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技術 パルスレーダ装置

出願人 古河電気工業株式会社古河AS株式会社
発明者 石田祥之青柳靖矢野寛裕
出願日 2016年3月29日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2017-510029
公開日 2018年2月1日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 WO2016-158958
状態 特許登録済
技術分野 レーダ方式及びその細部
主要キーワード 検知目的 切替周波数 切替順序 信号切替スイッチ パルス繰返し周期 IQミキサ 方形パルス 切替周期
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題・解決手段

簡易回路構成信号処理によりローカル信号キャリアリークによる受信信号への影響を低減してマルチビーム方式で高精度な角度測定を可能とするパルスレーダ装置を提供する。対象物の角度測定を行うために、パルスレーダ装置(100)は2以上の受信アンテナ(121a〜121d)を備えており、受信アンテナ(121a〜121d)で受信された受信信号の選択を切り替えるために、受信回路(120)に信号切替スイッチ(123)を備えている。受信信号にはローカル信号のリーク成分が含まれており、信号切替スイッチ(123)の切り替えに伴って受信信号のDCレベルが変動する。このようなDCレベルの変動の影響を除去するために、ミキサ(125)と周波数分析器(126)との間にハイパスフィルタ(130a、130b)を配置している。

概要

背景

パルス信号放射電波として放射し、対象物反射された反射波を受信して処理することで、対象物を検知してその位置や相対速度等の対象物情報を取得するレーダ装置が知られている。対象物情報として、さらに対象物の角度も測定できるように構成されたモノパルス方式パルスレーダ装置も従来より知られている。対象物の角度測定が可能なパルスレーダ装置では、小型で安価な回路構成とするために、複数の受信アンテナからの受信信号切り替えて入力するための切替スイッチが受信回路に設けられている。このようなパルスレーダ装置は、例えば車両に搭載されて安全走行支援等に用いられている。

モノパルス方式のパルスレーダ装置では、複数の受信アンテナで受信したそれぞれの信号からその位相、もしくは振幅差を直接求め、この差分をデジタル信号処理部に入力して対象物の角度を検知している。マルチビーム方式では、検知目的に応じたビーム選択や合成等の処理をデジタル信号処理部で行うことで、必要とする情報を検知することが可能となっており、マルチビーム方式のパルスレーダ装置では、対象物の位置情報や角度の検知が可能となるだけでなく、マルチビームを用いて例えば指向性の制御や干渉波の除去あるいは対象物の追尾、などといった処理も、デジタル処理によって容易に行うことが可能となっている。

放射電波のパルス信号を生成する手段として、所定の高周波連続波(CW)信号(ローカル信号)を出力する連続波信号発生回路から連続波を入力し、これを高速RFスイッチを用いて所定時間だけ通過させることで、連続波信号をパルス信号に変調する手段が知られている。このようなパルス信号生成手段を用いたパルスレーダ装置では、連続波信号が漏洩(リーク)して不要なキャリアリークが発生し、これが対象物情報の測定に影響を及ぼすといった課題が知られている。

連続波信号のキャリアリークによる影響を低減するための従来の技術として、例えば特許文献1に開示された技術が知られている。特許文献1では、第1のローカル信号と、これと逆相の関係にある第2のローカル信号とをそれぞれ変調して合成することで、パルス信号を生成するとともに第1のローカル信号及び第2のローカル信号のそれぞれのリーク成分がお互いに打ち消し合うように構成されている。

概要

簡易な回路構成と信号処理によりローカル信号のキャリアリークによる受信信号への影響を低減してマルチビーム方式で高精度な角度測定を可能とするパルスレーダ装置を提供する。対象物の角度測定を行うために、パルスレーダ装置(100)は2以上の受信アンテナ(121a〜121d)を備えており、受信アンテナ(121a〜121d)で受信された受信信号の選択を切り替えるために、受信回路(120)に信号切替スイッチ(123)を備えている。受信信号にはローカル信号のリーク成分が含まれており、信号切替スイッチ(123)の切り替えに伴って受信信号のDCレベルが変動する。このようなDCレベルの変動の影響を除去するために、ミキサ(125)と周波数分析器(126)との間にハイパスフィルタ(130a、130b)を配置している。

