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技術 エクソソームの破壊方法、エクソソームの破壊キットおよび正常細胞由来のエクソソームの分離方法

出願人 三井化学株式会社
発明者 藤井亮太池田美和松本和也
出願日 2016年3月11日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2017-505425
公開日 2017年11月9日 (2年0ヶ月経過) 公開番号 WO2016-143904
状態 特許登録済
技術分野 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 医薬品製剤 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 破壊除去 スペーサー物質 血液循環装置 ポリエステル系ポリマーアロイ モノマー数 要求水準 破壊処理 舌がん
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課題・解決手段

本発明に係るエクソソームの破壊方法は、抗菌ペプチドを準備する工程と、前記抗菌ペプチドと、エクソソームとを共存させることにより、前記エクソソームを破壊する工程と、を有するものである。

概要

背景

エクソソームの概要
エクソソームは、細胞から分泌される細胞外顆粒一種である。具体的には、エクソソームは、脂質二重膜からなるベシクル構造を有した細胞から放出される直径30nm〜100nm程度の小胞である。このエクソソームは、当該エクソソームを分泌した細胞(以下、分泌細胞ともいう。)とは異なる他の細胞に取り込まれることにより、分泌細胞と上記他の細胞との間で情報伝達を行うことが知られている(非特許文献1および2)。

<エクソソームの安定性
エクソソームの膜構造は、一般に、細胞の膜構造と比べて安定であることが知られている。例えば、非特許文献3には、−20℃の温度条件下、糖類等の安定化剤を添加することなくエクソソームを4回凍結融解処理した場合においても、該エクソソーム中の内包物が安定的に維持されたことを示す実験結果が記載されている。一方、動物細胞と称される細胞は、一般に、上述した安定化剤を用いない限り、凍結融解処理に耐えきれないことが知られている。このことから、エクソソームは、動物細胞と比べて、安定な膜構造を有しているものと推察される。

また、エクソソームと、細胞とでは、膜構造の形成工程が相違している。くわえて、エクソソームの膜構造と、細胞の膜構造とを対比した場合、両者は、膜の表面積や、膜の表面に存在する表面タンパク質の種類が相違している。こうした事情踏まえても、エクソソームの膜構造は、細胞の膜構造と比べて安定な構造であると考えられる。なお、エクソソームは生細胞ではないため、一般的な細胞に対して適用することが可能なアポトーシスによる細胞死プログラムの対象外である。

<エクソソームと疾患の関係>
近年、エクソソームと各種疾患との間に相関関係があることについて、種々の報告がなされている。特に、がん細胞が放出するエクソソームに着目し、がんという特定の疾患に対して上記エクソソームが及ぼす影響について、様々な研究結果が報告されている。たとえば、がん細胞が放出するエクソソーム中に含まれている血管新生誘導する因子が健常な血管内皮細胞に取り込まれた場合、上記血管新生を誘導する因子によりがん組織周辺の血管新生が誘導され、がん転移や湿潤を進行させる可能性について報告されている(非特許文献4〜6)。

また、近年においては、エクソソームと各種疾患との相関について、エクソソーム内には疾患に関連する情報が含まれていることも明らかになりつつある。例えば、非特許文献3においては、がん患者の血液中に存在するエクソソームには、がんのバイオマーカーとなる物質(PSA,HER2,EGFR等のタンパク質、miR−21,miR−200a等のマイクロRNA、Apbb1ip,ASPN等のメッセンジャーRNA、KRAS等のDNA、また各種代謝産物、等)、が内包されていることが報告されている。

特に、がんのバイオマーカーとなる物質としてエクソソームに内包されているマイクロRNAは、がんの検査指標として有望視されている。生物のマイクロRNAは、既に、miRBase(URL:http://www.mirbase.org/)にデータベース化されている。中でも、ヒトのマイクロRNAは、2015年時点で2588種が公知となっている。また、上述したヒトのマイクロRNAの発現プロファイルは、臓器の種類によって異なることや、正常細胞とがん細胞との間でも異なることが知られている。こうした事情に鑑みて、近年においては、血液中のエクソソームに内包されたマイクロRNAを解析する血液検査によって、がんの部位や進行度診断する技術を開発すべく鋭意検討されている(非特許文献7)。

<エクソソームの分離回収捕集)・除去方法
エクソソームの分離回収(捕集)・除去方法に着目した技術として、たとえば、以下のものがある。
ヒトの体液(血液、唾液、尿、等)や細胞培養液からエクソソームを回収するための方法としては、非特許文献8等に記載されている超遠心法が、2015年時点で最も一般的に使用される手法である。たとえば、細胞培養上清や体液からエクソソームの回収を行う場合、フィルターなどで細胞片などの大きな夾雑物を除去した後、4℃、100,000Gの条件で70分間超遠心を行うことにより所望のエクソソームを回収することができる。また、非特許文献8には、PEGなどの共沈剤を利用して、細胞培養上清や体液中にエクソソームを沈殿させることにより回収する方法も記載されている(非特許文献8)。

また、特許文献1には、エクソソームと特異的に結合する抗体を利用して当該エクソソームを吸着除去する技術が開示されている。具体的に、特許文献1には、エクソソームの小胞表面に存在するCD9、CD63及びCD81等の膜4回貫通型タンパク質に対して特異的に結合する抗体を利用して、当該エクソソームを吸着除去する方法が記載されている。

特許文献2には、がん細胞が分泌したがん細胞由来のエクソソームを吸着除去するため、当該がん細胞由来のエクソソームを特異的に吸着する抗体を使用する方法が記載されている。

非特許文献9および10には、エクソソームの細胞膜化学的に処理することにより、当該エクソソーム自体を破壊除去する方法が開示されている。具体的には、非特許文献9には、界面活性剤を使用する方法が記載されており、非特許文献10には、フェノールグアニジン、および界面活性剤を使用する方法が記載されている。

概要

本発明に係るエクソソームの破壊方法は、抗菌ペプチドを準備する工程と、前記抗菌ペプチドと、エクソソームとを共存させることにより、前記エクソソームを破壊する工程と、を有するものである。

目的

本発明は、生体に対する安全性が担保されており、かつがん細胞由来のエクソソームを簡便かつ効率的に破壊し、該エクソソームに内包されているバイオマーカーを効率的かつ選択的に抽出することが可能な、エクソソームの破壊除去技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

抗菌ペプチドを準備する工程と、前記抗菌ペプチドと、エクソソームとを共存させることにより、前記エクソソームを破壊する工程と、を有するエクソソームの破壊方法

請求項2

前記エクソソームが、がん細胞由来のエクソソームである請求項1に記載のエクソソームの破壊方法。

請求項3

前記エクソソームが、がん細胞由来のエクソソームと正常細胞由来のエクソソームとの混合物であり、前記エクソソームを破壊する工程において、前記がん細胞由来のエクソソームを選択的に破壊する、請求項1に記載のエクソソームの破壊方法。

請求項4

前記抗菌ペプチドが、下記(1)または(2)の条件を満たすペプチドである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエクソソームの破壊方法。(1)鎖長が10以上50未満であり、NetChargeが0より大きく15未満であり、かつ疎水性残基割合が25%以上65%未満である(ただし、S−S結合を3以上含み、かつ、前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にリジン残基およびバリン残基のいずれか一方を含むものを除く)。(2)鎖長が2以上10未満であり、NetChargeが0以下であり、かつ疎水性残基割合が25%未満であるとともに、下記(2−1)または(2−2)の条件を満たす。(2−1)前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にヒスチジン残基を3以上含み、かつ、トリプトファン残基及びバリン残基を含まない。(2−2)前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にアルギニン残基を1以上含み、フェニルアラニン残基、トリプトファン残基およびバリン残基を含まない。

請求項5

前記抗菌ペプチドが、下記条件を満たすペプチドである、請求項4に記載のエクソソームの破壊方法。(条件)鎖長が20以上40未満であり、NetChargeが1以上10未満であり、かつ疎水性残基割合が25%以上65%未満である(ただし、S−S結合を3以上含み、かつ、前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にリジン残基およびバリン残基のいずれか一方を含むものを除く)。

請求項6

抗菌ペプチドを含んでおり、かつ前記抗菌ペプチドが下記(1)または(2)の条件を満たすペプチドである、がん細胞由来のエクソソームの破壊キット。(1)鎖長が10以上50未満であり、NetChargeが0より大きく15未満であり、かつ疎水性残基割合が25%以上65%未満である(ただし、S−S結合を3以上含み、かつ、前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にリジン残基およびバリン残基のいずれか一方を含むものを除く)。(2)鎖長が2以上10未満であり、NetChargeが0以下であり、かつ疎水性残基割合が25%未満であるとともに、下記(2−1)または(2−2)の条件を満たす。(2−1)前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にヒスチジン残基を3以上含み、かつ、トリプトファン残基及びバリン残基を含まない。(2−2)前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にアルギニン残基を1以上含み、フェニルアラニン残基、トリプトファン残基およびバリン残基を含まない。

請求項7

RNaseInhibitorをさらに含む、請求項6に記載のがん細胞由来のエクソソームの破壊キット。

請求項8

下記(1)または(2)の条件を満たす抗菌ペプチドと、エクソソームとを共存させる工程を含み、前記エクソソームが、がん細胞由来のエクソソームと正常細胞由来のエクソソームとの混合物である、正常細胞由来のエクソソームの分離方法。(1)鎖長が10以上50未満であり、NetChargeが0より大きく15未満であり、かつ疎水性残基割合が25%以上65%未満である(ただし、S−S結合を3以上含み、かつ、前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にリジン残基およびバリン残基のいずれか一方を含むものを除く)。(2)鎖長が2以上10未満であり、NetChargeが0以下であり、かつ疎水性残基割合が25%未満であるとともに、下記(2−1)または(2−2)の条件を満たす。(2−1)前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にヒスチジン残基を3以上含み、かつ、トリプトファン残基及びバリン残基を含まない。(2−2)前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にアルギニン残基を1以上含み、フェニルアラニン残基、トリプトファン残基およびバリン残基を含まない。

請求項9

前記共存させる工程が、前記がん細胞由来のエクソソームを破壊する工程を含み、前記共存させる工程の後、前記がん細胞由来のエクソソームの破壊残渣を吸着除去する工程をさらに含む、請求項8に記載の正常細胞由来のエクソソームの分離方法。

技術分野

0001

本発明は、エクソソームの破壊方法、エクソソームの破壊キットおよび正常細胞由来エクソソームの分離方法に関する。

背景技術

0002

<エクソソームの概要
エクソソームは、細胞から分泌される細胞外顆粒一種である。具体的には、エクソソームは、脂質二重膜からなるベシクル構造を有した細胞から放出される直径30nm〜100nm程度の小胞である。このエクソソームは、当該エクソソームを分泌した細胞(以下、分泌細胞ともいう。)とは異なる他の細胞に取り込まれることにより、分泌細胞と上記他の細胞との間で情報伝達を行うことが知られている(非特許文献1および2)。

0003

<エクソソームの安定性
エクソソームの膜構造は、一般に、細胞の膜構造と比べて安定であることが知られている。例えば、非特許文献3には、−20℃の温度条件下、糖類等の安定化剤を添加することなくエクソソームを4回凍結融解処理した場合においても、該エクソソーム中の内包物が安定的に維持されたことを示す実験結果が記載されている。一方、動物細胞と称される細胞は、一般に、上述した安定化剤を用いない限り、凍結融解処理に耐えきれないことが知られている。このことから、エクソソームは、動物細胞と比べて、安定な膜構造を有しているものと推察される。

