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技術 乳製品

出願人 合同酒精株式会社
発明者 小笠原準季堀口博文
出願日 2016年7月5日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2017-527461
公開日 2018年4月19日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 WO2017-006926
状態 特許登録済
技術分野 乳製品 酵素・酵素の調製
主要キーワード 戻り距離 最大負荷値 表面圧縮 各分析値 国際標準法 味認識装置 低分子分解物 ストローク目
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年4月19日)のものです。
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図面 (11)

課題・解決手段

一定の固さを有し、かつ風味の良好な新たな乳製品を提供する。カゼインを含有する乳由来原料と、配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなるタンパク質とを含有する乳製品。

概要

背景

乳製品の中には、液状のものと固体状のものとがある。固体状の乳製品としては、チーズ発酵乳ヨーグルト等)などが知られている。ヨーグルトは乳酸発酵の結果として固体状になる。一方チーズは、凝乳酵素であるレンネット哺乳動物で作られる酵素)のカゼインへの作用により固体状になる(特許文献1)。またレンネットとしては微生物由来遺伝子組み換え体も知られている(特許文献1、2)。

概要

一定の固さを有し、かつ風味の良好な新たな乳製品を提供する。カゼインを含有する乳由来原料と、配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなるタンパク質とを含有する乳製品。

目的

従って、一定の固さを有し、かつ風味の良好な新たな乳製品の開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

カゼインを含有する乳由来原料と、配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなるタンパク質とを含有する乳製品

請求項2

前記タンパク質が、トリコデルマ属に属する微生物由来するタンパク質である請求項1記載の乳製品。

請求項3

さらに乳酸菌又は酵母を含む請求項1又は2記載の乳製品。

請求項4

発酵乳又はチーズである請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳製品。

請求項5

バイト法における破断応力が5500Pa以上であり、破断付着性が800J/m3以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳製品。

請求項6

増粘剤、安定剤、ゲル化剤及び糊料からなる凝固成分を実質的に含有しない請求項1〜5のいずれか1項に記載の乳製品。

請求項7

カゼインを含有する乳由来原料に、配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなるタンパク質と、乳酸菌とを添加し、発酵させることを特徴とする乳製品の製造方法。

請求項8

配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなるタンパク質を含有する乳製品用凝乳剤。

技術分野

0001

本発明は、新食感乳製品及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

乳製品の中には、液状のものと固体状のものとがある。固体状の乳製品としては、チーズ発酵乳ヨーグルト等)などが知られている。ヨーグルトは乳酸発酵の結果として固体状になる。一方チーズは、凝乳酵素であるレンネット哺乳動物で作られる酵素)のカゼインへの作用により固体状になる(特許文献1)。またレンネットとしては微生物由来遺伝子組み換え体も知られている(特許文献1、2)。

先行技術

0003

特開2004−33093号公報
特公平2−18834号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、レンネットで凝固した乳製品は苦味が生じるという問題がある。また、乳酸発酵によるヨーグルトは、その固さが十分でない場合が多く、流通時及び保存時の保形性を考慮して市販のヨーグルトには増粘剤ゲル化剤が配合されていることもある。
従って、一定の固さを有し、かつ風味の良好な新たな乳製品の開発が望まれている。

課題を解決するための手段

0005

そこで本発明者は、レンネットに代わる新たな凝乳成分を見出すべく種々検討した結果、トリコデルマ属に属する微生物が産生すると予測され、アミノ酸配列が予測されているにすぎないタンパク質及びその類縁体が、優れた凝乳作用を有し、特に乳酸菌酵母とともに発酵させて得られた発酵乳はチーズ様の固さを有し、かつ苦味を有さず風味も良好な乳製品となることを見出し、本発明を完成した。

