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技術 果実精油を含む液状組成物

出願人 サントリーホールディングス株式会社
発明者 指宿大悟藤原優横尾芳明
出願日 2016年3月15日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2017-506569
公開日 2018年1月18日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 WO2016-148148
状態 特許登録済
技術分野 非アルコール性飲料
主要キーワード 水酸化ナトリウム標準液 Mモード シャワー殺菌 自動皮 タンカン 沸騰石 かき出し 初期移動
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題・解決手段

果実精油を0.2〜3.5質量%含み、酸度が2.0%以下であり、ペクチンを0.5〜10g/kg/Brix含み、ホスファチジルコリン(PC)とホスファチジルエタノールアミン(PE)との合計量が10〜100mg/kg/Brixであり、PE/PCが0.5〜1.5である、飲料に配合するのに適した液状組成物。好ましくは液状組成物はエタノール濃度が1%未満である。

概要

背景

果実テイストの飲料を製造する場合、一般に、果汁が用いられる。柑橘果実の果汁を得る方法、すなわち柑橘果実の搾法としては、リーマー法、プレス法、チョッパーパルパーフィニッシャー法、インライン法などがある(非特許文献1)。リーマー法は、柑橘果実を半載果にし、回転しているリーミングヘッド押し付け果肉かき出し搾汁する方法である。種子を砕かず、また、じょうのう膜、フラベドを強くこすることなく、油細胞を傷つけずに搾汁できるため、果汁の品質が良好であると言われている。このリーマー法を自動化した装置が、ブラウン社により開発されている。プレス法は、数本のローラーの間に半載果または全果を喰い込ませる方式で、搾汁率が低く、果汁の品質も好ましくない。チョッパーパルパーフィニッシャー法は、自動皮剥機で剥皮後、裏漉機(チョッパーパルパーフィニッシャー)で破砕、搾汁する方法である。ホッパー投入された剥皮果実が、回転するナイフを有するチョッパー部で粗く破砕され、スクリーンにより押出される。インライン法は、FMC−In−LineCitrus Juice Extractorとも言われる。アメリカで開発されたもので、全果のままの状態で果肉部が抽出搾汁される。この方法は、果汁中にピールオイルが約0.01〜0.03%ぐらい混入し、また、果汁に好ましくない香味を与える果皮、じょうのう膜、種子が搾汁時に果汁から分離されるため、優れた香味を有する果汁が得られると言われている。しかし、飲料用濃縮果汁の製造においては、ピールオイルの酸化が問題となることがある。

このように種々の搾汁法が知られているが、例えば、レモンライムのように酸度の高い果実の飲料を製造する場合、果汁を飲料に多く配合すると、飲料の酸度が高くなりすぎて飲みにくくなるので、果汁を飲料中に多量に用いることができない。そこで、電気透析槽を利用して、柑橘果汁から酸度を減少させることが提案されている(非特許文献2、3)。また、柑橘果実の果皮に含まれる精油成分(ピールオイル)を利用した飲料の風味増強が図られている。例えば、上記果汁に果皮や精油などをブレンドした「コミニテッド果汁」(特許文献1)、精油を50〜60%程度のアルコール水に溶解して飲料に可溶化したエッセンス香料、精油をアラビアガムガティガムなどの樹液から抽出される天然多糖類や、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル等の界面活性剤乳化して得られる乳化香料等がある。

概要

果実精油を0.2〜3.5質量%含み、酸度が2.0%以下であり、ペクチンを0.5〜10g/kg/Brix含み、ホスファチジルコリン(PC)とホスファチジルエタノールアミン(PE)との合計量が10〜100mg/kg/Brixであり、PE/PCが0.5〜1.5である、飲料に配合するのに適した液状組成物。好ましくは液状組成物はエタノール濃度が1%未満である。

目的

本発明は、天然の柑橘果実に由来する芳香を、合成香料合成界面活性剤のような合成添加物を一切使用せず、より自然で新鮮かつ劣化も少ない状態で使用することができる液状組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

果実精油グリセロリン脂質ペクチンとを含み、酸度が2.0%以下であり、果実精油含量が、組成物全量に対して0.2〜3.5質量%であり、グリセロリン脂質が、ホスファチジルコリン(PC)及びホスファチジルエタノールアミン(PE)を含み、PCとPEの合計の濃度が、組成物全量に対して10〜100mg/kg/Brixであり、PCに対するPEの質量比(PE/PC)が、0.5〜1.5であり、かつ、ペクチンの濃度が、組成物全量に対して0.5〜10g/kg/Brixである、液状組成物

請求項2

エタノールの濃度が、組成物全量に対して1質量%以下である、請求項1に記載の液状組成物。

請求項3

グリセロリン脂質が、果実由来のものである、請求項1または2に記載の液状組成物。

請求項4

ペクチンが、果実由来のものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状組成物。

請求項5

果実が、柑橘果実果皮である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液状組成物。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項に記載の液状組成物を飲料全体の量に対して、0.1〜15質量%の濃度で含む、飲料。

技術分野

0001

本発明は、天然果実から得られる精油果実精油)を含む液状組成物に関する。より詳細には、果実精油と特定の組成グリセロリン脂質と特定の量のペクチンとを含む、精油中の香気成分が安定に保持された、飲料に配合可能な低酸度の液状組成物に関する。