0004

また、エクソソームと、細胞とでは、膜構造の形成工程が相違している。くわえて、エクソソームの膜構造と、細胞の膜構造とを対比した場合、両者は、膜の表面積や、膜の表面に存在する表面タンパク質の種類が相違している。こうした事情踏まえても、エクソソームの膜構造は、細胞の膜構造と比べて安定な構造であると考えられる。なお、エクソソームは生細胞ではないため、一般的な細胞に対して適用することが可能なアポトーシスによる細胞死プログラムの対象外である。

0005

<エクソソームと疾患の関係>
近年、エクソソームと各種疾患との間に相関関係があることについて、種々の報告がなされている。特に、がん細胞が放出するエクソソームに着目し、がんという特定の疾患に対して上記エクソソームが及ぼす影響について、様々な研究結果が報告されている。たとえば、がん細胞が放出するエクソソーム中に含まれている血管新生誘導する因子が健常な血管内皮細胞に取り込まれた場合、上記血管新生を誘導する因子によりがん組織周辺の血管新生が誘導され、がん転移や湿潤を進行させる可能性について報告されている(非特許文献4〜6)。

0006

また、近年においては、エクソソームと各種疾患との相関について、エクソソーム内には疾患に関連する情報が含まれていることも明らかになりつつある。例えば、非特許文献3においては、がん患者の血液中に存在するエクソソームには、がんのバイオマーカーとなる物質(PSA,HER2,EGFR等のタンパク質、miR−21,miR−200a等のマイクロRNA、Apbb1ip,ASPN等のメッセンジャーRNA、KRAS等のDNA、また各種代謝産物、等)、が内包されていることが報告されている。

0007

特に、がんのバイオマーカーとなる物質としてエクソソームに内包されているマイクロRNAは、がんの検査指標として有望視されている。生物のマイクロRNAは、既に、miRBase(URL:http://www.mirbase.org/)にデータベース化されている。中でも、ヒトのマイクロRNAは、2015年時点で2588種が公知となっている。また、上述したヒトのマイクロRNAの発現プロファイルは、臓器の種類によって異なることや、正常細胞とがん細胞との間でも異なることが知られている。こうした事情に鑑みて、近年においては、血液中のエクソソームに内包されたマイクロRNAを解析する血液検査によって、がんの部位や進行度診断する技術を開発すべく鋭意検討されている(非特許文献7)。

0008

<エクソソームの分離回収捕集)・除去方法
エクソソームの分離回収(捕集)・除去方法に着目した技術として、たとえば、以下のものがある。
ヒトの体液(血液、唾液、尿、等)や細胞培養液からエクソソームを回収するための方法としては、非特許文献8等に記載されている超遠心法が、2015年時点で最も一般的に使用される手法である。たとえば、細胞培養上清や体液からエクソソームの回収を行う場合、フィルターなどで細胞片などの大きな夾雑物を除去した後、4℃、100,000Gの条件で70分間超遠心を行うことにより所望のエクソソームを回収することができる。また、非特許文献8には、PEGなどの共沈剤を利用して、細胞培養上清や体液中にエクソソームを沈殿させることにより回収する方法も記載されている(非特許文献8)。

0009

また、特許文献1には、エクソソームと特異的に結合する抗体を利用して当該エクソソームを吸着除去する技術が開示されている。具体的に、特許文献1には、エクソソームの小胞表面に存在するCD9、CD63及びCD81等の膜4回貫通型タンパク質に対して特異的に結合する抗体を利用して、当該エクソソームを吸着除去する方法が記載されている。

0010

特許文献2には、がん細胞が分泌したがん細胞由来のエクソソームを吸着除去するため、当該がん細胞由来のエクソソームを特異的に吸着する抗体を使用する方法が記載されている。

0011

非特許文献9および10には、エクソソームの細胞膜化学的に処理することにより、当該エクソソーム自体を破壊除去する方法が開示されている。具体的には、非特許文献9には、界面活性剤を使用する方法が記載されており、非特許文献10には、フェノールグアニジン、および界面活性剤を使用する方法が記載されている。

0012

国際公開第2013/099925号パンフレット
国際公開第2007/103572号パンフレット
特表2009−526862号公報

先行技術

0013

Salido-Guadarrama I,et al., Onco Targets Ther. 2014 Jul 21;7:1327-38.
Valadi H et al., Nat Cell Biol 2007, 9: 654-659
Int. J. Biol. Sci. 2013, 9; 10:1021-31
細胞工学、32巻1号、pp16−22
実験医学29巻1号、p410−414
Ueda, et. al., Proc. Natl, Acad. Sci. USA, 106, 10746-10751, 2009
Genomics Proteomics Bioinformatics 13 (2015) 17-24
エクソソーム解析マスターレッスン土社)
Anal Biochem., 2012 Dec 15;431(2):96-8.
Mol. Immunol., 2012 Apr;50(4):278-86.
Journal of Extracellular Vesicles 2015, 4: 27522
Gynecologic Oncology 2011, 122: 437-446
Biochimica et Biophysica Acta, 1778 (2008), 357-375
Nucleic AcidsSymposium Series, 2000, 44 49-50
Prog Nucleic Acid Res Mol Biol. 2005;80:349-74
Biochemistry, 1979, 18 (23), pp 5143-5149

発明が解決しようとする課題

0014

エクソソームに関する研究現場においては、2015年現在、該エクソソームに内包されているがんのバイオマーカーを効率的に捕捉するとともに、上記バイオマーカーを高感度再現性高く定量的に検出することが可能なシステムの開発が求められている。また、かかるシステムを実現するためには、がん細胞由来のエクソソームを簡便な操作で効率的に破壊する技術や、正常細胞由来のエクソソームを破壊することなく、がん細胞由来のエクソソームを選択的に破壊する技術や、エクソソームに内包されているバイオマーカーを定量的に抽出(分離)する技術などを確立する必要があるとされている。また、上述したシステムを実現することができれば、将来的に、かかるシステムをがんの早期発見及び治療にも応用することが可能と考えられている。
しかしながら、上記背景技術の項で述べた各種従来技術は、いずれも、上述したシステムを実現するために必要な要求水準を満たすものではなかった。具体的には、本発明者らは、上記背景技術の項で述べた各種従来技術について、以下のような課題があることを見出した。

0015

まず、エクソソームの細胞膜を化学的に処理する非特許文献9および10に記載された方法は、がん細胞由来のエクソソームと正常細胞由来のエクソソームの双方を破壊する手法である。
また、非特許文献9および10に記載された方法は、将来的に当該方法をがん転移等の疾患治療に応用することを想定した場合、細胞膜の処理に利用する有機化合物生体内において非特異的に作用してしまう蓋然性が高い。特に、フェノールという物質は、他の化合物と比べて強力なタンパク質変性作用を有しているため、非特許文献10に記載の方法をがん転移等の疾患治療に応用する場合には、フェノールが生体内に存在するエクソソームとは異なる成分に対して及ぼす影響を排除する必要があると考えられる。このことから、非特許文献9および10に記載された方法を将来的にがん転移等の疾患治療に応用することは、実質的に不可能であるものと考えられる。こうした事情に鑑みて、近年においては、生体内において非特異的な作用を発現しにくい生体安全性を有した物質を用いるエクソソームの破壊除去方法の構築が求められている傾向にある。

0016

また、エクソソームに内包されているバイオマーカーを抽出する方法としては、抗体免疫法により捕集したがん細胞由来のエクソソームからマイクロRNA等のバイオマーカーを抽出する手法が公知となっている。たとえば、非特許文献11には、エクソソームを抗体免疫法により捕集した後、該エクソソームからマイクロRNA等のバイオマーカーを抽出する手法が記載されている。しかし、上述した手法は、がん細胞由来のバイオマーカーを選択的に抽出するという点で改善の余地があるとされている。具体的には、上述したバイオマーカーを抽出する手法において、エクソソームを捕集する際に用いる抗体として、がん細胞由来のエクソソームに存在する特徴的なタンパク質を抗原として認識するものを用いる場合においても、かかる特徴的なタンパク質が正常細胞由来のエクソソームにもある程度共通して存在することから、がん細胞由来のエクソソームを正常細胞由来のエクソソームと判別して捕集するという点で、十分な選択性が得られないとされている。また、非特許文献12には、がん細胞由来のエクソソームに存在する特徴的なタンパク質が、生体内のプロテアーゼにより分解されてエクソソーム表面から失われることにより、該エクソソームを捕集することが困難になる場合もあることが報告されている。

0017

また、特許文献1および2に記載された方法も同様に、生体に対して安全性の高い抗体を用いてエクソソームを吸着除去する手法ではあるものの、当該抗体に吸着させることのできるエクソソーム量に限りがあるため、特定量以上のエクソソームを吸着除去することはできないという不都合がある。この不都合は、特に、抗体を高密度充填したカラム等を使用してエクソソームを吸着除去する場合においてより顕在化する傾向にあることが確認されている。その理由としては、エクソソーム粒子が抗体と比べて10倍以上大きいことが挙げられる。抗体を高密度に充填したカラム等を使用してエクソソームを吸着除去する場合、抗体とエクソソームとの結合点は、空間内に密集して存在することになる。その場合、上述したとおりエクソソーム粒子サイズは抗体と比べて10倍以上大きいため、上記空間内は、エクソソーム粒子によって占有されることになる。そのため、抗体を高密度に充填したカラム等を使用してエクソソームを吸着除去する場合には、その空間内にエクソソーム粒子の結合(吸着)に関与しない抗体の結合点が発生し、結果としてエクソソーム粒子の吸着量が低下するという不都合が生じる可能性を有している(エクソソームはカラム粒子に比して表面積が小さく、その分相対的に表面に存在する抗原が少ないことが影響していることも考えられる)。
また、エクソソームの種類によっては、その表面に抗原が存在する状態もまちまちであり、抗体の力価特異性に結果が大きく左右されることも知られている。さらに、抗体を用いてエクソソームを捕集する手法は、その十分に洗浄することが困難であるため、精製度の高いエクソソームを回収するという点においても、改善の余地を有していた。

0018

以上に述べたように、上述したシステムを実現する観点から、生体に対する安全性が担保されていることを前提とした、がん細胞由来のエクソソームを簡便な操作で効率的に破壊する技術や、がん細胞由来のエクソソームを選択的に破壊する技術や、エクソソームに内包されているバイオマーカーを定量的に抽出(分離)する技術は、未だ確立されていないのが実情であった。

0019

そこで、本発明は、生体に対する安全性が担保されており、かつがん細胞由来のエクソソームを簡便かつ効率的に破壊し、該エクソソームに内包されているバイオマーカーを効率的かつ選択的に抽出することが可能な、エクソソームの破壊除去技術を提供する。

課題を解決するための手段

0020

本発明者らは、上記発明が解決しようとする課題の項で述べた従来技術における課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、本発明者らは、特定のポリペプチドを用いることにより、生体に対する安全性が担保されており、かつがん細胞由来のエクソソームを簡便かつ効率的に破壊し、該エクソソームに内包されているバイオマーカーを効率的かつ選択的に抽出することが可能な手法を構築できることを見出し、本発明を完成させた。

0021

本発明によれば、抗菌ペプチドを準備する工程と、
前記抗菌ペプチドと、エクソソームとを共存させることにより、前記エクソソームを破壊する工程と、
を有するエクソソームの破壊方法が提供される。

