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技術 免疫測定法、免疫クロマトキット

出願人 田中貴金属工業株式会社
発明者 加藤佑弥岩本久彦
出願日 2016年7月15日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2017-528743
公開日 2018年4月26日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 WO2017-010574
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード コントロール部材 生成度合い 亜硝酸根 ストリップ形式 抽出ゾーン 亜硝酸ガス 金ナノ粒子分散液 展開順序
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年4月26日)のものです。
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図面 (2)

課題・解決手段

本発明は、検査効率および省力化を向上させることができると共に、不溶性担体凝集が起きず、非特異反応が起きることがなく、展開速度が速い高感度免疫測定が可能な免疫測定法を提供することを目的とする。本発明は、検体中の検出対象物抗原抽出剤により抽出して、前記抗原に対する結合能を有する検出試薬により前記検出対象物を検出する、検査デバイスを用いた免疫測定法において、前記抽出剤が、環状エステル環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物亜硝酸塩との接触反応により前記検査デバイス上で生成される亜硝酸である、免疫測定法に関する。

概要

背景

近年、イムノクロマトグラフストリップ形式イムノアッセイは、抗体の持つ特異的反応性を利用して、試料液中被検出物抗原等)を検出する簡便な体外診断キットもしくは携帯用診断装置として汎用性が高まっている。

特に、最近では、インフルエンザウイルスや細菌といった病原体に対する感染の有無を検査するためのイムノクロマトグラフ法に基づく簡便な検査具についても関心が高まり、研究開発が進められてきた。

溶血性連鎖球菌(以下、「溶連菌」ともいう。)の診断は、群特異的である多糖体を抗原として検査することで行う。多糖体の抽出法としては、酵素ファージ塩酸次亜塩素酸などを用いた方法が知られているが、亜硝酸を用いる抽出法が最も一般的である。

亜硝酸による抽出法は、糖多糖体の高い抽出効率と亜硝酸が低価格で取り扱いが容易である点にメリットがあるが、亜硝酸自体が不安定で分解しやすい化合物であるため、抽出前亜硝酸ナトリウム酢酸などの有機酸と混合し、その都度亜硝酸を調製しなければならない点にデメリットがある。

また、恒常的に診断を行う場合、その都度亜硝酸を調製することは医師検査技師等の大きな負担となる。加えて、混合工程を含むため、試薬の混合間違い等により正しい安全な診断を行えないといった可能性、抽出時間の違いによる測定再現性の低下の問題等もある。

この問題点を克服するために、溶血性連鎖球菌からの多糖抗原を抽出する工程を簡易化するための簡便な検査具についても研究開発が進められてきた。

例えば、特許文献1では、生物(特に、連鎖球菌A群又はB群)からの多糖抗原を抽出する方法において、a.測定量の亜硝酸塩が滲み込ませて乾燥されている第1吸収性物質、b.測定量の中和塩基及び緩衝液が滲み込ませて乾燥されている第2吸収性物質、c.測定量の酸の水溶液、を組み合わせたキットを用いた簡易化した抽出方法が提案されている(特許文献1参照)。

また、連鎖球菌感染の診断に当たっては、まず多糖抗原の抽出工程を行った後に、次いで得られた溶液免疫アッセイ装置と接触させて抗原の検出工程を行うという面倒な処理工程が必要であった。そのため、多糖抗原の抽出工程、及びマーカーの測定工程を含む試料中の生物を簡便に測定検査する方法やその為のキットの開発が課題になっている。

例えば、特許文献2においては、レンサ球菌科などの微生物細菌性生物体に特徴的な炭水化物抗原を検出するための分析装置や方法が開示されている。この側方流動分析装置では、a.サンプル受領ゾーン、b.抽出ゾーン抽出試薬固定化又は吸収して乾燥させた酸および亜硝酸塩)、c.中和剤中和緩衝剤;TRIS)、d.検出ゾーン捕捉検出試薬)を有する基材を含む装置が提供されている(特許文献2参照)。

さらに、連鎖球菌を含む複数の異なる生物を、同時に測定検査する方法やその為のキットの開発もなされている。例えば、特許文献3には、第1の生物がグラム陽性細菌、例えば、A,B,F,又はG群連鎖球菌腸球菌細菌等であり、第2の生物がウイルス類グラム陰性細菌類等であるような試料中の複数の異なる生物種を測定する方法やキットが記載されている。

これは、1つ以上の容器内に、a.亜硝酸、又は乾燥状態になっている酸及び亜硝酸塩、b.界面活性剤、c.第1の生物から得られる第1のマーカーに結合する第1の結合試薬、d.第2の生物から得られる第2のマーカーに結合する第2の結合試薬、を備えたキットによる複数の検体の同時検出を可能にすることにより、検査効率倍増患者の検査に伴う苦痛の軽減並びに複数種の原因生物に有効な治療薬を適正に組み合わせて投与することを可能にしている。

ここで亜硝酸塩と組み合わせて用いる酸としては、無機酸(塩化水素酸硫酸等)や有機酸(酢酸、クエン酸)が記載されており、好ましくは有機酸であって、より好ましくは酢酸であり、実施例としては酢酸が用いられている(特許文献3参照)。

溶連菌は多数の血清型を持つため、群特異的な多糖体抗原による検査が一般的である。菌体から多糖体を抽出する方法として、亜硝酸による抽出法が知られている。亜硝酸は不安定な化合物であるため、亜硝酸ナトリウムと有機酸による用事調整が必要となる。

しかし、亜硝酸の調整により検査工程が増える点、また、調整時の手技差や抽出時間の差による測定再現性などの問題点がある。本発明者等は、免疫クロマトキットの2種のサンプルパッドに亜硝酸ナトリウム及びクエン酸を夫々含浸させ、操作の簡略化、測定再現性の向上に成功している。しかしながら、含浸させるクエン酸量を増やすと非特異的な発色が起き、抽出効率に問題があることが分かった。

溶連菌は、年間を通して流行する呼吸器感染症であり、日本だけでなく欧米でも一般的な風邪原因菌として知られている。診断の補助として、簡便、迅速診断が可能なイムノクロマト診断キットが用いられる。(約300万テスト/年市場

レンサ球菌科などの微生物/細菌性生物体に特徴的な炭水化物抗原を検出するための分析装置や方法に関しては、既に上市販売されているものもあって、例えば、イムノクロマト試薬としては、クイックビューDipStick StrepA(DSファーバイオメディカル)やストレップAテストパック・プラスOBC(三和化学研究所)などがあり、また、スライドラテックス凝集法試薬としてはAストレプトAD「生研」(デンカ生研)などが知られている。

イムノクロマト試薬の市販品にあっては、一般的に検体の試験において陽性と判定されるためには、直接法では溶連菌濃度が1×106CFU/mL以上であることが必要とされている。その為、1×106CFU/mL未満の場合には、陽性であるにも拘らず陰性と判定されたり、また、不溶性担体で抗体を標識したイムノクロマトグラフ法検査薬は、一般的にEIAと比較して感度が低い為、陽性の場合に観察されるラインが明瞭でないという問題点があった。さらには、試料液中に被検出物(抗原等)が存在しないにも拘らず、陽性と判定される、所謂、偽陽性が生じるという問題点があった。

かかる問題点を解決するために、展開溶媒に糖または水溶性高分子化合物を存在させる方法等が提案されている。例えば、抗体を結合した着色ラテックス粒子を用いるメンブレンアッセイ法において、ラテックス組成物中に糖類、例えば、単糖類オリゴ糖並びにそれらの糖アルコール多価アルコールといった少なくとも1種の凝集防止剤と、タンパク質を添加すると共に塩基性緩衝剤とを含み、そのpHが9.0〜9.8である免疫測定用ラテックス組成物を用いることにより、ラテックス粒子自然凝集を防止して、比重、粘度、浸透圧の上昇を防いで高感度免疫測定を可能にしている(特許文献4参照。)。

また、最近では、糖尿病の診断に適した指標として広く使用されている血中のヘモグロビンに糖が結合した糖化ヘモグロビン、特にヘモグロビンβ鎖N末端バリン残基糖化されたヘモグロビンA1c(「HbA1c」という。)の粒子イムノクロマト測定法において、(A)赤血球を含有する測定試料を、界面活性剤で処理してヘモグロビンβ鎖のN末端をタンパク質表面に露出させ、(B)得られた試料を水不溶性の状態にある環状多糖類(例えば、メンブレン等に化学結合により固定化。環状多糖類自体がポリマーを形成。多孔性樹脂練りこまれている状態。)と接触させ、次いで、(C)得られた試料を、粒子で標識されたヘモグロビンのN末端を認識する抗体等と接触させて検出する方法が提案されている。

こうすることにより、抗体どうしが凝集してメンブレン上を展開せず、正確な測定ができない原因である、環状多糖類が水と接触した際に、環状多糖類を構成する環状オリゴ糖分子又は環状多糖分子が水に溶解して拡散しない状態になるのを防止している(特許文献5参照。)。

さらに、メンブレンアッセイ法を用いた検体の簡易な検査方法において、感度を保ちながら偽陽性や詰まりを防止できる検体試料ろ過法が提案されている(特許文献6参照。)。

しかしながら、不溶性担体(金属粒子、着色ラテックス粒子等)で抗体を標識したイムノクロマトグラフ法(「粒子イムノクロマトグラフ法」ともいう。)にあっては、測定試料とか測定環境測定条件によっては、依然として該不溶性担体の凝集が起き、非特異反応が起きることがあり、展開速度が遅い等の問題点は解決できない場合がある。そのため、個々の測定試料とか測定環境、測定条件を採用した粒子イムノクロマトグラフ法において、不溶性担体の凝集が起きず、非特異反応が起きることがなく、展開速度が速い検査薬の探求が切望されている。

概要

本発明は、検査効率および省力化を向上させることができると共に、不溶性担体の凝集が起きず、非特異反応が起きることがなく、展開速度が速い高感度な免疫測定が可能な免疫測定法を提供することを目的とする。本発明は、検体中の検出対象物の抗原を抽出剤により抽出して、前記抗原に対する結合能を有する検出試薬により前記検出対象物を検出する、検査デバイスを用いた免疫測定法において、前記抽出剤が、環状エステル環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物と亜硝酸塩との接触反応により前記検査デバイス上で生成される亜硝酸である、免疫測定法に関する。

目的

本発明の目的は、イムノクロマトグラフ法により細菌検査又は細菌とウイルスの両方の同時検査を行うにあたり、抽出剤を改良することによって、検体中もしくは検査デバイス中に存在するタンパク成分が展開検査中に変性析出沈殿)を起こすことなく、高感度かつ展開速度の速いイムノクロマトグラフ用検査薬を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

検体中の検出対象物抗原抽出剤により抽出して、前記抗原に対する結合能を有する検出試薬により前記検出対象物を検出する、検査デバイスを用いた免疫測定法において、前記抽出剤が、環状エステル環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物亜硝酸塩との接触反応により前記検査デバイス上で生成される亜硝酸である、免疫測定法。

請求項2

環状エステルの骨格を有する複素環化合物が、酸素原子を1〜2個有する5員環化合物である、請求項1に記載の免疫測定法。

請求項3

環状アミドの骨格を有する複素環化合物、および環状イミドの骨格を有する複素環化合物が、N原子を1〜3個有する5員環または6員環の化合物である、請求項1に記載の免疫測定法。

請求項4

環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物を、一測定あたり0.1〜100μmol用いる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫測定法。

請求項5

前記検出試薬が、ウサギヤギ及びマウスから選ばれる一種以上の動物種由来の抗体を含む、請求項1に記載の免疫測定法。

請求項6

環状オリゴ糖の存在下に測定を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫測定法。

請求項7

前記抗原が多糖体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫測定法。

請求項8

前記検出対象物がグラム陽性菌である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫測定法。

請求項9

前記検出対象物がグラム陽性菌及びアデノウイルスである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫測定法。

請求項10

前記グラム陽性菌が溶血性連鎖球菌である、請求項8又は9に記載の免疫測定法。

請求項11

検体希釈液と、試料滴下部、抗原抽出部、標識物質保持部、検出部を有するクロマトグラフ媒体、及び吸収部を含む免疫クロマトグラフ装置とから構成される、検体中の検出対象物の抗原を、前記抗原に対する結合能を有する検出試薬により検出するための免疫クロマトキットであって、前記検体希釈液及び試料滴下部の少なくともいずれか一方に亜硝酸塩を含有し、抗原抽出部に環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物を含有する、免疫クロマトキット。

請求項12

環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物を、一キットあたり0.1〜100μmol含有する、請求項11に記載の免疫クロマトキット。

