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課題・解決手段

本発明は、肝細胞肝前駆細胞胆管上皮細胞、肝類洞内皮前駆細胞、肝類洞内皮細胞、肝星前駆細胞肝星細胞及び肝細胞組織モデル、並びにそれらの調製方法に関する。本発明はまた、肝前駆細胞、肝類洞内皮前駆細胞、又は肝星前駆細胞を含む細胞画分に関する。本発明はまた、上記細胞、肝細胞組織モデル若しくは細胞画分を含む医薬組成物又はキットに関する。本発明はまた、肝疾患治療剤のスクリーニング方法薬剤肝毒性評価方法感染性疾患モデルの肝細胞及びその調製方法、感染性疾患モデル組織及びその調製方法、並びに、感染性治療剤のスクリーニング方法に関する。

概要

背景

肝臓は代謝、解毒血清タンパク質の合成など多種多様な機能を担っており、生体恒常性維持に必須の臓器である。肝臓の実質細胞である肝細胞は、こうした多彩肝機能を担う。特に、シトクロムP450(CYP)酵素群など多数の代謝酵素発現するため、肝細胞は薬物の毒性試験等の創薬研究に利用されている。

また、重度肝臓疾患劇症肝炎肝硬変肝癌など)などに対する根本治療は、肝臓移植しかないが、ドナー不足免疫抑制療法生涯行う必要性などの問題点があり、肝移植代わる新しい治療法の開発が望まれている。その中の一つとして、細胞移植療法がある。

しかしながら、生体肝臓から分離した肝細胞は培養により急速に代謝酵素活性を失う。また、ヒト生体からヒト肝細胞を大量に供給することは困難である。

近年、ヒト胚性幹細胞(Embryonic Stem Cell:ES細胞)および人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem cell:iPS細胞)を含むヒト多能性幹細胞は、新たな肝細胞供給源として期待が高まっている。多能性幹細胞から肝細胞を誘導する試みが多数報告されている(非特許文献1〜3)。

また、肝細胞は、肝臓の毛細血管系である類洞を構成する肝類洞内皮細胞(Liver Sinusoidal Endothelial Cell:LSEC)や周皮細胞である肝星細胞(Hepatic Stellate Cell:HSC)と密接して存在している。これら肝非実質細胞は、肝細胞と相互作用することで肝臓の発生及び分化にも大きく寄与することが知られている。

近年の幹細胞活用した分化誘導研究では、単一の機能細胞の誘導だけでなく細胞同士の相互作用に着目した組織再生に注目が集まっている。生体における多くの器官は、単一の細胞から構成されるのではなく、異なる細胞同士が液性因子細胞接着等の相互作用を介し、発生分化する。幹細胞から誘導された異なる細胞同士を共培養で立体構築することにより、機能的な細胞や組織再生成功した例が報告されている(非特許文献4及び5)。

概要

本発明は、肝細胞、肝前駆細胞胆管上皮細胞、肝類洞内皮前駆細胞、肝類洞内皮細胞、肝星前駆細胞、肝星細胞及び肝細胞組織モデル、並びにそれらの調製方法に関する。本発明はまた、肝前駆細胞、肝類洞内皮前駆細胞、又は肝星前駆細胞を含む細胞画分に関する。本発明はまた、上記細胞、肝細胞組織モデル若しくは細胞画分を含む医薬組成物又はキットに関する。本発明はまた、肝疾患治療剤のスクリーニング方法薬剤肝毒性評価方法感染性疾患モデルの肝細胞及びその調製方法、感染性疾患モデル組織及びその調製方法、並びに、感染性治療剤のスクリーニング方法に関する。

目的

また、重度の肝臓疾患(劇症肝炎、肝硬変、肝癌など)などに対する根本治療は、肝臓移植しかないが、ドナー不足や免疫抑制療法を生涯行う必要性などの問題点があり、肝移植に代わる新しい治療法の開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

肝前駆細胞を含む細胞画分から、CPM陽性表現型指標として肝前駆細胞を分取する工程を含む、肝前駆細胞の調製方法

請求項2

胚体内胚葉細胞又は肝内胚葉細胞分化誘導して肝前駆細胞を含む前記細胞画分を調製する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

多能性幹細胞を分化誘導して前記胚体内胚葉細胞又は前記肝内胚葉細胞を調製する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記多能性幹細胞がヒトiPS細胞である、請求項2又は3に記載の方法。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で調製され得、CPM陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝細胞又は胆管上皮細胞への分化能を有する、肝前駆細胞。

請求項6

凍結保存し、解凍した後における前記肝前駆細胞の増殖能が、凍結保存前における肝前駆細胞の増殖能と比較して低下しない、請求項5に記載の肝前駆細胞。

請求項7

細胞に対して90%以上の肝前駆細胞を含む細胞画分であって、前記肝前駆細胞はCPM陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝細胞又は胆管上皮細胞への分化能を有する、細胞画分。

請求項8

請求項5又は6に記載の肝前駆細胞を肝細胞へと分化誘導する工程を含む、肝細胞の調製方法。

請求項9

請求項8に記載の方法で調製され得る、増殖能を有する肝細胞。

請求項10

請求項5又は6に記載の肝前駆細胞を胆管上皮細胞へと分化誘導する工程を含む、胆管上皮細胞の調製方法。

請求項11

請求項10に記載の方法で調製され得る、増殖能を有する胆管上皮細胞。

請求項12

類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分から、FLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を指標として肝類洞内皮前駆細胞を分取する工程を含む、肝類洞内皮前駆細胞の調製方法。

請求項13

中胚葉細胞を分化誘導して肝類洞内皮前駆細胞を含む前記細胞画分を調製する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。

請求項14

多能性幹細胞を分化誘導して前記中胚葉細胞を調製する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記多能性幹細胞がヒトiPS細胞である、請求項14に記載の方法。

請求項16

請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法で調製され得、FLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝類洞内皮細胞への分化能を有する、肝類洞内皮前駆細胞。

請求項17

全細胞に対して90%以上の肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分であって、前記肝類洞内皮前駆細胞はFLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝類洞内皮細胞への分化能を有する、細胞画分。

請求項18

(1)TGF−β阻害剤を用いて請求項16に記載の肝類洞内皮前駆細胞を分化誘導して、肝類洞内皮細胞を含む細胞画分を調製する工程、及び(2)肝類洞内皮細胞を含む前記細胞画分からCD31陽性およびFcγR II陽性の表現型を指標として肝類洞内皮細胞を分取する工程を含む、肝類洞内皮細胞の調製方法。

請求項19

請求項18に記載の方法で調製され得、CD31陽性およびFcγR II陽性の表現型を有し、増殖能を有する、肝類洞内皮細胞。

請求項20

肝星前駆細胞を含む細胞画分からALCAM陽性の表現型を指標として肝星前駆細胞を分取する工程を含む、肝星前駆細胞の調製方法。

請求項21

多能性幹細胞を分化誘導して肝星前駆細胞を含む前記細胞画分を調製する工程をさらに含む、肝星前駆細胞の調製方法。

請求項22

前記多能性幹細胞がヒトiPS細胞である、請求項21に記載の方法。

請求項23

請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法で調製され得、ALCAM陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝星細胞への分化能を有する、肝星前駆細胞。

請求項24

全細胞に対して90%以上の肝星前駆細胞を含む細胞画分であって、前記肝星前駆細胞はALCAM陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝星細胞への分化能を有する、細胞画分。

請求項25

Rock阻害剤を用いて、肝星前駆細胞を肝星細胞へと分化誘導する工程を含む、肝星細胞の調製方法。

請求項26

前記肝星前駆細胞が、請求項23に記載の肝星前駆細胞である、請求項25に記載の方法。

請求項27

請求項25又は26に記載の方法で調製され得、増殖能を有する、肝星細胞。

請求項28

請求項5若しくは6に記載の肝前駆細胞、又は請求項7に記載の細胞画分を、肝類洞内皮細胞、肝星細胞及び肝中皮細胞から成る群から選択される少なくとも1つの肝非実質細胞共培養する工程を含む、肝細胞組織モデルの調製方法。

請求項29

前記肝類洞内皮細胞が、請求項19に記載の肝類洞内皮細胞である、請求項28に記載の方法。

請求項30

前記肝星細胞が、請求項27に記載の肝星細胞である、請求項28又は29に記載の方法。

請求項31

肝細胞と、肝類洞内皮細胞、肝星細胞及び肝中皮細胞から成る群から選択される少なくとも1つの肝非実質細胞とを含み、請求項28〜30のいずれか1項に記載の方法で調製され得る、肝細胞組織モデル。

請求項32

請求項5又は6に記載の肝前駆細胞、請求項7に記載の細胞画分、請求項9に記載の肝細胞、請求項11に記載の胆管上皮細胞、請求項16に記載の肝類洞内皮前駆細胞、請求項17に記載の細胞画分、請求項19に記載の肝類洞内皮細胞、請求項23に記載の肝星前駆細胞、請求項24に記載の細胞画分、請求項27に記載の肝星細胞、或いは請求項31に記載の肝細胞組織モデルを含む、医薬組成物

請求項33

請求項9に記載の肝細胞又は請求項31に記載の肝細胞組織モデルに肝疾患治療剤の候補品を投与することを含む、肝疾患治療剤のスクリーニング方法

請求項34

請求項9に記載の肝細胞又は請求項31に記載の肝細胞組織モデルに薬剤を投与することを含む、薬剤の肝毒性評価方法

請求項35

(1)請求項5若しくは6に記載の肝前駆細胞、又は請求項7に記載の細胞画分中の肝前駆細胞に病原体を感染させる工程、(2)病原体を感染した前記肝前駆細胞を分化誘導して病原体感染疾患モデルの肝細胞を調製することを含む、感染性疾患モデルの肝細胞の調製方法。

請求項36

請求項9に記載の肝細胞に病原体を感染させる工程を含む、感染性疾患モデルの肝細胞の調製方法。

請求項37

前記病原体が、肝炎ウィルス又はマラリア原虫である、請求項35又は36に記載の調製方法。

請求項38

請求項35〜37に記載の方法によって調製され得る、感染性疾患モデルの肝細胞。

請求項39

(1)請求項5又は6に記載の肝前駆細胞、又は請求項7に記載の細胞画分中の肝前駆細胞に病原体を感染させる工程、(2)病原体を感染した前記肝前駆細胞を、肝類洞内皮細胞、肝星細胞及び肝中皮細胞から成る群から選択される少なくとも1つの肝非実質細胞と共培養する工程を含む、感染性疾患モデル組織の調製方法。

請求項40

前記病原体が、肝炎ウィルス又はマラリア原虫である、請求項39に記載の調製方法。

請求項41

請求項39又は40に記載の方法によって調製され得る、感染性疾患モデル組織。

請求項42

請求項38に記載の感染性疾患モデルの肝細胞又は請求項41に記載の感染性疾患モデル組織に感染性肝疾患治療剤の候補品を投与することを含む、感染性肝疾患治療剤のスクリーニング方法。

請求項43

請求項5又は6に記載の肝前駆細胞、請求項7に記載の細胞画分、請求項9に記載の肝細胞、請求項11に記載の胆管上皮細胞、請求項16に記載の肝類洞内皮前駆細胞、請求項17に記載の細胞画分、請求項19に記載の肝類洞内皮細胞、請求項23に記載の肝星前駆細胞、請求項24に記載の細胞画分、請求項27に記載の肝星細胞、或いは請求項31に記載の肝細胞組織モデルを含む、キット

技術分野

0001

本発明は、肝細胞肝前駆細胞胆管上皮細胞、肝類洞内皮前駆細胞、肝類洞内皮細胞、肝星前駆細胞肝星細胞及び肝細胞組織モデル、並びにそれらの調製方法に関する。本発明はまた、肝前駆細胞、肝類洞内皮前駆細胞、又は肝星前駆細胞を含む細胞画分に関する。本発明はまた、上記細胞、肝細胞組織モデル若しくは細胞画分を含む医薬組成物又はキットに関する。本発明はまた、肝疾患治療剤のスクリーニング方法薬剤肝毒性評価方法感染性肝疾患モデルの肝細胞及びその調製方法、感染性肝疾患モデル組織及びその調製方法、並びに、感染性肝疾患治療剤のスクリーニング方法に関する。

背景技術

0002

肝臓は代謝、解毒血清タンパク質の合成など多種多様な機能を担っており、生体恒常性維持に必須の臓器である。肝臓の実質細胞である肝細胞は、こうした多彩肝機能を担う。特に、シトクロムP450(CYP)酵素群など多数の代謝酵素発現するため、肝細胞は薬物の毒性試験等の創薬研究に利用されている。

0003

また、重度肝臓疾患劇症肝炎肝硬変肝癌など)などに対する根本治療は、肝臓移植しかないが、ドナー不足免疫抑制療法生涯行う必要性などの問題点があり、肝移植代わる新しい治療法の開発が望まれている。その中の一つとして、細胞移植療法がある。

0004

しかしながら、生体肝臓から分離した肝細胞は培養により急速に代謝酵素活性を失う。また、ヒト生体からヒト肝細胞を大量に供給することは困難である。

0005

近年、ヒト胚性幹細胞(Embryonic Stem Cell:ES細胞)および人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem cell:iPS細胞)を含むヒト多能性幹細胞は、新たな肝細胞供給源として期待が高まっている。多能性幹細胞から肝細胞を誘導する試みが多数報告されている(非特許文献1〜3)。

0006

また、肝細胞は、肝臓の毛細血管系である類洞を構成する肝類洞内皮細胞(Liver Sinusoidal Endothelial Cell:LSEC)や周皮細胞である肝星細胞(Hepatic Stellate Cell:HSC)と密接して存在している。これら肝非実質細胞は、肝細胞と相互作用することで肝臓の発生及び分化にも大きく寄与することが知られている。

0007

近年の幹細胞活用した分化誘導研究では、単一の機能細胞の誘導だけでなく細胞同士の相互作用に着目した組織再生に注目が集まっている。生体における多くの器官は、単一の細胞から構成されるのではなく、異なる細胞同士が液性因子細胞接着等の相互作用を介し、発生分化する。幹細胞から誘導された異なる細胞同士を共培養で立体構築することにより、機能的な細胞や組織再生成功した例が報告されている(非特許文献4及び5)。

先行技術

0008

Ogawa et al., Development 2013, 140 (15), 3285-3296
Si-Tayeb et al., Hepatology 2010, 51 (1), 297-305
Takayama et al., J Hepatol. 2012, 57 (3), 628-36
Wang et al., Sci Rep., 2015, 5, 9232
Taguchi et al., Cell Stem Cell, 2014, 14 (1), 53-67

