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技術 燃料電池

出願人 住友電気工業株式会社
発明者 平岩千尋真嶋正利俵山博匡水原奈保東野孝浩野田陽平宮元一成吉田稔浩
出願日 2016年7月8日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2017-528661
公開日 2018年4月26日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 WO2017-010436
状態 特許登録済
技術分野 無消耗性電極
主要キーワード バインダ粉末 樹脂製多孔体 金属被覆処理 樹脂製発泡体 微差圧計 正十二面体 クロム含有率 三次元網目状骨格
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題・解決手段

カソードアノード、および、前記カソードおよび前記アノードの間に介在する固体電解質層を備えており、前記固体電解質層がイオン伝導性を有する固体酸化物を含む、MEAと、前記カソードおよび前記アノードの少なくとも一方に隣接し、かつ、三次元網目状骨格を有する少なくとも1つの第1金属多孔体と、前記第1金属多孔体に隣接して積層され、かつ、三次元網目状の骨格を有する第2金属多孔体と、前記第2金属多孔体に隣接するインターコネクタと、を備え、前記第1金属多孔体の気孔径が、前記第2金属多孔体の気孔径よりも小さい、燃料電池

概要

背景

燃料電池は、水素などの燃料ガスと空気(酸素)との電気化学反応によって発電する装置であり、化学エネルギー電気直接変換できるため、発電効率が高い。なかでも、動作温度が1000℃以下である固体酸化物型燃料電池(以下、SOFCと称する)は、反応速度が速いため、有望視されている。SOFCには、固体酸化物を含む電解質層が、セラミックス焼結体)により形成される2枚の電極で挟まれて一体化されたMEA(Membrane Electrode Assembly、膜−電極接合体)が使用される。すなわち、MEAの構成要素がすべて固体であるため、取り扱いが容易である。

通常、大きな電力を得るために、複数のMEAが積層されて配置されている。MEA同士の間には、燃料ガスと空気とを分離するインターコネクタセパレータ)が配置される。インターコネクタは、発生した電流を外部へ取り出すための集電機能も有する。

燃料電池には、MEAに燃料ガスあるいは空気を供給するため、MEAに隣接するガス流路が必要とされる。ガス流路を確保するために、例えば特許文献1では、MEAとインターコネクタとの間にエキスパンドメタルが配置されている。特許文献2は、インターコネクタに、エッチング等によりガス流路となるディンプルを形成する方法を教示している。

概要

カソードアノード、および、前記カソードおよび前記アノードの間に介在する固体電解質層を備えており、前記固体電解質層がイオン伝導性を有する固体酸化物を含む、MEAと、前記カソードおよび前記アノードの少なくとも一方に隣接し、かつ、三次元網目状骨格を有する少なくとも1つの第1金属多孔体と、前記第1金属多孔体に隣接して積層され、かつ、三次元網目状の骨格を有する第2金属多孔体と、前記第2金属多孔体に隣接するインターコネクタと、を備え、前記第1金属多孔体の気孔径が、前記第2金属多孔体の気孔径よりも小さい、燃料電池。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

カソードアノード、および、前記カソードおよび前記アノードの間に介在する固体電解質層を備えており、前記固体電解質層がイオン伝導性を有する固体酸化物を含むMEAと、前記カソードおよび前記アノードの少なくとも一方に隣接し、かつ、三次元網目状骨格を有する少なくとも1つの第1金属多孔体と、前記第1金属多孔体に隣接して積層され、かつ、三次元網目状の骨格を有する第2金属多孔体と、前記第2金属多孔体に隣接するインターコネクタと、を備え、前記第1金属多孔体の気孔径が、前記第2金属多孔体の気孔径よりも小さい、燃料電池

請求項2

前記第1金属多孔体と前記第2金属多孔体とが接合されており、前記接合する部分において、前記第1金属多孔体の前記骨格と前記第2金属多孔体の前記骨格とが絡み合っている、請求項1に記載の燃料電池。

請求項3

前記第1金属多孔体および前記第2金属多孔体の気孔率が、いずれも85体積%以上である、請求項1または請求項2に記載の燃料電池。

請求項4

前記第1金属多孔体の気孔径が、100〜1000μmである、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の燃料電池。

請求項5

少なくとも前記アノードに隣接する前記第1金属多孔体を備える、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の燃料電池。

請求項6

前記第2金属多孔体の気孔径に対する前記第1金属多孔体の気孔径の比は0.05〜0.8である、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の燃料電池。

請求項7

前記第2金属多孔体の比表面積は100〜9000m2/m3である、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の燃料電池。

請求項8

前記第2金属多孔体の厚みは0.1〜0.5mmである、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の燃料電池。

技術分野

0001

本発明は、燃料電池に関する。
本出願は、2015年7月16日出願の日本出願第2015−142288号、2016年1月29日出願の日本出願第2016−016685号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。

背景技術

0002

燃料電池は、水素などの燃料ガスと空気(酸素)との電気化学反応によって発電する装置であり、化学エネルギー電気直接変換できるため、発電効率が高い。なかでも、動作温度が1000℃以下である固体酸化物型燃料電池(以下、SOFCと称する)は、反応速度が速いため、有望視されている。SOFCには、固体酸化物を含む電解質層が、セラミックス焼結体)により形成される2枚の電極で挟まれて一体化されたMEA(Membrane Electrode Assembly、膜−電極接合体)が使用される。すなわち、MEAの構成要素がすべて固体であるため、取り扱いが容易である。

0003

通常、大きな電力を得るために、複数のMEAが積層されて配置されている。MEA同士の間には、燃料ガスと空気とを分離するインターコネクタセパレータ)が配置される。インターコネクタは、発生した電流を外部へ取り出すための集電機能も有する。

0004

燃料電池には、MEAに燃料ガスあるいは空気を供給するため、MEAに隣接するガス流路が必要とされる。ガス流路を確保するために、例えば特許文献1では、MEAとインターコネクタとの間にエキスパンドメタルが配置されている。特許文献2は、インターコネクタに、エッチング等によりガス流路となるディンプルを形成する方法を教示している。

先行技術

0005

特開2007−250297号公報
国際公開第2003/12903号パンフレット

0006

本発明の一局面は、カソードアノード、および、前記カソードおよび前記アノードの間に介在する固体電解質層を備えており、前記固体電解質層がイオン伝導性を有する固体酸化物を含む、MEAと、前記カソードおよび前記アノードの少なくとも一方に隣接し、かつ、三次元網目状骨格を有する少なくとも1つの第1金属多孔体と、前記第1金属多孔体に隣接して積層され、かつ、三次元網目状の骨格を有する第2金属多孔体と、前記第2金属多孔体に隣接するインターコネクタと、を備え、前記第1金属多孔体の気孔径が、前記第2金属多孔体の気孔径よりも小さい、燃料電池に関する。

図面の簡単な説明

0007

本発明の一実施形態に係る燃料電池を模式的に示す断面図である。
金属多孔体の骨格の一部の構造の一例を示す模式図である。
図2における骨格の一部の断面を模式的に示す断面図である。
金属多孔体における電子の流れを説明する模式図である。
SOEC方式を用いた水素製造装置の要部の構造を模式的に示す断面図である。

実施例

0008

[本開示が解決しようとする課題]

0009

MEAに流れる電子は、アノードおよび/またはカソードに接触する金属材料を経由して集電される。このとき、アノードおよび/またはカソードと接触する金属材料が少ないと、電子が流れにくくなって、抵抗が高くなる。特許文献1の方法では、ガス流路の確保のために配置されるエキスパンドメタルが、集電体としての役割も担う。しかし、エキスパンドメタルは孔径が大きいため、抵抗が高くなり易い。一方、孔径の大きいエキスパンドメタルは、ガス流路としての高い機能を備える。つまり、集電性とガス拡散性とはトレードオフの関係にある。

