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技術 水性分散体混合物

出願人 住友化学株式会社コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
発明者 中島秀人森田寛東元浩幸
出願日 2016年5月13日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2017-519189
公開日 2018年4月26日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 WO2016-186047
状態 特許登録済
技術分野 流動性材料の適用方法、塗布方法 接着剤、接着方法 塗料、除去剤 高分子組成物
主要キーワード pHメータ pH計 官能基単位 ツヤ消し 分散用水 分岐ポリオール 排水パン ヒドロキシアミノ化合物
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この項目の情報は公開日時点(2018年4月26日)のものです。
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課題・解決手段

本発明は、結晶性ポリオレフィン(a)を分散質とする水性分散体(A)と、結晶性ポリウレタン(b)を分散質とする水性分散体(B)と、非結晶性ポリウレタン(c)を分散質とする水性分散体(C)とを含む水性分散体混合物であって、該結晶性ポリオレフィン(a)は、非塩素変性ポリオレフィンであり、該結晶性ポリウレタン(b)は、示差走査熱量分析により測定される結晶融解熱量が3J/g以上であり、該非結晶性ポリウレタン(c)は、示差走査熱量分析により測定される結晶融解熱量が3J/g未満であり、前記水性分散体(A)の不揮発分100質量部に対して、水性分散体(B)は30質量部〜100質量部の不揮発分を含有し、および水性分散体(C)は20質量部〜80質量部の不揮発分を含有する、水性分散体混合物を提供する。

概要

背景

従来、プロピレン単独重合体プロピレンとα—オレフィンとの共重合体といったポリオレフィン類は、機械的物性耐熱性耐薬品性耐水性などに優れると共に安価であることから、自動車部品家電製品等の幅広い分野に用いられている。

一般に、ポリオレフィン類からなる基材の表面は、ポリオレフィン類以外の物質との接着性が低く、接着剤塗料等の塗膜を形成し難いことが知られている。そこで、塩素化ポリオレフィン酸変性塩素化ポリオレフィン酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンプライマーや接着剤の成分として用いることにより、塗装性や接着性を改善する試みがなされている。これらのプライマーや接着剤では、変性ポリオレフィンは通常、有機溶媒中での溶液または水性溶媒中での分散体の形態で用いられ、安全面および環境面から水性分散体の形態で好ましく用いられている。

一方、これらの変性ポリオレフィンの分散体を含有するプライマーや接着剤等において、ポリオレフィン類以外の物質でできた基材や塗料等との接着性を向上させるために、アクリル樹脂ウレタン樹脂等を変性ポリオレフィンと共に用いた分散体が提案されているが、耐水性、耐溶剤性、耐薬品性を向上させるために硬化剤を併用しているものが大半である(特許文献1〜3)。

しかしながら、硬化剤を併用するとポットライフや製造工程の複雑化といった問題点が発生するため、硬化剤を使用せずとも耐水性、耐溶剤性、耐薬品性といった塗膜特性に優れるプライマーや接着剤が求められている。また、環境問題の観点から塩素等のハロゲン物質を含まないプライマーや接着剤が求められており、塩素や塩素を含む物質で変性されたポリオレフィンは敬遠されつつある。
特開2013−100399号公報
特許第5071750号公報
特許第5541553号公報

概要

本発明は、結晶性ポリオレフィン(a)を分散質とする水性分散体(A)と、結晶性ポリウレタン(b)を分散質とする水性分散体(B)と、非結晶性ポリウレタン(c)を分散質とする水性分散体(C)とを含む水性分散体混合物であって、該結晶性ポリオレフィン(a)は、非塩素変性ポリオレフィンであり、該結晶性ポリウレタン(b)は、示差走査熱量分析により測定される結晶融解熱量が3J/g以上であり、該非結晶性ポリウレタン(c)は、示差走査熱量分析により測定される結晶融解熱量が3J/g未満であり、前記水性分散体(A)の不揮発分100質量部に対して、水性分散体(B)は30質量部〜100質量部の不揮発分を含有し、および水性分散体(C)は20質量部〜80質量部の不揮発分を含有する、水性分散体混合物を提供する。

目的

したがって、硬化剤を使用することなく、ポリオレフィン類からなる基材との良好な密着性を有すると共に、ポリオレフィン類以外の物質でできた基材や塗料等との優れた密着性を有し、良好な塗膜特性、特に耐水性、耐湿性およびリコート性を発揮する水性分散体混合物が望まれている

効果

実績

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請求項1

結晶性ポリオレフィン(a)を分散質とする水性分散体(A)と、結晶性ポリウレタン(b)を分散質とする水性分散体(B)と、非結晶性ポリウレタン(c)を分散質とする水性分散体(C)とを含む水性分散体混合物であって、該結晶性ポリオレフィン(a)は、非塩素変性ポリオレフィンであり、該結晶性ポリウレタン(b)は、示差走査熱量分析により測定される結晶融解熱量が3J/g以上であり、該非結晶性ポリウレタン(c)は、示差走査熱量分析により測定される結晶融解熱量が3J/g未満であり、前記水性分散体(A)の不揮発分100質量部に対して、水性分散体(B)は30質量部〜100質量部の不揮発分を含有し、および水性分散体(C)は20質量部〜80質量部の不揮発分を含有する、水性分散体混合物。

請求項2

前記非塩素変性の結晶性ポリオレフィン(a)は、オレフィン単位100質量部に対し0.1〜40質量部の変性官能基単位を含有する、請求項1に記載の水性分散体混合物。

請求項3

前記非塩素変性の結晶性ポリオレフィン(a)と結晶性ポリウレタン(b)の示差走査熱量分析(DSC)により測定される融点が100℃以下である、請求項1または2に記載の水性分散体混合物。

請求項4

前記非塩素変性の結晶性ポリオレフィン(a)の重量平均分子量Mwは、20000〜200000である、請求項1〜3のいずれかに記載の水性分散体混合物。

請求項5

前記水性分散体(A)、(B)および(C)の分散質は、平均粒子径がいずれも1.0μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の水性分散体混合物。

請求項6

前記水性分散体(A)の分散質は、非塩素変性の結晶性ポリオレフィンの自己乳化物である、請求項1〜5のいずれかに記載の水性分散体混合物。

請求項7

前記結晶性ポリウレタン(b)および前記非結晶性ポリウレタン(c)の示差走査熱量分析(DSC)により測定されたガラス転移点がいずれも−20℃以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の水性分散体混合物。

請求項8

前記結晶性ポリウレタン(b)および前記非結晶性ポリウレタン(c)は、ポリウレタンの構成成分として、脂肪族ジイソシアネート脂環式ジイソシアネートおよび芳香族ジイソシアネートからなる群から選ばれる1以上の構造単位と、ポリエステルポリオールポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールからなる群から選ばれる1以上の構造単位とを含むポリウレタンである、請求項1〜7のいずれかに記載の水性分散体混合物。

請求項9

前記結晶性ポリウレタン(b)は、カルボキシル基および/またはスルホニル基を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の水性分散体混合物。

請求項10

請求項1〜9のいずれかに記載の水性分散体混合物を基材に塗布する工程を含む、塗膜の製造方法。

請求項11

基材はオレフィン系樹脂からなる基材である、請求項10に記載の塗膜の製造方法。

請求項12

請求項1〜9のいずれかに記載の水性分散体混合物の塗布乾燥物を有する塗装物品

請求項13

請求項1〜9のいずれかに記載の水性分散体混合物を含有する水性塗料組成物

請求項14

水性分散体(A)の不揮発分100質量部に対して、水性分散体(B)の不揮発分を30〜100質量部、水性分散体(C)の不揮発分を20〜80質量部、顔料(D)を1〜200質量部、粘度調整剤(E)を0〜50質量部、溶媒(F)を0〜1000質量部、補助樹脂(G)を0〜50質量部、他の添加剤(H)を0〜100質量部、含有する、請求項13に記載の水性塗料組成物。

請求項15

揮発性有機化合物(VOC)量が、250g/L以下である、請求項13または14に記載の水性塗料組成物。

請求項16

請求項1〜9のいずれかに記載の水性分散体混合物を含有する水性プライマー組成物

請求項17

揮発性有機化合物量が250g/L以下である、請求項16に記載の水性プライマー組成物。

請求項18

請求項1〜9のいずれかに記載の水性分散体混合物を含有する水性接着剤

技術分野

0001

本特許出願は、日本国特許出願第2015−100447号(出願日2015年5月15日)について優先権を主張するものであり、ここに参照することによって、それらの全体が本明細書中へ組み込まれるものとする。
本発明は、水性分散体混合物に関する。

背景技術

0002

従来、プロピレン単独重合体プロピレンとα—オレフィンとの共重合体といったポリオレフィン類は、機械的物性耐熱性耐薬品性耐水性などに優れると共に安価であることから、自動車部品家電製品等の幅広い分野に用いられている。

0003

一般に、ポリオレフィン類からなる基材の表面は、ポリオレフィン類以外の物質との接着性が低く、接着剤塗料等の塗膜を形成し難いことが知られている。そこで、塩素化ポリオレフィン酸変性塩素化ポリオレフィン酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンプライマーや接着剤の成分として用いることにより、塗装性や接着性を改善する試みがなされている。これらのプライマーや接着剤では、変性ポリオレフィンは通常、有機溶媒中での溶液または水性溶媒中での分散体の形態で用いられ、安全面および環境面から水性分散体の形態で好ましく用いられている。

0004

一方、これらの変性ポリオレフィンの分散体を含有するプライマーや接着剤等において、ポリオレフィン類以外の物質でできた基材や塗料等との接着性を向上させるために、アクリル樹脂ウレタン樹脂等を変性ポリオレフィンと共に用いた分散体が提案されているが、耐水性、耐溶剤性、耐薬品性を向上させるために硬化剤を併用しているものが大半である(特許文献1〜3)。

0005

しかしながら、硬化剤を併用するとポットライフや製造工程の複雑化といった問題点が発生するため、硬化剤を使用せずとも耐水性、耐溶剤性、耐薬品性といった塗膜特性に優れるプライマーや接着剤が求められている。また、環境問題の観点から塩素等のハロゲン物質を含まないプライマーや接着剤が求められており、塩素や塩素を含む物質で変性されたポリオレフィンは敬遠されつつある。
特開2013−100399号公報
特許第5071750号公報
特許第5541553号公報

