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技術 可変容量形オイルポンプ

出願人 日立オートモティブシステムズ株式会社
発明者 佐賀浩二渡辺靖大西秀明永沼敦
出願日 2016年3月31日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2017-524681
公開日 2018年3月22日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 WO2016-203811
状態 特許登録済
技術分野 回転型液体ポンプの応用細部 回転型ポンプ(2)
主要キーワード フッ素系樹脂材 円弧凸状 キャビティーション 閉回路状態 外周回り 円弧凹状 外接歯車 内径中心
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年3月22日)のものです。
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図面 (12)

課題・解決手段

カムリング(15)を複数のポンプ室(24)の容積変化量(偏心量)が増大する方向へ付勢するコイルばね(33)と、供給された吐出圧を第1受圧面(15e)に作用させて、偏心量が小さくなる方向へカムリング(15)を揺動させる第1制御油室(31)と、供給された吐出圧を第2受圧面(15f)に作用させて、偏心量が大きくなる方向へカムリング(15)を揺動させる第2制御油室(32)と、を備え、前記第2受圧面の面積を第1受圧面よりも大きく形成して、第2ベクトルB2を第1ベクトルB1より大きくして、ポンプ室に気泡が発生しても、カムリングの挙動不安定化を抑制してポンプ高圧特性の制御の安定化を図る。

概要

背景

従来の可変容量形オイルポンプとしては種々提供されており、その一つとして、以下の特許文献1に開示されたものがある。

この可変容量形オイルポンプは、例えば内燃機関クランクシャフトベアリングメタルなどの各摺動部や、吸気弁などの機関弁作動特性を制御する可変動弁装置などの要求吐出圧の異なる機器に使用するために、第1の回転領域に係る低圧特性と、第2の回転領域に係る高圧特性の2段階特性の要求を満足するようになっている。

すなわち、ポンプボディ内周面カムリング外周面との間に第1制御油室と第2制御油室が隔成され、前記第1制御油室にポンプ吐出圧が供給されることによって、前記カムリングの偏心量が小さくなる方向(以下、同心方向)へ付勢される一方、第2制御油室にポンプ吐出圧が供給されることによって、カムリングの偏心量が大きくなる方向(以下、偏心方向)へ付勢されるようになっている。また、コイルばねばね力によってカムリングの偏心量が大きくなるように付勢されていると共に、ロータの外周面から径方向へ出没する複数のベーンとカムリングの内周面とによって隔成された複数のポンプ室内圧に基づく付勢力によっても前記カムリングの偏心、同心方向への揺動制御が行われようになっている。

そして、前記第1、第2制御油室に対する吐出圧の供給と排出を、電磁切換弁パイロット弁によって制御することによって、機関回転数に応じて前記カムリングの偏心量を制御して、前記低圧特性と高圧特性の2段階の要求吐出圧を満足するようになっている。

概要

カムリング(15)を複数のポンプ室(24)の容積変化量(偏心量)が増大する方向へ付勢するコイルばね(33)と、供給された吐出圧を第1受圧面(15e)に作用させて、偏心量が小さくなる方向へカムリング(15)を揺動させる第1制御油室(31)と、供給された吐出圧を第2受圧面(15f)に作用させて、偏心量が大きくなる方向へカムリング(15)を揺動させる第2制御油室(32)と、を備え、前記第2受圧面の面積を第1受圧面よりも大きく形成して、第2ベクトルB2を第1ベクトルB1より大きくして、ポンプ室に気泡が発生しても、カムリングの挙動不安定化を抑制してポンプの高圧特性の制御の安定化をる。

目的

本願発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、ポンプ室に気泡が発生しても、カムリングの挙動の不安定化を抑制してポンプの高圧特性の制御の安定化を図り得る可変容量形オイルポンプを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

回転駆動されることにより複数のポンプ室容積を変化させて吸入部から吸入された作動油吐出部から吐出するポンプ構成体と、該ポンプ構成体を内側に収容し、外周側に設けられた揺動支点支点として揺動することによって、前記吐出部に開口した前記複数のポンプ室の容積変化量可変にする揺動部材と、セット荷重が付与された状態で設けられ、前記揺動部材を前記複数のポンプ室の容積変化量が増大する方向へ付勢する付勢部材と、作動油が供給されることによって、前記複数のポンプ室の容積変化量が小さくなる方向の第1トルクを前記揺動部材に作用させる第1制御油室と、作動油が供給されることによって、前記複数のポンプ室の容積変化量が大きくなる方向でかつ前記第1トルクよりも大きな第2トルクを前記揺動部材に作用させる第2制御油室と、該第2制御油室に対する作動油の供給あるいは排出を切り換える切換機構と、を備えたことを特徴とする可変容量形オイルポンプ

請求項2

請求項1に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記第2トルクに供される前記揺動支点を始点とする第2ベクトルは、前記第1トルクに供される前記揺動支点を始点とする第1ベクトルよりも大きいことを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項3

請求項2に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記揺動支点は、前記吐出部が形成された前記複数のポンプ室の容積が減少する吐出領域に設けられていると共に、前記付勢部材は、前記吸入部が形成された前記複数のポンプ室の容積が増加する吸入領域に設けられていることを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項4

請求項3に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記第1ベクトルの終点は、前記吐出領域に設けられている一方、前記第2ベクトルの終点は、前記吸入領域に設けられていることを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項5

請求項3に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記第1、第2ベクトルの終点は、前記吸入領域に設けられていることを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項6

請求項1に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記第2トルクに供される前記揺動部材の第2受圧面の面積は、前記第1トルクに供される前記揺動部材の第1受圧面よりも大きいことを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項7

請求項1に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記第2制御油室と切換機構との間に設けられ、前記第2制御油室に前記吐出部からの吐出圧よりも減圧された作動油を導く状態と、前記第2制御油室内の作動油が排出される状態とすると共に、前記第1制御油室に作動油が導入されている状態において、前記吐出圧が大きくなるにしたがって前記第2制御油室内の作動油を排出させて、該第2制御油室内を減圧調整する制御機構を設けたことを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項8

請求項7に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記制御機構は、前記第2制御油室に対して作動油が導入される状態から排出される状態に切り換える際に、一旦、前記第2制御油室に対する作動油の導入及び排出が遮断される状態にすることを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項9

請求項1に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記揺動支点を挟んだ周方向の前記第1制御油室と第2制御油室との間でかつ前記揺動支点と第1制御油室に隣接した位置に、低圧側と連通する第3制御油室を有することを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項10