請求項13

前記検出試薬が、ウサギ、ヤギ及びマウスから選ばれる一種以上の動物種由来の抗体を含む、請求項11又は12に記載の免疫クロマトキット。

請求項14

前記検体希釈液及び試料滴下部の少なくともいずれか一方に環状オリゴ糖を含有する、請求項11〜13のいずれか1項に記載の免疫クロマトキット。

請求項15

前記抗原が多糖体である、請求項11〜14のいずれか1項に記載の免疫クロマトキット。

請求項16

前記検出対象物がグラム陽性菌である、請求項11〜15のいずれか1項に記載の免疫クロマトキット。

請求項17

前記検出対象物がグラム陽性菌及びアデノウイルスである、請求項11〜15のいずれか1項に記載の免疫クロマトキット。

請求項18

前記グラム陽性菌が溶血性連鎖球菌である、請求項16又は17に記載の免疫クロマトキット。

請求項19

前記標識物質保持部に使用する標識成分として金属ナノ粒子担体を用いる、請求項11〜18のいずれか1項に記載の免疫クロマトキット。

技術分野

0001

本発明は、試料液中被検出物抗原等)、例えばグラム陽性菌、特に、溶血性連鎖球菌を検出するための、更には、グラム陽性菌、特に、溶血性連鎖球菌とウイルス類、特に、アデノウイルスの両方を同時に検出するための簡便な体外診断キットもしくは携帯用診断装置として重要性が高い免疫クロマトキット、それに用いる試薬組成物又は検体処理液および検出方法に関する。特に、溶連菌検査において多糖体の抽出に必要な亜硝酸の調製を特定の試薬組成物を用いることにより、その都度用事調製によることなく検査デバイス上で亜硝酸を簡便に生成させることにより、検査効率および検査精度を向上させた検査方法に関する。

背景技術

0002

近年、イムノクロマトグラフストリップ形式イムノアッセイは、抗体の持つ特異的反応性を利用して、試料液中の被検出物(抗原等)を検出する簡便な体外診断キットもしくは携帯用診断装置として汎用性が高まっている。

0003

特に、最近では、インフルエンザウイルスや細菌といった病原体に対する感染の有無を検査するためのイムノクロマトグラフ法に基づく簡便な検査具についても関心が高まり、研究開発が進められてきた。

0004

溶血性連鎖球菌(以下、「溶連菌」ともいう。)の診断は、群特異的である多糖体を抗原として検査することで行う。多糖体の抽出法としては、酵素ファージ塩酸次亜塩素酸などを用いた方法が知られているが、亜硝酸を用いる抽出法が最も一般的である。

0005

亜硝酸による抽出法は、糖多糖体の高い抽出効率と亜硝酸が低価格で取り扱いが容易である点にメリットがあるが、亜硝酸自体が不安定で分解しやすい化合物であるため、抽出前亜硝酸ナトリウム酢酸などの有機酸と混合し、その都度亜硝酸を調製しなければならない点にデメリットがある。

0006

また、恒常的に診断を行う場合、その都度亜硝酸を調製することは医師検査技師等の大きな負担となる。加えて、混合工程を含むため、試薬の混合間違い等により正しい安全な診断を行えないといった可能性、抽出時間の違いによる測定再現性の低下の問題等もある。

0007

この問題点を克服するために、溶血性連鎖球菌からの多糖抗原を抽出する工程を簡易化するための簡便な検査具についても研究開発が進められてきた。

0008

例えば、特許文献1では、生物(特に、連鎖球菌A群又はB群)からの多糖抗原を抽出する方法において、a.測定量の亜硝酸塩が滲み込ませて乾燥されている第1吸収性物質、b.測定量の中和塩基及び緩衝液が滲み込ませて乾燥されている第2吸収性物質、c.測定量の酸の水溶液、を組み合わせたキットを用いた簡易化した抽出方法が提案されている(特許文献1参照)。

0009

また、連鎖球菌感染の診断に当たっては、まず多糖抗原の抽出工程を行った後に、次いで得られた溶液免疫アッセイ装置と接触させて抗原の検出工程を行うという面倒な処理工程が必要であった。そのため、多糖抗原の抽出工程、及びマーカーの測定工程を含む試料中の生物を簡便に測定検査する方法やその為のキットの開発が課題になっている。

0010

例えば、特許文献2においては、レンサ球菌科などの微生物細菌性生物体に特徴的な炭水化物抗原を検出するための分析装置や方法が開示されている。この側方流動分析装置では、a.サンプル受領ゾーン、b.抽出ゾーン抽出試薬固定化又は吸収して乾燥させた酸および亜硝酸塩)、c.中和剤中和緩衝剤;TRIS)、d.検出ゾーン捕捉検出試薬)を有する基材を含む装置が提供されている(特許文献2参照)。

0011

さらに、連鎖球菌を含む複数の異なる生物を、同時に測定検査する方法やその為のキットの開発もなされている。例えば、特許文献3には、第1の生物がグラム陽性細菌、例えば、A,B,F,又はG群連鎖球菌腸球菌細菌等であり、第2の生物がウイルス類やグラム陰性細菌類等であるような試料中の複数の異なる生物種を測定する方法やキットが記載されている。

0012

これは、1つ以上の容器内に、a.亜硝酸、又は乾燥状態になっている酸及び亜硝酸塩、b.界面活性剤、c.第1の生物から得られる第1のマーカーに結合する第1の結合試薬、d.第2の生物から得られる第2のマーカーに結合する第2の結合試薬、を備えたキットによる複数の検体の同時検出を可能にすることにより、検査効率の倍増患者の検査に伴う苦痛の軽減並びに複数種の原因生物に有効な治療薬を適正に組み合わせて投与することを可能にしている。

0013

ここで亜硝酸塩と組み合わせて用いる酸としては、無機酸(塩化水素酸硫酸等)や有機酸(酢酸、クエン酸)が記載されており、好ましくは有機酸であって、より好ましくは酢酸であり、実施例としては酢酸が用いられている(特許文献3参照)。

0014

溶連菌は多数の血清型を持つため、群特異的な多糖体抗原による検査が一般的である。菌体から多糖体を抽出する方法として、亜硝酸による抽出法が知られている。亜硝酸は不安定な化合物であるため、亜硝酸ナトリウムと有機酸による用事調整が必要となる。

0015

しかし、亜硝酸の調整により検査工程が増える点、また、調整時の手技差や抽出時間の差による測定再現性などの問題点がある。本発明者等は、免疫クロマトキットの2種のサンプルパッドに亜硝酸ナトリウム及びクエン酸を夫々含浸させ、操作の簡略化、測定再現性の向上に成功している。しかしながら、含浸させるクエン酸量を増やすと非特異的な発色が起き、抽出効率に問題があることが分かった。

0016

溶連菌は、年間を通して流行する呼吸器感染症であり、日本だけでなく欧米でも一般的な風邪原因菌として知られている。診断の補助として、簡便、迅速診断が可能なイムノクロマト診断キットが用いられる。(約300万テスト/年市場

0017

レンサ球菌科などの微生物/細菌性生物体に特徴的な炭水化物抗原を検出するための分析装置や方法に関しては、既に上市販売されているものもあって、例えば、イムノクロマト試薬としては、クイックビューDipStick StrepA(DSファーバイオメディカル)やストレップAテストパック・プラスOBC(三和化学研究所)などがあり、また、スライドラテックス凝集法試薬としてはAストレプトAD「生研」(デンカ生研)などが知られている。

0018

イムノクロマト試薬の市販品にあっては、一般的に検体の試験において陽性と判定されるためには、直接法では溶連菌濃度が1×106CFU/mL以上であることが必要とされている。その為、1×106CFU/mL未満の場合には、陽性であるにも拘らず陰性と判定されたり、また、不溶性担体で抗体を標識したイムノクロマトグラフ法検査薬は、一般的にEIAと比較して感度が低い為、陽性の場合に観察されるラインが明瞭でないという問題点があった。さらには、試料液中に被検出物(抗原等)が存在しないにも拘らず、陽性と判定される、所謂、偽陽性が生じるという問題点があった。

0019

かかる問題点を解決するために、展開溶媒に糖または水溶性高分子化合物を存在させる方法等が提案されている。例えば、抗体を結合した着色ラテックス粒子を用いるメンブレンアッセイ法において、ラテックス組成物中に糖類、例えば、単糖類オリゴ糖並びにそれらの糖アルコール多価アルコールといった少なくとも1種の凝集防止剤と、タンパク質を添加すると共に塩基性緩衝剤とを含み、そのpHが9.0〜9.8である免疫測定用ラテックス組成物を用いることにより、ラテックス粒子自然凝集を防止して、比重、粘度、浸透圧の上昇を防いで高感度免疫測定を可能にしている(特許文献4参照。)。

0020

また、最近では、糖尿病の診断に適した指標として広く使用されている血中のヘモグロビンに糖が結合した糖化ヘモグロビン、特にヘモグロビンβ鎖N末端バリン残基糖化されたヘモグロビンA1c(「HbA1c」という。)の粒子イムノクロマト測定法において、(A)赤血球を含有する測定試料を、界面活性剤で処理してヘモグロビンβ鎖のN末端をタンパク質表面に露出させ、(B)得られた試料を水不溶性の状態にある環状多糖類(例えば、メンブレン等に化学結合により固定化。環状多糖類自体がポリマーを形成。多孔性樹脂練りこまれている状態。)と接触させ、次いで、(C)得られた試料を、粒子で標識されたヘモグロビンのN末端を認識する抗体等と接触させて検出する方法が提案されている。

0021

こうすることにより、抗体どうしが凝集してメンブレン上を展開せず、正確な測定ができない原因である、環状多糖類が水と接触した際に、環状多糖類を構成する環状オリゴ糖分子又は環状多糖分子が水に溶解して拡散しない状態になるのを防止している(特許文献5参照。)。

0022

さらに、メンブレンアッセイ法を用いた検体の簡易な検査方法において、感度を保ちながら偽陽性や詰まりを防止できる検体試料ろ過法が提案されている(特許文献6参照。)。

0023

しかしながら、不溶性担体(金属粒子、着色ラテックス粒子等)で抗体を標識したイムノクロマトグラフ法(「粒子イムノクロマトグラフ法」ともいう。)にあっては、測定試料とか測定環境測定条件によっては、依然として該不溶性担体の凝集が起き、非特異反応が起きることがあり、展開速度が遅い等の問題点は解決できない場合がある。そのため、個々の測定試料とか測定環境、測定条件を採用した粒子イムノクロマトグラフ法において、不溶性担体の凝集が起きず、非特異反応が起きることがなく、展開速度が速い検査薬の探求が切望されている。

先行技術

0024

日本国特表平7−503543号公報
日本国特表2008−509384号公報
日本国特表2006−518990号公報(日本国特許第4667874号公報)
日本国特開2007−315883号公報
日本国特開2012−251789号公報
日本国特開2009−36781号公報

発明が解決しようとする課題

0025

本発明の目的および課題は、イムノクロマトグラフ法により、例えば、グラム陽性菌、特に、溶連菌の検査を行うにあたり、溶連菌の細胞表面の細胞壁に含まれている多糖体の抽出を、不安定な化合物である亜硝酸を検査デバイス上で生成させることにより行うことで、検査効率および省力化を向上させることができると共に、不溶性担体の凝集が起きず、非特異反応が起きることがなく、展開速度が速い高感度な免疫測定が可能な免疫測定法、イムノクロマト検出方法および免疫クロマトキット(「イムノクロマトキット」ともいう。)を提供することにある。

0026

また、検体希釈液(「検体処理液」、「展開液」ともいう。)を改良することによって、従来技術に比して、展開系中の陰性検体での発色が低下し、陽性検体での発色が向上した.即ち、特定の複素環化合物と亜硝酸塩との接触反応により、検査精度(以下「S/N比」ともいう。)が高い、高感度なイムノクロマトグラフ用検査薬を提供することが出来るという課題を解決することができたものである。

0027

また、本発明の目的は、イムノクロマトグラフ法により細菌検査又は細菌とウイルスの両方の同時検査を行うにあたり、抽出剤を改良することによって、検体中もしくは検査デバイス中に存在するタンパク成分が展開検査中に変性析出沈殿)を起こすことなく、高感度かつ展開速度の速いイムノクロマトグラフ用検査薬を提供することにある。

0028

さらに、本発明の目的は、イムノクロマトグラフ法により細菌検査又は細菌とウイルスの両方の同時検査を行うにあたり、免疫クロマトキットの貼り合わせる部位の構成を改良することによって、従来技術に比して、迅速かつ高精度に試料(例えば、呼吸器疾患患者から採取される検体、特に、咽頭拭い液、唾液鼻汁鼻腔拭い液または等)中の微生物若しくは微生物に由来する抗原又は抗体等(例えば、グラム陽性菌、特に溶血性連鎖球菌等々の細菌)を、検査デバイス上で亜硝酸を生成させて抽出を行うことにより、検査効率、検査精度および省力化を向上させることができる免疫測定用試薬、免疫測定法、イムノクロマト検出方法および免疫クロマトキットを提供することにある。