背景技術

0002

果実テイストの飲料を製造する場合、一般に、果汁が用いられる。柑橘果実の果汁を得る方法、すなわち柑橘果実の搾法としては、リーマー法、プレス法、チョッパーパルパーフィニッシャー法、インライン法などがある(非特許文献1)。リーマー法は、柑橘果実を半載果にし、回転しているリーミングヘッド押し付け果肉かき出し搾汁する方法である。種子を砕かず、また、じょうのう膜、フラベドを強くこすることなく、油細胞を傷つけずに搾汁できるため、果汁の品質が良好であると言われている。このリーマー法を自動化した装置が、ブラウン社により開発されている。プレス法は、数本のローラーの間に半載果または全果を喰い込ませる方式で、搾汁率が低く、果汁の品質も好ましくない。チョッパーパルパーフィニッシャー法は、自動皮剥機で剥皮後、裏漉機(チョッパーパルパーフィニッシャー)で破砕、搾汁する方法である。ホッパー投入された剥皮果実が、回転するナイフを有するチョッパー部で粗く破砕され、スクリーンにより押出される。インライン法は、FMC−In−LineCitrus Juice Extractorとも言われる。アメリカで開発されたもので、全果のままの状態で果肉部が抽出搾汁される。この方法は、果汁中にピールオイルが約0.01〜0.03%ぐらい混入し、また、果汁に好ましくない香味を与える果皮、じょうのう膜、種子が搾汁時に果汁から分離されるため、優れた香味を有する果汁が得られると言われている。しかし、飲料用濃縮果汁の製造においては、ピールオイルの酸化が問題となることがある。

0003

このように種々の搾汁法が知られているが、例えば、レモンライムのように酸度の高い果実の飲料を製造する場合、果汁を飲料に多く配合すると、飲料の酸度が高くなりすぎて飲みにくくなるので、果汁を飲料中に多量に用いることができない。そこで、電気透析槽を利用して、柑橘果汁から酸度を減少させることが提案されている(非特許文献2、3)。また、柑橘果実の果皮に含まれる精油成分(ピールオイル)を利用した飲料の風味増強が図られている。例えば、上記果汁に果皮や精油などをブレンドした「コミニテッド果汁」(特許文献1)、精油を50〜60%程度のアルコール水に溶解して飲料に可溶化したエッセンス香料、精油をアラビアガムガティガムなどの樹液から抽出される天然多糖類や、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル等の界面活性剤乳化して得られる乳化香料等がある。

0004

特開2009−11246号公報

先行技術

0005

福谷敬三:ジャパンフードサイエンス,9, (6), 41 (1970)
Fla. State. Hort. Soc. Proc. 73,216(1978)
Z. Lebensmittel-Technol-Verfahren,28,229(1977)

発明が解決しようとする課題

0006

柑橘果実の精油は、果汁に加えると香りがすぐに劣化する性質があるため、新鮮香気を維持できず、またその力価も弱い。エッセンス香料は、エッセンス化の過程で香気成分の一部が除去されるので、天然香気バランスを失っている。また、アルコールと果実由来の香気成分が化学反応を起こし、香りが変質し、天然の果実の香気とは異なるところがある。特に、果実由来の新鮮な香りに欠けている。アラビアガムや酢酸イソ酪酸エステル等の界面活性剤を用いて乳化香料とする場合には、油溶性成分同量以上の界面活性剤を使用する必要があり、界面活性剤の異味が気になる場合がある。また界面活性効果により本来持つ天然の香りが損なわれる。

0007

本発明は、天然の柑橘果実に由来する芳香を、合成香料合成界面活性剤のような合成添加物を一切使用せず、より自然で新鮮かつ劣化も少ない状態で使用することができる液状組成物を提供することを目的とする。より詳細には、柑橘果実に特有の香気成分を多く含む果実精油を多く含み、酸度が低くて飲料に多量に配合でき、貯蔵時に分離しにくく、また、酸化劣化しにくい、果実精油を含む液状組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、精油を高濃度に含有する低酸度で貯蔵安定性の高い組成物の調製を検討した。その際、一般には果汁の風味を低下させると言われている果皮やじょうのう膜についてもその使用を検討した。そして、果実精油に対して特定のグリセロリン脂質と、特定量のペクチンとを組み合せて水中で均質化することにより、果実精油由来の香気成分を含み、酸度が低くて飲料に多量に配合でき、かつ貯蔵時の安定性の高い、新規な液状組成物を製造することに成功した。具体的には、液状組成物は、
・果実精油とグリセロリン脂質とペクチンとを含み、
・酸度が2.0%以下であり、
・果実精油含量が、組成物全量に対して0.2〜3.5容量%であり、
・グリセロリン脂質が、ホスファチジルコリン(PC)及びホスファチジルエタノールアミン(PE)を含み、PCとPEの合計の濃度が、組成物全量に対して10〜100mg/kg/Brixであり、かつ、PCに対するPEの質量比(PE/PC)が、0.5〜1.5であり、
・ペクチンの濃度が、組成物全量に対して0.5〜10g/kg/Brixである。

0009

上記の果実精油、グリセロリン脂質、及びペクチンは、柑橘果実の果皮由来のものであってもよい。上記の液状組成物は、アロマ果汁として飲料に添加して使用することができるが、従来の果汁(コミニュテッド果汁を含む)に比べて、酸度が圧倒的に低いものである。なお、グリセロリン脂質とペクチンの濃度に関する単位「mg/kg/Brix」は、組成物中のグリセロリン脂質またはペクチンの濃度(mg/kg)を、組成物のBrix値で除したものである。Brix値は、糖用屈折計示度であり、液体中の可溶性固形分量に相当する。

0010

上記の液状組成物は、水を主な溶媒とする。液状組成物は、好ましくはエタノール濃度が1質量%以下であり、さらに好ましくはエタノールを含まない。エッセンス香料は通常、含水アルコール中に香気成分を抽出したものであり、アルコール(通常エタノール)を含むが、本願の液状組成物はアルコールを用いずに製造することができる。液状組成物がアルコールを含まないことは、アルコールを含まない飲料を製造する際に、有利である。

