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課題・解決手段

涙液油層を安定化させ、涙液油層を角膜表面上に十分に伸展させることで、角膜表面上の涙液水層蒸散を防止し、マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ症状の改善、緩和、または治療に好適な涙液油層安定化剤、これを配合した点眼剤および涙液油層安定化方法を提供する。 上記涙液油層安定化剤は、重量平均分子量10,000〜5,000,000であり、2−(メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)10〜90モル%およびアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)90〜10モル%を含有する共重合体を含む。

概要

背景

テレビコンピュータ携帯端末などの利用により目を酷使することは、瞬目が減少し、さらには冷暖房による空気の乾燥によって涙液蒸発し、ドライアイ症状を引き起こすことが広く知られている。ドライアイとは、角膜表面へのダメージによって不快感視機能異常および涙液層不安定化が生ずる涙液や角膜表面の多因子疾患非特許文献1)であるとされている。このドライアイ症状の予防、改善および治療には点眼剤を用いることが多い。涙液は、水分とムチンとを含む涙液水層と、脂質などを含む涙液油層とに分けることができる(非特許文献2)。ドライアイ症状の予防、改善や治療には、基本的には涙液水層へのアプローチが取られることが多い。

涙液水層へのアプローチとは、涙液水層中の水分に着目し、水分の補給を行うことでドライアイ症状の緩和・改善を図るものである。このアプローチは人工涙液として従来から広く行われている治療法である(非特許文献3)。また、近年、涙液水層中のムチンに着目し、ムチン産生促進による涙液水層の安定化(涙液水層が破断せずに、角膜表面上に均一に濡れ広がること)を図るアプローチも知られている。ムチン産生促進効果を有するDiquafosolおよびRebamipideといった薬剤が開発され、それらはドライアイ治療に用いられており、高い治療効果を挙げていることが報告されている(非特許文献4、非特許文献5)。

近年、マイボーム腺機能不全機能低下などにより、涙液油層の分泌量が減少することで生じるドライアイ(マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ)が少なからずあることが知られている(非特許文献6)。本来であれば、涙液水層の表面を涙液油層が覆うことで、水層の蒸発を抑制し、ドライアイ状態となることを防ぐのであるが、涙液水層全体に伸展できるだけの涙液油層が分泌されず、涙液水層を保護できなくなり、涙液水層の蒸発が亢進し、結果としてドライアイ症状を発症してしまうものである。この蒸発亢進型ドライアイに対しては、油性成分を点眼剤に配合することで、点眼剤から涙液油層を補給することが検討されている(特許文献1)。マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ症状を予防・治療等する点眼剤の評価方法として、涙液水層と涙液油層とが2層に分離するかどうかを測定する方法も知られている(非特許文献7、非特許文献8)。

しかしながら、蒸発亢進型ドライアイ用途の点眼薬の開発においては、現実的には、視界曇るなど、眼表面において点眼薬中の油分が分散してしまう現象が起こり、油性成分を点眼することによるドライアイ治療効果も不十分であるのが現状である。

2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンMPC)を含む重合体MPCポリマー)は、親水性の非常に高い重合体である。MPCポリマーの眼科用途の利用については、コンタクトレンズ潤滑剤としての装用感の向上(特許文献3)のほか、これを配合した点眼剤としての細胞傷害性の緩和(特許文献2、非特許文献9)等が知られている程度であり、それ以上の新たな用途は提供されていない。

以上の通り、マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ症状を予防、緩和、改善、または治療する点眼剤については、未だ現状では満足のいくものが得られていない。

概要

涙液油層を安定化させ、涙液油層を角膜表面上に十分に伸展させることで、角膜表面上の涙液水層の蒸散を防止し、マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ症状の改善、緩和、または治療に好適な涙液油層安定化剤、これを配合した点眼剤および涙液油層安定化方法を提供する。 上記涙液油層安定化剤は、重量平均分子量10,000〜5,000,000であり、2−(メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)10〜90モル%およびアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)90〜10モル%を含有する共重合体を含む。

目的

本発明の課題は、涙液油層を安定化させ、涙液油層を角膜表面上に十分に伸展させることで、角膜表面上の涙液水層の蒸散を防止し、マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ症状の予防、緩和、改善、または治療に好適な点眼剤を提供する

効果

実績

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請求項1

重量平均分子量10,000〜5,000,000であり、2−(メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)10〜90モル%およびアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)90〜10モル%を含有する共重合体を含有する、涙液油層安定化剤。(R1は水素原子またはメチル基を示す。)(R2は水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数4〜18のアルキル基を示す。)

