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技術 圧縮機及び冷凍サイクル装置

出願人 三菱電機株式会社
発明者 前山英明
出願日 2015年5月27日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2017-520160
公開日 2017年9月7日 (2年5ヶ月経過) 公開番号 WO2016-189698
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 焼結鋼 圧力損失増大 摺動箇所 固体潤滑作用 平面視略円形 共沸状態 飽和水分量 鉄鋼製
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題・解決手段

リン酸エステルが添加されていない冷凍機油(60)、及び1,1,2−トリフルオロエチレンを含む混合冷媒封入される冷媒回路(11)に用いられる圧縮機(12)であって、ローリングピストン(32)、及びローリングピストン(32)に接触して擦れ合うベーン(33)を有し、ローリングピストン(32)及びベーン(33)は、鉄鋼母材とし、互いの接触箇所において母材が露出している。

概要

背景

近年、地球温暖化防止の観点より、温室効果ガスの削減が求められている。空気調和機等の冷凍サイクル装置に用いられている冷媒についても、地球温暖化係数(GWP)より低いものが検討されている。現在、空気調和機用として広く用いられているR410AのGWPは2088と非常に大きい値である。近年導入され始めているジフルオロメタン(R32)のGWPも675とかなり大きい値になっている。

GWPの低い冷媒としては、二酸化炭素(R744:GWP=1)、アンモニア(R717:GWP=0)、プロパン(R290:GWP=6)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf:GWP=4)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(R1234ze:GWP=6)等がある。

これらの低GWP冷媒は、下記の課題があるため、一般的な空気調和機に適用することは困難である。・R744:動作圧力が非常に高いため、耐圧確保の課題がある。また、臨界温度が31℃と低いため、空気調和機用途での性能の確保が課題となる。・R717:高毒性であるため、安全確保の課題がある。・R290:強燃性であるため、安全確保の課題がある。・HFO−1234yf/R1234ze:低動作圧体積流量が大きくなるため、圧力損失増大による性能低下の課題がある。

上記の課題を解決する冷媒として、1,1,2−トリフルオロエチレン(以下、HFO−1123と称する)を含む混合冷媒がある(例えば、特許文献1参照)。HFO−1123には、特に、以下の利点がある。・動作圧力が高く、冷媒の体積流量が小さいため、圧力損失が小さく、性能を確保しやすい。・GWPが1未満であり、地球温暖化対策として優位性が高い。

概要

リン酸エステルが添加されていない冷凍機油(60)、及び1,1,2−トリフルオロエチレンを含む混合冷媒が封入される冷媒回路(11)に用いられる圧縮機(12)であって、ローリングピストン(32)、及びローリングピストン(32)に接触して擦れ合うベーン(33)を有し、ローリングピストン(32)及びベーン(33)は、鉄鋼母材とし、互いの接触箇所において母材が露出している。

目的

本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、HFO−1123を含む混合冷媒が封入された冷凍サイクル装置に用いた際、冷媒回路がスラッジで詰まってしまうことを防止できる圧縮機、及び、該圧縮機を有する冷凍サイクル装置を得ることを目的とする

効果

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請求項1

リン酸エステルが添加されていない冷凍機油、及び1,1,2−トリフルオロエチレンを含む混合冷媒封入される冷媒回路に用いられる圧縮機であって、鉄鋼母材とし、第1接触部を有する第1部材と、前記第1部材の前記第1接触部と擦れ合うように接触する第2接触部を有する第2部材と、を備え、前記第1部材の前記母材は、前記第1接触部において露出している圧縮機。

請求項2

圧縮室が形成されたシリンダと、前記圧縮室の内部で回転するローリングピストンと、先端が前記ローリングピストンの外周面と接触し、前記圧縮室を2つの空間に分割するベーンと、を備え、前記ローリングピストン及び前記ベーンのうちの少なくとも一方が前記第1部材である請求項1に記載の圧縮機。

請求項3

請求項1又は請求項2に記載の圧縮機を有する冷媒回路と、前記冷媒回路に封入され、1,1,2−トリフルオロエチレンを含んだ混合冷媒と、前記冷媒回路内に封入され、リン酸エステルが添加されていない冷凍機油と、を備えた冷凍サイクル装置

請求項4

前記冷凍機油は、摩耗防止剤が添加されていない請求項3に記載の冷凍サイクル装置。

請求項5

前記冷凍機油は、飽和水分量が1000wtppm以上である請求項3又は請求項4に記載の冷凍サイクル装置。

請求項6

前記冷媒回路に、水を捕捉するドライヤを備えた請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

請求項7

前記冷媒回路は、凝縮器及び膨張機構を備え、前記凝縮器と前記膨張機構とを接続する配管に、フィルターを備えた請求項3〜請求項6のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

請求項8

前記冷媒回路は膨張機構を備え、前記膨張機構は、開度可変ニードル式の膨張弁である請求項3〜請求項7のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

請求項9

前記冷凍機油は、酸捕捉剤が2wt%以上添加された構成である請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

請求項10

前記冷媒回路は2つの膨張機構を備え、これら前記膨張機構は直列に設けられており、これら前記膨張機構の間にフィルターを備えた請求項3〜請求項8のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

請求項11

鉄鋼を母材とし、第1接触部を有する第1部材、及び前記第1部材の前記第1接触部と擦れ合うように接触する第2接触部を有する第2部材を有する圧縮機、凝縮器、並びに、膨張機構を有する冷媒回路と、前記冷媒回路に封入され、1,1,2−トリフルオロエチレンを含んだ混合冷媒と、前記冷媒回路内に封入され、酸捕捉剤が2wt%以上添加され、リン酸エステルが添加されていない冷凍機油と、を備え、前記圧縮機の前記第1部材の前記母材は、前記第1接触部において露出しており、前記凝縮器は、前記混合冷媒が流れる冷媒流路を備え、該冷媒流路において、前記混合冷媒の流入端から、前記冷媒流路の全長の50%までの部分を、第1冷媒流路と定義し、前記冷媒流路において、前記第1冷媒流路よりも前記混合冷媒の流れ方向の下流側になる部分を第2冷媒流路と定義した場合、該第2冷媒流路、及び、前記凝縮器と前記膨張機構とを接続する配管のうちの少なくとも一方に、前記第1冷媒流路よりも大きな流路断面積拡管部を備えた冷凍サイクル装置。

請求項12

前記酸捕捉剤はエポキシ化合物である請求項11に記載の冷凍サイクル装置。

請求項13

前記冷凍機油は、摩耗防止剤が添加されていない請求項11又は請求項12に記載の冷凍サイクル装置。

請求項14

前記圧縮機は、圧縮室が形成されたシリンダと、前記圧縮室の内部で回転するローリングピストンと、一端が前記ローリングピストンの外周面と接触し、前記圧縮室を低圧空間高圧空間とに仕切るベーンと、を備え、前記ローリングピストン及び前記ベーンのうちの少なくとも一方が前記第1部材である請求項11〜請求項13のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

請求項15

前記冷凍機油は、飽和水分量が0.1wt%以上である請求項11〜請求項14のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

請求項16

前記冷媒回路に、水分を捕捉するドライヤを備えた請求項11〜請求項15のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

請求項17

前記凝縮器と前記膨張機構とを接続する配管に、フィルターを備えた請求項11〜請求項16のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

請求項18

前記膨張機構は、開度が可変なニードル式の膨張機構である請求項11〜請求項17のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

請求項19

前記膨張機構を2つ備え、これら前記膨張機構は直列に接続される構成であり、これら前記膨張機構の間にフィルターを備えた請求項11〜請求項18のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

請求項20

圧縮機、凝縮器及び膨張機構を有する冷媒回路と、前記冷媒回路に封入され、1,1,2−トリフルオロエチレンを含んだ混合冷媒と、前記冷媒回路内に封入され、酸捕捉剤が2wt%以上添加された冷凍機油と、を備え、前記凝縮器は、前記混合冷媒が流れる冷媒流路を備え、該冷媒流路において、前記混合冷媒の流入端から、前記冷媒流路の全長の50%までの部分を、第1冷媒流路と定義し、前記冷媒流路において、前記第1冷媒流路よりも前記混合冷媒の流れ方向の下流側になる部分を第2冷媒流路と定義した場合、該第2冷媒流路、及び、前記凝縮器と前記膨張機構とを接続する配管のうちの少なくとも一方に、前記第1冷媒流路よりも大きな流路断面積の拡管部を備えた冷凍サイクル装置。

請求項21

圧縮機を有する冷媒回路と、前記冷媒回路に封入され、1,1,2−トリフルオロエチレンを含んだ混合冷媒と、を備え、前記冷媒回路に、水分を捕捉するドライヤを備えた冷凍サイクル装置。

請求項22

圧縮機、凝縮器及び膨張機構を有する冷媒回路と、前記冷媒回路に封入され、1,1,2−トリフルオロエチレンを含んだ混合冷媒と、を備え、前記凝縮器と前記膨張機構とを接続する配管に、フィルターを備えた冷凍サイクル装置。

請求項23

圧縮機及び膨張機構を有する冷媒回路と、前記冷媒回路に封入され、1,1,2−トリフルオロエチレンを含んだ混合冷媒と、を備え、前記膨張機構は、開度が可変なニードル式の膨張機構である冷凍サイクル装置。

請求項24

酸捕捉剤が2wt%以上添加された冷凍機油が前記冷媒回路内に封入されている請求項21〜請求項23のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