0010

そこで、集電性を主な役割とする材料と、ガス拡散性を主な役割とする材料とを、それぞれ別に配置することが考えられる。例えば、MEAとインターコネクタとの間に、集電性を主な役割とする金属材料(集電体)を配置するとともに、特許文献2のように、インターコネクタにディンプル加工によりガス流路を形成する。集電体としては、耐熱性電気伝導性および適度なガス拡散性(通気性)の観点から、例えば、ニッケル焼結体が用いられる。

0011

抵抗を小さくするためには、集電体と各電極(アノードおよび/またはカソード)との接触性を高めることも重要である。集電体としてニッケル焼結体を用いる場合、集電体の表面には微細凹凸が形成されている。一方、SOFCでは各電極も焼結体であるため、その表面には凹凸が形成されている。凹凸を有し、塑性変形し難い焼結体同士の接触性を高めることは困難である。接触性を高めるために圧力を加えると、電極が損傷する場合がある。

0012

インターコネクタには、優れた耐熱性が求められる。そのため、インターコネクタの材料として、通常、クロム含有率の高いステンレス鋼クロム基合金)が用いられる。クロム基合金は硬く、加工性が低下し易い。そのため、インターコネクタにディンプル加工を行ってガス流路を形成するには、特殊な設備や条件が必要となり、コストが上昇し、生産効率は低下する。燃料電池は、MEAとインターコネクタとを含むものを構成単位として、通常、複数(例えば、50枚以上)を積層することにより構成されている。そのため、インターコネクタ一枚当たり加工コストの上昇により、燃料電池のコストは大きく上昇する。

0013

本発明によれば、優れたガス拡散性能および集電性能を有する燃料電池(SOFC)が得られる。

0014

[発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明に係る燃料電池は、カソード、アノード、および、前記カソードおよび前記アノードの間に介在する固体電解質層を備えており、前記固体電解質層がイオン伝導性を有する固体酸化物を含むMEAと、前記カソードおよび前記アノードの少なくとも一方に隣接し、かつ、三次元網目状の骨格を有する少なくとも1つの第1金属多孔体と、前記第1金属多孔体に隣接して積層され、かつ、三次元網目状の骨格を有する第2金属多孔体と、前記第2金属多孔体に隣接するインターコネクタと、を備え、前記第1金属多孔体の気孔径が、前記第2金属多孔体の気孔径よりも小さい。これにより、燃料電池のガス拡散性能および集電性能が向上する。

0015

(2)前記第1金属多孔体と前記第2金属多孔体とが接合されており、前記接合する部分において、前記第1金属多孔体の前記骨格と前記第2金属多孔体の前記骨格とは絡み合っていることが好ましい。ガス拡散性および集電性能がさらに向上するためである。さらには、生産性の向上も期待できる。

0016

(3)前記第1金属多孔体および前記第2金属多孔体の気孔率は、いずれも85体積%以上であることが好ましい。ガス拡散性がさらに向上するためである。

0017

(4)前記第1金属多孔体の気孔径は、100〜1000μmであることが好ましい。
集電性能がさらに向上するためである。

0018

(5)本発明に係る燃料電池は、少なくとも前記アノードに隣接する前記第1金属多孔体を備えることが好ましい。さらなる発電効率の向上が期待できるためである。
(6)前記第2金属多孔体の気孔径に対する前記第1金属多孔体の気孔径の比(第1金属多孔体の気孔径/第2金属多孔体の気孔径)は0.05〜0.8であることが好ましい。この範囲であれば、電気抵抗ガス拡散バランスが特に良いためである。
(7)前記第2金属多孔体の比表面積は100〜9000m2/m3であることが好ましい。
(8)前記第2金属多孔体の厚みは0.1〜0.5mmであることが好ましい。この範囲であれば、電気抵抗およびガス拡散性のバランスが特に良いためである。

0019

[発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態を具体的に以下に説明する。なお、本発明は、以下の内容に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0020

以下、燃料電池を図1〜4を参照しながら説明する。図1は、燃料電池の一実施態様を模式的に示す断面図である。図2は、金属多孔体の骨格の一部の構造の一例を示す模式図であり、図3は、その骨格の一部の断面を模式的に示す断面図である。図4は、金属多孔体における電子の流れを説明する模式図である。

0021

(燃料電池)
図1に示すように、燃料電池10は、MEA1を備える。MEA1は、カソード1cと、アノード1aと、カソード1cおよびアノード1aの間に介在し、イオン伝導性を有する固体酸化物を含む固体電解質層(以下、固体電解質層1bと称する)と、を備える。アノード1aに隣接するように、三次元網目状の骨格を有する第1金属多孔体2aが配置されている。第1金属多孔体2aに隣接するように、三次元網目状の骨格を有する第2金属多孔体2bが配置されている。さらに、第2金属多孔体2bに隣接するように、インターコネクタ3aが配置されている。なお、図示例では、カソード1cに隣接するように、ガス流路4を備えるカソード側インターコネクタ3bを配置している。

0022

本実施形態では、第1金属多孔体2aの気孔径D1を、第2金属多孔体2bの気孔径D2よりも小さくする。気孔径の小さな第1金属多孔体2aを電極に隣接させることで、電極と接触する金属材料が増えて、抵抗が小さくなる。気孔径の大きな第2金属多孔体2bをインターコネクタに隣接させることで、圧力損失が小さくなるとともにガス拡散性能が高められる。すなわち、気孔径の異なる複数の金属多孔体を組み合わせて用いることにより、優れた集電性とガス拡散性とが両立し、燃料電池10の発電性能が向上する。

0023

燃料ガスの利用率を高めるためには、アノード1aの表面に均一に燃料ガスを拡散させることが必要である。後述するように、第1金属多孔体2aおよび第2金属多孔体2bは連通孔を有しており、ガス拡散性に優れる。そのため、燃料ガスは、気孔径の大きな第2金属多孔体2b内で均一に拡散された後、第1金属多孔体2a内においても均一に拡散する。よって、アノード1aの表面には、第1金属多孔体2aから、均一に拡散された燃料ガスが供給される。また、第2金属多孔体2bは、第1金属多孔体2aと同様に、金属製の三次元網目状の骨格を有しているため、電気伝導性にも優れている。

0024

図示例では、アノード1aに隣接するように第1金属多孔体2aが配置されているが、これに限定されるものではない。第1金属多孔体2aは、カソード1cに隣接するように配置されても良いし、アノード1aおよびカソード1cに隣接するように、複数の第1金属多孔体2aが配置されても良い。なかでも、燃料ガスの利用効率が高まることにより、ランニングコストが低減される点で、第1金属多孔体2aは、少なくともアノード1aに隣接するように配置されることが好ましい。また、アノード1a側は還元雰囲気下であるため、金属多孔体の材料は制限され難い。この点においても、第1金属多孔体2aをアノード1aに隣接するように配置することが好ましい。以下、アノード1aに隣接するように第1金属多孔体2aが配置される場合を例に挙げて、説明する。

0025

(金属多孔体)
第1金属多孔体2aおよび第2金属多孔体2bは、三次元網目状の骨格を有しており、例えば、不織布状の構造や、スポンジ状の構造を有する。このような構造は、空孔および金属製の骨格を有する。例えば、スポンジ状の構造を有する金属多孔体は、空孔および金属製の骨格を有する複数のセルにより構成される。

0026

上記セルの1つは、図2に示すように、例えば、正十二面体として表わすことができる。空孔101は、繊維状または棒状の金属部分(繊維部102)により区画されており、複数が三次元的に連なっている。セルの骨格は、繊維部102が連結することにより形成される。セルには、繊維部102により囲まれた略五角形の開口(または窓)103が形成されている。隣接するセル同士は、1つの開口103を共有しながら、互いに連通している。すなわち、金属多孔体の骨格は、連続する複数の空孔101を区画しながら、網目状のネットワークを形成する繊維部102により形成される。このような構造を有する骨格を、三次元網目状の骨格という。

