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技術 コーティング膜付きガラス板及びその製造方法

出願人 日本板硝子株式会社
発明者 近藤史佳籔田武司山本透
出願日 2016年3月1日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2017-504853
公開日 2017年12月14日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 WO2016-143297
状態 特許登録済
技術分野 ガラスの表面処理
主要キーワード コーティング膜内 中間膜材 開放空孔 化炭素系化合物 風冷強化処理 ミリメートルオーダー 反射抑制膜 ソーダ石灰ガラス板
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年12月14日)のものです。
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図面 (6)

課題・解決手段

本発明のコーティング膜付きガラス板は、ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の主面上に設けられた、平滑な表面を有するコーティング膜と、を含む。前記コーティング膜は、当該膜の内部に含まれる孤立した閉鎖空孔と、マトリクスとを含んでいる。前記コーティング膜は、前記コーティング膜の前記表面に開口している開放空孔を実質的に有していない。本発明のコーティング膜付きガラス板では、前記コーティング膜側の面から前記コーティング膜付きガラス板に波長380〜1100nmの光を入射したときの平均透過率から、前記コーティング膜が表面に設けられていない前記ガラス板に前記波長の光を入射したときの平均透過率を差し引いた透過率ゲインが2.5%以上である。

概要

背景

ガラス及びセラミックなどの基材の表面には、その基材の用途における機能改善を目的として、機能性コーティング膜が形成される。例えば、基材により多くの光を透過させるため又は反射による眩惑を防止するために、基材の表面に低反射コーティング膜が形成される。

低反射コーティング膜を備えたガラス板は、車両用ガラスショーウィンドウ又は光電変換装置などに利用される。光電変換装置の一種である薄膜型太陽電池では、下地膜、透明導電膜及びアモルファスシリコンなどからなる光電変換層と、裏面薄膜電極とを、ガラス基板の一方の主面上にこの順で積層し、さらにガラス板の一方の主面と対向する他方の主面上に、低反射コーティング膜が形成される。また、他の種類の光電変換装置である、いわゆる結晶系太陽電池では、太陽光入射側にカバーガラスが設置され、このカバーガラスの表面に低反射コーティング膜が形成される。太陽電池に用いられるガラス板では、このように太陽光の入射側の表面に低反射コーティング膜が形成されることから、より多くの太陽光が光電変換層又は太陽電池素子に導かれ、その発電量が向上することになる。

最もよく用いられる低反射コーティング膜は、真空蒸着法スパッタリング法又は化学蒸着法CVD法)などにより形成される誘電体膜であるが、シリカ微粒子などの微粒子を含む微粒子含有膜が低反射コーティング膜として用いられることもある。微粒子含有膜は、微粒子を含むコーティング液を、ディッピング法フローコート法又はスプレー法などによって透明基体上に塗布することにより成膜される。

例えば、特開2014−032248号公報(特許文献1)には、表面凹凸を有するガラス板に微粒子とバインダとを含む反射抑制膜が形成され、表面凹凸の頂部においてシリカ微粒子が1層で、且つその充填率所定範囲内になるように均一に配置されている、光電変換装置用カバーガラスが開示されている。このカバーガラスに施された反射抑制膜によって、波長380〜1100nmの光の平均透過率を少なくとも2.37%向上させることができる。

概要

本発明のコーティング膜付きガラス板は、ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の主面上に設けられた、平滑な表面を有するコーティング膜と、を含む。前記コーティング膜は、当該膜の内部に含まれる孤立した閉鎖空孔と、マトリクスとを含んでいる。前記コーティング膜は、前記コーティング膜の前記表面に開口している開放空孔を実質的に有していない。本発明のコーティング膜付きガラス板では、前記コーティング膜側の面から前記コーティング膜付きガラス板に波長380〜1100nmの光を入射したときの平均透過率から、前記コーティング膜が表面に設けられていない前記ガラス板に前記波長の光を入射したときの平均透過率を差し引いた透過率ゲインが2.5%以上である。

目的

本発明は、かかる事情に鑑み、ガラス板の主面上にコーティング膜が形成されたコーティング膜付きガラス板において、意図せず付着した熱可塑性樹脂など付着物を容易に除去することができ、さらに高い光透過性を実現できるコーティング膜付きガラス板を得ることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の主面上に設けられた、平滑な表面を有するコーティング膜と、を含むコーティング膜付きガラス板であって、前記コーティング膜は、当該膜の内部に含まれる孤立した閉鎖空孔と、マトリクスとを含んでおり、前記コーティング膜は、前記コーティング膜の前記表面に開口している開放空孔を実質的に有しておらず、前記コーティング膜側の面から前記コーティング膜付きガラス板に波長380〜1100nmの光を入射したときの平均透過率から、前記コーティング膜が表面に設けられていない前記ガラス板に前記波長の光を入射したときの平均透過率を差し引いた透過率ゲインが2.5%以上である、コーティング膜付きガラス板。

