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技術 防音構造

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 白田真也山添昇吾
出願日 2016年8月16日 (3年6ヶ月経過) 出願番号 2017-536766
公開日 2018年4月26日 (1年9ヶ月経過) 公開番号 WO2017-033804
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 極大周波数 ピーク振動 箔状材料 膨張伸縮 円相当半径 シート状膜 音響モジュール 膜状材料
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図面 (20)

課題・解決手段

次元平面内に配置され、枠、膜及び穴を含む開口部を備える1以上の防音セルを有する単層防音構造を積層してなる積層防音構造であって、単層防音構造は、防音セルの膜の第1固有振動周波数より低周波側に、防音セルの開口部に起因して定まり、かつ透過損失極大となる遮蔽ピーク周波数を有し、単層防音構造の防音セル同士は、距離を開けて積層されており、積層された防音セルの少なくとも一部は、枠、膜、及び開口部の条件が同一であることにより、軽量で薄く、穴の位置及び形状に依存することなく、遮音材としてのロバスト性が高く、かつ安定性があり、通気性があり、熱がこもることが無く、製造適性に優れた防音構造を提供する。

概要

背景

一般的な遮音材は、質量が重ければ重いほど音を良く遮蔽するために、良好な遮音効果を得るために、遮音材自体が大きく重くなってしまう。一方、特に、低周波成分の音を遮蔽することは困難である。一般に、この領域は、質量則と呼ばれ周波数が2倍になると遮蔽が6dB大きくなることが知られている。
このように、従来のほとんどの防音構造は、構造の質量で遮音を行っていたために大きく重くなりまた低周波の遮蔽が困難という欠点があった。
このため、機器自動車、及び一般家庭など様々な場面に対応する遮音材として軽くて薄い遮音構造が求められている。そこで、近年、薄く軽い膜構造に枠を取り付けて膜の振動を制御する遮音構造が注目されている(特許文献1、2、及び3参照)。
この構造の場合、遮音の原理が上記質量則と異なる剛性則となるため薄い構造でも低周波成分をより遮蔽できる。この領域は、剛性則と呼ばれ、枠部分で膜振動が固定されることによって膜が枠開口部と一致する有限サイズのときと同様の振る舞いとなる。

特許文献1においては、貫通孔が形成された枠体と、該貫通孔の一方の開口を覆う吸音材を有し、吸音材の第1の貯蔵弾性率E1が9.7×106以上であり、第2の貯蔵弾性率E2が346以下である吸音体が開示されている(要約、請求項1、段落[0005]〜[0007]、[0034]等参照)。なお、吸音材の貯蔵弾性率は、吸音により吸音材に生じたエネルギのうち内部に保存する成分を意味する。
特許文献1では、実施例では、配合の材料を樹脂又は樹脂とフィラーの混合物とする吸音材を用いることにより、吸音体の大型化を招くことなく、吸音率ピーク値が0.5〜1.0であり、ピーク周波数が290〜500Hzであり、500Hz以下の低周波領域において高度な吸音効果を達成することができるとしている。

また、特許文献2には、複数の個々のセルに分割された、音響的に透過性のある2次元剛性フレームと、剛性フレームに固定されたフレキシブルな材料のシートと、複数のと、を具備する音響減衰パネルであって、複数の個々のセルは、大体2次元セルであり、各錘は、各セルにそれぞれ錘が設けられるようにフレキシブルな材料のシートに固定され、音響減衰パネルの共鳴周波数は、個々の各セルの2次元形状、フレキシブルな材料の柔軟性、及びその上の各錘によって定義される音響減衰パネル、及び音響減衰構造が開示されている(請求項1、12、及び15、図4、第4欄等参照)。
なお、特許文献2には、従来と比較して、この音響減衰パネルは以下の利点があることが開示されている。即ち、(1)音響パネルは非常に薄くできる。(2)音響パネルは非常に軽量(密度が低い)にできる。(3)パネルは広い周波数範囲にわたって質量則に従わないで広い周波数の局部的共振音響材料(LRSM:Locally Resonant Sonic Materials)を形成するために一緒に積層でき、特に、これは500Hzよりも低い周波数で質量則から外れることができる。(4)パネルは容易に、廉価に製造できる(第5欄第65行〜第6欄第5行参照)。
また、特許文献3は、枠となる区画壁仕切られ、板状部材による後壁剛壁)で閉じられ、前部が開口部を形成する空洞の開口部を覆う膜材膜状吸音材)が被せられ、その上から押さえ板が載せられ、膜材の音波による変位が最も生じにくい領域である開口部の周縁部の固定端から膜状吸音材の面の寸法の20%の範囲内の領域(隅部分)にヘルムホルツ共鳴用の共鳴穴が形成された吸音体を開示している。この吸音体においては、共鳴穴を除いて、空洞は閉塞されている。この吸音体は、膜振動による吸音作用とヘルムホルツ共鳴による吸音作用を併せて奏する。

概要

次元平面内に配置され、枠、膜及び穴を含む開口部を備える1以上の防音セルを有する単層防音構造を積層してなる積層防音構造であって、単層防音構造は、防音セルの膜の第1固有振動周波数より低周波側に、防音セルの開口部に起因して定まり、かつ透過損失極大となる遮蔽ピーク周波数を有し、単層防音構造の防音セル同士は、距離を開けて積層されており、積層された防音セルの少なくとも一部は、枠、膜、及び開口部の条件が同一であることにより、軽量で薄く、穴の位置及び形状に依存することなく、遮音材としてのロバスト性が高く、かつ安定性があり、通気性があり、熱がこもることが無く、製造適性に優れた防音構造を提供する。

目的

本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、同一条件の枠、膜、及び開口部の1以上の穴からなる単層防音構造を積層した2層構造とすることにより、軽量で薄く、その穴の位置及び形状に遮蔽周波数及び大きさ等の遮音特性が依存することなく、遮音材としてのロバスト性が高く、かつ安定性があり、通気性があり、風及び熱を通すことができ、熱がこもることが無く、2層構造の距離に応じて、極めて強い防音性能、又は遮音の広帯域化を実現することができ、更に、遮蔽周波数の調整が可能であり、機器、自動車、及び一般家庭の用途に適し、製造適性に優れた防音構造を提供する

効果

実績

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請求項1

次元平面内に配置された1以上の防音セルを有する単層防音構造を積層してなる積層防音構造であって、前記単層防音構造の前記1以上の防音セルの各々は、貫通孔を有する枠と、前記枠に固定された膜と、前記膜に穿孔された1以上の穴からなる開口部と、を備え、前記単層防音構造は、前記1以上の防音セルの前記膜の第1固有振動周波数より低周波側に、前記1以上の防音セルの前記開口部に起因して定まり、かつ透過損失極大となる基本遮蔽ピーク周波数を有するものであり、積層された一方の前記単層防音構造の1つの防音セルと、他方の前記単層防音構造の1つの防音セルとは、距離を開けて積層されており、前記距離を開けて積層された前記防音セルの少なくとも一部は、前記枠、前記膜、及び前記開口部の条件が同一であることを特徴とする防音構造。

請求項2

前記1以上の防音セルは、2次元的に配置された複数の防音セルである請求項1に記載の防音構造。

請求項3

前記積層防音構造は、積層された前記防音セルの固有振動に起因する透過損失が極小となる1つ以上の極小値を有し、該1つ以上の極小値にそれぞれ対応する1つ以上の極小周波数より低周波側に、積層された前記防音セルの前記開口部に起因して定まり、かつ透過損失が極大となる1つ以上の極大値を有し、該1つ以上の極大値にそれぞれ対応する1つ以上の積層遮蔽ピーク周波数を有し、前記1つ以上の積層遮蔽ピーク周波数の各々を中心とする周波数帯域の音を選択的に防音する請求項1又は2に記載の防音構造。

請求項4

前記積層防音構造は、前記1つ以上の極小周波数として、積層された2つの前記単層防音構造の前記第1固有振動周波数とその固有振動及び2層間の気体層による相互作用によって、音の吸収率が極大となる2つ以上の吸収の極大値を有し、該2つ以上の吸収の極大値にそれぞれ対応する2つ以上の吸収の極大周波数を有する請求項3に記載の防音構造。

請求項5

前記積層防音構造では、積層された2つの前記単層防音構造間の前記距離が大きくなるにつれて、前記2つ以上の吸収の極大値にそれぞれ対応する前記2つ以上の吸収の極大周波数が近くなる請求項4に記載の防音構造。

請求項6

前記積層防音構造は、前記1つ以上の積層遮蔽ピーク周波数として、2層に積層された前記防音セルの前記固有振動の相互作用により、積層された前記防音セルの前記開口部に起因して、積層された2つの前記単層防音構造の前記第1固有振動周波数より低周波側に定まり、かつ透過損失が極大となる2つ以上の透過損失の極大値を有し、該2つ以上の透過損失の極大値にそれぞれ対応する2つ以上の積層遮蔽ピーク周波数を有する請求項3に記載の防音構造。

請求項7

前記積層防音構造では、積層された2つの前記単層防音構造間の前記距離が大きくなるにつれて、前記2つ以上の透過損失の極大値にそれぞれ対応する前記2つ以上の積層遮蔽ピーク周波数が近くなる請求項6に記載の防音構造。

請求項8

前記2つ以上の積層遮蔽ピーク周波数の差は、前記距離をaとする時、下記式(1)で表される請求項7に記載の防音構造。Df=C×exp(−b×a)…(1)ここで、前記距離aの単位は、mmであり、b及びcは、定数である。

請求項9

前記定数bは、0.1〜0.2の範囲内の値である請求項8に記載の防音構造。

請求項10

前記積層防音構造の積層された2つの前記単層防音構造間の前記距離は、前記透過損失が極大となる遮蔽ピーク波長長さ未満である請求項3〜9のいずれか1項に記載の防音構造。

請求項11

前記積層防音構造の前記透過損失の前記1つ以上の極大値は、前記単層防音構造が2層に積層されたことにより、前記単層防音構造の前記透過損失の極大値より大きい値を持つ請求項3〜10のいずれか1項に記載の防音構造。

請求項12

前記積層防音構造は、積層された前記防音セルの前記開口部に起因して定まる、積層された2つの前記単層防音構造の前記第1固有振動周波数より、低周波側の前記透過損失の極大値より低周波側において、前記単層防音構造が2層に積層されたことにより、吸収率の極大値を持つ請求項3〜11のいずれか1項に記載の防音構造。

請求項13

前記単層防音構造の前記第1固有振動周波数に対応する前記透過損失の極小値より低周波側の周波数は、10Hz〜100000Hzの範囲に含まれる請求項1〜12のいずれか1項に記載の防音構造。

請求項14

前記枠の円相当半径をR2(m)、前記膜の厚みをt2(m)、前記膜のヤング率をE2(Pa)、前記膜の密度をd(kg/m3)とする時、下記式(2)で表されるパラメータBが、15.47以上235000以下である請求項1〜13のいずれか1項に記載の防音構造。B=t2/R22*√(E2/d)…(2)

請求項15

前記積層防音構造の前記1以上の防音セルが、2次元的に配置された複数の防音セルである時、積層された前記防音セルの内の60%以上が、同一サイズの前記枠、前記膜、及び前記開口部で構成される請求項1〜14のいずれか1項に記載の防音構造。

請求項16

前記積層防音構造の積層された前記防音セルの前記枠は、連続した枠構造を有し、積層された前記防音セルの少なくとも一部では、前記枠構造の両表面の内の少なくとも一方の平面、及び/又は前記両表面の間の中間部分の平面の2つ以上の平面に前記膜が配置されている請求項1〜15のいずれか1項に記載の防音構造。

請求項17

前記積層防音構造の積層された前記防音セルの少なくとも一部では、積層されて隣接する前記防音セルの前記膜の間は、前記枠によって塞がれている請求項1〜16のいずれか1項に記載の防音構造。

請求項18

前記積層防音構造の積層された前記防音セルの少なくとも一部では、前記膜に穿孔された前記開口部同士に重なりがある請求項1〜17のいずれか1項に記載の防音構造。

請求項19

積層された前記防音セルの前記枠、前記膜、及び前記開口部の条件が同一であるとは、前記積層防音構造の積層された前記単層防音構造の前記防音セル間の前記透過損失のスペクトルの第1固有振動周波数及び遮蔽ピーク周波数のそれぞれのズレ量の平均が、10%以下であることを意味する請求項1〜18のいずれか1項に記載の防音構造。

技術分野

0001

本発明は、防音構造係り、詳しくは、枠と、枠に固定された膜と、膜に穿孔された1以上の穴からなる開口部とを有する防音セルが1つ、又は2次元的に配置された複数からなる単層防音構造を積層した多層構造積層防音構造からなり、ターゲットとなる周波数の音を選択的に強く遮蔽するための防音構造に関する。

背景技術

0002

一般的な遮音材は、質量が重ければ重いほど音を良く遮蔽するために、良好な遮音効果を得るために、遮音材自体が大きく重くなってしまう。一方、特に、低周波成分の音を遮蔽することは困難である。一般に、この領域は、質量則と呼ばれ周波数が2倍になると遮蔽が6dB大きくなることが知られている。
このように、従来のほとんどの防音構造は、構造の質量で遮音を行っていたために大きく重くなりまた低周波の遮蔽が困難という欠点があった。
このため、機器自動車、及び一般家庭など様々な場面に対応する遮音材として軽くて薄い遮音構造が求められている。そこで、近年、薄く軽い膜構造に枠を取り付けて膜の振動を制御する遮音構造が注目されている(特許文献1、2、及び3参照)。
この構造の場合、遮音の原理が上記質量則と異なる剛性則となるため薄い構造でも低周波成分をより遮蔽できる。この領域は、剛性則と呼ばれ、枠部分で膜振動が固定されることによって膜が枠開口部と一致する有限サイズのときと同様の振る舞いとなる。

0003

特許文献1においては、貫通孔が形成された枠体と、該貫通孔の一方の開口を覆う吸音材を有し、吸音材の第1の貯蔵弾性率E1が9.7×106以上であり、第2の貯蔵弾性率E2が346以下である吸音体が開示されている(要約、請求項1、段落[0005]〜[0007]、[0034]等参照)。なお、吸音材の貯蔵弾性率は、吸音により吸音材に生じたエネルギのうち内部に保存する成分を意味する。
特許文献1では、実施例では、配合の材料を樹脂又は樹脂とフィラーの混合物とする吸音材を用いることにより、吸音体の大型化を招くことなく、吸音率ピーク値が0.5〜1.0であり、ピーク周波数が290〜500Hzであり、500Hz以下の低周波領域において高度な吸音効果を達成することができるとしている。

