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図面 (7)

課題

従来の方法では、構造体内部の損傷の進展度測定を計算により算出するために実際に適用しにくいという課題、測定に時間がかかるという課題、または複雑な形状の損傷や微小な損傷を検出することが困難であるという課題があった。

解決手段

被測定対象物の一方の表面から他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧した際に、損傷により他方の表面Sに形成される2つのひずみ部R1、R2間の距離d1を検出することによって前記損傷の進展度を測定する。

概要

背景

燃料電池自動車家庭用燃料電池コージェネレーションシステムなどの水素燃料とした技術が実用化される中、水素を製造・貯蔵・供給する高圧ガス設備の安全性の確保は喫緊の問題となっている。特に水素ステーションに求められる蓄圧器鋼製アルミカーボン繊維強化プラスチック製等のものが存在する)は、使用時の減圧充填時の加圧との繰り返しによって、金属疲労水素脆化等が原因と思われる損傷を引き起こすことが知られており、安全性に対するその影響が懸念されている。

これらの構造体内部の損傷(欠陥)を測定する方法としては、浸透性のある測定液を用いた浸透探傷試験法や、アコスティックエミッション法がある。また、高圧ガス容器等の安全測定方法としては、いくつかの測定方法が提案されている(特許文献1〜4参照)。

例えば、特許文献1では、ライジングロード試験で得られた係数を用いて、材料の疲労亀裂寿命を判定する方法が提案されている。また、特許文献2では、高圧水素ガス環境下にあるフェライト鋼に関し、所定の環境条件下における破壊限界応力に関する計算式を用いて予測することによる部材の疲労設計方法が提案されている。さらに、特許文献3では、ガス容器内部に探触子を挿入し、その探触子にガス容器内面を走査させることにより、ガス容器の安全測定を行うという方法が提案されている。そして、特許文献4では、ひずみエネルギー密度の変化の大きさに比例した発光強度発光する発光粒子を含んだ発光膜を構造体の表面に形成し、その発光膜から放射された光に基づいて構造体内部に存在する損傷(欠陥)を検知する方法が提案されている。

概要

従来の方法では、構造体内部の損傷の進展度測定を計算により算出するために実際に適用しにくいという課題、測定に時間がかかるという課題、または複雑な形状の損傷や微小な損傷を検出することが困難であるという課題があった。被測定対象物の一方の表面から他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧した際に、損傷により他方の表面Sに形成される2つのひずみ部R1、R2間の距離d1を検出することによって前記損傷の進展度を測定する。

目的

本発明は、上述した事情に鑑み、高圧ガス容器等の構造体に生じた損傷の進展度を、構造体を破壊することなく簡便に測定する損傷進展度測定方法および損傷進展度測定システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

一方の表面から他方の表面に向かって圧力がかかる被測定対象物の内部または当該一方の表面に発生した損傷の進展度を、当該他方の表面の状態から測定する損傷進展測定方法であって、前記一方の表面から前記他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧した際に、前記損傷により前記他方の表面に形成される2つのひずみ部間の距離を検出することによって前記損傷の進展度を測定することを特徴とする損傷進展度測定方法。

請求項2

前記2つのひずみ部間の距離の変化に基づき、前記損傷の進展度を測定することを特徴とする請求項1に記載の損傷進展度測定方法。

請求項3

前記他方の表面に、ひずみエネルギーを受けて発光すると共に当該ひずみエネルギー密度の変化の大きさに応じた発光強度で発光する発光粒子を含む発光膜を形成し、前記一方の表面から前記他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧した際に、当該発光膜から放射される光の発光強度分布から前記2つのひずみ部間の距離を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の損傷進展度測定方法。

請求項4

前記他方の表面状態を示すモアレ縞を形成し、前記一方の表面から前記他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧する前のモアレ縞と、当該加圧または減圧した際のモアレ縞との形状の違いから前記2つのひずみ部間の距離を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の損傷進展度測定方法。

請求項5

一方の表面から他方の表面に向かって圧力がかかる被測定対象物の内部または当該一方の表面に発生した損傷の進展度を、当該他方の表面の状態から測定する損傷進展度測定システムであって、被測定対象物の前記一方の表面から前記他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧する圧力手段と、前記一方の表面から前記他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧した際に、前記損傷により前記他方の表面に形成される2つのひずみ部を検出するひずみ部検出手段と、を具備することを特徴とする損傷進展度測定システム。