図面の簡単な説明

0011

柑橘果実の横断面図である。
LC−MSを用いたホスファチジルコリン(PC)とホスファチジルエタノールアミン(PE)の分析例を示す図である。

0012

<果実精油>
本発明の組成物は、果実精油を組成物全量に対して0.2〜3.5容量%の量で含む。果実精油とは、主に柑橘果実の果皮から採取される芳香性を有する化合物群である。果実精油は、モノテルペンセスキテルペンなどのテルペン化合物や、芳香族化合物を主成分としており、グリセリン脂肪酸エステル主体とする油脂とは異なる。植物からの精油の採取方法には、水蒸気蒸留法圧搾法溶剤抽出法アンフルラージュ法、マセレーション法、超臨界抽出法等があり、本発明に用いる果実精油は、いずれの方法で得られたものであってもよい。水蒸気蒸留法と圧搾法では、抽出された精油の成分組成が全く異なることが知られている。圧搾法により得られる精油成分を用いると、本発明の効果をより顕著に発現することから、圧搾法により得られる精油は本発明の好ましい態様の一つである。

0013

ここで、本明細書中における圧搾法とは、果皮に物理的な力を加え、果皮の色のついた部分にあるオレイフェール細胞から精油を得る方法をいう。圧搾法としては、例えば、機械的に果皮を傷つけて油胞を壊し、精油を取り出す方法が知られている(FloridaCitrus Oils, Kesterson, et al., Technical Bulletin 749, December 1971, pp15-20)。また、後述する方法に記載の通り、精油を含む果皮を水中で破砕しながら乳化する方法も圧搾法に含む。柑橘果皮には色の濃いフラベド部と白い繊維質アルベド部があり、このうち、フラベドには、精油を多く含む油胞が多数存在している(図1参照)(果実の事典,書店,p.198(2008))。本発明では、果皮、特にフラベドを採取し、油胞を含む果皮を水中で破砕しながら乳化することにより、果実精油を含有する液状組成物とすることができる。この際、水中で油胞を破砕するまでは、できるだけ油胞を壊さないように果皮またはフラベドを採取することが好ましい。水中での乳化まで油胞を破壊せずに維持することにより、油胞中の精油が直接に酸素に触れることを避け、精油中の香気成分の酸化劣化を低減させることができる。こうして得られた果実精油は、熱や酸素の影響を受けにくく、香気成分の劣化が少ないという点で有利である。コールドプレス法等の従来の手法で果実精油を得る場合には、精油が一度、油胞から外部へと取り出されるため、精油中の香気成分が直接に酸素による影響を受けて劣化する可能性がある。

0014

果実精油を得るために用いる果実としては、柑橘果実が好適に用いられる。柑橘果実は、一般に食用に供されるカンキツ属(Citrus)、キンカン属(Fortunella)のいずれであってもよいが、本発明の効果の大きさからカンキツ属が特に好ましい。具体的には、カンキツ属は、香酸柑橘類(レモン、ライム、ユズカボスダイダイスダチシークァーサーシトロンブッシュカン等)、オレンジ類(バレンシアオレンジ、ネーブルオレンジ、ブラッドオレンジ等)、グレーフルーツ類(マーシュ、ルビー等)、雑柑類(ナツミカンハッサクヒュガナツ、スウィティーデコポン等)、タンゴール類(イヨカン、タンカン、キヨミハルミ等)、タンゼロ類(セミノール、ミネオラ等)、ブンタン類(ブンタン、バンペイユ等)、ミカン類マンリンオレンジ、キシュウミカンウンシュウミカンポンカン、タチバナ等)が挙げられる。また、キンカン属は、ニンポウキンカンマルミキンカン、ナガミキンカン等が挙げられる。特に、果汁自体に強い酸味があり、果汁自体を飲料に多量に配合することができないような、酸度の高い柑橘果実は本発明に好ましい。そのような酸度の高い柑橘果実としては、果汁の酸度が、1.5%以上、好ましくは2.0%以上、より好ましくは3.0%以上、さらに好ましくは4.0%以上のものを挙げることができる。また、酸度に対して糖の量が極めて少ない柑橘果実も酸味が強く感じられることから、本発明に好ましい。そのような酸度に対して糖の量が極めて少ない柑橘果実としては、糖酸比が、10以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは3以下のものを挙げることができる。ここで本発明でいう酸度とは、クエン酸リンゴ酸などの有機酸含有量水酸化ナトリウムによる中和滴定法で測定値してクエン酸換算して%で表したものをいう。また、糖酸比とは、糖用屈折計で測定した際に%で表示される値(Brix)を、酸度で除した値をいう。表1に、代表的な柑橘果実の糖度、酸度、及び糖酸比を示す。本発明に好適な果実として、レモン、ライム、スダチ、カボス、シークァーサー、ユズなどの香酸柑橘類が例示できる。

0015

0016

液状組成物中の果実精油の濃度は、組成物全量に対して、0.2〜3.5容量%である。好ましくは0.3〜3.0容量%、より好ましくは0.4〜2.5容量%、さらに好ましくは0.4〜2.0容量%、特に好ましくは0.4〜1.5容量%である。組成物中の果実精油濃度は、後述する実施例に記載のとおり、精油定量装置を用いた蒸留システム(Essential Oil Testing Apparatus)で測定することができる。

0017

<酸度>
果実精油、特に柑橘果実の精油は、酸度が高いと容易に変質し、薬品的な臭いとなる。本発明の組成物は、酸度を低く抑えることで、自然で新鮮かつ劣化も少ないアロマ組成物となる。本発明の組成物の酸度(クエン酸換算)は、2.0%以下であり、好ましくは0.1〜1.5%であり、より好ましくは0.2〜1.2%であり、さらに好ましくは0.2〜1.0%である。コミニュテッド果汁とは異なり、果汁成分を含まないので、酸度の高い果実を用いた場合でも、組成物の酸度は低くすることができる。

0018

さらに、本発明の組成物の糖度(Brix値)を低くすることで、より劣化の少ないアロマ組成物となる。本発明の組成物の好ましい糖度は25%以下であり、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは15%以下であり、特に好ましくは1〜10%である。

