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課題・解決手段

配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、所定の変異を有するアミノ酸配列からなる、改変型ポリメラーゼが開示される。本発明によれば、LNA鎖伸長活性を有するポリメラーゼ、および逆転写活性を有するポリメラーゼが提供される。

概要

背景

核酸アプタマーは、Systematic Evolution of Ligandsby EXponential enrichment(SELEX)法によって、多様な配列を含む核酸ライブラリから選出される。核酸アプタマーとは、自身の立体構造によって標的分子に特異的に結合することのできる核酸分子をいう。核酸アプタマーは、特異的に標的分子と結合するため副作用が少ない;大量に化学合成することが可能である;などのため、分子標的薬として期待される。

核酸アプタマーはDNAおよびRNAのような天然核酸を用いて合成され得るが、このような天然核酸は核酸分解酵素によって生体内で容易に分解され得る。よって、これらの天然核酸は、化学修飾を付した人工核酸に置き換えることによって分解から保護する必要があるが、人工核酸への置換の際に、アプタマー構造変化による活性の低下が高頻度で起こる。

上記天然核酸の代替となり得る人工核酸として、キセノ核酸(Xeno Nucleic Acid:XNA)が知られている。あらかじめ人工核酸XNAを含むライブラリを用いてSELEXを行うことにより、分解酵素耐性を有するアプタマーを得ることが期待される。この場合、DNAライブラリからDNAからのXNAへの転写(DNA→XNA)を通じてXNAライブラリを作成し、次いで選別により得られた配列を、配列中のXNAをDNAに逆転写(XNA→DNA)して増幅させる。転写では、DNA鎖テンプレートとしてXNA鎖が合成され、そして逆転写では、XNA鎖をテンプレートとしてDNA鎖が合成される。これらの合成反応鎖伸長反応とも呼ばれ、通常、酵素触媒として行われる。

DNA鎖を増幅する(すなわち、DNA鎖をテンプレートとしてDNA鎖を伸長する)ためのポリメラーゼ連鎖反応PCR)では、熱耐性型のDNA依存性DNAポリメラーゼが用いられる。しかし、野生型のDNAポリメラーゼは、特にLNAのような分解酵素耐性を有する人工核酸の鎖を伸長させることは困難である。

非特許文献1には、6種のXNA、すなわち、1,5−アンヒドロヘキシトール核酸(HNA)、シクロヘキセニル核酸(CeNA)、2’−O,4’−C−メチレン−β−D−リボ核酸(LNA:「2,4−BNA(bridged nucleic acid)/LNA(locked nucleic acid)」ともいう)、アラビノ核酸(ANA)および2’−フルオロ−アラビノ核酸(FANA)、α−L−スレオフラノシル核酸(TNA)を用いた鎖合成反応の検討が報告されている。

非特許文献1では、超好熱性古細菌であるサーモコッカス・ゴルゴナウス(Thermococcus gorgonarius)由来のDNAポリメラーゼの変異体(TgoT)を基盤として改変ポリメラーゼ作出が試みられた。5つの改変ポリメラーゼのうち、Pol6G12、PolC7およびPolD4KはDNA→XNAを触媒し、Pol6G12はHNA鎖を、PolC7はCeNA鎖およびLNA鎖を、PolD4Kは、ANA鎖およびFANA鎖を合成することが報告された。残りの2つであるRT521およびRT521Kは、XNA→DNAを触媒し、RT521はHNA鎖、TNA鎖、ANA鎖およびFANA鎖を、RT521KはCeNA鎖およびLNA鎖を逆転写することが報告された。

非特許文献2には、LNAを用いたランダムライブラリーの作成が報告されている。ここでは、LNAATPまたはLNA TTPを用いてLNA含有オリゴヌクレオチドを生成しており、すなわち、A、C、GおよびTの塩基のうち、AのみまたはTのみがLNAであり、LNA含有オリゴヌクレオチド合成の際に、市販のKODXLポリメラーゼ(Novagen)が用いられている。

しかし、SELEXにおいて用いるためのXNAライブラリを構成するXNA鎖について、テンプレートのDNAからの安定した鎖の生成が求められる。よって、そのような安定的な鎖伸長を可能とするポリメラーゼの必要性が存在する。

概要

配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、所定の変異を有するアミノ酸配列からなる、改変型ポリメラーゼが開示される。本発明によれば、LNA鎖伸長活性を有するポリメラーゼ、および逆転写活性を有するポリメラーゼが提供される。

目的

本発明は、人工核酸を含む鎖を伸長し得る改変ポリメラーゼを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、以下の(1)あるいは(2)の変異を有するアミノ酸配列からなる、改変型ポリメラーゼ:(1)210位のアスパラギンアスパラギン酸に、409位のチロシンバリングリシンアラニンセリントレオニンロイシンフェニルアラニン、アスパラギン酸またはグルタミン酸に、485位のアラニンが中性アミノ酸に、ならびに664位のグルタミン酸がリジングルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている;あるいは(2)210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、409位のチロシンがバリン、グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸またはグルタミン酸に、485位のアラニンが中性アミノ酸に、614位のアスパラギン酸がアスパラギンに、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている。

請求項2

配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、以下の(1)あるいは(2)の変異を有するアミノ酸配列からなる、改変型ポリメラーゼ:(1)210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、485位のアラニンが中性アミノ酸に、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている;あるいは(2)210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、485位のアラニンが中性アミノ酸に、614位のアスパラギン酸がアスパラギンに、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている。

請求項3

配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、以下の変異を有するアミノ酸配列からなる、改変型ポリメラーゼ:210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている。

請求項4

DNA含有オリゴヌクレオチドからLNA含有オリゴヌクレオチド鎖を合成する方法であって、該DNA含有オリゴヌクレオチドからなるテンプレートプライマー、LNA−NTPおよび請求項1または2に記載の改変型ポリメラーゼを反応させる工程を含む、方法。

請求項5

前記プライマーが、LNA含有プライマーである、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記DNA含有オリゴヌクレオチドが、ランダム配列を含む、請求項4または5に記載の方法。

請求項7

LNA含有オリゴヌクレオチドからDNA含有オリゴヌクレオチドを合成する方法であって、該LNA含有オリゴヌクレオチドからなるテンプレート、プライマー、dNTPおよび請求項2または3に記載の改変型ポリメラーゼを反応させる工程を含む、方法。

請求項8

前記反応させる工程が、120mMTris−HCl(pH7〜9)、10mMKCl、6mM(NH4)2SO4、および10μg/mL牛血清アルブミンBSA)を含有する緩衝液中で行われる、請求項4から7のいずれかに記載の方法。

請求項9

LNA鎖伸長活性を有する改変型ポリメラーゼであって、エキソヌクレアーゼ活性減弱させる変異、三リン酸体の結合に寄与する変異、およびDNA/LNA二重鎖との結合を強める変異を含むように改変されたポリメラーゼである、改変型ポリメラーゼ。

請求項10

前記改変型ポリメラーゼが、三リン酸体の糖構造の認識を緩和する変異をさらに含む、請求項9に記載の改変型ポリメラーゼ。

請求項11

逆転写活性を有する改変型ポリメラーゼであって、エキソヌクレアーゼ活性を減弱させる変異と、DNA/LNA二重鎖との結合を強める変異とを含む、あるいは、エキソヌクレアーゼ活性を減弱させる変異と、DNA/LNA二重鎖との結合を強める変異と、三リン酸体の結合に寄与する変異とを含むように改変されたポリメラーゼである、改変型ポリメラーゼ。

技術分野

0001

本発明は、改変ポリメラーゼに関する。

背景技術

0002

核酸アプタマーは、Systematic Evolution of Ligandsby EXponential enrichment(SELEX)法によって、多様な配列を含む核酸ライブラリから選出される。核酸アプタマーとは、自身の立体構造によって標的分子に特異的に結合することのできる核酸分子をいう。核酸アプタマーは、特異的に標的分子と結合するため副作用が少ない;大量に化学合成することが可能である;などのため、分子標的薬として期待される。

0003

核酸アプタマーはDNAおよびRNAのような天然核酸を用いて合成され得るが、このような天然核酸は核酸分解酵素によって生体内で容易に分解され得る。よって、これらの天然核酸は、化学修飾を付した人工核酸に置き換えることによって分解から保護する必要があるが、人工核酸への置換の際に、アプタマー構造変化による活性の低下が高頻度で起こる。

0004

上記天然核酸の代替となり得る人工核酸として、キセノ核酸(Xeno Nucleic Acid:XNA)が知られている。あらかじめ人工核酸XNAを含むライブラリを用いてSELEXを行うことにより、分解酵素耐性を有するアプタマーを得ることが期待される。この場合、DNAライブラリからDNAからのXNAへの転写(DNA→XNA)を通じてXNAライブラリを作成し、次いで選別により得られた配列を、配列中のXNAをDNAに逆転写(XNA→DNA)して増幅させる。転写では、DNA鎖テンプレートとしてXNA鎖が合成され、そして逆転写では、XNA鎖をテンプレートとしてDNA鎖が合成される。これらの合成反応鎖伸長反応とも呼ばれ、通常、酵素触媒として行われる。

0005

DNA鎖を増幅する(すなわち、DNA鎖をテンプレートとしてDNA鎖を伸長する)ためのポリメラーゼ連鎖反応PCR)では、熱耐性型のDNA依存性DNAポリメラーゼが用いられる。しかし、野生型のDNAポリメラーゼは、特にLNAのような分解酵素耐性を有する人工核酸の鎖を伸長させることは困難である。

0006

非特許文献1には、6種のXNA、すなわち、1,5−アンヒドロヘキシトール核酸(HNA)、シクロヘキセニル核酸(CeNA)、2’−O,4’−C−メチレン−β−D−リボ核酸(LNA:「2,4−BNA(bridged nucleic acid)/LNA(locked nucleic acid)」ともいう)、アラビノ核酸(ANA)および2’−フルオロ−アラビノ核酸(FANA)、α−L−スレオフラノシル核酸(TNA)を用いた鎖合成反応の検討が報告されている。

