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課題・解決手段

リガント目的物質との結合性が向上したアフィニティー担体の提供。固相担体タンパク質リガンドとを含み、該タンパク質リガンドは、式(1):R−R1(式(1)中、Rは、該固相担体と化学結合するリンカーであって、ポリプロリンを含むリンカーを示し、R1は、イムノグロブリンに親和性を示す含むタンパク質を示し、該Rは、該R1のアミノ酸配列C末端またはN末端に結合している)で表される、アフィニティー担体。

概要

背景

アフィニティークロマトグラフィーは、分離または精製を目的とする物質と特異的に結合する物質(リガンド)を不溶性担体固定化したリガンド固定化担体充填したカラムを用いるクロマトグラフィーである。アフィニティークロマトグラフィーは、例えばタンパク質核酸などの生体関連物質の分離・精製に用いられている(特許文献1)。アフィニティークロマトグラフィー用担体としては、例えば、アガロースゲルに代表される糖鎖架橋粒子や、合成ポリマーを主成分とする粒子が用いられている。

アフィニティークロマトグラフィーにおいては、目的物質と特異的に作用する物質であるリガンドを担体に固定化する必要がある。担体へのリガンドの固定化には、担体表面に存在する種々の官能基に対して、リガンド側の官能基を介してリガンドを担体に化学結合させる方法が頻用されている。しかしながら、アフィニティークロマトグラフィーに用いられるリガンド中には、一般的には複数の官能基があり、この複数の官能基が担体表面上の官能基に無秩序に結合する。そのため、従来のアフィニティークロマトグラフィーには、固定化したリガンドを十分に有効利用できないという問題があった。

概要

リガントの目的物質との結合性が向上したアフィニティー担体の提供。固相担体とタンパク質リガンドとを含み、該タンパク質リガンドは、式(1):R−R1(式(1)中、Rは、該固相担体と化学結合するリンカーであって、ポリプロリンを含むリンカーを示し、R1は、イムノグロブリンに親和性を示す含むタンパク質を示し、該Rは、該R1のアミノ酸配列C末端またはN末端に結合している)で表される、アフィニティー担体。

目的

アフィニティークロマトグラフィーは、分離または精製を目的とする

効果

実績

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請求項1

アフィニティー担体であって、固相担体タンパク質リガンドとを含み、該タンパク質リガンドは、下記式(1):R−R1(1)(式(1)中、Rは、該固相担体と結合するリンカーであって、ポリプロリンを含むリンカーを示し、R1は、イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質を示し、該Rは、該R1のアミノ酸配列C末端またはN末端に結合している)で表される、アフィニティー担体。

請求項2

前記ポリプロリンにおけるプロリンの数が3〜300である、請求項1記載のアフィニティー担体。

請求項3

前記リンカーの長さが0.9nm〜91nmである、請求項1又は2記載のアフィニティー担体。

請求項4

アフィニティー担体であって、固相担体とタンパク質リガンドとを含み、該タンパク質リガンドは、下記式(1):R−R1(1)(式(1)中、Rは、該固相担体と結合するリンカーであって、長さ0.9nm〜91nmであるリンカーを示し、R1は、イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質を示し、該Rは、該R1のアミノ酸配列のC末端またはN末端に結合している)で表される、アフィニティー担体。

請求項5

前記リンカーがポリプロリンを含む、請求項4記載のアフィニティー担体。

請求項6

前記ポリプロリンにおけるプロリンの数が3〜300である、請求項5記載のアフィニティー担体。

請求項7

前記リンカーが、前記固相担体と結合する末端に、アミノ基またはチオール基を有するアミノ酸残基を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載のアフィニティー担体。

請求項8

前記イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質が、Fc結合性タンパク質、またはプロテインA由来するイムノグロブリン結合ドメインを含む、請求項1〜7のいずれか1項記載のアフィニティー担体。

請求項9

前記イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質が、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメイン、配列番号3で示されるアミノ酸配列の部分配列からなるイムノグロブリン結合ドメイン、および配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメインからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜8のいずれか1項記載のアフィニティー担体。

請求項10

前記イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質が、前記イムノグロブリン結合ドメインを2個以上含む、請求項8又は9記載のアフィニティー担体。

請求項11

前記固相担体がチオール基またはアミノ基と結合する反応性基を有する、請求項1〜10のいずれか1項記載のアフィニティー担体。

請求項12

前記反応性基がエポキシ基である、請求項11記載のアフィニティー担体。

請求項13

請求項1〜12のいずれか1項記載のアフィニティー担体を用いる、イムノグロブリンの単離方法

請求項14

請求項1〜12のいずれか1項記載のアフィニティー担体を用いる、抗体医薬の製造方法。

請求項15

リンカーRとタンパク質リガンドR1とを含み、リンカーRはポリプロリンを含み、R1は、イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質を示し、該Rは、該R1のアミノ酸配列のC末端またはN末端に結合している、アフィニティーリガンド

技術分野

0001

本発明は、アフィニティー担体およびイムノグロブリンを単離する方法に関する。特に、アフィニティー担体のイムノグロブリン精製効率を高めることができる、担体へのリガンド固定化方法に関する。

背景技術

0002

アフィニティークロマトグラフィーは、分離または精製を目的とする物質と特異的に結合する物質(リガンド)を不溶性担体固定化したリガンド固定化担体充填したカラムを用いるクロマトグラフィーである。アフィニティークロマトグラフィーは、例えばタンパク質核酸などの生体関連物質の分離・精製に用いられている(特許文献1)。アフィニティークロマトグラフィー用担体としては、例えば、アガロースゲルに代表される糖鎖架橋粒子や、合成ポリマーを主成分とする粒子が用いられている。

0003

アフィニティークロマトグラフィーにおいては、目的物質と特異的に作用する物質であるリガンドを担体に固定化する必要がある。担体へのリガンドの固定化には、担体表面に存在する種々の官能基に対して、リガンド側の官能基を介してリガンドを担体に化学結合させる方法が頻用されている。しかしながら、アフィニティークロマトグラフィーに用いられるリガンド中には、一般的には複数の官能基があり、この複数の官能基が担体表面上の官能基に無秩序に結合する。そのため、従来のアフィニティークロマトグラフィーには、固定化したリガンドを十分に有効利用できないという問題があった。