発明が解決しようとする課題

0009

従来知られているヒト多能性幹細胞からヒト肝細胞を誘導する方法は、多段階の分化誘導を経る必要があり、均一で大量の肝細胞を短期間で調製することは困難である。さらに、当該方法によって得られるヒト肝細胞において、薬剤代謝に関わる酵素であるCYPの発現量が生体の肝細胞と比べて低く、生体肝細胞と同等の生理機能を有する肝細胞の誘導には至っていないのが現状である。

0010

また、肝発生時の細胞間相互作用インビトロ忠実再現することで、機能的な肝細胞や肝組織を誘導することが可能になると考えられる。しかし、肝発生時に肝細胞と相互作用する非実質細胞を、ヒト生体から安定的かつ大量に得ることは困難である。

0011

したがって本発明は、均一で高機能の肝細胞、肝非実質細胞及びそれらの前駆細胞を高純度で効率よく調製する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、肝前駆細胞を含む細胞画分から、カルボキシペプチダーゼM(CPM陽性表現型指標として肝前駆細胞を選択的に分取できること、そして得られた肝前駆細胞を分化誘導することで均一で高機能の肝細胞を調製できることを見出した。

0013

また本発明者らは、肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分から、FLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を指標として、均一で高機能の肝類洞内皮前駆細胞を選択的に分取できること、得られた肝類洞内皮前駆細胞を分化誘導することで、均一で高機能の肝類洞内皮細胞を調製できることを見出した。

0014

また本発明者らは、肝星前駆細胞を含む細胞画分から、活性化白血球細胞接着分子(activated-leukocyte cell adhesion molecule:ALCAM)陽性の表現型を指標として、均一で高機能の肝星前駆細胞を選択的に分取できることを見出した。

0015

また本発明者らは、Rhoキナーゼ(Rho-associated protein kinase:ROCK阻害剤を用いて、肝星前駆細胞を肝星細胞へと分化誘導することができることを見出した。

0016

また本発明者らは、上記で得られた肝前駆細胞を肝非実質細胞と共培養することで、肝前駆細胞から肝細胞への分化を促進できることを見出した。

0017

さらに本発明者らは、上記で得られた肝前駆細胞及び肝細胞から感染性肝疾患モデルの肝細胞を調製できることを見出した。

0018

すなわち本発明は、以下の態様を有する。
[1]
肝前駆細胞を含む細胞画分から、CPM陽性の表現型を指標として肝前駆細胞を分取する工程を含む、肝前駆細胞の調製方法。
[2]
胚体内胚葉細胞又は肝内胚葉細胞を分化誘導して肝前駆細胞を含む前記細胞画分を調製する工程をさらに含む、[1]に記載の方法。
[3]
多能性幹細胞を分化誘導して前記胚体内胚葉細胞又は前記肝内胚葉細胞を調製する工程をさらに含む、[1]に記載の方法。
[4]
前記多能性幹細胞がヒトiPS細胞である、[2]又は[3]に記載の方法。
[5]
[1]〜[4]のいずれか1つに記載の方法で調製され得、CPM陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝細胞又は胆管上皮細胞への分化能を有する、肝前駆細胞。
[6]
凍結保存し、解凍した後における前記肝前駆細胞の増殖能が、凍結保存前における肝前駆細胞の増殖能と比較して低下しない、[5]に記載の肝前駆細胞。
[7]
全細胞に対して90%以上の肝前駆細胞を含む細胞画分であって、前記肝前駆細胞はCPM陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝細胞又は胆管上皮細胞への分化能を有する、細胞画分。
[8]
[5]又は[6]に記載の肝前駆細胞を肝細胞へと分化誘導する工程を含む、肝細胞の調製方法。
[9]
[8]に記載の方法で調製され得る、増殖能を有する肝細胞。
[10]
[5]又は[6]に記載の肝前駆細胞を胆管上皮細胞へと分化誘導する工程を含む、胆管上皮細胞の調製方法。
[11]
[10]に記載の方法で調製され得る、増殖能を有する胆管上皮細胞。
[12]
肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分から、FLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を指標として肝類洞内皮前駆細胞を分取する工程を含む、肝類洞内皮前駆細胞の調製方法。
[13]
中胚葉細胞を分化誘導して肝類洞内皮前駆細胞を含む前記細胞画分を調製する工程をさらに含む、[12]に記載の方法。
[14]
多能性幹細胞を分化誘導して前記中胚葉細胞を調製する工程をさらに含む、[13]に記載の方法。
[15]
前記多能性幹細胞がヒトiPS細胞である、[14]に記載の方法。
[16]
[12]〜[15]のいずれか1つに記載の方法で調製され得、FLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝類洞内皮細胞への分化能を有する、肝類洞内皮前駆細胞。
[17]
全細胞に対して90%以上の肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分であって、前記肝類洞内皮前駆細胞はFLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝類洞内皮細胞への分化能を有する、細胞画分。
[18]
(1)TGF−β阻害剤を用いて[16]に記載の肝類洞内皮前駆細胞を分化誘導して、肝類洞内皮細胞を含む細胞画分を調製する工程、及び
(2)肝類洞内皮細胞を含む前記細胞画分からCD31陽性およびFcγR II陽性の表現型を指標として肝類洞内皮細胞を分取する工程
を含む、肝類洞内皮細胞の調製方法。
[19]
[18]に記載の方法で調製され得、CD31陽性およびFcγR II陽性の表現型を有し、増殖能を有する、肝類洞内皮細胞。
[20]
肝星前駆細胞を含む細胞画分からALCAM陽性の表現型を指標として肝星前駆細胞を分取する工程を含む、肝星前駆細胞の調製方法。
[21]
多能性幹細胞を分化誘導して肝星前駆細胞を含む前記細胞画分を調製する工程をさらに含む、肝星前駆細胞の調製方法。
[22]
前記多能性幹細胞がヒトiPS細胞である、[21]に記載の方法。
[23]
[20]〜[22]のいずれか1つに記載の方法で調製され得、ALCAM陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝星細胞への分化能を有する、肝星前駆細胞。
[24]
全細胞に対して90%以上の肝星前駆細胞を含む細胞画分であって、前記肝星前駆細胞はALCAM陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝星細胞への分化能を有する、細胞画分。
[25]
Rock阻害剤を用いて、肝星前駆細胞を肝星細胞へと分化誘導する工程を含む、肝星細胞の調製方法。
[26]
前記肝星前駆細胞が、[23]に記載の肝星前駆細胞である、[25]に記載の方法。
[27]
[25]又は[26]に記載の方法で調製され得、増殖能を有する、肝星細胞。
[28]
[5]又は[6]に記載の肝前駆細胞を、肝類洞内皮細胞、肝星細胞及び肝中皮細胞から成る群から選択される少なくとも1つの肝非実質細胞と共培養する工程を含む、肝細胞組織モデルの調製方法。
[29]
前記肝類洞内皮細胞が、[19]に記載の肝類洞内皮細胞である、[28]に記載の方法。
[30]
前記肝星細胞が、[27]に記載の肝星細胞である、[28]又は[29]に記載の方法。
[31]
肝細胞と、肝類洞内皮細胞、肝星細胞及び肝中皮細胞から成る群から選択される少なくとも1つの肝非実質細胞とを含み、[28]〜[30]のいずれか1つに記載の方法で調製され得る、肝細胞組織モデル。
[32]
[5]又は[6]に記載の肝前駆細胞、[7]に記載の細胞画分、[9]に記載の肝細胞、[11]に記載の胆管上皮細胞、[16]に記載の肝類洞内皮前駆細胞、[17]に記載の細胞画分、[19]に記載の肝類洞内皮細胞、[23]に記載の肝星前駆細胞、[24]に記載の細胞画分、[27]に記載の肝星細胞、或いは[31]に記載の肝細胞組織モデルを含む、医薬組成物。
[33]
[9]に記載の肝細胞又は[31]に記載の肝細胞組織モデルに肝疾患治療剤の候補品を投与することを含む、肝疾患治療剤のスクリーニング方法。
[34]
[9]に記載の肝細胞又は[31]に記載の肝細胞組織モデルに薬剤を投与することを含む、薬剤の肝毒性の評価方法。
[35]
(1)[5]若しくは[6]に記載の肝前駆細胞、又は[7]に記載の細胞画分中の肝前駆細胞に病原体を感染させる工程、
(2)病原体を感染した前記肝前駆細胞を分化誘導して病原体感染疾患モデルの肝細胞を調製すること
を含む、感染性疾患モデルの肝細胞の調製方法。
[36]
[9]に記載の肝細胞に病原体を感染させる工程を含む、感染性疾患モデルの肝細胞の調製方法。
[37]
前記病原体が、肝炎ウィルス又はマラリア原虫である、[35]又は[36]に記載の調製方法。
[38]
[35]〜[37]に記載の方法によって調製され得る、感染性疾患モデルの肝細胞。
[39]
(1)[5]又は[6]に記載の肝前駆細胞、又は[7]に記載の細胞画分中の肝前駆細胞に病原体を感染させる工程、
(2)病原体を感染した前記肝前駆細胞を、肝類洞内皮細胞、肝星細胞及び肝中皮細胞から成る群から選択される少なくとも1つの肝非実質細胞と共培養する工程
を含む、感染性疾患モデル組織の調製方法。
[40]
前記病原体が、肝炎ウィルス又はマラリア原虫である、[39]に記載の調製方法。
[41]
[39]又は[40]に記載の方法によって調製され得る、感染性疾患モデル組織。
[42]
[38]に記載の感染性疾患モデルの肝細胞又は[41]に記載の感染性疾患モデル組織に感染性肝疾患治療剤の候補品を投与することを含む、感染性肝疾患治療剤のスクリーニング方法。
[43]
[5]又は[6]に記載の肝前駆細胞、[7]に記載の細胞画分、[9]に記載の肝細胞、[11]に記載の胆管上皮細胞、[16]に記載の肝類洞内皮前駆細胞、[17]に記載の細胞画分、[19]に記載の肝類洞内皮細胞、[23]に記載の肝星前駆細胞、[24]に記載の細胞画分、[27]に記載の肝星細胞、或いは[31]に記載の肝細胞組織モデルを含む、キット。

発明の効果

0019

本発明によれば、均一で高機能の肝細胞、肝非実質細胞及びそれらの前駆細胞を高純度で効率よく調製することが可能である。得られた肝細胞は、例えば創薬スクリーニング利用可能である。また、得られた肝細胞、肝非実質細胞及びそれらの前駆細胞は、例えば細胞療法への使用が可能である。また、得られた肝細胞、肝非実質細胞及びそれらの前駆細胞は、疾患モデルの作製に利用可能である。