0022

さらに、本発明によれば、抗菌ペプチドを含んでおり、かつ前記抗菌ペプチドが下記(1)または(2)の条件を満たすペプチドである、がん細胞由来のエクソソームの破壊キットが提供される。
(1)鎖長が10以上50未満であり、Net Chargeが0より大きく15未満であり、かつ疎水性残基割合が25%以上65%未満である(ただし、S−S結合を3以上含み、かつ、前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にリジン残基およびバリン残基のいずれか一方を含むものを除く)。
(2)鎖長が2以上10未満であり、Net Chargeが0以下であり、かつ疎水性残基割合が25%未満であるとともに、下記(2−1)または(2−2)の条件を満たすものである。
(2−1)前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にヒスチジン残基を3以上含み、かつ、トリプトファン残基及びバリン残基を含まない。
(2−2)前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にアルギニン残基を1以上含み、フェニルアラニン残基、トリプトファン残基およびバリン残基を含まない。

0023

さらに、本発明によれば、下記(1)または(2)の条件を満たす抗菌ペプチドと、エクソソームとを共存させる工程を含み、
前記エクソソームが、がん細胞由来のエクソソームと正常細胞由来のエクソソームとの混合物である、正常細胞由来のエクソソームの分離方法が提供される。
(1)鎖長が10以上50未満であり、Net Chargeが0より大きく15未満であり、かつ疎水性残基割合が25%以上65%未満である(ただし、S−S結合を3以上含み、かつ、前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にリジン残基およびバリン残基のいずれか一方を含むものを除く)。
(2)鎖長が2以上10未満であり、Net Chargeが0以下であり、かつ疎水性残基割合が25%未満であるとともに、下記(2−1)または(2−2)の条件を満たすものである。
(2−1)前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にヒスチジン残基を3以上含み、かつ、トリプトファン残基及びバリン残基を含まない。
(2−2)前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にアルギニン残基を1以上含み、フェニルアラニン残基、トリプトファン残基およびバリン残基を含まない。

発明の効果

0024

本発明によれば、生体に対する安全性が担保されており、かつがん細胞由来のエクソソームを簡便かつ効率的に破壊し、該エクソソームに内包されているバイオマーカーを効率的かつ選択的に抽出することが可能な、エクソソームの破壊除去技術を提供することができる。特に、本発明に係るエクソソームの破壊方法によれば、化学的な処理を行う公知の手法よりも安全かつ選択的に、抗体を用いる公知の手法よりも、簡便、効率的、かつ、選択的にがん細胞由来エクソソームを破壊することが可能である。
また、本発明によれば、正常細胞由来のエクソソームと、がん細胞由来のエクソソームとが混在する体液試料から、がん細胞由来のエクソソームを選択的に破壊することも可能である。本発明に係る技術は、がん治療の分野において、将来的に、がん疾患に関わる新規バイオマーカーの選別、既存がんマーカーの効率的検出による検査・診断、さらには、透析技術にも応用することが有用であるものと考えられる。

0025

(抗菌ペプチド)
まず、「抗菌ペプチド」とは、一般に、グラム陰性菌グラム陽性菌真菌、一部のウイルス等に対して、静菌作用もしくは殺菌作用を示すポリペプチドを意味する。一方、本実施形態に係るエクソソームの破壊方法(以下、本破壊方法ともいう。)における抗菌ペプチドは、エクソソームの破壊活性を有するものを指す。中でも、本破壊方法に使用可能な抗菌ペプチドとしては、がん細胞由来のエクソソームを選択的に破壊できるものが好ましい。

0026

抗菌ペプチドという特殊な機能を有するペプチドは、これまでに数多くの種類が報告されている。しかし、公知となっている抗菌ペプチドが、エクソソームを破壊して除去できる作用を有することについては、これまでに報告されていなかった。また、公知となっている抗菌ペプチドの中には、がん細胞を破壊する作用を示す「抗がんペプチド」と称されるものもある(非特許文献13)。このような抗がんペプチドの中には、正常細胞への影響が少なく、溶血性が低いものも存在する。しかし、上記抗がんペプチドが、がん細胞由来のエクソソームを選択的に破壊する作用を有するか否かという点については、未だ解明されていない。

0027

また、本発明者らによる事前検討結果においては、上述した抗がんペプチドの中には、そもそも、がん細胞由来のエクソソームの破壊能が無い又は低いものが多数散見されることが確認されている。具体的には、本発明者らは、以下の知見を得た、
第1に、ペプチドのNet chargeが0未満であり、かつがん細胞の破壊能を有することが公知となっている抗がんペプチドであったとしても、がん細胞由来のエクソソームの破壊能が無い又は低い場合がある。
第2に、抗がん作用を示すことが公知となっているPR−39などの抗がんペプチドであったとしても、がん細胞由来のエクソソームの破壊能が無い又は低い場合がある。
第3に、がん細胞の細胞膜分解性を有することが公知となっているHepcidin TH2−3やA6K等の抗がんペプチドであったとしても、がん細胞由来のエクソソームの破壊能が無い又は低い場合がある。
このような事情を踏まえ、本発明者らは、抗菌ペプチドのがん細胞に対する作用機序と、がん細胞由来のエクソソームに対する作用機序との間には、相関性類似性はなく、両者の作用機序は互いに相違しているものと推察した。

0028

また、抗菌ペプチドは、正電荷を有する。しかし、正電荷を有する物質は、一般に、核酸等の負電荷を有する化合物と結合して、不溶性物質を形成し沈殿することが知られている(非特許文献14)。

0029

このことから、抗菌ペプチドを用いて、エクソソームからマイクロRNA等の核酸成分を抽出することは容易ではないと予想される。しかし、発明者らが鋭意検討した結果、抗菌ペプチドを利用してエクソソームからマイクロRNA等の核酸成分を抽出する手法が完成した。

0030

まず、本実施形態に係る抗菌ペプチドの具体例としては、マガイニン2(Magainin2)等のマガイニン、Defensin HNP−1等のディフェンシンラクトフェリシンナイシン、Cecropin B等のセクロピン(Cecropin)、アンドロピン、モリシンセラトキシンメリチン(Melittin)、デルマセプチンボンビニン、ブレビニン、エスクレチン、Buforin IIb等のブフォリン(Buforin)、MG2B、Caerin1.1等のカエリン、LL37、mCRAMP、PR−39、CAP−11、CAP−18、RL−37、CRAMP−1/2、rCRAMP、Prophenin、 PMAP−23、PMAP−36、PMAP−37、BMAP−27、BMAP−28、BMAP−34、Bac5、Bac7およびcathelicidin−AL等のカテリジン、アバエシン、アピダエシン、インドリシジン、ブレビニン、プロテグリン、タキプレシン、ドロソマイシン、マクシミン(Maximin)、Dermaseptin、Maculatin、TsAP−2、NRC−03、Ascaphin−8、Polybia−MPI、NK−2、Epinecidin−1、Pardaxin4、NRC−07、K6L9、Pep27、9R、MG2A、Histatin−5、Macropin、Tuftsin、各種HHPHG、A3K、A6K、A9K、Hepcidin TH2−3、Alloferon1、Sesquin、Gageostatin C、PNC−28、EP3,BEPT II−1、PTP7、(Gln53)−Connexin 37、C−Reactive Protein(CRP)、Dermcidin−1L等のダームシジン、Hepcidin−20、オーレインガエグリン、シトロピンプロタミン等が挙げられる。中でも、マガイニン2、LL−37、プロタミンおよびナイシン、MG2B、mCRAMP、Caerin 1.1、Maximin 1、Maximin 4、Dermaseptin、Maculatin 3.1、TsAP−2、NRC−03、Ascaphin−8、Polybia−MPI、NK−2、Epinecidin−1、Short α−helical peptides (2) (GIIKKIIKKIIKKIIKKI) 、Pardaxin 4、NRC−07、K6L9、Magainin I、Buforin IIb、Pep27、9R、MG2A、Short α−helical peptides (1)(GIIKKIIKKI) 、Defensin HNP−1、Cecropin B、Histatin−5、Macropin 1、Tuftsin、HHPHG、(HHPHG)2、(HHPHG)3、(HHPHG)4からなる群より選択される1以上のペプチドを含むことが好ましく、カエル由来のマガイニン2、Melittin、MG2B、mCRAMP、Caerin 1.1および/またはヒト由来のLL−37が好ましい。

0031

また、抗菌ペプチドの配列は、以下に示す各種データベース上に記載されている。
URL:http://aps.unmc.edu/AP/main.php
URL:http://defensins.bii.a-star.edu.sg/
URL:http://crdd.osdd.net/raghava/cancerppd/
URL:http://peptaibol.cryst.bbk.ac.uk/home.shtml
URL:http://www.cybase.org.au/
URL:http://bactibase.pfba-lab-tun.org/main.php
URL:http://phytamp.pfba-lab-tun.org/main.php
URL:http://www.camp.bicnirrh.res.in/
URL:http://yadamp.unisa.it/
URL:http://split4.pmfst.hr/dadp/
URL:http://db-mml.sjtu.edu.cn/THIOBASE/
URL:http://biotechlab.fudan.edu.cn/database/EnzyBase/home.php
URL:http://biotechlab.fudan.edu.cn/database/lamp/
URL:http://milkampdb.org/home.php
URL:http://dbaasp.org/home.xhtml
URL:http://www.baamps.it/

0032

また、本実施形態に係る抗菌ペプチドは、該抗菌ペプチドを含む生物から抽出したものであってもよいし、遺伝子組み換え技術により人工的に菌体内で合成したものであってもよく、固相合成法等の有機合成技術を用いて人工的に全合成したものであってもよい。また、エクソソームの破壊活性を損なわない範囲であれば、抗菌ペプチドを構成するアミノ酸残基の一部が他のアミノ酸残基に置換されていてもよいし、抗菌ペプチドを構成するアミノ酸残基の一部が欠失していてもよく、抗菌ペプチドを構成するアミノ酸残基に他のアミノ酸残基が挿入されたものであってよい。また、本実施形態に係る抗菌ペプチドは、2以上のペプチドがスペーサーを介して連結されたものであってもよい。また、本実施形態に係る抗菌ペプチドは、C末端修飾(アミノ化等)、N末端修飾(アセチル化等)、側鎖修飾、環状化、糖鎖修飾等の翻訳後修飾を受けたものであってもよい。それ故、本実施形態に係る抗菌ペプチドを構成するアミノ酸は、生体を構成する20種の必須アミノ酸に限らず、後述する特殊アミノ酸であってもよい。

0033

N末端修飾方法(側鎖NH2基修飾、側鎖SH基修飾)としては、Acetylation、5−FAM、BSA、Hexanoic acid、PEN 、5−FAM−Ahx、CBZ、HYNIC、Stearic acid、Abz、Dansyl、KLH、Succinylation、Dansyl−Ahx、Lauric acid、TMR、Acryl Decanoic acid、Lipoic acid、Alloc、DTPA、Maleimide、Benzoyl、各種Fatty Acid、MCA、Biotin、FITC、Myristoyl、Biotin−Ahx、FITC−Ahx、Octanoic acid、BOC、Fmoc、OVA、Br−Ac−、Formylation、Palmitoyl、Dabsyl,、DHA、Nicotine、ATTO488/550/633/647N/655、Rhodamine Green、rhodamine B、TAMRA、Texas Red、フルオレセイン等が挙げられる。

0034

C末端(側鎖カルボキシル基)の修飾方法としては、Amidation、AFC、AMC、MAPS Asymmetric 2 branches、MAPS Asymmetric 4 branches、MAPS Asymmetric 8 branches、BSA、KLH、Bzl、NHEt、Cysteamide、NHisopen、NHMe、OSU、Ester (OEt)、Ester (OMe)、Ester (OtBu)、Ester (OTBzl)、 OVA、p−Nitroanilide、tBu等が挙げられる、