0019

<グリセロリン脂質>
本発明の組成物は、天然の界面活性剤として、グリセロリン脂質、特にホスファチジルコリン(PC)とホスファチジルエタノールアミン(PE)、及びペクチンを用いることを特徴とする。本発明の組成物では、グリセロリン脂質とペクチンの相乗作用により、少量で高い貯蔵安定性が得られ、界面活性剤の異味は問題とならない。

0020

本発明の組成物中のPCとPEとの合計濃度は、10〜100mg/kg/Brixであり、好ましくは15〜90mg/kg/Brixであり、より好ましくは20〜80mg/kg/Brixである。ここで、単位「mg/kg/Brix」は、組成物中の各リン脂質の濃度(mg/kg)を、組成物のBrixで除したものである。Brixとは、糖用屈折計示度であり、組成物中の可溶性固形分濃度相関する。また、PCとPEの各濃度は、PC及びPEのそれぞれについて11種類の化合物の濃度の合計値をいい、ここで11種類の化合物とは、1−パルミトイル−2−リノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンホスホエタノールアミンPLPC/PLPE)、1,2−ジリノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン/ホスホエタノールアミン(LLPC/LLPE)、1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン/ホスホエタノールアミン(POPC/POPE)、1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン/ホスホエタノールアミン(OOPC/OOPE)、1−オレイル−2−リノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン/ホスホエタノールアミン(OLPC/OLPE)、1−パルミトイル−2−リノレニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン/ホスホエタノールアミン(PLnPC/PLnPE)、1−オレイル−2−リノレニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン/ホスホエタノールアミン(OLnPC/OLnPE)、1,2−ジリノレニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン/ホスホエタノールアミン(LnLnPC/LnLnPE)、1−リノレオイル−2−リノレニル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン/ホスホエタノールアミン(LLnPC/LLnPE)、1,2−ジパルミトレイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン/ホスホエタノールアミン(PtPtPC/PtPtPE)、及び1−パルミトレイル−2−リノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン/ホスホエタノールアミン(PtLPC/PtLnPE)を指す。組成物中のPC及びPEの濃度は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。

0021

本発明の組成物に含まれるPCに対するPEの濃度の比(PE/PC)は、0.5〜1.5であり、好ましくは0.6〜1.2である。メカニズムは不明であるが、PE/PCを上記範囲内に調整し、かつ後述する特定量のペクチンを含有させることにより、PCとPEの合計量が少ないにも関わらず、貯蔵安定性の高い液状組成物を得ることができる。なお、ここでいうPCの濃度及びPEの濃度とは、上記した通り、PC及びPEについて、それぞれ11種類の化合物の合計の濃度をいう。

0022

PE/PCを上記特定範囲内に簡便に調整できる観点からは、グリセロリン脂質は、柑橘果実の果皮由来のものを用いることが好ましい。食品によく用いられるPC及びPEとして、大豆レシチン及び卵黄レシチンが知られているが、大豆レシチンのPE/PC比は一般に2〜3程度、卵黄レシチンのPE/PC比は0.1〜0.4程度であると考えられ、いずれも、本発明に用いられるグリセロリン脂質のPE/PC比の範囲外であり、本発明の液状組成物に配合するには、これらを任意の割合で混合してPE/PC比が上記範囲内になるように調整する必要がある。グリセロリン脂質として、果皮由来のものを用いた場合には、果実精油と組み合わせることによって、より天然の果実の香気に近い組成物が得られるという利点もある。

0023

本発明に用いられるグリセロリン脂質のPC及びPEの合計濃度ならびにPE/PC比は、組成物中のPC及びPEの量と組成物のBrixとを調整することにより、得ることができる。また、後述する方法に記載の通り、精油を含む果皮またはフラベドを水中で破砕しながら乳化して、液状組成物中に果皮由来のPC及びPEを抽出することによっても、得ることができる。

0024

<ペクチン>
本発明では、乳化安定性を向上させる成分として、前述したグリセロリン脂質に加えて、ペクチンを用いる。ペクチンは、これに限定されないが、柑橘果実の果皮由来のものであることが好ましい。ペクチンとして、果皮由来のものを用い、果実精油と組み合わせることによって、より天然の果実の香気に近い組成物が得られると考えられる。

0025

本発明の組成物中のペクチンの濃度は、0.5〜10g/kg/Brixであり、好ましくは0.8〜8.0g/kg/Brixであり、より好ましくは1.0〜5.0g/kg/Brixである。本発明の液状組成物は、後述するように、水を主な溶媒としながら、果実精油を含むが、液状組成物にこれらの量のペクチンと、グリセロリン脂質とを含有させることにより、貯蔵時に精油が水から分離することを避けることができる。

0026

液状組成物中のペクチンの濃度の調整は、市販のペクチンを果実精油とグリセロリン脂質とを含む組成物中に添加することにより行うことができる。また、後述する方法に記載の通り、精油を含む果皮またはフラベドを、ペクチンを含む少量の果実部分(アルベドまたはじょうのう膜など)とともに、水中で破砕しながら乳化して、液状組成物中に果皮由来のペクチンを抽出することによっても、得ることができる。ここで、本発明でいうペクチンとは熱水に抽出される可溶性ペクチンを意味し、後述する実施例に記載のm−ヒドロキシジフェニル法により求められるペクチン濃度を表す。

0027

<液状組成物>
本発明の組成物は常温常圧で液状である。主な溶媒は水である。本発明の液状組成物は、水を主な溶媒にしながら、果実精油を含んでいるが、特定量のグリセロリン脂質とペクチンとが存在することにより、果実精油が主溶媒の水から分離することなく、一定期間貯蔵することが可能である。好ましくは本発明の液状組成物は、−18℃の温度条件下で、1.5年の間、或いは0〜5℃の温度条件下で120日の間、油と水とが分離することなく、保管することができる。本発明の液状組成物は、水中油型エマルションの形態である。