0007

非特許文献1では、超好熱性古細菌であるサーモコッカス・ゴルゴナウス(Thermococcus gorgonarius)由来のDNAポリメラーゼの変異体(TgoT)を基盤として改変ポリメラーゼの作出が試みられた。5つの改変ポリメラーゼのうち、Pol6G12、PolC7およびPolD4KはDNA→XNAを触媒し、Pol6G12はHNA鎖を、PolC7はCeNA鎖およびLNA鎖を、PolD4Kは、ANA鎖およびFANA鎖を合成することが報告された。残りの2つであるRT521およびRT521Kは、XNA→DNAを触媒し、RT521はHNA鎖、TNA鎖、ANA鎖およびFANA鎖を、RT521KはCeNA鎖およびLNA鎖を逆転写することが報告された。

0008

非特許文献2には、LNAを用いたランダムライブラリーの作成が報告されている。ここでは、LNAATPまたはLNA TTPを用いてLNA含有オリゴヌクレオチドを生成しており、すなわち、A、C、GおよびTの塩基のうち、AのみまたはTのみがLNAであり、LNA含有オリゴヌクレオチド合成の際に、市販のKODXLポリメラーゼ(Novagen)が用いられている。

0009

しかし、SELEXにおいて用いるためのXNAライブラリを構成するXNA鎖について、テンプレートのDNAからの安定した鎖の生成が求められる。よって、そのような安定的な鎖伸長を可能とするポリメラーゼの必要性が存在する。

先行技術

0010

Science 2012, 336, 341-344
Molecules 2012, 17, 13087-13097

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、人工核酸を含む鎖を伸長し得る改変ポリメラーゼを提供することを目的とする。本発明はまた、人工核酸を含む鎖からDNAに逆転写し得る改変ポリメラーゼを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明は、以下(i)〜(iii)のような改変型ポリメラーゼを提供する。

0013

本発明の改変型ポリメラーゼ(i)は、配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、以下の(1)あるいは(2)の変異を有するアミノ酸配列からなる:
(1)210位のアスパラギンアスパラギン酸に、409位のチロシンバリングリシンアラニンセリントレオニンロイシンフェニルアラニン、アスパラギン酸またはグルタミン酸に、485位のアラニンが中性アミノ酸に、ならびに664位のグルタミン酸がリジングルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている;あるいは
(2)210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、409位のチロシンがバリン、グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸またはグルタミン酸に、485位のアラニンが中性アミノ酸に、614位のアスパラギン酸がアスパラギンに、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている。

0014

本発明のさらなる改変型ポリメラーゼ(ii)は、配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、以下の(1)あるいは(2)の変異を有するアミノ酸配列からなる:
(1)210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、485位のアラニンが中性アミノ酸に、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている;あるいは
(2)210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、485位のアラニンが中性アミノ酸に、614位のアスパラギン酸がアスパラギンに、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている。

0015

本発明のなおさらなる改変型ポリメラーゼ(iii)は、配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、以下の変異を有するアミノ酸配列からなる:
210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている。

0016

本発明はまた、DNA含有オリゴヌクレオチドからLNA含有オリゴヌクレオチド鎖を合成する方法を提供する。本方法は、当該DNA含有オリゴヌクレオチドからなるテンプレート、プライマー、LNA−NTPおよび改変型ポリメラーゼ(i)または(ii)を反応させる工程を含む。

0017

1つの実施形態では、上記プライマーは、LNA含有プライマーである。

0018

1つの実施形態では、上記テンプレートは、ランダム配列を含む。

0019

本発明はさらに、LNA含有オリゴヌクレオチドからDNA含有オリゴヌクレオチド鎖を合成する方法を提供する。本方法は、当該LNA含有オリゴヌクレオチドからなるテンプレート、プライマー、dNTPおよび本発明の改変型ポリメラーゼ(ii)または(iii)を反応させる工程を含む。

0020

1つの実施形態では、上記のDNA含有オリゴヌクレオチドからLNA含有オリゴヌクレオチド鎖を合成する方法および上記のLNA含有オリゴヌクレオチドからDNA含有オリゴヌクレオチド鎖を合成する方法において、上記反応させる工程は、120mM Tris−HCl(pH7〜9)、10mM KCl、6mM (NH4)2SO4、および10μg/mL牛血清アルブミンBSA)を含有する緩衝液中で行われる。

0021

本発明はまた、LNA鎖伸長活性を有する改変型ポリメラーゼであって、エキソヌクレアーゼ活性減弱させる変異、三リン酸体の結合に寄与する変異、およびDNA/LNA二重鎖との結合を強める変異を含むように改変されたポリメラーゼである、改変型ポリメラーゼを提供する。

0022

1つの実施形態では、上記改変型ポリメラーゼは、三リン酸体の糖構造の認識を緩和する変異をさらに含む。

0023

本発明はまた、逆転写活性を有する改変型ポリメラーゼであって、エキソヌクレアーゼ活性を減弱させる変異と、DNA/LNA二重鎖との結合を強める変異とを含む、あるいはエキソヌクレアーゼ活性を減弱させる変異と、DNA/LNA二重鎖との結合を強める変異と、三リン酸体の結合に寄与する変異とを含むように改変されたポリメラーゼを提供する。

発明の効果

0024

本発明によれば、人工核酸であるLNAを含む鎖を伸長し得る改変ポリメラーゼが提供される。さらに、本発明によれば、LNAを含む鎖からDNAに逆転写し得る改変ポリメラーゼも提供される。これにより、DNAからのLNA鎖の安定的な伸長が可能となる。また、LNA鎖からのDNAへの逆転写反応も可能となる。

図面の簡単な説明

0025

各種KODポリメラーゼ変異体について、N10ランダム配列テンプレートによるLNA鎖伸長活性の結果を示す電気泳動写真である。
KODポリメラーゼ変異体A2、A34、A4、A13、A26、A48、およびA53について、N10ランダム配列テンプレートによるLNA鎖伸長活性の結果を示す電気泳動写真である。
変異体1および変異体2について、30mer(左側)および50mer(右側)のLNAライブラリの作成の結果を示す電気泳動写真である。
変異体2について、30merのLNAライブラリの作成に関して種々の反応時間にて検討した結果を示す電気泳動写真である。
変異体2について、LNA−NTPを含まない条件(条件1)、LNA−ATP、LNA−CTP、LNA−GTPおよびLNA−TTPをそれぞれ欠いた条件(条件2〜5)、およびLNA−NTPを欠いていない条件(条件6)でLNA鎖伸長反応を行った結果を示す電気泳動写真である。
変異体2のLNA鎖伸長反応について、DNAプライマーおよびLNAプライマーの比較結果を示す電気泳動写真である。
各種KODポリメラーゼ変異体について、逆転写活性の結果を示す電気泳動写真である。
Y409を種々に置換したKODポリメラーゼ変異体について、反応液にKOD-Plus-Ver.2用緩衝液を用いて行ったN10ランダム配列テンプレートによるLNA鎖伸長活性の結果を示す電気泳動写真である。
Y409を種々に置換したKODポリメラーゼ変異体について、反応液にKODDNAポリメラーゼ用緩衝液1を用いて行ったN10ランダム配列テンプレートによるLNA鎖伸長活性の結果を示す電気泳動写真である。
Y409を種々に置換したKODポリメラーゼ変異体について、反応液にKOD DNAポリメラーゼ用緩衝液2を用いて行ったN10ランダム配列テンプレートによるLNA鎖伸長活性の結果を示す電気泳動写真である。
A53について、反応液にKOD DNAポリメラーゼ用緩衝液2を用いて、LNA−NTPを含まない条件(条件1)、LNA−ATP、LNA−CTP、LNA−GTPおよびLNA−TTPをそれぞれ欠いた条件(条件2〜5)、およびLNA−NTPを欠いていない条件(条件6)でLNA鎖伸長反応を行った結果を示す電気泳動写真である。
A53について、反応液にKOD-Plus-Ver.2用緩衝液を用いて、LNA−NTPを含まない条件(条件1)、LNA−ATP、LNA−CTP、LNA−GTPおよびLNA−TTPをそれぞれ欠いた条件(条件2〜5)、およびLNA−NTPを欠いていない条件(条件6)でLNA鎖伸長反応を行った結果を示す電気泳動写真である。
A65について、反応液にKOD DNAポリメラーゼ用緩衝液2を用いて、LNA−NTPを含まない条件(条件1)、LNA−ATP、LNA−CTP、LNA−GTPおよびLNA−TTPをそれぞれ欠いた条件(条件2〜5)、およびLNA−NTPを欠いていない条件(条件6)でLNA鎖伸長反応を行った結果を示す電気泳動写真である。

0026

本明細書においては、アミノ酸の置換を次のように表す。例えば、「E664K」は、664位のグルタミン酸をリジンに置換した変異体を表す。複数箇所を置換した場合は「/」で区切ってそれぞれの置換を併記して示す。例えば、「N210D/Y409V/A485L/D614N/E664K」は、210位のアスパラギンをアスパラギン酸に、409位のチロシンをバリンに、485位のアラニンをロイシンに、614位のアスパラギン酸をアスパラギンに、ならびに664位のグルタミン酸をリジンに置換した変異体を示す。なお、例えば「Y409」との記載は、409位がチロシンであることを表す。

0027

本発明の改変型ポリメラーゼ(i)は、配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、以下の(1)あるいは(2)の変異を有するアミノ酸配列からなる:
(1)210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、409位のチロシンがバリン、グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸またはグルタミン酸に、485位のアラニンが中性アミノ酸に、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている;あるいは
(2)210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、409位のチロシンがバリン、グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸またはグルタミン酸に、485位のアラニンが中性アミノ酸に、614位のアスパラギン酸がアスパラギンに、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている。

0028

本発明のさらなる改変型ポリメラーゼ(ii)は、配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、以下の(1)あるいは(2)の変異を有するアミノ酸配列からなる:
(1)210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、485位のアラニンが中性アミノ酸に、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている;あるいは
(2)210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、485位のアラニンが中性アミノ酸に、614位のアスパラギン酸がアスパラギンに、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている。