0035

上述した特殊アミノ酸としては、6−Aminocaproic acid、Aminobutyric acid、Citrulline、Cysteine(Acm protected)、各種D−Amino acid、Dimethy−Lysine、Hydroxy−Proline、Methyl−Lysine、Norleucine、Ornithine、Pyroglutamic acid、Trimethyl−Lysine、β−Alanine、ε−Acetyl−Lysine、3−Nitro−Tyrosine、Phosphorylated Tyrosine、Gamma−GLU、Cysteine (tBu)、Penicillamine、Penicillamine、N−methylated Leucine、Homocysteine、N−methylated Valine、Homoserine、Isoleucine、Biotin Lysine、Cysteine (Acm)、N−methylated ALA、N−methylated Isoleucine、(L) 2−PAL、 (L) 4−CL−PHE、 (L) 1−NAL、N−methylated Phenylalanine、N−methylated Threonine、N−methylated Serine、N−methylated Tyrosine、Alpha Amino−Butyric Acid、Beta−ASP、(L)−4−Pal、Lys(5−FAM)、 Methionine sulfone、NMe−Asp、Aib、Abu、Mpa、Hydroxy Proline、Acetylated amino acid、Mini−PEG1、Methionine sulfoxide、NH2−(PEG)11−CH2COOH、Cyclopentylglycine、Selenocysteine、Azido−Lysine、NH2−(PEG)2−CH2COOH、NH2−(PEG)6−CH2CH2COOH、NH2−(PEG)12−CH2CH2COOH、Propargylglycine、1,2,3,4−Tetrahydroisoquinoline−3−carboxylic acid、Lys(TMR)、Lys(ivdde)、NMe−Nle、NMe−Glu、NMe−Nva、Phg、Ser(octanoic−acid)、Dab(Dnp)、Selenomethionine、Carboxyamidomethy、Beta−HomoLeucinelated、Cysteine、Methylated Arginine、Arg(Me)2 asymmetrical、Arg(Me)2 symmetrical、Lys(Dde)等が挙げられる。

0036

また、本実施形態に係る抗菌ペプチドが環状化されたものである場合、ペプチド間の連結は、システイン同士のS−S結合、C末端(もしくは側鎖のカルボキシル基)とN末端(もしくは側鎖NH2基、側鎖SH基)の連結による環状化などにより行うことができる。また、本実施形態に係る抗菌ペプチドは、上述したようにスペーサーを介して連結されていてもよい。

0037

本実施形態に係る抗菌ペプチドは、該ペプチドを構成する全アミノ酸鎖長(以下、鎖長とも示す)、Net chargeや、アミノ酸配列中の疎水性残基の割合(以下、疎水性残基割合とも示す)等が制御されたものであることが好ましい。ここで、鎖長とは、抗菌ペプチドを構成するアミノ酸等のモノマー数を表す。Net chargeとは、ペプチドが有する正味電荷を表す。なお、Net chargeの算出手法としては、種々の方法が知られているが、本実施形態におけるNet chargeは、基本的に、中性(pH7.4)におけるNet chargeの値を示す。また、実施例にて後述する抗菌ペプチドのNet chargeは、データベース(URL:http://aps.unmc.edu/AP/main.php)に記載されている値、または同データベース中で算出した値を採用したものである。

0038

本実施形態に係る抗菌ペプチドの鎖長の下限値は、好ましくは、10以上であり、さらに好ましくは、20以上である。一方、鎖長の上限値は、好ましくは、50未満であり、より好ましくは、40未満である。

0039

本実施形態に係る抗菌ペプチドのNet chargeの下限値は、好ましくは、0より大きい値であり、さらに好ましくは、10未満の値である。一方、Net chargeの上限値は、好ましくは、15未満の値であり、さらに好ましくは、10未満の値である。

0040

本実施形態に係る抗菌ペプチドを構成するアミノ酸配列中の疎水性残基割合の下限値は、好ましくは、0%以上であり、さらに好ましくは、25%以上である。一方、疎水性残基割合の上限値は、好ましくは、80%以下であり、さらに好ましくは、65%未満である。

0041

ここで、本実施形態に係る抗菌ペプチドについて、その鎖長、Net chargeやアミノ酸配列中の疎水性残基割合等がそれぞれ上記数値範囲内であったとして、特定のアミノ酸残基を所定数以上含む場合、がん細胞由来エクソソームの破壊能が低下することもある。たとえば、システイン残基を6以上含有し、かつ、リジン残基又はバリン残基のいずれかが含まれる場合、がん細胞由来エクソソームの破壊能が低下する。その他にも、アラニン残基を6以上含みロイシン残基を含まないもの、フェニルアラニン残基及びトリプトファン残基を含まずアルギニン残基を1以上含むものであって、バリン残基、ロイシン残基のいずれかを含むもの等についても、がん細胞由来エクソソームの破壊能が低下する可能性がある。それ故、本実施形態に係る抗菌ペプチド中に存在するS−S結合の数は、3未満であることが好ましい。

0042

したがって、本実施形態に係る抗菌ペプチドは、下記(1)または(2)の条件を満たすペプチドであることが好ましい。
(1)鎖長が10以上50未満であり、Net Chargeが0より大きく15未満であり、かつ疎水性残基割合が25%以上65%未満である(ただし、S−S結合を3以上含み、かつ、抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にリジン残基およびバリン残基のいずれか一方を含むものを除く)。
(2)鎖長が2以上10未満であり、Net Chargeが0以下であり、かつ疎水性残基割合が25%未満であるとともに、下記(2−1)または(2−2)の条件を満たすものである。
(2−1)抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にヒスチジン残基を3以上含み、かつ、トリプトファン残基及びバリン残基を含まない。
(2−2記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にアルギニン残基を1以上含み、フェニルアラニン残基、トリプトファン残基およびバリン残基を含まない。

0043

また、本実施形態に係る抗菌ペプチドは、下記条件を満たすペプチドであるとさらに好ましい。
(条件)鎖長が20以上40未満であり、Net Chargeが1以上10未満であり、かつ疎水性残基割合が25%以上65%未満である(ただし、S−S結合を3以上含み、かつ、前記抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にリジン残基およびバリン残基のいずれか一方を含むものを除く)。

0044

また、本実施形態に係る抗菌ペプチドをその立体構造という観点に基づいて分類する場合、その分類の具体例としては、マガイニン2、BMAP−27、BMAP−28、セクロピン、LL37、CAP−11、CAP−18、オーレイン、ガエグリン、シトロピンおよびメリチン等のαへリックス型抗菌ペプチド、ディフェンシン、ラクトフェリシンおよびタキプレシン等のβシート型抗菌ペプチド、αへリックス型抗菌ペプチド、上記βシート型抗菌ペプチドの連結ペプチド等の複合型抗菌ペプチド、特定のアミノ酸残基が多いペプチド(Histatin−5)等が挙げられる。中でも、αへリックス型抗菌ペプチドに分類されるペプチドは、実施例にて後述するように、がん細胞由来エクソソームの破壊能が高い傾向にあることが確認された。

0045

また、本実施形態に係る抗菌ペプチドは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。

0046

(エクソソーム)
本実施形態に係るエクソソームは、生物の細胞が放出する細胞外顆粒の一種であり、後期エンドソーム区画由来の直径30nm以上100nm以下程度の小型脂質小胞を指す。
また、エクソソームを含む生体材料としては、血液(成分分離したものを含む)、骨髄液リンパ液、尿、便、唾液等の体液、細胞破砕物などが挙げられる。本実施形態においては、生体材料に応じて、常法に従って前処理を行い抽出したエクソソームであれば使用可能である。
本実施形態に係るエクソソームは、いかなる動物種由来のエクソソームであってもよい。エクソソームの具体例として、ヒト、マウスラットサルイヌネコウシウマおよびトリ等の温血動物由来のエクソソームが挙げられる。

0047

また、本実施形態に係るエクソソームは、如何なる細胞腫由来のエクソソームであってもよい。エクソソームの由来する細胞腫の具体例としては、腫瘍細胞樹状細胞網状赤血球、T細胞、B細胞血小板上皮細胞等が挙げられる。
中でも、本実施形態に係るエクソソームはがん細胞の転移に関与する腫瘍細胞に由来するエクソソーム、すなわち、がん細胞から分泌されたがん細胞由来のエクソソームを含むことが好ましい。言い換えれば、本実施形態に係るエクソソームは、がん細胞から分泌されたがん細胞由来のエクソソームのみを含むものであってもよいし、上記がん細胞由来のエクソソームと正常細胞由来のエクソソームとの混合物であってもよいが、がん細胞由来のエクソソームを含むものであることが好ましい。また、本実施形態に係るエクソソームが、上記がん細胞由来のエクソソームと正常細胞由来のエクソソームとの混合物である場合、実施例にて後述するように、がん細胞由来のエクソソームを選択的に破壊できる。
そして、本実施形態に係るがん細胞由来のエクソソームを分泌するがん細胞の具体例としては、乳がん細胞食道がん細胞、胃がん細胞虫垂がん細胞、大腸がん細胞子宮体がん細胞、子宮頚がん細胞、卵巣がん細胞、脳腫瘍細胞肝がん細胞胆嚢がん細胞、胆管がん細胞、膵臓がん細胞副腎がん細胞、消化管間質腫瘍中皮腫喉頭がん細胞、口腔がん細胞(口腔底がん、歯肉がん、舌がん頬粘膜がん、唾液腺がん)、副鼻腔がん細胞(上顎洞がん、前頭洞がん、篩骨洞がん、型骨洞がん)、甲状腺がん細胞腎臓がん細胞、肺がん細胞骨肉腫前立腺がん細胞精巣腫瘍腎細胞がん細胞、膀胱がん細胞横紋筋肉腫皮膚がん細胞、肛門がん細胞、白血病リンパ腫ホジキン病多発性骨髄腫等が挙げられる。

0048

<エクソソーム抽出方法
次に、エクソソームの各種抽出方法について説明する。

0049

(超遠心法)
まず、超遠心分離機を用いてエクソソーム画分を抽出する方法について説明する。
細胞から直接エクソソーム画分を抽出する場合、たとえば、細胞培養液の上清を後述する方法で超遠心処理する以下の方法を用いれば、所望のエクソソーム画分を抽出することができる。ただし、遠心分離等の各種処理条件は、後述する条件に限定されるものではない。
まず、エクソソームを分泌する対象細胞培養液の上清を、室温、2,000Gというエクソソーム画分が沈殿しない条件で15分間の遠心分離を行った後、不溶性分を分離する。次に、得られた上清画分を、110,000Gで70分間遠心することによりエクソソームを沈殿させる。その後、上清画分を除去することで、所望のエクソソーム画分を回収することができる。

0050

ゲルろ過法
次に、ゲルろ過することによりエクソソーム画分を抽出する方法について説明する。
細胞培養液の上清からエクソソーム画分を抽出する場合、たとえば、ゲルろ過法を用いて処理する以下の方法で所望のエクソソーム画分を抽出することができる。ただし、遠心分離等の各種処理条件は、後述する条件に限定されるものではない。
まず、エクソソームを分泌する対象細胞培養液の上清を、室温、2,000Gというエクソソーム画分が沈殿しない条件で15分間の遠心分離を行うことにより、不溶性分を分離する。この不溶性分を除去した後、室温、12,000Gという1回目の遠心分離よりも速い速度であり、かつ、エクソソーム画分が沈殿しない条件で35分間の遠心分離を行うことにより上清画分と不純物分とを分離する。次いで、得られた上清画分を、ゲルろ過カラムに供して得られた溶出液について、260nmの吸光度を測定し、吸光度の高いフラクションを所望のエクソソーム画分として回収する。なお、ゲルろ過カラムは、担体購入し自ら作製したものであってもよいし、Sephacryl S−400 HR(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)等の市販品であってもよい。