0028

また、本発明の液状組成物は、主溶媒が水であることにより、飲料とよく混和し、飲料に添加した際に飲料からの分離等の問題が起きにくい。特に、pH5以下、好ましくはpH4以下の酸性飲料に添加した場合に、貯蔵安定性に優れた酸性飲料が得られる。飲料に配合される水溶性香料としてはテルペンレスオイルが知られているが、テルペンレスオイル(エッセンス香料)は、精油中の香気成分をエタノール等の有機溶媒中に抽出することにより製造されるので、有機溶媒(エタノール等)を含むものとなる。一方、本発明の液状組成物は、有機溶媒を用いた抽出が必要ないので、水のみを溶媒とすることが可能である。本発明の液状組成物は、好ましくは有機溶媒(果実精油成分以外の常温常圧で液体の有機化合物)が1質量%以下であり、より好ましくは有機溶媒を含まない。好ましくはエタノールが1質量%以下であり、より好ましくはエタノールを含まない。近年、日本では、エタノール濃度が0.01%未満であるノンアルコール飲料が製造され、販売されている。従来の水溶性香料であるエッセンス香料は、通常エタノールを含むので、ノンアルコール飲料に配合するのに量が制限される。また、果汁自体にも少量のエタノールが含まれることが知られており、ノンアルコール飲料への果汁の配合量にも制限がある。したがって、エタノール濃度を0.01%未満に抑えながら、飲料に果実風味を付与することは一般に困難であるといえる。エタノールの濃度が低いまたはエタノールをまったく含まない液状組成物は、ノンアルコール飲料にも多量に配合することができ、ノンアルコール飲料の風味付けに好適に用いることができる。

0029

また、テルペンを含む精油を用いた乳化香料は、飲料に配合した場合に、飲料の水相との比重差(通常:1.0g/ml以上)により、飲料の液表面上に浮遊物を生じ(クリーミング現象とも呼ばれる)たり、瓶の首の部分にリング状の付着物を形成(ネックリング現象とも呼ばれる)したりすることがある。また、飲料が炭酸飲料の場合には、炭酸ガスを吹き込む製造過程で乳化が不安定になるという問題があり、乳化安定性を高めるために、通常、臭素化された食用油やショ糖酢酸イソ酪酸エステル等の比重調整剤が用いられている、しかし、本発明の液状組成物は、前述のグリセロリン脂質とペクチンの併用により、比重調整剤を不使用とすることが可能である。本発明の液状組成物では、比重調整剤を添加しなくても飲料の外観安定性が損なわれることがなく、また、炭酸飲料中で精油成分が分離することもない。

0030

本発明の液状組成物は好ましくはpHが5未満、より好ましくはpHが4未満である。果実精油に加えて特定量のグリセロリン脂質及びペクチンを含むことにより、低いpHであっても精油成分が分離しにくい。pHが低いことは、腐敗菌の抑制に有利である。

0031

本発明の液状組成物は、例えば、後述するように、精油を含む油胞を有する果皮またはフラベドを、ペクチンを含む少量の果実部分(アルベドまたはじょうのう膜など)とともに、水中で破砕しながら乳化することにより、油胞から精油成分を水中に取り出し、また、果皮からグリセロリン脂質とペクチンとを水中に抽出することによっても製造することができる。この場合、液状組成物は、果実と水以外の成分を含めずに製造することができ、食品添加物不使用の香味液となる。ここで、添加物不使用とは、日本の食品衛生法に規定されている「既存添加物名簿収載品目リスト」記載のものを「外部から」添加していないことを意味する。果実由来の成分と水のみからなる液状組成物は、天然の果実らしい香味を有しており、好ましい。

0032

本発明の液状組成物は、いわゆる乳化剤安定化剤といった添加剤を用いずに製造することができる。液状組成物は、好ましくは、グリセリン脂肪酸エステル、酵素処理大豆サポニンエンジュサポニンオオムギ穀皮抽出物キラヤ抽出物ショ糖脂肪酸エステルステアロイル乳酸カルシウムソルビタン脂肪酸エステルダイズサポニン、胆汁末チャ種子サポニン、動物性ステロールトマト糖脂質ビートサポニン、プロピレングリコール脂肪酸エステルユッカフォーム抽出物、卵黄レシチン、アラビアガム、大豆レシチン、カードランカラギーナンカルボキシメチルセルロースローカストビーンガムキサンタンガムキダチアロエ抽出物、キチンキトサングアーガムグルコサミン酵母細胞壁サイリウムシードガムジェランガムタマリンドシードガムタラガムダンマル樹脂デキストラントランガンガム微小繊維状セルロースプルランメチルセルロースモモ樹脂ラムザンガムレバンなどの乳化剤を含まない。また、本発明の液状組成物は、好ましくは、グリセリンプロピレングリコールソルビトールマルチトールデキストリン還元澱粉糖化物水飴トレハロースを含まない。

0033

本発明の液状組成物は、風味付けのために、飲食品に配合することができる。例えば、飲料に配合する場合、目的とする香味に応じて、0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%の濃度で配合することができる。本発明の液状組成物は、酸度、或いは酸度と糖度が低く、果実精油量を比較的多く含む水性組成物であり、飲料中に多量に配合して果実精油の香気成分を飲料に多量に含有させることができるという利点がある。特に酸度の高い柑橘果実テイストの飲料を製造する場合に、果実の香気を飲料中に十分に再現することができる。また、紅茶などの茶飲料に果実風味を付与するのに用いることができる。飲料の種類は、特に限定されず、アルコール飲料、アルコールを含まない飲料、炭酸飲料、果汁入り飲料茶系飲料等、様々な飲料に用いることができる。特に、液状組成物がアルコール(エタノール)を含まない場合、アルコールを含まない飲料の風味付けに好適に用いることができる。中でも、果汁含量1〜30質量%程度、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%の低果汁飲料非アルコール飲料)の風味付けに好適に用いることができ、天然果実の芳香を再現した飲料を製造することができる。本発明の液状組成物を用いると、合成香料や合成界面活性剤のような合成添加物無添加の飲料も製造することができる。