0029

本発明のなおさらなる改変型ポリメラーゼ(iii)は、配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、以下の変異を有するアミノ酸配列からなる:
210位のアスパラギンがアスパラギン酸に、ならびに664位のグルタミン酸がリジン、グルタミン、またはアルギニンに、それぞれ置換されている。

0030

配列表の配列番号2のアミノ酸配列は、サーモコッカス・コダカラエンシス(Thermococcus Kodakaraensis)KOD1のDNA依存性DNAポリメラーゼ(本明細書においては、「KODポリメラーゼ」ともいう)のアミノ酸配列に該当するが、その由来は問わない。

0031

ここで、本発明において、配列番号2に記載のアミノ酸配列とは、所定の置換以外のアミノ酸のうちの1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ所定のポリメラーゼ活性を有するものも含むものである。好ましくは、所定の置換を保持し、配列番号2のアミノ酸配列と95%以上の配列同一性を有する範囲内で、1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加され、かつ所定のポリメラーゼ活性を有するものも含むものが挙げられる。ここでの「1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加」におけるアミノ酸置換の例としては、各機能または効果を実質的に保持する限りにおいていずれの置換であってもよい。例えば、保存的置換が挙げられる。保存的置換としては、具体的には以下のグループ内(すなわち、括弧内に示すアミノ酸間)での置換が挙げられる:(グリシン、アラニン)、(バリン、イソロイシン、ロイシン)、(アスパラギン酸、グルタミン酸)、(アスパラギン、グルタミン)、(セリン、トレオニン)、(リジン、アルギニン)、(フェニルアラニン、チロシン)。

0032

本明細書において配列の「同一性」とは、当該技術分野で知られているとおり、配列を比較することにより決定される、2以上のタンパク質あるいは2以上のポリヌクレオチドの間の関係である。配列の「同一性」とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きの部分的な配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の配列不変性の程度を意味する。また、「類似性」とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きの部分的な配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の相関性の程度を意味する。より具体的には、配列の同一性と保存性(配列中の特定アミノ酸または配列における物理化学特性を維持する置換)によって決定される。なお、類似性は、後述するBLAST配列相同性検索結果においてSimilarityとも称される。同一性および類似性を決定する方法は、対比する配列間で最も長くアラインメントするように設計される方法であることが好ましい。同一性および類似性を決定するための方法は、公衆利用可能なプログラムとして提供されている。例えば、AltschulらによるBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)プログラム(例えば、Altschulら, J. Mol. Biol.,1990,215:403-410;Altschylら,Nucleic AcidsRes., 1997,25:3389-3402)を利用し決定することができる。BLASTのようなソフトウェアを用いる場合の条件は、特に限定するものではないが、デフォルト値を用いるのが好ましい。

0033

上記改変型ポリメラーゼ(i)は、LNA鎖伸長活性を有する。改変型ポリメラーゼ(i)は、好ましくは、N210D/Y409V/A485L/E664K;またはN210D/Y409V/A485L/D614N/E664K、N210D/Y409G/A485L/D614N/E664K、N210D/Y409A/A485L/D614N/E664K、N210D/Y409S/A485L/D614N/E664K、N210D/Y409T/A485L/D614N/E664K、N210D/Y409L/A485L/D614N/E664K、N210D/Y409F/A485L/D614N/E664K、N210D/Y409D/A485L/D614N/E664KもしくはN210D/Y409E/A485L/D614N/E664Kの変異を有する。

0034

上記改変型ポリメラーゼ(ii)は、LNA鎖伸長活性を有する。改変型ポリメラーゼ(ii)は、LNAからのDNAへの逆転写活性を有する。改変型ポリメラーゼ(ii)は、好ましくは、N210D/A485L/E664K、またはN210D/A485L/D614N/E664Kの変異を有する。N210D/A485L/E664Qもまた好ましい。

0035

上記改変型ポリメラーゼ(iii)は、LNAからのDNAへの逆転写活性(「逆転写活性」)を有する。改変型ポリメラーゼ(iii)は、好ましくは、N210D/E664KまたはN210D/E664Rの変異を有する。

0036

明細書中において、「LNA」とは、2’−O,4’−C−メチレン−β−D−リボ核酸をいう(「2,4−BNA(bridged nucleic acid)/LNA(locked nucleic acid)」ともいう)。「LNA鎖」とは、LNAを含むオリゴヌクレオチドであって、例えば以下の式:

0037

0038

(ここで、「Base」は、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)およびグアニン(G)から選択される1つの塩基である)で表される所定の鎖長を有する核酸鎖である。さらに、本明細書中において「LNA鎖伸長活性」とは、テンプレートDNAにアニールされたDNAまたはLNAのオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)の3’−ヒドロキシル基に、LNAの5’−トリホスフェート基のα−ホスフェート共有結合させることにより、DNAのテンプレート依存的なLNA含有オリゴヌクレオチドの合成、すなわちLNA鎖の伸長を生じさせる反応を触媒する活性をいう。当該LNA鎖伸長活性は、当業者通常用いる方法にて、例えば、参考例3に記載の手順を用いて決定され得る。本発明の改変型ポリメラーゼによるLNA鎖伸長にはLNAが基質として用いられるが、このような基質として、メチルC型LNA(LNAのシトシンのピリミジン環の5位炭素原子メチル基が付加されている)もまた用いられ得る。

0039

本明細書中において、LNAからのDNAへの逆転写活性(単に「逆転写活性」ともいう)とは、テンプレートとなるLNA含有オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドにアニールされたDNAのオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)の3’−ヒドロキシル基に、LNAの5’−トリホスフェート基のα−ホスフェートを共有結合させることにより、テンプレート依存的なDNA含有オリゴヌクレオチドの合成、すなわちDNA鎖の伸長を生じさせる反応を触媒する活性をいう。当該逆転写活性は、当業者が通常用いる方法にて、例えば、実施例8に記載の手順を用いて決定され得る。

0040

LNA鎖伸長活性を有する改変型ポリメラーゼの構造的特徴には、以下が挙げられる。ここで、KODポリメラーゼの立体構造は、例えば、Kaiら J Mol Biol.2001,306、469−477に示されており、機能部位は、大きくはN末端領域(「N-ter」:1〜130位および327〜368位)、エキソヌクレアーゼ領域(「Exo」:131〜326位)、およびポリメラーゼ活性領域(Palm領域:369〜449位および500〜587位、Fingers領域:450〜499位、およびThumb-1、Thumb-2領域(本明細書中では、併せて「Thumb領域」という):588〜774位)に分けられる。

0041

N210D(210位のアスパラギンのアスパラギン酸への置換)は、エキソヌクレアーゼ領域に位置しており、エキソヌクレアーゼ活性を減弱させる。このN210Dは、LNA鎖伸長活性を有する改変型ポリメラーゼに共通して存在する。

0042

A485(485位のアラニン)は、Fingers領域に位置しており、三リン酸体の結合に寄与していると考えられる。485位のアラニンは、中性アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、メチオニン)に置換され得る。485位にて、嵩の小さなアラニンを、嵩高い疎水性アミノ酸でもあり得る中性アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、メチオニン)に置換し得る。

0043

D614N(614位のアスパラギン酸のアスパラギンへの置換)およびE664K(664位のグルタミン酸のリジンへの置換)は、DNA/LNA二重鎖との結合を強め得る。二重鎖と結合するThumb領域中に、負電荷をもつアミノ酸(D614:614位のアスパラギン酸、E664:664位のグルタミン酸)が存在するが、このアミノ酸を電荷なし(例えば、D614N)、あるいは正電荷(例えば、E664K)に変更することによって、ポリメラーゼとDNA/LNA二重鎖との結合を強め、プライマー鎖の3’末端反応部位に正しく位置させることができていると考えられる。ここで、614位のアスパラギン酸は、アスパラギンに置換され得、664位のグルタミン酸は、リジン、グルタミン、またはアルギニンに置換され得る。664位のみの置換変異、または614位および664位の置換変異でもよい。

0044

Y409(409位のチロシン)がさらに置換され得る。Y409は、Palm領域に位置しており、LNA−NTPの糖部に接する。Y409は、バリン、グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸またはグルタミン酸に置換され得る。Y409の置換変異は、上記の置換変異、すなわち、210位、485位および664位、あるいは210位、485位、614位および664位の置換変異と共になされ得る。1つの実施形態では、Y409の置換は、N210D、A485L、D614NおよびE664Kの置換と共になされ得る。Y409の置換は、三リン酸体の糖構造の認識を緩和し、LNA−NTPの取り込み速度を向上させ得る。Y409がサイズ(嵩高さ)が小さい基を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アラニンまたはセリン)に置換されることにより、より高いLNA鎖伸長活性が得られ得、また、Y409がバリン(Y409V)またはトレオニン(Y409T)に置換されることにより、より高い正確性にてLNA伸長が得られ得る。

0045

LNA鎖伸長活性を有する改変型ポリメラーゼは、エキソヌクレアーゼ活性を減弱させる変異、三リン酸体の結合に寄与する変異、およびDNA/LNA二重鎖との結合を強める変異を含むように改変されたポリメラーゼとなるように設計され得る。好ましくは、当該改変ポリメラーゼは、三リン酸体の糖構造の認識を緩和する変異をさらに含む。

0046

逆転写活性を有する改変型ポリメラーゼの構造的特徴には、以下が挙げられる。活性を有する改変型ポリメラーゼには、以下の特徴があると考えられる。

0047

N210D(210位のアスパラギンのアスパラギン酸への置換)は、エキソヌクレアーゼ活性を減弱させる。このN210Dは、逆転写活性を有する改変型ポリメラーゼに共通して存在する。

