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技術 積層構造体、ドライフィルムおよびフレキシブルプリント配線板

出願人 太陽インキ製造株式会社
発明者 宮部英和内山強小池直之笠間美智子角谷武徳
出願日 2016年7月25日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2017-532507
公開日 2018年5月31日 (2年5ヶ月経過) 公開番号 WO2017-022547
状態 特許登録済
技術分野 プリント板の構造 フォトリソグラフィー用材料 印刷回路の非金属質の保護被覆 高分子組成物
主要キーワード 各積層構造体 常温放置後 冷却環 硬化触媒作用 スルホン酸含有化合物 モノヒドロキシル化合物 個付加 ハンツマン社
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年5月31日)のものです。
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図面 (2)

課題・解決手段

屈曲性に優れ、フレキシブルプリント配線板絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)との一括形成プロセスに適した積層構造体であって、金めっき耐性を向上しつつ、熱履歴の影響を抑えて現像性を向上し、開口形状の安定化を図ることができる積層構造体、ドライフィルム、および、その硬化物を、例えばカバーレイまたはソルダーレジストなどの保護膜として有するフレキシブルプリント配線板を提供する。樹脂層(A)と、樹脂層(A)を介してフレキシブルプリント配線板に積層される樹脂層(B)と、を有する積層構造体である。樹脂層(B)が、アルカリ溶解性樹脂光重合開始剤熱反応性化合物とを含む感光性熱硬化性樹脂組成物からなり、かつ、樹脂層(A)が、アルカリ溶解性樹脂と、熱反応性化合物と、メラミンホウ酸エステル化合物との混合物またはメラミンの有機酸塩と、を含むアルカリ現像型樹脂組成物からなる。

概要

背景

近年、スマートフォンタブレット端末の普及による電子機器小型薄型化により、回路基板小スペース化が必要となってきている。そのため、折り曲げ収納できるフレキシブルプリント配線板の用途が拡大し、これまで以上に高い信頼性を有するフレキシブルプリント配線板が求められている。

これに対し現在、フレキシブルプリント配線板の絶縁信頼性を確保するための絶縁膜として、折り曲げ部(屈曲部)には、耐熱性および屈曲性などの機械的特性に優れたポリイミドベースとしたカバーレイを用い(例えば、特許文献1,2参照)、実装部(非屈曲部)には、電気絶縁性はんだ耐熱性などに優れ微細加工が可能な感光性樹脂組成物を用いた混載プロセスが広く採用されている。

すなわち、ポリイミドをベースとしたカバーレイは、金型打ち抜きによる加工を必要とするため、微細加工には不向きである。そのため、微細加工が必要となるチップ実装部には、フォトリソグラフィーによる加工ができるアルカリ現像型の感光性樹脂組成物(ソルダーレジスト)を部分的に併用する必要があった。

概要

屈曲性に優れ、フレキシブルプリント配線板の絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)との一括形成プロセスに適した積層構造体であって、金めっき耐性を向上しつつ、熱履歴の影響を抑えて現像性を向上し、開口形状の安定化をることができる積層構造体、ドライフィルム、および、その硬化物を、例えばカバーレイまたはソルダーレジストなどの保護膜として有するフレキシブルプリント配線板を提供する。樹脂層(A)と、樹脂層(A)を介してフレキシブルプリント配線板に積層される樹脂層(B)と、を有する積層構造体である。樹脂層(B)が、アルカリ溶解性樹脂光重合開始剤熱反応性化合物とを含む感光性熱硬化性樹脂組成物からなり、かつ、樹脂層(A)が、アルカリ溶解性樹脂と、熱反応性化合物と、メラミンホウ酸エステル化合物との混合物またはメラミンの有機酸塩と、を含むアルカリ現像型樹脂組成物からなる。

目的

本発明の目的は、屈曲性に優れ、フレキシブルプリント配線板の絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)との一括形成プロセスに適した積層構造体であって、金めっき耐性を向上しつつ、熱履歴の影響を抑えて現像性を向上し、開口形状の安定化を図ることができる積層構造体、ドライフィルム、および、その硬化物を、例えばカバーレイまたはソルダーレジストなどの保護膜として有するフレキシブルプリント配線板を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

樹脂層(A)と、該樹脂層(A)を介してフレキシブルプリント配線板に積層される樹脂層(B)と、を有する積層構造体であって、前記樹脂層(B)が、アルカリ溶解性樹脂と、光重合開始剤と、熱反応性化合物とを含む感光性熱硬化性樹脂組成物からなり、かつ、前記樹脂層(A)が、アルカリ溶解性樹脂と、熱反応性化合物と、メラミンホウ酸エステル化合物との混合物またはメラミンの有機酸塩と、を含むアルカリ現像型樹脂組成物からなることを特徴とする積層構造体。

請求項2

フレキシブルプリント配線板の屈曲部および非屈曲部のうちの少なくともいずれか一方に用いられる請求項1記載の積層構造体。

請求項3

フレキシブルプリント配線板のカバーレイソルダーレジストおよび層間絶縁材料のうちの少なくともいずれか1つの用途に用いられる請求項1記載の積層構造体。

請求項4

請求項1記載の積層構造体の少なくとも片面が、フィルムで支持または保護されていることを特徴とするドライフィルム

請求項5

請求項1記載の積層構造体を用いた絶縁膜を有することを特徴とするフレキシブルプリント配線板。

技術分野

0001

本発明は、フレキシブルプリント配線板絶縁膜として有用な積層構造体ドライフィルムおよびフレキシブルプリント配線板(以下、単に「配線板」とも称する)に関する。

背景技術

0002

近年、スマートフォンタブレット端末の普及による電子機器小型薄型化により、回路基板小スペース化が必要となってきている。そのため、折り曲げ収納できるフレキシブルプリント配線板の用途が拡大し、これまで以上に高い信頼性を有するフレキシブルプリント配線板が求められている。

