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技術 虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬、細胞の血管新生促進活性向上方法、又は、医薬の製造方法

出願人 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構
発明者 田口明彦山原研一新納由紀子
出願日 2016年3月18日 (5年9ヶ月経過) 出願番号 2017-506105
公開日 2017年12月28日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 WO2016-147675
状態 特許登録済
技術分野 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 動物,微生物物質含有医薬 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 頬骨部 立ち上がり回数 用構造物 明暗条件 虚血中心 夜行性 行動量 糖鎖リガンド
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重要な関連分野

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図面 (8)

課題・解決手段

血液/血球系細胞において、有益細胞の単離あるいは有害な細胞の除外をすることなく、虚血性疾患に対して十分な効果を発揮する治療及び/又は予防の為の医薬を提供する。単糖類二糖類三糖類若しくは多糖類、又は、単糖類、二糖類若しくは三糖類を構成要素に有する共重合体である糖類を、血液及び/又は血球系細胞に作用させる。糖類は、ショ糖エピクロロヒドリンの共重合体である。

概要

背景

虚血性疾患は、臓器を栄養する動脈閉塞又は狭窄のため臓器の虚血を来たし、組織酸素又は栄養の不足のため壊死又は機能不全になる疾患であり、心筋梗塞四肢虚血脳梗塞腎梗塞肺梗塞梗塞腸管梗塞等、多岐にわたる疾患が存在する。

虚血性疾患により障害された組織の機能回復には、微小血管網の保護/活性化が重要であり、近年この機能回復には細胞移植が有効であることが判明している。非特許文献1には、心筋梗塞に対する、比重遠心法で得られた骨髄単核球細胞投与が、心臓の微小血管網の血管密度を増加し心機能の向上をもたらすことが記載されている。非特許文献2には、四肢虚血に対する、特異的細胞表面抗原を用いて精製された末梢血由来のCD34陽性細胞の投与が、四肢の微小血管網の血管密度を増加し虚血症状の改善をもたらすことが記載されている。また非特許文献3には、四肢虚血に対する、比重遠心法で得られた骨髄単核球細胞の投与が、四肢の微小血管網の血管密度を増加し虚血症状の改善をもたらすことが記載されている。非特許文献4には脳梗塞に対する、特異的細胞表面抗原を用いて精製された臍帯血由来のCD34陽性細胞の投与が、脳の微小血管網の血管密度を増加し神経機能の向上をもたらすことが記載されている。また非特許文献5には、脳梗塞に対する、比重遠心法で得られた骨髄単核球細胞の投与が、微小血管網の脳の血管密度を増加し神経機能の向上をもたらすことが記載されている。

一方、臍帯血末梢血、骨髄には様々な細胞が混在しており、虚血症状の悪化を引き起こし、機能予後の悪化をきたす細胞が存在することが知られている。非特許文献6には、多核白血球が微小血管網の障害を誘導心筋梗塞後の症状悪化をもたらすことが記載されている。非特許文献7には、多核白血球が微小血管網の障害を誘導し脳梗塞後の症状悪化をもたらすことが記載されている。非特許文献8には好中球の微小血管網への接着が脳梗塞の症状悪化をもたらすことが記載されている。

上より、臍帯血や末梢血、骨髄に存在する細胞には、虚血後の微小血管網/臓器障害に対し治療効果を有している細胞、及びそれらを悪化させる作用を有している細胞が存在し、細胞移植による治療効果の発現のためには、細胞表面抗原による細胞の単離や、比重遠心法による多核白血球/好中球の除去による単核球細胞の分離など、有益な細胞の単離あるいは有害な細胞の除去が重要であると考えられている。

概要

血液/血球系細胞において、有益細胞の単離あるいは有害な細胞の除外をすることなく、虚血性疾患に対して十分な効果を発揮する治療及び/又は予防の為の医薬を提供する。単糖類二糖類三糖類若しくは多糖類、又は、単糖類、二糖類若しくは三糖類を構成要素に有する共重合体である糖類を、血液及び/又は血球系細胞に作用させる。糖類は、ショ糖エピクロロヒドリンの共重合体である。

目的

さらに細胞表面抗原による細胞の単離及び比重遠心法による多核白血球/好中球の除去では、目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

血液及び/又は血球系細胞を含む虚血性疾患治療及び/又は予防の為の医薬であって、該血液及び/又は血球系細胞は、単糖類二糖類三糖類若しくは多糖類、又は、単糖類、二糖類若しくは三糖類を構成要素に有する共重合体である糖類を作用させた血液及び/又は血球系細胞であることを特徴とする医薬。

請求項2

前記血液及び/又は血球系細胞は、末梢血細胞であることを特徴とする請求項1に記載の医薬。

請求項3

前記末梢血細胞は、バフィコート層の細胞であることを特徴とする請求項2に記載の医薬。

請求項4

前記血液及び/又は血球系細胞は、骨髄細胞又は臍帯血細胞であることを特徴とする請求項1に記載の医薬。

請求項5

前記糖類は、ショ糖を構成要素に有する共重合体であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の医薬。

請求項6

前記糖類は、ショ糖とエピクロロヒドリンの共重合体であることを特徴とする請求項5に記載の医薬。

請求項7

単糖類、二糖類、三糖類若しくは多糖類、又は、単糖類、二糖類若しくは三糖類を構成要素に有する共重合体である糖類を、血液及び/又は血球系細胞に作用させることを特徴とする、細胞の血管新生促進活性向上方法

