、バルーン12の表面のうち、折り畳まれて外周側に露出しない羽根内側部40aや対向面部41aの領域にも、ブレード132による外周側からの力が、バルーン12の外周側に向かう面を介して伝わり、薬剤結晶の長尺体33が傾倒させられる。これにより、バルーン12の表面の全領域に渡り、長尺体33は立設状態から傾倒状態に変化する。

0121

また、フォールディング部130のブレード132は、前述のように、バルーン12を折り畳んだ状態から、バルーン12の周方向に沿ってさらに移動することができる。ブレード132が、折り畳まれたバルーン12の表面を周方向に沿って移動することにより、バルーン12の表面の長尺体33を、周方向に沿って傾倒させることができる。本実施形態では、ブレード132を周方向に沿って移動させることとしたが、ブレード132を固定したまま、バルーン12を周方向に回転させることで、同様に表面の長尺体33を周方向に傾倒させるようにしてもよい。

0122

本実施形態のバルーンカテーテル10の使用方法も、第1の実施形態の場合と同様である。狭窄部300がバルーン12によって押し広げられると、バルーン12の表面に設けられる薬剤結晶を含むコート層30が、狭窄部300に接触する。バルーン12を拡張させてコート層30を生体組織に押し付けると、コート層30に含まれる低分子化合物である基層32が徐々にまたは速やかに溶けつつ、薬剤が生体へ送達される。これにより、狭窄部300の再狭窄が、効果的に抑制される。

0123

以上のように、本実施形態に係るバルーンカテーテル10は、カテーテルシャフト11の先端部にバルーン12を有し、独立した長軸を有して延在する水不溶性薬剤の結晶である複数の長尺体33がバルーン12の表面に設けられているバルーンカテーテル10であって、バルーン12の表面において長尺体33の先端部が、バルーン12の表面または他の長尺体33に接触している。これにより、バルーン12を生体管腔内で移動させる際、バルーン12の表面において長尺体33が傾倒状態であるので、長尺体33がバルーン12の表面から剥離しにくく、バルーン12の挿入中における薬剤の逸失を抑えて、目的の位置まで薬剤を効果的に送達させることができる。

0124

また、長尺体33は、バルーン12の表面の全領域で傾倒しているようにすれば、長尺体33がバルーン12の全領域において剥離することを抑制できる。

0125

また、本実施形態に係るバルーンカテーテル10は、バルーン12の表面において長尺体33が、バルーン12の表面に対してなす角度が30度以下である。このため、傾倒状態の長尺体33が、バルーン12の表面に対して寝た状態となって、バルーン12の挿入時に生体管腔の内壁などと接触しても、剥離することを効果的に抑制することができる。

0126

また、本実施形態に係るバルーンカテーテル10は、バルーン12の表面に対してなす角度が30度以下である長尺体33は、バルーン12の周方向に傾倒しているようにすれば、バルーン12の進行方向と異なる方向に長尺体33が向いているため、バルーン12の挿入時における長尺体33の剥離を、より確実に抑制することができる。

0127

また、本実施形態に係るバルーンカテーテル10は、収縮状態のバルーン12は、周方向に複数の羽根部40と、カテーテルシャフト11の周方向に沿う周面部41とを有すると共に、羽根部40はバルーン12の周方向に沿って折り畳まれ、周面部41のうち、折り畳まれた羽根部40に向かう面は、50体積%以上の長尺体33の先端部が、バルーン12の表面及び他の長尺体33に接触していない領域を有し、折り畳まれた羽根部40のうち、外周側に向かう面は、長尺体33の先端部が、バルーン12の表面または他の長尺体33に接触している領域を有する。これにより、バルーン12を生体管腔内で移動させる際、折り畳まれた状態のバルーン12は、外周側に露出する領域では薬剤結晶の長尺体33が傾倒状態であるので、長尺体33が剥離しにくく、バルーン12の挿入中における薬剤の逸失を抑えて、目的の位置まで薬剤を効果的に送達させることができる。一方で、バルーン12が拡張すると、折り畳まれた状態では外周側に露出しない領域も、外周側に露出し、この領域では薬剤結晶の長尺体33は立設状態であるので、病変部に対し薬剤を効果的に移行させることができる。