請求項6

前記ひずみ部検出手段が、前記他方の表面に形成されて、ひずみエネルギーを受けて発光すると共に当該ひずみエネルギー密度の変化の大きさに応じた発光強度で発光する発光粒子を含む発光膜と、当該発光膜から放射された発光強度から前記2つのひずみ部を検出する光検出手段と、を具備することを特徴とする請求項5に記載の損傷進展度測定システム。

請求項7

前記ひずみ部検出手段が、前記他方の表面状態を示すモアレ縞を形成するモアレ縞形成手段と、当該モアレ縞から前記2つのひずみ部を検出するモアレ縞検出手段と、を具備することを特徴とする請求項5に記載の損傷進展度測定システム。

技術分野

0001

本発明は、高圧ガス容器等の構造体に生じた損傷の進展度を、構造体を破壊することなく簡便に測定する損傷進展測定方法および損傷進展度測定システムに関する。

背景技術

0002

燃料電池自動車家庭用燃料電池コージェネレーションシステムなどの水素燃料とした技術が実用化される中、水素を製造・貯蔵・供給する高圧ガス設備の安全性の確保は喫緊の問題となっている。特に水素ステーションに求められる蓄圧器鋼製アルミカーボン繊維強化プラスチック製等のものが存在する)は、使用時の減圧充填時の加圧との繰り返しによって、金属疲労水素脆化等が原因と思われる損傷を引き起こすことが知られており、安全性に対するその影響が懸念されている。

0003

これらの構造体内部の損傷(欠陥)を測定する方法としては、浸透性のある測定液を用いた浸透探傷試験法や、アコスティックエミッション法がある。また、高圧ガス容器等の安全測定方法としては、いくつかの測定方法が提案されている(特許文献1〜4参照)。

0004

例えば、特許文献1では、ライジングロード試験で得られた係数を用いて、材料の疲労亀裂寿命を判定する方法が提案されている。また、特許文献2では、高圧水素ガス環境下にあるフェライト鋼に関し、所定の環境条件下における破壊限界応力に関する計算式を用いて予測することによる部材の疲労設計方法が提案されている。さらに、特許文献3では、ガス容器内部に探触子を挿入し、その探触子にガス容器内面を走査させることにより、ガス容器の安全測定を行うという方法が提案されている。そして、特許文献4では、ひずみエネルギー密度の変化の大きさに比例した発光強度発光する発光粒子を含んだ発光膜を構造体の表面に形成し、その発光膜から放射された光に基づいて構造体内部に存在する損傷(欠陥)を検知する方法が提案されている。

先行技術

0005

特開2012−184992号公報
国際公開WO2009/014104号
特開2007−163178号公報
特開2009−92644号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、浸透探傷試験法は、測定液を容器内表面に塗布する必要がある。したがって、測定に時間がかかることや、容器内表面の開口している損傷だけしか検出できないという問題点があった。また、アコースティック・エミッション法は、アコースティック・エミッション(材料の亀裂の発生や進展などの破壊に伴って発生する弾性波振動音波)を利用して損傷を検出している。したがって、複雑な形状の損傷や微小な損傷を検出することが困難であるという問題点があった。

0007

次に、特許文献1の方法は、測定対象を実際に測定するものではなく、ライジングロード試験で得られた係数を用いて計算することによって疲労亀裂寿命を予測するというものである。したがって、実際の安全性測定には適用しにくいという問題点があった。

0008

また、特許文献2の方法も、測定対象を実際に測定するものではなく、計算式により部材の疲労設計を行うというものである。したがって、特許文献1の疲労亀裂寿命判定方法と同様に、実際の安全性測定には適用しにくいという問題点があった。

0009

さらに、特許文献3の方法は、測定する度に探触子をガス容器内に挿入する必要がある。したがって、その際にガス容器を開放する必要があり、測定に時間がかかるという問題点があった。

0010

そして、特許文献4の方法は、構造体を破壊せずにその構造体内部の欠陥を簡便に検知することができるという点では優れているが、発光強度に基づいて欠陥の規模を判断しているため、測定精度にある程度のバラつきがあるという問題点があった。すなわち、この方法で用いられる発光粒子の発光強度は外部環境の影響を受けやすいため、同一条件で測定を行うことが難しく、測定精度にある程度のバラつきが生じてしまうという問題点があった。