請求項8

前記血液及び/又は血球系細胞が骨髄細胞である場合、赤血球分画を除去した骨髄細胞懸濁液に前記糖類を作用させており、白血球分画選別は行なわないことを特徴とする、請求項7記載の細胞の血管新生促進活性の向上方法。

請求項9

前記血液及び/又は血球系細胞が末梢血細胞である場合、末梢血遠心分離した場合における3つに分離した層のうち中央の層であるバフィーコート層に、前記糖類を作用させることを特徴とする、請求項7記載の細胞の血管新生促進活性の向上方法

請求項10

単糖類、二糖類、三糖類若しくは多糖類、又は、単糖類、二糖類若しくは三糖類を構成要素に有する共重合体である糖類を、血液及び/又は血球系細胞に作用させる工程を有する、虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法。

請求項11

前記血液及び/又は血球系細胞が骨髄細胞である場合、赤血球分画を除去した骨髄細胞懸濁液に前記糖類を作用させており、白血球分画の選別は行なわないことを特徴とする、請求項10記載の虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法。

請求項12

前記血液及び/又は血球系細胞が末梢血細胞である場合、末梢血を遠心分離した場合における3つに分離した層のうち中央の層であるバフィーコート層に、前記糖類を作用させることを特徴とする、請求項10記載の虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法。

請求項13

前記糖類は、ショ糖を構成要素に有する共重合体であることを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項に記載の虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法。

請求項14

前記糖類は、ショ糖とエピクロロヒドリンの共重合体であることを特徴とする請求項13に記載の虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法。

請求項15

前記糖類は、マルトースであることを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項に記載の虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法。

請求項16

更に血管再生促進因子を含有させることを特徴とする請求項10乃至15の何れか1項に記載の虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法。

請求項17

前記血管再生促進因子は、アンジオポエチンVEGF、PDGF、TGF-β、FGF、PlGF、マトリックスメタロプロテアーゼ、又は、プラスミノーゲンアクチベータであることを特徴とする請求項16に記載の虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法。

請求項18

前記虚血性疾患は、脳梗塞心筋梗塞四肢虚血腎梗塞肺梗塞梗塞、又は、腸管梗塞であることを特徴とする請求項10乃至17の何れか1項に記載の虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、虚血性疾患治療及び/又は予防の為の医薬細胞血管新生促進活性向上方法、又は、虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法に関する。

背景技術

0002

虚血性疾患は、臓器を栄養する動脈閉塞又は狭窄のため臓器の虚血を来たし、組織酸素又は栄養の不足のため壊死又は機能不全になる疾患であり、心筋梗塞四肢虚血脳梗塞腎梗塞肺梗塞梗塞腸管梗塞等、多岐にわたる疾患が存在する。

0003

虚血性疾患により障害された組織の機能回復には、微小血管網の保護/活性化が重要であり、近年この機能回復には細胞移植が有効であることが判明している。非特許文献1には、心筋梗塞に対する、比重遠心法で得られた骨髄単核球細胞投与が、心臓の微小血管網の血管密度を増加し心機能の向上をもたらすことが記載されている。非特許文献2には、四肢虚血に対する、特異的細胞表面抗原を用いて精製された末梢血由来のCD34陽性細胞の投与が、四肢の微小血管網の血管密度を増加し虚血症状の改善をもたらすことが記載されている。また非特許文献3には、四肢虚血に対する、比重遠心法で得られた骨髄単核球細胞の投与が、四肢の微小血管網の血管密度を増加し虚血症状の改善をもたらすことが記載されている。非特許文献4には脳梗塞に対する、特異的細胞表面抗原を用いて精製された臍帯血由来のCD34陽性細胞の投与が、脳の微小血管網の血管密度を増加し神経機能の向上をもたらすことが記載されている。また非特許文献5には、脳梗塞に対する、比重遠心法で得られた骨髄単核球細胞の投与が、微小血管網の脳の血管密度を増加し神経機能の向上をもたらすことが記載されている。

0004

一方、臍帯血末梢血、骨髄には様々な細胞が混在しており、虚血症状の悪化を引き起こし、機能予後の悪化をきたす細胞が存在することが知られている。非特許文献6には、多核白血球が微小血管網の障害を誘導心筋梗塞後の症状悪化をもたらすことが記載されている。非特許文献7には、多核白血球が微小血管網の障害を誘導し脳梗塞後の症状悪化をもたらすことが記載されている。非特許文献8には好中球の微小血管網への接着が脳梗塞の症状悪化をもたらすことが記載されている。

0005

上より、臍帯血や末梢血、骨髄に存在する細胞には、虚血後の微小血管網/臓器障害に対し治療効果を有している細胞、及びそれらを悪化させる作用を有している細胞が存在し、細胞移植による治療効果の発現のためには、細胞表面抗原による細胞の単離や、比重遠心法による多核白血球/好中球の除去による単核球細胞の分離など、有益な細胞の単離あるいは有害な細胞の除去が重要であると考えられている。