0051

検体からの抽出)
次に、血液などの検体試料からエクソソーム画分を抽出する方法について説明する。
血液などの検体試料からエクソソーム画分を得る場合には、公知の方法に従い血漿成分又は血清を分離し、以降は細胞培養液上清からエクソソーム画分を抽出する場合に準じた方法にて抽出することができる。検体試料が尿、唾液、髄液からエクソソーム画分を抽出する場合には、公知の方法に従い夾雑物を取り除いた後、以降は細胞培養液上清の場合に準じた方法にて抽出することができる。

0052

(抗体免疫法)
次に、抗体を用いてエクソソーム画分を抽出する方法について説明する。
上記超遠心法の代替技術として、抗体免疫法が知られている。使用できる抗体は、血液中においてエクソソームの表層にのみ存在する物質を抗原として認識できるものであれば、特に制限はない。上記抗原の具体例としては、CD9、CD63、CD81等のテトラスパニンと呼ばれる膜4回貫通型タンパク質ファミリーに属するタンパク質や、Epithelial cell adhesion molecule(EpCAM)、human epidermal growth factor receptor type2(HER2)等のがん細胞由来のエクソソームに対して特異的なタンパクが挙げられる。その他、CD3、CD4、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD41、CD51、CD61、CD62e、CD66b、CD105、CD144、CD235a、Annexin V、Glycoprotein A、Valpha24/Vbeta11、などが挙げられる。これら抗体は、担体に担持された状態で使用されることが一般的である。

0053

<エクソソームの破壊方法>
本実施形態に係るエクソソームの破壊方法は、抗菌ペプチドを準備する工程と、抗菌ペプチドと、エクソソームとを共存させることにより、エクソソームを破壊する工程と、を有する。かかる方法によれば、従来の方法と比べて、試料中におけるエクソソームを効率よく除去することが可能である。また、本方法は、生体外で実施されるものであり、かつ試料中におけるエクソソーム以外の成分に対して温和な条件にて、エクソソームの破壊を実施することができる技術である。かかる方法においては、抗菌ペプチドと、エクソソームとを共存させた後、所定の温度・時間でインキュベートすることが好ましい。また、本方法によれば、エクソソームの破壊処理について、その作業手順を簡便化することができる。

0054

本実施形態に係るエクソソームの破壊方法において、抗菌ペプチドとエクソソームとを混合して共存させて調製するインキュベート溶液におけるエクソソーム量と抗菌ペプチド量との含有量は、1×108particles/mLのエクソソームに対して、100μM以下の抗菌ペプチドを含むことが好ましく、10μM以下の抗菌ペプチドを含むものであるとより好ましく、1μM以下の抗菌ペプチドを含むものであるとさらに好ましい。その場合、生理食塩水又はPBS等のバッファーを用いて濃度調整することができる。

0055

本実施形態に係るエクソソームの破壊方法における抗菌ペプチドとエクソソームとのインキュベート温度は、抗菌ペプチドの種類により破壊活性が最大となる最適値が異なるが、インキュベート温度の下限値は、好ましくは、0℃以上であり、さらに好ましくは、20℃以上である。一方、インキュベート温度の上限値は、好ましくは、70℃以下であり、さらに好ましくは、40℃以下である。

0056

本実施形態に係るエクソソームの破壊方法における抗菌ペプチドとエクソソームとのインキュベート時間の下限値は、好ましくは、1秒以上であり、さらに好ましくは、10分以上である。一方、インキュベート時間の上限値は、好ましくは、72時間以下であり、さらに好ましくは、48時間以下である。

0057

また、本実施形態に係るエクソソームの破壊方法において、抗菌ペプチドとエクソソームとを混合して共存させて調製するインキュベート溶液中には、生理食塩水やPBS等のバッファー以外の添加剤成分を含有させてもよい。このような添加剤の具体例としては、バイオマーカーを安定化させるRNaseInhibitor等の試薬や、ペプチドを安定化させるprotease inhibitorおよびBSA等の試薬が挙げられる。中でも、エクソソームに含まれるリボ核酸系バイオマーカーを抽出する場合には、RNase Inhibitorを添加剤として含有させることが好ましい。

0058

上述したRNaseInhibitorとしては、哺乳類由来ヒト胎盤由来マウス由来ブタ由来、等)のRNase inhibitorが主に利用される(非特許文献15)。上記RNase Inhibitorは、約50kDaのタンパク質であり、リボヌクレアーゼA、B、およびCに非共有結合することで不活性化する。また、上記RNase Inhibitorは、RNase T1、T2、H、U1、U2、CL3へは作用しないことが知られている。
また、オキソバナジウム(IV)とリボヌクレオシド錯体による安定化剤が利用されることもある(非特許文献16)。

0059

上述した各種添加剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0060

本実施形態に係るエクソソームの破壊方法において、抗菌ペプチドとエクソソームとを混合して共存させて調製するインキュベート溶液中に添加する添加剤の量は、エクソソームの破壊活性、目的とするバイオマーカー又は生体安全性に対して悪影響を及ぼさない範囲で、当該技術分野における一般的な量を任意に選択できる。たとえば、RNaseInhibitorであれば、0.01U〜20U/μL、好ましくは0.1U〜1U/mLである。

0061

(担体接触法
本実施形態に係る抗菌ペプチドは、担体に固定化されたものであってもよい。抗菌ペプチドという殺菌作用を有する特定のペプチドは、当該ペプチドを担体などに固定して使用したとしても、その機能を保持することができるものであることが公知となっている(特許文献3など)。

0062

本実施形態に係るエクソソームの破壊方法に使用できる担体は、抗菌ペプチドまたは上述した抗体を化学的もしくは物理的に結合できるものであれば、公知のものであってもよい。上記担体の具体例としては、ポリアミドポリエチレングリコールセファロースポリビニルアルコールセルロースシリカシリコンチタンおよび鉄等が挙げられる。中でも、セファロースおよびセルロースであることが好ましく、使用時の安全性という観点から、セファロースであるとさらに好ましい。
また、エクソソームを含む試料がエクソソームを含む血液である場合には、血液透析用の透析膜を抗菌ペプチドを固定化するための担体として使用することもできる。血液透析用の透析膜の具体例としては、セルロース、セルロースアセテートポリスルホンポリエーテルスルホンポリメチルメタクリレートエチレンビニルアルコール共重合体ポリアクリロニトリルポリエステル系ポリマーアロイポリアリルエーテルスルホン等が挙げられる。
また、抗菌ペプチドとは異なるアミノ酸配列からなる抗体に固定化された複合体としてもよく、担体に対して上記複合体を固定化したものであってもよい。ここで使用される抗体は、エクソソームに対して特異的に結合する抗体であることが好ましい。こうすることで、エクソソームと抗体と相互作用させて、上記エクソソームを抗体に対して吸着した状態で、当該エクソソームを抗菌ペプチドにより破壊することができる。
担体に固定化された抗菌ペプチド、または担体に固定化された上記複合体を使用する場合には、当該抗菌ペプチドを有する担体をカラムに充填して使用することも可能である。エクソソームを含む試料は、抗菌ペプチドを有する担体を充填したカラムに通すことにより、効率的にエクソソームを破壊することが可能となる。

0063

本実施形態に係るエクソソームの破壊方法において、抗体または担体に固定化させた抗菌ペプチドを用いる場合には、本発明の目的を損なわない範囲であれば、上記抗菌ペプチドと上記担体との間、上記抗体と上記担体との間、または上記抗菌ペプチドと上記抗体との間に、所定の長さのスペーサー物質を介在させてもよい。具体例としては、ポリエチレングリコール、不飽和炭化水素、ペプチド等が挙げられる。
スペーサー物質は、一般的に、官能基を介して、2の物体を結合させて連結することが可能な成分の総称である。上記官能基の具体例としては、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基等が挙げられる。また、スペーサーと、抗体、担体および抗菌ペプチドとの間の結合様式は、特に限定されない。なお、上記担体とスペーサー物質との組み合わせの例として、HiTrap NHS−activated HP Columns(GEヘルスケア社製)等の市販製品が挙げられる。

0064

担体接触法の場合であっても、カラム抽出に供する溶液に、上述した添加剤を添加してもよい。

0065

以下、本実施形態に係る抗菌ペプチドを使用したエクソソームの破壊方法による効果を説明する。
本実施形態に係る抗菌ペプチドを使用したエクソソームの破壊方法によれば、生体に対する安全性が担保されており、かつがん細胞由来のエクソソームを簡便かつ効率的に破壊することが可能となる。また、本破壊方法によれば、従来の手法と比べて、簡便な操作でがん細胞由来のエクソソームを選択的に破壊することができる。
また、本実施形態に係る抗菌ペプチドを使用したエクソソームの破壊方法は、エクソソームに内包されているバイオマーカーを抽出するために好適に利用することができる。上述した本実施形態に係る破壊方法を利用すれば、正常細胞由来のエクソソームを破壊することを抑制しつつ、がん細胞由来のエクソソームを選択的に破壊することが可能になる。そのため、本実施形態に係る破壊方法は、がん治療の分野において、将来的に、がん疾患に関わる新規バイオマーカーの選別、既存がんマーカーの効率的検出による検査・診断、さらには、透析技術にも応用することが有用であるものと考えられる。

0066

ここで、エクソソームに内包されているバイオマーカーの抽出方法は、抗菌ペプチドによる破壊後の溶液を、公知の方法で抽出することができる。例えば、マイクロRNAの場合は、市販のRNA抽出キットを用いて抽出することができる。マイクロRNAの検出は、例えば、抽出したマイクロRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを得たのちPCR装置、特にリアルタイムPCR装置を用いて測定するなど、一般的な公知の方法を採用することができる。

0067

また、本実施形態に係るエクソソームの破壊方法によれば、試料中におけるエクソソームを、生体に対する安全性を有した物質により破壊除去することが可能となる。この方法を用いた場合には、従来の方法と比べて、試料中におけるエクソソームを効率よく除去することが可能となる。また、本実施形態に係るエクソソームの破壊方法によれば、たとえば、試料中におけるエクソソームとは異なる他の成分が破壊されることを抑制する条件で、試料中におけるエクソソームを効果的に破壊除去することも可能となる。そのため、エクソソームを含む試料として、たとえば、がん患者の生体から採取した血液試料を使用する場合には、当該血液試料中におけるエクソソームとは異なる他の成分が破壊されることを抑制しつつ、がん細胞由来のエクソソームを破壊することができる。こうした事情に鑑みて、本実施形態に係るエクソソームの破壊方法は、今後、がん細胞の転移抑制システムに適用可能な技術であるといえる。
これにより、たとえば、エクソソームを含む試料がエクソソームを含む血液である場合には、上記抗菌ペプチドを有する担体を、エクソソームを破壊するための血液循環装置の一構成として使用することが可能となる。

0068

<がん細胞由来のエクソソームの破壊キット>
本実施形態に係るがん細胞由来のエクソソームの破壊キットは、上述した破壊方法を利用するものであり、抗菌ペプチドを含むものである。そして、かかる破壊キットに含まれる抗菌ペプチドは、がん細胞由来のエクソソームを選択的に破壊できるものであり、下記(1)または(2)の条件を満たすペプチドである。
(1)鎖長が10以上50未満であり、Net Chargeが0より大きく15未満であり、かつ疎水性残基割合が25%以上65%未満である(ただし、S−S結合を3以上含み、かつ、抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にリジン残基およびバリン残基のいずれか一方を含むものを除く)。
(2)鎖長が2以上10未満であり、Net Chargeが0以下であり、かつ疎水性残基割合が25%未満であるとともに、下記(2−1)または(2−2)の条件を満たす。
(2−1)抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にヒスチジン残基を3以上含み、かつ、トリプトファン残基及びバリン残基を含まない。
(2−2)抗菌ペプチドを構成する全アミノ酸中にアルギニン残基を1以上含み、フェニルアラニン残基、トリプトファン残基およびバリン残基を含まない。

