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技術 パクリタキセル及びドセタキセルの側鎖前駆体の製造方法

出願人 萬代忠勝塩水港精糖株式会社
発明者 萬代忠勝
出願日 2016年1月19日 (3年5ヶ月経過) 出願番号 2017-525638
公開日 2017年8月17日 (1年11ヶ月経過) 公開番号 WO2017-006573
状態 特許登録済
技術分野 N,O含有複素環式化合物 有機低分子化合物及びその製造 触媒を使用する低分子有機合成反応
主要キーワード 無溶媒状態 側鎖前駆体 オキシム化剤 フェニルメチルオキシ基 オスミウム触媒 ナフチルメチルオキシ基 分析用サンプル フェニルオキサゾリジン
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この項目の情報は公開日時点(2017年8月17日)のものです。
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図面 (1)

課題・解決手段

下記式(1)で示される化合物出発化合物として用いる下記式(3)で示される化合物の製造方法により、高純度、高収率かつ安価にパクリタキセル及びドセタキセル側鎖前駆体が提供される。こうして得られる側鎖前駆体を用いて、抗癌剤として有用とされるパクリタキセル及びドセタキセルを提供することができる。[式(1)中、R1はアルコキシ基アリールアルキルオキシ基アルキルシリルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であり、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。][式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]

概要

背景

パクリタキセル(Paclitaxel)は、イチイ樹皮から抽出されて得られる化合物であり、細胞増殖抑制作用を有する抗癌剤として知られている。パクリタキセルは水に対する溶解性が低く、これを改善した化合物として、ドセタキセル(Docetaxel)が知られている。

特許文献1には、下記化学反応式で示されるように、(2R,3S)−3−フェニルイソセリンメチルエステル塩酸塩(I)からN−アリルオキシカルボニル−(2R,3S)−3−フェニルイソセリンメチルエステル(II)を得て、得られた前記メチルエステル(II)に対して、p−アニスアルデヒドジメチルアセタール等を反応させて、(4S,5R)−N−アリルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(III)を得て、次いで加水分解することで、(4S,5R)−N−アリルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボン酸(IV)を得ることが記載されている。そして、得られた前記カルボン酸(IV)と7,10−ジアリルオキシカルボニル−10−デアセチルバッカチンIII(VI)とを反応させた後に、ドセタキセルを得ることができるとされている。しかしながら、出発化合物である(2R,3S)−3−フェニルイソセリンメチルエステル塩酸塩(I)は、通常、多工程の合成が必要となるためコスト高となる場合があり、また、前記カルボン酸メチルエステル(III)を得る工程の収率も低く、改善が望まれていた。

一方、非特許文献1には、上記(2R,3S)−3−フェニルイソセリンメチルエステル塩酸塩(I)におけるエステル部分がカルボン酸である(2R,3S)−3−フェニルイソセリン塩酸塩を得る方法が記載されている。具体的には、下記化学反応式で示されるように、ケイ皮酸イソプロピル(isopropyl cinnamate)を出発化合物として、オスミウム触媒であるK2[OsO2(OH)4]、リガンドである(DHQ)2PHAL等を用いて反応させることにより、(2R,3S)−3−(アセチルアミノ)−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロパン酸イソプロピルを得て、次いで加水分解することで、(2R,3S)−3−フェニルイソセリン塩酸塩が得られるとされている。しかしながら、上記オスミウム触媒やリガンドは高価であり、またオスミウム触媒は有毒であるため、このような触媒やリガンドを使用しない方法が望まれていた。

概要

下記式(1)で示される化合物を出発化合物として用いる下記式(3)で示される化合物の製造方法により、高純度、高収率かつ安価にパクリタキセル及びドセタキセルの側鎖前駆体が提供される。こうして得られる側鎖前駆体を用いて、抗癌剤として有用とされるパクリタキセル及びドセタキセルを提供することができる。[式(1)中、R1はアルコキシ基アリールアルキルオキシ基アルキルシリルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であり、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。][式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]

目的

しかしながら、出発化合物である(2R,3S)−3−フェニルイソセリンメチルエステル塩酸塩(I)は、通常、多工程の合成が必要となるためコスト高となる場合があり、また、前記カルボン酸メチルエステル(III)を得る工程の収率も低く、改善が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

下記式(1):[式(1)中、R1はアルコキシ基アリールアルキルオキシ基アルキルシリルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であり、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]で示される化合物出発化合物として用いることを特徴とする下記式(3):[式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]で示される化合物の製造方法。

請求項2

前記式(1)で示される化合物を出発化合物として下記式(4):[式(4)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]で示される化合物を得る工程を有する請求項1記載の式(3)で示される化合物の製造方法。

請求項3

前記得られた式(4)で示される化合物から下記式(5):[式(5)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]で示される化合物を得る工程を有する請求項2記載の式(3)で示される化合物の製造方法。

請求項4

前記得られた式(5)で示される化合物から下記式(6):[式(6)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]で示される化合物を得る工程を有する請求項3記載の式(3)で示される化合物の製造方法。

請求項5

前記得られた式(6)で示される化合物から下記式(7):[式(7)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]で示される化合物を得る工程を有する請求項4記載の式(3)で示される化合物の製造方法。

請求項6

下記式(8):[式(8)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]で示される化合物を出発化合物として前記式(1)で示される化合物を得る工程を有する請求項1〜5のいずれか記載の式(3)で示される化合物の製造方法。

請求項7

下記式(9):[式(9)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]で示される化合物を出発化合物として下記式(8):[式(8)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]で示される化合物を得て、該得られた式(8)で示される化合物から前記式(1)で示される化合物を得る工程を有する請求項1〜6のいずれか記載の式(3)で示される化合物の製造方法。

請求項8

下記式(10):[式(10)中、R2は前記式(1)と同義であり、R4はアルキル基である。]で示される化合物と下記式(11):[式(11)中、X及びYは前記式(1)と同義である。]で示されるアルコールとを反応させて下記式(9):[式(9)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]で示される化合物を得て、該得られた式(9)で示される化合物から下記式(8):[式(8)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]で示される化合物を得て、該得られた式(8)で示される化合物から前記式(1)で示される化合物を得る工程を有する請求項1〜7のいずれか記載の式(3)で示される化合物の製造方法。

請求項9

請求項1〜8のいずれか記載の方法により得られた下記式(3):[式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]で示される化合物と下記式(12):[式(12)中、Z1はアリルオキシカルボニル基又はトリエチルシリル基である。]で示されるバッカチンIII誘導体とを反応させて、下記式(13):[式(13)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基であり、Z2はアリルオキシカルボニル基、トリエチルシリル基又は水素原子である。]で示されるパクリタキセル前駆体を得る工程を有する下記式(14):で示されるパクリタキセルの製造方法。

請求項10

請求項1〜8のいずれか記載の方法により得られた下記式(3):[式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]で示される化合物と下記式(12’):で示される7,10−Dialloc−バッカチンIII誘導体とを反応させて、下記式(13’):[式(13’)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]で示されるドセタキセル前駆体を得る工程を有する下記式(14’):で示されるドセタキセルの製造方法。

請求項11

下記式(1)で示される化合物。[式(1)中、R1はアルコキシ基、アリールアルキルオキシ基、アルキルシリルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であり、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

請求項12

下記式(4)で示される化合物。[式(4)中、R1はアルコキシ基、アリールアルキルオキシ基、アルキルシリルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であり、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

請求項13

下記式(5)で示される化合物。[式(5)中、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

請求項14

下記式(6)で示される化合物。[式(6)中、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

請求項15

下記式(7)で示される化合物。[式(7)中、R2はアリール基であり、R3はアルコキシ基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

技術分野

0001

本発明は、パクリタキセル及びドセタキセル側鎖前駆体の製造方法に関する。

背景技術

0002

パクリタキセル(Paclitaxel)は、イチイ樹皮から抽出されて得られる化合物であり、細胞増殖抑制作用を有する抗癌剤として知られている。パクリタキセルは水に対する溶解性が低く、これを改善した化合物として、ドセタキセル(Docetaxel)が知られている。