請求項2

前記閉鎖空孔が、前記コーティング膜の厚さ方向に沿った断面で観察された場合に、略楕円形の孤立した空孔である第1閉鎖空孔と、略楕円形の空孔が2つ以上連結することによって形成されている第2閉鎖空孔とを含んでいる、請求項1に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項3

前記第1閉鎖空孔と、前記第2閉鎖空孔を形成している前記略楕円形の各空孔とが、長軸長さ30〜80nm、及び、短軸長さ20〜30nmを有しており、且つ前記長軸が前記コーティング膜の膜面に沿うように配列されている、請求項2に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項4

前記コーティング膜が、50〜300nmの膜厚を有し、且つ10〜40%の空孔率を有する、請求項1に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項5

前記コーティング膜が、100〜250nmの膜厚を有する、請求項4に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項6

前記コーティング膜上に設けられた接触角上膜をさらに含む、請求項1に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項7

前記コーティング膜が前記表面側から観察された場合に、前記コーティング膜の前記表面に直径20〜100nmの粒状物が存在し、且つ前記粒状物の数の面密度が10〜100個/μm2である、請求項1に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項8

前記コーティング膜の前記表面において、評価長さ300nmで、前記開放空孔の開口部分と、前記表面に粒状物が存在する場合は当該粒状物とを除いた部分の表面が3nm以下の算術平均粗さRaを有する、請求項1に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項9

前記コーティング膜の前記マトリクスは、シリカを主成分として含む、請求項1に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項10

前記シリカは、加水分解性シリコン化合物加水分解縮合生成物由来する、請求項9に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項11

前記加水分解性シリコン化合物は、シリコンアルコキシドである、請求項10に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項12

前記シリコンアルコキシドは、1又は2の有機基シリコン原子直接結合しているシリコンアルコキシドを含む、請求項11に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項13

前記有機基は、炭素数1〜5の直鎖アルキル基である、請求項12に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項14

前記コーティング膜の前記マトリクスは、アルミニウムチタン及びジルコニウムからなる群から選ばれた少なくともいずれか1種の元素酸化物をさらに含む、請求項9に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項15

前記閉鎖空孔及び前記開放空孔が、前記コーティング膜を形成するためのコーティング液空孔生成剤として含まれ、且つ所定温度以上の熱処理によって消失する微粒子に由来する、請求項1に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項16

前記微粒子は、有機ポリマー微粒子である、請求項15に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項17

前記有機ポリマー微粒子の平均粒径が10〜200nmである、請求項16に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項18

前記コーティング液が、加水分解性シリコン化合物をさらに含んでおり、前記コーティング液において、前記加水分解性シリコン化合物の加水分解縮合生成物100質量部に対し、前記微粒子が12〜38質量部である、請求項15に記載のコーティング膜付きガラス板。

請求項19

請求項1に記載のコーティング膜付きガラス板を製造する方法であって、(i)ガラス板の一方の主面上に、マトリクス原料及び空孔生成剤を含むコーティング液を塗布して塗膜を形成する工程と、(ii)前記塗膜を乾燥させる工程と、(iii)乾燥させた前記塗膜を焼成する工程と、を含む、コーティング膜付きガラス板の製造方法。

請求項20

前記コーティング液が、前記マトリクス原料として加水分解性シリコン化合物を含み、前記加水分解性シリコン化合物を加水分解縮合させることにより前記コーティング膜の前記マトリクスを形成する、請求項19に記載のコーティング膜付きガラス板の製造方法。

請求項21

前記加水分解性シリコン化合物は、シリコンアルコキシドである、請求項20に記載のコーティング膜付きガラス板の製造方法。

請求項22

前記シリコンアルコキシドは、1又は2の有機基がシリコン原子に直接結合しているシリコンアルコキシドを含む、請求項21に記載のコーティング膜付きガラス板の製造方法。

請求項23

前記有機基は、炭素数1〜5の直鎖アルキル基である、請求項22に記載のコーティング膜付きガラス板の製造方法。

請求項24

前記空孔生成剤が、所定温度以上の熱処理によって消失する微粒子である、請求項19に記載のコーティング膜付きガラス板の製造方法。

請求項25

前記微粒子は、有機ポリマー微粒子である、請求項24に記載のコーティング膜付きガラス板の製造方法。

請求項26

前記有機ポリマー微粒子の平均粒径が10〜200nmである、請求項25に記載のコーティング膜付きガラス板の製造方法。

請求項27

前記コーティング液が、前記マトリクス原料として加水分解性シリコン化合物を含み、前記空孔形成剤として所定温度以上の熱処理によって消失する微粒子を含んでおり、前記コーティング液において、前記加水分解性シリコン化合物の加水分解縮合生成物100質量部に対し、前記微粒子が12〜38質量部である、請求項19に記載のコーティング膜付きガラス板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、コーティング膜付きガラス板及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