0004

また、特許文献2には、複数の個々のセルに分割された、音響的に透過性のある2次元の剛性フレームと、剛性フレームに固定されたフレキシブルな材料のシートと、複数のと、を具備する音響減衰パネルであって、複数の個々のセルは、大体2次元セルであり、各錘は、各セルにそれぞれ錘が設けられるようにフレキシブルな材料のシートに固定され、音響減衰パネルの共鳴周波数は、個々の各セルの2次元形状、フレキシブルな材料の柔軟性、及びその上の各錘によって定義される音響減衰パネル、及び音響減衰構造が開示されている(請求項1、12、及び15、図4、第4欄等参照)。
なお、特許文献2には、従来と比較して、この音響減衰パネルは以下の利点があることが開示されている。即ち、(1)音響パネルは非常に薄くできる。(2)音響パネルは非常に軽量(密度が低い)にできる。(3)パネルは広い周波数範囲にわたって質量則に従わないで広い周波数の局部的共振音響材料(LRSM:Locally Resonant Sonic Materials)を形成するために一緒に積層でき、特に、これは500Hzよりも低い周波数で質量則から外れることができる。(4)パネルは容易に、廉価に製造できる(第5欄第65行〜第6欄第5行参照)。
また、特許文献3は、枠となる区画壁仕切られ、板状部材による後壁剛壁)で閉じられ、前部が開口部を形成する空洞の開口部を覆う膜材膜状吸音材)が被せられ、その上から押さえ板が載せられ、膜材の音波による変位が最も生じにくい領域である開口部の周縁部の固定端から膜状吸音材の面の寸法の20%の範囲内の領域(隅部分)にヘルムホルツ共鳴用の共鳴穴が形成された吸音体を開示している。この吸音体においては、共鳴穴を除いて、空洞は閉塞されている。この吸音体は、膜振動による吸音作用とヘルムホルツ共鳴による吸音作用を併せて奏する。

先行技術

0005

特許第4832245号公報
米国特許第7395898号公報(対応日本特許公開: 特開2005−250474号公報参照)
特開2009−139556号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、従来のほとんどの防音構造は、構造の質量で遮音を行っていたために、大きく重くなり、また、低周波の遮蔽が困難であるという問題点があった。また、防音材としてよく用いられるウレタンシンサレートのような内部に空隙を有するスポンジ構造は、断熱材として用いられるほどに、伝熱性放熱性が悪く、自動車等に用いるためには熱の対策が必須であり、特に、熱源となるエンジン等のすぐ近くに用いることは非常に困難であるという問題点があった。
また、特許文献1に開示の吸音体では、軽量で、吸音率のピーク値が0.5以上と高く、ピーク周波数が500Hz以下の低周波領域において高度な吸音効果を達成することができるが、吸音材の選択の幅が狭く、難しいという問題があった。
また、このような吸音体の吸音材は、枠体の貫通孔を完全にふさぐものであるため、風、及び熱を通す能力がなく熱がこもりがちとなり、特許文献1に開示の特に機器及び自動車の遮音に向かないという問題があった。
また、特許文献1に開示の吸音体の遮音性に関しては通常の剛性則もしくは質量則にしたがってなだらかに変化してしまうため、モータ音など特定の周波数成分がパルス的に強く発することの多い一般の機器や自動車において有効に用いることが困難であった。

0007

また、特許文献2では、音響減衰パネルは、枠、膜、及び錘に組み合わせの構造によって低周波側で大きな遮蔽が得られるとしているが、以下のような問題点があった。
特許文献2に開示の音響減衰パネルでは、膜に錘が必須であるため、構造が重いものとなり機器、自動車、及び一般家庭などに用いることが難しい。
錘を各セル構造に配置するための容易な手段がなく、製造適性がない。また、錘とその膜への接着が必須となり、その分コストも増大する。
錘の重さ、及び膜上での位置に遮蔽の周波数・大きさが強く依存するため、遮音材としてのロバスト性が低く安定性がない。
膜は非通気膜と明示してあるため、風及び熱を通す能力がなく熱がこもりがちとなり、特に機器及び自動車の遮音に向かない。
また、特許文献3では、膜振動による吸音作用とヘルツホルム共鳴による吸音作用を合わせて利用する必要があるので、枠となる区画壁の後壁は板状部材によって閉塞されており、特許文献1と同様に、風、及び熱を通す能力がなく熱がこもりがちとなり、機器及び自動車等の遮音に向かないという問題があった。

0008

本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、同一条件の枠、膜、及び開口部の1以上の穴からなる単層防音構造を積層した2層構造とすることにより、軽量で薄く、その穴の位置及び形状に遮蔽周波数及び大きさ等の遮音特性が依存することなく、遮音材としてのロバスト性が高く、かつ安定性があり、通気性があり、風及び熱を通すことができ、熱がこもることが無く、2層構造の距離に応じて、極めて強い防音性能、又は遮音の広帯域化を実現することができ、更に、遮蔽周波数の調整が可能であり、機器、自動車、及び一般家庭の用途に適し、製造適性に優れた防音構造を提供することにある。
なお、本発明において、「防音」とは、音響特性として、「遮音」と「吸音」の両方の意味を含むが、特に、「遮音」を言い、「遮音」は、「音を遮蔽する」こと、即ち「音を透過させない」こと、したがって、音を「反射」すること(音響の反射)、及び音を「吸収」すること(音響の吸収)を含めて言う(三省堂 大辞林(第三版)、及び日本音響材料学会のウェブページのhttp://www.onzai.or.jp/question/soundproof.html、並びにhttp://www.onzai.or.jp/pdf/new/gijutsu201312_3.pdf参照)。
以下では、基本的に、「反射」と「吸収」とを区別せずに、両者を含めて「遮音」及び「遮蔽」と言い、両者を区別する時に、「反射」及び「吸収」と言う。
また、本発明において、2層構造の距離とは、2層が積層されているときに、その向かい合う膜表面同士の積層方向平均距離を言い、「膜間距離」として定義される。
なお、2層が多少斜めに配置されている場合にも、その向かい合う距離の平均距離を「膜間距離」として定義することができる。

課題を解決するための手段

0009

上記目的を達成するために、本発明の防音構造は、2次元平面内に配置された1以上の防音セルを有する単層防音構造を積層してなる積層防音構造であって、単層防音構造の1以上の防音セルの各々は、貫通孔を有する枠と、枠に固定された膜と、膜に穿孔された1以上の穴からなる開口部と、を備え、単層防音構造は、1以上の防音セルの膜の第1固有振動周波数より低周波側に、1以上の防音セルの開口部に起因して定まり、かつ透過損失極大となる基本遮蔽ピーク周波数を有するものであり、積層された一方の単層防音構造の1つの防音セルと、他方の単層防音構造の1つの防音セルとは、距離を開けて積層されており、距離を開けて積層された防音セルの少なくとも一部は、枠、膜、及び開口部の条件が同一であることを特徴とする。

0010

ここで、1以上の防音セルは、2次元的に配置された複数の防音セルであることが好ましい。
また、積層防音構造は、積層された防音セルの固有振動に起因する透過損失が極小となる1つ以上の極小値を有し、1つ以上の極小値にそれぞれ対応する1つ以上の極小周波数より低周波側に、積層された防音セルの開口部に起因して定まり、かつ透過損失が極大となる1つ以上の極大値を有し、1つ以上の極大値にそれぞれ対応する1つ以上の積層遮蔽ピーク周波数を有し、1つ以上の積層遮蔽ピーク周波数の各々を中心とする一定の周波数帯域の音を選択的に防音することが好ましい。
また、積層防音構造は、1つ以上の極小周波数として、積層された2つの単層防音構造の第1固有振動周波数とその固有振動及び2層間の気体層による相互作用によって、音の吸収率が極大となる2以上の極大値を有し、2つ以上の極大値にそれぞれ対応する2つ以上の吸収に関する極大周波数を有することが好ましい。これは、積層された2つの単層防音構造の第1固有振動周波数とそれらの振動の相互作用によって、固有振動による透過損失が極小となる2つ以上の極小値が存在し、2つ以上の透過損失の極小値にそれぞれ対応する2つ以上の極小周波数と対応している。
また、積層防音構造では、積層された2つの単層防音構造間の距離が大きくなるにつれて、2つ以上の極大値にそれぞれ対応する2つ以上の極大周波数が近くなることが好ましい。これは、2つ以上の極小値にそれぞれ対応する2つ以上の極小周波数が近くなるからである。

0011

また、積層防音構造は、1つ以上の積層遮蔽ピーク周波数として、2層に積層された防音セルの固有振動の相互作用により、積層された防音セルの開口部に起因して、積層された2つの単層防音構造の第1固有振動周波数より低周波側に定まり、かつ透過損失が極大となる2つ以上の極大値を有し、2つ以上の極大値にそれぞれ対応する2つ以上の積層遮蔽ピーク周波数を有することが好ましい。
また、積層防音構造では、積層された2つの単層防音構造間の距離が大きくなるにつれて、2つ以上の極大値にそれぞれ対応する2つ以上の積層遮蔽ピーク周波数が近くなることが好ましい。
また、2つ以上の積層遮蔽ピーク周波数の差は、距離をaとする時、下記式(1)で表されることが好ましい。
Df=C×exp(−b×a) …(1)
ここで、距離aの単位は、mmであり、b及びcは、定数である。
また、定数bは、0.1〜0.2の範囲内の値であることが好ましい。

0012

また、積層防音構造の積層された2つの単層防音構造間の距離は、透過損失が極大となる遮蔽ピーク波長長さ(積層遮蔽ピーク周波数に対応する波長サイズ)未満であることが好ましい。
また、積層防音構造の透過損失の1つ以上の極大値は、単層防音構造が2層に積層されたことにより、単層防音構造の透過損失の極大値より大きい値を持つことが好ましい。
また、積層防音構造は、積層された防音セルの開口部に起因して定まる、積層された2つの単層防音構造の第1固有振動周波数より、低周波側の透過損失の極大値より低周波側において、単層防音構造が2層に積層されたことにより、吸収率の極大値を持つことが好ましい。

0013

また、単層防音構造の第1固有振動周波数に対応する透過損失の極小値より低周波側の周波数は、10Hz〜100000Hzの範囲に含まれることが好ましい。
また、枠の円相当半径をR2(m)、膜の厚みをt2(m)、膜のヤング率をE2(Pa)、膜の密度をd(kg/m3)とする時、下記式(2)で表されるパラメータBが、15.47以上235000以下であることが好ましい。
B=t2/R22×√(E2/d) …(2)
また、積層防音構造の1以上の防音セルが、2次元的に配置された複数の防音セルである時、積層された防音セルの内の60%以上が、同一サイズの枠、膜、及び開口部で構成されることが好ましい。
また、積層防音構造の積層された防音セルの枠は、連続した枠構造を有し、積層された防音セルの少なくとも一部では、枠構造の両表面の内の少なくとも一方の平面、及び/又は両表面の間の中間部分の平面の2つ以上の平面に膜が配置されていることが好ましい。

0014

また、積層防音構造の積層された防音セルの少なくとも一部では、積層されて隣接する防音セルの膜の間は、枠によって塞がれていることが好ましい。
また、積層防音構造の積層された防音セルの少なくとも一部では、膜に穿孔された開口部同士に重なりがあることが好ましい。
また、積層された防音セルの枠、膜、及び開口部の条件が同一であるとは、積層防音構造の積層された単層防音構造の防音セル間の透過損失のスペクトルの第一固有振動周波数と透過損失の遮蔽ピーク周波数のそれぞれのズレ量の平均が、10%以下であること意味することが好ましい。

発明の効果

0015

本発明によれば、同一条件の枠、膜、及び開口部(1以上の穴)からなる単層防音構造を積層した2層構造とすることにより、軽量で薄く、その穴の位置及び形状に遮蔽周波数及び大きさ等の遮音特性が依存することなく、遮音材としてのロバスト性が高く、かつ安定性があり、通気性があり、風及び熱を通すことができ、熱がこもることが無く、2層構造の距離に応じて、極めて強い防音性能、又は遮音の広帯域化を実現することができ、更に、遮蔽周波数の調整が可能であり、機器、自動車、及び一般家庭の用途に適し、製造適性に優れた防音構造を提供することができる。

0016

特に、本発明によれば、同一条件の枠、膜、及び開口部(1以上の穴)からなる単層防音構造を積層しても、2層間の距離を非常に小さくすることで、遮蔽ピークを二つに分割することができる。この効果によって、同一条件の積層においても広帯域化設計が可能であり、また、二層間の距離を制御することで遮蔽ピーク周波数を調整することが可能となる。
また、本発明によれば、膜の物性のうち、堅さや密度、厚みによって防音効果が決まり他の物性には依らないため、難燃性高透過性生体適合性電波透過性などさまざまな他の優れた物性と組み合わせることができる。
例えば、電波透過性に関しては、アクリルなど電気伝導度のない枠材質と誘電体膜の組み合わせでは電波透過性が確保され、一方でアルミニウムなど電気伝導度の大きな枠材質や金属膜で全面を覆うなどすれば電波を遮蔽できる。