0003

特許文献1には、下記化学反応式で示されるように、(2R,3S)−3−フェニルイソセリンメチルエステル塩酸塩(I)からN−アリルオキシカルボニル−(2R,3S)−3−フェニルイソセリンメチルエステル(II)を得て、得られた前記メチルエステル(II)に対して、p−アニスアルデヒドジメチルアセタール等を反応させて、(4S,5R)−N−アリルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(III)を得て、次いで加水分解することで、(4S,5R)−N−アリルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルオキサゾリジン−5−カルボン酸(IV)を得ることが記載されている。そして、得られた前記カルボン酸(IV)と7,10−ジアリルオキシカルボニル−10−デアセチルバッカチンIII(VI)とを反応させた後に、ドセタキセルを得ることができるとされている。しかしながら、出発化合物である(2R,3S)−3−フェニルイソセリンメチルエステル塩酸塩(I)は、通常、多工程の合成が必要となるためコスト高となる場合があり、また、前記カルボン酸メチルエステル(III)を得る工程の収率も低く、改善が望まれていた。

0004

0005

一方、非特許文献1には、上記(2R,3S)−3−フェニルイソセリンメチルエステル塩酸塩(I)におけるエステル部分がカルボン酸である(2R,3S)−3−フェニルイソセリン塩酸塩を得る方法が記載されている。具体的には、下記化学反応式で示されるように、ケイ皮酸イソプロピル(isopropyl cinnamate)を出発化合物として、オスミウム触媒であるK2[OsO2(OH)4]、リガンドである(DHQ)2PHAL等を用いて反応させることにより、(2R,3S)−3−(アセチルアミノ)−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロパン酸イソプロピルを得て、次いで加水分解することで、(2R,3S)−3−フェニルイソセリン塩酸塩が得られるとされている。しかしながら、上記オスミウム触媒やリガンドは高価であり、またオスミウム触媒は有毒であるため、このような触媒やリガンドを使用しない方法が望まれていた。

0006

0007

WO2008/054233A2

先行技術

0008

Milan Bruncko et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1997, 36, No.13/14, p.1483-1486

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、高純度、高収率かつ安価にパクリタキセル及びドセタキセルの側鎖前駆体を提供することを目的とするものである。また、こうして得られる側鎖前駆体を用いて、抗癌剤として有用とされるパクリタキセル及びドセタキセルを提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0010

上記課題は、下記式(1):



[式(1)中、R1はアルコキシ基アリールアルキルオキシ基アルキルシリルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であり、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]



で示される化合物を出発化合物として用いることを特徴とする下記式(3):



[式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]
で示される化合物の製造方法を提供することによって解決される。

0011

このとき、前記式(1)で示される化合物を出発化合物として下記式(4):



[式(4)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]
で示される化合物を得る工程を有することが好適である。

0012

また、このとき、前記得られた式(4)で示される化合物から下記式(5):



[式(5)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]
で示される化合物を得る工程を有することが好適である。

0013

また、このとき、前記得られた式(5)で示される化合物から下記式(6):



[式(6)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]
で示される化合物を得る工程を有することが好適である。

0014

また、このとき、前記得られた式(6)で示される化合物から下記式(7):



[式(7)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]
で示される化合物を得る工程を有することが好適である。

0015

また、このとき、下記式(8):



[式(8)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]
で示される化合物を出発化合物として前記式(1)で示される化合物を得る工程を有することが好適である。

0016

また、このとき、下記式(9):



[式(9)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]
で示される化合物を出発化合物として下記式(8):



[式(8)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]
で示される化合物を得て、該得られた式(8)で示される化合物から前記式(1)で示される化合物を得る工程を有することが好適である。

0017

また、このとき、下記式(10):



[式(10)中、R2は前記式(1)と同義であり、R4はアルキル基である。]
で示される化合物と下記式(11):



[式(11)中、X及びYは前記式(1)と同義である。]
で示されるアルコールとを反応させて下記式(9):



[式(9)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]
で示される化合物を得て、該得られた式(9)で示される化合物から下記式(8):



[式(8)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]
で示される化合物を得て、該得られた式(8)で示される化合物から前記式(1)で示される化合物を得る工程を有することが好適である。

0018

また、下記式(3):



[式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]
で示される化合物と下記式(12):



[式(12)中、Z1はアリルオキシカルボニル基又はトリエチルシリル基である。]
で示されるバッカチンIII誘導体とを反応させて、下記式(13):



[式(13)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基であり、Z2はアリルオキシカルボニル基、トリエチルシリル基又は水素原子である。]
で示されるパクリタキセル前駆体を得る工程を有する下記式(14):



で示されるパクリタキセルの製造方法が好適な実施態様である。

0019

また、下記式(3):



[式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]
で示される化合物と下記式(12’):



で示される7,10−Dialloc−バッカチンIII誘導体とを反応させて、下記式(13’):



[式(13’)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]
で示されるドセタキセル前駆体を得る工程を有する下記式(14’):



で示されるドセタキセルの製造方法が好適な実施態様である。

0020

また、上記課題は、下記式(1)で示される化合物を提供することによっても解決される。



[式(1)中、R1はアルコキシ基、アリールアルキルオキシ基、アルキルシリルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であり、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

0021

また、上記課題は、下記式(4)で示される化合物を提供することによっても解決される。



[式(4)中、R1はアルコキシ基、アリールアルキルオキシ基、アルキルシリルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であり、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

0022

また、上記課題は、下記式(5)で示される化合物を提供することによっても解決される。



[式(5)中、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

0023

また、上記課題は、下記式(6)で示される化合物を提供することによっても解決される。



[式(6)中、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

0024

また、上記課題は、下記式(7)で示される化合物を提供することによっても解決される。



[式(7)中、R2はアリール基であり、R3はアルコキシ基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

発明の効果

0025

本発明の製造方法によれば、高純度、高収率かつ安価にパクリタキセル及びドセタキセルの側鎖前駆体を提供することができる。こうして得られる側鎖前駆体を用いて、抗癌剤として有用とされるパクリタキセル及びドセタキセルを提供することができる。

0026

本発明の製造方法は、下記式(1)で示される化合物(以下、「ジアゾ化合物」と呼ぶことがある)を出発化合物として下記式(3)で示される化合物(以下、「カルボン酸化合物」と呼ぶことがある)を得ることを特徴とする。下記式(3)で示される化合物はドセタキセルの側鎖前駆体であり、こうして得られる側鎖前駆体を用いて、抗癌剤として有用とされるドセタキセルを得ることができるため本発明の製造方法を採用する意義が大きいものである。

0027

[式(1)中、R1はアルコキシ基、アリールアルキルオキシ基、アルキルシリルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であり、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

0028

0029

[式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]

0030

上記式(1)において、R1はアルコキシ基、アリールアルキルオキシ基、アルキルシリルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基である。中でも、1級アミノ基への変換が容易である観点から、R1がアルコキシ基、アリールアルキルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であることがより好ましく、アルコキシ基であることが更に好ましい。

0031

上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。これらアルコキシ基は置換基を有していてもよい。中でも、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基又はイソブトキシ基がR1として好適に使用される。

0032

上記アリールアルキルオキシ基としては、例えば、フェニルメチルオキシ基フェニルエチルオキシ基、フェニルブチルオキシ基、フェニルペンチルオキシ基、フェニルヘキシルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基等が挙げられる。これらアリールアルキルオキシ基は置換基を有していてもよい。

0033

上記アルキルシリルオキシ基としては、例えば、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基等が挙げられる。これらアルキルシリルオキシ基は置換基を有していてもよい。

0034

上記アルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、イソブトキシカルボニルオキシ基、sec−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、ペンチルオキシカルボニルオキシ基、ヘキシルオキシカルボニルオキシ基、ヘプチルオキシカルボニルオキシ基、オクチルオキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。これらアルコキシカルボニルオキシ基は置換基を有していてもよい。

0035

上記式(1)において、R2はアリール基である。アリール基としては、例えば、フェニル基ナフチル基アントリル基フェナントリル基等が挙げられる。これらアリール基は置換基を有していてもよい。中でも、フェニル基又はナフチル基がR2として好適に使用される。

0036

上記式(1)において、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種である。

0037

0038

中でも、調製が比較的簡単である観点から、Xは下記式(2a)で示される置換基からなる群から選択される1種であることが好ましい。

0039

0040

上記式(1)において、Yは水素原子又はメチル基である。中でも、Yとしてはメチル基であることが好ましい。

0041

上記式(3)において、R2はアリール基である。アリール基としては、上記式(1)におけるR2の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。中でも、フェニル基又はナフチル基がR2として好適に使用される。

0042

上記式(3)において、R3はアルコキシ基である。アルコキシ基としては、上記式(1)におけるR1の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。中でも、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基又はイソブトキシ基がR3として好適に使用される。

