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課題・解決手段
概要
背景
例えば、位置の不明な目標を検出するレーダ装置は、複数のアンテナが配置されているアレーアンテナを用いて、デジタルビームフォーミング(DBF:Digital Beam Forming)と呼ばれる手法によって、複数のビームを同時に形成するマルチビーム形成装置を実装していることがある。同時に形成される複数のビームはマルチビームと呼ばれる。
ここで、アレーアンテナを構成する複数のアンテナとして、複数の素子アンテナが1つにまとめられているサブアレーを用いることがある。この場合、複数のサブアレーからアレーアンテナが構成される。
複数のサブアレーが配置されているアレーアンテナを用いる場合、形成される複数のビームのビーム径が、複数のサブアレーのアレーパターンによって変化する。このため、複数のサブアレーのアレーパターンに応じて、複数のビームの配置を適切に決定しなければ、所望の覆域内に隙間が生じることがある。
以下の特許文献1には、サブアレーのアレーパターンが変化したときのビームの変化率に基づいて、複数のビームを覆域内に隙間なく配置するレーダ装置が開示されている。
概要
中心ビームS0と周辺ビームS1との重なり条件と、比算出部(12)により算出された比ξとから、中心ビームS0と周辺ビームS1との距離δmaxを算出する距離算出部(15)を設け、ビーム形成部(17)が、覆域設定部(11)により設定された覆域の内部に中心ビームS0を形成するとともに、中心ビームS0を形成した位置から距離算出部(15)により算出された距離δmaxの位置に周辺ビームS1を形成する。これにより、覆域内に隙間なく配置する複数のビームの間の重なりを小さくすることができる。
目的
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、覆域内に隙間なく配置する複数のビームの間の重なりを小さくすることができるマルチビーム形成装置、レーダ装置及び通信装置を得ることを目的とする
効果
実績
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この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
複数のアンテナの受信信号を用いて、前記受信信号の波源方向を測角し、前記波源方向を含む覆域を設定する覆域設定部と、前記覆域設定部により設定された覆域の内部に第1のビーム、前記覆域の内外に亘って第2のビームを形成するものとして、前記第1のビームのビーム径に対する前記第2のビームのビーム径の比を算出する比算出部と、前記第1のビームと前記第2のビームとの重なり条件と、前記比算出部により算出された比とから、前記第1のビームと前記第2のビームとの距離を算出する距離算出部と、前記覆域設定部により設定された覆域の内部に前記第1のビームを形成するとともに、前記第1のビームを形成した位置から前記距離算出部により算出された距離の位置に前記第2のビームを形成するビーム形成部とを備えたマルチビーム形成装置。
請求項2
前記距離算出部は、前記重なり条件として、前記第1のビームと、隣り合う位置に配置される2本の前記第2のビームとが1点で交わる条件が与えられており、前記第1及び第2のビームが前記重なり条件で配置されるときの、前記第1のビームと前記第2のビームとの距離を算出することを特徴とする請求項1記載のマルチビーム形成装置。
請求項3
前記比算出部により算出された比を用いて、前記第2のビームを形成する本数を決定する本数決定部を備え、前記ビーム形成部は、前記第1のビームを形成した位置から前記距離算出部により算出された距離の位置に、前記本数決定部により決定された本数分の第2のビームを形成することを特徴とする請求項1記載のマルチビーム形成装置。
請求項4
前記本数決定部は、前記比算出部により算出された比と、前記距離算出部により算出された距離と、前記覆域の半径とを用いて、前記第2のビームを形成する本数を決定することを特徴とする請求項3記載のマルチビーム形成装置。
請求項5
複数のアンテナの受信信号を用いて、前記受信信号の波源方向を測角し、前記波源方向を含む覆域を設定する覆域設定部と、前記覆域設定部により設定された覆域の内部に第1のビーム、前記覆域の内外に亘って第2のビームを形成するものとして、前記第1のビームのビーム径に対する前記第2のビームのビーム径の比を算出する比算出部と、前記第1のビームと前記第2のビームとの重なり条件と、前記比算出部により算出された比とから、前記第1のビームと前記第2のビームとの距離を算出する距離算出部と、前記覆域設定部により設定された覆域の内部に前記第1のビームを形成するとともに、前記第1のビームを形成した位置から前記距離算出部により算出された距離の位置に前記第2のビームを形成するビーム形成部と、前記ビーム形成部によりビームが形成されているとき、前記複数のアンテナにより受信された信号から、観測対象の目標を検出する目標検出部とを備えたレーダ装置。
請求項6
複数のアンテナの受信信号を用いて、前記受信信号の波源方向を測角し、前記波源方向を含む覆域を設定する覆域設定部と、前記覆域設定部により設定された覆域の内部に第1のビーム、前記覆域の内外に亘って第2のビームを形成するものとして、前記第1のビームのビーム径に対する前記第2のビームのビーム径の比を算出する比算出部と、前記第1のビームと前記第2のビームとの重なり条件と、前記比算出部により算出された比とから、前記第1のビームと前記第2のビームとの距離を算出する距離算出部と、前記覆域設定部により設定された覆域の内部に前記第1のビームを形成するとともに、前記第1のビームを形成した位置から前記距離算出部により算出された距離の位置に前記第2のビームを形成するビーム形成部と、前記ビーム形成部によりビームが形成されているとき、前記複数のアンテナにより受信された信号を復調する信号復調部とを備えた通信装置。
技術分野
0001
この発明は、マルチビームを形成するマルチビーム形成装置、レーダ装置及び通信装置に関するものである。
背景技術
0002
例えば、位置の不明な目標を検出するレーダ装置は、複数のアンテナが配置されているアレーアンテナを用いて、デジタルビームフォーミング(DBF:Digital Beam Forming)と呼ばれる手法によって、複数のビームを同時に形成するマルチビーム形成装置を実装していることがある。同時に形成される複数のビームはマルチビームと呼ばれる。