0003

これに対し現在、フレキシブルプリント配線板の絶縁信頼性を確保するための絶縁膜として、折り曲げ部(屈曲部)には、耐熱性および屈曲性などの機械的特性に優れたポリイミドベースとしたカバーレイを用い(例えば、特許文献1,2参照)、実装部(非屈曲部)には、電気絶縁性はんだ耐熱性などに優れ微細加工が可能な感光性樹脂組成物を用いた混載プロセスが広く採用されている。

0004

すなわち、ポリイミドをベースとしたカバーレイは、金型打ち抜きによる加工を必要とするため、微細加工には不向きである。そのため、微細加工が必要となるチップ実装部には、フォトリソグラフィーによる加工ができるアルカリ現像型の感光性樹脂組成物(ソルダーレジスト)を部分的に併用する必要があった。

先行技術

0005

特開昭62−263692号公報
特開昭63−110224号公報

発明が解決しようとする課題

0006

このように、従来のフレキシブルプリント配線板の製造工程では、カバーレイを貼り合わせる工程とソルダーレジストを形成する工程の混載プロセスを採用せざるを得ず、コスト性と作業性に劣るという問題があった。

0007

これに対し、本発明者らは、現像性接着層と、該現像性接着層を介してフレキシブルプリント配線板に積層される現像性保護層と、を有し、少なくとも前記現像性保護層は、光照射によりパターニングが可能であり、かつ、前記現像性接着層と前記現像性保護層は、現像によりパターン一括して形成することが可能である積層構造体を、先に提案している。
このような積層構造体においては、プリント配線基板側の接着層(樹脂層(A))とその上層の保護層(樹脂層(B))とを、両層同時にパターニングすることが可能となる。

0008

一方で、従来、配線回路上にソルダーレジストなどの樹脂層を形成する場合、ポストキュア工程で熱硬化する際に露出している銅回路表面が酸化しやすく、その後のめっき工程などにおいて、酸化した銅回路との界面側の塗膜薬液に侵されて剥離するなど、密着性が低下してしまうという問題があった。
かかる問題については、従来、塗膜の組成物中にメラミンや3級アミンなどの酸化防止剤を配合して、耐薬品性金めっき耐性)を向上することが行われている。

0009

そこで、本発明者らは、先に提案した前述の積層構造体について、プリント配線板側の樹脂層(A)にメラミンや3級アミンなどの酸化防止剤を配合することを検討した。
しかしながら、このような積層構造体を、PEB(POST EXPOSURE BAKE)工程を含むプロセスに適用すると、PEB工程により樹脂層(A)の熱かぶりが促進されるために、開口安定性が悪くなるという新たな問題が生じることに発明者らは気付いた。
具体的には、プリント配線板に使用される感光性のソルダーレジスト組成物中には、通常、アルカリ現像のためのカルボキシル基含有樹脂、耐熱性や耐薬品性のためのエポキシ樹脂が存在するため、ソルダーレジストなどの樹脂層にメラミンや3級アミンなどを配合した場合、PEB工程で、露光後、樹脂層を加熱することにより露光部を硬化する際に、樹脂層に配合したメラミンや3級アミンなどの影響によりエポキシ基カルボキシル基との反応が進行して、熱かぶりによる現像不良が生じ、開口形状が閉じ気味になるという問題が生ずる。

0010

すなわち、メラミンや3級アミンなどを含む配合系では、PEB工程等のプリント配線板製造工程での熱履歴がソルダーレジストなどの樹脂層の開口形状に影響しやすく、安定した開口形状を有するソルダーレジストおよびカバーレイが形成できないという問題が生ずる。この場合、PEB工程における加熱温度が高いほど、また、加熱時間が長いほど、現像性が悪化して開口形状が閉じてしまうことから、開口形状を安定化させるためには、PEBのマージンを狭くせざるを得ず、結果として、実用性を損なうものとなっていた。しかも、プリント配線板の製造工程では、乾燥機内の熱履歴が乾燥位置により異なる場合もあるため、ソルダーレジストおよびカバーレイを形成する際のパターニング時に加熱処理を必要とする配合系については、これまで十分に検討されていなかった。

0011

そこで本発明の目的は、屈曲性に優れ、フレキシブルプリント配線板の絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)との一括形成プロセスに適した積層構造体であって、金めっき耐性を向上しつつ、熱履歴の影響を抑えて現像性を向上し、開口形状の安定化を図ることができる積層構造体、ドライフィルム、および、その硬化物を、例えばカバーレイまたはソルダーレジストなどの保護膜として有するフレキシブルプリント配線板を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、絶縁膜を2種の樹脂組成物からなるプリント配線板側の樹脂層(A)とプリント配線板から遠い側の樹脂層(B)とで構成した積層構造体とし、前記プリント配線板側の樹脂層(A)に、メラミンとホウ酸エステル化合物との混合物またはメラミンの有機酸塩を含有させることで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。