0043

本発明において、式(1)で示される化合物を得る方法としては特に限定されず、下記化学反応式(I)のように、式(8)で示される化合物(以下、「オキシム化合物」と呼ぶことがある)を出発化合物として式(1)で示される化合物を得る方法が好適に採用される。

0044

[式(8)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]

0045

上記式(8)において、R1、R2及びYは上記式(1)におけるR1、R2及びYの説明のところで例示された置換基と同様のものを好適に用いることができ、Xは上記式(2)の説明のところで例示された式(2a)で示される置換基を好適に用いることができる。上記化学反応式(I)のように、式(8)で示されるオキシム化合物に対して、トシルアジド等のジアゾ化剤及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU)等の塩基性触媒を用いて反応させることにより、式(1)で示されるジアゾ化合物を好適に得ることができる。ジアゾ化剤の使用量としては、式(8)で示されるオキシム化合物1モルに対して、1〜10モルであることが好ましく、1〜4モルであることがより好ましい。また、塩基性触媒の使用量としては、式(8)で示されるオキシム化合物1モルに対して、0.01〜1モルであることが好ましく、0.05〜0.5モルであることがより好ましい。

0046

上記式(8)で示される化合物を得る方法としては特に限定されず、下記化学反応式(II−1)のように、式(9)で示される化合物(以下、「エステル化合物」と呼ぶことがある)を出発化合物として式(8)で示される化合物を得る方法が好適に採用される。したがって、下記化学反応式(II−2)のように、式(9)で示される化合物を出発化合物として式(8)で示される化合物を得て、該得られた式(8)で示される化合物から式(1)で示される化合物を得る方法が本発明の好適な実施態様である。

0047

[式(9)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(8)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]

0048

[式(9)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(8)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]

0049

上記式(9)において、R2及びYは上記式(1)におけるR2及びYの説明のところで例示された置換基と同様のものを好適に用いることができ、Xは上記式(2)の説明のところで例示された式(2a)で示される置換基を好適に用いることができる。上記化学反応式(II−1)のように、式(9)で示されるエステル化合物に対して、0−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩等のオキシム化剤を用いて反応させることにより、式(8)で示されるオキシム化合物を好適に得ることができる。オキシム化剤の使用量としては、式(9)で示されるエステル化合物1モルに対して、1〜10モルであることが好ましく、1〜4モルであることがより好ましい。

0050

上記式(9)で示される化合物を得る方法としては特に限定されず、下記化学反応式(III−1)のように、式(10)で示される化合物と式(11)で示されるアルコールとを反応させて式(9)で示される化合物を得る方法が好適に採用される。したがって、下記化学反応式(III−2)のように、式(10)で示される化合物と式(11)で示されるアルコールとを反応させて式(9)で示される化合物を得て、該得られた式(9)で示される化合物から式(8)で示される化合物を得て、該得られた式(8)で示される化合物から式(1)で示される化合物を得る方法が本発明の好適な実施態様である。

0051

[式(10)中、R2は前記式(1)と同義であり、R4はアルキル基であり、式(11)中、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(9)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]

0052

[式(10)中、R2は前記式(1)と同義であり、R4はアルキル基であり、式(11)中、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(9)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(8)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]

0053

上記式(10)において、R2は上記式(1)におけるR2の説明のところで例示された置換基と同様のものを好適に用いることができる。上記式(10)において、R4はアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基イソプロピル基n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基又はイソブチル基がR4として好適に使用される。

0054

上記式(11)において、Yは上記式(1)と同様にメチル基であることが好ましく、Xとしては、上記式(2a)で示される置換基からなる群から選択される1種であることが好ましい。中でも、式(11)で示されるアルコールがL−メントールであることがより好ましい。上記化学反応式(III−1)のように、式(10)で示される化合物と式(11)で示されるアルコールとを反応させることにより、式(9)で示されるエステル化合物を好適に得ることができる。反応温度としては、60〜150℃であることが好ましく、90〜130℃であることがより好ましい。反応時間としては、2〜20時間であることが好ましい。

0055

本発明は、上述のようにして得られた式(1)で示される化合物を出発化合物として式(3)で示される化合物を得ることを特徴とする。ここで、式(1)で示される化合物を出発化合物とする場合、下記化学反応式(IV−1)のように、式(4)で示される化合物(以下、「オキシムアルコール化合物」と呼ぶことがある)を中間体として得る方法が好適に採用される。したがって、下記化学反応式(IV−2)のように、式(1)で示される化合物を出発化合物として式(4)で示される化合物を得て、該得られた式(4)で示される化合物から式(3)で示される化合物を得る方法が本発明の好適な実施態様である。また、式(4)で示される化合物も中間体化合物として非常に有用である。

0056

[式(4)中、R1はアルコキシ基、アリールアルキルオキシ基、アルキルシリルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であり、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

0057

0058

[式(4)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]

0059

[式(4)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]

0060

上記式(4)において、R1、R2及びYは上記式(1)におけるR1、R2及びYの説明のところで例示された置換基と同様のものを好適に用いることができ、Xは上記式(2)の説明のところで例示された式(2a)で示される置換基を好適に用いることができる。上記化学反応式(IV−1)のように、式(1)で示されるジアゾ化合物に対して、ギ酸等のカルボン酸を用いて反応させることによりカルボン酸エステルを得て、該得られたカルボン酸エステルに対して、アルコールとアンモニア水を用いたエステル交換反応により式(4)で示されるオキシムアルコール化合物を好適に得ることができる。このような方法により、式(4)で示されるオキシムアルコール化合物を結晶で得ることができる。そして、精製することなく次の反応に使用することができるため、式(1)で示される化合物を出発化合物として、式(4)で示される化合物を中間体として得る方法が非常に有用であることが分かる。

0061

上記化学反応式(IV−1)において、カルボン酸の使用量としては、式(1)で示されるジアゾ化合物1モルに対して、3〜300モルであることが好ましく、5〜200モルであることがより好ましい。カルボン酸を用いた反応温度としては、20〜100℃であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。反応時間としては、1〜10時間であることが好ましい。また、上記エステル交換反応における反応温度としては、5〜40℃であることが好ましく、室温付近であることがより好ましい。反応時間としては、0.5〜5時間であることが好ましい。

0062

本発明では、下記化学反応式(V−1)のように、上記式(4)で示される化合物から式(5)で示される化合物(以下、「トランスアミノアルコール化合物」と呼ぶことがある)を中間体として得る方法が好適に採用される。したがって、下記化学反応式(V−2)のように、式(1)で示される化合物を出発化合物として式(4)で示される化合物を得て、該得られた式(4)で示される化合物から式(5)で示される化合物を得て、該得られた式(5)で示される化合物から式(3)で示される化合物を得る方法が本発明の好適な実施態様である。また、式(5)で示される化合物も中間体化合物として非常に有用である。

0063

[式(5)中、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

0064

0065

[式(4)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(5)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]

0066

[式(4)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(5)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]

0067

上記式(5)において、R2及びYは上記式(1)におけるR2及びYの説明のところで例示された置換基と同様のものを好適に用いることができ、Xは上記式(2)の説明のところで例示された式(2a)で示される置換基を好適に用いることができる。上記化学反応式(V−1)のように、式(4)で示されるオキシムアルコール化合物に対して、酢酸メタノール溶媒下、10%Pd/C等のパラジウム触媒を用いて水素添加する反応を行って、式(5)で示されるトランスアミノアルコール化合物を好適に得ることができる。反応時間としては、1〜10時間であることが好ましく、2〜8時間であることがより好ましい。

0068

本発明では、下記化学反応式(VI−1)のように、上記式(5)で示される化合物から式(6)で示される化合物(以下、「カーバメイト化合物」と呼ぶことがある)を中間体として得る方法が好適に採用される。したがって、下記化学反応式(VI−2)のように、式(1)で示される化合物を出発化合物として式(4)で示される化合物を得て、該得られた式(4)で示される化合物から式(5)で示される化合物を得て、該得られた式(5)で示される化合物から式(6)で示される化合物を得て、該得られた式(6)で示される化合物から式(3)で示される化合物を得る方法が本発明の好適な実施態様である。また、式(6)で示される化合物も中間体化合物として非常に有用である。

0069

[式(6)中、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

0070

0071

[式(5)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(6)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義である。]

0072

[式(4)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(5)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(6)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]