0048

逆転写の際にはポリメラーゼがDNA/LNA二重鎖と結合し、プライマー鎖の3’末端を反応部位に正しく位置させることが必要である。例えば、Thumb領域の負電荷アミノ酸が正電荷に変更された場合(例えば、E664KまたはE664R)に逆転写活性が見られ、これは、ポリメラーゼとDNA/LNA二重鎖との結合が強められた結果であると考えられる。Thumb領域の負電荷アミノ酸が正電荷に中性に変更される変異(E664Q)(これにより、ポリメラーゼのDNA/LNA二重鎖結合能が微増され得る)と共に、三リン酸との結合に関与するA485Lを導入した場合も、逆転写活性が見られる。また、E664Kを有する変異体も、A485Lとの組み合わせで逆転写活性が向上される。

0049

E664Kと共にE614Nを含む場合も、A485Lとの組み合わせで逆転写活性が向上される。ここで、485位のアラニンは、中性アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、メチオニン)に置換され得る。664位のグルタミン酸は、リジン、グルタミン、またはアルギニンに置換され得る。

0050

逆転写活性を有する改変型ポリメラーゼは、エキソヌクレアーゼ活性を減弱させる変異と、DNA/LNA二重鎖との結合を強める変異とを含む、あるいはエキソヌクレアーゼ活性を減弱させる変異と、DNA/LNA二重鎖との結合を強める変異と、三リン酸体の結合に寄与する変異とを含むように改変されたポリメラーゼとなるように設計され得る。

0051

改変型ポリメラーゼを製造する方法としては、従来の公知の方法が使用できる。例えば、野生型DNAポリメラーゼをコードする遺伝子に変異を導入して、タンパク質工学的手法により新たな機能を有する変異型(改変型)DNAポリメラーゼを製造する方法がある(J. Biol. Chem., 264(11), 6447-6458(1989))。変異を導入するDNAポリメラーゼをコードする遺伝子は、配列番号2のアミノ酸配列をコードする遺伝子である限り、特に限定されない。例えば、遺伝子は、サーモコッカス・コダカラエンシスKOD1のDNA依存性DNAポリメラーゼの遺伝子としてNCBIなどの遺伝子登録機関より入手可能な塩基配列、またはコドンの最適化を行った塩基配列(例えば、配列表の配列番号1の塩基配列)などの配列情報に基づいて、当業者が通常用いる方法により得ることができる。

0052

遺伝子に変異を導入する方法は既知のいかなる方法を用いてもよい。例えば、タンパク質工学的手法、例えばPCRや部位特異的変異などの方法を用いることができる。

0053

改変型ポリメラーゼの遺伝子を必要に応じて発現ベクターに挿入し、例えば大腸菌宿主として当該発現ベクターを用いて形質転換した後、カナマイシンなどの選択薬剤を含む寒天培地に塗布し、コロニーを形成させる。コロニーを栄養培地、例えばLB培地接種し、適宜培養(例えば、37℃にて増殖させた後、IPTGなどの発現誘導剤の存在下で30℃にて培養)した後、菌体回収および破砕し、粗酵素液を抽出する。ベクターとしては、pETベクターが好ましいが、これに限定されない。培地組成、pH、温度、培養の際の菌体密度および培養時間は、適宜設定し得る。菌体を破砕する方法としては公知のいかなる手法を用いても良いが、例えば超音波処理フレンチプレスガラスビーズ破砕のような物理的破砕法やリゾチームのような溶菌酵素を用いることができる。粗酵素液を熱処理、例えば80℃にて10分間処理し、その後遠心膜濾過などにより粗精製酵素を得ることができる。この操作の後、ヘパリンセファロースカラムクロマトグラフィーにより分離、精製し得る。さらにこれを精製または濃縮する工程を実施することもできる。これらの工程およびそれらに要する手段は、当業者によって適宜選択される。

0054

改変型ポリメラーゼ(i)および(ii)は、DNA含有オリゴヌクレオチドからLNA含有オリゴヌクレオチド鎖を合成する方法(本明細書中においては、「LNA鎖伸長方法」ともいう)に、そして改変型ポリメラーゼ(ii)および(iii)は、LNA含有オリゴヌクレオチドからDNA含有オリゴヌクレオチド鎖を合成する方法(本明細書中においては、「逆転写方法」ともいう)に用いることができる。

0055

本発明のLNA鎖伸長方法は、DNA含有オリゴヌクレオチドからなるテンプレート、プライマー、LNA−NTPおよび改変型ポリメラーゼ(i)または(ii)を反応させる工程を含む。本発明の改変型ポリメラーゼを使用して、DNA含有オリゴヌクレオチドをテンプレートとし、プライマー、LNA−NTP(すなわち、A、T、CおよびGのそれぞれを塩基とする4種類のLNA−ヌクレオシド三リン酸(LNA−ATP、LNA−TTP、LNA−CTPおよびLNA−GTP)の混合物)を反応させることにより、テンプレートにアニールしたプライマーがLNAを取り込みながら伸長し、プライマー伸長物としてLNA鎖(LNA含有オリゴヌクレオチド)が合成され得る。本発明のLNA鎖伸長方法は、ポリメラーゼを用いた反応工程の前に、アニーリング工程をさらに含み得る。アニーリング工程において、プライマーとテンプレート上の相補的領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程で、プライマーを起点として本発明の改変型ポリメラーゼの働きによりテンプレートの一本鎖DNAに相補的なLNA鎖を伸長させ、DNA−LNA鎖が形成され得る。

0056

ここで、「オリゴヌクレオチド」は、テンプレートに適した長さであればいずれでもよいが、例えば、その塩基数が、例えば、30〜100、好ましくは、35〜75であるものが挙げられる。

0057

上記アニーリングおよび伸長の反応温度は、通常のPCRと同様の条件が用いられ得るが、例えば、95℃にて1分間加熱後に1時間かけて室温まで温度を下げてアニーリングを行った後、ポリメラーゼを添加して74℃にて伸長させ得る。反応液の組成は、以下の表2に示すものが例示として挙げられるが、これに限定されない。酵素の添加濃度は、伸長鎖の長さ、反応時間などに依存し得るが、例えば、20ng/μL〜300ng/μL、好ましくは、200ng/μL〜300ng/μLであるが、これらに限定されない。反応時間は、伸長鎖の長さ、酵素の添加濃度などに依存し得るが、1.5時間〜13.5時間が採用され得るが、これらに限定されない。

0058

プライマーは、DNAプライマー(DNAで構成されるプライマー)およびLNAプライマー(LNAで構成されるプライマー)のいずれでもよい。プライマーは、DNAとLNAとの両方を含有するものであってもよい。プライマー伸長反応の途中での律速段階を回避する観点からは、LNAを少なくとも一部に含有するプライマー(好ましくは、全てがLNAであるプライマー)が好ましい。プライマーの長さは適宜決定され得るが、その塩基数が、例えば、11〜28、好ましくは、12〜25であるものが挙げられる。プライマーは、テンプレートの配列情報に基づいて当業者により適宜設計され、作製され得る。

0059

テンプレートは、特定配列からなるものであってもよく、またはランダム配列を含むものであってもよい。ランダム配列の長さは、例えば、10〜50塩基である。ランダム配列を含むテンプレートを用いることにより、LNAライブラリを作成することができる。

0060

本発明の逆転写方法は、LNA含有オリゴヌクレオチドからなるテンプレート、プライマー、dNTPおよび改変型ポリメラーゼ(ii)または(iii)を反応させる工程を含む。本発明の改変型ポリメラーゼを使用して、LNA含有オリゴヌクレオチドをテンプレートとし、プライマー、dNTP(すなわち、A、T、CおよびGのそれぞれを塩基とする4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dATP、dTTP、dCTPおよびdGTP)の混合物)を反応させることにより、テンプレートにアニールしたプライマーが、DNAを取り込みながら伸長し、プライマー伸長物としてDNA鎖(DNA含有オリゴヌクレオチド)が合成され得る。本発明の逆転写方法は、ポリメラーゼを用いた反応工程の前に、アニーリング工程をさらに含み得る。アニーリング工程において、プライマーとテンプレート上の相補的領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程で、プライマーを起点として本発明の改変型ポリメラーゼの働きによりテンプレートの一本鎖LNAに相補的なDNA鎖を伸長させ、LNA−DNA鎖が形成され得る。

0061

逆転写方法のためのプライマーは、DNAプライマー(DNAで構成されるプライマー)であり得る。プライマーの長さは適宜決定され得るが、その塩基数が、例えば、11〜28、好ましくは、12〜25であるものが挙げられる。プライマーは、テンプレートの配列情報に基づいて当業者により適宜設計され、作製され得る。

0062

逆転写方法のためのテンプレートは、特定配列からなるものであってもよく、またはランダム配列を含むものであってもよい。ランダム配列の長さは、例えば、10〜50塩基である。逆転写方法のためのテンプレートは、DNAテンプレートをもとに転写したLNA鎖(例えば、本発明のLNA鎖伸長方法において作製したLNA鎖)であってもよい。

0063

逆転写方法の場合も同様に、アニーリングおよび伸長の反応温度は通常のPCRと同様の条件が用いられ得るが、例えば、95℃にて1分間加熱後に1時間かけて室温まで温度を下げてアニーリングを行った後、ポリメラーゼを添加して74℃にて伸長させ得る。反応液の組成は、実施例8に示すものが例示として挙げられるが、これに限定されない。酵素の添加濃度は、伸長鎖の長さ、反応時間などに依存し得るが、例えば、10ng/μL〜300ng/μL、好ましくは、10ng/μL〜100ng/μLであるが、これらに限定されない。反応時間は、伸長鎖の長さ、酵素の添加濃度などに依存し得るが、30分〜3時間が採用され得るが、これらに限定されない。

0064

LNA鎖伸長方法および逆転写方法においては、本発明の改変型ポリメラーゼおよび上記核酸成分に加えて、例えば、マグネシウムイオンのような2価のイオン(例えば、MgSO4として)を共存させることが好ましい。また、改変型ポリメラーゼを用いる反応においては、緩衝液として、市販のPCR緩衝液(例えば、KOD-Plus-Ver.2用Buffer(東洋紡株式会社製))、および当業者によって調製される任意の緩衝液(例えば、120mM Tris−HCl(pH7〜9)、10mM KCl、6mM (NH4)2SO4、および10μg/mL牛血清アルブミン(BSA)を含有する緩衝液)が用いられ得る。ここで、緩衝液のpHは、緩衝液温度および伸長反応温度によって変動し得る。例えば、Tris−HClでは緩衝液の温度が1℃上昇するとpHは0.025ほど低下し、伸長反応温度もまた作用pHに影響し得る。