図面の簡単な説明

0017

本発明の一実施形態に係る防音構造の一例を模式的に示す平面図である。
図1に示す防音構造をII−II線で切断した模式的断面図である。
本発明に係る防音構造の構成を上側及び下側の単層防音構造の平面図を用いて説明する説明図である。
図3に示す防音構造の構成を用いる他の実施例の模式的断面図である。
本発明の他の実施形態に係る防音構造の構成を上側及び下側の単層防音構造の平面図を用いて説明する説明図である。
図5に示す防音構造の一実施例の模式的断面図である。
図5に示す防音構造の構成を用いる他の実施例の模式的断面図である。
図5に示す防音構造の構成を用いる他の実施例の模式的断面図である。
本発明の他の実施形態に係る防音構造の構成を上側及び下側の単層防音構造の平面図を用いて説明する説明図である。
図9に示す防音構造の一実施例の模式的断面図である。
図9に示す防音構造の構成を用いる他の実施例の模式的断面図である。
本発明に係る防音構造に用いられる単層防音構造の周波数に対する透過損失で表される遮音特性を示すグラフである。
本発明に係る防音構造に用いられる単層防音構造の周波数に対する吸収率で表される吸音特性を示すグラフである。
本発明の実施例1の防音構造の遮音特性を示すグラフである。
本発明の実施例1の防音構造の吸音特性を示すグラフである。
本発明の実施例2の防音構造の遮音特性を示すグラフである。
本発明の実施例2の防音構造の吸音特性を示すグラフである。
本発明の実施例3の防音構造の遮音特性を示すグラフである。
本発明の実施例3の防音構造の吸音特性を示すグラフである。
本発明の実施例4〜8の防音構造の遮音特性を示すグラフである。
本発明の実施例4〜8の防音構造の吸音特性を示すグラフである。
本発明の実施例9〜10の防音構造の遮音特性を示すグラフである。
本発明の実施例9〜10の防音構造の吸音特性を示すグラフである。
本発明の実施例11〜12の防音構造の遮音特性を示すグラフである。
本発明の実施例11〜12の防音構造の吸音特性を示すグラフである。
本発明の実施例2の防音構造の遮音特性の実測値及びこれに対応する防音構造の遮音特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
本発明の実施例3の防音構造の遮音特性の実測値及びこれに対応する防音構造の遮音特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
本発明の防音構造の一実施例の2層間の膜間距離を変化させた時の周波数に対する透過損失の2つのピークの変化を示すグラフである。
図20に示す本発明の防音構造の2層間の膜間距離に対する2つのピークの周波数の差を示すグラフである。
本発明の防音構造の他の実施例の2層間の膜間距離を変化させた時の周波数に対する透過損失の2つのピークの変化を示すグラフである。
図22に示す本発明の防音構造の2層間の膜間距離に対する2つのピークの周波数の差を示すグラフである。
本発明の防音構造の2層間の膜間距離に対する透過損失のピーク値を示すグラフである。
図24Aに示される1つのピーク値を示す2層間の膜間距離における遮音特性を示すグラフである。
図24Aに示される他の1つのピーク値を示す2層間の膜間距離における遮音特性を示すグラフである。
図24Aに示される他の1つのピーク値を示す2層間の膜間距離における遮音特性を示すグラフである。
図24Aに示される他の1つのピーク値を示す2層間の膜間距離における遮音特性を示すグラフである。
本発明に係る防音構造に用いられる単層防音構造のパラメータAに対する遮蔽周波数を示すグラフである。
本発明に係る防音構造に用いられる単層防音構造のパラメータBに対する第1固有振動周波数を示すグラフである。
本発明の防音構造を持つ防音部材の一例の断面模式図である。
本発明の防音構造を持つ防音部材の他の一例の断面模式図である。
本発明の防音構造を持つ防音部材の壁への取付状態の一例を示す断面模式図である。
図29に示す防音部材の壁からの取外状態の一例の断面模式図である。
本発明の防音構造を持つ防音部材の他の一例における単位ユニットセルの着脱を示す平面図である。
本発明の防音構造を持つ防音部材の他の一例における単位ユニットセルの着脱を示す平面図である。
本発明の防音構造の防音セルの一例の平面図である。
図33に示す防音セルの側面図である。
本発明の防音構造の防音セルの一例の平面図である。
図35に示す防音セルのA−A線矢視断面模式図である。
本発明の防音構造を持つ防音部材の他の一例の平面図である。
図37に示す防音部材のB−B線矢視断面模式図である。
図37に示す防音部材のC−C線矢視断面模式図である。

0018

以下に、本発明に係る防音構造を添付の図面に示す好適実施形態を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る防音構造の一例を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示す防音構造のII−II線で切断した模式的な断面図である。図3は、図2に示す防音構造の構成を上側及び下側の単層防音構造の平面図を用いて説明する説明図である。図4は、図1に示す平面図と同じ平面図で示される本発明の他の実施形態に係る防音構造の一例を模式的に示す断面図である。

0019

図1図2及び図3に示す本発明の防音構造10は、基本となる単層防音構造30aと30bとを積層した2層構造の積層防音構造であって、単層防音構造30aと30bは、図示例では、同一の構成を有する。したがって、以下では、2つの単層防音構造30a及び30bに共通であり、両者を区別して説明する必要のない場合には、纏めて、単層防音構造30として説明する。
単層防音構造30(30a,30b)は、図示例では、共に、同じ貫通孔12をそれぞれ有し、2次元的に配置された複数、図示例では4個の同じ枠14を形成する枠体16と、それぞれの枠14の貫通孔12を覆うようにそれぞれの枠14に固定される、複数、図示例では、2次元平面内に配置される4個の同じ膜18を形成するシート状の膜体20と、それぞれの枠14内の膜18に貫通するように穿孔された1以上、図示例では1個の同じ穴22からなる複数、図示例では4個の同じ開口部24とを有する。
ここで、シート状の膜体20は枠体16の全面を覆っていてもよいし、その一部だけ覆っていてもよいし、枠体16からはみ出していてもよい。

0020

単層防音構造30において、1つの枠14と、この枠14に固定された膜18と、この膜18に設けられた開口部24とは、1つの防音セル26を構成する。このため、本発明に用いられる単層防音構造30は、複数、図示例では、4個の防音セル26によって構成される。
図示例の単層防音構造30は、複数の防音セル26によって構成されるものであるが、本発明はこれに限定されず、1つの枠14と、1つの膜18と、1つの開口部24とからなる1つの防音セル26によって構成されるものであっても良い。

0021

図2に示す本発明の防音構造10は、単層防音構造30aの上に単層防音構造30bを同じ向きに積層したものである。防音構造10では、単層防音構造30bの枠体16は、単層防音構造30aの膜18の上に、単層防音構造30aの各枠14の位置と単層防音構造30bの各枠14の位置とが互いに対応して一致するように取り付けられて固定される。したがって、単層防音構造30aの複数、図示例では4個の防音セル26と、単層防音構造30bの複数、図示例では4個の防音セル26とは、互いに2次元平面的な位置が一致するように積層される。
なお、図2に示す防音構造10では、複数、図示例では4つの膜18を構成する膜体20は、単層防音構造30bの枠体16の各枠14の上側表面と、単層防音構造30bの枠体16の各枠14の下側表面と単層防音構造30aの枠体16の各枠14の上側表面との間の中間部分との2つの部分に平面状に配置される。

0022

図示例では、単層防音構造30aの各枠14を形成する枠体16と、単層防音構造30bの各枠14を形成する枠体16とは、膜18を形成する膜体20によって分離されているが、両者の枠体16を連続した枠構造として、連続した枠構造の枠体16に膜18を固定する構成としても良い。
また、図1及び図3に示す防音構造10の構成は、図4に示す本発明の他の実施形態に係る防音構造10Aのように構成しても良い。防音構造10Aにおいては、図4に示すように、単層防音構造30aの上に単層防音構造30bを逆向きに積層し、単層防音構造30aの枠体16と単層防音構造30bの枠体16とを直接固定して連続した枠構造とし、連続した枠構造の両側表面に各膜18が形成される膜体20が固定される。なお、図4に断面図で示される防音構造10Aは、図1に示す平面図と同じ平面図によって示されるもので、図3に示す単層防音構造30a及び30bの組み合わせ構造を用いるものである。

0023

本発明においては、図5に示す本発明の他の実施形態に係る防音構造10Bのように、単層防音構造30aと30bとの間の膜間距離を調整するために、単層防音構造30aと30bとの間に介挿されて積層されるスペーサ32とを有する。
図5に示すスペーサ32は、単層防音構造30(30a、30b)と同じ貫通孔12をそれぞれ有し、2次元的に配置された複数、図示例では4個の同じ枠14を形成する枠体16からなり、単層防音構造30と異なり膜18が各枠14に固定されていない。

0024

このような防音構造10Bは、図6に示すように、単層防音構造30aの上に、スペーサ32を積層し、積層されたスペーサ32上に単層防音構造30bを単層防音構造30aと同じ向きに積層したものである。防音構造10Bでは、単層防音構造30bの膜18の上にスペーサ32の枠体16が、かつスペーサ32の枠体16の上に単層防音構造30bの枠体16が、単層防音構造30b、スペーサ32、及び単層防音構造30aのそれぞれの枠体16の各枠14の位置が全て互いに対応して一致するように取り付けられて固定される。したがって、防音構造10Bでも、防音構造10及び10Aと同様に、単層防音構造30aの複数、図示例では4個の防音セル26と、単層防音構造30bの複数、図示例では4個の防音セル26とは、互いに2次元的な位置が一致するように積層される。
図6に示す防音構造10Bでは、複数、図示例では4つの膜18を構成する膜体20は、単層防音構造30bの枠体16の各枠14の上側表面と、スペーサ32の枠体16の各枠14の下側表面と単層防音構造30aの枠体16の各枠14の上側表面との間の中間部分との2つの部分に平面状に配置される。

0025

また、図5に示す防音構造10Bの構成は、図7に示す本発明の他の実施例の防音構造10Cのように構成しても良い。防音構造10Cにおいては、図7に示すように、単層防音構造30a及び30bの膜18同士がスペーサ32を挟むように、単層防音構造30aと、スペーサ32と、単層防音構造30bとを順に積層したもので、単層防音構造30aと30bとを逆向きに積層したものと言える。防音構造10Cでも、防音構造10、10A、及び10Bと同様に、単層防音構造30aと、スペーサ32と、単層防音構造30bとの各枠14の位置を合わせるので、単層防音構造30aの複数、図示例では4個の防音セル26と、単層防音構造30bの複数、図示例では4個の防音セル26とは、互いに2次元的な位置が一致するように積層される。
なお、図7に示す防音構造10Cのように、単層防音構造30aの枠体16、スペーサ32の枠体16、及び単層防音構造30bの枠体16を連続した枠構造として、その中間部分に、膜18を形成する2つの膜体20を配置するようにしても良い。

0026

さらに、図5に示す防音構造10Bの構成は、図8に示す本発明の他の実施例の防音構造10Dのように構成しても良い。防音構造10Dにおいては、図8に示すように、単層防音構造30a及び30bの枠14同士がスペーサ32を挟むように、単層防音構造30aと、スペーサ32と、単層防音構造30bとを順に積層したもので、単層防音構造30aと30bとを、図7に示す防音構造10Cとは反対側に逆向きに積層したものと言える。防音構造10Dでも、防音構造10、及び10A〜10Cと同様に、単層防音構造30aと、スペーサ32と、単層防音構造30bとの各枠14の位置を合わせるので、単層防音構造30aの複数、図示例では4個の防音セル26と、単層防音構造30bの複数、図示例では4個の防音セル26とは、互いに2次元的な位置が一致するように積層される。
なお、図8に示す防音構造10Dにおいても、防音構造10Cと同様に、単層防音構造30aの枠体16、スペーサ32の枠体16、及び単層防音構造30bの枠体16を連続した枠構造として、その両側表面部分に、膜18を形成する2つの膜体20を配置するようにしても良い。
上述したように、本発明の防音構造10、及び10A〜10Dの積層防音構造の積層された単層防音構造30の防音セル26の少なくとも一部では、積層されて隣接する防音セル26の膜18の間は、スペーサ32の枠14によって塞がれていることが好ましい。

0027

上述した防音構造10B〜10Dでは、図5に示すように、単層防音構造30(30a、30b)と同じ貫通孔12をそれぞれ有するスペーサ32を用いているが、本発明はこれに限定されず、スペーサ32の代わりに、図9に示す防音構造のように、単層防音構造30と同じ外周を有する円筒状の枠体16からなる外周リング状のスペーサ33を用いても良い。
このような図9に示す構成の防音構造は、図10Aに示す防音構造10Eのように、単層防音構造30a及び30bの枠14同士がスペーサ33を挟むように、単層防音構造30aと、スペーサ33と、単層防音構造30bとを順に積層したものであっても良い。なお、スペーサ33には、単層防音構造30a及び30bの4つの枠14の貫通孔12を含む円孔33aがあり、中心を通る枠14がないため、図8に示す防音構造10Dと異なり、単層防音構造30a及び30bの中心を通る枠14の先端は、接続されない自由端となる。ただし、枠14は膜に対して十分に剛性をもつように設計されていることが望ましく、この場合は自由端となっている場合でも枠14の振動は膜18の振動に比べて十分に小さく、音響との相互作用に影響を与えない。
なお、図9に示す構成の防音構造は、図10Bに示す防音構造10Fのように、単層防音構造30a及び30bのそれぞれの膜18を形成する膜体20同士がスペーサ33を挟むように、単層防音構造30aと、スペーサ33と、単層防音構造30bとを順に積層したものであっても良い。この時、スペーサ33には、中心を通る枠14がないため、図7に示す防音構造10Cと異なり、単層防音構造30a及び30bの膜18同士は直接接続されない構造となる。

0028

上述した例では、上記積層防音構造の積層された単層防音構造30の防音セル26の各膜18に穿孔された穴22又は開口部24同士は中心もサイズも一致しているが、本発明はこれに限定されず、積層された単層防音構造30の防音セル26の少なくとも一部では、膜18に穿孔された穴22又は開口部24同士に重なりがあることが望ましいが、本発明に用いる防音セルの特徴として音響特性が膜の上の穴の位置にほとんど依存しないということがあるため、積層方向から見たときに穴に重なりがなくても効果は維持される。
また、上述した例では、スペーサ32及び33は、単層防音構造30aと、単層防音構造30bとの間に、1個だけ用いられているが、本発明はこれに限定されず、単層防音構造30aと30bとの間の膜間距離に応じてそれぞれ1個以上何個用いられても良いし、スペーサ32及び33を同時に組み合わせて用いても良い。
また、上述した例では、単層防音構造30は、単層防音構造30aと30bとの2層積層構造であるが、3層以上の単層防音構造30を積層しても良いし、3層以上の積層においても、膜間距離の調整のために1個以上のスペーサ32及び33を用いても良いことは勿論である。
本発明の防音構造10、及び10A〜10Fにおける単層防音構造30の積層構造は、以上のように構成される。以下では、防音構造10、及び10A〜10Fに共通であり、これらを区別して説明する必要のない場合には、本発明の防音構造10で代表する。
次に、本発明の防音構造を構成する単層防音構造30(30a)の各構成要素について説明する。

0029

枠14は、厚みのある板状部材15で環状に囲むように形成され、内部に貫通孔12を有し、少なくともの一方の側において貫通孔12を覆うように膜18を固定するためのもので、この枠14に固定された膜18の膜振動の節となるものである。したがって、枠14は、膜18に比べて、剛性が高く、具体的には、単位面積当たりの質量及び剛性は、共に高い必要がある。
枠14の形状は、膜18の全外周を抑えることができるように膜18を固定できる閉じた連続した形状であることが好ましいが、本発明は、これに限定されず、枠14が、これに固定された膜18の膜振動の節となるものであれば、一部が切断され、不連続な形状であっても良い。即ち、枠14の役割は、膜18を固定して膜振動を制御することにあるため、枠14に小さな切れ目が入っていても、極わずかに接着していない部位が存在していても効果を発揮する。

