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課題・解決手段

本発明は、テトラゾリウム塩の存在下でHAOをヒドロキシルアミンと接触させることを含む、HAOの活性測定方法に関する。また、本発明は、液体培地格納容器内に隔離して設置された微生物を含む試料格納容器内で、微生物を培養することを含み、微生物を含む試料格納容器は、細孔を有する、微生物の培養方法も提供する。

概要

背景

化学肥料として特に重要な窒素肥料は、アンモニア態窒素(NH4+)として農地に過剰投与されている。しかし、その大部分は硝化され、農地からの窒素肥料の流出と温室効果ガス(N2O)の生成を招いてしまう。既存の硝化抑制剤には、揮発性のため20℃以上で使えない、効果が弱い、発がん性残留毒性があるといった問題があり、これらを解消する新規な硝化抑制剤が期待されている。既存の硝化抑制剤は、アンモニアモノオキシゲナーゼ(AMO)をターゲットとしていると考えられる。一方、硝化反応の中心的酵素であるヒドロキシルアミン酸化還元酵素(Hydroxylamine oxidoreductase:HAO)をターゲットとする硝化抑制剤はこれまでに知られていない。また、HAOの活性測定方法は種々知られるが、いずれも感度コスト面で満足のいくものではなかった。さらに、これまでハイスループットスクリーニングに適用可能なHAO活性測定方法は開発されていない。

微生物の培養には、時として困難が伴い、培養時の菌体濃度が最大でもOD600=0.1(10Lあたり1g未満)程度となり、大量の培地が必要であるだけでなく、集菌に多大な労力がかかることがあった。これは、土壌堆肥又は活性汚泥由来の微生物の場合には、特に深刻な問題であった。

概要

本発明は、テトラゾリウム塩の存在下でHAOをヒドロキシルアミンと接触させることを含む、HAOの活性測定方法に関する。また、本発明は、液体培地格納容器内に隔離して設置された微生物を含む試料格納容器内で、微生物を培養することを含み、微生物を含む試料格納容器は、細孔を有する、微生物の培養方法も提供する。

目的

本発明は、液体培地格納容器内に隔離して設置された微生物を含む試料格納容器内で、微生物を培養することを含み、微生物を含む試料格納容器は、細孔を有する、微生物の培養方法も提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

テトラゾリウム塩の存在下でヒドロキシルアミン酸化還元酵素HAO)をヒドロキシルアミンと接触させることを含む、HAOの活性測定方法

請求項2

テトラゾリウム塩が、レサズリン塩である、請求項1記載の測定方法

請求項3

テトラゾリウム塩に対するヒドロキシルアミンが、少なくとも3倍量のモル比で接触させる、請求項1または2記載の測定方法。

請求項4

テトラゾリウム塩に対するヒドロキシルアミンが、少なくとも5倍量のモル比で接触させる、請求項1〜3のいずれか一項記載の測定方法。

請求項5

テトラゾリウム塩に対するヒドロキシルアミンが、少なくとも10倍量のモル比で接触させる、請求項1〜4のいずれか一項記載の測定方法。

請求項6

pH4.0から8.0で測定する、請求項1〜5のいずれか一項記載の測定方法。

請求項7

pH4.6から7.6で測定する、請求項1〜6のいずれか一項記載の測定方法。

請求項8

測定対象が、土壌堆肥活性汚泥又はそれらを非変性状態で電気泳動したポリアクリルアミドゲルである、請求項1〜7のいずれか一項記載の測定方法。

請求項9

HAOを含む試料からHAOを精製することを含み、精製においてHAOが含まれる画分を判別するために請求項1〜8のいずれか一項記載の測定方法によりHAOの活性を測定する、HAOの製造方法。

請求項10

精製されたHAOを乾燥することを含む、請求項9記載の製造方法。

請求項11

テトラゾリウム塩の存在下でHAOをヒドロキシルアミン及び候補化合物と接触させることを含む、HAOインヒビタースクリーニング方法

請求項12

液体培地格納容器内に隔離して設置された微生物を含む試料格納容器内で、微生物を培養することを含み、微生物を含む試料格納容器は、細孔を有する、微生物の培養方法

請求項13

液体培地と微生物を含む試料の体積比が、10:1〜1000:1である、請求項12記載の培養方法。

請求項14

細孔の分画分子量が、50K〜1000KDaである、請求項12または13記載の培養方法。

請求項15

微生物を含む試料格納容器が、透析チューブである、請求項12〜14のいずれか一項記載の培養方法。

請求項16

微生物を含む試料格納容器の封入口が、殺菌されている、請求項12〜15のいずれか一項記載の培養方法。

請求項17

微生物が、難培養性微生物である、請求項12〜16のいずれか一項記載の培養方法。

請求項18

微生物が、OD600が0.2以下の濁度静止期に達する微生物である、請求項1〜17のいずれか一項記載の培養方法。

技術分野

0001

本発明は、テトラゾリウム塩の存在下でヒドロキシルアミン酸化還元酵素HAO)をヒドロキシルアミンと接触させることを含む、HAOの活性測定方法に関する。本発明は、HAOの製造方法にも関する。本発明は、テトラゾリウム塩の存在下でHAOをヒドロキシルアミン及び候補化合物と接触させることを含む、HAOインヒビタースクリーニング方法にも関する。本発明は、液体培地格納容器内に隔離して設置された微生物を含む試料格納容器内で、微生物を培養することを含み、微生物を含む試料格納容器は、細孔を有する、微生物の培養方法も提供する。

背景技術

0002

化学肥料として特に重要な窒素肥料は、アンモニア態窒素(NH4+)として農地に過剰投与されている。しかし、その大部分は硝化され、農地からの窒素肥料の流出と温室効果ガス(N2O)の生成を招いてしまう。既存の硝化抑制剤には、揮発性のため20℃以上で使えない、効果が弱い、発がん性残留毒性があるといった問題があり、これらを解消する新規な硝化抑制剤が期待されている。既存の硝化抑制剤は、アンモニアモノオキシゲナーゼ(AMO)をターゲットとしていると考えられる。一方、硝化反応の中心的酵素であるヒドロキシルアミン酸化還元酵素(Hydroxylamine oxidoreductase:HAO)をターゲットとする硝化抑制剤はこれまでに知られていない。また、HAOの活性測定方法は種々知られるが、いずれも感度コスト面で満足のいくものではなかった。さらに、これまでハイスループットスクリーニングに適用可能なHAO活性測定方法は開発されていない。