0029

さらに詳しくは、本発明の目的は、呼吸器感染症の原因菌であるA群β溶血性連鎖球菌又はA群β溶血性連鎖球菌とアデノウイルスの両方の同時検査の迅速診断ができる簡便且つS/N比が高い高感度なイムノクロマトグラフ用試料抽出液(以下、「試料希釈液」ともいう。)、イムノクロマトグラフ用試薬、それを用いた免疫クロマトキットおよび検査方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0030

本発明者等は、亜硝酸塩と、環状エステル環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物とを検査デバイス内に含浸させることにより、簡便な操作性かつ高い検出感度特異性を有する免疫測定法、免疫クロマトキットを初めて実現したものである。

0031

本発明者等は、イムノクロマトグラフ法検査薬で細菌検査、又は細菌とウイルスの両方の同時検査をするために、使用する検体希釈液中に亜硝酸塩を含有させることにより、もしくは、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物を保持する試薬保持部の試料展開方向上流に位置する他の試薬保持部に亜硝酸塩を含有させることとした。

0032

これにより、検体希釈液である展開液が検査デバイス中に保持されている環状エステル、環状アミドおよび環状イミドのいずれかの骨格を有する複素環化合物の範疇に属する各種化合物類は、並存する各種有機化合物の影響や生成してくる亜硝酸によってpH条件が変化しても、検体または検査デバイス中のタンパク成分等が変性・析出して、検出部に引掛かる。そのため、非特異的な反応を誘発することがなく、かつ、抗体固定金属粒子の凝集を起こすことがない、検査精度(S/N比)が高い展開速度の速い検査薬を提供することができることを知見したものである。

0033

本発明の検出系は、環状オリゴ糖の存在下で実施することで、試薬成分として環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物の存在下であり、かつ亜硝酸が発生するような展開/抽出条件下でも、抽出液および検体中の若しくは検査デバイス中のタンパク成分等を析出させることなく検査できる免疫測定用試薬、免疫測定方法および免疫クロマトキットなどを提供するものである。

0034

本発明は、上記課題を解決する具体的な手段として、下記の(1)〜(19)に示す、イムノクロマトグラフ法に使用する検体処理液、免疫測定用試薬、免疫測定法、イムノクロマト検出方法、免疫クロマトキット、およびそれを使用するイムノクロマトグラフ法により達成することができたものである。
本発明の免疫測定法としては、次のような特徴を有する。
(1)本発明の第1の特徴は、検体中の検出対象物の抗原を抽出剤により抽出して、前記抗原に対する結合能を有する検出試薬により前記検出対象物を検出する免疫測定法において、前記抽出剤が、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物と亜硝酸塩との接触反応により前記検査デバイス上で生成される亜硝酸である免疫測定法、にある。
(2)本発明の第2の特徴は、環状エステルの骨格を有する複素環化合物が、酸素原子を1〜2個有する5員環の化合物であることを特徴とする免疫測定法、にある。
(3)本発明の第3の特徴は、環状アミドの骨格を有する複素環化合物、および環状イミドの骨格を有する複素環化合物が、N原子を1〜3個有する5員環または6員環の化合物である免疫測定法、にある。
(4)本発明の第4の特徴は、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物を、一測定あたり0.1〜100μmol用いる免疫測定法、にある。
(5)本発明の第5の特徴は、検出試薬が、少なくともウサギヤギおよびマウスから選ばれる一種以上の動物種由来の抗体を含む免疫測定法、にある。
(6)本発明の第6の特徴は、環状オリゴ糖の存在下に測定を行う免疫測定法、にある。

0035

(7)本発明の第7の特徴は、抗原が、多糖体である免疫測定法、にある。
(8)本発明の第8の特徴は、検出対象物がグラム陽性菌である免疫測定法、にある。
(9)本発明の第9の特徴は、検出対象物が、グラム陽性菌及びアデノウイルスである免疫測定法、にある。
(10)本発明の第10の特徴は、グラム陽性菌が溶血性連鎖球菌である免疫測定法、にある。

0036

本発明の免疫クロマトキットとしては、次のような特徴を有する。
(11)本発明の第11の特徴は、検体希釈液と、試料滴下部、抗原抽出部、標識物質保持部、検出部を有するクロマトグラフ媒体、及び吸収部を含む免疫クロマトグラフ装置とから構成される、検体中の検出対象物の抗原を、前記抗原に対する結合能を有する検出試薬により検出するための免疫クロマトキットであって、前記検体希釈液及び試料滴下部の少なくともいずれか一方に亜硝酸塩を含有し、抗原抽出部に環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物を含有する免疫クロマトキット、にある。
(12)本発明の第12の特徴は、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物を、一キットあたり0.1〜100μmol含有する免疫クロマトキット、にある。
(13)本発明の第13の特徴は、検出試薬が、ウサギ、ヤギおよびマウスから選ばれる一種以上の動物種由来の抗体を含む免疫クロマトキット、にある。
(14)本発明の第14の特徴は、前記検体希釈液及び試料滴下部の少なくともいずれか一方に環状オリゴ糖を含有する免疫クロマトキット、にある。

0037

(15)本発明の第15の特徴は、抗原が、多糖体である免疫クロマトキット、にある。
(16)本発明の第16の特徴は、検出対象物が、グラム陽性菌である免疫クロマトキット、にある。
(17)本発明の第17の特徴は、検出対象物が、グラム陽性菌及びアデノウイルスである免疫クロマトキット、にある。
(18)本発明の第18の特徴は、グラム陽性菌が、溶血性連鎖球菌である免疫クロマトキット、にある。

0038

(19)本発明の第19の特徴は、標識物質保持部に使用する標識成分として、金属ナノ粒子担体を用いる免疫クロマトキット、にある。
本発明は以上のような特徴点を備えることにより、課題を達成することができたものである。

発明の効果

0039

本発明では、予め測定量の亜硝酸化合物と、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物との接触混合時に生成する亜硝酸を用いて、グラム陽性菌、特に、溶連菌(A群〜V群)の菌体の表面細胞壁に存在する、群特異的である多糖体を抽出し、その多糖体を抗原として検査を行なうものである。そのため、試薬の混合間違いやその都度亜硝酸を調整する必要がないという簡便且つ汎用性のある検査キットおよび検査方法を提供できる。

0040

即ち、その検査の都度に、亜硝酸塩を酸性溶液と反応させる亜硝酸生成工程を設けるという煩雑な用時調製をすることなく、検査デバイス上で亜硝酸を生成させることにより検査の煩雑を省略し、検査効率および検査精度を向上させた検査方法を達成することができる。

0041

さらに、本発明の免疫クロマトキットを用いた溶連菌の検出系では、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物を用いることにより、抽出液および検体中のタンパク成分を抽出/展開条件下であっても析出させることがなく、高感度かつ迅速に検査できるものである。
即ち、本発明では、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物を含有するイムノクロマトグラフ用試料抽出液(「検体希釈液」ともいう。)を使用することにより、展開中にタンパク質の析出を生じることなく、且つ抗体固定金属粒子の凝集を起こすことなく、正確に且つ、展開速度の速い検査薬を提供することができるものである。

0042

また、本発明では、予め測定量の亜硝酸化合物と、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物との接触混合時に生成する亜硝酸を用いて、グラム陽性菌、特に、溶連菌(A群〜V群)の菌体の表面細胞壁に存在する、群特異的である多糖体を抽出すると共に、アデノウイルスに存在するタンパク質を抽出することによりグラム陽性菌とアデノウイルス(「Adv」と略す。)のそれぞれから得られる抗原を、テストライン上に固定化されたそれぞれの抗体と結合した標識を用いて同時検査可能なキットを提供することができる。

0043

さらにまた、本発明では、他の試薬保持部〔2〕に環状オリゴ糖を含有することによって、例えば、呼吸器疾患患者から採取される検体(特に、咽頭拭い液、唾液、鼻汁、鼻腔拭い液または痰等)である試料中の抗原(例えば、グラム陽性菌、特に、溶連菌等々の細菌、ウイルス)を、試薬保持部に、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物といった有機化合物が保持され、かつ、亜硝酸を生成するような条件下であっても変性や沈殿を起こすことなく、迅速、簡便および高感度に、結果の判定が可能である、というような作用効果を奏する。

図面の簡単な説明

0044

図1(a)及び図1(b)は本発明における免疫クロマトグラフ装置を示す図である。図1(a)は免疫クロマトグラフ装置の立体斜視図を示し、図1(b)は免疫クロマトグラフ装置の平面図を示す。

0045

以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の実施形態は、各種検体中の被検出物質である検出対象物の抗原に、各種の標識をつけた、該抗原に対する結合能を有する検出試薬(抗体)を反応させるという抗原−抗体反応により複合体を形成させ、それを各種の検出手段により確認するという、免疫測定法またはそれを応用した検出法に基づくものである。抗原と最も特異的に反応して結合する抗体としては、それと特異的に結合する、例えばモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体若しくはその他の公知の抗体を任意に使用することができる。
以下、本発明の免疫測定法を、クロマトグラフ媒体を用いたイムノクロマトグラフ法により説明を行うことがあるが、本発明はイムノクロマトグラフ法に限定されるものではない。

0046

標識としては、酵素、発色物質蛍光物質、または放射性物質などを任意に使用することができるが、操作が簡単で、検定時間も短くするという、イムノクロマトグラフ法の特色を出す為や、抗体、抗原の種類を考慮して決めればよい。
また、検出手段は、操作が簡単で、比較的短時間で判定できると言う、イムノクロマトグラフ法の特色を表すためには、目視判定で、正確に判定できると言う性能を有することを特徴とするが、時間、精度などが要求される場合には、分光光度検出、放射線検出など、各種の検出手段を付帯させて、検出することができる。

0047

本発明の免疫測定法に使用可能な検体希釈液(「検体処理液」ともいう。)、免疫測定用試薬、免疫測定法、イムノクロマト検出方法、免疫クロマトキットを実施するための最良の形態を順次説明をする。

0048

本発明における免疫測定用試薬とは、免疫測定に際して使用する試薬であって、検体希釈液(「検体処理液」、「検体抽出液」ともいう。)中に含有させて用いるか、及び/又は、試料滴下部〔2〕(「試薬保持部〔2〕」ともいう。)に含有保持させて用いる試薬である。しかし、これに加えて試薬保持部〔3〕(「抗原抽出部」〔3〕ともいう。)、標識物質保持部〔4〕、及びクロマトグラフ媒体(1〕におけるこれらの1以上の部位に含有保持させても構わない。この試薬を検体希釈液中に、もしくは試料滴下部〔2〕に含有させた場合には、試薬保持部〔3〕(抗原抽出部)、標識物質保持部〔4〕、クロマトグラフ媒体〔1〕、および吸収部〔5〕へと順次移動および展開する性質を備えたものである。

0049

本発明における免疫測定用試薬としては、検体希釈液および試薬保持部〔2〕の少なくともいずれか一方に亜硝酸化合物を単独にまたは同時に含有させるものである。さらに、検体希釈液および試薬保持部〔2〕の少なくともいずれか一方に亜硝酸化合物および環状オリゴ糖のそれぞれを単独にまたは同時に含有させるものである。例えば、その実施態様としては次のようなものが挙げられる。

0050

本発明における亜硝酸化合物(「亜化」と略記する。)を、さらには環状オリゴ糖(「環オ」と略記する。)を含有する成分および構成部位に関する態様を詳細に具体的に例示すれば、以下のような態様が例示できる。検体希釈液(検体処理液)〔6〕;試料滴下部〔2〕(試薬保持部〔2〕)にそれぞれ亜化、亜化及び/又は環オの化合物を含有する可能な各実施態様パターン)を例示する。

0051

パターン検体希釈液(検体処理液)〔6〕試料滴下部〔2〕
1 亜化 無
2 無 亜化
3 亜化 亜化
4 無 亜化・環オ
5 亜化 環オ
6 環オ 亜化
7 亜化・環オ 無
8 亜化・環オ 亜化・環オ
9 亜化・環オ 亜化
10 亜化 亜化・環オ
11 環オ 亜化・環オ
12 亜化・環オ 環オ

0052

以上のような実施態様(パターン)に従って、本発明は実施できる。
なお、この試料滴下部〔2〕(試薬保持部〔2〕)の試薬状態は、溶液状のものや、凍結乾燥などにより滴下パッドに保持された状態のものを包含する。

0053

本発明で用いる環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物について説明すると、特にその使用量としては、一測定(一キット)あたり通常0.05〜100μmolの範囲であり、0.1〜100μmol用いることが好ましく、0.1〜50μmol用いることがより好ましく、0.1〜30μmol用いることがさらに好ましく、最適には1〜15μmolの範囲で用いられる。