0011

本発明は、上述した事情に鑑み、高圧ガス容器等の構造体に生じた損傷の進展度を、構造体を破壊することなく簡便に測定する損傷進展度測定方法および損傷進展度測定システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明の発明者は、これらの問題に関して鋭意研究を続けた結果、以下のような構造体内部等に生じた損傷の進展度を、その構造体を破壊することなく簡便に測定する損傷進展度測定方法および損傷進展度測定システムを見出した。

0013

上記課題を解決する本発明の第1の態様は、一方の表面から他方の表面に向かって圧力がかかる被測定対象物の内部または一方の表面に発生した損傷の進展度を、他方の表面の状態から測定する損傷進展度測定方法であって、一方の表面から他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧した際に、損傷により他方の表面に形成される2つのひずみ部間の距離を検出することによって損傷の進展度を測定することを特徴とする損傷進展度測定方法にある。

0014

ここで、本発明の発明者が上述した課題に取り組んだ結果、被測定対象物に圧力をかけた際に、損傷によりその被測定対象物の他方の表面に、他の部分よりひずむ2つの部分(ひずみ部)が形成されると共に、その損傷が進展するに連れて2つのひずみ部の距離が短くなっていくことを発見した。そこで、本発明の発明者は、2つのひずみ部間の距離の変化を検出することにより、損傷の進展度を測定することができることを見出した。

0015

かかる第1の態様では、2つのひずみ部間の距離を検出することができるので、損傷の進展度を測定することができる。

0016

本発明の第2の態様は、2つのひずみ部間の距離の変化に基づき、損傷の進展度を測定することを特徴とする第1の態様に記載の損傷進展度測定方法にある。

0017

かかる第2の態様では、2つのひずみ部間の変化を検出することができるので、その変化量に基づき、損傷の進展度を測定することができる。

0018

本発明の第3の態様は、他方の表面に、ひずみエネルギーを受けて発光すると共にひずみエネルギー密度の変化の大きさに応じた発光強度で発光する発光粒子を含む発光膜を形成し、一方の表面から他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧した際に、発光膜から放射される光の発光強度分布から2つのひずみ部間の距離を検出することを特徴とする第1または第2の態様に記載の損傷進展度測定方法にある。

0019

かかる第3の態様では、発光膜から放射される光の発光強度から2つのひずみ部間の距離を検出することができるので、容易に損傷の進展度を測定することができる。

0020

本発明の第4の態様は、他方の表面状態を示すモアレ縞を形成し、一方の表面から他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧する前のモアレ縞と、加圧または減圧した際のモアレ縞との形状の違いから2つのひずみ部間の距離を検出することを特徴とする第1または第2の態様に記載の損傷進展度測定方法にある。

0021

かかる第4の態様では、形成されたモアレ縞から2つのひずみ部間の距離を検出することができるので、容易に損傷の進展度を測定することができる。

0022

本発明の第5の態様は、一方の表面から他方の表面に向かって圧力がかかる被測定対象物の内部または一方の表面に発生した損傷の進展度を、他方の表面の状態から測定する損傷進展度測定システムであって、被測定対象物の一方の表面から他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧する圧力手段と、一方の表面から他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧した際に、損傷により他方の表面に形成される2つのひずみ部を検出するひずみ部検出手段と、を具備することを特徴とする損傷進展度測定システムにある。

0023

かかる第5の態様では、2つのひずみ部間の距離を検出することができるので、損傷の進展度を測定することができる。

0024

本発明の第6の態様は、ひずみ部検出手段が、他方の表面に形成されて、ひずみエネルギーを受けて発光すると共にひずみエネルギー密度の変化の大きさに応じた発光強度で発光する発光粒子を含む発光膜と、発光膜から放射された発光強度から2つのひずみ部を検出する光検出手段と、を具備することを特徴とする第5の態様に記載の損傷進展度測定システムにある。

0025

かかる第6の態様では、発光膜から放射される光の発光強度から2つのひずみ部間の距離を検出することができるので、容易に損傷の進展度を測定することができる。

0026

本発明の第7の態様は、ひずみ部検出手段が、他方の表面状態を示すモアレ縞を形成するモアレ縞形成手段と、モアレ縞から2つのひずみ部を検出するモアレ縞検出手段と、を具備することを特徴とする第5の態様に記載の損傷進展度測定システムにある。