ここで、アレーアンテナを構成する複数のアンテナとして、複数の素子アンテナが1つにまとめられているサブアレーを用いることがある。この場合、複数のサブアレーからアレーアンテナが構成される。
0003
複数のサブアレーが配置されているアレーアンテナを用いる場合、形成される複数のビームのビーム径が、複数のサブアレーのアレーパターンによって変化する。このため、複数のサブアレーのアレーパターンに応じて、複数のビームの配置を適切に決定しなければ、所望の覆域内に隙間が生じることがある。
以下の特許文献1には、サブアレーのアレーパターンが変化したときのビームの変化率に基づいて、複数のビームを覆域内に隙間なく配置するレーダ装置が開示されている。
先行技術
0004
特開2015−78841号公報
発明が解決しようとする課題
0005
従来のレーダ装置は以上のように構成されているので、複数のサブアレーのアレーパターンが変化しても、複数のビームを覆域内に隙間なく配置することができる。しかし、ビームの変化率に基づいて複数のビームの配置を決定する方式では、複数のビーム間の重なり具合を指定することができないため、複数のビームの間の重なりが大きくなることがある。観測対象の目標が複数のビームが重なる位置に存在する場合、複数のビームで受信された信号を合成する際の信号の重み係数を高精度に決定することが難しいために、複数の受信信号の合成精度が劣化して、目標の検出性能が劣化してしまうことがあるという課題があった。
0006
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、覆域内に隙間なく配置する複数のビームの間の重なりを小さくすることができるマルチビーム形成装置、レーダ装置及び通信装置を得ることを目的とする。
課題を解決するための手段
0007
この発明に係るマルチビーム形成装置は、複数のアンテナの受信信号を用いて、その受信信号の波源方向を測角し、その波源方向を含む覆域を設定する覆域設定部と、覆域設定部により設定された覆域の内部に第1のビーム、その覆域の内外に亘って第2のビームを形成するものとして、第1のビームのビーム径に対する第2のビームのビーム径の比を算出する比算出部と、第1のビームと第2のビームとの重なり条件と、比算出部により算出された比とから、第1のビームと第2のビームとの距離を算出する距離算出部とを設け、ビーム形成部が、覆域設定部により設定された覆域の内部に第1のビームを形成するとともに、第1のビームを形成した位置から距離算出部により算出された距離の位置に第2のビームを形成するようにしたものである。
発明の効果
0008
この発明によれば、第1のビームと第2のビームとの重なり条件と、比算出部により算出された比とから、第1のビームと第2のビームとの距離を算出する距離算出部を設け、ビーム形成部が、覆域設定部により設定された覆域の内部に第1のビームを形成するとともに、第1のビームを形成した位置から距離算出部により算出された距離の位置に第2のビームを形成するように構成したので、覆域内に隙間なく配置する複数のビームの間の重なりを小さくすることができる効果がある。
図面の簡単な説明
0009
この発明の実施の形態1によるマルチビーム形成装置を示す構成図である。
この発明の実施の形態1によるマルチビーム形成装置のデジタル信号処理部2のハードウェア構成図である。
マルチビーム形成装置のデジタル信号処理部2がソフトウェアやファームウェアなどで実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
マルチビーム形成装置のデジタル信号処理部2の処理手順を示すフローチャートである。
この発明の実施の形態1によるマルチビーム形成装置により形成されるマルチビームの一例を示す説明図である。
ビーム径比算出部14により算出される比ξと距離算出部15により算出される距離δmaxとの関係を示す説明図である。
中心ビームS0と周辺ビームS1−1が重ならずに離れてしまう例を示す説明図である。
中心ビームS0と周辺ビームS’1−1の距離がk、周辺ビームS’1−1と周辺ビームS1−1の距離がR−kであるときの位置関係を示す説明図である。
覆域の半径Rが、中心ビームS0と周辺ビームS1のビーム径の総和(1+ξ)又は(1+ξ’)より大きい場合のマルチビームの一例を示す説明図である。
中心ビームS0と周辺ビームS1のビーム径の総和(1+ξ)と、距離δmaxと周辺ビームS1のビーム径ξとの総和(δmax+ξ)と、覆域の半径Rとの関係を示す説明図である。
周辺ビームS1−1,S1−2と一部が重なる周辺ビームS1−7を配置する位置を示す説明図である。
この発明の実施の形態2によるレーダ装置示す構成図である。
この発明の実施の形態2によるレーダ装置の目標検出部53のハードウェア構成図である。
この発明の実施の形態3による通信装置を示す構成図である。
この発明の実施の形態3による通信装置の信号復調部70のハードウェア構成図である。
実施例
0010
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面にしたがって説明する。
0011
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるマルチビーム形成装置を示す構成図であり、図2はこの発明の実施の形態1によるマルチビーム形成装置のデジタル信号処理部2のハードウェア構成図である。
この実施の形態1では、マルチビーム形成装置に接続されているアレーアンテナは、M(Mは2以上の整数)本のアンテナが配置されているものとする。また、M本のアンテナのそれぞれがサブアレーであるものとする。
図1及び図2において、信号受信部1−1〜1−Mは例えば信号検波器、増幅器、フィルタ回路、周波数変換器、アナログデジタル変換器などで実現されるものであり、アレーアンテナを構成しているアンテナの受信信号に対して各種の信号処理を実施する。
各種の信号処理としては、例えば、受信信号を検波する検波処理、受信信号を増幅する増幅処理、受信信号に含まれているノイズやクラッタ等を除去する帯域通過フィルタ処理、受信信号の周波数を例えば中間周波数に変換する周波数変換処理、受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル変換処理などが考えられる。