0054

亜硝酸を効率的に発生させる為には、亜硝酸塩に対して触媒量ないし少量の環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物を加えるのが合理的である。しかし、亜硝酸の発生状況を考慮して、あるいは亜硝酸の塩部分の種類に応じて、上記複素環化合物0.05〜100μmolに対して、亜硝酸塩は通常1μmol以上500μmol以下、好ましくは5〜200μmol、より好ましくは10〜100μmolというような、範囲の値で任意に調整できる。

0055

特に、亜硝酸は、遊離酸の状態では高濃度になるにつれて自己酸化還元反応誘起するために、通常は低濃度で使用するか、または低温で亜硝酸塩を酸性にして製造されている。しかし、本発明では環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物を触媒量ないし少量で使用することにより、例えばクエン酸、酢酸などの有機酸を使用した場合に比較して、常温であっても反応が穏やか且つ均一に理想的に進行して、均一な所定の濃度に亜硝酸が発生する。

0056

このことから、非特異的な発色の抑制、金属粒子の分散性や安定性が確保されて、結果的にS/N比が向上し、目視判定も容易になるという有利な結果が期待されるのである。勿論、触媒量ないし少量といった量ではなく過剰に用いても何ら差支えないが、費用対効果が期待できず無駄となる。

0057

本発明で使用する環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物の亜硝酸塩に対する具体的な作用機序は定かではないが、これらの複素環化合物は、亜硝酸塩が展開抽出液若しくは検体希釈液に含有されている水に溶解して亜硝酸と塩基に分解するのを促進する触媒的な役割を果たすものと推察される。

0058

本発明における亜硝酸塩とは、特定の有機化合物と接触して速やかに亜硝酸を生成するものであって、検査デバイス上において検査に悪影響が及ばないものであれば特に制限されない。例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム亜硝酸カルシウム、亜硝酸マグネシウム亜硝酸銀亜硝酸亜鉛等が挙げられ、これらの混合物を用いてもよい。好ましくは、亜硝酸のアルカリ金属塩が好ましく、亜硝酸ナトリウムが最も好ましい。

0059

この免疫測定用試薬中に含有する亜硝酸塩の含有量は、1〜500μmol/試験であり、好ましくは5〜200μmol/試験であり、より好ましくは10〜100μmol/試験である。亜硝酸根(NO2−)は、加工食品中にも通常約0.5〜4μg/g程度と若干含まれる場合があり、これは遊離酸の状態では、不安定であり分解しやすいという傾向があるが、本発明の免疫測定法では、測定現場で亜硝酸を発生させ、短時間に検査するシステムであるから、非常に有利に亜硝酸の機能を発現できる。

0060

亜硝酸塩の含有量が、1μmol/試験未満という低い値になれば、亜硝酸の発生が低下するために、検査精度(S/N比)が低く、判定時間が延びて、検査効率が低下する傾向を示す。一方、500μmol/試験超と大きくなれば、亜硝酸自体の発生が高濃度になるため、亜硝酸の自己酸化還元反応の問題および展開速度の影響も考慮しなければならず、結局、取り扱い、S/N比、検査時間などにおいて好ましくない傾向を示す。

0061

また、本発明における免疫測定用試薬に使用する、特に検体希釈液及び試料滴下部の少なくともいずれか一方に使用する、環状オリゴ糖については、通常、免疫クロマトキットの1キット当り含有量が0〜20μmol、好ましくは、0.1〜5μmol、より好ましくは0.5〜2μmol/試験である。

0062

環状オリゴ糖を使用しなくても検査に何ら支障はないが、使用した方がS/N比が高くなる傾向を示す。しかし、20μmol/試験超という、比較的高い含有量にしても、それに準じてS/N比が高くなるというような傾向は示さないので、0.1〜5μmol程度の適量で実施することが推奨される。

0063

本発明で使用する環状オリゴ糖としては、D−グルコースおよび/またはその誘導体がα(1→4)グルコシド結合により環状につながった構造を有するオリゴ糖であれば特に限定されるものではない。

0064

具体的には、シクロデキストリン類、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよび、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンスルホアルキル化シクロデキストリン、モノクロロトリアジニルシクロデキストリン、クラスターシクロデキストリン、修飾クラスターシクロデキストリン、などの(α−、β−又はγ−)シクロデキストリン誘導体や、約20〜50個のグルコースが環状に結合したシクロアミロースラウリル化シクロアミロース、シクロアミロースの派生産物である水溶性キシラン、などの環状グルカンを挙げることができる。これらシクロデキストリン類や環状グルカンの混合物を使用してもよい。

0065

中でも、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンから選ばれる少なくとも1種が好ましい(日本国特開2012−188573号公報、日本国特開2012−251789号公報を参照。)

0066

環状オリゴ糖類は、一般に、その環状構造の外部が親水性を示し、その環状構造の内部が疎水性親油性)を示すという特異的な構造を有している。上記の特異的な構造に由来して、環状オリゴ糖類は環状構造の内径より小さい親油性分子包みこむように取り込み、複合化することができる。また前記環状構造の内径より大きい分子であっても、環状構造の内径より小さい親油性部分があれば、その部分が環状オリゴ糖類内部に取り込まれ、複合化することが知られている。

0067

本発明では、有機化合物分子中の親油性部位である炭化水素官能基が環状オリゴ糖内に取り込まれ、試料中の被検出物質や他の生体物質由来のたんぱく質成分、あるいは免疫クロマトキット中の添加剤などに含まれるたんぱく質成分と、有機化合物との複合体形成を抑制し、その複合体形成に起因する非特異的な反応や複合体の析出による展開速度の低下や展開しない等の展開不良を抑制することができる。
本発明における免疫測定用試薬に存在する環状オリゴ糖がα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよびそれらの誘導体であることが特に好ましい。

0068

本発明における検体(検査試料)としては、厚いペプチドグリカン層を有するグラム陽性菌を含む試料において好ましく用いられる。例えば、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌かん菌、たんそ菌、セレウス菌ジフテリア菌リステリア破傷風菌ボツリヌス菌ウェルシュ菌などが挙げられる。本発明の免疫クロマトキットは、中でも球菌類であるブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌を含む試料でより好ましく用いられ、最適には連鎖球菌で用いられる。

0069

グラム陽性菌を含む試料は、唾液、鼻汁、鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、痰、咽頭拭い液、肺胞洗浄液直腸拭い液、便懸濁液、尿、羊水等々といった生体試料のみならず、食品抽出液上水、下廃水培養液等々といった試料であることができ、特に限定されるものではない。これらの検体中に含まれ、原因となる菌がグラム陽性菌、特に、溶連菌を含む場合に有用である。特に本発明の免疫クロマトキットにおける検出対象物のグラム陽性菌とは、溶血性連鎖球菌である。亜硝酸塩と環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物との反応により生成される抽出剤を用いることを特徴とする本発明における検出系では、生成する抽出剤の亜硝酸によって、細菌に特異な抗原多糖体が抽出されるような細菌であれば適用可能である。

0070

本発明における検査試料としては、グラム陽性菌、特に溶連菌といった細菌のみならずウイルスといった異なる微生物を含む試料においても好ましく適用できる。ウイルスとしては、例えば、アデノウイルス、インフルエンザウイルス(A、BまたはC型)、ライノウイルスコロナウイルスヘルペスウイルスパピローマウイルス等々が挙げられる。

0071

本発明においては、同じ試料(鼻汁、咽頭拭い液等)から同一の抽出剤を用いてそれぞれの抗原(多糖抗原、タンパク質抗原)を取得することが可能であるところから、従来困難であった、特に、アデノウイルスと溶連菌とを組み合わせた同時検査キットの開発を達成したものである。

0072

本発明の免疫測定法によれば、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物、あるいは検出系中で生成する亜硝酸による、鼻汁などの検体に含まれる高粘性タンパク質や検査デバイス中に存在するタンパク等の変性・析出が抑制され、クロマト材の孔の目詰まりによる展開速度の低下を生じず、更に、高粘性タンパク質などによる粘度の増大も抑制するため、感度の低下を伴わず高速の展開が可能となり迅速な検体検出を可能とする。

0073

この免疫測定法の特徴は、抽出剤(抽出試薬)が、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物と亜硝酸塩の反応により、検査デバイス上で、特に有機化合物含有抗原抽出部(試薬保持部〔3〕)において生成される亜硝酸であることである。また、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物と共に下記の非イオン性界面活性剤を保持することにより免疫測定法を実施することが好ましい。

0074

そして、この抽出剤(抽出試薬)は環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物と亜硝酸塩との接触反応により生成される亜硝酸であって、下記の理由により、その抽出pHが6.8〜7であることが好ましい。

0075

そのイムノクロマトグラフ法による溶連菌の検出においては、菌体表面に存在する群特異的である多糖体を抗原とするのが一般的である。抗原抽出にあたっては、亜硝酸による抽出が、各種酵素を含む抽出液に比べて格段に抽出効率が高いが、展開中に試薬保持部に保持されている酸や亜硝酸の生成に起因してpH条件が酸性となった場合に問題が生じる。即ち、イムノクロマトグラフ検出系中に存在する、例えば、カゼイン等々といったタンパク質、またはその塩や検体中に含まれる高粘性タンパク質などが析出してくるといった問題点が生じる。

0076

そこで、本発明は、共通抽出液[1)酵素、2)添加塩、3)界面活性剤、4)イオン液体、5)(亜硝酸生成)触媒、6)亜硝酸]の仕様の抽出液で、1)酵素の挙動に着目して、多面的に検討した結果、やはり、1)〜5)の抽出液系では、6)亜硝酸に比べて、抗原抽出効率が低いことを確認することができた。このため、抗原抽出の為には、亜硝酸が必要であり、亜硝酸は、酸性条件で生成するが、酸性条件では共通抽出液中のタンパク質のカゼインが析出するために、併用が非常に難しい。そこで、本発明はカゼインが析出しない程度の酸性条件で亜硝酸を生成する条件を模索した。

0077

[共通抽出液と亜硝酸併用系の挙動]
pH 6 6.5 6.8 7 8
気泡(亜硝酸) 有 有 やや有 無 無
沈殿(カゼイン) 有 やや有 無 無 無

0078

この解析結果から、亜硝酸と共通抽出液との併用可能な条件を、pH=6.5〜7程度にすれば、対応できることが判明した。このように、本発明は、抗原抽出効率の向上の為に、共通抽出液の面からの対策と、以下に示す、キットの構成の面という、両面からの改良を検討したものである。

0079

これらの問題点について更なる検討、研究を重ねた結果、本発明にあっては、亜硝酸が生成するpH条件であって、かつ、カゼイン等々といったタンパク質や検体中に含まれる高粘性タンパク質などが析出してこないpH条件としては、pHが7.0未満〜6.5、好ましくは7.0未満〜6.6、最も好ましくは7.0未満〜6.8である。

0080

pH条件が7以上では亜硝酸生成が少なく、抗原の抽出効率が低いため、検出感度が低くなる。逆に、亜硝酸生成によるpH条件が6.5未満の酸性条件では抗原の抽出効率は良いが、カゼイン等々といったタンパク質や検体中に含まれる高粘性タンパク質などが析出してくるため、検出ができなくなる。

0081

本発明の免疫クロマトキットは、亜硝酸を生成するために中性から弱酸性条件で検体を展開する設計になっている。また、他の呼吸器感染症で既に使用されている抽出液での検査を行なえる設計となっている。

0082

しかし、抽出液に含まれる成分(カゼイン)が弱酸性条件で析出してしまうため、展開が不均一になるという問題があり、この問題を解決するために、本発明者等は、種々の化合物を加えて、成分の析出を抑える検討を行った。その結果、検出系中に、例えば、亜硝酸塩含有部中にあるいは検体希釈液中に、環状オリゴ糖を含有させることで、成分の析出を抑えることができ、展開の均一性を向上させることができる。

0083

本発明を適正に実施する為に、本発明では、亜硝酸を生成する条件として、中性から弱酸性条件(pH=6.8)で展開することが好ましいことを確認することができたが、これは呼吸器感染症で既に使用されている抽出液での検査にも対応できる設計条件である。

0084

しかし、抽出液に含まれる成分(カゼイン)は、弱酸性条件では、析出してしまうために、展開が不均一になる問題を抱えている。この成分の析出を抑える為に、種々の化合物を加えて、成分の析出を抑えることを検討した結果、シクロデキシトリン(CD)として、特に、代表的なβ−シクロデキシトリン(β−CD)を含有することで成分の析出を抑えることができ、展開の均一性が向上することを知見したものであり、その傾向を以下に示す。注.BSA:牛血清アルブミン、PEG;ポリエチレングリコール(PEG20000)、TH;トレハロースを示す。