0128

また、折り畳まれた羽根部40のうち、周面部41に向かう面は、長尺体33の先端部が、バルーン12の表面及び他の長尺体33に接触していない領域を有する。羽根部40のうち周面部41に向かう面は、バルーン12が折り畳まれた状態で外周側に露出しない領域であるから、バルーン12の拡張時に立設状態となる長尺体33が存在する領域がより広くなり、病変部に対する薬剤の移行をより効率的にすることができる。

0129

また、バルーン12の周面部41のうち、外周側に向かう面は、長尺体33の先端部が、バルーン12の表面または他の長尺体33に接触している領域を有するようにしてもよい。バルーン12の羽根部40が周面部41の全てを覆っていない場合には、外周側に露出する周面部41の領域の薬剤結晶の長尺体33が傾倒状態となっているが、上記のように構成すれば、バルーン12の挿入時における長尺体33の剥離をより抑えることができる。

0130

折り畳まれた羽根部40と周面部41との間には、少なくとも一部に空間部42が形成され、羽根部40と周面部41の表面のうち、空間部42に面する領域は、長尺体33の先端部が、バルーン12の表面及び他の長尺体33に接触していないようにすることもできる。これにより、折り畳まれた羽根部40と周面部41との間の領域で、長尺体33の立設状態を維持できる空間部42を確保することができる。

0131

また、バルーン12の表面のうち、外周側に向かう面は、長尺体33が、バルーン12の表面に対してなす角度が30度以下である領域を有するようにしてもよい。これにより、傾倒状態の長尺体33が、バルーン12の表面に対して寝た状態となって、バルーン12の挿入時に生体管腔の内壁などと接触しても、剥離することを効果的に抑制することができる。

0132

また、バルーン12の表面に対してなす角度が30度以下である長尺体33は、バルーン12の周方向に傾倒しているようにすれば、バルーン12の進行方向と異なる方向に長尺体33が向いているため、バルーン12の挿入時における長尺体33の剥離を、より確実に抑制することができる。

0133

また、水不溶性薬剤は、ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、またはエベロリムスであってもよい。これにより、血管内の狭窄部の再狭窄を良好に抑制できる。

0134

また、本実施形態に係るバルーンカテーテル10の製造方法は、独立した長軸を有して延在する薬剤結晶である複数の長尺体33がバルーン12の表面に設けられているバルーンカテーテル10の製造方法において、バルーン12の表面に長尺体33を形成するステップと、バルーン12に径方向に突出する羽根部40を形成するステップと、バルーン12に形成された羽根部40を周方向に沿って寝かせるステップと、を有し、バルーン12に羽根部40を形成するステップ、またはバルーン12の羽根部40を寝かせるステップのいずれかにおいて、バルーン12を変形させるために作用させる力によって、バルーン12の表面の長尺体33を傾倒させ、少なくとも長尺体33の先端部を、バルーン12の表面または他の長尺体33に接触させる。これにより、バルーン12に羽根部40を形成するステップ、または羽根部40を折り畳むステップにおいてバルーン12に作用する力を利用して、バルーン12の表面において、長尺体33を立設状態から傾倒状態に変化させることができる。

0135

また、周方向に複数配置されたブレード132により、バルーン12に形成された羽根部40を周方向に沿って寝かせ、ブレード132でバルーン12の表面を押圧する際に、ブレード132をバルーン12の周方向に沿って移動させることで、長尺体33をバルーン12の周方向に向かって傾倒させるようにすれば、長尺体33をバルーン12の周方向に沿って傾倒させることができる。

0136

また、周方向に複数配置されたブレード132により、バルーン12に形成された羽根部40を周方向に沿って寝かせ、ブレード132でバルーン12の表面を押圧する際に、バルーン12を周方向に回転させることで、長尺体33をバルーン12の周方向に向かって傾倒させるようにすれば、長尺体33をバルーン12の周方向に沿って傾倒させることができる。

0137

また、バルーン12に羽根部40を形成するステップ、またはバルーン12の羽根部40を寝かせるステップのいずれかにおいて、バルーン12を変形させるために作用させる力によって、バルーン12の外周側に向かう面の長尺体33を傾倒させ、少なくとも、折り畳まれた羽根部12のうち、外周側に向かう面に、長尺体33の先端部が、バルーン12の表面または他の長尺体33に接触している領域を形成する。これにより、バルーン12に羽根部40を形成するステップ、または羽根部40を折り畳むステップにおいてバルーン12に作用する力を利用して、バルーン12の表面の一部について、長尺体33を立設状態から傾倒状態に変化させることができる。

