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技術 細胞培養方法、細胞培養用治具および細胞培養装置

出願人 東洋製罐グループホールディングス株式会社
発明者 末永亮田中郷史柏原賢戸谷貴彦太田恭平
出願日 2016年6月20日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2017-524888
公開日 2018年5月10日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 WO2016-208526
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 微生物・酵素関連装置
主要キーワード エアシリンダ式 容器接続口 クロスローラー 二軸駆動 鈍角状 軸方向周り 立体形 開き止め
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年5月10日)のものです。
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図面 (16)

課題

可撓性を有する培養容器を用い、必要に応じて細胞凝集塊を形成可能としつつコンタミネーションリスクが抑制された細胞の大量培養手法を提供する。

解決手段

1又は複数の窪みを有する載置面に細胞と培養液とが充填された可撓性を有する培養容器を載置しつつ前記培養容器に対して圧力を印加し、前記圧力の印加によって前記窪みに倣った凹凸部を前記培養容器の外面に形成した状態で、前記培養容器内の細胞を培養する。

概要

背景

遺伝子治療再生医療に代表される近代医療分野では、目的とする細胞組織などを人工的な環境下で培養することが行われている。例えば現時点における細胞培養の手法としては、次に挙げる技術が知られている。

まず第1の手法としては、実験室などで好適に用いられるウェルプレートを用いた培養手法が挙げられる。この手法では、1又は複数個ウェル(凹部)が形成されたプレートを用い、細胞と培養液とを個々のウェル内に導入して細胞培養が行われる。しかしながらこの第1の手法においては、ウェルが大気解放されているため異物混入するリスクが高く、さらにはウェル毎の注入回収動作が煩雑であるといった課題がある。

これに対し密閉性を改善させた第2の手法として、特許文献1に例示される如き密閉型トレイ容器も存在する。この手法では、細胞及び培養液を導入する凹部を有するトレイの上面がフィルム封止される。したがってこの第2の手法によれば第1の手法に比して密閉性が改善されることで上記したコンタミネーションリスクが抑制される。
しかしながら第2の手法であっても、培養液の出し入れの際には空気の出し入れを伴うため依然としてコンタミネーションリスクは高いと言える。さらに凹部を備えた培養容器として立体形状となるため、かさばってしまい取扱いが容易とは言えない。

このように現在の細胞培養の多くは凹部やウェルといった固形の底に細胞を集めて培養を行うものであるが、再生医療などの急速な進歩から近年では細胞の大量培養が求められている。
かような要求に応える大量培養の手法として、例えば特許文献2に例示される如きガス透過性のある可撓性培養容器を用いて閉鎖系で自動的に細胞の大量培養を行う手法が開発されている。この可撓性培養容器は比較的大きなサイズで製造することが可能であるので細胞の大量培養が可能であり、さらには閉鎖系であるために培養期間中における異物(菌やウイルスなど)のコンタミネーションリスクを低減できるというメリットもあり好ましい。

一方で、例えば特許文献3に示されるごとく、神経幹細胞などの再生医療用幹細胞の培養においては、その培養初期に細胞の凝集塊を形成することで効率よく細胞が大量培養できる旨が開示されている。
そしてこの特許文献3の手法では、細胞の凝集塊が形成されやすい断面U字型の凹部が一側に形成された断面U字型容器を用い、この凹部で細胞の凝集塊を形成した後に容器を回転させることで他側の断面平型部で細胞培養を継続する技術が開示されている。

特許第5098471号
特許第5344094号
特許第4543212号

概要

可撓性を有する培養容器を用い、必要に応じて細胞の凝集塊を形成可能としつつコンタミネーションリスクが抑制された細胞の大量培養手法を提供する。1又は複数の窪みを有する載置面に細胞と培養液とが充填された可撓性を有する培養容器を載置しつつ前記培養容器に対して圧力を印加し、前記圧力の印加によって前記窪みに倣った凹凸部を前記培養容器の外面に形成した状態で、前記培養容器内の細胞を培養する。

目的

一方で可撓性培養容器を用いた培養手法を用いれば上記したリスクは概ね解消することが出来るのであるが、例えば神経幹細胞などの再生医療用幹細胞などの大量培養を如何にして行うかについてはまだまだ発展の余地がある。
本発明は上記した課題を一例として解決することを鑑み、その趣意は可撓性を有する培養容器を用いて、種々の細胞を安価に高品質で且つ大量に培養可能な細胞培養方法細胞培養用治具及び細胞培養装置を実現することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

細胞培養液とが充填された可撓性培養容器を載置面に載置しつつ、前記可撓性培養容器に対して圧力を印加し、前記圧力の印加によって前記載置面と接する前記可撓性培養容器の外面を変形させた状態で、前記可撓性培養容器内の細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法

請求項2

前記載置面には1又は複数の凹凸が形成されてなり、前記可撓性培養容器の外面は、前記圧力の印加によって前記1又は複数の凹凸に倣った形状に変形する請求項1に記載の細胞培養方法。

請求項3

押圧部材を用いて前記載置面上の前記可撓性培養容器を押圧することで、前記可撓性培養容器の外面を前記1又は複数の凹凸に倣った形状に変形させる請求項2記載の細胞培養方法。

請求項4

前記細胞の培養中に前記圧力の印加を解除することにより、前記載置面と接する前記可撓性培養容器の外面を平坦化させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞培養方法。

請求項5

細胞と培養液とが充填された可撓性培養容器の外面に変形を与える載置面と、前記載置面に対向して設けられ、前記可撓性培養容器を加圧しながら前記載置面との間で当該可撓性培養容器を保持可能な第1の位置と、少なくともその一部が前記載置面に対して前記第1の位置よりも離れた第2の位置とを移動可能な押圧蓋と、を含むことを特徴とする細胞培養用治具

請求項6

細胞と培養液とが充填された可撓性培養容器の外面に変形を与える載置面と、前記載置面に可撓性培養容器が載置された後に、前記可撓性培養容器に圧力を印加して前記載置面と接する前記可撓性培養容器の外面を変形させる制御を行う制御装置と、を含むことを特徴とする細胞培養装置

請求項7

前記載置面には1又は複数の凹凸が形成されてなり、前記可撓性培養容器の外面は、前記圧力の印加によって前記1又は複数の凹凸に倣った形状に変形する請求項6に記載の細胞培養装置。

請求項8

前記載置面に対向して配置される押圧部材を更に具備し、前記制御装置は、前記載置面に載置された前記可撓性培養容器に対して前記押圧部材を押し当てる制御を行う請求項6又は7に記載の細胞培養装置。

請求項9

前記圧力が印加された状態における前記可撓性培養容器の内部を観察する観察装置をさらに具備する請求項6〜8のいずれか一項に記載の細胞培養装置。

請求項10

前記観察装置は、前記載置面を介して前記可撓性培養容器の内部を観察する請求項9に記載の細胞培養装置。

請求項11

前記観察装置を、少なくとも前記載置面と平行な方向に移動させるステージ装置を更に具備する請求項9又は10に記載の細胞培養装置。

請求項12

前記観察装置は、前記載置面に対して複数設置されてなる請求項9〜11のいずれか一項に記載の細胞培養装置。

請求項13

細胞と培養液とが充填された可撓性培養容器を載置面に載置しつつ、前記可撓性培養容器に対して押圧部材で押圧し、前記押圧部材の押圧によって前記載置面と接する前記可撓性培養容器の外面を変形させた状態で、前記押圧部材と前記可撓性培養容器との間に撹拌部材挿通させることを特徴とする培養液の撹拌方法

請求項14

前記撹拌部材の挿通方向に対して当該撹拌部材を斜めに傾斜させて前記押圧部材と前記可撓性培養容器との間を挿通させる請求項13に記載の培養液の撹拌方法。

請求項15

前記撹拌部材が前記押圧部材と前記可撓性培養容器との間を挿通する前後で、前記可撓性培養容器にかかる圧力が変化しないように前記押圧部材の押圧を調整する請求項13又は14に記載の培養液の撹拌方法。