0085

無添加BSA PEG TH β−CD
[展開均一性]やや不均一 不均一 不均一 やや不均一 均一

0086

これらの傾向は、環状オリゴ糖に包含される各種のCDに於いて、同様の傾向を示すことを確認することができる。

0087

本発明に使用する抗原抽出液、即ち、試料抽出液(検体希釈液)や展開抽出液としての役割を果たすものである該抽出液の共通成分としては、亜硝酸化合物(亜硝酸塩等)、中和塩基(水酸化ナトリウム等々)又は緩衝液(TRIS、等々)を含有させることができる。

0088

その他に、生物学的親和性に基づく副反応を抑制したり、疎水結合電気相互作用打ち消す効果のある物質、例えば界面活性剤、アンモニウム塩、環状オリゴ糖などの糖類、pH緩衝剤、さらに非特異反応を抑制するために種々の添加剤、例えば、抗原抗体反応の促進あるいは非特異反応の抑制のための蛋白質高分子化合物等々を含有させることができる。

0089

この環状オリゴ糖の範疇に属する各種化合物の展開液に与える影響およびその挙動については、本発明者らが既に解析を行って検証済である。(日本国特開2015−034719号公報参照)

0090

抽出液系に使用する化合物としては、亜硝酸化合物と接触して亜硝酸を生成するものであって、検査デバイス中において存在するタンパク等を変性・析出させない環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物であればよい。

0091

好ましくは、5員環または6員環の環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物が用いられる。より好ましくは、5員環または6員環の環状エステルおよび環状イミドの少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物が用いられる。

0092

5員環または6員環の環状エステル骨格を有する複素環化合物としては、例えば、アスコルビン酸(A1)、エリソルビン酸デヒドロ酢酸エチレンカーボネート、2−O−(α−D−グルコピラノシル)−L−アスコルビン酸、2,3,7,8−テトラヒドロキシ[1]ベンゾピラノ[5,4,3−cde][1]ベンゾピラン−5,10−ジオン二水和物(A3)等々が挙げられる。

0093

なかでもアスコルビン酸、2−O−(α−D−グルコピラノシル)−L−アスコルビン酸(A2)、2,3,7,8−テトラヒドロキシ[1]ベンゾピラノ[5,4,3−cde][1]ベンゾピラン−5,10−ジオン二水和物が、最も好ましい。

0094

環状エステルの骨格を有する複素環化合物うち、好ましくは、酸素原子を1〜2個有する5員環の化合物である。

0095

5員環または6員環の環状エステル骨格を有する複素環化合物の代表的なものの化学構造式を示すと以下のとおりのものが例示できる。

0096

5員環または6員環の環状アミド骨格を有する複素環化合物としては、例えば、γ−ブチロラクタム(B1)、N−ヒドロキシ−γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム(B2)、N−ヒドロキシ−δ−バレロラクタム及びそのヒドロキシル基保護基アシル基スルホニル基サルフェート基ホスフェート基等々)を導入した化合物等々が挙げられる。

0097

環状アミドの骨格を有する複素環化合物、及び環状イミドの骨格を有する複素環化合物は、N原子を1〜3個有する5員環または6員環の化合物であることが好ましい。

0098

5員環または6員環の環状アミド骨格を有する複素環化合物の代表的なものの化学構造式を示すと以下のとおりのものが例示できる。

0099

0100

5員環または6員環の環状アミドおよび環状イミドの骨格を有する複素環化合物のうち、5員環の環状イミド骨格を有する複素環化合物としては、複素原子としてNを1個有する複素環化合物である。例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド(C1)、N−アセトキシスクシンイミド炭酸N,N'−ジスクシンイミジル、N−カルボベンゾキシオキシスクシンイミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド及びそのヒドロキシル基に保護基(アシル基、スルホニル基、サルフェート基、ホスフェート基等々)を導入した化合物、フタル酸イミド(C2)、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−アセチルフタル酸イミド(C4)、N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フタル酸イミド(C5)、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N'−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミド及びそのヒドロキシル基に保護基(上に同じ)を導入した化合物、N−メチルマレイミド、N−メトキシカルボニルマレイミド、N−マレイミド酪酸及びそのメチル基に保護基(アシル基、スルホニル基、サルフェート基、ホスフェート基等々)を導入した化合物等々が挙げられるが、なかでもN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−アセトキシスクシンイミド(C6)、炭酸N,N'−ジスクシンイミジル(C3)、N−カルボベンゾキシオキシスクシンイミド、フタルイミド、N−アセチルフタルイミド、N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フタルイミドが、最も好ましいとされ、N−アセトキシスクシンイミド(C6)、炭酸N,N'−ジスクシンイミジル(C3)が最適である。

0101

複素原子としてNを1個有する5員環の環状イミド骨格を有する複素環化合物の代表的なものの化学構造式を示すと以下のとおりのものが例示できる。

0102

複素原子としてNを2個有する5員環の環状イミド骨格を有する複素環化合物としては、ヒダントイン骨格を有する化合物である、例えば、ヒダントイン(D1)、3−ヒドロキシヒダントイン、1,3−ジヒドロキシヒダントイン、3−ヒドロキシ−1−メチルヒダントイン、及びそれらのヒドロキシル基に保護基(上に同じ)を導入した化合物等々が挙げられるが、なかでもヒダントインが、最も好ましく用いられる。

0103

複素原子としてNを2個有する5員環の環状イミド骨格を有する複素環化合物の代表的なものの化学構造式を示すと以下のとおりのものが例示できる。

0104

0105

複素原子としてNを3個有する5員環の環状イミド骨格を有する複素環化合物としては、1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン(E1)、4−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン、及びそのヒドロキシル基に保護基(アシル基、スルホニル基、サルフェート基、ホスフェート基等々)を導入した化合物等々が挙げられる。複素原子としてNを3個有する5員環の環状イミド骨格を有する複素環化合物の代表的なものの化学構造式を示すと以下のとおりのものが例示できる。

0106

0107

6員環の環状イミド骨格を有する複素環化合物としては、複素原子としてNを1個有する化合物である、例えば、グルタルイミド(F1)、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシナフタル酸イミド、N,N'−ジヒドロキシ−1,8,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシ−1,8−デカリンジカルボン酸イミド、N,N'−ジヒドロキシ−1,8,4,5−デカリンテトラカルボン酸ジイミド及びそのヒドロキシル基に保護基(アシル基、スルホニル基、サルフェート基、ホスフェート基等々)を導入した化合物等々が挙げられる。なかでもグルタルイミドが、最も好ましい。その代表的なものの化学構造式を示すと以下のとおりのものが例示できる。

0108

0109

複素原子としてNを2個有する6員環の環状イミド骨格を有する複素環化合物としては、例えば、ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン(G1)、ヘキサヒドロ−3−ヒドロキシ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、ヘキサヒドロ−1,3−ジヒドロキシ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオンウラシル、3−ヒドロキシ−ウラシル、及びそのヒドロキシル基に保護基(アシル基、スルホニル基、サルフェート基、ホスフェート基等々)を導入した化合物等々が挙げられる。その代表的なものの化学構造式を示すと以下のとおりのものが例示できる。

0110

複素原子としてNを3個有する6員環の環状イミド骨格を有する複素環化合物としては、例えば、ヘキサヒドロ−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン(H2)、ヘキサヒドロ−4−ヒドロキシ−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン、及びそのヒドロキシル基に保護基(アシル基、スルホニル基、サルフェート基、ホスフェート基等々)を導入した化合物等々が挙げられ、また、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン(H1)、ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリヒドロキシ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、及びそのヒドロキシル基に保護基(アシル基、スルホニル基、サルフェート基、ホスフェート基等々)を導入した化合物等々が挙げられる。その代表的なものの化学構造式を示すと以下のとおりのものが例示できる。

0111

0112

複素原子としてNを4個有する6員環の環状イミド骨格を有する複素環化合物としては、例えば、ヘキサヒドロ−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン(I1)、ヘキサヒドロ−5−ヒドロキシ−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン、及びそのヒドロキシル基に保護基(アシル基、スルホニル基、サルフェート基、ホスフェート基等々)を導入した化合物等々が挙げられる。その代表的なものの化学構造式を示すと以下のとおりのものが例示できる。

0113

0114

本発明者等は、免疫クロマトキットの2種のサンプルパッドに亜硝酸ナトリウム及びクエン酸を夫々含浸させて研究を行なった結果、操作の簡略化、測定再現性の向上が達成できたが、含浸させるクエン酸量を増やすと非特異的な発色が起きて、抽出効率に問題があることを知見した。この問題を解決するため、まず抗体固定化金コロイド、亜硝酸ナトリウムと種々の有機酸または有機化合物を混合して金ナノ粒子分散液を製造して、亜硝酸の生成度合及び粒子の分散性について目視評価を行った。その結果を[表1]に示す。

0115

亜硝酸ガス生成度合いを目視評価すると以下のとおりに、判別できる。
− ;目視判定では発生が確認できない。
+ ;やや発生が確認できる。
++ ;明瞭に発生が確認できる。
+++ ;多く発生していることが確認できる。

0116

0117

[表1]の結果から明らかなように、クエン酸などの主な有機酸が一定量以上存在した場合、過剰分の有機酸が金コロイドに吸着する為か、その作用機序は明らかではないが、凝集を起こすことが分かった。なかでも、クエン酸はヒドロキシル基を1個有する弱酸であるがカルボキシル基を3個有しているため、亜硝酸ガスを多く発生させる利点もある反面で、金属イオンキレート錯体を作る性質を有することが知られているところから、その性質に基因して金コロイドと錯体を作って凝集を起こすとも考えられる。

0118

いずれにせよアスコルビン酸は他の有機酸と比べて、亜硝酸を生成した後も金コロイドを凝集させにくいことが分かった。併せて、N−ヒドロキシコハク酸イミドにあっても、アスコルビン酸程ではないにしても他の有機酸と比べると、亜硝酸を生成した後も金コロイドをわずかに凝集させる程度であって、凝集させにくいことが分かった。

0119

上記結果を踏まえ、亜硝酸ナトリウムを試料滴下部〔2〕に、クエン酸およびアスコルビン酸を試薬保持部〔3〕に夫々含浸させて、溶連菌検査用の免疫クロマトキットを試作した。試作したキットを用いて、陰性検体(抽出液)、陽性検体(不活化抗原2×106 org/mL)を検査し、滴下5分後のテストラインの目視評価を行った。その結果を[表2]に示す。

0120

0121

[表2]の結果から明らかなように、アスコルビン酸を用いた方が、クエン酸を用いた系よりもテストラインが濃く発色した。

0122

本発明における有機化合物含有抗原抽出部(試薬保持部〔3〕)に保持させる抽出液系に使用する有機化合物としては、亜硝酸塩と接触反応して亜硝酸を生成するものであって、検査デバイス中において存在するタンパク等を変性・析出させない環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物である。

0123

環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物と亜硝酸塩の使用割合は、モル比で0.05〜100:1〜500の範囲である。

0124

環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物は、一測定(一キット)あたり0.1〜100μmol用いることが好ましく、0.1〜50μmol用いることがより好ましく、0.1〜30μmol用いることがさらに好ましく、最適には1〜15μmolの範囲で用いられる。亜硝酸塩は、一測定(一キット)あたり10〜100μmol用いることが最も好ましい。

0125

本発明で環状オリゴ糖を使用する場合は、イムノクロマトグラフ用試料抽出液(以下、「展開抽出液」ともいう。)または検体希釈液(以下、「検体処理液」ともいう。)中に含有させてもよく、免疫クロマトキットにおける他の試薬保持部〔2〕に含有させてもよく、またはそれら両方に含有させてもよく、環状オリゴ糖の機能が発揮できる限り、何処に含有させてもよいが、展開初期段階である検体処理液あるいは展開上流部に含有させるのが、機能上好ましい。

0126

本発明の免疫クロマトキットを用いて検体中のグラム陽性菌を検出するための免疫測定法としては、(i)検体を緩衝液および界面活性剤を含む検体希釈液と接触混合して検体希釈液混合物を作製する工程、(ii)検体処理液混合物を試料滴下部に供給する工程、(iii)検体処理液混合物をイムノクロマトグラフ媒体上で展開して、抗原抽出部に存在する有機化合物と亜硝酸化合物の反応によって媒体上で生成される亜硝酸によりグラム陽性菌中の抗原を抽出する工程、(iv)標識物質保持部において抗原を標識化する工程、および(v)クロマトグラフ媒体上を移動して検出部において標識化抗原を検出する工程、(vi)検体処理液混合物が、吸収部により吸収される工程、を含むものである。