図面の簡単な説明

0020

図1は、ヒトiPS細胞から肝細胞へと分化誘導させた際のCPM陽性細胞画分の変遷を経時的に示したフローサイトメトリー解析の結果を示す。図中の「iPSCs」は、ヒトiPS細胞を示す。図中の「DE」は、胚体内胚葉細胞を含む細胞群を示す。図中の「SH」は、肝内胚葉細胞を含む細胞群を示す。図中の「IH」は、肝前駆細胞を含む細胞群を示す。図中の「MH」は、成熟肝細胞を含む細胞群を示す。図中のパーセンテージは、細胞群中のCPM陽性細胞の割合を示す。
図2は、肝前駆細胞を含む細胞群(IH)から、CPM陽性を指標として細胞を分離した場合におけるフローサイトメトリー解析の結果を示す。当該細胞分離により、97.7%の肝前駆細胞を分取できた。
図3は、CPM陽性細胞の免疫細胞化学染色の結果を示す。
図4は、CPM陽性細胞とCPM陰性細胞における肝前駆細胞マーカーの発現量の比較結果を示す。*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001。8回の実験の平均±SEMとして結果を表示する。
図5は、CPM陽性細胞の増殖能(上)、及びCPM陽性細胞の複数回の継代後における相対細胞数(下)を示す。エラーバーは、4つの独立した実験の平均±SEMを示す。
図6は、分化誘導前の肝前駆細胞と分化誘導して得られた肝細胞について、明視野顕微鏡による観察、免疫細胞化学染色によるアルブミンの染色及びPAS染色によるグリコーゲン蓄積の観察を行った結果を示す。
図7は、CPM陽性を指標とした分取を行わずに肝前駆細胞を分化誘導して得られたヒトiPS細胞由来肝細胞(iPSC Heps)と、CPM陽性を指標として分取された肝前駆細胞を分化誘導して得られた、ヒトiPS細胞由来肝細胞(CPM+ Heps)における、CYP450のmRNA発現レベルの比較結果を示す。6回の独立した実験の平均±SEMとして結果を表示する。*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001。
図8は、CPM陽性を指標とした分取を行わずに肝前駆細胞を分化誘導して得られたヒトiPS細胞由来肝細胞(iPSC Heps)とCPM陽性を指標として分取された肝前駆細胞を分化誘導して得られた、ヒトiPS細胞由来肝細胞(CPM+ Heps)における、CYP3A4のmRNAの発現レベルの比較結果を示す。少なくとも3回の独立した実験の平均±SEMとして結果を表示する。*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001。Rifはリファンピシンを示す。
図9は、CPM陽性を指標として分取された肝前駆細胞と、当該肝前駆細胞から分化誘導されたヒト胆管上皮細胞における、AFPmRNA発現を定量RTPCRを用いて分析した結果を示す。LPCsは発明の方法で調製された肝前駆細胞のことであり、Cholは当該肝前駆細胞から分化誘導されたヒト胆管上皮細胞のことである。4回の独立した実験の平均±SEMとして結果を表示する。**p<0.01
図10は、CPM陽性を指標として分取された肝前駆細胞を分化誘導して得られたヒト胆管上皮細胞と、CPM陽性を指標とした分取を行わずに肝前駆細胞を分化誘導して得られたヒト胆管上皮細胞における、胆管上皮細胞特異的マーカーのmRNA発現を定量RT−PCRを用いて分析した結果を示す。図中の「CPM+ Cholangiocytes」はCPM陽性を指標として分取された肝前駆細胞を分化誘導して得られた肝前駆細胞のことであり、図中の「iPSC Cholangiocytes」はCPM陽性を指標とした分取を行わずに肝前駆細胞を分化誘導して得られたヒト胆管上皮細胞のことである。4回の独立した実験の平均±SEMとして結果を表示する。ND:検出されず、**p<0.01,***p<0.001。
図11は、ヒトiPS細胞(iPSC)、ヒト中胚葉細胞(Meso)、ヒト肝類洞内皮前駆細胞(LSEC pro) (細胞分離前)における、マーカー分子遺伝子発現量を示す。n=3,3,5、**p<0.01,***p<0.001。
図12は、ヒト中胚葉細胞を分化誘導して得られたヒト肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞群のフローサイトメトリー解析の結果を示す。FLK1+細胞分画(左)に、CD31+CD34+/-細胞(右)が存在する。
図13は、ヒト中胚葉細胞を分化誘導して得られたヒト肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞群(pre-sorted)、pre-sorted群から分離されたFLK1+CD31+CD34+細胞(CD34+)、FLK1+CD31+CD34-細胞(CD34-)における、ヒト肝類洞内皮前駆細胞のマーカー分子(STAB2及びLYVE1)の発現量を示す。n=3、平均±SEM。*p<0.05,***p<0.001。
図14は、FLK1+CD31+CD34+のヒト肝類洞内皮前駆細胞の位相差顕微鏡像を示す。スケールバー:100μm
図15は、FLK1+CD31+CD34+のヒト肝類洞内皮前駆細胞の増殖(左)、および継代培養後の結果(右)を示す。n=3。平均±SEM。
図16は、5継代後のFLK1+CD31+CD34+細胞における肝類洞内皮前駆細胞マーカー分子の発現量を示す。P0:0継代、P5:5継代。n=3。平均±SEM。NS:有意差なし。
図17は、凍結保存後のFLK1+CD31+CD34+細胞の免疫細胞化学染色像を示す。青:核、赤:CD31。スケールバー、100μm。
図18は、FLK1+CD31+CD34+のヒト肝類洞内皮前駆細胞と当該前駆細胞から誘導されたヒト肝類洞内皮細胞における、肝類洞内皮細胞マーカーの発現量を示す。図中の「pre」は、ヒト肝類洞内皮前駆細胞を示す。図中の「+A83−01」は、ヒト肝類洞内皮細胞を示す。図中の「F8」は、ファクターVIIIを示す。n=3、平均±SEM。
図19は、ヒト肝類洞内皮前駆細胞から誘導されたヒト肝類洞内皮細胞を含む細胞画分のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図20は、CD31陽性、FcRγII陽性細胞の位相差顕微鏡像を示す。スケールバー、100μm。
図21は、CD31+FcRγII-細胞及びCD31+FcRγII+細胞におけるヒト肝類洞内皮細胞マーカー分子の発現解析を示す。ヒト臍帯血静脈内皮細胞(HUVEC)をコントロールとして用いた。n=3。平均±SEM。ND:検出されず。*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001。
図22は、ヒトiPS細胞由来のCD31陽性FcRγII陽性の肝類洞内皮細胞(iPS−LSEC)のアセチル化LDL(Ac−LDL)及びヒアルロン酸HA)の取り込み能を示す免疫細胞化学染色像である。コントロールとしてHUVECを用いた。青:核、赤:アセチル化LDL、緑:ヒアルロン酸 スケールバー、100μm。
図23は、ヒトiPS細胞由来のCD31陽性FcRγII陽性の肝類洞内皮細胞(iPS−LSEC)のアセチル化LDL(Ac−LDL)及びヒアルロン酸(HA)の取り込み細胞の割合を示す。コントロールとしてHUVECを用いた。n=3。平均±SEM。NS:有意差なし。ND:検出されず。
図24は、ヒトiPS細胞由来のCD31陽性FcRγII陽性の肝類洞内皮細胞の免疫細胞化学染色像を示す。青:核、赤:ファクターVIII(F8)
図25は、ヒトiPS細胞由来のCD31陽性FcRγII陽性の肝類洞内皮細胞の細胞内タンパク質(ファクターVIII:F8)のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図26は、ヒトiPS細胞由来中胚葉細胞のフローサイトメトリー解析の結果を示す。
図27は、ヒトiPS細胞由来中胚葉細胞の分離前(before)、ALCAM陽性細胞(ALCAM+)とALCAM陰性細胞(ALCAM-)における、肝星前駆細胞マーカー分子の発現量を示す。n=3。平均±SEM。
図28は、ヒトiPS細胞由来ヒト肝星細胞(iPS-HSC)における肝星細胞マーカー分子の発現解析結果を示す。ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)をコントロールとして用いた。n=3。平均±SEM。
図29は、ヒトiPS細胞由来ヒト肝星細胞(iPS-HSC)及びヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)のフローサイトメトリー解析の結果を示す。細胞内のビタミンA自家蛍光検出した。
図30は、ビタミンA添加後のヒトiPS細胞由来ヒト肝星細胞(iPS-HSC)及びヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)の位相差顕微鏡像を示す。スケールバー 100μm
図31は、ヒトiPS細胞由来肝類洞内皮細胞とヒトiPS細胞由来肝星細胞をフィーダー細胞としてヒトiPS細胞由来CPM+肝前駆細胞と共培養したときの、肝前駆細胞マーカーの発現(LSEC HSC)を示す。コントロールとしてHUVECとhMSCをフィーダー細胞として用いた(HUVEC hMSC)。n=1
図32は、ヒトiPS細胞由来肝類洞内皮細胞とマウス由来非実質細胞とを共培養した際の肝細胞分化に関わる遺伝子の発現解析結果を示す。左側バーは、iPS細胞由来肝前駆細胞の単独培養の結果を示し、右側バーは、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス由来非実質細胞とを共培養した結果を示す。
図33は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス非実質細胞とを平面培養した際の肝細胞分化に関わる遺伝子の発現解析結果を示す。図中の「iPS肝細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞を単独培養したものを示す。図中の「+肝類洞内皮細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス肝類洞内皮細胞とを共培養したものを示す。図中の「+星細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス星細胞とを共培養したものを示す。図中の「+中皮細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス中皮細胞とを共培養したものを示す。n=3。平均±SEM。*p<0.05,***p<0.001。
図34は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス非実質細胞との三次元共培養の2日目における明視野像を示す。図中の「iPS肝細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞を単独培養したものを示す。図中の「+肝類洞内皮細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス肝類洞内皮細胞とを共培養したものを示す。図中の「+星細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス星細胞とを共培養したものを示す。図中の「+中皮細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス中皮細胞とを共培養したものを示す。(スケールバー:50μm)
図35は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス非実質細胞とを三次元培養した際の肝細胞分化に関わる遺伝子の発現解析結果を示す。図中の「iPS肝細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞を単独培養したものを示す。図中の「+肝類洞内皮細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス肝類洞内皮細胞とを共培養したものを示す。図中の「+星細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス星細胞とを共培養したものを示す。図中の「+中皮細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス中皮細胞とを共培養したものを示す。n=3。平均±SEM。***P<0.005,*P<0.05
図36は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス非実質細胞とを平面培養、及び三次元培養した際のアルブミンの発現解析結果を示す。図中の「iPS肝細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞を単独培養したものを示す。図中の「+肝類洞内皮細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス肝類洞内皮細胞とを共培養したものを示す。図中の「+星細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス星細胞とを共培養したものを示す。図中の「+中皮細胞」は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス中皮細胞とを共培養したものを示す。(左側バー:平面培養4日目、中央バー:三次元培養2日目、右側バー:三次元培養4日目)
図37は、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とマウス非実質細胞とを平面培養(二次元培養)、及び三次元培養した際の肝機能マーカーの発現解析結果を示す。図中の「2D」は、平面培養の結果を示し、図中の「3D」は三次元培養の結果を示す。
図38は、B型肝炎ウィルスHBV)を感染させた肝前駆細胞(Hep−pro)及びそれから分化誘導した肝細胞(Hep)の培養上清中におけるHBs抗原定量結果を示す。
図39は、HBVを感染させた肝前駆細胞(Hep−pro)及びそれから分化誘導した肝細胞(Hep)の培養上清中におけるHBs抗原量を示す。
図40は、HBV、HCVマラリア感染関与する分子の肝細胞での発現解析結果を示す。図中の「iPSCs-Hep」は、CPM陽性を指標とした濃縮を行わずに肝前駆細胞を分化誘導して得られたヒトiPS細胞由来肝細胞を示す。図中の「CPM+-Hep」は、CPM陽性を指標として濃縮された肝前駆細胞を分化誘導して得られた、ヒトiPS細胞由来肝細胞を示す。n=6,3。平均±SEM。**P<0.01,***P<0.001,NS:有意差なし。
図41は、マウス肝前駆細胞(LPC)、マウス成熟肝細胞(Hep)及びマウス胆管上皮細胞(Chol)におけるCPMの発現解析結果を示す。少なくとも4回の独立した実験の平均±SEMとして結果を表示する。***p<0.001
図42は、胎齢12.5日マウス胎仔肝臓のフローサイトメトリー解析の結果を示す。CD45-FLK1+細胞画分(左)にCD31+CD34+/-細胞が存在する。
図43は、マウスCD45-FLK1+CD31+CD34-細胞(CD34-)とマウスCD45-FLK1+CD31+CD34+細胞(CD34+)における、肝類洞内皮前駆細胞マーカー分子の発現解析結果を示す。n=3。平均±SEM。*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001。
図44は、マウスCD45-FLK1+CD31+CD34+細胞(肝類洞内皮前駆細胞)の増殖能を示す。n=1
図45は、A83−01添加5日後のマウスCD45-FLK1+CD31+CD34+細胞における、肝類洞内皮細胞マーカー分子の発現解析結果を示す。添加前(Day0)の遺伝子発現量をコントロールとした。n=3。平均±SEM。*p<0.05,**p<0.01

0021

本明細書において「肝細胞」とは、胆汁の産生や各種物質の代謝などの肝臓としての主要な機能を担っている肝実質細胞のことである。肝細胞は、薬物代謝酵素CYPを発現している。また肝細胞は、アルブミン産生能及びグリコーゲン貯蔵能を有する。

0022

本明細書において「肝非実質細胞」とは、肝臓を構成する、肝実質細胞(肝細胞)以外の他の細胞群のことであり、肝類洞内皮細胞、肝星細胞、中皮細胞、胆管上皮細胞、ピット細胞クッパー細胞などが含まれる。

0023

本明細書において「多能性幹細胞」とは、自己複製能多分化能を有する細胞であり、生体を構成するあらゆる細胞を形成する能力を備える細胞をいう。「自己複製能」とは、1つの細胞から自分と同じ未分化な細胞を作る能力のことをいう。「分化能」とは、細胞が分化する能力をいう。多能性幹細胞としては、例えば、胚性幹細胞(embryonic stem cell:ES細胞)、Muse細胞(Multi-lineage differentiating Stress Enduring cell)、精子幹細胞(germline stem cell:GS細胞)、胚性生殖細胞(embryonic germ cell:EG細胞)、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell:iPS細胞)などが含まれるが、これらに限定されない。多能性幹細胞の由来は、哺乳動物鳥類魚類爬虫類及び両生類のいずれでもよく、特に限定されない。哺乳動物は、霊長類(ヒト、サルなど)、げっ歯類(マウス、ラットモルモットなど)、ネコイヌウサギヒツジブタウシウマロバヤギフェレットなどを含む。

0024

本明細書において「胚体内胚葉細胞」とは、食道小腸および大腸を含む全腸管、並びに、肝臓、胸腺副甲状腺甲状腺胆嚢、および膵臓などの腸管に由来する器官の形成をつかさどる胚葉の細胞である。また本明細書において「肝内胚葉細胞」とは、胚体内胚葉細胞から分化した細胞であり、肝前駆細胞への分化能を有する細胞のことである。本明細書において「胚体内胚葉細胞」及び「肝前駆細胞」は、生体に存在するもののみならず、多能性幹細胞から分化して得られたものも含む。

0025

本明細書において「中胚葉細胞」とは、中皮筋肉骨格皮膚真皮結合組織心臓・血管(血管内皮も含む)、血液(血液細胞も含む)、リンパ管脾臓腎臓尿管性腺精巣子宮、性腺上皮)などの形成をつかさどる胚葉の細胞である。本明細書において「中胚葉細胞」は、生体に存在するもののみならず、多能性幹細胞から分化して得られたものも含む。

0026

本明細書において「肝前駆細胞」とは、自己複製能を有し、かつ肝細胞又は胆管上皮細胞への分化能を有する、胚体内胚葉細胞由来の細胞のことである。本明細書において「肝前駆細胞」は、生体に存在するもののみならず、多能性幹細胞から分化して得られたものも含む。

0027

本明細書において「肝類洞内皮前駆細胞」とは、自己複製能を有し、かつ肝類洞内皮細胞への分化能を有する、中胚葉細胞由来の細胞のことである。本明細書において「肝類洞内皮前駆細胞」は、生体に存在するもののみならず、多能性幹細胞から分化して得られたものも含む。

0028

本明細書において「肝星前駆細胞」とは、自己複製能を有し、かつ肝星細胞への分化能を有する、中胚葉細胞由来の細胞のことである。本明細書において「肝星前駆細胞」は、生体に存在するもののみならず、多能性幹細胞から分化して得られたものも含む。

0029

本明細書において「増殖能」とは、細胞の増殖する能力をいう。本明細書では格別に言及しない場合、増殖の状態は、定常状態での増殖の可能性を指す。ここで、「定常状態」とは、生体での通常の条件であって、生体の恒常性が維持されている状態をいう。そのような状態は、当業者であれば、容易に決定することができる。たとえば、細胞密度解析により、細胞密度がほぼ一定で変化しないこと、または細胞増殖マーカーの発現が認められないことなどによって確認することができる。本明細書において「増殖能が高い」とは、定常状態で増殖能を有することをいう。

0030

本明細書において「細胞画分」とは、分取、単離又は濃縮したい細胞を一定量含む細胞群のことをいう。当該細胞画分は、分取、単離又は濃縮したい細胞以外の他の細胞、及び/又は、1つ以上の化学物質が含んでも良い。細胞画分の形態は特に限定されず、例えば細胞を含む液体であってもよく、当該液体が凍結されたものでもよい。

0031

本発明の一態様は、肝前駆細胞を含む細胞画分から、CPM陽性の表現型を指標として肝前駆細胞を分取する工程を含む、肝前駆細胞の調製方法に関する。以下で「本発明の肝前駆細胞の調製方法」とも呼ぶ。

0032

「本発明の肝前駆細胞の調製方法」において使用される「肝前駆細胞を含む細胞画分」は、特に限定されないが、肝前駆細胞へと分化する任意の細胞を原料として調製されてもよい。例えば、胚体内胚葉細胞又は肝内胚葉細胞を分化誘導して調製されてもよい。また当該細胞画分は、生体から抽出して調製されてもよい。例えば、動物の胎仔の肝臓から調製されてもよい。本発明の肝前駆細胞の調製方法の一実施形態において、当該調製方法は、肝前駆細胞を含む細胞画分を調製する工程をさらに含む。

0033

「本発明の肝前駆細胞の調製方法」において使用される「肝前駆細胞を含む細胞画分」が、胚体内胚葉細胞又は肝内胚葉細胞を分化誘導して調製される場合、当該胚体内胚葉細胞又は肝内胚葉細胞は、生体から抽出して調製されたものであってもよく、多能性幹細胞を分化誘導して調製されたものでもよい。多能性幹細胞を分化誘導して調製される場合、使用される多能性幹細胞は、特に限定されないが、好ましくは哺乳動物の多能性幹細胞であり、より好ましくは、霊長類(ヒト、サルなど)、げっ歯類(マウス、ラット、モルモットなど)、ネコ、イヌ、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ、ヤギ又はフェレットの多能性幹細胞であり、さらに好ましくはヒトの多能性幹細胞であり、特に好ましくはヒトiPS細胞である。

