図面 (/)
課題・解決手段
概要
背景
柑橘類では、果皮に傷が付いた際に、その傷から菌が入り込み、雨や露などにより長期にわたり果皮表面が濡れた状態となり、また、25度前後の環境温度の条件下において、水腐れ病と呼ばれる症状が現れることがある。
水腐れの具体的症状としては、柑橘類の果皮が膨潤したような状態となり、発生部位から腐敗が果皮の広範囲に拡大し、カビが生じたり、乾燥腐れとなったりすることもある。
このため、水腐れの生じた柑橘類を、正常品と混載梱包した場合、正常品まで腐敗させてしまう恐れがあることから、商品の品質を確保するためにも、水腐れの生じた個体を、選果段階で排除することが望まれている。
水腐れの初期症状とも言える果皮の傷、特に発生直後の生傷については、特許文献1,2に開示されるように、紫外線照射により、可視領域の蛍光を発する物質由来の特定蛍光波長を検出することによる画像検査が行われている。
このような水腐れ、カビ及び乾燥腐れの初期症状である果皮の傷を検出することで、選果工程において不良品の流出をある程度防ぐことはできるが、例えば、選果工程の時点で既に水腐れが生じてしまっている青果物の場合、水腐れが進むにつれて果皮が膨らむことで、果皮表面の傷が隠れてしまい、特許文献1,2に開示されるような画像検査では水腐れの生じた青果物を検出することができないことがある。
また、水腐れ、カビ及び乾燥腐れの有無を検査する方法としては、例えば、特許文献3に開示されるように、青果物に対して、ハロゲンランプ等の照明ランプより光を照射し、青果物からの反射光を撮像用カメラによって撮像することで、青果物の変色又は腐敗した部分の有無を検出する方法が知られている。
また、特許文献4に開示されるように、青果物の下方から投光手段により検査用光を照射するとともに、上方に配置されたCCDカメラにより青果物を撮像し、画像に含まれる3原色(R,G,B)の各々が示す画像信号を利用して、腐敗部の存否により透過光の光量の差が画像信号の差異として現れやすいR信号と、現れにくいG信号、B信号との差分値に基づき、腐敗部の存否を検出する方法も知られている。
概要
[課題]青果物の果皮表面及び果皮内部に存在する水腐れや乾燥腐れなどの異常を正確に検出し、また、微小な水腐れであっても検出することができる青果物検査装置を提供する。[解決手段]青果物に対して検査光を照射する投光手段と、検査光により青果物を撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された青果物の検査画像に基づき、青果物の異常の有無を検出する解析手段とを備え、投光手段は、少なくとも水の吸収波長を含む光が照射可能であり、解析手段は、水の吸収波長の光に基づく検査画像を用いて、青果物の異常の有無を検出する。
目的
このため、水腐れの生じた柑橘類を、正常品と混載梱包した場合、正常品まで腐敗させてしまう恐れがあることから、商品の品質を確保するためにも、水腐れの生じた個体を、選果段階で排除することが望まれている
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
青果物の異常の有無を判別するための青果物検査装置であって、前記青果物に対して検査光を照射する投光手段と、前記検査光により前記青果物を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された前記青果物の検査画像に基づき、前記青果物の異常の有無を検出する解析手段と、を備え、前記投光手段は、少なくとも水の吸収波長を含む光が照射可能であり、前記解析手段は、前記水の吸収波長の光に基づく検査画像を用いて、前記青果物の異常の有無を検出するように構成されていることを特徴とする青果物検査装置。
請求項2
請求項3
請求項4
前記撮像手段は、前記投光手段から照射された検査光が前記青果物を透過した透過光により、前記青果物の検査画像を撮像することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の青果物検査装置。
請求項5
技術分野
背景技術
0002