0013

すなわち、本発明の積層構造体は、樹脂層(A)と、該樹脂層(A)を介してフレキシブルプリント配線板に積層される樹脂層(B)と、を有する積層構造体であって、
前記樹脂層(B)が、アルカリ溶解性樹脂と、光重合開始剤と、熱反応性化合物とを含む感光性熱硬化性樹脂組成物からなり、かつ、前記樹脂層(A)が、アルカリ溶解性樹脂と、熱反応性化合物と、メラミンとホウ酸エステル化合物との混合物またはメラミンの有機酸塩と、を含むアルカリ現像型樹脂組成物からなることを特徴とするものである。

0014

本発明の積層構造体は、フレキシブルプリント配線板の屈曲部および非屈曲部のうちの少なくともいずれか一方に用いることができ、また、フレキシブルプリント配線板のカバーレイ、ソルダーレジストおよび層間絶縁材料のうちの少なくともいずれか1つの用途に用いることができる。

0015

また、本発明のドライフィルムは、上記本発明の積層構造体の少なくとも片面が、フィルムで支持または保護されていることを特徴とするものである。

0016

さらに、本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記本発明の積層構造体を用いた絶縁膜を有することを特徴とするものである。

0017

具体的には、本発明のフレキシブルプリント配線板は、フレキシブルプリント配線基板上に上記本発明の積層構造体の層を形成し、光照射によりパターニングし、現像液にてパターンを一括して形成してなる絶縁膜を有するものが挙げられる。また、本発明のフレキシブルプリント配線板は、本発明に係る積層構造体を使用せずに、樹脂層(A)と樹脂層(B)とを順次に形成し、その後に、光照射によりパターニングし、現像液にてパターンを一括して形成したものであってもよい。

発明の効果

0018

本発明によれば、屈曲性に優れ、フレキシブルプリント配線板の絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)との一括形成プロセスに適した積層構造体であって、金めっき耐性を向上しつつ、熱履歴の影響を抑えて現像性を向上し、開口形状の安定化を図ることができる積層構造体、ドライフィルム、および、その硬化物を、例えばカバーレイまたはソルダーレジストなどの保護膜として有するフレキシブルプリント配線板を提供することができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。
本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法の他の例を模式的に示す工程図である。

0020

以下、本発明の実施の形態について詳述する。
本発明の積層構造体は、樹脂層(A)と、樹脂層(A)を介してフレキシブルプリント配線板に積層される樹脂層(B)と、を有しており、樹脂層(B)が、アルカリ溶解性樹脂と、光重合開始剤と、熱反応性化合物とを含む感光性熱硬化性樹脂組成物からなるとともに、樹脂層(A)が、アルカリ溶解性樹脂と、熱反応性化合物とを含む組成物において、さらにメラミンとホウ酸エステル化合物との混合物、または、メラミンの有機酸塩を含むアルカリ現像型樹脂組成物からなるものである。

0021

このような本発明の積層構造体は、導体回路が形成されたフレキシブルプリント配線基板上に、樹脂層(A)と樹脂層(B)とを順に有し、上層側の樹脂層(B)が光照射によりパターニングが可能な感光性熱硬化性樹脂組成物からなり、かつ、樹脂層(B)と樹脂層(A)とが、現像によりパターンを一括形成することが可能なものである。

0022

本発明の積層構造体は、樹脂層(A)が、メラミンとホウ酸エステル化合物との混合物、または、メラミンの有機酸塩を含有することが必要であり、この点が、本発明の最大の特徴である。樹脂層(A)に、メラミンとホウ酸エステル化合物との混合物、または、メラミンの有機酸塩を含有させることで、薬液耐性(金めっき耐性)を向上することができるとともに、PEB工程の加熱に起因する熱かぶりの発生を抑制することができる。
これは、以下のような理由によるものと考えられる。すなわち、樹脂層(A)に、メラミンとホウ酸エステル化合物との混合物またはメラミンの有機酸塩を含有させることで、積層構造体の層をパターニングする際のPEB工程における加熱処理の間は、ホウ酸エステル化合物がメラミンの周囲をコーティングするように配位結合することによって、あるいはメラミンの有機酸塩として配合することによって、熱履歴に起因するメラミンの活性を抑えて、樹脂層(A)における熱かぶりの発生を抑制することができる。一方、その後のポストキュア工程での加熱温度(100℃以上)で、ホウ酸エステル化合物、あるいは有機酸塩によるメラミンの活性を抑える効果が徐々に失活していき、本硬化時には、メラミンが酸化防止剤として作用して、金めっき耐性などの耐薬品性が得られるものと考えられる。よって、本発明によれば、PEBのマージンを広く確保しつつ、金めっき耐性の向上と、開口形状の安定化とを両立させることが可能となる。

0023

なお、硬化性樹脂組成物をドライフィルムのような積層構造体とする場合、通常、保存安定性の観点から冷暗所保管されるが、実際に配線板の製造等に使用する際には、室温に戻し、場合によっては数日間にわたって保管される。この点、本発明の積層構造体は、樹脂層(A)に、メラミンとホウ酸エステル化合物との混合物、あるいはメラミンの有機酸塩を含有させることで、室温での保管時間(放置ライフ)についても従来技術に比べて長く確保でき、有用である。

0024

また、従来、熱かぶりの防止の目的で難溶性エポキシ化合物を用いる技術もあるが、本発明の積層構造体においては、ホウ酸エステル化合物の配合、あるいは有機酸塩としての配合により熱かぶりを抑制できるので、エポキシ化合物として、液状のものも難溶性のものも適宜使用することが可能である。