0069

また、本実施形態に係るがん細胞由来のエクソソームの破壊キットは、がん細胞由来のエクソソームを効率的に破壊する観点から、上述したRNaseInhibitorをさらに含むものであることが好ましい。

0070

<正常細胞由来のエクソソームの分離方法>
上述した破壊方法は、がん細胞由来のエクソソームを選択的に破壊できる手法であるが故、正常細胞由来のエクソソームを分離するためにも利用することが可能である。具体的には、本実施形態に係る正常細胞由来のエクソソームの分離方法は、抗菌ペプチドと、エクソソームとを共存させる工程を含むものである。ただし、かかる方法において使用するエクソソームは、がん細胞由来のエクソソームと正常細胞由来のエクソソームとの混合物である必要がある。くわえて、本実施形態に係る正常細胞由来のエクソソームの分離方法に用いる抗菌ペプチドは、がん細胞由来のエクソソームを選択的に破壊できるものである必要が有るため、上述した(1)または(2)の条件を満たすペプチドである。

0071

また、本実施形態に係る正常細胞由来のエクソソームの分離方法は、がん細胞由来のエクソソームの破壊残渣を吸着除去する工程をさらに含むことが好ましい。こうすることで、純度の高い正常細胞由来のエクソソームを抽出することができる。

0072

本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、これらに限定されるものではなく、上記以外の様々な構成を採用することを妨げるものではない。
なお、本発明は、以下の態様を含むものである。
1.抗菌ペプチドを準備する工程と、
前記抗菌ペプチドと、エクソソームとを共存させることにより、前記エクソソームを破壊する工程と、
を有するエクソソームの破壊方法。
2.前記破壊する工程の前に、前記エクソソームを含む試料を準備する工程をさらに含む、1.に記載のエクソソームの破壊方法。
3.前記破壊する工程は、生体外で実施される、1.または2.に記載のエクソソームの破壊方法。
4.前記エクソソームが、癌細胞由来のエクソソームである、1.乃至3.のいずれか一つに記載のエクソソームの破壊方法。
5.前記抗菌ペプチドが、10以上50以下のアミノ酸残基からなるポリペプチドである、1.乃至4.のいずれか一つに記載のエクソソームの破壊方法。
6.前記抗菌ペプチドが、マガイニン2、LL−37、プロタミンおよびナイシンからなる群より選択される1以上のペプチドを含む、1.乃至5.のいずれか一つに記載のエクソソームの破壊方法。
7.前記抗菌ペプチドを準備する工程が、担体に固定化されている前記抗菌ペプチドを準備する工程を含む、1.乃至6.のいずれか一つに記載のエクソソームの破壊方法。
8.前記抗菌ペプチドを準備する工程が、抗体に固定化されている前記抗菌ペプチドを準備する工程を含む、1.乃至6.のいずれか一つに記載のエクソソームの破壊方法。
9.前記抗体が、前記エクソソームに対して特異的に結合する抗体である、8.に記載のエクソソームの破壊方法。
10.前記破壊する工程が、
前記抗体と前記エクソソームとを相互作用させて、前記抗体に相互作用させた前記エクソソームを前記抗菌ペプチドで破壊する工程と、
を含む8.または9.に記載のエクソソームの破壊方法。
11.抗菌ペプチドを含有する、エクソソームの破壊キット。
12.前記抗菌ペプチドが、10以上50以下のアミノ酸残基からなるポリペプチドである、11.に記載のエクソソームの破壊キット。
13.前記抗菌ペプチドが、マガイニン2、LL−37、プロタミンおよびナイシンからなる群より選択される1以上のペプチドを含む、11.または12.に記載のエクソソームの破壊キット。
14.前記抗菌ペプチドが担体に固定化されている、11.乃至13.のいずれか一つに記載のエクソソームの破壊キット。
15.前記抗菌ペプチドが抗体に固定化されている、11.乃至13.のいずれか一つに記載のエクソソームの破壊キット。
16.前記抗体が、前記エクソソームに対して特異的に結合する抗体である、15.に記載のエクソソームの破壊キット。
17.抗菌ペプチドと、エクソソームとを共存させることにより、前記エクソソームを破壊する工程を含む、抗菌ペプチドの使用方法
18.前記破壊する工程において、前記エクソソームを破壊する、請求項17に記載の抗菌ペプチドの使用方法。

0073

以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0074

<抗菌ペプチドの準備>
各実施例で用いた抗菌ペプチドの特徴を下記表1に示した。

0075

0076

<エクソソーム試料の準備>

0077

ヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分A)
ヒト乳がん細胞由来の細胞株MM231−luc−D3H2LN(国立がん研究センターからの供試)を、Advanced RPMI1640培地ライフテクノロジーズ社製)に植菌した。次いで、CO2インキュベーターを用いてCO2濃度が5体積%となるように設定した条件下、37℃で48時間培養し、エクソソームを含む培養液を得た。この培養液を、2,000Gで遠心することにより沈殿を除去した後、110,000Gで遠心することによりエクソソームを沈殿させ、エクソソーム画分Aを回収した。回収したエクソソーム画分Aは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に懸濁後、4℃で保管した。なお、保管サンプルは、使用前に軽く、ボルテックスミキサー振とうミキサー)により懸濁してから使用した。
また、溶液中のエクソソームの個数は、ナノ粒子解析装置(NanoSight LM10;NanoSight社製)を用いて、装置添付のプロトコルに従い解析した。

0078

(ヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分B)
ヒト乳がん由来の細胞株MDA−MB−231−luc−D3H2LN(=MM231−luc−D3H2LN、国立がん研究センターからの供試)の細胞懸濁液を、10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地(サーモフィッシャーサイエンテイフィック社製)を入れたディッシュ播種した。次いで、CO2インキュベーターを用いてCO2濃度が5体積%となるように設定した条件下、37℃で上記細胞株を増殖させた後、Advanced RPMI1640培地(サーモフィッシャーサイエンテイフィック社製)に交換した。次いで、48時間培養し、エクソソームを含む培養液を得た。この培養液を2,000Gで10分間遠心することにより沈殿を除去した後、110,000Gで70分間遠心することにより沈殿させ、エクソソーム画分Bを回収した。回収したエクソソーム画分Bはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に懸濁後、4℃で保管した。なお、保管サンプルは、使用前に軽くボルテックスミキサー(振とうミキサー)により懸濁してから使用した。
溶液中のエクソソームの個数は、ナノ粒子解析装置(NanoSight LM10;NanoSight社製)を用いて、装置添付のプロトコルに従い解析した。

0079

(ヒト乳腺上皮細胞由来のエクソソーム画分)
ヒト乳腺上皮由来の細胞株MCF 10A(国立がん研究センターからの供試)の細胞懸濁液を、Mammary Epithelium Cell Basal Medium(ロンザ社製)を入れたディッシュに播種した。次いで、CO2インキュベーターを用いてCO2濃度が5体積%となるように設定した条件下、37℃で上記細胞株を増殖させた後、新鮮な培地に交換した。次いで、48時間培養し、エクソソームを含む培養液を得た。この培養液を2,000Gで10分間遠心することにより沈殿を除去した後、110,000Gで70分間遠心することにより沈殿させ、エクソソーム画分を回収した。回収したエクソソーム画分はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に懸濁後、4℃で保管した。なお、保管サンプルは、使用前に軽くボルテックスミキサー(振とうミキサー)により懸濁してから使用した。
溶液中のエクソソームの個数は、ナノ粒子解析装置(NanoSight LM10;NanoSight社製)を用いて、装置添付のプロトコルに従い解析した。

0080

ヒト前立腺がん細胞由来のエクソソーム画分)
ヒト前立腺がん由来の細胞株PC3ML(国立がん研究センターより供試)の細胞懸濁液を、10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地(サーモフィッシャーサイエンテイフィック社製)を入れたディッシュに播種した。次いで、CO2インキュベーターを用いてCO2濃度が5体積%となるように設定した条件下、37℃で上記細胞株を増殖させた後、Advanced RPMI1640培地(サーモフィッシャーサイエンテイフィック社製)に交換した。その後、48時間培養し、エクソソームを含む培養液を得た。この培養液を2,000Gで10分間遠心することにより沈殿を除去した後、110,000G70分間で遠心することにより沈殿させ、エクソソーム画分を回収した。回収したエクソソーム画分はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に懸濁後、4℃で保管した。なお、保管サンプルは、使用前に軽くボルテックスミキサー(振とうミキサー)により懸濁してから使用した。
溶液中のエクソソームの個数は、ナノ粒子解析装置(NanoSight LM10;NanoSight社製)を用いて、装置添付のプロトコルに従い解析した。

0081

正常ヒト血清由来のエクソソーム画分)
Pooled Human Serum(コスモバイオ社製)を2,000Gで10分間遠心した後、油層と沈殿とを除去した。その後、110,000Gで70分間遠心することにより沈殿させ、エクソソーム画分を回収した。回収したエクソソーム画分はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に懸濁後、4℃で保管した。なお、保管サンプルは、使用前に軽くボルテックスミキサー(振とうミキサーにより懸濁してから使用した。
溶液中のエクソソームの個数は、ナノ粒子解析装置(NanoSight LM10;NanoSight社製)を用いて、装置添付のプロトコルに従い解析した。

0082

<マイクロRNAの定量方法リアルタイムPCR法)>
反応液中のマイクロRNA(miR−21もしくはmiR−16)は、逆転写プライマー(サーモフィッシャーサイエンテイフィック社製、Taqman microRNA Assays,RTプライマー,hsa−mir−21もしくはhsa−mir−16)および逆転写酵素(サーモフィッシャーサイエンテイフィック社製、Taqman microRNA RT kit)を用いて、逆転写PCRを行った。

0083

上述した方法で得られた逆転写PCR溶液を、Taqman Assayプライマー(サーモフィッシャーサイエンテイフィック社製、Taqman microRNA Assays,Taqman Assay プライマー,hsa−mir−21もしくはhsa−mir−16)およびリアルタイムPCR用マスターミックス(サーモフィッシャーサイエンテイフィック社製、TaqMan Universal PCR Master Mix II, w/UNG)を用いて、StepOnePlus リアルタイムPCRシステムにより、マイクロRNAの検量線上のサイクル数の比較により、miR−21もしくはmiR−16を定量した。マイクロRNAの検量線は、合成miR−21(シグマアルドリッチ社製)もしくは合成miR−16(シグマアルドリッチ社製)を利用して作成した。

0084

<マガイニン2を用いたエクソソームの破壊>
(実施例1)
まず、1.36×1011particles/mL相当のヒト乳がん細胞由来の細胞株MM231−luc−D3H2LN株から調製したエクソソーム画分Aのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液、および200μMマガイニン2のPBS溶液を準備した。次いで、10μLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム溶液、50μLのマガイニン2溶液、および40μLのPBSを混合して、1.36×1010particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソームおよび100μMのマガイニン2を含むPBSを100μL調製し、25℃で24時間静置することによりインキュベートした。サンプルは4℃で保管した。

0085

(比較例1)
まず、1.36×1011particles/mL相当のヒト乳がん細胞由来の細胞株MM231−luc−D3H2LN株から調製したエクソソーム画分Aのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液を準備した。それから、10μLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム溶液、および90μLのPBSを混合して、1.36×1010particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソームを含むPBSを100μL調製し、25℃で24時間静置することによりインキュベートした。サンプルは4℃で保管した。