請求項1に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記揺動支点を挟んだ周方向の前記第1制御油室と第2制御油室との間でかつ前記揺動支点と第2制御油室に隣接した位置に、低圧側と連通する第3制御油室を有することを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項11

請求項10に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記第2トルクに供される前記揺動部材の外周面に形成された第2受圧面の面積は、前記第1トルクに供される前記揺動部材の外周面の第1受圧面の面積よりも大きく形成されていることを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項12

ポンプハウジング内に収容され、回転駆動されることにより複数のポンプ室の容積を変化させて吸入部から吸入された作動油を吐出部から吐出するポンプ構成体と、該ポンプ構成体を内側に収容し、外周側に設けられた揺動支点を支点として揺動することによって、前記吐出部に開口した前記複数のポンプ室の容積変化量を可変にする揺動部材と、セット荷重が付与された状態で設けられ、前記揺動部材を前記複数のポンプ室の容積変化量が増大する方向へ付勢する付勢部材と、前記ポンプハウジング内周面と前記揺動部材の外周面との間に隔成されると共に、作動油が供給されることによって前記複数のポンプ室の容積変化量が小さくなる方向の力を前記揺動部材の第1受圧面に作用させる第1制御油室と、前記ポンプハウジングの内周面と前記揺動部材の外周面との間に隔成されると共に、作動油が供給されることによって前記複数のポンプ室の容積変化量が大きくなる方向の力を前記揺動部材の第2受圧面に作用させる第2制御油室と、前記ポンプハウジングの内周面に形成され、前記揺動支点と協働して前記第1制御油室を隔成しつつ前記揺動部材の外周部に有する第1シール部材摺接すると共に、前記揺動支点から第1シール摺接面までの第1半径長さを有する円弧状の第1シール摺接面と、前記ポンプハウジングの内周面に形成され、前記揺動支点と協働して前記第2制御油室を隔成しつつ前記揺動部材の外周部に有する第2シール部材が摺接すると共に、前記揺動支点から第2シール摺接面までの第2半径長さが前記第1半径長さよりも大きく形成された円弧状の第2シール摺接面と、を備えたことを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項13

請求項12に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記第2受圧面の面積は、前記第1受圧面の面積よりも大きく形成されていることを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項14

請求項13に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記揺動支点は、前記吐出部を有する前記複数のポンプ室の容積が減少する吐出領域に設けられている一方、前記付勢部材は、前記吸入部を有する前記複数のポンプ室の容積が増加する吸入領域に設けられ、前記第1、第2半径長さは、前記吸入領域に設けられていることを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項15

請求項14に記載の可変容量形オイルポンプにおいて、前記ポンプハウジングの内側に設けられた前記揺動部材の外周が摺接する第3シール摺接部と前記揺動部材の外周及び前記揺動支点とによって隔成されて、低圧側と連通する第3制御油室を前記吐出領域に配置したことを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

請求項16

内燃機関によって回転駆動されるロータと、該ロータの外周に出没自在に設けられた複数のベーンと、前記ロータとベーンが内側に収容され、内径中心が前記ロータの回転中心偏心して配置され、内部に複数のポンプ室を隔成すると共に、外周側に設けられた揺動支点を支点として揺動することによって偏心量が変化して前記複数のポンプ室の容積変化量を可変にするカムリングと、前記ロータの回転によってポンプ容積が増大する前記複数のポンプ室に開口した吸入部と、前記ロータの回転によってポンプ容積が減少する前記複数のポンプ室に開口した吐出部と、セット荷重が付与された状態で設けられ、前記カムリングを前記複数のポンプ室の容積変化量が増大する方向へ付勢する付勢部材と、作動油が供給されることによって、前記偏心量が小さくなる方向へ第1トルクを前記カムリングに作用させる第1制御油室と、作動油が供給されることによって、前記偏心量が大きくなる方向でかつ前記第1トルクよりも大きな第2トルクを前記カムリングに作用させる第2制御油室と、前記第2制御油室に対して作動油を供給あるいは排出を切り換える切換機構と、を備えたことを特徴とする可変容量形オイルポンプ。

技術分野

0001

本発明は、例えば内燃機関クランクシャフトなどの摺動部の潤滑補機類駆動源としてのオイルを供給する可変容量形オイルポンプに関する。

背景技術

0002

従来の可変容量形オイルポンプとしては種々提供されており、その一つとして、以下の特許文献1に開示されたものがある。

0003

この可変容量形オイルポンプは、例えば内燃機関のクランクシャフトのベアリングメタルなどの各摺動部や、吸気弁などの機関弁作動特性を制御する可変動弁装置などの要求吐出圧の異なる機器に使用するために、第1の回転領域に係る低圧特性と、第2の回転領域に係る高圧特性の2段階特性の要求を満足するようになっている。

0004

すなわち、ポンプボディ内周面カムリング外周面との間に第1制御油室と第2制御油室が隔成され、前記第1制御油室にポンプ吐出圧が供給されることによって、前記カムリングの偏心量が小さくなる方向(以下、同心方向)へ付勢される一方、第2制御油室にポンプ吐出圧が供給されることによって、カムリングの偏心量が大きくなる方向(以下、偏心方向)へ付勢されるようになっている。また、コイルばねばね力によってカムリングの偏心量が大きくなるように付勢されていると共に、ロータの外周面から径方向へ出没する複数のベーンとカムリングの内周面とによって隔成された複数のポンプ室内圧に基づく付勢力によっても前記カムリングの偏心、同心方向への揺動制御が行われようになっている。

0005

そして、前記第1、第2制御油室に対する吐出圧の供給と排出を、電磁切換弁パイロット弁によって制御することによって、機関回転数に応じて前記カムリングの偏心量を制御して、前記低圧特性と高圧特性の2段階の要求吐出圧を満足するようになっている。

先行技術

0006

特開2014−105622号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、前記可変容量形オイルポンプにあっては、特にポンプ高回転時(第2回転領域)には、吸入中にエアレーションキャビティーションなどに起因した多くの気泡がオイル中に発生し易くなり、このオイルを圧縮して吐出する吐出領域で気泡の潰れなどの現象を起こして前記各ポンプ室の内圧のバランス崩れてしまう。このため、前記カムリングの挙動が不安定になって、設定した作動油圧に達する前に前記カムリングが同心方向へ揺動してしまい、第2の回転領域における高圧特性の制御が不安定になるおそれがある。

0008

本願発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、ポンプ室に気泡が発生しても、カムリングの挙動の不安定化を抑制してポンプの高圧特性の制御の安定化を図り得る可変容量形オイルポンプを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0009