請求項2

構成単位(A)が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位であり、構成単位(B)がブチルメタクリレートに基づく構成単位である、請求項1に記載の涙液油層安定化剤。

請求項3

0.001〜5.0w/w%の請求項1または請求項2に記載の涙液油層安定化剤と水とを含有する点眼剤

請求項4

さらに、少なくとも1種の0.001〜10.0w/w%の増粘剤を含有する請求項3に記載の点眼剤。

請求項5

前記増粘剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項4に記載の点眼剤。

請求項6

前記増粘剤が、ヒアルロン酸ナトリウムである、請求項4に記載の点眼剤。

請求項7

前記増粘剤が、ポリビニルアルコールである、請求項4に記載の点眼剤。

請求項8

前記増粘剤が、ポリビニルピロリドンである、請求項4に記載の点眼剤。

請求項9

マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイの予防、緩和、改善、または治療用である請求項3〜8のいずれか一に記載の点眼剤。

技術分野

0001

本発明は、2−(メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位アルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位とを含有する共重合体を用いた涙液油層安定化剤に関し、さらには、これを含有する点眼剤に関する。さらに詳しくは、マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ症状の予防、緩和、改善、または治療用点眼剤に関する。
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願2015-250710号優先権を請求する。

背景技術

0002

テレビコンピュータ携帯端末などの利用により目を酷使することは、瞬目が減少し、さらには冷暖房による空気の乾燥によって涙液蒸発し、ドライアイ症状を引き起こすことが広く知られている。ドライアイとは、角膜表面へのダメージによって不快感視機能異常および涙液層不安定化が生ずる涙液や角膜表面の多因子疾患非特許文献1)であるとされている。このドライアイ症状の予防、改善および治療には点眼剤を用いることが多い。涙液は、水分とムチンとを含む涙液水層と、脂質などを含む涙液油層とに分けることができる(非特許文献2)。ドライアイ症状の予防、改善や治療には、基本的には涙液水層へのアプローチが取られることが多い。

0003

涙液水層へのアプローチとは、涙液水層中の水分に着目し、水分の補給を行うことでドライアイ症状の緩和・改善を図るものである。このアプローチは人工涙液として従来から広く行われている治療法である(非特許文献3)。また、近年、涙液水層中のムチンに着目し、ムチン産生促進による涙液水層の安定化(涙液水層が破断せずに、角膜表面上に均一に濡れ広がること)を図るアプローチも知られている。ムチン産生促進効果を有するDiquafosolおよびRebamipideといった薬剤が開発され、それらはドライアイ治療に用いられており、高い治療効果を挙げていることが報告されている(非特許文献4、非特許文献5)。

0004

近年、マイボーム腺機能不全機能低下などにより、涙液油層の分泌量が減少することで生じるドライアイ(マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ)が少なからずあることが知られている(非特許文献6)。本来であれば、涙液水層の表面を涙液油層が覆うことで、水層の蒸発を抑制し、ドライアイ状態となることを防ぐのであるが、涙液水層全体に伸展できるだけの涙液油層が分泌されず、涙液水層を保護できなくなり、涙液水層の蒸発が亢進し、結果としてドライアイ症状を発症してしまうものである。この蒸発亢進型ドライアイに対しては、油性成分を点眼剤に配合することで、点眼剤から涙液油層を補給することが検討されている(特許文献1)。マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ症状を予防・治療等する点眼剤の評価方法として、涙液水層と涙液油層とが2層に分離するかどうかを測定する方法も知られている(非特許文献7、非特許文献8)。

0005

しかしながら、蒸発亢進型ドライアイ用途の点眼薬の開発においては、現実的には、視界曇るなど、眼表面において点眼薬中の油分が分散してしまう現象が起こり、油性成分を点眼することによるドライアイ治療効果も不十分であるのが現状である。

0006

2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンMPC)を含む重合体MPCポリマー)は、親水性の非常に高い重合体である。MPCポリマーの眼科用途の利用については、コンタクトレンズ潤滑剤としての装用感の向上(特許文献3)のほか、これを配合した点眼剤としての細胞傷害性の緩和(特許文献2、非特許文献9)等が知られている程度であり、それ以上の新たな用途は提供されていない。

0007

以上の通り、マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ症状を予防、緩和、改善、または治療する点眼剤については、未だ現状では満足のいくものが得られていない。