0073

上記式(6)において、R2及びYは上記式(1)におけるR2及びYの説明のところで例示された置換基と同様のものを好適に用いることができ、Xは上記式(2)の説明のところで例示された式(2a)で示される置換基を好適に用いることができる。上記化学反応式(VI−1)のように、式(5)で示されるトランスアミノアルコール化合物に対して、クロルギ酸アリルを反応させることにより、アミノ基がアリルオキシカルボニル基(Alloc基)で保護された式(6)で示されるカーバメイト化合物を好適に得ることができる。クロルギ酸アリルの使用量としては、式(5)で示されるトランスアミノアルコール化合物1モルに対して、1〜10モルであることが好ましく、1〜4モルであることがより好ましい。反応時間としては、0.1〜5時間であることが好ましい。

0074

本発明では、下記化学反応式(VII−1)のように、上記式(6)で示される化合物から式(7)で示される化合物(以下、「N,O−アセタール化合物」と呼ぶことがある)を中間体として得る方法が好適に採用される。したがって、下記化学反応式(VII−2)のように、式(1)で示される化合物を出発化合物として式(4)で示される化合物を得て、該得られた式(4)で示される化合物から式(5)で示される化合物を得て、該得られた式(5)で示される化合物から式(6)で示される化合物を得て、該得られた式(6)で示される化合物から式(7)で示される化合物を得て、該得られた式(7)で示される化合物から式(3)で示される化合物を得る方法が本発明の好適な実施態様である。また、式(7)で示される化合物も中間体化合物として非常に有用である。

0075

[式(7)中、R2はアリール基であり、R3はアルコキシ基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

0076

0077

[式(6)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(7)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]

0078

[式(4)中、R1、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(5)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(6)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、式(7)中、R2、X及びYは前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基であり、式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]

0079

上記式(7)において、R2及びYは上記式(1)におけるR2及びYの説明のところで例示された置換基と同様のものを好適に用いることができ、Xは上記式(2)の説明のところで例示された式(2a)で示される置換基を好適に用いることができる。上記式(7)において、R3はアルコキシ基である。アルコキシ基としては、上記式(1)におけるR1の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。中でも、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基又はイソブトキシ基がR3として好適に使用される。上記化学反応式(VII−1)のように、式(6)で示されるカーバメイト化合物に対して、アニスアルデヒドジメチルアセタールとともに、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)等の酸触媒を用いてアセタール化し、式(7)で示されるN,O−アセタール化合物を好適に得ることができる。アニスアルデヒドジメチルアセタールの使用量としては、式(6)で示されるカーバメイト化合物1モルに対して、1〜5モルであることが好ましく、1.2〜4モルであることがより好ましい。酸触媒の使用量としては、式(6)で示されるカーバメイト化合物1モルに対して、0.005〜0.5モルであることが好ましく、0.01〜0.2モルであることがより好ましい。反応時間としては、0.5〜10時間であることが好ましい。

0080

次いで、上記化学反応式(VII−2)のように、式(7)で示されるN,O−アセタール化合物に対して、水酸化リチウム等を用いることにより、式(7)で示されるN,O−アセタール化合物における2’位の異性化とエステル部分の加水分解が同時に進行し、式(3)で示されるカルボン酸化合物を好適に得ることができる。反応時間としては、1〜10時間であることが好ましい。また、反応後に出発化合物の一つである式(11)で示されるアルコールを回収することもできるため、上記製造方法を採用する意義が大きい。具体的には、反応後にトルエン酢酸エチル等の有機溶媒と水とを加え、有機層濃縮することにより式(11)で示されるアルコールを好適に回収することができる。したがって、下記式(1)で示される化合物を出発化合物として用い、下記式(11)で示されるアルコールを回収することを特徴とする下記式(3)で示される化合物の製造方法も本発明の好適な実施態様である。

0081

[式(1)中、R1はアルコキシ基、アリールアルキルオキシ基、アルキルシリルオキシ基又はアルコキシカルボニルオキシ基であり、R2はアリール基であり、Xは下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であり、Yは水素原子又はメチル基である。]

0082

0083

[式(11)中、X及びYは前記式(1)と同義である。]

0084

[式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]

0085

本発明では、上述のようにして得られた式(3)で示される化合物を用いて、ドセタキセルやパクリタキセルを好適に得ることができ、ドセタキセルをより好適に得ることができる。以下、パクリタキセルを得る方法について下記化学反応式(VIII−1)を参照しながら説明する。

0086

[式(12)中、Z1はアリルオキシカルボニル基又はトリエチルシリル基であり、式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基であり、式(13)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基であり、Z2はアリルオキシカルボニル基、トリエチルシリル基又は水素原子である。]

0087

上記化学反応式(VIII−1)のように、式(12)で示されるバッカチンIII誘導体と式(3)で示されるカルボン酸化合物とを縮合反応させて式(13)で示されるパクリタキセル前駆体を得る工程が好適に採用される。式(12)におけるZ1はアリルオキシカルボニル基又はトリエチルシリル基である。式(13)におけるR2及びR3は、式(3)におけるR2及びR3と同義である。また、式(13)におけるZ2はアリルオキシカルボニル基、トリエチルシリル基又は水素原子である。縮合反応の際に好適に用いられる縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)等が挙げられる。縮合剤の使用量としては、式(12)で示されるバッカチンIII誘導体1モルに対して、1〜10モルであることが好ましく、1.2〜6モルであることがより好ましい。反応時間としては、0.5〜15時間であることが好ましい。なお、式(12)で示されるバッカチンIII誘導体は、Robert A. Holton, Zhuming Zhang, Paul A. Clarke, Hossain Nadizadeh, D. John Procter, Tetrahedron Letters, 1998, 39, p.2883-2886に記載された方法により合成することができる。

0088

得られた式(13)で示されるパクリタキセル前駆体において、例えば、Z2がトリエチルシリル基である場合、塩酸等を用いて反応させることで、トリエチルシリル基が脱保護され、Z2が水素原子である式(13)で示されるパクリタキセル前駆体を得ることもできる。Z2が水素原子である式(13)で示されるパクリタキセル前駆体に対して、トリフェニルホスフィンとともに触媒である酢酸パラジウム等を用いて反応させることにより、デベンゾイルカルボニルパクリタキセルを好適に得ることができる。前記触媒の使用量としては、Z2が水素原子である式(13)で示されるパクリタキセル前駆体1モルに対して、0.005〜0.5モルであることが好ましく、0.01〜0.3モルであることがより好ましい。反応時間としては、0.5〜10時間であることが好ましい。

0089

次いで、塩化ベンゾイル等を用いて、デベンゾイルカルボニルパクリタキセルにおけるアミノ基を保護する反応を行うことにより、式(14)で示されるパクリタキセルを好適に得ることができる。

0090

以下、ドセタキセルを得る方法について下記化学反応式(VIII−2)を参照しながら説明する。

0091

[式(3)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基であり、式(13’)中、R2は前記式(1)と同義であり、R3はアルコキシ基である。]

0092

上記化学反応式(VIII−2)のように、式(12’)で示される7,10−Dialloc−バッカチンIII誘導体と式(3)で示されるカルボン酸化合物とを縮合反応させて、式(13’)で示されるドセタキセル前駆体を得る工程が好適に採用される。式(13’)におけるR2及びR3は、式(3)におけるR2及びR3と同義である。縮合反応の際に好適に用いられる縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル−カルボジイミド塩酸塩(EDCI)等が挙げられる。縮合剤の使用量としては、式(12’)で示される7,10−Dialloc−バッカチンIII誘導体1モルに対して、1〜10モルであることが好ましく、1.2〜6モルであることがより好ましい。反応時間としては、0.5〜10時間であることが好ましい。なお、式(12’)で示される7,10−Dialloc−バッカチンIII誘導体は、WO2008/054233A2に記載された方法により合成することができる。

0093

得られた式(13’)で示されるドセタキセル前駆体に対して、トリフェニルホスフィンとともに触媒である酢酸パラジウム等を用いて反応させることにより、アリルオキシカルボニル基が脱保護され、デブトキシカルボニルドセタキセルを好適に得ることができる。前記触媒の使用量としては、式(13’)で示されるドセタキセル前駆体1モルに対して、0.005〜0.5モルであることが好ましく、0.01〜0.1モルであることがより好ましい。反応時間としては、0.5〜10時間であることが好ましい。