0027

かかる第7の態様では、形成されたモアレ縞から2つのひずみ部間の距離を検出することができるので、容易に損傷の進展度を測定することができる。

図面の簡単な説明

0028

図1は被測定対象物に圧力をかけた際に形成されるひずみ部の一例を示した模式図である。
図2は実施形態1に係る損傷進展度測定システムの概略図である。
図3は実施例1に係る鋼製蓄圧器に関し、水圧サイクルを行った際に得られた発光画像である。
図4は実施例1に係る鋼製蓄圧器に関し、数値解析により得られた外表面上のひずみ量の分布図である。
図5は実施例1に係る鋼製蓄圧器に関し、数値解析により得られた亀裂進展度と最大ひずみ点間の距離との関係を示す図である。
図6は実施形態2に係る損傷進展度測定システムの概略図である。

実施例

0029

本発明に係る損傷進展度測定方法は、被測定対象物の内部または一方の表面に発生した損傷に関し、他方の表面に形成された2つのひずみ部間の距離の変化を検出することにより、その損傷の進展度を測定する方法である。

0030

ここで、本発明における「被測定対象物」とは、一方の表面から他方の表面に向かって圧力がかかるものであれば形状は特に限定されず、内部に気体液体を充填するような容器のような形状であってもよいし、容器の蓋のような面状のものであってもよい。そして、被測定対象物を構成する材質も特に限定されず、金属、非金属セラミックスを含む。)、高分子材料天然樹脂合成樹脂)等であってもよい。

0031

また、「損傷」とは、傷、欠陥、ひび、亀裂等であって、被測定対象物を製造する際に生じたものであっても、被測定対象物を使用している間に生じたものであってもよい。

0032

さらに、「ひずみ部」とは、被測定対象物の他方の表面に形成され、一方の表面からその他方の表面に向かってかかる圧力を加圧または減圧した際に、他方の表面の他の部分と比較してより多くひずむ部分をいう。

0033

図1に被測定対象物の表面に形成されたひずみ部の一例を示す。図1に示すように、ひずみ部とは、被測定対象物の表面Sに、点線Lを対称軸として線対称に配置された2つの部分R1、R2である。ここで、この図に示すひずみ部R1、R2は、軸方向が左右方向になるように配置された円筒状の被測定対象物に対し、内表面から外表面方向に加圧した際に、外表面上に形成された場合のものである。

0034

ひずみ部R1、R2には、所定のひずみ量で形式的に分けた2つの領域r1、r2がそれぞれ形成されており、r2の領域の方がr1の領域と比較してより多くひずむ部分となっている。そして、ひずみ部R1、R2の中で最もひずむ部分(点)をそれぞれp1、p2としている。なお、所定のひずみ量とは、測定者測定目的等に合わせて自由に決めることができる量である。

0035

次に、「2つのひずみ部間の距離」とは、測定者が2つのひずみ部間の距離を測定できるのであればその距離の定義は特に限定されない。たとえば図1に示すように、ひずみ部R1、R2の中で最もひずむ部分p1p2間の距離d1を「2つのひずみ部間の距離」としてもよい。また、ひずみ部R1、R2に任意の基準値を設け、その基準値を超えた領域間(たとえばr1間またはr2間)の最短距離(d2またはd3)を「2つのひずみ部間の距離」としてもよい。

0036

ここで、図1を例にしてひずみ部を説明したが、ひずみ部の形状はこれに限定されるものではない。2つのひずみ部の形状は、線対称、点対称等のような対称形であっても、まったく異なった形状・大きさであってもよい。

0037

次に、2つのひずみ部間の距離の検出方法について説明する。まず、被測定対象物の所定の状態における他表面の状態(表面状態1)を検出する。その後、被測定対象物の別の所定の状態(ある条件(最大圧力最小圧力〕、昇圧速度減圧速度〕等)における他表面の状態(表面状態2)を検出する。そして、表面状態1と表面状態2とを画像解析目視で比較することによって、被測定対象物の他表面に形成される2つのひずみ部を検出することができる。その結果、この2つのひずみ部間の距離を測定することができる。なお、この際に、たとえば画像処理技術を用いて自動的に2つのひずみ部を検出すると共にひずみ部間の距離を算出するようにしてもよい。