0003

微生物の培養には、時として困難が伴い、培養時の菌体濃度が最大でもOD600=0.1(10Lあたり1g未満)程度となり、大量の培地が必要であるだけでなく、集菌に多大な労力がかかることがあった。これは、土壌堆肥又は活性汚泥由来の微生物の場合には、特に深刻な問題であった。

先行技術

0004

H. Maeda, S. Matsu-ura, Y. Yamauchi, H. Ohmori, Resazurin as an electron acceptor in glucose oxidase-catalyzed oxidation of glucose., Chem. Pharm. Bull. 49 (2001) 622-625.
W.J. Maalcke, A. Dietl, S.J. Marritt, J.N. Butt, M.S.M. Jetten, J.T. Keltjens, T.R.M. Barends, B. Kartal, Structural basis of biological NO generation by octaheme oxidoreductases., J. Biol. Chem. 289 (2014) 1228-42.
J. Schalk, S. de Vries, J.G. Kuenen, M.S. Jetten, Involvement of a novel hydroxylamine oxidoreductase in anaerobic ammonium oxidation., Biochemistry. 39 (2000) 5405-12.

発明が解決しようとする課題

0005

本発明の目的は、感度やコスト面で実用的となり、かつ測定が簡便な、ヒドロキシルアミン酸化還元酵素の活性測定方法を提供することにある。また、本発明の目的は、微生物の培養において、培地の準備や集菌にかかる労力を効率的にしつつも、十分に満足できる菌体濃度が得られるような、微生物の培養方法を提供することにもある。さらに、本発明の目的は、多数の酵素を含む試料から、HAOの活性を簡便、短時間かつ高感度解析できる新たな手法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は鋭意研究の末、テトラゾリウム塩、特にはテトラゾリウム塩のレサズリン塩に対してヒドロキシルアミンを多く存在させた反応系で測定するヒドロキシルアミン酸化還元酵素の活性測定方法を見出し、本発明を完成させるに至った。また、本発明者らは非変性のHAOを含む試料をゲル電気泳動後、ゲル内にて酵素反応させ、その反応生成物蛍光測定によって可視化させることで、当該酵素の有無や活性の強さを効果的に解析できることを見出し、本願発明を完成させるに至った。

0007

すなわち、本発明の要旨は以下である。
[1]テトラゾリウム塩の存在下でヒドロキシルアミン酸化還元酵素(HAO)をヒドロキシルアミンと接触させることを含む、HAOの活性測定方法。
[2] テトラゾリウム塩が、レサズリン塩である、[1]記載の測定方法。
[3] テトラゾリウム塩に対するヒドロキシルアミンが、少なくとも3倍量のモル比で接触させる、[1]または[2]記載の測定方法。
[4] テトラゾリウム塩に対するヒドロキシルアミンが、少なくとも5倍量のモル比で接触させる、[1]〜[3]のいずれか一項記載の測定方法。
[5] テトラゾリウム塩に対するヒドロキシルアミンが、少なくとも10倍量のモル比で接触させる、[1]〜[4]のいずれか一項記載の測定方法。
[6] pH4.0から8.0で測定する、[1]〜[5]のいずれか一項記載の測定方法。
[7] pH4.6から7.6で測定する、[1]〜[6]のいずれか一項記載の測定方法。
[8]測定対象が、土壌、堆肥、活性汚泥又はそれらを非変性状態で電気泳動したポリアクリルアミドゲルである、[1]〜[7]のいずれか一項記載の測定方法。
[9] HAOを含む試料からHAOを精製することを含み、精製においてHAOが含まれる画分を判別するために[1]〜[8]のいずれか一項記載の測定方法によりHAOの活性を測定する、HAOの製造方法。
[10] 精製されたHAOを乾燥することを含む、[9]記載の製造方法。
[11] テトラゾリウム塩の存在下でHAOをヒドロキシルアミン及び候補化合物と接触させることを含む、HAOインヒビターのスクリーニング方法。
[12]液体培地格納容器内に隔離して設置された微生物を含む試料格納容器内で、微生物を培養することを含み、微生物を含む試料格納容器は、細孔を有する、微生物の培養方法。
[13] 液体培地と微生物を含む試料の体積比が、10:1〜1000:1である、[12]記載の培養方法。
[14] 細孔の分画分子量が、50K〜1000KDaである、[12]または[13]記載の培養方法。
[15] 微生物を含む試料格納容器が、透析チューブである、[12]〜[14]のいずれか一項記載の培養方法。
[16] 微生物を含む試料格納容器の封入口が、殺菌されている、[12]〜[15]のいずれか一項記載の培養方法。
[17] 微生物が、難培養性微生物である、[12]〜[16]のいずれか一項記載の培養方法。
[18] 微生物が、OD600が0.2以下の濁度静止期に達する微生物である、[1]〜[17]のいずれか一項記載の培養方法。

発明の効果

0008

本発明により、従来には知られていなかった微量高感度、低価格かつホモニアアッセイが可能なHAOの活性測定方法が提供される。本発明によるHAOの活性測定方法は、ハイスループットスクリーニングに適し、生菌から直接検出することも、土壌等の試料から直接検出することも、非変性ポリアクリルアミド電気泳動ゲルから直接検出することも可能である。本発明によるHAOの活性測定は、通常の酸素の存在下でも可能であり、リアルタイム測定も可能である上に、蛍光測定をすればより高い感度が得られる。本発明によるHAOの活性測定方法では、PMSのような電子キャリアーが不要である。本発明によれば、難培養性微生物、特には土壌、堆肥又は活性汚泥中の微生物を効果的に培養することもできる。本発明によるHAOの製造方法は、硫安分画を行わないため、精製時間が大幅に短縮され、スケールアップが容易となる。そして、本発明により得られるHAOは、長期保存が可能である。HAOを有するアンモニア酸化細菌を含む培養液などを解析すれば、サンプル中のHAOの活性を定量することができる。さらに、これらのサンプルに対してHAO阻害剤としての候補化合物をあらかじめ処理すれば、候補化合物のHAO阻害効果を簡便に解析することができる。