請求項25

圧縮機及び2つの膨張機構を有する冷媒回路と、前記冷媒回路に封入され、1,1,2−トリフルオロエチレンを含んだ混合冷媒と、を備え、複数の前記膨張機構は直列に接続される構成であり、これら前記膨張機構の間にフィルターを備えた冷凍サイクル装置。

技術分野

0001

本発明は、圧縮機及び冷凍サイクル装置に関し、特に、1,1,2−トリフルオロエチレンを含む混合冷媒を用いる圧縮機及び冷凍サイクル装置に関するものである。

背景技術

0002

近年、地球温暖化防止の観点より、温室効果ガスの削減が求められている。空気調和機等の冷凍サイクル装置に用いられている冷媒についても、地球温暖化係数(GWP)より低いものが検討されている。現在、空気調和機用として広く用いられているR410AのGWPは2088と非常に大きい値である。近年導入され始めているジフルオロメタン(R32)のGWPも675とかなり大きい値になっている。

0003

GWPの低い冷媒としては、二酸化炭素(R744:GWP=1)、アンモニア(R717:GWP=0)、プロパン(R290:GWP=6)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf:GWP=4)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(R1234ze:GWP=6)等がある。

0004

これらの低GWP冷媒は、下記の課題があるため、一般的な空気調和機に適用することは困難である。・R744:動作圧力が非常に高いため、耐圧確保の課題がある。また、臨界温度が31℃と低いため、空気調和機用途での性能の確保が課題となる。・R717:高毒性であるため、安全確保の課題がある。・R290:強燃性であるため、安全確保の課題がある。・HFO−1234yf/R1234ze:低動作圧体積流量が大きくなるため、圧力損失増大による性能低下の課題がある。

0005

上記の課題を解決する冷媒として、1,1,2−トリフルオロエチレン(以下、HFO−1123と称する)を含む混合冷媒がある(例えば、特許文献1参照)。HFO−1123には、特に、以下の利点がある。・動作圧力が高く、冷媒の体積流量が小さいため、圧力損失が小さく、性能を確保しやすい。・GWPが1未満であり、地球温暖化対策として優位性が高い。

先行技術

0006

国際公開第2012/157764号

発明が解決しようとする課題

0007

HFO−1123が分解し、分解時に発生した成分が冷凍機油中添加物摩耗防止剤等)等と化学反応すると、スラッジが発生する。特に、HFO−1123は、大気寿命が1.6日と非常に短い。このため、冷凍サイクル装置にHFO−1123を含む混合冷媒を用いた場合、HFO−1123を含まない冷媒を用いた場合と比べ、スラッジが多く発生してしまい、冷凍サイクル装置の冷媒回路がスラッジで詰まってしまうという課題があった。

0008

本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、HFO−1123を含む混合冷媒が封入された冷凍サイクル装置に用いた際、冷媒回路がスラッジで詰まってしまうことを防止できる圧縮機、及び、該圧縮機を有する冷凍サイクル装置を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明に係る圧縮機は、リン酸エステルが添加されていない冷凍機油、及び1,1,2−トリフルオロエチレンを含む混合冷媒が封入される冷媒回路に用いられる圧縮機であって、鉄鋼母材とし、第1接触部を有する第1部材と、前記第1部材の前記第1接触部と擦れ合うように接触する第2接触部を有する第2部材と、を備え、前記第1部材の前記母材は、前記第1接触部において露出しているものである。

発明の効果

0010

HFO−1123を含む混合冷媒が封入された冷凍サイクル装置に本発明に係る圧縮機を用いることにより、HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンと鉄(Fe)成分とが化学反応し、第1部材の第1接触部(摺動箇所)にフッ化鉄が生成される。この際、HFO−1123と化学反応しやすいリン酸エステルを冷凍機油に添加しない構成にすることで、第1部材の第1接触部(摺動箇所)には、第1部材及び第2部材に焼き付き等が発生しない量のフッ化鉄が生成される。このため、本発明に係る圧縮機は、第1部材の第1接触部(摺動箇所)において、HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンを消費し続けることができる。したがって、本発明に係る圧縮機は、冷媒回路中でスラッジの発生を抑制できる。また、本発明に係る圧縮機は、フッ素イオンとリン酸エステルとが化学反応しないことによるスラッジの発生抑制効果も得られる。したがって、本発明に係る圧縮機は、冷媒回路がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。

図面の簡単な説明

0011

本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置10(冷房時)の回路図である。
本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置10(暖房時)の回路図である。
本発明の実施の形態1に係る圧縮機12の縦断面図である。なお、この図では、断面を表すハッチングを省略している。
本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置10(冷房時)の回路図である。
本発明の実施の形態3に係る冷凍サイクル装置10(冷房時)の回路図である。
本発明の実施の形態3に係る冷凍サイクル装置10における混合冷媒の温度変化を示す図である。
本発明の実施の形態5に係る冷凍サイクル装置10(冷房時)の回路図である。
本発明の実施の形態6に係る凝縮器冷媒流路を説明するための図である。
本発明の実施の形態6に係る冷凍サイクル装置10(冷房時)の回路図である。
本発明の実施の形態7に係る冷凍機油60に対する冷媒の溶解量を示す図である。
本発明の実施の形態8に係る冷凍機油60に対する冷媒の溶解量を示す図である。
本発明の実施の形態8に係る冷凍機油60に対する冷媒の溶解量を示す図である。
図11及び図12比率で冷凍機油60に混合冷媒を構成する各冷媒が溶解した場合における、HFO−1234yfの組成比を示す図である。

実施例

0012

実施の形態1.図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置10の回路図である。換言すると、図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る圧縮機12を用いた冷凍サイクル装置10の回路図である。なお、図1は、冷房時の冷凍サイクル装置10の回路図を示している。図2は、暖房時の冷凍サイクル装置10の回路図を示している。

0013

本実施の形態1において、冷凍サイクル装置10は、空気調和機である。なお、冷凍サイクル装置10が空気調和機以外の機器(例えば、ヒートポンプサイクル装置)であっても、本実施の形態1を適用することができる。

0014

図1及び図2において、冷凍サイクル装置10は、冷媒が循環する冷媒回路11を備える。

0015

冷媒回路11には、圧縮機12と、流路切換装置である四方弁13と、室外熱交換器14と、膨張機構である膨張弁15と、室内熱交換器16とが接続されている。圧縮機12は、冷媒を圧縮する。四方弁13は、冷房時と暖房時とで冷媒の流れる方向を切り換える。室外熱交換器14は、冷房時には凝縮器として動作し、圧縮機12により圧縮された冷媒を放熱させる。室外熱交換器14は、暖房時には蒸発器として動作し、室外空気と膨張弁15で膨張した冷媒との間で熱交換を行って冷媒を加熱する。膨張弁15は、膨張機構の例である。膨張弁15は、凝縮器で放熱した冷媒を膨張させる。室内熱交換器16は、暖房時には凝縮器として動作し、圧縮機12により圧縮された冷媒を放熱させる。室内熱交換器16は、冷房時には蒸発器として動作し、室内空気と膨張弁15で膨張した冷媒との間で熱交換を行って冷媒を加熱する。なお、冷凍サイクル装置10が冷房又は暖房のうちの一方のみを行うものの場合、四方弁13は必要ない。

0016

冷凍サイクル装置10は、さらに、制御装置17を備える。

0017

制御装置17は、例えば、マイクロコンピュータである。図では、制御装置17と圧縮機12との接続しか示していないが、制御装置17は、圧縮機12だけでなく、冷媒回路11に接続された各要素に接続されている。制御装置17は、各要素の状態を監視したり、制御したりする。

0018

本実施の形態1において、冷媒回路11を循環する冷媒(換言すると、冷媒回路11に封入される冷媒)としては、1,1,2−トリフルオロエチレン(以下、HFO−1123と称する)を含む混合冷媒が使用される。すなわち、本実施の形態1では、冷媒回路11を循環する冷媒として、HFO−1123と、該HFO−1123とは異なる他の冷媒とを混合した混合冷媒が使用される。

0019

好適な冷媒として、HFO−1123とジフルオロメタン(R32)との混合冷媒を使用することができる。なお、前記他の冷媒として、R32以外に、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(R1234ze(E))、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(R1234ze(Z))、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(R125)を用いてもよい。

0020

また、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置10は、冷媒回路11に冷凍機油60が封入されている。冷凍機油60は、圧縮機12の摺動部を潤滑するものである。冷凍機油60の大部分は、後述のように圧縮機12の密閉容器の底部に貯留される。

0021

本実施の形態1では、冷凍機油60にリン酸エステルが添加されていない構成となっている。リン酸エステルは、通常、摩耗防止剤として冷凍機油に添加されるものである。このため、冷凍機油60に摩耗防止剤を添加する場合、リン酸エステルが添加されていない摩耗防止剤(硫黄系の摩耗防止剤等)を用いるとよい。また、冷凍機油60に、酸化防止剤アミン系の酸化防止剤等)、及び、酸捕捉剤エポキシ系の酸捕捉剤等)等を添加してもよい。

0022

また、本実施の形態1では、冷凍機油60として、飽和水分量が1000wtppm(0.1wt%)以上の冷凍機油を用いている。飽和水分量が1000wtppm以上の冷凍機油とは、ポリオールエステルポリビニルエーテル又はポリアルキレングリコール等である。

0023

図3は、本発明の実施の形態1に係る圧縮機12の縦断面図である。なお、この図では、断面を表すハッチングを省略している。

0024

本実施の形態1において、圧縮機12は、1気筒ロータリ圧縮機である。なお、圧縮機12が多気筒のロータリ圧縮機、あるいは、スクロール圧縮機であっても、本実施の形態1を適用することができる。