0138

また、本実施形態に係る処置方法は、バルーンカテーテル10を使用して生体管腔内の病変部に薬剤を送達する処置方法であって、バルーン12を生体管腔内に挿入して病変部へ到達させるステップと、バルーン12を拡張させて長尺体33を生体組織に押し付けるステップと、バルーン12を収縮させて生体管腔から抜去するステップと、を有する。これにより、折り畳まれた状態のバルーン12を血管内で移動させる際に、バルーン12の挿入中における薬剤の逸失を抑え、目的の位置まで薬剤を効果的に送達させることができる。また、バルーン12の表面の一部に立設状態の薬剤の結晶を有する場合には、バルーン12を病変部で拡張させた際に、立設状態の薬剤の結晶が露出し、病変部に対し薬剤を効果的に移行させることができる。

0139

なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、上述の実施形態に係るバルーンカテーテル10は、ラピッドエクスチェンジ型(Rapid exchange type)であるが、オーバーワイヤ型(Over−the−wire type)であってもよい。

0140

また、本実施形態では、バルーン12のフォールディングの過程において、バルーン12の表面に形成された長尺体33を傾倒状態となるように傾倒させているが、プリーティングの過程において、ブレード122による押圧により長尺体33を傾倒させてもよい(図15を参照)。

0141

バルーン12の折り畳み形状については、前述のように、羽根部40の数を任意に設定できる他、羽根部40が周面部41の全体を覆うようにしてもよい。この場合、折り畳まれたバルーン12の外周側に露出する面は、全て羽根部40の羽根外側部40bによって形成され、周面部41は全て対向面部41aとなる。すなわち、この場合には、周面部41の領域全体に渡って、長尺体33は立設状態となる。

0142

また、バルーン12の表面のうち、長尺体33が立設状態の領域と傾倒状態の領域は、任意に設定することができる。本実施形態では、羽根部40の羽根内側部40aと周面部41の対向面部41aの領域において長尺体33が立設状態となり、羽根部40の羽根外側部40bと周面部41の外周構成面部41bの領域において長尺体33が傾倒状態となっているが、羽根部40の羽根内側部40aと周面部41の対向面部41aの領域において長尺体33が傾倒状態であり、羽根部40の羽根外側部40bと周面部41の外周構成面部41bの領域において長尺体33が立設状態であってもよい。また、羽根部40の羽根内側部40aと周面部41の対向面部41aのいずれか一方のみの領域において長尺体33が立設状態で、それ以外の領域において長尺体33が傾倒状態であってもよい。

0143

前述のように、基層32は、アモルファス、結晶粒子、または、その混合物として存在する。図4の基層32は、結晶粒子及び/または粒子状アモルファスの状態であるが、図19に示すように、基層32がフィルム状アモルファスの状態であってもよい。図20に示すように、第1の長尺体33−1は、基層32の内部から基層32の外部へ延在する。図21に示すように、第2の長尺体33−2は、バルーン12の外表面から基層32を貫通して基層32の外部へ延在する。図22に示すように、第3の長尺体33−3は、基層32の外表面から面外方向へ延在する。

0144

また、図23に示すように、添加剤層である基層32は、凹凸を有してもよい。凹凸の高さは、0.1μm〜5μmである。結晶である長尺体33は、基層32の凹凸を形成する凸状部32aから突出している。すなわち、基層32の凸状部32aが、結晶である長尺体33を支持している。なお、基層32は、長尺体33が突出していない凸状部32aを有してもよい。結晶である長尺体33は、基層32の凹凸を形成する凹状部32bから突出してもよい。基層32は、長尺体33を支持する凸状部32aと、長尺体33を支持しない凸状部32aの両方を有してもよい。基層32は、長尺体33を支持する凹状部32bと、長尺体33を支持しない凹状部32bの両方を有してもよい。また、基層32は、長尺体33を支持する凸状部32aと、長尺体33を支持する凹状部32bの両方を有してもよい。長尺体33は、バルーン12の外表面に対して傾斜するように、基層32から斜めに突出してもよい。基層32は、バルーン12の外表面に対して略垂直な長尺体33と、バルーン12の外表面に対して傾斜する長尺体33の両方を有してもよい。長尺体33の基部33aは、バルーン12の外表面と直接接触してもよい。または、長尺体33の基部33aは、バルーン12の外表面と接触せずに、基層32の内部に位置してもよい。基層32は、バルーン12の外表面と直接接触する長尺体33と、バルーン12の外表面と接触しない長尺体33の両方を有してもよい。