先行技術

0006

Autologous transplantation of bone marrow mononuclear cells improved heart function after myocardial infarction. Lin et al. Acta Pharmacol Sin 2004 Jul; 25 (7): 876-886
Autologous transplantation of peripheral blood endothelial progenitor cells (CD34+) for therapeutic angiogenesis in patients with critical limb ischemia. Kudo et al. Int Angiol. 2003 Dec;22(4):344-8.
Therapeutic Angiogenesis by Autologous Bone-marrow Transplantation in a General Hospital Setting. Taguchi et al. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2003 Mar;25(3):276-8.
Administration of CD34+ cells after stroke enhances neurogenesis via angiogenesis in a mouse model. Taguchi et al. J Clin Invest. 2004 Aug;114(3):330-8.
Bone marrow mononuclear cells promote proliferation of endogenous neural stem cells through vascular niches after cerebral infarction. Nakano-Doi et al. Stem Cells. 2010 Jul;28(7):1292-302.
A novel sialyl LewisX analog attenuates neutrophil accumulation and myocardial necrosis after ischemia and reperfusion. Lefer et al.Circulation. 1994 Nov;90(5):2390-401
Polymorphonuclear leukocytes occlude capillaries following middle cerebral artery occlusion and reperfusion in baboons. del Zoppo et al. Stroke. 1991 Oct;22(10):1276-83.
Antibodies against adhesion molecules reduce apoptosis after transient middle cerebral artery occlusion in rat brain.Chopp et al. J Cereb Blood Flow Metab. 1996 Jul;16(4):578-84.

発明が解決しようとする課題

0007

しかし、比重遠心法による多核白血球/好中球の除去には、高価な血球成分分離装置あるいは比重分離液による煩雑な操作が必要である。さらに細胞表面抗原による細胞の単離及び比重遠心法による多核白血球/好中球の除去では、目的とする細胞分画回収率が必ずしも高くないことが知られている。

0008

本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、様々な細胞が混在する血液/血球系細胞において、有益細胞の単離あるいは有害な細胞の除外をすることなく、虚血性疾患に対して十分な効果を発揮する治療及び/又は予防の為の医薬を提供することを目的とする。また、新規な細胞の血管新生促進活性の向上方法を提供することを目的とする。また、新規な虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明にかかる医薬は、血液及び/又は血球系細胞を含む虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬であって、該血液及び/又は血球系細胞は、単糖類二糖類三糖類若しくは多糖類、又は、単糖類、二糖類若しくは三糖類を構成要素に有する共重合体である糖類を作用させた血液及び/又は血球系細胞であることを特徴とする。本発明にかかる細胞の血管新生促進活性の向上方法は、単糖類、二糖類、三糖類若しくは多糖類、又は、単糖類、二糖類若しくは三糖類を構成要素に有する共重合体である糖類を、血液及び/又は血球系細胞に作用させることを特徴とする。本発明にかかる医薬の製造方法は、単糖類、二糖類、三糖類若しくは多糖類、又は、単糖類、二糖類若しくは三糖類を構成要素に有する共重合体である糖類を、血液及び/又は血球系細胞に作用させる工程を有することを特徴とする。

発明の効果

0010

本発明によれば、様々な細胞が混在する血液/血球系細胞において、有益細胞の単離あるいは有害な細胞の除外をすることなく、虚血性疾患に対して十分な効果を発揮する治療及び/又は予防の為の医薬を提供することが可能となる。

図面の簡単な説明

0011

骨髄細胞を投与した場合の血管再生効果を示す図であり、そのうち(A)は正常マウスにおける微小血管網であり、(B)は糖鎖重合体を作用させた骨髄細胞が投与されたマウスにおける虚血周囲部であり、(C)は糖鎖重合体を作用させていない骨髄細胞が投与されたマウスにおける虚血周囲部である。
骨髄細胞を投与した場合の虚血中心での血管保護効果を示す図であり、そのうち(A)は糖鎖の重合体を作用させた骨髄細胞が投与されたマウスにおける虚血中心部であり、(B)は糖鎖重合体を作用させていない骨髄細胞が投与されたマウスにおける虚血中心部である。
Atrophy indexの測定方法を示す図である。
虚血障害軽減に関する治療効果を示す図である。
骨髄細胞投与による虚血障害からの機能回復促進効果の結果を示す図である。
マルトースを作用させた骨髄細胞による虚血障害からの機能回復促進効果の結果を示す図である。
FICOLL-Paqueで分取した末梢血細胞と、FICOLL-Paqueで分取した後さらにFICOLL PM400を作用させた末梢血細胞との虚血性疾患治療効果を比較する図である。

0012

以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。

0013

本発明者は、有益な細胞と有害な細胞が混在すると考えられる血液及び/又は血球系細胞群においても、有益細胞の単離あるいは有害な細胞の除外をすることなく、糖類を血液及び/又は血球系細胞に作用させることにより、虚血性疾患に対して十分な治療効果を発揮するように変化する、という驚くべき新知見を見出し、かかる事実に基づいて本発明を完成させた。糖類を血液及び/又は血球系細胞に作用させるとは、糖類を血液及び/又は血球系細胞の細胞懸濁液に加えて、糖類と血液及び/又は血球系細胞とを接触させることである。

0014

後述の実施例に示されているように、本発明者はショ糖を構成要素に有する共重合体やマルトースを細胞懸濁液に加えることにより細胞の虚血性疾患治療機能を誘導している。細胞膜上は、糖脂質糖タンパク質に富み、種々の接着分子受容体分子及び細胞内シグナル伝達分子を共局在させる膜ドメインが存在しており、必ずしもこのような理論に拘されるわけではないが、糖類が細胞膜上に存在する糖脂質等と相互作用して、細胞の虚血性疾患治療機能を誘導していると考えられる。