0025

図3において、圧縮機12は、密閉容器20と、圧縮要素30と、電動要素40と、軸50とを備える。

0026

密閉容器20は、容器の例である。密閉容器20には、冷媒を吸入するための吸入管21と、冷媒を吐出するための吐出管22とが取り付けられている。

0027

圧縮要素30は、密閉容器20の中に収納される。具体的には、圧縮要素30は、密閉容器20の内側下部に設置される。圧縮要素30は、吸入管21に吸入された冷媒を圧縮する。

0028

電動要素40も、密閉容器20の中に収納される。具体的には、電動要素40は、密閉容器20の中で、圧縮要素30により圧縮された冷媒が吐出管22から吐出される前に通過する位置に設置される。即ち、電動要素40は、密閉容器20の内側で、圧縮要素30の上方に設置される。電動要素40は、圧縮要素30を駆動する。電動要素40は、集中巻モータである。

0029

密閉容器20の底部には、圧縮要素30の摺動部を潤滑する冷凍機油60が貯留されている。

0030

以下では、圧縮要素30の詳細について説明する。

0031

圧縮要素30は、シリンダ31、ローリングピストン32、ベーン33、主軸受34及び副軸受35等を備える。

0032

シリンダ31の外周は、平面視略円形である。シリンダ31の内部には、平面視略円形の空間である圧縮室31aが形成される。圧縮室31aは、軸方向両端が開口している。

0033

シリンダ31には、圧縮室31aに連通し、半径方向に延びるベーン溝31bが設けられる。ベーン溝31bの外側には、ベーン溝31bに連通する平面視略円形の空間である背圧室が形成される。

0034

シリンダ31には、吸入管21に接続される吸入ポート31cが形成されている。吸入ポート31cは、シリンダ31の外周面から圧縮室31aに貫通している。

0035

シリンダ31には、圧縮室31aから圧縮された冷媒が吐出される吐出ポート(図示していない)が形成されている。吐出ポートは、シリンダ31の上端面を切り欠いて形成されている。

0036

ローリングピストン32は、リング状である。ローリングピストン32は、圧縮室31a内で回転運動する。ローリングピストン32は、軸50の偏心軸部51に摺動自在に嵌合する。

0037

ベーン33の形状は、平坦略直方体である。ベーン33は、シリンダ31のベーン溝31b内に設置される。ベーン33の先端部33aは、背圧室に設けられるベーンスプリング37によって、常にローリングピストン32の外周面32aに押し付けられている。つまり、ローリングピストン32の外周面32aは、ベーン33の先端部33aと擦れ合うように接触している。ベーン33は、圧縮室31a内を、吸入ポート31cが連通する空間と、吐出ポートが連通する空間とに分割するものである。密閉容器20内が高圧であるため、圧縮機12の運転が開始すると、ベーン33の背面(即ち、背圧室側の面)に密閉容器20内の圧力と圧縮室31a内の圧力との差による力が作用する。このため、ベーンスプリング37は、主に圧縮機12の起動時(密閉容器20内と圧縮室31a内の圧力に差がないとき)に、ベーン33をローリングピストン32に押し付ける目的で使用される。

0038

主軸受34は、側面視略逆T字状である。主軸受34は、軸50の偏心軸部51よりも上の部分である主軸部52に摺動自在に嵌合する。主軸受34は、シリンダ31の圧縮室31a及びベーン溝31bの上側を閉塞する。

0039

副軸受35は、側面視略T字状である。副軸受35は、軸50の偏心軸部51よりも下の部分である副軸部53に摺動自在に嵌合する。副軸受35は、シリンダ31の圧縮室31a及びベーン溝31bの下側を閉塞する。

0040

主軸受34は、吐出弁(図示していない)を備える。主軸受34の外側には、吐出マフラ36が取り付けられる。吐出弁を介して吐出される高温・高圧のガス冷媒は、一旦吐出マフラ36に入り、その後吐出マフラ36から密閉容器20内の空間に放出される。なお、吐出弁及び吐出マフラ36は、副軸受35、あるいは、主軸受34と副軸受35との両方に設けられてもよい。

0041

シリンダ31、ローリングピストン32、ベーン33、主軸受34、副軸受35及び軸50のそれぞれは、隣接する部材と接触し、接触箇所が隣接する部材と擦れ合う部材である。本実施の形態1においては、これらの部材は、鉄(Fe)を主成分とする鉄鋼で形成されている。換言すると、これらの部材は、鉄(Fe)を主成分とする鉄鋼を母材としている。詳しくは、シリンダ31、主軸受34、副軸受35の材質は、ねずみ鋳鉄焼結鋼炭素鋼等である。ローリングピストン32の材質は、例えば、クロム等を含有する合金鋼である。ベーン33の材質は、例えば、高速度工具鋼である。また、本実施の形態1では、ローリングピストン32及びベーン33に表面処理を施していない構成にしている。換言すると、ローリングピストン32及びベーン33は、母材が露出している構成となっている。

0042

ここで、鉄鋼を母材とし、少なくとも隣接する部材との接触箇所(摺動箇所)において母材が露出している部材が、本発明の第1部材に相当する。そして、該第1部材における隣接する部材との接触箇所(摺動箇所)が、本発明の第1接触部に相当する。つまり、ローリングピストン32は、本発明の第1部材に相当する。そして、ローリングピストン32の外周面32aが、本発明の第1接触部に相当する。また、ローリングピストン32から見た場合、該ローリングピストン32と接触して摺動するベーン33が、本発明の第2部材に相当する。そして、ローリングピストン32の外周面32aとの接触箇所(摺動箇所)であるベーン33の先端部33aが、本発明の第2接触部に相当する。 一方、ベーン33もまた、少なくとも隣接する部材との接触箇所(摺動箇所)において母材が露出している。このため、ベーン33もまた、本発明の第1部材に相当する。そして、ベーン33の先端部33aが、本発明の第1接触部に相当する。また、ベーン33から見た場合、該ベーン33と接触して摺動するローリングピストン32が、本発明の第2部材に相当する。そして、ベーン33の先端部33aとの接触箇所(摺動箇所)であるローリングピストン32の外周面32aが、本発明の第2接触部に相当する。

0043

密閉容器20の横には、吸入マフラ23が設けられる。吸入マフラ23は、蒸発器から流出した低圧のガス冷媒を吸入する。吸入マフラ23は、液冷媒が戻る場合に液冷媒が直接シリンダ31の圧縮室31aに入り込むことを抑制する。吸入マフラ23は、シリンダ31の吸入ポート31cに吸入管21を介して接続される。吸入マフラ23の本体は、溶接等により密閉容器20の側面に固定される。

0044

以下では、電動要素40の詳細について説明する。

0045

本実施の形態1において、電動要素40は、ブラシレスDC(Direct・Current)モータである。なお、電動要素40がブラシレスDCモータ以外のモータ(例えば、誘導電動機)であっても、本実施の形態1を適用することができる。

0046

電動要素40は、固定子41と、回転子42とを備える。

0047

固定子41は、密閉容器20の内周面に当接して固定される。回転子42は、固定子41の内側に0.3〜1mm程度の空隙を介して設置される。

0048

固定子41は、固定子鉄心43と、固定子巻線44とを備える。固定子鉄心43は、厚さが0.1〜1.5mmの複数枚電磁鋼板を所定の形状に打ち抜き、軸方向に積層し、カシメや溶接等により固定して製作される。固定子巻線44は、固定子鉄心43に絶縁部材48を介して集中巻で巻回される。絶縁部材48の材質は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBTポリブチレンテレフタレート)、FEP(テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、LCP(液晶ポリマー)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、フェノール樹脂である。固定子巻線44には、リード線45が接続されている。

0049

固定子鉄心43の外周には、周方向略等間隔に複数の切欠が形成されている。それぞれの切欠は、吐出マフラ36から密閉容器20内の空間へ放出されるガス冷媒の通路の1つとなる。それぞれの切欠は、電動要素40の上から密閉容器20の底部に戻る冷凍機油60の通路にもなる。

0050

回転子42は、回転子鉄心46と、永久磁石(図示していない)とを備える。回転子鉄心46は、固定子鉄心43と同様に、厚さが0.1〜1.5mmの複数枚の電磁鋼板を所定の形状に打ち抜き、軸方向に積層し、カシメや溶接等により固定して製作される。永久磁石は、回転子鉄心46に形成される複数の挿入孔に挿入される。永久磁石としては、例えば、フェライト磁石希土類磁石が使用される。

0051

回転子鉄心46には、略軸方向に貫通する複数の貫通孔が形成されている。それぞれの貫通孔は、固定子鉄心43の切欠と同様に、吐出マフラ36から密閉容器20内の空間へ放出されるガス冷媒の通路の1つとなる。

0052

密閉容器20の頂部には、外部電源と接続する電源端子24(例えば、ガラス端子)が取り付けられている。電源端子24は、例えば、溶接により密閉容器20に固定されている。電源端子24には、電動要素40からのリード線45が接続される。

0053

密閉容器20の頂部には、軸方向両端が開口した吐出管22が取り付けられている。圧縮要素30から吐出されるガス冷媒は、密閉容器20内の空間から吐出管22を通って外部へ吐出される。