図面の簡単な説明

0009

本発明によるHAO活性測定方法における、レサズリンに対するヒドロキシルアミンのモル比の関係を示す。
本発明によるHAO活性測定方法における、pH依存性を示す。
本発明によるHAO製造方法の一実施態様を示す。
本発明による土壌ダイレクトHAO活性測定の一実施態様を示す。
本発明により、N. europaeaの精製HAO及び菌体破砕上清非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動させたのち、レサズリンを用いてHAOを蛍光活性染色したゲルイメージを示す。図中に矢印で示したバンドはHAOである。

0010

本発明は、テトラゾリウム塩の存在下でヒドロキシルアミン酸化還元酵素(HAO)をヒドロキシルアミンと接触させることを含む、HAOの活性測定方法を提供する。

0011

本発明のHAOの活性測定方法は、テトラゾリウム塩、好ましくはテトラゾリウム塩のレサズリン塩の吸光度の変化または蛍光物質への変化を検出する。

0012

本発明のHAOの活性測定方法では、テトラゾリウム塩、好ましくはレサズリン塩に対して、ヒドロキシルアミンを少なくとも3倍量、好ましくは5倍量、さらに好ましくは10倍量(モル比)存在させた反応系で測定する。

0013

本発明のHAOの活性測定方法では、pH4.0から8.0で測定するとよい。好ましくは、シグナルバックグラウンド比が2以上となるため、pH4.6から7.6で測定するとよい。緩衝液は、クエン酸リン酸緩衝液リン酸カリウム緩衝液、HEES−NaOH緩衝液、Tris−HCl緩衝液などから選択することができる。バッファーとpHを変えるとHAO活性(初速)が変わるため、実験目的によってそれら条件を選択することができる。例えば、15分程度で最大蛍光強度に達するHAO活性が最も高い条件は、迅速な測定やHAO濃度が低い場合の測定に適している。そのため、HAO精製時のHAO画分の確認のような、厳密な定量性は不要だが、迅速な測定が必要な工程に適した測定条件となる。この条件として、pH約5.6におけるリン酸カリウム緩衝液及びクエン酸−リン酸緩衝液、またはpH約6.8におけるHEPES−NaOH緩衝液及びTris−HCl緩衝液などが利用できる。一方、2〜3時間程度で最大感度に達するようなHAO活性が比較的低い条件では、数分程度のインキュベーション時間の誤差が無視できる。そのため、薬剤スクリーニングなどのように、大量のアッセイを並列で行い、なおかつアッセイ間のブレを抑える事が必要な工程に適した測定条件となる。この条件として、pH7.0付近のリン酸カリウム緩衝液などが利用できる。

0014

本発明のHAOの活性測定方法では、試料は細菌群集を含む固形物液体、好ましくは土壌、堆肥又は活性汚泥であってもよく、それらに含まれるHAOの活性を直接測定することもできる。活性汚泥とは、微生物が豊富に存在する浮遊性汚泥を含む浄化処理中の汚水の事であり、汚泥と汚水の両方を意味する。本発明の活性測定方法は、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離された、多数のタンパク質のバンドから、HAO特異的に蛍光染色することが可能である。非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動では、ゲル中で活性を保持したままHAOが分離される。このゲル中のHAOをテトラゾリウム塩の存在下でヒドロキシルアミンと接触させることで、テトラゾリウム塩を蛍光物質へ変化させる。さらにゲルイメージャー光源蛍光観察用フィルターを用いることにより、ゲル中の蛍光物質を高感度で検出できる。これにより、励起光源として青色光(440−500nm)が使用可能であり、より好ましくはシアン色光波長480−530nm)であり、さらに好ましくは緑色光(490−580nm)が使用可能である。蛍光観察用フィルターとしてオレンジフィルターが使用可能である。電気泳動の手法としては、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動法である、ネイティブ−PAGEやブルーネイティブ−PAGEなどが利用できる。電気泳動に供するサンプルとしては、精製されたHAO、菌体の破砕上清、土壌サンプル、活性汚泥など、およびそれらにHAO阻害剤を添加したサンプルでよい。あらかじめ濃度または活性が知られている精製HAOをマーカーとして用いれば、HAO活性の簡易定量もできる。

0015

本発明のHAOの活性測定方法は、ハイスループットスクリーニングに適用可能であり、硝化反応の中心的酵素であるHAOのインヒビターをスクリーニングすることができる。

0016

本発明はまた、液体培地格納容器内に隔離して設置された微生物を含む試料格納容器内で、微生物を培養することを含み、微生物を含む試料格納容器は、細孔を有する、微生物の培養方法を提供する。

0017

本発明による微生物の培養方法では、液体培地と微生物を含む試料との体積比が、10:1〜1000:1、好ましくは100:1〜800:1、より好ましくは200:1〜600:1、最も好ましくは400:1であればよい。

0018

本発明による微生物の培養方法では、液体培地格納容器は、1〜50L、好ましくは3〜30L、より好ましくは20Lのボトルであればよいが、これらに制限されず、液体培地格納容器のスケールアップ及び微生物を含む試料格納容器のスケールアップが容易であることを特徴とする。微生物を含む試料格納容器は、いかなる形状であってもよいが、例えば筒、チューブ、皿状などであり、好ましくはチューブである。微生物を含む試料格納容器は、細孔を有し、細孔は、培地成分交換不足による増殖抑制を起こしにくくするためには50KDa以上、微生物を通過させないためには1000KDa以下の分画分子量(MWCO)である。微生物を含む試料格納容器は、好ましくはそのような分画分子量を有する透析チューブである。微生物を含む試料格納容器の封入口は、殺菌されていることが好ましい。