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な回路構成と信号処理によりローカル信号のキャリアリークによる受信信号への影響を低減してマルチビーム方式で高精度な角度測定を可能とするパルスレーダ装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

2以上の受信アンテナで受信された受信信号をもとに対象物の角度を検知するマルチビーム方式パルスレーダ装置であって、所定の高周波連続波を出力する連続波発生回路と、前記連続波発生回路から前記連続波を入力してパルス信号変調する送信回路と、前記送信回路から出力される前記パルス信号を空間に放射する送信アンテナと、前記2以上の受信アンテナで受信された前記受信信号をそれぞれ増幅する2以上の受信増幅器と、前記2以上の受信増幅器で増幅された受信信号を入力して順次1つを選択して出力する信号切替スイッチと、前記信号切替スイッチから前記受信信号を入力して前記連続波発生回路から入力した前記連続波でベースバンド信号ダウンコンバートするミキサと、前記ミキサから出力されるベースバンド信号を入力して前記対象物の少なくとも角度を検知する周波数分析器と、を備え、前記連続波が漏洩して前記受信アンテナに受信されたリーク成分により生じる前記受信信号のDCレベルの変動を低減させるハイパスフィルタを前記ミキサと前記周波数分析器との間にさらに備えることを特徴とするパルスレーダ装置。

請求項2

前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数fcutは、前記2以上の受信アンテナが切り替えられる周波数より高いことを特徴とする請求項1に記載のパルスレーダ装置。

請求項3

前記パルス信号が前記送信アンテナから放射されるパルス繰り返し周期PRP、前記パルス繰り返し周期PRPのうち前記対象物の検知が可能な最大検知距離までの検知が行われる測定期間をTmeas、前記パルス繰り返し周期PRPのうち前記測定期間Tmeasが終了した後の測定期間外をTwait、及び前記信号切替スイッチによる信号切替が行われる信号切替周期をTsw、とするとき、前記信号切替スイッチの切り替えは前記測定期間外Twaitの期間中に行われ、以下の関係が成立するTsw=PRP=Tmeas+Twaitことを特徴とする請求項1または2に記載のパルスレーダ装置。

請求項4

前記信号切替スイッチから出力される受信信号を2つに分配する分配器をさらに備え、前記ミキサは、前記分配器で分配された2つの前記受信信号を入力してI成分とQ成分の前記ベースバンド信号にダウンコンバートするIQミキサであり、前記ハイパスフィルタは、前記信号切替スイッチと前記分配器との間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパルスレーダ装置。

請求項5

前記ハイパスフィルタは、コンデンサを有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパルスレーダ装置。

技術分野

0001

本発明は、パルスレーダ装置に関し、特に複数の受信アンテナで受信した信号から対象物の角度を測定することが可能なマルチビーム方式のパルスレーダ装置に関するものである。

背景技術

0002

パルス信号放射電波として放射し、対象物で反射された反射波を受信して処理することで、対象物を検知してその位置や相対速度等の対象物情報を取得するレーダ装置が知られている。対象物情報として、さらに対象物の角度も測定できるように構成されたモノパルス方式のパルスレーダ装置も従来より知られている。対象物の角度測定が可能なパルスレーダ装置では、小型で安価な回路構成とするために、複数の受信アンテナからの受信信号切り替えて入力するための切替スイッチが受信回路に設けられている。このようなパルスレーダ装置は、例えば車両に搭載されて安全走行支援等に用いられている。

0003

モノパルス方式のパルスレーダ装置では、複数の受信アンテナで受信したそれぞれの信号からその位相、もしくは振幅差を直接求め、この差分をデジタル信号処理部に入力して対象物の角度を検知している。マルチビーム方式では、検知目的に応じたビーム選択や合成等の処理をデジタル信号処理部で行うことで、必要とする情報を検知することが可能となっており、マルチビーム方式のパルスレーダ装置では、対象物の位置情報や角度の検知が可能となるだけでなく、マルチビームを用いて例えば指向性の制御や干渉波の除去あるいは対象物の追尾、などといった処理も、デジタル処理によって容易に行うことが可能となっている。