信号受信部1−1〜1−Mは処理後の受信信号として、デジタルのベースバンド複素信号をデジタル信号処理部2に出力する。
0012
デジタル信号処理部2は覆域設定部11、比算出部12、距離算出部15、本数決定部16及びビーム形成部17を備えている。
覆域設定部11は例えば図2の覆域設定処理回路31によって実現されるものであり、信号受信部1−1〜1−Mから出力されたベースバンド複素信号を用いて、アンテナの受信信号の波源方向を測角し、その波源方向を含む覆域を設定する処理を実施する。
この実施の形態1では、受信信号の波源方向に覆域の中心を設定するものとするが、覆域の中心が波源方向と完全に一致しているものに限るものではなく、覆域の中心が波源方向からずれているものであってもよい。
0013
比算出部12はビーム径設定部13及びビーム径比算出部14を備えており、覆域設定部11により設定された覆域の内部に中心ビーム(第1のビーム)、その覆域の内外に亘って周辺ビーム(第2のビーム)を形成するものとして、その中心ビームのビーム径に対する周辺ビームのビーム径の比を算出する処理を実施する。
ビーム径設定部13は例えば図2のビーム形状算出処理回路32によって実現されるものであり、覆域設定部11により設定された覆域の内部に中心ビーム、その覆域の内外に亘って周辺ビームを形成するものとして、その中心ビームのビーム径と、その周辺ビームのビーム径とを設定する処理を実施する。
ビーム径比算出部14は例えば図2のビーム径比算出処理回路33によって実現されるものであり、ビーム径設定部13により設定された中心ビームのビーム径と周辺ビームのビーム径とを取得し、その中心ビームのビーム径に対する周辺ビームのビーム径の比を算出する処理を実施する。
0014
距離算出部15は例えば図2の距離算出処理回路34によって実現されるものであり、中心ビームと周辺ビームとの重なり条件と、ビーム径比算出部14により算出された比とから、中心ビームと周辺ビームの距離を算出する処理を実施する。ここで、中心ビームと周辺ビームの距離は、中心ビームの中心と周辺ビームの中心との間の距離を意味する。
本数決定部16は例えば図2の本数決定処理回路35によって実現されるものであり、ビーム径比算出部14により算出された比と、距離算出部15により算出された距離と、覆域の半径とを用いて、周辺ビームを形成する本数を決定する処理を実施する。なお、中心ビームを形成する本数は常に1本であるため、周辺ビームを形成する本数を決定すれば、中心ビームと周辺ビームの全体の本数が決定される。
0015
ビーム形成部17はビーム位置算出部18及びビーム形成処理部19を備えており、覆域設定部11により設定された覆域の中心に中心ビームを形成するとともに、その中心ビームを形成した位置から距離算出部15により算出された距離の位置に本数決定部16により決定された本数分の周辺ビームを形成する処理を実施する。
ビーム位置算出部18は例えば図2のビーム位置算出処理回路36によって実現されるものであり、中心ビームを配置する位置として、中心ビームの中心が覆域の中心と一致する位置に決定する処理を実施する。また、ビーム位置算出部18は周辺ビームを配置する位置として、中心ビームを形成する位置から距離算出部15により算出された距離だけ離れている位置に決定する処理を実施する。
ビーム形成処理部19は例えば図2のビーム形成処理回路37によって実現されるものであり、ビーム位置算出部18により算出された中心ビームの配置位置に中心ビームを形成するとともに、ビーム位置算出部18により算出された周辺ビームの配置位置に、本数決定部16により決定された本数分の周辺ビームを形成する処理を実施する。
0016
図1では、マルチビーム形成装置のデジタル信号処理部2における構成要素である覆域設定部11、ビーム径設定部13、ビーム径比算出部14、距離算出部15、本数決定部16、ビーム位置算出部18及びビーム形成処理部19のそれぞれが、図2に示すような専用のハードウェア、即ち、覆域設定処理回路31、ビーム形状算出処理回路32、ビーム径比算出処理回路33、距離算出処理回路34、本数決定処理回路35、ビーム位置算出処理回路36及びビーム形成処理回路37で実現されるものを想定している。
ここで、覆域設定処理回路31、ビーム形状算出処理回路32、ビーム径比算出処理回路33、距離算出処理回路34、本数決定処理回路35、ビーム位置算出処理回路36及びビーム形成処理回路37は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific IntegratedCircuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、または、これらを組み合わせたものが該当する。
0017
また、マルチビーム形成装置のデジタル信号処理部2における構成要素は、専用のハードウェアで実現されるものに限るものではなく、ソフトウェア、ファームウェア、または、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現されるものであってもよい。
ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)などが該当する。
また、コンピュータのメモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性又は揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
0018
図3はマルチビーム形成装置のデジタル信号処理部2がソフトウェアやファームウェアなどで実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
マルチビーム形成装置のデジタル信号処理部2がソフトウェアやファームウェアなどで実現される場合、覆域設定部11、ビーム径設定部13、ビーム径比算出部14、距離算出部15、本数決定部16、ビーム位置算出部18及びビーム形成処理部19の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムをメモリ41に格納し、コンピュータのプロセッサ42がメモリ41に格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図4はマルチビーム形成装置のデジタル信号処理部2の処理手順を示すフローチャートである。