0025

[アルカリ現像型樹脂組成物からなる樹脂層(A)]
樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物は、アルカリ溶解性樹脂と熱反応性化合物とを含む組成物において、さらに、メラミンとホウ酸エステル化合物との混合物、あるいはメラミンの有機酸塩を含む。

0026

(アルカリ溶解性樹脂)
アルカリ溶解性樹脂としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液で現像可能な樹脂であればよい。
このようなアルカリ溶解性樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物を含む樹脂組成物が挙げられ、公知慣用のものが用いられる。
例えば、カルボキシル基を有する化合物としては、従来からソルダーレジスト組成物として用いられている、カルボキシル基含有樹脂やカルボキシル基含有感光性樹脂などが挙げられる。

0027

(熱反応性化合物)
熱反応性化合物としては、環状(チオエーテル基などの熱による硬化反応が可能な官能基を有する公知慣用の化合物、例えば、エポキシ化合物などが用いられる。
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂グリシジルアミン型エポキシ樹脂ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂ジグリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート重合系エポキシ樹脂シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂などが挙げられる。

0028

上記熱反応性化合物の配合量としては、アルカリ溶解性樹脂との当量比(カルボキシル基などのアルカリ溶解性基:エポキシ基などの熱反応性基)が1:0.1〜1:10であることが好ましい。このような配合比の範囲とすることにより、現像が良好となり、微細パターンを容易に形成することができるものとなる。上記当量比は、1:0.2〜1:5であることがより好ましい。

0029

(メラミンとホウ酸エステル化合物との混合物)
ホウ酸エステル化合物としては、公知のものを用いることができる。具体的には、揮発性の低いホウ酸トリフェニル環状ホウ酸エステル化合物等を挙げることができ、好ましくは環状ホウ酸エステル化合物である。環状ホウ酸エステル化合物とは、ホウ素が環式構造に含まれているものであり、特に、2,2’−オキシビス(5,5’−ジメチル−1,3,2−オキサボリナン)が好ましい。
ホウ酸トリフェニルや環状ホウ酸エステル化合物以外のホウ酸エステル化合物として、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリブチル等が挙げられるが、これらのホウ酸エステル化合物は揮発性が高いため、特に高温時における組成物の保存安定性に対しては、その効果が十分ではない場合もある。これらのホウ酸エステル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0030

ホウ酸エステル化合物の市販品としては、例えば、ハイボロンBC1、ハイボロンBC2、ハイボロンBC3、ハイボロンBCN(いずれも(株)ボロンインターナシナル製)、キュアダクトL−07N(四国化成工業(株)製)等を挙げることができる。

0031

樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物の固形成分中における、メラミンとホウ酸エステル化合物との混合物の配合量は、メラミンについては好適には0.1〜3.0質量%、より好適には0.5〜2.0質量%であり、ホウ酸エステル化合物については、好適には0.1〜2.0質量%、より好適には0.2〜1.0質量%である。樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物中に、メラミンとホウ酸エステル化合物との混合物をそれぞれ上記の量で配合することで、PEB条件における開口形状をより安定化して、実工程で製造可能な広いPEB条件を得られるため、好ましい。

0032

(メラミンの有機酸塩)
メラミンの有機酸塩としては、メラミンと当モル有機酸とを反応させたものが使用できる。メラミンの有機酸塩は、メラミンを沸騰水中に溶解し、水あるいはアルコール等の親水性溶剤に溶解した有機酸を添加し、析出した塩をろ過することで得られる。
ここで、上記反応では、メラミン分子中の1個のアミノ基は反応性が速いが、他の2個の反応性は低いため、反応は化学量論的に進行し、メラミン分子中の1個のアミノ基に有機酸が1個付加したメラミン塩が生成する。また、上記反応で用いられる有機酸としては、カルボン酸酸性リン酸エステル化合物スルホン酸含有化合物が考えられ、いずれも使用することができるが、電気特性の面から、カルボン酸が最も好ましい。

0033

カルボン酸としては、蟻酸酢酸プロピオン酸酪酸乳酸グリコール酸アクリル酸メタクリル酸モノカルボン酸や、シュウ酸マロン酸コハク酸グルタル酸アジピン酸セバシン酸マレイン酸イタコン酸フタル酸ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、クロトン酸などのジカルボン酸、さらに、トリメリット酸などのトリカルボン酸、および、これらの無水物が使用できる。これらの中でも、テトラヒドロ無水フタル酸が好適である。

0034

メラミンの有機酸塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物の固形分中における、メラミンの有機酸塩の配合量は、好ましくは0.1〜6.0質量%、より好ましくは0.5〜5.0質量%、特に好ましくは1.0〜3.0質量%である。樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物中に、メラミンの有機酸塩を上記の量で配合することで、PEB条件における開口形状をより安定化して、実工程で製造可能な広いPEB条件を得られるため、好ましい。

0035

樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含んでいてもよい。また、樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物は、光重合開始剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。このようなエチレン性不飽和結合を有する化合物や光重合開始剤としては、特に制限されず、公知慣用の化合物が用いられる。
なお、樹脂層(A)に光重合開始剤を含まない場合、単層ではパターニングが不可能であるが、本発明の積層構造体のような構成であれば、露光時には、その上層の樹脂層(B)に含まれる光重合開始剤から発生したラジカル等の活性種が直下の樹脂層(A)に拡散することで、両層は同時にパターニングすることが可能となる。特に、PEB工程を含むプリント配線板の製造方法では前記活性種の熱拡散によりその効果が顕著となる。
また、樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物を調製する際の、各成分の配合順については、特に制限されるものではなく、また、メラミンとホウ酸エステル化合物の混合物については、あらかじめ混合したものを用いずに配合してもよい。