0004

放射電波のパルス信号を生成する手段として、所定の高周波連続波(CW)信号(ローカル信号)を出力する連続波信号発生回路から連続波を入力し、これを高速RFスイッチを用いて所定時間だけ通過させることで、連続波信号をパルス信号に変調する手段が知られている。このようなパルス信号生成手段を用いたパルスレーダ装置では、連続波信号が漏洩(リーク)して不要なキャリアリークが発生し、これが対象物情報の測定に影響を及ぼすといった課題が知られている。

0005

連続波信号のキャリアリークによる影響を低減するための従来の技術として、例えば特許文献1に開示された技術が知られている。特許文献1では、第1のローカル信号と、これと逆相の関係にある第2のローカル信号とをそれぞれ変調して合成することで、パルス信号を生成するとともに第1のローカル信号及び第2のローカル信号のそれぞれのリーク成分がお互いに打ち消し合うように構成されている。

先行技術

0006

特開2011−61824号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、特許文献1に開示された従来の技術では、第1のローカル信号と第2のローカル信号のそれぞれを変調させて合成するために、送信部にローカル信号発振器ミキサをそれぞれ2つずつ設け、さらに合成器を設ける必要がある。そのため、送信部の回路が大型化しコストも高くなるといった問題がある。

0008

また、切替スイッチで複数の受信アンテナからの受信信号を切り替えて処理すると、不要な連続波信号のリーク成分が受信アンテナの切替周波数で変動するといった問題が生じる。

0009

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な回路構成と信号処理によりローカル信号のキャリアリークによる受信信号への影響を低減してマルチビーム方式で高精度な角度測定を可能とするパルスレーダ装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上記課題を解決するため、本発明のパルスレーダ装置の第1の態様は、2以上の受信アンテナで受信された受信信号をもとに対象物の角度を検知するマルチビーム方式のパルスレーダ装置であって、所定の高周波の連続波を出力する連続波発生回路と、前記連続波発生回路から前記連続波を入力してパルス信号に変調する送信回路と、前記送信回路から出力される前記パルス信号を空間に放射する送信アンテナと、前記2以上の受信アンテナで受信された前記受信信号をそれぞれ増幅する2以上の受信増幅器と、前記2以上の受信増幅器で増幅された受信信号を入力して順次1つを選択して出力する信号切替スイッチと、前記信号切替スイッチから前記受信信号を入力して前記連続波発生回路から入力した前記連続波でベースバンド信号ダウンコンバートするミキサと、前記ミキサから出力されるベースバンド信号を入力して前記対象物の少なくとも角度を検知する周波数分析器と、を備え、前記連続波が漏洩して前記受信アンテナに受信されたリーク成分により生じる前記受信信号のDCレベルの変動を低減させるハイパスフィルタを前記ミキサと前記周波数分析器との間にさらに備えることを特徴とする。

0011

本発明のパルスレーダ装置の他の態様は、前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数fcutが、前記2以上の受信アンテナが切り替えられる周波数より高いことを特徴とする。

0012

本発明のパルスレーダ装置の他の態様は、前記パルス信号が前記送信アンテナから放射されるパルス繰り返し周期PRP、前記パルス繰り返し周期PRPのうち前記対象物の検知が可能な最大検知距離までの検知が行われる測定期間をTmeas、前記パルス繰り返し周期PRPのうち前記測定期間Tmeasが終了した後の測定期間外をTwait、及び前記信号切替スイッチによる信号切替が行われる信号切替周期をTsw、とするとき、前記信号切替スイッチの切り替えは前記測定期間外Twaitの期間中に行われ、以下の関係が成立することを特徴とする。 Tsw=PRP=Tmeas+Twait