0019

本発明による微生物の培養方法では、Journal of Environmental Biotechnology(環境バイオテクノロジー学会誌)Vol.7, No.2, 69-73, 2007に記載されているような難培養微生物、さらに詳しくは非常に低い濁度(OD600が0.2以下)の細胞数ベルで静止期に達する難培養微生物を培養することができる。そのような微生物は例えばアンモニア酸化細菌、アンモニア酸化古細菌又は亜硝酸酸化細菌鉄還元細菌硫黄還元菌、アナモックス菌であり、アンモニア酸化細菌の例としてはNitrosomonas属、Nitrosococcus属、Nitrosospira属などが挙げられるが、これらに限定されない。

0020

本発明による微生物の培養方法を用いれば、難培養微生物であっても微生物を効果的に培養することができ、菌体回収の際に培地の遠心分離の手間が格段に簡素化できる。特には、本発明による微生物の培養方法を用いれば、ヒドロキシルアミン酸化還元酵素(HAO)を効果的に製造することができる。

0021

本発明のHAOの製造方法は、HAOを含む試料からHAOを精製することを含み、精製においてHAOが含まれる画分を判別するためにHAOの活性を測定する工程を含んでよい。HAOの活性を測定する工程は、好ましくは本発明のHAOの活性測定方法を適用してもよいが、これに限定されない。

0022

本発明のHAOの製造方法は、例えば、本発明の微生物の培養方法により微生物を培養し、HAOを含む微生物の菌体を破砕した後、上清画分カラムにかけ、HAOの活性を測定する方法を用いてHAOを含む画分を検出し、必要に応じてさらに低酸素濃度条件下でカラムにかける工程を含む。本発明のHAOの製造方法で用いられるカラムとしては、陰イオン交換カラムゲルろ過カラムハイドロキシアパタイトカラム、強陰イオン交換カラム、強陽イオン交換カラムなどが挙げられるが、これらに限定されない。HAOの製造は、好ましくは低酸素濃度条件下、より好ましくは0.5%以下の酸素濃度条件下で行われる。

0023

本発明のHAOの製造方法は、保存のために精製されたHAOを乾燥する工程を含んでもよい。

0024

次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。

0025

1.HAOの製造
ヒドロキシルアミン酸化還元酵素を製造した。HAOはアンモニア酸化細菌から精製し、溶液状態または乾燥後に低酸素濃度条件下で保存した。

0026

1.1微生物の培養
1.1.1菌株
以下5種のアンモニア酸化細菌を利用した。
菌株1:Nitrosomonas europaea NBRC14298 (NBRC*1より購入)
菌株2:Nitrosococcus oceaniATCC19707 (米国ATCC*2より購入)
菌株3:Nitrosomonas sp. NBRC108559 (NBRCより購入)
菌株4:Nitrosomonas cryotolerans ATCC49181 (ATCCより購入)
菌株5:Nitrosospira multiformis ATCC25196 (ATCCより購入)
*1NBRC:独立行政法人製品評価基盤研究機構バイオテクノロジーセンター
*2ATCC: American type culture collection

0027

1.1.2培地
使用した培地の組成は、以下の通りであった。
1.1.2.1 培地1
菌株1:Nitrosomonas europaea NBRC14298
菌株5:Nitrosospira multiformisATCC25196
の培養に使用する培地

0028

0029

水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.8に調製後、オートクレーブした。

0030

1.1.2.2培地2(人工海水培地
菌株2:Nitrosococcus oceaniATCC19707
菌株4:Nitrosomonas cryotolerans ATCC49181
の培養に使用する培地

0031

0032

水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.8に調製後、オートクレーブした。

0033

1.1.2.3培地3(NBRC medium 1201)
菌株3:Nitrosomonas sp. NBRC108559
の培養に使用する培地

0034

0035

水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.8に調製後、オートクレーブした。

0036

1.1.2.4トレースエレメント混合用液(微量元素溶液
以下成分を純水1Lに溶解させた。

0037

0038

1.1.3培養方法
微生物は、通常の培養方法と、本発明による透析チューブを利用した培養方法の2通りで培養した。透析チューブ法では、100mLの培地に菌体を懸濁し、そこから50mLをとって、50mL透析チューブに封入し、チューブを20Lの培地に沈めて培養した。この方法によれば、培養時間は長くなるが、大量の培地の遠心分離による菌体回収が不要になった。

0039

1.1.3.1 前培養
各菌株を、菌株に適した30mLの培地を入れた、換気フィルター付50mLプラスチック試験管バイオリアクターチューブ、TPP社)にて培養した。アンモニア酸化細菌は亜硝酸分泌するため、増殖に伴いpHが低下し、pH6程度になると定常状態となり増殖が停止する。そのため、培地中に含まれるpH指示薬フェノールレッドが黄色(pH6.0付近)になるまで1週間程度培養した。

0040

1.1.3.2透析チューブを用いない通常の培養方法
透析チューブを用いない通常の培養では、前培養された30mLの培養液を20L培地入りの20Lプラスチックボトル(Nalgeneクリアボーイ:サーモフィッシャーサイエンティフィック社)に入れ、培養を行った。培養は、オートクレーブ済みベントフィルター(Millex-FG:ミリポア社)を通した空気をエアーポンプで毎分2.5L送り込み、室温26℃の部屋にて行った。1週間後、培地中のpH指示薬が黄色(pH6.0)になったため、培養を終了した。培養液は500mLのプラスチック遠沈管に移し、7, 000gの遠心分離を複数回行ない集菌した。集菌した菌体は、培地を完全に除去後に50mLプラスチック試験管に入れ、窒素ガスを封入し低酸素濃度条件にした後、酵素精製作業を行うまで−80℃のフリーザーで保存した。各菌の菌体量は、20Lの培地あたり1〜2g程度であった。