0094

次いで、二炭酸-tert-ジブチル等を用いて、デブトキシカルボニルドセタキセルにおけるアミノ基を保護する反応を行うことにより、式(14’)で示されるドセタキセルを好適に得ることができる。

0095

上述のように、簡便な方法により、高純度、高収率かつ安価にパクリタキセル及びドセタキセルの側鎖前駆体を提供することができる。そして、得られた側鎖前駆体から抗癌剤として有用とされるパクリタキセル及びドセタキセルを提供することができる。したがって、本発明の製造方法、及びその方法に使用される中間体化合物は非常に有用であることが分かる。

0096

以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。

0097

実施例1
[式(9a)で示されるエステル化合物の合成]

0098

0099

式(10a)で示されるベンゾイル酢酸エチル(9.61 g, 50 mmol)とL-メントール(10.2 g, 65 mmol)の混合物を100℃に加熱し、エタノール減圧下に留去(<20 mmHg)しながら8時間反応させた。未反応のベンゾイル酢酸エチルとL-メントールを蒸留油浴温度125℃、<0.5 mmHg)で取り除き、式(9a)で示されるエステル化合物である淡黄色の液体(15.1 g)を得た。

0100

分析用サンプルシリカゲルカラムクロマトで精製し、白色固体を得た。式(9a)で示されるエステル化合物の分析データを以下に示す。
TLC:ヘキサン/酢酸エチル=10/1, Rf=0.50, UV active;
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 12.7 (bs, 0.3H), 7.94-7.40 (m, 5H), 4.82 (dt, J=10.9 Hz, 4.37 Hz, 0.36H),4.72 (dt, J=10.9, 4.37 Hz, 0.64H), 4.00(d, J=15.5 Hz,0.64 H), 3.94(d, J=15.5 Hz, 0.64 H), 2.04-1.98 (m, 1H), 1.78-1.29 (m, 4H), 1.06-0.78 (m, 3H), 0.89(d, J=6.7 Hz, 3H), 0.81 (d, J=7.0 Hz, 3H), 0.68 (d, J=6.8 Hz,3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 192.5, 172.9, 171.3, 167.1, 136.1, 133.6, 131.1, 128.7, 128.5, 126.0, 87.7, 75.6, 74.2, 47.1, 46.8, 46.5, 41.1, 40.6, 34.2, 34.1,31.43, 31.4, 26.3, 25.9, 23.6, 23.2, 22.0, 21.9, 20.7, 16.4, 16.0;
m.p. 37.7-38.3 ℃(無溶媒状態から固化);
比旋光度[α]D23 -60.1 (C 1.44, CHCl3)

0101

[式(8a)で示されるオキシム化合物の合成]

0102

0103

式(9a)で示されるエステル化合物(15.1 g, 49.9 mmol)をメタノール(20 mL)に溶かし、続いてO-メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(4.59 g, 55 mmol)を加えた。続いて、ピリジン(4.85 mL, 60 mmol)を室温で5分掛け滴下した。滴下後、室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下に留去した後、トルエン(50ml)に溶解し、水(50 ml)で3回洗浄無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した。減圧下に溶媒を留去し、淡黄色のオイルを得た。減圧蒸留(155-165 ℃/0.8 mmHg)し、式(8a)で示されるオキシム化合物である淡黄色の油状物(15.1 g, 2工程通算で91%)を得た。

0104

式(8a)で示されるオキシム化合物の分析データを以下に示す。
TLC: Hexane/EtOAc=10/1, Rf=0.53, yellow-green, UV active;
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 7.65-7.30 (m, 5H), 4.70-4.40 (m, 1H), 3.99(s, 3H), 3.75(d, J=15.9 Hz, 1H), 3.71(d, J=15.9 Hz, 1H), 1.98-1.93 (m, 1H), 1.79-1.27 (m, 6H), 1.06-0.77 (m, 3H), 0.88(d, J=6.7 Hz, 3H), 0.84 (d, J=7.1 Hz, 3H), 0.69 (d, J=7.1 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 168.4, 151.5, 135.5, 129.2, 126.2, 75.0, 62.1, 46.8, 40.5, 34.1, 33.7, 31.3, 25.9, 23.2, 21.9, 20.7, 16.1;
比旋光度[α]D25 -40.4 (C 1.03, CHCl3)

0105

[式(1a)で示されるジアゾ化合物の合成]

0106

0107

式(8a)で示されるオキシム化合物(30 g, 90.4 mmol)のアセトニトリル溶液(100 ml)に、トシルアジド(21.4 g, 108.5 mmol)を加えた。続いて1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU)(2.76 g,18.1 mmol)を20分掛けて滴下した。室温で12時間撹拌した後、溶媒を減圧下に留去し、トルエン(100 mL)と水(50 mL)とを加えて分液した。有機層を水(50 ml)で3回洗浄した。析出したトシルアミドをろ過で除いた後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した。溶媒を減圧下に留去し、式(1a)で示されるジアゾ化合物である濃い黄色の油状物(29 g,90%)を得た。

0108

分析用サンプルはシリカゲルカラムクロマトで精製した。式(1a)で示されるジアゾ化合物の分析データを以下に示す。
TLC:トルエン/EtOAc=50/1, Rf=0.50, UV active;
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 7.55-7.35 (m, 5H), 4.65-4.55 (m, 1H), 4.05(s, 3H), 1.98-0.75 (m, 9H), 0.85(d, J=6.4 Hz, 3H), 0.76 (d, J=7.0 Hz, 3H), 0.68(d, J=7.0 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 163.6, 144.4, 134.0, 129.4, 128.2, 127.7, 75.6, 62.6, 60.3, 58.0, 46.8, 40.8, 34.0, 31.3, 25.9, 23.2, 21.9, 20.7, 16.2;
比旋光度[α]D23.5 -50.7 (C 1.43, CHCl3)

0109

[式(4a)で示されるオキシムアルコール化合物の合成]

0110

0111

ギ酸(11.3 mL, 0.3 mol)を60°Cに加熱しておき、式(1a)で示されるジアゾ化合物(3.57 g,10 mmol)を酢酸エチル(50 mL)に溶かした溶液を3時間掛けて滴下した。この温度で2時間撹拌をした後、減圧下に溶媒を留去した。残渣にメタノール(50 mL)、続いて28%アンモニア水(5 mL)を加えて室温で1時間撹拌した。減圧下に溶媒を留去し、残渣にトルエン/酢酸エチル(50 mL/50 mL)、水(50 mL)を加えて分液した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧下に濃縮し、淡黄色の油状物(3.08 g)を得た。ヘキサン(50 mL)を加えて溶解し、室温で48時間放置して式(4a)で示されるオキシムアルコール化合物である白色結晶(1.27g, 36.6%)を得た。

0112

式(4a)で示されるオキシムアルコール化合物の分析データを以下に示す。
TLC:ヘキサン/酢酸エチル=5/1, Rf=0.50, UV active;
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 7.62-7.57(m, 2H), 7.41-7.36 (m, 3H), 5.30 (d, J=7.9 Hz, 1H), 4.81-4.75(m, 1H), 4.00(s, 3H), 3.66 (d, J=7.9 Hz, 1H), 1.85-1.78 (m, 2H), 1.68-1.63(m, 2H), 1.44 (br, 1H), 1.35-1.32 (m, 1H), 0.85-0.78 (m, 3H), 0.87 (d, J=7.0 Hz, 3H), 0.86 (d, J=6.1 Hz, 3H), 0.76 (d, J=7.0 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 171.0, 155.1, 133.9, 129.4, 128.4, 126.8, 76.3, 67.5, 62.4, 46.6, 39.9, 33.9, 31.1, 26.2, 23.4, 21.8, 20.5, 16.3;
m.p. 111.4-111.9 ℃(ヘキサン);
比旋光度: [α]D23 +44.7 (C 1.41, CHCl3)

0113

[式(5a)で示されるトランスアミノアルコール化合物の合成]

0114

0115

式(4a)で示されるオキシムアルコール化合物(10.4 g, 30 mmol)と酢酸(2.86 mL, 50 mmol)の混合物にメタノール(100 mL)、続いて10% Pd/C (200 mg)を順次加え、1気圧で水素添加した。6時間攪拌した後、反応混合物をメタノール(30 mL)で希釈し、触媒をセライト545で濾去した。濾液を減圧下に濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50 mL)と固体炭酸水素ナトリウムをゆっくりと加えて弱アルカリ性にした。クロロホルム(30 mL)で3回抽出を行なった。抽出液飽和食塩水(30 ml)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した。減圧下に溶媒を留去して、淡黄色のオイル(10 g)を得た。ヘキサンに溶解し、室温で12時間静置して式(5a)で示されるトランスアミノアルコール(8.15 g, 85 %)を白色個体として得た。