0027

図3に示すように、繊維部102は、内部に空洞102aを有していても良く、つまり、中空であっても良い。中空の骨格を有する金属多孔体は、嵩高い三次元構造を有しながらも、極めて軽量である。

0028

このような金属多孔体は、例えば、連通孔を有する樹脂製の多孔体を、金属で被覆することにより形成できる。金属による被覆は、例えば、メッキ処理法、気相法(蒸着プラズマ化学気相蒸着スパッタリングなど)、金属ペーストの塗布などにより行うことができる。金属による被覆処理により、三次元網目状の骨格が形成される。なかでも、金属による被覆には、メッキ処理法が好ましく用いられる。

0029

メッキ処理法としては、樹脂製多孔体の表面(内部の空隙の表面も含む)に、金属層を形成できる方法であればよく、公知のメッキ処理方法、例えば、電解メッキ法溶融塩メッキ法などが採用できる。メッキ処理法により、樹脂製多孔体の形状に応じた、三次元網目状の金属多孔体が形成される。つまり、得られる金属多孔体の気孔径は、上記樹脂製多孔体の気孔径により制御することができる。一方、金属粉末の焼結体の場合、その気孔径は、混合されるバインダ粉末の種類や粒径混合割合などに影響される。そのため、焼結体の気孔径を制御することは非常に困難である。

0030

電解メッキ法によりメッキ処理を行う場合、電解メッキに先立って、導電性層を形成することが望ましい。導電性層は、樹脂製多孔体の表面に、無電解メッキ、蒸着、スパッタリングなどの他、導電剤の塗布などにより形成してもよく、導電剤を含む分散液に樹脂製多孔体を浸漬することにより形成してもよい。

0031

樹脂製の多孔体としては、連通孔を有する限り特に制限されず、樹脂発泡体、樹脂製の不織布などが使用できる。なかでも、得られる金属多孔体に連通孔が形成され易い点で、樹脂発泡体が好ましい。樹脂発泡体等の多孔体を構成する樹脂としては、金属被覆処理後に、金属の三次元網目状骨格の形状を維持した状態で、分解または溶解などにより骨格102の内部を中空にすることができるものが好ましい。例えば、熱硬化性ポリウレタンメラミン樹脂などの熱硬化性樹脂オレフィン樹脂ポリエチレンポリプロピレンなど)、熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが例示できる。なかでも、サイズや形状がより均一な空孔が形成されやすい観点から、熱硬化性ポリウレタンなどを用いることが好ましい。

0032

骨格内の樹脂は、加熱処理などにより、分解または溶解され、除去されることが望ましい。加熱処理後、骨格内に残存した成分(樹脂、分解物未反応モノマー、樹脂に含まれる添加剤など)を洗浄などにより除去してもよい。樹脂は、必要に応じて、適宜電圧印加しながら加熱処理を行うことにより除去してもよい。また、この加熱処理は、溶融塩メッキ浴に、メッキ処理した多孔体を浸漬した状態で、電圧を印加しながら行ってもよい。
このように、金属被覆処理の後、樹脂を除去すると、金属多孔体の骨格の内部に空洞が形成されて、中空となる。このようにして得られる金属多孔体は、樹脂製発泡体の形状に対応する三次元網目構造の骨格を有する。なお、市販の金属多孔体としては、住友電気工業株式会社製の「アルミセルメット」(登録商標)や銅またはニッケルの「セルメット」(登録商標)を用いることができる。

0033

(第1金属多孔体)
第1金属多孔体2aの気孔径D1は、第2金属多孔体2bの気孔径D2よりも小さい(D1<D2)。そのため、第1金属多孔体2aは、ガス拡散性能を備えるとともに、高い集電性能を有する。

0034

気孔径D(D1およびD2)は、例えば、以下のようにして求められる。まず、金属多孔体が有する開口103の中から任意の開口103aを1つ選択し、この開口103aに収容される最大の正円C(図2参照)の直径Dpと、開口103aを収容することのできる最小の正円の直径とを測定し、これらの平均値を求める。これを開口103aの気孔径Daとする。同様にして、金属多孔体が有する他の任意の複数(例えば、9個)の開口103b〜103jの各気孔径Db〜Djを求め、これら10個の開口103a〜103jの各気孔径Da〜Djの平均値を、気孔径Dとする。

0035

具体的には、金属多孔体の主面のSEM写真において、開口103の全体が10個以上含まれる領域Rを決める。領域Rに含まれる開口103のうち、例えば10個をランダムに選択し、各開口103a〜103jについて、上記の方法により気孔径Da〜Djを算出する。算出された各開口103a〜103jの気孔径Da〜Djの平均値を気孔径Dとする。

0036

第1金属多孔体2aおよび第2金属多孔体2bの少なくとも一方は、それぞれ複数の金属多孔体を組み合わせて形成されても良い。この場合、第1金属多孔体2a全体または第2金属多孔体2b全体の気孔径は、第1金属多孔体2aまたは第2金属多孔体2bを構成する各金属多孔体21〜2nの気孔径および体積割合を考慮して求められる。例えば、気孔径D1は、(金属多孔体2a1の気孔径×金属多孔体2a1の第1金属多孔体2aに占める体積割合+・・・+金属多孔体2anの気孔径×金属多孔体2anの第1金属多孔体2aに占める体積割合)により求められる。このようにして算出された第1金属多孔体2a全体の気孔径は、第2金属多孔体2b全体の気孔径よりも小さい。第1金属多孔体2aおよび第2金属多孔体2bの少なくとも一方が複数の金属多孔体から構成されている場合、以下の各物性値に関しても、上記のように、各金属多孔体の体積割合を考慮して求める。

0037

電子は電位の低い方から高い方に流れる。そのため、複数のMEA1が積層されている場合、電子は、アノード1aから隣接するMEA1のカソード1cに向かう方向、図4AおよびBでは、アノード1aから第1金属多孔体2aに向かう方向Eに流れる。
一方、電子は、電位の変化の小さい方向H(図4では、水平方向に近い方向)には流れにくい。すなわち、方向Hにおいては、抵抗が大きくなる。

0038

アノード1aで生成した電子(e−)は、図4AおよびBに示すように、アノード1aと第1金属多孔体2aの界面Iにおいて、第1金属多孔体2aの骨格を形成する繊維部102に移動し、繊維部102を通って、隣接するMEA1のカソード1c(図示せず)に向かう。繊維部102は、網目状のネットワークを形成している。そのため、電子は、界面Iにおいて、方向Eに向かう繊維部102に到達するために、電位の変化の小さい方向Hに移動しなければならない場合がある。そこで、図4Aに示すように、気孔径Dを小さくして、電子の通り道(繊維部102)を増やすことにより、電子の、方向Eに向かう繊維部102に到達するまでに必要な方向Hへの移動距離DHを短くすることができる。これにより、抵抗が小さくなって、集電性が向上する。気孔径Dが小さいと、電子が一旦、第1金属多孔体2aに流れ込んだ後も、方向Eに移動するのに必要な方向Hへの移動距離DHは短くなる。

0039

一方、図4Bのように気孔径が大きい場合、電子は、方向Eに向かう繊維部102に到達するまで、方向Hに大きく移動しなければならず、抵抗が増大する。

0040

また、第1金属多孔体2aは気孔径が小さいため、表面の凹凸も小さい。そのため、アノード1aとの接触性を高めることができる。さらに、第1金属多孔体2aは三次元網目状の骨格を有しているため、塑性変形し易い。そのため、アノード1aを損傷させることなく、アノード1aとの接触性を高めることができる。よって、集電性はさらに向上する。