柑橘類では、果皮に傷が付いた際に、その傷から菌が入り込み、雨や露などにより長期にわたり果皮表面が濡れた状態となり、また、25度前後の環境温度の条件下において、水腐れ病と呼ばれる症状が現れることがある。
0004
このため、水腐れの生じた柑橘類を、正常品と混載梱包した場合、正常品まで腐敗させてしまう恐れがあることから、商品の品質を確保するためにも、水腐れの生じた個体を、選果段階で排除することが望まれている。
0005
水腐れの初期症状とも言える果皮の傷、特に発生直後の生傷については、特許文献1,2に開示されるように、紫外線照射により、可視領域の蛍光を発する物質由来の特定蛍光波長を検出することによる画像検査が行われている。
0006
このような水腐れ、カビ及び乾燥腐れの初期症状である果皮の傷を検出することで、選果工程において不良品の流出をある程度防ぐことはできるが、例えば、選果工程の時点で既に水腐れが生じてしまっている青果物の場合、水腐れが進むにつれて果皮が膨らむことで、果皮表面の傷が隠れてしまい、特許文献1,2に開示されるような画像検査では水腐れの生じた青果物を検出することができないことがある。
0007
また、水腐れ、カビ及び乾燥腐れの有無を検査する方法としては、例えば、特許文献3に開示されるように、青果物に対して、ハロゲンランプ等の照明ランプより光を照射し、青果物からの反射光を撮像用カメラによって撮像することで、青果物の変色又は腐敗した部分の有無を検出する方法が知られている。
0008
また、特許文献4に開示されるように、青果物の下方から投光手段により検査用光を照射するとともに、上方に配置されたCCDカメラにより青果物を撮像し、画像に含まれる3原色(R,G,B)の各々が示す画像信号を利用して、腐敗部の存否により透過光の光量の差が画像信号の差異として現れやすいR信号と、現れにくいG信号、B信号との差分値に基づき、腐敗部の存否を検出する方法も知られている。
先行技術
0009
特開2003−14650号公報
特開2011−33612号公報
特開平9−24343号公報
特開2006−10511号公報
発明が解決しようとする課題
0010
しかしながら、特許文献3に開示された方法では、撮像用カメラにより撮像された画像の彩度、色度、明度を用いて検査を行うため、柑橘類の青カビなどのように可視光に変化を生じる不良については適しているが、水腐れや乾燥腐れのように、正常部位と腐敗部位とに彩度、色度、明度の差がほとんど生じない場合には、正確な判別が困難であり、腐敗品を正常品と判断してしまうことがあった。
0011
また、特許文献4に開示された水腐れ検出方法では、CCDカメラにより可視光に基づく画像を撮影しており、画像に含まれるR信号は、約550nm〜700nmの波長域の平均的な光量を検出しているに過ぎない。
0013
本発明では、このような現状に鑑み、青果物の果皮表面及び果皮内部に存在する腐敗部や傷などの異常を正確に検出し、また、微小な水腐れであっても検出することができる青果物検査装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0014
本発明は、前述するような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、本発明の青果物検査装置は、
青果物の異常の有無を判別するための青果物検査装置であって、
前記青果物に対して検査光を照射する投光手段と、
前記検査光により前記青果物を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記青果物の検査画像に基づき、前記青果物の異常の有無を検出する解析手段と、を備え、
前記投光手段は、少なくとも水の吸収波長を含む光が照射可能であり、
前記解析手段は、前記水の吸収波長の光に基づく検査画像を用いて、前記青果物の異常の有無を検出するように構成されていることを特徴とする。
0015
この場合、前記撮像手段が、撮像素子としてInGaAsフォトダイオードを用いていることが好ましい。
0016
また、前記撮像手段は、前記投光手段から照射された検査光が前記青果物に反射した反射光により、前記青果物の検査画像を撮像することができる。
0017
また、前記撮像手段は、前記投光手段から照射された検査光が前記青果物を透過した透過光により、前記青果物の検査画像を撮像することができる。