また、図2ではマルチビーム形成装置のデジタル信号処理部2における構成要素のそれぞれが専用のハードウェアで実現される例を示し、図3では、マルチビーム形成装置のデジタル信号処理部2がソフトウェアやファームウェアなどで実現される例を示しているが、デジタル信号処理部2における一部の構成要素が専用のハードウェアで実現され、残りの構成要素がソフトウェアやファームウェアなどで実現されるものであってもよい。ただし、専用のハードウェアとソフトウェア等の組み合わせは任意である。
0019
次に動作について説明する。
図5はこの発明の実施の形態1によるマルチビーム形成装置により形成されるマルチビームの一例を示す説明図である。
図5において、点線は覆域設定部11により設定される覆域を示し、・は受信信号の波源方向及び覆域の中心、S0は中心ビーム、S1−1〜S1−7は周辺ビームである。
以下、周辺ビームを区別しない場合、S1のように表記する。
0020
信号受信部1−1〜1−Mは、アレーアンテナを構成しているアンテナが信号を受信すると、そのアンテナの受信信号に対して各種の信号処理を実施する。
各種の信号処理としては、例えば、受信信号を検波する検波処理、受信信号を増幅する増幅処理、受信信号に含まれているノイズやクラッタ等を除去する帯域通過フィルタ処理、受信信号の周波数を例えば中間周波数に変換する周波数変換処理、受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログデジタル変換処理などが考えられる。
信号受信部1−1〜1−Mは、処理後の受信信号として、デジタルのベースバンド複素信号をデジタル信号処理部2に出力する。
0021
デジタル信号処理部2の覆域設定部11は、信号受信部1−1〜1−Mからベースバンド複素信号を受けると、そのベースバンド複素信号を用いて、アンテナの受信信号の波源方向を測角する。受信信号の波源方向を測角する処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
覆域設定部11は、受信信号の波源方向を測角すると、図5に示すように、その波源方向と覆域の中心が一致するように、覆域を設定する(図4のステップST1)。
この実施の形態1では、受信信号の波源方向に覆域の中心を設定する例を説明するが、波源方向が覆域の内部に存在していればよく、覆域の中心が波源方向と完全に一致しているものに限るものではない。このため、覆域の中心が波源方向からずれているものであってもよい。
この実施の形態1では、覆域設定部11により設定される覆域は、円形状の覆域であり、その覆域の半径はRであるものとする。
0022
比算出部12のビーム径設定部13は、覆域設定部11が覆域を設定すると、その覆域の中心に中心ビームS0、その覆域の内外に亘って周辺ビームS1を形成するものとして、その中心ビームS0のビーム径rS0と、その周辺ビームS1のビーム径rS1とを設定する(図4のステップST2)。
ここで、中心ビームS0のビーム径rS0及び周辺ビームS1のビーム径rS1は、事前に設定された受信信号の利得や、覆域設定部11により推定された波源方向などから決まる。例えば、或る方向の受信信号の利得を高める必要がある場合には、当該方向を含むビームのビーム径を小さくする必要がある。一方、或る方向の受信信号の利得を高める必要性が小さい場合には、当該方向を含むビームのビーム径を大きくすることができる。
この実施の形態1では、マルチビームを構成する複数のビームのビーム径が、覆域の中心から外周に向けて線形に変化すると仮定する。即ち、覆域の端側のビームほど、ビーム径が小さくなると仮定する。したがって、周辺ビームS1のビーム径rS1は、中心ビームS0のビーム径rS0より小さいものとする。
なお、中心ビームS0及び周辺ビームS1のビーム径は、ビームの直径でもよいし、半径でもよいが、この実施の形態1では、中心ビームS0及び周辺ビームS1のビーム径が、ビームの半径であるものとして説明する。
0023
比算出部12のビーム径比算出部14は、ビーム径設定部13が中心ビームS0のビーム径rS0と周辺ビームS1のビーム径rS1とを設定すると、下記の式(1)に示すように、その中心ビームS0のビーム径rS0に対する周辺ビームS1のビーム径rS1の比ξを算出する(図4のステップST3)。
0024
距離算出部15は、ビーム径比算出部14が比ξを算出すると、中心ビームS0と周辺ビームS1−1〜S1−7との重なり条件と、その比ξとから、中心ビームS0と周辺ビームS1−1〜S1−7の距離δmaxを算出する(図4のステップST4)。
この実施の形態1では、中心ビームS0と周辺ビームS1−1〜S1−7との重なり条件として、例えば、隣り合う位置に配置される2本の周辺ビームS1−1,S1−2に着目すると、中心ビームS0と、周辺ビームS1−1,S1−2とが1点で交わるという条件を含んでいるものとする。
ここで、図6はビーム径比算出部14により算出される比ξと距離算出部15により算出される距離δmaxとの関係を示す説明図である。
図6では、説明の便宜上、中心ビームS0と、隣り合う位置に配置される2本の周辺ビームS1−1,S1−2とに着目して、周辺ビームS1−3〜S1−7の表記を省略している。
0025
図6では、中心ビームS0のビーム径がrS0=1であるとして、周辺ビームS1−1,S1−2のビーム径をrS1=ξにしている。また、中心ビームS0の中心をO、周辺ビームS1−1の中心をA、周辺ビームS1−2の中心をBとしている。
また、図6では、中心ビームS0と周辺ビームS1−1,S1−2の交点をC、周辺ビームS1−1と周辺ビームS1−2の交点をDとしている。
このとき、三角形ACD及び三角形BCDの一辺の長さがξの正三角形となるように、中心ビームS0と周辺ビームS1−1,S1−2が配置されているという幾何的な条件を満足する場合、S0,S1−1,S1−2における互いの重複が最小になる。このため、この実施の形態1では、重なり条件として、その幾何的な条件も含んでいるものとする。
0026
中心ビームS0の中心Oから周辺ビームS1−1の中心A及び周辺ビームS1−2の中心Bまでの距離δmaxは、三角形ACD及び三角形BCDの一辺の長さがξの正三角形となるように、中心ビームS0と周辺ビームS1−1,S1−2が配置されているときに最大となり、距離δmaxは、下記の式(2)のように表される。
0027
因みに、中心ビームS0のビーム径rS0に対する周辺ビームS1のビーム径rS1の比はξのままで、中心ビームS0のビーム径rS0がr0のときは、距離δmaxは、下記の式(3)のように表される。