0065

1つの実施形態では、LNA鎖伸長反応および逆転写方法は、120mM Tris−HCl(pH7〜9)、10mM KCl、6mM (NH4)2SO4、および10μg/mL牛血清アルブミン(BSA)を含有する緩衝液中で行われる。この緩衝液は、0.1% Triton(登録商標)X−100をさらに含有する。この実施形態において、例えば、緩衝液温度を25℃として、通常のPCRと同様の条件で反応を行うかまたは74℃にて伸長反応を行う場合、この緩衝液のpHは、好ましくはpH8〜8.8であり、さらにはLNA鎖の伸長効率の面ではpH8.8の方がpH8よりも好ましい。

0066

以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。

0067

(実施例1:改変型ポリメラーゼの作出)
(1−1:プラスミド構築
KODポリメラーゼ遺伝子は人工遺伝子合成によって、あらかじめインテイン配列を除去し、コドンの最適化を行った配列(配列番号1の塩基配列;それによりコードされたアミノ酸配列を配列番号2に示す)を作成した。遺伝子合成オペロンバイオテクノロジー依頼した。KODポリメラーゼ遺伝子はpET49 vector (Novagen)のNdeIサイトとSalIサイトとの間に挿入し、KODポリメラーゼタンパク質にタグなどの余分な配列が含まれないように発現プラスミドを構築した。点変異導入にはPrimeSTAR(登録商標)Mutagenesis Basal Kit(TAKARA)の手法を用いた。KODポリメラーゼ変異体発現プラスミドについてKODポリメラーゼ変異体遺伝子の塩基配列解析を行うことで、目的の配列が正しく挿入されていることを確認した。表1に導入した変異の組み合わせを記載する。

0068

0069

(1−2:KODポリメラーゼ変異体の発現・精製)
KODポリメラーゼ変異体発現プラスミドをT7 Express Competent E.coli(High Efficiency)(NEB)にヒートショック法によって導入し、LB/Km(50μg/mL)プレートにまいて37℃で静置した。生えてきたコロニーをTB培地/1%グルコース/Km(50μg/mL)にうえて37℃で振とうした。OD600 0.4〜0.6に到達した時点で1MIPTGを1/1000vol添加(最終1mM)し、培養温度を30℃に変更して発現誘導を行った。IPTGを添加して6時間後に培養液を遠心して上清を除去し、大腸菌を回収した。大腸菌は−80℃で保存して、精製の際に融解した。融解した大腸菌は緩衝液(10mMリン酸ナトリウム、100mM NaCl、1mM DTT、10%グリセロール)に懸濁し、超音波によって菌体を破砕した。大腸菌破砕溶液を遠心(4℃、8000g、5分)後、上清を回収して80℃の湯浴で10分加熱した。加熱によって変性した夾雑物タンパク質を遠心(4℃、8000g、5分)して除去し、上清を0.45μmPVDFメンブレンフィルターに通すことで微粒子を完全に除去した。得られた粗精製溶液はHiTrap Heparin HP Columns(5mL)を用いてAKTA pure(GE Healthcare)で精製した。カラム吸着させたKODポリメラーゼ変異体について、緩衝液(10mMリン酸ナトリウム、100mM NaCl、1mM DTT、10%グリセロール)のNaCl濃度を100mM→2Mに徐々に上げることで溶出分画にKODポリメラーゼ変異体のピークを得た。溶出分画はAmicon Ultra 4(30K)(Millipore)を用いた限外濾過によって濃縮後、緩衝液の置換を行い、最終的に保存緩衝液(Storage Buffer:50mM Tris−HCl(pH8.0)、50mM KCl、50%グリセロール、0.1% Tween 20、0.1% Nonidet P40)に溶解させて−20℃で保存した。KODポリメラーゼ変異体の濃度はブラッドフォード法によって決定し、Storage Bufferで目的の濃度に希釈して反応に用いた。

0070

(実施例2:糖修飾塩基の合成)
(2−1:LNA−ATPの合成)

0071

0072

LNA−A(102mg、3.65×10−4mol、1.0eq)と撹拌子を100mLナスフラスコに入れ一晩減圧乾燥させ、dry−DMF(6mL)で2回共沸させた。次にdry−MeCN(6mL)で3回共沸させた。一晩減圧乾燥させておいたプロトンスポンジ(117mg、5.46×10−4mol、1.46eq)を入れた後さらに一晩減圧乾燥させた。アルゴン置換し、デシケーター内のセプタムキャップを付けアルゴン風船を取り付けた。リン酸トリメチル(1.3mL、1.29×10−2mol、36eq)を加え、懸濁させ氷浴中で30分撹拌させた。POCl3(55μL、5.90×10−4mol、1.5eq)を加え氷浴下で45分間撹拌した。氷浴下でdry−トリブチルアミン(350μL、1.46×10−3mol、4.0eq)と0.5Mピロリン酸DMF(3.7mL、1.87×10−3mol、5.0eq)を添加し室温で1時間反応させた。氷浴下で5分間撹拌し、TEAB緩衝液約6mL加え反応を止め、減圧留去した。少量の蒸留水を入れて溶かし、ジエチルエーテルで2回分液した。水相を減圧留去し、陰イオン交換カラムDEAESephadex A−25)で目的生成物である三リン酸を分取した。さらに、中圧カラム(C18)で過剰のピロリン酸を除去し、逆相HPLC(C18)により精製、フラクションを減圧留去、凍結乾燥しLNA−ATPを得た。収量:6.16μmol。収率:1.6%。ESI−MS(ネガティブイオンモード)m/z、実測値=517.8、計算値([(M−H)−]に対し)=518.0。

0073

(2−2:LNA−TTPの合成)

0074

0075

LNA−T(103mg、3.81×10−4mol、1.0eq)と撹拌子を100mLナスフラスコに入れ一晩減圧乾燥させ、dry−DMF(6mL)で2回共沸させた。次にdry−MeCN(6mL)で3回共沸させた。一晩減圧乾燥させておいたプロトン・スポンジ(119mg、5.55×10−4mol、1.46eq)を入れた後さらに一晩減圧乾燥させた。アルゴン置換し、デシケーター内のセプタムキャップを付けアルゴン風船を取り付けた。リン酸トリメチル(1.4mL、1.39×10−2mol、36eq)を加え、完全に溶解させ氷浴中で30分撹拌させた。POCl3(60μL、6.44×10−4mol、1.5eq)を加え氷浴下で45分間撹拌した。氷浴下でdry−トリブチルアミン(400μL、1.67×10−3mol、4.0eq)と0.5Mピロリン酸DMF(4.0mL、2.02×10−3mol、5.0eq)を添加し室温で1時間反応させた。氷浴下で5分間撹拌し重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)緩衝液約6mL加え反応を止め、減圧留去した。少量の蒸留水を入れて溶かし、ジエチルエーテルで2回分液した。水相を減圧留去し、陰イオン交換カラム(DEAESephadex A−25)で目的生成物である三リン酸を分取した。さらに、中圧カラム(C18)で過剰のピロリン酸を除去し、逆相HPLC(C18)により精製、フラクションを減圧留去、凍結乾燥しLNA−TTPを得た。収量:115μmol。収率:30.2%。ESI−MS(ネガティブイオンモード)m/z、実測値=508.9、計算値([(M−H)−]に対し)=509.18。

0076

(2−3:LNA−GiTPの合成)

0077

0078

LNA−G(101mg、2.76×10−4mol、1.0eq)と撹拌子を100mLナスフラスコに入れ一晩減圧乾燥させ、dry−DMF(6mL)で2回共沸させた。次にdry−MeCN(6mL)で3回共沸させた。一晩減圧乾燥させておいたプロトン・スポンジ(118mg、5.51×10−4mol、1.5eq)を入れた後さらに一晩減圧乾燥させた。アルゴン置換し、デシケーター内のセプタムキャップを付けアルゴン風船を取り付けた。リン酸トリメチル(1.0mL、9.94×10−3mol、36eq)を加え、懸濁させ氷浴中で30分撹拌させた。POCl3(40μL、4.29×10−4mol、1.5eq)を加え氷浴下で45分間撹拌した。氷浴下でdry−トリブチルアミン(260μL、1.09×10−3mol、4.0eq)と0.5Mピロリン酸DMF(2.8mL、1.41×10−3mol、5.0eq)を添加し室温で1時間反応させた。氷浴下で5分間撹拌し、TEAB緩衝液約6mL加え反応を止め、減圧留去した。少量の蒸留水を入れて溶かし、ジエチルエーテルで2回分液した。水相を減圧留去し、陰イオン交換カラム(DEAESephadex A−25)で目的生成物である三リン酸を分取した。さらに、中圧カラム(C18)で過剰のピロリン酸を除去し、逆相HPLC(C18)により精製、フラクションを減圧留去、凍結乾燥しLNA−GiTPを得た。収量:32.3μmol。収率:11.7%。ESI−MS(ネガティブイオンモード)m/z、実測値=603.8、計算値([(M−H)−]に対し)=604.03。

0079

(2−4:LNA−GTPの合成)

0080

0081

100mLのナスフラスコに入ったLNA−GiTP(1.86mg、20.03μmol)を水1mLで溶かし28%濃アンモニア水(7.1mL)を加え撹拌した。4時間ごとにサンプリングしHPLCでピークを見た。反応液は濃縮した後、28%濃アンモニア水(7.1mL)を加えさらに4時間撹拌した。HPLCでLNA−GiTPのピークが消失するまで、これを繰り返した。48時間後、反応液を減圧留去し、逆相HPLC(C18)により精製、フラクションを減圧留去、凍結乾燥しLNA−GTPを得た。収量:12.74μmol。収率:63%。ESI−MS(ネガティブイオンモード)m/z、実測値=533.8、計算値([(M−H)−]に対し)=533.99。