請求項16

細胞と培養液とが充填された可撓性培養容器の外面に変形を与える載置面と、前記載置面に載置された前記可撓性培養容器に対して圧力を印加する押圧部材と、前記押圧部材と前記可撓性培養容器の間を挿通可能な撹拌部材と、前記撹拌部材を駆動する撹拌部材駆動装置と、を含むことを特徴とする培養液の撹拌装置

請求項17

前記撹拌部材は、当該撹拌部材の挿通方向に対して斜めに傾斜するよう配置されてなる請求項16に記載の培養液の撹拌装置。

請求項18

前記撹拌部材が前記押圧部材と前記可撓性培養容器との間を挿通する前後で、前記可撓性培養容器にかかる圧力が変化しないように前記押圧部材の押圧を調整する制御装置と、をさらに含む請求項16又は17に記載の培養液の撹拌装置。

請求項19

細胞と培養液とが充填された可撓性培養容器を載置面に載置しつつ、前記可撓性培養容器に対して押圧部材で押圧し、前記押圧部材の押圧によって前記載置面と接する前記可撓性培養容器の外面を変形させた状態で、さらに前記押圧部材を揺動させて前記培養液の撹拌を行うことを特徴とする培養液の撹拌方法。

技術分野

0001

本発明は、可撓性を有する培養容器を用いた細胞培養に関し、より具体的には可撓性培養容器内の細胞培養面に安定して細胞凝集塊を形成可能な細胞培養方法細胞培養用治具および細胞培養装置に関する。

背景技術

0002

遺伝子治療再生医療に代表される近代医療分野では、目的とする細胞や組織などを人工的な環境下で培養することが行われている。例えば現時点における細胞培養の手法としては、次に挙げる技術が知られている。

0003

まず第1の手法としては、実験室などで好適に用いられるウェルプレートを用いた培養手法が挙げられる。この手法では、1又は複数個ウェル(凹部)が形成されたプレートを用い、細胞と培養液とを個々のウェル内に導入して細胞培養が行われる。しかしながらこの第1の手法においては、ウェルが大気解放されているため異物混入するリスクが高く、さらにはウェル毎の注入回収動作が煩雑であるといった課題がある。

0004

これに対し密閉性を改善させた第2の手法として、特許文献1に例示される如き密閉型トレイ容器も存在する。この手法では、細胞及び培養液を導入する凹部を有するトレイの上面がフィルム封止される。したがってこの第2の手法によれば第1の手法に比して密閉性が改善されることで上記したコンタミネーションリスクが抑制される。
しかしながら第2の手法であっても、培養液の出し入れの際には空気の出し入れを伴うため依然としてコンタミネーションリスクは高いと言える。さらに凹部を備えた培養容器として立体形状となるため、かさばってしまい取扱いが容易とは言えない。

0005

このように現在の細胞培養の多くは凹部やウェルといった固形の底に細胞を集めて培養を行うものであるが、再生医療などの急速な進歩から近年では細胞の大量培養が求められている。
かような要求に応える大量培養の手法として、例えば特許文献2に例示される如きガス透過性のある可撓性培養容器を用いて閉鎖系で自動的に細胞の大量培養を行う手法が開発されている。この可撓性培養容器は比較的大きなサイズで製造することが可能であるので細胞の大量培養が可能であり、さらには閉鎖系であるために培養期間中における異物(菌やウイルスなど)のコンタミネーションリスクを低減できるというメリットもあり好ましい。

0006

一方で、例えば特許文献3に示されるごとく、神経幹細胞などの再生医療用幹細胞の培養においては、その培養初期に細胞の凝集塊を形成することで効率よく細胞が大量培養できる旨が開示されている。
そしてこの特許文献3の手法では、細胞の凝集塊が形成されやすい断面U字型の凹部が一側に形成された断面U字型容器を用い、この凹部で細胞の凝集塊を形成した後に容器を回転させることで他側の断面平型部で細胞培養を継続する技術が開示されている。

0007

特許第5098471号
特許第5344094号
特許第4543212号

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、上記したウェルプレート、密閉型トレイ容器及び断面U字型容器のいずれもその取扱いには熟練を要し、作業者熟練度に依って培養された細胞の品質ばらつくという課題がある。また、作業者が介在しなければならないという点でそもそも大量生産には極めて不向きであり、操作ミスやコンタミネーションリスクが依然として高い点においても課題は大きい。

0009

一方で可撓性培養容器を用いた培養手法を用いれば上記したリスクは概ね解消することが出来るのであるが、例えば神経幹細胞などの再生医療用幹細胞などの大量培養を如何にして行うかについてはまだまだ発展の余地がある。
本発明は上記した課題を一例として解決することを鑑み、その趣意は可撓性を有する培養容器を用いて、種々の細胞を安価に高品質で且つ大量に培養可能な細胞培養方法、細胞培養用治具及び細胞培養装置を実現することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上記目的を達成するため、本発明の細胞培養方法は、細胞と培養液とが充填された可撓性培養容器を載置面に載置しつつ、前記可撓性培養容器に対して圧力を印加し、前記圧力の印加によって前記載置面と接する前記可撓性培養容器の外面を変形させた状態で、前記可撓性培養容器内の細胞を培養することを特徴とする。

0011

また、上記目的を達成するため、本発明の細胞培養用治具は、細胞と培養液とが充填された可撓性培養容器の外面に変形を与える載置面と、前記載置面に対向して設けられ、前記可撓性培養容器を加圧しながら前記載置面との間で当該可撓性培養容器を保持可能な第1の位置と、少なくともその一部が前記載置面に対して前記第1の位置よりも離れた第2の位置とを移動可能な押圧蓋と、を含むことを特徴とする。

0012

また、上記目的を達成するため、本発明の細胞培養装置は、細胞と培養液とが充填された可撓性培養容器の外面に変形を与える載置面と、前記載置面に可撓性培養容器が載置された後に、前記可撓性培養容器に圧力を印加して前記載置面と接する前記可撓性培養容器の外面を変形させる制御を行う制御装置と、を含むことを特徴とする。

0013

また、上記目的を達成するため、本発明の培養液の撹拌方法は、細胞と培養液とが充填された可撓性培養容器を載置面に載置しつつ、前記可撓性培養容器に対して押圧部材で押圧し、前記押圧部材の押圧によって前記載置面と接する前記可撓性培養容器の外面を変形させた状態で、前記押圧部材と前記可撓性培養容器との間に撹拌部材挿通させることを特徴とする。

0014

また、上記目的を達成するため、本発明の培養液の撹拌装置は、細胞と培養液とが充填された可撓性培養容器の外面に変形を与える載置面と、前記載置面に載置された前記可撓性培養容器に対して圧力を印加する押圧部材と、前記押圧部材と前記可撓性培養容器の間を挿通可能な撹拌部材と、前記撹拌部材を駆動する撹拌部材駆動装置と、を含むことを特徴とする。

0015

また、上記目的を達成するため、本発明の培養液の撹拌方法は、細胞と培養液とが充填された可撓性培養容器を載置面に載置しつつ、前記可撓性培養容器に対して押圧部材で押圧し、前記押圧部材の押圧によって前記載置面と接する前記可撓性培養容器の外面を変形させた状態で、さらに前記押圧部材を揺動させて前記培養液の撹拌を行うことを特徴とする。

発明の効果

0016

本発明によれば、可撓性を有する培養容器を用いて、細胞の凝集塊を必要に応じて形成可能としつつ、コンタミネーションリスクが抑制された高品質な細胞の大量培養が可能となる。