先行技術

0004

特開平6−281638号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明が解決しようとする課題は、アフィニティー担体の表面にタンパク質リガンドを効率的に固定化し、かつ固定化された該リガンドの目的物質に対する結合能を高い割合で保持させる方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

一実施形態において、本発明は、
アフィニティー担体であって、
固相担体とタンパク質リガンドとを含み、
該タンパク質リガンドは、下記式(1):
R−R1 (1)
(式(1)中、
Rは、該固相担体と結合するリンカーであって、ポリプロリンを含むリンカーを示し、
R1は、イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質を示し、
該Rは、該R1のアミノ酸配列C末端またはN末端に結合している)
で表される、
アフィニティー担体、を提供する。

0007

好ましくは、前記ポリプロリンにおけるプロリンの数は3〜300である。

0008

好ましくは、前記リンカーの長さは0.9nm〜91nmである。

0009

別の一実施形態において、本発明は、アフィニティー担体であって、
固相担体とタンパク質リガンドとを含み、
該タンパク質リガンドは、下記式(1):
R−R1 (1)
(式(1)中、
Rは、該固相担体と結合するリンカーであって、長さ0.9nm〜91nmであるリンカーを示し、
R1は、イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質を示し、
該Rは、該R1のアミノ酸配列のC末端またはN末端に結合している)
で表される、
アフィニティー担体、を提供する。

0010

好ましくは、前記リンカーはポリプロリンを含む。

0011

好ましくは、前記ポリプロリンにおけるプロリンの数は3〜300である。

0012

本発明のアフィニティー担体の一実施形態において、前記リンカーは、前記固相担体と結合する末端に、アミノ基またはチオール基を有するアミノ酸残基を含む。

0013

本発明のアフィニティー担体の一実施形態において、前記イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質は、Fc結合性タンパク質、またはプロテインA由来するイムノグロブリン結合ドメインを含む。

0014

本発明のアフィニティー担体の一実施形態において、前記イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質は、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメイン、配列番号3で示されるアミノ酸配列の部分配列からなるイムノグロブリン結合ドメイン、および配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメインからなる群より選択される少なくとも1つを含む。

0015

本発明のアフィニティー担体の一実施形態において、前記イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質は、前記イムノグロブリン結合ドメインを2個以上含む。

0016

本発明のアフィニティー担体の一実施形態において、前記固相担体はチオール基またはアミノ基と結合する反応性基を有する。

0017

本発明のアフィニティー担体の一実施形態において、前記反応性基はエポキシ基である。

0018

さらなる実施形態において、本発明は、上記アフィニティー担体を用いる、イムノグロブリンの単離方法を提供する。

0019

さらなる実施形態において、本発明は、上記アフィニティー担体を用いる、抗体医薬の製造方法を提供する。

0020

さらなる実施形態において、本発明は、
リンカーRとタンパク質リガンドR1とを含み、
該リンカーRはポリプロリンを含み、
該R1は、イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質を示し、
該Rは、該R1のアミノ酸配列のC末端またはN末端に結合している、
アフィニティーリガンド、を提供する。

発明の効果

0021

本発明のアフィニティー担体においては、特定のリンカーを介してリガンドタンパク質を担体に結合させることで、リガンドタンパク質を一定の配向性をもって担体に固定化させることができる。その結果、本発明のアフィニティー担体においては、リガンドと担体の無秩序な結合に起因するリガンドの変性不適切な配向性を防止し、リガンドの目的物質に対する結合性を向上させることができる。したがって、本発明によれば、アフィニティーリガンドを効率的に担体表面に固定化することができ、かつ、固定化したリガンドが目的物質の精製に効率的に利用される。本発明のアフィニティー担体は、イムノグロブリンの結合容量が高く、イムノグロブリン精製のプロセスを低コストで実施することを可能にする。

0022

明細書中引用された全ての特許文献、非特許文献、およびその他の刊行物は、その全体が本明細書中において参考として援用される。

0023

本明細書において、アミノ酸配列およびヌクレオチド配列配列同一性は、リップマンパーソン法(Lipman—Pearson法;Science,227,1435−41,1985)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx—Win(Ver.5.1.1;ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行なうことにより算出される。

0024

本明細書において、アミノ酸配列およびヌクレオチド配列に関する「少なくとも70%の同一性」とは、70%以上の同一性、好ましくは80%以上の同一性、より好ましくは85%以上の同一性、さらに好ましくは90%以上の同一性、さらにより好ましくは95%以上の同一性、なお好ましくは98%以上の同一性、なお好ましくは99%以上の同一性をいう。

0025

本明細書において、アミノ酸配列およびヌクレオチド配列上の「相当する位置」は、目的配列参照配列(例えば、配列番号3で示されるアミノ酸配列)とを、各アミノ酸配列またはヌクレオチド配列中に存在する保存アミノ酸残基またはヌクレオチドに最大の相同性を与えるように整列アラインメント)させることにより決定することができる。アラインメントは、公知のアルゴリズムを用いて実行することができ、その手順は当業者に公知である。例えば、アラインメントは、上述のリップマン−パーソン法等に基づいて手作業で行うこともできるが、Clustal Wマルチプルアラインメントプログラム(Thompson,J.D.et al,1994,Nucleic AcidsRes.,22:4673−4680)をデフォルト設定で用いることにより行うことができる。あるいは、Clustal Wの改訂版であるClustal W2やClustal omegaを使用することもできる。Clustal W、Clustal W2およびClustal omegaは、例えば、欧州バイオインフォマテクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI[www.ebi.ac.uk/index.html])や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンクDDBJ[www.ddbj.nig.ac.jp/Welcome−j.html])のウェブサイト上で利用することができる。