発明が解決しようとする課題

0006

このように、変性ポリオレフィンの水性分散体とアクリル樹脂やウレタン樹脂等の水性分散体との水性分散体混合物の場合、硬化剤を使用しなければ耐水性などの塗膜特性が低下することとなる。したがって、硬化剤を使用することなく、ポリオレフィン類からなる基材との良好な密着性を有すると共に、ポリオレフィン類以外の物質でできた基材や塗料等との優れた密着性を有し、良好な塗膜特性、特に耐水性、耐湿性およびリコート性を発揮する水性分散体混合物が望まれている。

0007

本発明は、ポリオレフィンからなる基材との優れた密着性を有すると共にポリオレフィン類以外の物質でできた基材や塗料等に対しても優れた密着性を有し、塗膜特性、特に耐水性および耐湿性が良好な水性分散体混合物を提供することを目的とする。また、上記水性分散体混合物は、環境問題の観点から塩素を含まないものである。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、以下の手段を提供する。
[1]
結晶性ポリオレフィン(a)を分散質とする水性分散体(A)と、結晶性ポリウレタン(b)を分散質とする水性分散体(B)と、非結晶性ポリウレタン(c)を分散質とする水性分散体(C)とを含む水性分散体混合物であって、
該結晶性ポリオレフィン(a)が、非塩素変性ポリオレフィンであり、
該結晶性ポリウレタン(b)は、示差走査熱量分析(以下、「DSC」ともいう)により測定される結晶融解熱量が3J/g以上であり、
該非結晶性ポリウレタン(c)は、DSCにより測定される結晶融解熱量が3J/g未満であり、
前記水性分散体(A)の不揮発分100質量部に対して、水性分散体(B)は30質量部〜100質量部の不揮発分を含有し、および水性分散体(C)は20質量部〜80質量部の不揮発分を含有する、水性分散体混合物。
[2]
前記結晶性ポリウレタン(b)は、示差走査熱量分析により測定される結晶融解熱量が5J/g以上である、[1]に記載の水性分散体混合物。
[3]
前記結晶性ポリウレタン(b)は、示差走査熱量分析により測定される結晶融解熱量が10J/g以上である、[1]に記載の水性分散体混合物。
[4]
前記結晶性ポリウレタン(b)は、示差走査熱量分析により測定される結晶融解熱量が30J/g以上である、[1]に記載の水性分散体混合物。
[5]
前記非塩素変性の結晶性ポリオレフィン(a)は、オレフィン単位100質量部に対し0.1〜40質量部の変性官能基単位を含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の水性分散体混合物。
[6]
前記非塩素変性の結晶性ポリオレフィン(a)と結晶性ポリウレタン(b)の示差走査熱量分析(DSC)により測定される融点が100℃以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の水性分散体混合物。
[7]
前記非塩素変性の結晶性ポリオレフィン(a)の重量平均分子量Mwは、20000〜200000である、[1]〜[6]のいずれかに記載の水性分散体混合物。
[8]
前記水性分散体(A)、(B)および(C)の分散質は、平均粒子径がいずれも1.0μm以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の水性分散体混合物。
[9]
前記水性分散体(A)の分散質は、非塩素変性の結晶性ポリオレフィンの自己乳化物である、[1]〜[8]のいずれかに記載の水性分散体混合物。
[10]
前記結晶性ポリウレタン(b)および前記非結晶性ポリウレタン(c)の示差走査熱量分析(DSC)により測定されたガラス転移点がいずれも−20℃以下である、[1]〜[9]のいずれかに記載の水性分散体混合物。
[11]
前記結晶性ポリウレタン(b)および前記非結晶性ポリウレタン(c)は、ポリウレタンの構成成分として、脂肪族ジイソシアネート脂環式ジイソシアネートおよび芳香族ジイソシアネートからなる群から選ばれる1以上の構造単位と、ポリエステルポリオールポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールからなる群から選ばれる1以上の構造単位とを含むポリウレタンである、[1]〜[10]のいずれかに記載の水性分散体混合物。
[12]
前記結晶性ポリウレタン(b)は、カルボキシル基および/またはスルホニル基を有する、[1]〜[11]のいずれかに記載の水性分散体混合物。
[13]
[1]〜[12]のいずれかに記載の水性分散体混合物を基材に塗布する工程を含む、塗膜の製造方法。
[14]
基材は樹脂または樹脂組成物からなる基材である、[13]に記載の塗膜の製造方法。
[15]
[1]〜[12]のいずれかに記載の水性分散体混合物の塗布乾燥物を有する塗装物品
[16]
[1]〜[12]のいずれかに記載の水性分散体混合物を含有する水性塗料組成物
[17]
水性分散体(A)の不揮発分100質量部に対して、水性分散体(B)の不揮発分を30〜100質量部、水性分散体(C)の不揮発分を20〜80質量部、顔料(D)を1〜200質量部、粘度調整剤(E)を0〜50質量部、溶媒(F)を0〜1000質量部、補助樹脂(G)を0〜50質量部、他の添加剤(H)を0〜100質量部、含有する、[16]に記載の水性塗料組成物。
[18]
揮発性有機化合物(VOC)量が、250g/L以下である、[16]または[17]に記載の水性塗料組成物。
[19]
[1]〜[12]のいずれかに記載の水性分散体混合物を含有する水性プライマー組成物
[20]
揮発性有機化合物量が250g/L以下である、[19]に記載の水性プライマー組成物。
[21]
[1]〜[12]のいずれかに記載の水性分散体混合物を含有する水性接着剤

発明の効果

0009

本発明の水性分散体混合物は、ポリオレフィン類からなる基材に対して強力な密着性を示すだけでなくポリオレフィン類以外の重合体からなる基材や、ポリオレフィン類以外の物質を含むクリアコートベースコート等の各種塗料からなる塗膜についても高い密着性を示す。また、本発明の水性分散体混合物は、高い耐湿性および耐水性を発揮する。さらに、本発明の水性分散体混合物は、塩素で変性されていないポリオレフィンを用いることにより環境に配慮されたものである。したがって、本発明の水性分散体混合物は、プライマーや塗料組成物、水性接着剤等に好適に用いることができる。

0010

本発明の水性分散体混合物は、非塩素変性の結晶性ポリオレフィン(以下、ポリオレフィン(a)と称する)を分散質とする水性分散体(A)と、結晶性ポリウレタン(以下、ポリウレタン(b)と称する)を分散質とする水性分散体(B)と、非結晶性ポリウレタン(以下、ポリウレタン(c)と称する)を分散質とする水性分散体(C)とを含む混合物である。

0011

本明細書では、ポリオレフィン(a)とは、塩素または塩素を含有する物質で変性されていないが、変性官能基を有する不飽和化合物により変性されている結晶性ポリオレフィンであって、変性官能基を有する不飽和化合物に由来する構造単位(以下、変性官能基単位と称する)を有する結晶性ポリオレフィンをいう。また、結晶性ポリオレフィンとは、分子規則的に配列した結晶部分を少なくとも一部に含有し、オレフィンに由来する構造単位(以下、オレフィン単位と称する)を1種類以上有する単独重合体または共重合体であって、−100〜200℃の温度範囲に、結晶融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピーク(融点)を有する重合体をいう。結晶融解熱量および融点は、例えば後述する方法により測定することができる。

0012

本明細書では、結晶性ポリウレタン(b)とは、DSCにより測定される結晶融解熱量が3J/g以上であるポリウレタンをいう。

0013

本明細書では、非結晶性ポリウレタン(c)とは、DSCにより測定される結晶融解熱量が3J/g未満であるポリウレタンをいう。

0014

変性官能基を有する不飽和化合物による結晶性ポリオレフィンの変性方法としては、オレフィン単位を有する単独重合体および/または共重合体を溶融させた後、変性官能基を有する不飽和化合物を添加してグラフト変性する方法、オレフィン単位を有する単独重合体および/または共重合体を、トルエンキシレン等の有機溶媒に溶解した後、変性官能基を有する不飽和化合物を添加してグラフト変性する方法、オレフィン単位を有する単独重合体および/または共重合体と変性官能基を有する不飽和化合物とを共重合する方法等が挙げられる。

0015

変性官能基を有する不飽和化合物の例としては、(メタアクリル酸フマル酸マレイン酸イタコン酸クロトン酸シトラコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸無水マレイン酸無水イタコン酸無水シトラコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸無水物;マレイン酸メチル、イタコン酸メチル、シトラコン酸メチル、メチル(メタ)アクリレートエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(2−イソシアナト)エチル(メタ)アクリレート、(ジメチルアミノ)(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドエチルメタクリル酸アルコールとのエステル交換物等のα,β−不飽和カルボン酸エステルが挙げられる。これらの中でも、α,β−不飽和カルボン酸、α,β−不飽和カルボン酸無水物およびα,β−不飽和カルボン酸エステルが好ましい。α,β−不飽和カルボン酸としては、マレイン酸が好ましい。α,β−不飽和カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸が好ましい。α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、エステル部位(−CO−O−R)におけるR基炭素原子数が4以上であるα,β−不飽和カルボン酸エステルが好ましく、エステル部位におけるR基の炭素原子数が6以上であるα,β−不飽和カルボン酸エステルがより好ましく、エステル部位におけるR基の炭素原子数が8以上であるα,β−不飽和カルボン酸エステルがさらに好ましい。α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、エステル部位におけるR基の炭素原子数が30以下であるα,β−不飽和カルボン酸エステルが好ましく、エステル部位におけるR基の炭素原子数が20以下であるα,β−不飽和カルボン酸エステルがより好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明では、アクリル酸とメタクリル酸とを総称して(メタ)アクリル酸という。また、アクリレートとメタクリレートとを総称して(メタ)アクリレートという。

0016

結晶性ポリオレフィンを構成するオレフィン単位としては、エチレンに由来する構造単位およびα−オレフィンに由来する構造単位が挙げられる。
α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセンビニルシクロヘキサン等が挙げられる。好ましくは、プロピレンおよび1−ブテンである。