0013

本発明のパルスレーダ装置の他の態様は、前記信号切替スイッチから出力される受信信号を2つに分配する分配器をさらに備え、前記ミキサは、前記分配器で分配された2つの前記受信信号を入力してI成分とQ成分の前記ベースバンド信号にダウンコンバートするIQミキサであり、前記ハイパスフィルタは、前記信号切替スイッチと前記分配器との間に配置されていることを特徴とする。

0014

本発明のパルスレーダ装置の他の態様は、前記ハイパスフィルタは、コンデンサを有していることを特徴とする。

発明の効果

0015

本発明によれば、簡易な回路構成と信号処理によりローカル信号のキャリアリークによる受信信号への影響を低減してマルチビーム方式で高精度な角度測定を可能とするパルスレーダ装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0016

本発明の第1実施形態に係るパルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。
送信パルス繰り返し周期を1μsとしたときの受信信号の一例を示す時間波形図である。
完全な方形パルスの一例を示す時間波形図である。
完全な方形パルスのスペクトラム図である。
完全な方形パルスでローカル信号を変調したときのスペクトラム図である。
ハイパスフィルタを用いてDC成分の変動を除去したときの受信信号の一例を示す時間波形図である。
測定期間及び測定期間外と信号切替スイッチによる信号切替タイミングとの関係を示す図である。
積分処理に必要な回数送信信号からの測定データが得られるまで信号切替スイッチによる信号切替を行わないようにした一例を示す図である。

実施例

0017

本発明の好ましい実施の形態におけるパルスレーダ装置について、図面を参照して詳細に説明する。同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。

0018

(第1実施形態) 本発明の第1の実施の形態に係るパルスレーダ装置を、図1を用いて以下に説明する。図1は、本実施形態のパルスレーダ装置100の構成を示すブロック図である。パルスレーダ装置100は、連続波である高周波のローカル信号を出力するローカル信号発生器(連続波発生回路)111を備えている。また、送信側に送信回路112と送信アンテナ113が設けられている。

0019

一方受信側には、対象物で反射された反射波を受信するための受信アンテナが121a、121b、121c、121dの4つ設けられており、それぞれで受信された受信信号が受信回路120に入力される。受信回路120は、4つの受信アンテナ121a、121b、121c、121dで受信された受信信号をそれぞれ増幅するための4つの受信増幅器122a、122b、122c、122dと、受信信号の選択を切り替えるための信号切替スイッチ123と、信号切替スイッチ123で選択された受信信号を2つに分配するための分配器124と、分配器124から出力される2つの受信信号をローカル信号発生器111から入力したローカル信号でダウンコンバートしてI成分とQ成分のベースバンド信号を出力するIQミキサ125と、IQミキサ125からI成分とQ成分のベースバンド信号を入力してデジタル処理により対象物情報を検知する周波数分析器126と、を備えている。 なお、分配器124を設けずに、信号切替スイッチから受信信号をミキサに入力して、連続波発生回路から入力した連続波でベースバンド信号にダウンコンバートしても良い。

0020

IQミキサ125は、第1ミキサ125a、第2ミキサ125b及び移相器125cを有している。移相器125cは、ローカル信号発生器111から入力したローカル信号の位相を変更せずにそのまま出力する信号と、位相を90°だけ変更して出力する信号の2つの信号を出力する。位相を変更しない信号は第1ミキサ125aに入力され、位相を90°変更した信号は第2ミキサ125bに出力される。これにより、第1ミキサ125aからはI成分のベースバンド信号が出力され、第2ミキサ125bからはQ成分のベースバンド信号が出力される。

0021

周波数分析器126は、IQミキサ125から入力したベースバンド信号のI成分とQ成分を用いて、対象物の位置、相対速度及び角度の情報を検知する。4つの受信アンテナで受信した信号をそれぞれダウンコンバートしたベースバンド信号のI成分とQ成分を用いることで、対象物情報を高精度に検知することが可能となっている。なお、本実施形態ではIQミキサ125を用いて受信信号をダウンコンバートしているが、これに限定されず、例えばI成分に相当するベースバンド信号のみを出力するミキサを用いてもよい。