0034

多能性幹細胞から胚体内胚葉細胞及び肝内胚葉細胞を経由して肝前駆細胞に至る分化誘導は、公知の方法を用いればよく、特に限定されない。例えば非特許文献2(Si-Tayeb et al., Hepatology 2010, 51(1), 297-305)に記載されているように、ヒトiPS細胞からヒト肝前駆細胞を分化誘導する手順と同様にして行われても良い。

0035

カルボキシペプチダーゼM(CPM)とは、カルボキシペプチダーゼファミリーのひとつである。CPMは細胞膜表面に発現し、ペプチドタンパク質C末端からアルギニン及びリジン残基を切断する。驚くべきことに、CPMは肝前駆細胞特異的マーカー分子であることが明らかとなった。CPMは、肝前駆細胞では高発現しているが、分化前の多能性幹細胞や、分化後の肝細胞や胆管上皮細胞においては発現していない。従来、肝前駆細胞特有のマーカーとして、α−フェトプロテイン(AFP)及びHNF4aが知られている。しかし、これらは細胞内因子であり、当該マーカーを指標とした場合には細胞を破壊せずに肝前駆細胞を回収することはできない。一方、CPMは膜タンパク質であるため、これを指標として肝前駆細胞を破壊せずに回収可能である。

0036

CPM陽性の表現型を指標として肝前駆細胞を分取する工程は、特に限定されないが、例えば、蛍光活性細胞ソーティングFACS)(Fluorescence Activated Cell Sorting)又は磁気細胞ソーティング(MACS)(Magnetic Cell Sorting)により行われても良い。

0037

「本発明の肝前駆細胞の調製方法」の一実施形態において、当該調製方法は、分取された肝前駆細胞を増殖させる工程をさらに含んでもよい。当該増殖工程における細胞培養の条件は、肝前駆細胞の増殖を阻害しない限り特に限定されない。

0038

本発明の一態様は、肝前駆細胞を含む細胞画分から、CPM陽性の表現型を指標として肝前駆細胞を分取する工程を含む、肝前駆細胞の単離方法に関する。また、本発明の一態様は、肝前駆細胞を含む細胞画分から、CPM陽性の表現型を指標として肝前駆細胞を分取する工程を含む、肝前駆細胞の濃縮方法に関する。

0039

本発明の一態様は、本発明の肝前駆細胞の調製方法によって調製され得、CPM陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝細胞又は胆管上皮細胞への分化能を有する、肝前駆細胞に関する。以下で「本発明の肝前駆細胞」とも呼ぶ。

0040

「本発明の肝前駆細胞」は、凍結保存することができる。凍結後、解凍した後における本発明の肝前駆細胞の増殖能は、凍結保存前における本発明の肝前駆細胞の増殖能と比較して低下しない。「本発明の肝前駆細胞」は、例えば、−80℃で、3か月以上、6か月以上、9か月以上、又は12か月以上保存することが可能である。本発明の肝前駆細胞の高い増殖能及び凍結保存性により、肝前駆細胞を必要に応じて解凍して培養することが可能である。

0041

「本発明の肝前駆細胞」は、継代培養することができる。

0042

「本発明の肝前駆細胞」は、肝前駆細胞のマーカーとして知られているα−フェトプロテイン(AFP)、HNF4a、AFP、HNF4α、HNF1α、PROX1、TBX3、CD13、EpCAM及びHHEXを発現する。

0043

本発明の一態様は、全細胞に対して90%以上の肝前駆細胞を含む細胞画分であって、前記肝前駆細胞はCPM陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝細胞又は胆管上皮細胞への分化能を有する、細胞画分に関する。以下で「本発明の肝前駆細胞を含む細胞画分」とも呼ぶ。

0044

「本発明の肝前駆細胞を含む細胞画分」には、当該画分中の全細胞に対して、肝前駆細胞が90%以上含まれ、好ましくは、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上含まれる。「本発明の肝前駆細胞を含む細胞画分」には、本発明の肝前駆細胞の濃縮画分や、当該濃縮画分を培養することで得られる細胞群も含まれる。

0045

「本発明の肝前駆細胞を含む細胞画分」は、特に限定されないが、例えば、上記の本発明の肝前駆細胞の調製方法に従って調製され得る。

0046

本発明の一態様は、本発明の肝前駆細胞を肝細胞へと分化誘導する工程を含む、肝細胞の調製方法に関する。以下で「本発明の肝細胞の調製方法」とも呼ぶ。

0047

「本発明の肝細胞の調製方法」の一実施形態は、(1)肝前駆細胞を含む細胞画分から、CPM陽性の表現型を指標として肝前駆細胞を分取する工程、及び(2)分取された前記肝前駆細胞を肝細胞へと分化誘導する工程を含む、肝細胞の調製方法に関する。

0048

肝前駆細胞から肝細胞への分化誘導は、公知の方法を用いればよく、特に限定されない。例えば、非特許文献2(Si-Tayeb et al., Hepatology 2010, 51 (1), 297-305)に記載されているように、インターロイキン6(interleukin-6:IL-6)ファミリーサイトカインとして知られるオンコスタチンMを用いて、ヒト肝前駆細胞を含む培地を処理することにより行われても良い。

0049

「本発明の肝細胞の調製方法」の一実施形態において、当該調製方法は、分化誘導して得られた肝細胞を増殖させる工程をさらに含んでもよい。当該増殖工程における細胞培養の条件は、肝細胞の増殖を阻害しない限り特に限定されない。

0050

本発明の一態様は、本発明の肝細胞の調製方法で調製され得る、増殖能を有する肝細胞に関する。以下で「本発明の肝細胞」とも呼ぶ。

0051

「本発明の肝細胞」は、薬物代謝酵素CYP(例えば、CYP3A4、CYP2C19、CYP2C18、CYP2D6、CYP1A、CYP2C8)を高レベルで発現する。例えば、肝前駆細胞を含む細胞画分からCPM陽性の表現型を指標として分取された肝前駆細胞を分化誘導して調製された本発明の肝細胞は、CPM陽性の表現型を指標とした肝前駆細胞の分取を行わずに、前記細胞画分と同一組成の細胞画分に分化誘導工程を施して調製された肝細胞と比較して、CYP3A4を少なくとも2倍以上発現し得る。

0052

「本発明の肝細胞」は、分化誘導前の肝前駆細胞と比較して、高いアルブミン産生能及びグリコーゲン蓄積能を有する。好ましくは、肝前駆細胞を含む細胞画分からCPM陽性の表現型を指標として分取された肝前駆細胞を分化誘導して調製された本発明の肝細胞は、CPM陽性の表現型を指標とした肝前駆細胞の分取を行わずに、前記細胞画分と同一組成の細胞画分に分化誘導工程を施して調製された肝細胞と比較して、高いアルブミン産生能及びグリコーゲン蓄積能を有する。

0053

本発明の一態様は、「本発明の肝細胞」を含む、細胞画分に関する。好ましくは、当該細胞画分は、全細胞に対して90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上の「本発明の肝細胞」を含む。

0054

本発明の一態様は、本発明の肝前駆細胞を胆管上皮細胞へと分化誘導する工程を含む、胆管上皮細胞の調製方法に関する。以下で「本発明の胆管上皮細胞の調製方法」とも呼ぶ。

0055

「本発明の胆管上皮細胞の調製方法」の一実施形態は、(1)肝前駆細胞を含む細胞画分から、CPM陽性の表現型を指標として肝前駆細胞を分取する工程、及び(2)分取された前記肝前駆細胞を胆管上皮細胞へと分化誘導する工程を含む、胆管上皮細胞の調製方法に関する。

0056

「本発明の胆管上皮細胞の調製方法」において、本発明の肝前駆細胞から胆管上皮細胞への分化誘導は、公知の方法を用いればよく、特に限定されない。例えば、Tanimizu et al., Mol Biol Cell, 2007, 18(4), 1472-1479またはYanagida et al., PloS ONE 8, e67541に記載された三次元ゲル培養法によって行われても良い。

0057

「本発明の胆管上皮細胞の調製方法」の一実施形態において、当該調製方法は、分化誘導して得られた胆管上皮細胞を増殖させる工程をさらに含んでもよい。当該増殖工程における細胞培養の条件は、胆管上皮細胞の増殖を阻害しない限り特に限定されない。

0058

本発明の一態様は、本発明の胆管上皮細胞の調製方法で調製され得る、増殖能を有する胆管上皮細胞に関する。以下で「本発明の胆管上皮細胞」とも呼ぶ。

0059

「本発明の胆管上皮細胞」は、胆管上皮細胞のマーカーとして知られているCK7、CFTR、AQP1、TGR5、SOX9及びHNF6を発現する。

0060

本発明の一態様は、「本発明の胆管上皮細胞」を含む、細胞画分に関する。好ましくは、当該細胞画分は、全細胞に対して90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上の「本発明の胆管上皮細胞」を含む。

0061

発明の一態様は、肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分から、FLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を指標として肝類洞内皮前駆細胞を分取する工程を含む、肝類洞内皮前駆細胞の調製方法に関する。以下で「本発明の肝類洞内皮前駆細胞の調製方法」とも呼ぶ。

0062

「本発明の肝類洞内皮前駆細胞の調製方法」において使用される「肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分」は、特に限定されないが、肝類洞内皮前駆細胞へと分化する任意の細胞を原料として調製されてもよい。例えば、中胚葉細胞を分化誘導して調製されてもよい。また例えば、造血系幹細胞を分化誘導して調製されてもよい。また当該細胞画分は、生体から抽出して調製されてもよい。例えば、動物の胎仔の肝臓から調製されてもよい。本発明の肝類洞内皮前駆細胞の調製方法の一実施形態において、当該調製方法は、肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分を調製する工程をさらに含む。

0063

「本発明の肝類洞内皮前駆細胞の調製方法」において使用される「肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分」が、中胚葉細胞を分化誘導して調製される場合、当該中胚葉細胞は、生体から抽出して調製されたものであってもよく、多能性幹細胞を分化誘導して調製されたものでもよい。多能性幹細胞から中胚葉細胞への分化は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、胚様体(Embryo body;EB)を経由する方法であってもよい。また例えば、Kattman S J, et al., Cell Stem Cell, 2011, 8, 228-40に記載された方法に従って行われてもよい。多能性幹細胞としては、特に限定されないが、好ましくは哺乳動物の多能性幹細胞であり、より好ましくは、霊長類(ヒト、サルなど)、げっ歯類(マウス、ラット、モルモットなど)、ネコ、イヌ、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ、ヤギ又はフェレットの多能性幹細胞であり、さらに好ましくはヒトの多能性幹細胞であり、特に好ましくはヒトiPS細胞である。

0064

中胚葉細胞の肝類洞内皮前駆細胞への分化誘導は、公知の方法を用いればよく、特に限定されない。例えば、Kattman S J, et al., Cell Stem Cell, 2011, 8, 228-40に記載された方法に従って行われてもよい。

0065

「本発明の肝類洞内皮前駆細胞の調製方法」の一実施形態は、(1)中胚葉細胞を分化誘導して肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分を調製する工程、(2)FLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を指標として肝類洞内皮前駆細胞を分取する工程を含む、肝類洞内皮前駆細胞の調製方法に関する。

0066

FLK1、CD34、CD31は、血管内皮細胞マーカーとして知られている。驚くべきことに、FLK1、CD34及びCD31の組み合わせが、肝類洞内皮前駆細胞の特異的マーカーとなることが明らかとなった。

0067

FLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を指標として肝類洞内皮前駆細胞を分取する工程は、特に限定されないが、例えば、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)(Fluorescence Activated Cell Sorting)又は磁気細胞ソーティング(MACS)(Magnetic Cell Sorting)により行われても良い。

0068

「本発明の肝類洞内皮前駆細胞の調製方法」の一実施形態において、当該調製方法は、分取された肝類洞内皮前駆細胞を増殖させる工程をさらに含んでもよい。当該増殖工程における細胞培養の条件は、肝類洞内皮前駆細胞の増殖を阻害しない限り特に限定されない。

0069

本発明の一態様は、肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分から、FLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を指標として肝類洞内皮前駆細胞を分取する工程を含む、肝類洞内皮前駆細胞の単離方法に関する。また、本発明の一態様は、肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分から、FLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を指標として肝類洞内皮前駆細胞を分取する工程を含む、肝類洞内皮前駆細胞の濃縮方法に関する。

0070

発明の一態様は、本発明の肝類洞内皮前駆細胞の調製方法で調製され得、FLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝類洞内皮細胞への分化能を有する、肝類洞内皮前駆細胞に関する。以下で「本発明の肝類洞内皮前駆細胞」とも呼ぶ。

0071

「本発明の肝類洞内皮前駆細胞」は、凍結保存することができる。凍結後、解凍した後における本発明の肝類洞内皮前駆細胞の増殖能は、凍結保存前における本発明の肝類洞内皮前駆細胞の増殖能と比較して低下しない。「本発明の肝類洞内皮前駆細胞」は、例えば、−80℃で、3か月以上、6か月以上、9か月以上、又は12か月以上保存することが可能である。本発明の肝類洞内皮前駆細胞の優れた増殖能及び凍結保存性により、肝類洞内皮前駆細胞を必要に応じて適宜大量培養することが可能である。

0072

「本発明の肝類洞内皮前駆細胞」は、継代培養することができる。

0073

本発明の一態様は、全細胞に対して90%以上の肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分であって、前記肝類洞内皮前駆細胞はFLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝類洞内皮細胞への分化能を有する、細胞画分に関する。以下で「本発明の肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分」とも呼ぶ。

0074

「本発明の肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分」には、当該画分中の全細胞に対して、肝類洞内皮前駆細胞が90%以上含まれ、好ましくは、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上含まれる。「本発明の肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分」には、本発明の肝類洞内皮前駆細胞の濃縮画分や、当該濃縮画分を培養することで得られる細胞群も含まれる。

0075

「本発明の肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分」は、特に限定されないが、例えば、上記の「本発明の肝類洞内皮前駆細胞の調製方法」に従って調製され得る。

0076

発明の一態様は、(1)TGF−β阻害剤を用いて、本発明の肝類洞内皮前駆細胞を分化誘導して肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分を調製する工程、(2)肝類洞内皮細胞を含む前記細胞画分からCD31陽性およびFcγR II陽性の表現型を指標として肝類洞内皮細胞を分取する工程、を含む、肝類洞内皮細胞の調製方法に関する。以下で「本発明の肝類洞内皮細胞の調製方法」とも呼ぶ。