0116

式(5a)で示されるトランスアミノアルコール化合物の分析データを以下に示す。
TLC: CHCl3/MeOH=9/1, Rf=0.33, UV active;
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 7.35-7.21(m, 5H), 4.73-4.60 (m, 1H), 4.46(d, J=4.0 Hz,1H), 4.30(d, J=4.0 Hz, 1H), 3.22-3.02(br, 1H), 1.80-0.75 (m,12H), 0.88(d, J=6.4 Hz, 3H, 0.82 (d, J=7.0 Hz, 3H), 0.66(d, J=6.8 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 171.9, 140.5, 128.0, 127.4, 75.5, 74.6, 58.0, 46.7, 40.6, 33.9, 31.1, 25.8, 23.1, 21.8, 20.5, 16.1;
m.p. 82.0-83.1 ℃(ヘキサン);
比旋光度[α]D24 -57.7 (C 1.41, CHCl3)

0117

[式(6a)で示されるカーバメイト化合物の合成]

0118

0119

式(5a)で示されるトランスアミノアルコール化合物(3.19 g, 10 mmol)、炭酸水素ナトリウム(2.18 g, 26 mmol)の混合物に酢酸エチル(40 ml)と水(20 ml)を加えた。室温下、激しく撹拌しながらクロルギ酸アリル(1.17 ml, 11 mmol)を滴下した。室温で30分撹拌した後、トルエン(20 ml)を加え、分液した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20 ml)で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した。減圧下に溶媒を留去して、式(6a)で示されるアリルカーバメイト(4.0 g, 99%)を粘稠な淡黄色のオイルとして得た。

0120

式(6a)で示されるアリルカーバメイトの分析データを以下に示す。
TLC: toluene/EtOAc=10/1, Rf=0.27, UV active;
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 7.40-7.25 (m, 5H), 5.95-5.85 (m, 1H), 5.83 (d, J=9.2 Hz, 1H), 5.30 (d, J=17.4 Hz,1H),5.21 (d, J=10.4 Hz,1H), 5.13 (dd, J=9.0,3.1 Hz,1H), 4.76-4.50 (m,4H),3.01(d,J=6.1 Hz,1H), 1.75-1.63 (m, 4H), 1.44-1.33 (m, 2H),1.05-0.80 (m,9H), 0.68(d,J=6.7 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 171.1, 155.3, 136.6, 132.6, 128.1, 127.9, 117.6, 76.5, 72.7, 65.6, 56.6, 46.7, 40.5, 33.8, 31.2, 25.9, 23.1, 21.7, 20.5, 16.0;
比旋光度:[α]D22 -47.3 (C 1.25, CHCl3)

0121

[式(7a)で示されるN,O−アセタール化合物の合成]

0122

0123

式(6a)で示されるカーバメイト化合物(4 g, 9.9 mmol)、アニスアルデヒドジメチルアセタール(3.61 g, 19.8 mmol)、PPTS(0.124 g, 0.5 mmol)のトルエン溶液(50 mL)を減圧下(約20 mmHg)にメタノールを留去しながら、100℃で加熱攪拌した。2時間後、室温まで冷却して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10 mL)を加えて反応を停止した。分液操作を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧下に溶媒を留去し、淡黄色の油状物を得た。熱ヘキサンに溶解した後、室温で一晩放置し、式(7a)で示されるN,O−アセタール化合物(4.65 g, 90 %)を白色個体として得た。

0124

式(7a)で示されるN,O−アセタール化合物の分析データを以下に示す。
TLC: toluene/EtOAc=10/1, Rf=0.53, UV active;
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 7.52-7.25 (m, 7H), 6.90 (d, J=8.6 Hz, 2H), 6.11(s, 1H), 5.74 (br, 1H), 5.31 (d, J=7.1 Hz, 1H), 5.14-5.05 (m,1H), 4.99 (d, J=7.1 Hz, 1H), 4.55-4.42 (m, 3H), 1.70-1.54 (m, 4H), 1.25-1.17 (m, 2H), 0.95-0.85 (m, 1H), 0.83 (d, J=7.0 Hz, 3H), 0.75-0.66 (m, 1H), 0.68 (d, J=6.4 Hz, 3H), 0.64 (d, J=7.1 Hz, 3H), 0.28-0.18 (m, 1H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 165.8, 160.1, 153.8, 137.7, 131.9, 128.9, 128.7, 128.1, 117.3, 113.5, 90.6, 79.3, 75.1, 65.9, 62.3, 55.1, 46.5, 39.3, 33.8, 30.8, 26.0, 23.1, 21.6, 20.5,16.1;
m.p. 108.9-110.0 ℃(ヘキサン);
比旋光度[α]D22 -52.6 (C 1.34, CHCl3), [α]D22 -41.7 (C 1.12, CHCl3)

0125

[式(3a)で示されるカルボン酸化合物の合成]

0126

0127

式(7a)で示されるN,O−アセタール化合物(5.22 g, 10 mmol)に水酸化リチウム一水和物(629 mg,15 mmol)、メタノール(5 ml)、ジオキサン(30 ml)、水(5 ml)を加え,
50℃で5時間撹拌した。溶媒を減圧下に留去した後、残渣にトルエン(15 ml)、酢酸エチル(15 ml)、水(15 ml)を加え、よく撹拌した。有機層を分離し、食塩水(20 mL)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した後、減圧下に濃縮してメントール(1.48 g, 9.5 mmol)を回収した。一方、水層は再度トルエン(10 ml)と酢酸エチル(10 ml)を加えて洗浄し、分離した水層にトルエン(20 ml)と酢酸エチル(20 ml)を加えて、激しく撹拌しながら0.3M HCl(60 ml)をゆっくりと注いで弱酸性にした。有機層を水(20 ml)で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した後、減圧下に濃縮して式(3a)で示されるカルボン酸を淡黄色の液体として得た(3.26g, 85%)。

0128

式(3a)で示されるカルボン酸化合物の分析データを以下に示す。
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 8.4-8.0 (br, 1H), 7.55-7.30 (m, 7H), 6.88 (d, J=8.6 Hz, 2H), 6.52 (s, 1H), 5.82-5.74 (m, 1H), 5.42 (bs, 1H), 5.15-5.06 (m, 2H), 4.92 (d, J=3.4, 1H),4.56 (d, J=5.5 HZ, 2H), 3.82 (s, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 173.9, 160.0, 154.5, 138.9, 131.8, 129.7, 128.7, 128.6, 128.1, 126.8, 117.7, 113.6, 91.3, 81.4, 66.4, 63.4, 55.1;
比旋光度[α]D24 -28.4 (c 2.04, MeOH), [α]D24 -29.6 (c 1.91, CHCl3)

0129

実施例2
[式(12a)で示される7−トリエチルシリル−バッカチンIIIの合成]

0130

0131

10-デアセチルバッカチンIII(10-DAB)(1.63 g, 3.0 mmol)に無水塩化セリウム(25 mg, 0.1 mmol)、続いて乾燥テトラヒドロフラン(25 mL)を入れ、室温で10分間撹拌した。白く懸濁した混合物に無水酢酸(2.84 mL, 30 mmol)を加えた。室温で4.5時間撹拌したところ、透明な溶液の状態になった。水(20 mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20 mL)、酢酸エチル(50 mL)を加えて1時間撹拌して無水酢酸を分解した。有機層を分離した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20 mL)で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した後、減圧下に溶媒を留去して白色固体(1.98 g)を得た(Robert A. Holton, Zhuming Zhang, Paul A. Clarke, Hossain Nadizadeh, D. John Procter, Tetrahedron Letters, 1998, 39, p.2883-2886に記載された条件を採用した)。これにN,N-ジメチルアミノピリジン(36.7mg, 0.3 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.14 mL, 18 mmol)を加えた後、ジクロロメタン(30 mL)を加えた。トリエチルクロロシラン(1.0 mL, 6.0 mmol)を滴下して室温で21時間撹拌した。溶媒を減圧下に留去した後、残渣を酢酸エチル(30 mL)で希釈した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30 mL)で2回、水(20 mL)で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ過後、減圧下に溶媒を留去し、白色固体(2.13 g)を得た。熱ヘキサン(20 mL)で2回洗浄して、式(12a)で示される7−トリエチルシリル−バッカチンIIIである灰白色固体(1.85 g, 88%)を得た。