ガラス及びセラミックなどの基材の表面には、その基材の用途における機能改善を目的として、機能性コーティング膜が形成される。例えば、基材により多くの光を透過させるため又は反射による眩惑を防止するために、基材の表面に低反射コーティング膜が形成される。

0003

低反射コーティング膜を備えたガラス板は、車両用ガラスショーウィンドウ又は光電変換装置などに利用される。光電変換装置の一種である薄膜型太陽電池では、下地膜、透明導電膜及びアモルファスシリコンなどからなる光電変換層と、裏面薄膜電極とを、ガラス基板の一方の主面上にこの順で積層し、さらにガラス板の一方の主面と対向する他方の主面上に、低反射コーティング膜が形成される。また、他の種類の光電変換装置である、いわゆる結晶系太陽電池では、太陽光入射側にカバーガラスが設置され、このカバーガラスの表面に低反射コーティング膜が形成される。太陽電池に用いられるガラス板では、このように太陽光の入射側の表面に低反射コーティング膜が形成されることから、より多くの太陽光が光電変換層又は太陽電池素子に導かれ、その発電量が向上することになる。

0004

最もよく用いられる低反射コーティング膜は、真空蒸着法スパッタリング法又は化学蒸着法CVD法)などにより形成される誘電体膜であるが、シリカ微粒子などの微粒子を含む微粒子含有膜が低反射コーティング膜として用いられることもある。微粒子含有膜は、微粒子を含むコーティング液を、ディッピング法フローコート法又はスプレー法などによって透明基体上に塗布することにより成膜される。

0005

例えば、特開2014−032248号公報(特許文献1)には、表面凹凸を有するガラス板に微粒子とバインダとを含む反射抑制膜が形成され、表面凹凸の頂部においてシリカ微粒子が1層で、且つその充填率所定範囲内になるように均一に配置されている、光電変換装置用カバーガラスが開示されている。このカバーガラスに施された反射抑制膜によって、波長380〜1100nmの光の平均透過率を少なくとも2.37%向上させることができる。

先行技術

0006

特開2014−032248号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、低反射コーティング膜が形成されたコーティング膜付きガラス板において、当該コーティング膜が設けられているガラス板の平均透過率の、当該コーティング膜が設けられる前のガラス板の平均透過率に対する増分として定義される透過率ゲインは、そのガラス板が光電変換装置に用いられる際に重要な性能である。この透過率ゲインが高いほど、ガラス板を透過する光線量が増加し、光電変換装置の効率が向上する。しかしながら、特許文献1に記載のカバーガラスは、透過率ゲインをさらに向上させる余地があった。

0008

また、低反射コーティング膜付きガラス板を光電変換装置に用いる際、当該低反射コーティング膜付きガラス板と他の板状体との間に光電変換素子を挟み込み、熱可塑性樹脂製中間膜を用いて封止し、合せガラス構造を形成することがある。この合せガラス構造によって、当該光電変換素子は外部環境から効果的に保護され、光電変換素子としての耐久性及び耐候性が向上する。

0009

この合せガラス構造においては、低反射コーティング膜は外側、すなわち中間膜と接しない側に配置される。しかし、この合せガラス構造を形成する工程において、中間膜の作製に用いられる熱可塑性樹脂が、意図せず低反射コーティング膜に付着することがある。たとえば特許文献1に記載のカバーガラスでは、意図せず熱可塑性樹脂が付着した部分と、付着していない部分とで外観に差があるので、そのままでは外観不良であると見做されてしまう。一方、付着した熱可塑性樹脂を除去しようとしても、付着した熱可塑性樹脂は微粒子層の奥まで浸透してしまい、除去することがとても困難なので、結果的に外観不良により製造工程での歩留まりを低下させてしまうという課題があった。