0127

本発明におけるイムノクロマトグラフ用検体希釈液もしくは免疫クロマトキットの試薬中に使用できる非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル商品名「Tween」シリーズ)、ポリオキシエチレンp−t−オクチルフェニルエーテル(商品名「Triton」シリーズ)、ポリオキシエチレンp−t−ノニルフェニルエーテル(商品名「TritonN」シリーズ)、アルキルポリグルコシド脂肪酸ジエタノールアミドアルキルモノグリセリルエーテル等を挙げることができる。また、悪影響を及ぼさない範囲内において非イオン性界面活性剤以外のイオン性界面活性剤などを配合して使用することも可能である。

0128

特に、本発明の免疫クロマトキットにおける有機化合物含有抗原抽出部には、展開を均一にするために界面活性剤が必要であるが、界面活性剤を含ませることによって抗原抽出部の保存安定性が悪くなることが分かっている。

0129

この問題を解決するために、種々の界面活性剤を含有させた抗原抽出部を有する試薬を作製して、過酷試験(80℃、12時間)を行った結果、ポリオキシエチレンp−t−オクチルフェニルエーテル(商品名「Triton」シリーズ)、例えば、ポリオキシエチレン(10)−p−t−オクチルフェニルエーテル(TritonX−100(商品名)、HLB=13.5)、「TritonX−114」(商品名)(HLB=12.4)、ポリオキシエチレンp−t−ノニルフェニルエーテル(商品名「TritonN」シリーズ)が好ましいことが分かった。最も好ましくは、ポリオキシエチレン(10)−p−t−オクチルフェニルエーテル(TritonX−100(商品名))である。

0130

本発明における検体希釈液やイムノクロマトグラフ用試薬中に使用する非イオン性界面活性剤の含有量としては、0.01〜10重量%の範囲であり、好ましくは0.05〜5重量%の範囲でイムノクロマトグラフ用試薬に含有させることができる。

0131

0.01重量%未満では、例えば0.005重量%では正確な判定が行えない。0.05重量%未満では、非特異的反応を抑制できず正確な判定がやや難しくなる傾向を示す。10重量%以上、例えば12重量%、18重量%となると、必要以上の濃度となり、非特異的反応の抑制には好ましい影響を与えることがないばかりか、技術的に無意味になり、経済的でなく無駄となる。

0132

本発明における抽出展開液、検体処理液などのイムノクロマトグラフ用試薬中に使用される塩としては、代表的なものとしては塩化ナトリウム塩化カリウム塩化カルシウム塩化マグネシウム等々が挙げられる。好ましくは塩化ナトリウムである。

0133

本発明における抽出展開液などのイムノクロマトグラフ用試薬中に使用される塩の濃度としては、通常1mM〜500mMの範囲であり、5mM〜200mMの範囲が好ましく、10mM〜50mMの範囲がより好ましい。

0134

濃度が1mMより低くなると、例えば0.1mMと少なくなるとタンパク質の抽出作用が不十分になる。500mM以上では、例えば、1M、2Mと多くなれば、技術的に無意味な量であり、必要以上の濃度となり経済的でなく無駄となる。

0135

本発明におけるイムノクロマトグラフ用試薬中に使用される塩としては、1種のみならず2種以上配合して使用することもできる。

0136

本発明において抽出展開液中に使用できる緩衝剤としては、試料の添加や試料の蒸発希釈による濃度の変化、外部からの多少の異物混入によっても致命的な影響を生じない作用(緩衝作用)を持つものであれば特に制限はない。

0137

本発明において、緩衝剤としては、例えば、リン酸緩衝液リン酸リン酸ナトリウム)、酢酸緩衝液(酢酸+酢酸ナトリウム)、クエン酸緩衝液(クエン酸+クエン酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝液トリス塩酸緩衝液トリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタン+塩酸)、TE緩衝液(トリス+エチレンジアミン四酢酸)、TAE緩衝液(トリス+酢酸+エチレンジアミン四酢酸)、TBE緩衝液(トリス+ホウ酸+エチレンジアミン四酢酸)又はHEPES緩衝液(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニルエタンスルフォン酸)、Bicine緩衝液(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン緩衝剤)等が挙げられる。

0138

好ましくは、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、酢酸緩衝液、などであり、より好ましくは、トリス塩酸緩衝液である。本発明におけるイムノクロマトグラフ検出系においては、悪影響を及ぼさない範囲内であれば2種以上の緩衝剤を用いることも可能であって、何ら制限されない。

0139

本発明で使用する緩衝剤の濃度としては、10〜500mMの範囲が好ましく、10〜300mMの範囲がより好ましく、30〜100mMの範囲がさらに好ましい。濃度が10mMより低くなると緩衝作用が不十分になり、タンパク成分の析出抑制や標識粒子の凝集抑制も不十分となる。500mM以上では、必要以上の濃度となり経済的でなく無駄となる。また、緩衝液として、pH範囲7.1〜9.8のものを作るのが最適である。

0140

本発明におけるイムノクロマトグラフ用試薬には、生物学的親和性に基づく副反応を抑制したり、非特異的反応を抑制することが公知の添加剤、例えば、抗原抗体反応の促進あるいは非特異的反応を抑制するための蛋白質(例えば、牛血清アルブミン、ゼラチン、カゼイン等)、高分子化合物(例えば、ポリエチレングリコール、メチルセルロースポリビニルピロリドンポリビニルアルコールデキストラン等)、イオン性界面活性剤又はポリアニオン(例えば、デキストラン硫酸ヘパリンポリスチレンスルホン酸コンドロイチン硫酸等)、あるいは抗菌剤等々の1種もしくは2種以上を添加して使用することも可能かつ有効であって、何ら妨げるものではない。

0141

また、これらの抗原抗体反応の促進あるいは非特異的反応を抑制するための蛋白質、高分子化合物、イオン性界面活性剤又はポリアニオン、あるいは、抗菌剤等々の1種もしくは2種以上を、固定相を構成するクロマトグラフ媒体上の、移動相移動経路上に保持させておくことも可能かつ有効であって、何ら妨げるものではない。

0142

本発明におけるイムノクロマトグラフ用試薬組成物中に含有させる上記添加剤の濃度としては、0.01〜20重量%の範囲が好ましく、0.1〜10重量%の範囲がより好ましく、0.5〜5重量%の範囲がさらに好ましい。0.01重量%未満では、非特異的反応を抑制できず正確な判定が行うことができない。20重量%超では、必要以上の濃度となり経済的でなく無駄となる。

0143

本発明におけるイムノクロマトグラフ用試薬の使用方法としては、展開液として最適に用いることができるものであり、また、検体試料の希釈液としても好適に使用することができるものである。さらに、上記の使用方法に限定されるものではなく、イムノクロマトグラフ用試薬の成分をイムノクロマトグラフ媒体上の、移動相の移動経路上に設ける態様で使用することもできる。

0144

展開液や希釈液として用いる場合には、通常、溶媒として水を用い、これに緩衝液、蛋白質、塩および非イオン界面活性剤を加える。加える順序は特に特定されず、同時に加えても差支えない。展開液や希釈液として用いる場合には、検出する試料(検体)と該液を予め混合したものを、試料滴下部上に供給・滴下して展開させることもできるし、先に試料(検体)をサンプルパッド(試料滴下部)上に供給・滴下した後、展開液を試料滴下部上に供給・滴下して展開させてもよい。

0145

本発明におけるイムノクロマトグラフ用試薬をイムノクロマトグラフ媒体上の、移動相の移動経路上に設けて使用する場合には、その方法としては、例えば、イムノクロマトグラフ装置における試料滴下部中へ塗布又は含浸させた後、乾燥させる方法により、試料滴下部中へ担持または保持させる態様とすることができる。

0146

本発明におけるイムノクロマトグラフ用試薬をイムノクロマトグラフ媒体上に保持または担持させる他の態様としては、試料滴下部の端部と吸収部との間の任意の場所に、添加剤(試薬)保持部を設けて、そこに保持させる態様とすることができる。例えば、試料滴下部、標識物質保持部やイムノクロマトグラフ媒体上とすることもできる。

0147

本発明における検出対象物としては、それと特異的に結合する、例えば、抗原−抗体反応のように特異的に結合する物質が存在するもしくは製造できるものであればよく、特に限定されない。検出対象物が完全抗原といったそれ自体が抗原性を有するものであっても、もしくはハプテン不完全抗原)といったそれ自体が抗原性を有しなくても化学的変成物とすることにより抗原性を持つに至るものであってもよい。これらの検出対象物と特異的に結合する物質が存在するもしくは製造できるものであればよく、モノクローナル抗体若しくはポリクローナル抗体とすることができる。

0148

本発明における検出対象物としては、生成する亜硝酸により抽出が可能であるような検出対象物に特異な多糖体抗原である。例示すれば、厚いペプチドグリカン層を有するグラム陽性菌が挙げられ、なかでも、球菌類が好ましく、特に好ましいものとしては、溶連菌抗原等の細菌抗原が挙げられる。

0149

本発明における最適な検体は、鼻汁、鼻腔拭い液、咽頭拭い液又は痰である。これらの検体を本発明の検体希釈液を使用して予め希釈処理し、検査デバイス上に供給して抽出することにより、呼吸器疾患患者等々から採取される溶連菌抗原を被検出物質として的確に検出することができる。

0150

本発明の免疫クロマトキットは、検体希釈液(検体処理液)と、試料滴下部、抗原抽出部、標識物質保持部、検出部を有するクロマトグラフ媒体、及び吸収部を含む免疫クロマトグラフ装置から構成される、試料中のグラム陽性菌を検出するための免疫クロマトキットである。

0151

上記免疫クロマトキットは、検体希釈液および試料滴下部の少なくともいずれか一方に亜硝酸塩及び/又は環状オリゴ糖を単独にまたは同時に含有させることにより、亜硝酸塩、または亜硝酸塩および環状オリゴ糖を含むものである。
さらに、上記免疫クロマトキットは、該亜硝酸塩と抗原抽出部に保持されている環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの骨格を有する複素環化合物との接触反応によって亜硝酸を生成する抗原抽出部を備えた免疫クロマトキットである。

0152

この免疫クロマトキットは、免疫クロマトキットの1キット当り環状オリゴ糖を0〜20μgで含有させることができる。このキットを構成する試料滴下部〔2〕および抗原抽出部〔3〕が、標識物質保持部〔4〕の試薬展開方向上流に位置するように配置された免疫クロマトキットである。

0153

検体中の被検出物質を検出するための免疫クロマトキットは、その構造およびその動作・検出手法は公知である。
従来の免疫クロマトキットの試料滴下部中へ、本発明における検体処理液を使用して予め検体を希釈処理して得られた検体試料を滴下して、イムノクロマトグラフ媒体上を吸収部の方向へ展開させて展開中に検体中の抗原を抽出し、抗原抗体反応により検体中の被検出物質の同定・定量等の検査をすることができる。

0154

免疫クロマトキットについて、以下に説明をする。
通常、免疫クロマトキットは、クロマトグラフ媒体〔1〕(「検出部(判定部)」を有する。)、試料滴下部〔2〕(「サンプルパッド」、「試薬保持部〔2〕」ともいう。)、有機化合物含有抗原抽出部〔3〕(「試薬保持部〔3〕」、又は単に「抗原抽出部」ともいう。)、標識物質保持部〔4〕、吸収部〔5〕(「展開速度コントロール部」ともいう。)およびバッキングシート〔7〕を含む免疫クロマトグラフ装置(イムノクロマトグラフ装置ともいう)と、試料抽出液〔6〕とから構成されている。

0155

免疫クロマトグラフ装置について、以下に説明をする。
本発明におけるイムノクロマトグラフ用試薬の成分をイムノクロマトグラフ媒体上で実施する、いわゆるイムノクロマトグラフ検出法を適正に実施するに於いて、特に抗原抽出効率の向上のために工夫した装置の構造を示すのが図1(a)、図1(b)である。この図1(a)、図1(b)に基づいて説明をする。

0156

図1(a)、図1(b)に示す装置の構造の構成要素は、1;クロマトグラフ媒体〔1〕であり、2;試薬保持部〔2〕であり(サンプルパッドと総称することもできる。)、3;試薬保持部〔3〕であり(有機化合物含有抗原抽出部と総称することができる。または単に抗原抽出部ともいう。)、4;標識物質保持部〔4〕であり(コンジュゲートパッドと総称できる。)、5;吸収部〔5〕、および7;バッキングシートより構成される。本発明におけるイムノクロマトグラフ装置は、少なくともこの1〜5の各要素から構成される構造を有する。

0157

本発明は、また、このような構成要素の配列順序が性能に影響することを知見したものであり、この構造を構成する要素の並びと、展開の作用を、下記の二点で順次比較して例示すれば、