0036

[感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層(B)]
樹脂層(B)を構成する感光性熱硬化性樹脂組成物は、アルカリ溶解性樹脂と、光重合開始剤と、熱反応性化合物とを含むものである。

0037

(アルカリ溶解性樹脂)
アルカリ溶解性樹脂としては、上記樹脂層(A)と同様の公知慣用のものを用いることができるが、耐屈曲性、耐熱性などの特性により優れる、イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂を好適に用いることができる。

0038

このイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂は、フェノール性水酸基、カルボキシル基のうち1種以上のアルカリ溶解性基と、イミド環とを有するものである。このアルカリ溶解性樹脂へのイミド環の導入には公知慣用の手法を用いることができる。例えば、カルボン酸無水物成分とアミン成分および/またはイソシアネート成分とを反応させて得られる樹脂が挙げられる。イミド化は、熱イミド化で行っても、化学イミド化で行ってもよく、またこれらを併用して実施することもできる。

0039

ここで、カルボン酸無水物成分としては、テトラカルボン酸無水物トリカルボン酸無水物などが挙げられるが、これらの酸無水物に限定されるものではなく、アミノ基やイソシアネート基と反応する酸無水物基およびカルボキシル基を有する化合物であれば、その誘導体を含め用いることができる。また、これらのカルボン酸無水物成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。

0040

アミン成分としては、脂肪族ジアミン芳香族ジアミンなどのジアミン脂肪族ポリエーテルアミンなどの多価アミン、カルボン酸を有するジアミン、フェノール性水酸基を有するジアミンなどを用いることができるが、これらのアミンに限定されるものではない。また、これらのアミン成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。

0041

イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネートおよびその異性体や多量体脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類およびその異性体などのジイソシアネートやその他汎用のジイソシアネート類を用いることができるが、これらのイソシアネートに限定されるものではない。また、これらのイソシアネート成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。

0042

以上説明したようなイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂は、アミド結合を有していてもよい。具体的には、カルボキシル基を有するイミド化物とイソシアネートとカルボン酸無水物とを反応させて得られるポリアミドイミドが挙げられ、それ以外の反応によって得られるものであってもよい。
さらに、イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂は、その他の付加および縮合からなる結合を有していてもよい。

0043

このようなアルカリ溶解性基とイミド環とを有するアルカリ溶解性樹脂の合成においては、公知慣用の有機溶剤を用いることができる。かかる有機溶剤としては、原料であるカルボン酸無水物類アミン類イソシアネート類と反応せず、かつこれら原料が溶解する溶剤であれば問題はなく、特にその構造は限定されない。特に、原料の溶解性が高いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドN−メチル−2−ピロリドンジメチルスルホキシドγ−ブチロラクトン等の非プロトン性溶媒が好ましい。

0044

以上説明したようなフェノール性水酸基、カルボキシル基のうち1種以上のアルカリ溶解性基とイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂は、フォトリソグラフィー工程に対応するために、その酸価が20〜200mgKOH/gであることが好ましく、より好適には60〜150mgKOH/gであることが好ましい。この酸価が20mgKOH/g以上の場合、アルカリに対する溶解性が増加し、現像性が良好となり、さらには、光照射後の熱硬化成分との架橋度が高くなるため、十分な現像コントラストを得ることができる。また、この酸価が200mgKOH/g以下の場合には、特に、後述する光照射後のPEB(POST EXPOSURE BAKE)工程でのいわゆる熱かぶりを抑制でき、プロセスマージンが大きくなる。

0045

また、このアルカリ溶解性樹脂の分子量は、現像性と硬化塗膜特性を考慮すると、質量平均分子量1,000〜100,000が好ましく、さらに2,000〜50,000がより好ましい。この分子量が1,000以上の場合、露光・PEB後に十分な耐現像性硬化物性を得ることができる。また、分子量が100,000以下の場合、アルカリ溶解性が増加し、現像性が向上する。

0046

(光重合開始剤)
樹脂層(B)において用いる光重合開始剤としては、公知慣用のものを用いることができ、特に、後述する光照射後のPEB工程に用いる場合には、光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤が好適である。なお、このPEB工程では、光重合開始剤と光塩基発生剤とを併用してもよい。

0047

光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤は、紫外線可視光等の光照射により分子構造が変化するか、または、分子が開裂することにより、後述する熱反応性化合物の重合反応触媒として機能しうる1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。塩基性物質として、例えば2級アミン、3級アミンが挙げられる。
このような光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤としては、例えば、α−アミノアセトフェノン化合物オキシムエステル化合物や、アシルオキシイミノ基,N−ホルミル化芳香族アミノ基、N−アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメート基アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物等が挙げられる。中でも、オキシムエステル化合物、α−アミノアセトフェノン化合物が好ましく、オキシムエステル化合物がより好ましい。α−アミノアセトフェノン化合物としては、特に、2つ以上の窒素原子を有するものが好ましい。

0048

α−アミノアセトフェノン化合物は、分子中にベンゾインエーテル結合を有し、光照射を受けると分子内で開裂が起こり、硬化触媒作用を奏する塩基性物質(アミン)が生成するものであればよい。