0026

本明細書において、「タンパク質」とは、ペプチド構造単位を有するあらゆる分子をいい、例えば、天然型タンパク質の部分的断片や天然型タンパク質のアミノ酸配列を人為的に改変した変異体を含む概念である。タンパク質は、糖鎖、脂質といった生体由来物質や、ポリエチレングリコールなどのポリマー等で修飾されていてもよい。

0027

本明細書において、プロテインAとは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の細胞壁成分であるプロテインAをいう。

0028

本明細書において、「イムノグロブリン結合ドメイン」とは、単独でイムノグロブリン結合活性を有するポリペプチド機能単位をいう。本明細書における「イムノグロブリン結合」とは、イムノグロブリン分子の相補性決定領域(CDR)以外の領域、特に少なくともFcフラグメントに結合することをいう。好ましくは、本明細書における「イムノグロブリン結合ドメイン」の例としては、Fc結合性タンパクおよびプロテインAに由来するイムノグロブリン結合ドメインが挙げられる。該プロテインAに由来するイムノグロブリン結合ドメインの例としては、プロテインAのAドメイン、Bドメイン、Cドメイン、Dドメイン、Eドメイン、およびBドメインの改変型ドメインであるZドメイン、ならびにそれらに由来する変異体が挙げられる。該変異体の例としては、上記A〜EおよびZドメインのいずれかとアミノ酸配列において少なくとも70%以上の同一性を有し、かつイムノグロブリン結合能を有するポリペプチドが挙げられる。

0029

本明細書において、「イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質」または「イムノグロブリン結合タンパク質」とは、イムノグロブリンに特異的な親和性を有し、イムノグロブリン結合能を有するタンパク質をいう。好ましくは、上記「イムノグロブリン結合ドメイン」を少なくとも1つ、より好ましくは2つ以上含むタンパク質をいう。

0030

1.アフィニティー担体
本発明の一実施形態に係るアフィニティー担体は、固相担体とタンパク質リガンドとを含み、該タンパク質リガンドは、下記式(1):
R−R1 (1)
(式(1)中、
Rは、該固相担体と化学結合するリンカーを示し、
R1は、イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質を示し、
該Rは、該R1のアミノ酸配列のC末端またはN末端に結合している)
で表される。

0031

1.1.担体
1.1.1.構成
本発明のアフィニティー担体に含まれる上記固相担体は、好ましくは、水に対して不溶性基材である。該固相担体の形状としては、粒子の形態であることができ、かかる粒子は多孔性でも非多孔性でもよい。粒子状の担体は充填ベッドとして使用することもできるし、懸濁形態で使用することもできる。懸濁形態には流動層(expanded bed)および純然たる懸濁物として知られるものが包含され、該形態中では粒子が自由に運動できる。モノリス充填床および流動層の場合、分離手順は一般に濃度勾配による従来のクロマトグラフィー法に従う。純然たる懸濁物の場合は、回分法が用いられる。好ましくは、本発明の担体は充填剤である。あるいは、該担体は、チップキャピラリーまたはフィルターのような形態であってもよい。また、固相担体として磁性粒子を用いてもよい。磁性粒子としては、磁気誘導により容易に磁化され得るものであれば特に制限はされず、例えば、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、各種フェライト、鉄、マンガンニッケルコバルトクロムなどの金属や、コバルト、ニッケル、マンガンなどの合金からなる磁性体微粒子、又はこれらの磁性体を内部に含んだ疎水性重合体親水性重合体などが挙げられる。好適な例としては、特開2008−32411号公報に記載の、超常磁性微粒子を含む母粒子の表面に、疎水性の第1ポリマー層が形成され、当該第1ポリマー層上に、少なくとも表面にグリシジル基を有する第2ポリマー層が形成され、当該グリシジル基を化学修飾することにより、酸素原子窒素原子および硫黄原子からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子を1個以上含む極性基が導入された磁性粒子が挙げられる。好ましい実施形態において、本発明のアフィニティー担体は、アフィニティークロマトグラフィー用担体である。

0032

本発明の一実施形態において、上記固相担体は、好ましくは20〜200μm、担体が合成ポリマーの場合、より好ましくは20〜100μm、さらに好ましくは30〜80μm、担体が多糖の場合、より好ましくは50〜200μm、さらに好ましくは60〜150μmの粒径を有する。粒径が20μm未満であると、高流速下でカラム圧力が高くなり、実用に耐えない。粒径が200μmを超えると、イムノグロブリンがアフィニティー担体に結合する量(結合容量)に劣る場合がある。なお、本明細書における「粒径」とは、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置により得られる体積平均粒径である。

0033

本発明の一実施形態において、上記固相担体は、好ましくは、多孔質であり、50〜150m2/g、より好ましくは、80〜130m2/gの比表面積を有する。ここで、比表面積が50m2/g未満であると、結合容量が劣る場合があり、一方、150m2/gを超えると、担体の強度が劣るために高流速下で担体が破壊されて、カラム圧力が上昇する場合がある。なお、本明細書における「比表面積」とは、水銀ポロシメーターにより得られる細孔径10〜5000nmの細孔の有する表面積を粒子の乾燥重量で除した値である。

0034

本発明の一実施形態において、上記固相担体は、好ましくは、100〜1400nm、担体が合成ポリマーの場合、より好ましくは100〜400nm、さらに好ましくは200〜300nm、担体が多糖の場合、より好ましくは500〜1400nm、さらに好ましくは800〜1200nmの体積平均細孔径を有する。ここで、体積平均細孔径が100nm未満であると、高流速下の結合容量低下が顕著になる場合があり、一方、1400nmを超えると、流速にかかわらず結合容量が低下する場合がある。なお、本明細書における「体積平均細孔径」とは、水銀ポロシメーターにより得られる細孔径10〜5000nmの細孔の体積平均細孔径である。

0035

上記固相担体が上記範囲の粒径、比表面積、および細孔径分布を満たす場合、精製対象溶液流路となる粒子間の隙間および粒子内の比較的大きな細孔径と、精製対象分子の結合表面積のバランスが最適化され、高流速下の結合容量が高いレベルに維持される。