0006

すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔8〕を提供するものである。

0007

〔1〕カゼインを含有する乳由来原料と、配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなるタンパク質とを含有する乳製品。
〔2〕前記タンパク質が、トリコデルマ属に属する微生物に由来するタンパク質である〔1〕記載の乳製品。
〔3〕さらに乳酸菌又は酵母を含む〔1〕又は〔2〕記載の乳製品。
〔4〕発酵乳又はチーズである〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の乳製品。
〔5〕2バイト法における破断応力が5500Pa以上であり、破断付着性が800J/m3以上である〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の乳製品。
〔6〕増粘剤、安定剤、ゲル化剤及び糊料からなる凝固成分を実質的に含有しない〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の乳製品。
〔7〕カゼインを含有する乳由来原料に、配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなるタンパク質と、乳酸菌とを添加し、発酵させることを特徴とする乳製品の製造方法。
〔8〕配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなるタンパク質を含有する乳製品用凝乳剤。

発明の効果

0008

本発明の乳製品は、チーズのような固さを有し、かつ風味も良好であり、新たな食感の乳製品として有用である。本発明で用いる特定のタンパク質と乳由来原料との反応条件を種々調整することによって、本発明乳製品の固さを、従来のヨーグルトよりも固く、従来のチーズよりも柔らかい範囲で製造することができる。

図面の簡単な説明

0009

ODO−TCF由来プロテアーゼ(配列番号1)の温度依存性を示す。
GODO−TCF由来プロテアーゼ(配列番号1)の温度安定性を示す。
GODO−TCF由来プロテアーゼ(配列番号1)のpH安定性を示す。
GODO−TCF由来プロテアーゼ(配列番号1)のpH依存性を示す。
pH5.5における各酵素のカゼインに対する作用を示す。
pH7.2におけるGODO−TCF由来プロテアーゼ(配列番号1)に対する作用を示す。
GODO−TCFによるpH調整牛乳凝固性を示す。上:加熱処理、中:GODO−TCF1%添加、下:GODO−TCF10%添加。
乳酸菌発酵中のヨーグルトにおけるpHの経時変化を示す。(矢印は、チューブを傾け表面が動かなくなった点)
破断強度解析結果を示す。
非破断条件でのテクスチャー解析結果を示す。
破断条件でのテクスチャー解析結果を示す。

0010

本発明の乳製品に用いられる配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなるタンパク質としては、トリコデルマ属(Trichoderma)に属する微生物由来のタンパク質が好ましい。より具体的には、Trichoderma reesei QM6a(NCBI記載の入手可能な菌)由来の機能未知の予測タンパク質(配列番号1で示されるアミノ酸配列と100%同一)、Trichoderma reesei由来の市販セルラーゼGODO−TCF中に含まれるタンパク質(配列番号1で示されるアミノ酸配列と100%同一)、Trichoderma virens Gv29−8(NCBI記載の入手可能な菌)由来の仮想タンパク質RIVIDRAFT_215801(配列番号1で示されるアミノ酸配列と94%同一:配列番号2)、Trichoderma atroviride由来の液胞タンパク質A(配列番号1で示されるアミノ酸配列と92%同一:配列番号3)、Trichoderma aureoviride由来の液胞タンパク質(配列番号1で示されるアミノ酸配列と93%同一)等が挙げられる。
より好ましいタンパク質は、配列番号1で示されるアミノ酸配列との同一性が92%以上のタンパク質であり、さらに好ましくは前記同一性が93%以上のタンパク質であり、さらに好ましくは前記同一性が94%以上のタンパク質であり、さらに好ましくは前記同一性が95%以上のタンパク質である。

0011

本発明で用いられる前記タンパク質は、トリコデルマ属に属する微生物から抽出してもよく、遺伝子組み換え手法により製造してもよい。なお、当該タンパク質には、凝乳作用を有する限り、糖が結合したタンパク質も含まれる。

0012

本発明で用いられる前記タンパク質は、カゼイン分解活性を有することから、プロテアーゼ活性を有する。また、カゼインのうち、κ−カゼインに対する分解活性が高く、α−カゼイン及びβ−カゼインに対する分解活性はκ−カゼインに対する分解活性よりも弱い。
前記タンパク質は、わずかな添加量で乳由来原料に含まれるκ−カゼインを分解する。これによって、α−カゼイン(分解物を含む)及びβ−カゼイン(分解物を含む)が凝集するため、乳製品の固さが増す。

