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技術 高いリタデーションを有するフィルムと、二色性色素を含有する層とが積層されてなる偏光素子、並びにこれを設けた表示装置

出願人 日本化薬株式会社株式会社ポラテクノ
発明者 望月典明吉田昇平
出願日 2016年4月19日 (3年3ヶ月経過) 出願番号 2017-514131
公開日 2018年2月8日 (1年5ヶ月経過) 公開番号 WO2016-171127
状態 特許登録済
技術分野 偏光要素 積層体(2) 染料
主要キーワード 包絡線形状 アクロマティック 光活性基 マイクロパターン 位相差軸 モルダ ホウ酸溶液 液晶用配向膜
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課題・解決手段

本発明は、簡便に製造可能な偏光性能に優れた偏光素子、及びこれを設けた表示装置を提供することを目的とする。 3000〜50000nmのリタデーションを有する延伸フィルムと、1種以上の二色性色素を含有する層とを積層し、前記延伸フィルムの厚さが20〜500μmであることを特徴とする偏光素子。このような特定の延伸フィルムを用いた本発明の偏光素子は、高い偏光度、特に85%以上の偏光度と、高い二色性、特に5以上の二色性を示す。

概要

背景

液晶表示装置サングラスゴーグルなどに使用されている偏光素子は、一般的には、ポリビニルアルコールのような高分子物質から作製した膜にヨウ素又は二色性染料などの二色性色素吸着させ、次いで得られた膜を一軸延伸し、二色性色素分子を一定方向に配向させるか、又は、高分子膜を一軸延伸した後に二色性色素を吸着させる方法によって製造される。しかしながら、これらの方法によって得られる偏光素子の偏光軸吸収軸は、互いに垂直であるため、偏光素子の形状は、通常、平板状に限定される。さらに、このような偏光素子の製造には、ポリビニルアルコールフィルム膨潤、染色し、引き続き、これをホウ酸水溶液中での延伸処理し、さらに、水洗処理及び乾燥処理をした後、得られたフィルム接着剤を用いて保護フィルム貼合せるといった煩雑な工程が必要であった。また、より簡易的に所望とする部分に偏光素子を設けることが求められていた。

このような従来の偏光素子の問題点に鑑み、非特許文献1は、ラビング処理により二色性色素分子を一定方向に配向させて偏光子を作製する方法を開示している。しかしながら、ラビング処理における擦り工程により生じる基板上の傷及び塵、さらには静電気が原因で発生する電気的な傷等により、基板上への色素溶液の塗工性が低下してしまう。そのため、得られた色素膜上に塗工されていない箇所(塗工不良)が存在し、その結果、当該色素膜を有する偏光素子において偏光性能品質満足がいくものではなかった。

特許文献1では、光配向膜を用いて当該光配向膜に接する二色性色素分子を任意の方向に配向させることにより偏光性能が高い偏光子を得る技術を開示している。しかしながら、偏光素子の色素膜の表面を原子間力顕微鏡AFM)で観察すると、二色性色素が均一に配向している部分と、二色性色素が殆ど存在せず、配向していない部分(クレーター)が存在する。そのため、得られた偏光素子の偏光性能は、表示素子用の偏光素子における実用水準としては、十分な要求に応えられていなかった。

特許文献2には、二色性色素分子の配向の均一性及び得られる偏光素子の偏光性能のさらなる改善のため、クレーターの発生を極力減らし、二色性色素化合物の配向を全体的に高めて表示素子用として実用水準にある偏光素子を製造する方法が開示されている。偏光素子は、光活性基を有する液晶性高分子薄膜配向膜とし、該薄膜に直線偏光照射し、偏光照射部分の光活性基の分子軸を一定方向に配列させ、次いで別のマイクロパターン状のマスクを介して異なる偏光軸を有する直線偏光を照射した後、該薄膜上に基板に対して垂直方向に特定の範囲の圧力が懸かるように二色性色素溶液ロールコーターで塗布することにより製造方法される。しかしながら、偏光素子の作製において、ロールと基板間に特定の圧力が懸かるようにする必要があり、押し圧を厳密に制御しなければならない。そのため、このような厳密な圧力制御を要さずとも、より簡便に製造可能な偏光性能に優れた偏光素子の開発が望まれている。

概要

本発明は、簡便に製造可能な偏光性能に優れた偏光素子、及びこれを設けた表示装置を提供することを目的とする。 3000〜50000nmのリタデーションを有する延伸フィルムと、1種以上の二色性色素を含有する層とを積層し、前記延伸フィルムの厚さが20〜500μmであることを特徴とする偏光素子。このような特定の延伸フィルムを用いた本発明の偏光素子は、高い偏光度、特に85%以上の偏光度と、高い二色性、特に5以上の二色性を示す。

目的

そのため、このような厳密な圧力制御を要さずとも、より簡便に製造可能な偏光性能に優れた偏光素子の開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

3000〜50000nmのリタデーションを有する延伸フィルムと、1種以上の二色性色素を含有する層とを積層し、前記延伸フィルムの厚さが20〜500μmであることを特徴とする偏光素子

請求項2

前記延伸フィルムが、ポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする請求項1に記載の偏光素子。

請求項3

二色比が、5以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光素子。

請求項4

前記延伸フィルムの延伸軸と同一方向に、該延伸フィルムの表面に付与されている分子方性よりも大きい分子異方性がさらに付与されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の偏光素子。

請求項5

フィルム長軸方向に対して、10°〜100°の角度に位相差の遅相軸または進相軸を有する位相差フィルムをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の偏光素子。