0077

「本発明の肝類洞内皮細胞の調製方法」の一実施形態は、(1)肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分から、FLK1陽性、CD34陽性及びCD31陽性の表現型を指標として肝類洞内皮前駆細胞を分取する工程、(2)TGF−β阻害剤を用いて、本発明の肝類洞内皮前駆細胞を分化誘導して肝類洞内皮前駆細胞を調製する工程、(3)肝類洞内皮細胞を含む前記細胞画分からCD31陽性およびFcγR II陽性の表現型を指標として肝類洞内皮細胞を分取する工程を含む、肝類洞内皮細胞の調製方法に関する。

0078

本明細書において「TGF−β阻害剤」とは、トランスフォーミング増殖因子であるTGF−βの機能またはシグナル伝達を阻害するための薬剤のことであり、低分子化合物、抗体、またはアンチセンス化合物などの形態のものであってもよい。本発明の肝類洞内皮細胞の調製方法において使用されるTGF−β阻害剤としては、特に限定されないが、例えば、A83−01(3−(6−メチル−2−ピリジニル)−N−フェニル−4−(4−キノリニル)−1H−ピラゾロ−1−カルボチオアミド)、I616451(3−(ピリジン−2−イル)−4−(4−キノニル))−1H−ピラゾール)、LDN193189(4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン)、SB431542(4−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−ピリジン−2−イル−1H−イミダゾール−2−イル]ベンズアミド)、SB−505124(2−(5−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−2−tert−ブチル−3H−イミダゾール−4−イル)−6−メチルピリジン塩酸塩水和物)、SD−208(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニルプテリジン−4−イル)ピリジン−4−イル−アミン)、SB−525334(6−[2−(1,1−ジメチルエチル)−5−(6−メチル−2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−4−イル]キノキサリン)、LY−364947(4−[3−(2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン)、LY2157299(4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[1,2−b]ピラゾール−3−イル]−キノリン−6−カルボン酸アミド)、D4476(4−[4−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)−5−(2−ピリジニル)−1H−イミダゾル−2−イル]ベンズアミド)などが挙げられる。好ましくは、A83−01である。

0079

CD31陽性およびFcγR II陽性の表現型を指標として肝類洞内皮細胞を分取する工程は、特に限定されないが、例えば、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)(Fluorescence Activated Cell Sorting)又は磁気細胞ソーティング(MACS)(Magnetic Cell Sorting)により行われても良い。

0080

「本発明の肝類洞内皮細胞の調製方法」の一実施形態において、当該調製方法は、分化誘導して得られた肝類洞内皮細胞を増殖させる工程をさらに含んでもよい。当該増殖工程における細胞培養の条件は、肝類洞内皮細胞の増殖を阻害しない限り特に限定されない。

0081

発明の一態様は、「本発明の肝類洞内皮細胞の調製方法」で調製され得、CD31陽性およびFcγR II陽性の表現型を有し、増殖能を有する、肝類洞内皮細胞に関する。以下で「本発明の肝類洞内皮細胞」とも呼ぶ。

0082

本発明の肝類洞内皮細胞はまた、肝類洞内皮細胞のマーカーとして知られているStab2、Lyve1及びファクターVIIIを発現する。

0083

「本発明の肝類洞内皮細胞」は、血管内皮細胞に特徴的な機能であるアセチル化LDLの取り込み能を有する。また、本発明の肝類洞内皮細胞は、肝類洞内皮細胞に特徴的な機能であるヒアルロン酸の取り込み能を有する。また、「本発明の肝類洞内皮細胞」は、血管網形成能を有する。

0084

ファクターVIIIの欠損又は活性低下は、血友病の原因とされる。例えば、本発明の肝類洞内皮細胞を血友病患者へ移植することによって血友病を処置し得る。

0085

本発明の一態様は、「本発明の肝類洞内皮細胞」を含む細胞画分に関する。好ましくは、当該細胞画分は、全細胞に対して90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上の「本発明の肝類洞内皮細胞」を含む。

0086

本発明の一態様は、全細胞に対して90%以上の肝類洞内皮細胞を含む細胞画分であって、前記肝類洞内皮細胞はCD31陽性およびFcγR II陽性の表現型を有し、増殖能をする、細胞画分に関する。当該細胞画分は、好ましくは、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上の前記肝類洞内皮細胞を含む。

0087

発明の一態様は、肝星前駆細胞を含む細胞画分からALCAM陽性の表現型を指標として肝星前駆細胞を分取する工程を含む、肝星前駆細胞の調製方法に関する。以下で「本発明の肝星前駆細胞の調製方法」とも呼ぶ。

0088

「本発明の肝星前駆細胞の調製方法」において使用される「肝星前駆細胞を含む細胞画分」は、特に限定されないが、肝星前駆細胞へと分化する任意の細胞を原料として調製されてもよい。例えば、肝星前駆細胞を含む中胚葉細胞集団から調製されてもよい。また例えば、間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cells:MSC)を分化誘導して調製されてもよい。また当該細胞画分は、生体から抽出して調製されてもよい。例えば、動物の胎仔の肝臓から調製されてもよい。本発明の肝星前駆細胞の調製方法の一実施形態において、当該調製方法は、肝前駆細胞を含む細胞画分を調製する工程をさらに含む。

0089

「本発明の肝星前駆細胞の調製方法」において使用される「肝星前駆細胞を含む細胞画分」が、中胚葉細胞から調製される場合、当該中胚葉細胞は、生体から抽出して調製されてもよいし、多能性幹細胞から分化誘導して調製されてもよい。多能性幹細胞から中胚葉細胞への分化は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、胚様体(Embryo body;EB)を経由する方法であってもよい。また例えば、Kattman S J, et al., Cell Stem Cell, 2011, 8, 228-40に記載された方法に従って行われてもよい。多能性幹細胞は、特に限定されないが、好ましくは哺乳動物の多能性幹細胞であり、より好ましくは、霊長類(ヒト、サルなど)、げっ歯類(マウス、ラット、モルモットなど)、ネコ、イヌ、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ、ヤギ又はフェレットの多能性幹細胞であり、さらに好ましくはヒトの多能性幹細胞であり、特に好ましくはヒトiPS細胞である。

0090

活性化白血球細胞接着分子(Activated-Leukocyte Cell Adhesion Molecule:ALCAM)は、横中隔間充織間葉系細胞のマーカーとして知られている。驚くべきことに、ALCAMが肝星前駆細胞の特異的マーカーであることが明らかとなった。

0091

ALCAM陽性の表現型を指標として肝星前駆細胞を分取する工程は、特に限定されないが、例えば、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)(Fluorescence Activated Cell Sorting)又は磁気細胞ソーティング(MACS)(Magnetic Cell Sorting)により行われても良い。

0092

「本発明の肝星前駆細胞の調製方法」の一実施形態において、当該調製方法は、分取された肝星前駆細胞を増殖させる工程をさらに含んでもよい。当該増殖工程における細胞培養の条件は、肝星前駆細胞の増殖を阻害しない限り特に限定されない。

0093

本発明の一態様は、肝星前駆細胞を含む細胞画分からALCAM陽性の表現型を指標として肝星前駆細胞を分取する工程を含む、肝星前駆細胞の単離方法に関する。また、本発明の一態様は、肝星前駆細胞を含む細胞画分からALCAM陽性の表現型を指標として肝星前駆細胞を分取する工程を含む、肝星前駆細胞の濃縮方法に関する。

0094

発明の一態様は、本発明の肝星前駆細胞の調製方法で調製され得、ALCAM陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝星細胞への分化能を有する、肝星前駆細胞に関する。以下で「本発明の肝星前駆細胞」とも呼ぶ。

0095

「本発明の肝星前駆細胞」は、凍結保存することができる。凍結後、解凍した後における本発明の肝星前駆細胞の増殖能は、凍結保存前における本発明の肝星前駆細胞の増殖能と比較して低下しない。「本発明の肝星前駆細胞」は、例えば、−80℃で、3か月以上、6か月以上、9か月以上、又は12か月以上保存することが可能である。本発明の肝星前駆細胞の優れた増殖能及び凍結保存性により、肝星前駆細胞を必要に応じて適宜大量培養することが可能である。

0096

発明の一態様は、全細胞に対して90%以上の肝星前駆細胞を含む細胞画分であって、前記肝星前駆細胞はALCAM陽性の表現型を有し、増殖能を有し、肝星細胞への分化能を有する、細胞画分に関する。以下で「本発明の肝星前駆細胞を含む細胞画分」とも呼ぶ。

0097

「本発明の肝星前駆細胞を含む細胞画分」には、当該画分中の全細胞に対して、肝星前駆細胞が90%以上含まれ、好ましくは、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上含まれる。「本発明の肝星前駆細胞を含む細胞画分」には、本発明の肝星前駆細胞の濃縮画分や、当該濃縮画分を培養することで得られる細胞群も含まれる。

0098

「本発明の肝星前駆細胞を含む細胞画分」は、特に限定されないが、例えば、上記の「本発明の肝星前駆細胞の調製方法」に従って調製され得る。

0099

発明の一態様は、Rock阻害剤を用いて、肝星前駆細胞を肝星細胞へと分化誘導する工程を含む、肝星細胞の調製方法に関する。以下で「本発明の肝星細胞の調製方法」とも呼ぶ。

0100

Rhoキナーゼ(Rho-associated protein kinase:Rock)は、低分子量GTP結合蛋白Rhoの標的蛋白質として同定されたセリンスレオニン蛋白リン酸化酵素であり、平滑筋収縮や細胞の形態変化など様々な生理機能に関与していることが知られている。本明細書において「Rock阻害剤」とは、Rockの機能を阻害するための薬剤のことであり、低分子化合物、抗体、またはアンチセンス化合物などの形態のものであってもよい。本発明の肝星細胞の調製方法において使用されるRock阻害剤としては、特に限定されないが、例えば、Y27632((R)−(+)−トランス−N−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド)、ファスジル(Fasudil)(ヘキサヒドロ−1−(5−イソキノリンスルホニル)−1H−1,4−ジアゼピン)、H−1152((S)−(+)−2−メチル−1−[(4−メチル−5−イソキノリニルスフホニル]−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン)などが挙げられる。好ましくは、Y27632である。

0101

「本発明の肝星細胞の調製方法」において使用される肝星前駆細胞は、特に限定されないが、肝星前駆細胞へと分化する任意の細胞を原料として調製されてもよい。例えば、肝星前駆細胞を含む中胚葉細胞集団から調製されてもよい。また例えば、上記した「本発明の肝星前駆細胞の調製方法」に従って調製されてもよい。また当該肝星前駆細胞は、生体から抽出して調製されてもよい。本発明の肝星細胞の調製方法の一実施形態において、当該調製方法は、肝星前駆細胞を調製する工程をさらに含む。

0102

本発明の肝星細胞の調製方法の一実施形態は、(1)肝星前駆細胞を含む細胞画分からALCAM陽性の表現型を指標として肝星前駆細胞を分取する工程、及び(2)Rock阻害剤を用いて、肝星前駆細胞を肝星細胞へと分化誘導する工程を含む、肝星細胞の調製方法に関する。また本発明の肝星細胞の調製方法の別の実施形態において、使用される肝星前駆細胞は、「本発明の肝星前駆細胞」である。

0103

本発明の肝星細胞の調製方法の一実施形態において、当該調製方法は、分化誘導して得られた肝星細胞を増殖させる工程をさらに含んでもよい。当該増殖工程における細胞培養の条件は、肝星細胞の増殖を阻害しない限り特に限定されない。

0104

本発明の一態様は、本発明の肝星細胞の調製方法で調製され得、増殖能を有する、肝星細胞に関する。以下で「本発明の肝星細胞」とも呼ぶ。

0105

本発明の一態様は、「本発明の肝星細胞」を含む細胞画分に関する。好ましくは、当該細胞画分は、全細胞に対して90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上の「本発明の肝星細胞」を含む。

0106

本発明の一態様は、本発明の肝前駆細胞を、肝類洞内皮細胞、肝星細胞及び肝中皮細胞から成る群から選択される少なくとも1つの肝非実質細胞と共培養する工程を含む、肝細胞組織モデルの調製方法に関する。以下で「本発明の肝細胞組織モデルの調製方法」とも呼ぶ。

0107

「本発明の肝細胞組織モデルの調製方法」で使用される肝類洞内皮細胞は、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類及び両生類のいずれの肝類洞内皮細胞でもよく、特に限定されない。好ましくは哺乳動物の肝類洞内皮細胞であり、より好ましくは、霊長類(ヒト、サルなど)、げっ歯類(マウス、ラット、モルモットなど)、ネコ、イヌ、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ、ヤギ又はフェレットの肝類洞内皮細胞であり、特に好ましくはヒトの肝類洞内皮細胞である。当該肝類洞内皮細胞は、本発明の肝類洞内皮細胞であってもよい。また当該肝類洞内皮細胞は、肝類洞内皮細胞へと分化する任意の細胞を原料として調製されてもよい。例えば、多能性幹細胞、中胚葉細胞又は肝類洞内皮細胞を分化誘導して調製されてもよい。また当該肝類洞内皮細胞は、生体から抽出して調製されてもよい。例えば、動物の胎仔の肝臓から調製されてもよい。当該肝類洞内皮細胞は、「本発明の肝類洞内皮細胞の調製方法」に従って調製されてもよい。

0108

「本発明の肝細胞組織モデルの調製方法」で使用される肝星細胞は、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、両生類のいずれの肝星細胞でもよく、特に限定されない。好ましくは哺乳動物の肝星細胞であり、より好ましくは、霊長類(ヒト、サルなど)、げっ歯類(マウス、ラット、モルモットなど)、ネコ、イヌ、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ、ヤギ又はフェレットの肝星細胞であり、特に好ましくはヒトの肝星細胞である。ここで、当該肝星細胞は、本発明の肝星細胞であってもよい。また当該肝星細胞は、肝星細胞へと分化する任意の細胞を原料として調製されてもよい。例えば、多能性幹細胞、中胚葉細胞又は肝星前駆細胞を分化誘導して調製されてもよい。また当該細胞画分は、生体から抽出して調製されてもよい。例えば、動物の胎仔の肝臓から調製されてもよい。当該肝星細胞は、「本発明の肝星細胞の調製方法」に従って調製されてもよい。

0109

「本発明の肝細胞組織モデルの調製方法」で使用される肝中皮細胞は、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、両生類のいずれの肝中皮細胞でもよく、特に限定されない。好ましくは哺乳動物の肝中皮細胞であり、好ましくは、霊長類(ヒト、サルなど)、げっ歯類(マウス、ラット、モルモットなど)、ネコ、イヌ、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ、ヤギ又はフェレットの肝中皮細胞である。また当該肝中皮細胞は、肝中皮細胞へと分化する任意の細胞を原料として調製されてもよい。例えば、多能性幹細胞を分化誘導して調製されてもよい。また当該肝中皮細胞は、生体から抽出して調製されてもよい。例えば、動物の胎仔の肝臓から調製されてもよい。