図面の簡単な説明

0017

第1実施形態における細胞培養装置の正面図である。
第1実施形態における細胞培養装置の側面図である。
第1実施形態で用いられる可撓性培養容器を示す図である。
第1実施形態における細胞培養装置のうち架台の詳細を示す斜視図である。
第1実施形態における細胞培養方法を示すフロー図である。
第1実施形態で適用可能な細胞培養用治具を示す斜視図である。
第2実施形態における細胞培養装置の正面図である。
第3実施形態における細胞培養装置の正面図である。
第4実施形態における細胞培養装置の正面図である。
第5実施形態における培養液の撹拌装置および細胞培養装置の正面図である。
第5実施形態における撹拌方法を説明する状態遷移図である。
第5実施形態における撹拌部材16の変形例を示す図である。
第5実施形態における撹拌部材16の他の変形例を示す図である。
変形例1における細胞培養装置の正面図である。
変形例2における細胞培養装置の架台を示す斜視図及び断面図である。

実施例

0018

以下、適宜図面を参照しつつ本発明の細胞培養方法、細胞培養用治具および細胞培養装置について具体的に説明する。なお、説明の便宜上、以下の記載においてX方向、Y方向、およびZ方向をそれぞれ規定したが、本発明の権利範囲を意図的に限定又は減縮するものでない。

0019

≪第一実施形態≫
まず本発明の第一実施形態について、図1〜6を参照しつつ説明する。
[細胞培養装置]
図1は本発明の第一実施形態にかかる細胞培養装置1の正面図を示し、図2は同細胞培養装置1の側面図を示している。
細胞培養装置1は、1又は複数の窪み2bが形成された載置面2aを有する架台2と、この載置面2aに可撓性培養容器FPが載置された後に可撓性培養容器FPに圧力を印加してその外面FPsに窪み2bに倣った凹凸部を形成する制御を行う制御装置13を少なくとも含んで構成される。この細胞培養装置1は、適切な温度(例えば37℃)、炭酸ガス濃度(例えば5〜10%CO2濃度)、及び湿度(例えば約95%)に調整されたフレーム11内において可撓性培養容器FP内の細胞Cを培養するものである。

0020

ここで可撓性培養容器FPとは、フィルムベース軟包材を材料として袋状に形成された可撓性を有する培養容器のことである。この可撓性培養容器FPは、細胞Cの培養に好適なガス透過性を有し、かつ内容物を確認できるように、一部又は全部が透明性を有していることが好ましい。
可撓性培養容器FPは、例えば図3(a)〜(c)に例示されるとおり、基層f1、内層f2および外層f3の3層構造多層フィルムで構成されるとともに、公知の培養液及び細胞Cの出し入れなどを行うためのポートFP1が1又は2以上備えられている。
基材f1及び内層f2は、高ガス透過性ヒートシール性、及び透明性を備えた材料を用いて構成される。また、内層2は上記特性に加え、低細胞毒性を備える材料で構成される。このような材料としては、例えば直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE,Linear Low Density Polyethylene)や、超低密度ポリエチレン(VLDPE,Very Low Density Polyethylene/ULDPE,Ultra Low Density Polyethylene)、低密度ポリエチレン(LDPE, Low Density Polyethylene)、あるいはこれらのブレンドなどのポリエチレン系樹脂を用いることができる。
また、外層f3としては密度0.886g/cm3〜0.93g/cm3のポリエチレン系樹脂が好適である。なお、外層f3は適宜省略してもよい。
なお、本実施形態に好適な可撓性培養容器FPのより詳細な構造は、例えば特許第5344094号などを参照してもよい。

0021

可撓性培養容器FP内で培養される細胞Cに特に制限はないが、細胞の凝集塊を形成することが有効な細胞(人工多能性幹細胞iPS細胞)、胚性幹細胞ES細胞)、神経幹細胞、肝細胞角膜幹細胞、及び膵島細胞など)が特に好適である。
また可撓性培養容器FPに供給される培地としての培養液も、培養する細胞Cに応じて適宜選択される。
以下、かような細胞C及び培養液が充填された可撓性培養容器FPを用いて細胞培養を行う細胞培養装置1につき、更に付属する各構成の詳細を説明する。

0022

架台2は、後述する可撓性培養容器FPが載置される板材であり、例えば金属や硬質樹脂などから形成されている。なお、図1などにおいては、構造の理解を容易にするために架台2は断面で示されているが、実際は板状の外形を有している。この架台2は、図4に示されるように、可撓性培養容器FPが載置される載置面2aと、この載置面2a内において1又は複数だけ形成される窪み2bとを有している。また、架台2に、例えば可撓性培養容器FPを架台2に固定するための固定具などを設けてもよい。さらに、架台2に、コイル線熱電対あるいはペルチェ素子などの温調装置を設け、この架台2に搭載された温調装置によって可撓性培養容器FPの温調を行ってもよい。さらに、架台2に、細胞Cが窪み2bに集まることを助長したり、培養液を攪拌するための機構として、例えば振動モータ振動子などを付けても良い。かような振動子としては、例えば超音波振動子ピエゾ駆動型振動子、水晶振動子などが挙げられる。また、この振動子の設置個所としては特に制限はないが、例えば載置面2a上や窪み2b内、あるいは架台2の載置面2aとは反対側の裏面などが挙げられる。
載置面2aは、可撓性培養容器FPの外面に変形を与える機能を有し、架台2のうち可撓性培養容器FPが載置される平坦な面であるとともに、この平坦な面内に1または複数の窪み2bが形成されている。
窪み2bは、載置面2aから窪んだ部位をいい、本実施形態においては架台2の載置面2aから反対側の背面にかけて貫通した貫通孔の形状を備えている。このように載置面2aにおいて窪み2bが1又は複数設けられることで、この載置面2aには1又は複数の凹凸が形成されることになる。なお、本発明でいう「窪み」は、可撓性培養容器FPの外面FPs(後述)が載置面2aから窪み2b側に突出することで凹凸状になる形状であればよく、必ずしも貫通させずに凹部となっていてもよい。

0023

架台支持柱3は、架台2を支持する金属または樹脂材であり、その内側の空間に観察装置7およびステージ装置12などを収容可能である。本実施形態では、架台2の四隅を計4本の架台支持柱3が支持する形態となっている。
押圧部材4は、可撓性培養容器FPに対向して配置され、可撓性培養容器FPを押圧する底面が例えば平面である立体形状の部材である。この押圧部材4の材質としては、本実施形態ではアクリルなどの透明な樹脂が用いられている。押圧部材4の平面形状は、少なくとも可撓性培養容器FPより大きいことが望ましいが、可撓性培養容器FPより小さくても可撓性培養容器FPに所望の圧力がかけられれば大きさなどに特に制限はない。なお、後述する照明装置8が不要であれば、押圧部材4の材質は透明な樹脂でなくともよく、例えば金属で構成されていてもよい。
なお、押圧部材4の上述した底面は平らである必要は必ずしもなく、例えば底面が曲面(−Z方向(下方)に出っ張った凸面)である立体形状のものを用いることもできる。また、可撓性培養容器FP内のガス交換を促進するため、押圧部材4の底面(載置面2aと対向する側の面)には1又は複数の穴などが設けられていてもよい。

0024

加圧装置5は、ピストンロッド5aおよび接続リンク5bを介して押圧部材4と接続され、後述する制御装置13の制御の下で押圧部材4を架台2に対して進退させる。加圧装置5およびピストンロッド5aとしては公知のピストンポンプなどが適用可能である。
なお、本実施形態では、押圧部材4の概ね四隅に1本ずつピストンロッド5aが接続リンク5bを介して押圧部材4と接続されており、押圧部材4の底面(架台2と対向する側の面)が水平状態を維持したまま当該押圧部材4を下降(−Z方向へ移動)させることが可能となっている。また、後述するとおり、各々のピストンロッド5aは独立して制御させることが可能となっており、ピストンロッド5aの下降中に適宜その姿勢を調整することが可能となっている。
なお、1つの押圧部材4に対するピストンロッド5aおよび接続リンク5bの数は上記した4つに限られず、1セット以上あればよい。また、図示では加圧装置5は別個に記載したが、各ピストンロッド5aを独立して制御可能であれば加圧装置5は兼用されていてもよい。