0017

オレフィン単位を有する単独重合体としては、エチレンやプロピレンのホモポリマーが挙げられる。

0018

オレフィン単位を有する共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体等のオレフィン同士の共重合体;オレフィンと共重合可能モノマーとオレフィンとの共重合体;あるいはこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。共重合可能なモノマーとオレフィンとの共重合体では、共重合可能なモノマーおよびオレフィンは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。共重合体の形態は、例えば、ランダム共重合ブロック共重合グラフト共重合等のいずれでもよい。これらは過酸化物等で低分子量化高分子量化したものであってもよい。

0019

オレフィン同士の共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体等が好ましい。

0020

オレフィンと共重合可能なモノマーとしては、上述の変性官能基を有する不飽和化合物として述べたα,β−不飽和カルボン酸、α,β−不飽和カルボン酸無水物、α,β−不飽和カルボン酸エステルを用いることができる。この場合、オレフィンと変性官能基を有する不飽和化合物との共重合体としてポリオレフィン(a)が得られることとなる。
また、オレフィンと共重合可能なモノマーとしてα,β−不飽和カルボン酸の金属塩ビニルエステル、ビニルエステル鹸化物環状オレフィンビニル芳香族化合物ポリエン化合物ジエン類など)、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0021

α,β−不飽和カルボン酸の金属塩としては、(メタ)アクリル酸のナトリウム塩マグネシウム塩が挙げられる。

0022

ビニルエステルとしては、ギ酸ビニル酢酸ビニルプロピオン酸ビニルピバリン酸ビニルバーサチック酸ビニル等が挙げられる。なかでも、酢酸ビニルが好ましい。

0023

ビニルエステル鹸化物としては、ビニルエステルを塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール等が挙げられる。

0024

環状オレフィンとしては、例えばノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、シクロへプテン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。

0025

ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレンα−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。

0026

ポリエン化合物としては、例えば直鎖状または分枝状の脂肪族共役ポリエン化合物、脂環式共役ポリエン化合物、脂肪族非共役ポリエン化合物、脂環式非共役ポリエン化合物、芳香族非共役ポリエン化合物等が挙げられる。これらは、アルコキシ基アリール基アリールオキシ基アラルキル基アラルキルオキシ基等の置換基を有していてもよい。

0027

脂肪族共役ポリエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエンイソプレン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3−ブタジエン、2−イソプロピル−1,3−ブタジエン、2−ヘキシル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、2−メチル−1,3−デカジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−オクタジエン、2,3−ジメチル−1,3−デカジエン等が挙げられる。

0028

脂環式共役ポリエン化合物としては、例えば2−メチル−1,3−シクロペンタジエン、2−メチル−1,3−シクロヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−シクロペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−シクロヘキサジエン等が挙げられる。

0029

脂肪族非共役ポリエン化合物としては、例えば1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,5,9−デカトリエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−エチル−1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,5−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、3,4−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジエン、5−エチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、5−エチル−1,5−ヘプタジエン、3−メチル−1,6−ヘプタジエン、4−メチル−1,6−ヘプタジエン、4,4−ジメチル−1,6−ヘプタジエン、4−エチル−1,6−ヘプタジエン、4−メチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,4−オクタジエン、4−エチル−1,4−オクタジエン、5−エチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5−エチル−1,5−オクタジエン、6−エチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジエン、4−メチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,4−ノナジエン、4−エチル−1,4−ノナジエン、5−エチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,5−ノナジエン、5−エチル−1,5−ノナジエン、6−エチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,7−ノナジエン、7−エチル−1,7−ノナジエン、5−メチル−1,4−デカジエン、5−エチル−1,4−デカジエン、5−メチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,5−デカジエン、5−エチル−1,5−デカジエン、6−エチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、6−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、7−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,7−デカジエン、7−エチル−1,7−デカジエン、8−エチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−デカジエン、8−エチル−1,8−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジエン、9−メチル−1,8−ウンデカジエン、6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、13−エチル−9−メチル−1,9,12−ペンタデカトリエン、5,9,13−トリメチル−1,4,8,12−テトラデカジエン、8,14,16−トリメチル−1,7,14−ヘキサデカトリエン、4−エチリデン−12−メチル−1,11−ペンタデカジエン等が挙げられる。

0030

脂環式非共役ポリエン化合物としては、例えばビニルシクロヘキセン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエンシクロオクタジエン、2,5−ノルボルナジエン、2−メチル−2,5−ノルボルナジエン、2−エチル−2,5−ノルボルナジエン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,3−ジビニルシクロヘキサン、1,3−ジビニルシクロペンタン、1,5−ジビニルシクロオクタン、1−アリル−4−ビニルシクロヘキサン、1,4−ジアリルシクロヘキサン、1−アリル−5−ビニルシクロオクタン、1,5−ジアリルシクロオクタン、1−アリル−4−イソプロペニルシクロヘキサン、1−イソプロペニル−4−ビニルシクロヘキサン、1−イソプロペニル−3−ビニルシクロペンタン、メチルテトラヒドロインデン等が挙げられる。

0031

芳香族非共役ポリエン化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ビニルイソプロペニルベンゼン等が挙げられる。

0032

オレフィンと共重合可能なモノマーとオレフィンとの共重合体の具体例としては、以下のものが挙げられる:
(i)エチレン−酢酸ビニル共重合体、その鹸化物または部分けん化物
(ii) エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体
(iii) エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体などのエチレン−(メタ)アクリレート共重合体、
(iv) エチレン−ビニルシクロヘキサンなどのエチレン−脂環式α−オレフィン共重合体、
(v) エチレン−酢酸ビニル−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メチル(メタ)アクリレート共重合体などのエチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリレート共重合体、
(vi) エチレン−エチル(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体などのエチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体、
(vii) エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート−メチル(メタ)アクリレート共重合体などのエチレン−(メタ)アクリレート−(メタ)アクリレート共重合体、
(viii) これらの金属塩の共重合体、および
(ix) 2種以上のこれら共重合体のブレンド

0033

上記オレフィン単位を有する単独重合体および共重合体は、従来から既知重合方法、例えばラジカル重合カチオン重合アニオン重合配位重合等により製造することが可能であり、それぞれリビング重合的であってよい。また、上記重合方法は、溶液重合スラリー重合バルク重合固相重合気相重合等いずれの重合形態であってもよい。溶液重合やスラリー重合の場合、溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素塩化メチレン四塩化炭素クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素酢酸メチル酢酸エチル酢酸プロピル酢酸ブチル等のエステル類アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンシクロヘキサノン等のケトン類メタノールエタノールn−プロパノールイソプロパノールn−ブタノール等のアルコール類ジブチルエーテルテトラヒドロフラン等のエーテル類ジメチルホルムアミドジメチルスルホキシド等の極性溶媒類などが挙げられる。なかでも芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び脂環式炭化水素が好ましく、より好ましくはトルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタンおよびシクロヘキサンである。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン結晶構造を有するポリオレフィンが好ましい。ポリマーがポリプロピレン結晶構造を有するか否かは、X線構造解析により容易に確認が可能である。かかるポリプロピレン結晶構造を有するポリオレフィン中のプロピレンに由来する構造単位の量は、結晶性ポリオレフィンを構成する構造単位100モル%に対して、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、より好ましくは99モル%以下、さらに好ましくは98.5モル%以下、特に好ましくは98モル%以下である。

0034

ポリオレフィン(a)は、好ましくは、変性官能基を有する不飽和化合物に由来する変性官能基単位をオレフィン単位100質量部に対して0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上含有する。また、ポリオレフィン(a)は、好ましくは、変性官能基を有する不飽和化合物に由来する変性官能基単位をオレフィン単位100質量部に対して40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下含有する。変性官能基単位がこのような量であると、ポリウレタンとの相溶性の点から好ましい。
なお、ポリオレフィン(a)中の変性官能基単位は、酸無水物基が保持されたものであっても、開環したものであってもよく、保持されたものと開環したものとの双方であってもよい。

0035

GPC(Gel Permeation Chromatography)で測定し各々のポリスチレン検量線換算した、ポリオレフィン(a)の重量平均分子量Mwは、好ましくは20,000以上、より好ましくは30,000以上である。また、ポリオレフィン(a)の重量平均分子量Mwは、好ましくは200,000以下、より好ましくは150,000以下である。重量平均分子量Mwがこのような値であると、密着性とポリウレタンとの相溶性の点から好ましい。

0036

ポリオレフィン(a)の、示差走査熱量分析(DSC;Differential scanning calorimetry)により測定される融点は、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。本明細書では、融点は、例えば以下の実施例において説明する方法により測定することができる。

0037

水性分散体(A)の製造方法は、限定されないが、例えばポリオレフィン(a)と、水および水以外の溶媒との混合物を調製し、次いで混合物から水以外の溶媒を除去することにより水性分散体とする方法、ポリオレフィン(a)が溶融する温度以上で溶融させた後に水を添加して分散体とする方法等が挙げられる。また、乳化重合または懸濁重合によりポリオレフィン(a)を得ることにより、直接水性分散体を得ることができる。

0038

粒子径の細かい分散質を含有する水性分散体を作る場合には、ポリオレフィン(a)と、水および水以外の溶媒との混合物を調製し、次いで混合物から水以外の溶媒を除去することにより水性分散体とする方法が好ましい。また、混合物を調製する際は必要に応じ30〜150℃に加熱してよい。水性分散体(A)における水以外の溶媒の比率は、水および水以外の溶媒との混合物100質量%に対して、最終的には通常50質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0質量%である。

0039

上記水以外の溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールイソブタノール、t−ブタノールシクロヘキサノールエチレングリコールプロピレングリコールブタンジオール等のアルコール類、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、2−メトキシエタノール2−エトキシエタノール2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノールジアセトンアルコール等の2以上の官能基を持つ有機溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類が挙げられる。

0040

これらの中でも、水に1質量%以上溶解する溶媒が好ましく、さらに好ましくは5質量%以上溶解するものであり、例えばメチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノン、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノール、ジアセトンアルコールが好ましい。