0028
ここまでは、比算出部12が、覆域の中心に中心ビームS0、その覆域の内外に亘って周辺ビームS1を形成するものとしているが、例えば、中心ビームS0及び周辺ビームS1のビーム径が小さい場合や、覆域設定部11により設定される覆域が大きい場合、周辺ビームS1を覆域の内外に亘って形成しようとすると、中心ビームS0や周辺ビームS1のビーム径によっては、図7に示すように、中心ビームS0と周辺ビームS1−1が重ならずに離れてしまうことがある。
図7は中心ビームS0と周辺ビームS1−1が重ならずに離れてしまう例を示す説明図であり、図7では、図面の簡単化のため、周辺ビームS1として、周辺ビームS1−1だけを表記しているが、実際には複数の周辺ビームS1が存在する。
0029
中心ビームS0と周辺ビームS1−1が重ならずに離れてしまう場合、マルチビームを構成する複数のビームのビーム径が、覆域の中心から外周に向けて線形に変化すると仮定して、中心ビームS0と一部が重なる周辺ビームS’1−1,S’1−2を想定する。
このとき、中心ビームS0のビーム径が1、中心ビームS0と一部が重なる周辺ビームS’1−1,S’1−2のビーム径がξ’であるとして、周辺ビームS’1−1の中心をA、周辺ビームS’1−2の中心をBとする。
また、中心ビームS0と周辺ビームS’1−1,S’1−2の交点をC、周辺ビームS’1−1と周辺ビームS’1−2の交点をDとする。
三角形ACD及び三角形BCDの一辺の長さがξ’の正三角形となるように、中心ビームS0と周辺ビームS’1−1,S’1−2が配置されている場合、S0,S’1−1,S’1−2における互いの重複が最小になる。
したがって、中心ビームS0の中心Oから周辺ビームS’1−1の中心A及び周辺ビームS’1−2の中心Bまでの距離δ’maxは、三角形ACD及び三角形BCDの一辺の長さがξ’の正三角形となるように、中心ビームS0と周辺ビームS’1−1,S’1−2が配置されているときに最大となり、距離δ’maxは、下記の式(4)のように表される。
0030
また、図8に示すように、覆域設定部11により設定された覆域の半径がR、中心ビームS0と周辺ビームS’1−1の距離がk、周辺ビームS’1−1と周辺ビームS1−1の距離がR−kであるとすると、周辺ビームS’1−1のビーム径ξ’は、下記の式(5)のように表される。
図8は中心ビームS0と周辺ビームS’1−1の距離がk、周辺ビームS’1−1と周辺ビームS1−1の距離がR−kであるときの位置関係を示す説明図である。
0031
中心ビームS0と周辺ビームS’1−1の距離kが、式(4)に示す距離δ’maxと一致する場合、周辺ビームS’1−1のビーム径ξ’は、下記の式(6)のように表される。
0032
式(6)において、ビーム径ξ’が1以下であるという条件を用いて、ξ’について解くと、ビーム径ξ’は、下記の式(7)のように表される。
0033
因みに、中心ビームS0のビーム径rS0がr0のときは、距離δ’maxは、下記の式(8)のように表される。
また、このときのビーム径ξ’は、下記の式(9)のように表される。
0034
本数決定部16は、距離算出部15が距離δmax又は距離δ’maxを算出すると、ビーム径比算出部14により算出された比ξを用いて、図6又は図7に示す∠AOBを求める。
∠AOB=αとすると、距離算出部15により算出された距離がδmaxである場合、角度αは、下記の式(10)のように表される。
本数決定部16は、距離算出部15により算出された距離がδ’maxであれば、中心ビームS0のビーム径が1であるときの周辺ビームS’1のビーム径ξ’を用いて、下記の式(11)に示すように、角度αを求める。
0035
本数決定部16は、角度αを求めると、下記の式(12)に示すように、その角度αから周辺ビームS1の本数Nを算出する(ステップST5)。
式(12)において、Nの値は整数になるとは限らず、小数点を含む場合がある。小数点を含む場合、小数点第一位の四捨五入、切り上げ又は切り捨てを行う。
0036
ただし、覆域設定部11により設定された覆域の半径Rが、中心ビームS0と周辺ビームS1のビーム径の総和(1+ξ)又は(1+ξ’)以下である場合、N本の周辺ビームS1を配置すれば、その覆域内にビームが配置されていない隙間の発生を防ぐことができるが、その覆域の半径Rが、総和(1+ξ)又は(1+ξ’)より大きい場合、その覆域内にビームが配置されていない隙間が発生することがある。
ここで、図9は覆域の半径Rが、中心ビームS0と周辺ビームS1のビーム径の総和(1+ξ)又は(1+ξ’)より大きい場合のマルチビームの一例を示す説明図である。
図9の例では、中心ビームS0と一部が重なるように、N=6本の周辺ビームS1−1〜S1−6を配置しているが、覆域の半径Rが、中心ビームS0と周辺ビームS1のビーム径の総和(1+ξ)又は(1+ξ’)より大きいために、覆域の端部にビームが配置されていない隙間が発生している。
0037
そこで、本数決定部16は、覆域の半径Rと、中心ビームS0と周辺ビームS1のビーム径の総和(1+ξ)又は(1+ξ’)を比較し、覆域の半径Rが、中心ビームS0と周辺ビームS1のビーム径の総和(1+ξ)又は(1+ξ’)以下であれば、周辺ビームS1の本数Nを最終的に式(12)で算出した2π/α本に決定する。
一方、覆域の半径Rが、中心ビームS0と周辺ビームS1のビーム径の総和(1+ξ)又は(1+ξ’)より大きい場合、周辺ビームS1の本数Nを下記の式(13)のように決定する。
なお、式(13)で算出した4π/α本のうち、2π/α本の周辺ビームS1が、中心ビームS0と一部が重なる周辺ビームであり、図9の例では、N=6本の周辺ビームS1−1〜S1−6が該当する。
また、式(13)で算出した4π/α本のうち、残りの2π/α本の周辺ビームS1が、隙間を覆う周辺ビームであり、図9の例では、N=6本の周辺ビームS1−7〜S1−12が該当する。
0038
ただし、覆域設定部11により設定された覆域の半径Rが、距離δmaxと周辺ビームS1のビーム径ξとの総和(δmax+ξ)より大きい場合、式(13)で算出した4π/α本の周辺ビームS1を配置しても、覆域内にビームが配置されていない隙間が発生することがある。