0013

前記タンパク質は、精製したものを用いてもよいし、前記タンパク質を含有する前記トリコデルマ属に属する微生物の培養物培養液を含む)、培養物の抽出物等を用いることができる。例えば、前記セルラーゼGODO−TCFをそのまま用いてもよい。

0014

本発明の乳製品に用いられるカゼインを含有する乳由来原料としては、カゼインを含有すればよく、例えば、牛乳、やぎ乳、乳、馬乳母乳等の液状物及び粉状物が挙げられる。粉乳を使用する場合、水等に混合したものを用いればよい。なお、乳には、生乳低脂肪牛乳、無脂肪牛乳加工乳も含まれる。

0015

本発明の乳製品に含まれる前記タンパク質の含有量は、凝乳活性を奏する量であればよい。凝乳活性を奏するか否かは、使用する乳由来原料の種類、当該乳由来原料に含まれるカゼインの量及び製造条件(反応時間、反応温度、反応pH等)等により変化する。このため、前記タンパク質の含有量は一概には言えないが、例えば、乳由来原料に添加するときにおける前記タンパク質の凝乳活性(カゼイン分解活性)を乳原料100gあたり20U〜300Uの範囲にすると、従来にない乳製品の固さを得やすくなる。
カゼイン分解の有無は、得られた乳製品をSDS−PAGE等により分析することで確認することができる。

0016

本発明の乳製品に含まれる前記タンパク質の酸性プロテアーゼ活性は、乳原料100g中に3000U以下であることが好ましい。
当該値を超えると、乳製品の風味が悪くなるおそれがある。

0017

本発明の乳製品は、風味及び食感の点から、さらに乳酸菌又は酵母を含有するのが好ましい。前記タンパク質と乳酸菌を併用した乳製品は、従来の発酵乳に比べ固さが増すことから、本発明の乳製品は乳酸菌を含有するのがより好ましい。
ここで乳酸菌としては、ラクトバシラス属ビフィドバクテリウム属エンテロコッカス属ラクトコッカス属リューコノストック属に属する乳酸菌を用いることができる。

0018

本発明の乳製品中の乳酸菌の含有量は、特に限定されないが、100万個/1mL以上が好ましく、500万個/1mL以上がより好ましく、1000万個/1mL以上がさらに好ましい。

0019

また、本発明の乳製品は、必要に応じて、シロップ等の甘味料の他、それ以外の各種食品素材、例えば、各種糖質乳化剤、各種ビタミン剤等の任意成分を配合することができる。具体的には、ショ糖グルコースフルクトースパラチノーストレハロースラクトースキシロース麦芽糖等の糖質、ソルビトールキシリトールエリスリトールラクチトールパラチニット還元水飴還元麦芽糖水飴等の糖アルコールアスパルテームソーマチンスクラロースアセスルファムK、ステビア等の高甘味度甘味料ショ糖脂肪酸エステルグリセリン脂肪酸エステルポリグリセリン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルレシチン等の乳化剤、クリームバターサワークリーム等の乳脂肪クエン酸乳酸酢酸リンゴ酸酒石酸グルコン酸等の酸味料ビタミンAビタミンB類ビタミンCビタミンE類等の各種ビタミン類カルシウムマグネシウム亜鉛、鉄、マンガン等のミネラル分、各種フレーバー類を配合することができる。
本発明の乳製品は、前記タンパク質の凝乳作用により十分な固さを有するため、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料等の凝固成分を含有させる必要がなく、実質的に含有しないのが好ましい。

0020

本発明の乳製品は、前記乳由来原料と前記タンパク質とを配合して凝乳させるか、あるいは前記乳由来原料と前記タンパク質と乳酸菌又は酵母とを配合し、通常の発酵食品の製造方法に従って製造することができる。発酵食品の製造方法としては、前記乳由来原料及び前記タンパク質を配合し、これに乳酸菌又は酵母を接種して培養し、これを均質化後、シロップ液等の任意成分、フレーバー等を添加する方法が挙げられる。