0041

1.1.3.3透析チューブを用いた培養方法
前培養された少量の菌体を透析チューブに封入した後、大量の培地が入った大型ボトルにて継続的に培養した。具体的には、以下の通りに行った。

0042

前培養した30mL程度の培地中の菌体を、7,000gの遠心分離によって回収し、50mLの新しい培地に再懸濁した。再懸濁した菌体は、オートクレーブ滅菌済みの透析チューブ(Spectra/Pore(R)6 Dialysis Membrane MWCO:50 kD:SPECTRUM社)に入れ、オートクレーブ滅菌済みの透析チューブ用クリップ(SPECTRUM社)で封入した。また、封入口付近に付着した菌が外部の培地中で増殖するのを防止するために、封入口を殺菌用エタノール和光純薬工業社)及びイソジンスクラブ(Meiji Seikaファルマ社)にて殺菌した。

0043

菌体が封入された透析チューブを20L培地入りの20Lプラスチックボトル(Nalgeneクリアボーイ:サーモフィッシャーサイエンティフィック社)に入れ、培養を行った。培養は、オートクレーブ済みベントフィルター(Millex-FG:ミリポア社)を通した空気をエアーポンプで毎分2.5L送り込み、室温26℃の部屋にて行った。3週間後、培地中のpH指示薬が黄色(pH6.0)になったため、培養を終了し、透析チューブの中から菌体を含む培養液を回収した。培養液を50mLのプラスチック遠沈管に移し、15分間の7, 000gの遠心分離にて集菌した。菌体ペレットが入った遠沈管に窒素ガスを封入し、低酸素濃度条件にした後、酵素精製作業を行うまで−80℃のフリーザーで冷凍保存した。各菌の菌体量は、20Lの培地あたり1〜2g程度であった。

0044

前記透析チューブを用いた培養により、6時間以上かかっていた20Lの培地から集菌する手間をなくし、雑菌コンタミリスクを低減することが可能となった。透析チューブ内の約50mLの培地からの集菌は、50mLのプラスチック遠沈管を使用して、20分間7,000gで遠心分離することにより行った。透析チューブを利用した培養の場合は、集菌せずに新しい培地に移すことにより、培養をつづけることも可能であった。また、透析チューブを用いた培養により、増殖が遅いため雑菌がコンタミしやすく、また浮遊しやすく集菌が難しいアンモニア酸化細菌を、格段に効率よく培養でき、回収することができた。

0045

1.2HAOの精製
1.2.1破砕と上清画分の回収
凍結保存されていた約1gの菌体を流水で溶解後、50mLのバッファーA(pH7.5、20mMトリス塩酸緩衝液)に懸濁した。懸濁液を、超音波破砕器(UD-201,トミー社)にてOUTPUT 5.5、DUTY 50にて 15分間破砕した。破砕液を、40,000gで30分間の遠心分離を行った。HAOが含まれる上清画分を35mL回収した。

0046

1.2.2陰イオン交換カラム精製
バッファーAで平衡化された5mLのHiTrap Q HP (GE healthcare社)を直列に3本つなげたカラムに上清画分を添加した。次に、バッファーAとバッファーB(pH7.5、20mMトリス塩酸緩衝液、1M塩化ナトリウム)を用いて、0〜500mMの塩化ナトリウム濃度リニアグラジェントにより溶出を行った。溶出液の分画は3mLずつ行った。HAOを含む画分を検出し、約10mLの溶液を回収した。HAOを含む画分の検出は、後述の1.2.7に記載の方法で行った。

0047

1.2.3ゲルろ過カラム精製
回収した陰イオンカラム溶出画分を、バッファーB (pH7.0、20mMトリス塩酸緩衝液、150mM塩化ナトリウム)で平衡化されたゲルろ過カラムHiLoad 26/600 Superdex 200 prep grade (GE healthcare社)に添加した。次にバッファーBを1.5mL/分で送液し、溶出させた。溶出液の分画は3mLずつ行った。HAOを含む溶出画分を12mL回収した。

0048

1.2.4ハイドロキシアパタイトカラム
回収したゲルろ過カラム溶出画分を、5mLのCHTCeramic Hydroxyapatite担体(Type I、粒子径20μm、BioRad社)が充填され、バッファーC(pH7.5、20mMリン酸カリウム緩衝液)で平衡化された内径1cmのカラムに添加した。次に、バッファーCとバッファーD (pH7.5、500mMリン酸カリウム緩衝液)を用いて、20〜500mMのリン酸カリウム緩衝液のリニアグラジェントにより溶出を行った。溶出液の分画は2mLずつ行った。HAOを含む画分を12mL回収した。

0049

1.2.5 強陰イオン交換カラム、または強陽イオン交換カラム
ハイドロキシアパタイトカラムの溶出画分を、バッファーAで平衡化された強陰イオン交換カラムのMonoQ 10/10 GL(GE healthcare社)に添加した。溶出は、バッファーAとバッファーBを用い、0〜500mMの塩化ナトリウム濃度のリニアグラジェントにて行った。溶出液の分画は2mLずつ行った。最終的に、HAOを含む画分を12mL回収した。なお、Nitrosospira multiformis由来HAOのみMonoQには吸着されなかったため、強陽イオン交換カラムのMonoS 10/100 GL (GE healthcare社)を利用した。

0050

1.2.6酸素に弱いHAOを失活させずに低酸素濃度条件で精製するための工夫
Nitrosomonas europaea及びNitrosococcus oceani以外の菌由来のHAOは、酸素に非常に弱く、2〜3日かかる精製中にその大部分が失活してしまうため、低酸素濃度条件で精製する必要があった。Nitrosomonas europaea及びNitrosococcus oceaniも低酸素濃度条件で精製することで活性の保持が期待できるため、これらも同様に精製を行った。

0051

すべての緩衝液類は、事前に1時間以上窒素ガスを通気することにより脱気を行い、低酸素濃度条件にした。通気に用いた窒素ガスは、低濃度酸素モニターJKO-O2 Ver.3(ジコー社)で検出限界の0.00%の値を示した(以後、酸素濃度0.01%以下と表記)。脱気したバッファー類は、溶存酸素計(MultiLine 3410型光学式DO電極FDO925型付, WTW社)にて検出限界の0.01mg/ml以下になっていることを確認した。