0010

本発明は、かかる事情に鑑み、ガラス板の主面上にコーティング膜が形成されたコーティング膜付きガラス板において、意図せず付着した熱可塑性樹脂など付着物を容易に除去することができ、さらに高い光透過性を実現できるコーティング膜付きガラス板を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、
ガラス板と、
前記ガラス板の少なくとも一方の主面上に設けられた、平滑な表面を有するコーティング膜と、
を含むコーティング膜付きガラス板であって、
前記コーティング膜は、当該膜の内部に含まれる孤立した閉鎖空孔と、マトリクスとを含んでおり、
前記コーティング膜は、前記コーティング膜の前記表面に開口している開放空孔を実質的に有しておらず、
前記コーティング膜側の面から前記コーティング膜付きガラス板に波長380〜1100nmの光を入射したときの平均透過率から、前記コーティング膜が表面に設けられていない前記ガラス板に前記波長の光を入射したときの平均透過率を差し引いた透過率ゲインが2.5%以上である、
コーティング膜付きガラス板を提供する。ここで、「前記コーティング膜が、前記コーティング膜の前記表面に開口している開放空孔を実質的に有していない」とは、前記コーティング膜の前記表面における前記開放空孔の数の面密度が5個/μm2未満であること、好ましくは0.2個/μm2未満であることをいう。

0012

また、本発明は、上記本発明のコーティング膜付きガラス板を製造する方法であって、(i)ガラス板の一方の主面上に、マトリクス原料及び空孔生成剤を含むコーティング液を塗布して塗膜を形成する工程と、
(ii)前記塗膜を乾燥させる工程と、
(iii)乾燥させた前記塗膜を焼成する工程と、
を含む、コーティング膜付きガラス板の製造方法を提供する。

発明の効果

0013

本発明のコーティング膜付きガラス板では、コーティング膜が平滑な表面を有しており、且つコーティング膜には、当該コーティング膜の表面に開口している開放空孔が実質的に存在しない。したがって、コーティング膜の表面に例えば熱可塑性樹脂などが付着してしまった場合でも、その付着物を容易に除去することができる。さらに、本発明のコーティング膜付きガラス板では、コーティング膜が内部に孤立した閉鎖空孔を含む多孔質構造を有しているので、2.5%以上という高い透過率ゲインを実現する。このように、本発明によれば、意図せず付着した熱可塑性樹脂など付着物を容易に除去することができ、さらに高い光透過性を実現できるコーティング膜付きガラス板を提供できる。

図面の簡単な説明

0014

実施例1のコーティング膜付きガラス板の電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察した結果を示す図である。
比較例1のコーティング膜付きガラス板の電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察した結果を示す図である。
比較例2のコーティング膜付きガラス板の電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察した結果を示す図である。
実施例5のコーティング膜付きガラス板の電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察した結果を示す図である。
実施例5のコーティング膜付きガラス板の電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察した結果を示す図である。

0015

以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。

0016

本実施形態のコーティング膜付きガラス板は、ガラス板と、そのガラス板の少なくとも一方の主面上に設けられたコーティング膜とを含んでいる。

0017

ガラス板は、特に限定されないが、その主面上に設けられるコーティング膜の表面を平滑にするために、微視的な表面の平滑性が優れているものが好ましい。たとえば、ガラス板は、その主面の算術平均粗さRaがたとえば1nm以下、好ましくは0.5nm以下の平滑性を有するフロート板ガラスであってもよい。また、ガラス板は、フロート板ガラスにおいて本実施形態で特定するコーティング膜が設けられる主面とは反対側の主面に、透明導電膜を含む別のコーティングが施されているガラス板であってもよい。ここで、本明細書における算術平均粗さRaは、JIS B0601−1994に規定された値である。

0018

一方で、ガラス板は、その表面に、肉眼で確認できるサイズの巨視的な凹凸を有する型板ガラスであってもよい。なお、ここでいう巨視的な凹凸とは、粗さ曲線における評価長さをセンチメートルオーダーとした際に確認される、平均間隔Smがミリメートルオーダー程度の凹凸のことである。本実施形態では、型板ガラスの表面における凹凸の平均間隔Smは0.3mm以上、さらに0.4mm以上、特に0.45mm以上であることが好ましく、2.5mm以下、さらに2.1mm以下、特に2.0mm以下、とりわけ1.5mm以下であることが好ましい。ここで、平均間隔Smは、粗さ曲線が平均線と交差する点から求めた山谷一周期の間隔の平均値を意味する。さらに、型板ガラス板の表面凹凸は、上記範囲の平均間隔Smとともに、0.5μm〜10μm、特に1μm〜8μmの最大高さRyを有することが好ましい。ここで、本明細書における平均間隔Sm及び最大高さRyは、JIS(日本工業規格) B0601−1994に規定された値である。なお、このような型板ガラスであっても、微視的には(例えば原子間力顕微鏡AFM)観察のような、粗さ曲線における評価長さが数100nmである表面粗さ測定では)、算術平均粗さRaが数nm以下、例えば1nm以下を満たすことが可能である。したがって、型板ガラスであっても、微視的な表面の平滑性に優れるガラス板として、本実施形態のコーティング膜付きガラス板のガラス板に好適に使用できる。