0034

<製造方法>
本発明の液状組成物は、果実精油、酸度、及びペクチンの量とグリセロリン脂質の組成及び量を調整することにより、製造することができる。また、これに限定されないが、以下に記載の方法により、果実と水のみを用いて製造することができる。果実由来の成分と水のみからなる液状組成物は、より天然の果実に近い香気を呈し、好ましい。

0035

まず、柑橘果実より、慣用の手法を用いて、果皮を採取する。その際、超表層部を取り除いてもよい。果皮は、油胞を含む色の濃いフラベド部と、白い繊維質のアルベド部とに分けられるが、果皮のアルベド部は油胞を含まないのでフラベド部に比べて香気成分が少なく、また、果実によっては苦味を呈するから、果皮からアルベド部の大半を除去してフラベド部を採取してもよい。この際、フラベド部にアルベド部が少量混入してもよい。果皮またはフラベドを採取する際には、フラベド中の油胞をできるだけ破壊しないように採取することが好ましい。油胞を破壊しないことにより、油胞中に含まれる精油を酸化劣化から保護することができる。

0036

果皮またはフラベドを採取したら、水と混合する。水と果皮との混合比(質量比)は、水:果皮で、0.5:1〜2.5:1程度が好ましく、0.6:1〜1.8:1程度がより好ましく、0.7:1〜1.5:1程度がさらに好ましく、0.7:1〜1:1程度が特に好ましい。この際、ペクチンを含む果実部分(アルベドまたはじょうのう膜など)を少量混合してもよい。果皮と水とを混合した後、ミキサーホモジナイザー等の果皮を裁断しながら水中に分散できる装置を用いて、果皮の油胞に含まれる精油を水中に乳化させ、また、果皮からグリセロリン脂質を水中に抽出させることができる。また、ペクチンを含む果実部分を混合した場合には、ペクチンを水中に抽出させることができる。油胞をできるだけ壊さずに採取した果皮またはフラベドと、水とを混合し、水中で油胞を破砕しながら精油を乳化させることにより、精油が直接に大気と触れることを避け、精油の劣化を低減させることができる。得られた水と果皮破砕物との混合物から、遠心分離等により、固形分を除去し、液状組成物とする。こうして得られた液状組成物は、水と果実成分とのみからなり、果実以外の成分による雑味がなく、天然の果実らしい香味を呈するものとなる。また、製造中に果皮精油が直接に大気(酸素)と触れないため、香気成分の酸化劣化が少なく、新鮮な香味を呈するものとなる。さらに、ペクチンとグリセロリン脂質とが含まれることにより、果実精油が水中に分散し(水中油型エマルション)、水と油との相分離を起こすことなく一定期間安定に貯蔵可能である。

0037

本発明の組成物は、より自然で新鮮かつ劣化の少ないアロマ含有組成物である。一般的に香りを高める目的で水分等の溶媒を留去する「濃縮」が行われることがあるが、本発明では、上述したとおり、少量の水で果皮、特にフラベドの香気成分を取り出す「非濃縮高濃度抽出」を行うことが好ましい。

0038

以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各種分析は以下の方法で行った。

0039

(1)糖度の測定
糖度(Brix値;%)の測定は、デジタル屈折計(会社名:アタゴ社製、型番:RX−5000α)を用い、20℃で行った。

0040

(2)酸度の測定
液状組成物10gを希釈して一定容として、供試液とした。供試液の一定量について、フェノールフタレインpH指示薬とし、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液滴定し、以下の計算式により滴定酸度を算出した:
酸度(%) = K ×(T−B)× F ×(100/A)×(1/W)× 100
K:クエン酸換算=0.0064
T:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液滴定量(ml)
B:同量の水における0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量(ml)
F:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の力価
A:滴定の際に採取した試料容量(ml)
W:調製の際に採取した試料重量(g)。

0041

(3)精油含量の測定
組成物中の精油含量の測定には、精油定量装置を用いた。精油を捕捉できる冷却装置のついた丸型フラスコに、液状組成物100mL、蒸留水2L、沸騰石を加え、加温して約100℃で1時間、常温蒸留を行い、捕捉管に溜まった精油量(mL)を測定して精油含量を算出した。