0041

ポリオレフィン(a)を溶媒溶解状態または溶融状態にしたのち、水を添加し水性分散体を製造する装置としては、例えば撹拌装置付き反応釜、一軸または二軸混練機等を用いることができる。その際の攪拌速度は装置の選択に伴い多少異なるが、通常10〜10000rpmの範囲である。

0042

水性分散体(A)に含まれる分散質の平均粒子径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.9μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下である。また、本明細書において、「分散」とは、粒子が極めて小さく単分子で分散している状態、実質的には溶解と言えるような状態をも含む概念である。従って、平均粒子径の下限値については特に制限されないが、例えば0.01μm以上等である。本明細書では、平均粒子径の測定は、例えば粒度分布測定装置を用いて測定することができる。

0043

また、水性分散体(A)の分散質は、非塩素変性の結晶性ポリオレフィンの自己乳化物であることが好ましい。したがって、ポリオレフィン(a)は、自己乳化性を有することが好ましい。ポリオレフィン(a)は自己乳化性を有する場合、水性分散体(A)の製造を乳化剤分散剤を用いずに行うことができるため有利である。しかしながら、樹脂自身の乳化性が低い場合、乳化重合する場合、または他の目的、用途等に応じて必要により、界面活性剤を用いることができる。

0044

界面活性剤としては例えばカチオン性界面活性剤アニオン性界面活性剤ノニオン性界面活性剤両性界面活性剤反応性界面活性剤等を使用することができる。界面活性剤を使用する場合、通常、炭素原子数4以上、好ましくは炭素原子数8以上、より好ましくは炭素原子数12以上のアルキル基アルケニル基アルキルアリール基またはアルケニルアリール基を疎水基として有するものを用いる。但し、通常、炭素原子数は30以下である。

0045

カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウム臭化セチルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。

0046

両性界面活性剤としては、例えばラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。

0048

ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリエ−テル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。

0049

また、上記の界面活性剤としてラジカル重合性官能基を有するいわゆる反応性界面活性剤などを用いることができる。反応性界面活性剤を用いた場合はこの分散体を用いて形成した皮膜の耐水性を向上させることができる。代表的な市販の反応性界面活性剤としては、「エレミノール」シリーズ(三洋化成工業株式会社製)、「ラテムル」シリーズ(花王株式会社製)、「アクアロン」シリーズ(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。

0050

また、水性分散体(A)は、必要に応じてポリオレフィン(a)中のカルボキシル基の一部もしくは全部をアミン化合物中和してもよく、乳化剤を加えてもよい

0051

上記アミン化合物としては、例えばトリエチルアミントリブチルアミンジメチルエタノールアミントリエタノールアミン等の第3級アミンジエチルアミンジブチルアミンジエタノールアミンモルホリン等の第2級アミン;プロピルアミンエタノールアミン等の第1級アミン等が挙げられる。

0052

上記アミン化合物を使用する場合には、その使用量はポリオレフィン(a)中のカルボキシル基に対して0.1〜5.0モル当量の範囲内であることが望ましい。好ましい範囲は0.1〜3.0モル当量の範囲内であり、より好ましい範囲は0.1〜1.0モル当量の範囲内である。

0053

水性分散体(A)は、不揮発分を、水性分散体(A)全体に対して好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、通常は60質量%以下、含有する。本発明では、不揮発分とは、JIS K 6828−1に従って、水性分散体から溶媒を除去することにより得られる残留物の質量を測定したものである。

0054

本発明に用いるポリウレタン(b)および(c)は、ポリウレタン、ポリウレアおよびポリウレタン−ポリウレアからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含有する。

0055

ポリウレタン、ポリウレアおよびポリウレタン−ポリウレアは通常、以下の成分:
(o)少なくとも1種のジオールおよび/またはポリオール成分、
(p)少なくとも1種のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート成分
(q)少なくとも1つの親水化基を有する少なくとも1種の成分、
(r)任意に、モノ−、ジ−および/またはトリ−官能性のアミノ化合物および/またはヒドロキシアミノ化合物、および
(s)任意に他のイソシアネート反応性を有する化合物
を反応させて得られ、各成分に由来する構造単位を含有する。

0056

適当なジオールおよび/またはポリオール成分(o)は、少なくとも2個のイソシアネート反応性水素原子を有し、好ましくは62〜18,000g/mol、より好ましくは62〜4,000g/molの平均分子量を有する。成分(o)として、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびポリラクトンポリオールが挙げられる。好ましい成分(o)は、好ましくは2〜4個、特に好ましくは2〜3個、最も好ましくは2個のヒドロキシル基を有する。そのようなタイプの様々な化合物の混合物も適している。

0057

ポリエステルポリオールは、ポリエステル製造条件を調整して製造することができ、少なくとも主鎖の両末端にヒドロキシル基を有するポリエステルである。ポリエステルポリオールとしては、直鎖ポリエステルジオールや僅かに分岐したポリエステルポリオールが挙げられる。これらは、脂肪族、脂環式または芳香族のジカルボン酸類と、ジオールとを使用して、そして任意に多価カルボン酸類および/または高官能性ポリオールを使用して、既知の方法で調製することができる。前記ジカルボン酸類としては、例えば、コハク酸メチルコハク酸グルタル酸アジピン酸ピメリン酸スベリン酸アゼライン酸セバシン酸ノナンジカルボン酸デカンジカルボン酸テレフタル酸イソフタル酸、o−フタル酸テトラヒドロフタル酸ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、およびマロン酸、ならびにo−フタル酸無水物無水コハク酸等の酸無水物が挙げられる。前記多価カルボン酸類としては、例えば、トリメリット酸無水トリメリット酸が挙げられる。前記ジカルボン酸類や多価カルボン酸類として、メタノール等の低級アルコールとジカルボン酸や多価カルボン酸とのエステルを使用することもできる。これらジカルボン酸類や多価カルボン酸類は、単独で使用しても、複数を混合して使用してもよい。前記ジオールとしては、例えば、エタンジオールジエチレングリコールトリエチレングリコールテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオールジプロピレングリコールトリプロピレングリコールテトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、および1,12−ドデカンジオールが挙げられる。前記高官能性ポリオールとしては、三官能性以上のポリオール、例えばトリメチロールプロパングリセロールおよびペンタエリスリトールが挙げられる。前記ジオールや前記高官能性ポリオールとして、脂環式または芳香族のジヒドロキシル化合物およびポリヒドロキシル化合物も適している。これらジオールや高官能性ポリオールは、単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。

0058

ポリラクトンポリオールは、ラクトンのホモポリマーまたはコポリマーであって、少なくとも主鎖の両末端にヒドロキシル基を有するように調製されたポリラクトンである。

0059

ポリカーボネートポリオールは、ポリカーボネートの製造条件を調整して製造された、少なくとも主鎖の両末端にヒドロキシル基を有するポリカーボネートである。

0060

ポリエーテルポリオールとしては、環状エーテル重付加物多価アルコール縮合物が挙げられる。前記環状エーテルとしては、例えば、スチレンオキシドエチレンオキシドプロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシドエピクロロヒドリンが挙げられ、これらは単独または複数を混合して用いてもよい。前記多価アルコールとしては、上述のジオールおよび高官能性ポリオールが挙げられ、これらは単独または複数を混合して用いてもよい。例えば、テトラヒドロフランの重付加物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)として知られている。ポリエーテルポリオールとして好ましくは、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシドのホモポリマー、混合ポリマーおよびグラフトポリマーである。

0061

適当な成分(o)として、低分子量化合物のジオール、トリオールおよび/またはテトラオールが挙げられる。それらの例としては、例えば、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,2−ジヒドロキシベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンビスフェノールA)、TCD−ジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが挙げられ、それらは単独で使用しても複数を混合して使用してもよい。

0062

成分(o)として、上記低分子量化合物のジオール、トリオールおよび/またはテトラオールとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの反応生成物を使用することもできる。

0063

成分(o)は、好ましくは20〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%、さらに好ましくは65〜90質量%の量で、ポリウレタン(b)または(c)中に存在する。

0064

成分(p)は、一分子あたり少なくとも2つの遊離イソシアネート基を有する有機化合物であり、ジイソシアネートY(NCO)2[式中、YはC4〜12二価脂肪族炭化水素基、C6〜15二価脂環式炭化水素基、C6〜15二価芳香族炭化水素基またはC7〜15二価アラリフティック炭化水素基を示す]を使用することが好ましい。好ましく使用されるそのようなジイソシアネートの例は、テトラメチレンジイソシアネート、メチルペンタメチレンジイソシアネートヘキサメチレンジイソシアネートドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(=IPDIイソホロンジイソシアネート)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルプロパン−(2,2)、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、p−イソプロピリデンジイソシアネート、およびこれらの化合物の任意の組合せからなる混合物である。

0065

これらの単純ジイソシアネートに加えて、イソシアネート基ヘテロ原子含有基と結合しているイソシアネートおよび/または一分子あたり3つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートも適している。そのようなポリイソシアネートは例えば、脂肪族、脂環式、アラリファティックおよび/または芳香族の単純ジイソアイネートの変性によって調製され、少なくとも2種のジイソシアネートからなり、ウレトジオンイソシアヌレート、ウレタン、アロファネートビウレットカルボジイミドイミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有するポリイソシアネートである。一分子あたり3つ以上のイソシアネート基を有する未変性ポリイソシアネートの例として、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)を挙げることができる。

0066

好ましい成分(p)は、ヘキサメチレンジイソシアネート(=HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(=IPDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、およびこれらの化合物の任意の組合せからなる混合物である。

0067

成分(p)は、通常5〜60質量%、好ましくは6〜50質量%、より好ましくは7〜40質量%の量で、ポリウレタン(b)または(c)中に存在する。

0068

適当な成分(q)は、例えば、スルホネート基および/またはカルボキシレート基を有する成分であり、例えば、スルホネート基および/またはカルボキシレート基を有するジアミノ化合物およびジヒドロキシ化合物が挙げられる。成分(q)として、例えば、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(3−アミノプロピル)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロパンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロパンスルホン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸ジアミン(例えば1,2−エタンジアミンまたはイソホロンジアミン)とその2倍mol量のアクリル酸またはマレイン酸とのマイケル付加に従った反応生成物の、ナトリウム塩、リチウム塩カリウム塩第三級アミン塩である。