本発明は、回転駆動されることにより複数のポンプ室の容積を変化させて吸入部から吸入された作動油を吐出部から吐出するポンプ構成体と、該ポンプ構成体を内側に収容し、外周側に設けられた揺動支点支点として揺動することによって、前記吐出部に開口した前記複数のポンプ室の容積変化量可変にする揺動部材と、セット荷重が付与された状態で設けられ、前記揺動部材を前記複数のポンプ室の容積変化量が増大する方向へ付勢する付勢部材と、作動油が供給されることによって、前記複数のポンプ室の容積変化量が小さくなる方向の第1トルクを前記揺動部材に作用させる第1制御油室と、作動油が供給されることによって、前記複数のポンプ室の容積変化量が大きくなる方向でかつ前記第1トルクよりも大きな第2トルクを前記揺動部材に作用させる第2制御油室と、該第2制御油室に対する作動油の供給あるいは排出を切り換える切換機構と、を備えたことを特徴としている。

発明の効果

0010

本発明によれば、カムリングの挙動の不安定化を抑制してポンプの高圧特性時における制御の安定化を図ることができる。

図面の簡単な説明

0011

本発明に係る可変容量形オイルポンプの各構成部品の分解斜視図である。
図1に示す可変容量形オイルポンプの正面図である。
図2のA−A線に沿う断面図である。
図3のB−B線に沿う断面図である。
本実施形態に供されるポンプボディのカバー部材との合わせ面側から見た図である。
同実施形態に係る可変容量形オイルポンプの油圧特性を表すグラフである。
同実施形態に係る可変容量形オイルポンプの油圧回路図であって、(A)は図6区間a、(B)は図6の区間bにおけるポンプの状態を示している。
同実施形態に係る可変容量形オイルポンプの油圧回路図であって、(A)は図6の区間c、(B)は図6の区間dにおけるポンプの状態を示している。
同実施形態に係る可変容量形オイルポンプの油圧回路図であって、図6のC−A点におけるポンプの状態を示している。
本発明における可変容量形オイルポンプの第2実施形態を示す油圧回路図である。
本発明における可変容量形オイルポンプの第3実施形態を示す油圧回路図である。

実施例

0012

以下に、本発明に係る可変容量形オイルポンプの実施形態を図面に基づいて詳述する。なお、本実施形態では、この可変容量形オイルポンプを、自動車用内燃機関の摺動部や機関弁の開閉時期制御に供するバルブタイミング制御装置に対して機関潤滑油を供給するためのオイルポンプとして適用した例を示している。

0013

このオイルポンプ10は、図外の内燃機関のシリンダブロックあるいはバランサ装置前端部に設けられ、図1図4に示すように、一端側が開口形成され内部にポンプ収容室13が設けられた縦断面ほぼコ字形状のポンプボディ11及び該ポンプボディ11の前記一端開口を閉塞するカバー部材12とからなるポンプハウジングと、該ポンプハウジングに回転自在に支持され、前記ポンプ収容室13のほぼ中心部を貫通して図外のクランクシャフトまたはバランサシャフトにより回転駆動される駆動軸14と、前記ポンプ収容室13内に移動(揺動)可能に収容され、後述する第1、第2制御油室31,32やコイルばね33と協働して後述する作動油室である複数のポンプ室24の容積変化量を変更する揺動部材であるカムリング15と、該カムリング15の内周側に収容され、駆動軸14によって図4中の時計方向に回転駆動されることで、前記カムリング15との間に形成される前記ポンプ室24の容積を増減させることによってポンプ作用を行うポンプ構成体と、前記カバー部材12に付設され、後述する第2制御油室32への油圧の給排を制御する制御機構であるパイロット弁40と、該パイロット弁40と後述の吐出口22aとの間に構成される油通路(後述する第2導入通路72)上に設けられ、吐出されたオイルの前記パイロット弁40側への供給を切換制御する切換機構である電磁切換弁60と、を備えている。

0014

前記ポンプ構成体は、カムリング15の内周側において回転自在に収容され、その中心部が駆動軸14外周に結合されたロータ16と、該ロータ16の外周部に放射状に切欠形成された複数のスリット16a内においてそれぞれ出没自在に収容されたベーン17と、前記ロータ16より小径に形成され、該ロータ16の内周側両側部に配設された一対のリング部材18,18と、から構成されている。

0015

前記ポンプボディ11は、アルミニウム合金材により一体に形成されて、図5にも示すように、ポンプ収容室13の一端壁を構成する端壁11aのほぼ中央位置に、駆動軸14の一端部を回転自在に支持する軸受孔11bが貫通形成されている。また、ポンプ収容室13の内周壁所定位置には、棒状のピボットピン19を介してカムリング15を揺動自在に支持する横断面ほぼ半円状の支持穴11cが切欠形成されている。

0016

さらに、前記ポンプ収容室13の内周壁には、軸受孔11bの中心と支持穴11cの中心とを結ぶ直線(以下「カムリング基準線」という。)Mに対して図4中の上半側に、カムリング15の外周部に配設される第1シール部材20aが摺接する第1シール摺接面11dが形成されている。この第1シール摺接面11dは、支持穴11c中心から所定半径R1をもって構成される円弧面状に形成されると共に、カムリング15が偏心揺動する範囲において第1シール部材20が常時摺接可能な周方向長さに設定されている。同様に、前記カムリング基準線Mに対して図4中の下半側にも、カムリング15の外周部に配設される第2シール部材20bが摺接する第2シール摺接面11eが形成されている。このシール摺接面11eは、支持穴11cの中心から所定半径R2をもって構成される円弧面状に形成され、カムリング15が偏心揺動する範囲において第2シール部材20aが常時摺接可能な周方向長さに設定されている。

0017

また、前記ポンプボディ11の端壁11aの内側面には、特に図4図5に示すように、軸受孔11bの外周域に、前記ポンプ構成体によるポンプ作用に伴い前記各ポンプ室24の容積が拡大する領域(以下「吸入領域」という。)に開口するようにほぼ円弧凹状の吸入部である吸入ポート21が、また、前記各ポンプ室24の容積が縮小する領域(以下「吐出領域」という。)に開口するようにほぼ円弧凹状の吐出部である吐出ポート22が、それぞれ軸受孔11bを挟んでほぼ対向するように切欠形成されている。

0018

前記吸入ポート21は、その周方向のほぼ中間位置に、後述するばね収容室26側へ膨出するように形成された導入部23が一体に設けられ、該導入部23と吸入ポート21の境界部近傍には、ポンプボディ11の端壁11aを貫通して外部へと開口する吸入口21aが貫通形成されている。このような構成により、内燃機関の図外のオイルパン貯留されたオイルが、前記ポンプ構成体のポンプ作用に伴い発生する負圧に基づき吸入口21a及び吸入ポート21を介して吸入領域に係る各ポンプ室24に吸入されるようになっている。