請求項6

前記二色性色素の少なくとも一つが、下記式(1)で表される化合物又はその塩であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の偏光素子。(式(1)中、X1は、1つ若しくは2つのスルホン酸基と、水酸基若しくは1乃至3の炭素数を有するアルコキシ基を有するフェニル基又はナフチル基を表し、X2及びX3は、それぞれ独立して、フェニレン基又はナフチレン基を表し、当該フェニレン基又はナフチレン基は、1乃至3の炭素数を有するアルキル基、1乃至3の炭素数を有するアルコキシ基、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選択された1種又は2種の置換基を1つ又は2つ有しており、R1は、水素原子、1乃至3の炭素数を有するアルキル基、アセチル基ベンゾイル基、或いは、非置換のフェニル基又は1乃至4の炭素数を有するアルキル基、1乃至4の炭素数を有するアルコキシル基アミノ基若しくはスルホ基で置換されたフェニル基を表し、mは、0又は1であり、かつnは、1又は2である)

請求項7

X1が、置換基として下記式(3)で表される化合物又はその塩であることを特徴とする請求項6に記載の偏光素子。(式(3)中、jは1または2である)

請求項8

前記二色性色素を含有する層は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーをさらに含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の偏光素子。

請求項9

請求項1乃至8のいずれか1項に記載の偏光素子を設けた表示装置

技術分野

0001

本発明は、高いリタデーションを有するフィルムと、二色性色素を含有する層とが積層された偏光素子に関する。また、本発明は、当該偏光素子を設けた表示装置に関する。

背景技術

0002

液晶表示装置サングラスゴーグルなどに使用されている偏光素子は、一般的には、ポリビニルアルコールのような高分子物質から作製した膜にヨウ素又は二色性染料などの二色性色素を吸着させ、次いで得られた膜を一軸延伸し、二色性色素分子を一定方向に配向させるか、又は、高分子膜を一軸延伸した後に二色性色素を吸着させる方法によって製造される。しかしながら、これらの方法によって得られる偏光素子の偏光軸吸収軸は、互いに垂直であるため、偏光素子の形状は、通常、平板状に限定される。さらに、このような偏光素子の製造には、ポリビニルアルコールフィルム膨潤、染色し、引き続き、これをホウ酸水溶液中での延伸処理し、さらに、水洗処理及び乾燥処理をした後、得られたフィルムに接着剤を用いて保護フィルム貼合せるといった煩雑な工程が必要であった。また、より簡易的に所望とする部分に偏光素子を設けることが求められていた。

0003

このような従来の偏光素子の問題点に鑑み、非特許文献1は、ラビング処理により二色性色素分子を一定方向に配向させて偏光子を作製する方法を開示している。しかしながら、ラビング処理における擦り工程により生じる基板上の傷及び塵、さらには静電気が原因で発生する電気的な傷等により、基板上への色素溶液の塗工性が低下してしまう。そのため、得られた色素膜上に塗工されていない箇所(塗工不良)が存在し、その結果、当該色素膜を有する偏光素子において偏光性能品質満足がいくものではなかった。

0004

特許文献1では、光配向膜を用いて当該光配向膜に接する二色性色素分子を任意の方向に配向させることにより偏光性能が高い偏光子を得る技術を開示している。しかしながら、偏光素子の色素膜の表面を原子間力顕微鏡AFM)で観察すると、二色性色素が均一に配向している部分と、二色性色素が殆ど存在せず、配向していない部分(クレーター)が存在する。そのため、得られた偏光素子の偏光性能は、表示素子用の偏光素子における実用水準としては、十分な要求に応えられていなかった。

0005

特許文献2には、二色性色素分子の配向の均一性及び得られる偏光素子の偏光性能のさらなる改善のため、クレーターの発生を極力減らし、二色性色素化合物の配向を全体的に高めて表示素子用として実用水準にある偏光素子を製造する方法が開示されている。偏光素子は、光活性基を有する液晶性高分子薄膜配向膜とし、該薄膜に直線偏光照射し、偏光照射部分の光活性基の分子軸を一定方向に配列させ、次いで別のマイクロパターン状のマスクを介して異なる偏光軸を有する直線偏光を照射した後、該薄膜上に基板に対して垂直方向に特定の範囲の圧力が懸かるように二色性色素溶液ロールコーターで塗布することにより製造方法される。しかしながら、偏光素子の作製において、ロールと基板間に特定の圧力が懸かるようにする必要があり、押し圧を厳密に制御しなければならない。そのため、このような厳密な圧力制御を要さずとも、より簡便に製造可能な偏光性能に優れた偏光素子の開発が望まれている。

0006

特開平7−261024号公報
特許第4175455号公報

先行技術

0007

電子情報通信学会論文誌」、1988年、JJ71-C、p.1188

発明が解決しようとする課題

0008

従来の二色性色素を含有する組成物を塗布して得られた色素膜を有する偏光素子は、ラビング処理等による影響により、十分に満足できる偏光性能が得られていなかった。そのため、さらに偏光性能を向上させる必要がある。また、このような偏光性能に優れた偏光素子を、より簡便に製造することも望まれている。

0009

したがって、本発明の目的は、簡便に製造可能な偏光性能に優れた偏光素子、及びこれを設けた表示装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討の結果、3000〜50000nmのリタデーションを有する延伸フィルムと、二色性色素を含有する層とが積層され、前記延伸フィルムの厚さが20〜500μmである偏光素子を用いることにより、簡便に製造可能な偏光性能に優れた偏光素子が得られることを新規に見出した。