0049

オキシムエステル化合物としては、光照射により塩基性物質を生成する化合物であればいずれをも使用することができる。

0050

このような光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物中の光重合開始剤の配合量は、好ましくはアルカリ溶解性樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部であり、さらに好ましくは、0.3〜20質量部である。0.1質量部以上の場合、光照射部/未照射部の耐現像性のコントラストを良好に得ることができる。また、40質量部以下の場合、硬化物特性が向上する。

0051

(熱反応性化合物)
熱反応性化合物としては、上記樹脂層(A)と同様の公知慣用のものを用いることができる。

0052

以上説明したような樹脂層(A)および樹脂層(B)において用いる樹脂組成物には、必要に応じて、高分子樹脂無機充填剤着色剤、有機溶剤などの成分を配合することができる。

0053

ここで、高分子樹脂は、得られる硬化物の可撓性、指触乾燥性の向上を目的に、公知慣用のものを配合することができる。このような高分子樹脂としては、セルロース系、ポリエステル系、フェノキシ樹脂ポリマーポリビニルアセタール系ポリビニルブチラール系、ポリアミド系、ポリアミドイミド系バインダーポリマーブロック共重合体エラストマー等が挙げられる。この高分子樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。

0054

無機充填材は、硬化物の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度などの特性を向上させるために配合することができる。このような無機充填剤としては、例えば、硫酸バリウム無定形シリカ溶融シリカ球状シリカタルククレー炭酸マグネシウム炭酸カルシウム酸化アルミニウム水酸化アルミニウム窒化ケイ素窒化アルミニウム窒化ホウ素ノイブルグシリシャアース等が挙げられる。

0055

着色剤としては、赤、青、緑、黄、白、黒などの公知慣用の着色剤を配合することができ、顔料染料色素のいずれでもよい。

0056

有機溶剤は、樹脂組成物の調製のためや、基材キャリアフィルムに塗布するための粘度調整のために配合することができる。このような有機溶剤としては、ケトン類芳香族炭化水素類グリコールエーテル類グリコールエーテルアセテート類エステル類アルコール類脂肪族炭化水素石油系溶剤などを挙げることができる。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。

0057

また必要に応じて、メルカプト化合物密着促進剤紫外線吸収剤などの成分を配合することができる。これらは、公知慣用のものを用いることができる。
さらに必要に応じて、微粉シリカハイドロタルサイト有機ベントナイトモンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤シリコーン系フッ素系、高分子系などの消泡剤および/またはレベリング剤シランカップリング剤防錆剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。

0058

以上説明したような構成に係る本発明の積層構造体は、その少なくとも片面がフィルムで支持または保護されているドライフィルムとして用いることが好ましい。

0059

(ドライフィルム)
本発明のドライフィルムは、以下のようにして製造できる。すなわち、まず、キャリアフィルム(支持フィルム)上に、上記樹脂層(B)および樹脂層(A)を構成する組成物を、有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、常法に従い、コンマコーター等の公知の手法で順次塗布する。その後、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥することで、キャリアフィルム上に樹脂層(B)および樹脂層(A)からなるドライフィルムを形成することができる。このドライフィルム上には、膜の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、剥離可能なカバーフィルム保護フィルム)を積層することができる。キャリアフィルムおよびカバーフィルムとしては、従来公知のプラスチックフィルムを適宜用いることができ、カバーフィルムについては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであることが好ましい。キャリアフィルムおよびカバーフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。

0060

また、本発明の積層構造体は、屈曲性に優れることから、フレキシブルプリント配線板の屈曲部および非屈曲部のうちの少なくともいずれか一方に用いることができ、また、フレキシブルプリント配線板のカバーレイ、ソルダーレジストおよび層間絶縁材料のうちの少なくともいずれか1つの用途として用いることができる。

0061

以下に、本発明にかかるフレキシブルプリント配線板を製造する方法について説明するが、本発明は、これらの製造方法に限定されるものではない。

0062

本発明の積層構造体を用いたフレキシブルプリント配線板の製造は、例えば、図1の工程図に示す手順に従い行うことができる。
すなわち、導体回路を形成したフレキシブル配線基板上に本発明の積層構造体の層を形成する工程(積層工程)、この積層構造体の層に活性エネルギー線をパターン状に照射する工程(露光工程)、および、この積層構造体の層をアルカリ現像して、パターン化された積層構造体の層を一括形成する工程(現像工程)を含む製造方法である。また、必要に応じて、アルカリ現像後、さらなる光硬化や熱硬化(ポストキュア工程)を行い、積層構造体の層を完全に硬化させて、信頼性の高いフレキシブルプリント配線板を得ることができる。

0063

また、本発明の積層構造体を用いたフレキシブルプリント配線板の製造は、図2の工程図に示す手順に従い行うこともできる。
すなわち、導体回路を形成したフレキシブル配線基板上に本発明の積層構造体の層を形成する工程(積層工程)、この積層構造体の層に活性エネルギー線をパターン状に照射する工程(露光工程)、この積層構造体の層を加熱する工程(加熱(PEB)工程)、および、積層構造体の層をアルカリ現像して、パターン化された積層構造体の層を一括形成する工程(現像工程)を含む製造方法である。また、必要に応じて、アルカリ現像後、さらなる光硬化や熱硬化(ポストキュア工程)を行い、積層構造体の層を完全に硬化させて、信頼性の高いフレキシブルプリント配線板を得ることができる。特に、樹脂層(B)においてイミド環含有アルカリ溶解性樹脂を用いた場合には、この図2の工程図に示す手順を用いることが好ましい。