発明の効果
0019
本発明によれば、水の吸収波長の光に基づく検査画像を用いることによって、可視光に基づく画像では判別しにくい、青果物の水腐れなどであっても、正常部位と腐敗部位とに明らかなコントラストを生じさせ、容易かつ正確に判別することができる。
図面の簡単な説明
0020
図1は、本発明の青果物検査装置の一実施例における構成を説明するための概略構成図である。
図2(a)は、青果物Sを可視光により撮像したグレースケール画像、図2(b)は、図2(a)の青果物Sについて、水の吸収波長として1200nmの光に基づく検査画像と、基準とする所定の吸収波長の光として1030nmの光に基づく検査画像とを比較した場合の解析画像である。
図3(a)は、青果物Sを可視光により撮像したグレースケール画像、図3(b)は、図3(a)の青果物Sについて、水の吸収波長として1160nmの光に基づく検査画像と、基準とする所定の吸収波長の光として1135nmの光に基づく検査画像との差をとった場合の解析画像である。
図4(a)は、青果物Sを可視光により撮像したグレースケール画像、図4(b)は、図4(a)の青果物Sについて、水の吸収波長として1200nmの光に基づく検査画像の2次微分を取った解析画像である。
図5は、図1の青果物検査装置を用いて、正常な青果物、水腐れを有する青果物、乾燥腐れを有する青果物について測定を行った際のスペクトルデータである。
図6は、本発明の青果物検査装置の別の実施例における構成を説明するための概略構成図である。
図7は、本発明の青果物検査装置のさらに別の実施例における構成を説明するための概略構成図である。
図8は、青果物Sとして、カビが生じた蜜柑について検査を行ったもので、図8(a)は可視画像、図8(b)は検査画像である。
図9は、青果物Sとして、果皮表面に乾燥キズが生じた蜜柑について検査を行ったもので、図9(a)は可視画像、図9(b)は検査画像である。
図10は、青果物Sとして、いわゆる押せ痕が生じた桃について検査を行ったもので、図10(a)は可視画像、図10(b)は検査画像、図10(c)は果皮をむいて果皮内部を確認できる状態にした青果物Sの可視画像である。
図11は、青果物Sとして、水果が生じた梨について検査を行った者で、図11(a)は可視画像、図11(b)は検査画像、図11(c)は果皮をむいて果皮内部を確認できる状態にした青果物Sの可視画像である。
実施例
0021
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
0022
図1は、本発明の青果物検査装置の一実施例における構成を説明するための概略構成図である。
0023
図1に示すように、本実施例の青果物検査装置10は、被測定対象である青果物Sに検査光を照射する投光手段12と、青果物Sに反射した検査光(反射光)により青果物Sを撮像する撮像手段14と、撮像手段14により撮像された青果物Sの検査画像に基づき青果物Sの腐敗部位を検出する解析手段16とを備えている。
0025
また、このような青果類Sとした場合、本実施例の青果物検査装置10では、例えば、柑橘類などに見られる水腐れ、梨などに見られる水果、桃、ビワ、スモモ、リンゴなどに見られる押せ痕などを検査することができる。
0026
ここで「水腐れ」とは、上述するように、果皮に傷が付いた際に、その傷から菌が入り込み、雨や露などにより長期にわたり果皮表面が濡れた状態で、25度前後の環境温度の条件下において現れる、果皮が膨潤したような状態となる症状である。
0028
また、「押せ痕」とは、青果物同士の接触などによって青果物表面に局部的な圧力が加わることで、青果物の果肉組織が破壊され、果皮と果肉の間に果肉組織から染み出した水分が存在する状態(いわば、人体でいう内出血の状態)が現れる症状である。
0029
なお、本実施例の青果物検査装置10は、このような障害の検査に限らず、例えば、果肉細胞が破壊されることで果皮表層及び/又は果皮下に現れる、水分の増減に関連する障害全般について検査することが可能である。
0030