0011

すなわち、本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)3000〜50000nmのリタデーションを有する延伸フィルムと、1種以上の二色性色素を含有する層とを積層し、前記延伸フィルムの厚さが20〜500μmであることを特徴とする偏光素子。
(2)前記延伸フィルムが、ポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする(1)に記載の偏光素子。
(3)二色比が、5以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の偏光素子。
(4)前記延伸フィルムの延伸軸と同一方向に、該延伸フィルムの表面に付与されている分子異方性よりも大きい分子異方性がさらに付与されていることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の偏光素子。
(5)前記延伸フィルム上に、フィルムの長軸方向に対して、10°〜100°の角度に位相差の遅相軸又は進相軸を有する位相差フィルムをさらに備えることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の偏光素子。
(6)前記二色性色素の少なくとも一つが、下記式(1)で表される化合物又はその塩であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の偏光素子。



(式(1)中、
X1は、1つ若しくは2つのスルホン酸基と、水酸基若しくは1乃至3の炭素数を有するアルコキシ基とを有するフェニル基又はナフチル基を表し、
X2及びX3は、それぞれ独立して、フェニレン基又はナフチレン基を表し、該フェニレン基又はナフチレン基は、1乃至3の炭素数を有するアルキル基、1乃至3の炭素数を有するアルコキシ基、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選択される1種又は2種の置換基を1つ又は2つ有しており、
R1は、水素原子、1乃至3の炭素数を有するアルキル基、アセチル基ベンゾイル基、或いは、非置換のフェニル基又は1乃至4の炭素数を有するアルキル基、1乃至4の炭素数を有するアルコキシル基アミノ基若しくはスルホ基で置換されたフェニル基を表し、
mは、0又は1であり、かつ
nは、1又は2である)
(7)X1が、置換基として下記式(3)で表される化合物又はその塩であることを特徴とする(6)に記載の偏光素子。



(式(3)中、jは1又は2である)
(8)前記二色性色素を含有する層は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーをさらに含有することを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の偏光素子。
(9)(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の偏光素子を設けた表示装置。

発明の効果

0012

3000〜50000nmのリタデーションを有するフィルムと、二色性色素を含有する層とが積層されていることを特徴とする本発明の偏光素子は、基材として、20〜500μmの厚さの高いリタデーションを有する延伸フィルムを使用している。このような特定の延伸フィルムを用いた本発明の偏光素子は、高い偏光度、特に85%以上の偏光度と、高い二色性、特に5以上の二色性を示す。したがって、基材として、本発明における特定の延伸フィルムを用いることにより、偏光性能に優れた偏光素子を得ることができる。また、本発明の偏光素子は、特定の基材と、二色性色素を含有する層とを積層したものある。したがって、本発明の構成により、偏光性能に優れた簡便に製造可能な高性能な偏光素子を得ることができる。

実施例

0013

以下に、本発明を詳細に説明する。以下において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、特に言及されない限り、式(1)〜式(3)で表される化合物(置換基)は、遊離酸の形で表し、遊離酸の塩とは、例えば、スルホン酸基やヒロドキシ基の塩を意味する。また、以下の説明において、特に言及されない限り、煩雑さを避けるため、「式(1)で表される化合物又はその塩」、「式(2)で表される化合物又はその塩」、「置換基として式(3)で表される化合物又はその塩」は、それぞれ、「式(1)で表される化合物」、「式(2)で表される化合物」、「置換基として式(3)で表される化合物」と便宜上記載する。

0014

まず、本発明を構成する偏光素子について説明する。本発明の偏光素子は、3000〜50000nmのリタデーションを有する延伸フィルムと、二色性色素を含有する層とが積層され、前記延伸フィルムの厚さが20〜500μmである偏光素子である。

0015

(延伸フィルム)
本発明の偏光素子は、基材として、3000〜50000nmのリタデーションを有する延伸フィルムを使用する。この延伸フィルムの素材は、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルポリカーボネートポリスチレンポリエーテルエーテルケトンポリフェニレンサルファイドシクロオレフィンポリマー等の樹脂が挙げられる。その中でも、ポリカーボネート又はポリエステルが特に好ましい。これらの樹脂は透明性に優れるとともに、熱的、機械的特性にも優れており、延伸加工によって容易にフィルムのリタデーションを制御することができ、また、延伸後の結晶化度が高いため、従来の偏光素子で用いられているポリビニルアルコール系フィルムよりも、延伸後の熱収縮等の寸法変化が少なく、それ故、従来のポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光素子よりも寸法変化を極端に少なくすることができる。また、本発明で用いる延伸フィルムは、20〜500μmの比較的薄い厚さであっても、上記のような高いリタデーションを有する。このような延伸フィルムの素材として、特に、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは固有複屈折が大きく、延伸フィルムの厚さが比較的薄くても、比較的容易に高いリタデーションが得られるため、最も好適な素材である。

0016

延伸フィルム中の分子配向が高い程、つまりはリタデーションが高いほど、当該延伸フィルム上に塗布された二色性色素分子の配向が向上する。そのため、高い偏光度を有する偏光素子を得るには、高いリタデーションを有する延伸フィルムの使用が好ましい。上記の通り、本発明の偏光素子で用いられる延伸フィルムが有するリタデーションの範囲は、3000〜50000nmである。50000nmを超えるリタデーションを有する高分子フィルムは、硬直しやすく、フィルムの厚さも相応して厚くなり、その結果、工業材料としての取り扱い性が低下するため好ましくない。一方で、視認性の観点から、3000〜30000nmのリタデーションの範囲を有する延伸フィルムを用いることが好ましい。偏光サングラスなどの偏光板を通して表示画面を観察すると、強い干渉色を呈する特異的に良好な性能を有することが知られている。一方、3000〜30000nmのリタデーションの範囲であれば、このような干渉が現れず、良好な視認性を確保できる。しかしながら、リタデーションが3000nm未満では、偏光サングラスなどの偏光板を通して表示画面を観察すると、強い干渉色を呈するため、包絡線形状光源発光スペクトル相違し、その結果、良好な視認性を確保することができず、偏光素子の性能は低下してしまう。したがって、本発明の偏光素子で用いられる延伸フィルムのリタデーションの範囲は、3000〜50000nmであり、好ましいリタデーションの下限値は4500nm、より好ましい下限値は6000nm、更に好ましい下限値は8000nm、より更に好ましい下限値は10000nmであり、好ましいリタデーションの上限値は30000nmである。