0064

以下、図1または図2に示す各工程について、詳細に説明する。
[積層工程]
この工程では、導体回路2が形成されたフレキシブルプリント配線基板1に、アルカリ溶解性樹脂等を含むアルカリ現像型樹脂組成物からなる樹脂層3(樹脂層(A))と、樹脂層3上の、アルカリ溶解性樹脂等を含む感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層4(樹脂層(B))と、からなる積層構造体を形成する。ここで、積層構造体を構成する各樹脂層は、例えば、樹脂層3,4を構成する樹脂組成物を、順次、配線基板1に塗布および乾燥することにより樹脂層3,4を形成するか、あるいは、樹脂層3,4を構成する樹脂組成物を2層構造のドライフィルムの形態にしたものを、配線基板1にラミネートする方法により形成してもよい。

0065

樹脂組成物の配線基板への塗布方法は、ブレードコーターリップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等の公知の方法でよい。また、乾燥方法は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレートコンベクションオーブン等、蒸気による加熱方式熱源を備えたものを用い、乾燥機内の熱風向流接触させる方法、およびノズルより支持体に吹き付ける方法等、公知の方法でよい。

0066

[露光工程]
この工程では、活性エネルギー線の照射により、樹脂層4または樹脂層3に含まれる光重合開始剤をネガ型のパターン状に活性化させて、露光部を硬化する。露光機としては、直接描画装置メタルハライドランプを搭載した露光機などを用いることができる。パターン状の露光用マスクは、ネガ型のマスクである。

0067

露光に用いる活性エネルギー線としては、最大波長が350〜450nmの範囲にあるレーザー光または散乱光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、効率よく光重合開始剤を活性化させることができる。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、通常は、100〜1500mJ/cm2とすることができる。

0068

[PEB工程]
この工程では、露光後、樹脂層を加熱することにより、露光部を硬化する。この工程により、光塩基発生剤としての機能を有する光重合開始剤を用いた組成物、あるいは光重合開始剤と光塩基発生剤とを併用した組成物からなる樹脂層(B)の露光工程で発生した塩基によって、樹脂層(B)を深部まで硬化できる。加熱温度は、例えば、80〜140℃である。加熱時間は、例えば、10〜100分である。本発明における樹脂組成物の硬化は、例えば、熱反応によるエポキシ樹脂の開環反応であるため、光ラジカル反応で硬化が進行する場合と比べてひずみや硬化収縮を抑えることができる。

0069

[現像工程]
この工程では、アルカリ現像により、未露光部を除去して、ネガ型のパターン状の絶縁膜、特には、カバーレイおよびソルダーレジストを形成する。現像方法としては、ディッピング等の公知の方法によることができる。また、現像液としては、炭酸ナトリウム炭酸カリウム水酸化カリウム、アミン類、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等のアルカリ水溶液、または、これらの混合液を用いることができる。

0070

[ポストキュア工程]
この工程は、現像工程の後に、樹脂層を完全に熱硬化させて信頼性の高い塗膜を得るものである。加熱温度は、例えば140℃〜180℃である。加熱時間は、例えば20〜120分である。さらに、ポストキュアの前または後に、光照射してもよい。

0071

以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例、比較例によって制限されるものではない。

0072

<合成例1:ポリアミドイミド樹脂溶液の合成例>
撹拌機窒素導入管分留環、冷却環を取り付けたセパラブル3つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を3.8g、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシフェニルプロパンを6.98g、ジェファーミンXTJ−542(ハンツマン社製、分子量1025.64)を8.21g、γ−ブチロラクトンを86.49g、室温で仕込み、溶解した。

0073

次いで、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物17.84gおよびトリメリット酸無水物2.88gを仕込み、室温で30分間保持した。次いで、トルエンを30g加え、160℃まで昇温して、トルエンおよび水を留去しながら3時間撹拌した後、室温まで冷却し、イミド化物溶液を得た。

0074

得られたイミド化物溶液に、トリメリット酸無水物9.61gおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート17.45gを仕込み、温度160℃で32時間撹拌した。こうしてカルボキシル基を有するポリアミドイミド樹脂溶液(PAI−1)を得た。得られた樹脂(固形分)の酸価は83.1mgKOH、Mwは4300であった。

0075

<合成例2:イミド環、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有するポリイミド樹脂溶液の合成>
撹拌機、窒素導入管、分留環、冷却環を取り付けたセパラブル3つ口フラスコに、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン22.4g、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを8.2g、NMPを30g、γ−ブチロラクトンを30g、4,4’−オキシジフタル酸無水物を27.9g、トリメリット酸無水物を3.8g加え、窒素雰囲気下、室温、100rpmで4時間撹拌した。次いでトルエンを20g加え、シリコン浴温度180℃、150rpmでトルエンおよび水を留去しながら4時間撹拌して、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有するポリイミド樹脂溶液(PI−1)を得た。
得られた樹脂(固形分)の酸価は18mgKOH、Mwは10,000、水酸基当量は390であった。

0076

<合成例3:カルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成>
撹拌装置温度計およびコンデンサーを備えた反応容器に、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールから誘導されるポリカーボネートジオール旭化成ケミカルズ(株)製、T5650J、数平均分子量800)を2400g(3モル)、ジメチロールプロピオン酸を603g(4.5モル)、および、モノヒドロキシル化合物として2−ヒドロキシエチルアクリレートを238g(2.6モル)投入した。次いで、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート1887g(8.5モル)を投入し、撹拌しながら60℃まで加熱して停止し、反応容器内の温度が低下し始めた時点で再度加熱して80℃で撹拌を続け、赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収スペクトル(2280cm−1)が消失したことを確認して、反応を終了した。その後、固形分が50質量%となるようにカルビトールアセテートを添加した。得られたカルボキシル基含有樹脂の固形分の酸価は、50mgKOH/gであった。