0052

精製中は、クロマトグラフィーシステムフラクションコレクタービニール袋をかぶせ、そこに窒素ガスを常に流すことで低酸素濃度条件を保ったまま精製を行った。ビニール袋内の酸素濃度は0.01%以下であった。さらに、脱気済み緩衝液が入ったガラス瓶にも窒素ガスを常時送り込むことで、酸素が溶け込むのを防止し、低酸素濃度条件を保った。各クロマトテップが終わったら、フラクションチューブに窒素ガスを吹き付けながら、低酸素濃度条件下でサンプル採取を行い、直ちにフタをした。

0053

1.2.7 各精製ステップにおいてHAOが含まれる画分を判別する方法
HAOの精製には、クロマトグラフィーシステムのAKTA Explore (GE healthcare社)を用いた。HAOを含む画分の判別は、AKTAによる3波長の吸光測定{280nm (タンパク質)、409nm(ヘム)、463 nm (HAO特有のヘムP460)}、レサズリン法によるHAO蛍光活性測定(pH5.6のリン酸クエン酸緩衝液を使用)、SDS−PAGEによるバンド確認を併用して行った。

0054

1.3HAOの保存法
1.3.1溶液による保存(短期保存)
酸素濃度0.01%以下のグローブボックス中で、O−リング付きの1.5mLスクリューキャップチューブ(深江化成社)に保存した。

0055

1.3.2 乾燥による保存(長期保存)
5nMのHAO溶液(バッファーB)を384穴マイクロプレート(Greiner bio-one社)の各ウェルに0.1μLずつスポットし、室温で自然乾燥させた。1日程常温放置した後、後述の蛍光法で活性を測定したところ、乾燥前にくらべ80%程度の活性が残っていた。乾燥後は、プレートアルミシート張り低温で保存すれば長期保存が可能であった。すべての操作は、酸素濃度が0.01%以下の低酸素濃度条件下のグローブボックス内で行った。

0056

2HAO蛍光活性測定法(レサズリン法)
2.1試薬調製
測定のために長期保存可能な3種のストック溶液を調製した。

0057

2.1.1 4倍希釈用基質(ヒドロキシルアミン)のストック溶液調製
超純水を用い4mM塩酸ヒドロキシルアミン溶液(東京化成工業社)を調製し、10mLずつ15mLサイズのプラスチックチューブ分注した。このとき、超純水は事前に十分脱気し、作業は低酸素濃度条件下のグローブボックス内(酸素濃度0.01%以下)で行った。調製済みの溶液は、−80℃で冷凍保存した。

0058

2.1.2 4倍希釈用の電子受容体のテトラゾリウム塩(レサズリン塩)のストック溶液調製
前述のヒドロキシルアミンと同様に、400μMレサズリンナトリウム溶液(和光純薬工業社)を調製した。作業は低酸素濃度条件下のグローブボックス内(酸素濃度0.01%以下)で行った。−80℃で冷凍保存した。

0059

2.1.3 2倍希釈用の緩衝液のストック溶液調製
測定用緩衝液(100mMリン酸カリウム緩衝液、300mM塩化ナトリウム)を調製した。作業は低酸素濃度条件下のグローブボックス内(酸素濃度0.01%以下)で行った。調製済みの溶液は、4℃で保存した。HAOインヒビターのスクリーニング用にはpH7.0の緩衝液を、HAO精製時のHAOを含む画分の確認用および土壌ダイレクトHAO活性測定用にはpH5.6の緩衝液を用意した。

0060

2.2活性測定の実施法
384穴マイクロプレート(MICROPLATE, 384 WELL, NON-BINDING, F-BOTTOM,BLACK, Greiner Bio-One社)と、分注装置搭載モノクロメーターマイクロプレートリーダー(infinite M1000 PRO: テカン社)を利用して測定した。

0061

2.2.1ストック溶液の混合と分注
液量は、1アッセイ100μLで384穴全面を使用した。プレート1枚分で、38.4mL分のアッセイ溶液が必要であった。まず、4倍希釈用のテトラゾリウム塩のストック溶液10mL、2倍希釈用の緩衝液のストック溶液20mL、5μMのHAO溶液400μLをゆっくり混和した。この時、HAO溶液だけではなく、プレート上で乾燥保存されているHAOも利用可能である。混合液は、16チャンネル電動ピペット(VIAFLO II 125 μL, INTEGRA社)を使用して、75μLずつ384穴マイクロプレートの各ウェルに分注した。

0062

2.2.2基質の添加と測定
基質以外の試薬が分注された384穴マイクロプレートを、プレートリーダーに挿入した。まず、プレートリーダーに備え付けられたインジェクターによって、基質である4倍希釈用のヒドロキシルアミンストック溶液を全ウェルに25μLずつ添加し、反応系において、レサズリンに対するヒドロキルアミンを10倍量(モル比)とした。その後、ただちに蛍光測定を開始した(励起波長462nm:波長幅20nm、測定波長482nm:波長幅 20nm)。測定はカイネティックスモードで行い、全ウェルを1分毎に1回測定し、それを5時間続けた。測定は常温で行った。測定値は、2時間程度で最大蛍光強度に達した。活性の比較には、酵素活性の初速、または2時間未満の時点での活性値が利用可能であった。

0063

3蛍光活性測定法の応用
3.1HAOインヒビタースクリーニングへの適用
3.1.1試薬条件の検討
レサズリン法によるHAO蛍光活性測定をHAOインヒビターのスクリーニングに用いることを検討した。具体的には、化合物溶媒として多用されるジメチルスルホキシドDMSO)濃度、化合物の非特異的阻害の原因となるケミカルアグリゲーション防止のための界面活性剤濃度を検討した。前述の活性測定法に沿い、ストック溶液の混合時に同時にこれらの添加物類も混合することにより検討した。その結果、一般的に使われる0.03%Triton−X 100(界面活性剤)では、特に蛍光測定の妨害効果は見られなかった。しかし、DMSOは、その濃度と比例して顕著な蛍光の低下が見られたが、0.5%程度のDMSO濃度であれば、十分な測定(DMSOなしの場合に比べて半分程度の活性値)が可能である事がわかった。