0015

糖類は、広く、単糖類、二糖類、三糖類若しくは多糖類、又は、単糖類、二糖類若しくは三糖類を構成要素に有する共重合体が適用可能である。単糖類は、例えば、グルコースガラクトースマンノース又はフルクトースである。二糖類は、例えば、マルトース、ラクトース又はスクロースである。三糖類は、例えば、ニゲロトリオースマルトトリオース又はメレジトースである。多糖類は、例えば、デンプンセルロース又はグリコーゲンである。共重合体は、例えば、ショ糖を構成要素に有する共重合体であり、好ましくはショ糖とエピクロロヒドリンの共重合体であり、より好ましくはFICOLLPM70又はFICOLL PM400であり、最も好ましくはFICOLL PM400である。なお、本発明においては、血液及び/又は血球系細胞にジアトリゾ酸ナトリウムを作用させないことが好ましい。

0016

血液及び/又は血球系細胞は、末梢血細胞、骨髄細胞又は臍帯血細胞であることが好ましい。末梢血細胞とは、末梢血の中に存在する細胞である白血球赤血球血小板等のことである。骨髄細胞は骨内部の骨髄に含まれる造血系細胞の総称であり、骨髄芽球などの白血球系の細胞、赤芽球系の細胞、骨髄巨核球形質細胞等が含まれる。臍帯血細胞は、広く臍帯から採取された細胞である。末梢血細胞は、骨髄細胞と比べて造血幹細胞等が少なく、細胞治療に不向きであるとされているものの、本発明においては後述の実施例5にて示されるように、G-CSF等の造血因子を使用すること無く、糖類を作用させることのみにて、細胞の虚血性疾患治療効果を発現させる。

0017

本発明にかかる医薬は、虚血性疾患の治療及び/又は予防の為のものであるが、本明細書において、「治療」には、症状を治癒すること、症状を改善すること及び症状の進行を抑えることが含まれる。一方、「予防」には疾患の発症を抑えること及び遅延させることが含まれ、疾患になる前の予防だけでなく、治療後の疾患の再発に対する予防も含まれる。

0018

本発明にかかる医薬は、虚血性疾患を対象としており、対象となる疾患は、例えば脳梗塞、心筋梗塞、四肢虚血、腎梗塞、肺梗塞、脾梗塞、腸管梗塞等である。後述の実施例に示されているように、本発明は、糖類を作用させた血液及び/又は血球系細胞により虚血周囲部での微小血管密度を上昇させ、これにより虚血性疾患を解消するものであり、対象となる疾患は実施例記載のものに限定されるものではない。

0019

また、本発明にかかる医薬は、超急性期、急性期亜急性期、及び、慢性期の何れにおいても使用可能であるが、急性心筋梗塞や脳梗塞など、急性発症する虚血性疾患に対しては特に急性期及び亜急性期において好適に使用可能である。ここで、超急性期は発症してから12時間以内の期間であり、ステント術血栓溶解療法血栓除去などにより組織細胞死を阻止できる可能性が高い時期である。急性期は発症してから12時間〜7日以内の期間であり、亜急性期は発症してから1週〜4週以内の期間である。慢性期は発症してから1か月以上の期間である。一方、慢性循環障害による四肢虚血など、慢性的に経過する虚血性疾患に対しては、時期に関係なく好適に使用可能である。投与経路は、静脈内投与、動脈内投与、門脈内投与、局所組織投与が好適である。

0020

投与される細胞数は、特に限定されるものではないが、静脈内投与においては例えば1×105個/kg〜1×109個/kgとすることができ、好適には1×106個/kg〜1×108個/kgであり、特に好適には1×107個/kgである。

0021

糖類を血液及び/又は血球系細胞の細胞懸濁液に加えて、糖類と血液及び/又は血球系細胞とを接触させる時間は、糖類の濃度、投与される細胞の数や種類によって相違するため特に限定されるものではないが、例えば、5分〜1時間、好ましくは10分〜30分、更に好ましくは15分〜25分、最も好ましくは20分である。

0022

本発明においては、更に血管再生促進因子を含有することも可能である。血管再生促進因子は、特に限定されるものではないが、例えば、VEGF、アンジオポエチン(angiopoietin)、PDGF、TGF-β、FGF, PlGF、マトリックスメタロプロテアーゼプラスミノーゲンアクチベータ等を使用することができるが、好ましくはangiopoietinである。angiopoietinは、脈管形成(vasculogenesis)あるいは血管新生(angiogenesis)を促進する糖タンパク質の成長因子であり、angiopoietinには、アンジオポエチン1(Ang1)、アンジオポエチン2(Ang2)、アンジオポエチン3(Ang3)、アンジオポエチン4(Ang4)の4種類があるだけでなく、類似のタンパク質として6種類のアンジオポエチン関連タンパク質(ANGPTL:angiopoietin-related protein、または、angiopoietin-like protein)がある。