0041

第1金属多孔体2aの気孔径D1は、第2金属多孔体2bの気孔径D2よりも小さい限り特に限定されない。なかでも、抵抗や集電性の観点から、気孔径D1は、100〜1000μmであることが好ましく、100〜500μmであることがより好ましい。

0042

第1金属多孔体2aの気孔率P1は特に限定されない。なかでも、ガス拡散性の観点から、気孔率P1は、70体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましく、85体積%以上であることが特に好ましい。気孔率P1は、100体積%未満であり、99.5体積%以下であっても良く、99体積%以下であっても良い。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。気孔率(体積%)は、{1−(金属多孔体の見掛け比重/金属の真の比重)}×100で求められる。

0043

第1金属多孔体2aにおける空孔101の径(セル径)V1は、特に限定されない。セル径V1は、例えば、100〜1500μmであっても良く、200〜1000μmであっても良い。セル径V1は、例えば、以下のようにして求められる。まず、金属多孔体における空孔101の中から任意の空孔101aを1つ選択し、この空孔101aに収容される最大の球体の直径と、空孔101aを収容することのできる最小の球体S(図2参照)の直径とを測定し、これらの平均値を求める。これを空孔101aのセル径Vaとする。同様にして、金属多孔体が有する他の任意の複数(例えば、9個)の空孔101b〜101jの各セル径Vb〜Vjを求め、これら10個の空孔101a〜101jの各セル径Va〜Vjの平均値を、セル径V1とする。

0044

具体的には、金属多孔体の主面のSEM写真において、空孔101の全体が10個以上含まれる領域Vを決める。領域Vに含まれる空孔101のうち、例えば10個をランダムに選択し、各空孔101a〜101jについて、上記の方法によりセル径Va〜Vjを算出する。算出された各空孔101a〜101jのセル径Va〜Vjの平均値をセル径V1とする。

0045

第1金属多孔体2aを構成する金属は、使用環境に応じて適宜選択すれば良い。例えば、第1金属多孔体2aがアノード1aに隣接するように配置される場合、金属の種類は特に制限されない。上記金属としては、例えば、銅(Cu)、Cu合金(銅と、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)等との合金)、NiまたはNi合金(Niと、例えば錫(Sn)、クロム(Cr)、タングステン(W)等との合金)、アルミニウム(Al)またはAl合金(Alと、例えばFe、Ni、Si、Mn等との合金)、ステンレス鋼等が挙げられる。第1金属多孔体2aがカソード1cに隣接するように配置される場合、第1金属多孔体2aは、Crなどの高い耐酸化性を有する金属とNiとの合金により構成されることが好ましい。

0046

第1金属多孔体2aの比表面積(BET比表面積)も特に限定されない。第1金属多孔体2aの比表面積は、例えば、100〜9000m2/m3であっても良く、200〜6000m2/m3であっても良い。

0047

第1金属多孔体2aにおける開口103の密度C1も特に限定されない。なかでも、抵抗の観点から、密度C1は、10〜100個/2.54cmであることが好ましく、30〜80個/2.54cmであることがより好ましい。なお、密度C1とは、金属多孔体の表面に長さ1インチ(=2.54cm)の直線を引いたとき、この直線上に存在する開口103の数である。

0048

第1金属多孔体2aの繊維部102の幅Wf1も特に限定されない。なかでも、集電性の観点から、幅Wf1は3〜500μmであることが好ましく、10〜500μmであることがより好ましい。

0049

第1金属多孔体2aの厚みT1も特に限定されない。なかでも、電気抵抗およびガス拡散性のバランスの点で、厚みT1は、0.1〜5mmであることが好ましく、0.5〜2mmであることがより好ましい。厚みT1は、例えば、第1金属多孔体2aの任意の10箇所の厚みの平均値である。

0050

(第2金属多孔体)
第2金属多孔体2bの気孔径D2は、第1金属多孔体2aよりも大きい限り特に限定されない。なかでも、ガス拡散性の観点から、気孔径D2は、500〜3000μmであることが好ましく、500〜1500μmであることがより好ましい。なかでも、電気抵抗およびガス拡散性のバランスの点で、第1金属多孔体2aの気孔径D1と第2金属多孔体2bの気孔径D2との比(気孔径D1/気孔径D2)は、0.05〜0.8であることが好ましく、0.3〜0.6であることがより好ましい。気孔径D2は、気孔径D1と同様にして求められる。

0051

第2金属多孔体2bの気孔率P2も特に限定されないが、ガス拡散性の観点から、第1金属多孔体2a以上であることが好ましい。気孔率P2は、例えば、85体積%以上、好ましくは90体積%以上、さらに好ましくは95体積%以上である。気孔率P2は、100体積%未満であり、99.5体積%以下であっても良いし、99体積%以下であっても良い。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。

0052

第2金属多孔体2bにおける空孔101のセル径V2も特に限定されないが、ガス拡散性の観点から、第1金属多孔体2aよりも大きいことが好ましい。セル径V2は、500〜3000μmであることが好ましく、500〜1500μmであることがより好ましい。セル径V2は、セル径V1と同様にして求められる。

0053

第2金属多孔体2bにおける開口103の密度C2は、特に限定されない。なかでも、ガス拡散性および圧力損失の観点から、密度C2は、5〜50個/2.54cmであることが好ましく、10〜40個/2.54cmであることがより好ましい。

0054

第2金属多孔体2bを構成する金属は、使用環境に応じて適宜選択すれば良い。また、第1金属多孔体2aおよび第2金属多孔体2bを構成する金属は、同じであっても良いし、異なっていても良い。上記金属としては、第1金属多孔体2aで例示したものと同じ金属が例示される。

0055

第2金属多孔体2bの比表面積(BET比表面積)も特に限定されない。第1金属多孔体2aおよび第2金属多孔体2bの比表面積は同じであっても良いし、異なっていても良い。第2金属多孔体2bの比表面積は、例えば、100〜9000m2/m3であっても良く、200〜6000m2/m3であっても良い。

0056

第2金属多孔体2bの繊維部102の幅Wf2も特に限定されない。なかでも、圧力損失の観点から、幅Wf2は5〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。第1金属多孔体2aおよび第2金属多孔体2bの骨格102の幅Wfは、同じであっても良いし、異なっていても良い。

0057

第2金属多孔体2bの厚みT2も特に限定されない。なかでも、電気抵抗およびガス拡散性のバランスの点で、厚みT2は、0.1〜5mmであることが好ましく、0.5〜2.5mmであることがより好ましい。また、同様の観点から、第1金属多孔体2aの厚みT1と第2金属多孔体2bの厚みT2との比(T1/T2)は、0.2〜1であることが好ましく、0.4〜0.8であることがより好ましい。

0058

集電性およびガス拡散性、さらには生産性の観点から、第1金属多孔体2aと第2金属多孔体2bとは、その骨格同士が絡み合うことにより接合されていることが好ましい。骨格同士が絡み合っているとは、例えば、第1金属多孔体2aの端部近傍に存在する開口103に、第2金属多孔体2bの繊維部102の端部近傍が入り込んだ状態であり得る。また、各金属多孔体の端部近傍に存在する繊維部102が塑性変形して、係合している状態であり得る。これにより、第1金属多孔体2aと第2金属多孔体2bとは、接着剤を介在させることなく、互いの主面近傍で強固に接合される。そのため、第1金属多孔体2aと第2金属多孔体2bとは、電気的に接続し、かつ、連通する。

0059

第1金属多孔体2aと第2金属多孔体2bとが接合された複合材料は、第1金属多孔体2aの前駆体(第1前駆体)と第2金属多孔体2bの前駆体(第2前駆体)とを積層し、例えば、プレス加工することにより得ることができる。プレス加工により、各前駆体の気孔率、気孔径およびセル径は、例えば、それぞれ2〜10%減少しうる。そのため、各前駆体の気孔率、気孔径およびセル径は、プレス加工後の第1金属多孔体2aおよび第2金属多孔体2bの気孔率、気孔径およびセル径が所望の範囲となるように、適宜設定されることが好ましい。なお、前駆体の気孔率、気孔径およびセル径は、第1金属多孔体2aの気孔率、気孔径およびセル径と同様にして求められる。