0145

また、図24に示すように、結晶は、元々基層32から突出している固定側長尺体33b(バルーン基材接触結晶粒子)と、固定側長尺体33bから分離した分離側長尺体33c(バルーン基材非接触結晶粒子)とを有してもよい。固定側長尺体33bの量は、分離側長尺体33cよりも多い。分離側長尺体33cは、バルーン12を内管21に対し巻き付けるように折り畳む際に、長尺な結晶が折れて、固定側長尺体33bから分離して形成される。固定側長尺体33bと分離側長尺体33cは、バルーン12が折り畳まれるのに伴い、少なくとも一部が傾倒する。分離側長尺体33cの先端部、基端部、先端部と基端部の間の部位の少なくとも一部は、基層32と接触している。分離側長尺体33cの一部は、基層32に埋め込まれてもよい。基層32があることで、固定側長尺体33bおよび分離側長尺体33cは、基層32との相互作用により、搬送時にバルーン12から脱落し難い。固定側長尺体33bおよび分離側長尺体33cは、バルーン12が拡張して水(血液)と接触することで基層32が溶解し、放出されやすくなる。形態が異なる固定側長尺体33bおよび分離側長尺体33cは、放出性に違いがあるため、生体に作用させる上で好ましい。固定側長尺体33bは、結晶が折れて形成される場合と、結晶が折れずに形成される場合がある。基層32は、結晶が折れて形成される固定側長尺体33bと、結晶が折れずに形成される固定側長尺体33bの両方を有してもよい。

0146

折れる前の基層32に固定された結晶の長さは、例えば5μm〜20μmである。折れた結晶の長さは、例えば3μm〜20μmである。折れて形成される固定側長尺体33bの長さは、例えば5μm〜20μmである。分離側長尺体33cの長さは、例えば3μm〜10μmである。

0147

また、本実施形態において、折り畳まれたバルーン12の羽根部40は、先端が隣接する羽根部40に達しないが、図25に示す2つの例のように、先端が隣接する羽根部40に達していてもよい。図25(a)の例では、羽根部40の根元側と周面部41との間に根元側空間部42が形成され、羽根部40の先端側と周面部41との間に先端側空間部43が形成される。この場合に、バルーン12の表面の長尺体33は、互いに対向する羽根部40の羽根内側部40aと周面部41の対向面部41aの領域のうち、根元側空間部42と先端側空間部43に面する領域において、立設状態となっている。羽根内側部40aと周面部41の対向面部41aの領域のうち、根元側空間部42と先端側空間部43に面していない領域、すなわち羽根部40と周面部41とが密接している領域では、長尺体33は傾倒状態となっている。

0148

図25(b)の例では、羽根部40の根元側から隣接する羽根部40までの領域の全体において、羽根部40と周面部41との間に空間部44が形成されている。この場合に、バルーン12の表面の長尺体33は、互いに対向する羽根部40の羽根内側部40aと周面部41の対向面部41aの領域の全体において、立設状態となっている。

0149

また、本実施形態では、傾倒状態の長尺体33がバルーン12の周方向に沿って傾倒するものとしたが、それ以外の方向に向かって傾倒していてもよい。

0150

本出願は、2016年3月23日に出願された日本特許出願番号2016−058034号及び2016−058035号に基づいており、それらの開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

0151

10カテーテル
11カテーテルシャフト
12バルーン
13 ハブ
20外管
21内管
22拡張ルーメン
23ガイドワイヤルーメン
24 開口部
30コート層
31バルーン表面
32基層
33長尺体
33a基端
33b 固定側長尺体
33c分離側長尺体
40羽根部
40a 羽根内側部
40b 羽根外側部
40c根元部
41 周面部
41a 対向面部
41b外周構成面部
50 バルーンコーティング装置
60回転機構部
70支持台
80移動機構部
90塗布機構部
94ディスペンシングチューブ
100 バルーン折り畳み装置
120プリーティング部
122ブレード
130フォールディング部
132 ブレード
140 支持台
150フィルム供給部
180 フィルム供給部
200ガイドワイヤ
300狭窄部

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