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技術 密封装置

出願人 NOK株式会社
発明者 吉村健一佐藤祐貴柳澤伸明
出願日 2016年5月6日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2017-517912
公開日 2018年3月8日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 WO2016-181900
状態 特許登録済
技術分野 弾性リップ型 密封装置
主要キーワード 突条体 ネジ突起 二部材間 アクリルゴム製 ネジポンプ クランクケーシング 中空円板状 架橋接着
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題・解決手段

低温環境下でシールリップ部の摩耗を抑制することができる密封装置を提供する。 密封装置(1)は、環状の弾性体から成る弾性体部(2)と環状の金属から成る補強環(3)とを備える。弾性体部(2)は、被取付部に内嵌される取付部(4)とシャフトにこのシャフトが摺動可能に密接するシール部(5)とを備える。シール部(5)のシールリップ部(51)にはグリースが塗布されている。グリースは、基油として合成炭化水素油および鉱油の少なくとも一方を含み、−30℃の低温起動トルクが25N・cm以下である。

概要

背景

従来から、自動車等の車両のエンジンにおいて、互いに相対回動する2つの部材間間隙密封するために密封装置が使用されている。例えば、クランクシャフト等の回転するシャフトと、このシャフトが挿通されるケーシングとの間の間隙を密封するために密封装置が使用されている。

エンジンにおいて、シャフトとケーシングとの間の間隙に密封装置が設置されると、密封装置のシールリップ部がシャフトに当接して、ケーシング内に密封空間が形成される。密封装置のシールリップ部とシャフトとの当接部において、密封対象液であるエンジンオイルは、潤滑剤として作用する。密封対象液が潤滑剤として作用することにより、密封装置のシールリップ部の摩耗が抑制される。

図3は、従来の密封装置の概略構成を示すための図である。図3に示すように、従来の密封装置100は、シールリップ部101の密封対象液側とは反対側の大気側傾斜面102に、軸線に対して斜めに延びる複数の突起ネジ突起103)が等間隔に設けられている。このネジ突起103は、シャフトの回転時にネジポンプとして作用し、密封対象液が大気側に漏れることを防止している(例えば、特許文献1参照)。

概要

低温環境下でシールリップ部の摩耗を抑制することができる密封装置を提供する。 密封装置(1)は、環状の弾性体から成る弾性体部(2)と環状の金属から成る補強環(3)とを備える。弾性体部(2)は、被取付部に内嵌される取付部(4)とシャフトにこのシャフトが摺動可能に密接するシール部(5)とを備える。シール部(5)のシールリップ部(51)にはグリースが塗布されている。グリースは、基油として合成炭化水素油および鉱油の少なくとも一方を含み、−30℃の低温起動トルクが25N・cm以下である。

目的

本発明の目的は、低温環境下でシールリップ部の摩耗を抑制することができる密封装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

内燃機関において軸線について互いに相対回動可能な二部材間間隙密封する密封装置であって、前記二部材の一方に取り付けられる前記軸線を中心とする環状の取付部と、前記二部材の他方に該他方が摺動可能に密接するシール部とを備える、弾性体である弾性体部を備え、前記シール部は、前記軸線を中心とする環状のシールリップ部と、該シールリップ部に対して密封対象液側とは反対側である大気側に前記軸線を中心とする環状のダストリップとを備え、該シールリップ部は前記軸線に向かって凸の環状の突条体であるリップ先端部を備え、前記シールリップ部にはグリースが塗布されており、該グリースは、基油として合成炭化水素油および鉱油の少なくとも一方を含み、−30℃の低温起動トルクが25N・cm以下であることを特徴とする密封装置。

請求項2

前記グリースは、前記リップ先端部と前記ダストリップとの間において塗布されていることを特徴とする請求項1記載の密封装置。

請求項3

前記リップ先端部は、前記密封対象液側の傾斜面である密封対象液側傾斜面と、前記大気側の傾斜面である大気側傾斜面と、前記密封対象液側傾斜面と前記大気側傾斜面との間の前記二部材の他方に該他方が摺動可能に当接する摺動面とを備え、前記グリースは少なくとも前記摺動面に塗布されていることを特徴とする請求項2記載の密封装置。