0110

「本発明の肝細胞組織モデルの調製方法」において、共培養する工程における条件は、肝前駆細胞の分化誘導を促進するものである限り特に限定されないが、例えば、二次元培養(平面培養)、又は三次元培養される。好ましくは三次元培養される。

0111

本発明の一態様は、肝細胞と、肝類洞内皮細胞、肝星細胞及び肝中皮細胞から成る群から選択される少なくとも1つの肝非実質細胞とを含み、「本発明の肝細胞組織モデルの調製方法」で調製され得る肝細胞組織モデルに関する。以下で「本発明の肝細胞組織モデル」とも呼ぶ。

0112

本発明の一態様は、本発明の肝前駆細胞、本発明の肝前駆細胞を含む細胞画分、本発明の肝細胞、本発明の胆管上皮細胞、本発明の肝類洞内皮前駆細胞、本発明の肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分、本発明の肝類洞内皮細胞、本発明の肝星前駆細胞、本発明の肝星前駆細胞を含む細胞画分、本発明の肝星細胞、或いは本発明の肝細胞組織モデルを含む、医薬組成物に関する。以下で「本発明の医薬組成物」とも呼ぶ。

0113

「本発明の医薬組成物」は、薬学的に許容される担体希釈剤緩衝剤賦形剤又はこれらの組み合わせをさらに含んでも良い。

0114

「本発明の医薬組成物」の一実施形態において、当該医薬組成物は、細胞移植治療用材料若しくは細胞移植治療用組成物、又は再生医療用材料若しくは再生医療用組成物である。

0115

本発明の医薬組成物の投与部位は特に限定されないが、例えば、肝臓内脾臓内門脈内、腸管膜内腹腔内、腎臓被膜下、リンパ節であってもよい。

0116

本発明の一態様は、本発明の肝細胞又は本発明の肝細胞組織モデルに肝疾患治療剤の候補品を投与することを含む、肝疾患治療剤のスクリーニング方法に関する。以下で「本発明の肝疾患治療剤のスクリーニング方法」とも呼ぶ。

0117

「本発明の肝疾患治療剤のスクリーニング方法」における肝疾患としては、特に限定されないが、例えば、フェニルケトン尿症および他のアミノ酸血症、血友病および他の凝固因子欠損症家族性高コレステロール血症および他の脂質代謝障害尿素回路障害糖原病ガラクトーゼ血症果糖血症チロシン血症、タンパク質・糖質代謝欠損症、有機酸尿、ミトコンドリア病ペルオキシソームリソソーム異常、タンパク質合成異常、肝細胞トランスポーター欠損、グリコシル化異常、肝炎、肝硬変、先天性代謝異常急性肝不全急性感染症、急性化学毒性慢性肝不全胆管炎胆汁性肝硬変症アラギル症候群、α−1−アンチトリプシン欠損症自己免疫性肝炎胆道閉鎖症、肝癌、肝嚢胞性疾患、脂肪肝、ガラクトーゼ血症、胆石ジルベール症候群血色素症A型肝炎B型肝炎C型肝炎、および他の肝炎ウィルス感染症、ポルフィリン症原発性硬化性胆管炎ライ症侯群類肉腫症、チロシン血症、1型糖原病、あるいはウィルソン病が挙げられる。

0118

本発明の一態様は、「本発明の肝細胞」又は「本発明の肝細胞組織モデル」に薬剤を投与することを含む、薬剤の肝毒性の評価方法に関する。以下で「本発明の薬剤の肝毒性の評価方法」とも呼ぶ。

0119

「本発明の薬剤の肝毒性の評価方法」は、特に限定されないが、例えば、CYP(例えば、CYP3A4、CYP2C19、CYP2C18、CYP2D6、CYP1A、CYP2C8)の阻害活性を調べることを含む。

0120

本発明の一態様は、(1)「本発明の肝前駆細胞」、又は「本発明の肝前駆細胞を含む細胞画分」中の肝臓前駆細胞に病原体を感染させる工程、(2)病原体を感染した前記肝前駆細胞を分化誘導して感染性疾患モデルの肝細胞を調製することを含む、感染性肝疾患モデルの肝細胞の調製方法に関する。また、本発明の一態様は、本発明の肝細胞に病原体を感染させる工程を含む、感染性疾患モデルの肝細胞の調製方法に関する。以下でこれらの調製方法を「本発明の感染性疾患モデルの肝細胞の調製方法」とも呼ぶ。

0121

「本発明の感染性疾患モデルの肝細胞の調製方法」において使用される病原体としては、特に限定されないが、例えば、肝炎ウィルス(例えば、A型肝炎ウィルスHAV)、B型肝炎ウィルス(HBV)、C型肝炎ウィルス(HCV)、D型肝炎ウィルス(HDV)、E型肝炎ウィルスHEV)、F型肝炎ウィルス(HFV)、G型肝炎ウィルス(HGV)、TT型肝炎ウィルス(HTTV))、マラリア原虫などが挙げられる。

0122

「本発明の感染性疾患モデルの肝細胞の調製方法」において、「感染性疾患」とは、感染する病原体に依存するが、例えば肝炎(例えば例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎E型肝炎、F型肝炎、G型肝炎、TT型肝炎)及びマラリアが挙げられる。

0123

本発明の一態様は、本発明の感染性疾患モデルの肝細胞の調製方法によって調製され得る、感染性疾患モデルの肝細胞に関する。以下で「本発明の感染性疾患モデルの肝細胞」とも呼ぶ。

0124

本発明の一態様は、(1)本発明の肝前駆細胞に病原体を感染させる工程、(2)病原体を感染した前記肝前駆細胞を、肝類洞内皮細胞、肝星細胞及び肝中皮細胞から成る群から選択される少なくとも1つの肝非実質細胞と共培養する工程を含む、感染性疾患モデル組織の調製方法に関する。以下で「本発明の感染性疾患モデル組織の調製方法」とも呼ぶ。

0125

「本発明の感染性肝疾患モデル組織の調製方法」で使用される肝類洞内皮細胞、肝星細胞及び肝中皮細胞は特に限定されず、「本発明の肝細胞組織モデルの調製方法」において挙げられたものと同様でよい。

0126

「本発明の感染性疾患モデル組織の調製方法」で使用される病原体、及び対象となる疾患は特に限定されず、「本発明の感染性疾患モデルの肝細胞」において挙げられたものと同様でよい。

0127

本発明の一態様は、本発明の感染性疾患モデル組織の調製方法によって調製され得る、感染性疾患モデル組織に関する。以下で「本発明の感染性疾患モデル組織」とも呼ぶ。

0128

本発明の一態様は、「本発明の感染性疾患モデルの肝細胞」又は「本発明の感染性疾患モデル組織」へ、感染性肝疾患治療剤の候補品を投与することを含む、感染性肝疾患治療剤のスクリーニング方法に関する。

0129

本発明の一態様は、本発明の肝前駆細胞、本発明の肝前駆細胞を含む細胞画分、本発明の肝細胞、本発明の胆管上皮細胞、本発明の肝類洞内皮前駆細胞、本発明の肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞画分、本発明の肝類洞内皮細胞、本発明の肝星前駆細胞、本発明の肝星前駆細胞を含む細胞画分、本発明の肝星細胞、或いは本発明の肝細胞組織モデルを含む、キットに関する。以下で「本発明のキット」とも呼ぶ。

0130

本発明のキットは、特に限定されないが、例えば、本発明の肝細胞、本発明の胆管上皮細胞、発明の肝類洞内皮細胞本発明の肝星細胞又は本発明の肝細胞組織モデルの調製のために、本発明の医薬組成物の調製のために、本発明の肝疾患治療剤のスクリーニング方法のために、本発明の薬剤の肝毒性の評価方法のために、本発明の感染性疾患モデルの肝細胞の調製のために、本発明の感染性疾患モデル組織の調製のために、或いは、感染性肝疾患治療剤のスクリーニング方法のために使用されてもよい。本発明のキットは、当該キットの使用説明書を含んでも良い。

0131

以下に示す実施例を参照して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。

0132

細胞質タンパク質のフローサイトメトリー解析>
Cytofix/Cytoperm Fixtation/permeabi1ization kit(BD Biosciences)を用いて細胞を固定および透過処理し、細胞質タンパク質を抗原抗体法により標識した。その後、MoF1o XDPセルソーター((Beckman Coulter, Inc) を用いてフローサイトメトリー解析を行った。

0133

<定量RT−PCR>
TRIzol reagent(Life Technologies)もしくはNucleoSpin RNA XS (MACHEREY-NAGAL, Duren, Germany)を用いてRNAを抽出した。残存しているゲノムDNAを、DNaseI (Life Techno1ogies)を用いて消化後、PrimeScript II 1st strandcDNASynthesis Kit (Takara bio, Shiga, Japan)を用いて一本鎖cDNAを合成した。定量RT−PCRは、SYBR Premix EX TaqII(Takara bio, Shiga, Japan)を用いて行い、データはβ−アクチン標準化コントロールとしてddCt法に従って算出した。

0134

定量RT−PCRで使用されたプライマーは以下の通りである。

0135

<免疫細胞化学染色>
培養細胞を10%ホルマリン溶液(Wako Pure Chemical Industries, Ltd.)で10分間固定後、0.2% Triton-X100(Wako Pure Chemical Industries, Ltd.)で15分間浸透化処理した。5%スキムミルク溶液(BD Biosciences)でブロッキング後、一次抗体を4℃で一晩反応させた。PBS洗浄後、蛍光標識された二次抗体を室温で2時間反応させ、Hoechst33342(Sigma-Aldrich Corporation, St. Louis, US)で対比染色した。

0136

<自動磁気細胞分離装置による細胞の分離>
実施例4(2)の肝類洞内皮前駆細胞の分離、実施例5(1)の肝類洞内皮細胞の分離、及び実施例6の肝星前駆細胞の分離を以下の通り行った。
0.05%のトリプシン/0.5mMのEDTA、若しくはAccumax(Innovative Cell Technologies, Inc.)を用いて解離し、0.03%BSA−PBSで懸濁した。調製した細胞を、FcR block reagent(Miltenyi Biotech, Bergisch-Gladbach, Germany)で20分間ブロッキングした後、各細胞に特異的な抗原を認識する一次抗体で、30分間標識した。細胞を洗浄後、必要に応じて抗FITCマイクロビーズ(Miltenyi Biotech)、抗PEマイクロビーズ(Miltenyi Biotech)で20分間標識し、autoMACS Proセパレーター(Mi1tenyi Biotech)で目的の細胞を濃縮した。その後、MoF1o XDPセルソーター(Beckman Coulter, Inc)を用いて分離した。

0137

本実施例で使用した一次抗体、二次抗体及びマイクロビーズを以下に示す。

0138

実施例1
(1)ヒト肝前駆細胞の調製
ヒトiPS細胞(454E2株、RIKEN Cell Bank)を、非特許文献2(Si-Tayeb et al., Hepatology 2010, 51(1), 297-305)に記載された以下の手順により、ヒト肝前駆細胞へと分化誘導した。B27及び100ng/mlのアクチビンAを含むRPMI培地中で、ヒトiPS細胞を5%CO2、周囲酸素環境下で5日間培養した。その後、20ng/mlのBMP4及び10ng/mlのFGF2を添加したRPMI/B27培地中で4%O2/5%CO2環境下で5日間培養した。その後、20ng/mlの肝細胞増殖因子HGF)を添加したRPMI/B27培地中で10日間以上4%O2/5%CO2環境下で培養することでヒト肝前駆細胞を含む細胞群を得た。当該細胞群から、MoFlo XDPセルソーター(Beckman Coulter)を用いて、CPM陽性細胞であるヒト肝前駆細胞と、CPM陰性の細胞とを分離した。当該分離は、autoMACS Proセパレーター(Miltenyi Biotech)を用いても同様に行うことができた。

0139

図1は、ヒトiPS細胞から肝細胞へと分化誘導させた際のCPM陽性細胞画分の変遷を経時的に示したフローサイトメトリー解析の結果を示す。図2は、肝前駆細胞を含む細胞群(IH)から、CPM陽性を指標として細胞を分離した場合におけるフローサイトメトリー解析の結果を示す。上記分化誘導手順に従った場合、CPM陽性細胞含有量が最大で約40%の細胞画分が得られた。当該細胞画分からCPM陽性細胞のみを分離することで、CPM陽性細胞含有量が97.7%である濃縮された細胞画分が得られた。一方、CPM陽性細胞の分離を行わずに成熟肝細胞まで分化誘導した場合には、CPM陽性細胞の含有量が減少した。これは、CPMが肝前駆細胞における特異的細胞表面マーカーであることを示す。図3は、単離されたCPM陽性細胞の免疫細胞化学染色の結果を示す。肝前駆細胞マーカーとして知られるAFP及びHNF4αの発現が観察された。

0140

図4は、定量RT−PCRで得られたCPM陽性細胞とCPM陰性細胞における細胞マーカーの発現量の比較結果を示す。CPM陽性細胞は、肝前駆細胞マーカーとして知られるAFP、HNF4α、HNF1α、PROX1、TBX3、CD13、EpCAM及びHHEXをCMP陰性細胞と比較して有意に発現していた。一方、胆管細胞のマーカーとして知られるCD133の発現量は、CPM陰性細胞と比較してCPM陽性細胞において有意に低かった。

0141

(2)ヒト肝前駆細胞の増殖
10% FBS(JRH Biosciences)、ペニシリンストレプトマイシングルタミン、ITS、N−2サプリメントMEM非必須アミノ酸溶液、L−グルタミン(Life Technologies)、アスコルビン酸(1 mM)、ニコチンアミド(10 mM)、N−アセチルシステイン(0.2 mM) (Sigma-Aldrich)、デキサメタゾン(1x10-7M)、HGF(20 ng/ml)、EGF (10 ng/ml) (PeproTech)、 Y−27632(5 μM) (Wako) 及びA83−01(2.5 μM) (Tocris) を添加したDMEM−F12(Sigma-Aldrich)中で、マイトマイシンCで処理したMEFフィーダー細胞(2.0x104細胞/cm2)上にて、上記で分取されたCPM陽性細胞を培養した。

0142

MEFフィーダー細胞上で培養することでCPM陽性細胞はコロニーを形成した。一方、CPM陰性細胞を同様の条件で培養した場合、そのようなコロニーを形成しなかった。CPM陽性細胞は、細胞播種後7日目でコンフルエントとなった(図5)。当該細胞は、インビトロで継代培養することができ、5回の継代で1000倍以上に細胞増殖した(図5)。また、当該細胞を6か月間凍結保存した後、解凍した場合においても、凍結保存前の肝前駆細胞の性質を維持していた。