0022

本実施形態のパルスレーダ装置100は、マルチビーム方式で対象物の角度を測定するために2以上の受信アンテナを備えるものとするが、ここでは一例として受信アンテナ121の個数を4(それぞれ121a、121b、121c、121d)としている。4つの受信アンテナ121a、121b、121c、121dに対応させて、それぞれの受信信号を増幅するために受信増幅器122も4つ設けている(それぞれ122a、122b、122c、122d)。さらに、4つの受信アンテナ121a、121b、121c、121dで受信された受信信号を順次選択して処理するために、受信信号の選択を切り替えるための信号切替スイッチ123が設けられている。

0023

上記のように構成されたパルスレーダ装置100は、対象物情報を検知するために以下のように動作する。まず、ローカル信号発生器111から出力されたローカル信号が送信回路112に入力され、ここで高周波のパルス信号に変調される。送信回路112は、例えば高速RFスイッチを備える構成とすることができ、高速RFスイッチを用いて連続波のローカル信号をパルス信号に変調させることができる。

0024

送信回路112から出力されたパルス信号は送信アンテナ113に伝送され、放射電波として送信アンテナ113から空間に放射される。送信アンテナ113の放射方向に対象物があると、放射電波が対象物で反射され、反射波の一部が受信アンテナ121a、121b、121c、121dで受信される。受信アンテナ121a、121b、121c、121dで受信された受信信号は、それぞれ受信増幅器122a、122b、122c、122dで増幅されて信号切替スイッチ123に伝送される。信号切替スイッチ123に伝送された4つの受信信号は、いずれか1つが選択されて信号切替スイッチ123を通過する。

0025

信号切替スイッチ123から出力されるいずれか1つの受信信号は、分配器124に入力されて2つの受信信号に分配され、それぞれIQミキサ125の第1ミキサ125a及び第2ミキサ125bに入力される。第1ミキサ125a及び第2ミキサ125bでは、それぞれ入力された受信信号がベースバンド信号にダウンコンバートされ、それぞれからI成分のベースバンド信号及びQ成分のベースバンド信号が出力される。

0026

IQミキサ125から出力されたベースバンド信号のI成分及びQ成分は、周波数分析器126に入力される。このように、4つの受信アンテナ121a、121b、121c、121dで受信された信号が信号切替スイッチ123で順次選択され、それぞれのI成分及びQ成分のベースバンド信号が周波数分析器126に入力され対象物情報の検知処理が行われる。周波数分析器126では、対象物の位置や相対速度の情報に加えて、パルスレーダ装置100から見た対象物の角度が検知される。

0027

本実施形態のパルスレーダ装置100では、マルチビーム方式で対象物の角度を測定するために、4つの受信アンテナ121a、121b、121c、121dを備える構成としているが、受信回路120を小型安価な回路構成とするために、信号切替スイッチ123を用いて4つの受信アンテナ121a、121b、121c、121dで受信した受信信号を順次切り替えて処理するようにしている。信号切替スイッチ123を用いることにより、分配器124やIQミキサ125を1系統だけ設ければよく、これにより受信回路120を小型安価な回路構成とすることができる。

0028

一方、対象物の角度測定を高精度に行うためには、受信アンテナ間受信時間差をできるだけ少なくする必要がある。そこで、送信アンテナ113から送信パルスが放射される毎に信号切替スイッチ123を受信アンテナ121a、121b、121c、121dに順次切り替えるのが好ましく、これにより受信アンテナ121a、121b、121c、121dでそれぞれ受信された受信信号の時間差を少なくすることができる。但し、信号切替スイッチ123の切替周期及び切替順序をこれに限定するものではなく、例えば送信パルスが所定回数放射される毎に切り替えるようにしてもよい。