0019

ここで、前記吸入口21aは、前記導入部23と共に、吸入領域のカムリング15外周域に形成される低圧室35と連通するように構成され、この低圧室35にも前記吸入圧である低圧のオイルが導かれるようになっている。

0020

前記吐出ポート22は、その始端部に、ポンプボディ11の端壁11aを貫通して外部へと開口する吐出口22aが貫通形成されている。したがって、前記ポンプ構成体によるポンプ作用により加圧されて吐出ポート22へと吐出されたオイルが、吐出口22aから前記シリンダブロックの内部に設けられるメインオイルギャラリ27を通って機関内における各摺動部の潤滑用やバルブタイミング制御装置の駆動源として供給されることとなる。

0021

また、前記端壁11aの内面には、前記吐出ポート22と軸受孔11bを連通する連通溝25が切欠形成されており、この連通溝25を介して軸受孔11bにオイルを供給すると共に、ロータ16及び各ベーン17の側部にもオイルを供給することによって、各摺動部の良好な潤滑が確保されるようになっている。

0022

前記カバー部材12は、図1及び図3に示すように、ほぼ板状を呈し、複数のボルト29によりポンプボディ11の開口端面に取り付けられるものであって、ポンプボディ11の軸受孔11bに対向する位置には、駆動軸14の他端側を回転自在に支持する軸受孔12aが貫通形成されている。そして、このカバー部材12の内側面にも、図示しないが、前記ポンプボディ11と対応して、吸入ポートや吐出ポート、連通溝が、ポンプボディ11側の吸入ポート21や吐出ポート22、連通溝25に対向配置されている。

0023

前記駆動軸14は、図3に示すように、カバー部材12を貫通して外部へと臨む軸方向一端部が前記クランクシャフト等に連係され、該クランクシャフト等から伝達される回転力に基づきロータ16を図4中の時計方向へと回転させる。ここで、図4に示すように、この駆動軸14中心を通り、かつ、前記カムリング基準線Mと直交する直線(以下「カムリング偏心方向線」という。)Nが吸入領域と吐出領域の境界線となっている。

0024

前記ロータ16は、図1図4に示すように、その中心側から径方向外側へ放射状に形成された前記複数のスリット16aが切欠形成されていると共に、該各スリット16aの内側基端部には、それぞれ吐出油を導入する横断面ほぼ円形状の背圧室16bが設けられていて、該ロータ16の回転に伴う遠心力と背圧室16b内の圧力とにより、前記各ベーン17が外方へと押し出されるようになっている。

0025

前記各ベーン17は、ロータ16の回転時において、各先端面がカムリング15の内周面に摺接すると共に、各基端面が前記各リング部材18,18の外周面にそれぞれ摺接するようになっている。すなわち、これらの各ベーン17は、前記各リング部材18,18によってロータ16の径方向外側へ押し上げられる構成となっており、機関回転数が低く、また、前記遠心力や背圧室16bの圧力が小さい場合であっても、各先端がそれぞれカムリング15の内周面と摺接して前記各ポンプ室24が液密に隔成されるようになっている。

0026

前記カムリング15は、いわゆる焼結金属によりほぼ円筒状に一体形成され、その外周部の所定位置には、軸心が揺動支点Fを構成するピボットピン19が嵌入することによって円弧凹溝状のピボット部15aが軸方向に沿って切欠形成されると共に、該ピボット部15aに対しカムリング15の中心を挟んで反対側の位置には、所定のばね定数に設定された付勢部材たるコイルばね33に連係するアーム部15bが径方向に沿って突設されている。なお、このアーム部15bには、その移動(回動)方向の一側部に、ほぼ円弧凸状に形成された図外の押圧突部が突設されていて、該押圧突部がコイルばね33の先端部に常時当接することにより、アーム部15bとコイルばね33とが連係するようになっている。

0027

前記揺動支点Fとなるピボットピン19は、前記複数のポンプ室24の容積が減少する吐出領域、つまり前記偏心方向線Nよりも図4中、右側の前記吐出ポート22の周方向のほぼ中央位置の外側に配置されている。

0028

また、前記ポンプボディ11の内部には、図4図5に示すように、前記支持穴11cと対向する位置に、コイルばね33を収容保持するばね収容室26が、図4中の前記カムリング偏心方向線Nにほぼ沿うようにポンプ収容室13に隣接して設けられ、ばね収容室26には、その一端壁とアーム部15b下面との間に、所定のセット荷重W1をもって前記コイルばね33が弾装されている。

0029

なお、前記ばね収容室26の他端壁は、カムリング15の偏心方向の移動範囲規制する規制面26aとして構成され、該規制面26aにアーム部15bの他側部が当接することによって、カムリング15の偏心方向におけるそれ以上の移動が規制されるようになっている。

0030

また、前記コイルばね33は、前記複数のポンプ室24の容積が増加する吸入領域、つまり前記境界線Nよりも図4中、左側の前記吸入ポート21の周方向のほぼ中央位置の外側に配置されている。

0031

このようにして、前記カムリング15については、コイルばね33の付勢力をもって、アーム部15bを介してその偏心量が増大する方向(図4中の時計方向)へと常時付勢され、非作動状態では、図4に示すように、アーム部15bの他側部が規制面26aへと押し付けられた状態となって、その偏心量が最大となる位置に規制されるようになっている。

0032

また、前記カムリング15の外周部には、ポンプボディ11の内周壁により構成される前記第1、第2シール摺接面11d,11eと対向して設けられた一対の第1、第2シール構成部15c,15dが突出形成されていると共に、これらシール構成部15c,15dの各シール面にそれぞれ形成されたシール保持溝内に、カムリング15の偏心揺動時に前記各シール摺接面11d,11eに摺接する前記第1、第2シール部材20a,20bがそれぞれ収容保持されている。

0033

ここで、前記第1、第2シール構成部15c,15dの各シール面は、それぞれ前記各シール摺接面11d,11eを構成する半径R1,R2よりも僅かに小さい所定の半径に形成され、各シール摺接面11d,11eと該各シール構成部15c,15dの各シール面との間には、所定の微小クリアランスが形成されている。一方、第1、第2シール部材20a,20bは、いずれも例えば低摩擦特性を有するフッ素系樹脂材によってカムリング15の軸方向に沿って直線状に細長く形成され、各シール保持溝の底部にそれぞれ配設されたゴム製の弾性部材弾性力により前記各シール摺接面11d,11eに押し付けられることによって、該各シール摺接面11d,11eと前記各シール構成部15c,15dの各シール面との間が液密に隔成されている。