0082

(2−5:LNA−CTPの合成)

0083

0084

LNA−C(101mg、3.72×10−4mol、1.0eq)と撹拌子を100mLナスフラスコに入れ一晩減圧乾燥させ、dry−DMF(6mL)で2回共沸させた。次にdry−MeCN(6mL)で3回共沸させた。一晩減圧乾燥させておいたプロトン・スポンジ(113mg、5.27×10−4mol、1.46eq)を入れた後さらに一晩減圧乾燥させた。アルゴン置換し、デシケーター内のセプタムキャップを付けアルゴン置換した。リン酸トリメチル(4.5mL、4.47×10−2mol、120eq)を加え、懸濁させ氷浴中で30分撹拌させた。POCl3(60μL、6.44×10−4mol、1.5eq)を加え氷浴下で45分間撹拌した。氷浴下でdry−トリブチルアミン(400μL、1.67×10−3mol、4.0eq)と0.5Mピロリン酸DMF(3.8mL、1.92×10−3mol、5.0eq)を添加し室温で1時間反応させた。氷浴下で5分間撹拌し、TEAB緩衝液約6mL加え反応を止め、減圧留去した。少量の蒸留水を入れて溶かし、ジエチルエーテルで2回分液した。水相を減圧留去し、陰イオン交換カラム(DEAESephadex A−25)で目的生成物である三リン酸を分取した。さらに、中圧カラム(C18)で過剰のピロリン酸を除去し、逆相HPLC(C18)により精製、フラクションを減圧留去、凍結乾燥しLNA−CTPを得た。収量:18.28μmol。収率:4.89%。ESI−MS(ネガティブイオンモード)m/z、実測値=493.9、計算値([(M−H)−]に対し)=493.98。

0085

(参考例:KODポリメラーゼ変異体のLNA鎖伸長活性の試験法
KODポリメラーゼ変異体について活性の検討に用いた手法を参考例1〜3に示す。本実施例では、特に言及しない限り、下記参考例1〜3の手法を用いた。

0086

(参考例1:変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE))
泳動緩衝液:1×TBE緩衝液、変性ポリアクリルアミドゲル:1×TBE緩衝液、7M尿素、20%ポリアクリルアミド。反応液10μLあたり、40mMEDTA、0.1%ブロモフェノールブルー:2μL、10M尿素12μLを添加して泳動サンプルとした。55℃、200V定電圧で30分予備泳動を行った後、サンプルをゲルアプライして同条件で泳動した。

0087

(参考例2:アルカリアガロースゲル電気泳動
DNA・RNAの一本鎖の解析には、二重鎖を解離させるために変性PAGEが通常用いられる。しかしDNA/LNA二重鎖のTm値は非常に高くなっているため、変性PAGEの条件では解離させることができず、LNA一本鎖の解析には適さない。そこで、DNA/LNA二重鎖を完全に解離させて解析するためにアルカリアガロースゲル電気泳動法を用いた。DNA/LNA二重鎖であっても水酸化ナトリウム溶液中では解離するため、LNAを一本鎖の状態で解析することが可能である。

0088

アガロースは低分子量核酸分離用のもの(Agarose 21(株式会社ニッポンジーン))を用いた。ゲルと泳動緩衝液、ローディングダイの組成は以下の通りである。ゲル:50mM NaCl、2mMEDTA、5%アガロース、泳動緩衝液:5mM NaOH、2mM EDTA、6×ローディングダイ:300mM NaOH、12mM EDTA、30%グリセロール、0.1%ブロモフェノールブルー。泳動前にゲルを泳動緩衝液に1時間浸して平衡化した。泳動は室温、3V/cm定電圧の条件で行った。一本鎖LNAの検出にはプライマーに標識した蛍光色素を用いて、PharosFX(Bio-Rad社製)によって解析を行った。

0089

(参考例3:KODポリメラーゼ変異体のLNA鎖伸長活性反応
KODポリメラーゼ変異体のLNA鎖伸長活性比較に用いた反応液の組成を、以下の表2に示す。KODポリメラーゼ変異体を未添加の反応液を95℃で1分加熱後、1時間かけて室温まで下げることでアニーリングを行った後、KODポリメラーゼ変異体を添加して74℃でLNA鎖伸長反応を進行させた。LNA鎖伸長反応に用いたテンプレートとプライマーの配列を表3に示す。

0090

0091

0092

(実施例3:KODポリメラーゼ変異体のLNA鎖伸長活性の検討)
実施例1で作出したKODポリメラーゼ変異体について、プライマー鎖:5'_6-FAM_labeled primer P2、テンプレート鎖:Template DNA N10を用いて、LNA鎖伸長活性を比較した。LNA鎖伸長は74℃で30分の条件で反応を進行させた。得られた反応液に40mMEDTA、0.1%ブロモフェノールブルー:2μL、10M尿素12μLを添加し、泳動サンプルとした。プライマー鎖0.625pmolを用いて、変性PAGEによって解析を行った。LNA鎖が短鎖であれば、変性PAGEの条件でDNA/LNA鎖を解離させることができるため、アルカリアガロースゲル電気泳動法を用いなかった。

0093

図1図1−1,2,3,4)に解析結果を示す。図1の中から代表例を選んで変性PAGEによって解析した結果を図2に示す。これらの図中、コントロールとして未改変の野生型(「WT」)の結果を示す。さらに、伸長の程度を明確化するためにプライマーのみ(「Primer」)およびテンプレートの伸長対応分(すなわち10塩基分)伸長した場合(「Primer+10mer」)を併せて示す(以降の図においても同様である)。

0094

全ての変異体がエキソヌクレアーゼ活性を減弱させた変異N210Dを有している。変異体A2、A34、A13、A26、A48、およびA53に共通する変異A485Lは、Fingers領域に位置しており、三リン酸体の結合に寄与していると考えられる。またA34およびA53に共通する変異Y409Vは、三リン酸体の糖構造の認識を緩和していると考えられる。元来、野生型のポリメラーゼにおいてはDNA鎖中にRNAが含まれることは生存において不都合であるため、NTPの取り込みが起こらないようにヌクレオチドの糖部認識によって制限されている。しかし、この制限は糖部に修飾を加えたLNA−NTPの取り込み活性を低下させる要因になる。変異Y409Vは糖部認識を緩和することによってLNA−NTPの取り込み速度を向上させている。

0095

これらの三リン酸体に寄与する変異A485L,Y409VのみではLNA鎖の安定的な伸長には不十分である。DNA/LNA二重鎖の構造(A型らせん)はDNA/DNA二重鎖の構造(B型らせん)と異なるため、通常のポリメラーゼはDNA/LNA鎖と安定して結合することができないと考えられるためである。実際に、A2、A34では、LNA鎖の伸長が早い段階で停止している。そこで、DNA/LNA二重鎖との結合を強めるために、D614N(A26、A53)とE664K(A4、A13、A26、A48、A53)を導入している。二重鎖と結合するThumb領域中には負電荷をもつアミノ酸(D614、E664)が存在するが、このアミノ酸を電荷なし(D614N)、あるいは正電荷(E664K)に変更することによって、DNA/LNA二重鎖との結合を強め、プライマー鎖の3’末端を反応部位に正しく位置させることができていると考えられる。変異体A4のようにDNA/LNA二重鎖との結合を強めただけではLNA伸長活性はそれほど高くないが、A13、A26、A48、A53のようにヌクレオチドモノマーとヌクレオチドポリマーそれぞれに寄与する変異を同時に導入することによって、LNA鎖の安定的な伸長が可能になっている。これらの変異を包括的に有している変異体A48およびA53が、特に高いLNA鎖伸長活性を示している。以下、A48を変異体1、A53を変異体2とも呼称する。

0096

(実施例4:KODポリメラーゼ変異体を用いたLNAライブラリの作成)
LNAライブラリの作成に用いた反応液の組成を以下の表4に示す。KODポリメラーゼ変異体を未添加の反応液を95℃で1分加熱後、1時間かけて室温まで下げることでアニーリングを行った後、KODポリメラーゼ変異体1または2を添加してLNA鎖伸長反応を進行させた。なお、コントロールとして、表4中のLNA−ATP、LNA−CTP、LNA−GTPおよびLNA−TTPの代わりに同量のdATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを用いて、DNAライブラリを作成した。

0097

0098

プライマー鎖:5'_6-FAM_labeled primer P2、テンプレート鎖:Template DNA N30、Template DNA N50を用いて30merおよび50merのLNAライブラリを作成した。LNA鎖伸長は74℃で9時間の条件で反応を進行させた。得られた反応液に6×ローディングダイを1/6容量添加し、プライマー鎖1pmolをアルカリアガロースゲルにアプライして電気泳動を行った。その結果、dNTPを用いて作成したDNAライブラリに匹敵するLNAライブラリを作成することに成功した(図3)。

0099

(実施例5:KODポリメラーゼ変異体を用いたLNA鎖伸長反応時間の検討)
LNA鎖伸長反応時間について検討を行った。

0100

プライマー鎖:5'_6-FAM_labeled primer P2,テンプレート鎖:Template DNA N30を用いて30merのLNAライブラリを作成した。反応液の組成は表4に示すとおりであり、コントロールとして、LNA−ATP、LNA−CTP、LNA−GTPおよびLNA−TTPの代わりにdATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを用いて、DNAライブラリを作成した。KODポリメラーゼ変異体2を用いて、反応時間:1.5時間、3時間、6時間、9時間の条件で比較した。伸長時間1.5時間で30merのLNA伸長反応産物ができ始め、LNAライブラリを作成するための反応時間は9時間から短縮することが可能であることが示された(図4)。

0101

(実施例6:KODポリメラーゼ変異体を用いたLNA鎖合成の正確性)
LNA−ATP、LNA−CTP、LNA−GTPおよびLNA−TTPのうちの一つを除いた反応条件において、単一配列のテンプレートを用いてLNA鎖伸長反応を行った場合、伸長反応が停止するか調べた。誤った塩基の取り込みが許容される場合、途中で伸長反応が停止することなく最後まで反応が進行してしまうことがわかった。