0036

上記固相担体の材質としては、例えば、親水性表面を有するポリマーであり、例えば、外表面に(および存在する場合には内表面にも)ヒドロキシ基(−OH)、カルボキシ基(−COOH)、アミノカルボニル基(−CONH2、またはN置換型)、アミノ基(−NH2、または置換型)、またはオリゴもしくはポリエチレンオキシ基を有するポリマーである。一実施形態において、該ポリマーは、ポリメタクリレートポリアクリルアミドポリスチレンポリビニルアルコール系等の合成ポリマーであり得、好ましくは、多官能メタアクリレートジビニルベンゼン等の多官能モノマー架橋された共重合体のような合成ポリマーである。かかる合成ポリマーは公知の方法により容易に製造される(例えば、J.MATER.CHEM1991,1(3),371−374に記載の方法を参照されたい)。あるいは、トヨパール(東ソー社)のような市販品も使用される。他の実施形態におけるポリマーはデキストランデンプンセルロースプルランアガロース等の多糖類である。かかる多糖類は公知の方法により容易に製造される(例えば特許第4081143号に記載の方法を参照されたい)。あるいは、セファロースGEヘルスケアバイオサイエンス社)のような市販品も使用される。その他の実施形態ではシリカ酸化ジルコニウムなどの無機担体であってもよい。

0037

本発明の一実施形態において、上記固相担体として使用される多孔性粒子の一具体例としては、例えば、20〜50質量%の架橋性ビニル単量体と3〜80質量%のエポキシ基含有ビニル単量体、20〜80質量%のジオール基含有ビニル単量体との共重合体を含有し、粒径が20〜80μmであり、比表面積が50〜150m2/gであり、体積平均細孔径が100〜400nmである多孔性有機重合体粒子が挙げられる。

0038

なお、上記固相担体を水銀ポロシメーターで測定した場合の細孔径10〜5000nmの細孔の浸入体積細孔体積)は、好ましくは、1.3〜7.0mL/g、担体が合成ポリマーの場合、より好ましくは1.3〜2.5mL/g、担体が多糖の場合、より好ましくは3.0〜6.0mL/gである。

0039

1.1.2.リガンドとの結合
上記固相担体へのリガンドの結合方法としては、タンパク質を担体に固定化する一般的方法を用いて行うことができる。固定化の手段としては、例えば、担体へのリガンドの物理的吸着、担体とリガンドとの化学的結合などが挙げられる。担体とリガンドとの化学的結合のための方法としては、共有結合が挙げられる。例えば、リガンドのリンカーは、そのカルボキシ基、アミノ基、水酸基またはチオール基を介して担体と共有結合する。さらに、共有結合のための反応性基を担体に導入してもよい。該反応性基としては、カルボキシ基、アミノ基、水酸基、マレイミド基、またはエポキシ基が好ましく、これらの中でも、温和な条件でリガンドとの反応が進行する点で、エポキシ基がより好ましい。担体へのリガンドの結合方法の具体例としては、カルボキシ基を有する担体を用い、このカルボキシ基をN−ヒドロキシコハク酸イミドにより活性化させリガンドのアミノ基と反応させる方法、アミノ基またはカルボキシ基を有する担体を用い、水溶性カルボジイミドなどの脱水縮合剤存在下でリガンドのカルボキシ基またはアミノ基と反応させアミド結合を形成する方法、水酸基を有する担体を用い、臭化シアンなどのハロゲン化シアンで活性化させてリガンドのアミノ基と反応させる方法、担体の水酸基をトシル化もしくはトレシル化しリガンドのアミノ基と反応させる方法、マレイミド基を有する担体を用い、リガンドのチオール基と反応させチオエーテル結合を形成する方法、ビスエポキシドエピクロロヒドリンなどによりエポキシ基を担体に導入し、リガンドのアミノ基または水酸基またはチオール基と反応させる方法、およびエポキシ基を有する担体を用い、リガンドのアミノ基または水酸基またはチオール基と反応させる方法などが挙げられる。上記のうち、反応を実施する水溶液中での安定性の観点からは、エポキシ基を介してリガンドを導入する結合方法が望ましい。

0040

エポキシ基が開環して生成する開環エポキシ基であるアルコール性水酸基は、担体表面を親水化し、タンパク質などの非特異吸着を防止すると共に、水中で担体の靱性を向上させ、高流速下の担体の破壊を防止する役割を果たす。したがって、リガンドを固定化させた後の担体中にリガンドと結合していない残余のエポキシ基が存在している場合、当該残余のエポキシ基を開環させることが好ましい。担体中のエポキシ基の開環方法としては、例えば、水溶媒中で、酸またはアルカリにより、加熱または室温下で該担体を撹拌する方法を挙げることができる。また、メルカプトエタノールチオグリセロールなどのメルカプト基を有するブロッキング剤モノエタノールアミンなどのアミノ基を有するブロッキング剤で、エポキシ基を開環させても良い。最も好ましい開環エポキシ基は、担体に含まれるエポキシ基をチオグリセロールにより開環させて得られる開環エポキシ基である。チオグリセロールは、原料としてメルカプトエタノールなどよりも毒性が低く、チオグリセロールが付加したエポキシ開環基は、アミノ基を有するブロッキング剤による開環基よりも非特異吸着が低い上に、担体の動的結合量が高くなるといった利点を有する。

0041

1.2.リガンド
1.2.1.リンカー
本発明のアフィニティー担体に含まれるタンパク質リガンドは、リンカーRとタンパク質リガンドR1とを含み、下記一般式(1)で表される。
R−R1 (1)
このタンパク質リガンドを、上述のように、例えば担体上のエポキシ基等と反応させることにより、担体にリガンドを固定化させることができる。

0042

上記式(1)中のリンカーRは、その一端に固相担体の反応性官能基と反応する官能基を含むリンカーである。該リンカーは、後述するイムノグロブリンに親和性を示すタンパク質R1を担体に連結して固定化するために使用され得る。さらに該リンカーは、該R1を担体上に効率的に固定化するために用いられる一方で、該R1のイムノグロブリン親和性を実質的に維持するのに適している。すなわち、該リンカーを用いた場合、リンカーを使用しない場合と比べて、担体上に効率的に、例えば25%以上効率的に、タンパク質R1を導入できる。また、該リンカーを用いて効率的に導入されたタンパク質R1は、担体上で、その活性、例えば、イムノグロブリン結合性を維持することができる。