0034

さらに、前記カムリング15の外周域には、ピボットピン19と第1、第2シール部材20a,20bとによって一対の第1、第2制御油室31,32が隔成されている。該各制御油室31,32には、前記メインオイルギャラリ27から分岐形成された制御圧導入通路70を介してポンプ吐出圧に相当する機関内油圧が導かれるようになっている。

0035

具体的には、第1制御油室31には、前記制御圧導入通路70から二股分岐された一方の分岐通路である第1導入通路71を通ってポンプ吐出圧が供給される。一方、第2制御油室32には、前記制御導入通路70に切換機構である電磁切換弁60を介して分岐された他方の分岐通路である第2導入通路72からパイロット弁40を経て減圧されたポンプ吐出圧(以下、「第2吐出圧」という。)が供給される。

0036

そして、これらの各油圧を、それぞれ第1、第2制御油室31,32に面するカムリング15の外周面により構成される第1、第2受圧面15e,15fに掛けることによって、カムリング15に対して図4中、時計方向あるいは反時計方向への第1、第2トルクとして作用させて移動力揺動力)が付与されることになる。

0037

すなわち、前記カムリング15は、前記コイルばね33のばね力による各ポンプ室の容積変化量が増大する方向への付勢力の他に、前記カムリング15の第1制御油室31から第1受圧面15eに掛かる作動油圧によって前記コイルばね33のばね力に抗して偏心量が小さくなる方向への付勢力が働く。また、カムリング15は、第2制御油室32から第2受圧面15fに掛かる作動油圧によって前記コイルばね33のばね力と協働して偏心量が大きくなる方向への付勢力が働くようになっている。

0038

そして、前記第2受圧面15fは、その面積が第1受圧面15eと比べて大きくなるように設定され、双方に同じ油圧が作用した場合には、全体としてその偏心量を増加させる方向(図4中の時計方向)へとカムリング15を付勢するようになっている。

0039

前記第1、第2受圧面15e、15fの面積の相違による第1、第2トルク(付勢力)の差異は、ベクトルとして表すことができ、図4に示すように、ピボットピン19の軸心であるカムリング15の揺動支点Fを始点として前記第1シール部材20a(終点)方向の第1ベクトルB1(半径R1)と、前記第2シール部材20b(終点)方向の第2ベクトルB2(半径R2)の分力に分けられる。そして、前記第2ベクトルB2は、第1ベクトルB1よりも大きくなるように構成されている。

0040

このような構成から、前記オイルポンプ10では、コイルばね33のセット荷重W1に対して両制御油室31,32の内圧に基づく付勢力(ベクトル)が小さいときは、カムリング15は図4に示すような最大偏心状態となる。一方、吐出圧の上昇に伴い第1制御油室31の内圧に基づく付勢力(ベクトル)がコイルばね33のセット荷重W1を上回ったときは、その吐出圧に応じてカムリング15が同心方向(図4中、反時計方向)へ移動することとなる。

0041

前記パイロット弁40は、図1及び図4に示すように、カバー部材12の一側部に一体に形成されて、内部軸方向に下端側が開口形成されバルブ収容孔41aを有する筒状のバルブボディ41と、該バルブボディ41の下端開口を閉塞するプラグ42と、前記バルブボディ41の内周側に軸方向へ摺動自在に収容されて、摺動位置に応じて第2制御油室32に対する油圧の給排制御に供するスプール弁体43と、前記バルブボディ41の下端部の内周側に配置され、前記プラグ42とスプール弁体43の間に所定のセット荷重W2をもって弾装されてスプール弁体43をバルブボディ41の上端側へ常時付勢するバルブスプリング44と、から主として構成されている。

0042

前記バルブ収容孔41aは、内部にスプール弁体43が収容配置されていると共に、上端壁には第2導入通路72の下流側で分岐した第1分岐通路72aを介して前記電磁切換弁60と接続される導入ポート51が開口形成されている。また、バルブ収容孔41aの下端開口部内には、プラグ42が圧入固定されている。

0043

さらに、前記バルブ収容部41aの周壁には、その軸方向中間位置に、一端側が第2制御油室32に接続されると共に、他端側が後述する中継室57と常時接続されることで第2制御油室32に対して油圧の給排に供する給排ポート52が開口形成されている。また、バルブ収容孔41aの軸方向下端側の位置には、一端側が吸入側に接続され、後述する中継室57との連通を切り替えることによって該中継室57を介して第2制御油室32内の油圧の排出する第1ドレンポート53が開口形成されている。

0044

なお、前記バルブボディ41の下端側周壁には、後述する背圧室58と重合すると共に、前記第1ドレンポート53と同様に吸入側に連通する第2ドレンポート54が開口形成されている。

0045

前記給排ポート52は、バルブボディ41の下部内に形成された連通路59を介して前記第2制御油室32に常時連通している。

0046

また、前記バルブボディ41の前記導入ポート51と第1ドレンポート53との間には、スプール弁体43が図4に示す上方位置(図7A参照)にある状態で前記第2導入通路72の第1分岐通路72aよりもさらに下流端で分岐した第2分岐通路72bと前記中継室57を連通する連通ポート55が径方向に沿って形成されている。

0047

前記スプール弁体43は、第1ランド部43aの上端面が前記導入ポート51から導かれる吐出圧を受ける受圧面56として形成されていると共に、軸方向の上下端部に、第1、第2ランド部43a,43bが設けられている。この両ランド部43a,43b間には、小径軸部43cが設けられていると共に、この小径軸部43cの外周に、スプール弁体43の軸方向位置によって給排ポート52と導入ポート51(連通ポート55)または第1ドレンポート53とを中継する円筒状の中継室57が形成されている。

0048

なお、第2ランド部43bとプラグ42との間に、第2ランド部43bの外周側(微小隙間)を通じて中継室57より漏出したオイルの排出に供する背圧室58が形成されている。

0049

このような構成から、前記パイロット弁40は、導入ポート51から受圧面56に作用する吐出圧が所定圧(後述するスプール弁43の作動油圧)以下の状態では、前記セット荷重W2に基づくバルブスプリング44の付勢力によってスプール弁体43がバルブ収容孔41aの上端側の所定領域である第1領域に位置することとなる(図4及び図7A参照)。

0050

このスプール弁体43が前記第1領域に位置することにより、連通ポート55を介して第2分岐通路72bと中継室57が連通されると同時に、第2ランド部43bによって第1ドレンポート53と中継室57の連通が遮断されて、給排ポート52を介して第2制御油室32と中継室57が連通するようになっている。