0029

また、送信回路112では、ローカル信号発生器111から連続波のローカル信号を入力し、これを例えば高速RFスイッチを用いてパルス信号に変調しているが、連続波を用いているためにリークしてキャリアリークが発生し、このキャリアリークが受信アンテナ121a、121b、121c、121dで受信されて受信回路120に到達してしまう。このキャリアリークが受信回路120に到達するまでの経路は、各受信アンテナで異なっている。その結果、受信アンテナ121a、121b、121c、121dで受信された受信信号のそれぞれに含まれるリーク成分のレベルが異なることになり、IQミキサ125でダウンコンバートした後の信号の直流(DC)レベルが、受信アンテナ121a、121b、121c、121d毎に異なる。

0030

上記のように、受信アンテナ121a、121b、121c、121dのそれぞれで受信した受信信号に含まれるリーク成分のレベルが異なるため、ダウンコンバート後の受信信号のDCレベルが、信号切替スイッチ123の切替周波数で変動することになる。一例として、送信パルスの繰り返し周期を1μs(繰り返し周波数MHz)としたときの受信信号を図2に示す。同図は、IQミキサ125でダウンコンバートされた後のベースバンドの受信信号の一例を模式的に示している。信号切替スイッチ123は、送信パルスの繰り返し周期と同じ1μs毎に切り替えられるものとしている。

0031

図2において、符号10は受信信号のDCレベルを示しており、符号11は送信パルスが対象物で反射された反射波を受信して得られる受信信号を示している。周波数分析器126では、受信信号11を検知して対象物情報を取得している。これに対し、DCレベル10は、信号切替スイッチ123が切り替えられる毎に変化しており、対象物情報の検知には不要な信号である。DCレベル10は、受信アンテナ121a、121b、121c、121dが切り替えられる周期の4μs毎に同じパターンで変化しており、その周波数は250kHzとなる。このようなリーク成分による受信信号のDCレベルの変動は、対象物情報の検知に影響を与えることになる。

0032

そこで、本実施形態のパルスレーダ装置100では、リーク成分による受信信号のDCレベルの変動の影響を除去するために、信号切替スイッチ123の切替周波数に対応したハイパスフィルタを用いている。図1に示すパルスレーダ装置100の構成において、ハイパスフィルタ130(130a、130b)はIQミキサ125と周波数分析器126との間に配置される。ハイパスフィルタ130は、ベースバンドの低周波信号を処理するために、IQミキサ125の下流側に配置する。

0033

ここで、送信回路112から出力されるパルス信号が完全な方形パルス(矩形波)であると仮定したときの放射電波のスペクトラムについて説明する。完全な方形パルスの時間波形の一例を図3に示す。図3は、横軸を時間とし縦軸振幅としたときの完全な方形パルス20の時間波形を示している。ここで、完全な方形パルスのパルス幅を2Lとしている。このとき、完全な方形パルスのスペクトラムは、図4のようになる。図4では、横軸を周波数とし、縦軸を振幅としている。同図に示すスペクトラムは、サンプリング周期T毎のスペクトル線を包絡したものである。完全な方形パルスのスペクトラムは、無限次の高周波成分まで加算することで形成される。

0034

図4に示すスペクトラムのスペクトル線は、サンプリング周期Tの逆数である1/Tの周波数間隔毎に出現する。同図に示すように、完全な方形パルスでは周波数が0のDC成分の振幅が最も大きくなる。以下、スペクトル線の振幅は、振動しながら高周波になるほど低減していく。

0035

つぎに、図3、4に示した完全な方形パルスで搬送波であるローカル信号を変調したときのスペクトラムを図5に示す。ここで、中心周波数fcはローカル信号の周波数に相当する。パルス信号が送信アンテナ113から放射されるパルス繰り返し周波数PRFとすると、スペクトラムのスペクトル線はPRF毎に出現する。すなわち、パルス信号の放射周期がサンプリング周期Tとなっている。