0008

国際公開第2006/009112号パンフレット
国際公開第2015/029717号パンフレット
国際公開第2002/015911号パンフレット

先行技術

0009

2007 Report of the International Dry Eye Workshop(DEWS)
Ilene K. Gipson, Distribution of mucins at the ocular surface,Experimental Eye Res., 78, 379-388, 2004.
Majid Moshirfar et al., Artificial Tears Potpourri: A LiteratureReview, Clinical Ophthalmology, 8, 1419-1433, 2014.
Gillian M. Keating, Diquafosol Ophthalmic Solution 3%: A Review ofIts Use in Dry Eye, Drugs, 75, 911-922, 2015.
Tomoyuki Kashima et al., Rebamipide Ophthalmic Suspension for theTreatment of Dry Eye Syndrome: A Critical Appraisal, Clinical Ophthalmology, 8,1003-1010, 2014.
G.N.Foulks, A.J.Bron,Meibomian gland dysfunction:A clinical schemefor description, diagnostics, classification, and grading.,Ocul. Surf.,1,107-126, 2003.
James E. McDonalds, SurfacePhenomena of Tear Film, Trans. Am. Ophthalmil. Sol, 66, 905-939, 1968.
Jianhua Wang et al., Precornealand Pre- and Postlens Tear Film Thickness Measured Indirectly with OpticalCoherence Tomography, Invest. Ophth. Vis. Sci., 44, 2524-2528, 2003.
Masahito Ayaki et al., Cytotoxicity assays of new artificial tearscontaining 2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine polymer for ocular surfacecells, Jpn. J. Ophthalmol, 55, 541-546, 2011.

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の課題は、涙液油層を安定化させ、涙液油層を角膜表面上に十分に伸展させることで、角膜表面上の涙液水層の蒸散を防止し、マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ症状の予防、緩和、改善、または治療に好適な点眼剤を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位とアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位とを含有する共重合体を、涙液油層安定化剤として用いることで、上記の課題を解決できるとの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。

0012

[1]重量平均分子量10,000〜5,000,000であり、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)10〜90モル%およびアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)90〜10モル%を含有する共重合体を含有する、涙液油層安定化剤。



R1は水素原子またはメチル基を示す。



R2は水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数4〜18のアルキル基を示す。
[2]構成単位(A)が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位であり、構成単位(B)がブチルメタクリレートに基づく構成単位である、前記[1]に記載の涙液油層安定化剤。
[3]0.001〜5.0w/w%の前記[1]または[2]に記載の涙液油層安定化剤と水とを含有する点眼剤。
[4]さらに、少なくとも1種の0.001〜10.0w/w%の増粘剤を含有する前記[3]に記載の点眼剤。
[5]前記増粘剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、前記[4]に記載の点眼剤。
[6]前記増粘剤が、ヒアルロン酸ナトリウムである、前記[4]に記載の点眼剤。
[7]前記増粘剤が、ポリビニルアルコールである、前記[4]に記載の点眼剤。
[8]前記増粘剤が、ポリビニルピロリドンである、前記[4]に記載の点眼剤。
[9]マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイの予防、緩和、改善、または治療用である前記[3]〜[8]のいずれか一に記載の点眼剤。
[10]以下の工程を含む、涙液油層安定化方法、
重量平均分子量10,000〜5,000,000であり、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)10〜90モル%およびアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)90〜10モル%を含有する共重合体を含有する涙液油層安定化剤又は該安定化剤を含有する点眼剤を、ヒトを含む哺乳類投与する工程。



R1は水素原子またはメチル基を示す。



R2は水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数4〜18のアルキル基を示す。
[11]前記ヒトを含む哺乳類は、マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイの予防、緩和、改善、または治療が必要な患者である、前記[10]に記載の涙液油層安定化方法。
[12]重量平均分子量10,000〜5,000,000であり、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)10〜90モル%およびアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)90〜10モル%を含有する、涙液油層安定化用共重合体。



R1は水素原子またはメチル基を示す。



R2は水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数4〜18のアルキル基を示す。
[13]重量平均分子量10,000〜5,000,000であり、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)10〜90モル%およびアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)90〜10モル%を含有する共重合体の涙液油層安定化剤の製造としての使用。