0132

式(12a)で示される7−トリエチルシリル−バッカチンIIIの分析データを以下に示す。
TLC:トルエン/酢酸エチル=2/1, Rf=0.40, UV active;
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 8.11 (d, J=7.7 Hz, 2H), 7.61(t, J=7.3 Hz, 1H), 7.48 (t, J=7.6 Hz, 2H), 6.46 (s, 1H), 5.64 (d, J=7.0 Hz, 1H), 4.96 (d, J=8.3 Hz, 1H), 4.88-4.81 (m, 1H), 4.49 (dd, J=10.7, 6.7 Hz, 1H), 4.31(d, J=8.2 Hz, 1H), 4.15 (d, J=8.2 Hz, 1H), 3.89 (d, J=7.0 Hz, 1H), 2.58-2.50 (m, 1H), 2.30-2.25(m, 1H), 2.29 (s, 3H), 2.19 (s, 3H), 2.18 (s, 3H), 2.05 (d, J=4.9 Hz, 1H), 1.92-1.85 (m, 1H), 1.68 (s, 3H), 1.63 (s, 1H), 1.20 (s, 3H), 1.04 (s, 3H), 0.93 (t, J=8.0 Hz, 9H), 0.65-0.55 (m, 6H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 202.4, 170.5, 169.3, 166.9, 144.3, 133.5, 132.3, 130.0, 129.3, 128.5, 84.1, 80.6, 78.6, 76.4, 75.7, 74.7, 72.2, 67.6, 58.5, 47.2, 42.7, 38.3, 37.1, 26.7, 22.5, 20.8, 20.0, 14.8, 9.8, 6.6, 5.2;
比旋光度[α]D22 -69.5 (C 1.17, CHCl3)

0133

[式(13a)で示されるパクリタキセル前駆体(7−トリエチルシリル前駆体)の合成]

0134

0135

式(12a)で示される7−トリエチルシリル−バッカチンIII(350 mg,0.5 mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(413 mg, 2.0 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(61 mg, 0.5 mmol)にトルエン(20 ml)を加えて70℃に加熱した。これに式(3a)で示されるカルボン酸化合物(383 mg, 1.0 mmol)をトルエン(20 ml)に溶解して滴下ロートを使って1時間掛けて滴下した。12時間後にメタノール(0.5 ml)と酢酸(0.1 ml)を加えて室温で1時間撹拌した。続いて0.5M塩酸(20 ml)と酢酸エチル(20 ml)を加え、30分撹拌を続けた。有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣の固形物をトルエン/酢酸エチル=10/1-7/1で、シリカゲルカラムクロマトで精製し、式(13a)で示されるパクリタキセル前駆体(7−トリエチルシリル前駆体)である白色固体(453mg、85%)を得た。

0136

式(13a)で示されるパクリタキセル前駆体(7−トリエチルシリル前駆体)の分析データを以下に示す。
TLC:トルエン/酢酸エチル=3/1, Rf=0.53, UV active;
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 8.06 (d, J=7.4 Hz, 2H), 7.61(t, J=7.0 Hz, 1H), 7.48 (t, J=7.6 Hz, 2H), 7.45-7.35(m, 6H), 6.91 (d, J=8.6 Hz, 2H), 6.58 (s, 1H), 6.47 (s, 1H), 6.31 (t, J=8.8 Hz, 1H), 5.82-5.72 (m, 1H), 5.68 (d, J=7.3 Hz, 1H), 5.42 (d, J=5.4 Hz, 1H), 5.14-5.04 (m, 2H), 4.94 (d, J=3.1 Hz, 1H), 4.89(d, J=8.3 Hz, 1H), 4.56-4.54 (m, 2H), 4.48 (dd, J=10.4, 6.7 Hz, 1H), 4.26 (d, J=8.2 Hz, 1H), 4.13 (d, J=8.2 Hz, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.82 (d, J= 7.1 Hz, 1H), 2.57-2.48 (m, 1H), 2.28-2.22 (m, 2H), 2.19 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 1.93 (s, 3H), 1.92-1.85 (m, 1H), 1.71 (bs, 1H), 1.68 (s, 3H), 1.24 (s, 3H), 1.23 (s, 3H), 0.93 (t, J=7.9 Hz, 9H), 0.64-0.55 (m, 6H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 201.6, 170.1, 169.9, 169.1, 166.9, 160.1, 154.0, 139.6, 138.9, 134.0, 133.6, 131.8, 130.0, 129.9, 129.2, 128.7, 128.6, 128.5, 128.1, 127.0, 117.7, 113.7, 91.5, 84.1, 80.7, 78.9, 76.4, 74.9, 74.8, 72.2, 71.6, 66.3, 63.9, 58.4, 55.2, 46.7, 43.2, 37.1, 35.4, 26.5, 21.8, 21.0, 20.8, 14.5, 10.0, 6.7, 5.2;
比旋光度[α]D23 -59.7 (C 1.23, CHCl3)

0137

[式(13b)で示されるパクリタキセル前駆体(7−ヒドロキシ体)の合成]

0138

0139

式(13a)で示されるパクリタキセル前駆体(7−トリエチルシリル前駆体)(453 mg, 0.42 mmol)をEtOH(10 mL)とTHF(5 mL)の混合溶媒に溶解し、0.5% HCl(3 mL)を加えて室温で24時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(30 mL)で希釈した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、抽出した。有機層を飽和食塩水(20 mL)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、減圧下に溶媒を留去した。得られた白色固体(440 mg)をシリカゲルカラムクロマト(トルエン/酢酸エチル=5/1-2/1)で精製し、未反応の式(13a)で示されるパクリタキセル前駆体(43 mg,0.04)と式(13b)で示されるパクリタキセル前駆体(7−ヒドロキシ体)(344 mg,消費原料換算で95%)を得た。

0140

式(13b)で示されるパクリタキセル前駆体(7−ヒドロキシ体)の分析データを以下に示す。
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 8.05 (d, J=7.0 Hz, 2H), 7.62(t, J=7.4 Hz, 1H), 7.48 (t, J=7.7 Hz, 2H), 7.46-7.35(m, 7H), 6.92 (d, J=8.6 Hz, 2H), 6.57 (s, 1H), 6.35 (t, J=8.3 Hz, 1H), 6.31 (s, 1H), 5.82-5.74 (m, 1H), 5.67 (d, J=7.0 Hz, 1H), 5.44 (d, J=3.7 Hz, 1H), 5.14-5.05 (m, 2H), 4.95-4.89 (m, 2H), 4.55 (d, J=5.2 Hz, 2H), 4.46-4.42 (m, 1H), 4.26 (d, J=8.2 Hz, 1H), 4.14 (d, J=8.2 Hz, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.82 (d, J= 7.0 Hz, 1H), 2.60-2.52 (m, 1H), 2.48 (d, J=4.3 Hz, 1H), 2.32-2.20 (m, 2H), 2.26 (s, 3H), 1.99 (s, 3H), 1.93(s, 3H), 1.92-1.84 (m, 1H), 1.74 (bs, 1H), 1.67 (s, 3H), 1.58 (s, 3H), 1.29 (s, 3H), 1.16 (s, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 203.6, 171.2, 170.2, 170.1, 166.9, 160.2, 154.1, 141.8, 138.9, 133.7, 133.3, 131.9, 130.0, 129.8, 129.1, 128.8, 128.64, 128.6, 128.2, 127.0, 117.7, 113.8, 91.6, 84.4, 82.0, 80.8, 79.2, 76.4, 75.5, 75.0, 72.1, 71.6, 66.4, 64.0, 58.5, 55.3, 45.6, 43.2, 35.7, 35.5, 26.8, 21.8, 20.8, 15.1, 9.5;
比旋光度[α]D22 -81.0 (C 1.29, CHCl3)

0141

[式(14)で示されるパクリタキセルの合成]