0021

本発明により得られる乳製品は、増粘剤等を添加しないにもかかわらず、固形状のヨーグルト以上の固さを有するという特有の食感を有し、かつ苦味などがなく風味も良好である。かかる食感は、前記タンパク質による特有の効果である。
本発明乳製品の2バイト法における破断応力は5500Pa以上であり、破断付着性は800J/m3以上であるのが、食感の点で好ましく、さらに破断応力は5500〜12000Paがより好ましく、破断付着性は800〜1200J/m3がより好ましい。

0022

本発明乳製品の好ましい形態としては、発酵乳、チーズ、アイスクリームアイスミルクラクトアイスが挙げられるが、発酵乳、チーズがより好ましい。さらに発酵乳としては、固形タイプのヨーグルトの形態が特に好ましい。

0023

前記タンパク質は、カゼインに作用して凝乳作用を示すので乳製品用凝乳剤として有用である。

0024

次に実施例を挙げて本発明を説明する。

0025

製造例1
(1)(GODO−TCFからプロテアーゼの分離)
GODO−TCF(合同酒精株式会社製、Trichoderma reesei QM6aの変異株)100mLを、UFペンシル型モジュールAPI−0013(分画分子量6000)にて約50mLまで濃縮し、150mLの20mM MES緩衝液(pH6.0)を加えた。この手順を4回繰り返した。
得られた濃縮物を、20mM MES緩衝液(pH6.0)にて平衡化したGiga Cap Q−650M(TOYOPEARLカラムに供し、0−0.5M NaClのリニアグラジエントにより溶出した凝乳活性を含む画分を回収した。回収した活性画分終濃度が0.5Mとなるように硫酸アンモニウム(以下、AS)を加えた後、0.5M ASを含む20mM MES緩衝液(pH6.0)にて平衡化したButyl−650M(TOYOPEARL)カラムに供し、0.5−0M ASのリニアグラジエントにより溶出した。その後、活性画分を回収し、Amicon UltraTM−30K(分画分子量30kDa)により濃縮後(4000×g、120分間)、0.15M NaClを含む20mM MES緩衝液(pH6.0)にて平衡化したHiprep 16/60Sephacryl S−200 HR カラム(GE Healthcare)に供し、活性画分を回収した。
当該活性画分をSDS−PAGEに供したところ、約33kDaに単一バンドを確認した。

0026

(2)GODO−TCF由来のプロテアーゼのアミノ酸配列決定
(1)に記載した精製工程のButyl−650Mカラムクロマトグラフィーにより溶出した活性化画分を、SDS−PAGEに供し、約33kDaの目的酵素バンド切り出した後、ペプチド断片の配列からMascot seachプログラムによりNCBInrデータベースよりアミノ酸配列の相同性が高かったpredictedprotein[Trichoderma reesei QM6a]の遺伝子配列情報を取得した。取得した遺伝子情報を基に、PCRプライマー5‘−tacaaagaggctggttcctagcttcgtc−3‘(Foward:配列番号4)、5‘−taggactgtcttccgctctcaaactgc−3‘(Reverse:配列番号5)を設計し、Trichoderma reesei QM9414株のゲノムDNAを鋳型としてEX Taq(TaKaRa)を用いて目的遺伝子増幅を行った。増幅した約1600bpのDNA断片を切り出し、FastGene Gel/PCRExtraction(日本ジェネティクス)を用いて精製し、DNA配列情報を取得し、翻訳プログラムによりアミノ酸配列を決定した。得られたアミノ酸配列を配列番号1として示した。当該アミノ酸配列は、Trihoderma reesei QM6aのアミノ酸配列と100%一致した。