0060

プレス加工の方法は特に限定されず、例えば、ロールプレス平板プレス等が挙げられる。プレス加工は、加熱下で行っても良い。なかでも、コストおよび生産効率の観点から、第1前駆体と第2前駆体とは、常温下でロールプレスにより接合されることが好ましい。プレス圧は特に限定されず、適宜設定すれば良い。プレス圧は、例えば、0.1〜5MPaであっても良いし、1〜5MPaであっても良い。

0061

(MEA)
MEA1は、カソード1cと、アノード1aと、カソード1cおよびアノード1aの間に介在し、イオン伝導性を有する固体電解質層1bと、を備える。カソード1cと、アノード1aと、固体電解質層1bとは、例えば、焼結により一体化されている。

0062

(カソード)
カソード1cは、酸素分子吸着し、解離させてイオン化することができる多孔質の構造を有している。カソード1cの材料としては、例えば、燃料電池、ガス分解装置または水素製造装置のカソードとして用いられる公知の材料を用いることができる。カソード1cの材料は、例えば、ランタンを含み、ペロブスカイト構造を有する化合物である。具体的には、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF、La1−aSraFe1−bCobO3−δ、0.2≦a≦0.8、0.1≦b≦0.9、δは酸素欠損量である)、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM、La1−cSrcMnO3−δ、0.2≦c≦0.8、δは酸素欠損量である)、ランタンストロンチウムコバタイト(LSC、La1−dSrdCoO3−δ、0.2≦d≦0.8、δは酸素欠損量である)等が挙げられる。

0063

カソード1cは、ニッケル、鉄、コバルト等の触媒を含んでいても良い。触媒を含む場合、カソード1cは、触媒と上記材料とを混合して、焼結することにより形成することができる。カソード1cの厚みは、特に限定されないが、5μm〜100μm程度であれば良い。

0064

(アノード)
アノード1aは、イオン伝導性の多孔質構造を有している。例えば、プロトン伝導性を有するアノード1aでは、後述する流路から導入される水素などの燃料酸化して、水素イオンプロトン)と電子とを放出する反応(燃料の酸化反応)が行われる。

0065

アノード1aの材料としては、例えば、燃料電池、ガス分解装置または水素製造装置のアノードとして用いられる公知の材料を用いることができる。具体的には、触媒成分である酸化ニッケル(NiO)と、酸化イットリウム(Y2O3)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ、ZrO2−Y2O3)、イットリウムがドープされたジルコン酸バリウム(BZY、BaZr1−eYeO3−δ、0.05≦e≦0.25、δは酸素欠損量である)、イットリウムがドープされたセリウム酸バリウム(BCY、BaCe1−fYfO3−δ、0.05≦f≦0.25、δは酸素欠損量である)、イットリウムがドープされたジルコン酸バリウム/セリウム酸バリウムの混合酸化物(BZCY、BaZr1−g—hCegYhO3−δ、0<g<1、0.05≦h≦0.25、δは酸素欠損量である)等の固体酸化物と、の複合酸化物等が挙げられる。このような複合酸化物を含むアノード1aは、例えば、NiO粉末粉末状の上記固体酸化物等とを混合して焼結することにより形成することができる。

0066

アノード1aの厚みは、例えば、10μm〜1000μm程度であれば良い。アノード1aは、その厚みを大きくして、MEA1の支持体として機能させても良い。図1は、アノード1aの厚みをカソード1cよりも大きく示し、アノード1aがMEA1の支持体として機能する場合を示している。アノード1aの厚みは、これに限定されるものではなく、例えば、カソード1cと同じ厚みであっても良い。

0067

(固体電解質層)
固体電解質層1bは、イオン伝導性を有する固体酸化物を含む。固体電解質層1bを移動するイオンとしては特に限定されず、酸化物イオンであっても良いし、プロトンであっても良い。なかでも、固体電解質層1bは、プロトン伝導性を有することが好ましい。プロトン伝導型酸化物型燃料電池(Protonic Ceramic Fuel Cells、PCFC)は、例えば400〜600℃の中温域稼働できる。そのため、PCFCは、多様な用途に使用可能である。

0068

固体電解質層1bの材料としては、例えば、アノード1aの材料として例示した固体酸化物が同じく例示される。固体電解質層1bの厚みは、特に限定されないが、5μm〜100μm程度であることが、抵抗が低く抑えられる点で好ましい。

0069

(MEAの製造方法)
MEA1の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、アノード用材料をプレス成形する工程と、得られたアノード成形体の片面に、固体酸化物を含む固体電解質用材料を積層し、焼結する工程と、焼結された固体電解質の表面に、カソード用材料を積層し、焼結する工程と、を備える方法により、製造することができる。このようにして製造されたMEA1において、アノード1aと固体電解質層1bとカソード1cとは一体化されている。

0070

固体電解質用材料を積層する工程は、例えば、アノード成形体の片面に、固体電解質用材料の粉末と水溶性バインダ樹脂とを混合したペーストを、スクリーン印刷スプレー塗布スピンコートディップコート等により付与することにより行われる。カソード用材料も同様にして、固体電解質の表面に積層することができる。

0071

固体電解質用材料の焼結は、アノード成形体と固体電解質用材料との積層体を、酸素雰囲気下で、例えば1300〜1500℃に加熱することにより行われる。焼結の雰囲気中の酸素含有量は、特に限定されず、50体積%以上であっても良いし、60体積%以上であっても良い。加熱温度は、1350〜1450℃であることが好ましい。焼結は、常圧下または加圧下で行うことができる。

0072

固体電解質用材料を積層する前に、アノード用材料を仮焼結しても良い。仮焼結は、アノード用材料が焼結される温度よりも低い温度(例えば、900〜1100℃)で行えばよい。仮焼結を行うことにより、固体電解質用材料が積層され易くなる。

0073

固体電解質用材料を焼結する前に、各材料に含まれるバインダ等の樹脂成分を除去しても良い。すなわち、カソード用材料を積層した後、大気中で500〜800℃程度の比較的低い温度に加熱して、各材料に含まれる樹脂成分を除去する。その後、酸素雰囲気下で、積層体を1300〜1500℃に加熱して、各材料を焼結させてもよい。

0074

カソード用材料の焼結は、固体電解質層が形成されたアノード成形体とカソード用材料との積層体を、酸素雰囲気下で、例えば800〜1100℃で焼結することにより行われる。焼結の雰囲気中の酸素含有量は、特に限定されず、例えば、上記範囲であれば良い。
焼結は、常圧下または加圧下で行うことができる。

0075

(インターコネクタ)
インターコネクタ3aおよび3bは、燃料ガスと空気とを分離する。MEA1と各金属多孔体2(2a、2b)とインターコネクタ3aおよび3bとが組み合わされて、一つの構成単位が形成される。燃料電池10が、積層された複数の上記構成単位を含む場合、インターコネクタの一方の面を第2金属多孔体2bに接触させ、他方の面をMEA1の一方の面に接触させても良い。

0076

インターコネクタ3aおよび3bの材料としては、導電性および耐熱性の点で、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金等の耐熱合金が例示できる。PCFCの場合、動作温度が400〜600℃程度であるため、安価なステンレス鋼をインターコネクタの材料として用いることができる。インターコネクタ3aおよび3bの材料は、同じであっても良いし、異なっていても良い。

0077

第2金属多孔体2bは優れたガス拡散性を有するため、第2金属多孔体2bに隣接するインターコネクタ3aの第2金属多孔体2bに対向する面には、ガス流路を形成することを要せず、当該面は平滑であっても良い。平滑とは、ガス流路としての機能を発揮する程度の凹凸を有していないことをいう。