0054

以下では、圧縮機12の動作について説明する。

0055

電源端子24からリード線45を介して電動要素40の固定子41に電力が供給される。これにより、電動要素40の回転子42が回転する。回転子42の回転によって、回転子42に固定された軸50が回転する。軸50の回転に伴い、圧縮要素30のローリングピストン32が圧縮要素30のシリンダ31の圧縮室31a内で偏心回転する。シリンダ31とローリングピストン32との間の空間は、圧縮要素30のベーン33によって2つに分割されている。軸50の回転に伴い、それらの2つの空間の容積が変化する。一方の空間では、徐々に容積が拡大することにより、吸入マフラ23から混合冷媒が吸入される。他方の空間では、徐々に容積が縮小することにより、中のガス状の混合冷媒が圧縮される。圧縮されたガス状の混合冷媒は、吐出マフラ36から密閉容器20内の空間に一度吐出される。吐出されたガス状の混合冷媒は、電動要素40を通過して密閉容器20の頂部にある吐出管22から密閉容器20の外へ吐出される。

0056

ここで、HFO−1123が分解すると、フッ素イオンが発生する。そして、分解時に発生したフッ素イオンが冷凍機油中の添加物(摩耗防止剤等)等と化学反応すると、スラッジが発生する。特に、HFO−1123は、大気寿命が1.6日と非常に短い。このため、冷凍サイクル装置にHFO−1123を含む混合冷媒を用いた本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置10においては、HFO−1123を含まない冷媒を用いた冷凍サイクル装置と比べ、スラッジが多く発生してしまい、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうという懸念がある。

0057

しかしながら、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置10は、上述のように構成されているので、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。詳しくは、HFO−1123は高温で分解しやすい。このため、HFO−1123の分解の多くは、高温となる圧縮機12の摺動部で発生する。本実施の形態1では、圧縮機12の摺動部の1つを構成するローリングピストン32及びベーン33が、鉄鋼で形成されている。また、ローリングピストン32及びベーン33は表面処理されていない。したがって、HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンと、ローリングピストン32及びベーン33の鉄(Fe)成分とが化学反応する。そして、ローリングピストン32及びベーン33の表面に、フッ化鉄が生成される。

0058

フッ化鉄は、固体潤滑作用がある。このため、ローリングピストン32及びベーン33の表面に十分な量のフッ化鉄を生成することにより、両者の間の摺動性を向上させることができ、ローリングピストン32及びベーン33の摩耗及び焼き付きを防止することができる。ここで、発明者は、HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンがリン酸エステルと化学反応しやすいことを見出した。そして、冷凍機油60を、リン酸エステルが添加されていない構成にした。このため、ローリングピストン32及びベーン33の表面に、十分な量のフッ素イオンを供給できる。

0059

ローリングピストン32及びベーン33の接触箇所、つまり摺動箇所では、両者が擦れ合うことにより、両者の表面に生成されたフッ化鉄が摩滅する。そして、ローリングピストン32及びベーン33の接触箇所において、フッ化鉄が摩滅した範囲では、フッ素イオンと鉄(Fe)成分とが化学反応し、新たなフッ化鉄が形成される。つまり、HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンは、ローリングピストン32及びベーン33の接触箇所で消費し続けられる。

0060

以上、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置10においては、HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンと鉄(Fe)成分とを化学反応させ、ローリングピストン32及びベーン33の表面にフッ化鉄を生成する構成となっている。また、ローリングピストン32及びベーン33の接触箇所(摺動箇所)において焼き付き等が発生しない程度に、当該接触箇所(摺動箇所)にフッ化鉄が生成されるように、HFO−1123と化学反応しやすいリン酸エステルを冷凍機油60に添加せず、ローリングピストン32及びベーン33の接触箇所(摺動箇所)に十分な量のフッ素イオンを供給する構成としている。このため、本実施の形態1に係る圧縮機12及び冷凍サイクル装置10は、ローリングピストン32及びベーン33の接触箇所(摺動箇所)において、HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンを消費し続けることができる。したがって、本実施の形態1に係る圧縮機12及び冷凍サイクル装置10は、冷媒回路11中でスラッジの発生を抑制できる。また、本実施の形態1に係る圧縮機12及び冷凍サイクル装置10は、フッ素イオンとリン酸エステルとが化学反応しないことによるスラッジの発生抑制効果も得られる。したがって、本実施の形態1に係る圧縮機12及び冷凍サイクル装置10は、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。

0061

また、本実施の形態1では、冷凍機油60として、飽和水分量が1000wtppm以上の冷凍機油を用いている。HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンは、冷媒回路11中の水とも化学反応し、スラッジとなる。飽和水分量が1000wtppm以上の冷凍機油60を用いることにより、冷媒回路11中において、冷凍機油60に溶け込んでいない水の量、つまり、HFO−1123と化学反応してスラッジとなる水の量を減少させることができる。このため、飽和水分量が1000wtppm以上の冷凍機油60を用いることにより、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことをさらに防止できる。また、ローリングピストン32及びベーン33に供給できるフッ素イオンの量も増加するため、ローリングピストン32及びベーン33の接触箇所(摺動箇所)において焼き付き等が発生することをさらに防止できる。

0062

ここで、例えばR32等のように、HFO−1123以外の冷媒でも、分解によってフッ素イオンが生成される冷媒がある。しかしながら、R32等は、HFO−1123と比べ、分解によって生成されるフッ素イオンの量が少ない。このため、本実施の形態1に係る冷媒回路11にR32等を封入しても、ローリングピストン32及びベーン33の表面に十分な量のフッ化鉄を生成することはできず、ローリングピストン32及びベーン33の摺動性を向上させることはできない。したがって、当業者は、分解によってフッ素イオンが生成されるHFO−1123以外の冷媒(R32等)を冷凍サイクル装置に採用する場合、冷凍機油に添加された摩耗防止剤により、ローリングピストン及びベーンの摺動性を向上させていた。 つまり、HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンを、ローリングピストン32及びベーン33の接触箇所で消費する本実施の形態1に係る構成は、当業者が想到することができない全く新たな着想に基づくものであることを付言しておく。

0063

なお、本実施の形態1では、ローリングピストン32及びベーン33の双方が表面処理されていない構成となっていた。これに限らず、ローリングピストン32及びベーン33のうちの一方のみ、表面処理がされていない構成にしてもよい。また、表面処理がされていない範囲は、表面全域に限られるものではなく、少なくとも接触箇所(摺動箇所)に表面処理が施されていなければよい。接触箇所(摺動箇所)において、HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンを消費し続けることができ、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。

0064

また、表面処理を施さない鉄鋼製の部材、つまり、本発明の第1部材に相当する部材は、ローリングピストン32及びベーン33に限定されるものではない。圧縮機の摺動部を構成する部材のうちの少なくとも1つを鉄鋼で形成し、鉄鋼で形成された当該部材の少なくとも接触箇所(摺動箇所)に表面処理を施さなければよい。これにより、当該接触箇所(摺動箇所)において、HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンを消費し続けることができ、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。

0065

例えば、ロータリ圧縮機である圧縮機12の場合、シリンダ31、ローリングピストン32、ベーン33、主軸受34、副軸受35及び軸50が、圧縮機12の摺動部を構成する。このため、これらの部材のうちの少なくとも1つを鉄鋼で形成し、鉄鋼で形成された当該部材の少なくとも接触箇所(摺動箇所)に表面処理を施さなければよい。これにより、当該接触箇所(摺動箇所)において、HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンを消費し続けることができ、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。

0066

なお、ローリングピストン32及びベーン33の接触箇所(摺動箇所)は、圧縮機12の摺動部のなかで、最も冷凍機油60が供給されにくい場所である。つまり、ローリングピストン32及びベーン33の接触箇所(摺動箇所)は、圧縮機12の摺動部のなかで、最も高温となり、最もHFO−1123が分解されやすい場所である。このため、ローリングピストン32及びベーン33のうちの少なくとも一方を鉄鋼で形成し、鉄鋼で形成された当該部材の少なくとも接触箇所(摺動箇所)に表面処理を施さないことにより、HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンの消費量を向上させることができ、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことをより確実に防止できる。

0067

また、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置10においては、冷凍機油60に、リン酸エステルのみならず、摩耗防止剤そのものを添加しない構成にしてもよい。上述のように、摺動部材を鉄鋼で形成し、少なくとも接触箇所(摺動箇所)に表面処理を施さないことにより、当該接触箇所に、焼き付き等を防止するのに十分なフッ化鉄を生成できるからである。また、HFO−1123は、リン酸エステル以外の摩耗防止剤とも化学反応し、スラッジが生成される。摩耗防止剤そのものを冷凍機油60に添加しないことにより、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことをさらに防止できる。

0068

実施の形態2.冷凍サイクル装置10を以下の様に構成しても、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。

0069

図4は、本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置10の回路図である。なお、図4は、冷房時の冷凍サイクル装置10の回路図を示している。 本実施の形態2に係る冷凍サイクル装置10は、室外熱交換器14と膨張弁15とを接続する配管に、冷媒回路11中の水を捕捉するドライヤ70を備える。

0070

なお、ドライヤ70の位置は、図4に示す位置に限定されるものではなく、冷媒回路11の任意の位置に設けることができる。また、本実施の形態2に係る冷凍サイクル装置10においては、使用する冷凍機油60の構成は、実施の形態1の構成に限定されるものではない。例えば、冷凍機油60にリン酸エステルを添加してもよい。また例えば、冷凍機油60として、飽和水分量が1000wtppmより小さい冷凍機油を用いてもよい。