0051

そして、前記受圧面56に作用する吐出圧が前記所定圧を超えると、前記バルブスプリング44のばね力に抗してスプール弁体43が第1領域からバルブ収容部41aの下方側へと移動し、該バルブ収容部41aの下方側の所定領域である第2領域に位置することとなる(図8B参照)。すなわち、スプール弁体43が前記第2領域に位置することによって、給排ポート52を介して第2制御油室32は中継室57との連通が維持されると同時に、第1ランド部43aによって連通ポート55と中継室57の連通が遮断されて、第1ドレンポート53を介して中継室57とオイルパン等が連通するようになっている。

0052

また、前記受圧面56に作用する吐出圧が前記所定圧以上に維持されている状態から僅かに低下する状態になった場合は、前記バルブスプリング44のばね力によってスプール弁43が第2領域から僅かに上方側の第3領域に位置すると、図9に示すように、スプール弁43の第1ランド部43aが連通ポート55を閉止して、中継室57との連通を遮断すると同時に、第2ランド部43bが第1ドレンポート53を閉止して、中継室57との連通を遮断するようになっている。これによって、第2制御油室32と連通路59,給排ポート52及び中継室55が閉回路状態になる。

0053

前記電磁切換弁60は、図4に示すように、前記制御圧導入通路70と第2導入通路72の間に介在され、内部軸方向に沿って油通路65が貫通形成されてなるほぼ円筒状のバルブボディ61と、該バルブボディ61の一端部内に形成された油通路65を拡径形成してなる弁体収容部66と、該弁体収容部66の外端部に圧入固定され、その中央部に第2導入通路72の上流側の通路と接続される上流側開口部である導入ポート67を有するシート部材62と、該シート部材62の内端部開口縁に形成されるバルブシート62aに対して離着座自在に設けられ、前記導入ポート67の開閉に供するボール弁体63と、前記バルブボディ61の他端部(同図中の右側端部)に設けられたソレノイド64と、から主として構成されている。

0054

前記バルブボディ61は、その一端側内周部に形成されてボール弁体63を収容する前記弁体収容部66の内端部開口縁にも、前記シート部材62に有するバルブシート62aと同様のバルブシート66aが形成されている。さらに、バルブボディ61の周壁のうち、その一端側となる前記弁体収容部66の外周部に、第2導入通路72の上流側が接続されてパイロット弁40に対する油圧の給排に供される下流側開口部である給排ポート68が径方向に沿って貫通形成されると共に、他端側となる油通路65の外周部に、オイルパンなどのドレン側へと接続されるドレンポート69が径方向に沿って複数貫通形成されている。

0055

前記ソレノイド64は、ケーシング64a内部に収容された図外のコイルへの通電により発生する電磁力をもって、前記コイルの内周側に配置されるアーマチュア及びこれに固定されるロッド64bを図4中の左方向へと進出移動させる構成となっている。なお、このソレノイド64には、内燃機関の油温水温、機関回転数など所定のパラメータによって検出ないし算出された機関運転状態に基づいて車載のECU(図示外)から励磁電流が通電されることとなる。

0056

したがって、前記ソレノイド64への通電時には、ロッド64bが進出移動することによって該ロッド64bの先端部に配置されるボール弁体63がシート部材62側のバルブシート62aへと押し付けられ、導入ポート67と給排ポート68の連通が遮断され、油通路65を通じ給排ポート68とドレンポート69が連通することとなる。一方、ソレノイド64の非通電時には、導入ポート67より導かれる吐出圧に基づいてボール弁体63が後退移動することにより該ボール弁体63がバルブボディ61側のバルブシート66aへと押し付けられ、導入ポート67と給排ポート68が連通状態となると共に、給排ポート68とドレンポート69の連通が遮断されることとなる。〔オイルポンプの作用〕 以下、本実施形態に係るオイルポンプ10の作用を、図7図9に基づいて説明する。

0057

まず、前記オイルポンプ10の作用説明に入る前に、該オイルポンプ10の吐出圧制御の基準となる内燃機関の必要油圧について、図6に基づいて説明する。図中P1は、例えば燃費向上等に供するバルブタイミング制御装置を採用した場合の該装置の要求油圧に相当する第1機関要求油圧を、図中P2は、機関高回転時の前記クランクシャフトの軸受部潤滑に要する第2機関要求油圧をそれぞれ示す。これらの要求油圧P1、P2のように内燃機関の機関回転数Nに応じて、吐出圧(必要油圧)Pを変化させることが理想的である。

0058

図6中における実線は、本願発明に係る前記オイルポンプ10の油圧特性を表し、一点破線は、吐出圧P2に到達した到達点C−Aからの前記従来のポンプの油圧特性を表したものである。

0059

したがって、本実施形態におけるオイルポンプ10は、機関始動から低回転域までの回転域に相当する図6中のa区間では、ソレノイド64に励磁電流が通電され、図7Aに示すように、導入ポート67と給排ポート68の連通が遮断される一方、給排ポート68とドレンポート69が連通する。これにより、第2制御油室32(パイロット弁40)側には吐出圧Pが導入されず、パイロット弁40のスプール弁体43は第1領域に位置することとなる。

0060

したがって、第2制御油室32内のオイルは、図中矢印で示すように、連通路59から給排ポート52、中継室57、第2分岐通路72b及び油通路65を通って電磁切換弁60のドレンポート69から排出され、第1制御油室31のみに吐出圧Pが供給される。

0061

ここで、この機関回転域では吐出圧Pがカムリング15を揺動させる作動油圧よりも低い状態となっているため、カムリング15が最大偏心状態で保持されて、吐出圧Pは機関回転数Nにほぼ比例するかたちで増大する特性となる。

0062

その後、機関回転数Nが上昇して吐出圧Pが、カムリング15が揺動する作動油圧に到達すると、図7Bに示すように、ソレノイド64に対しては前記通電状態が維持され、引き続き第1制御油室31のみに吐出圧Pが供給される。これにより、第1制御油室31の内圧に基づく付勢力がコイルばね33の付勢力W1に打ち勝ち、カムリング15が同心方向へと移動を始める。この結果、吐出圧Pが減少することとなり、前述のカムリング15が最大偏心状態にあるときと比べて、該吐出圧Pの増加量が小さくなる(図6のb区間)。