0078

これにより、インターコネクタ3aとして加工性の低いクロム基合金を用いる場合であっても、エッチングを施すことなくインターコネクタとして使用することができる。そのため、生産性が向上するとともに、コストが低減する。なお、燃料電池10が、積層された複数の上記セルを含む場合、インターコネクタの第2金属多孔体2bに接触しない面(MEA1に接触する面)には、ガス流路が形成されていても良い。

0079

ここで、上記のような三次元網目状の骨格を有する金属多孔体は、燃料電池以外に、水の電気分解電解)による水素の製造にも好適に使用できる。水素の製造方式には、大きく分けて(1)アルカリ性水溶液を用いるアルカリ水電解方式、(2)PEM方式(polymer electrolyte membrane:高分子電解質膜方式)、(3)SOEC方式(Solid Oxide Electrolysis Cell:固体酸化物形電解セル方式)があり、いずれの方式にも、上記金属多孔体を用いることができる。なお、上記金属多孔体には、第1金属多孔体2a、第2金属多孔体2b、その他の三次元網目状の骨格を有する金属多孔体、あるいは、これら2種以上の組み合わせが含まれる(以下、同じ)。

0080

(1)アルカリ水電解方式は、アルカリ性水溶液(好ましくは強アルカリ性水溶液)に陽極および陰極を浸漬し、陽極と陰極との間に電圧を印加することにより、水を電気分解する方式である。この場合、少なくともいずれか一方の電極に上記金属多孔体を使用する。陽極では、水酸化イオンが酸化されて、酸素と水が生成される。陰極では、水素イオンが還元されて、水素が発生する。上記金属多孔体は表面積が大きいため、各イオンと金属多孔体との接触面積が大きく、水の電解効率が向上する。また、上記金属多孔体は良好な電気伝導性を備えているため、水の電解効率はより向上する。さらに、上記金属多孔体は気孔率が高いため、発生した水素および酸素が速やかに脱離できる。この点においても、水の電解効率の向上が期待できる。

0081

上記金属多孔体を構成する金属は特に限定されず、第1金属多孔体2aまたは第2金属多孔体2bを構成する金属として例示したものと同じ金属を例示することができる。なかでも、安価であり、水素発生反応に対して良好な触媒能を有している点で、陰極に用いられる上記金属多孔体は、NiまたはNi合金を含むことが好ましい。触媒活性の点で、陽極に用いられる上記金属多孔体は、プラチナを含むことが好ましい。

0082

上記金属多孔体の気孔径は、100μm以上、5000μm以下が好ましい。上記金属多孔体の気孔径が上記範囲であれば、各電極で発生した水素または酸素が速やかに脱離できるため、電解効率がさらに向上するとともに、各電極と水素イオンまたは水酸化イオンとの十分な接触面積が確保できる。同様の観点から、上記金属多孔体の気孔径は400μm以上、4000μm以下が好ましい。なお、気泡の脱離性保水性および電気的接続を考慮して、異なる気孔径を持つ複数の上記金属多孔体(例えば、第1金属多孔体2aおよび第2金属多孔体2b)を積層して、1つの電極を構成してもよい。この場合、積層された複数の金属多孔体同士は、その界面で互いの骨格が絡み合うことにより接合されていることが好ましい。さらに、他の金属製の多孔体を上記金属多孔体と組み合わせて用いてもよい。

0083

上記金属多孔体の厚さおよび単位面積当たりの質量(金属量)は、製造装置規模によって適宜設定すればよい。例えば、撓み等が生じないように、各電極の主面の面積に応じて、厚さや単位面積当たりの質量等を設定すればよい。

0084

発生した水素と酸素との混合を防止するために、陽極と陰極との間にセパレータを配置することが好ましい。セパレータの材質は特に限定されず、湿潤性イオン透過性耐アルカリ性非導電性非通気性熱安定性等を有していればよい。このようなセパレータの材質としては、チタン酸カリウム含浸されたフッ素樹脂ポリアンチモン酸ポリスルホン親水ポリフェニレンスルフィドポリフッ化ビニリデンポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。陽極と陰極とセパレータとからなるものを構成単位として複数スタックして用いる場合、短絡防止の観点から、各構成単位同士の間にも上記したようなセパレータを配置することが好ましい。

0085

アルカリ性水溶液の溶質も特に限定されず、例えば、アルカリ金属リチウムナトリウムカリウムルビジウムセシウムフランシウム)あるいはアルカリ土類金属カルシウム、ストロンチウム、バリウムラジウム)の水酸化物等が挙げられる。なかでも、強アルカリ性水溶液が得られる点で、アルカリ金属の水酸化物(特に、NaOH、KOH)が好ましい。アルカリ性水溶液の濃度も特に限定されず、電解効率の観点から、20〜40質量%であればよい。動作温度は、例えば60〜90℃程度であり、電流密度は、例えば0.1〜0.3A/cm2程度である。

0086

(2)PEM方式は、高分子電解質膜を用いて水を電気分解する方法である。具体的には、PEM方式では、高分子電解質膜の両面に陽極および陰極をそれぞれ配置し、陽極に水を導入するとともに、陽極と陰極との間に電圧を印加することにより、水を電気分解する。この場合、少なくとも陽極として、上記金属多孔体を用いる。PEM方式では、高分子電解質膜によって陽極側と陰極側とが完全に分離されているため、(1)アルカリ水電解方式と比較して、純度の高い水素を取り出せる利点がある。また、上記金属多孔体は、表面積が大きく良好な電気伝導性を備えている。そのため、上記金属多孔体は、PEM方式を用いる水素製造装置(PEM式水素製造装置)の陽極として、好適に使用できる。

0087

ここで、PEM式水素製造装置により発生したプロトンは、高分子電解質膜を通って陰極へと移動し、陰極側で水素として取り出される。つまり、PEM式水素製造装置は、水素および酸素を反応させて発電し、水を排出する固体高分子型燃料電池とは、全く逆の反応を利用するものでありながら、同様の構成を有している。PEM式水素製造装置の動作温度は100℃程度である。高分子電解質膜としては、体高分子型燃料電池あるいはPEM式水素製造装置に従来使用されている、パーフルオロスルホン酸ポリマー等のプロトン伝導性の高分子が使用できる。なお、発生した水素が速やかに脱離できる点で、陰極もまた、上記金属多孔体を含むことが好ましい。

0088

上記金属多孔体を構成する金属は特に限定されず、第1金属多孔体2aまたは第2金属多孔体2bを構成する金属として例示したものと同じ金属を例示することができる。なかでも、安価であり、水素発生反応に対して良好な触媒能を有している点で、陽極に用いられる上記金属多孔体は、NiまたはNi合金を含むことが好ましい。触媒活性の点で、陰極に用いられる上記金属多孔体は、ロジウムを含むことが好ましい。

0089

上記金属多孔体の気孔径は、100μm以上、5000μm以下が好ましい。上記金属多孔体の気孔径が上記範囲であれば、各電極で発生した水素または酸素が速やかに脱離できるため、電解効率がさらに向上するとともに、保水性が高まる。特に陽極の保水性が小さいと、水が陽極と十分に反応する前に通り抜けてしまうため、電解効率が低下し易くなる。同様の観点から、上記金属多孔体の気孔径は400μm以上、4000μm以下が好ましい。なお、気泡の脱離性、保水性および電気的接続を考慮して、異なる気孔径を持つ複数の上記金属多孔体を積層して、1つの電極を構成してもよい。なかでも、陽極は、第1金属多孔体2aと第2金属多孔体2bとを積層して、構成されることが好ましい。この場合、第1金属多孔体2aを高分子電解質膜側に配置する。これにより、水の電解効率はさらに向上する。また、積層された複数の金属多孔体同士は、その界面で互いの骨格が絡み合うことにより接合されていることが好ましい。さらに、他の金属製の多孔体を上記金属多孔体と組み合わせて用いてもよい。