R1は水素原子またはメチル基を示す。



R2は水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数4〜18のアルキル基を示す。

発明の効果

0013

本発明の涙液油層安定化剤、点眼剤および涙液油層安定化方法は、涙液油層を角膜表面上に十分に伸展させることにより角膜表面上の涙液水層の蒸散を防止することができ、マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ症状の予防、緩和、改善、または治療に有用である。

図面の簡単な説明

0014

涙液油層安定化剤の評価に用いた試験液容器を側面から撮影した写真を含む図面である。左側が実施例1−1の容器の態様であり、右側が比較例1−1の容器の態様である。

0015

以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の涙液油層安定化剤は、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)とアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)とを含有する共重合体を含有する又はからなる。

0016

<2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)>
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)は、より具体的には以下の式(A)で表され、式(A')で表される単量体重合によって得られる。

0017

0018

0019

式(A)および式(A')において、R1は水素原子もしくはメチル基のいずれでも良いが、好ましくはメチル基である。本発明に用いる共重合体は、分子鎖中に構成単位(A)を有することによって、涙液油層安定化効果を発現することが出来る。

0020

本発明に用いる共重合体中の構成単位(A)の含有量は、10〜90モル%であり、好ましくは20〜90モル%であり、より好ましくは30〜90モル%である。含有量が10モル%未満であると涙液油層安定化効果が期待できず、含有量が90モル%より多いと、MPCセグメントの有する親水性のため、涙液水層内局在化し、涙液油層を涙液水層上へ伸展させる効果が弱まり、涙液油層安定化効果が望めなくなる。
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの好適な例として、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが挙げられる。

0021

<アルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)>
アルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)は、より具体的には以下式(B)で表され、式(B')で表される単量体の重合によって得られる。

0022

0023

0024

式(B)および式(B')において、R2は水素原子もしくはメチル基のいずれでも良いが、好ましくはメチル基である。R3は炭素数4〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基のいずれでも良い。

0025

具体的には、炭素数4〜18の直鎖状のアルキル基としては、n−ブチル基、n−ペンチル基n−ヘキシル基、n−ヘプチル基n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基が挙げられる。
炭素数4〜18の分岐状のアルキル基としては、t−ブチル基、イソブチル基イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基が挙げられる。

0026

共重合体の親水性と親油性バランスの観点から、直鎖状のアルキル基が好ましく、n−ブチル基、n−ドデシル基、n−オクタデシルがより好ましく、さらにn−ブチル基が最も好ましい。

0027

構成単位(B)を満たす構造を有していれば共重合体の親水性と親油性バランスを損なうことが無いため、いずれでも用いることが出来るが、共重合体の涙液油層安定化効果をより高める観点から、アルキル基含有(メタ)アクリル系単量体の好適な例として、ブチル(メタ)アクリレートラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが挙げられ、さらにブチル(メタ)アクリレートが最も好ましい。

0028

本発明に用いる共重合体は、分子鎖中に構成単位(B)を有することによって、共重合体の親油性を高め、親水性と親油性バランスを損なうことが無く、涙液油層を涙液水層上へ伸展させることができるため、涙液油層安定化効果が高まる。さらに、本発明に用いる共重合体は、構成単位(B)と構成単位(A)を同一高分子鎖中に有することによって、涙液油層安定化剤となる。

0029

本発明に用いる共重合体中の構成単位(B)の含有量は10〜90モル%であり、好ましくは10〜80モル%であり、より好ましくは10〜70モル%である。含有量が10モル%未満で有ると共重合体の親油性が乏しくなり、親水性と親油性バランスが損なわれ、涙液油層の涙液水層上への伸展作用が弱まり、涙液油層安定化効果が望めなくなる恐れがある。また、含有量が90モル%より多いと水への溶解性が低下し点眼剤を製することが困難となる恐れがある。

0030

本発明に用いる共重合体の分子鎖中に含まれる、構成単位(A)と構成単位(B)の組み合わせの好適な例は、涙液油層安定化効果の観点から、以下の組み合わせが挙げられる。
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(A)およびブチル(メタ)アクリレート(B)
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(A)およびステアリル(メタ)アクリレート(B)
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(A)およびラウリル(メタ)アクリレート(B)
本発明に用いる共重合体は、構成単位(A)および構成単位(B)以外の構成単位を含んでいても良いが、好ましくは、構成単位(A)および構成単位(B)のみからなる。