請求項4

前記グリースは少なくとも前記リップ先端部の前記摺動面と前記大気側傾斜面とに塗布されていることを特徴とする請求項3記載の密封装置。

技術分野

0001

本発明は、密封装置に関し、特に、車両や汎用機械の内燃機関において、低温環境下で好適に使用可能な密封装置に関する。

背景技術

0002

従来から、自動車等の車両のエンジンにおいて、互いに相対回動する2つの部材間間隙密封するために密封装置が使用されている。例えば、クランクシャフト等の回転するシャフトと、このシャフトが挿通されるケーシングとの間の間隙を密封するために密封装置が使用されている。

0003

エンジンにおいて、シャフトとケーシングとの間の間隙に密封装置が設置されると、密封装置のシールリップ部がシャフトに当接して、ケーシング内に密封空間が形成される。密封装置のシールリップ部とシャフトとの当接部において、密封対象液であるエンジンオイルは、潤滑剤として作用する。密封対象液が潤滑剤として作用することにより、密封装置のシールリップ部の摩耗が抑制される。

0004

図3は、従来の密封装置の概略構成を示すための図である。図3に示すように、従来の密封装置100は、シールリップ部101の密封対象液側とは反対側の大気側傾斜面102に、軸線に対して斜めに延びる複数の突起ネジ突起103)が等間隔に設けられている。このネジ突起103は、シャフトの回転時にネジポンプとして作用し、密封対象液が大気側に漏れることを防止している(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0005

特開2005−172061号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、密封対象液が流動点以下となる低温環境下では、エンジンの始動時に密封対象液が流動しないため、密封対象液はエンジン内において循環せず、シールリップ部101に供給されない。このため、密封対象液はシールリップ部101の潤滑剤として作用せず、シールリップ部101は潤滑不良となり、シールリップ部101の摩耗が進行することになる。シールリップ部101の摩耗が進行することにより、ネジ突起103の摩耗やリップしめしろの低下によって、密封装置100におけるポンピング性能が低下し、密封対象液の漏れが生じる場合があった。

0007

かかる問題を解決するために、低温環境下では、使用する密封対象液を流動点のより低い密封対象液に変更する方法が考えられる。しかしながら、密封対象液を変更した場合、エンジンの他の機構に悪影響を与える可能性があり、密封対象液の変更は容易ではない。また、密封装置の材質を変更する方法が考えられるが、材質の変更は密封装置の耐熱性やポンピング性能等の種々の特性に影響を与えるため、密封装置の必要特性を維持しつつ、材質の変更を図ることは困難である。このように、エンジンの各機構に悪影響を与えることなく、密封装置の必要特性を維持しつつ、低温環境下での耐摩耗性を向上させることができる密封装置が求められていた。

0008

上記課題を解決するために、本発明の目的は、低温環境下でシールリップ部の摩耗を抑制することができる密封装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、内燃機関において軸線について互いに相対回動可能な二部材間の間隙を密封する密封装置であって、前記二部材の一方に取り付けられる前記軸線を中心とする環状の取付部と、前記二部材の他方に該他方が摺動可能に密接するシール部とを備える、弾性体である弾性体部を備え、前記シール部は、前記軸線を中心とする環状のシールリップ部と、該シールリップ部に対して密封対象液側とは反対側である大気側に前記軸線を中心とする環状のダストリップとを備え、該シールリップ部は前記軸線に向かって凸の環状の突条体であるリップ先端部を備え、前記シールリップ部にはグリースが塗布されており、該グリースは、基油として合成炭化水素油および鉱油の少なくとも一方を含み、−30℃の低温起動トルクが25N・cm以下であることを特徴とする。

0010

本発明の一態様に係る密封装置において、前記グリースは、前記リップ先端部と前記ダストリップとの間において塗布されている。

0011

本発明の一態様に係る密封装置において、前記リップ先端部は、前記密封対象液側の傾斜面である密封対象液側傾斜面と、前記大気側の傾斜面である大気側傾斜面と、前記密封対象液側傾斜面と前記大気側傾斜面との間の前記二部材の他方に該他方が摺動可能に当接する摺動面とを備え、前記グリースは少なくとも前記摺動面に塗布されている。