そのため、この実施の形態1では、覆域の半径Rが、距離δmaxと周辺ビームS1のビーム径ξとの総和(δmax+ξ)以下になるように、覆域設定部11で設定されるものとする。距離算出部15により算出された距離がδ’maxである場合には、覆域の半径Rが、距離δ’maxと周辺ビームS’1のビーム径ξ’の総和(δ’max+ξ’)以下になるように、覆域設定部11で設定されるものとする。
0039
因みに、覆域設定部11により設定される覆域の半径Rが、距離δmaxと周辺ビームS1のビーム径ξの総和(δmax+ξ)より大きい場合、あるいは、距離δ’maxと周辺ビームS’1のビーム径ξ’の総和(δ’max+ξ’)より大きい場合、周辺ビームS1の本数Nを下記の式(14)のように決定すれば、覆域内にビームが配置されていない隙間の発生を防ぐことができる。
0040
図10は中心ビームS0と周辺ビームS1のビーム径の総和(1+ξ)と、距離δmaxと周辺ビームS1のビーム径ξとの総和(δmax+ξ)と、覆域の半径Rとの関係を示す説明図である。
図10の例では、覆域設定部11により設定された覆域の半径RがR1のときは、覆域の半径Rが、中心ビームS0と周辺ビームS1のビーム径の総和(1+ξ)以下であるため、周辺ビームS1の本数Nが式(12)で算出される2π/α本に決定される。
覆域設定部11により設定された覆域の半径RがR2のときは、覆域の半径Rが、中心ビームS0と周辺ビームS1のビーム径の総和(1+ξ)より大きいため、周辺ビームS1の本数Nが式(13)で算出される4π/α本に決定される。
この実施の形態1では、覆域の半径RがR3になる設定は想定していないが、仮に覆域の半径RがR3に設定されたときは、覆域の半径Rが、距離δmaxと周辺ビームS1のビーム径ξとの総和(δmax+ξ)より大きいため、周辺ビームS1の本数Nが式(14)で算出される6π/α本に決定される。
0041
ビーム形成部17のビーム位置算出部18は、本数決定部16が周辺ビームS1の本数Nを決定すると、距離算出部15により算出された距離δmax又は距離δ’maxを用いて、中心ビームS0を配置する位置と、N本の周辺ビームS1を配置する位置とを算出する(図4のステップST6)。
以下、ビーム位置算出部18による配置位置の算出処理を具体的に説明する。
0042
ビーム位置算出部18は、本数決定部16により決定された周辺ビームS1の本数Nが2π/α本である場合、下記の式(15)に示すように、中心ビームS0及び周辺ビームS1を配置する位置を算出する。
式(15)において、αは本数決定部16により求められた角度、nはn=0,1,2,・・・,Nであり、n=0は中心ビームS0に対応し、n=1,2,・・・,Nは周辺ビームS1に対応する。
δmaxは距離算出部15により算出された距離であり、距離算出部15により算出された距離がδ’maxの場合、δmaxの代わりに、δ’maxが式(15)に代入される。
Xは中心ビームS0及び周辺ビームS1のX座標の値、Yは中心ビームS0及び周辺ビームS1のY座標の値である。
また、X0は覆域の中心のX座標の値、Y0は覆域の中心のY座標の値であり、下記の式(16)に示すように、覆域が向いている方向、即ち、覆域が向いている方位角φ0と、覆域が向いている仰角θ0とを用いて、表すことができる。仰角θ0は、極座標上の原点から覆域の中心までの距離に対応する。
0043
ビーム位置算出部18は、本数決定部16により決定された周辺ビームS1の本数Nが4π/α本である場合、中心ビームS0の配置と、その中心ビームS0と一部が重なる2π/α本の周辺ビームS1の配置については、上記の式(15)で算出する。
隙間を覆う残りの2π/α本の周辺ビームS1の配置については、下記のように算出する。
図11は周辺ビームS1−1,S1−2と一部が重なる周辺ビームS1−7を配置する位置を示す説明図である。
図11の例では、周辺ビームS1−7が隙間を覆う周辺ビームであり、以下、図11を参照しながら、例として、周辺ビームS1−7を配置する位置の算出処理を説明する。
0044
この実施の形態1では、マルチビームを構成する複数のビームのビーム径が、覆域の中心から外周に向けて線形に変化し、覆域の端側のビームほど、ビーム径が小さくなると仮定しているので、周辺ビームS1−7のビーム径は、周辺ビームS1−1,S1−2のビーム径より小さい。
周辺ビームS1−1と周辺ビームS1−2の交点はC点とD点であり、周辺ビームS1−7はD点で、周辺ビームS1−1,S1−2と交わっている。また、周辺ビームS1−7の中心はEである。
そして、周辺ビームS1−7の中心Eは、中心ビームS0の中心Oと交点Dを結ぶ線分の延長線上に位置しているものとする。
なお、中心ビームS0の中心Oと交点Cの距離は、中心ビームS0のビーム径であるため、この実施の形態1では1である。また、交点Cと交点Dの距離は、三角形ACDが正三角形であるため、周辺ビームS1−1のビーム径と等しい。したがって、交点Cと交点Dの距離はξである。
0045
まず、ビーム位置算出部18は、下記の式(17)に示すように、交点Dと周辺ビームS1−7の中心Eとの距離r2を算出する。
距離算出部15により算出された距離がδmaxではなくて、δ’maxが算出された場合、δmaxの代わりに、δ’maxが式(17)に代入される。
0046
ビーム位置算出部18は、交点Dと周辺ビームS1−7の中心Eとの距離r2を算出すると、下記の式(18)に示すように、隙間を覆う残り2π/α本の周辺ビームS1の配置を算出する。
距離算出部15により算出された距離がδmaxではなくて、δ’maxが算出された場合、ξの代わりに、ξ’maxが式(18)に代入される。
n=1,2,・・・,Nであり、隙間を覆う残りの2π/α本の周辺ビームS1に対応する。
Xは隙間を覆う周辺ビームS1のX座標の値、Yは隙間を覆う周辺ビームS1のY座標の値である。
0047
ビーム形成部17のビーム形成処理部19は、ビーム位置算出部18により算出された中心ビームS0を配置する位置(X,Y)に中心ビームS0を形成し、ビーム位置算出部18により算出された周辺ビームS1を配置する位置(X,Y)に本数決定部16により決定された本数分の周辺ビームS1を形成する(図4のステップST7)。
所望の配置位置にビームを形成する処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
0048