0031

本発明に用いられる共重合体は、特開平11−035605の方法に従って重合を行い得たMPCポリマーおよび特開2004−196868の方法に従って重合を行い得たMPCポリマーを用いることが出来る。
本発明に用いる共重合体の重量平均分子量は10,000〜5,000,000であり、好ましくは、20,000〜1,000,000、より好ましくは50,000〜1,000,000である。重量平均分子量が10,000未満であると親油性が低下し、涙液油層安定化効果が望めなくなり、重量平均分子量が5,000,000より大きいと粘度が急激に上昇し、点眼剤を製することが困難となる恐れがある。

0032

前記共重合体を涙液油層安定化剤(又は涙液油層安定化剤の成分)として使用する場合の配合量は、当該共重合体を組成物(例えば、涙液油層安定化剤を含む製品、点眼剤)全体に対して、0.001〜5.0w/w%、好ましくは0.005〜5.0w/w%、より好ましくは0.01〜5.0w/w%である。配合量が0.001w/w%未満であると、涙液油層安定化効果が得られない恐れがあり、配合量が5.0w/w%より多くても、添加量に見合った効果が得られない。
さらに、前記共重合体を涙液油層安定化剤として点眼剤に含有することにより、脂質等の涙液油層を涙液水層上に薄く均一に伸展させることができ、涙液油層安定化効果を発現する。

0033

本発明に用いる増粘剤としては、カルボキシビニルポリマーヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースアルギン酸、ポリビニルアルコール(完全けん化物と部分けん化物の両方を含む)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールコンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムである。涙液油層安定化効果をより一層向上させる観点から、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウムが好ましい。
これら増粘剤を点眼剤に含有することでより一層、涙液油層を安定化することが出来る。
さらに、増粘剤は、眼表面上の涙液油層安定化剤の滞留性を向上させ、涙液油層安定化効果を持続させることが出来る。
本発明の増粘剤の含有量は、通常、0.001w/w%〜10.0w/w%で有れば良い。より涙液油層安定化効果を高める観点から、0.002〜9.5w/w%が好ましく、より好ましくは0.003〜9.0w/w%、さらに好ましくは0.01〜9.0w/w%である。より詳しくは、以下の通りである。
本発明のカルボキシビニルポリマーの含有量は、通常、0.001〜10.0w/w%で有れば良い。より涙液安定化効果を高める観点から、0.002〜9.5w/w%が好ましく、より好ましくは0.003〜9.0w/w%、さらに好ましくは0.01〜9.0w/w%である。
本発明のヒドロキシエチルセルロースの含有量は、通常、0.001〜5.0w/w%で有れば良い。より涙液安定化効果を高める観点から、0.003〜5.0w/w%が好ましく、より好ましくは0.005〜3.0w/w%、さらに好ましくは0.01〜2.0w/w%である。
本発明のヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量は、通常、0.001〜5.0w/w%で有れば良い。より涙液安定化効果を高める観点から、0.003〜5.0w/w%が好ましく、より好ましくは0.005〜3.0w/w%、さらに好ましくは0.01〜2.0w/w%である。
本発明のメチルセルロースの含有量は、通常、0.001〜5.0w/w%で有れば良い。より涙液安定化効果を高める観点から、0.003〜5.0w/w%が好ましく、より好ましくは0.005〜3.0w/w%、さらに好ましくは0.01〜2.0w/w%である。
本発明のアルギン酸の含有量は、通常、0.001〜10.0w/w%で有れば良い。より涙液安定化効果を高める観点から、0.002〜9.5w/w%が好ましく、より好ましくは0.003〜9.0w/w%、さらに好ましくは0.01〜9.0w/w%である。
本発明のポリビニルアルコールの含有量は、通常、0.001〜10.0w/w%で有れば良い。より涙液安定化効果を高める観点から、0.002〜9.5w/w%が好ましく、より好ましくは0.003〜9.0w/w%、さらに好ましくは0.01〜9.0w/w%である。
本発明のポリビニルピロリドンの含有量は、通常、0.001〜10.0w/w%で有れば良い。より涙液安定化効果を高める観点から、0.002〜9.5w/w%が好ましく、より好ましくは0.003〜9.0w/w%、さらに好ましくは0.01〜9.0w/w%である。
本発明のポリエチレングリコールの含有量は、通常、0.001〜10.0w/w%で有れば良い。より涙液安定化効果を高める観点から、0.002〜9.5w/w%が好ましく、より好ましくは0.003〜9.0w/w%、さらに好ましくは0.01〜9.0w/w%である。
本発明のコンドロイチン硫酸ナトリウムの含有量は、通常、0.001〜5.0w/w%で有れば良い。より涙液安定化効果を高める観点から、0.003〜5.0w/w%が好ましく、より好ましくは0.005〜3.0w/w%、さらに好ましくは0.01〜2.0w/w%である。
本発明のヒアルロン酸ナトリウムの含有量は、通常、0.001〜5.0w/w%で有れば良い。より涙液安定化効果を高める観点から、0.003〜5.0w/w%が好ましく、より好ましくは0.005〜3.0w/w%、さらに好ましくは0.01〜2.0w/w%である。