投光手段12としては、900nm〜2000nmの近赤外光であって、水の吸収波長を含む光を照射可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ハロゲンランプやLED光源を用いることができる。なお、LED光源としては、白色光を照射するものであってもよいが、特定波長の光のみを照射するものとすることもできる。
0031
なお、水の吸収波長としては、960nm、1150nm、1450nm、1940nmが知られているが、水の吸収波長は特定波長ではなく、広い波長帯として存在していることから、水による吸収が確認できれば、多少前後した波長を利用しても構わない。
0032
撮像手段14としては、投光手段12により照射された波長の検査光に基づく画像を撮像可能なものであれば特に限定されるものではなく、エリアカメラ、ラインカメラ、イメージング分光器、マルチバンドカメラなどを用いることができる。特に、撮像手段14の撮像素子として、900nm〜2000nmの近赤外光を検出することができる、例えば、InGaAs、Ge、PbSなどのフォトダイオードを用いたものであることが好ましい。
0033
なお、青果物Sと撮像手段14との間に、所定の波長の光のみを透過するバンドパスフィルタ18を設けることもできる。
0035
本実施例の青果物検査装置10では、青果物Sに対して投光手段12より検査光を照射するとともに、青果物Sからの反射光を用いて撮像手段14により青果物Sを撮像して検査画像を取得している。
0036
検査画像の各画素値は、撮像手段14が受光した検査光の光量Lに基づいて決定することもできるが、本実施例では、下記式(1)で表すように、青果物Sからの反射光と、あらかじめ取得している入射光を照射し得られた標準体(例えば、グレーチャートなど)からの反射光との比率として算出された青果物Sの反射比に基づいて検査画像の各画素値を決定している。なお、下記式(2)で表すように、算出された反射比から見かけ上の吸光度に基づき画素値を決定するようにしてもよい。
0037
0038
0039
このように、標準体からの反射光Rrを基準とすることで、例えば、投光手段12が経年劣化するなどして光量が低下した場合にも、反射比Rはほぼ変動なく測定することができるため、長期間安定した検査を行うことができる。
0040
なお、反射比Rや見かけ上の吸光度Aに基づく検査画像の各画素値の決定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
0041
例えば、8ビット画像の場合、画素値は0〜255の値となるため、想定される反射比Rの最低値(撮像手段14の性能などに基づき適宜設定)が「0」、反射比Rの最高値である1が「255」となるように、各画素の反射比Rを換算すればよい。
0042
そして、この検査画像を、解析手段16により後述するように画像解析することで、青果物Sの腐敗部位を検出することができる。
0043
解析手段16における画像解析では、(1)複数の波長の光に基づく検査画像の比(2)複数の波長の光に基づく検査画像の差分(3)水の吸収波長の光に基づく検査画像の2次微分のいずれかを行うことによって、検査画像における腐敗部位を明瞭にした解析画像を生成し、腐敗部位を検出している。
0044
なお、これらの画像解析は、青果物Sの腐敗部位が、正常部位と比べて水分量が多くなることから、水の吸収波長の光が腐敗部位に吸収され、撮像手段14により撮像した際に、正常部位と比べて腐敗部位の光量が低下することに基づいている。
0045
以下、各画像解析について詳細に説明する。
0046
(1)複数の波長の光に基づく検査画像の比では、水の吸収波長λ1の光に基づく検査画像と、基準とする所定の吸収波長λ2の光に基づく検査画像とを用いて、下記式(3)に示すように、画素毎に光量の比を取ることにより、腐敗部位を特定している。
0047
0048
ここで、Xは光量L、反射比R、見かけ上の吸光度Aのいずれかである。
0049
図2に、検査画像の比をとった場合の解析画像の一例を示す。
0050
図2(a)は、青果物Sを可視光により撮像したグレースケール画像、図2(b)は、図2(a)の青果物Sについて、水の吸収波長として1200nmの光に基づく検査画像と、基準とする所定の吸収波長の光として1030nmの光に基づく検査画像との比をとった場合の解析画像である。