0027

(3)GODO−TCF由来プロテアーゼの諸特性
(方法)
(1)に記載した精製工程中の、Butyl−650Mの活性溶出画分の酵素サンプルを使用した。温度依存性は、20、30、40、45、50、55、60、65℃でのキモシン活性を指標とした。キモシン活性測定は、国際標準法を一部改変した方法で行った。基質溶液はLow−heat,Low−fat spray dried milk powderを、11g/100mLの濃度で溶解し、CaCl2を終濃度が3mMになるように添加したのち、1規定塩酸にてpHを5.5に調整した。測定温度にてプレインキュベートした酵素液0.1mLに、同じくプレインキュベートした基質溶液5mLを加え、泡立てないように撹拌した。その後、各温度で反応を行いながら、約1分おきに試験管を傾け、壁面に凝乳が付着するかを確認し、初めて付着する時間を測定した。測定値既知標準品と同時に測定し、それぞれの凝乳時間を調べ、活性値を算出した。
温度安定性は、酵素液を4、20、30、40、50、60、70にて2時間インキュベートした後、100mM MESbuffer(pH5.5,r.t.)にて2倍希釈後の残存したキモシン活性を前記した活性測定法に準じて測定した。
pH安定性は、酵素液をpH3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.2、7.5、8.0、8.5、9.0の各Buffer(pH3.0〜6.0:0.2Mクエン酸−クエン酸Na buffer、pH6.0〜8.0:0.2Mリン酸−リン酸Na buffer、pH7.2〜9.0:Tris−HCl buffer)にて3倍希釈したものを、4℃で6時間静置した。その後、100mM MES buffer(pH5.5,r.t.)にて2倍希釈し、残存したキモシン活性を前記した活性測定法に準じて測定した。
pH依存性は、酸可溶性ペプチド遊離活性法により評価した。基質溶液は、ミルクカゼインCALIOCHEM)を1.2g取し、蒸留水20mLと0.1MTris溶液を20ml加えて溶解させ、60℃、10分間沸騰浴中で加熱した。その後、500mMの各緩衝(pH3.0〜6.0:0.2Mクエン酸−クエン酸Na buffer、pH6.0〜8.0:0.2Mリン酸−リン酸Na buffer、pH7.2〜9.0:Tris−HCl buffer)を100mL加え、1規定の塩酸または水酸化ナトリウムにて各pHに調整後、蒸留水にて200mLにメスアップし、調製した。反応は、酵素液0.5mLを50℃で3分間プレインキュベートし、基質溶液を2.5mL加えてよく撹拌し、50℃にて10分間反応を行った。その後、トリクロロ酢酸を1.8g、無水酢酸を11.45g、酢酸を21mL混合し、蒸留水にて1Lに調整した沈殿試薬を2.5mL加え、室温で5分程度放置した。その後、ADVANTECNo.4Aろ紙にて濾過した濾液を、275nmにおける吸光度を測定し、1分間に1μgのチロシンに相当する酸可溶性低分子分解物を生じる酵素量を1単位とし、活性値を算出した。。

0028

(結果)
(1)GODO−TCF由来プロテアーゼ(配列番号1で示されるプロテアーゼ)の温度依存性を図1に、温度安定性を図2に、pH安定性を図3に、pH依存性を図4に示す。図1図4より、GODO−TCF由来プロテアーゼは、60℃付近最大活性を示しpH3.5〜6.5、60℃まで80%以上の残存活性を維持した。pH依存性では、キモシン活性の至滴pHは5.5より酸性側にあると推察されるのに対し、酸可溶性ペプチド遊離活性はpH6.5付近であることが分かる。

0029

(2)pH5.5におけるGODO−TCF由来プロテアーゼのカゼインに対する作用と、レンネット中に含まれるキモシン及びペプシンのカゼインに対する作用を検討した。また、pH7.2におけるGODO−TCF由来のプロテアーゼのカゼインに対する作用を検討した。その結果を図5及び図6に示す。