0064

3.1.2アッセイ用化合物ライブラリの準備
レサズリン法を用いたスクリーニング実験に供するHAOインヒビター候補化合物を絞り込むため、まずin silicoスクリーニングを行った。

0065

Nitrosomonas europaea由来HAO及びNitrosomonas oceani由来HAOの結晶構造をもとに、創薬支援ソフトウェアMOE(CCG社)を使ったファーマコフォアサーチを市販化合物530万種のライブラリ(ナミキ商事)に対して行い、基質ミミック型の化合物を探索した。その結果、ヒット化合物1000種を得て、実際に70種を購入した。それらのうち、100mMの濃度でDMSOまたは水に溶解可能であった40種の化合物をスクリーニング用化合物ライブラリとした。

0066

3.1.3スクリーニングの実施
スクリーニング用化合物ライブラリに対してレサズリン法によるHAO蛍光活性測定を行い、それら化合物の阻害効果を検証した。40種の化合物は、分子生物学用DMSO(和光純薬工業社)または、超純水に 100mMの濃度で溶解させ、さらに2倍希釈系列を16系列(100mM、50mM、25mM、12.5mM、6.25mM、3.13mM、1.56mM、0.78mM、0.39mM、0.19mM、97μM、48.8μM、24.4μM、12.2μM、6.1μM、3.1μM)作成した(終濃度はこれらの1/200の濃度となる)。ポジティブコントロールとして、既知のHAOインヒビターであるフェニルヒドラジンも同様な希釈系列を作成した。各濃度の化合物0.5μLを16チャンネル電動ピペット(VIAFLO II 12.5 μL, INTEGRA社)にて、384穴マイクロプレート(MICROPLATE, 384 WELL, NON-BINDING, F-BOTTOM,BLACK, Greiner Bio-One社)の空ウェルに添加した。緩衝液・レサズリン溶液・HAO溶液の各ストック溶液の混合液を400ウェル分準備し、384ウェルに対し1ウェルあたり75μLを16チャンネル電動ピペット(VIAFLO II 125 μL, INTEGRA社)で添加した(1ウェルあたりの組成は、2倍希釈用緩衝液を50μL、4倍希釈用400μMレサズリンを25μL、5nM HAOを0.5μLとなる)。プレートは、試薬インジェクター蛍光プレートリーダー(infinite M1000 PRO, テカン社)に挿入し、4倍希釈用4mMヒドロキシルアミンストック溶液を1ウェルあたり25μL添加し、反応系において、レサズリンに対するヒドロキシルアミンを10倍量(モル比)とした。2時間のインキュベート後に蛍光測定(励起波長562nm:波長幅20nm、測定波長592nm:波長幅 20nm)を行った。蛍光強度が化合物無添加の場合の10%以下に低下した候補化合物Aをヒット化合物として見出した。

0067

3.1.4候補化合物Aの50%阻害濃度の決定
スクリーニングによって得られた候補化合物AのHAOに対する50%阻害濃度の決定をレサズリン法によるHAO蛍光測定によって行った。ポジティブコントロール用のインヒビターとして、Nitrosomonas europaea由来HAOの非可逆的インヒビターとして公知のフェニルヒドラジン(東京化成工業社)を用いた。

0068

HAOは、Nitrosomonas europaea由来のものを用いた。フェニルヒドラジン及び候補化合物Aは、DMSOに 25mMの濃度で溶解させ、さらに2倍希釈系列を15系列(25mM、12.5mM、6.25mM、3.13mM、1.56mM、0.78mM、 0.39mM、0.19mM、97μM、48.8μM、24.4μM、12.2μM、6.1μM、3.1μM、1.5μM)作成した(終濃度はこれらの1/200の濃度となる)。これらを、ピペットを用いて384穴マイクロプレートに0.5μLずつスポットした。各濃度n=4となるようにした。

0069

次に、前述の3.1.3の条件に従って測定を行った。50%阻害濃度(IC50)を求めるため、GraphPad Prism 6 (GraphPad社)を用いて非線形フィッティングを行った。その結果、フェニルヒドラジンと候補化合物AのNitrosomonas europaea由来HAOに対するIC50値は、それぞれ276nM及び43nMと求まった。

0070

3.1.5アンモニア酸化細菌の硝化活性に対する候補化合物Aの阻害効果の測定
候補化合物Aの硝化抑制効果(アンモニア酸化細菌の硝化活性の阻害作用)の検証をアンモニア酸化細菌(Nitrosomonas europaea)の生菌を利用して行った。アンモニア酸化細菌として、各菌は大量培養後(pH6.0付近に達したら集菌)に同容量のフレッシュな培地に交換した。菌体を384穴Deep well plate (BIO-BIK 社)に100μLずつ分注した。各インヒビターの希釈系列溶液(DMSOに溶解)を0.5μL添加した(n=4または3)。2000rpmで1分間撹拌した。空気透過型プレートシール細胞培養プレートシールAeraSeal社)を張ったのち、常温で12時間インキュベートした。インキュベート後、2000rpmで1分間撹拌した。各ウェル1μLの培地を、50μLのGreiss Reagent A液入りの384穴マイクロプレートに移した。各ウェルに50μLのGreiss Reagent B液を追加した。15分発色させた後、プレートリーダーで吸光(545nm)を測定。GraphPad Prism6ソフトウェアマニュアルに従って50%阻害濃度(IC50)を計算した。候補化合物AのIC50は1.8μMであった。この実験は、Greiss Reagentの文献(Giustarini, D., Rossi, R., Milzani, A., & Dalle-Donne, I. (2008). Nitrite and nitrate measurement by Griess reagent in human plasma: evaluation of interferences and standardization. Methodsin enzymology, 440, 361-80. doi:10.1016/S0076-6879(07)00823-3)を参照した。
A: 2 × Sulfanilamideストック溶液
2% (w/w) sulfanilamide (和光純薬工業社)
12%(v/v) phosphoric acid (リン酸)生化学用(和光純薬工業社)
B: 2 × NED ストック溶液
0.2% (w/w) N-(1-naphthyl)ethylenediamine(NED)(和光純薬工業社)
保存条件:どちらも遮光ビンに入れ4℃保存