0043

一実施形態において、上記リンカーRは、好ましくは0.9nm〜91nm、より好ましくは1.8nm〜15.4nm、さらに好ましくは3.6nm〜7.3nmの長さを有する。ここで、リンカーの長さとは、該リンカーの三次元的な立体構造における、上記R1に結合する部位から上記固相担体に結合する部位までの距離をいう。一実施形態において、該リンカーはらせん構造を有し、該らせんの全長が上記長さを有する。

0044

好ましくは、上記リンカーRは、少なくとも2つのプロリンを含むペプチドリンカーである。より好ましくは、該リンカーRは、少なくとも2つのプロリンを含み、かつ側鎖にアミノ基またはチオール基を有するアミノ酸残基を含むポリペプチドである。さらに好ましくは、該リンカーRは、少なくとも2つのプロリンを含み、かつ上記固相担体に結合する末端に、少なくとも1つ、より好ましくは1以上のシステイン(C)またはリジン残基(K)を有するポリペプチドである。リンカーRがシステイン残基を複数含む場合、システイン間でジスルフィド結合が形成されないように考慮する必要があり、当該システイン間のジスルフィド結合の形成を回避するために、例えば、還元剤を使用することが好ましい。上記還元剤は、ジスルフィド結合を還元するものであれば特に制限はされず、例えば、2−メルカプトエタノールジチオスレイトール、1−チオグリセロール、トリス(2−カルボキシエチルホスフィン塩酸塩などが挙げられる。

0045

好ましい実施形態において、上記リンカーRは、少なくとも3つの連続するプロリン残基を有するポリプロリンを含む。該ポリプロリンに含まれるプロリン残基の数は、好ましくは3〜300個、より好ましくは6〜51個、さらに好ましくは12〜24個である。ポリプロリンは、3つのプロリンを1単位とするポリプロリンへリックスを構成し得るので、上記リンカーRは、好ましくは3〜300個、より好ましくは6〜51個、さらに好ましくは12〜24個のプロリンからなるポリプロリンへリックスを含み得る。言い換えると、3つのプロリンによりポリプロリンヘリックス約1回転(本明細書において、1ピッチともいう)が形成されるので、上記リンカーRは、好ましくは1〜100のピッチ数、より好ましくは2〜17のピッチ数、さらに好ましくは4〜8のピッチ数を有するポリプロリンへリックスを含み得る。ただし、本発明において、該リンカーRのポリプロリンへリックスのピッチ数は整数に限定されない。ポリプロリンへリックス1ピッチあたりの長さは約0.9nmである(J.AM.CHEM.SOC.,2007,129(4):873−880)。

0046

さらに好ましい実施形態において、上記リンカーRは、ポリプロリンに加えて、プロリン以外のアミノ酸残基を1個または2個以上有していてもよい。好ましくは、該リンカーRは、ポリプロリンと、上記固相担体と結合するリンカー末端との間に、プロリン以外のアミノ酸残基を1個または2個以上有しており、より好ましくは、ポリプロリンと、上記固相担体と結合するリンカー末端との間に、アミノ基またはチオール基を有するアミノ酸残基を1個または2個以上含んでいる。かかるプロリン以外のアミノ酸残基としては、1〜3個のシステイン(C)またはリジン残基(K)が好ましい。好ましくは、リンカーRは、該固相担体と結合する末端に少なくとも1つ、より好ましくは1〜3個のシステイン(C)またはリジン残基(K)を含み、かつ3〜300個、より好ましくは6〜51個、さらに好ましくは12〜24個のプロリンからなるポリプロリンを含むリンカーである。

0047

1.2.2.イムノグロブリン結合タンパク質
上記式(1)中のR1は、イムノグロブリンに親和性を示すタンパク質(またはイムノグロブリン結合タンパク質)である。R1の例としては、イムノグロブリンFc領域に結合するFc結合性タンパク質、およびプロテインAに由来するイムノグロブリン結合ドメインからなる群より選択されるイムノグロブリン結合ドメインを少なくとも1つ含むタンパク質が挙げられる。R1は、工業的に問題にならない限りにおいて、イムノグロブリン結合ドメインをいくつ含んでいてもよい。

0048

好ましくは、R1は、プロテインAに由来するイムノグロブリン結合ドメインを少なくとも1つ含む。より好ましくは、R1は、プロテインAのAドメイン、Bドメイン、Cドメイン、Dドメイン、Eドメイン、Zドメイン、およびそれらの変異体からなる群より選択される少なくとも1つのイムノグロブリン結合ドメインを含む。

0049

上記A〜EおよびZドメインの変異体は、プロテインAのA〜EおよびZドメインに対して、アミノ酸残基の付加、削除、置換または欠失や、アミノ酸残基の化学的修飾等の改変を施すことによって作製することができる。アミノ酸残基の付加、削除、置換または欠失の手段としては、上記ドメインをコードするポリヌクレオチドに対する部位特異的突然変異(Site−specific mutaion)等の公知の手段が挙げられる。

0050

好ましい一実施形態において、R1は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメイン、配列番号1で示されるアミノ酸配列の部分配列からなるイムノグロブリン結合ドメイン、および配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメインからなる群より選択される少なくとも1つを含む。

0051

好ましい一実施形態において、R1は、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメイン、配列番号2で示されるアミノ酸配列の部分配列からなるイムノグロブリン結合ドメイン、および配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメインからなる群より選択される少なくとも1つを含む。

0052

好ましい一実施形態において、R1は、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメイン、配列番号3で示されるアミノ酸配列の部分配列からなるイムノグロブリン結合ドメイン、および配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメインからなる群より選択される少なくとも1つを含む。