0012

本発明の一態様に係る密封装置において、前記グリースは少なくとも前記リップ先端部の前記摺動面と前記大気側傾斜面とに塗布されている。

発明の効果

0013

本発明に係る密封装置によれば、シールリップ部にグリースが塗布されているため、摺動に伴うシールリップ部の摩耗を抑制することができる。特に、グリースは基油として合成炭化水素油および鉱油の少なくとも一方を含み、−30℃の低温起動トルクが25N・cm以下であるため、低温環境下においてもグリースの流動性が高い。このため、低温環境下においては、グリースがシールリップ部の摺動面に供給され、低温環境下において、シールリップ部の摩耗を抑制することができる。また、シールリップ部の摩耗が抑制されることにより、密封対象液の漏れの防止を図ることができる。

0014

本発明に係る密封装置によれば、リップ先端部とダストリップとの間にグリースが塗布されているので、グリースがシールリップ部の摺動面に供給されやすく、低温環境下において、シールリップ部の摩耗を抑制することができる。

0015

本発明に係る密封装置によれば、リップ先端部において、少なくとも、摺動面にグリースが塗布されているため、低温環境下において、シールリップ部の摩耗を効果的に抑制することができる。

0016

本発明に係る密封装置によれば、少なくとも、摺動面と大気側傾斜面とにグリースが塗布されている。摺動面にグリースが塗布されており、かつ、大気側傾斜面に塗布されたグリースがシールリップ部の摺動面に供給されるので、低温環境下において、摺動面の摩耗をより継続的に抑制することができる。

図面の簡単な説明

0017

本発明の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示す、密封装置の軸線に沿った断面における断面図である。
上記本発明の実施の形態に係る密封装置の使用状態を示すための部分断面図である。
従来の密封装置の構造を示すための断面図である。

0018

以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。

0019

図1は、本発明の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示す、密封装置の軸線に沿った断面における断面図である。

0020

図1に示すように、本発明の実施の形態に係る密封装置1は、軸線xを中心とする環状の弾性体から成る弾性体部2と、軸線xを中心とする環状の金属から成る補強環3とを備える。弾性体部2の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。また、各種ゴム材は、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴムACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。補強環3の金属としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。密封装置1は、軸線xについて互いに相対回動可能な二部材間の間隙を密封するものである。

0021

弾性体部2は、上記互いに相対回動可能な二部材の一方としてのケーシングやハウジング等の被取付部の開口に内嵌される取付部4と、弾性体部2に挿通される上記二部材の他方、例えばシャフトの外周面にこの外周面が摺動可能に密接するシール部5とを備える。

0022

取付部4は、弾性体部2において外周側にある、軸線xを中心とする円筒状の環状の部分である。取付部4の外周側の周面である外周面41は、図示しない被取付部の開口の寸法に応じた厚さ(径方向寸法)を有する締め代部42に基づいて画定されている。ここで、説明の便宜上、外側とは、軸線x方向において矢印a(図1参照)方向とし、内側とは、軸線x方向において矢印b(図1参照)方向とする。つまり、内側とは、使用状態において、潤滑オイル等の密封対象液が存在する領域に面する方向(密封対象液側)であり、外側とは、密封対象液が存在しない若しくは密封対象液を存在させないようにする領域に面する方向(大気側)である。また、軸線xに垂直な方向において、軸線xから離れる方向(図1の矢印c方向)を外周側と、軸線xに近づく方向(図1の矢印d方向)を内周側とする。

0023

シール部5は、弾性体部2において内周側にある、軸線xを中心とする円筒状の環状の部分であり、図1に示すように、シールリップ部51を備える。また、シール部5は、シールリップ部51に対して外側(大気側)に、ダスト等の異物がシールリップ部51とシャフト(図示せず)との当接部に進入することを防止するためのダストリップ部52を備える。ダストリップ部52は、図1に示すように、軸線xを中心とする環状の部材であり、シール部5の内周側端部から、内周方向外側に斜めに延びている。

0024

シールリップ部51は、図1に示すように、その内周側において内側の部分に、リップ先端部53を備える。リップ先端部53は、図1に示すように、軸線xを含む断面(以下、単に断面ともいう)における形状が、内周方向に凸のくさび形状であり、軸線xを中心とする環状の突条体である。より具体的には、リップ先端部53は、内側(密封対象液側)から順に、密封対象液側傾斜面54と、摺動面55と、大気側傾斜面56とを有しており、上記突条体は、これらの面54〜56によって画定されている。