0158

本発明の構造(1) 2 3 4 1 5展開良好
比較対象構造(2) 3 2 4 1 5 展開不良
というように、この1〜5の構成要素の順位を任意に変えれば、特に展開作用のような挙動に影響を与えることになり、それらの構成要素の組み合わせにおいて、本発明の図1(a)、図1(b)に見るような要素の組み合わせの展開順序が、最も好ましい態様であり、若干展開性などを問題にしない場合には、構成要素の順序を変えた構造にすることも可能である。

0159

一方、免疫クロマトグラフ装置は、基本的には、図1(a)、図1(b)のに示す構成要素からなる検査具であるが、特に「3;試薬保持部〔3〕」の要素部分を省略すれば、この場合に、亜硝酸の用事調製が複雑であり、円滑な検査に支障となる。
このように、図1(a)、図1(b)に見るような免疫クロマトグラフ装置は、検査の性能や検査上の取り扱いにおいて格別の機能を果たすことを本発明者等は知見したものである。

0160

試料滴下部〔2〕及び試薬保持部〔3〕は、試料が迅速に吸収されるが、保持力は弱く、速やかに反応部へと試料が移動していくような性質の、ガラス濾紙等の多孔質シートで構成されている。

0161

試料滴下部〔2〕には、試薬保持部〔3〕に含有されている有機化合物と反応して亜硝酸を生成する亜硝酸塩を含有することができるが、亜硝酸塩はここに含有する代わりに検体希釈液中に含有してもよく、またはそれら両方に含有させてもよい。亜硝酸塩は、有効に機能するためには、有機化合物を含有する部位より展開上流部位であれば含有させることができる。

0162

検体希釈液には、環状オリゴ糖を含有することができるが、環状オリゴ糖はここに含有する代わりに試料滴下部〔2〕中に含有してもよく、またはそれら両方に含有させてもよい。亜硝酸塩は、有効に機能するためには、有機化合物を含有する部位より展開上流部位であれば含有させることができる。

0163

試薬保持部〔3〕は、抗原抽出部としての機能を果たすものであるから、アスコルビン酸および/又はN−ヒドロキシコハク酸イミドからなる有機化合物を含有しており、また展開を均一にするために非イオン性界面活性剤のTritonX−100(商品名)やTritonX−114(商品名)を含有させた。保存安定性も向上した。

0164

標識物質保持部〔4〕には、標識成分によって試薬成分を標識した標識試薬を保持させてなる。標識成分としては、金属粒子、ラテックス粒子、酵素、蛍光化合物等々があり、なかでも金属粒子が最適である。その中でも、金属ナノ粒子担体が特に好ましい。試薬成分としては、分析物を認識する能力を有する粒子又は分子であり、好ましくはモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体若しくはそのフラグメントである(第二試薬)。

0165

金属粒子とは、例えば、金、銀、白金ゲルマニウムロジウムパラジウムのような貴金属単粒子、複合粒子が任意に好ましく使用できる。特に金が色相の変化に敏感であり、最も適している。

0166

金属粒子の状態を見れば、平均粒径は1〜500nm、好ましくは10〜250nm、より好ましくは35〜100nm程度である。また金属粒子は、媒体に対して、0.0001〜0.08重量%、好ましくは0.002〜0.06重量%程度の濃度で含むものが好適に使用される。

0167

本発明における金属ナノ粒子とは、このような平均粒径を有する、金属のナノ径の各種金属粒子をさす。免疫学的測定においては、この金属の粒径粒度分布、色調などを考慮して、金属粒子の表面に白金粒子を担持させた、金属複合粒子とすることにより、免疫学的測定用の標識とすること、蛋白質の染色剤としての有用性を高める為に使用することができる。さらに、金属粒子表面に結合できる官能基と抗体と結合できる反応基を有する金属標識増幅剤のような、いわゆる増感剤を使用すれば測定感度を高めることができる。

0168

クロマトグラフ媒体〔1〕は、膜担体上に検出部を作製したものである。膜担体としては、毛細管現象により試料検体を吸収し移動させることができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、ニトロセルロース酢酸セルロースナイロンポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリエステルガラス繊維ポリオレフィンセルロース、これらの混合繊維からなる人工ポリマーからなる群から選択される。
検出部には、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体若しくはそのフラグメント(第一試薬)が、ニトロセルロースのシート上に担持固定されている。

0169

吸収部〔5〕には、過剰の試料を迅速に吸収する能力を有する材料であるガラス繊維、セルロース繊維等からなる濾紙が汎用されているが、さらに吸収した液体が逆流しないように保持する能力を有する材料を用いればより好ましい。(日本国特開2012−189346号公報)

0170

バッキングシート〔7〕は、基材である。片面に粘着剤を塗布したり、粘着テープを貼り付けることにより片面が粘着性を有し、該粘着面上に、試料添加部〔2〕、抗原抽出部〔3〕、標識物質保持部〔4〕、検出部を有するクロマトグラフ媒体〔1〕、および吸収部〔5〕の一部または全部が密着して設けられている。バッキングシート〔7〕は、粘着剤によって試料液に対して不透過性非透湿性となるようなものであれば、基材としては、特に限定されない。

0171

検出部に用いる検出試薬(第一試薬)および標識試薬に用いる検出試薬(第二試薬)は、検体中の検出対象物の抗原に対する結合能を有するものである。例えば、抗体が挙げられる。検出試薬が抗体である場合、検出部に用いる検出試薬(第一試薬)および標識試薬に用いる検出試薬(第二試薬)は、その一方又は両方がモノクローナル抗体であってもよいし、ポリクローナル抗体であってもよい。

0172

モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体若しくはそのフラグメントは、公知であり、入手可能であり、公知の方法により調整することができる。抗体産生動物種としては、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等々である。好ましくは、ウサギ、ヤギ及びマウスから選ばれる少なくとも一種以上の動物種由来の抗体である。免疫グロブリンとしては、IgGIgMIgAIgEIgDのいずれでもよい。

0173

本発明の実施例においては、標識試薬に用いる試薬成分(第二試薬)としてはウサギ由来抗溶連菌ポリクローナル抗体を、また、検出部位に用いる試薬成分(第一試薬)としてウサギ由来抗溶連菌モノクローナル抗体を用いた場合を記載しているが、これに限定されるものではない。両方にウサギ由来抗溶連菌ポリクローナル抗体もしくはウサギ由来抗溶連菌モノクローナル抗体を用いることもできる。

0174

典型的なキット構成における判定の原理概説すると、
1.検体(試料)を検体希釈液〔6〕で希釈処理した検体希釈液混合物を、試料滴下部〔2〕上に、所定量(通常、0.1〜2ml)滴下する。検体希釈液混合物が滴下されると、検体希釈液混合物は試料滴下部〔2〕に迅速に吸収されるが、速やかに移動を始める。また、試料滴下部〔2〕中に乾燥・保持されていた亜硝酸塩、もしくは亜硝酸塩及びシクロデキストリンを含む試薬組成物は、検体希釈液混合物の水分に溶解し、検体(試料)と共に移動を始める。

0175

2.亜硝酸塩を溶解含有した検体希釈液混合物は、まず抗原抽出部〔3〕へと移動する。ここで抗原抽出部〔3〕中に乾燥・保持されていた有機化合物は、移動してきた検体希釈液混合物中に溶解している亜硝酸塩と接触反応して亜硝酸を生成する。この亜硝酸は検体(試料)中に溶連菌が存在する場合に、該菌体表面の多糖体を抽出する。

0176

3.次いで、亜硝酸を生成含有する検体希釈液混合物は、標識物質保持部〔4〕へと均一且つスムーズに移動する。ここを検体希釈液混合物が通過する際、標識物質保持部〔4〕に保持されていた標識試薬(第二試薬)が検体希釈液混合物の水分に溶解し、検体(試料)と共に移動する。

0177

4.ついで、検体希釈液混合物の水分に溶解した標識試薬は、クロマトグラフ媒体〔1〕上の検出部位を通過する。ここでは、検体希釈液混合物中に溶解しているイムノクロマトグラフ用試薬組成物により非特異的結合反応は抑制され、抗原・抗体の特異的結合反応により、検体希釈液混合物中に被検出物質(例えば、多糖体)が存在する場合には、検出部位に担持固定されている抗体と標識試薬とによってサンドイッチ状に挟まれるように特異的に反応結合して、検出部が着色する。検体試料中に被検出物質(例えば、多糖体)が存在しない場合には、検体希釈液混合物の水分に溶解した標識試薬は、クロマトグラフ媒体〔1〕上の検出部を通過しても特異的結合反応が起こらないので、検出部位が着色しない。

0178

5.最後に、検体希釈液混合物の水分は、吸収部〔5〕へと移動する。
このように、検体(試料)中の被検出物質(例えば、多糖体)の有無を正確に判定することができる。

0179

以下、本発明の有効性を、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、亜硝酸ナトリウムを含む試料滴下部〔2〕と5員環または6員環の環状エステル骨格を有する複素環化合物の範疇に属する代用的な化合物であるアスコルビン酸を含む抗原抽出部〔3〕を有し、抽出効率を最適化するための展開速度コントロール部材(吸水量80−200mg/cm2)からなる吸収部〔5〕を有する免疫クロマトキットである。

0180

[実施例1]
(1)クロマトグラフ媒体〔1〕上への検出部の作製
メンブレンとしてニトロセルロースからなるシート(ミリポア社製、商品名:HF120、250mm×25mm)を用いた。5質量%のイソプロパノールを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7.4)で1.0mg/mlの濃度になるようにウサギ由来抗溶連菌モノクローナル抗体(第一抗体)を希釈し、その希釈された溶液150μLを抗体塗布機(BioDot社製)によりメンブレン上に1mmの幅で塗布し、50℃で30分間乾燥させ、室温で一晩乾燥させ、クロマトグラフ媒体〔1〕上に検出部を作製した。

0181

(2)標識物質溶液の作製
金コロイド懸濁液(田中貴金属工業社製:平均粒子径40nm)0.5mLに、リン酸緩衝液(pH7.4)で0.1mg/mLの濃度になるように希釈したウサギ由来抗溶連菌ポリクローナル抗体(第二抗体)抗体0.1mL加え、室温で10分間静置した。次いで、10質量%の牛血清アルブミンを含むリン酸緩衝液(pH7.4)を0.1ml加え、十分撹拌した後、8000×gで15分間遠心分離を行い、上清を除去した後、1質量%の牛血清アルブミンを含むリン酸緩衝液(pH7.4)0.1mLを加え、標識物質溶液を作製した。

0182

(3)亜硝酸ナトリウムおよび環状オリゴ糖を含む試薬保持部〔2〕の作製
12×100mmのグラスファイバーコンジュゲートパッド(メルク社製)に、1mmolの亜硝酸ナトリウムを含み、2μmolのβ−シクロデキストリンを含む水溶液0.6mLを塗布し、凍結乾燥させ、試薬保持部〔2〕を作製した。

0183

(4)アスコルビン酸を含む試薬保持部〔3〕の作製
12×100mmのグラスファイバーコンジュゲートパッド(メルク社製)に、50μmolのアスコルビン酸を含む1.7質量%の非イオン性界面活性剤Triton-X100水溶液0.6mLを塗布し、凍結乾燥させ、試薬保持部〔3〕を作製した。

0184

(5)イムノクロマトグラフ用試験片の作製
上記作製した標識物質溶液200μlに100μlの25質量%トレハロース水溶液と80μlの5質量%のカゼイン(終濃度:1質量%)を含むリン酸緩衝液(pH9.0)を加えたものを12×100mmのグラスファイバーパッド(ミリポア社製)に均一になるように添加した後、真空乾燥機にて乾燥させ、標識物質保持部〔4〕を作製した。次に、バッキングシートから成る基材に、展開した試料や標識物質を吸収するための吸収部〔5〕、上記作製した判定部を有するクロマトグラフ媒体〔1〕、標識物質保持部〔4〕、試薬保持部〔2〕、試薬保持部〔3〕、をイムノクロマトグラフ展開方向上流から表1に示す順(展開方向は右から左)に貼り合わせた。そして、裁断機で幅が5mmとなるように裁断し、イムノクロマトグラフ用試験片とした。

0185

(6)検体希釈液の作製
0.5質量%のTween20、0.6質量%ポリビニルピロリドン(平均分子量36万)、1質量%の牛血清アルブミンと150mM塩化ナトリウムを含む20mMのトリス緩衝溶液(pH8.0)から成る検体を希釈しイムノクロマトグラフ用試験片へ添加し展開するための検体希釈液とした。