0051
図2(a)に示すように、可視光により撮像した場合には、正常部位Xと腐敗部位Yにおいて彩度、色度、明度にほとんど差が生じていないが、図2(b)に示すように、検査画像の比較を行うことによって、正常部位Xと腐敗部位Yとに明らかなコントラストが生じ、腐敗部位Yの有無を容易に、かつ、確実に判別することができる。
0052
(2)複数の波長の光に基づく検査画像の差では、水の吸収波長λ1の光に基づく検査画像と、基準とする所定の吸収波長λ2の光に基づく検査画像とを用いて、下記式(4)に示すように、画素毎に光量の差を取ることにより、腐敗部位を特定している。
0053
0054
ここで、Xは光量L、反射比R、見かけ上の吸光度Aのいずれかである。
0055
図3に、検査画像の差をとった場合の解析画像の一例を示す。
0056
図3(a)は、青果物Sを可視光により撮像したグレースケール画像、図3(b)は、図3(a)の青果物Sについて、水の吸収波長として1160nmの光に基づく検査画像と、基準とする所定の吸収波長の光として1135nmの光に基づく検査画像との差をとった場合の解析画像である。
0057
図3(a)に示すように、可視光により撮像した場合には、正常部位Xと腐敗部位Yにおいて彩度、色度、明度にほとんど差が生じていないが、図3(b)に示すように、検査画像の比較を行うことによって、正常部位Xと腐敗部位Yとに明らかなコントラストが生じ、腐敗部位Yの有無を容易に、かつ、確実に判別することができる。
0058
また、検査画像の2次微分では、水の吸収波長の光に基づく検査画像と、その前後の波長の光に基づく検査画像とを用いて、画素毎に光量の2次微分を取ることにより、腐敗部位を特定している。
0059
なお、2次微分の計算は、近似式を用いることができる。
0060
具体的には、吸収波長λBの光に基づく検査画像Bと、水の吸収波長λBよりも所定波長短い波長λAの光に基づく検査画像Aと、吸収波長λBよりも所定波長長い波長λCの光に基づく検査画像Cとを用いて、画素毎に下記式(5)の計算を行うことにより解析画像Dを得ることができる。
PD=PA−2×PB−PC (5)
上記式(5)において、PA:検査画像Aの画素信号PB:検査画像Bの画素信号PC:検査画像Cの画素信号PD:解析画像Dの画素信号である。
0061
各画素について、このように計算を行うことによって、水の吸収波長の光に基づく検査画像の2次微分を取った解析画像を生成することができる。
0062
なお、本実施例では、説明を簡便にするために、1台の投光手段12と、1台の撮像手段14を備えた構成としているが、複数台の投光手段12を備えてもよいし、また、複数台の撮像手段14を備えてもよい。
0063
図4に、検査画像の2次微分を取った場合の解析画像の一例を示す。
0064
図4(a)は、青果物Sを可視光により撮像したグレースケール画像、図4(b)は、図4(a)の青果物Sについて、水の吸収波長として1200nmの光に基づく検査画像の2次微分を取った解析画像である。
0065
図4(a)に示すように、可視光により撮像した場合には、正常部位Xと腐敗部位Yとにおいて彩度、色度、明度にほとんど差が生じていないが、図4(b)に示すように、検査画像の比較を行うことによって、正常部位Xと腐敗部位Yとに明らかなコントラストが生じ、腐敗部位Yの有無を容易に、かつ、確実に判別することができる。
0066
なお、本実施例では、青果物の異常として水腐れが生じたものについての一例に基づいて説明したが、青果物の果皮に乾燥腐れが生じた場合であっても、正常部位とは異なるスペクトルを得ることができることから、同様に画像解析を行うことで、青果物の異常を検出することができる。
0067
図5は、図1の青果物検査装置10を用いて、正常な青果物、水腐れを有する青果物、乾燥腐れを有する青果物について測定を行った際のスペクトルデータである。なお、図5に示すスペクトルデータは、波長25nm間隔において吸光度を2次微分処理したものである。
0068
図5に示すように、水腐れを有する青果物は、正常な青果物と比べ、水の吸収波長である960nm前後、1150nm前後において吸収の増加が見られる。