0025

密封対象液側傾斜面54は、密封対象液側の傾斜面である。具体的には、密封対象液側傾斜面54は、図1に示すように、軸線xを中心とする環状の面であり、軸線x方向にテーパして延びる円錐状の面(テーパ面)である。密封対象液側傾斜面54のテーパ面は、軸線x方向において内側から外側に向かうにつれて縮径している。

0026

大気側傾斜面56は、大気側の傾斜面である。具体的には、大気側傾斜面56は、図1に示すように、軸線xを中心とする環状の面であり、軸線x方向にテーパして延びる円錐状の面(テーパ面)である。大気側傾斜面56のテーパ面は、軸線x方向において内側から外側に向かうにつれて拡径している。

0027

摺動面55は、密封対象液側傾斜面54と大気側傾斜面56との間に延びており、不図示のシャフトにこのシャフトが摺動可能に当接する円筒状の面である。

0028

また、リップ先端部53の大気側傾斜面56には、その先端が摺動面55の近傍に達する多数の突起58からなるネジ突起57が設けられている。ネジ突起57において、上記複数の突起58は、円周方向に所定の間隔で、互いに平行に並んで設けられている。突起58は、内周方向に凸の、軸線xに対して斜めに延びる突起である。突起58の形状やサイズは従来公知のものであり、上記の形状やサイズに限定されるものではない。

0029

また、リップ部51は、リップ先端部53に対向する外周側の面に環状の凹部59を備え、この凹部59には、密封装置1が備える環状のばね6が収容されており、リップ先端部53を内周方向に付勢している。

0030

また、図1に示すように、弾性体部2は、軸線xを中心とする中空円板状円板部21を備え、この円板部21は、取付部4とシール部5とを、各々の外側の端部において夫々接続している。

0031

補強環3は、断面が略L字状である、軸線xを中心とする環状の部材である。補強環3は、図1に示すように、部分的に弾性体部2によって覆われて、弾性体部2と一体となっている。本実施の形態においては、補強環3は、内側の面の一部が弾性体部2に覆われることなく露出されているが、補強環3は、弾性体部2を補強できる構造であれば、一部分が弾性体部2によって覆われていても、全体が弾性体部2によって覆われていてもよい。

0032

補強環3は、例えばプレス加工鍛造によって製造され、後述するように、弾性体部2の大部分は成形型を用いて架橋加硫成形によって成形される。この架橋成形の際に、補強環3は成形型の中に配置されており、弾性体部2が架橋接着により補強環3に接着され、補強環3と弾性体部2とが一体的に成形される。

0033

本実施の形態に係る密封装置1では、シールリップ部51にグリースGが塗布されている。具体的には、グリースGは、リップ先端部53とダストリップ部52との間において塗布されている。グリースGは、リップ先端部53とダストリップ部52との間において全体に亘って塗布されていてもよく、リップ先端部53とダストリップ部52との間において部分的に塗布されていてもよい。例えば、グリースGは、摺動面55にのみ塗布されていてもよく、摺動面55と大気側傾斜面56とにのみ塗布されていてもよい。

0034

本実施の形態で用いられるグリースは、基油として合成炭化水素油および鉱油の少なくとも一方を含む。また、グリースは基油として、合成炭化水素油を含むものが好ましい。合成炭化水素油としては、例えば、ポリα−オレフィンエチレン−α−オレフィン共重合体ポリブテンアルキルベンゼンアルキルナフタレンが挙げられる。鉱油としては、例えばパラフィン系鉱油オレフィン系鉱油、ナフテン系鉱油が挙げられる。これらの合成炭化水素油、また、鉱油は、単独で用いられてもよく、あるいは混合して用いられてもよい。グリースにおける基油の含有量は、60〜90重量%であることが好ましい。

0035

また、グリースには、増ちょう剤が含まれていてもよい。増ちょう剤としては、例えば、金属石けん金属複合石けんが挙げられる。金属石けんとしては、例えば、リチウム石けんナトリウム石けんカリウム石けんカルシウム石けんバリウム石けんアルミニウム石けんが挙げられ、金属複合石けんとしては、例えば、リチウム複合石けんカルシウム複合石けんバリウム複合石けんが挙げられる。これらの増ちょう剤は、単独で用いられてもよく、あるいは混合して用いられてもよい。グリースにおける増ちょう剤の含有量は、5〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましい。