0069

塩形成のために特に適しており好ましい第三級アミンは、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンエチルジイソプロピルアミンである。塩形成のために他のアミンを使用することもでき、その例は、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミンアミノメチルプロパノール、並びに前記したおよびそれ以外のアミンの混合物である。プレポリマーの生成後まで、これらのアミンを添加しないことが好ましい。

0070

他の中和剤を使用することもでき、その例は、中和目的のための、水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化リチウムまたは水酸化カルシウムである。

0071

別の適当な成分(q)として、アルコールまたはアミンに、エチレンオキシドまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドを付加させた非イオン性の親水化機能を有するポリエーテルを使用することもできる。

0072

好ましい成分(q)は、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンスルホネート、ジメチロールプロピオン酸塩およびジメチロール酪酸塩である。

0073

成分(q)は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは0.8〜5質量%、特に好ましくは0.9〜3.0質量%の量で、ポリウレタン(b)または(c)中に存在する。

0074

適当な成分(r)は、単官能性二官能性、もしくは三官能性のアミンおよび/または単官能性、二官能性、もしくは三官能性のヒドロキシアミンである。成分(r)として、例えば、脂肪族および/または脂環式の第一級および/または第二級モノアミン(具体例として、エチルアミン、ジエチルアミン、異性体のプロピルアミンおよびブチルアミン)、高級直鎖脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミン(具体例として、シクロヘキシルアミン)が挙げられる。別の例は、アミノアルコール、即ち1つの分子の中にアミノ基とヒドロキシル基とを有する化合物、例えば、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、1、3−ジアミノ2−プロパノール、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよび2−プロパノールアミンである。別の例は、ジアミンおよびトリアミン、例えば、1,2−エタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン)、ピペラジン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンおよびジエチレントリアミンである。アジピン酸ジヒドラジドヒドラジンおよびヒドラジン水和物も成分(r)として適している。成分(r)としては、これらを単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。

0075

好ましい成分(r)は、1,2−エタンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、ジエチレントリアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンである。

0076

成分(r)は、好ましくは、連鎖延長剤となって分子量をより高くするか、或いは単官能性化合物として働いて分子量を制限し、および/または場合により付加的に更なる反応性基(例えば遊離ヒドロキシル基)を更なる架橋部位として組み込む。

0077

成分(r)は、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%、さらに好ましくは0.2〜3質量%の量で、ポリウレタン(b)または(c)中に存在する。

0078

場合により付随的に使用される成分(s)としては、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族のC2〜22モノアルコールが挙げられる。C2〜22モノアルコールとしては、例えば、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、イソブタノール、ベンジルアルコールステアリルアルコール、2−エチルエタノールが挙げられる。成分(s)としては、イソシアネート基に対して通常使用され、高温で再び除去することができるブロッキング剤も使用することができ、例えば、ブタノンオキシムジメチルピラゾールカプロラクタムマロン酸エステルトリアゾール、ジメチルトリアゾール、tert−ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステルであってよい。

0079

成分(s)は、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%の量で、ポリウレタン(b)または(c)中に存在してよい。

0080

本発明の好ましい態様では、ポリウレタン(b)は、少なくとも1種の結晶性のポリウレタンまたはポリウレタン−ポリウレアを含有する。

0081

本明細書では結晶性ポリウレタンとは、DSC測定において、ポリマーが、3J/g以上、好ましくは5J/g以上、特に好ましくは10J/g以上、さらに好ましくは30J/g以上の結晶融解熱量の融解ピークを有することを意味する。融解ピークは、ポリマー中の規則的な部分の構造が融解することに起因する。

0082

結晶性ポリウレタン(b)は、成分(o)として好ましくは、直鎖ジカルボン酸類と、脂肪族または脂環式、直鎖または分岐ポリオールとに基づくポリエステルポリオールを用いて得られる。成分(o)のための直鎖ジカルボン酸類として特に好ましいものは、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸およびドデカン二酸からなる群から選択されるジカルボン酸である。アジピン酸が最も好ましい。直鎖ジカルボン酸類は、成分(o)のために用いる全カルボン酸の総量に基づいて、好ましくは少なくとも80mol%、より好ましくは85〜100mol%、特に好ましくは90〜100mol%の量で使用する。

0083

直鎖ジカルボン酸類以外の別の脂肪族、脂環式または芳香族ジカルボン酸(以下、別のジカルボン酸ともいう)を、場合により付随的に使用してよい。そのような別のジカルボン酸の例は、グルタル酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸である。別のジカルボン酸は、成分(o)のために用いる全カルボン酸の総量に基づいて、20mol%以下、好ましくは0〜15mol%、特に好ましくは0〜10mol%の量で使用する。

0084

脂肪族または脂環式、直鎖または分岐ポリオールとして好ましいのは、ジオールである。ポリウレタン(b)における成分(o)にとって好ましいジオールは、モノエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールからなる群から選択される。当該ジオールとして、1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールが特に好ましく、1,4−ブタンジオールが最も好ましい。ジオールは、全ポリオールの総量に基づいて、好ましくは少なくとも80mol%、特に好ましくは90〜100mol%の量で使用する。

0085

ジオール以外の別の脂肪族または脂環式、直鎖または分岐ポリオール(以下、別のポリオールともいう)を、場合により付随的に使用してもよい。そのような別のポリオールの例は、ジエチレングリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロールまたはペンタエリスリトールである。別のポリオールは、全ポリオールの総量に基づいて、好ましくは20mol%以下、特に好ましくは0〜10mol%の量で使用する。

0086

成分(o)として、2種以上のそのようなポリエステルポリオールの混合物も適している。

0087

ポリウレタン(b)は結晶性成分として、アジピン酸と1,4−ブタンジオール、またはアジピン酸と1,6−ヘキサンジオールに基づくポリエステル構造を有することが好ましい。

0088

本明細書では、非結晶性ポリウレタンとは、DSC測定において、結晶融解熱量が3J/gより小さいことを意味する。このためには既述のポリウレタン(b)に含有される結晶性の高い規則的な構造を導入しないか、導入量を制限することで達成される。ポリウレタン(c)の成分は特に限定されないが、結晶融解熱量が3J/gより小さいことを条件に、上記に既述した各種組成成分が使用できる。
ポリウレタン(b)およびポリウレタン(c)は、ポリウレタンの構成成分として、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートおよび芳香族ジイソシアネートからなる群から選ばれる1以上の構造単位と、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールからなる群から選ばれる1以上の構造単位とを含むポリウレタンであることが好ましい。
ポリウレタン(b)は、カルボキシル基および/またはスルホニル基を有することが好ましい。

0089

水性分散体(B)および(C)は、それぞれ独立に、水性分散体全体に対して、不揮発分を、好ましくは15〜70質量%、より好ましくは25〜60質量%含有する。水性分散体(B)および(C)のpH値は、それぞれ独立に、好ましくは4〜11の範囲、より好ましくは6〜10の範囲である。

0090

ポリウレタン(b)および(c)のそれぞれは、成分(o)、(p)、任意に(q)および任意に(s)を一段階または二段階反応で反応させてイソシアネート官能性プレポリマーを生成し、次いで場合により、得られたイソシアネート官能性プレポリマーと成分(q)および任意に(r)と一段階または二段階反応で反応させ、続いて、水中に分散させるかまたは水を加えて分散させることによって調製できる。付随的に使用した溶媒の一部または全てを、分散中または分散後に留去することができる。

0091

ポリウレタン(b)および(c)それぞれの製造方法は、均一相において一段階以上で、または多段階反応の場合は一部分散相で実施することができる。重付加を完全にまたは部分的に実施した後、分散、乳化または溶解工程を実施する。続いて、場合により、分散相において更なる重付加または変性を実施してもよい。従来技術から知られている方法の全て、例えば、乳化機剪断力法、アセトン法、プレポリマー混合法溶融乳化法、ケチミン法、および固体自然分散法、またはそれらの変法を製造に使用できる。

0092

基本的に、全ヒドロキシル官能性成分計量添加し、次いで全イソシアネート官能性成分を添加し、この混合物を反応させてイソシアネート官能性ポリウレタンを生成し、続いて、それをアミノ官能性成分と反応させることができる。逆の製造手順、即ち、反応容器にイソシアネート成分を導入し、ヒドロキシル官能性成分を添加し、これを反応させてポリウレタンを生成し、続いてアミノ官能性成分と反応させて最終生成物を得ることも可能である。

0093

通常は、ポリウレタンプレポリマーを調製するために、ヒドロキシル官能性成分(o)、任意に(q)および任意に(s)の全てまたは一部を反応器に導入し、イソシアネート基に対して不活性であるが水混和性の溶媒で場合により希釈し、次いで均質化する。続いて、成分(p)を室温〜120℃で計量添加し、イソシアネート官能性ポリウレタンを生成する。この反応は、一段階または多段階で実施できる。一段階反応は例えば、反応器に成分(q)および/または(s)を導入し、イソシアネート官能性成分(p)との反応後に成分(o)を添加し、まだ存在しているイソシアネート基の一部と最後まで反応させることによって実施できる。

0094

適当な溶媒は、例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン、ブタノン、テトラヒドロフラン、ジオキサンアセトニトリルジプロピレングリコールジメチルエーテル、および1−メチル−2−ピロリドンであり、これらは、製造の開始時だけでなく、場合により製造の開始後に少しずつ添加することもできる。アセトンおよびブタノンが好ましい。標準圧または高圧の下で反応を実施できる。

0095

プレポリマーを調製するために、ヒドロキシル官能性および場合によりアミノ官能性の成分は、イソシアネート指数が好ましくは1.05〜2.5、特に好ましくは1.15〜1.95、最も好ましくは1.2〜1.7になるような量で使用する。