0071

上述のように、HFO−1123は、冷媒回路11中の水とも化学反応し、スラッジとなる。本実施の形態2に係る冷凍サイクル装置10は、ドライヤ70を備えているため、冷媒回路11中において、HFO−1123と化学反応してスラッジとなる水の量を減少させることができる。このため、本実施の形態2に係る冷凍サイクル装置10は、冷媒回路11中でスラッジの発生を抑制でき、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。

0072

なお、実施の形態1で示した冷凍サイクル装置10に、本実施の形態2に係るドライヤ70を採用してもよい。実施の形態1が有するスラッジの発生抑制効果をさらに向上させることができ、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことをさらに防止できる。

0073

実施の形態3.冷凍サイクル装置10を以下の様に構成しても、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。なお、本実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。

0074

図5は、本発明の実施の形態3に係る冷凍サイクル装置10の回路図である。なお、図5は、冷房時の冷凍サイクル装置10の回路図を示している。 本実施の形態3に係る冷凍サイクル装置10は、冷房時には凝縮器として動作する室外熱交換器14と膨張弁15とを接続する配管に、冷媒回路11中に析出したスラッジを捕捉するフィルター71を備える。

0075

なお、本実施の形態3に係る冷凍サイクル装置10においては、使用する冷凍機油60の構成は、実施の形態1の構成に限定されるものではない。例えば、冷凍機油60にリン酸エステルを添加してもよい。また例えば、冷凍機油60として、飽和水分量が1000wtppmより小さい冷凍機油を用いてもよい。

0076

図6は、本発明の実施の形態3に係る冷凍サイクル装置10における混合冷媒の温度変化を示す図である。なお、実施の形態1,2及び後述する各実施の形態においても、混合冷媒の温度変化は同じである。

0077

圧縮機12に吸入されたガス状の混合冷媒は、圧縮機12で圧縮され、高温でガス状の混合冷媒となる。この混合冷媒は、四方弁13を通って、凝縮器に流入する。なお、冷房時は室外熱交換器14が凝縮器として動作し、暖房時は室内熱交換器16が凝縮器として動作する。凝縮器に流入した高温でガス状の混合冷媒は、該凝縮器に供給される空気等によって冷却されて凝縮していく。詳しくは、凝縮器に流入した直後の混合冷媒はガス状のため、温度が低下していく。そして、混合冷媒が気液二相状態になると、混合冷媒は等温で凝縮していく。凝縮が進み、混合冷媒が液状になると、混合冷媒の温度はまた低下していく。以下、液状の混合冷媒が凝縮器内で温度低下していく状態を過冷却状態と称する。

0078

凝縮器から流出した液状の混合冷媒は、膨張弁15に流入して膨張する。混合冷媒は、膨張する際、温度がさらに低下し、気液二相状態となる。膨張弁15から流出した気液二相状態の混合冷媒は、蒸発器に流入する。なお、冷房時は室内熱交換器16が蒸発器として動作し、暖房時は室外熱交換器14が蒸発器として動作する。蒸発器に流入した気液二相状態の混合冷媒は、該蒸発器に供給される空気等によって加熱されて蒸発する。詳しくは、蒸発器に流入した直後の混合冷媒は気液二相状態のため、等温で蒸発していく。そして、蒸発が進み、混合冷媒がガス状になると、混合冷媒の温度は上昇していく。蒸発器から流出した混合冷媒は、再び圧縮機12に吸入される。

0079

HFO−1123が分解し、冷凍機油60中の添加物等と化学反応して生成された化学反応生成物は、冷凍機油60が高温の場合には、冷凍機油60中に溶け込んでいる。そして、この化学反応生成物は、冷凍機油60が冷やされていくうちに、冷凍機油60中に溶け込めなくなり、スラッジとして析出する。このため、混合冷媒と共に冷凍機油60が冷媒回路11中を循環する際、冷凍機油60が冷却される状態において、スラッジが発生しやすい。つまり、凝縮器内において混合冷媒が過冷却状態になっているとき、及び、膨張弁15で混合冷媒が膨張するときに、冷凍機油60中に溶け込んでいた化学反応生成物がスラッジとして析出しやすい。つまり、図6に示すZ範囲で、スラッジが発生しやすい。

0080

また、冷媒回路11における混合冷媒の流路としては、膨張弁15が最も小さくなる。このため、膨張弁15において、スラッジが最も詰まりやすい。

0081

そこで、本実施の形態3においては、冷媒回路11のうち、冷房時に上記Z範囲の中で、膨張弁15よりも混合冷媒の流れ方向の上流側となる位置(図6に「A」として示す位置)にフィルター71を設けている。つまり、冷房時には凝縮器として動作する室外熱交換器14と膨張弁15とを接続する配管に、フィルター71を設けている。

0082

このように冷媒回路11にフィルター71を設けることにより、冷媒回路11中に析出したスラッジをフィルター71で捕捉し、膨張弁15においてスラッジが詰まることを防止できる。すなわち、本実施の形態3に係る冷凍サイクル装置10は、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。

0083

なお、実施の形態1で示した冷凍サイクル装置10に、本実施の形態3に係るフィルター71を採用してもよい。実施の形態1ではスラッジの発生を抑制していたが、冷媒回路11中には若干のスラッジが発生する。実施の形態1で示した冷凍サイクル装置10に、本実施の形態3に係るフィルター71を採用し、冷媒回路11中に析出したスラッジをフィルター71で捕捉することにより、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことをさらに防止できる。

0084

また、本実施の形態3では、室外熱交換器14と膨張弁15との間にフィルター71を設けたが、室内熱交換器16と膨張弁15との間にフィルター71を設けてもよい。暖房時に冷媒回路11中に析出したスラッジをフィルター71で捕捉することにより、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことをさらに防止できる。室外熱交換器14と膨張弁15との間、及び、室内熱交換器16と膨張弁15との間の双方にフィルター71を設けても勿論よい。

0085

実施の形態4.冷凍サイクル装置10を以下の様に構成しても、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。なお、本実施の形態4において、特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態3のいずれかと同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。

0086

本実施の形態4に係る冷凍サイクル装置10は、実施の形態1〜実施の形態3で示した膨張弁15として、開度可変ニードル式の膨張弁を用いている。そして、膨張弁15内にスラッジが付着しても、スラッジの付着量に応じて開度を大きくしていく。これにより、膨張弁15がスラッジで詰まること、つまり、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。

0087

なお、膨張弁15の開度の制御は、制御装置17が行う。例えば、制御装置17は、凝縮器において冷媒の過冷却度を一定に制御する過冷却度制御、及び、蒸発器において冷媒の過熱度を一定に制御する過熱度制御等、冷凍サイクル装置10を安定運転させるための公知の制御を行えばよい。これにより、膨張弁15の開度を、スラッジの付着量に応じて開度を大きくしていくことができる。

0088

実施の形態5.冷凍サイクル装置10を以下の様に構成しても、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。なお、本実施の形態5において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。

0089

図7は、本発明の実施の形態5に係る冷凍サイクル装置10の回路図である。なお、図7は、冷房時の冷凍サイクル装置10の回路図を示している。 本実施の形態5に係る冷凍サイクル装置10は、実施の形態1〜実施の形態4で示した膨張弁15に換えて、膨張機構として2つのキャピラリーチューブ15a,15bを備える。これら2つのキャピラリーチューブ15a,15bは、室外熱交換器14と室内熱交換器16とを接続する配管に直列に設けられている。また、室外熱交換器14と室内熱交換器16とを接続する配管には、キャピラリーチューブ15aとキャピラリーチューブ15bとの間に、冷媒回路11中に析出したスラッジを捕捉するフィルター72を備える。つまり、本実施の形態5に係るフィルター72は、図6に「B」として示す位置に設けられている。

0090

なお、本実施の形態5に係る冷凍サイクル装置10においては、使用する冷凍機油60の構成は、実施の形態1の構成に限定されるものではない。例えば、冷凍機油60にリン酸エステルを添加してもよい。また例えば、冷凍機油60として、飽和水分量が1000wtppmより小さい冷凍機油を用いてもよい。

0091

上述のように、冷凍機油60中の添加物等と化学反応して生成された化学反応生成物は、冷凍機油60が冷やされていくうちに、冷凍機油60中に溶け込めなくなり、スラッジとして析出する。このため、キャピラリーチューブ15a,15bを直列に設けた場合、混合冷媒の流れ方向において下流側となるキャピラリーチューブがスラッジで詰まりやすい。なお、混合冷媒の流れ方向において下流側となるキャピラリーチューブとは、冷房時においてはキャピラリーチューブ15bであり、暖房時においてはキャピラリーチューブ15aである。

0092

しかしながら、本実施の形態5に係る冷凍サイクル装置10は、上述のように、キャピラリーチューブ15aとキャピラリーチューブ15bとの間にフィルター72を設けている。このため、本実施の形態5に係る冷凍サイクル装置10は、混合冷媒の流れ方向において下流側となるキャピラリーチューブがスラッジで詰まることを防止できる。また、本実施の形態5に係る冷凍サイクル装置10は、混合冷媒の膨張過程において発生したスラッジも捕捉することができる。したがって、本実施の形態5に係る冷凍サイクル装置10は、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。

0093

なお、実施の形態1で示した冷凍サイクル装置10に、本実施の形態5に係るキャピラリーチューブ15a,15b及びフィルター72を採用してもよい。実施の形態1ではスラッジの発生を抑制していたが、冷媒回路11中には若干のスラッジが発生する。実施の形態1で示した冷凍サイクル装置10に、本実施の形態5に係るキャピラリーチューブ15a,15b及びフィルター72を採用し、冷媒回路11中に析出したスラッジをフィルター72で捕捉することにより、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことをさらに防止できる。