0090

上記金属多孔体の厚さおよび単位面積当たりの質量は、製造装置の規模によって適宜設定すればよい。なかでも、上記金属多孔体の気孔率が30%以上となるように、厚さと単位面積当たりの質量とを調整することが好ましい。上記金属多孔体の気孔率が30%より小さくなると、上記金属多孔体の内部に水を流す際の圧力損失が大きくなるためである。
また、本方式において、高分子電解質膜と電極として用いられる上記金属多孔体とは、圧着されることにより導通する。そのため、両者を圧着する際の各電極の変形およびクリープによる電気抵抗増加が実用上問題ない範囲になるように、上記金属多孔体の単位面積当たりの質量を調節することが好ましい。上記金属多孔体の単位面積当たりの質量は、400g/m2以上が好ましい。

0091

(3)SOEC方式(水蒸気電解方式ともいう)は、固体酸化物電解質膜を用いて水蒸気を電気分解する方法である。具体的には、SOEC方式では、固体酸化物電解質膜の両面に陽極および陰極をそれぞれ配置し、いずれかの電極に水蒸気を導入するとともに、陽極と陰極との間に電圧を印加することにより、水蒸気を電気分解する。

0092

SOEC方式では、固体酸化物電解質膜がプロトン伝導性であるか酸化物イオン伝導性であるかによって、水蒸気を導入する電極が異なる。固体酸化物電解質膜が酸化物イオン伝導性である場合、水蒸気は陰極に導入される。水蒸気は陰極で電気分解されて、プロトンおよび酸化物イオンが生成される。生成したプロトンは、そのまま陰極で還元されて水素として取り出される。酸化物イオンは固体酸化物電解質膜を通過して陽極へと移動した後、陽極で酸化されて、酸素として取り出される。一方、固体酸化物電解質膜がプロトン伝導性である場合、水蒸気は陽極に導入される。水蒸気は陽極で電気分解されて、プロトンおよび酸化物イオンが生成される。生成したプロトンは固体酸化物電解質膜を通って陰極へと移動した後、陰極で還元されて水素として取り出される。酸化物イオンは、そのまま陽極で酸化されて、酸素として取り出される。

0093

SOEC方式では、水蒸気が導入される電極として、上記金属多孔体を用いる。上記金属多孔体は表面積が大きいため、水蒸気と電極との接触面積も大きくなり、水蒸気の電解効率が向上する。さらに、上記金属多孔体は良好な電気伝導性を備えているため、水蒸気の電解効率はより向上する。

0094

高純度の水素が得られ易い点で、固体酸化物電解質膜はプロトン伝導性であることが好ましい。固体酸化物電解質膜がプロトン伝導性である場合、水蒸気が導入される電極と水素が取り出される電極とが異なるためである。この場合、上記金属多孔体は、陽極に用いられる。なお、発生した水素が速やかに脱離できる点で、陰極もまた上記金属多孔体を含むことが好ましい。

0095

SOEC方式を用いる水素製造装置(SOEC式水素製造装置)と、水素および酸素を反応させて発電し、水を排出する固体酸化物型燃料電池とは、全く逆の反応を利用するものでありながら、同様の構成を有している。SOEC式水素製造装置の動作温度は600℃〜800℃程度であり、陽極では酸素が発生する。そのため、陽極は高温酸化雰囲気に置かれる。上記金属多孔体は、高い耐酸化性および耐熱性を備えているため、SOEC式水素製造装置の特に陽極として好適に使用できる。

0096

上記金属多孔体を構成する金属は特に限定されず、第1金属多孔体2aまたは第2金属多孔体2bを構成する金属として例示したものと同じ金属を例示することができる。なかでも、酸化雰囲気となる陽極は、Crなどの高い耐酸化性を有する金属を、3〜30質量%含有するNi合金を含む上記金属多孔体を用いることが好ましい。電気抵抗の点で、陰極に用いられる上記金属多孔体は、Snを含むことが好ましい。

0097

上記金属多孔体の気孔径は、100μm以上、5000μm以下が好ましい。上記金属多孔体の気孔径が上記範囲であれば、水蒸気の圧力損失が適切な範囲になって、電解効率が高まる。また、上記金属多孔体を陰極に用いた場合、発生した水素も速やかに脱離することができる。同様の観点から、上記金属多孔体の気孔径は400μm以上、4000μm以下が好ましい。なお、気泡の脱離性、保水性および電気的接続を考慮して、異なる気孔径を持つ複数の上記金属多孔体を積層して、1つの電極を構成してもよい。なかでも、水蒸気が導入される電極は、第1金属多孔体2aと第2金属多孔体2bとを積層して、構成されることが好ましい。この場合、第1金属多孔体2aを固体酸化物電解質膜側に配置する。これにより、水蒸気の電解効率はさらに向上する。また、積層された複数の金属多孔体同士は、その界面で互いの骨格が絡み合うことにより接合されていることが好ましい。さらに、他の金属製の多孔体を上記金属多孔体と組み合わせて用いてもよい。

0098

上記金属多孔体の厚さおよび単位面積当たりの質量は、水素製造装置の規模によって適宜設定すればよい。なかでも、上記金属多孔体の気孔率が30%以上となるように、厚さと単位面積当たりの質量とを調整することが好ましい。上記金属多孔体の気孔率が30%より小さくなると、上記金属多孔体の内部に水蒸気を流す際の圧力損失が大きくなるためである。また、本方式において、固体酸化物電解質膜と電極として用いられる上記金属多孔体とは、圧着されることにより導通する。そのため、両者を圧着する際の各電極の変形およびクリープによる電気抵抗増加が実用上問題ない範囲になるように、上記金属多孔体の単位面積当たりの質量を調節することが好ましい。上記金属多孔体の単位面積当たりの質量は、400g/m2以上が好ましい。

0099

図5に、プロトン伝導性の固体酸化物電解質膜を用いたSOEC式水素製造装置20の要部の断面を模式的に示す。なお、図5では、電源を省略している。水素製造装置20は、固体酸化物電解質膜21bを含む構造体21と、構造体21の各主面にそれぞれ対向する陽極22Aおよび陰極22Bと、陽極22Aの構造体21とは反対側の主面に対向する板状部材23Aと、陰極22Bの構造体21とは反対側の主面に対向する板状部材23Bと、図示しない電源と、を備える。水蒸気Vは陽極22Aに導入される。

0100

陽極22Aおよび陰極22Bはいずれも、上記したような三次元網目状の骨格を有する金属多孔体である。さらに、陽極22Aは、互いに異なる気孔径を持つ金属多孔体22aおよび金属多孔体22bにより構成されている。ここで、金属多孔体22aの気孔径は、金属多孔体22bの気孔径よりも小さい。板状部材23Aおよび23Bは、水蒸気および酸素と水素とが混合しないように配置されたセパレータである。

0101

SOEC式水素製造装置20は、陰極22Bおよび電源を備える以外、図1に示す燃料電池10と同様の構成を有している。すなわち、金属多孔体22aは第1金属多孔体2aに対応し、金属多孔体22bは第2金属多孔体2bに対応する。構造体21は、プロトン伝導性を有する固体酸化物を含む固体酸化物電解質膜21bと、その各主面に対向するように配置された多孔質層21aおよび21cとを備える。多孔質層21aおよび21cは、固体酸化物電解質膜21bをサポートしている。固体酸化物電解質膜21bは、固体電解質層1bとして例示したのと同じプロトン伝導性を有する固体酸化物を含む。また、陽極22A側に配置された多孔質層21aは、アノード1aと同様、上記固体酸化物と触媒成分である酸化ニッケル(NiO)との複合酸化物により形成されている。そのため、電解効率がさらに高まる。多孔質層21cは、例えば、カソード1cで例示したのと同じ化合物により形成される。