0143

実施例2
(1)ヒト肝前駆細胞からヒト肝細胞への分化誘導
非特許文献2に記載された通りに、実施例1(2)で増殖させてコンフルエントに達したCPM陽性細胞を、HCMSingle Quots (EGFを除く)及びオンコスタチンM(20 ng/ml) (PeproTech)を添加した肝細胞基本培地(Hepatocyte Basal Medium) (Lonza) 中で5〜10日間、インキュベートすることで、ヒト肝細胞への分化誘導を行った。

0144

(2)アルブミン産生及びグリコーゲン蓄積
分化誘導前の肝前駆細胞と分化誘導して得られた肝細胞について、明視野顕微鏡による観察、免疫細胞化学染色によるアルブミンの染色、及びPAS染色によるグリコーゲンの蓄積を観察した結果を示す(図6)。PAS染色は、コールドシッフ試薬(Cold Schiff's Reagent)(Wako Pure Chemical Industires, Ltd.)を用いて、標準的なプロトコルにしたがって行われた。分化誘導前の肝前駆細胞と比較して分化誘導して得られた肝細胞において、アルブミンの高い産生及びグリコーゲンの高い蓄積が確認された。

0145

(3)CYP450発現
上記(1)で得られたヒト肝細胞と、従来法である非特許文献2(Si-Tayeb et al., Hepatology 2010, 51 (1), 297-305)に記載された手順でヒトiPS細胞から誘導されたヒト肝細胞(すなわち、CPM陽性を指標とした分取を行わずに肝前駆細胞を分化誘導して得られたヒトiPS細胞由来肝細胞)とにおけるCYP450のmRNA発現を定量RT−PCRを用いて分析した。結果を図7及び8に示す。上記(1)で得られたヒト肝細胞は、従来法で調製されたヒト肝細胞と比較して、CYP3A4、CYP2C19、CYP2C18、CYP2D6、CYP1A2及びCYP2C8の高い発現を示した。また、リファンピシンを添加することで、CYP3A4の発現がさらに増大することが分かった。本発明の方法で調製されたヒト肝細胞は、その特性において、CPM陽性を指標とした分取を行わずに肝前駆細胞を分化誘導して得られたヒトiPS細胞由来肝細胞と区別される。

0146

実施例3
(1)ヒト肝前駆細胞からヒト胆管上皮細胞への分化誘導
Tanimizu et al., Mol Biol Cell, 2007, 18(4), 1472-1479、及びYanagida et al., PloS ONE 8, e67541に記載された三次元ゲル培養法を少し修正して、ヒト胆管上皮細胞への分化誘導を行った。実施例1(2)に従って、CPM陽性細胞を増殖させた後、細胞を回収し、増殖因子削減マトリゲル(growth factor reduced Matrigel)(Corning)とコラーゲンタイプI(Nitta Gelatin)との2:3混合物からなるゲル中で1x105細胞/50μlの密度再懸濁した。細胞懸濁液をその後24ウェルプレート(Corning)へ添加し、固体化するまで37℃で2時間インキュベートした。その後、細胞をR−スポンジン−1(40 ng/ml)及びWNT−3a(40 ng/ml) (PeproTech)の存在下、7日間培養することで、ヒト胆管上皮細胞へと分化誘導した。ヒト胆管上皮細胞は、シストを形成した。

0147

(2)細胞マーカーの発現
得られたヒト胆管上皮細胞において、肝前駆細胞マーカーであるAFPの発現量は低下した(図9)。一方、胆管上皮細胞特異的マーカーの発現が確認された(図10)。CPM陽性を指標とした分取を行わずに肝前駆細胞を分化誘導して得られたヒト胆管上皮細胞と、上記(1)で調製されたヒト胆管上皮細胞とにおける胆管上皮細胞マーカーのmRNA発現を定量RT−PCRを用いて分析した(図10)。上記(1)で得られたヒト胆管上皮細胞は、CPM陽性を指標とした分取を行わずに肝前駆細胞を分化誘導して得られたヒト胆管上皮細胞と比較して、胆管上皮細胞マーカーであるCK7、CFTR、AQP1、TGR5、SOX9及びHNF6の高い発現を示した。

0148

実施例4
ヒト肝類洞内皮前駆細胞の調製
(1)ヒトiPS細胞からヒト中胚葉細胞への分化誘導
ヒトiPS細胞(454E2株、RIKEN Cell Bank)を、マイトマイシンC処理したマウス胎仔線維芽細胞(MEF:Mouse Embryo Fibroblast、)をフィーダーとして培養した。なお、MEFは、胎仔マウス(ICRマウス、日本エスエルシー株式会社)から調製した。分化誘導開始前に、ヒトiPS細胞をゼラチンコートディッシュに再播種し、30分間インキュベートすることでMEFを取り除いた。ヒトiPS細胞から中胚葉へ分化誘導するため、Ultra-Low Attachment plate (Corning) 上で胚葉体形成培養を行った。胚葉体形成培養を、Stempro-34SFM (Life Technologies) を基本培地として、誘導開始0日から1日に10μMのY27632(Wako Pure Chemical Industries, Ltd.)、2ng/mlのBMP4(Life Technologies)を加え、誘導開始1日〜4日に5ng/mlのアクチビンA(Pepro Tech, New Jersey, US)、5ng/mlのbFGF(Life Technologies社)、30ng/mlのBMP4(Life Technologies社)を加え、誘導開始4日から6日に10ng/mlのVEGF(Pepro Tech)、5.4μMのSB431542(Tocris, Bristol, UK)、0.5μMのドルソモルフィン(Tocris)を加えることで行った。6日間培養して中胚葉細胞へと分化誘導した。

0149

(2)ヒト中胚葉細胞からヒト肝類洞内皮前駆細胞への分化誘導
(1)で得られた胚葉体をあらかじめゼラチンコートしたプレートに移し、EGM−2(Lonza, Basel, Switzerland)に50ng/m1のVEGFを添加した内皮細胞培地で7日間培養した。CD31陽性、FLK1陽性及びCD34陽性のヒト肝類洞内皮前駆細胞を、MoFlo XDPcell sorter (Beckman Coulter, Inc)で分離した。すべての分化誘導を5%CO2、4%O2環境下で行った。

0150

(3)各分化段階におけるマーカー分子の発現解析
ヒトiPS細胞、上記(1)で誘導されたヒト中胚葉細胞、上記(2)で誘導されたヒト肝類洞内皮前駆細胞(細胞分離前)における、マーカー分子の遺伝子発現量を定量RT−PCRにより分析した。結果を図11に示す。未分化マーカーであるOCT4は、iPS細胞において高く発現し、分化の進行とともに減少した。中胚葉マーカーであるMESP1は、中胚葉細胞の分化ステージで最も高い発現を示した。CD31やVE−カドヘリン(VE−Cad)といった血管内皮細胞マーカー分子は、肝類洞内皮前駆細胞のステージで高発現した。さらに、STAB2やLYVE1といった肝類洞内皮前駆細胞マーカー分子も肝類洞内皮前駆細胞のステージで高発現した(図11)。以上の結果から、誘導された細胞中には肝類洞内皮前駆細胞の特徴を有する細胞が含まれることが示唆された。

0151

(4)各分化段階におけるマーカー分子の発現解析
ヒト中胚葉から分化誘導されたヒト肝類洞内皮前駆細胞を含む細胞群(pre-sorted)、pre-sorted群から分離されたFLK1+CD31+CD34+細胞(CD34+)、FLK1+CD31+CD34-細胞(CD34-)における、ヒト肝類洞内皮前駆細胞のマーカー分子(STAB2及びLYVE1)の発現量を定量RT−PCRにより分析した。結果を図13に示す。CD34+細胞群は、CD34-細胞群と比較して、STAB2やLYVE1といった肝類洞内皮前駆細胞マーカー分子を高発現していた。当該結果から、FLK1+CD31+CD34+の表現型の組み合わせが、ヒト肝類洞内皮前駆細胞を分取するためのマーカーとして利用できることが明らかとなった。

0152

(5)ヒト肝類洞内皮前駆細胞の増殖能
上記実施例4(2)で分取したFLK1+CD31+CD34+細胞を、フィブロネクチンコートしたプレートに15,000 細胞/cm2で播種し、内皮細胞培地で培養した。FLK1+CD31+CD34+細胞は、内皮細胞様の形態を維持し(図14)、高い増殖能を有しており(図15上)、数回の継代培養も可能であった(図15下)。なお細胞数は、0.05%トリプシン/0.5mMEDTAを用いて細胞を解離し、血球計算盤を用いて算出した。また、定量RT−PCR解析により、この細胞は5継代後も肝類洞内皮前駆細胞マーカー分子の発現を維持した(図16)。さらに、長期凍結保存が可能であり、30日間の凍結保存後もCD31を均一に発現した(図17)。

0153

実施例5
(1)ヒト肝類洞内皮細胞の調製
上記実施例4(2)で分取されたヒト肝類洞内皮前駆細胞を、20,000細胞/cm2の密度でフィブロネクチンコートしたプレートに再播種し、EGM−2(Lonza, Basel, Switzerland)に50ng/m1のVEGF、TGF−β阻害剤である1.5μMのA83−01(Tocris)を添加したヒト肝類洞内皮細胞誘導培地で14日間培養することで、ヒト肝類洞内皮細胞を含む細胞画分を得た。すべての分化誘導を5%CO2、4%O2環境下で行った。高効率に成熟した肝類洞内皮細胞を誘導するため、当該細胞画分からその後、MoFlo XDPセルソーター(Beckman Coulter, Inc)を用いて、CD31陽性、FcRγII陽性細胞を分離した。

0154

(2)マーカー分子の発現解析
上記実施例4(2)で分取されたヒト肝類洞内皮前駆細胞と上記実施例5(1)で調製されたヒト肝類洞内皮細胞(分取前)における、肝類洞内皮細胞マーカーの発現量を定量RT−PCRにより分析した。結果を図18に示す。TGF−β阻害剤の添加により、肝類洞内皮細胞マーカーであるSTAB2、FcRγIIB及びF8の発現が細胞中で促進された。

0155

(3)ヒト肝類洞内皮細胞の特性
実施例5(1)で分取されたCD31陽性FcRγII陽性の肝類洞内皮細胞は、内皮細胞様形態を呈した(図20)。また、CD31陽性FcRγII陽性細胞は、CD31陽性FcRγII陰性細胞やHUVECと比較して、STAB2、FcRγIIB、血液凝固VIII因子(ファクターVIII)を高発現していた(図21)。

0156

(4)アセチル化LDL及びヒアルロン酸の取り込み能
CD31陽性FcRγII陽性の肝類洞内皮細胞を含む培養培地に 5μg/mlのDiI−Ac−LDL(AlfaAesar, Massachusetts, US)もしくは 25μg/mlのフルオレセインアミン標識されたヒアルロン酸ナトリウムFAHA−L1)(PGResearch, Tokyo, Japan)を添加し、30℃で4時間インキュベートした。4時間後、PBSで洗浄し、Hoechst33342で対比染色した。結果を図22及び23に示す。肝類洞内皮細胞におけるアセチル化LDLの取り込み能はHUVECと比べて同等程度であったのに対し、STAB2を介して行われるヒアルロン酸の取り込みは、肝類洞内皮細胞のみで確認された。

0157

(5)ファクターVIIIの発現
免疫細胞化学染色およびフローサイトメトリー解析(図24及び25)により、ファクターVIIIのタンパク質レベルでの発現が認められた。

0158

実施例6
ヒト肝星前駆細胞の調製
実施例4(1)に記載された手順と同様にして、ヒトiPS細胞からヒト中胚葉細胞を分化誘導した。当該中胚葉細胞集団に含まれるヒト肝星前駆細胞を、ALCAM陽性を指標として、MoFlo XDPセルソーター(Beckman Coulter, Inc)でALCAM陽性細胞(ヒト肝星前駆細胞)とALCAM陰性細胞に分離した。ヒトiPS細胞由来中胚葉細胞の分離前、ALCAM陽性細胞及びALCAM陰性細胞における、肝星前駆細胞マーカー分子の発現量を定量RT−PCRにより分析した。結果を図27に示す。ALCAM陽性細胞はALCAM陰性細胞と比較して、HGF、CYGB、NGFRデスミン(DES)といった肝星前駆細胞特異的マーカー分子を高発現していた。

0159

実施例7
(1)ヒト肝星細胞の調製
セルマトリックスTypeI−C(Nitta Gelatin, Osaka, Japan)をコートしたプレートに、実施例6で調製されたヒト肝星前駆細胞を15,000細胞/cm2の密度で播種し、MSCGM(Lonza)に、Rock阻害剤である10μMのY27632を添加した肝星細胞誘導培地で5日間培養することで分化誘導し、ヒト肝星細胞を得た。分化誘導は5%CO2、20%O2の環境下で行った。

0160

(2)マーカー分子の発現解析
上記実施例7(1)で調製されたヒトiPS細胞由来肝星細胞における肝星細胞マーカー分子の発現量を定量RT−PCRにより分析した。結果を図28に示す。ヒトiPS細胞由来肝星細胞は、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)と比較して肝星細胞に特異的に発現するHGF、NGFR、CYGB、LRATを高発現した。

0161

(3)ビタミンAの取り込み能
肝星細胞は、細胞内にピタミンAを取り込み、貯蔵することが知られている。そこで、ビタミンAを培地中に添加し、取り込み能を解析した。ヒトiPS細胞由来肝星細胞の培養系にビタミンA (レチノイド(Sigma-Aldrich Corporation,St. Louis,US))を10μMで添加した。0.05%トリプシン/0.5mMEDTAを用いて細胞を解離し、CantoII (BD Biosciences)用い、フローサイトメトリーによって細胞内のビタミンAの自家蛍光を検出した。hMSCをコントロールとして用いた。ヒトiPS細胞由来肝星細胞のみにおいて自家蛍光が検出され、細胞内にピタミンAを取り込んでいることが確認された(図29)。

0162

また、位相差顕微鏡像から、hMSCと比較して、上記実施例7(1)で調製されたヒトiPS細胞由来肝星細胞では細胞内に脂肪滴が確認された(図30)。

0163

実施例8
ヒト肝細胞組織モデルの調製(ヒト肝非実質細胞とヒト肝前駆細胞との共培養)
実施例5で調製したヒト肝類洞内皮細胞、及び実施例7で調製したヒト肝星細胞を、セルマトリックスTypeI−C(Nitta Ge1atin, Osaka, Japan)でコートしたプレートにコンフルエントになるように播種し、フィーダーを作製した。翌日フィーダー細胞をマイトマイシンC処理した。フィーダー細胞のコントロールとして、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC,Lonza社から入手)とヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC,Lonza社から入手)を用いた。これらのフィーダー細胞に実施例1で調製した肝前駆細胞を播種し、10日間共培養した。