0036

また、グリースには、必要に応じて、さらに、他の増ちょう剤、酸化防止剤防錆剤腐食防止剤極圧剤油性剤固体潤滑剤導電性向上剤等の添加剤が含まれていてもよい。

0037

酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ第3ブチル−4−メチルフェノール、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ第3ブチルフェノール)等のフェノール系の酸化防止剤、アルキルジフェニルアミントリフェニルアミンフェニル−α−ナフチルアミンアルキル化フェニル−α−ナフチルアミン、フェノチアジンアルキル化フェノチアジン等のアミン系の酸化防止剤、さらにはリン酸系酸化防止剤イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。

0039

腐食防止剤としては、例えばペントリアゾールベンゾイミダゾールチアジアゾール等が挙げられる。

0041

油性剤としては、例えば脂肪酸またはそのエステル高級アルコール多価アルコールまたはそのエステル、脂肪族エステル脂肪族アミン脂肪酸モノグリセライドモンタンワックスアミド系ワックス等が挙げられる。

0042

固体潤滑剤としては、例えば二硫化モリブデンカーボンブラックグラファイト窒化ホウ素、窒化シランメラミンシアヌレート等が挙げられる。

0043

また、グリースの混和ちょう度は、265〜295であることが好ましい。なお、混和ちょう度は、JIS K2220に基づいて25℃で測定される。

0044

さらに、グリースの低温起動トルクは、25N・cm以下である。また、グリースの低温起動トルクは、好ましくは12N・cm以下である。低温起動トルクが25N・cmを超えると、低温環境化における流動性が低下する。このため、低温環境下において、組付状態における密封装置1の潤滑剤としての作用が不十分となり、密封装置1のシールリップ部51の摩耗を促進し好ましくない。なお、低温起動トルクは、JIS K2220に基づいて−30℃で測定される。

0045

以下、上述の構成を有する密封装置1の使用状態について説明する。本実施の形態に係る密封装置1は、自動車のエンジンにおいて、互いに相対回動する2つの部材であるクランクケーシングとクランクシャフトとの間に配設されているものとする。具体的には、密封装置1は、クランクケーシングの軸孔とこの軸孔に挿通されたクランクシャフトとの間の間隙に、この間隙を密封するために配設されているものとする。なお、本発明に係る密封装置1は、自動車のエンジンにおいてクランクシャフトとクランクケーシングとの間に設けられるものに限定されるものではない。本発明に係る密封装置1は、車両や汎用機械において、互いに相対回動する2つの部材間の間隙を密封するために適用可能である。

0046

図2は、上記本発明の実施の形態に係る密封装置1の使用状態を示すための部分断面図である。

0047

図2に示すように、クランクケーシング71は、円筒状の開口としての軸孔72を備え、また、この軸孔72にはクランクシャフト73が挿通されている。軸孔72の内周の面である内周面74と、クランクシャフト73の表面である外周面75との間の間隙76には、この間隙76を密封するために密封装置1が取り付けられている。なお、グリースGはシールリップ部51に予め塗布されている。

0048

具体的には、密封装置1は、取付部4がクランクケーシング71の軸孔72に内嵌されてクランクケーシング71に取り付けられている。より具体的には、補強環3と軸孔72の内周面74との間において、取付部4の締め代部42が圧縮されて、密封装置1はクランクケーシング71に嵌合されて強固に固定されている。弾性体部2の外周面41は軸孔72の内周面74に液密密着している。また、クランクシャフト73は、シール部5に挿通されており、シールリップ部51のリップ先端部53(摺動面55)が、シャフト73の外周面75に当接している。この取付部4による嵌合と、リップ先端部53の当接により、間隙76は密封されている。

0049

上述のように、本発明の実施の形態に係る密封装置1によれば、シールリップ部51にグリースが塗布されているため、摺動に伴うシールリップ部51の摩耗を抑制することができる。特に、グリースが基油として合成炭化水素油および鉱油の少なくとも一方を含み、かつ、低温起動トルクが25N・cm以下であるため、低温環境下においてもグリースの流動性が高く、シールリップ部51の摩耗を抑制する効果が高い。また、シールリップ部51の摩耗が抑制されることにより、密封対象液の漏れを防止することができる。

0050

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題および効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。具体的には、取付部4やシール部5、補強環3の形状は上述の形状に限るものではない。