0053

好ましい一実施形態において、R1は、上記に挙げたイムノグロブリン結合ドメインを2個以上、より好ましくは2〜12個、さらに好ましくは3〜8個含む。該イムノグロブリン結合ドメインの各々は、同じものでも異なるものであってもよい。好ましくは、該イムノグロブリン結合ドメインの各々は、そのN末端が、隣接するドメインのC末端に連結されている。各ドメインは、隣接するドメインと直接連結してもよく、または1〜10個のアミノ酸残基を有するペプチドを介して連結してもよい。

0054

別の一実施形態において、R1は、上記イムノグロブリン結合ドメインを1つ以上含んでいればよいが、イムノグロブリン結合容量やイムノグロブリン結合タンパク質の生産性の観点からは、R1のイムノグロブリン結合ドメイン数は、好ましくは10以下であり、より好ましくは2以上8以下であり、さらに好ましくは4以上6以下である。

0055

好ましくは、R1に含まれるイムノグロブリン結合ドメインは、配列番号1〜3のいずれかで示されるアミノ酸配列の1位に相当する位置にVal残基を有し、および/または、配列番号1〜3のいずれかで示されるアミノ酸配列の29位に相当する位置にAla残基を有する。

0056

R1の好ましい例としては、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。配列番号4で示されるアミノ酸配列は、配列番号3で示されるアミノ酸配列の1位AlaをValに、29位GlyをAlaに置換したアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメインを4個含むポリペプチドである。

0057

R1の別の好ましい例としては、配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有し、かつ配列番号3の1位に相当する位置にValを、29位に相当する位置にAlaを有するアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメインを、3〜8個含むポリペプチドが挙げられる。

0058

一般的なタンパク質リガンドにおいては、リンカーは、イムノグロブリン結合タンパク質の機能が実質的に保持されるように、その末端に結合もしくは融合され得る。したがって、上記リンカーRは、好ましくは、上記イムノグロブリン結合タンパク質R1のアミノ酸配列のC末端またはN末端に結合される。あるいは、2つのリンカーRが、R1のアミノ酸配列の両末端に各々結合されてもよく、またはリンカーRは、R1のアミノ酸配列の末端残基ではないアミノ酸残基に結合されてもよい。

0059

1.2.3.リガンドの製造
本発明のアフィニティー担体に含まれる、上記式(1)で示されるタンパク質リガンドR−R1は、上記リンカーRと上記イムノグロブリン結合タンパク質R1とを含む融合ポリペプチドである。また上述したように、該タンパク質リガンドに含まれるR1は、イムノグロブリン結合ドメインを1個以上、好ましくは2〜12個、より好ましくは3〜8個含む融合ポリペプチドである。これらの融合ポリペプチドは、当該分野で公知のリコンビナント法により生成され得る。

0060

上記タンパク質リガンドを製造するための標準技術としては、例えば、Frederick M. AusbelらによるCurrent Protocols In Molecular BiologyやSambrookら編集のMolecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press,3rd edition,2001)などに記載されている公知の遺伝子組換え技術を利用することができる。すなわち、上記タンパク質リガンドをコードする核酸配列を含有させた発現ベクター大腸菌などの宿主形質転換し、得られた組換え体を適切な液体培地で培養することにより、培養後の細胞から、目的のタンパク質リガンドを大量かつ経済的に取得することができる。好ましい発現ベクターとしては、宿主細胞内で複製可能な既知ベクターのいずれをも用いることができ、例えば、米国特許第5,151,350号明細書に記載されているプラスミドや、Sambrookら編集のMolecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 3rd edition, 2001)などに記載されているプラスミドが挙げられる。また、形質転換のための宿主としては、特に限定されないが、大腸菌などのバクテリア真菌類昆虫細胞ほ乳類細胞等の組換えタンパク質発現させるために用いられる公知の宿主を用いることができる。宿主中に核酸を導入することにより宿主を形質転換させるためには、各宿主に応じて当該技術分野において知られるいずれの方法を用いてもよく、例えば、Sambrookら編集のMolecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press,3rd edition,2001)などに記載されている公知の方法を利用することができる。形質転換した組換え体(細菌等)を培養して発現されたタンパク質を回収する方法は、当業者によく知られており、本発明の実施例にも例示されている。

0061

したがって、本発明はまた、上記式(1)で示されるタンパク質リガンドR−R1をコードするポリヌクレオチド(DNA等)、それを含むベクター、及びそれらを含む組換え体を提供する。

0062

上記リンカーRと上記イムノグロブリン結合タンパク質R1とを結合または融合した融合ポリペプチドR−R1を得た後、それを上記固相担体に固定化することによって、本発明のアフィニティー担体を製造することができる。あるいは、上記リンカーRを、上記イムノグロブリン結合タンパク質R1との結合より前に、化学的手段により、リコンビナント法により、または酵素を使用して、上記固相担体に結合し、次いで該リンカーRにR1を結合してもよい。該リンカーRの結合に適切な固相担体は、上記1.1で述べたとおりである。

0063

1.3.作用効果
本発明の一実施形態に係るアフィニティー担体は、担体に固定化されたリガンド量が多く、かつ初期IgG静的結合容量(SBC)が高いことから、下記式に従って算出されるイムノグロブリン結合タンパク質の有効利用度E[%]が高い。 E[%]=[(SBC/抗体の分子量)/(イムノグロブリン結合タンパク質導入量/イムノグロブリン結合タンパク質の分子量)]×100

0064

2.イムノグロブリンを単離する方法
本発明の一実施形態に係るイムノグロブリンを単離する方法を説明する。本実施形態に係るイムノグロブリンを単離する方法は、上記式(1)で示されるタンパク質リガンドR−R1を固定化したアフィニティー担体に、イムノグロブリンを含有する試料を接触させ、該担体にイムノグロブリンを吸着させる工程(第一の工程)、および、該担体から該イムノグロブリンを溶出させる工程(第二の工程)を含み、好ましくは該第二の工程の後に、該担体をアルカリ性液洗浄する工程(第三の工程)をさらに含む。本発明のイムノグロブリン単離方法に用いられる本発明のアフィニティー担体は、懸濁形態であってもよく、カラムに充填された状態であってもよく、あるいはチップ、キャピラリーまたはフィルターのような形態であってもよい。