0023

本発明にかかる医薬を注射用製剤とする場合は、当技術分野で通常使用されている添加剤を適宜用いることができる。添加剤としては、例えば、等張化剤安定化剤緩衝剤保存剤キレート剤抗酸化剤、又は溶解補助剤等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、ブドウ糖ソルビトールマンニトール等の糖類、塩化ナトリウムグリセリンプロピレングリコールポリエチレングリコール等が挙げられる。安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。緩衝剤としては、例えば、ホウ酸緩衝剤リン酸緩衝剤クエン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、酢酸緩衝剤等が挙げられる。保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステルベンジルアルコールクロロクレゾールフェネチルアルコール塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウムクエン酸ナトリウム等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムアスコルビン酸ナトリウムチオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えば、デキストランポリビニルピロリドン安息香酸ナトリウムエチレンジアミンサリチル酸アミドニコチン酸アミドポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等が挙げられる。

0024

本発明にかかる細胞の血管新生促進活性の向上方法は、単糖類、二糖類、三糖類若しくは多糖類、又は、単糖類、二糖類若しくは三糖類を構成要素に有する共重合体である糖類を、血液及び/又は血球系細胞に作用させることを特徴とする。

0025

本発明にかかる虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法は、単糖類、二糖類、三糖類若しくは多糖類、又は、単糖類、二糖類若しくは三糖類を構成要素に有する共重合体である糖類を、血液及び/又は血球系細胞に作用させる工程を有することを特徴とする。

0026

血液及び/又は血球系細胞が骨髄細胞である場合、骨髄液からHydroxyethyl starch等により赤血球分画を除去した骨髄細胞懸濁液に、FICOLLPM400を作用させることが好ましい。かかる場合、白血球分画選別は行なわずに細胞の虚血性疾患治療効果を発現させるため、簡易な工程にもかかわらず細胞に虚血性解消機能を付与させることができる。

0027

血液及び/又は血球系細胞が末梢血細胞である場合、末梢血をFICOLL-Paque液等で遠心分離した場合における3つに分離した層のうち真ん中の層であるバフィーコート層に、FICOLL PM400を作用させることが好ましい。

0028

本発明にかかる細胞の血管新生促進活性の向上方法及び虚血性疾患の治療及び/又は予防の為の医薬の製造方法において、本発明にかかる医薬と同様に、糖類については広く適用可能であり、例えば、マルトースやショ糖とエピクロロヒドリンの共重合体等が適用可能である。

0029

(実施例1)糖鎖の重合体を作用させた骨髄細胞による血管再生及び血管保護効果
FICOLLPM400はショ糖とエピクロロヒドリンとの共重合体であり、構造式は(C12H22O11)m・(C3H5ClO)nである。骨髄細胞懸濁液に最終濃度が1.9%になるようFICOLL PM400を加え、20分間室温で作用させた。
FICOLL PM400は分子量が約40万の安定した糖鎖の重合物であり、細胞に取り込まれることはなく、細胞表面レセプターの活性化なども報告されていないため、FICOLL PM400の作用機序としては、我々は細胞表面の糖鎖構造との相互作用などを想定している。FICOLL PM400を作用させた骨髄細胞による血管再生能及び血管保護効果の検証のための虚血モデルには、発明者らが開発した再現性の高い虚血モデルマウスを用いた(Taguchi et al. J Exp Stroke Transl Med. 2010;3:28-33)。虚血作成48時間後に、尾静脈より1x105個のFICOLL PM400を作用させた骨髄細胞を投与し、細胞投与24時間後における虚血周囲部での血管再生及び虚血中心部での血管保護効果を、抗CD31抗体を用いて行った(Taguchi et al. J Clin Invest. 2004;114(3):330-8)。実験には各群6匹の虚血マウスを使用した。

0030

骨髄細胞投与の微小血管に与える作用を検証する虚血モデルは下記の手法で作成した。8週齢のCB-17マウスをハロセン麻酔により全身麻酔し、左頬骨部よりアプローチして左中大脳動脈に直達できるよう頭蓋底に1.5mm程度の穿孔を行った。嗅索を通過した直後(嗅索交差部の遠位側)の左中大脳動脈を、バイポーラ電気メスを用いて凝固させ、凝固後切断することにより、左中大脳動脈を永久に閉塞し、左中大脳動脈領域の皮質限局する虚血部位及び虚血強度の再現性に優れた虚血モデルを作成した。

0031

投与細胞の処理は以下の方法で行った。マウス大腿骨及び脛骨より骨髄液を採取し、Hydroxyethyl starchにより赤血球を沈殿させ、骨髄細胞懸濁液を作成した。骨髄細胞懸濁液に最終濃度が1.9%になるようFICOLLPM400を加え、20分間室温で作用させた。その後、細胞懸濁液中のFICOLL PM400を除去するため、3倍量のPBSを加え遠心分離(200gx10分) 後に細胞上清を除去し、再度PBSを加え遠心分離/上清の除去を行い、骨髄細胞1x106個/mlとなる骨髄細胞懸濁液を作成した。未処理細胞では、骨髄細胞懸濁液にFICOLL PM400を加えず、20分間室温で保持した後、FICOLL PM400を作用させた細胞と同様に2度の遠心分離を行い、骨髄細胞1x106個/mlとなる骨髄細胞懸濁液を作成した。