0051

以下に、本発明の実施例を示す。

0052

本実施例および比較例に係る密封装置として、内径37mmのアクリルゴム製オイルシールであるリアデフサイド用オイルシールを使用した。また、実施例1〜3、比較例1〜3に係る密封装置において、グリースは、後述するように、表1に示すものとした。

0053

表1の配合率となるように、基油および増ちょう剤を混合し、3本ロールを用いて混練することにより、均一なグリースを得た(実施例1〜3、比較例1〜3)。表1に、グリースの評価結果を示す。なお、表1における各成分の含有量は「重量%」で表される。

0054

[グリースの調製]
・基油
合成炭化水素油A:ポリ−α−オレフィン(40℃動粘度18mm2/s)
合成炭化水素油B:ポリ−α−オレフィン(40℃ 動粘度30mm2/s)
鉱油A:パラフィン系鉱油(40℃ 動粘度140mm2/s)
鉱油B:パラフィン系鉱油(40℃ 動粘度84mm2/s)
フッ素油パーフルオロポリエーテル(40℃ 動粘度160mm2/s)
・増ちょう剤
リチウム石けん:炭素数12〜24の脂肪酸モノカルボンサンLi塩(なお、少なくとも1つの水素基を含有しているもの、または、水素基を含有しないものである。)
バリウム複合石けん:脂肪酸ジカルボン酸モノアミノカルボン酸との複合石けん
PTF

0055

[グリースの評価]
・低温起動トルク
JIS K2220に準拠し、−30℃の低温起動トルクを測定した。
摩耗幅
内径37mmのアクリルゴム製オイルシールの摺動面にグリースを塗布し、−30℃での回転試験を行った。回転試験は、潤滑油(鉱油ギアオイル、粘度グレード75W−90、流動点−23℃)を回転軸の中心まで満たした状態で実施した。−30℃の低温下、正転方向に10分間回転した後、停止して冷却するというパターンを1サイクルとし、100サイクルを繰り返した。その後、摺動面の摩耗幅を顕微鏡で観察した。摩耗幅が0.5mm以下を合格、0.5mm超を不合格とした。

0056

0057

表1より、基油として合成炭化水素油および鉱油の少なくとも一方を含み、かつ、低温起動トルクが25N・cm以下であるグリースを塗布した実施例1〜3では、−30℃の条件下で摩耗が抑制されることが分かった。一方、低温起動トルクが25N・cmを超えている比較例1、2では、摺動面の摩耗幅が大きいことが分かった。また、比較例3では、低温起動トルクが25N・cm以下であるものの、基油としてフッ素油を含む(合成炭化水素油および鉱油のいずれも含まない)グリースを用いたため、摺動面の摩耗幅が大きいことが分かった。

実施例

0058

上述のように、本発明に係る実施例1〜3においては、シールリップ部に塗布されたグリースが、基油として合成炭化水素油を含み、かつ、低温起動トルクが25N・cm以下であるため、−30℃の低温環境下においても、シールリップ部の摩耗を抑制する効果が高い。

0059

1、100密封装置
2弾性体部
3補強環
4取付部
5シール部
6 ばね
21円板部
41外周面
42締め代部
51、101シールリップ部
52ダストリップ部
53リップ先端部
54密封対象液側傾斜面
55摺動面
56、102大気側傾斜面
57、103ネジ突起
58突起
59 凹部
71クランクケーシング
72軸孔
73クランクシャフト
74内周面
75 外周面
76間隙
x軸線
G グリース

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  • NOK株式会社の「 密封装置」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題・解決手段】密封装置は、外側部材の孔の内部に配置され内側部材に接触するシールリップを備える。シールリップは、内部空間側の傾斜面と、大気側傾斜面と、これらの傾斜面の間の境界にあるリップエッジを有す... 詳細

  • 株式会社フコクの「 等速ジョイント用ブーツ」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題】等速ジョイントの外筺の位置決め及びころの飛び出し抑制を図るとともに、外力を受けた際に等速ジョイントとの挟み込みを防止する。【解決手段】等速ジョイントの外筐が挿入される第1の端部10と、前記等速... 詳細

  • NOK株式会社の「 シールリングおよび密封構造」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題】封止される部材に与える反力が小さく、長期にわたって封止性能を維持し、部品数を削減することができるシールリングを提供する。【解決手段】第1の部材と第2の部材の間に配置されて、第1の部材と第2の部... 詳細

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