0034

本発明の涙液油層安定化剤又は点眼剤は、共重合体や増粘剤以外にも必要に応じて一般に点眼剤に使用できる、充血除去成分消炎収斂成分ビタミン類アミノ酸類サルファ剤、糖類、清涼化剤無機塩有機酸の塩、酸、塩基酸化防止剤、安定化剤、防腐剤ムチン分泌促進剤等を配合することが出来る。

0035

充血除去成分としては、例えば、エピネフリンまたはその塩、塩酸エフェドリン塩酸テトラヒドロゾリンナファゾリンまたはその塩、フェニレフリン塩酸メチルエフェドリンが挙げられる。

0037

サルファ剤としては、例えば、スルファメトキサゾールまたはその塩、スルフイソキサゾールスルフイソミジンナトリウムが挙げられる。
糖類としては、例えば、ブドウ糖マンニトールソルビトールキシリトールトレハロースが挙げられる。
清涼化剤としては、例えば、メントールカンフルが挙げられる。

0038

無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム塩化カリウムホウ砂炭酸水素ナトリウムリン酸水素ナトリウム無水リン酸二水素ナトリウムが挙げられる。
有機酸の塩としては、例えば、クエン酸ナトリウムが挙げられる。
酸としては、例えば、ホウ酸リン酸クエン酸硫酸酢酸、塩酸が挙げられる。
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム水酸化カリウムトリスヒドロキシメチルアミノメタンモノエタノールアミンが挙げられる。

0039

酸化防止剤としては、例えば、酢酸トコフェロールジブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウムグリシンが挙げられる。

0040

防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウムクロルヘキシジングルコン酸塩ソルビン酸カリウムメチルパラベンエチルパラベンプロピルパラベンイソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、塩酸ポリヘキサニドが挙げられる。
ムチン分泌促進剤としては、例えば、ジクアホソルナトリウムレバミピドが挙げられる。
本発明に用いる水としては、安全性の点から、純水、精製水イオン交換水などが好ましい。

0041

本発明の涙液油層安定化剤を含む具体的な製品形態としては、次のようなものを例示することが出来る。医療用点眼薬、一般点眼薬、抗菌性点眼薬、洗眼薬コンタクトレンズ装着液、人工涙液等が挙げられる。

0042

本発明の点眼剤の製造方法について説明する。
本発明の点眼剤は、本発明の共重合体(涙液油層安定化剤)、並びに所望により、本発明に用いる増粘剤、および/又は上記の一般に点眼剤に使用できる成分を、室温〜80℃程度の水中に添加、攪拌して溶解させることにより製造することができる。また前記共重合体と前記増粘剤、前記一般に点眼剤に使用できる成分の添加順序としては、どの成分から添加してもよい。
製造における加熱、冷却及び攪拌は溶液全体を均一に加熱、冷却及び攪拌することができればよく、いずれも公知の器具、装置を用いることができる。

0043

本発明は、以下の工程を含む、涙液油層安定化方法も対象とする。
重量平均分子量10,000〜5,000,000であり、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)10〜90モル%およびアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)90〜10モル%を含有する共重合体を含有する涙液油層安定化剤又は該安定化剤を含有する点眼剤を、ヒトを含む哺乳類に投与する工程。



R1は水素原子またはメチル基を示す。



R2は水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数4〜18のアルキル基を示す。

0044

本発明の涙液油層安定化方法は、特に限定されないが、例えば、本発明の涙液油層安定化剤又は本発明の点眼剤0.01〜0.2mLを、1日あたり1〜10回、1〜8回、1〜6回、1〜4回、1〜3回(好ましくは、、昼、晩)あらゆる角度から目(眼球)に滴下することが可能である。
涙液油層安定化方法の対象は、特に限定されないが、ヒトを含む哺乳類であり、好ましくはマイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイの予防、緩和、改善、または治療が必要な患者を対象とする。