0038

さらに、その被測定対象物に関し、シミュレーションによる計算や、実際の測定に基づいて、2つのひずみ部間の距離と損傷との関係について検量線標準曲線)などを予め作成しておく。そして、実際に検出された2つのひずみ部間の距離と、その検量線とを比較することによって、損傷の進展度を推測することができる。

0039

また、一度2つのひずみ部間の距離を上述した検出条件で測定した後、ある条件下(使用時間、使用回数等)で被測定対象物を使用し、再度同じ検出条件で同じ被測定対象物の2つのひずみ部間の距離を測定してもよい。

0040

そして、被測定対象物を使用する前と使用する後における2つのひずみ部間の距離を比較することによって、2つのひずみ部間の距離の変化量を検出することができる。上述したように、2つのひずみ部間の距離は損傷の進展度に関係していることから、その距離の変化量から亀裂の進展度を推測することもできる。

0041

以下に添付図面を参照して、本発明にかかる損傷進展度測定方法および損傷進展度測定システムの実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)

0042

被測定対象物の外表面に発光粒子を含む発光膜を形成し、その発光膜から放射される光の発光強度分布から2つのひずみ部間の距離を検出する形態について説明する。

0043

図2に、本実施形態に係る損傷進展度測定システムの概略図を示す。この図に示すように、本実施形態に係る損傷進展度測定システム1では、円筒容器状の被測定対象物2の外表面3上に、発光粒子を含む発光膜10a、10b、10cが形成されている。これらの発光膜10a、10b、10cは、それらが密着接着)している被測定対象物2の外表面3のひずみに連動してひずむようになっている。また、発光膜10a、10b、10cは、被測定対象物2の外表面3に生じるひずみエネルギーを受けて発光すると共にそのひずみエネルギー密度の変化の大きさに応じた発光強度で発光するようになっている。

0044

次に、各発光膜10a、10b、10cの中央部の表面に対して垂直方向の上方には、各発光膜10a、10b、10cから放射された光を検出する光検出手段である光学カメラ20a、20b、20cがそれぞれ配置されている。ここで、光学カメラ20a、20b、20cとしては、発光膜10a、10b、10cからの発光を検出することができるものであれば特に限定されず、市販のデジタルカメラであってもよい。なお、本実施形態では、発光膜10a、10b、10cと、光学カメラ20a、20b、20cとにより、ひずみ部検出手段が構成されている。

0045

光学カメラ20a、20b、20cは、対応する各発光膜10a、10b、10cとの距離Dが等しくなるよう配置され、各発光膜10a、10b、10cとの距離の違いにより、検出される発光強度にバラつきが生じないようになっている。なお、これらの光学カメラ20a、20b、20cは、被測定対象物2に固定されていてもよいし、被測定対象物2以外のものに固定されていてもよい。

0046

一方、被測定対象物2の内表面4の中央部には亀裂(損傷)Cが形成されており、図示しないポンプ等の圧力手段を用いて、内表面4から外表面3にかかる圧力を加圧または減圧することができるようになっている。そして、加圧・減圧を繰り返すことで、金属疲労等の原因により、亀裂Cが外表面方向に向かって進展するようになっている。なお、圧力手段としては、被測定対象物2の内部の圧力を変化させることができるものであれば特に限定されず、たとえば内表面4から外表面3に向かって被測定対象物2を物理的に押す機械等が挙げられる。

0047

ここで、発光膜10a、10b、10cとしては、発光粒子を均一に分散させることができ、かつ被測定対象物2の外表面3のひずみに連動してひずむことができるものであれば特に限定されない。たとえば、発光膜10a、10b、10cとしては、エポキシ樹脂ウレタン樹脂と、これらの樹脂架橋硬化反応を制御するための硬化剤溶剤と、発光粒子および発光粒子を均一に分散させるための分散剤補助剤とを均一に混合し、この混合液を被測定対象物2の外表面3に塗布・硬化させて作製したものでもよい。

0048

この発光膜10a、10b、10cに含まれる発光粒子としては、ひずみエネルギーを受けて発光すると共にそのひずみエネルギー密度の変化の大きさに応じた発光強度で発光するものであれば特に限定されない。