0030

また、枠14によって形成される貫通孔12の幾何学形態は、平面形状であって、図1に示す例では正方形であるが、本発明においては、特に制限的ではなく、例えば、長方形ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形正三角形、2等辺三角形、又は直角三角形等の三角形正五角形、又は正六角形等の正多角形を含む多角形円形、若しくは楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。なお、枠14の貫通孔12の両側の端部は、共に閉塞されておらず、共にそのまま外部に開放されている。この開放された貫通孔12の少なくとも一方の端部に貫通孔12を覆うように膜18が枠14に固定される。
また、枠14のサイズは、平面視のサイズであり、その貫通孔12のサイズとして定義できるが、図1、及び図3に示す正方形のような正多角形、又は円の場合には、その中心を通る対向する辺間の距離、又は円相当直径と定義することができ、多角形、楕円又は不定形の場合には、円相当直径と定義することができる。本発明において、円相当直径及び半径とは、それぞれ面積の等しい円に換算した時の直径及び半径である。
なお、単層防音構造30において、枠14のサイズは、全ての枠14において、一定であっても良いが、異なるサイズ(形状が異なる場合も含む)の枠が含まれていても良く、この場合には、枠14のサイズとして、枠14の平均サイズを用いればよい。

0031

このような枠14のサイズは、特に制限的ではなく、単層防音構造30を積層した本発明の防音構造10が防音のために適用される防音対象物、例えば、複写機送風機空調機器換気扇ポンプ類発電機、ダクト、その他にも塗布機回転機、搬送機など音を発する様々な種類の製造機器等の産業用機器、自動車、電車航空機等の輸送用機器冷蔵庫洗濯機乾燥機テレビジョンコピー機電子レンジゲーム機エアコン扇風機、PC、掃除機空気清浄機等の一般家庭用機器などに応じて設定すればよい。
また、この防音構造10自体をパーティションのように用いて、複数の騒音源からの音を遮る用途に用いることもできる。この場合も、枠14のサイズは対象となる騒音の周波数から選択することができる。

0032

なお、詳細は後述するが、枠14及び膜18からなる構造の固有振動モード高周波側に得るために、枠14のサイズを小さくすることが好ましい。
また、枠14の平均サイズは、詳細は後述するが、膜18に設けられる穴からなる開口部24による防音セル26の遮蔽ピークにおける回折による音の漏れを防止するために、後述する遮蔽ピーク周波数に対応する波長サイズ以下であることが好ましい。
例えば、枠14のサイズは、0.5mm〜200mmであることが好ましく、1mm〜100mmであることがより好ましく、2mm〜30mmであることが最も好ましい。
なお、枠14のサイズは、各枠14で異なるサイズが含まれる場合などは、平均サイズで表すことが好ましい。

0033

また、枠14の幅及び厚さも、膜18を確実に抑えるように固定することができ、膜18を確実に支持できれば、特に制限的ではないが、例えば、枠14のサイズに応じて設定することができる。
例えば、枠14の幅は、枠14のサイズが、0.5mm〜50mmの場合には、0.5mm〜20mmであることが好ましく、0.7mm〜10mmであることがより好ましく、1mm〜5mmであることが最も好ましい。
枠14の幅が、枠14のサイズに対して比率が大きくなりすぎると、全体に占める枠14の部分の面積率が大きくなり、デバイスが重くなる懸念がある。一方、上記比率が小さくなりすぎると、その枠14部分において接着剤などによって膜を強く固定することが難しくなってくる。

0034

また、枠14の幅は、枠14のサイズが、50mm超、200mm以下の場合には、1mm〜100mmであることが好ましく、3mm〜50mmであることがより好ましく、5mm〜20mmであることが最も好ましい。
また、枠14の厚さは、0.5mm〜200mmであることが好ましく、0.7mm〜100mmであることがより好ましく、1mm〜50mmであることが最も好ましい。
なお、枠14の幅及び厚さは、各枠14で異なる幅及び厚さが含まれる場合などは、それぞれ平均幅及び平均厚さで表すことが好ましい。

0035

なお、本発明においては、複数、即ち2以上の枠14は、2次元的に繋がるように配置された枠体16、好ましくは1つの枠体16として構成されることが好ましい。
ここで、本発明の防音構造10に用いられる単層防音構造30の枠14の数、即ち図示例では、枠体16を構成する枠14の数も、特に制限的ではなく、本発明の防音構造10の上述した防音対象物に応じて設定すればよい。もしくは、上述した枠14のサイズは、上述した防音対象物に応じて設定されているので、枠14の数は、枠14のサイズに応じて設定すればよい。
例えば、枠14の数は、機器内騒音遮蔽(反射及び/又は吸収)の場合には、1個〜10000個であることが好ましく、2〜5000であることがより好ましく、4〜1000であることが最も好ましい。

0036

これは、一般の機器の大きさに対しては、機器のサイズが決まっているために、1つの防音セル26のサイズを騒音の周波数に適したサイズとするためには、複数の防音セル26を組み合わせた枠体16で遮蔽する、即ち反射かつ/又は吸収する必要があることが多く、また、一方で防音セル26を増やしすぎることで、枠14の重量分全体重量が大きくなることがあるためである。一方で、大きさに制約のないパーティションのような構造では、必要とされる全体の大きさに合わせて枠14の個数を自由に選ぶことができる。
なお、1つの防音セル26は、1つの枠14を構成単位とするので、単層防音構造30の枠14の数、したがって、本発明の防音構造10の枠14の数は、防音セル26の数ということもできる。

0037

枠14の材料、即ち枠体16の材料は、膜18を支持でき、上述した防音対象物に適用する際に適した強度を持ち、防音対象物の防音環境に対して耐性があれば、特に制限的ではなく、防音対象物及びその防音環境に応じて選択することができる。例えば、枠14の材料としては、アルミニウム、チタンマグネシウムタングステン、鉄、スチールクロム、クロムモリブデンニクロムモリブデン、これらの合金等の金属材料アクリル樹脂ポリメタクリル酸メチルポリカーボネートポリアミドイドポリアリレートポリエーテルイミドポリアセタールポリエーテルエーテルケトンポリフェニレンサルファイドポリサルフォンポリエチレンテレフタラートポリブチレンテレフタラートポリイミドトリアセチルセルロース等の樹脂材料炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、カーボンファイバ、及びガラス繊維強化プラスチックGFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)等を挙げることができる。
また、これらの枠14の材料の複数種を組み合わせて用いてもよい。

0038

膜18は、枠14の内部の貫通孔12を覆うように枠14に抑えられるように固定されるもので、外部からの音波に対応して膜振動することにより音波のエネルギを吸収、もしくは反射して防音するものである。そのため、膜18は、空気に対して不浸透性であることが好ましい。
ところで、膜18は、枠14を節として膜振動する必要があるので、枠14に確実に抑えられるように固定され、膜振動の腹となり、音波のエネルギを吸収、もしくは反射して防音する必要がある。このため、膜18は、可撓性のある弾性材料製であることが好ましい。
このため、膜18の形状は、枠14の貫通孔12の形状であり、また、膜18のサイズは、枠14のサイズ、より詳細には、枠14の貫通孔12のサイズであるということができる。

0039

ここで、図11Aに示すように、防音セル26の枠14に固定された膜18は、最も低次の固有振動モードの周波数である共振周波数として、透過損失が最小、好ましくは、0dBとなる第1固有振動周波数を持つものである。即ち、本発明では、膜18の第1固有振動周波数においては、音を透過させる。なお、この第1固有振動周波数は、枠14及び膜18からなる構造によって決まるので、膜18に穿孔される穴22、したがって、開口部24の有無にかかわらず、略同一の値となることが本発明者らによって確認されている(本出願人の出願に係る特願2015−121994号明細書参照)。
ここで、枠14及び膜18からなる構造における、即ち枠14に抑えられるように固定された膜18の第1固有振動周波数は、共鳴現象により音波が膜振動を最も揺らすところで、音波はその周波数で大きく透過する固有振動モードの周波数である。

0040

なお、本発明者らの知見にしたがえば、単層防音構造30では、膜18には開口部24を構成する穴22が貫通穴として穿孔されていることから、第1固有振動周波数よりも低周波側の遮蔽ピーク周波数において透過損失がピーク(極大)となる音波の遮蔽のピークが現れる。また、特に、この貫通する穴22によって生じる遮蔽のピークより、低周波側に、この貫通穴22が存在することによる音の吸収の増大が見られる。
したがって、単層防音構造30では、遮蔽ピーク周波数において遮蔽(透過損失)がピーク(極大)となるため、遮蔽ピーク周波数を中心とする一定の周波数帯域の音を選択的に防音することができる。
本発明においては、第1に、音の遮蔽を大きくすることができ、かつ遮蔽のピークをコントロールできるが、更にこれらに加えて、貫通する穴22の効果により、音(音波のエネルギ)の吸収がより低周波側で現れるという特徴がある。

0041

例えば、図11Aに示す例では、第1固有振動周波数は、可聴域内の1160Hzであり、より低周波側の遮蔽ピーク周波数である664Hzにおいて透過損失がピーク値28dBとなる遮蔽のピークを示すので、可聴域内の664Hzを中心とする一定の周波数帯域を選択的に遮音することができる。
なお、単層防音構造30及び本発明の防音構造における透過損失(dB)の測定方法については、後述する。

0042

このため、枠14及び膜18からなる構造において、1以上の穴22からなる開口部24に依存する遮蔽ピーク周波数を可聴域内の任意の周波数とするためには、できるだけ固有振動モードを高周波側に得ることが重要であり、特に、実用的には重要となる。そのために、膜18を厚くすることが好ましく、膜18の材質のヤング率を大きなものとすることが好ましく、さらに、上述のように、枠14のサイズ、したがって、膜18のサイズを小さくすることなどが好ましい。即ち、本発明においては、これらの好ましい条件が重要となる。
そこで、単層防音構造30は、剛性則に従うものであり、枠14に固定された膜18の第1固有振動周波数より小さい周波数で音波の遮蔽を起こすため、膜18の第1固有振動周波数は、人間の音波の感知域に相当する10Hz〜100000Hzであることが好ましく、人間の音波の可聴域である20Hz〜20000Hzであることがより好ましく、40Hz〜16000Hzであることが更により好ましく、100Hz〜12000Hzであることが最も好ましい。

0043

また、膜18の厚さは、音波のエネルギを吸収、もしくは反射して防音するために膜振動することができれば、特に制限的ではないが、固有振動モードを高周波側に得るためには厚くすることが好ましい。例えば、膜18の厚さは、本発明では、枠14のサイズ、即ち膜のサイズに応じて設定することができる。
例えば、膜18の厚さは、枠14のサイズが0.5mm〜50mmの場合には、0.005mm(5μm)〜5mmであることが好ましく、0.007mm(7μm)〜2mmであることがより好ましく、0.01mm(10μm)〜1mmであることが最も好ましい。
また、膜18の厚さは、枠14のサイズが、50mm超、200mm以下の場合には、0.01mm(10μm)〜20mmであることが好ましく、0.02mm(20μm)〜10mmであることがより好ましく、0.05mm(50μm)〜5mmであることが最も好ましい。
なお、膜18の厚みは、1つの膜18で厚みが異なる場合、又は各膜18で異なる厚さが含まれる場合などは、平均厚さで表すことが好ましい。

0044

ここで、単層防音構造30において、枠14及び膜18からなる構造における膜18の第1固有振動周波数は、複数の防音セル26の枠14の幾何学的形態、例えば枠14の形状及び寸法(サイズ)と、複数の防音セルの前記膜の剛性、例えば膜の厚さ及び可撓性とによって定めることができる。
なお、膜18の第1固有振動モードを特徴づけるパラメータとしては、同種材料の膜18の場合は、膜18の厚み(t)と枠14のサイズ(a)の2乗との比、例えば、正四角形の場合には一辺の大きさとの比[a2/t]を用いることができ、この比[a2/t]が等しい場合、例えば、(t、a)が、(50μm、7.5mm)の場合と(200μm、15mm)の場合とは、上記第1固有振動モードが同じ周波数、即ち同じ第1固有振動周波数となる。即ち、比[a2/t]を一定値にすることにより、スケール則が成立し、適切なサイズを選択することができる。

0045

また、膜18のヤング率は、膜18が音波のエネルギを吸収、もしくは反射して防音するために膜振動することができる弾性を有していれば、特に制限的ではないが、固有振動モードを高周波側に得るためには大きくすることが好ましい。例えば、膜18のヤング率は、本発明では、枠14のサイズ、即ち膜のサイズに応じて設定することができる。
例えば、膜18のヤング率は、1000Pa〜3000GPaであることが好ましく、10000Pa〜2000GPaであることがより好ましく、1MPa〜1000GPaであることが最も好ましい。
また、膜18の密度も、音波のエネルギを吸収、もしくは反射して防音するために膜振動することができるものであれば、特に制限的ではなく、例えば、10kg/m3〜30000kg/m3であることが好ましく、100kg/m3〜20000kg/m3であることがより好ましく、500kg/m3〜10000kg/m3であることが最も好ましい。

0046

膜18の材料は、膜状材料、又は箔状材料にした際に、上述した防音対象物に適用する際に適した強度を持ち、防音対象物の防音環境に対して耐性があり、膜18が音波のエネルギを吸収、もしくは反射して防音するために膜振動することができるものであれば、特に制限的ではなく、防音対象物及びその防音環境などに応じて選択することができる。例えば、膜18の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、アクリル(PMMA)、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン低密度ポリエチレン高密度ポリエチレン芳香族ポリアミドシリコーン樹脂エチレンエチルアクリレート酢酸ビニル共重合体ポリエチレン塩素化ポリエチレンポリ塩化ビニルポリメチルペンテンポリブテン等の膜状にできる樹脂材料、アルミニウム、クロム、チタン、ステンレスニッケル、スズ、ニオブタンタル、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金パラジウム、鉄、銅、パーマロイ等の箔状にできる金属材料、紙、セルロースなどその他繊維状の膜になる材質、不織布、ナノサイズのファイバーを含むフィルム、薄く加工したウレタンやシンサレートなどのポーラス材料薄膜構造に加工したカーボン材料など、薄い構造を形成できる材質または構造等を挙げることができる。