0036

完全な方形パルスで変調されたローカル信号は、中心周波数fcを中心にスペクトラムの広がりが見られる。また、パルス信号のパルス幅はパルス繰り返し周期(1/PRF)に比べて十分に短いことから、パルス幅の逆数に相当する周波数幅に多数本のスペクトル線が得られる。パルスレーダ装置100は、このようなパルス繰り返し周波数PRF毎に出現するスペクトル線を処理することで、対象物情報を取得することができる。反射波を受信した受信信号の信号成分は、図5に示すスペクトル線に相当する中心周波数fcから数十〜数百MHzの範囲の周波数を有している。

0037

これに対し、ローカル信号のリーク成分による受信信号のDCレベルの変動は、信号切替スイッチ123の切替周波数に対応した周波数の位置にスペクトラムを出現させる。DCレベルの変動により出現するスペクトラムは、図2に示すように、送信パルスの繰り返し周期を1μs(繰り返し周波数1MHz)としたときには250kHzの周波数の位置に形成される。そこで、このようなDCレベルの変動の影響を除去するように、ハイパスフィルタ130のカットオフ周波数を設定すればよい。ハイパスフィルタ130として、例えばコンデンサによるAC結合を用いることができる。なお、ハイパスフィルタ130での緩和振動激しく不要波を抑圧しきれない場合は、緩和振動が収まるタイミングでサンプリングするようにすることで、緩和振動の影響を回避することができる。

0038

ハイパスフィルタ130のカットオフ周波数fcutは、2以上の受信アンテナが切り替えられる周波数より高いことが好ましい。さらに好ましくは、下記の条件を満たすように設定されることが望ましい。 fcut < N×PRF+fd (1) ここで、 fd:検出される最大のドップラ周波数PRF:パルス繰り返し周波数N=1、2、3、・・・ を示す。

0039

また、ドップラ周波数fdは、次式で算出することができる。 fd=−2fc×V/c (2) ここで、 fc:搬送波(ローカル信号)の周波数V:対象物の相対速度[m/s] c:光速[m/s]を示す。

0040

パルスレーダ装置100が車載用レーダとして用いられる場合、対象物の相対速度Vは最大でも84[m/s](約300[km/h]程度であることから、ダウンコンバート後のリーク成分のドップラ周波数は、例えば24GHz帯の搬送波を用いたときは15kHz以下となり、79GHz帯の搬送波を用いたときは45kHz以下となる。

0041

式(1)は、ハイパスフィルタ130でN×PRF+fd以上の周波数成分が除去されない(ハイパスフィルタ130を通過させる)ようにすることを要求している。すなわち、受信信号のうちN×PRF+fd以上の周波数成分を、対象物情報の検知に用いることを示している。反射波を受信した受信信号の信号成分は、数十〜数百MHzであり、これに上記のドップラ周波数を考慮してもやはり数十〜数百MHzとなる。これに対し、リーク成分によるDCレベルの変動の基本周波数は250kHz以下であることから、DCレベルの変動のみを除去するようにハイパスフィルタ130のカットオフ周波数を設定することは容易に行える。

0042

ハイパスフィルタ130でDCレベルの変動の基本周波数である250kHz以下の信号を除去するには、カットオフ周波数を250kHz以上でかつ式(1)でN=1とした周波数より小さくすればよい。また、DCレベルの変動の基本周波数だけでなく高次の周波数の変動も除去できるようにするために、反射波を受信した信号成分の周波数より低い範囲で、Nを2以上としてカットオフ周波数を好適に設定することができる。ハイパスフィルタ130を用いてDCレベルの変動を除去したときの受信信号の時間波形の一例を図6に示す。同図に示すハイパスフィルタ130を用いたときの時間波形は、図2に示したハイパスフィルタ130を用いないときの時間波形に比べてDCレベルがほぼ一定になることが示されている。Nは、後述の信号切替スイッチによる微分波形緩和時間とのトレードオフ関係にあり、最適値を調整する必要がある。