0017

本発明の偏光素子に用いられる延伸フィルムの製造方法は、本発明で規定した延伸フィルム特性を満足する限り、特に限定されるものではない。また、使用される延伸フィルムとしては、例えば、特開2012−230390号公報、特開2012−256014号公報に記載されているフィルムや、東洋紡社製のポリエチレンテレフタレートフィルムであるコスシャイン(超複屈折タイプフィルム(SRFフィルム))が挙げられ、このような延伸フィルムの使用により、フィルム表面に分子異方性が発現し、二色性色素分子を配向させることができる。フィルムが延伸された状態とは、フィルム表面における二色性色素分子の配向に関して異方性が発現し、リタデーションが発現した状態になっていることを指す。この異方性の発現は、X線測定による回折測定、位相差測定、異方性IR吸光分析などにより測定することができる。特に、「Alexxander,L.E.Diffraction Methodsin polymer Science New York」1969年,Chapter 4, p.241−252に記載のfcの算出方法によって得られる配向係数において、fcが0.3以上であればよく、0.5以上であれば好ましく、0.7以上がより好ましく、0.9以上が特に好ましい。フィルムの延伸方法は、異方性が発現すれば特に限定されるものではないが、特に、一軸延伸されたフィルムを用いることにより、引き続き二色性色素を含有する溶液の塗布において、二色性色素分子はその延伸方向に高い配向を示し、その結果、高い偏光度を示す偏光素子を得ることができる。

0018

本発明において、リタデーション(位相差値)とは、フィルム上の二軸屈折率の異方性とフィルムの厚みとの積で定義されるパラメーターであり、光学的等方性、異方性を示す尺度である。そのため、このリタデーションは、二軸方向の屈折率と厚みを測定することにより求めることが可能であり、例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器社製)等の市販の自動複屈折測定装置を用いて求めることができる。

0019

基材としての上記延伸フィルムに、コロナ放電処理紫外線照射を行うことによって、後述する偏光素子の二色性が向上し、得られる偏光素子の偏光特性を高めることが可能である。コロナ放電処理は、コロナ放電処理を行う装置として、市販の各種コロナ放電処理機を用いることにより適用可能であり、特に、アルミヘッドを有するコロナ処理機の使用が好ましい。コロナ放電処理の条件は、1回当たりのコロナ放電処理に際しては、エネルギー密度として、20〜400W・min/m2、好ましくは50〜300W・min/m2程度である。また、1回のコロナ放電処理で不十分な場合には、2回以上コロナ放電処理を行ってもよい。紫外線照射も同様に、市販の各種紫外線照射装置を用いることにより適用可能である。使用する紫外線波長は、特に制限はないが、例えば300nm以下の遠紫外線が好ましい。また、紫外線照射は、酸素気流下で行なうことが好ましく、紫外線の照射時間は、長くても数分程度で十分である。

0020

(二色性色素)
本発明の偏光素子は、偏光機能を示す素子としての色素膜を形成するため、二色性色素を含有する層を有する。二色性色素を含有する層を形成するための材料として二色性色素を使用し、当該二色性色素は、それ自身又は集合体で一定方向に配列することにより偏光性を示す化合物である。このような二色性色素としては、例えば、アゾ系色素スチルベン色素ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素アントラキノン系色素等の色素系化合物等が挙げられる。本発明で用いられる二色性色素は、一定の溶媒組成色素濃度温度条件下でリオトロピック液晶性を示す化合物であり、例えば、入江正浩監修,「機能性色素の応用」,第1刷発行版,株式会社CMC,2002年6月,p.102−104に記載の二色性色素が挙げられる。また、二色性色素は、水溶性アゾ色素を用いることが好ましく、その中でも、芳香族環構造を有する化合物がより好ましい。芳香族系環構造としては、例えば、ベンゼンナフタリンアントラセンフェナントレンの他にチアゾールピリジンピリミジンピリダジンピラジン、キノリン等の複素環或いはこれらの4級塩、更にはこれらとベンゼンやナフタリン等との縮合環が挙げられ、特に、これらの芳香族系環にスルホン酸基、カルボン酸基、アミノ基、水酸基等の親水性置換基、又はスルホン酸基若しくはカルボン酸基の塩が導入されていることが好ましい。

0021

このような二色性色素の具体例として、例えば、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 41、C.I.Direct Orange 49、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 28、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 79、C.I.Direct Red 81、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Direct Violet 9、C.I.Direct Violet 35、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 57、C.I.Direct Blue1、C.I.Direct Blue 15、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 78、C.I.Direct Blue 83、C.I.Direct Blue 90、C.I.Direct Blue 98、C.I.Direct Blue 151、C.I.Direct Blue 168、C.I.Direct Blue 202、C.I.Direct Green 42、C.I.Direct Green 51、C.I.Direct Green 59、C.I.Direct Green 85、C.I.Direct Yellow 4、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 26、C.I.Direct Yellow 44、C.I.Direct Yellow 50、モルダトイエロー 26、C.I.No.27865、C.I.No.27915、C.I.No.27920、C.I.No.29058、C.I.No.29060等が挙げられ、さらに特開平1−161202号公報、特開平1−172906号公報、特開平1−172907号公報、特開平1−183602号公報、特開平1−248105号公報、特開平1−265205号公報、特開平9−230142号公報の各公報記載の二色性色素が挙げられる。