0047

膜18は、単層防音構造30の枠体16の複数の枠14のそれぞれに個々に固定されて全体としてシート状の膜体20を構成するものであっても良いし、逆に、全ての枠14を覆うように固定される1枚のシート状の膜体20によって各枠14を覆う各膜18を形成しても良い。即ち、複数の膜18は、複数の枠14を覆う1枚のシート状の膜体20によって構成されるものであっても良い。又は、これらの中間として、複数の枠14の一部を覆うようにシート状の膜体を一部の枠14に固定して各枠14を覆う膜18を形成すると共に、これらのシート状膜体をいくつか用いて複数の枠14の全体(全ての枠14)を覆うシート状の膜体20を構成しても良い。
また、膜18は、枠14の貫通孔12の少なくとも一方の側の開口を覆うように枠14に固定される。即ち、膜18は、枠14の貫通孔12の一方の側、又は他方の側、もしくは両側の開口を覆うように枠14に固定されていても良い。
ここで、単層防音構造30の複数の枠14の貫通孔12の同じ側に全ての膜18が設けられていても良いし、一部の膜18が、複数の枠14の一部の貫通孔12の一方の側に一部の膜18が設けられ、複数の枠14の残りの一部の貫通孔12の他方の側には残りの膜18が設けられていても良い。

0048

枠14への膜18の固定方法は、特に制限的ではなく、膜18を枠14に膜振動の節となるように固定できればどのようなものでも良く、例えば、接着剤を用いる方法、又は物理的な固定具を用いる方法などを挙げることができる。
接着剤を用いる方法は、接着剤を枠14の貫通孔12を囲む表面上に接着剤を塗布し、その上に膜18載置し、膜18を接着剤で枠14に固定する。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤(アラルダイト登録商標)(ニチバン社製)等)、シアノアクリレート系接着剤(アロンアルフア(登録商標)(東亜合成社製)など)、アクリル系接着剤等を挙げることができる。
物理的な固定具を用いる方法としては、枠14の貫通孔12を覆うように配置された膜18を枠14と棒等の固定部材との間に挟み、固定部材をネジビス等の固定具を用いて枠14に固定する方法等を挙げることができる。

0049

膜18には、即ち防音セル26には、1以上の穴22からなる開口部24を有する。
ここで、本発明においては、図*11に示すように、単層防音構造30は、膜18に穿孔された1以上の穴22からなる開口部24を有することにより、膜18の第1固有振動周波数より低周波側に遮蔽がピーク(極大)となる透過損失のピークを有し、この遮蔽(透過損失)がピーク(極大)となる周波数を遮蔽ピーク周波数と呼ぶ。
この遮蔽ピーク周波数は、単層防音構造30の防音セル26の膜18に主として依存する第1固有振動周波数より低周波側に開口部24の穴22に起因して現れるものである。遮蔽ピーク周波数は、枠14(または膜18)の大きさに対する開口部24の大きさ、詳細には、枠14の貫通孔12(又は貫通孔12を覆う膜18)の面積に対する穴22の総面積の割合である開口部24の開口率に応じて決まるものである。

0050

ここで、穴22は、図1図8に示すように、防音セル26の貫通孔12を覆う膜18内に1以上穿孔されていれば良い。また、穴22の穿孔位置は、図1図3、及び図5に示すように、防音セル26又は膜18(以下、防音セル26で代表する)内の真中であっても良いが、本発明はこれに限定されず、防音セル26の真中である必要はなく、どの位置に穿孔されていても良い。
即ち、単に、穴22の穿孔位置が変わっただけでは、単層防音構造30の遮音特性は変化しない。
しかしながら、本発明では、貫通穴22は、貫通孔12の周縁部の固定端から膜18の面の寸法の20%超離れた範囲内の領域に穿孔されていることが好ましく、膜18の中心に設けられていることが最も好ましい。
また、防音セル26内の開口部24を構成する穴22の数は、図1図3、及び図5に示すように、1個の防音セル26に対して、1個であっても良いが、本発明はこれに限定されず、2個以上(即ち複数)であっても良い。
ここで、単層防音構造30、したがって本発明の防音構造10は、通気性の点からは、図1図3、及び図5に示すように、各防音セル26の開口部24は、1つの穴22で構成することが好ましい。その理由は、一定の開口率の場合、一つの穴が大きく境界での粘性の影響が小さい場合の方が、風としての空気の通り易さが大きいためである。

0051

一方、1個の防音セル26内に複数の穴22がある時は、単層防音構造30の遮音特性は、複数の穴22の合計面積、即ち開口部24の面積に対応した遮音特性、即ち、対応する遮音ピーク周波数において対応する遮音ピークを示す。したがって、1個の防音セル26(又は膜18)内にある複数の穴22の合計面積である開口部24の面積が、他の防音セル26(又は膜18)内に1個のみ有する穴22の面積である開口部24の面積に等しいことが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
なお、防音セル26内の開口部24の開口率(貫通孔12を覆う膜18の面積に対する開口部24の面積率(全ての穴22の合計面積の割合))が同一の場合には、単一穴22と複数穴22で同様の単層防音構造30が得られるため、ある穴22のサイズに固定しても様々な周波数帯の防音構造を作製することができる。

0052

本発明においては、防音セル26内の開口部24の開口率(面積率)は、特に制限的ではなく、選択的に遮音するべき遮音周波数帯域に応じて設定すれば良いが、0.000001%〜70%であるのが好ましく、0.000005%〜50%であるのがより好ましく、0.00001%〜30%であるのが好ましい。開口部24の開口率を上記範囲に設定することにより、選択的に遮音するべき遮音周波数帯域の中心となる遮音ピーク周波数及び遮音ピークの透過損失を決定することができる。
単層防音構造30は、製造適性の点からは、1つの防音セル26内には、同一サイズの穴22を複数個有することが好ましい。即ち、各防音セル26の開口部24は、同一サイズの複数の穴22で構成することが好ましい。
更に、単層防音構造30は、全ての防音セル26の開口部24を構成する穴22を同一サイズの穴とすることが好ましい。

0053

本発明においては、穴22は、エネルギを吸収する加工方法、例えばレーザ加工によって穿孔されることが好ましく、又は物理的接触による機械加工方法、例えばパンチング、又は針加工によって穿孔されることが好ましい。
このため、1つの防音セル26内の複数の穴22、又は、全ての防音セル26内の1個又は複数個の穴22を同一サイズとすると、レーザ加工、パンチング、又は針加工で穴をあける場合に、加工装置の設定や加工強度を変えることなく連続して穴をあけることができる。
また、単層防音構造30においては、防音セル26(又は膜18)内の穴22のサイズ(大きさ)は、各防音セル26(又は膜18)毎に異なっていても良い。このように防音セル26(又は膜18)毎にサイズの異なる穴22がある場合には、それらの穴22の面積を平均した平均面積に対応した遮音特性、即ち、対応する遮音ピーク周波数において対応する遮音ピークを示す。
また、単層防音構造30の各防音セル26の開口部24は、70%以上が同一サイズの穴で構成されることが好ましい。

0054

開口部24を構成する穴22のサイズは、上述した加工方法で適切に穿孔できれば、どのようなサイズでも良く、特に限定されない。
しかしながら、穴22のサイズは、その下限側では、レーザ絞りの精度等のレーザ加工の加工精度、又はパンチング加工もしくは針加工などの加工精度や加工の容易性などの製造適性の点から、2μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが最も好ましい。
なお、これらの穴22のサイズの上限値は、枠14のサイズより小さい必要があるので、通常、枠14のサイズはmmオーダであり、穴22のサイズをμmオーダに設定しておけば、穴22のサイズの上限値は、枠14のサイズを超えることはないが、もし、超えた場合には、穴22のサイズの上限値を枠14のサイズ以下に設定すればよい。
本発明に用いられる単層防音構造は、基本的に以上のように構成される。

0055

ところで、本発明の防音構造は、上述した単層防音構造を複数層積層して積層防音構造とし、この積層防音構造の膜間距離に応じて、極めて強い防音性能、又は遮音の広帯域化を実現するものであり、かつ、騒音に合わせて遮蔽周波数を簡単に調整することができるようにしたものである。
従来、枠、膜、及び穴(開口部)からなる防音セルを有する単層防音構造は、通気性や熱伝導性を保ちながら特定音を遮蔽できるところに大きな特徴があるが、本発明の防音構造では、このような特徴を持ち、枠、膜、及び穴(開口部)の条件が同一の単層防音構造を積層することにより、この特徴を更に伸ばして遮音性を高めている。

0056

本発明においては、枠、膜、及び穴(開口部)の条件を同一にする際には、積層防音構造の積層された単層防音構造の防音セル間の音響スペクトル(透過損失のスペクトル)の第1固有振動周波数及び遮蔽ピーク周波数のそれぞれのズレ量の平均が、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。
ズレ量の平均を上記範囲に限定する理由は、上述した両方の周波数とも一致していて、遮蔽ピークと固有振動の周波数が一致していることが本発明の効果を得る理想であるため、ズレ量の平均値が10%超では、積層される各層の防音構造の特性のずれが大きく、本発明における積層防音構造の効果を得ることができなくなるからである。
更に、積層防音構造の各単層防音構造の防音セルが、2次元的に配置された複数の防音セルである時、積層された防音セルの内の60%以上が、同一サイズの枠、膜、及び穴(開口部)で構成されることがより好ましい。例えば、本発明の防音構造では、枠、膜、穴(開口部)が同一サイズの防音セルで構成することが最も好ましい。

0057

なお、本発明の防音構造10においては、後述の実施例の透過損失を示す図12A図13A図14A図15A図16A、及び図17A、並びに後述するシミュレーションによる透過損失を示す図20及び図22に示すように、積層防音構造は、積層された防音セル26の固有振動に起因して透過損失が極小となる1以上の極小値を有している。この1以上の極小値にそれぞれ対応する1以上の極小周波数、即ち共振周波数、例えば最も周波数の低い極小値に対応する第1共振周波数より低周波側に、積層された防音セル26の開口部24に起因して定まり、かつ透過損失が極大となる1以上の極大値があり、この1以上の極大値にそれぞれ対応する1以上の積層遮蔽ピーク周波数を有していることが好ましい。この1以上の積層遮蔽ピーク周波数は、本発明の防音構造10の積層防音構造の遮蔽ピーク周波数である。本発明の防音構造10では、この積層遮蔽ピーク周波数を中心とする周波数帯域の音を選択的に防音することができる。

0058

ところで、音響の波長は、数cm〜数mのオーダであるため、本発明の防音構造の通常の膜間距離、例えば2層間の膜間距離においては十分に干渉が起こる。
このため、本発明の防音構造においては、遮蔽ピークの特徴は2層間の膜間距離によって異なり、以下の特徴を持つ。
1.膜間距離が遠いときは、枠、膜、及び穴(開口部)からなる防音セルを有する単層防音構造の遮音性が、デシベル(dB)レベルにおいて足し合わせたような極めて強い防音性能を実現できる。膜間距離が遠いときの効果も、1cm程度の膜間距離で十分効果が得られるため実用性の観点でも有用性がある。なお、膜間距離が遠いときの上限値としては、透過損失の極大値の波長をλとする時、10λ以下が望ましく、5λ以下がより望ましく、1λ以下がさらに望ましい。
即ち、上述した図13A、及び図14Aに示すように、このような場合、本発明の防音構造10では、積層防音構造の透過損失の1以上の極大値である遮蔽のピークは、単層防音構造30が2層に積層されたことにより、図11Aに示す単層防音構造の透過損失の極大値である遮蔽のピークより大きい値を持つことが好ましい。その結果、本発明の防音構造10では、より強い遮音を実現することができる。

0059

2.膜間距離が近いときは、2層の単層防音構造30の共鳴が相互作用し、遮音ピークが分割することにより遮音の周波数帯域の幅が広帯域化する。
即ち、上述した図12A図15A図16A図17A図20、及び図22に示すように、本発明の防音構造10では、積層防音構造の2層に積層された単層防音構造30の防音セル26の固有振動の相互作用により、積層された防音セル26の穴22又は開口部24に起因して、積層された2つの単層防音構造30の第1固有振動周波数、かつ/又は積層防音構造の第1共振周波数より低周波側に定まり、かつ透過損失が極大となる2以上の極大値があり、これらの2以上の極大値にそれぞれ対応する2以上の積層遮蔽ピーク周波数を有していることが好ましい。これらの2以上の積層遮蔽ピーク周波数は、本発明の防音構造10の積層防音構造の遮蔽ピーク周波数であり、この積層遮蔽ピーク周波数を中心とする周波数帯域の音を選択的に防音することができるので、遮音の周波数帯域の幅を広帯域化することができる。
なお、本発明においては、膜間距離が近い時とは、透過損失のスペクトルを測定して、透過損失のピークに分割が観測された時を言い、膜間距離が遠い時とは、透過損失のピークが、単一のピークであった時を言う。

0060

また、上述の図20及び図22に示すように、本発明の防音構造10では、積層防音構造の積層された2つの単層防音構造30間の膜間距離が大きくなるにつれて、2以上の極大値にそれぞれ対応する2以上の積層遮蔽ピーク周波数が近くなることが好ましい。
ここで、後述するシミュレーションによる透過損失を示す図21及び図23に示すように、これらの2以上の積層遮蔽ピーク周波数の差は、膜間距離をa(mm)とする時、下記式(1)で表すことができる。
Df=C×exp(−b×a) …(1)
ここで、b及びcは、定数であり、定数bは、0.1〜0.2の範囲内の値であることが好ましい。
なお、本発明の防音構造10では、積層防音構造の積層された2つの単層防音構造30間の膜間距離は、透過損失が極大となる遮蔽ピークの波長長さ(サイズ)未満であることが好ましい。

0061

本発明の防音構造の積層防音構造においては、音響の透過損失スペクトル全体でみた場合には、以下に示すように、単層防音構造と異なる優れた特徴がある。
1.積層防音構造の第1共振周波数が、2つの単層防音構造30の防音セル26の膜18同士の距離が近いことによる相互作用により、2つに分裂し、透過損失の極小値が2つ現れる。透過損失が極小値となる周波数で膜振動により大きく吸音するため、その音の吸収ピークを膜18間の距離、即ち2つの積層された単層防音構造30の膜間距離の制御だけでシフトさせることができる。

0062

即ち、後述の実施例の透過損失及び音の吸収率(吸音率)を示す図13A図13B図14A図14B図15A図15B図17A図17B図18、及び図19に示すように、本発明の防音構造10では、積層防音構造の2層に積層された単層防音構造30の防音セル26の固有振動の相互作用により、積層された2つの単層防音構造30の第1固有振動周波数にそれぞれ対応して、透過損失が極小となる2以上の極小値を有し、2以上の極小値にそれぞれ対応する2以上の極小周波数(共振周波数)を有しており、それらの周波数での膜振動により、積層された2つの単層防音構造30の第1固有振動周波数にそれぞれ対応して音の吸収率が極大となる2以上の極大値を有し、2以上の極大値にそれぞれ対応する2以上の極大周波数を持つことができる。
また、この場合、図13A図13B、及び図14A図14Bに示すように、本発明の防音構造10の積層防音構造では、積層された2つの単層防音構造30間の膜間距離が大きくなるにつれて、2以上の透過損失の極小値にそれぞれ対応する2以上の極小周波数(共振周波数)が近づき、その結果、2以上の音の吸収率の極大値にそれぞれ対応する2以上の極大周波数が近くなることがより好ましい。