0025

容器接続口6は、可撓性培養容器FPのポートFP1と接続可能に設置されている。本実施形態では制御装置13により容器接続口6の開閉が制御され、この制御によって載置面2aに載置された可撓性培養容器FPにはチューブT経由で新たな培地が供給されるとともに、使用済の培地が可撓性培養容器FPからチューブT経由で回収される。
なお、以下では、後述する培地供給タンク9や培地回収タンク10が可撓性培養容器FPとは独立して設置される例を説明するが、これに限られない。すなわち、培地供給タンクおよび培地回収タンクはそれぞれ専用バッグとして可撓性培養容器FPに付属させて、細胞Cの一回の培養毎に専用バッグごと交換可能とされていてもよい。
なお、本実施形態では、容器接続口6には識別タグ読取部(不図示)が設けられており、容器接続口6と接続される可撓性培養容器FPの内容が識別可能となっている。すなわち可撓性培養容器FPの一部(ポートFP1付近など)には識別タグが添付されており、容器内に充填された細胞Cの種別や培養液の組成などが当該識別タグにづけられている。これにより、例えば制御装置13は識別タグ読取部で読み取られた情報に基づいて培養動作の開始や停止など適切な培養処理を実行することが可能となる。なお本実施形態でいう培養動作とは、可撓性培養容器FP周り調温調湿、押圧部材4の動作制御押圧力の調整など)、培地の供給や回収などが含まれる。また、本実施形態で用いる識別タグに特に制限はなく公知の部材を用いてもよいが、バーコードQRコードさらにはRFタグICタグなどが好適な例である。

0026

観察装置7は、対物レンズなどを介して可撓性培養容器FP内の細胞Cの状態を観察する装置であり、例えば光学顕微鏡、CCDやCMOSイメージセンサーが搭載された蛍光顕微鏡などが例示される。この観察装置7は、後述するステージ装置12上で水平方向に移動可能なように架台2の下方に配置されている。なお本実施形態では1つの架台2に対して1つの観察装置7が設けられているが、これに限られずに窪み2bの位置に応じて複数配置される形態など1つの架台2に対して複数の観察装置7を設置してもよい。また、観察装置7は水平方向に移動可能であることに加えてX軸方向周り(θX方向)およびY軸方向周り(θY方向)にも変位可能であり、観察時の観察装置7の姿勢が調整可能となっている。なお、観察装置7は、必要に応じて観察した領域を撮像し、この撮像したデータを不図示のメモリなどに記憶することが可能となっている。

0027

照明装置8は、観察装置7が可撓性培養容器FP内の細胞Cの状態を観察するときに必要な光を発する装置であり、本実施形態では観察装置7と対となって設けられている。なお照明装置8としては公知の種々の光源を用いてよいが、例えば観察装置7が蛍光顕微鏡である場合には励起光を発生させる水銀ランプなどが例示される。なお本実施形態では架台2(載置面2a)に対して撮像装置7と反対側に照明装置8が配置されているが、これに限られずに架台2(載置面2a)に対して撮像装置7と同じ側に照明装置8が配置されていても良い。また、図1に示されるように、照明装置8をXYステージ12aなどの駆動機構により撮像装置7との光軸を一致させながら水平方向に移動可能としてもよいし、撮像装置7との光軸を調整する調整機構を備えていてもよい。あるいは、照明装置8は移動させずに、1又は複数の照明装置8をフレーム11上などに固定配置してもよい。

0028

培地供給タンク9は、細胞Cの培養に必要な培地(培養液など)が貯留される容器である。そして制御装置13は、バルブVaおよびポンプPを制御することでチューブTを介してこの培地供給タンク9に貯留された培地を可撓性培養容器FPへ供給する制御を行う。なお、培地供給タンク9には不図示の温調装置が搭載されており、この温調装置によって容器内が培地の鮮度や品質を維持できる温度に維持されている。
培地回収タンク10は、可撓性培養容器FPで細胞Cの培養に用いられて効用を終えた培地を回収するための容器である。制御装置13は、バルブVaおよびポンプPを制御することでチューブTを介して可撓性培養容器FPから不要な培地(培養液)を回収する制御を行う。なお、培地回収タンク10に回収された培地は、廃棄されるか、又は適切な処理を経た後に培地供給タンク9に供給され再利用が為されてもよい。
また、培地供給タンク9および培地回収タンク10が上述した専用バッグの形態である場合には、バルブVaやポンプPに培養液が接触しないように、バルブVaとしてはピンチバルブが、ポンプPとしてはペリスタポンプがそれぞれ好適となる。

0029

フレーム11は、架台2や押圧部材4など細胞Cの培養に必要な上記各部材が配置される収容空間を形成する枠体である。本実施形態のフレーム11は、例えばステンレスアルミなどの金属で形成されてなり、図1および図2に示すとおり隔壁11a、側壁11b、正面扉11cおよび背面板11dを更に含んで構成されている。このうち隔壁11aは、架台2や押圧部材4が配置される空間と、培地供給タンク9および培地回収タンク10が配置される空間とを区画する。したがって本実施形態では可撓性培養容器FPが収容される空間は、培地供給タンク9などが配置される空間とは独立して空調制御することが可能となっている。また、正面扉11cには取っ手OPが設けられ、作業者は任意のタイミングで取っ手OPを介して正面扉11cを開閉させることが可能となっている。

0030

ステージ装置12は、制御装置13の制御の下で、上記した観察装置7を載置面2aと平行な方向に二軸駆動させるXYステージ12aを含む。このXYステージ12aとしては、例えば送りねじ機構リニアボールガイドクロスローラーガイド平面モータシステムなど公知の二軸駆動機構が適用可能である。
また、ステージ装置12は、観察装置7の焦点を調整するためのZステージ12bをさらに含んで構成されている。本実施形態では可撓性培養容器FPのフィルム厚や上述した凹部の膨らみ度合いによって焦点が変化する可能性もあるので、焦点調整用のZステージ12bは高精度な観察を実現するためには特に有効である。なお、具体的な焦点の調整手法に特に制限はないが、例えば画像処理を用いたコントラスト方式が非制限的な手法として挙げられる。このZステージ12bは、観察装置7の下方に配置され、観察装置7を載置面2aと垂直な方向(Z方向)に移動させる。Zステージ12bとしては、公知のネジ式エアシリンダ式など種々の機構が適用可能であり、XYステージ12a上に配置されてもよいし、XYステージ12aごとZ方向に上下動させてもよい。また、XYステージ12aとZステージ12bとを一体化して少なくとも3軸駆動が可能なステージ構成としてもよい。
なお、上記したとおり、照明装置8も架台2の下方に配置する場合には、この照明装置8もステージ装置12で二軸駆動してもよい。
空調設備Uは、図2に示すとおり、背面板11d側に設置されており、可撓性培養容器FPや架台2が収容される空間の温度または湿度の調整を行う装置である。したがって本実施形態では、空調設備Uは、制御装置13の制御の下で、細胞Cの培養に最適な温度および湿度が維持されるように空調動作を実行する。

0031

制御装置13は、例えば所定のプログラムが保存されたメモリや演算機能を有するCPUを備えたコンピュータであり、上記した各部材の制御を行って細胞Cの培養を統括する機能を備えている。
なお、図示では制御装置13はフレーム11上に便宜的に配置したが、この例に限られない。例えばディスプレイを伴って側面板11bに制御装置13が組み込まれた形態でもよいし、制御対象の上記各部材と有線又は無線を介して接続されたパーソナルコンピュータラップトップコンピュータの形態でもよい。

0032

[細胞培養方法]
次に図5を用いて本実施形態の細胞培養方法について説明する。
ここで、本実施形態の細胞培養方法は、1又は複数の窪みを有する載置面に細胞と所定の培養液とが充填された可撓性を有する培養容器を載置しながら培養容器に対して圧力を印加し、この圧力の印加によって載置面と接する可撓性培養容器の外面を変形させた状態で、可撓性培養容器内の細胞を培養することなどに主として特徴がある。