0032

骨髄細胞投与の虚血周囲部での血管再生及び虚血中心部での血管保護効果に関する研究は下記の方法で実施した。虚血作成48時間後に、1x105個のFICOLLPM400を作用させた骨髄細胞(FICOLL PM400処理細胞)、あるいは尾静脈より1x105個のFICOLL PM400を作用させていない骨髄細胞(未処理細胞)を投与した。細胞投与24時間後に、パラホルムアルデヒド固定液を用いて潅流固定を行い、ビブラトームを用いて厚さ20μmの切片を作成し、既報に則り抗CD31抗体を用いて微小血管の可視化を行った(Taguchi et al. J Clin Invest. 2004;114:330-338)。さらに虚血部位が明瞭になるよう、染色切片にヘマトキシリン染色による核染色を行い、虚血周囲部での血管再生及び虚血中心部での血管保護効果に関する検証を行った。

0033

糖鎖の重合体を作用させた骨髄細胞(FICOLLPM400処理細胞)による虚血周囲部での血管再生効果を図1に示す。(A)は正常マウスにおける微小血管網である。それに対し(B)に示されるように、糖鎖の重合体を作用させた骨髄細胞を投与されたマウスでは、虚血周囲部での微小血管密度の上昇が観察された。一方、(C)で示されるように、糖鎖の重合体を作用させていない骨髄細胞(未処理細胞)を投与されたマウスでは、虚血周囲部での微小血管密度の低下が観察された。なお、図1(A)全体及び図1(B)、図1(C)の右側に観察されるヘマトキシリン陽性細胞核が密に観察される部位は神経細胞生存している場所であり、ヘマトキシリン陽性の細胞核が疎に観察される部位は、虚血による神経細胞死が既に起こった場所であり、虚血周囲部とはヘマトキシリン陽性の細胞核が密に観察される部位と疎に観察される部位の境界付近の領域である。

0034

糖鎖の重合体を作用させた骨髄細胞による虚血中心での血管保護効果を示す拡大図である図2を示す。(A)に示されるように、糖鎖の重合体を作用させた骨髄細胞(FICOLLPM400処理細胞)を投与されたマウスでは、虚血中心での微小血管の残存が観察された。一方、(B)で示されるように、糖鎖の重合体を作用させていない骨髄細胞(未処理細胞)を投与されたマウスでは、虚血中心での微小血管網の破壊が観察された。なお、図2では、ヘマトキシリン陽性の細胞核が疎に観察されており、虚血による神経細胞死が既に起こった場所である。

0035

以上の結果より、糖鎖の重合体を作用させない骨髄細胞(未処理細胞)には血管再生及び血管保護効果はないものの、骨髄細胞に糖鎖の重合体を作用させることにより血管再生促進効果及び血管保護効果が出現することが明らかになった。

0036

(実施例2)糖鎖の重合体を作用させた骨髄細胞による虚血障害抑制効果
骨髄細胞懸濁液に最終濃度が1.9%になるようFICOLLPM400を加え、20分間室温で作用させた。FICOLL PM400を作用させた骨髄細胞による虚血障害抑制効果の検証のための虚血モデルには、発明者らが開発した再現性の高い虚血モデルマウスを用いた(Taguchi et al. J Exp Stroke Transl Med. 2010;3:28-33)。虚血作成48時間後に、尾静脈より1x105個のFICOLL PM400を作用させた骨髄細胞を投与し、細胞投与30日後における虚血障害抑制効果に関する評価法として、マクロ標本による脳萎縮スコア(Taguchi et al. Eur J Neurosci. 2007;26(1):126-33.)を使用した。非治療コントロール群では、細胞投与群と同量(100μl)の生理食塩水を尾静脈より投与した。実験には各群6匹の虚血マウスを使用した。骨髄細胞投与の虚血障害抑制効果を検証する虚血モデルは、実施例1と同様の手法を用いた。投与細胞の処理は、実施例1と同様の手法を用いた。

0037

マクロ標本による虚血障害スコアの詳細は下記の通りである。本研究で使用した脳虚血モデルは左中大脳動脈が潅流する大脳皮質に限局したものであるが、虚血後は炎症細胞浸潤等により、対側(脳虚血を作成しない側)に比し、虚血側では明らかな組織の委縮が生じる。我々はその委縮の程度の定量的な評価にAtrophy indexが有用であることを示してきた(Taguchi et al. Eur J Neurosci. 2007;26(1):126-33.)。Atrophy indexの測定方法を図3に示す。図3に示されるように、Atrophy indexはX/Y×100(%)にて示される。

0038

虚血障害軽減に関する治療効果を図4に示す。Atrophy indexは脳萎縮を示す指標である。Controlとは生理食塩水を投与された群である。BMとは糖鎖の重合体を作用させていない未処理骨細胞(BM: Bone Marrow)を投与された群である。BM+FICOLLPM400とは、糖鎖の重合体(FICOLL PM400)を作用させた骨髄細胞を投与された群である。1x105個の糖鎖の重合体を作用させた骨髄細胞(FICOLL PM400処理細胞)の投与により、生理食塩水投与群と比し、統計学的にも有意に虚血障害軽減効果があることが示された。一方、1x105個の糖鎖の重合体を作用させていない骨髄細胞(未処理細胞)の投与では、虚血障害軽減効果は観察されなかった。*印は、Control群とBM+FICOLL PM400群との間に統計学的有意差が存在することを示し、**印は、BM群とBM+FICOLL PM400群との間に統計学的有意差が存在することを示す。