0186

(7)測定
上記作製したイムノクロマトグラフ用試験片および検体希釈液を用いて、以下の方法で検体中の抗原である溶連菌の存在の有無を測定した。即ち、抗原を加えない検体希釈液を陰性検体試料とし、また、陰性検体試料に、不活化したA群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)を2×106org/mLとなるように加えたものを陽性検体試料とした。
陰性検体試料、陽性検体試料とも150μLをイムノクロマトグラフ用試験片の展開方向の最上流部、具体的には、実施例1、2では、試薬保持部〔2〕上に、比較例1、2では、試薬保持部〔3〕上に、比較例3及び実施例3では、標識物質保持部〔4〕上に添加し展開させ、15分後に目視判定をした。テストラインの赤い線を確認できるものを「+」、鮮明に確認できるものを「++」、赤い線は確認できるが、非常に色が薄いものを「±」、赤い線を確認できないものを「−」とした。展開性の評価は、展開液がクロマトグラフ媒体上へ流れなかったもの、展開液はクロマトグラフ媒体上で展開されるが標識試薬が流れなかったもの、クロマトグラフ媒体上での展開中の液の先端流形にムラが生じたもの、を展開不良と判定し、不良がなかったものを良好と判定した。表3に結果を示す。
下記の検査条件で実施する。
Positive:4×105org/mL溶連菌(判定時間8分)
Negative:展開液(判定時間30分)

0187

0188

表中、1〜5の数字は、1;クロマトグラフ媒体〔1〕、2;試薬保持部〔2〕、3;試薬保持部〔3〕、4;標識物質保持部〔4〕、5;吸収部〔5〕を表わす。

0189

これらの結果から、実施例1〜3は、アスコルビン酸を含む試薬保持部〔3〕が試薬保持部〔2〕の展開方向下流になっているため、試料中のタンパク成分が酸の影響を受けず展開性は良好であった。
比較例1〜3では、展開性は不良であった。これらの場合は、アスコルビン酸を含む試薬保持部〔3〕が試薬保持部〔2〕の展開方向上流になっているため、試料中のタンパク成分が酸により析出し、目詰まりを起こすなどの理由が推察される。上記の試験結果から、試薬保持部〔2〕は、試薬保持部〔3〕の展開方向上流であることが必須条件である。

0190

同様に、試薬保持部〔3〕へアスコルビン酸の代わりにN−ヒドロキシコハク酸イミドを含有させたこと以外は、実施例1と同じ手順態様で実施し、そして、同じ目視判定基準に従って判定する。実施例1の場合と比べるとテストラインの発色は多少薄くなるが大差のない略同様の結果が得られた。

0191

同様に、試薬保持部〔2〕へ亜硝酸ナトリウムを含有させず、検体希釈液中に50μmol/testの亜硝酸カリウムを加えたこと以外は、実施例1と同じ手順態様で実施し、同じ目視判定基準に従って判定する。実施例1と略同様の結果が得られる。

0192

上記実施例1の免疫クロマトキットの構成においては、試薬保持部〔2〕にβ−シクロデキストリン(以下、「β−CD」と略す。)含有させる場合を記載しているが、CDを含まないCD無添加の免疫クロマトキットも同様にして作製する。
さらにβ−CDに替えてγ−シクロデキストリン、Amino−β−シクロデキストリン(「3A−アミノ−3A−デオキシ-(2AS,3AS)−β−シクロデキストリン水和物」の略。)、mβ−シクロデキストリン(「6−0−α−D−マルトシル−β−シクロデキストリン(分子量 1459)」の略。)、を添加したこと以外は、実施例1と同じ手順態様で実施し、同じ目視判定基準に従って判定した。実施例1と大同小異の略同様の結果が得られる。亜硝酸含有部に各CDを0.75μg/testとなるように保持する。

0193

[実施例4〜6]
一試験(test)あたりの亜硝酸ナトリウム、環状シクロデキストリン、アスコルビン酸を表4に記載の各種量とし、実施例1と同じ手順態様で実施した。陽性検体は、不活性溶連菌を一試験(test)あたり濃度が2×106org/mLのものを150μL用いた。そして、同じ目視判定基準に従って判定した。その判定結果を表4に示す。

0194

[実施例7〜10]
一試験(test)あたりの亜硝酸塩、環状シクロデキストリン、アスコルビン酸及び/又はN−ヒドロキシコハク酸イミドは、表4に記載の各種量とした。
[実施例7]
試薬保持部〔3〕へアスコルビン酸の代わりに、5員環の環状イミドの骨格を有する複素環化合物の範疇に属する代表的な化合物である、N−ヒドロキシコハク酸イミドを含有させたこと以外は、実施例1と同じ手順態様で実施した。そして、同じ目視判定基準に従って判定した。その判定結果を表4に示す。
[実施例8]
試薬保持部〔2〕へ亜硝酸ナトリウムを含有させず、検体希釈液中に50μmol/testの亜硝酸カリウムを加えたこと以外は、実施例1と同じ手順態様で実施した。そして、同じ目視判定基準に従って判定した。その判定結果を表4に示す。

0195

[実施例9]
試薬保持部〔2〕へβ−シクロデキストリンを含有させないで、検体希釈液に保持させたこと以外は、実施例1と同じ手順態様で実施した。そして、同じ目視判定基準に従って判定した。その判定結果を表4に示す。実施例8および9は亜硝酸塩または環状オリゴ糖を検体希釈液に保持させた形態です。

0196

[実施例10]
試薬保持部〔2〕へβ−シクロデキストリン及び亜硝酸ナトリウムを含有させず、検体希釈液中に50μmolの亜硝酸カリウム及び0.1μmolのβ−シクロデキストリンを加えたこと以外は、実施例1と同じ手順態様で実施した。そして、同じ目視判定基準に従って判定した。その判定結果を表4に示す。実施例10は亜硝酸塩及び環状オリゴ糖を検体希釈液に保持させた形態です。

0197

0198

注1.陽性検体は、不活化溶連菌を一試験あたり濃度が2×106org/mLのものを150μL用いた。
注2.アスコルビン酸の代わりにN−ヒドロキシコハク酸イミドを用いた。
注3.亜硝酸ナトリウムの代わりに亜硝酸カリウムを用いた。亜硝酸カリウムは、試薬保持部〔2〕に加えず、検体希釈液中に加えた。
注4.環状オリゴ糖は、試薬保持部〔2〕に加えず、検体希釈液中に加えた。

0199

表4の結果を見ると、亜硝酸塩及び/又は環状オリゴ糖を試薬保持部〔2〕に加えず、検体希釈液中に加えた実施態様を採っている実施例8〜10にあっては、亜硝酸塩及び/又は環状オリゴ糖を試薬保持部〔2〕に加えている実施例5〜7と比較して顕著にその判定結果が向上していることが解かる。

0200

[実施例11〜19]
試薬保持部〔3〕へアスコルビン酸の代わりに各種環状エステル骨格、環状アミド骨格または環状イミド骨格を有する有機化合物を含有させたこと以外は、実施例1と同じ手順態様で実施した。そして、同じ目視判定基準に従って判定した。その判定結果を表5に示す。また、試薬保持部〔3〕へアスコルビン酸の代わりに1,2,4−ベンゼントリオールを含有させたこと以外は、実施例1と同じ手順態様で実施して、同じ目視判定基準に従って判定した。その判定結果を比較例4として示す。
この表5に見るとおり、各種環状エステル骨格、環状アミド骨格または環状イミド骨格を有する複素環化合物の範疇に属する代表的な各種化合物が有効であることが確認できるので、本発明で規定する三種の骨格を有するすべての複素環化合物の有効性が評価できる。

0201

0202

N原子を3個有する環状イミド骨格を有する、例えば、[化5]に示される化合物を、実施例11の実施態様に従って実施すれば、表5に示すような同等の作用効果を確認できるので、本発明の評価が容易に達成できる。
また、6員環のN原子を1〜4個有する環状イミド骨格を有す、[化6]〜[化9]に示されるいずれの化合物についても、上記実施例11の態様に従って実施すれば、亜硝酸の発生が達成できるので、本発明の有用性が評価できる。
特に、環状エステル、環状アミドおよび環状イミドからなる群より選ばれる少なくとものいずれか1つの骨格を有する複素環化合物は、亜硝酸の発生に於いて、同等に機能するということは、本発明者等の知見に基づくものである。

0203

[実施例20〜25]
試料保持部〔2〕へβ−シクロデキストリンの代わりにγ−シクロデキストリンを含有させ、試薬保持部〔3〕へアスコルビン酸の代わりに、N−アセトキシスクシンイミドを含有させたこと以外は、実施例1と同じ手順態様で実施した。そして、同じ目視判定基準に従って判定した。その判定結果を表6に示す。

0204

0205

溶連菌と症状の似た感染症の原因病原体としてアデノウイルスが知られている。今回のアスコルビン酸系を用いて、溶連菌とアデノウイルス(Adv)の両方を同時検査できる免疫クロマトキットは、下記のようにして作製する。
クロマトグラフ媒体〔1〕上への判定部の作製において、ウサギ由来抗溶連菌モノクローナル抗体(第一抗体)を塗布した判定部に代えて、実施例1の手法にしたがって、ウサギ由来抗溶連菌モノクローナル抗体(第一抗体)を塗布した判定部と平行な位置に、マウス由来抗アデノウイルスモノクローナル抗体(第一抗体)を塗布した判定部を同様に作製して複数の判定部を設けること以外は、実施例1と同様にしてクロマトグラフ媒体〔1〕上に判定部を作製する。
標識物質溶液の作製において、実施例1の手法にしたがって、ウサギ由来抗溶連菌ポリクローナル抗体(第二抗体)に代えて、マウス由来抗溶連菌ポリクローナル抗体(第二抗体)およびウサギ由来抗アデノウイルスポリクローナル抗体(第二抗体)の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして標識物質溶液を作製する。
その他の試薬保持部〔2〕、試薬保持部〔3〕、イムノクロマトグラフ用試験片、検体希釈液の作製についても、実施例1と同様にして作製する。

0206

このようにして作製したイムノクロマトグラフ用試験片および検体希釈液を用い、亜硝酸ナトリウムをサンプルパッド(試薬保持部;〔2〕)に、アスコルビン酸をコンジュゲートパッド(試薬保持部〔3〕)に夫々含浸させて、溶連菌とアデノウイルス(Adv)の両方を同時検査できる免疫クロマトキットを試作した。試作したキットを用いて、陰性検体(抽出液)と、陽性検体としては溶連菌不活化抗原(2×106 org/mL)及びアデノウイルス不活化抗原(1ng/mL)を検査し、滴下5分後のテストラインの目視評価を行った。その結果を[表7]に示す。

0207

0208

[表7]の結果から明らかなように、アスコルビン酸を用いて、陰性検体(抽出液)と、陽性検体として溶連菌不活化抗原(2×106 org/mL)及びアデノウイルス不活化抗原(1ng/mL)を検査すると、溶連菌テストラインよりもアデノウイルステストラインの方が濃く発色した。

0209

本発明におけるイムノクロマトグラフ法による溶連菌検査を行うにおいて、亜硝酸Naは、一試験あたり10〜100μmol用いることが好ましく、アスコルビン酸、N−ヒドロキシコハク酸は、一試験あたり0.1〜100μmol用いることが好ましく、0.1〜50μmol用いることがより好ましく、0.1〜30μmol用いることがさらに好ましく、最適には1〜15μmolの範囲で用いられること、また、環状オリゴ糖を添加する場合は、一測定(一キット)あたり0.02〜0.5μmol用いることが好ましく、この範囲内で用いれば、タンパク成分の析出がなく、抗体固定金属粒子の凝集が起きず、展開速度も速く、S/N比が高い正確な判定ができるという顕著な効果を奏する。

実施例

0210

本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更及び変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2015年7月16日付で出願された日本特許出願(特願2015−141968)に基づいており、その全体が引用により援用される。

0211

本発明は、呼吸器系感染症の一つであるグラム陽性菌、特に、A群β溶血性連鎖球菌の検査、またはグラム陽性菌及びアデノウイルスの同時検査を迅速、簡便且つ適切に行なうことができるという優れた利点を有するため、病院クリニックのみならず格別な技能を有しない個人であっても、高感度で迅速且つ適切な臨床検査が可能であり、感染者早期診断や適切な治療に繋がるという利用可能性を有する。

0212

さらに、不安定な化合物である亜硝酸は、その検査の都度に、亜硝酸塩を酸性溶液と反応させる亜硝酸生成工程を設けるという煩雑な用時調製をする必要がないので、本発明の免疫クロマトキットの取り扱い、検査効率および検査精度を上げるばかりでなく、検査の効率化、省力化も向上するので、検査機関に係わる産業分野医療分野に係わる産業分野の発展に著しく寄与するものである。

0213

1.クロマトグラフ媒体〔1〕
2.試料滴下部〔2〕(試薬保持部〔2〕)
3.抗原抽出部〔3〕(試薬保持部〔3〕)
4.標識物質保持部〔4〕
5.吸収部〔5〕
6.検体処理液(抽出液)〔6〕

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