0063

続いて、機関回転数Nがさらに上昇し、機関運転状態において第2機関要求油圧P2が必要になると、ソレノイド64に対する通電が遮断され、図8Aに示すように、導入ポート67と給排ポート68が連通する一方、給排ポート68とドレンポート69の連通が遮断される。したがって、第2導入通路72から導入される吐出圧Pが第1分岐通路72aを介してパイロット弁40の受圧面56へと導かれる。このとき、吐出圧Pはいまだスプール弁43が作動する作動油圧に達していないため、パイロット弁40のスプール弁体43は第1領域の位置に維持されることとなり、連通ポート55と中継室57及び給排ポート52が連通状態となっていると共に、第2ランド部43bによって第1ドレンポート53が遮断されて、前記第2吐出圧が第2制御油室32へと供給される。

0064

これにより、コイルばね33の付勢力W1と第2制御油室32の内圧に基づく付勢力との合力によってカムリング15に対する偏心方向の付勢力が第1制御油室31の内圧に基づく同心方向の付勢力を上回って、カムリング15の偏心量が増加する方向へと押し戻され、吐出圧Pの増加量が再び大きくなる(図6中のc区間)。

0065

その後、かかる増大特性に基づき吐出圧Pが上昇してスプール弁43の作動油圧に到達すると、図8Bに示すように、パイロット弁40にて、導入ポート51より受圧面56に作用する吐出圧Pに基づいてスプール弁体43がバルブスプリング44の付勢力W2に抗して下方側(プラグ42側)へと移動して、この位置が第1領域から第2領域へと切り替わる。これにより、連通ポート55のバルブ収容孔41a側の開口が第1ランド部43aによって遮断されると共に、中継室57を介して給排ポート52と第1ドレンポート53が連通することから、第2制御油室32内のオイルが排出されて、第1制御油室31のみに吐出圧Pが供給される。この結果、第1制御油室32の内圧に基づく同心方向の付勢力がコイルばね33の付勢力W1と第2制御油室32の内圧に基づく付勢力との合力からなる偏心方向の付勢力を上回って、カムリング15が同心方向へ移動することにより吐出圧Pが減少する。

0066

この吐出圧Pの減少によりスプール弁体43の受圧面56に作用する油圧(吐出圧P)がスプール弁43の作動油圧を下回ると、図8Aに示すように、該吐出圧Pによる付勢力にバルブスプリング44の付勢力W2が打ち勝ち、スプール弁体43が導入ポート51側へと移動する。これにより、パイロット弁40の連通ポート55と給排ポート52が連通し、第2制御油室32に再び第2吐出圧が供給される。この結果、カムリング15は偏心方向へと押し戻されて、吐出圧Pが再び増大する。

0067

その後、この吐出圧Pの増大によって、スプール弁体43の受圧面56に作用する油圧がスプール弁43の作動油圧を上回ると、図8Bに示すように、該スプール弁体43がバルブスプリング44の付勢力W2に抗して再び第2領域へと移動する。これにより、前述のように、第2制御油室32内のオイルは排出されて、第1制御油室31のみに吐出圧Pが供給される。

0068

この結果、第1制御油室31の内圧に基づく同心方向の付勢力がコイルばね33の付勢力W1と第2制御油室32の内圧に基づく付勢力との合力からなる前記偏心方向の付勢力を上回って、カムリング15が同心方向へ移動することにより、吐出圧Pが再び減少する。

0069

このように、本実施形態のオイルポンプ10は、パイロット弁40のスプール弁体43によって、第2制御油室32に連通する給排ポート52と連通ポート55または第1ドレンポート53との連通が連続的に交互に切り替わることにより、吐出圧Pがスプール弁43の作動油圧に維持されるように調整されることとなる。このとき、かかる調圧は、パイロット弁40による給排ポート52の切換によって行われるため、コイルばね33のばね定数による影響を受けることがない。また、前記調圧は、前記給排ポート52の切換に係るスプール弁体43の極狭いストロークの範囲で行われるため、バルブスプリング44のばね定数による影響を受けるおそれもない。この結果、このd区間では、オイルポンプ10の吐出圧Pが機関回転数Nの上昇に伴い比例的に増大するのではなくほぼフラットな特性となる。

0070

以上のように、本実施形態に係るオイルポンプ10では、前記パイロット弁40による調圧制御に基づき、少なくとも第2機関要求油圧P2と同じ高い所定圧(スプール弁作動油圧)に維持することが要請される機関回転域(図6中のd区間)において、吐出圧Pを前記高い所定圧P2に維持することが可能になる。

0071

つまり、本実施形態に係るオイルポンプ10の場合には、吐出圧Pがカムリング15の作動油圧より大きく、前記所定圧であるスプール弁43の作動油圧以下となっている状態から、吐出圧Pがスプール弁43の作動油圧を超えたところでスプール弁体43が第1領域から第2領域へと移動し、この移動に伴いカムリング15の偏心量が減少することで吐出圧Pが再びスプール弁作動油圧を下回りスプール弁体43が第1領域へと戻る、といったスプール弁体43による給排ポート52の連通切換が連続的に繰り返し行われる結果、吐出圧Pをスプール弁43の作動油圧に維持することが可能となり、所定の高圧特性P2を維持することができる。

0072

しかも、本実施形態に係るオイルポンプ10は、前述のように、パイロット弁40のスプール弁43の摺動位置が第1領域から第2領域へ移動して、オイルが前記第2制御油室32から中継室57を通って第1ドレンポート53へと排出される直前に、図9に示すように、前記スプール弁43の第1ランド部43aが連通ポート55のバルブ収容孔41a側の開口を閉止すると同時に、第2ランド部43bが第1ドレンポート53の開口端を閉止して、前記第2制御油室32と連通路59及び給排ポート52が一時的に閉回路状態になる。

0073

このため、第2制御油室32内にオイルが充填された状態に保持されることから、カムリング15は、第1制御油室31側の第1受圧面15eよりも面積の大きな第2制御油室32側の第2受圧面15fに作用する作動油圧(第2ベクトルB2)と、コイルばね33のばね力の合力とによって偏心量が増大する方向の位置に安定に保持される。

0074

すなわち、前述した従来のオイルポンプでは、前記機関回転数Nが上昇した際にオイル内に多くの気泡が発生して、この気泡が吐出領域において各ポンプ室24内で圧潰されることにより、前記各ポンプ室24の内圧バランスが崩れることによってカムリング15の挙動が不安定になる。この結果、前記高圧特性P2の状態において、図6の一点鎖線で示すように、吐出圧Pが低下して所望の吐出圧が得られないおそれがある。