0049

発光粒子としては、たとえば母体材料が、スタフトリジマイト構造三次元ネットワーク構造長石構造、格子欠陥制御をした結晶構造ウルツ構造スピネル構造コランダム構造またはβアルミナ構造を有する酸化物硫化物リン酸塩ケイ酸塩炭化物または窒化物からなり、発光中心として、たとえばSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの希土類イオン、およびTi、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ta、Wの遷移金属イオンからなるものが挙げられる。

0050

これらのうち、母体材料として、例えばストロンチウムおよびアルミニウム含有複合酸化物を用いる場合は、発光粒子としてxSrO・yAl2O3・zMOや、xSrO・yAl2O3・zSiO2を用いたものが好ましく(Mは二価金属であれば特に限定されないが、Mg、Ca、Baが好ましい。また、x、y、zは、1以上の整数を示す。)、SrMgAl10O17:Eu、(SrxBa1−x)Al2O4:Eu(0<x<1)、BaAl2SiO8:Euがより好ましい。そして、本実施形態では、発光粒子としてα—SrAl2O4構造を有し、発光中心をEuとしたものが最も好ましい。

0051

また、ひずみに対する発光感度を高めるために、発光粒子を製造する際に格子欠陥を生じさせる物質を添加したものが好ましく、特にHoを添加したものが好ましい。このような格子欠陥を生じさせる物質を添加することにより、大きいひずみエネルギーに対する発光感度を向上させることができる。なお、発光粒子の平均粒径レーザー回析法により測定)としては、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。

0052

そして、図示していないが、本実施形態に係る損傷進展度測定システム1は、光学カメラ20a、20b、20cからのデータを格納し、そのデータを用いて画像処理を行い、ひずみ部および2つのひずみ部間の距離を自動的に算出する情報処理部を備えていてもよい。情報処理部としては、それらの処理を行うことができるパーソナルコンピュータなどが挙げられる。

0053

このような情報処理部を有することにより、より簡便に2つのひずみ部間の距離を計測することができる。その結果、被測定対象物1の内表面4に形成された亀裂Cの進展度を容易に測定することができる。

0054

なお、本実施形態では、被測定対象物2の外表面3の一部にしか発光膜10a、10b、10cを形成していないが、発光膜の大きさはこれに限定されず、たとえば被測定対象物2の外表面3のすべてに発光膜を形成してもよい。
(実施例1)

0055

実施形態1に係る損傷進展度測定システムとして、具体的に次のようなシステム構築した。被測定対象物として、長さ300mm、外径270mm、内径210mm(厚み30mm)のCr−Mo鋼製蓄圧器(JIS規格SCM435製)を用いた。また、発光膜として、この鋼製蓄圧器の外表面上に、平均粒径1μmのSrAl2O4:Euとエポキシ樹脂とを重量比50:50の比率で混合し、硬化剤(DIC株式会社製EPICLON B−570−H)とを加えて硬化させることにより、厚みが約60μmの発光膜を形成した。さらに、この鋼製蓄圧器の内表面に、軸方向と並行して長さ72mm、幅0.5mm、深さ24mmの亀裂を形成した。

0056

そして、水圧ポンプ等を用いて、この鋼製蓄圧器に0.1〜45MPa(1サイクルの周期は16秒)の水圧サイクル試験を行い、発光層からの発光を検出した。

0057

その結果を図3に示す。なお、各サイクル図の右上の表記は、サイクル数を示し、右下に示された指標に従い、青色から赤色になるにつれて、発光強度が大きくなることを示す。

0058

この図に示すように、2つのひずみ部R1’、R2’が検出されることが分かる。そして、水圧サイクル数が大きくなるにつれて、2つのひずみ部R1’、R2’間の距離が小さくなっていくことが分かる。

0059

次に、亀裂と2つのひずみ部R1’、R2’間の距離との関係を明らかにするために、上述した損傷進展度測定システムに関し、ANSYS.Inc社製のANSYS(登録商標)を用いて、鋼製蓄圧器の外表面上のひずみ量について数値解析を行った。