0045

本発明は、重量平均分子量10,000〜5,000,000であり、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)10〜90モル%およびアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)90〜10モル%を含有する、涙液油層安定化用共重合体も対象とする。



R1は水素原子またはメチル基を示す。



R2は水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数4〜18のアルキル基を示す。

0046

本発明は、重量平均分子量10,000〜5,000,000であり、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)10〜90モル%およびアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B)90〜10モル%を含有する共重合体の涙液油層安定化剤の製造としての使用も対象とする。



R1は水素原子またはメチル基を示す。



R2は水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数4〜18のアルキル基を示す。

0047

以下の実施例および比較例により、本発明およびその効果を具体的に説明する。
実施例および比較例において用いた共重合体は、次の通りである。

0048

MPCポリマー(1):2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(A)・ブチルメタクリレート(B)共重合体[共重合組成比モル比)80/20、重量平均分子量:600,000]であり、特開平11−035605の実施例記載の方法によって重合を行って得られた。
MPCポリマー(2):2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(A)・ブチルメタクリレート(B)共重合体[共重合組成比(モル比)30/70、重量平均分子量:142,000]であり、特開2004−196868の実施例記載の方法によって重合を行って得られた。

0049

<涙液油層安定化評価>
眼表面での涙液に関し、涙液水層上に涙液油層が破断せずに存在しかつ分布している状態であれば、涙液油層が涙液水層を覆っているために水分蒸散を抑制し、ドライアイ症状を緩和できる。そして、涙液水層と涙液油層とが混ざり合うことで、全体が白濁分散状態となる場合は、視界が曇る可能性があり、点眼剤を製したとしても利用できない(参考文献:文献1)ことを踏まえて、ドライアイ症状を緩和できる状態を再現、評価する手法を、文献2および文献3を参考に設定した。評価に際して、あらかじめ以下の人工眼脂を調製し、評価手順に従って、涙液油層安定化評価を行った。
なお、本発明における涙液油層安定化効果とは、角膜表面上において、涙液油層を涙液水層上に破断せずに十分に分布させることで、角膜表面上の涙液水層の蒸散を防止する効果である。より簡潔言い換えると、涙液油層を角膜表面上に十分に伸展させることで、角膜表面上の涙液水層の蒸散を防止する効果である。

0050

[人工眼脂調製]
(1)リン酸1.813gおよびホウ酸0.9585gを量り、水を加えて500mLとして、リン酸・ホウ酸緩衝液を作成した。
(2)ビーカーオレイン酸0.06g、リノレン酸0.06g、トリパルミチン0.81g、セチルアルコール0.20g、パルミチン酸0.06g、スパームアセチ0.81g、コレステロール0.06g、パルミチン酸コレステロール0.08gおよびレシチン卵由来)2.83gを上記リン酸・ホウ酸緩衝液100mLに加えた。
(3)ミキサーを用いて均一になるように、上記(2)のリン酸・ホウ酸緩衝液を懸濁させ、これを人工眼脂とした。

0051

[評価手順]
記文献2および文献3を参考に、涙液中に含まれる油分は約3%であることを踏まえて、評価手順を以下(1)〜(3)の通り設定した。
(1)直径40mmのガラス製シャーレに、実施例もしくは比較例の溶液(涙液油層安定化剤を添加した涙液水層を想定)10mLを入れた。
(2)さらに、人工眼脂(涙液油層を想定)0.25mLを加えた。
(3)ガラス製シャーレへ実施例もしくは比較例の溶液及び人工眼脂を加えた直後に、分層性と持続性について、以下の評価基準に従って評価した。
<評価基準(分層性)>
+++:2層分離している
++:僅かに白濁・分散が見られるものの、2層分離している(点眼剤として使用できる)
+:一部に白濁・分散が見られるものの、2層分離している(点眼剤として使用できる)
−:白濁・分散している
<評価基準(持続性)>
2層分離している時間を計測し、涙液油層安定化効果の持続性について評価した。

0052

文献1:Michael A. Lamp et al.,Distribution of Aqueous-Deficient and Evaporative Dry Eye in a Clinic-BasedPatient Cohort: A Retrospective Study, Cornea, 31, 472-478, 2012.
文献2:James E. McDonalds,Surface Phenomena of Tear Film, Trans. Am. Ophthalmol. Soc., 66, 905-939, 1968.
文献3:Jianhua Wang et al.,Precorneal and Pre- and Postlens Tear Film Thickness Measured Indirectly withOptical Coherence Tomography, Invest. Ophth. Vis. Sci., 44, 2524-2528, 2003.