0096

イソシアネート官能性プレポリマーと、他のヒドロキシル官能性および/またはアミノ官能性、好ましくはもっぱらアミノ官能性の、成分(r)および場合により(q)との更なる反応、いわゆる連鎖延長は、イソシアネート基100モル%に対して、好ましくは25〜150モル%、特に好ましくは40〜85モル%のヒドロキシル基および/またはアミノ基の反応割合となるように実施する。

0097

イソシアネート付加反応を促進するために、NCO−OH反応を促進するものとして当業者に知られている常套の触媒を使用してよい。その例は、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]−オクタン、酸化ジブチルスズ、ジオタン酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、スズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジオクタン酸亜鉛亜鉛ビス(2−エチルヘキサノエート)、または他の有機金属化合物である。

0098

イソシアネート官能性プレポリマーと成分(r)および任意に(q)との連鎖延長は、分散前、分散中または分散後に実施してよい。連鎖延長は好ましくは、分散前に実施する。成分(c)を連鎖延長成分として使用するならば、分散工程前に、この成分と連鎖延長させることが必須である。

0099

連鎖延長は通常10〜100℃、好ましくは25〜60℃の温度で実施する。

0100

連鎖延長成分を反応混合物に添加する際、連鎖延長成分を有機溶媒および/または水で希釈することもできる。連鎖延長成分は、所望の順序で、または混合物を添加することによって同時に添加できる。

0101

ポリウレタンを分散質とする水性分散体を製造するために、場合により強い剪断(例えば激しい撹拌)を伴って、プレポリマーを分散用水に導入するか、または逆に分散用水をプレポリマーに撹拌しながら混入する。次いで、連鎖延長を均一相においてまだ実施していないならば、実施できる。

0102

場合により使用してよい有機溶媒(例えばアセトン)は、分散中および/または分散後に留去してよい。

0103

好ましい製造方法を以下に示す:
成分(o)、任意に成分(q)、任意に成分(s)および任意に溶媒を反応器に導入し、20〜100℃に加熱する。成分(p)を撹拌しながら可能な限り迅速に計量添加する。反応熱を利用して、イソシアネート含量理論値に達するかまたは僅かに下回る程度になるまで、反応混合物を40〜150℃で撹拌する。場合により触媒を添加してもよい。次いで、溶媒の添加によって、通常25〜95質量%、好ましくは35〜80質量%の固形分が得られるまで混合物を希釈し、続いて、場合により成分(q)を伴って、水および/または溶媒で希釈した成分(r)を添加することによって、連鎖延長を30〜120℃で実施する。2〜60分の反応時間の後、蒸留水の添加によって、または容器内の蒸留水に混入することによって、分散を実施する。分散工程中または分散工程後に、使用した溶媒の一部または全てを留去する。

0104

分散体は、単独で、または被覆および接着剤の技術で知られているバインダー助剤および添加剤(特に、乳化剤、光安定剤、例えば紫外線吸収剤および立体障害アミンHALS)、酸化防止剤充填材、助剤、例えば、沈降防止剤消泡剤および/または湿潤剤、流れ向上剤反応性希釈剤可塑剤、中和剤、触媒、補助溶媒および/または増粘剤、並びに添加剤、例えば、顔料、着色料または艶消剤)と一緒に使用することができる。粘着付与剤を添加することもできる。添加剤は、加工直前に本発明の生成物に添加できる。しかしながら、バインダーの分散前または分散中に添加剤の少なくとも一部を添加することもできる。

0105

ポリウレタン(b)および(c)としては、それぞれ独立に、酸価が0mgKOH/g以上のものが好適に用いられる。ポリウレタン(b)の酸価としては、3mgKOH/g以上が好ましく、より好ましい範囲としては10mgKOH/g以上である。酸価の上限値としては特に限定されないが、例えば500mgKOH/gである。酸価の測定方法としては、一般的にはKOH水溶液滴定法を用いて定量することができる。

0106

DSCにより測定されたポリウレタン(b)および(c)のガラス転移点は、それぞれ独立に、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−30℃以下、さらに好ましくは−40℃以下である。当該ガラス転移点の下限値は特に限定されないが、例えば−80℃である。

0107

ポリウレタン(b)および(c)の数平均分子量Mwは、それぞれ独立に、好ましくは10,000以上、より好ましくは100,000以上、さらに好ましくは500,000以上である。当該数平均分子量Mwの上限値は特に限定されないが、例えば10,000,000である。

0108

ポリウレタン(b)のDSCにより測定された融点は、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
ポリウレタン(c)はDSCにより測定される明確な融点を持たない。

0109

ポリウレタン(b)のDSCにより測定された結晶融解熱量は、3J/g以上であり、より好ましくは5J/g以上であり、さらに好ましくは10J/g以上であり、特に好ましくは30J/g以上である。

0110

ポリウレタン(c)のDSCにより測定された結晶融解熱量は、3J/g未満である。

0111

水性分散体(B)および(C)の分散質の平均粒子径は、それぞれ独立に、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.9μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下である。また、水性分散体(B)および(C)の分散質の平均粒子径の下限値については特に制限されないが、例えば、それぞれ独立に、0.001μm、0.01μm等である。

0112

本発明の水性分散体混合物は、水性分散体(A)、(B)および(C)を、水性分散体(A)の不揮発分100質量部に対して、水性分散体(B)の不揮発分が30質量部〜100質量部、および水性分散体(C)の不揮発分が20質量部〜80質量部となるように含有する。

0113

好ましくは、本発明の水性分散体混合物は、水性分散体(A)、(B)および(C)を、水性分散体(A)の不揮発分100質量部に対して、水性分散体(B)の不揮発分が30〜95質量部、および水性分散体(C)の不揮発分が20〜75質量部となるように含有する。不揮発分は、水性分散体から溶媒を除去した後の残存物重量測定から求めることができる。
本発明の水性分散体混合物は、水を分散媒として含む。本発明の水性分散体混合物は、不揮発分を、水性分散体混合物全体に対して好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、通常は70質量%以下、含有する。

0114

本発明の水性分散体混合物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、顔料(D)、粘度調整剤(E)、溶媒(F)、補助樹脂(G)、他の添加剤(H)と組み合わせることにより水性塗料組成物とすることができる。

0115

好ましくは、本発明の水性塗料組成物は、水性分散体(A)の不揮発分100質量部に対して、前記(D)を1〜200質量部、前記(E)を0〜50質量部、前記(F)を0〜1000質量部、前記(G)を0〜50質量部、前記(H)を0〜100質量部含有する。

0116

より好ましくは、本発明の水性塗料組成物は、水性分散体(A)の不揮発分100質量部に対して、前記(D)を1〜100質量部、前記(E)を0〜30質量部、前記(F)を10〜1000質量部、前記(G)を0〜30質量部、前記(H)を0〜80質量部含有する。

0117

顔料(D)としては、例えば一般的な顔料を用いることができる。使用し得る顔料は特に限定されないが、例えば酸化チタンカーボンブラック酸化鉄酸化クロム紺青ベンガラ黄鉛黄色酸化鉄等の無機顔料アゾ系顔料アントラセン系顔料ペリノン系顔料ペリレン系顔料キナクリドン系顔料イソインドリノン系顔料インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機顔料等の着色顔料タルク炭酸カルシウムクレイカオリンシリカ沈降性硫酸バリウム等の体質顔料導電カーボンアンチモンドープ酸化スズをコートしたウイスカー等の導電顔料アルミニウム、銅、亜鉛ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属または合金等の無着色あるいは着色された金属製光輝材等を挙げることができ、1種または2種以上を併用してもよい。

0118

顔料を用いる場合には、顔料分散剤を用いてもよい。例えばBASFジャパン社製ジョンクリル等の水性アクリル系樹脂ビックケミー社製のBYK−190等の酸性ブロック共重合体;スチレン−マレイン酸共重合体;エアプロダクツ社(エアープロダクト社)製のサーフィノールT324等のアセチレンジオール誘導体イーストマンケミカル社製CMCAB−641−0.5等の水溶性カルボキシメチルアセテートブチレート等を挙げることができる。これらの顔料分散剤を用いることで、顔料の分散が安定した顔料ペーストを調製することができる。

0119

粘度調整剤(E)としては、水性分散体の粘度を適正に調整するために添加される剤であり、本発明の性能を著しく低下させない範囲で使用することが可能である。粘度調整剤(E)の例としては、特に制限されないが、例えばBYK−420、BYK−425(ビックケミー社製)等が挙げられる。

0120

溶媒(F)としては例えば水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のアルコール類、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノール、ジアセトンアルコール等の2以上の官能基を持つ有機溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類等が挙げられる。これらの中でも、水がより好ましい。

0121

補助樹脂(G)は、例えばMill base用の樹脂成分として使用される。また例えば塗装外観の向上(光沢の付与またはツヤ消し)やタック性の低減などを目的として、必要に応じて水溶性樹脂または水に分散し得る樹脂を、水性分散体混合物と共に使用することができる。界面活性剤を用いて分散し得る樹脂を用いてもよい。水に分散し得る樹脂としては例えば、一般的なアクリル樹脂、ポリエポキシ樹脂ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂アルキッド樹脂等が挙げられる。これら樹脂を含む樹脂分散体の形態は特に限定されない。また必要に応じて硬化剤成分を含有してもよい。例えば、カルボジイミド、エポキシトリアリルイソシアヌレート多官能アクリレート、オキザドリン、メラミン、イソシアネート、ブロックイソシアネートを含む硬化剤成分である。これらの硬化剤成分は、高分子量タイプであってもよいし、低分子量タイプであってもよく、その分子量は問わない。

0122

本発明においては、上記以外にも性能を著しく低下させない範囲で、他の添加剤成分(H)を含有させることができる。例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤耐熱防止剤等の各種安定剤;酸化チタン、カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤レベリング剤、消泡剤、増粘剤、防腐剤、防かび剤、防錆剤濡れ剤等の各種添加剤を配合使用してもよい。