0043

ところで、ハイパスフィルタ130は微分回路であることから、信号切替スイッチ123により受信信号を切り替えたとき、受信信号に微分波形が重畳されてしまう。図6に示した時間波形は、受信信号に微分波形が重畳されたときの一例である。同図には、信号切替スイッチ123の切り替え時に、符号12に示すような微分波形が受信信号に重畳されている。このような微分波形は対象物情報の検知に影響する不要な信号であることから、これを回避するために信号切替スイッチ123による信号切替のタイミングを調整するのがよい。そこで、信号切替スイッチ123による信号切替タイミングが対象物を検知しない測定期間外となるように調整した一例を、図6、7を用いて以下に説明する。

0044

パルスレーダ装置100の最大検知距離を例えば75mとした時、パルス信号を送信アンテナ113から放射して受信アンテナ121a、121b、121c、121dで反射波を受信するまでにおよそ500nsの時間を要する。従って、パルス繰り返し周期が1μsのときは、パルス繰り返し周期1μsのうち前半の500nsの期間に対象物の検知が行われ、後半の500nsは測定期間外となる。

0045

そこで、信号切替スイッチ123による受信信号の切り替えを、パルス繰り返し周期1μsのうち対象物の検知が行われない後半の500nsの期間に行うようにする。信号切替スイッチ123の切り替えを後半の500nsの期間に行うようにした一例を図6に示す。同図に示すように、対象物情報の検知に必要な反射波の受信信号は測定期間内に出現する一方、信号切替スイッチ123の切り替えに伴う不要な微分波形は測定期間外に出現している。周波数分析器126では測定期間内の受信信号のみを処理することから、不要な微分波形が対象物情報の検知に影響を与えるおそれはなくなる。

0046

図6に示した測定期間及び測定期間外と信号切替スイッチ123による信号切替タイミングとの関係を、図7を用いてさらに詳細に説明する。図7において、PRP(=1/PRF)はパルス繰り返し周期、Tmeasは測定期間、Twaitは測定期間外、Tswは信号切替周期、をそれぞれ表しており、Tsw=Tmeas+Twaitとなっている。信号切替スイッチ123による信号切替タイミングは図中▼で示されており、この信号切替タイミングが測定期間外Twaitの期間中にあることが示されている。信号切替タイミング毎に受信アンテナが121a→121b→121c→121dに順次切り替えられ、その後再び121aに戻ることが示されている。なお、受信アンテナの切替順序は上記に限定されるものではなく、任意に設定できる。

0047

図6、7に示した一例では、受信アンテナ121a、121b、121c、121dからの信号を送信信号が放射される1測定毎に切り替えるものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、受信信号の感度向上のために各アンテナからの信号を積分処理する場合には、図8に例示するように、積分処理に必要な回数の送信信号からの測定データが得られるまで、信号切替スイッチ123による信号切替を行わないようにすることができる。この場合には、各アンテナからの信号の積分処理が終了した次のパルス繰り返し周期PRPを測定期間外とし、この測定期間外の期間中に信号切替スイッチ123による信号切替を行い、さらに次のパルス繰り返し周期から切替後アンテナ信号に対する積分処理を開始する。これにより、信号切替スイッチ123の切替に伴う不要信号の影響を回避することができる。これに加えて、各パルス繰り返し周期PRPの期間中に測定期間Tmeasと測定期間外Twaitの両方を設けないようにすることで、パルス繰返し周期PRPを短縮することができ、FFTにより算出される相対速度のダイナミックレンジを拡大することが可能となる。

0048

上記説明のように、本実施形態のパルスレーダ装置では、簡易な回路構成と信号処理によりローカル信号のキャリアリークによる受信信号への影響を低減してマルチビーム方式で高精度な角度測定を行うことが可能となる。

0049

なお、本実施の形態における記述は、本発明に係るパルスレーダ装置の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態におけるパルスレーダ装置の細部構成及び詳細な動作などに関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。

0050

100パルスレーダ装置111ローカル信号発生器112送信回路113送信アンテナ120受信回路121a、121b、121c、121d受信アンテナ122a、122b、122c、122d受信増幅器123信号切替スイッチ124分配器125IQミキサ125a 第1ミキサ125b 第2ミキサ 125c移相器126周波数分析器130 ハイパスフィルタ

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