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、中心ビームS0と周辺ビームS1との重なり条件と、比算出部12により算出された比ξとから、中心ビームS0と周辺ビームS1との距離δmax又は距離δ’maxを算出する距離算出部15を設け、ビーム形成部17が、覆域設定部11により設定された覆域の内部に中心ビームS0を形成するとともに、中心ビームS0を形成した位置から距離算出部15により算出された距離δmax又は距離δ’maxび位置に周辺ビームS1を形成するように構成したので、覆域内に隙間なく配置する複数のビームの間の重なりを小さくすることができる効果を奏する。
これにより、観測対象の目標が複数のビームが重なる位置に存在する確率が減少するため、信号受信部1−1〜1−Mから出力されたベースバンド複素信号の合成精度が劣化して、目標の検出性能が劣化してしまう確率を低減することができる。
また、複数のビームの間の重なりを小さくすることができるため、少ない数のビームで覆域をカバーすることができる。
0049
実施の形態2.
この実施の形態2では、上記実施の形態1のマルチビーム形成装置を実装しているレーダ装置について説明する。
図12はこの発明の実施の形態2によるレーダ装置を示す構成図であり、図13はこの発明の実施の形態2によるレーダ装置の目標検出部53のハードウェア構成図である。
図12及び図13において、アンテナ51−1〜51−Mはアレーアンテナを構成しており、例えば、観測対象の目標に反射された信号を受信する。
マルチビーム形成装置52は上記実施の形態1のマルチビーム形成装置であり、マルチビームとして、1本の中心ビームS0とN本の周辺ビームS1を形成する。
0050
目標検出部53は信号処理部54とデータ処理部55とデータ処理結果出力部56とを備えており、マルチビーム形成装置52によりマルチビームが形成されているとき、アンテナ51−1〜51−Mにより受信された信号から、観測対象の目標を検出する処理を実施する。
信号処理部54は例えば図13の信号処理回路61で実現されるものであり、マルチビーム形成装置52によりマルチビームが形成されているとき、アンテナ51−1〜51−Mにより受信された信号に対する信号処理として、例えば、その受信した信号に含まれているクラッタ等の不要な信号を除去するフィルタ処理や、その受信した信号の信号強度を高める積分処理などを実施する。
0051
データ処理部55は例えば図13のデータ処理回路62で実現されるものであり、信号処理部54による信号処理後の信号を用いて、目標が存在している位置や目標の速度などを推定する追尾処理や、複数の目標を識別する目標識別処理などを実施する。
データ処理結果出力部56は例えば図13の結果出力処理回路63で実現されるものであり、データ処理部55における追尾処理や目標識別処理の処理結果を出力する。
0052
図12では、レーダ装置の目標検出部53における構成要素である信号処理部54、データ処理部55及びデータ処理結果出力部56のそれぞれが、図13に示すような専用のハードウェア、即ち、信号処理回路61、データ処理回路62及び結果出力処理回路63で実現されるものを想定している。
ここで、信号処理回路61、データ処理回路62及び結果出力処理回路63は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、または、これらを組み合わせたものが該当する。
0053
ただし、レーダ装置の目標検出部53における構成要素は、専用のハードウェアで実現されるものに限るものではなく、ソフトウェア、ファームウェア、または、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現されるものであってもよい。
レーダ装置の目標検出部53がソフトウェアやファームウェアなどで実現される場合、信号処理部54、データ処理部55及びデータ処理結果出力部56の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを図3に示すメモリ41に格納し、図3に示すプロセッサ42がメモリ41に格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
また、図13ではレーダ装置の目標検出部53における構成要素のそれぞれが専用のハードウェアで実現される例を示し、図3では、レーダ装置の目標検出部53がソフトウェアやファームウェアなどで実現される例を示しているが、レーダ装置の目標検出部53における一部の構成要素が専用のハードウェアで実現され、残りの構成要素がソフトウェアやファームウェアなどで実現されるものであってもよい。ただし、専用のハードウェアとソフトウェア等の組み合わせは任意である。
0054
次に動作について説明する。
マルチビーム形成装置52は、上記実施の形態1と同様に、アンテナ51−1〜51−Mの受信信号を受けると、マルチビームとして、1本の中心ビームS0とN本の周辺ビームS1を形成する。
目標検出部53の信号処理部54は、マルチビーム形成装置52によりマルチビームが形成されているときに、アンテナ51−1〜51−Mにより受信された信号に対する各種の信号処理を実施する。
例えば、アンテナ51−1〜51−Mの受信信号に含まれているクラッタ等の不要な信号を除去するフィルタ処理や、その受信した信号の信号強度を高める積分処理などを実施する。フィルタ処理や積分処理などは公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
0055
目標検出部53のデータ処理部55は、信号処理部54による信号処理後の信号を用いて、目標が存在している位置や目標の速度などを推定する追尾処理や、複数の目標を識別する目標識別処理などを実施する。追尾処理や目標識別処理などは公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
目標検出部53のデータ処理結果出力部56は、例えば、データ処理部55における追尾処理や目標識別処理の処理結果を表示装置などに出力することで、追尾処理や目標識別処理の処理結果を表示させる。
0056
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、レーダ装置が、上記実施の形態1のマルチビーム形成装置52を実装しているため、上記実施の形態1と同様に、覆域内に隙間なく配置する複数のビームの間の重なりを小さくすることができる。
これにより、観測対象の目標が複数のビームが重なる位置に存在する確率が減少するため、目標検出部53での目標の検出性能を高めることができる。
0057
実施の形態3.