0094

また、本実施の形態5に係る冷凍サイクル装置10が冷房又は暖房のうちの一方のみを行うものとして構成される場合、混合冷媒の流れ方向において上流側となるキャピラリーチューブの内径(流路)を、混合冷媒の流れ方向において下流側となるキャピラリーチューブの内径(流路)よりも大きく形成してもよい。混合冷媒の流れ方向において上流側となるキャピラリーチューブがスラッジで詰まってしまうことをより防止でき、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことをさらに防止できる。

0095

また、本実施の形態5に係る冷凍サイクル装置10の膨張機構は、キャピラリーチューブに限定されるものではない。例えば、開度が可変なニードル式の膨張弁を直列に設けてもよい。しかしながら、本実施の形態5に係る冷凍サイクル装置10の膨張機構をキャピラリーチューブで構成することにより、冷凍サイクル装置10のコストを低く抑えることができる。

0096

実施の形態6.冷凍サイクル装置10を以下の様に構成しても、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。なお、本実施の形態6において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。

0097

図8は、本発明の実施の形態6に係る凝縮器の冷媒流路を説明するための図である。なお、図8に示す白抜き矢印は、混合冷媒の流れ方向を示している。 本実施の形態6に係る冷凍サイクル装置10の全体構成を説明する前に、図8を用いて、冷房時に凝縮器として動作する室外熱交換器14、及び、暖房時に凝縮器として動作する室内熱交換器16の冷媒流路80について説明する。

0098

冷房時に凝縮器として動作する室外熱交換器14、及び、暖房時に凝縮器として動作する室内熱交換器16は、混合冷媒が流れる冷媒流路80を備えている。上述のように、凝縮器の冷媒流路80を流れる冷媒は、冷媒流路80の流入端からある一定の位置までは、ガス状又は気液二相状態として流れる。その後、凝縮器の冷媒流路80を流れる冷媒は、液状の冷媒が流れる過冷却状態となる。

0099

図8に示すように、本実施の形態6では、混合冷媒がガス状又は気液二相状態として流れる冷媒流路80部分を、第1冷媒流路80aと定義する。そして、第1冷媒流路80aの長さをLaと定義する。また、混合冷媒が液状で流れる冷媒流路80部分、つまり第1冷媒流路80aよりも混合冷媒の流れ方向の下流側となる冷媒流路80部分を、第2冷媒流路80bと定義する。そして、第2冷媒流路80bの長さをLbと定義する。第1冷媒流路80aの長さLaは、冷凍サイクル装置10の運転状態によって異なるが、本実施の形態6では冷媒流路80の全長L(=La+Lb)の50%である。

0100

なお、図8に示すように、冷媒流路80の一部が、複数の分岐冷媒流路81aを並設した分岐部81として構成される場合がある。この場合、各分岐冷媒流路81aの長さをLcと定義すると、分岐部81の冷媒流路の長さをLcとする。

0101

図9は、本発明の実施の形態6に係る冷凍サイクル装置10の回路図である。なお、図9は、冷房時の冷凍サイクル装置10の回路図を示している。 本実施の形態6に係る冷凍サイクル装置10は、凝縮器の第2冷媒流路80b、及び、凝縮器と膨張弁15とを接続する配管のうちの少なくとも一方に、凝縮器の第1冷媒流路80aよりも大きな流路断面積拡管部73を備える。本実施の形態6では、冷房時に凝縮器として動作する室外熱交換器14と膨張弁15とを接続する配管の管径を大きくし、当該配管を拡管部73としている。

0102

なお、流路断面積とは、混合冷媒の流れ方向と垂直な断面で冷媒流路80及び配管を切断した際の、冷媒流路80及び配管内部(混合冷媒が流れる空間)の断面積である。ここで、図8に示すように、冷媒流路80の一部が、複数の分岐冷媒流路81aを並設した分岐部81として構成される場合がある。この場合、分岐部81の流路断面積は、各分岐冷媒流路81aの流路断面積の総和となる。

0103

ここで、凝縮器の第2冷媒流路80b、及び、凝縮器と膨張弁15とを接続する配管は、液状の混合冷媒が流れるものである。液状の冷媒が流れる流路は、圧力損失が少なく、冷媒の流速も遅い。このため、通常、当業者は、液状の冷媒が流れる流路の流路断面積を、気液二相状態の冷媒が流れる流路の流路断面積よりも小さくすることを付言しておく。

0104

また、本実施の形態6では、冷凍機油60は、酸捕捉剤が2wt%以上添加されている。ここで、酸捕捉剤は、冷媒回路11中の酸と化学反応した後、スラッジとして析出する。このため、従来、スラッジが発生しすぎることを防止するため、冷凍機油に添加される酸捕捉剤の量を2wt%よりも低く抑えていた。一方、本実施の形態6に係る冷凍サイクル装置10においては、冷凍機油60に添加する酸捕捉剤の量を従来よりも多くし、積極的にスラッジを析出する構成にしている。

0105

なお、本実施の形態6に係る冷凍サイクル装置10においては、使用する冷凍機油60の構成は、実施の形態1の構成に限定されるものではない。例えば、冷凍機油60にリン酸エステルを添加してもよい。また例えば、冷凍機油60として、飽和水分量が1000wtppmより小さい冷凍機油を用いてもよい。

0106

高温環境下で分解しやすいHFO−1123は、高温となる圧縮機12内で分解する。HFO−1123の分解により発生したフッ素イオンは、冷媒回路11中の水と化学反応し、フッ酸となる。このフッ酸と酸捕捉剤とが化学反応して生成された化学反応生成物は、冷凍機油60が高温のうちは冷凍機油60中に溶け込んでいる。そして、この化学反応生成物は、冷凍機油60が冷やされていくうちに、冷凍機油60中に溶け込めなくなり、スラッジとして析出する。すなわち、図6に示すZ範囲で、スラッジが発生する。

0107

本実施の形態6に係る冷凍サイクル装置10は、上述のように、凝縮器の第2冷媒流路80b、及び、凝縮器と膨張弁15とを接続する配管のうちの少なくとも一方に、凝縮器の第1冷媒流路80aよりも大きな流路断面積の拡管部73を備える。つまり、本実施の形態6に係る冷凍サイクル装置10は、冷房時に図6のZ範囲の中で、膨張弁15よりも混合冷媒の流れ方向の上流側となる位置(図6に「C」として示す位置)に拡管部73を備える。

0108

液状の混合冷媒が流れる拡管部73の流路断面積は、ガス状又は気液二相状態の混合冷媒が流れる凝縮器の第1冷媒流路80aの流路断面積よりも大きくなっている。このため、拡管部73で混合冷媒の流速が低下し、析出したスラッジが拡管部73の内壁に付着することとなる。拡管部73は、流路断面積が大きいため、スラッジが内壁に付着しても、詰まってしまうことはない。

0109

このように冷媒回路11に拡管部73を設けることにより、冷媒回路11中に析出したスラッジを拡管部73で捕捉し、スラッジが最も詰まりやすい膨張弁15においてスラッジが詰まることを防止できる。すなわち、本実施の形態6に係る冷凍サイクル装置10は、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できる。

0110

ここで、本実施の形態6の酸捕捉剤としては、エポキシ化合物を採用するのが好ましい。エポキシ化合物は、接着性に優れ、接着剤の材料としても用いられるものである。エポキシ化合物を酸捕捉剤として用いることにより、拡管部73の内壁にスラッジが付着しやすくなるため、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことをより防止できる。

0111

なお、実施の形態1で示した冷凍サイクル装置10に、本実施の形態6の構成を採用してもよい。つまり、実施の形態1で示した冷凍機油60に酸捕捉剤を2wt%以上添加し、上述した位置に拡管部73を設けてもよい。実施の形態1ではスラッジの発生を抑制していたが、冷媒回路11中には若干のスラッジが発生する。実施の形態1で示した冷凍サイクル装置10に、本実施の形態6の構成を採用し、冷媒回路11中に析出したスラッジを拡管部73で捕捉することにより、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことをさらに防止できる。

0112

また、暖房時に凝縮器として動作する室内熱交換器16の第2冷媒流路80b、及び、室内熱交換器16と膨張弁15とを接続する配管のうちの少なくとも一方に、拡管部73を備えてもよい。暖房時に、拡管部73でスラッジを捕捉することができる。

0113

以上、実施の形態1〜実施の形態6では特に言及しなかったが、実施の形態1〜実施の形態6のそれぞれを適宜組み合わせてもよい。各実施の形態で得られる冷媒回路11の詰まり防止効果相乗作用により、冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことをさらに防止できる。

0114

また、実施の形態2〜実施の形態4で示した冷凍サイクル装置10に、酸捕捉剤が2wt%以上添加されている冷凍機油60を使用してもよい。フッ酸が混合冷媒とともに冷媒回路11内を循環すると、冷媒回路11を構成する金属部品腐食する場合がある。しかしながら、従来は、上述のように、スラッジが発生しすぎることを防止するため、冷凍機油に添加される酸捕捉剤の量を2wt%よりも低く抑えていた。実施の形態2〜実施の形態4で示した冷凍サイクル装置10は、上述のように冷媒回路11がスラッジで詰まってしまうことを防止できるため、酸捕捉剤が2wt%以上添加されている冷凍機油60を使用することにより、冷媒回路11を構成する金属部品の腐食を抑制できるという効果を得ることもできる。