0022

上記の具体例に示した二色性色素の中でも、特に、以下の式(1)又は式(2)表される化合物が好ましく、特に、式(1)で表される化合物が好ましい。式(1)及び式(2)で表される化合物は、遊離酸又はその塩として存在する。当該遊離酸の塩は、特に限定されるものではなく、例えば、Li、Na、K等のアルカリ金属塩や、4級アンモニウム塩などの任意の塩であってよい。このような二色性色素を使用することにより、得られる偏光素子の偏光性能を向上させることができる。

0023

(式(1)中、
X1は、1つ若しくは2つのスルホン酸基と、水酸基若しくは1乃至3の炭素数を有するアルコキシ基を有するフェニル基またはナフチル基を表し、
X2及びX3は、それぞれ独立して、フェニレン基又はナフチレン基を表し、当該フェニレン基又はナフチレン基は、1乃至3の炭素数を有するアルキル基、1乃至3の炭素数を有するアルコキシ基、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選択される1種又は2種の置換基を1つ又は2つ有しており、
R1は、水素原子、1乃至3の炭素数を有するアルキル基、アセチル基、ベンゾイル基、或いは、非置換のフェニル基又は1乃至4の炭素数を有するアルキル基、1乃至4の炭素数を有するアルコキシル基、アミノ基若しくはスルホ基で置換されたフェニル基を表し、
mは、0又は1であり、
nは、1又は2である。)

0024

(式(2)中、
Y1は、スルホン酸基を1つ又は2つ有し、さらに水酸基又は1乃至3の炭素数を有するアルコキシ基を有していてもよいナフチル基を表し、
Y2及びY3は、それぞれ独立して、フェニレン基又はナフチレン基を表し、当該フェニレン基又はナフチレン基は、1乃至3の炭素数を有するアルキル基、1乃至3の炭素数を有するアルコキシ基、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選択される1種又は2種の置換基を1つ又は2つ有しており、
R2は、水素原子、1乃至3の炭素数を有するアルキル基、アセチル基、ベンゾイル基、或いは、非置換のフェニル基又は1乃至4の炭素数を有するアルキル基、1乃至4の炭素数を有するアルコキシル基、アミノ基若しくはスルホ基で置換されたフェニル基を表し、
フェニルアゾ基としての

は、末端ナフチル基の5位、6位、7位又は8位のいずれかに置換されており、
R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、スルホン酸基、1乃至3の炭素数を有するアルキル基又は1乃至3の炭素数を有するアルコキシ基を表し、
qは、0又は1であり、
pは、1又は2である。)

0025

上記式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、



等が挙げられる。

0026

また、式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、



等が挙げられる。

0027

式(1)又は式(2)で表される化合物の中でも、式(1)中のX1又は式(2)中のY1が、置換基として下記式(3)で表される化合物を有することによって、更に偏光性能を向上させることができ、特に、単独で高い二色比を有する点で、置換基として下記式(3)で表される化合物を有する式(1)で表される化合物の使用が好ましい。当該置換基も、式(1)及び式(2)で表される化合物と同様、遊離酸又はその塩として存在する。当該遊離酸の塩は、特に限定されるものではなく、例えば、Li、Na、K等のアルカリ金属塩や、4級アンモニウム塩などの任意の塩であってよい。

0028

(式(3)中、jは1又は2である。)

0029

本発明において用いられる上記の二色性色素は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。このような2種以上の二色性色素の併用は、特に限定されるものではないが、追加の二色性色素を使用することにより、二色性色素の二色比をさらに向上させることができる。

0030

次に、本発明の偏光素子の作製方法について説明する。本発明の偏光素子は、上述した基材としての延伸フィルムに上記の二色性色素を含有する溶液を塗布し、次いで乾燥させ、延伸フィルム上に二色性色素を含有する層を形成することにより作製される。形成された二色性色素を含有する層は、偏光機能を示すため、基材と二色性色素を含有する層からなる積層体を偏光素子として使用してもよく、当該二色性色素を含有する層の表面にさらに保護層等が積層された積層体を偏光素子として使用してもよい。

0031

基材としての延伸フィルムに二色性色素分子を配向させるため、二色性色素を含有する溶液(塗布液)を作製する。塗布液としての溶媒は、使用される二色性色素を溶解できれば、特に限定されるものではなく、例えば、水、アルコール類エーテル類、ピリジン、ジメチルホルムアミドDMF)、ジメチルスルフォキシドDMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルアセトアミドDMAC)、ジメチルイミダゾリンDMI)等が挙げられ、これらのうち、1種のみの溶媒が含まれていてもよく、或いは複数の溶媒が含まれていてもよい。特に、水溶性の二色性色素を使用する場合には、溶媒として、水又は水を主に含む上記有機溶剤との混合溶媒が好ましい。水に対する有機溶媒の水への混合量は任意であるが、水に対して0〜50質量%、特に0〜20質量%が好ましい。また、塗布液中の二色性色素の濃度は、好ましくは0.1〜25質量%、より好ましくは0.3〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。