0075

これに対して、本実施形態では、機関高回転域で、たとえ吐出領域において各ポンプ室24内の気泡が圧潰されて前記各ポンプ室24の内圧バランスが崩れたとしても、前述したように、前記第2受圧面15fの面積が第1受圧面15eの面積よりも大きく形成されて、第1制御油室31側に作用する第1ベクトルB1よりも第2制御油室32側に作用する第2ベクトルB2の方が大きくなることから、カムリング15は偏心量が増加する方向へ移動した位置に保持される。したがって、カムリング15の挙動の不安定化を抑制することが可能になり、この結果、前記高圧特性P2をフラットな状態に維持することができる。〔第2実施形態〕図10は可変容量形オイルポンプの第2実施形態を示し、基本構成は第1実施形態と同様であるが、異なるところは、第1制御油室31と第2制御油室32との間に第3制御油室80が設けられている。

0076

すなわち、前記ポンプボディ11の第1シール摺接面11dが、周方向の前記カムリング15のアーム部15b方向へ移動配置されて、第1制御油室31全体が同方向へ移動されていると共に、前記ポンプボディ11のピボットピン19を支持する支持穴11cと第1制御油室31との間に第3制御油室80が設けられている。

0077

具体的には、前記カムリング15の外周部には、ポンプボディ11の内周壁により構成される第3シール摺接面11fと対向して設けられた第3シール構成部15hが突出形成されると共に、このシール構成部15hの外面にそれぞれ形成されたシール保持溝内に、カムリング15の偏心揺動時に前記第3シール摺接面11fに摺接する第3シール部材20cが収容保持されている。

0078

前記第3シール部材20cは、第1、第2シール部材20a、20bと同じく例えば低摩擦特性を有するフッ素系樹脂材によって直線状に細長く形成され、シール保持溝の底部にそれぞれ配設されたゴム製の弾性部材の弾性力をもって前記第3シール摺接面11fに押し付けられることによって、該第3シール摺接面11fとの間が液密に隔成されている。

0079

前記ピボットピン19と第3シール部材20cとによって前記第3制御油室80が隔成されている。この第3制御油室80は、ドレンポート81を介して前記オイルパン内などの低圧部に連通している。

0080

このように、前記ピボットピン19と第1制御油室31との間に、第3制御油室80を設けることによって、カムリング15の第1制御油室31に対向する第1受圧面15eの面積が、第1実施形態と同等であったとしても、第1ベクトルB1(半径R1)が第1実施形態より大きくなっている。つまり、カムリング15の揺動力に寄与する第2ベクトルB2が第1ベクトルB1より大きければ良く、第1、第2制御油室31、32の配置は、カムリング15の外周回りに適宜配置可能となる。

0081

なお、パイロット弁40や電磁切換弁60の作動や、これらの両弁40,60の制御によってカムリング15の揺動位置を制御することによって吐出圧の高圧特性と低圧特性の2段階制御が得られることは第1実施形態と同様である。

0082

また、第1制御油室31や第2制御油室32から前記第3シール部材20cやピボットピン19等を介してリークしたオイルが第3制御油室80内に捕集され、ここからドレンポート81を介して外部に排出させることができることから、前記第1制御油室31や第2制御油室32の内部に供給されているオイル量を精度良く制御できる。これによって、前記カムリング15の揺動位置制御のさらなる安定化が図れる。〔第3実施形態〕図11は第3実施形態を示し、この実施形態では、第3制御油室90の形成位置を変更したもので、第1制御油室31が第1実施形態と同じ位置に形成されているが、前記ポンプボディ11のピボットピン19を支持する支持穴11cと第2制御油室32との間に第3制御油室90が設けられている。

0083

具体的には、前記カムリング15の外周部には、ポンプボディ11の内周壁により構成される第3シール摺接面11gと対向して設けられた第3シール構成部15iが突出形成されると共に、このシール構成部15iの外面に形成されたシール保持溝内に、カムリング15の偏心揺動時に前記第3シール摺接面11gに摺接する第3シール部材20dが収容保持されている。

0084

前記第3シール部材20dは、第1、第2シール部材20a、20bと同じく例えば低摩擦特性を有するフッ素系樹脂材によって直線状に細長く形成され、シール保持溝の底部にそれぞれ配設されたゴム製の弾性部材の弾性力をもって前記第3シール摺接面11gに押し付けられることによって、ピボットピン19と第3シール摺接面11gとの間に第3制御油室90が液密に隔成されている。この第3制御油室90は、ドレンポート91を介して前記オイルパン内などの低圧部に連通している。

0085

このように、前記ピボットピン19と第2制御油室32との間に、第3制御油室90が設けられていても、前記ピボットピン19から前記第1シール摺接面11dまでの半径R1の第1ベクトルB1よりも第2シール摺接面11eまでの半径R2の第2ベクトルB2の方が大きく、第2制御油室32の油圧によるトルクベクトル(第2トルク)の方が第1制御油室31の油圧によるトルクベクトル(第1トルク)の方が大きくなるから、高圧特性P2でのカムリング15の安定した位置保持が可能になる。

0086

なお、パイロット弁40や電磁切換弁60の作動や、これらの両弁40,60の制御によってカムリング15の揺動位置を制御することによって吐出圧の高圧特性と低圧特性の2段階制御が得られることは第1実施形態と同様である。

0087

また、第1制御油室31や第2制御油室32から前記第3シール部材20dやピボットピン19等を介してリークしたオイルが第3制御油室90内に捕集され、ここからドレンポート91を介して外部に排出させることができることから、前記第1制御油室31や第2制御油室32の内部に供給されているオイル量を精度良く制御できので、カムリング15の揺動位置制御のさらなる安定化が図れる。

0088

本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば前記機関要求油圧P1、P2や前記カムリング15の作動油圧及びスプール弁43の作動油圧については、前記オイルポンプ10が搭載される車両の内燃機関やバルブタイミング制御装置等の仕様に応じて自由に変更することができる。

0089

また、前記実施形態では、前記カムリング15を揺動させることで吐出量を可変にする形態を例に説明しているが、該吐出量を可変にする手段としては、上記揺動に係る手段のみならず、例えばカムリング15を径方向へと直線的に移動させることによって行うこととしてもよい。換言すれば、吐出量を変更し得る構成(前記ポンプ室24の容積変化量を変更し得る構成)であれば、カムリング15の移動の態様は問わない。

0090

また、前記実施形態では、可変容量形ベーンポンプを例に説明したが、例えばトロコイド型ポンプに本発明を適用することも可能であり、この場合、外接歯車を構成するアウターロータが前記揺動部材に該当する。そして、かかるアウターロータを前記カムリング15と同様に偏心移動自在に配置すると共にその外周側に前記制御油室やスプリングを配置することにより、前記可変機構が構成されることとなる。

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