0086

上記インキュベート後の溶液について、軽くボルテックスミキサー(振とうミキサー)を用いて懸濁した後、ナノ粒子解析装置(ナノイト社製、NanoSight LM10)を用いて当該溶液中に含まれるエクソソームの個数を測定した。実施例1の溶液は、抗菌ペプチド(マガイニン2)とエクソソームとを共存させたことにより、当該溶液中のエクソソームの個数が、1.89×109particles/mLまで減少していた。一方、比較例においては1.36×1010particles/mLだった。

0087

<マガイニン2のヒト乳がん細胞由来のエクソソームに対する選択性>
(実施例2)
がんにはかかっていない健常なヒトから採取した末梢血試料(以下、ヒト末梢血試料ともいう。)に対して、ヒト乳がん細胞由来の細胞株MM231−luc−D3H2LN株から調製したエクソソーム画分Aを、実際のがん患者のエクソソーム濃度となるよう添加し、模擬的にがん患者のヒト末梢血試料を作製する。なお、上記ヒト末梢血試料は、例えば、特開2013—198483号公報に記載されている方法と同様、ヘルシンキ宣言に従って、患者にインフォームドコンセントを実施して入手する。抗凝固剤入り採血管を利用して採血する。
次いで、110,000Gで超遠心することによりペレット化したヒト乳癌細胞由来のエクソソームおよびマガイニン2をヒト末梢血試料に懸濁し、上記ヒト乳癌細胞由来のエクソソームおよびマガイニン2の含有量が、それぞれ、1.4×1010particles/mLのヒト乳癌細胞由来のエクソソームおよび100μMのマガイニン2となるようヒト末梢血試料を100μL調製し、25℃で24時間静置することによりインキュベートする。

0088

(比較例2)
110,000Gで超遠心することによりペレット化したヒト乳がん細胞由来のエクソソーム、およびフェノールをヒト末梢血試料に懸濁し、上記ヒト乳がん細胞由来のエクソソームおよびフェノールの含有量が、それぞれ1.4×1010particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソームおよび8%のフェノールとなるようにヒト末梢血試料を100μL調製し、25℃で24時間静置することによりインキュベートする。

0089

(比較例3)
110,000Gで超遠心することによりペレット化したヒト乳がん細胞由来のエクソソームをヒト末梢血試料に懸濁し、上記ヒト乳がん細胞由来のエクソソームの含有量が、1.4×1010particles/mLとなるようにヒト末梢血試料を100μL調製し、25℃で24時間静置することによりインキュベートする。

0090

上記インキュベート後の溶液の一部について、Exo−Flow32 CD9 IP Kit(SBI社製)でエクソソームを精製した後、ナノ粒子解析装置(ナノサイト社製、NanoSight LM10)を用いて当該溶液中に含まれるエクソソームの個数を測定する。実施例2および比較例2は、比較例3と比べてエクソソーム量が減少する。また、上記インキュベート後の溶液の一部について、血清成分のタンパク電気泳動を実施する。実施例2および比較例3においては、比較例2と比べてアルブミン成分(分子量6万〜7万)とグロブリン成分(分子量約16万)の減少は無い。

0091

<ナイシンA、ラクトフェリシンおよびLL−37を用いたエクソソームの破壊>
(実施例3)
まず、1.36×1011particles/mL相当のヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Aのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液、および100μMナイシンAのPBS溶液、を準備した。それから、10μLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム溶液、50μLのナイシンA溶液、および40μLのPBSを混合して、1.36×1010particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム、および50μMのナイシンAを含むPBSとなるように、エクソソーム画分100μLを調製し、25℃で48時間静置することによりインキュベートした。サンプルは4℃で保管した。上記インキュベート後の溶液について、軽く振とうミキサーを用いて懸濁した後、ナノ粒子解析装置(ナノサイト社製、NanoSight LM10)を用いて当該溶液中に含まれるエクソソームの個数を測定した。

0092

(実施例4)
まず、1.36×1011particles/mL相当のヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Aのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液、および100μMラクトフェリシンのPBS溶液、を準備した。それから、10μLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム溶液、50μLのラクトフェリシン溶液、および40μLのPBSを混合して、1.36×1010particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム、および50μMのラクトフェリシンを含むPBSとなるように、エクソソーム画分100μLを調製し、25℃で48時間静置することによりインキュベートした。サンプルは4℃で保管した。上記インキュベート後の溶液について、軽く振とうミキサーを用いて懸濁した後、ナノ粒子解析装置(ナノサイト社製、NanoSight LM10)を用いて当該溶液中に含まれるエクソソームの個数を測定した。

0093

(実施例5)
まず、1.36×1011particles/mL相当のヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Aのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液、および100μMのLL−37のPBS溶液を準備した。それから、10μLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム溶液、50μLのLL−37溶液、および40μLのPBSを混合して、1.36×1010particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム、および50μMのLL−37を含むPBSを100μL調製し、25℃で48時間静置することによりインキュベートした。サンプルは4℃で保管した。上記インキュベート後の溶液について、振とうミキサーを用いて懸濁した後、ナノ粒子解析装置(ナノサイト社製、NanoSight LM10)を用いて当該溶液中に含まれるエクソソームの個数を測定した。

0094

(比較例4)
まず、1.36×1011particles/mL相当のヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Aのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液を準備した。それから、10μLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム溶液、および90μLのPBSを混合して、1.36×1010particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソームを含むPBSを100μL調製し、25℃で48時間静置することによりインキュベートした。サンプルは4℃で保管した。上記インキュベート後の溶液について、振とうミキサーを用いて懸濁した後、ナノ粒子解析装置(ナノサイト社製、NanoSight LM10)を用いて当該溶液中に含まれるエクソソームの個数を測定した。

0095

実施例3の溶液を、比較例4の溶液と対比した結果、実施例3は、抗菌ペプチドとエクソソームとを共存させたことにより、当該溶液中のエクソソームの個数が、4.51×109particles/mLにまで減少していた。同様に、実施例4の溶液は、比較例4の溶液と対比した結果、当該溶液中のエクソソームの個数が、7.47×109particles/mLまで減少していた。実施例5の溶液は、比較例4の溶液と対比した結果、当該溶液中のエクソソームの個数が、1.09×109particles/mLまで減少していた。

0096

<担体への担持によるエクソソームの破壊>
(実施例6)
マガイニン2を500μg/mLの濃度で含有するPBS溶液を準備する。次いで、100mgのEpoxy−activated Sepharose 6B担体(GEヘルスケア社製)に、100μLの上記マガイニン2溶液を接触させ、室温で24時間反応させる。担体をPBSで3回洗浄後、100μLの1Mエタノールアミン(pH8.0)を添加し、40℃で4時間反応させる。その後、担体をPBSで3回洗浄し、マガイニン2担持Epoxy−activated Sepharose 6Bとする。 次に、9.92×1010particles/mL相当のヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Aのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液を準備する。10μLのヒト乳がん細胞由来のエクソソームおよび90μLのPBSを混合して、9.92×109particles/mLヒト乳がん細胞由来のエクソソームを含むPBSを100μL調製する。次いで、このエクソソーム画分を、上記マガイニン2担持Epoxy−activated Sepharose 6B担体に接触させ、その後、25℃で24時間静置することによりインキュベートする。得られる溶出液においてエクソソームの個数が5.68×109 particles/mLへと減少する。

0097

(実施例7)
まず、1×1011particles/mLヒト乳がん細胞由来エクソソーム画分Aのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液を準備する。それから、10μLのヒト乳がん細胞由来のエクソソームおよび90μLのPBSを混合して、1×1010 particles/mLヒト乳がん細胞由来のエクソソームを含むPBSを100μL調製する。次いで、エクソソーム画分100μLを、マガイニン2および抗ヒトCD9抗体(フナコシ社製、PRO−485)を担持したEpoxy−activated Sepharose 6B担体に接触させ、その後、25℃で24時間インキュベートする。得られる溶出液においてエクソソームの個数が減少する。

0098

(実施例8)
1×1010particles/mLヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Aを含むヒト血液試料を準備する。次いで、ヒト血液試料100μLを、マガイニン2および抗ヒトCD9抗体(フナコシ社製、PRO−485)を担持したEpoxy−activated Sepharose 6B担体(GEヘルスケア社製)に接触させ、その後、25℃で24時間インキュベートする。得られる溶出液においてエクソソームの個数が、減少する。

0099

(実施例9)
まず、1×1011particles/mLヒト乳がん細胞由来エクソソーム画分Aのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液を準備する。それから、10μLのヒト乳がん細胞由来のエクソソームおよび90μLのPBSを混合して、1×1010particles/mLヒト乳がん細胞由来のエクソソームを含むPBSを100μL調製する。次いで、ヒト血液試料100μLを、マガイニン2担持Epoxy−activated Sepharose 6B担体と、抗ヒトCD9抗体(フナコシ社製、PRO−485)を担持したEpoxy−activated Sepharose 6B担体(GEヘルスケア社製)に接触させ、その後、25℃で24時間インキュベートする。得られる溶出液においてエクソソームの個数が、減少する。

0100

(参考例)
<RNaseInhibitorの添加有無がマイクロRNAの安定性に及ぼす影響>
1×1010particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分B、1×10−13MのmiR−21(シグマアルドリッチ社製)、および0.4U/μLのRNase inhibitor(Toyobo社製)を含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0101

(比較例5)
1×1010particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分B、および1×10−13MのmiR−21(シグマアルドリッチ社製)を含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0102

上記参考例および比較例5のマイクロRNA量を前述のリアルタイムPCR法で定量したところ、RNaseinhibitorを含む参考例においては、マイクロRNAの濃度に減少は見られなかったが、比較例5ではマイクロRNAの濃度が6×10−15Mに減少した。

0103

<ヒト乳がん細胞由来のエクソソームからのマイクロRNA抽出>
(実施例10)
1×1011particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Bと、100μMに調整した下記表2に示す各種抗菌ペプチドと、0.4U/μLのRNaseinhibitor(Toyobo社製)とを含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0104

(比較例6)
1×1011particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Bと、0.4U/μLのRNaseinhibitor(Toyobo社製)とを含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0105

上記実施例10および上記比較例6のインキュベート後の溶液から、以下の方法で該溶液中に溶出したマイクロRNAを精製、回収した。
まず、160μLのPBSを反応液に添加した後、遠心式フィルター(ミリポア社製、アミコンウルトラ0.5mL、100K フィルター)上に添加して14,000Gで2分間遠心した。次に、遠心後のろ液から100μLを回収し、1.5mLチューブ内に導入した。次いで、1.5mLチューブ内に350μLのRLTbuffer(キアゲン社製、RNeasy mini kit添付)と675μLのエタノールとを添加し混合した。得られた混合液を、2回に分けて、スピンカラム(キアゲン社製、RNeasy mini kit添付)上に添加し、8,000Gで15秒遠心して、かかる混合液の全量をスピンカラムに通した。その後、スピンカラムに、500μLのRPE buffer(キアゲン社製、RNeasy mini kit添付)を添加し、8,000Gで15秒遠心した。さらに、もう一度、上記スピンカラムに、500μLのRPE bufferを添加して、8,000Gで15秒遠心した。その後、スピンカラムを、14,000Gで1分間遠心することで残存するRPE bufferを除去した。次に、スピンカラムに30μLのRNasefree water(キアゲン社製、RNeasy mini kit添付)を添加して、1分間放置後、14,000Gで1分間遠心して得られた溶出液を回収した。