0065

上記第一の工程では、上記アフィニティー担体を充填したカラム等にイムノグロブリンを含有する試料を、リガンドにイムノグロブリンが吸着する条件にて接触させる。この第一の工程では、試料中のイムノグロブリン以外の物質のほとんどは、リガンドに吸着されず担体上に残留しない。この後、必要に応じて、リガンドに弱く保持された一部の物質を除去するため、担体をNaClなどの塩を含む中性緩衝液で洗浄してもよい。

0066

上記第二の工程では、pH2〜5の適切な緩衝液を流し、リガンドに吸着されたイムノグロブリンを溶出させる。この溶出液を回収することで、試料からイムノグロブリンを単離することができる。

0067

本実施形態に係るイムノグロブリンを単離する方法においては、好ましくは、上記第二の工程に続いて第三の工程が行われる。第三の工程では、アルカリ性液で担体を洗浄(CIP洗浄)する。第三の工程に使用されるアルカリ性液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液水酸化カリウム水溶液トリエチルアミン水酸化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。

0068

本発明のアフィニティー担体は、上記第三の工程での洗浄後もイムノグロブリン結合能を安定に保持することができるので、本発明のイムノグロブリン単離方法に繰り返し使用することができる。

0069

本発明のイムノグロブリン単離方法の一実施形態において、単離すべきイムノグロブリンは、抗体またはそれを含む医薬であり得る。したがって、一実施形態において、本発明は、本発明のアフィニティー担体を用いる抗体医薬の製造方法を提供する。当該方法の手順は、目的とする抗体医薬を含有する試料を用いる以外は、基本的に上述したイムノグロブリン単離方法の手順と同様である。

0070

以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。また、以下の記載は本発明の態様を概括的に示すものであり、特に理由なく、かかる記載により本発明は限定されるものではない。

0071

参考例1多孔質粒子の合成
グリシジルメタクリレート(三菱レーヨン社製)8.2g、トリメチロールプロパントリメタクリレートサートマー社製)65.9gおよびグリセリンモノメタクリレート(日油社製)90.6gを2−オクタノン(東洋合成工業社製)245.8gおよびアセトフェノン和光純薬工業社製)62gに溶解させ、2,2'−アゾイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)2gを添加し、有機モノマー溶液を調製した。

0072

次に、4240gの純水にポリビニルアルコール(クラレ社製PVA−217)8.5g、ドデシル硫酸ナトリウム(花王社製 エマール10G)0.43gおよび硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製)21.3gを添加し、一晩撹拌して水溶液を調製した。

0073

次いで、得られた水溶液を7Lセパラブルフラスコ内に投入し、温度計撹拌翼、および冷却管を装着して、温水バスにセットし、窒素雰囲気下、600rpmで撹拌を開始した。続いて、セパラブルフラスコを温水バスにより加温し、水溶液の温度が85℃になったところで、この水溶液に滴下ロートを用いて上記有機モノマー溶液を添加し、5時間撹拌を行った。

0074

次いで、反応液を冷却したのち、かかる反応液を5Lのポリプロピレン製ビンに移し、粒子が浮遊するまで静置し、下方から余分な水を吸い出して廃棄した。さらに、この反応液にアセトンを加えて粒子を沈降させた。次に、反応液を3分間静置して、デカンテーションによりアセトンを除去した。この操作を2回繰り返したのち水を加えて、粒子を沈降させた。さらに、3分間静置してデカンテーションを行った。この操作を2回繰り返して粒子を洗浄した。さらに、粒子の分散液をアセトンで再び置換して、一晩風乾したのち、真空乾燥機にて乾燥を行い、多孔質粒子(以下、PB1と記す)90gを得た。PB1の光散乱方式による体積平均粒径は53μm、水銀ポロシメーター測定によると比表面積は95m2/gであった。

0075

比較例1
(1)組換え型イムノグロブリン結合タンパク質の調製
リンカーなしのイムノグロブリン結合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号4)をコードするプラスミドを化学合成により調製し、大腸菌BL21(STRATAGENE製)に導入して形質転換した。形質転換した大腸菌を、吸光度OD600)が約10に到達するまで37℃でインキュベートし、次いで終濃度で1mMになるようにIPTG(Sigma−Aldrich製)を添加し、さらに4時間37℃でインキュベートして、組換え型イムノグロブリン結合タンパク質を発現させた。タンパク質発現後、細胞を回収し、pH9.5のトリス緩衝液中でリゾチームを用いて破砕した。得られた組換え型イムノグロブリン結合タンパク質を含む大腸菌破砕液から、陰イオン交換クロマトグラフィー(Q−セファロースFF、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)および陽イオン交換クロマトグラフィー(SP−セファロースFF、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)によって組換え型イムノグロブリン結合タンパク質を精製した。精製したイムノグロブリン結合タンパク質を、10mMクエン酸緩衝液pH6.6に対して16時間透析した。SDS−PAGEによって確認されたイムノグロブリン結合タンパク質の純度は95%以上であった。該イムノグロブリン結合タンパク質の理論分子量[kDa]を、ExPACy([www.expasy.org/compute_pi/])を用いて求めた。

0076

(2)担体へのイムノグロブリン結合タンパク質の固定化
150μLの純水に参考例1で調製したPB1を8mg懸濁させ、フィルターチューブ(Millipore社)に移し、遠心して純水を除いた。ここに(1)で調製した組換え型イムノグロブリン結合タンパク質1mgを溶解した、0.85M硫酸ナトリウムを含む0.1M炭酸緩衝液(pH9.8)450μLを加え、25℃で5時間振盪させ、イムノグロブリン結合タンパク質をPB1に結合させた。生成した粒子を濾過した後、1Mチオグリセロール450μLと混合し、25℃で16時間反応させて残余のエポキシ基をブロッキングし、0.5M NaOHで洗浄後、0.1Mクエン酸ナトリウムバッファー(pH3.2)で洗浄し、最後にリン酸緩衝生理的食塩水(BupHTM Modified Dulbecco'sPBS、PIERCE社)を400μL加えて、イムノグロブリン結合タンパク質が固定化された多孔質粒子を分散させ、該粒子の懸濁液400μLを得た。