0142

0143

式(13b)で示されるパクリタキセル前駆体(7−ヒドロキシ体)(344 mg, 0.36 mmol)にトリフェニルホスフィン(52.4 mg, 0.2 mmol)、ギ酸(0.068 mL, 1.8 mmol)トリエチルアミン(0.25 mL, 1.8 mmol)、THF(10 mL)を加えた。続いて、酢酸パラジウム(11.2 mg, 0.05 mmol)を加えて、室温で5時間撹拌した。減圧下に溶媒を留去した後、メタノール(30 mL)とパラトルエンスルホン酸・ピリジン塩(503 mg, 2.0 mmol)を加えて24時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(60 mL)と酢酸エチル(50 mL)で希釈した後、有機層を分離した。これを飽和食塩水(30 mL)で洗浄、分離、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した後、減圧下に濃縮して、デベンゾイルカルボニルパクリタキセルの粗生成物を泡状の固体として得た。これに酢酸エチル(20 mL)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3 ml)を加えて溶解し、塩化ベンゾイル(0.12mL, 1.0 mmol)を加えて室温で2時間撹拌した後、有機層を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、減圧下に濃縮した。得られた白色個体を熱ヘキサンに分散させて室温まで30分放置した後、白色固体を濾取した。これをクロロホルム/メタノール(50/1-30/1-20/1)を用いて、シリカゲルカラムクロマトで精製して式(14)で示されるパクリタキセル(184 mg,60%,式(13a)で示されるパクリタキセル前駆体(7−トリエチルシリル前駆体)から通算)を得た。

0144

式(14)で示されるパクリタキセルの分析データを以下に示す。
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 8.13 (d, J=7.9 Hz, 2H), 7.74(t, J=7.7 Hz, 2H), 7.61 (t, J=7.3 Hz, 1H), 7.54-7.32 (m, 10H), 6.99 (d, J=8.9 Hz, 1H), 6.27 (s, 1H), 6.23 (t, J=8.9 Hz, 1H), 5.79 (d, J=8.9 HZ, 1H), 5.68 (d, J=7.0 Hz, 1H), 4.95 (d, J=8.6 Hz, 1H), 4.81-4.79 (m, 1H), 4.44-4.38 (m,1H), 4.31 (d, J=8.3 Hz, 1H), 4.20 (d, J=8.3 Hz. 1H), 3.80 (d, J= 7.0 Hz, 1H), 3.57 (d, J= 5.2 Hz, 1H), 2.58-2.51 (m, 1H), 2.47 (d, J=4.0 Hz, 1H), 2.39 (s, 3H), 2.38-2.25 (m, 1H), 2.24 (s, 3H), 1.92-1.85 (m, 1H), 1.85 (bs, 1H), 1.80 (s, 3H), 1.69 (s, 3H), 1.24 (s, 3H), 1.15 (s, 3H)

0145

実施例3
[式(13’a)で示されるドセタキセル前駆体の合成]

0146

0147

WO2008/054233A2に記載の方法に従って式(12’)で示される7,10−Dialloc−バッカチンIIIを調製した。次いで、式(12’)で示される7,10−Dialloc−バッカチンIII(713 mg,1.0 mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(619 mg, 3.0 mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(122 mg, 1.0 mmol)にジクロロメタン(10 mL)を加えてよく撹拌しながら、式(3a)で示されるカルボン酸化合物(575 mg, 1.5 mmol)をジクロロメタン(15 mL)に溶解して滴下ロートを使って室温で1時間掛けて滴下した。室温で3時間撹拌した後、減圧下に溶媒を留去し、残査にトルエン(30 mL)と0.5 M塩酸(20 mL)を加えた。分離した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧下に溶媒を留去した。残渣の固形物をで、シリカゲルカラムクロマト(トルエン/酢酸エチル=20/1-8/1)で精製し、式(13’a)で示されるドセタキセル前駆体である白色固体(960 mg、89%)を得た。

0148

式(13’a)で示されるドセタキセル前駆体の分析データを以下に示す。
TLC: toluene/EtOAc=3/1, Rf=0.50, UV active;
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 8.05 (d, J=7.7 Hz, 2H), 7.66-7.30 (m, 10H), 6.93 (d, J=8.6 Hz, 2H), 6.58 (s, 1H), 6.37-6.32 (m, 1H), 6.25 (s, 1H), 6.05-5.94 (m, 2H), 5.82-5.74 (m, 1H), 5.67 (d, J=7.1 Hz, 1H), 5.55-5.21 (m, 6H), 5.15-5.05 (m, 2H), 4.96-4.89 (m, 2H), 4.70-4.60 (m, 4H), 4.56 (d, J=5.5 Hz, 2H), 4.28 (d, J=8.6 Hz, 1H), 4.13 (d, J=8.6 Hz, 1H), 3.93 (d, J= 6.7 Hz, 1H), 3.84 (s, 3H), 2.65-2.56 (m, 1H), 2.36-2.19 (m, 2H), 2.10 (s, 3H), 2.04-1.96 (m, 1H), 1.94 (s, 3H), 1.81 (s, 3H), 1.72 (bs, 1H), 1.27 (s, 3H), 1.19 (s, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 201.4, 170.1, 170.0, 166.8, 160.1, 154.1, 153.9, 153.8, 141.2, 138.8, 133.6, 132.7, 131.8131.7, 131.3, 129.9, 129.7, 129.0, 128.9, 128.6, 128.5, 128.1, 127.0, 119.0, 118.5, 117.7, 113.6, 91.4, 90.6, 79.3, 75.1, 65.9, 62.3, 55.1, 46.5, 39.3, 33.8, 30.8, 26.0, 23.1, 21.6, 20.5, 16.1;
比旋光度[α]D21 -51.4 (C 1.39, CHCl3)

0149

[式(14’)で示されるドセタキセルの合成]

0150

0151

式(13’a)で示されるドセタキセル前駆体(1.30 g, 1.21 mmol)にトリフェニルホスフィン(63 mg, 0.24 mmol)、ジエチルアミン(0.75 mL,7.26 mmol)、THF(10 mL)を加えた。続いて、酢酸パラジウム(13.5 mg, 0.06 mmol)を加えて、室温で3時間撹拌した。減圧下に溶媒を留去した後、メタノール(30 mL)とパラトルエンスルホン酸・ピリジン塩(608 mg, 2.42 mmol)を加えて24時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(60 mL)と酢酸エチル(50 mL)で希釈した後、有機層を分離した。これを飽和食塩水(30 ml)で洗浄、分離、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧下に濃縮して、デブトキシカルボニルドセタキセルの粗生成物を泡状の固体として得た。これにジクロロメタン(10 ml)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3 ml)を加えて溶解し、二炭酸-tert-ジブチル(290 mg, 1.33 mmol)のジクロロメタン(3 mL)溶液を室温で滴下した。12時間撹拌した後、有機層を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧下に濃縮した。得られた白色個体を熱ヘキサンに分散させて室温まで30分放置した後、白色固体を濾取した。これをクロロホルム/メタノール(50/1-30/1-20/1)を用いて、カラムクロマトで精製して式(14’)で示されるドセタキセル(587 mg,通算収率60%)を得た。

実施例

0152

式(14’)で示されるドセタキセルの分析データを以下に示す。
TLC: CHCl3/MeOH=9/1, Rf=0.47, UV active;
1H NMR(500MHz, CDCl3) δ: 8.11(d, J=7.7 Hz, 2H), 7.65-7.23 (m, 8H), 6.21 (t, J=8.4 Hz, 1H), 5.67 (d, J=7.0 Hz 1H), 5.49 (d, J=8.8 Hz, 1H), 5.26 (d, J=8.3 Hz, 1H), 5.22 (s, 1H), 4.94 (d, J=8.0 Hz, 1H), 4.62(br s, 1H), 4.31 (d, J= 8.6 Hz, 1H), 4.30-4.20 (m 2H), 3.90 (d, J= 6.8 Hz, 1H),2.62-2.54 (m, 1H), 2.38 (s, 3H), 2.30-2.20 (m, 2H), 1.90-1.80 (m, 1H), 1.84 (s, 3H), 1.75 (s, 3H), 1.34 (s, 9H), 1.23 (s, 3H), 1.13 (s, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 211.3, 172.7, 170.3, 167.0, 155.3, 138.5, 138.3, 135.9, 133.7, 130.2, 129.1, 128.8, 128.7, 128.1,126.7, 84.1, 81.0, 80.2, 78.8, 76.6, 74.8, 74.5, 73.6, 72.5, 72.0, 57.6, 56.1, 46.5, 43.1, 37.0, 35.7, 28.2, 26.4, 22.6, 20.6, 14.4, 9.9;
比旋光度[α]D21 -42.4 (C 1.21, EtOH)

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