0039

以上の結果より、糖鎖の重合体を作用させない骨髄細胞(未処理細胞)には虚血障害抑制作用はないものの、骨髄細胞に糖鎖の重合体を作用させることにより虚血障害抑制効果が出現することが明らかになった。

0040

(実施例3)糖鎖の重合体を作用させた骨髄細胞による虚血障害からの機能回復促進効果
FICOLLPM400は糖類であるショ糖を重合して作られたポリマーであり、骨髄細胞懸濁液に最終濃度が1.9%になるようFICOLL PM400を加え、20分間室温で作用させた。FICOLL PM400を作用させた骨髄細胞による虚血障害からの機能回復促進効果の検証のための虚血モデルには、発明者らが開発した再現性の高い虚血モデルマウスを用いた(Taguchi et al. J Exp Stroke Transl Med. 2010;3:28-33)。虚血作成48時間後に、尾静脈より1x105個のFICOLL PM400を作用させた骨髄細胞を投与し、細胞投与30日後における虚血障害からの機能回復促進効果に関する評価法として、オープンフィールドテストによる明暗条件に対する反応性(Taguchi et al. J Clin Invest. 2004;114:330-8)を使用した。実験には各群6匹の虚血マウスを使用した。骨髄細胞投与の機能回復促進効果を検証する虚血モデルは、実施例1と同様の手法を用いた。投与細胞の処理は、実施例1と同様の手法を用いた。

0041

機能回復促進効果に関する評価法として、オープンフィールドテストを実施した。その測定原理及び測定法は下記の通りである。マウスは夜行性であるため、正常のマウスにおいては、明条件では行動量が低下し、環境を暗くすることにより行動量が増加することが知られている。明条件下における行動抑制においては大脳皮質機能が重要であり、また細胞治療により大脳皮質機能が回復し、明条件下における行動抑制機能が回復することが示されてきた(Taguchi et al. J Clin Invest. 2004;114:330-8)。本研究では、マウスをオープンフィールド測定装置((株)行医研製、自由移動空間40cmx40cm)にて明条件下で30分間立ち上がり反応(rearing)の回数を自動カウントし、その後暗条件下で30分間立ち上がり反応の回数をカウントした。明条件から暗条件に変化した時の運動量の増加を、機能回復の指標として用いた。

0042

骨髄細胞投与による虚血障害からの機能回復促進効果の結果を図5に示す。BMとは糖鎖の重合体を作用させていない未処理骨髄細胞(BM: Bone Marrow)を投与された群である。BM+FICOLLPM400とは、糖鎖の重合体(FICOLL PM400)を作用させた骨髄細胞を投与された群である。図5では、糖鎖の重合体を作用させていない未処理骨髄細胞(BM群)が投与された場合、及び、糖鎖の重合体を作用させた骨髄細胞(BM+FICOLL PM400群)が投与された場合のそれぞれにつきrearing(立ち上がり)の回数が示されており、白棒は明条件での立ち上がり回数黒棒は暗条件での立ち上がり回数を示す。糖鎖の重合体を作用させていない未処理骨髄細胞が投与された個体では暗条件への変化によって有意な運動量の増加を認めなかったが、糖鎖の重合体を作用させた骨髄細胞の投与により、統計学的に有意な暗反応に対する行動量の増加が観察されるようになった。*印はBM+FICOLL PM400群において、明条件から暗条件への変化で、立ち上がり回数の統計学的に有意な増加が認められたことを示す。即ち糖鎖の重合体を作用させた骨髄細胞の投与で脳神経機能回復促進効果があることが示された。

0043

以上の結果より、糖鎖の重合体を作用させていない骨髄細胞の投与(未処理細胞)では、虚血障害後の機能回復効果は示せなかったものの、骨髄細胞に糖鎖の重合体を作用させることにより骨髄細胞投与の大脳皮質機能回復促進効果が示された。

0044

(実施例4)マルトースを作用させた骨髄細胞による虚血障害からの機能回復促進効果
マルトースは分子量342の糖類であり、骨髄細胞懸濁液に最終濃度が10%になるようマルトースを加え、20分間室温で作用させた。マルトースを骨髄細胞による虚血障害からの機能回復促進効果の検証のための虚血モデルには、発明者らが開発した再現性の高い虚血モデルマウスを用いた (Taguchi et al. J Exp Stroke Transl Med. 2010;3:28-33)。虚血作成48時間後に、尾静脈より1x105個のマルトースを作用させた骨髄細胞を投与し、細胞投与30日後における虚血障害からの機能回復促進効果に関する評価法として、オープンフィールドテストによる明暗条件に対する反応性(Taguchi et al. J Clin Invest. 2004;114:330-8)を使用した。実験には各群6匹の虚血マウスを使用した。骨髄細胞投与の機能回復促進効果を検証する虚血モデルは、実施例1と同様の手法を用いた。投与細胞の処理は、FICOLLPM400の代わりにマルトースを使用し、実施例1と同様の手法を用いた。機能回復促進効果に関する評価法は実施例3と同様の手法を用いた。

0045

マルトースを作用させた骨髄細胞による虚血障害からの機能回復促進効果の結果を図6に示す。白棒は明条件での立ち上がり回数、黒棒は暗条件での立ち上がり回数を示す。1x105個のマルトースを作用させた骨髄細胞の投与により、統計学的に有意な明条件下における行動抑制機能が回復し、細胞投与による大脳皮質機能回復促進効果が示された。*印はマルトースを作用させた骨髄細胞を投与された群において、明条件から暗条件への変化で、立ち上がり回数の統計学的に有意な増加が認められたことを示す。