0032

また、本発明の偏光素子は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなる化合物をさらに含む塗布液を用いて形成された二色性色素を含有する層を有することにより、偏光性能をさらに向上させることができる。二色性色素を含有する層がこのような化合物をさらに含むことにより、従来、基材上への色素膜の作製において、塗布時に生じていた塗工不良を改善することができる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、塗布液中のこれらの化合物の濃度は、0.001質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.01質量%〜2質量%、さらに好ましくは0.05質量%〜1.0質量%である。

0033

次に、この二色性色素を含有した溶液を、基材としての本発明の延伸フィルム表面に滴下し、コーター回転塗布法により、延伸フィルム上に均一の厚みを持つ二色性色素を含有する層、すなわち塗布膜を設ける。当該塗布膜を設ける方法は、当該二色性色素を含有する溶液を塗布することができれば、特に限定されるものではないが、例えば、二色性色素を含有する溶液に、本発明の延伸フィルムを浸漬させる方法、当該溶液をバーコーダー等で塗布する方法、家庭用途または商業用途で用いられるピエゾ方式サーマル方式バブルジェット登録商標)方式などのインクジェットプリンタ塗布装置で塗布する方法、スピンコータにて回転塗布させる方法、ロールコーター塗布、フレキソ印刷スクリーン印刷グラビア印刷カーテンコーター塗布、スプレイコーター塗布等が挙げられるが、特に、ロールコーター塗布、カーテンコーター塗布、スプレイコーターにて噴霧塗布する方法が好ましい。

0034

さらに、二色性色素の溶液を塗布した基材を乾燥し、固体状態の二色性色素の層を形成することにより、本発明の二色性色素を含む層が得られる。溶媒の種類、二色性色素の種類、塗布した二色性色素を含有する溶液の量、二色性色素の濃度などに応じて乾燥条件は異なるものの、乾燥温度は、5〜100℃、好ましくは10〜50℃であり、湿度は、20〜95%RH、好ましくは30〜90%RH程度がよい。

0035

本発明の二色性色素を含む層の厚さは、偏光特性の向上という観点から、薄い方が好ましく、例えば、0.001〜10μm、特に、0.05〜2μmであることが好ましい。また、このような厚さの範囲内にある本発明の二色性色素を含む層を形成するため、二色性色素を含有する溶液を塗布した塗布膜の厚さは、2〜10μmであることが好ましく、3〜5μmであることがより好ましい。

0036

また、二色性色素を含有する溶液を塗布した本発明の延伸フィルムは、さらに加熱処理及び/又は加湿処理を施してもよい。加熱処理及び/又は加湿処理を施すことによって、本発明の延伸フィルムへの二色性色素を含有する層の密着性、得られる偏光素子の偏光性能、二色比や耐久性を向上させることができる。加熱処理の温度は、室温〜110℃、好ましくは60〜90℃であり、加湿処理の湿度は、40〜95%RH、好ましくは50〜90%RH程度がよい。

0037

このようにして得られた本発明の偏光素子は、二色比(Rd)を有している。当該二色比は、一般的に、透過軸に沿った吸光度に対する吸収軸に沿った吸光度の比として定義される。本発明の偏光素子の二色比は、下記式(4)にて算出され、二色比が5以上あれば、偏光機能を発揮することを意味する。本発明の偏光素子の二色比は、5以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上ある。二色比が5未満になると、偏光度は65%未満となり、偏光素子としての機能が十分ではない。偏光素子の偏光度としては、通常、65%以上必要であり、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上がよい。偏光度とは、全光強度に対する偏光した成分の光強度の割合であり、偏光度が高いほど、偏光性能が高いことを意味する。下記式(4)において、Kyとは偏光光入射したした際に、最も光を透過する軸の透過率であり、Kzとは偏光光を入射した際に、最も光を吸収する軸の透過率である。

0038

0039

本発明の偏光素子の二色比をより向上させる方法としては、本発明における延伸フィルムの表面に対して、当該延伸フィルムの延伸軸と同一方向に、延伸フィルムの表面に付与された分子異方性よりも大きい分子異方性をさらに付与させることにより、二色比をさらに向上させることができる。延伸されたフィルムよりも大きい分子異方性を発現させる方法としては、例えば、延伸フィルムをラビングする方法が挙げられる。このようなラビングは、例えば、特開平06−110059号公報、特開2002−90743号公報に例示されている。延伸フィルムの表面の分子異方性の測定は、特に限定されるものではないが、例えば、液晶用配向膜アンカリング測定に用いられる測定方法によって計測される。また、このような分子異方性を測定する装置も、特に限定されるものではないが、例えば、MARITEX SCOTT社製 Lay Scan等を用いることができる。

0040

本発明の延伸フィルム上に、フィルムの長軸方向とは異なる角度、好ましくは10°〜100°に位相差の遅相軸又は進相軸を有するフィルムの表面に、長軸方向に分子異方性を示す位相差フィルムをさらに積層した偏光素子を作製することも可能である。このような位相差フィルムは、任意の角度に位相差の遅相軸又は進相軸を有する位相差フィルムの表面に、ラビング等により長軸方向に分子異方性を付与させることによって得られ、これにより偏光素子の偏光軸又は吸収軸を任意に制御することができる。つまり、フィルムの長軸方向に対して、その角度とは異なる角度に位相差の遅相軸又は進相軸を有し、長軸方向の表面に分子異方性を示すさらなる位相差フィルムを、本発明の延伸フィルム上に用いることによって、位相差軸としての遅相軸又は進相軸と、当該位相差軸とは異なる角度に吸収軸又は偏光軸を有する偏光素子を作製することが可能となる。当該位相差フィルムの当該位相差軸と、偏光素子の吸収軸又は偏光軸とのなす角度は、15°、45°、75°、90°のいずれかであることが最も好ましい。そのような角度が好ましい理由としては、一般的に、直線偏光を円偏光に制御したい場合、制御したい波長の長さに対して、1/4の位相差をもつフィルムを、偏光素子の吸収軸に対して45°に設置することが知られている。また、直線偏光の偏光軸を逆にする方法として、制御したい波長の長さに対して、1/2の位相差をもつフィルムを90°に設置することが知られている。当該フィルムを、偏光素子の吸収軸又若しくは偏光軸に対して15°又は75°に設置する理由としては、このような角度は、広範囲の波長に対して1/4の位相差を示す処方(一般的には広帯域アクロマティック位相差板とも呼ばれる)で用いられる軸角度であるからである。これにより、偏光素子の偏光軸又は吸収軸を任意に制御することが可能となる。