0106

上述した方法で回収した溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−21)の量を、上述したリアルタイムPCR法で定量した。その結果、エクソソームを抗菌ペプチドで処理することにより、いくつかのペプチドでマイクロRNAの抽出が確認された。また、リアルタイムPCR法によるマイクロRNA(miR−21)濃度の定量結果に基づき、使用した抗菌ペプチドの破壊活性を、以下の基準で評価した。その結果を下記表2に示す。なお、抗菌ペプチドを用いることなくインキュベートした比較例6の溶液を上述した方法で処理し、得られた溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−21)の量を定量した所、該溶出液中に含まれるマイクロRNA濃度は、8×10−14Mであった。
◎:マイクロRNA濃度が50×10−14M以上である。
○:マイクロRNA濃度が10×10−14M〜50×10−14Mである。
×:マイクロRNA濃度が10×10−14M未満である。

0107

0108

<前立腺がん細胞由来エクソソームからのマイクロRNA抽出>
(実施例11)
1×1011particles/mLのヒト前立腺がん細胞(PC3ML)由来のエクソソームと、100μMに調整した下記表3に示す各種抗菌ペプチドと、0.4U/μLのRNaseinhibitor(Toyobo社製)とを含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0109

(比較例7)
1×1011particles/mLのヒト前立腺がん細胞(PC3ML)由来のエクソソームと、0.4U/μLのRNaseinhibitor(Toyobo社製)とを含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0110

上記実施例11および上記比較例7のインキュベート後の溶液から、上述した実施例10および上記比較例6のインキュベート後の溶液から抽出した方法と同様の方法により、溶出したマイクロRNAを精製、回収した。

0111

次に、回収した溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−21)の量を、上述したリアルタイムPCR法で定量した。その結果、エクソソームを抗菌ペプチドで処理することにより、いくつかのペプチドでマイクロRNAの抽出が確認された。また、リアルタイムPCR法によるマイクロRNA(miR−21)濃度の定量結果に基づき、使用した抗菌ペプチドの破壊活性を、以下の基準で評価した。その結果を下記表3に示す。なお、抗菌ペプチドを用いることなくインキュベートした比較例7の溶液を上述した方法で処理し、得られた溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−21)の量を定量した所、該溶出液中に含まれるマイクロRNA濃度は、3×10−14Mであった。
◎:マイクロRNA濃度が10×10−14M以上である。
○:マイクロRNA濃度が5×10−14M〜10×10−14Mである。
×:マイクロRNA濃度が5×10−14M未満である。

0112

0113

<各種抗菌ペプチドのヒト乳がん細胞由来エクソソームに対する選択性>
(実施例12)
1×1011particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Bと、100μMに調整した下記表4に示す各種抗菌ペプチドと、0.4U/μLのRNaseinhibitor(Toyobo社製)とを含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0114

その後、インキュベート後の溶液から、上述した実施例10、11および上記比較例6、7のインキュベート後の溶液から抽出した方法と同様の方法により、溶出したマイクロRNA(miR−16)を精製、回収した。

0115

また、1×1011particles/mLのヒト乳腺細胞(MCF−10A、正常細胞)由来のエクソソーム画分と、100μMに調整した下記表4に示す各種抗菌ペプチドと、0.4U/μLのRNaseinhibitor(Toyobo社製)とを含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0116

その後、インキュベート後の溶液から、上述した実施例10、11および上記比較例6、7のインキュベート後の溶液から抽出した方法と同様の方法により、溶出したマイクロRNA(miR−16)を精製、回収した。

0117

(比較例8)
1×1011particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Bと、0.4U/μLのRNaseinhibitor(Toyobo社製)とを含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0118

その後、インキュベート後の溶液から、上述した実施例10、11および上記比較例6、7のインキュベート後の溶液から抽出した方法と同様の方法により、溶出したマイクロRNA(miR−16)を精製、回収した。

0119

また、1×1011particles/mLのヒト乳腺細胞(MCF−10A、正常細胞)由来のエクソソーム画分と、0.4U/μLのRNaseinhibitor(Toyobo社製)とを含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0120

その後、インキュベート後の溶液から、上述した実施例10、11および上記比較例6、7のインキュベート後の溶液から抽出した方法と同様の方法により、溶出したマイクロRNA(miR−16)を精製、回収した。

0121

次に、回収した各溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−16)の量を、上述したリアルタイムPCR法で定量した。次に、得られた定量結果から、下記式1にて、使用した抗菌ペプチドごとのmiR−16比を算出した。また、実施例12で使用した抗菌ペプチドの選択性は、算出したmiR−16の値が、比較例8のmiR−16比よりも高い場合を○と評価した。その結果を、下記表4に示す。
式1:miR−16比={(ヒト乳がん細胞由来のエクソソームを含む実施例12の各インキュベート溶液から回収した溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−16)の定量値)−(ヒト乳がん細胞由来のエクソソームを含む比較例8のインキュベート溶液から回収した溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−16)の定量値)}÷{(正常細胞由来のエクソソームを含む実施例12の各インキュベート溶液から回収した溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−16)の定量値)−(正常細胞由来のエクソソームを含む比較例8のインキュベート溶液から回収した溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−16)の定量値)}

0122

0123

上記表4からも分かるとおり、実施例12にて使用した各抗菌ペプチドは、いずれも、ヒト乳がん細胞由来エクソソームを選択的に破壊できるものであった。

0124

<各種抗菌ペプチドのがん細胞に特異的な抗体に対する選択性の比較>
(抗体の準備)
EpCAM−exosome Isolation reagent(サーモフィッシャーサイエンテイフィック社製)懸濁液40μLを1.5mLのチューブに分注し、かかる懸濁液をMagnetic BeadsSeparator (サーモフィッシャーサイエンテイフィック社製)で分離した後、上清を除去することでペレットを回収した。このペレットに対して、0.5mLのPBSを添加して懸濁させ、得られた懸濁液をMagnetic Beads Separatorで分離した後、上清を除去することでペレットを回収した。次に、得られたペレットと、10μLの1.8×1011particles/mLの乳がん細胞由来エクソソーム(MM231−luc−D3H2LN)もしくは1.8×1011particles/mLのヒト正常血清由来エクソソームとを混合し、4℃で18時間放置した。次いで、Magnetic Beads Separatorで混合液を分離した後、上清を除去することでペレットを回収した。その後、上記ペレットに対して1mLのPBAを添加して懸濁させたものをMagnetic Beads Separatorで分離し、上清を除去することでペレットを回収した。この1mLのPBSを添加して分離させる操作を、もう一度繰り返した。その後、得られたペレットに10μLのPBSを添加して懸濁させることでエクソソームを吸着させた抗体サンプルを得た。

0125

(実施例13)
1×1011particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Bと、100μMに調整したマガイニン2と、0.4U/μLのRNaseinhibitor(Toyobo社製)とを含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0126

その後、インキュベート後の溶液から、上述した実施例10〜12および上記比較例6〜8のインキュベート後の溶液から抽出した方法と同様の方法により、溶出したマイクロRNA(miR−16)を精製、回収した。

0127

また、1×1011particles/mLの正常ヒト血清(正常細胞)由来のエクソソーム画分と、100μMに調整したマガイニン2と、0.4U/μLのRNaseinhibitor(Toyobo社製)とを含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0128

その後、インキュベート後の溶液から、上述した実施例10〜12および上記比較例6〜8のインキュベート後の溶液から抽出した方法と同様の方法により、溶出したマイクロRNA(miR−16)を精製、回収した。

0129

(比較例9)
上記EpCAM−exosome Isolation reagentにヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Bを吸着させた抗体のエクソソーム画分10μLを調製し、RNeasy kitを用いて抽出処理を行い、マイクロRNA(miR−16)を精製、回収した。
具体的には1.5mLチューブ内で、エクソソーム破壊用界面活性剤組成物として350μLのRLTbuffer(キアゲン社製、RNeasy mini kit添付)および675μLのエタノールと混合した。上記混合液を、2回に分けて、スピンカラム(キアゲン社製、RNeasy mini kit添付)上に添加し、8,000Gで15秒遠心して、上記混合液の全量をスピンカラムに通した。上記スピンカラムに、500μLのRPE buffer(キアゲン社製、RNeasy mini kit添付)を添加して、8,000Gで15秒遠心した。さらに、もう一度、上記スピンカラムに、500μLのRPE bufferを添加して、8,000Gで15秒遠心した。上記スピンカラムを、14,000Gで1分間遠心して、残存するRPE bufferを除去した。上記スピンカラムに、30μLのRNasefree water(キアゲン社製、RNeasy mini kit添付)を添加して、1分間放置後、14,000Gで1分間遠心して、マイクロRNA(miR−16)を含む溶出液を回収した。

0130

また、上記EpCAM−exosome Isolation reagentに正常ヒト血清(正常細胞)由来のエクソソームを吸着させた抗体のエクソソーム画分10μLを調製し、上述した方法と同様の方法で、RNeasy kitを用いて抽出処理を行い、マイクロRNA(miR−16)を精製、回収した。

0131

その後、インキュベート後の溶液から、上述した実施例10〜12および上記比較例6〜8のインキュベート後の溶液から抽出した方法と同様の方法により、溶出したマイクロRNA(miR−16)を精製、回収した。

0132

(比較例10)
1×1011particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分B10μLから、比較例9と同様の方法で、マイクロRNA(miR−16)を含む溶液を精製、回収した。また、1×1011particles/mLの正常ヒト血清由来のエクソソーム画分10μLから、比較例9と同様の方法で、マイクロRNA(miR−16)を含む溶液を精製、回収した。

0133

(比較例11)
1×1011particles/mLのヒト乳がん細胞由来のエクソソーム画分Bと、0.4U/μLのRNaseinhibitor(Toyobo社製)とを含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0134

その後、インキュベート後の溶液から、上述した実施例10〜12および上記比較例6〜8のインキュベート後の溶液から抽出した方法と同様の方法により、溶出したマイクロRNA(miR−16)を精製、回収した。

0135

また、1×1011particles/mLの正常ヒト血清由来のエクソソーム画分と、0.4U/μLのRNaseinhibitor(Toyobo社製)とを含むPBSとなるように、エクソソーム画分10μLを調製し、37℃で24時間静置することによりインキュベートした。

0136

その後、インキュベート後の溶液から、上述した実施例10〜12および上記比較例6〜8のインキュベート後の溶液から抽出した方法と同様の方法により、溶出したマイクロRNA(miR−16)を精製、回収した。

0137

次に、回収した各溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−16)の量を、上述したリアルタイムPCR法で定量した。次に、得られた定量結果から、下記式にて、使用した抗菌ペプチドごとのmiR−16比を算出した。その結果を、下記表5に示す。
式2:miR−16比={(ヒト乳がん細胞由来のエクソソームを含む実施例13、比較例9または10の各インキュベート溶液から回収した溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−16)の定量値)−(ヒト乳がん細胞由来のエクソソームを含む比較例11のインキュベート溶液から回収した溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−16)の定量値)}÷{(正常細胞由来のエクソソームを含む実施例13、比較例9または10の各インキュベート溶液から回収した溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−16)の定量値)−(正常細胞由来のエクソソームを含む比較例11のインキュベート溶液から回収した溶出液中に含まれるマイクロRNA(miR−16)の定量値)}

0138

0139

上記表5からも分かるように、実施例13の抗菌ペプチドを用いる方法は、比較例の抗菌ペプチドを用いない方法と比べて、ヒト乳がん細胞由来エクソソームを選択的に破壊できるものであった。

実施例

0140

この出願は、2015年3月12日に出願された日本出願特願2015−049136号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

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