0046

実施例3では未処理の骨髄細胞は機能回復効果がないことが示されており、本研究よりマルトースを骨髄細胞に作用させることにより、FICOLLPM400処理細胞と同様に治療効果を有するようになることが示された。

0047

(実施例5)糖鎖の重合体を作用させた末梢血細胞による虚血性疾患治療効果
本発明の範囲が骨髄細胞由来血球細胞に限局されるものではないこと、及び、本発明が血球分離頻用されるFICOLL-Paque液(ジアトリゾ酸ナトリウムとFICOLL PM400の混合物)による細胞分離効果とは異なることを示すために、末梢血由来血球細胞を用いた虚血性疾患治療効果に関する検証を行った。

0048

マウスより末梢血を採取し、FICOLL-Paque液(GEヘルスケアバイオサイエンス製)の上に重層した後、400Gの遠心力にて40分間遠心分離を行い、赤血球の層と血漿の層の間の層(バフィコート層)を分取した。末梢血バフィコート層の細胞群では、バフィコート層に含有する細胞をPBSで洗浄し、実験に供した。また、FICOLL PM400処理群では、バフィコート層に含有する細胞をPBSで洗浄後、最終濃度が1.9%になるようFICOLL PM400を加え、20分間室温で作用させ、その後PBSで洗浄し、実験に供した。末梢血由来細胞投与による虚血性疾患治療効果の検証のための虚血モデルには、発明者らが開発した再現性の高い虚血モデルマウスを用いた(Taguchi et al. J Exp Stroke Transl Med. 2010;3:28-33)。虚血作成48時間後に、尾静脈より1x105個の末梢血バフィコート層の細胞あるいはFICOLL PM400処理細胞を投与し、細胞投与30日後における虚血性疾患治療効果に関する評価法として、マクロ標本による脳萎縮スコア(Taguchi et al. Eur J Neurosci. 2007;26(1):126-33.)を使用した。非治療コントロール群では、細胞投与群と同量(100μl)の生理食塩水を尾静脈より投与した。実験には各群6匹の虚血マウスを使用した。末梢血由来細胞投与の虚血性疾患治療効果を検証する虚血モデルは、実施例1と同様の手法を用いた。

0049

マクロ標本による虚血障害スコアの詳細は実施例2と同様である。虚血障害軽減に関する治療効果を図7に示す。Atrophy indexは脳萎縮を示す指標である。Controlとは生理食塩水を投与された群であり、末血バフィーコート層とは、FICOLL-Paque液で分取した末梢血バフィコート層の細胞を投与された群であり、末血バフィーコート層+FICOLL PM400とは、FICOLL-Paque液で分取した末梢血バフィコート層の細胞にさらにFICOLL PM400を作用させた細胞を投与された群である。末梢血バフィコート層の細胞群の細胞投与では、生理食塩水投与群と比し、統計学的に有意な治療効果を示さなかった。一方、FICOLL PM400処理群の細胞投与では、生理食塩水投与群と比し、統計学的に有意に虚血障害軽減効果があることが示された。*印はControl群との比較で、統計学的に有意な差があることを示すものである。

0050

以上の結果より、骨髄由来細胞だけでなく末梢血由来細胞であってもFICOLLPM400での処置を行うことにより虚血性疾患に対する治療効果が獲得できること、及び、血球分離で頻用されるFICOLL-Paque液による細胞分離工程のみでは治療効果を得ることのできない細胞にも本発明により虚血性疾患治療効果を与えることが可能であること、すなわち本発明がFICOLL-Paque液による細胞分離やその工程による作用とは異なること、が示された。

実施例

0051

なお、FICOLL-Paque液での比重遠心分離においても、その含有成分であるFICOLL PM400とバフィコート層の細胞はFICOLL-Paque液層とバフィコート細胞層境界面上において接触している可能性があるにもかかわらず、FICOLL-Paque液での比重遠心分離では、末梢血由来バフィコート層の細胞が虚血性疾患治療薬としての機能を獲得できなかった理由として、(i)血球細胞への効果発現のためには、FICOLL PM400と細胞の十分な混和が必要であり、比重遠心分離法で実施される血球細胞層のFICOLL-Paque液層への重層では血球細胞層とFICOLL PM400を含有するFICOLL-Paque液層が混和されることは全くなく、その境界面上に限定されている接触ではFICOLL PM400の効果が発揮されない、(ii)かつ、FICOLL-Paque液に存在するジアトリゾ酸ナトリウムがFICOLL PM400の血球への効果を阻害している、の両者であると考えている。また、本発明で示した糖鎖あるいは糖鎖用構造物を血球細胞に作用させることにより、血球系細胞が血管障害治療効果を有するようになるメカニズムとして、血球細胞の細胞表面に発現している接着因子の修飾、特に障害血管内皮細胞に発現しているセレクチン(E-Selectin、P-Selectinなど)の血球側糖鎖リガンド(Sialyl-Lewis x等の糖鎖構造)に対する修飾効果であると考えている。

0052

虚血性疾患の治療及び/又は予防に利用できる。

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