0041

上記のように作製された本発明の二色性色素を含有する層は、アモルファス結晶等の固体状態にあるものの、当該二色性色素を含有する層は、通常、機械的強度に劣るため、層の表面にレーキ処理、シランカップリング剤による架橋処理、又は保護層が設けられる。レーキとは、水溶性を示す二色性色素に金属イオンなどを電気的に結合させることである。二色性色素をレーキにすることをレーキ化若しくは不溶化などと呼ぶこともある。レーキに適した化合物としては、塩化アルミニウム塩化鉄塩化カルシウム塩化バリウム塩化ニッケル塩化マグネシウム塩化銅酢酸バリウム酢酸ニッケルなどが挙げられるが、二色性色素に金属イオンなどを電気的に結合させることができ、二色性色素が水に不溶化できるものであれば特に限定されるものではない。また、シランカップリング剤による架橋処理も特に限定されるものではなく、例えば、特開2011−53234号公報に記載されているようなシランカップリング剤を用いて、加熱により架橋処理をし、二色性色素を含有する層を固定化することができる。また、保護層は、通常、二色性色素を含有する層を紫外線硬化性熱硬化性の透明な高分子膜によるコーティング、あるいはポリエステルフィルム酢酸セルロースフィルム等の透明な高分子膜によるラミネート等の被覆法により設けられる。保護層は、ポリマーによる塗布層として、又は、フィルムのラミネート層として設けることができる。透明保護層を形成する透明ポリマー又はフィルムとしては、機械的強度が高く、熱安定性が良好な透明ポリマー又はフィルムが好ましい。透明保護層として用いる物質として、例えば、トリアセチルセルロースジアセチルセルロースのようなセルロースアセテート樹脂又はそのフィルム、アクリル樹脂又はそのフィルム、ポリ塩化ビニル樹脂又はそのフィルム、ナイロン樹脂またはそのフィルム、ポリエステル樹脂又はそのフィルム、ポリアリレート樹脂又はそのフィルム、ノルボルネンのような環状オレフィンモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂又はそのフィルム、ポリエチレンポリプロピレンシクロ系若しくはノルボルネン骨格を有するポリオレフィン又はその共重合体、主鎖若しくは側鎖がイミド及び/又はアミドの樹脂又はポリマー又はそのフィルムなどが挙げられる。また、透明保護層として、液晶性を有する樹脂又はそのフィルムを設けることもできる。保護層の厚さは、例えば、0.5〜200μm程度である。保護層となる樹脂又はフィルムを、偏光素子の片面又は両面に1層以上設けることができ、また、複数の保護層を使用する場合、これらの保護層は、同じであっても異なっていてもよい。

0042

本発明の偏光素子は、偏光サングラスやゴーグル等に用いることができる。さらに、本発明の偏光素子において、基材として上記の素材から作製した延伸フィルムを用いた場合、本発明の偏光素子の製造において、通常のポリビニルアルコール系フィルム基材を用いた場合に必要とされる二色性色素の吸着や、ホウ酸溶液中での延伸処理等を必要としない。そのため、基材の寸法変化がなく、収縮がない偏光素子を得ることができる。寸法変化がなく偏光素子を製造できることは、特に、フレキシブルディスプレイ有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ通称、OLED)などの表示装置の片面に偏光素子を設けることが必要なディスプレイには有効である。したがって、本発明の偏光素子をフレキシブルディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示装置に設けることができる。また、これまでの偏光素子の製造方法とは異なり、二色性色素の塗工に必要とされていた厳密な条件を課すこともなく、基材として、本発明の延伸フィルムに二色性色素を含有する溶液を塗布し、次いで乾燥し、基材上に二色性色素を含有する層を設けるだけで、容易に偏光素子を得られることから、本発明の偏光素子の製造は非常に簡易である。

0043

以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例に示す透過率の評価は以下のようにして行った。

0044

各波長の透過率及び二色比(Rd)は、分光光度計(日本分光社製:V−7100)を用いて測定した。このとき、二色性色素を含む層を1層で測定した際の各波長の透過率を透過率Tsとし、2つの二色性色素を含む層を、その吸収軸方向が同一となるように重ねた場合の透過率を平行位透過率Tpとし、2つの二色性色素を含む層をその吸収軸が直交するように重ねた場合の透過率を直交位透過率Tcとした。