0033

すなわち、まず図5(a)に示されるように、培養容器としての可撓性培養容器FPが架台2の載置面2aに載置される(ステップ1)。架台2は載置面2aに対して陥没した窪み2bが形成されているが、この状態のままでは可撓性培養容器FPの外面FPsは窪み2bに倣った凹凸部が形成されていない。
なお、架台2に温調装置が搭載されている場合には、このステップ1以降において架台2を温調することで可撓性培養容器FP内の培地温度などを調整することとしてもよい。
続いて図5(b)に示されるように、可撓性培養容器FP内の細胞Cを撹拌(懸濁)させる(ステップ2)。このように可撓性培養容器FP内の細胞Cを攪拌(懸濁)することで、後の工程において各凹部に入る細胞Cの数がおおよそ均一化することが可能となる。撹拌(懸濁)処理は、可撓性培養容器FPが載置面2aに載置されるのと同時か、あるいは押圧部材4による加圧の直前に行うことが好ましい。しかしながら撹拌(懸濁)処理のタイミングは上記に限定されず、可撓性培養容器FPが載置面2aに載置されてから加圧が開始されるまでの間で1又は複数回実施されてもよい。また、可撓性培養容器FPが載置面2aに載置された時点で既に細胞Cが撹拌(懸濁)されている場合には、このステップ2は省略してもよい。

0034

載置面2aに可撓性培養容器FPが載置された後は、図5(c)に示されるように、押圧部材4を用いて可撓性培養容器FPを押圧することで可撓性培養容器FPの外面FPsに窪み2bに倣った凹凸部を形成する(ステップ3)。換言すれば、細胞培養装置1の制御装置13は、加圧装置5を制御して押圧部材4を下方に移動させ、この移動によって可撓性培養容器FPのうちの上面(押圧部材4と対向する側の面)に押圧部材4が押し当てられる。可撓性培養容器FPの外面FPsは、この押圧部材4による圧力の印加によって1又は複数の凹凸に倣った形状に変形する。
そして押圧部材4によって可撓性培養容器FPの外面FPsに凹凸部が形成されると、可撓性培養容器FP内に拡散又は浮遊していた細胞Cは凹部(窪み2bに入り込んだ領域)内で凝集し始める。このように本実施形態では、載置面2aの窪み2bに倣った凹凸部を可撓性培養容器FPの外面に形成した状態で細胞Cが培養されることになる。押圧部材4による可撓性培養容器FPへの加圧状態は、細胞が全て沈殿するのに要する時間、例えば数分〜数十分間だけ継続されるようにして静置される。これにより、静置後には培養液中を浮遊していた細胞Cはすべて沈殿される。

0035

そして図5(d)に示されるように、押圧部材4による可撓性培養容器FPへの加圧が維持されたまま細胞Cの培養が継続される(ステップ4)。このステップ4では、上述した凹部内で細胞Cの凝集が進行することで凝集塊C´が形成される。なお、凝集塊C´をどの程度の大きさとするかは、培養する細胞Cの種類に応じて様々であるので、実験シミュレーションによって適宜決定してもよい。
なお、このステップ3又はステップ4においては、観察装置7から得られる可撓性培養容器FPの外面FPsの状態や細胞Cの凝集度合などに基づいて、押圧部材4による押圧力を可変するなどして調整されるようにしてもよい。このように、本実施形態の観察装置7は、押圧部材4による押圧が可撓性培養容器FPに印加された状態でこの可撓性培養容器FPの内部や外面を観察可能となっている。また、本実施形態の観察装置7は、窪み2bを介して可撓性培養容器FPの内部を観察することが可能となっている。

0036

そして上記した凹部内で細胞Cの凝集塊が形成されて所定の時間が経過した後、図5(e)に示されるように、細胞Cの培養中に押圧部材4の押圧を解放することによって可撓性培養容器FPの外面FPsに形成された凹凸部を平坦化する(ステップ5)。換言すれば、細胞培養装置1の制御装置13は、加圧装置5を制御して押圧部材4を上方に移動させ、この移動によって可撓性培養容器FPのうちの上面に押し当てられていた押圧部材4が上方へ退避する。これにより、押圧力から解放された可撓性培養容器FPのうち載置面2aと接する外面FPsは載置面2aにほぼ平行で平らな状態となるので、細胞培養に使用される領域(面積)を拡大することができる。
なお、このステップ5の状態で所定時間だけ静置することで細胞の培養が更に進行し、所定時間経過後に細胞の培養が終了する。細胞の培養が終了した後で、作業者は、正面扉11cを解放して載置台2aから可撓性培養容器FPを取り出すことで作業を完結させる。

0037

ここで、細胞Cの培養中に印加した圧力(押圧力)を解放する理由は、次のとおりである。
すなわち、培養する細胞Cの種類によっては凝集塊を形成したほうが培養効率は大きく向上するものの、一方で凹部を維持したままでは培養中に不都合が生じてしまう可能性も想定できる。
より具体的には、細胞Cの培養中には、容器内の一部の培地を交換して鮮度を高めたり、容器内へ透過するガス二酸化炭素酸素など)を効率よく容器内で拡散させる必要も生ずることを想定せねばならない。しかしながら可撓性培養容器FPの外面FPsに凹凸部が維持されたままであると、特に培地(培養液など)の量が少ない場合には、凸部において容器の底面と対向する面との間隙が充分に確保できず、培地の循環やガスの拡散などが途絶えてしまう恐れも考えられる。
よって本実施形態では、図5(e)のごとく所定の大きさの凝集塊C´が形成された後は、可撓性培養容器FPの上記凹凸部を平坦化することで培地やガスの効率的な循環や拡散が実現されるようにした。

0038

なお、本手法を用いずに培地やガスの効率的な循環や拡散を実現しようとする場合には、例えば大きな容器へ凝集塊C´を移し替えることが考えられるが、以下に述べるような様々なリスクが伴う。すなわち、面積の大きな容器に凝集塊C´を移し替える作業を行う場合にはピペットなどを用いる必要があり、これにより培養液が強く攪拌されてしまうことで凝集塊C´が崩れてしまうことや、個々の細胞Cに剪断力などの物理的ストレスがかかってその後の培養に悪影響を及ぼすことなど様々なリスクが発生する。
しかしながら本実施形態のごとき方法を用いれば、押圧部材4による加圧を除荷するだけで、上記で述べたリスクは伴わずに実質的に大きな容器へ凝集塊C´を移し替えたに匹敵する効果を享受することが可能となる。

0039

なお、上記したステップ1〜ステップ5の間もしくはこれに並行して、新たな培地が培地供給タンク9から容器内へ適宜供給されてもよいし、容器内から使用済の培地が培地回収タンク10に回収されてもよい。
また、観察装置7による細胞Cやその凝集塊などの観察は、ステップ1〜ステップ5の間で連続して行われてもよいし、断続的に行われてもよい。また、観察装置7をステージ装置12で適宜駆動させることにより、可撓性培養容器FPの凹凸部のうち異なる複数の箇所の凝集塊などを順次観察してもよい。

0040

[細胞培養用治具]
上記したとおり、可撓性培養容器FPはコンタミネーションのリスクが抑制されておりその取扱いが容易であるので、本実施形態ではこの可撓性培養容器FPを保持する可搬性の細胞培養用治具を採用した。この細胞培養用治具を用いる目的の1つは、従来のフラスコシャーレあるいはウェルプレートなどと同様に手で持ち運びが可能な利点は踏襲しつつ、更に効率的でコンタミリスクの少ない態様で細胞の培養を行うことを実現するものである。
すなわち、本実施形態の細胞培養用治具は、細胞と培養液とが充填された可撓性培養容器の外面に変形を与える載置面と、この載置面に対向して設けられ、載置面に載置される可撓性培養容器を加圧しながら載置面との間で当該可撓性培養容器を保持可能な第1の位置と、少なくともその一部がこの載置面に対して第1の位置よりも離れた第2の位置とを移動可能な押圧蓋と、を含むことを主な特徴としている。
この細胞培養用治具によれば、可撓性培養容器FPを保持した状態で、例えば一般的に細胞培養で用いられるCO2インキュベータと、培養液の追加や交換を行うクリーンベンチと、培養容器内の細胞の観察を行う顕微鏡との間の移動を行うことなどが可能となる。