0115

実施の形態7. 最後に、本実施の形態7及び後述の実施の形態8では、実施の形態1〜実施の形態6で示した混合冷媒及び冷凍機油60の好適な一例を示す。なお、混合冷媒及び冷凍機油60において、本実施の形態7及び後述の実施の形態8で示す構成以外は、実施の形態1〜実施の形態6で示した通りである。

0116

HFO−1123は、高温部において不均化反応を起こし、不均化反応の連鎖によって爆発が発生する場合がある。しかしながら、実施の形態1〜実施の形態6では、上述のように、HFO−1123と、該HFO−1123とは異なる他の冷媒とを混合した混合冷媒が使用される。混合冷媒中におけるHFO−1123の比率を抑えているため、不均化反応の連鎖を抑制できる。ここで、不均化反応の連鎖をさらに抑制するためには、冷凍サイクル装置10の運転中、冷媒回路11内を循環する混合冷媒におけるHFO−1123の比率が、冷媒回路に混合冷媒が封入された時点よりも大きくならないことが好ましい。この場合、冷凍機油60を以下のように構成するのが好ましい。

0117

本実施の形態7に係る冷凍機油60は、前記他の冷媒よりもHFO−1123の方が溶けやすくなるように調整されている。

0118

本実施の形態7で用いられる冷凍機油60として、例えばポリオールエステルを用いることができる。ポリオールエステルは、脂肪酸多価アルコール(ポリオール)とがエステル結合したものである。脂肪酸の炭素数、脂肪酸の分子構造分岐鎖の脂肪酸を用いるか、あるいは、非分岐鎖(直鎖)の脂肪酸を用いるか)、多価アルコールの炭素数、及び、多価アルコールの分子構造(分岐鎖の多価アルコールを用いるか、あるいは、非分岐鎖(直鎖)の多価アルコールを用いるか)を調整することにより、ポリオールエステルへの冷媒の溶解性(溶解のしやすさ)を調整することができる。

0119

なお、本実施の形態7で用いられる冷凍機油60は、ポリオールエステルに限らず、ポリビニルエーテル又はポリアルキレングリコールを用いることもできる。ポリビニルエーテルは、直鎖の炭化水素の側鎖に、エーテル結合アルキル基が結合したものである。側鎖でエーテル結合しているアルキル基の成分を変化させることにより、ポリビニルエーテルへの冷媒の溶解性(溶解のしやすさ)を調整することができる。ポリアルキレングリコールは、プロピレンオキシドエチレンオキシドとがエーテル結合により鎖状に結合しているものである。プロピレンオキシドとエチレンオキシドの比率を変化させることにより、ポリアルキレングリコールへの冷媒の溶解性(溶解のしやすさ)を調整することができる。 ポリオールエステル、ポリビニルエーテル及びポリアルキレングリコールの少なくとも2つを混合し、冷凍機油60としても勿論よい。

0120

また、冷媒回路11に封入される前の混合冷媒及び冷凍機油60の量としては、混合冷媒が冷凍機油60に対して1倍以上4倍以下の重量比となるようにしている。

0121

冷凍サイクル装置10は、上述のように、HFO−1123の方が混合冷媒中の他の冷媒よりも溶けやすく調整された冷凍機油60を用いている。このため、冷凍サイクル装置10の運転中、冷媒回路11内を循環する混合冷媒におけるHFO−1123と前記他の冷媒との混合比は、冷媒回路に混合冷媒が封入された時点よりも、HFO−1123の比率が大きくなることがない。したがって、冷凍サイクル装置10は、冷凍サイクル装置10の運転中においても、HFO−1123が不均化反応を起こすことを抑制できる。

0122

なお、前記他の冷媒としてR32を用いることにより、すなわち、HFO−1123とR32の混合冷媒を冷凍サイクル装置10に用いることにより、さらにHFO−1123が不均化反応を起こすことを抑制できる。HFO−1123とR32の混合冷媒は疑似共沸冷媒となるため、HFO−1123とR32との分離が抑制され、冷媒回路11内を循環する混合冷媒が分離することにより部分的にHFO−1123の濃度が高くなることを防止できるからである。

0123

このとき、HFO−1123とR32の混合冷媒は、冷媒回路11に封入される前の状態において、該混合冷媒中のHFO−1123の比率が60wt%以下となっていることが好ましい。なぜならば、冷媒は冷媒温度が低いほど、冷凍機油60に溶け込みやすくなる。つまり、冷房時よりも冷媒温度が低くなる暖房時は、冷房時よりも冷凍機油60に溶け込む冷媒量が増える。そして、本実施の形態7に係る冷凍機油60は、HFO−1123の方がR32よりも溶けやすく調整されている。このため、HFO−1123とR32の混合冷媒において、該混合冷媒中のHFO−1123の比率を60wt%以下とすることで、暖房運転時、冷媒回路11を循環する混合冷媒中のR32の割合を増大でき、冷凍サイクル装置10の成績係数COP)を向上させることができる。なお、HFO−1123を用いることによる地球温暖化係数(GWP)低減の効果を考えると、混合冷媒中のHFO−1123の比率は10wt%以上であることが好ましい。

0124

また、混合冷媒が前記冷凍機油60に対して1倍以上4倍以下の重量比となるように、冷媒回路11に混合冷媒及び冷凍機油60を封入するのが好ましい。混合冷媒が冷凍機油60に対して1倍未満の重量比となるように、冷媒回路11に混合冷媒及び冷凍機油60を封入した場合、冷凍機油60に対する混合冷媒の比率が小さすぎるため、混合冷媒の組成の変化量(HFO−1123と他の冷媒との比率の変化量)が大きくなりすぎ、混合冷媒の組成が不安定になるため、冷凍サイクル装置10の制御が困難となる。一方、混合冷媒が前記冷凍機油60に対して4倍より大きくなる重量比となるように、冷媒回路11に混合冷媒及び冷凍機油60を封入した場合、冷凍機油60に対する混合冷媒の比率が大きすぎるため、混合冷媒の組成の変化量(HFO−1123と他の冷媒との比率の変化量)が小さくなり、COPの改善効果が小さくなる。混合冷媒が冷凍機油60に対して1倍以上4倍以下の重量比となるように、冷媒回路11に混合冷媒及び冷凍機油60を封入することにより、冷凍サイクル装置10を安定して制御でき、COPの改善効果を十分に得ることができる。

0125

冷凍機油60に対する冷媒の溶解量の一例を紹介する。

0126

図10は、本発明の実施の形態7に係る冷凍機油60に対する冷媒の溶解量を示す図である。この図10は、混合冷媒を構成するHFO−1123及びHFO−1123以外の他の冷媒の冷凍機油60に対する溶解量を示すものであり、他の冷媒の一例としてR32を示している。また、図10に示す縦軸は、100重量部の冷凍機油60に溶けるHFO−1123及びR32の量を示している。

0127

図10に示すように、冷凍機油60に対するHFO−1123の溶解量は、冷凍機油60に対するR32の溶解量よりも多くなっている。図10における冷凍機油60の温度が60℃の位置(破線の位置)に着目すると、当該位置は、混合冷媒の露点温度が40℃、圧縮機12内に貯留されている冷凍機油60の温度が60℃(換言すると圧縮機12の吐出過熱度が20℃)で冷凍サイクル装置10を運転している状態を示している。この運転状態において、HFO−1123の溶解量は33重量部(D点)となっている。また、R32の溶解量は、HFO−1123の溶解量よりも16重量部少ない17重量部(E点)となっている。このような冷媒の溶解量となるように冷凍機油60を調整することにより、上記の効果(特にCOPの改善効果)を十分に得ることができる。なお、上記の運転状態において、HFO−1123の溶解量が30重量部以上となり、R32の溶解量がHFO−1123の溶解量よりも10重量部以上少ない溶解量となるように冷凍機油60を調整することにより、上記の効果(特にCOPの改善効果)を十分に得ることができる。

0128

実施の形態8. 本実施の形態8に係る混合冷媒は、HFO−1123、R32及びHFO−1234yfを混合したものである。この混合冷媒は、冷媒回路11に封入される前の状態において、HFO−1123が50wt%未満で、R32の混合比率がHFO−1123に対して0.7倍以上2倍以下の重量比となっている。R32の混合比率をHFO−1123に対して0.7倍以上2倍以下の重量比にすることにより、R32とHFO−1123とは疑似共沸状態(疑似共沸冷媒)となる。

0129

また、本実施の形態8に係る冷凍機油60は、HFO−1123、R32及びHFO−1234yfのうち、R32が最も溶けにくくなるように調整されている。さらに、冷凍機油60は、HFO−1234yfの方がHFO−1123よりも溶けやすくなるようにも調整されている。

0130

本実施の形態8で用いられる冷凍機油60として、例えばポリオールエステルを用いることができる。ポリオールエステルは、脂肪酸と多価アルコール(ポリオール)とがエステル結合したものである。脂肪酸の炭素数、脂肪酸の分子構造(分岐鎖の脂肪酸を用いるか、あるいは、非分岐鎖(直鎖)の脂肪酸を用いるか)、多価アルコールの炭素数、及び、多価アルコールの分子構造(分岐鎖の多価アルコールを用いるか、あるいは、非分岐鎖(直鎖)の多価アルコールを用いるか)を調整することにより、ポリオールエステルへの冷媒の溶解性(溶解のしやすさ)を調整することができる。