0030

その結果、GODO−TCF由来プロテアーゼは、pH5.5ではκ−カゼインに特異性が高い(図5)が、pH7.2付近ではα,β−カゼインにも作用することが示唆された(図6)。キモシンはκ−カゼインに対して特異性が高く、ペプシンは全体的にバンドが薄くなっていることが確認できた。GODO−TCF由来プロテアーゼとその他2つのプロテアーゼを比較すると、GODO−TCF凝乳プロテアーゼの特異性はκ−カゼイン>α−カゼインであることが分かった。

0031

実施例1
牛乳10mLに10%乳酸にてpHを5.9に調整した。次いで、この牛乳10mLにGODO−TCF 0.1mL(1%)と滅菌水0.9mL、又は1mL(10%)を添加し、43℃で60分静置した。一方、比較例としてGODO−TCF中のプロテアーゼ活性を失活させるため、GODO−TCFを蒸留水で4倍希釈後、100℃120分加熱処理した。pHを5.9に調整した牛乳に、希釈後加熱処理したGODO−TCFを0.4mL(希釈前換算で1%)と滅菌水を0.6mL添加した。

0032

その結果を図7に示す。図7より、プロテアーゼが失活したGODO−TCFを添加した場合は、牛乳の凝固は生じなかったが、GODO−TCFを1%及び10%添加した牛乳は凝固した。

0033

実施例2
牛乳10g(おいしい牛乳、明治乳業製)を15mLアシストチューブに量り取り、スキムミルク0.2g(2%,w/w)を加えよ攪拌し溶解させ、沸騰水中にて5分間煮沸し、滅菌した。その後、冷却した牛乳を43煮沸でプレインキュベートし、クリーンベンチ内で0.2μmフィルターろ過滅菌したTCF0.1mL(1%,w/v)と、滅菌MilliQ水0.3mLを無菌的に添加した。コントロールとして、MilliQ水にて4倍希釈し、沸騰水中で2時間煮沸したTCF 1.2mLを添加したもの、および、滅菌MilliQ水1.2mLを添加したものを作成した。その後、クリーンベンチ内でスターターブルガリアヨーグルト、明治乳牛製)0.5g(5%,w/w)を各チューブに無菌的に添加し、2〜3回静かに転倒攪拌した。各サンプルについてそれぞれ7本作成し、スターター添加直後から6時間後まで1時間ごとに発酵を停止し、pHを測定した。

0034

その結果、図8より、加熱処理GODO−TCF(プロテアーゼ失活)およびMilliQ水添加の両コントロールでは牛乳中のカゼインタンパク等電点(pl=4.6)付近で凝固するのに対し、GODO−TCF添加の場合、pH5.9付近で凝固することがわかった。

0035

実施例3
(方法)
牛乳55.8g(おいしい牛乳、明治乳業製)をジャム瓶(ジャム90ST、東洋ガラス株式会社)に量り取り、スキムミルク1.2g(2%,w/w)を加えよく攪拌し溶解させ、沸騰水中にて5分間煮沸し、滅菌した。その後、冷却した牛乳を43℃でプレインキュベートし、クリーンベンチ内で孔径0.2μmフィルターにてろ過滅菌したGODO−TCF6mL(1%,w/v)を無菌的に添加した。Blankとして、50mMクエン酸緩衝液(pH5.2,r.t.)を0.6mL(1%)添加した。その後、クリーンベンチ内でスターター(ブルガリアヨーグルト、明治乳業製)3g(5%,w/w)を各チューブに無菌的に添加し、2〜3回静かに転倒攪拌し、43℃にて4時間発酵を行った。発酵乳サンプルは、容器ごとテクスチャー分析に供した。
分析装置には、クリープメータRE−33005C(山電)を用いた。破断強度解析は、治具No.3を用いて、4℃、アンプ倍率10倍、格納ピッチ750、測定歪率60%、測定速度10mm/sec、サンプル厚さ自動測定の条件で測定した。非破断条件におけるテクスチャー解析は、No.3を用いて、4℃、アンプ倍率10倍、格納ピッチ875、測定歪率5%、測定速度3mm/sec、戻り距離30mmサンプル厚さ自動測定の条件で測定した。破断条件におけるテクスチャー解析は、No.3を用いて、4℃、アンプ倍率10倍、格納ピッチ875、測定歪率50%、測定速度10mm/sec、戻り距離30mmサンプル厚さ自動測定の条件で測定した。