0102

プライマー鎖:5'_6-FAM_labeled primer P2、テンプレート鎖:Template DNA L3-1(表3)、ポリメラーゼ:変異体2を用いて、反応時間13.5時間で反応を大過剰に進行させた。それぞれの反応液は、以下の表5の条件に従うこと以外は、表4に示すとおりとした。この結果を図5に示す。図5に対応して、反応条件を以下の表5に示す。

0103

0104

LNA−NTPを含まない条件では、KODポリメラーゼ変異体の微弱なエキソヌクレアーゼ活性によってプライマーが分解された(図5、条件1)。LNA−NTPを欠いていない条件(条件6)と比べて、LNA−ATP、LNA−CTP、LNA−GTPおよびLNA−TTPをそれぞれ欠いた条件(条件2〜5)では、伸長反応が途中で停止することが示された。これによって、誤った塩基の取り込みがある程度制限されており、一定の正確性を有することが示された。

0105

(実施例7:KODポリメラーゼ変異体によるLNAプライマーを用いたLNA鎖伸長反応)
DNAプライマーを用いてLNA鎖ライブラリを作成した場合、途中で伸長反応の進行が遅くなる律速段階のLNA鎖長が存在する。これは、プライマー鎖のDNA−LNAジャンクション領域を含む二重鎖の構造が不規則になっており、ポリメラーゼの結合が難しくなっているためだと考えられる。そこでLNAプライマーを用いることによって、プライマー鎖のDNA−LNAジャンクション領域を削除した条件の反応を検討した。

0106

プライマー鎖:5'_6-FAM_labeled primer P2(DNAプライマー)、5'_6-FAM_labeled primerLP2(LNAプライマー)、テンプレート鎖:Template DNA N30、ポリメラーゼ:変異体2を用いて、反応時間1.5時間、3時間、4.5時間および6時間で反応を進めた。コントロールとして、DNAプライマーについて、dNTPを用いたDNAライブラリを作成した。それぞれの反応液は、以下の表6の条件に従うこと以外は、表4に示すとおりとし、DNAライブラリ作成の場合は、LNA−ATP、LNA−CTP、LNA−GTPおよびLNA−TTPの代わりにdATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを用いた。この結果を図6に示す。図6に対応して、反応条件を以下の表6に示す。

0107

0108

その結果、LNAプライマーを用いた条件では、DNAプライマーを用いた条件のような伸長反応の途中段階での律速が生じなかった(図6)。伸長反応が全く進行していないプライマー鎖も存在するが、経時変化が観察されないため、LNAプライマーの合成の問題であると考えられる。

0109

(実施例8:各種KODポリメラーゼ変異体によるLNAオリゴヌクレオチドからの逆転写によるDNA鎖の合成)
作製したKODポリメラーゼ変異体を用いて、LNA鎖→DNA鎖の逆転写活性を比較した。逆転写反応に用いたテンプレートとプライマーの配列を表7に示す。KODポリメラーゼ変異体を未添加の反応液を95℃で1分加熱後、1時間かけて室温まで下げることでアニーリングを行った後、KODポリメラーゼ変異体を添加して74℃で逆転写反応を進行させた。逆転写反応においては、反応液組成は、LNA−ATP、LNA−CTP、LNA−GTPおよびLNA−TTPの代わりにdATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを用いたこと以外は、表2の組成と同様のものを用いた。逆転写反応は30分間行った。得られた反応液に6×ローディングダイを1/6vol添加し、プライマー鎖1pmolをアルカリアガロースゲルにアプライして電気泳動を行った。

0110

0111

逆転写活性の比較を図7に示す。図7(A)および(B)は、調べたKODポリメラーゼ変異体の結果を示し、図7(c)は、その中から特徴的な活性を呈するものを示す。

0112

全ての変異体において、エキソヌクレアーゼ活性を減弱させる変異N210Dを導入している。逆転写の際にはポリメラーゼがDNA/LNA二重鎖と結合し、プライマー鎖の3’末端を反応部位に正しく位置させることが必要である。Thumb領域の負電荷アミノ酸を正電荷に変更した変異体A4(E664K)およびA43(E664R)において、逆転写活性が見られるのはDNA/LNA二重鎖結合能を向上させた結果であると考えられる。一方で、三リン酸体との結合に関与するA485Lのみでは、逆転写活性を示さない(変異体A2)。しかし、DNA/LNA二重鎖結合能を微増させた変異(E664Q:負電荷→中性)と共にA485Lを導入(変異体A51)すると、逆転写活性が観察される。これは、リン酸ジエステル結合形成反応の進行が早く進むならば、要求されるDNA/LNA二重鎖結合能は低くて済むことを示していると考えられる。また、DNA/LNA二重鎖結合能を向上させたE664Kを有する変異体でも、A485Lによって逆転写活性を向上し(変異体A13)、これらの変異に加えてD614Nをさらに有する変異体でも、逆転写活性がみられた(変異体A26)。

0113

(実施例9:転写(DNA→LNA)および逆転写(LNA→DNA)反応についてKODポリメラーゼ変異体を用いた正確性の検討)
DNAテンプレートをもとに、転写(DNA→LNA)にA48(変異体1)およびA53(変異体2)を用い、そして逆転写(LNA→DNA)にA51を用いて反応を行い、得られたDNA鎖をTAクローニングによってpT7Blue T-Vector(タカラバイオ株式会社製)に挿入し、塩基配列を解析し、ポリメラーゼの正確性を評価した。転写・逆転写以外のステップにおいてもエラーが生じ得るので、全てのステップの反応をDNAで進めるコントロール実験を行い、転写および逆転写のエラー率補正をかけた。以下に手順を記す。

0114

<転写(DNA→LNA)>
反応液組成(反応液合計50μL):
1×
KOD-Plus-Ver.2用緩衝液
1.5mM MgSO4
0.2mM LNA−NTP(コントロール:dNTP)
0.5μMプライマー(Primer hmP3)
0.6μMテンプレート(3'-B-Template_FA2-1A)
300ng/μL KOD−A48またはA53(コントロール:0.02U/μL KOD−Plus−(東洋紡株式会社製))。

0115

ポリメラーゼ添加前の反応液(液量:40μL)をアニーリング(94℃にて30秒、1時間かけて25℃に徐冷)した後、1500ng/μL ポリメラーゼ変異体A48またはA53を10μL添加し、反応を進行させた(コントロール:反応液をそのままPCRに用いた)。

0116

反応条件:
74℃にて9時間
(コントロール:ステップ1:95℃にて2分(×1)、ステップ2:95℃にて30秒、55℃にて30秒、68℃にて1分(×3))。

0117

LNA伸長サンプルに100mM NaOHを50μL添加し、ポリメラーゼを変性させた。50mM Tris−HCl(pH7.4)を250μL添加して中和した後、エタノール沈殿によって精製し、1×B/W Buffer(結合および洗浄緩衝液:5mM Tris−HCl(pH7.4)、0.5mMEDTA、1M NaCl、0.05% v/v Tween20):1mLに溶解させた(コントロール:反応後のサンプルに2×B/W Bufferを50μL、1×B/W Bufferを900μL添加した)。

0118

Dynabeads(登録商標)M-280 Streptavidin(Thermo Fisher Scientific, Inc.)50μLを1mLの1×B/W Bufferによって3回洗浄した後、前述の反応後のサンプル1mLを加え、60分混和した。1mLの1×B/W Bufferによって3回洗浄した後、1mLの滅菌水で2回洗浄した。さらに100mM NaOHを50μL加え、5分混和した後、上清を回収した。100mM Tris−HCl(pH7.4)を1mL添加して中和した後、新しいDynabeads(登録商標)M-280 Streptavidin(洗浄済み)を50μL添加して30分混和することで、微量に含まれる可能性のあるテンプレート鎖をビーズ上にトラップして除去した。上清は回収して、Vivaspin 500(5,000MWCO)(Sartorius AG)を用いて、滅菌水に置換・濃縮した。

0119

<逆転写(LNA→DNA)>
反応液組成(反応液合計50μL):
1× KOD-Plus-Ver.2用緩衝液
1.5mM MgSO4
0.2mM dNTP
0.5μMプライマー(5'-Primer hP5)
LNAテンプレート溶液2.5μL
2ng/μL KOD_A51(コントロール:0.02U/μL KOD−Plus−)。

0120

反応条件:
ステップ1:95℃にて2分(×1)、ステップ2:95℃にて30秒、55℃にて30秒、74℃(コントロール:68℃)にて1分(×20)。

0121

反応後のサンプルに2×B/W Bufferを50μL、1×B/W Bufferを900μL添加した。

0122

Dynabeads(登録商標)M-280 Streptavidin 50μLを1mLの1×B/W Bufferによって3回洗浄した後、前述の逆転写反応後のサンプル1mLを加え、60分混和した。1mLの1×B/W Bufferによって3回、1mLの100mM NaOHで4回、1mLの50mM Tris−HCl(pH7.4)で1回、1mLの滅菌水で2回洗浄した。洗浄操作によって、LNA伸長鎖を可能な限り除去し、逆転写鎖をビーズにトラップした。ビーズを滅菌水50μLに懸濁させた。

0123

PCR(TAクローニング用):反応液25μL。1×Taq反応緩衝液、1.5mM MgSO4、0.2mM dNTP、0.3μMプライマー(Primer hP1,Primer hP5)、逆転写鎖をトラップしたビーズ懸濁液2.5μL、0.1U/μL rTaqポリメラーゼ(東洋紡株式会社製)。反応条件:ステップ1:94℃にて2分(×1)、ステップ2:94℃にて30秒、50℃にて30秒、72℃にて1分(×20)。QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN, Inc.)を用いて精製し、TAクローニングに用いた。