この実施の形態3では、上記実施の形態1のマルチビーム形成装置を実装している通信装置について説明する。
図14はこの発明の実施の形態3による通信装置を示す構成図であり、図14において、図12と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図15はこの発明の実施の形態3による通信装置の信号復調部70のハードウェア構成図である。
図14及び図15において、信号復調部70は信号処理部71及び信号復調処理部72を備えており、マルチビーム形成装置52によりマルチビームが形成されているとき、アンテナ51−1〜51−Mにより受信された信号を復調する処理を実施する。
0058
信号処理部71は例えば図15の信号処理回路81で実現されるものであり、マルチビーム形成装置52によりマルチビームが形成されているとき、アンテナ51−1〜51−Mにより受信された信号に対する信号処理として、例えば、その受信した信号に含まれているクラッタ等の不要な信号を除去するフィルタ処理や、その受信した信号の信号強度を高める積分処理を実施する。また、その信号を捕捉する捕捉処理や、その信号の位相、周波数や遅延時間を追尾する追尾処理などを実施する。
信号復調処理部72は例えば図15の信号復調処理回路82で実現されるものであり、信号処理部71による信号処理後の信号を復調して、所望の情報を抽出する処理を実施する。
0059
図14では、通信装置の信号復調部70における構成要素である信号処理部71及び信号復調処理部72のそれぞれが、図15に示すような専用のハードウェア、即ち、信号処理回路81及び信号復調処理回路82で実現されるものを想定している。
ここで、信号処理回路81及び信号復調処理回路82は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、または、これらを組み合わせたものが該当する。
0060
ただし、通信装置の信号復調部70における構成要素は、専用のハードウェアで実現されるものに限るものではなく、ソフトウェア、ファームウェア、または、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現されるものであってもよい。
通信装置の信号復調部70がソフトウェアやファームウェアなどで実現される場合、信号処理部71及び信号復調処理部72の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを図3に示すメモリ41に格納し、図3に示すプロセッサ42がメモリ41に格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
また、図15では通信装置の信号復調部70における構成要素のそれぞれが専用のハードウェアで実現される例を示し、図3では、通信装置の信号復調部70がソフトウェアやファームウェアなどで実現される例を示しているが、通信装置の信号復調部70における一部の構成要素が専用のハードウェアで実現され、残りの構成要素がソフトウェアやファームウェアなどで実現されるものであってもよい。ただし、専用のハードウェアとソフトウェア等の組み合わせは任意である。
0061
次に動作について説明する。
アンテナ51−1〜51−Mは、例えば、通信対象の通信装置から送信された信号を受信する。
マルチビーム形成装置52は、アンテナ51−1〜51−Mが信号を受信すると、上記実施の形態1と同様に、その受信信号を用いて、マルチビームとして、1本の中心ビームS0とN本の周辺ビームS1を形成する。
0062
信号復調部70の信号処理部71は、マルチビーム形成装置52によりマルチビームが形成されているとき、アンテナ51−1〜51−Mにより受信された信号に対する各種の信号処理を実施する。
例えば、アンテナ51−1〜51−Mの受信信号に含まれているクラッタ等の不要な信号を除去するフィルタ処理や、その受信した信号の信号強度を高める積分処理を実施する。また、その信号を捕捉する捕捉処理や、その信号の位相、周波数や遅延時間を追尾する追尾処理などを実施する。
フィルタ処理、積分処理、捕捉処理や追尾処理などは公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
0063
信号復調部70の信号復調処理部72は、信号処理部71による信号処理後の信号を復調して、その信号に含まれている所望の情報を抽出する。所望の情報は、例えば、通信対象のデータである。
信号の復調処理や、信号に含まれている情報の抽出処理は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
0064
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、通信装置が、上記実施の形態1のマルチビーム形成装置52を実装しているため、上記実施の形態1と同様に、覆域内に隙間なく配置する複数のビームの間の重なりを小さくすることができる。
これにより、複数のビームが重なる位置で信号を受信する確率が減少するため、信号復調部70での情報の抽出性能を高めることができる。
0065
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
0066
この発明に係るマルチビーム形成装置、レーダ装置及び通信装置は、マルチビームを効率的に配置する用途に適している。
0067
1−1〜1−M信号受信部、2デジタル信号処理部、11 覆域設定部、12 比算出部、13ビーム径設定部、14 ビーム径比算出部、15距離算出部、16 本数決定部、17ビーム形成部、18ビーム位置算出部、19ビーム形成処理部、31 覆域設定処理回路、32ビーム形状算出処理回路、33 ビーム径比算出処理回路、34距離算出処理回路、35 本数決定処理回路、36 ビーム位置算出処理回路、37 ビーム形成処理回路、41メモリ、42プロセッサ、51−1〜51−Mアンテナ、52マルチビーム形成装置、53目標検出部、54信号処理部、55データ処理部、61信号処理回路、62データ処理回路、63結果出力処理回路、70信号復調部、71 信号処理部、72 信号復調処理部、81 信号処理回路、82 信号復調処理回路。