0036

<テクスチャープロファイルから得られるデータ(2−バイト法)>
硬さ(H):負荷を与えた際の最大荷重
半固形食品では治具断面積で割った応力になる。
脆さ(B):圧縮時、一部的に破壊が起こった時のその果汁落ち込み量
粘着力(C):圧縮後、戻りの引張時に粘着した最大負荷値
半固形食品では治具断面積が考慮される。
付着性(A3):粘着性を持っている場合に引き離されにくいかどうかの量。
凝集性(A2/A1):1ストローク目と2ストローク目の圧縮エネルギーの比、変形量。
弾力性(T2/T1):最大ピークに至る変化量の1ストローク目と2ストローク目の比。
ガム性(硬さ×凝集性):値が高いほど硬く、ゴム的であるといえる。
そしゃく性(硬さ×凝集性×弾力性):値が高いほどそしゃくにエネルギーを要するといえる。

0037

破断強度解析では、GODO−TCF添加サンプル破断点無添加サンプルと比べ破断加重が0.03N増加し、破断歪率が4.4%減少した(図9,表1)。
非破断のテクスチャー解析では(図10)、表面圧縮時の最大応力は([1]、[3])GODO−TCF添加サンプルが0.5N増加した。また、凝集性、付着性([2])に関してはGODO−TCF添加サンプルでは減少していた。
破断のテクスチャー解析では(図11)、GODO−TCF添加サンプルでは破断時の応力が増加した([4])。また、カード内部の破断応力を表す波形は([5]、[7])、GODO−TCF添加サンプルでは比較的なめらかであるのに対し、無添加サンプルでは破断点が数か所確認できた。さらに、凝集性、付着性では([6]、[8])GODO−TCF添加サンプルは無添加と比べ高かった。引き抜き時の付着性([6]、[8])の波形では、GODO−TCF添加サンプルはなめらかに引き抜かれるのに対し、無添加は波形が乱れ抵抗がかかることが分かった。

0038

0039

実施例4
(方法)
実施例3の発酵乳調整方法に準じて、200gスケールで発酵乳サンプルを調整した。スミチームC(新日本科学工業製セルラーゼ製剤)は、製造例1(3)に記載したキモシン活性法にて、GODO−TCFと同等のキモシン活性になるように希釈したものを用いた。Blankは、50mMクエン酸緩衝液(pH5.2,r.t.)を0.6mL(1%)添加した。
分析装置は味認識装置TS−5000Z(Insent)を使用した。味覚センサー分析用サンプルは、発酵乳サンプルを精製水にて二倍希釈(w/w)したものを用いた。分析のコントロールとして、ブルガリアヨーグルト(明治)を同様に希釈したものを用いた。分析に使用したセンサーは、ブレンド膜、プラス膜、マイナス膜、GL1(甘味センサー)を使用した。

0040

味覚センサー分析の結果を表2に示す。各分析値は、ブルガリアヨーグルトの分析値を基準とした相対値で示している。
1%GODO−TCF添加サンプルは、コントロール、0.1%GODO−TCF、クエン酸緩衝液添加サンプルと比較して甘味、苦味雑味が減少した。0.1%GODO−TCF添加サンプルは、クエン酸緩衝液添加サンプルとほぼ同様の結果であった。また、スミチームC添加サンプルは、苦味雑味および一般苦味が上昇した。
以上の結果より、塩類緩衝液成分の影響を除くと苦味雑味、甘味以外の味覚の変化は起こらないことが分かった。またGODO−TCF由来プロテアーゼを乳タンパク質に作用させても苦味が発生しにくいことが分かった。

実施例

0041

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