0123

上記成分(D)、(E)、(F)、(G)および(H)はそれぞれ、得られた水性分散体混合物に添加してもよいし、水性分散体のいずれかに予め添加していてもよい。

0124

今日の環境問題の観点から塗料においては、揮発性有機化合物(VOC)削減が求められている。本発明の水性分散体混合物を使用することにより、低VOCの塗料や、低VOCのプライマーを調整することが可能である。本発明の塗料組成物や、プライマー組成物中のVOC量は特に制限されるものではないが、好ましくは250g/L以下、より好ましくは150g/L以下、さらに好ましくは100g/L以下である。
本明細書において、VOC量(g/L)は、下記の式(EN ISO 11890−1(2000),8.3 Method 2.に基づく)により算出される値をいう。
VOC=(100−NV−mw)×D×10
(式中、NVは、塗料中不揮発分量(質量%)を、mwは、塗料中の水分量(質量%)を、Dは、塗料の密度(g/ml)を意味する。)

0125

本発明の水性分散体混合物は、各種基材および各種塗料、特にポリオレフィンからなる基材について優れた密着性を有し、耐水性および耐湿性を発揮することができる。したがって、種々の用途に有用である。例えばそのままの状態で水性接着剤やプライマー組成物として用いることができるし、他の成分と共に水性塗料組成物や水性接着剤、プライマー組成物中において用いることができる。

0126

水性分散体混合物の塗膜は、水性分散体混合物を基材に塗布する工程を含む塗膜の製造方法により得ることができる。
例えば水性塗料組成物の場合、水性塗料組成物を基材に塗布し、40℃〜160℃、好ましくは60℃〜130℃、より好ましくは80℃〜110℃の温度にて1分〜1時間、好ましくは3〜30分間加熱することにより基材上に塗膜を形成することができる。

0127

例えばプライマー組成物の場合、必要に応じて室温乃至100℃の温度にて乾燥および/または硬化することによりプライマー組成物の塗膜を形成した後、その塗膜上に別の塗料等を塗布し、40℃〜160℃、好ましくは60℃〜130℃、より好ましくは80℃〜110℃の温度にて1分〜1時間、好ましくは3分〜30分間加熱することによりその塗料の塗膜を形成することができる。

0128

例えば水性接着剤の場合、水性接着剤を基材の一方または双方の表面に塗布し、必要に応じて室温乃至100℃の温度にて乾燥および硬化させた後、2枚の基材を貼り合わせ、適切な温度にて処理することにより基材を接着することができる。

0129

上記基材の例としては、ポリオレフィンなどのオレフィン系樹脂ポリアミド樹脂不飽和ポリエステル樹脂ポリブチレンテレフタレート樹脂ポリカーボネート樹脂塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂エポキシ樹脂、紙、合成紙、木材、織布、編布、不織布、金属成分(鉄、アルミ、銅、ニッケル、銀、金、白金、各種合金等含む)、木材(パルプ紙材等含む)、石材等でできた広く一般的に普及している基材が挙げられる。上記オレフィン系樹脂としては、高圧法ポリエチレン中低圧法ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ−1−ブテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体等が挙げられ、ポリプロピレン結晶構造を有するオレフィン系樹脂が好ましい。

0130

また、基材の形状は、フィルムシート板状体等、特に制限されない。また、射出成形圧縮成形中空成形押出成形回転成形等の公知の成形法により得られる成形体であってもよい。また、基材は上記樹脂と無機フィラー成分や顔料等とを含有する樹脂組成物からなるものであってもよい。無機フィラー成分および顔料の例としては、タルク、マイカモンモリロナイト等の板状フィラー短繊維ガラス繊維長繊維ガラス繊維、炭素繊維アラミド繊維アルミナ繊維ボロン繊維ゾノライト等の繊維状フィラーチタン酸カリウムマグネシウムオキシサルフェート窒化珪素ホウ酸アルミニウム塩基性硫酸マグネシウム酸化亜鉛ワラストナイト、炭酸カルシウム、炭化珪素等の針状(ウイスカー)フィラー沈降性炭酸カルシウム重質炭酸カルシウム炭酸マグネシウム等の粒状フィラーガラスバルーンのようなバルン状フィラー等;亜鉛華チタン白硫酸マグネシウム等の無機充填剤や顔料が挙げられる。

0131

さらに、基材を接着する場合、基材と同一の材質からなるものであっても異種の材質からなるものであっても優れた密着性を発揮する。特に、ポリウレタン樹脂フィルムポリオレフィン樹脂フィルムとの積層、ポリウレタン樹脂フィルムとポリエステル樹脂フィルムとの積層、ポリウレタン樹脂フィルムと金属との積層などに好適である。

0132

上記塗料の例としては、着色ベース塗料クリア塗料等が挙げられる。これらは、水性であっても有機溶剤系であってもよく、オレフィン系重合体等の各種樹脂や各種顔料を含むものであってもよい。

0133

基材に水性分散体混合物を塗布する方法としては、特に限定されることなく公知の方法を用いることが可能であり、例えばエアスプレー法エアレススプレー法、グラビアロールコーティングリバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティングカーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング刷毛塗り法等が挙げられる。

0134

乾燥、硬化および加熱は、例えば従来から用いられる方法および装置により、例えばニクロム線赤外線高周波等により行うことができる。

0135

形成される塗膜の厚みは、基材の材質、形状、使用する塗料の組成等によって適宜選択されるが、通常0.1μm〜500μm、好ましくは1μm〜300μm、より好ましくは3μm〜200μmである。上記塗膜の厚みは、乾燥後の塗膜、すなわち塗布乾燥物の厚みである。

0136

本発明の水性分散体混合物を用いた塗膜、積層体および塗装物品は、優れた耐水性および耐湿性を有することから、自動車家電建材など各種工業部品に用いることができ、特に、薄肉化、高機能化、大型化された部品・材料として実用に十分な性能を有している。例えばバンパーインストルメントパネルトリムガーニッシュなどの自動車部品、テレビケース洗濯機槽冷蔵庫部品、エアコン部品、掃除機部品などの家電機器部品、便座便座蓋水タンクなどのトイレタリー部品、浴槽浴室の壁、天井排水パンなどの浴室周りの部品などの各種工業部品用成形材料として用いることができる。特に自動車バンパーに適している。塗装物品は、水性分散体混合物の塗布乾燥物を有する。塗布乾燥物は、水性分散体混合物を被塗装物品に塗布した後、乾燥させることにより得られる乾燥後の塗膜のことである。塗布乾燥物は、上述した乾燥後塗膜の厚みを有することができる。

0137

次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。

0138

(1)変性官能基単位の含有量
ポリオレフィン(a)における無水マレイン酸単位の含有量は、サンプルを熱プレスすることにより厚さ100μmのフィルムに成形し、得られたフィルムの赤外吸収スペクトルを測定し、1780cm−1付近の吸収より算出した。
無水マレイン酸以外の変性種であって赤外吸収スペクトルで測定できないものは、1H−NMRでその含有量を求めた。

0139

(2)融点および結晶融解熱量
示差走査熱量計セイコーインスツルメンツ(SII)社製EXSTAR6000)により、ポリオレフィンの融点および結晶融解熱量を、以下の条件で測定した。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持した。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温し、降温完了後、5分間、保持した。
(iii)次いで、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。このときに結晶の融解ピークが観察される温度を融点とした。また、ピーク面積、すなわち結晶融解熱量が1J/gまたは3J/g以上である融解ピークの有無を確認した。

0140

(3)重量平均分子量Mw
ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法によって、下記の条件で測定を行った。
装置:東ソー社製 HLC−8121GPC/HT
カラム:東ソー社製 TSKgelGMHHR−H(S)HT 4本
温度:145℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン
溶出溶媒流速:1.0ml/分
試料濃度:1mg/ml
測定注入量:300μl
分子量標準物質標準ポリスチレン
検出器示差屈折

0141

ポリオレフィンの重量平均分子量(Mw)、及び数平均分子量(Mn)の算出に際しては、標準試料として市販の単分散ポリスチレン標準試料を測定し、標準試料の保持時間と分子量から検量線を作成し算出を行った。

0142

(4)粒子径
動的光散乱を用いて粒子からの散乱光観測する、大塚電子社製、濃厚粒径アナライザーFPAR−1000を用い、分散質の平均粒子径を測定した。

0143

(5)水性分散体混合物の経時安定性評価(実施例1〜7)
水性分散体混合物を内蓋付300ccガラス瓶に取り、40℃雰囲気下で10日間静置させた。
粘度変化
フォードカップ#4による粘度測定において、初期値と10日後の差異が30%以上の場合を×、30%未満を○と判定した。
[pH変化]
pHメータ(佐計量器製作所社製、ハンディ型pH計SK−620PH)による測定値において、初期値と10日後の差異が5%以上の場合を×、5%未満を○と判定した。
凝集物
目視により、10日後のサンプルに凝集物がみられるものを×、みられないものを○と判定した。

0144

(6)剥離強度(実施例8〜11、比較例9〜13)
試験塗装物を10mm幅切り出し、引張試験機(株式会社島津製作所製オートグラフ)を用い、引張速度50mm/分、引張角度180度で、塗膜の剥離強度を測定した。
耐水試験後の剥離強度を以下の方法で測定した。実施例8〜11および比較例9〜13で作成した試験片を40℃のイオン交換水の中に10日間浸漬させた後、イオン交換水から取り出し、水分をふき取った後、30分以内に上記の条件で剥離強度を測定した。

0145

(7)外観評価(実施例8〜11、比較例9〜13)
耐水試験後の外観評価を、以下の方法で実施した。実施例8〜11および比較例9〜13で作成した試験片を40℃のイオン交換水の中に10日間浸漬させた後、イオン交換水から取り出し、水分をふき取った後、試験片の表面を目視で観察した。ブリスターが発生していなければ○、ブリスターが発生していれば×と判定した。

0146

(8)耐水性試験(実施例12〜25、比較例14〜25)
試験板に所定の塗装を行い端面処理したサンプルを40℃の温水中に10日間浸漬させた。その後以下の評価を行った。
[光沢]
サンプルの水分を拭き取り、60℃×3時間の条件下で試験板を乾燥させた。その後グロスメータ(BYK GardnerGmbH社製、Micro TRI)により20°および60°の光沢を測定し、初期値に対する割合(光沢保持率)を求めた。20°光沢の場合、光沢保持率が80%以上を○、80%未満を×と判定した。60°光沢の場合、光沢保持率が90%以上を○、90%未満を×と判定した。
[密着性]
40℃の温水中に10日間浸漬させる前と後(耐水性試験前と後)のサンプルをクロスカット試験法(2mm幅、ニチバンテープ使用、テープ剥離3回)により評価した(初期密着性)。密着度が100/100のものを○、それ未満のものを×と判定した。40℃の温水中に10日間浸漬させた後のサンプルは、水分を拭き取り、60℃×3時間の条件下で試験板を乾燥させた後に、上記クロスカット試験法により評価した。
[ブリスター]
サンプルの水分を拭き取った後すぐに、目視によりサンプル表面状態を観察した。ブリスターが全面にみられるものを×、そうでないものを○と判定した。