0042

(4)グリセロリン脂質の測定
グリセロリン脂質、すなわちホスファチジルコリン(PC)とホスファチジルエタノールアミン(PE)は、LC−MSを用いて以下の方法で定量した。
分析用サンプルの調製)
分析用サンプルは、以下の方法で調製した。まず、ガラス遠沈管(A)に液状組成物10gを量した。ただし、液状組成物のBrixが10%以上の場合は5g、20%以上の場合は2.5g、30%以上の場合は1gを秤量し、液体クロマトグラフィー用蒸留水で10mLに希釈した。液体クロマトグラフィー用エタノール20mLを加え、ボルテックスミキサーにて1分以上激しく混和した。粘性が高く混ざらない場合は、必要に応じて手などで激しく振り混ぜた。これを遠心器に供し(1620G、30分、20℃)、上清を別のガラス製遠沈管(B)に移した。沈殿物に液体クロマトグラフィー用エタノール20mLを加え、固形分を薬匙などで十分に崩した後、ボルテックスミキサーにて1分以上激しく混和した。遠心器で遠心(1620G、30分、20℃)し、上清を遠沈管(B)に加えた。遠沈管(B)に集めた上清は、さらに遠心(1620G、30分、20℃)し、得られた上清を50mLのメスフラスコに移し、エタノールでメスアップした。よく混和した上清液を、さらに液体クロマトグラフィー用エタノールで10倍に希釈し、予めエタノールで洗浄したPTFE製フィルター(東洋濾紙社製、ADVANTEC DISMIC−25HP 25HP020AN,孔径0.20μm、直径25mm)で濾過し、分析試料とした。
(LC分析条件
HPLC装置:Nexera XRシリーズ島津製作所社製、システムコントローラー:CBM−20A、送液ポンプ:LC−20ADXR、オンライン脱気装置:DGU−20A3、オートサンプラー:SIL−20ACXR、カラムオーブン:CTO−20A、及びUV/VIS検出器:SPD−20Aを有する)
カラムCAPCELLCORE AQ(粒径2.7μm、内径2.1mmx150mm、資生堂社製)
移動相A:5mM酢酸アンモニウム−LC/MS用超純水溶液
移動相B:5mM酢酸アンモニウム−LC/MS用メタノール溶液
流量:0.6mL/min
濃度勾配条件:0.0〜9.0分(94%B)→9.1〜11.0分(100%B)、初期移動相による平衡化3.0分
カラム温度:40℃
試料注入注入量1.0μL
質量分析装置への試料導入:1.5〜10.0分
質量分析条件
質量分析装置:4000 Q TRAP(AB Sciex社製)
イオン化方法ESI(Turbo Spray)、ポジティブモード
イオン化部条件:CUR:20、IS:5500、TEM:600、GS1:70、GS2:50、ihe:ON、CAD:Medium
検出方法MRMモード
検出条件:共通…DP:100、CE:40、CXP:16、EP:10、Dwell:50(msec)
成分名(Q1→Q3):
POPC(760.50→184.07)
PLPCおよびPtOPC(758.50→184.07)
PLnPCおよびPtLPC(756.50→184.07)
OOPC(786.50→184.07)
OLPC(784.50→184.07)
LLPCおよびOLnPC(782.50→184.07)
LLnPC(780.50→184.07)
LnLnPC(778.50→184.07)
POPE(718.50→577.50)
PLPEおよびPtOPE(716.50→575.50)
PLnPEおよびPtLPE(714.50→573.50)
OOPE(744.50→603.50)
OLPE(742.50→601.50)
LLPEおよびOLnPE(740.50→599.50)
LLnPE(738.50→597.50)
LnLnPE(736.50→595.50)
ピーク検出時間:標品による確認を要するが、概ね下記の通りである(図2参照)。
POPC(6.03分)、PLPC(4.64分)、PtOPC(4.33分)、PLnPC(3.78分)、PtLPC(3.40分)、OOPC(6.37分)、OLPC(4.86分)、LLPC(3.81分)、OLnPC(3.95分)、LLnPC(3.11分)、LnLnPC(2.58分)、POPE(5.96分)、PLPE(4.58分)、PtOPE(4.29分)、PLnPE(3.74分)、PtLPE(3.37分)、OOPE(6.32分)、OLPE(4.82分)、LLPE(3.77分)、OLnPE(3.92分)、LLnPE(3.08分)、LnLnPE(2.57分)
定量方法
標準品はAvanti Polar Lipids社より購入した。濃度の異なる標品溶液3点以上を供し、得られたピーク面積による絶対検量線法で定量した。標準品が入手できない成分は、下記の通り類似成分検量線を利用した。
POPC(→PLPC)、PLPC(標準品あり)、PtOPC(→PLPC)、PLnPC(→PLPC)、PtLPC(→PLPC)、OOPC(標準品あり)、OLPC(→LLPC)、LLPC(標準品あり)、OLnPC(→LLPC)、LLnPC(→LLPC)、LnLnPC(標準品あり)、POPE(→PLPE)、PLPE(標準品あり)、PtOPE(→PLPE)、PLnPE(→PLPE)、PtLPE(→PLPE)、OOPE(標準品あり)、OLPE(→LLPE)、LLPE(標準品あり)、OLnPE(→LLPE)、LLnPE(→LLPE)、LnLnPE(標準品あり)
測定の結果、測定値が検量線の範囲に入らない場合は、分析用サンプル調製の過程の最後における、エタノールによる希釈の倍率を適宜調整し、再度測定を実施した。

0043

(5)ペクチンの測定
試料0.25〜1gに80v/v%エタノールを加え、80℃にて1時間、空冷管により加熱還流を行った。その後、ガラス繊維ろ紙でろ過を行った後、80v/v%エタノールを使用し残留物を洗浄した。洗浄後の残留物に水を加え、空冷管により加熱還流を1時間行った後、ガラス繊維ろ紙にてろ過を行った。ろ液を冷却後、定容を行い、ペクチン測定用サンプルとした。得られたペクチン測定用サンプル中のガラクツロン酸量をm−ヒドロキシジフェニル法(補正係数:0.91、標準品:ガラクツロン酸)を用いて測定し、以下の計算式によりペクチン量を算出した。
ペクチン量 = ガラクツロン酸量 × 0.91。

0044

<実施例1>
(1)レモンアロマ組成物の製造
レモン(FINO種またはPRIMOFIORI種)から果皮を採取し、ここからアルベドの大部分を取り除いた。果皮の採取とアルベドの除去の際には、果皮中の油胞をできるだけ傷つけないように注意した。得られたレモンのフラベドを、フラベド:水=1:1の質量比で混合し、市販のジュースミキサーにて混合液ペースト状にならない程度にミリング処理し、30分間常温にて撹拌した後、40メッシュストレーナー固液分離を行った。その後に0.2MPaにてホモジナイズし、得られた懸濁物から不溶性固形分を遠心分離(6000G5分間)で除去し、90℃1分間の加熱殺菌をして液状組成物(本発明品1)とした。また、レモン(VERNA種)でも同様にして液状組成物(本発明品2)を得た。本発明品1及び2と、市販のコミニュテッド果汁3種(比較例1〜3)とを比較した結果を表2に示す。なお、各種成分の測定に際しては、上記した方法を用いた。