0069
また、乾燥腐れを有する青果物については、正常な青果物と比べ、水の吸収波長である960nm前後、1150nm前後において吸収の低下が見られる。
0070
すなわち、水の吸収波長の光に基づく検査画像を用い、検査光の吸収の度合いの変化を見ることによって、青果物の水腐れなどの異常を検出できることがわかる。
0071
一方で、青果物の果皮に異常乾燥が生じている場合には、正常な青果物と比べ、水の吸収波長の光が吸収されないことになる。このため、正常な青果物と、果皮に異常乾燥が生じた青果物とを判別することが可能である。
0072
図6は、本発明の青果物検査装置の別の実施例における構成を説明するための概略構成図である。
0074
図1に示す青果物検査装置10では、青果物Sに対して投光手段12と撮像手段14を同じ方向に配置し、反射光によって青果物Sを撮像しているが、この実施例の青果物検査装置10では、投光手段12により照射された検査光が青果物Sを透過して、この透過光を用いて撮像手段14により青果物Sの検査画像を撮像している。
0075
このように、透過光に基づく検査画像を用いた場合であっても、上述するように、反射光に基づく検査画像を用いた場合と同様に、画像解析を行うことによって、青果物Sの正常部位と腐敗部位とを判別することができる。
0076
なお、本実施例では、透過光のみにより検査画像を撮像しているが、上述する実施例と組み合わせることで、透過光と反射光の両方を用いて検査画像を撮像しても構わない。
0077
図7は、本発明の青果物検査装置のさらに別の実施例における構成を説明するための概略構成図である。
0079
図1〜6に示す青果物検査装置10では、静止状態の青果物Sに対して投光手段12から検査光を照射し、この検査光に基づく検査画像を撮像手段14によって撮像するように構成しているが、この実施例の青果物検査装置10では、搬送手段20によって一方向に搬送される青果物Sに対して検査光を照射し、検査画像を撮像するように構成している。
0080
このように、インラインで青果物検査を行うように構成することによって、大量の青果物を効率よく検査することができる。
0081
なお、搬送手段20によって青果物Sを搬送しながら検査を行う場合には、図7に示すように、搬送方向の両側方に反射鏡22を設けることで、青果物Sの側面部を反射鏡に映すことで、撮像手段14によって青果物S全体を撮像するように構成することが好ましい。
0084
可視画像において上部に現れているカビが、検査画像では、白く確認することができる。
0086
可視画像において下部に現れている乾燥キズが、検査画像では、白く確認することができる。
0088
図10は、青果物Sとして、いわゆる押せ痕が生じた桃について検査を行ったもので、図10(a)は可視画像、図10(b)は検査画像、図10(c)は果皮をむいて果皮内部を確認できる状態にした青果物Sの可視画像である。
0089
可視画像では確認が困難な押せ痕(図10(c)において色が濃くなっている箇所)について、検査画像では黒く確認することができる。
0090
図11は、青果物Sとして、水果が生じた梨について検査を行った者で、図11(a)は可視画像、図11(b)は検査画像、図11(c)は果皮をむいて果皮内部を確認できる状態にした青果物Sの可視画像である。
0091
可視画像では確認が困難な水果(図11(c)において色が濃くなっている箇所)について、検査画像では黒く確認することができる。
0093
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、複数の波長の光に基づく検査画像の比較として、2つの波長の光に基づく検査画像を用いて画像解析を行っているが、3つ以上の波長の光に基づく検査画像を用いて画像解析を行うようにしてもよいなど、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
0094
10青果物検査装置
12投光手段
14撮像手段
16解析手段
18バンドパスフィルタ
20 搬送手段
22 反射鏡
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