0060

その結果を図4図5に示す。ここで、図4中の各図の上部の表記は、この鋼製蓄圧器の厚みに対する亀裂の割合を示す(たとえば60%crackとは、鋼製蓄圧器の厚み(30mm)に対して60%の長さの厚み方向の亀裂(18mm)が形成されている場合の計算結果であることを示す。)。

0061

これらの図から分かるように、亀裂が進展するにつれて2つのひずみ部間の距離が短くなっていくことが分かる。

0062

上より、鋼製蓄圧器の外表面上の2つのひずみ部間の距離を測定することにより、亀裂(損傷)の進展度を測定することができる。

0063

なお、上述したように、実施例1では、2つのひずみ部間の距離から亀裂の進展度を測定したが、2つのひずみ部間の距離と亀裂の進展度との関係が不明な場合には、2つのひずみ部間の距離の変化量を検出し、その変化量から亀裂の進展度を推測することもできる。
(実施形態2)

0064

実施形態1では、被測定対象物の外表面上に発光膜を形成し、その発光膜から放射される光の発光強度分布から2つのひずみ部間の距離を検出するようにしたが、その外表面の状態を示すモアレ縞を形成し、被測定対象物に圧力を加圧または減圧した際のモアレ縞の変化から2つのひずみ部間の距離を検出してもよい。

0065

図6に、本実施形態に係る損傷進展度測定システム1Aの概略図を示す。図6に示すように、被測定対象物2の上方には、モアレ干渉を生じさせるための格子が形成された格子板50が配置されている。格子板50の右側上方には、光源40が配置されており、格子板50を透過させて被測定対象物2の外表面3に光を照射できるようになっている。ここで、光源40は光を照射できるものであれば特に限定されず、たとえば市販の白色ライトであってもよい。なお、本実施形態では、格子板50と光源40とにより、モアレ縞形成手段が構成されている。

0066

また、格子板50の直上には、モアレ縞検出手段である光学カメラ20a’が配置されており、被測定対象物2の外表面3のモアレ縞を検出することができるようになっている。格子板50は、モアレ干渉を起こすことができる格子が形成されたものであれば特に限定されない。また、その格子の大きさ、形状についても特に限定されない。さらに、光学カメラ20a’も、モアレ縞を検出することができるものであれば特に限定されず、市販のデジタルカメラであってもよい。

0067

そして、この損傷進展度測定システム1Aに対しても、上述したように、図示しないポンプ等の圧力手段を用いて、内表面4から外表面3にかかる圧力を加圧または減圧の操作を行い、外表面に形成されたモアレ縞を光学カメラ20a’で検出する。現れたモアレ縞には、実施形態1の損傷進展度測定システム1の検出結果と同様に2つのひずみ部が現れるので、同様にして2つのひずみ部間の距離およびその変化を検出することができる。その結果、被測定対象物の内部または一方の表面に発生した損傷の進展度を測定することができる。

0068

なお、本実施形態では上述したような損傷進展度測定システム1Aを構成したが、被測定対象物2の外表面3の状態を示すモアレ縞を形成することができるのであれば、これに限定されず、他のモアレ法モアレトポグラフィー)でモアレ縞を検出できるように損傷進展度測定システムを構成してもよい。たとえば、本実施形態で利用した格子照射型モアレ法だけでなく、格子投影型モアレ法でモアレ縞を検出することができるように損傷進展度測定システムを構成してもよい。このように損傷進展度測定システムを構成しても、同様の効果が得られる。
(他の実施形態)

0069

本発明に係る損傷進展度測定方法および損傷進展度測定システムは、被測定対象物の外表面状態を検出することができるのであれば、2つのひずみ部間距離を検出する方法および構成(ひずみ部検出手段)は、上述したものに限定されない。たとえば、ステレオマッチング法を利用したステレオ画像法、三角測量の原理を面的に拡張した光切断法等の画像分析画像分析装置)を用いて、2つのひずみ部間の距離およびその変化量を検出してもよい。

0070

このように画像分析を用いた場合であっても、上述したものと同様に、被測定対象物の内部または一方の表面に発生した損傷の進展度を測定することができる。

0071

1、1A損傷進展度測定システム
2被測定対象物
3 被測定対象物の外表面
4 被想定対象物の内表面
10a、10b、10c発光膜
20a、20a’、20b、20c光学カメラ
40光源
50格子板
C 亀裂
R1、R1’、R2、R2’ ひずみ部

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