0071

3.2アンモニア酸化細菌を含む微生物群集(土壌など)からの直接のHAO活性の検出
土壌サンプルなどの微生物群集からダイレクトにHAO活性を測定する方法を開発した。この方法により、土壌のアンモニア酸化細菌の菌体量や硝化活性を推定することが可能となった。

0072

土壌サンプル0.5gを12ウェルプレート(Corning社)に入れた。250μLのpH5.6の2倍希釈用リン酸カリウム緩衝液と、125μLの4倍希釈用レサズリンストック溶液を添加した。5分間、300rpmで回転振盪させた。125μLの4倍希釈用ヒドロキシルアミンストック溶液を添加し、反応系において、レサズリンに対するヒドロキシルアミンを 10倍量(モル比)とした。

0073

この時、ネガティブコントロールとして、オートクレーブ滅菌した土壌サンプルを用いた。さらに、HAO以外の酵素によるレサズリン還元活性を除くために、スクリーニングによって得られたHAOインヒビターの候補化合物Aを添加したウェルを用意した。阻害剤候補Aの添加濃度は、Nitrosomonas europaeaに対するIC50=1.8μMに対して十分に高い100μMとした。

0074

土壌サンプルは、固形物や浮遊物を含むため、これらが励起光遮蔽または乱反射することで、測定上のノイズとなる。しかし、プレートウェル内の土壌サンプルにメッシュをかぶせることで、水流を遮らずに浮遊物をウェル底に固定することが可能となった。具体的には、12穴プレートのウェルに0.5gの土壌を入れ、その上から各ウェルにメッシュ付カップネットウェル(Netwell Insert 74μm Polyester Mesh 15mm Insert, 12 Well Plate: Corning社)をはめ込んだ。なお、ネットウェルは本来メッシュカップの上側に動植物組織を入れ、移植片培養や免疫染色を行うためのものであり、本法のように蛍光測定の際に固形物を押し込むために使用された例は知られていない。また、ネットウェルはプレート上に5mmほどはみ出すため、そのままではプレートリーダー(infinite M1000 PRO, テカン社)には挿入できなかった。そこで、発泡スチロール用の電熱線カッターでネットウェルの上部をカットしてからプレートにはめ込み、プレートリーダーに挿入した。

0075

測定は、プレートリーダー(infinite M1000 PRO,テカン社)を使用し、カイネティックスモードで1分ごとに蛍光測定(励起波長562nm:波長幅20nm、測定波長592nm:波長幅 20nm)を行った。測定を行っていない間は、プレートリーダーのシェイク機能を使い、150rpmで回転振盪させ、室温(26℃)でインキュベーションを行った。

0076

最も蛍光強度の高くなったインキュベーション時間60分において、無処理ウェルと阻害剤添加ウェルの相対蛍光強度の差から、その土壌サンプル中に存在するHAO由来の値を求めた。

0077

3.3HAOの蛍光活性染色
レサズリンを含むHAO蛍光活性測定法の溶液を、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動であるネイティブ−PAGEを行ったHAOを含む試料に適用することにより、ゲル内のHAO活性を可視化した。

0078

3.3.1電気泳動用サンプルの調製
ネイティブ−PAGEのサンプルには、上記項目1.2.1にて調製したN. europaeaの破砕上清を使用した。また、マーカーとして上記項目1.3.1にて保存したN. europaea由来の精製HAOを使用した。それぞれの溶液は、サンプルバッファー(0.4%ブロモフェノールブルー、50%グリセロール、pH7.5、5mMトリス塩酸塩)と1:1で混合して、ネイティブ−PAGEに供した。

0079

3.3.2ネイティブ-PAGE電気泳動
ネイティブ−PAGE電気泳動にはe−PAGEL15%ポリアクリアルアミド既成ゲル(ATTO社)を用い、取り扱い説明書に従って行った。泳動層にゲルをセットした後、各ウェルに10μLのサンプルをそれぞれ2レーンずつアプライした。ゲル電気泳動は、ネイティブ−PAGE用泳動バッファー(25mMトリス塩酸、192mMグリシン)を用い、300V、20mAで80分間、室温(約25℃)で通電した。

0080

3.3.3ゲルのレサズリン入り緩衝液処理
電気泳動の後、ゲルをレサズリン含有緩衝液 30mL(上記項目2.1.2に記載の4倍希釈用レサズリン溶液10mLと上記項目2.1.3に記載の2倍希釈用測定用緩衝液(pH5.6) 20mLを混合した溶液)中で5分以上振盪反応させ、ゲル中にレサズリン含有緩衝液を浸透させた。

実施例

0081

3.3.4ゲルの可視化
ゲルをレサズリン含有緩衝液からアクリルトレイ上に移し、余分な溶液をキムワイプで除去した。ゲルに上記項目2.1.1で調製した基質のヒドロキシルアミン溶液1mLをまんべんなくかけ、数秒後に余分な溶液をキムワイプで除去した。30秒ほど反応させた後、シアン色(波長480−530nm)のゲルイメージング光源Cyanoview(ATTO社)、およびオレンジフィルター(ATTO社)により、バンドの蛍光染色を確認し、デジタルカメラにて撮影した(図5)。その結果、N. europaeaの破砕上清のレーンで蛍光を発しているバンドが1つあることが確認された。このバンドの位置は、マーカーとして使用したN. europaea由来の精製HAOのバンドと同等な位置に存在しており、HAOのバンドであることが確認された。バンドの蛍光強度から、サンプル中のHAO活性を簡易的に定量することが可能であった。

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