0077

(実施例1〜9,比較例1〜3)
下記表1,2中に記載の配合に従って、実施例および比較例に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、各樹脂層を構成する樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りがない限り、固形分の質量部である。

0078

<樹脂層(A)の形成>
銅厚18μmの回路が形成されているフレキシブルプリント配線基材を用意し、メック社CZ−8100を使用して、前処理を行った。その後、前処理を行ったフレキシブルプリント配線基材に、各樹脂組成物をそれぞれ乾燥後の膜厚が25μmになるように塗布した。その後、熱風循環式乾燥炉にて80℃/30分にて乾燥し、樹脂組成物からなる樹脂層(A)を形成した。

0079

<樹脂層(B)の形成>
上記で形成された樹脂層(A)上に、各樹脂組成物をそれぞれ乾燥後の膜厚が10μmになるように塗布した。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/15分にて乾燥し、樹脂組成物からなる樹脂層(B)を形成した。

0080

*1)ZFR−1401H:酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレート,酸価98mgKOH/g(日本化薬(株)製)
*2)PAI−1:合成例1のポリアミドイミド樹脂
*3)PI−1:合成例2のポリイミド樹脂
*4)BPE−900:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中化学(株)製)
*5)E1001:ビスフェノールA型エポキシ樹脂,エポキシ当量450〜500(三菱化学(株)製)
*6)E834:ビスフェノールA型エポキシ樹脂,エポキシ当量230〜270(三菱化学(株)製)
*7)IRGACURE OXE02:オキシム系光重合開始剤(BASF社製)
*8)カルボキシル基含有ウレタン樹脂:合成例3の樹脂
*9)E828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂,エポキシ当量190,質量平均分子量380(三菱化学(株)製)
*10)2,2’−オキシビス(5,5’−ジメチル−1,3,2−オキサボリナン)

0081

0082

ブレークポイント(現像性)>
得られた各積層構造体乾燥塗膜に対し、メタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて、所定のパターン状に500mJ/cm2で露光した。その後、下記の表中に示す条件でPEB工程を行ってから、現像(30℃、0.2MPa、1質量%Na2CO3水溶液)を行って、未露光部分が完全溶解するまでの時間(秒)を測定した。その結果を、下記の表3,4中に示す。

0083

0084

0085

解像性開口径)>
得られた各積層構造体を、メタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて、500mJ/cm2で露光した。露光パターンは、300μmの開口を開けるパターンとした。その後、下記の表中に示す条件でPEB工程を行ってから、現像(30℃、0.1MPa、1質量%Na2CO3水溶液)を60秒で行ってパターンを描き、150℃×60分で熱硬化することにより硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜の開口サイズ設計値300μm)を、200倍に調整した光学顕微鏡を用いて測定した。その結果を、下記の表5,6中に示す。

0086

0087

0088

無電解金めっき耐性
上記基材上の硬化塗膜に対し、市販の無電解金めっき浴を用いて、ニッケル3.0μm、金0.03μmの条件でめっきを行い、めっきされた評価基板において、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を評価した。得られた結果を下記表7,8中に示す。

0089

0090

0091

常温放置後のブレークポイント(現像性)>
得られた各積層構造体の乾燥塗膜を、冷暗所で保管した後、常温で5日間放置して、メタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて、所定のパターン状に500mJ/cm2で露光した。その後、下記の表中に示す条件でPEB工程を行ってから、現像(30℃、0.2MPa、1質量%Na2CO3水溶液)を行って、未露光部分が完全溶解するまでの時間(秒)を測定した。その結果を、下記の表9,10中に示す。

0092

0093

0094

現像残渣
得られた各積層構造体の乾燥塗膜に対し、メタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて、所定のパターン状に500mJ/cm2で露光した。その後、下記の表中に示す条件でPEB工程を行ってから、現像(30℃、0.2MPa、1質量%Na2CO3水溶液)を60秒で行って、水洗した。これを光学顕微鏡(×2.5倍)にて観察し、現像残渣(現像残り)の有無を確認した。その結果を、下記の表11,12中に示す。

0095

0096

0097

上記表中に示す評価結果から明らかなように、樹脂層(A)がメラミンとホウ酸エステル化合物との混合物またはメラミンの有機酸塩を含む各実施例の積層構造体は、金めっき耐性が良好で、PEBの条件によらず安定した開口径を有し、現像性および常温放置後の現像性の双方について良好な結果を示すとともに、現像残渣も生じないものであった。

実施例

0098

これに対し、樹脂層(A)がメラミンとホウ酸エステル化合物との混合物またはメラミンの有機酸塩を含まない比較例1〜3では、メラミンの配合量が増加するにつれて、現像性が悪化し、開口径が小さくなる一方、金めっき耐性は良好となっている。また、現像性については、メラミンの配合量が増加するにつれて、また、加熱温度が高くなるにつれて、現像速度が遅くなっている。さらに、現像残渣について、比較例2〜3では、熱かぶりによる現像不良が生じ、現像残渣が残っていることがわかる。

0099

1フレキシブルプリント配線基板
2導体回路
3樹脂層
4 樹脂層
5 マスク

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