0102

板状部材23Aおよび23Bの構成は、それぞれインターコネクタ3aおよび3bに対応している。陰極22Bに隣接する板状部材23Bには、ガス流路24が形成されていてもよい。この場合、陰極22Bで発生した水素は、ガス流路24を経由して取り出すことができる。

0103

[付記]
上記アルカリ水電解方式を用いる水素製造装置に関し、以下の付記1−1を開示する。
(付記1−1)
アルカリ性水溶液を収容する電解槽と、
前記アルカリ性水溶液に浸漬される陽極および陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源と、を備え、
前記陽極および前記陰極の少なくとも一方が、三次元網目状の骨格を有する金属多孔体を含む、水素製造装置。

0104

上記アルカリ水電解方式を用いる水素の製造方法に関し、以下の付記1−2を開示する。
(付記1−2)
陽極、陰極およびアルカリ性水溶液を、それぞれ準備する工程と、
前記アルカリ性水溶液に、前記陽極および前記陰極を浸漬する工程と、
前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する工程と、を備え、
前記陽極および前記陰極の少なくとも一方が、三次元網目状の骨格を有する金属多孔体を含む、水素の製造方法。

0105

上記PEM方式を用いる水素製造装置に関し、以下の付記2−1を開示する。
(付記2−1)
陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に介在する高分子電解質膜と、
前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源と、を備え、
少なくとも前記陽極が、三次元網目状の骨格を有する金属多孔体を含む、水素製造装置。

0106

上記PEM方式を用いる水素の製造方法に関し、以下の付記2−2を開示する。
(付記2−2)
陽極、陰極、および、前記陽極と前記陰極との間に介在する高分子電解質膜を準備する工程と、
前記陽極に水を導入する工程と、
前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する工程と、を備え、
少なくとも前記陽極が、三次元網目状の骨格を有する金属多孔体を含む、水素の製造方法。

0107

上記SOEC方式を用いる水素製造装置に関し、以下の付記3−1を開示する。
(付記3−1)
陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に介在する固体酸化物電解質膜と、
前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源と、を備え、
前記陽極および前記陰極の少なくとも一方が、三次元網目状の骨格を有する金属多孔体を含む、水素製造装置。

0108

上記SOEC方式を用いる水素の製造方法に関し、以下の付記3−2を開示する。
(付記3−2)
陽極、陰極、および、前記陽極と前記陰極との間に介在する固体酸化物電解質膜を準備する工程と、
前記陽極または前記陰極に水蒸気を導入する工程と、
前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する工程と、を備え、
前記陽極および前記陰極のうち、少なくとも前記水蒸気が導入される電極が、三次元網目状の骨格を有する金属多孔体を含む、水素の製造方法。

0109

三次元網目状の骨格を有する金属多孔体は、表面積が大きく、高い気孔率を備えているとともに、電気伝導性に優れる。付記で開示された水素製造装置および水素の製造方法によれば、陽極および陰極の少なくとも一方の電極に上記金属多孔体が含まれるため、水(水蒸気)の電解効率が向上する。特に、PEM方式およびSOEC方式において、陽極および陰極のうち、水あるいは水蒸気が導入される電極が、異なる気孔径を持つ複数の上記金属多孔体を含む場合、水の電解効率はさらに向上する。このとき、気孔径のより小さい上記金属多孔体を、高分子電解質膜側あるいは固体酸化物電解質膜側に配置する。

0110

次に、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。

0111

[実施例1]
下記の手順で燃料電池を作製した。
(1)第1金属多孔体の前駆体(第1前駆体)の準備
第1金属多孔体の前駆体(第1前駆体A)として、住友電気工業株式会社製のニッケルのセルメット(登録商標)、品番#8を準備した。

0112

(2)第2金属多孔体の前駆体(第2前駆体)の準備
第2金属多孔体の前駆体(第2前駆体A)として、住友電気工業株式会社製のニッケルのセルメット(登録商標)、品番#4を準備した。

0113

(3)複合材料の作製
第1前駆体Aと第2前駆体Aとを積層して、1MPaの荷重でロールプレスを行い、第1金属多孔体Aと第2金属多孔体Aとが接合された複合材料Aを作製した。第1金属多孔体Aにおいて、気孔径D1は450μm、気孔率P1は95体積%、平均セル径V1は500μm、密度C1は60個/2.54cm、厚みは1.4mmμmであった。第2金属多孔体Aにおいて、気孔径D2は900μm、気孔率P2は95体積%、平均セル径V2は1200μm、密度C2は30個/2.54cm、厚みは2.0mmであった。

0114

(4)MEAの作製
下記の手順でMEAを作製した。
まず、BZY(BaZr0.8Y0.2O2.9)に、Ni(触媒成分)を70体積%含むようにNiOを混合し、ボールミルによって粉砕混練した。次いで、得られた混練物をプレス成形して、アノードを構成する成形体(厚さ550μm)を形成し、1000℃で仮焼結した。続いて、上記成形体の一方の面に、BZY(BaZr0.8Y0.2O2.9)と水溶性バインダ樹脂エチルセルロース)とを混合したペーストをスクリーン印刷によって塗布した後、750℃で水溶性バインダ樹脂を除去した。続いて、酸素雰囲気下、1400℃で共焼成させることにより、アノードと固体電解質層(厚さ10μm)とを形成した。

0115

続いて、固体電解質層の表面に、カソードの材料であるLSCF(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3−δ)の粉末とエチルセルロースとを混合したLSCFペーストをスクリーン印刷し、酸素雰囲気下、1000℃で2時間の焼成を行うことにより、MEAを作製した。カソードの厚みは10μmであった。

0116

(5)燃料電池の作製
複合材料Aを、上記で得られたMEAのアノードの表面に、アノードに第1金属多孔体が対向するように積層し、さらに、平滑な表面を有するステンレス鋼製のアノード側インターコネクタを積層した。一方、カソードの表面に、ガス流路を有するステンレス鋼製のカソード側インターコネクタを積層して、図1に示す燃料電池Aを製作した。アノード側インターコネクタおよびカソード側インターコネクタのそれぞれに、リード線の一方の端部を接合した。各リード線の他方の端部は、燃料電池の外部に引き出し、各リード線の間の電流値および電圧値計測できるように、計測器に接続した。

0117

(6)発電性能評価
動作温度を600℃として、作製された燃料電池Aのアノードに燃料ガス(水素)を0.3L/分で流し、カソードに空気を1.0L/分で流した時の最大の出力密度を求めた。結果を表1に示す。

0118

(7)圧力損失評価
複合材料Aを、第2金属多孔体が上流側になるように微差圧計(0〜2.0KPa)にセットして、上流側の空気圧P0および下流側の空気圧P1を測定し、圧力損失(=P0−P1)を算出した。結果を表1に示す。

0119

[比較例1]
複合材料Aに替えて、ニッケル焼結体(気孔径200μm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして燃料電池Bを作製し、評価した。結果を表1に示す。

0120

0121

ニッケル焼結体を用いた燃料電池Bは、圧力損失が非常に大きく、発電性能に劣っていることがわかる。一方、気孔径の異なる2種の金属多孔体を用いた燃料電池Aは、圧力損失が小さく、発電性能に優れる。

0122

1:MEA、1a:アノード、1b:固体電解質層、1c:カソード、2a:第1金属多孔体、2b:第2金属多孔体、3a、3b:インターコネクタ、4:ガス流路、10:燃料電池、101:空孔、102:繊維部、102a:空洞、103:開口、20:水素製造装置、21:構造体、21a、21c:多孔質層、21b:固体酸化物電解質膜、22A:陽極、22B:陰極、22a、22b:金属多孔体、23A、23B:板状部材、24:ガス流路

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