0077

比較例2
表1に示すシステインリンカーを含むイムノグロブリン結合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号5)をコードするプラスミドを用いて大腸菌BL21を形質転換したこと以外は、比較例1と同様の手順で組換え型イムノグロブリン結合タンパク質を調製し、次いでそれを多孔質粒子PB1に固定化した。

0078

比較例3
表1に示すポリリジンリンカーを含むイムノグロブリン結合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号6)をコードするプラスミドを用いて大腸菌BL21を形質転換したこと以外は、比較例1と同様の手順で組換え型イムノグロブリン結合タンパク質を調製し、次いでそれを多孔質粒子PB1に固定化した。

0079

実施例1
表1に示すポリプロリンリンカーを含むイムノグロブリン結合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号7)をコードするプラスミドを用いて大腸菌BL21を形質転換したこと以外は、比較例1と同様の手順で組換え型イムノグロブリン結合タンパク質を調製し、次いでそれを多孔質粒子PB1に固定化した。

0080

実施例2
表1に示すポリプロリンリンカーを含むイムノグロブリン結合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号8)をコードするプラスミドを用いて大腸菌BL21を形質転換したこと以外は、比較例1と同様の手順で組換え型イムノグロブリン結合タンパク質を調製し、次いでそれを多孔質粒子PB1に固定化した。

0081

実施例3
表1に示すポリプロリンリンカーを含むイムノグロブリン結合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号9)をコードするプラスミドを用いて大腸菌BL21を形質転換したこと以外は、比較例1と同様の手順で組換え型イムノグロブリン結合タンパク質を調製し、次いでそれを多孔質粒子PB1に固定化した。

0082

実施例4
表1に示すポリプロリンリンカーを含むイムノグロブリン結合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号10)をコードするプラスミドを用いて大腸菌BL21を形質転換したこと以外は、比較例1と同様の手順で、組換え型イムノグロブリン結合タンパク質を調製し、次いでそれを多孔質粒子PB1に固定化した。

0083

実施例5
表1に示すポリプロリンリンカーを含むイムノグロブリン結合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号11)をコードするプラスミドを用いて大腸菌BL21を形質転換したこと以外は、比較例1と同様の手順で、組換え型イムノグロブリン結合タンパク質を調製し、次いでそれを多孔質粒子PB1に固定化した。

0084

比較例4
参考例1で調製した粒子PB1に対して、過剰量のチオグリセロールを作用させてエポキシ基を開環させたのち、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシブタン(BDDGE)(炭素数10)を表面水酸基等モル量作用させて、炭素鎖のリンカーを導入した。この粒子をPB2とした。8mgのPB2について、比較例1と実質的に同様に組換え型イムノグロブリン結合タンパク質(配列番号4)を固定化し、該粒子の懸濁液400μLを得た。

0085

比較例5
参考例1で調製した粒子PB1に対して、過剰量のチオグリセロールを作用させてエポキシ基を開環させたのち、1,2−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)エタン(EGDG)(炭素数8)を表面水酸基と等モル量作用させて、炭素鎖のリンカーを導入した。この粒子をPB3とした。8mgのPB3について、比較例1と実質的に同様に組換え型イムノグロブリン結合タンパク質(配列番号4)を固定化し、該粒子の懸濁液400μLを得た。

0086

0087

試験例1(リガンド結合量の測定)
実施例1〜5および比較例1〜5の粒子懸濁液400μLから50μLを分取し、BCA Assyキット(PIERCE社)を用いて、該粒子に結合したイムノグロブリン結合タンパク質の量をそれぞれ測定し、比較例1の結合量を100とした相対値を求めた。

0088

試験例2(イムノグロブリンG(IgG)静的結合容量の測定)
実施例1〜5および比較例1〜5の粒子懸濁液400μLから150μLを分取し、それぞれフィルターチューブ(Millpore社)に投入し、これに5mgのIgGを含む0.1Mリン酸緩衝液pH7.5を300μL投入し、1時間25度で振盪させてIgGを該粒子に吸着させた。遠心後、pH7.5の0.1Mリン酸緩衝液450μLを用いて該粒子を洗浄し、0.1Mクエン酸緩衝液pH3.2を用いて該粒子に吸着したIgGを溶出させ、溶出液の280nmにおける吸光度から該粒子のIgGの静的結合容量(SBC)を測定した。

0089

試験例3イムノグロブリン結合タンパク質の利用効率
試験例1および試験例2で測定したリガンド結合量とSBCの値から、下記式に従って、実施例1〜5および比較例1〜5の多孔質粒子におけるイムノグロブリン結合タンパク質の有効利用度E[%]を、下記式に従って算出した。
E[%]=[(SBC/抗体の分子量)/(イムノグロブリン結合タンパク質導入量/イムノグロブリン結合タンパク質の分子量)]×100

0090

試験例1〜3の結果を表2に示す。

0091

0092

実施例1〜5で調製したポリプロリンリンカーを含むイムノグロブリンタンパク質が固定化された粒子は、リガンド結合量およびSBCが比較例1〜3に比べて向上した。さらに、ポリプロリンの長さがより長くなると、SBCがより向上し、利用効率E[%]もより高くなる傾向があった。さらに、実施例4〜5に示されるとおり、リンカーと担体との結合に使用される官能基がリジン由来のアミノ基でもシステイン由来のチオール基でも、実質的に同程度の導入量が得られた。一方で、比較例5〜6に示されるとおり、炭素鎖リンカーは、リガンド結合量およびSBC向上には何ら貢献しなかった。

実施例

0093

本発明の実施形態に係る説明は以上である。しかしながら、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明のさらなる種々の変形が可能である。また本発明は、上記で説明した実施形態の構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、上記で説明した実施形態の構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、上記で説明した実施形態の構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、上記で説明した実施形態の構成に公知技術を付加した構成を含む。

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