0041

具体的には、図6に示すとおり、本実施形態では細胞培養用治具20と細胞培養用治具30の二種類の治具のいずれかが好適に用いられる。
細胞培養用治具20は、図6(a)に示されるとおり、ベース21と、ベース21上に設けられて1又は複数の窪みを有する載置面22と、この載置面22に対向して設けられた押圧蓋26を含んで構成されている。
押圧蓋26は、上蓋24と支柱25を介して接続されており、支柱25によって姿勢を維持されたままで上蓋24に対して接近又は離隔可能となっている。また、上蓋24はヒンジ23を介してベース21と接続されており、上蓋24がヒンジ23を軸に回転できるように構成されている。

0042

よって、可撓性培養容器FPを細胞培養用治具20に収容する際には、まずヒンジ23を介して上蓋24が開いた状態(押圧蓋26は第2の位置となる)で載置面22に可撓性培養容器FPを載置し、次いで不図示のロック機構により上蓋24がベース21に対してロックされるまで上蓋24を閉じる(押圧蓋26の少なくとも一部が載置面に近づいて第1の位置となる)。
このとき、上蓋24の移動に伴って押圧蓋26が支柱25を介して上蓋24側に移動し、これにより可撓性培養容器FPに押圧蓋26によって押圧力が付与される。なお、このときの押圧力は、押圧蓋26の質量によって発生させることもできるし、不図示の開き止めロックを用いて押圧蓋26を可撓性培養容器FPに押付けた状態でロックをかけることによっても発生させることができる。
そして作業者は、押圧蓋26による押圧力が可撓性培養容器FPに付与された状態の細胞培養用治具20を、CO2インキュベータ内に手などで持ち運んで可撓性培養容器FP内の細胞を培養する作業を行う。
なお、本実施形態の細胞培養用治具20は、CO2インキュベータ内で使用する態様以外にも、例えば細胞培養装置1内で使用してもよい。細胞培養用治具20を細胞培養装置1で使用する場合には架台2を省略してもよく、その場合にはベース21と架台支持柱3の先端とが接続して固定が可能な構造となっていることが好ましい。

0043

一方で細胞培養用治具30は、図6(b)に示されるとおり、1又は複数の窪みを有する載置面を有する下蓋31と、この下蓋31の載置面に対向して設けられた押圧蓋33と、この下蓋31と押圧蓋33とを連結する平行リンク32とを含んで構成されている。
可撓性培養容器FPを下蓋31の載置面に載置する際には、図6(b)の左側に示されるように、押圧蓋33は第2の位置に移動される。
そして載置面に可撓性培養容器FPが載置された後は、図6(b)の右側に示されるように、平行リンク32を駆動させて押圧蓋33を可撓性培養容器FPに押し当てる。
次いで、押圧蓋33による可撓性培養容器FPへの押圧力を維持しつつ不図示のロック機構で下蓋31と押圧蓋33とをロックする(押圧蓋33は載置面に近づいて第1の位置となる)。
なお、この細胞培養用治具30をCO2インキュベータ内又は細胞培養装置1内で用いる態様は、上述した細胞培養用治具20の場合と同様なのでその説明は省略する。

0044

上記した第1実施形態では、図1でY方向に並んで2つの架台2が配置される例を示したが、これに限られず1つのみの配置でもよいし、3つ以上並べて配置してもよい。また、図2ではX方向に関して1つの架台のみ配置された例を示したが、これに限られずに2つ以上並べて配置してもよい。
さらに、架台2を収容するフレーム11を高さ方向(Z方向)に複数並べて配置してもよい。または、フレーム11内を高さ方向に複数の区画に分離し、この分離した区画内にそれぞれ架台2や押圧部材4を配置してもよい。

0045

≪第2実施形態≫
次に本発明の第2実施形態について、図7を参照して説明する。
第2実施形態における第1実施形態との相違点は、可撓性培養容器FPに付与される圧力を、架台2´を介して負圧源14によって発生させている点、撮像装置7´が架台2´の上方に配置される点などが挙げられる。
よって以下では第1実施形態との相違点を主として説明し、第1実施形態と同じ構成あるいは機能を有する要素については第1実施形態と同一の符号を付してその説明を適宜省略する(後述する第3〜第5実施形態、および変形例1、2についても同じ)。

0046

図7に示されるとおり、本実施形態の細胞培養装置1の架台2´は、載置面2´aと、この載置面2´aから下方(−Z方向)に陥没した窪み2´bを備えている。なお、本実施形態の窪み2´bは、架台2´をZ方向に貫通する貫通孔とはなっておらず、載置面2´aに対して有底の凹部となっており、さらに窪み2´bの底には流路14bが形成されている。
また、本実施形態の細胞培養装置1は、架台2´の載置面2´a上に載置された可撓性培養容器FPに対して窪み2´bを介して吸引力を発生させる負圧発生装置を備えている。この負圧発生装置は、負圧源14、この負圧源14と架台2´の流路14bとを結ぶ配管14aを含んで構成されている。

0047

このように架台2´の下方には負圧発生装置が配置されているため、本実施形態の撮像装置7´は架台2´に対して上方に配置されてX方向またはY方向に移動が可能となっている。なお、本実施形態では押圧部材4は存在しないため、照明装置8´も撮像装置7´と並んで配置されている。
以上説明した第2実施形態によっても、押圧部材を用いずに負圧発生装置を用いて可撓性培養容器FPの外面FPsを吸引することで、可撓性培養容器FPの外面FPsは負圧の印加によって窪み2´b(1又は複数の凹凸)に倣った形状に変形し、これにより架台2´の窪み2´bに倣った凹凸部を外面FPsに形成することができる。
なお本実施形態では負圧源14を用いて窪み2´b内を負圧にしたが、負圧源に代えて陽圧源を用いて窪み2´bを介して可撓性培養容器FPに陽圧を印加してもよい。

0048

≪第3実施形態≫
次に本発明の第3実施形態について、図8を参照して説明する。
第3実施形態における第1実施形態との相違点は、架台2″がアクリル樹脂などの透明部材で構成されている点、架台2″の窪み2″bが貫通孔ではなく有底の凹部である点などが挙げられる。

0049

本実施形態の観察装置7は、透明な架台2″を介して可撓性培養容器FP内の細胞Cの凝集塊などを観察可能であることに加え、載置面2″a上の培地や浮遊する細胞Cなども必要に応じて観察することが可能となっている。
換言すれば、本実施形態では、観察装置7は可撓性培養容器FPのすべての箇所について観察や撮像することが可能となっている。
なお、本実施形態では、窪み2″bが貫通孔ではなく有底の凹部であるとしたが、これに限られずに窪み2″bの形状を貫通孔としてもよい。
以上説明した第3実施形態によれば、可撓性培養容器FPの凹部以外に細胞Cが偏在していないか確認することができ、これにより効率的に凹部内に細胞Cを集めて凝集塊を形成することが可能となる。

0050

≪第4実施形態≫
次に本発明の第4実施形態について、図9を参照して説明する。
第4実施形態における第1実施形態との相違点は、架台2″がアクリル樹脂などの透明部材で構成されている点、架台2″の窪み2″bが貫通孔ではなく有底の凹部である点、さらに押圧部材4が削除されて調圧装置15が具備される点などが挙げられる。