0164

HUVECおよびhMSCをフィーダー細胞として用いた場合と比較して、ヒトiPS細胞由来肝類洞内皮細胞及び肝星細胞をフィーダー細胞に用いた場合は肝前駆細胞マーカーおよび肝細胞マーカーであるHNF4α、AFP及びALBの発現が増強された(図31)。よって、樹立したヒトiPS細胞由来肝類洞内皮細胞および肝星細胞は、肝前駆細胞の増殖・分化能を支持することが示唆された。

0165

実施例9
ヒト肝細胞組織モデルの調製(マウス肝非実質細胞とヒト肝前駆細胞との共培養)
(1)マウス胎仔肝の消化・溶血処理
胎齢14.5日のマウス胎仔(C57BL/6マウス、日本エスエルシー株式会社)から、小型バサミピンセットを用いて外科的に肝臓を摘出した。摘出した肝組織を小型バサミにより細切した。肝組織を10〜20 mlのLPM(Thermo Fisher Scientific) に移し、37℃の温浴にて5分間静置した。その後、Liver Digest Medium(Thermo Fisher Scientific)に液交換し、37℃の温浴にて5分間攪拌した。その後、ディスポーザブルピペットを用いてピペッティングにより機械的に肝組織を消化した。1800 rpm、3分間の遠心分離を行い上清除去後、10% FBSを添加したDMEMで懸濁した。70 μmセルストレイナーに細胞懸濁液を通し、1800 rpm、3分間の遠心分離を行い上清除去後、得られた細胞を5 mlの塩化アンモニウム溶液に懸濁し、4℃、6分間反応させ、溶血処理を行った。10% FBSを添加したDMEMを添加し、70 μmセルストレイナーに通し、1800 rpm、3分間遠心分離を行い上清除去後、細胞を回収した。

0166

(2)マウス胎仔肝非実質細胞の分離
溶血処理を行った細胞を1%BSA/PBSで懸濁し、マウスFcR(抗体(1:100希釈)を添加し4℃、15分間ブロッキングを行った。次に一次抗体(1:100希釈)を 30分間反応させた。一次抗体はビオチン標識あるいはFITC標識されたStab2抗体、ビオチン標識されたMsln抗体、APC標識されたp75NTR抗体を用いた。一次抗体を1% BSA/PBSで除去後、同様に二次抗体(1:100希釈)を20分間反応させた。二次抗体はSA-APC抗体あるいはSA-PE抗体を用いた。二次抗体を1% BSA/PBS で除去後、MACS Running Buffer(Miltenyi Biotec K.K.)で20倍に希釈された磁気ビーズ(Miltenyi Biotec K.K.)を10分間反応させた。その後auto MACS (Miltenyi Biotec K.K.)を用いて磁気細胞分離を行った。単細胞分離を行う場合はさらにMoflo(Beckman Coulter)を用いて分離を行った。

0167

(3)マウス胎仔肝非実質細胞の培養
分離したマウス胎仔肝非実質細胞は、コラーゲンTypeIC(Nitta Gelatin)及びコラーゲンTypeIA(Nitta Gelatin)上のプレートに2% B27(Life Technology)、50 ng/ml rhVEGF(Peprotech)、10 μg/ml Y27632(Wako)、 0.5 μM A83-01(Tocris) を添加したEGM+MSC(1:1、LONZA)にて 37℃、5% CO2 、湿度95% 条件下にて培養を行った。

0168

(4)マウス肝類洞内皮細胞の培養
コラーゲンTypeIC(Nitta Gelatin)及びコラーゲンTypeIA(Nitta Gelatin)上のプレートに播種した。培地は50 ng/ml rhVEGF(Peprotech)、10 μg/ml Y27632(Wako)、0.5μM A83-01(Tocris)が添加されたEGM(LONZA)を用いた。37℃、5% CO2 、湿度95% 条件下にて培養を行った。

0169

(5)マウス肝星細胞の培養
コラーゲンTypeIC(Nitta Gelatin)及びコラーゲンTypeIA(Nitta Gelatin)上のプレートに播種した。培地は2% B27(Life Technology)、50 ng/ml rhVEGF(Peprotech)、10 μg/ml Y27632(Wako)、 0.5 μM A83-01(Tocris) を添加したEGM+MSC(1:1、LONZA)を用いた。37℃、5% CO2 、湿度95% 条件下にて培養を行った。

0170

(6)マウス肝中皮細胞の培養
コラーゲンTypeIV(Nitta Gelatin)及びコラーゲンTypeIA(Nitta Gelatin)上のプレートに播種した。培地は10% FBS、50 nmol/L mercaptoethanol、10 ng/ml oncostatin M (0SM)(Peprotech)、10 ng/ml bFGF(Peprotech)が添加されたαMEMを用いた。37℃、5% CO2、湿度95% 条件下にて培養を行った。培地交換は1日おきに行った。

0171

(7)共培養(平面培養)
コラーゲン1ゲル(Nitta Gelatin)を48-wellプレート1 wellあたり200 μl添加し30分間、インキュベーター内でゲル化させた。当該ゲルに上記実施例9(3)のマウス由来非実質細胞を播種し、培養後、これをフィーダー細胞として、実施例1で調製された肝前駆細胞と共に、肝前駆細胞が維持・増殖可能な維持培地及び肝前駆細胞を成熟肝細胞へ誘導する分化培地中で共培養した。なお、維持培地として、実施例1(2)において肝前駆細胞の培養に用いたDMEM−F12培地を使用した。分化培地として、20 ng/ml rhOSM(Peprotech)、1% ITS premix(Life Technology)、0.5 μMデキサメタゾン、0.5 μM A83-01(Tocris)を添加したHCMSingleQuots Kit(LONZA、rhEGFのみ非添加)を用いた。また、肝前駆細胞を上記維持培地及び分化培地中で単独培養した。

0172

肝細胞分化に関わる遺伝子の発現を、定量RT−PCRで解析した(図32)。具体的には、肝細胞の分泌タンパク質であるALB、薬剤代謝に関わる酵素であるCYP3A4、胆汁酸排泄に関与するABCトランスポーターのABCB11(Bile Salt Export Pump)の発現量を比較した。各種肝細胞マーカーは、維持培地で培養した場合、その発現量に変化は無かったが、分化培地で培養した場合には、発現上昇が確認され、さらに非実質細胞との共培養において最も高い発現量を示した。

0173

また、上記実施例9(4)〜(6)の肝類洞内皮細胞、肝星細胞、肝中皮細胞と、上記実施例1のヒトiPS細胞由来肝前駆細胞の共培養系を作製し、各細胞の肝成熟化に与える影響について検証した。上記非実質細胞をコラーゲンゲル上に播種し、2日間培養後、これらをフィーダー細胞として、iPS細胞由来肝前駆細胞と共培養した。肝細胞への成熟化を評価するために、定量RT−PCRにより遺伝子発現解析を行った。結果を図33に示す。肝前駆細胞から肝細胞への分化を制御する転写因子であるHNF4AとCEBPAの発現量は、iPS肝細胞単独培養と比較し、肝星細胞、肝中皮細胞との共培養下において増加した。したがって、肝星細胞と肝中皮細胞は肝細胞分化を促進する役割を有することが示唆された。肝細胞の分化マーカーの一つであるアルブミン(ALB)は、肝星細胞との共培養下において単独培養と比較し1.8倍の発現量を示した。また、肝機能の一つであるアンモニア代謝に関わる酵素CPS1の発現は、肝星細胞や肝中皮細胞との共培養条件下において上昇し、肝星細胞との共培養条件下においては単独培養と比較し3.8倍の発現量となった。

0174

(8)共培養(三次元培養(スフェロイド培養))
96-well-EZsphere(IWAKI)に5×104 cells/wellの密度で培養した。上記実施例9(4)〜(6)の肝類洞内皮細胞(3×104 cells/well)、肝星細胞(3×104 cells/well)又は肝中皮細胞(3×103 cells/well)を、上記実施例1のヒトiPS細胞由来肝前駆細胞と同時に播種した。上記の分化培地を使用し、培養二日目に半量培地交換した。37℃、5% CO2、湿度95%条件下にて培養を行った。三次元培養した場合において、スフェロイド形成が認められた。マーカーの発現解析結果を図35に示す。HNF4AとCEBPAの発現量は、肝星細胞と共培養を行った際に特に上昇することが示された。また、アルブミン発現量における平面培養と三次元培養との違いを示す結果を図36に示す。平面培養4日目、三次元培養2日目、三次元培養4日目において比較すると、三次元培養の条件下において、効率的に成熟化が促進されたことが示された。

0175

上記実施例9(3)のマウス非実質細胞と上記実施例1のヒトiPS細胞由来肝前駆細胞とを平面培養及び三次元培養した際の肝細胞分化に関わる遺伝子の発現解析結果を図37に示す。肝機能マーカーは、三次元培養系で高く発現した。

0176

実施例10
ヒトB型肝炎疾患モデルの肝細胞の調製
実施例1(1)で調製されたヒト肝前駆細胞及び実施例2(2)で調製されたヒト肝細胞にHBVを感染させた。HBV感染後16日目で培養上清および細胞を回収した。

0177

培養上清中のHBsAgの定量結果を図38に示す。HBVを感染させた肝前駆細胞及び肝細胞のいずれの培養上清中においても、HBs抗原が認められた。特に肝細胞においてHBs抗原は高値であった。

0178

HBVを感染させた肝前駆細胞及び肝細胞におけるHBVのDNAの定量結果を図39に示す。肝前駆細胞及び肝細胞においてHBVのDNAが認められた。特に肝細胞において高値であった。

0179

実施例11
病原体の感染に必要な物質の産生の分析
実施例2(1)で調製されたヒト肝細胞(以下で「CPM+-Hep」とも呼ぶ)と、実施例1(1)でiPS細胞から肝前駆細胞へと分化誘導後、CPM陽性を指標として肝前駆細胞を分取する工程を経ずに、実施例2(1)と同様の手順で分化誘導をして調製された肝細胞(以下で「iPSCs-Hep」とも呼ぶ)とにおいて、B型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス及びマラリア原虫が細胞に感染するために必要とされる物質が産生されているか否かを定量RT−PCRを用いて分析した。結果を図40に示す。

0180

試験したいずれの肝細胞も、HBV感染に必要とされる分子(CD81)、HCV感染に必要とされる分子(CD81、CLDN1、OCLN)、HBV感染に必要とされる分子(CD81、SCARB)の発現をしていた。その発現量は、iPSCs-Hepと比較してCPM+-Hepの方が高かった。この結果は、CPM陽性を指標として分取された肝前駆細胞を分化誘導して得られた、ヒトiPS細胞由来肝細胞本願発明の肝細胞を用いた方が、CPM陽性を指標とした分取を行わずに肝前駆細胞を分化誘導して得られたヒトiPS細胞由来肝細胞と比較して、感染性疾患モデルの作製に好適に使用し得ることを示している。

0181

実施例12
マウス胎仔肝細胞の分析(マウス肝前駆細胞)
胎齢12.5 日マウス胎仔(C57BL/6マウス)の肝臓を回収した。当該肝臓を細断し、 Liver Digestion Medium (Life Technologies, California, US)で 15分間消化した。消化した胎仔マウス肝臓細胞を、 40μmセルストレイナー(BD bioscience, New Jersey, US)に通し、単一細胞懸濁液を得た。この細胞をFcブロック試薬でブロッキングし、PE標識抗CPM抗体及びFITC標識抗DLK1抗体とインキュベートした。PE及びFITC標識抗アイソタイプコントロールをネガティブコントロールとして用いた。CPM陽性(CPM+)及びCPM陰性(CPM−)細胞をMoFlo XDPセルソーター(Beckman Coulter, Inc, California, US)で単離した。

0182

回収されたCPM陽性細胞(肝前駆細胞)と、マウス成熟肝細胞と、マウス胆管上皮細胞におけるCPMの発現解析を定量RT−PCRにより行った。結果を図41に示す。肝前駆細胞において、CPMは肝前駆細胞に特異的であり、肝細胞及び胆管上皮細胞においてほとんど発現していなかった。

0183

実施例13
マウス胎仔肝細胞の分析(マウス肝類洞内皮前駆細胞)
胎齢12.5日マウス胎仔(C57BL/6マウス)の肝臓を回収した。当該肝臓を細断し、Liver Digestion Medium (Life Technologies, California, US)で 10分間消化した。消化した胎仔マウス肝臓細胞を溶血後、 70μmセルストレイナー(BD bioscience, New Jersey, US)に通した。この細胞をFcRブロック試薬で20分間ブロッキングした後、FITC標識抗CD31抗体 (BD Biosciences)、PE標識抗F1k1抗体 (eBioscience, SanDiego, USA)、ビオチン標識抗CD34抗体(eBioscience)、BV395標識抗CD45抗体(BD bioscience)で30分間標識した。細胞を洗浄後、ストレプトアビジンAPC(BD Biosciences) と抗FITCマイクロビーズ仰(Miltenyi Biotech)で 20分間標識した。CD31+細胞をautoMACS Proセパレーター(Miltenyi Biotech)で濃縮後、MoFlo XDPセルソーター(Beckman Coulter, Inc, California, US)を用いてCD45-CD31+F1k1+CD34+/-細胞を単離した。

0184

これまでに、マウス胎仔肝臓における肝類洞内皮前駆細胞は Flk1、CD31、CD34といった血管内皮細胞マーカー分子を発現することが報告されている。フローサイトメトリー解析により、胎齢12.5日のマウス肝臓には、CD45-Flk1+CD31+の血管内皮細胞が存在し、その分画中にCD45-F1k1+CD31+CD34+/-のサブポピュレーションが存在することが明らかとなった(図42)。これらをセノレソーターによって分取し、遺伝子発現解析を行ったところ、CD45-FLK1+CD31+CD34+細胞はCD45-FLK1+CD31+CD34-細胞と比較して、Stab2やFlt4、Lyve1といった肝類洞内皮前駆細胞特異的マーカー遺伝子を高発現していた(図43)。

0185

また、上記で分取したFLK1+CD31+CD34+細胞を、フィブロネクチンコートしたプレートに15,000 細胞/cm2で播種し、内皮細胞培地で培養した。培養7日目で約3倍に増殖した(図44)。なお細胞数は、0.05%トリプシン/0.5mMEDTAを用いて細胞を解離し、血球計算盤を用いて算出した。

実施例

0186

また、FLK1+CD31+CD34+細胞の培養系に、TGF−β阻害剤であるA83−01(Tocris)することで、Stab2やF8、Lyve1といった成熟肝類洞内皮細胞マーカー遺伝子の発現が有意に誘導された(図45)。

0187

本発明の方法により、均一で高機能の肝細胞、肝非実質細胞及びそれらの前駆細胞を効率よく調製することが可能である。得られた肝細胞は、例えば創薬スクリーニングに利用可能である。また、得られた肝細胞、肝非実質細胞及びそれらの前駆細胞は、例えば細胞療法への使用が可能である。また、得られた肝細胞、肝非実質細胞及びそれらの前駆細胞は、疾患モデルの作製に利用可能である。

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