0045

0046

(2)貯蔵安定性の評価
上記(1)で得られた液状組成物(本発明品1、2及び比較例1〜3)について、貯蔵安定性を評価した。冷蔵庫(0〜5℃)で60日間貯蔵し、精油が水から分離しているかを目視により確認した。果実精油に対して特定のグリセロリン脂質と、特定量のペクチンとを組み合せて水中で均質化して得られた本発明品1、2及び比較例3は、貯蔵安定性に優れていた。一方、ペクチン濃度が低い比較例1及び2は、貯蔵後に僅かに精油が水から分離する様子が観察された。

0047

(3)風味評価
上記(1)で得られた液状組成物(本発明品1、2及び比較例1〜3)について、風味を評価した。Brix10に調整したショ糖溶液に、表3に示す量の液状組成物を添加し、その風味を評価した。風味評価は、天然果実のような自然で新鮮な香気の強さと、劣化臭の強さとについて、表4に示す基準で、評点法(5点法)により行った。結果を表3に示す。酸度が高い状況下での加熱殺菌処理を含む工程で製造された液状組成物(比較例1〜3)は、天然の果実の香りが損なわれ、薬品的な臭いや酸化臭が感じられた。一方、特定量のグリセロリン脂質を含み、酸度が低い本発明品は、劣化臭がほとんど感じられず、自然で新鮮な芳香が強く感じられた。

0048

0049

0050

(4)レモンテイスト飲料の製造
上記(1)で得られた本発明品1、2及び比較例1、3を、それぞれ表5の処方で配合し、加水して全量を1Lとして、瓶に充填した後、85℃5分間で加熱殺菌し、容器詰飲料を製造した。得られた飲料を30℃で1ヶ月貯蔵し、上記(3)と同様に官能評価した。結果を表5に示す。本発明品は、貯蔵後もレモン特有の新鮮で爽やかな香りを安定に維持し、果実を想起させる甘味も有していた。

0051

0052

<実施例2>
ミリング処理する際のフラベドに対する水の量をフラベド:水=1:1.75(本発明品3)、1:2.5(本発明品4)、0.75:1(本発明品5)にする以外は、実施例1の本発明品1と同様にして、レモンアロマ組成物を製造した。実施例1と同様に各成分値を定量した。また、得られたアロマ組成物を実施例1(4)と同様にして容器詰飲料を製造し、実施例1と同様に貯蔵安定性および風味を評価した。結果を表6及び表7に示す。特定量のグリセロリン脂質及びペクチンを含有する本発明の組成物は、貯蔵時に精油が水から分離することなかった。また、いずれも新鮮で爽やかな香気を有し、酸化臭や薬品臭などの劣化臭のないものであった。特に、フラベドに対する水の量(フラベド/水)が1以下となる量でミリング処理することで、柑橘果実を想起させる甘味が発現し、苦味や渋味が感じられないものとなった。

0053

0054

0055

<実施例3>
ペクチンを含む果実部分(アルベドまたはじょうのう膜)の量を変える以外は、実施例1の本発明品1と同様にしてレモンアロマ組成物を製造した(本発明品6〜8)。比較例として、アルベドやじょうのう膜などのペクチンを含む果実部分を全く含まない、すなわちフラベド部分のみを原料としてレモンアロマ組成物を製造した(比較例4)。得られたアロマ組成物について、実施例1と同様に各成分値を定量した。また、得られたアロマ組成物を、冷凍庫(−18℃)にて1週間冷凍貯蔵した。その後、室温にて完全解凍して、冷凍解凍時の乳化安定性を外観の目視観察で評価した。さらに、実施例2の本発明品1と同様の処方、製造条件にて容器詰飲料を製造し、その風味を評価した。結果を表8及び表9に示す。特定量のグリセロリン脂質及びペクチンを含有する本発明の組成物は、乳化安定性に優れていた。また、本発明品を用いて製造された飲料は、新鮮で爽やかな香気を有し、酸化臭や薬品臭などの劣化臭のないものであった。特に、グリセロリン脂質(PC+PE)の濃度が20〜80mg/kg/Brix、ペクチンの濃度が1.0〜5.0g/kg/Brixのものは、貯蔵安定性及び風味のいずれにおいても優れていた。

0056

0057

0058

<実施例4>
果皮を採取するまでの過程で油胞を全く傷つけることないように注意した以外は、実施例1の本発明品1と同様にしてレモンアロマ組成物を製造した(発明品9)。また、ライムを用いて実施例1と同様にしてライムアロマ組成物を製造した(発明品10)。酸度(%)、果実精油(%)、ペクチン濃度、ホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミン濃度を表10に示すが、いずれの組成物も乳化安定性に優れており、両発明品を用いて製造された飲料は、新鮮で爽やかな香気を有し、酸化臭や薬品臭などの劣化臭のないものであった。

0059

0060

<製造例1>
表11に示す原料を5倍(v/v)シロップとして調合の後、93℃30秒でフラッシュパスト殺菌に供し、高圧炭酸水と混合しながらガスボリュームを調整した後に、瓶に充填した。その後、65℃10分間のシャワー殺菌を行い、炭酸飲料(Brix:8.8、酸度:0.15%、pH:2.9、ガスボリューム(v/v):2.2)を得た。得られた炭酸飲料(飲料A)は無香料にもかかわらず、レモン果実から感じられる新鮮で複雑な香りがあり、香料を使用した炭酸飲料(飲料B)よりも膨らみのある甘味と香りが感じられ、果実を想起させる味わいであった。

実施例

0061

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