0053

[実施例1−1]
MPCポリマー(1)5gを量り、これに精製水95gを加えて攪拌混合して完全に溶解させ、これを実施例1−1とした。その詳細を下記表1に示す。

0054

[実施例1−2〜実施例1−6、比較例1−1]
表1に示す種類および量の成分を使用した以外は、実施例1−1と同様の手順に従って製造し、それぞれ実施例1−2〜実施例1−6および比較例1−1とした。

0055

実施例1−1〜実施例1−6および比較例1−1について、涙液油層安定化評価を行った。その結果、図1に示すとおり、比較例1−1では白濁・分散状態(分層性の評価結果:−、持続性の評価結果:0秒)となり、涙液油層安定化効果は見られなかった。一方で、実施例1−1については水層上に油層があり2層分離(分層性の評価結果:+++、持続性の評価結果:19秒)しており、涙液油層安定化効果を有した。実施例1−2〜実施例1−5は、実施例1−1と同様に、涙液油層安定化効果を認めた(分層性の評価結果:+〜+++、持続性の評価結果:7秒〜16秒)。また、MPCポリマー(1)をMPCポリマー(2)へと変更した実施例1−6についても2層分離(分層性の評価結果:+、持続性の評価結果:18秒)しており、涙液油層安定化効果を有した。

0056

[実施例2−1]
精製水約80gを量り、80℃になるように加温し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH−50、信越化学工業(株)製)0.1gを加え攪拌混合し、分散させた。室温まで冷却してから、MPCポリマー(1)0.1gを加え攪拌混合して完全に溶解させ、実施例2−1とした。その詳細を表2に示す。

0057

[実施例2−2〜実施例2−8]
表2に示す種類および量の成分を使用した以外は、実施例2−1と同様の手順に従って製造し、それぞれ実施例2−2〜実施例2−8とした。

0058

MPCポリマーと各種増粘剤とを併用した実施例2−1〜実施例2−8では、実施例1−1と同様な方法により、涙液油層安定化評価を行った。
その結果、2層分離(分層性の評価結果:+〜+++)しており、涙液油層安定化効果を有することが分かった。
この結果より、MPCポリマーは涙液油層安定化に寄与しており、さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどといった増粘剤を含む本発明の点眼剤においても、涙液油層安定化効果を発現することが分かった。
さらに、実施例2−7では、MPCポリマー(1)の含有量が、実施例1−1〜実施例1−5よりも少ないにもかかわらず、分層性の評価結果は+++であった。
また、持続性の評価結果について、実施例2−1〜実施例2−8(持続性の評価結果:12秒以上(実施例2−7は30秒より長い))は、実施例1−5(持続性の評価結果:7秒)と比較して、MPCポリマー(1)の含有量が少ないにもかかわらず、涙液油層安定化効果が長く持続した。
これらの結果より、増粘剤を含有すれば、ポリマー含有量が低くても、涙液油層安定化効果が高いことが分かった。すなわち、増粘剤は、液油層安定化効果を増強することができる。

0059

以上の実施例1、2の結果により、本発明の涙液油層安定化剤、点眼剤および涙液油層安定化方法が良好な涙液油層安定化効果を有しており、さらに、マイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイ症状の予防、緩和、改善、または治療用に好適に用いられることが分かった。さらに、本発明の点眼剤に、増粘剤を配合することにより、分層性及び持続性の観点から涙液油層安定化効果を増強できた。

0060

0061

実施例

0062

表中に略記した材料の内容詳細は次の通りである。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(1):メトローズ60SH−50、信越化学工業(株)製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2):メトローズ60SH−4000、信越化学工業(株)製
ヒアルロン酸ナトリウム:シグマアルドリッチ製
ポリビニルアルコール:ゴーセノールEG−40、日本合成化学工業(株)製
ポリビニルピロリドン:ポリビニルピロリドンK−90、和光純薬工業(株)製

0063

涙液油層の安定化を図ることが可能な涙液油層安定化剤、これを配合した点眼剤および涙液油層安定化方法を提供することが出来る。さらに、本発明により提供される涙液油層安定化剤およびこれを含有する点眼剤は、涙液油層を涙液水層上へ十分に伸展させることが出来ることから、角膜表面上の涙液水層の蒸散を防止することができ、さらにマイボーム腺機能不全に起因する蒸発亢進型ドライアイの予防、緩和、改善、または治療に有用である。

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