0131

なお、本実施の形態8で用いられる冷凍機油60は、ポリオールエステルに限らず、ポリビニルエーテル又はポリアルキレングリコールを用いることもできる。ポリビニルエーテルは、直鎖の炭化水素の側鎖に、エーテル結合でアルキル基が結合したものである。側鎖でエーテル結合しているアルキル基の成分を変化させることにより、ポリビニルエーテルへの冷媒の溶解性(溶解のしやすさ)を調整することができる。ポリアルキレングリコールは、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとがエーテル結合により鎖状に結合しているものである。プロピレンオキシドとエチレンオキシドの比率を変化させることにより、ポリアルキレングリコールへの冷媒の溶解性(溶解のしやすさ)を調整することができる。 ポリオールエステル、ポリビニルエーテル及びポリアルキレングリコールの少なくとも2つを混合し、冷凍機油60としても勿論よい。

0132

また、冷媒回路11に封入される前の混合冷媒及び冷凍機油60の量としては、混合冷媒が冷凍機油60に対して1倍以上4倍以下の重量比となるようにしている。

0133

冷凍サイクル装置10は、上述のように、冷媒回路11に封入される前の状態において、HFO−1123が50wt%未満となっている混合冷媒を用い、冷媒回路11内のHFO−1123の量を抑制している。冷凍サイクル装置10は、HFO−1123が不均化反応を起こすことを抑制できる。また、冷凍サイクル装置10は、R32が最も溶けにくくなるように調整された冷凍機油60を用いている。このため、冷凍サイクル装置10の運転中においても、混合冷媒中に占めるHFO−1123の割合が増加することを抑制できる。したがって、冷凍サイクル装置10は、冷凍サイクル装置10の運転中においても、HFO−1123が不均化反応を起こすことを抑制できる。さらに、冷凍サイクル装置10に用いられる混合冷媒は、R32の混合比率がHFO−1123に対して0.7倍以上2倍以下の重量比となっている。このため、HFO−1123とR32とは疑似共沸状態とすることができる。したがって、冷凍サイクル装置10は、HFO−1123とR32との分離が抑制されるため、HFO−1123が不均化反応を起こすことをさらに抑制できる。すなわち、冷凍サイクル装置10は、HFO−1123の不均化反応の連鎖によって爆発が発生することを防止でき、HFO−1123を用いても高い安全性を確保することができる。 なお、HFO−1123を用いることによる地球温暖化係数(GWP)低減の効果を考えると、混合冷媒中のHFO−1123の比率は10wt%以上であることが好ましい。

0134

また、冷凍サイクル装置10は、混合冷媒中のHFO−1123の割合を低下させるために、R32だけでなく、HFO−1234yfも混合している。このため、混合冷媒のGWPを低下させることもできる。

0135

ここで、混合冷媒の組成比の一例、及び、冷凍機油60に対する冷媒の溶解量の一例を紹介する。

0136

図11及び図12は、本発明の実施の形態8に係る冷凍機油60に対する冷媒の溶解量を示す図である。図11は、通常運転時の冷媒溶解量を示している。図12は、過負荷運転時の冷媒溶解量を示している。また、図11及び図12では、冷媒回路に封入される前の状態における混合冷媒の組成は、重量比で、HFO−1123:R32:HFO−1234yf=40:40:20となっている。なお、図11及び図12に示す縦軸は、100重量部の冷凍機油60に溶けるHFO−1123及びR32の量を示している。

0137

図11及び図12に示すように、冷凍機油60に対する各冷媒(混合冷媒を構成する冷媒)の溶解量は、HFO−1234yf>HFO−1123>R32となっている。通常運転時における冷凍機油60の温度が60℃の状態(図11の破線の位置)に着目すると、当該状態は、混合冷媒の露点温度が40℃、圧縮機12内に貯留されている冷凍機油60の温度が60℃(換言すると圧縮機12の吐出過熱度が20℃)で冷凍サイクル装置10を運転している状態を示している。この運転状態において、HFO−1234yfの溶解量は38重量部(F点)となっている。HFO−1123の溶解量は33重量部(G点)となっている。また、R32の溶解量は、HFO−1234yfの溶解量よりも21重量部少ない17重量部(H点)となっている。

0138

つまり、冷凍機油60に対する各冷媒(混合冷媒を構成する冷媒)の溶解量をHFO−1234yf>HFO−1123>R32と調整することにより、冷媒回路11を循環する混合冷媒中のHFO−1234yfの割合を低減できる。これにより、混合冷媒が高圧化し、凝縮過程及び蒸発過程における混合冷媒の温度勾配が低減するため、冷凍サイクル装置10の性能(COP)を向上させることができる。

0139

また、冷凍機油60に対する各冷媒(混合冷媒を構成する冷媒)の溶解量をHFO−1234yf>HFO−1123>R32と調整することにより、冷凍サイクル装置10の運転中、冷媒回路11内を循環する混合冷媒におけるHFO−1234yfの割合は、冷媒回路11に混合冷媒が封入された時点よりも大きくなることがない。したがって、冷凍サイクル装置10の性能は低下しない。

0140

一方、過負荷運転時における冷凍機油60の温度が100℃の状態(図12の破線の位置)に着目すると、当該状態は、混合冷媒の露点温度が60℃、圧縮機12内に貯留されている冷凍機油60の温度が1000℃(換言すると圧縮機12の吐出過熱度が400℃)で冷凍サイクル装置10を運転している状態を示している。この運転状態において、HFO−1234yfの溶解量は26重量部(I点)となっている。HFO−1123の溶解量は22重量部(J点)となっている。また、R32の溶解量は、HFO−1234yfの溶解量よりも19重量部少ない7重量部(K点)となっている。

0141

冷媒は冷媒温度が高いほど、冷凍機油60に溶け込みにくくなる。つまり、通常運転時よりも冷媒温度が高くなる過負荷運転時は、通常運転時よりも冷凍機油60に溶け込む冷媒量が減少する。このため、過負荷運転時において冷媒回路11内を循環する混合冷媒は、通常運転時と比べ、HFO−1234yfの割合が増加する。HFO−1234yfは低動作圧であるため、冷凍機油60に対する各冷媒(混合冷媒を構成する冷媒)の溶解量をHFO−1234yf>HFO−1123>R32と調整することにより、過負荷運転時に高圧側の冷媒圧力を低減させる効果を得ることもできる。

0142

図13は、図11及び図12の比率で冷凍機油60に混合冷媒を構成する各冷媒が溶解した場合における、HFO−1234yfの組成比を示す図である。図13横軸は、冷媒回路11に封入される前の混合冷媒と冷凍機油60との重量比(混合冷媒の重量/冷凍機油60の重量)を示している。また、図13の縦軸は、冷媒回路11内を循環する混合冷媒内に占めるHFO−1234yfの割合を示している。なお、曲線Nが通常運転時におけるHFO−1234yfの組成比を示しており、曲線Mが過負荷運転時におけるHFO−1234yfの組成比を示している。

0143

混合冷媒が前記冷凍機油60に対して1倍未満の重量比となるように、冷媒回路11に混合冷媒及び冷凍機油60を封入した場合、冷凍機油60に対する混合冷媒の比率が小さすぎるため、混合冷媒の組成の変化量が大きくなりすぎ、混合冷媒の組成が不安定になるため、冷凍サイクル装置10の制御が困難となる。一方、混合冷媒が前記冷凍機油60に対して4倍より大きくなる重量比となるように、冷媒回路11に混合冷媒及び冷凍機油60を封入した場合、冷凍機油60に対する混合冷媒の比率が大きすぎるため、HFO−1234yfの変化量が0.5wt%未満とが小さくなる。このため、上述したCOPの改善効果及び高圧低減効果が小さくなる。本実施の形態8では、混合冷媒が前記冷凍機油60に対して1倍以上4倍以下の重量比となるように、冷媒回路11に混合冷媒及び冷凍機油60を封入しているので、冷凍サイクル装置10を安定して制御でき、COPの改善効果及び高圧低減効果を十分に得ることができる。

0144

なお、冷媒回路に封入される前の状態における混合冷媒の組成(HFO−1123:R32:HFO−1234yf=40:40:20)は、あくまでも一例である。しかしながら、HFO−1234yfの比率が増えすぎると、圧力損失増大によって冷凍サイクル装置10の性能の低下が懸念される。このため、HFO−1234yfの比率は、50wt%以下が好ましい。

0145

また、図11及び図12で示した各冷媒の溶解量もあくまでも一例である。露点温度が40℃、圧縮機12内に貯留されている冷凍機油60の温度が60℃となる運転条件において、HFO−1234yfの溶解量が30重量部以上となり、R32の溶解量がHFO−1234yfの溶解量よりも10重量部以上少ない溶解量となるように冷凍機油60を調整することにより、上記の効果を十分に得ることができる。

0146

10冷凍サイクル装置、11冷媒回路、12圧縮機、13四方弁、14室外熱交換器、15膨張弁、15a,15bキャピラリーチューブ、16室内熱交換器、17制御装置、20密閉容器、21吸入管、22吐出管、23吸入マフラ、24電源端子、30圧縮要素、31シリンダ、31a圧縮室、31bベーン溝、31c吸入ポート、32ローリングピストン、32a外周面、33ベーン、33a 先端部、34主軸受、35副軸受、36吐出マフラ、37ベーンスプリング、40電動要素、41固定子、42回転子、43固定子鉄心、44固定子巻線、45リード線、46回転子鉄心、48絶縁部材、50 軸、51偏心軸部、52主軸部、53 副軸部、60冷凍機油、70ドライヤ、71フィルター、72 フィルター、73拡管部、80冷媒流路、80a 第1冷媒流路、80b 第2冷媒流路、81分岐部、81a分岐冷媒流路。

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