0051

すなわち、図9に示すとおり、本実施形態では押圧部材4の押圧に代えて、調圧装置15によって可撓性培養容器FPが配置される空間SPの圧力(気圧)が高められる。
一方で本実施形態の架台2″bは凹部であるため、載置面2″aに可撓性培養容器FPが載置されたとき上記凹部が閉空間となっている。
したがって、調圧装置15による圧力の印加で空間SPの圧力が上記閉空間よりも高まることで、窪み2″bに倣った凹凸部が可撓性培養容器FPの外面FPsに形成されることとなる。
以上説明した第4実施形態によれば、押圧部材4などによって物理的に加圧するのではなく非接触状態で可撓性培養容器FPを加圧するので、可撓性培養容器FPの損傷を極力抑制しつつ所望の凹凸部を形成することができる。

0052

≪第5実施形態≫
次に本発明の第5実施形態について、図10〜13を参照して説明する。
第5実施形態における第1実施形態との相違点は、本実施形態は培養液の撹拌装置と撹拌方法を含む点、さらには押圧部材4によって押圧された可撓性培養容器FPと当該押圧部材4との間に挿通可能な撹拌部材16とこの撹拌部材16を駆動する撹拌部材駆動装置17を有する点などが挙げられる。
上記各実施形態で説明したとおり、可撓性培養容器FP内における培養液中の細胞Cは、凝集塊C´として存在することができる。ここで、細胞Cに養分を効果的に供給することなどを目的として、所定時間ごとに可撓性培養容器FP内の培養液を撹拌する作業が必要となる。このとき、可撓性培養容器FP内には凝集塊C´が形成されているので、この凝集塊C´は可能な限り移動させずに培養液だけ撹拌することが望ましい。
そこで本実施形態では、以下で説明する培養液の撹拌装置および撹拌方法を採用した。

0053

<培養液の撹拌装置>
図10に示すとおり、本実施形態の培養液の撹拌装置は、細胞Cと培養液とが充填された可撓性培養容器FPの外面に変形を与える載置面と、この載置面に載置された可撓性培養容器FPに対して圧力を印加する押圧部材4と、この押圧部材4と可撓性培養容器FPの間を挿通可能な撹拌部材16と、この撹拌部材16を駆動する撹拌部材駆動装置17と、を含んで構成されている。
なお、載置面については、上記した第1実施形態〜第4実施形態のいずれかに開示された架台(架台2、架台2´および架台2″)に対応する載置面を適用してもよい。

0054

撹拌部材16は、押圧部材4による可撓性培養容器FPへの加圧状態が維持されたままで、これら押圧部材4と可撓性培養容器FPとの間に挿通される機能を有する。この撹拌部材16の材質としては特に制限はなく、例えばステンレスなどの金属材料プラスチックなどの樹脂材料が適用できる。また、この撹拌部材16の少なくとも可撓性培養容器FPと接触する面に、例えばフッ素系材料によるコーティング研磨処理などの各種表面処理が施されて低摩擦化されていてもよい。なお、押圧部材4と撹拌部材16との接触による摩耗を抑制する観点からは、撹拌部材16のうち押圧部材4と対向する面も上記した表面処理が施されていてもよい。
より具体的には図11にも示されるとおり、本実施形態の撹拌部材16としては、その断面が矩形状で四隅の角がR状に面取り加工された直方体が例示できる。ここで、撹拌部材16のZ方向における厚みは、可撓性培養容器FPの厚みなどに応じて適宜設定されるが、可撓性培養容器FPの厚みに対して過度に厚い場合には撹拌時に可撓性培養容器FPの噛み込みや凝集塊C´の移動を誘発してしまう。従って、撹拌部材16の厚み(非限定的な一例)としては、3mm以下とすることが好ましい。また、撹拌部材16のY方向における幅(非限定的な一例)は、可撓性培養容器FPのY方向における幅に応じて適宜設定されるが、例えば5〜10mm程度が好ましい。さらに撹拌部材16のX向における長さ(非限定的な一例)は、可撓性培養容器FPのX方向における幅などに応じて適宜設定されるが、例えば可撓性培養容器FPのX方向における幅よりも大きいことが好ましい。

0055

撹拌部材駆動装置17は、撹拌部材16を支持するとともに、この撹拌部材16を可撓性培養容器FPと押圧部材4との間における挿通方向(Y方向)へ移動させる機能を有する。撹拌部材駆動装置17としては公知の種々の動力機構が適用可能であり、例えばガスシリンダ、ラック&ピニオン機構ボールネジ直動機構、あるいは磁石を利用した直動機構などが挙げられる。
図10に示すとおり、本実施形態の撹拌部材駆動装置17は、押圧部材4の一方の側(上面側)に搭載されており、押圧部材4の他方の側(底面側)に設置された撹拌部材16と接続されている。これにより、加圧装置5によって押圧部材4が架台2に対して進退する際にも、この押圧部材4の移動に追従することが可能となる。
なお、撹拌部材駆動装置17は、必ずしも押圧部材4に搭載される必要はなく、例えば載置面側に設けられていてもよい。また、押圧部材4以外に撹拌部材駆動装置17が設置される場合には、押圧部材4におけるZ方向の変位に追従可能とするため、Z方向に対して変位可能な弾性部材バネ機構など)を介して撹拌部材16と撹拌部材駆動装置17が設置されることが好ましい。
また、撹拌部材駆動装置17は、ピストンなど公知の昇降機構を介して撹拌部材16を昇降(Z方向に関して移動)可能なように支持していてもよい。これにより、例えば制御装置13の制御の下で、押圧部材4の移動とは独立して撹拌部材16のZ方向における位置を調整することが可能となる。

0056

<培養液の撹拌方法>
次に、図11をさらに用いて本実施形態における培養液の撹拌方法について説明する。
すなわち、本実施形態の培養液の撹拌方法は、細胞Cと培養液とが充填された可撓性培養容器FPを載置面に載置し、この可撓性培養容器FPに対して押圧部材4で押圧し、さらに押圧部材4の押圧によって載置面と接する可撓性培養容器FPの外面を変形させた状態で押圧部材4と可撓性培養容器FPとの間に撹拌部材16を挿通させることを主とした特徴としている。

0057

まず図11(a)に撹拌部材16の初期位置を示す。同図に示すとおり、押圧部材4による可撓性培養容器FPへの押圧がなされて可撓性培養容器FP内で凝集塊C´が形成され始めた初期においては、撹拌部材16は、押圧部材4あるいは載置面の端部に対応する初期位置で待機している。
なお、上記した待機位置としては、押圧部材4あるいは載置面の端部に限られず、可撓性培養容器FPの内圧が変化しない位置であれば、例えば可撓性培養容器FPの端部など他の位置でもよい。
そして図11(b)および(c)に示すとおり、可撓性培養容器FP内で凝集塊C´が形成されて所定の時間が経過した後、制御装置13は、撹拌部材駆動装置17を制御して撹拌部材16を挿通方向(Y方向)に移動させる制御を行う。これにより、押圧部材4による可撓性培養容器FPへの押圧が維持された状態で、押圧部材4と可撓性培養容器FPとの間に撹拌部材16が滑り込んで挿通される。なお、撹拌部材16の挿通方向への移動速度は、可撓性培養容器FPの厚みなどに応じて適宜設定されるが、比較的低速(例えば1〜5mm/sec)であることが好ましい。また、撹拌部材16の挿通方向への移動速度を一定とせずに、例えば1mm/sec〜2mm/secの間で断続的に移動速度を変化させてもよい。

0058

本実施形態では、撹拌部材16の上記した挿通(移動)に伴って、可撓性培養容器FPでは撹拌部材16に接触している付近の領域のみ培養液の局所的な動きが発生し、この培養液の局所的な動きは撹拌部材16の移動とともに挿通方向(Y方向)に遷移していく。そしてこの培養液の動きは局所的なものであるため、可撓性培養容器FP内の底に沈む凝集塊C´には何ら影響を与えることがない。
これにより、可撓性培養容器FPに形成された凹部(ウェル)に存在する凝集塊C´が分散して不均一になってしまうのを抑制しつつ、可撓性培養容器FP内の上方に存在する培養液を効率的に撹拌することが可能となる。換言すれば、可撓性培養容器FP内で凝集塊C´が沈んだ状態のままで培養液を緩やかに撹拌することが可能となる。