0063

2.積層防音構造における透過損失の極大値よりさらに低周波側に、穴22(開口部24)による透過損失の極小値が現れる。その周波数において吸収が極大値となり、低周波側で効率的な吸音構造として機能する。
即ち、図15A及び図15Bに示すように、本発明の防音構造10では、積層防音構造は、積層された単層防音構造30の防音セル26の穴22(開口部24)に起因して定まり、積層された2つの単層防音構造30の第1固有振動周波数、かつ/又は積層防音構造の第1共振周波数より低周波側の透過損失の極大値より低周波側において、単層防音構造30が2層に積層されたことにより、吸収率の極大値を持つことが好ましい。

0064

ところで、本発明の防音構造10、及び単層防音構造30において、防音セル26、即ち枠14の円相当半径をR2(m)、膜18の厚みをt2(m)、膜18のヤング率をE2(Pa)、膜18の密度をd(kg/m3)とする時、下記式(2)で表されるパラメータB(√m)と、本発明の防音構造10、即ち単層防音構造30の枠14及び膜18からなる構造の第1固有振動周波数(Hz)とは、防音セル26の円相当半径R2(m)、膜18の厚みt2(m)、膜18のヤング率E2(Pa)、膜18の密度d(kg/m3)を変化させた時にも略線形な関係にあり、図26に示すように、下記式(3)で表される式で表されることを知見した。
B=t2/R22*√(E2/d) …(2)
y=0.7278x0.9566 …(3)
ここで、yは、第1固有振動周波数(Hz)であり、xは、パラメータBである。なお、yを、本発明の防音構造10の積層防音構造の第1共振周波数(Hz)としても良いが、第1固有振動周波数(Hz)で代表して説明する。
ところで、図26は、後述する実施例の実験前の設計段階におけるシミュレーションの結果から得られたものである。

0065

以上から、単層防音構造30においては、防音セル26の円相当半径R2(m)、膜18の厚みt2(m)、膜18のヤング率E2(Pa)、膜18の密度d(kg/m3)をパラメータB(√m)で規格化することにより、2次元(xy)座標上において、パラメータBと単層防音構造30の第1固有振動周波数(Hz)との関係を表わす点は、略一次式と見做せる上記式(3)で表され、全ての点が略同一直線上にあること分かる。なお、R2とR1とは、共に防音セル26の円相当半径を表わすが、R2=103×R1の関係にある。また、t2とt1とは、共に膜18の厚みを表わすが、t2=106×t1の関係にある。また、E2とE1とは、共に膜18のヤング率を表わすが、E1=109×E2の関係にある。
第1固有振動周波数を10Hzから100000Hzまでの間の複数の値に対するパラメータBの値を表1に示す。

0066

0067

表1から明らかなように、パラメータBは、第1固有振動周波数に対応することから、本発明においては、1.547×10(=15.47)以上2.350×105(23500)以下であることが好ましく、3.194×10(=31.94)〜4.369×104(43960)であることがより好ましく、6.592×10(=65.92)〜3.460×104(34600)であることが更により好ましく、1.718×102(=171.8)〜2.562×104(25620)であることが最も好ましい。
以上のように規格化されたパラメータBを用いることにより、本発明の防音構造10の積層防音構造、又は単層防音構造30において積層遮蔽ピーク周波数、又は遮蔽ピーク周波数の高周波側の上限となる第共振周波数、又は第1固有振動周波数を決定することができ、選択的に遮音すべき周波数帯域の中心となる積層遮蔽ピーク周波数、又は遮蔽ピーク周波数を決めることができる。また、逆に、このパラメータBを用いることにより、選択的に遮音すべき周波数帯域の中心となる遮蔽ピーク周波数を持つことができる第1固有振動周波数を有する単層防音構造30、又は積層遮蔽ピーク周波数を持つことができる第1共振周波数を有する本発明の防音構造10を設定することができる。

0068

また、本発明者らは、本発明の防音構造10の積層防音構造、又は単層防音構造30においては、第1共振周波数、又は第1固有振動周波数は、枠14及び膜18からなる構造によって定まり、透過損失がピークとなる積層遮蔽ピーク周波数、又は遮蔽ピーク周波数は、枠14及び膜18からなる構造の膜に穿孔された穴22からなる開口部に依存して定まる。
ここで、本発明者らは、本発明の防音構造10の積層防音構造、又は単層防音構造30において、防音セル26、即ち枠14の円相当半径をR1(mm)、膜18の厚みをt1(μm)、膜18のヤング率をE1(GPa)、開口部24の円相当半径をr(μm)とする時、下記式(1)で表されるパラメータAと、本発明の防音構造10の積層防音構造の積層遮蔽ピーク周波数、又は単層防音構造30の遮蔽ピーク振動周波数(Hz)とは、防音セル26の円相当半径R1(mm)、膜18の厚みt1(μm)、膜18のヤング率E1(GPa)、開口部24の円相当半径r(μm)を変化させた時にも、図25に示すように、略線形な関係にあり、略一次式で表され、2次元座標上で、略同一直線上に乗ることを知見した。なお、パラメータAは、膜の密度やポアソン比には、略依存しないことも分かった。
A=√(E1)*(t11.2)*(ln(r)−e)/(R12.8)…(4)
ここで、eは、ネイピア数を示し、ln(x)は、eを底としたxの対数である。
ここで、防音セル26内に複数個の開口部24が存在するとき、円相当半径rは複数個の開口部の合計面積から求めるものとする。

0069

なお、図25は、後述する実施例の実験前の設計段階におけるシミュレーションの結果から得られたものである。
本発明の防音構造10の積層防音構造、又は単層防音構造30において、第1共振周波数、又は第1固有振動周波数を10Hz〜100000Hzとする時、積層遮蔽ピーク振動周波数は、第1共振周波数以下の周波数となる、又は遮蔽ピーク振動周波数は、第1固有振動周波数以下の周波数となることから、積層遮蔽ピーク振動周波数、又は遮蔽ピーク振動周波数を10Hzから100000Hzまでの間の複数の値に対応するパラメータAの値を表2に示す。

0070

0071

表1から明らかなように、パラメータAは、第1共振周波数、又は第1固有振動周波数に対応することから、本発明においては、0.07000以上759.1以下であることが好ましく、0.1410〜151.82であることがより好ましく、0.2820〜121.5であることが更により好ましく、0.7050〜91.09であることが最も好ましい。
以上のように規格化されたパラメータAを用いることにより、本発明の防音構造において、遮蔽ピーク周波数、又は積層遮蔽ピーク周波数を決定することができ、積層遮蔽ピーク周波数を中心とする一定の周波数帯域の音を選択的に遮音することができる。また、逆に、このパラメータAを用いることにより、選択的に遮音すべき周波数帯域の中心となる積層遮蔽ピーク周波数を持つ本発明の防音構造を設定することができる。

0072

なお、本発明の防音構造の防音においては、音が振動でなく音響波として透過できる貫通穴22と、膜振動として音が通過する膜18との両方が存在していることが重要となる。
よって、音が透過できる貫通穴22は、音が膜振動ではなく、空気を伝わる音響波として通ることのできる部材で覆われている状態でも、開放されているときと同様に遮音のピークを得ることができる。このような部材は、一般に通気性のある部材となる。
このような通気性のある代表的な部材としては網戸の網があげられる。一例として、NBCメッシュテック社製のアミドロジー30メッシュ品が挙げられるが、本発明者らは、これによって貫通穴22を塞いでも得られるスペクトルは変化しないことを確認している。

0073

網は、格子状であっても良いし、三角格子状であっても良く、特にその形状には依存しないし、制限されない。網全体のサイズは、本発明の枠体のサイズよりも大きくても良いし、小さくても良い。また、網のサイズは、膜18の貫通穴22を1つ1つ覆うサイズであっても良い。また、網は、その網目がいわゆる虫よけを目的とするサイズの網であっても良いし、もっと細かな砂の進入を防ぐ網でも良い。素材は、合成樹脂からなる網でも良いし、防犯用電波遮蔽用の針金であっても良い。
また、上述の通気性のある部材は、網戸の網に限定されず、網の他にも、不織布素材、ウレタン素材、シンサレート(3M社製)、ブレスエアー(東洋紡社製)、ドットエアー(東レ社製)などが挙げられる。本発明では、このような通気性を有する素材で覆うことで、虫や砂が孔から侵入することを防ぐこと、貫通穴22の部分から中が見える等のプライバシー性を確保すること、及び隠ぺい性を付与することなどができる。
なお、本発明の防音構造は、窓部材網戸部材、折りたためる構造として用いたブラインドカーテン、又は仕切りであっても良いし、直方体の形状を有するケージ部材道路又は鉄道線路の側面に設置される側面壁であっても良いし、2つの単層防音構造の膜間距離を変化させる機構を有することが好ましい。
本発明の防音構造は、基本的に以上のように構成される。

0074

本発明の防音構造は、以上のように構成されているため、従来の防音構造において困難であった低周波遮蔽を可能にし、さらに、低周波から1000Hzを超える周波数まで様々な周波数の騒音に合わせて強く遮音する構造を設計できるという特徴も有する。また、本発明の防音構造は、構造の質量(質量則)によらない遮音原理であるため、従来の防音構造と比較して非常に軽量かつ薄い遮音構造を実現できるために、従来の防音構造では十分な遮音が困難であった防音対象にも適用することができる。

0075

例えば、枠、膜、穴(開口部)からなる単層防音構造においても軽量で十分な遮音性を得ることができるが、遮音性を更に高める(透過損失を高dBとする)ためには、膜を厚くする、枠を小さくする等、膜部分の実効的な堅さを大きくするか、穴を小さくして開口率を小さくする手段が考えられる。しかしながら、特に、低周波側の遮音を検討した時に、厚膜化、及び枠の小型化の条件は、遮蔽ピークを高周波側にシフトさせてしまうために用いることが困難であった。また、特に通気放熱を考えたときに穴の小サイズ化の条件で開口率を小さくすることも問題となった。
このため、特に、低周波において穴(開口部)の開口率減少条件を適用しない方法で遮音性を高める手法が求められていた。
本発明の積層防音構造においては、穴の大きさを変えずに膜を重ねて2層化しているので、穴の大きさを保ったまま遮蔽ピークの大きさを高めることができる。
また、本発明の積層防音構造では、2つの単層防音構造の膜間距離を制御することで、遮蔽周波数の微調整が可能となるため、騒音に合わせて周波数を簡単に調整することができるという利点もある。

0076

また、本発明の防音構造は、特許文献2に記載の技術のような従来のほとんどの遮音材と比較すると、従来質量則による遮蔽で遮音構造を重くするための錘を必要とせず、膜に穴を設けるだけで製造適性があり、軽くて遮音材としてロバスト性の高い遮音構造であるという特徴を有する。
また、本発明の防音構造は、特許文献2に記載の音響減衰パネル及び構造に対して、単層防音構造と同様に、質量を重くしてしまう要因であった錘が必要ないため、より軽い遮音構造を実現できる。
また、本発明の防音構造は、膜に穴をあけるだけで、強い遮音構造を実現することができる。
また、本発明の防音構造は、レーザ加工、及びパンチ穴加工により、高速かつ容易に膜に穴をあけることができるために、製造適性を有する。
また、本発明の防音構造は、穴の位置や形状に遮音特性がほとんど依存しないため、製造において安定性が高いという利点がある。
また、本発明の防音構造は、穴が存在することで膜が通気性をもち、すなわち風や熱を通しながら音を遮蔽し、即ち反射かつ/又は吸収する構造を実現できる。
さらに、本発明の防音構造は、枠、膜、及び開口部(1以上の穴)からなる単層防音構造が2層化されていることで、その2層間の膜間距離をパラメータとして用いることができ、その2層間の膜間距離を変更することによって、容易に遮蔽周波数の周波数と幅(帯域)を変更することができるので、周波数を調整する上でも大きな利点となる。

0077

以下に、本発明の防音構造を持つ防音部材に組合せることができる構造部材の物性、又は特性について説明する。
なお、以下では、本発明の多層構造の積層防音構造とするために積層する単層防音構造について説明する。
[難燃性]
建材や機器内防音材として本発明の防音構造を持つ防音部材を使用する場合、難燃性であることが求められる。
そのため、膜は、難燃性のものが好ましい。膜としては、例えば難燃性のPETフィルムであるルミラー(登録商標)非ハロゲン難燃タイプZVシリーズ(東レ社製)、テイジンテトロン(登録商標)UF(帝人社製)、及び/又は難燃性ポリエステル系フィルムであるダイアラミー(登録商標)(三菱樹脂社製)等を用いればよい。
また、枠も、難燃性の材質であることが好ましく、アルミニウム等の金属、セミラックなどの無機材料ガラス材料難燃性ポリカーボネート(例えば、PCMUPY610(タキロン社製))、及び/又はや難燃性アクリル(例えば、アクリライト(登録商標)FR1(三菱レイヨン社製))などの難燃性プラスチックなどが挙げられる。
さらに、膜を枠に固定する方法も、難燃性接着剤スリボンド1537シリーズ(スリーボンド社製))、半田による接着方法、又は2つの枠で膜を挟み固定するなどの機械的な固定方法が好ましい。

0078

耐熱性
環境温度変化にともなう、本発明の防音構造の構造部材の膨張伸縮により防音特性が変化してしまう懸念があるため、この構造部材を構成する材質は、耐熱性、特に低熱収縮のものが好ましい。
膜は、例えばテイジンテトロン(登録商標)フィルムSLA(帝人デュポン社製)、PENフィルムテオネックス(登録商標)(帝人デュポン社製)、及び/又はルミラー(登録商標)オフアニール低収縮タイプ(東レ社製)などを使用することが好ましい。また、一般にプラスチック材料よりも熱膨張率の小さいアルミニウム等の金属膜を用いることも好ましい。
また、枠は、ポリイミド樹脂(TECASINT4111(エンズィンガージャパン社製))、及び/又はガラス繊維強化樹脂(TECAPEKGF30(エンズィンガージャパン社製))などの耐熱プラスチックを用いること、及び/又はアルミニウム等の金属、又はセラミック等の無機材料やガラス材料を用いることが好ましい。
さらに、接着剤も、耐熱接着剤(TB3732(スリーボンド社製)、超耐熱1成分収縮型RTシリコーン接着シール材(モメンティブ・パフォーマンスマテリアルズ・ジャパン社製)、及び/又は耐熱性無機接着剤アロンセラミック(登録商標)(東亜合成社製)など)を用いることが好ましい。これら接着を膜または枠に塗布する際は、1μm以下の厚みにすることで、膨張収縮量を低減できることが好ましい。