0124

TAクローニング:PCR産物1.5μL、2.5ng/μL pT7Blue T-Vector 0.5μL、Ligation High Ver.2(東洋紡株式会社製)2μLを混合し、16℃にて60分反応させた後、大腸菌DH5αに導入した。得られたシングルコロニーから各々のプラスミドを抽出し、塩基配列解析を行った。

0125

表8は、LNA転写・逆転写の正確性評価に用いたプライマーおよびテンプレートの配列を示す。

0126

0127

実験系の都合上、転写・逆転写以外に、クローニングの際にエラーが生じ得る。従って、バックグラウンドのエラー率を求めるためのコントロール実験として、全てのステップをDNAで反応を進めてエラー率を調べた。表9は、LNA転写・逆転写の正確性評価のための塩基配列解析結果を示す。

0128

0129

結果として、コントロール実験では、解析した1024塩基中に6個のエラーが含まれていた。よって実験系のエラー率は、エラー率=6エラー/(32サンプル×32塩基)=5.8×10−3(1塩基あたり0.58%のエラー)と求められた。対して、A48(転写)とA51(逆転写)を用いた条件では、補正なしで生エラー率=17エラー/(31サンプル×32塩基)=17.1×10−3、コントロールのエラー率を引いて補正すると、補正エラー率=17.1×10−3−5.8×10−3=11.3×10−3(1塩基あたり1.1%のエラー)と求められた。また、A53(転写)とA51(逆転写)を用いた条件では、補正なしで生エラー率=9エラー/(26サンプル×32塩基)=10.8×10−3、コントロールのエラー率を引いて補正すると補正エラー率=10.8×10−3−5.8×10−3=5.0×10−3(1塩基あたり0.5%のエラー)と求められた。よって、A53のLNA転写は、その後の逆転写反応で得られるDNA鎖の塩基配列解析からも正確性を維持したことが示された。また、SELEXにおいては、A53(転写)とA51(逆転写)とがより好適に用いられ得る。

0130

(実施例10:改変型ポリメラーゼ(KODポリメラーゼ変異体)の作出およびLNA鎖伸長活性の検討)
表10に示す改変型ポリメラーゼ(KODポリメラーゼ変異体)を作製し、DNA鎖を鋳型としたLNA鎖伸長活性を評価した。これらのKODポリメラーゼ変異体は、Y409を下記のアミノ酸にそれぞれ置換したものである。

0131

0132

0133

KODポリメラーゼ変異体を未添加の反応液を95℃にて1分加熱後、60分かけて25℃まで下げることでアニーリングを行い、次いでKODポリメラーゼ変異体を添加して74℃でLNA鎖の伸長反応を進行させた。得られた反応液に6×ローディングダイを1/6容量添加し、アルカリアガロースゲルにて電気泳動を行った。

0134

各種KODポリメラーゼ変異体について、以下の3通りの反応液組成にてLNA鎖の伸長反応を行った。

0135

<評価1>
反応液組成:1×KOD-Plus-Ver.2用緩衝液、KODポリメラーゼ変異体:300ng/μL、0.2mM LNA−NTP、1.5mM MgSO4、プライマー:0.5μM 5'_6-FAM_labeled primerLP2、テンプレート:0.6μM Template DNA N50
反応温度:74℃、反応時間:60分
泳動条件:25℃、35V、2時間
ゲル:50mM NaCl、2mMEDTA、5%寒天
泳動緩衝液:50mM NaOH、2mM EDTA
サンプル:1.2μL(0.5pmol プライマー)。

0136

<評価2>
反応液組成:1×KODDNAポリメラーゼ用緩衝液1(120mM Tris−HCl(pH8.0)(25℃)、10mM KCl、6mM (NH4)2SO4、0.1% Triton(登録商標) X−100、10μg/mLBSA)、KODポリメラーゼ変異体:300ng/μL、0.2mM LNA−NTP、1.5mM MgSO4、プライマー:0.5μM 5'_6-FAM_labeled primerLP2、テンプレート:0.6μM Template DNA N50
反応温度:74℃、反応時間:60分
泳動条件:25℃、35V、2時間
ゲル:50mM NaCl、2mMEDTA、5%寒天
泳動緩衝液:50mM NaOH、2mM EDTA
サンプル:1.2μL(0.5pmol プライマー)。

0137

<評価3>
反応液組成:1×KODDNAポリメラーゼ用緩衝液2(120mM Tris−HCl(pH8.8)(25℃)、10mM KCl、6mM (NH4)2SO4、0.1% Triton(登録商標) X−100、10μg/mLBSA)、KODポリメラーゼ変異体:300ng/μL、0.2mM LNA−NTP、1.5mM MgSO4、プライマー:0.5μM 5'_6-FAM_labeled primerLP2、テンプレート:0.6μM Template DNA N50
反応温度:74℃、反応時間:60分
泳動条件:25℃、35V、2時間
ゲル:50mM NaCl、2mMEDTA、5%寒天
泳動緩衝液:50mM NaOH、2mM EDTA
サンプル:1.2μL(0.5pmol プライマー)。

0138

評価1、2および3の結果をそれぞれ図8、9および10に示す。図8に示す通り、KODポリメラーゼ変異体A62、A63およびA64が特に高いLNA鎖伸長活性を示した。これらは、Y409を、嵩の低いアミノ酸(それぞれ、グリシン、アラニンおよびセリン)に置換された変異体である。図8においては、次いでA65(トレオニン)、A53(バリン)およびA68(アスパラギン酸)、さらにA66(ロイシン)およびA67(フェニルアラニン)についてもLNA鎖伸長活性が観察された。反応液の緩衝液の組成を変更することにより、効率的なLNA鎖伸長が可能になることが見出された(図8〜10)。1×KOD-Plus-Ver.2用緩衝液を用いた条件(評価1)よりも、図9の1×KODDNAポリメラーゼ用緩衝液1を用いた条件(評価2)でLNA鎖伸長効率が高くなり、さらに図10の1×KOD DNAポリメラーゼ用緩衝液2を用いた条件(評価3)において、LNA鎖伸長効率が特に高かった。図8〜10によれば、A69(グルタミン酸)についてもゲルのバンドの移動がみられており、LNA鎖伸長活性があると評価された。A53とA62〜A69とのLNA鎖伸長活性を比較すると、Y409についての置換後のアミノ酸の基のサイズ(嵩高さ)が小さい方が、より高いLNA鎖伸長活性が観察された。

0139

(実施例11:KODポリメラーゼ変異体を用いたLNA鎖合成の正確性の検討)
作製した改変ポリメラーゼについて、LNA取り込みの正確性について評価した。改変ポリメラーゼの種類はA53を用いて、二通りの緩衝液の場合について評価した。正確性評価の手法として、4種類の塩基のうち1種類欠いた条件(下記条件2〜5:塩基なしの場合を条件1、4種類の塩基が揃った場合を条件6とする)で伸長反応をおこなった。

0140

下記の反応液組成および条件でLNA鎖伸長反応を行い、LNA鎖伸長活性を評価した。

0141

反応液組成:1×KODDNAポリメラーゼ用緩衝液2(120mM Tris−HCl(pH8.8)(25℃)、10mM KCl、6mM (NH4)2SO4、0.1% Triton(登録商標) X−100、10μg/mLBSA)、KODポリメラーゼ変異体A53:300ng/μL、1.5mM MgSO4、
条件1:LNA−NTPなし,
条件2:0.2mM LNA−(C,G,T)TP(すなわちLNA−ATPを欠く),
条件3:0.2mM LNA−(A,G,T)TP(すなわちLNA−CTPを欠く),
条件4:0.2mM LNA−(A,C,T)TP(すなわちLNA−GTPを欠く),
条件5:0.2mM LNA−(A,C,G)TP(すなわちLNA−TTPを欠く),
条件6:0.2mM LNA−NTP,
プライマー:0.5μM 5'_6-FAM_labeled primer P2、
テンプレート:0.6μM Template DNA L3-2(配列番号14)
反応温度:74℃、反応時間:120分
泳動条件:25℃、35V、2時間
ゲル:50mM NaCl、2mMEDTA、5%寒天
泳動緩衝液:50mM NaOH、2mM EDTA
サンプル:1.2μL(0.5pmol プライマー)。

0142

さらに、上記反応液組成の1×KODDNAポリメラーゼ用緩衝液2を1×KOD-Plus-Ver.2用緩衝液に代え、反応時間を15時間とし、そしてサンプル量を1.5μL(0.625pmolプライマー)としてLNA鎖伸長反応を行い、LNA鎖伸長活性を評価した。

0143

これらの結果を図11および12に示す。KODDNAポリメラーゼ用緩衝液2を用いた場合(図11)も、KOD-Plus-Ver.2用緩衝液を用いた場合(図12)とは伸長が同程度だった。反応緩衝液によって、伸長効率は大幅に向上するが、正確性については大きく変わらないことが示された。

0144

(実施例12:KODポリメラーゼ変異体を用いたLNA鎖合成の正確性の検討)
実施例11の改変ポリメラーゼA53をA65に代えたこと以外は、1×KODDNAポリメラーゼ用緩衝液2を用いた場合と同様にして、LNA取り込みの正確性について評価した。この結果を図13に示す。

実施例

0145

A65においても、A53と同様に、塩基の種類を1種類欠いた条件(条件2〜5)において過剰な伸長反応は効率的に抑制された(図13)。

0146

本発明によれば、人工核酸であるLNAを含む鎖を伸長し得る改変ポリメラーゼが提供される。これにより、DNA鎖からLNA鎖を安定的に伸長させることが可能となる。さらに、ランダム配列からなるDNA鎖をテンプレートに用いて、LNAライブラリを作成することもできる。人工核酸ライブラリからアプタマーを選出することにより、予め分解酵素耐性を有するアプタマーが取得でき、よって、アプタマーの最適化にかかる時間を短縮できる。さらに、人工核酸ライブラリによって、ライブラリのサイズを拡大でき、候補アプタマーのスクリーニングの範囲が広がる。人工核酸ライブラリの作成により、医薬品などの候補となる人工核酸を含む配列のスクリーニングおよび人工核酸を含む核酸医薬品の効率的な開発に有用となる。

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