0045

偏光度ρは、平行位透過率Tp及び直交位透過率Tcから、式(5)により求めた。

0046

0047

実施例1
10500nmのリタデーションを有し、厚さが100μmである延伸フィルム(東洋紡社製コスモシャインSRFフィルム)の非易接着処理面に、二色性色素としてC.I.Direct Blue 67を4質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(花王社製エマルゲンMS−110)を0.15質量部、水を100質量部含んだ溶液を、当該延伸フィルムとの間隔が3μmになるようにセットされたガラス棒を設けた塗工機を用いて塗布した。得られた塗布膜を25℃、湿度70%の環境で1分間放置し、溶媒を乾燥させた。さらに、乾燥させた塗布膜を60℃、湿度90%の環境で5分間加熱処理及び加湿処理し、厚さが0.15μmである二色性色素を含有する層を得た。得られた二色性色素を含有する層上に、アクリル樹脂系の紫外線硬化性の樹脂組成物(日本化薬社製 SPC−920C)を、硬化後の保護層の厚さ3μmになるようにスピンコータにて塗布し、次いで紫外線を照射することによって該樹脂組成物を硬化させ、二色性色素を含有する層上に保護層を設けた。このようにして得られた偏光素子を測定試料とした。

0048

実施例2
実施例1で用いた10500nmのリタデーションを有する延伸フィルムの非易接着処理面に、当該延伸フィルムの遅相軸に対して0°の方向に沿ってラビング布(妙中パイル織物社製 MK0012)を巻いたロールにより、100rpmの速度及び荷重5kgfの条件下で、さらにラビング処理を行った以外は、実施例1と同様にして、測定試料を作製した。このとき、延伸フィルムの遅相軸に対する角度は、KOBRA−21ADH(王子計測機器社製)によって測定した。

0049

実施例3
実施例1で用いた10500nmのリタデーションを有する延伸フィルムの非易接着処理面に、当該延伸フィルムの遅相軸に対して45°の方向に沿ってラビング布を巻いたロールによりでラビング処理を行った以外は、実施例2と同様にして、測定試料を作製した。

0050

実施例4
実施例1で用いた10500nmのリタデーションを有する延伸フィルムの非易接着処理面に、当該延伸フィルムの遅相軸に対して90°の方向に沿ってラビング布を巻いたロールによりラビング処理を行った以外は、実施例2と同様にして、測定試料を作製した。

0051

実施例5
基材として、実施例1で用いた10500nmのリタデーションを有する延伸フィルムに代えて、35000nmのリタデーションを有するポリエチレンテレフタレートの延伸フィルム(SKYGREEN PETG K2012(三菱商事プラスチック社製)を230℃にて溶融して100μmの膜厚になるように成型した未延伸のPETフィルムを、約4倍一軸延伸したフィルム)を用いた以外は、実施例1と同様にして、測定試料を作製した。

0052

実施例6
基材として、実施例1で用いた10500nmのリタデーションを有するフィルムに代えて、3500nmのリタデーションを有するポリエチレンテレフタレートの延伸フィルム(SKYGREEN PETG K2012(三菱商事プラスチック社製)を230℃にて溶融して100μmの膜厚になるように成型した未延伸のPETフィルムを、約2.1倍一軸延伸したフィルム)を用いた以外は、実施例1と同様にして、測定試料を作製した。

0053

比較例1
基材として、実施例1の延伸されたPETフィルムに代えて、SKYGREEN PETG K2012(三菱商事プラスチック社製)を230℃にて溶融して100μmの膜厚になるように成型した未延伸のPETフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、測定試料を作製した。

0054

比較例2
比較例1の未延伸のPETフィルムを、1.5倍に一軸延伸し、1000nmのリタデーションを有するフィルムとした以外は、実施例1と同様にして、測定試料を作製した。

0055

表1には、実施例1〜6、比較例1及び2で得られた試料を測定して得られた偏光度が最も高い波長でのTs、Tp、Tc、ρ、Rdを示す。

0056

0057

表1の結果から明らかなように、実施例1〜6におけるリタデーション値を有する延伸フィルムを用いた本発明の偏光素子は、高い偏光度(ρ)及び高い二色比(Rd)を示していることが分かる。

0058

一方、リタデーションを有さない未延伸フィルムを用いた比較例1、及びリタデーション値が本発明の規定外である比較例2では、いずれも偏光度(ρ)が65%未満であり、かつ二色比(Rd)も5未満であることから、偏光素子としての機能が十分でないことがわかる。

0059

以上の結果から、本発明の偏光素子は、85%以上の高い偏光度と、5以上の高い二色性を示している。さらに、本発明の偏光素子の製造において、通常のポリビニルアルコール系フィルム基材を用いた場合に必要とされる二色性色素の吸着や、ホウ酸溶液中での延伸処理等を必要としていないため、基材の寸法変化や収縮もなく偏光素子の製造が可能である。すなわち、本発明の偏光素子は、特定の基材と、二色性色素を含有する層とを積層しただけである。このことから、本発明の偏光素子は、偏光性能に優れ、簡便に製造可能な偏光素子であることがわかる。

0060

本発明の偏光素子は、従来の偏光素子のようなポリビニルアルコール樹脂フィルムを用いた偏光素子ではなく、特定のリタデーションを有する延伸された基材に二色性色素を含有する溶液を塗布することで偏光素子を作製できるため、従来の工程で必要であった膨潤、染色、延伸等のプロセスが不要であり、簡易に偏光素子を作製することができる。また、偏光機能を示す成分としては二色性色素のみで偏光素子の膜を作製することができるため、超薄膜な偏光素子を形成することが可能である。さらに、二色性色素を含有する溶液の塗布によって偏光素子を作製することができるため、従来の偏光板のような平板状の偏光素子の形状に限定されず、フィルム成形に合わせた曲面形状や球面形状の偏光素子を形成することも可能である。特に、従来の延伸フィルムは、延伸方向に対して垂直な偏光を通過させる偏光板しか形成できなかったものの、本発明の偏光素子は、ラビングされてなる基材に対して配向方向を任意に設定できるため、微細パターン状や任意の方向の偏光性を設けた偏光素子を形成することが可能である。

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