0079

[耐候・耐光性
屋外や光が差す場所に本発明の防音構造を持つ防音部材が配置された場合、構造部材の耐侯性が問題となる。
そのため、膜は、特殊ポリオレフィンフィルムアートプライ(登録商標)(三菱樹脂社製))、アクリル樹脂フィルム(アクリプレン(三菱レイヨン社製))、及び/又はスコッチカルフィルム(商標)(3M社製)等の耐侯性フィルムを用いることが好ましい。
また、枠材は、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリル(アクリル)などの耐侯性が高いプラスチックやアルミニウム等の金属、セラミック等の無機材料、及び/又はガラス材料を用いることが好ましい。
さらに、接着剤も、エポキシ樹脂系のもの、及び/又はドライフレックスリペアケアインターナシナル社製)などの耐侯性の高い接着剤を用いることが好ましい。
耐湿性についても、高い耐湿性を有する膜、枠、及び接着剤を適宜選択することが好ましい。吸水性耐薬品性に関しても適切な膜、枠、及び接着剤を適宜選択することが好ましい。

0080

ゴミ
長期間の使用においては、膜表面にゴミが付着し、本発明の防音構造の防音特性に影響を与える可能性がある。そのため、ゴミの付着を防ぐ、または付着したゴミ取り除くことが好ましい。
ゴミを防ぐ方法として、ゴミが付着し難い材質の膜を用いることが好ましい。例えば、導電性フィルムフレクリア(登録商標)(TDK社製)、及び/又はNCF(長岡産業社製))などを用いることで、膜が帯電しないことで、帯電によるゴミの付着を防ぐことができる。また、フッ素樹脂フィルム(ダイノックフィルム(商標)(3M社製))、及び/又は親水性フィルム(ミラクリーンライフガード社製)、RIVEX(リケンテクノス社製)、及び/又はSH2CLHF(3M社製))を用いることでも、ゴミの付着を抑制できる。さらに、光触媒フィルム(ラクリーン(きもと社製))を用いることでも、膜の汚れを防ぐことができる。これらの導電性親水性、及び/又は光触媒性を有するスプレー、及び/又はフッ素化合物を含むスプレーを膜に塗布することでも同様の効果を得ることができる。

0081

上述したような特殊な膜を使用する以外に、膜上にカバーを設けることでも汚れを防ぐことが可能である。カバーとしては、薄い膜材料(サランラップ(登録商標)など)、ゴミを通さない大きさの網目を有するメッシュ、不織布、ウレタン、エアロゲルポーラス状のフィルム等を用いることができる。
また、膜に通気孔となる貫通穴を有する防音構造においては、図27、及び図28にそれぞれ示す防音部材40a、及び40bのように、膜18上に設けられたカバー42にも孔44を空けて、膜18上に直接風やゴミが当たらないように、配置することが好ましい。
付着したゴミを取り除く方法としては、膜の共鳴周波数の音を放射し、膜を強く振動させることで、ゴミを取り除くことができる。また、ブロワー、又はふき取りを用いても同様の効果を得ることができる。

0082

風圧
強い風が膜に当たることで、膜が押された状態となり、共鳴周波数が変化する可能性がある。そのため、膜上に、不織布、ウレタン、及び/又はフィルムなどでカバーすることで、風の影響を抑制することができる。膜に貫通穴を有する防音構造においては、上記のゴミの場合と同様に、図27、及び図28にそれぞれ示す防音部材40a、及び40bのように、膜18上に設けられたカバー42にも孔44を空けて、膜18上に直接風が当たらないように、配置することが好ましい。

0083

ユニットセルの組合せ]
本発明の防音構造は、複数の枠14が連続した1つの枠体16によって構成されているが、本発明はこれに限定されず、1つの枠とそれに取り付けられた1枚の膜とを持つ、又はこの1つの枠と1枚の膜と膜に形成された貫通穴を持つ単位ユニットセルとしての防音セルであっても良い。即ち、本発明の防音構造を有する防音部材は、必ずしも1つの連続した枠体によって構成されている必要はなく、単位ユニットセルとして枠構造とそれに取り付けられた膜構造とを持つ、又は1つの枠構造と1つの膜構造と膜構造に形成された穴構造を持つ防音セルであっても良く、このような単位ユニットセルを独立に使用する、もしくは複数の単位ユニットセルを連結させて使用することもできる。
複数の単位ユニットセルの連結の方法としては、後述するが、枠体部にマジックテープ(登録商標)、磁石、ボタン吸盤、及び/又は凹凸部を取り付けて組み合わせてもよいし、テープなどを用いて複数の単位ユニットセルを連結させることもできる。

0084

[配置]
本発明の防音構造を有する防音部材を壁等に簡易に取り付け、又はり取外しできるようにするため、防音部材に磁性体、マジックテープ(登録商標)、ボタン、吸盤などからなる脱着機構が取り付けられていることが好ましい。例えば、図29に示すように、防音部材40cの枠体16の外側の枠14の底面に脱着機構46を取付けて置き、防音部材40cに取り付けられた脱着機構46を壁48に取付けて、防音部材40cを壁48に取り付けるようにしても良いし、図30に示すように、防音部材40cに取り付けられた脱着機構46を壁48から取り外して、防音部材40cを壁48から離脱させるようにしても良い。

0085

また、共鳴周波数の異なる各防音セル、例えば図31に示すように、防音セル41a、41b、及び41cをそれぞれ組合せて、防音部材40dの防音特性を調整する際に、容易に防音セル41a、41b、及び41cを組み合わせられるように、各防音セル41a、41b、及び41cに磁性体、マジックテープ(登録商標)、ボタン、吸盤などの脱着機構50が取り付けられていることが好ましい。
また、防音セルに凹凸部を設け、例えば図32に示すように、防音セル41dに凸部52aを設け、かつ防音セル41eに凹部52bを設け、それらの凸部52aと凹部52bとをかみ合わせで防音セル41dと防音セル41eとの脱着を行ってもよい。複数の防音セルを組み合わせることができれば、1つの防音セルに凸部及び凹部の両方を設けても良い。
更に、上述した図31に示す脱着機構50と、図32に示す凹凸部、凸部52a及び凹部52bとを組み合わせて防音セルの着脱を行うようにしても良い。

0086

[枠機械強度
本発明の防音構造を有する防音部材のサイズが大きくなるにつれ、枠が振動しやすくなり、膜振動に対し固定端としての機能が低下する。そのため、枠の厚みを増して枠剛性を高めることが好ましい。しかし、枠の厚みを増すと防音部材の質量が増し、軽量である本防音部材の利点が低下していく。
そのため、高い剛性を維持したまま質量の増加を低減するために、枠に孔や溝を形成することが好ましい。例えば、図33に示す防音セル54の枠56に対して、図34に側面図として示すようにトラス構造を用いることで、又は図35に示す防音セル58の枠60に対して、図36にA−A線矢視図として示すようにラーメン構造を用いることで、高い剛性かつ軽量を両立することができる。

0087

また、例えば、図37図39に示すように、面内の枠厚みを変える、又は組合せることで、高剛性を確保し、軽量化を図ることもできる。図37に示す本発明の防音構造を有する防音部材62のように、図37に示す防音部材62をB−B線で切断した断面模式図である図38に示すように、36個の防音セル64の複数の枠66からなる枠体68の両外側、及び中央の板状部材68aを、その他の部分の板状部材68bより厚みを厚くする、図示例では2倍以上厚くする。B−B線と直交するC−C線で切断した断面模式図である図39に示すように、直交する方向においても、同様に、枠体68の両外側、及び中央の板上部材68aを、その他の部分の板状部材68bより厚みを厚くする、図示例では2倍以上厚くする。
こうすることにより、高剛性化と軽量化を両立することができる。
なお、上述した図29図39に示す各防音セルの膜18には、簡略化のために、貫通穴を図示していないが、貫通穴が穿孔されているのは勿論である。

0088

本発明の防音構造は、以下のような防音部材として使用することができる。
例えば、本発明の防音構造を持つ防音部材としては、
建材用防音部材:建材用として使用する防音部材、
空気調和設備用防音部材:換気口空調用ダクトなどに設置し、外部からの騒音を防ぐ防音部材、
外部開口部用防音部材:部屋の窓に設置し、室内又は室外からの騒音を防ぐ防音部材、
天井用防音部材:室内の天井に設置され、室内の音響を制御する防音部材、
床用防音部材:床に設置され、室内の音響を制御する防音部材、
内部開口部用防音部材:室内のドアふすまの部分に設置され、各部屋からの騒音を防ぐ防音部材、
トイレ用防音部材:トイレ内またはドア(室内外)部に設置、トイレからの騒音を防ぐ防音部材、
バルコニー用防音部材:バルコニーに設置し、自分のバルコニーまたは隣のバルコニーからの騒音を防ぐ防音部材、
室内調音用部材:部屋の音響を制御するための防音部材、
簡易防音室部材:簡易に組み立て可能で、移動も簡易な防音部材、
ペット用防音室部材:ペットの部屋を囲い、騒音を防ぐ防音部材、
アミューズメント施設ゲームセンタースポーツセンターコンサートホール映画館に設置される防音部材、
工事現場仮囲い用の防音部材:工事現場を多い周囲に騒音の漏れを防ぐ防音部材、
トンネル用の防音部材:トンネル内に設置し、トンネル内部および外部に漏れる騒音を防ぐ防音部材、等を挙げることができる。

0089

本発明の防音構造は、以下のようにして製造される。
まず、複数の枠14を有する枠体16と、枠体16の全ての枠14の貫通孔12を全て覆うシート状の膜体20を2組準備する。
次に、各組の枠体16の全ての枠14にシート状の膜体20を接着剤によって固定し、全ての枠14の貫通孔12をそれぞれ覆う膜18を形成して、枠14と膜18とからなる構造を持つ2組の複数の防音セルを構成する。
次いで、2組の複数の防音セルの個々の膜18に、レーザ加工などのエネルギを吸収する加工方法、もしくはパンチング、又は針加工などの物理的接触による機械加工方法によって1個以上の穴22をそれぞれ穿孔して、各防音セル26に開口部24を形成する。
こうして、単層防音構造30(30a、30b)を製造する。
こうして製造された2つの単層防音構造30a、及び30bを積層して固定する。
固定は、単層防音構造30aの膜18と単層防音構造30bの枠14とを、単層防音構造30aの枠14と単層防音構造30bの膜18とを、直接接着剤で固定しても良いし、又はスペーサ32の枠14を介して接着剤で固定しても良い。
こうして、単層防音構造30a、及び30bが積層された本発明の防音構造10を製造することができる。
なお、単層防音構造30a、及び30bの枠体16、更には、スペーサ32の枠体16を連続した枠構造とする場合には、枠構造を先に製造した後に、膜18を枠14に接着剤で固定するようにしても良い。
本発明の防音構造の製造方法は、基本的に以上のように構成される。

0090

本発明の防音構造を実施例に基づいて具体的に説明する。
本発明の実施例を製造して音響特性を測定する実験を行う前に防音構造の設計について示す。
この防音構造の系は、膜振動と空気中の音波の相互作用系であるため、音響と振動の連成解析を用いて解析を行った。具体的には、有限要素法解析ソフトウェアであるCOMSOLver5.0の音響モジュールを用いて設計を行った。まず、固有振動解析によって第1固有振動周波数を求めた。次に、周期構造境界中で周波数スイープによる音響構造連成解析を行って、正面から入射する音波に対する各周波数における透過損失を求めた。
この設計に基づいて、サンプルの形状や材質を決定した。実験結果における遮蔽ピーク周波数とシミュレーションからの予測はよく一致した。

0091

また、材料特性膜厚を自由に変化させることができるシミュレーションの特徴を活かして、第1共振周波数と各物性の対応を求めた。パラメータBとして膜18の厚みt2(m)、枠14のサイズ(又は半径)R2(m)、膜のヤング率E2(Pa)、膜の密度d(kg/m3)を変化させて固有振動を求めた。その結果を図26に示した。本発明者らは、この計算により第1固有振動周波数f_resonanceがt2/R22*√(E2/d)に略比例することを見出した。したがって、パラメータB=t2/R22*√(E2/d)とおくことで固有振動が予測できることが分かった。

0092

(実施例1、比較例1)
以下に、膜18としてPETフィルム厚さ188μmを、枠14として正方形サイズ25mmに貼った後に、サイズ直径1mmの穴22を形成した2層積層構造の実施例1の防音構造を作製した。その製造方法を示す。
PETフィルム(東レ株式会社製ルミラー)188μm品を膜18として用いた。枠14としてはアクリル厚み3mmの板を用い、枠14の形状を正方形として、その正方形の貫通孔12の一辺を25mmとして加工を行ったものを用いた。
枠14の幅は2mmとした。枠構造(枠体16の枠14)の貫通孔12は、2×2個の合計4個を有する。枠構造に対してPETフィルムを2×2個の枠14の領域に対し、日東電工両面テープで固定した。そののちに、ポンチで直径1mmの貫通穴22を各防音セル26毎にPETフィルムに形成した。このとき、膜18の中央部に貫通穴22が形成されるように調整をした。
この手順を2回繰り返すことによって、同一条件の枠14、膜18及び穴22からなる2つの単層防音構造30(30a、30b)を得ることができた。
こうして得られた単層防音構造30を比較例1とした。

0093

まず、比較例1となる単層防音構造30(30a、30b)の特性の評価を行った。以下に、音響特性の測定法を示す。
音響特性は、自作のアルミニウム製音響管に4本のマイクを用いて伝達関数法による測定を行った。この手法は「ASTME2611-09: Standard Test Method for Measurement of Normal Incidence Sound Transmission of Acoustical Materials Based on the Transfer Matrix Method」に従うものである。音響管としては、例えば日東紡音響エンジニアリング株式会社製のWinZacと同一の測定原理であるものを用いた。この方法で広いスペクトル帯域において音響透過損失を測定することができる。防音構造を音響管の測定部位に配置し、100Hz〜2000Hzの範囲で音響透過損失測定を行った。
この比較例1の単層防音構造30の透過損失の測定結果図11Aに示す。
遮蔽ピーク周波数である664Hzにおいてその透過損失は28dBとなった。その結果を表3に示す。
また、測定した透過率、及び反射率を用いて、吸収率の周波数依存性を求めた。その結果を図11Bに示した。