0059

なお、制御装置13は、撹拌部材16が押圧部材4と可撓性培養容器FPとの間を挿通するとき、可撓性培養容器FPにかかる圧力がほぼ一定となるように押圧部材4の押圧を調整してもよい。換言すれば、制御装置13は、撹拌部材16が押圧部材4と可撓性培養容器FPとの間を挿通する前後で、この可撓性培養容器FPの内圧が変化しないように押圧部材4の押圧を調整してもよい。
すなわち、撹拌部材16の挿通によって可撓性培養容器FP内における内圧が変化することになるが、例えば制御装置13によって押圧部材4をやや上昇させる(載置面に対して離間させる)ことで、撹拌部材16による上記した内圧の上昇を相殺することが可能となる。
これにより可撓性培養容器FP内の凝集塊C´に余計な刺激を与えずに、撹拌部材16による上記した撹拌動作を実行することが可能となる。

0060

なお本実施形態では、撹拌部材16として、断面が矩形状で面取りR加工が四隅に施された形状を用いたが、これに限定されない。
例えば図12(a)に示すとおり、断面が矩形状で可撓性培養容器FPと接触する底面側の角のみ面取りR加工が施された形状を用いてもよい。
さらには、図12(b)に示すとおり、断面が円または楕円形状でX方向に延びる円柱状の形状を用いてもよい。
さらには、図12(c)に示すとおり、断面が半円または半楕円形状であって、押圧部材4と接する上面が平面となった形状を用いてもよい。

0061

また、本実施形態の撹拌部材16は、挿通方向(Y)に対して垂直(直角)となるように配置されていたが、これに限定されない。
例えば図13に示すとおり、撹拌部材16は、当該撹拌部材16の挿通方向に対して斜めに傾斜するよう配置されていてもよい。
より具体的には、図13(a)のとおり、撹拌部材16は、X方向における中心がY方向側に飛び出た形状(「ブーメラン形状」、あるいは「くの字形状」とも称される)となっていてもよい。これにより、撹拌部材16の挿通に伴って可撓性培養容器FPとの間で生じる摩擦を減少させることが可能となる。さらには、図13(b)のとおり、撹拌部材16は、X方向に対して傾斜するように、押圧部材4の両側に配置される撹拌部材駆動装置17のY方向における位置をズラしてもよい。この形態によっても、撹拌部材16の挿通に伴って可撓性培養容器FPとの間で生じる摩擦を減少させることが可能となる。
以上説明した本実施形態における培養液の撹拌装置は、例えば上記した細胞培養装置に組み込まれていてもよい。また、本実施形態における培養液の撹拌方法は、例えば上記した細胞培養方法に組み込まれていてもよい。
また、本実施形態では、押圧部材4の押圧によって載置面と接する可撓性培養容器FPの外面を変形させた状態で押圧部材4と可撓性培養容器FPとの間に撹拌部材16を挿通させたが、本発明はこの態様に限られるものではない。すなわち、例えば第2実施形態や第4実施形態のごとく押圧部材4を用いずに載置面側における可撓性培養容器FPの外面を変形させた状態で、可撓性培養容器FPの上面に撹拌部材16を滑らせて移動してもよい。換言すれば、外力を付与することで可撓性培養容器FPにおける載置面側の外面を変形させた状態で、少なくとも可撓性培養容器FPの上面に撹拌部材16を滑らせるように移動させてもよい。

0062

上記した各実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、各実施形態に適宜適用が可能な変形例について説明する。なお、既述した各実施形態の構成と同じ機能・作用を奏するものは同じ参照番号を付し、その説明は適宜省略する。

0063

≪変形例1≫
図14は、上記各実施形態に適用が可能な細胞培養装置1の変形例を示す正面図である。この変形例に係る細胞培養装置1の制御装置13は、加圧装置5を制御して押圧部材4をX軸周りに回転させる機能を備えている。より具体的には、本変形例の制御装置13は、押圧部材4に接続された加圧装置5aと5bによる進退動作周期をずらすことで、押圧部材4の姿勢を変位させる。
そして制御装置13は、架台2の載置面に載置された可撓性培養容器FPに対して押圧部材4を用いて押圧力を付与した後に、加圧装置5を制御して押圧を維持しつつ押圧部材4をX軸周りに微小な範囲で回転(揺動)させる制御を行う。

0064

本変形例1によれば、押圧部材4をX軸周りに揺動させることで可撓性培養容器FP内の培地が撹拌され、これにより可撓性培養容器内の培地や透過ガスが効果的に撹拌される。
なお、本変形例では押圧部材4をX軸周りに揺動させる例を説明したが、Y軸周りに押圧部材4を揺動させてもよいし、X軸およびY軸以外の任意の軸周りに揺動させてもよい。

0065

このように、本変形例1によれば、押圧部材4による比較的小さな傾きでも可撓性培養容器FP内では培養液の大きな移動を生じさせることが可能となる。したがって、本変形例1は、可撓性培養容器FP内で細胞Cを巻き上げるほどの強い撹拌(懸濁)を行うときに好適であると言える。
すなわち本変形例1は、細胞培養装置に限られず培養液の撹拌方法や撹拌装置としても有効である。かような培養液の撹拌方法は、細胞Cと培養液とが充填された可撓性培養容器FPを載置面に載置しつつ、この可撓性培養容器FPに対して押圧部材4で押圧し、この押圧部材4の押圧によって載置面と接する可撓性培養容器FPの外面を変形させた状態で、さらに押圧部材4を揺動させて培養液の撹拌を行うことを特徴する。また、培養液の撹拌装置は、細胞Cと培養液とが充填された可撓性培養容器FPの外面に変形を与える載置面と、この載置面に載置された可撓性培養容器FPに対して圧力を印加する押圧部材4と、この押圧部材4によって可撓性培養容器FPに対して圧力が印加された状態で押圧部材を揺動させる制御を行う制御装置13を含むことを特徴とする。

0066

≪変形例2≫
図15は、変形例2における細胞培養装置の架台を示す斜視図及び断面図である。
図15(a)に示されるとおり、本変形例の架台2?は、載置面2?aと、テーパー面2?cによって形成された窪み2?bを有している。なお、本変形例では窪み2?bは5つ存在するが、5つ以外の任意の数でもよい。
そして図15(b)に示されるとおり、テーパー面2?cは、載置面2?aに向かうにつれて径が漸次広くなるように設けられている。

0067

本変形例2によれば、テーパー面2?cによって載置面2?aと窪み2?bとの境界鈍角状となるので、可撓性培養容器FPが架台2?に載置された際に不用意に損傷してしまうことなどが抑制される。
本発明は、以上で説明した各実施形態や各変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の組み合わせや変更が可能であることを付言する。
例えば上記では、1又は複数の窪み(貫通孔や凹部)が載置面に設けられることで可撓性培養容器の外面に変形を与える載置面が構成されていたが、これに限られずに例えば複数の突起(短いピンなど)が載置面から立った形態や、金網のごとき網目状パターン部材の表面を載置面として構成してもよい。

0068

本発明は、特に細胞培養の過程において細胞の凝縮塊を形成しながら大量培養する場合などに、好適に利用することが可能である。

0069

1細胞培養装置
2、2´、2″、2?架台
3架台支持柱
4押圧部材
5加圧装置
6容器接続口
7観察装置
8照明装置
9培地供給タンク
10 培地回収タンク
11フレーム
12ステージ装置
12a XYステージ
12b Zステージ
13制御装置
14 負圧源
15調圧装置
16撹拌部材
17 撹拌部材駆動装置
U空調設備
FP可撓性培養容器
C 細胞

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