0147

[水性分散体(A−1)の調製]
非塩素変性の結晶性ポリオレフィン(a−1)〔エチレン・プロピレン共重合体(エチレン:プロピレン=15mol%:85mol%、Mw=55,000、融点=70℃〕100質量部に対し、無水マレイン酸10質量部、ドデシルメタクリレート20質量部で変性したものであって、融点が71℃、Mwが約63000、結晶性ポリオレフィンのオレフィン単位100質量部に対して無水マレイン酸単位の含有量が5.1質量部であるもの)100gを、セパラブルフラスコに入れ100℃に保たれた油浴中で溶融させ、その後、2−ブタノール20gとジメチルアミノエタノール5gを加え、撹拌し混合した。溶融混合後、強く撹拌しながら、80℃のイオン交換水を少量ずつ加えた。イオン交換水を200g加えたところで内容物を取り出し、エバポレーターを用いてイオン交換水以外の揮発成分を取り除き、非塩素変性の結晶性ポリオレフィンの水性分散体(A−1)を得た。不揮発分は約30%。DSC測定による(a−1)の融点は69℃であった。(A−1)における分散質の平均粒子径は0.1μmであった。

0148

変性官能基を使用せず結晶性ポリオレフィンの水性分散体を得ようと前記と同様な工程を試みたが、分散性が悪く目的の水性分散体を得ることはできなかった。

0149

[水性分散体(B)および水性分散体(C)の調製]
水性分散体(B−1)
Covestro社(旧Bayer MaterialScience AG(51368レーバークーゼン))製のポリウレタン分散体であるBayhydrol(登録商標) UH 2869を使用した。不揮発分約50重量%であり、イソシアネート成分として脂肪族系および脂環式イソシアネートに由来する構造単位と、直鎖ジカルボン酸と直鎖ジオールに基づく規則的なポリエステル構造をもつポリエステルポリオールに由来する構造単位と、からなるポリウレタン樹脂を含有する。
DSC測定による該ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は−50℃、融点は約48℃、結晶融解熱量39J/gである。また粘度250mPa・s/25℃、pH7.0、平均粒子径235nmである。

0150

水性分散体(B−2)
Covestro社(旧Bayer MaterialScience AG(51368レーバークーゼン))製のポリウレタン分散体であるDispercoll(登録商標) U 8755を使用した。不揮発分約45重量%であり、イソシアネート成分として脂肪族系および脂環式イソシアネートに由来する構造単位と、直鎖ジカルボン酸と直鎖ジオールに基づく規則的なポリエステル構造をもつポリエステルポリオールに由来する構造単位と、からなるポリウレタン樹脂を含有する。
DSC測定による該ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は−51℃、融点は約50℃、結晶融解熱量53J/gである。また粘度300mPa・s/25℃、pH7.5、平均粒子径230nmである。

0151

水性分散体(C−1)
Covestro(旧Bayer MaterialScience AG(51368レーバークーゼン))製のポリウレタン分散体であるBaybond(登録商標) PU 407を使用した。不揮発分約40重量%であり、イソシアネート成分として脂肪族系および脂環式イソシアネートに由来する構造単位と、非規則的なポリエステル構造をもつポリエステルポリオールに由来する構造単位と、からなるポリウレタン樹脂を含有する。
DSC測定による該ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は−50℃、結晶融解熱量は明確に示されず0J/gである。また粘度250mPa・s/25℃、pH7.0、平均粒子径210nmである。

0152

水性分散体(C−2)
Covestro(旧Bayer MaterialScience AG(51368レーバークーゼン))製のポリウレタン分散体であるImpranil(登録商標) DLSを使用した。不揮発分約45重量%であり、イソシアネート成分として脂肪族系および脂環式イソシアネートに由来する構造単位と、非規則的なポリエステル構造をもつポリエステルポリオールに由来する構造単位と、からなるポリウレタン樹脂を含有する。
DSC測定による該ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は−51℃、結晶融解熱量は明確に示されず0J/gである。また粘度220mPa・s/25℃、pH7.5、平均粒子径220nmである。

0153

水性分散体(C−3)
Covestro(旧Bayer MaterialScience AG(51368レーバークーゼン))製のポリウレタン分散体であるBayhydrol(登録商標) UH 650を使用した。不揮発分約50重量%であり、イソシアネート成分として脂肪族系および脂環式イソシアネートに由来する構造単位と、非規則的なポリエステル構造をもつポリエステルポリオールに由来する構造単位と、からなるポリウレタン樹脂を含有する。
DSC測定による該分散体ポリマーのガラス転移温度は−43℃、結晶融解熱量は明確に示されず0J/gである。また粘度700mPa・s/25℃、pH7.0、平均粒子径210nmである。

0154

モノコートおよびリコート評価用の塗料は以下のように調整した。

0155

プライマー塗料
1.Mill base配合
まず表1に基づきMill base配合を用意した。

0156

0157

2.プライマー塗料
次に表2に基づき、上記で用意したMill base配合を用いて、プライマー塗料を調製した。この塗料組成物は、NV=約45重量%、mw=約49重量%、D=約1.55g/mLであり、VOC量は約93g/Lであった。

0158

0159

3.ベースコート塗料
以下の表3に基づき、ベースコート塗料を調製した。

0160

0161

4.クリアコート塗料
以下の表4に基づき、クリアコート塗料を調製した。

0162

0163

実施例1〜7および比較例1〜8
上記の通り得られた各水性分散体の不揮発分が以下の表5に示される質量%となるように、各水性分散体を室温にて混合し、水性分散体混合物を得た。

0164

0165

実施例1〜7で得られた水性分散体混合物について、上記の測定方法および評価方法に従って水性分散体混合物の経時安定性評価(粘度変化、pH変化、凝集物)を行った。それぞれ良好な結果を示したため、次に以下に記述する評価を行った。
比較例1〜8においても良好な結果を示したため、同様に次に以下に記述する評価を行った。

0166

実施例8
脱脂処理したポリプロピレン基材(東プラ産業社製JNB−117、70mm×150mm×3mm、未表面処理品)に、実施例1で調製した水性分散体混合物を乾燥膜厚で約10μmになるようにワイヤーバーで塗工し、50℃で5分間プレヒート後、その上にアクリルウレタン塗料「ポリナールNo.800」(大橋化学工業株式会社)を乾燥膜厚で約100μmとなるようにスプレー塗装し、80℃で30分間加熱乾燥させて試験塗装物を作製した。

0167

実施例9〜11および比較例9〜13
上記実施例8において、実施例1の水性分散体混合物の代わりに実施例2〜4および比較例1〜5で作製した水性分散体混合物を用いる以外は実施例8と同様に操作して各試験塗装物を作製した。

0168

上記実施例8〜11および比較例9〜13において得られた試験塗装物について、上記の測定方法および評価方法に従って耐水試験前後の剥離強度を測定し、耐水試験後の外観評価を行った。結果を以下の表6に示す。

0169

0170

表6に示される通り、本発明の水性分散体混合物は、基材および塗膜に対する密着性が高く、優れた耐水性を有することがわかる。

0171

実施例12
実施例8で使用したポリプロピレン基材に、実施例1の水性分散体混合物を用いて調製した上記表2のプライマー塗料を乾燥膜厚で約10μmとなるようにスプレー塗装した。80℃で5分間加熱後、上記のベースコート塗料を乾燥膜厚で約5μmとなるようにスプレー塗装し、80℃で5分間加熱した。その後、上記のクリアコート塗料を乾燥膜厚で30〜40μmとなるようにスプレー塗装し、80℃で30分間加熱乾燥させて、モノコート試験塗装板とした。

0172

実施例13〜18および比較例14〜19
上記実施例12において、水性分散体混合物として実施例2〜7および比較例1〜3、6〜8で作成した水性分散体混合物を用いる以外は、実施例12と同様に操作して各試験塗装物を作製した。得られたモノコート試験塗装板を耐水性試験による評価方法を行った。結果を表7に示す。

0173

0174

実施例19
実施例12で作成したモノコート試験塗装板を常温で3日間養生させ、表面を脱脂処理した。その後、このモノコート試験塗装板に実施例12と同様の手順で、上記の所定のプライマー塗料、ベースコート塗料、クリアコート塗料の3層を塗り重ねる事によりリコート試験塗装板を作成した。

0175

実施例20〜25および比較例20〜25
上記実施例19において、実施例12で作成したモノコート試験塗装板に替えて、実施例13〜18、および比較例14〜19で作成したモノコート試験塗装板を用いる以外は、実施例19と同様に操作して各々対応するリコート試験塗装板を作製した。得られたリコート試験塗装板を既述の方法により評価した。
結果を以下の表8に示す。

0176

実施例

0177

表7に示される通り、本発明の水性分散体混合物は、基材および塗膜に対する密着性が高く、優れた耐水性を有することが分かる。また表8に示される通り、本発明の水性分散体混合物は、リコート性にも優れることが分かる。

0178

本発明の水性分散体混合物は、ポリオレフィン類からなる基材に対して強力な密着性を示すだけでなくポリオレフィン類以外の重合体からなる基材や、ポリオレフィン以外の物質を含むクリアコートやベースコート等の各種塗料からなる塗膜について高い密着性を示す。また、本発明の水性分散体混合物は、高い耐湿性および耐水性を発揮する。さらに、本発明の水性分散体混合物は、塩素で変性されていないポリオレフィンを用いることにより環境に配慮されたものである。したがって、本発明の水性分散体混合物は、プライマーや塗料組成物、水性接着剤等に好適に用いることができる。

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