0094

次に、図5に示すように、2つの単層防音構造30aと30bの間に、スペーサ32となる枠構造(アクリル製厚み3mm×幅2mm、25mmの貫通孔12を有する)を1層挟みこんで、膜18間の距離(膜間距離)を3mmあけた2層構造の積層防音構造からなる本発明の実施例1の防音構造を作製した。この2層構造の透過損失を測定した。その結果を図12Aに、同様に吸収率の測定結果を図12Bに示した。
図12Aに示すように、遮蔽ピーク(積層遮蔽ピーク周波数−透過損失)が低周波側にシフトし、388Hz−30dBから514Hz−27dBまでの低周波側に広いピークを持ち、同時に700Hzに22dBの別のピークが現れ、ダブルピーク化した。つまり、全く同一の単層防音構造30を2層重ねることで、ピークが広帯域化し、2重ピークに分裂することが分かった。この特性は遮蔽ピークの調整や、遮蔽の広帯域化に有用な特性であることが分かる。その結果を表3に示す。
以下、全ての実施例、比較例において測定方法は同じであるため、サンプルの作成方法を示した。

0095

(実施例2)
実施例1において、2つの単層防音構造30aと30bの間に挟み込んだスペーサ32(アクリル製枠体16)を1層使う代わりに3層用いて挟み込み、2つの単層防音構造30aと30bの層間の膜間距離を9mmあけた積層防音構造とした。この積層防音構造の透過損失、吸収率の測定結果をそれぞれ図13A及び図13Bに示した。透過損失の極大値は、1つとなり、517Hz(積層遮蔽ピーク周波数)で41dBを持ち、単層防音構造30より透過損失が大きくなった。その結果を表3に示す。
また、2つ単層防音構造30aと30bの第1固有振動周波数による透過損失の極小値が、積層防音構造の2層膜の相互作用によって2つに分裂した。この両周波数において、音の吸収率が振動による増大を示した。よって、同一の単層防音構造30を重ねているにもかかわらず、吸収の広帯域化を行うこともできた。

0096

(実施例3)
実施例1において、2つの単層防音構造30aと30bの間に挟み込んだスペーサ32(アクリル製枠体16)を1層使う代わりに5層用いて挟み込み、2つの単層防音構造30aと30bの層間の膜間距離を15mmあけた積層防音構造とした。この積層防音構造の透過損失、吸収率の測定結果をそれぞれ図14A及び図14Bに示した。透過損失の極大値は512Hzで51dBを持ち、実施例2の積層防音構造と比較しても、さらに透過損失のピークが大きくなった。その結果を表3に示す。
また、2つ単層防音構造30aと30bの第1固有振動周波数による透過損失の極小値が、実施例2と同様に、積層防音構造の2層膜の相互作用によって2つに分裂した。実施例2と同様に、吸収率の極大値も2つに分裂し、吸収率の極大値の周波数は透過損失の極小値に対応している。透過損失の極小値間の周波数差は、実施例2より小さく、低周波側は変化せずに、高周波側の透過損失極小値が低周波シフトするという特徴があった。

0097

0098

(実施例4〜実施例8)
実施例1において、膜18としてのPETフィルム厚さ188μmを、枠14としてのアクリル製正方形枠の枠サイズ25mmに貼る代わりに、膜18として同種のPETフィルム厚さ100μmを、枠14としてのアクリル製正方形枠の枠サイズ15mmに貼った後に、穴22を形成した2層膜構造の積層防音構造を作製した。
ところで、枠14の貫通孔12の領域は2×2ではなく4×4となり、枠14のフレーム部に両面テープを用いてPETフィルムを固定した。その枠14及び膜18による単位セルの膜18の中央部にポンチで直径1mmの穴22を形成した。この工程を2回繰り返すことで、同一条件の2つの単層防音構造30(30aと30b)を得ることができた。
次に、2つの単層防音構造30aと30bの間に、スペーサ32を挟みこんで、2層間の膜間距離を変えた2層構造の積層防音構造からなる本発明の実施例4〜8の防音構造を作製した。

0099

実施例4〜8では、膜間距離を1mm、5mm、10mm、20mm、及び30mmと変化させた。この時の実施例4〜8の透過損失を図15A、吸収率を図15Bに示した。また、それらの結果を表4に示した。
透過損失の極大値が、膜間距離を開けるほど大きくなることは、実施例1〜3と同様である。また、透過損失の極大値より低周波側に透過損失の傾きが小さくなるよう変化する周波数が存在し、その周波数において吸収率が極大を示す。この周波数は膜間距離が大きくなるほどに低周波シフトし、低周波吸音に有利な特性であることが分かる。

0100

0101

(実施例9)
3層構造の積層防音構造と2層構造の積層防音構造とを比較するために、まず、2層構造の積層防音構造を作成した。実施例1と同様にして、膜18としてPETフィルム188μmを正方形枠サイズ20mmの枠14に貼った後に穴22を形成した2層膜構造の防音構造を作製した。枠14の貫通孔12の領域は3個×3個となり、枠14のフレーム部に両面テープを用いてPETフィルムを固定した。その枠14及び膜18からなる単位セルの膜18の中央部にポンチで直径1mmの穴22を形成した。この工程を2回繰り返すことで、同一条件の2つの単層防音構造30(30a、30b)を得ることができた。
2つの単層防音構造30aと30bとの間の膜間距離を実施例1と同様にして、3mm厚みのスペーサ32(アクリル製枠体16)を2枚挟みこんで2層間の膜間距離を6mmあけた。この2層構造の積層防音構造の透過損失を測定した。その結果を図16A点線で、同様に、吸収率の測定結果を図16Bに点線で示した。図16Aに示す透過損失に関しては、膜間距離が小さいことにより極大値がダブルピーク化していることが分かる。

0102

(実施例10)
続いて、実施例9のスペーサ32として使用したアクリル製枠体16の2枚の間に、更に、膜18としてPETフィルム188μmに穴を形成した構造を作成した。具体的には、スペーサ32(アクリル枠体16)のフレーム部に両面テープでPETフィルム188μmを膜18として固定し、ポンチにより中央部に直径1mmの穴22を形成した。このようにして、膜18としてPETフィルム188μmが20mm正方形枠14に固定され、その中央部に直径1mmの穴22が形成された構造が3層積層された3層構造の積層防音構造を作製した。それぞれに膜18間の距離、即ち、各2層間の膜間距離は3mmとなり、合計厚みは6mmとなるため、合計厚みは、実施例9と同一の構造となった。
この3層構造の積層防音構造の透過損失を図16A実線で、同様に、吸収率の測定結果を図16Bに実線で示した。
積層防音構造を3層構造にすることによって、2層構造の積層防音構造の時にダブルピーク化していた透過損失の極大値がシングルピークとなり、全体として透過損失が大きくなった。また、第一共振周波数である1000Hz付近における吸収も3層構造にすることによって大きくなった。

0103

(実施例11)
実施例9と同様の作製方法により、2層間の膜間距離を6mmとする代わりに、2層間の膜間距離を12mmとするために、スペーサ32となる厚さ3mmのアクリル枠体16を4層挟み込んだ構造を作製した。透過損失を図17Aに点線で、吸収率を図17Bに点線で示した。
(実施例12)
実施例11のスペーサ32となるアクリル製枠体の中心に、膜18となるPETフィルム188μmをもう1枚固定し、膜18の中心に1mmの穴22を形成した。即ち、実施例10と同様の構造であって、膜18(PETフィルム)間の距離が、それぞれ3mmであった代わりに6mmとした積層防音構造を作成した。合計の厚みは、実施例11と同じく12mmとなる。透過損失を図17Aに実線で、吸収率を図17Bに実線で示した。
3層構造の積層防音構造とすることで、透過損失の極大値のピークは大きくなり、第1共振周波数における吸収率の極大値も大きくなった。
このようにして、多層構造とすることによって、積層防音構造全体の厚みを同様に保ったままで透過損失を2層構造よりも大きくすることができた。

0104

(シミュレーション)
図18に、実施例2の透過損失の測定結果(実線)と、実施例2に対応するように一辺25mmの枠14に固定拘束された膜18及び穴22からなる積層防音構造を9mmの膜間距離をあけた場合のCOMSOL計算結果の透過損失のシミュレーション結果(点線)を示す。
図18から、第1共振周波数が相互作用で分かれる大きさなど、全体的によく一致している。同様に、図19に実施例3に関する実験による透過損失と、シミュレーションによる透過損失との比較を示す。図19においても、図18と同様に、良く一致していることが分かる。
よって、膜18間の距離(膜間距離)と相互作用の関係などで、パラメータを自在に変化させることができる点も考えて、シミュレーションを用いた分析を行った。

0105

COMSOL計算では、計算効率を考えて、2次元の円筒対称構造で計算した。よって、枠14や膜18の形状は円形とした。
まず、透過損失の極大値の相互作用による分割(ダブルピーク化)の影響をみるために、枠1の直径25mm、膜18の膜厚200μmとして、両積層膜18に直径2mmの貫通穴22が形成されている場合を計算した。2層間の膜間距離は5mmから40mm迄の間で1mm毎に計算を行い、透過損失ピーク付近の周波数範囲を0.5Hz毎に計算を行った。膜間距離を5mm毎に変化させた場合の透過損失のスペクトルを図20に示した。膜間距離に応じて透過損失ピークが2つの周波数に存在し、それぞれ、そのピーク高さが膜間距離を40mm離したときの透過損失よりも大きくなっていることが分かる。
また、この時のダブルピークの周波数の差を求めて、膜間距離の関数として、図21プロットした。膜間距離をa(mm)とすると、ダブルピークの周波数の差は、大凡、exp(−0.13×a)に相関した。

0106

より低周波の特性を調べるために、枠14の直径25mm、膜18の膜厚100μmとして、両積層膜18に直径2mmの貫通穴22が形成されている場合を計算した。膜厚が小さくなり、防音セル26が実効的に柔らかくなることで、透過損失ピークも低周波にシフトした。膜間距離は5mmから35mmまで1mm毎に計算を行い、透過損失ピーク付近の周波数範囲を0.5Hzごとに計算を行った。この場合の膜間距離を5mm毎に変化させた場合の透過損失スペクトルを図22に示した。また、ダブルピークの周波数差を求めて、膜間距離の関数として図23にプロットした。膜間距離a(mm)に対して、大凡exp(−0.14×a)に相関した。このように、大きく異なる周波数における透過損失のダブルピークであっても、そのダブルピークの分割幅の距離に対する依存性はほとんど変わらない。

0107

図24Aは、本発明の防音構造の2層間の膜間距離に対する透過損失のピーク値を示すグラフである。
図24Aに示すグラフおいて、(1)および(2)で表される、2層間の膜間距離が小さく、遮蔽のピーク値がピークを示す領域では、図24B及び図24Cに示すように、2層間の膜間距離が小さい時に、周波数に対する透過損失のグラフにおいてピーク値が分割され、ダブルピーク化し、その周波数幅が2層間の膜間距離に反比例している。
図24Aに示すグラフおいて、(3)で表される、遮蔽のピーク値が最も高くなるピークの領域では、図24Dに示すように、周波数に対する透過損失のグラフにおいて透過損失の極大値が最大値となっている。
図24Aに示すグラフおいて、(4)で表される、2層間の膜間距離が小さく、遮蔽のピーク値の変化がない、又は少ない領域では、図24Eに示すように、周波数に対する透過損失のグラフにおいて、上記最大値よりは小さい透過損失の極大値で安定している。

0108

以上から、本発明の防音構造は、狙った特定の周波数成分を極めて強く遮蔽することができるという優れた遮音特性を持ち、更に、より低周波側の成分の吸収を増大させることができることが分かった。
また、本発明の防音構造は、積層防音構造となる単層防音構造間の膜間距離に応じて、遮音の強さを増大して強化したり、遮音周波数の広帯域化したりすることができ、遮音特性を膜間距離によって容易に調整することができる。
以上から、本発明の効果は明らかである。

0109

なお、本発明の防音構造においては、第1固有振動周波数は、1以上の防音セルの枠の幾何学的形態と、1以上の防音セルの膜の剛性とによって定まり、遮蔽ピーク周波数は、1以上の防音セルの開口部の面積に応じて定まるものであることが好ましい。
また、第1固有振動周波数は、1以上の防音セルの枠の形状及び寸法と、1以上の防音セルの膜の厚さ及び可撓性とによって定まり、遮蔽ピーク周波数は、1以上の防音セルの開口部の平均面積率に応じて定まるものであることが好ましい。
また、1以上の防音セルの開口部は、1つの穴で構成されることが好ましい。
また、1以上の防音セルの開口部は、同一サイズの複数の穴で構成されることが好ましい。
また、1以上の防音セルの開口部の1以上の穴のサイズは、2μm以上であることが好ましい。
また、1以上の防音セルの枠の平均サイズは、遮蔽ピーク周波数に対応する波長サイズ以下であることが好ましい。

0110

また、1以上の防音セルの開口部の1以上の穴は、エネルギを吸収する加工方法によって穿孔された穴であることが好ましく、また、エネルギを吸収する加工方法は、レーザ加工であることが好ましい。
また、1以上の防音セルの開口部の1以上の穴は、物理的接触による機械加工方法によって穿孔された穴であることが好ましく、また、機械加工方法は、パンチング、又は針加工であることが好ましい。
また、膜は、空気に対して不浸透性であることが好ましい。
また、防音セルの開口部の1つの穴は、膜の中心に設けられていることが好ましい。
また、膜は、可撓性のある弾性材料製であることが好ましい。
また、1以上の防音セルが、2次元的に配置された複数の防音セルである時、複数の防音セルの枠は、複数の防音セルを覆う1つの枠体によって構成されたものであることが好ましい。
また、1以上の防音セルが、2次元的に配置された複数の防音セルである時、複数の防音セルの膜は、複数の防音セルを覆う1枚のシート状の膜体によって構成されることが好ましい。
また、本発明の防音構造を製造するに際し、1以上の防音セルの開口部の1以上の穴を、各防音セルの膜に、エネルギを吸収する加工方法、又は物理的接触による機械加工方法によって穿孔することが好ましい。
また、エネルギを吸収する加工方法は、レーザ加工であり、機械加工方法は、パンチング、又は針加工であることが好ましい。

実施例

0111

以上、本発明の防音構造についての種々の実施形態及び実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は、これらの実施形態及び実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。

0112

10、10A、10B、10C、10D、10E、10F防音構造
12貫通孔
14、56、60、66 枠
15、68a、68b板状部材
16、68枠体
18 膜
20膜体
22 穴
24 開口部
26、41a、41b、41c、41d、41e、54、58、64防音セル
30、30a、30B単層防音構造
32、33スペーサ
40a、40b、40c、40d、62防音部材
42カバー
44 孔
46、50脱着機構
48 壁
52a 凸部
52b 凹部

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