0019

また、型板ガラス板の表面凹凸は、上記範囲の平均間隔Sm、最大高さRyとともに、0.3μm〜5.0μm、特に0.4μm〜2.0μm、さらに0.5μm〜1.2μmの算術平均粗さRaを有することが好ましい。上述の型板ガラスであれば、表面凹凸により防眩効果が充分に得られるが、他方、これら粗度が大きすぎると、面内で反射色調色ムラが現れやすい。

0020

なお、ガラス板は、通常の型板ガラスや建築用板ガラスと同様の組成であってよいが、着色成分を極力含まないことが好ましい。ガラス板において、代表的な着色成分である酸化鉄含有率は、Fe2O3に換算して、0.06質量%以下、特に0.02質量%以下が好適である。

0021

次に、本実施形態におけるコーティング膜について説明する。

0022

コーティング膜は、平滑な表面を有している。なお、ここでいう平滑な表面とは、AFMで2.5μm角の視野で表面を観察し、直径5nm以上の開放空孔の開口部及び粒状物が確認されない部分に、300nmの評価長さを設定し、その評価長さにおける算術平均粗さRaが5nm以下であること、好ましくは3nm以下であることをいう。

0023

コーティング膜は、当該膜の内部に含まれる孤立した閉鎖空孔と、マトリクスとを含んでいる。別の観点から、コーティング膜における閉鎖空孔は、マトリクスに囲まれることによって膜内部で孤立している空孔であるということができ、閉鎖空孔の内部には空気が存在していると考えられる。このような閉鎖空孔が膜内部に含まれていることにより、コーティング膜の実効屈折率が減少するので、コーティング膜による低反射効果が得られる。これにより、本実施形態のコーティング膜付きガラス板は、表面が凹凸形状を有していなくても、2.5%以上という高い透過率ゲインを実現する。なお、ここでいう透過率ゲインとは、コーティング膜側の面からコーティング膜付きガラス板に波長380〜1100nmの光を入射したときの平均透過率から、コーティング膜が表面に設けられていない(設けられる前の)ガラス板に上記波長の光を入射したときの平均透過率を差し引いた値である。なお、閉鎖空孔の形状及び大きさ、さらにコーティング膜の空孔率などを以下の記載に従って適切な範囲に調整することにより、透過率ゲインを2.6%以上に高めることもでき、さらに2.9%以上に高めることもできる。

0024

本実施形態のコーティング膜付きガラス板は、上記のような透過率ゲイン及び透過率の増加率を実現できるので、高い光透過性を有することができる。

0025

コーティング膜は、当該膜の表面に開口している空孔(開放空孔)を実質的に有していない。なお、コーティング膜が開放空孔を実質的に有していないとは、コーティング膜の表面における開放空孔の数の面密度が5個/μm2未満であること、好ましくは0.2個/μm2未満であることをいい、好ましくは0.16個/μm2未満、より好ましくは0.01個/μm2未満であることである。コーティング膜は、開放空孔を有していないことが好ましい。なお、開放空孔の数の面密度とは、コーティング膜の表面において視野2.5μm角で走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して開放空孔の数を測定し、その測定値を1視野の面積で除して求められる値である。また、コーティング膜が開放空孔を含まないとは、コーティング膜の表面を視野2.5μm角で、同一サンプル内で視野を変えて3回観察した場合に、開放空孔が確認されないことをいう。ここで、開放空孔とは、コーティング膜の表面をSEMで観察した際に確認される直径5nm以上の開口を有する空孔のことである。コーティング膜の表面に開口している開放空孔の数の面密度を上記範囲内とすることにより、たとえ樹脂などの付着物が表面に付着した場合でも、それを容易に除去することが可能となる。したがって、製造工程での付着物の付着による歩留り低下を抑制できる。

0026

閉鎖空孔は、コーティング膜の厚さ方向に沿った断面において観察された場合に、略楕円形状を有していてもよい。例えば、閉鎖空孔は、上記断面において観察された場合、略楕円形の孤立した空孔である第1閉鎖空孔と、略楕円形の空孔が2つ以上連結することによって形成されている第2閉鎖空孔とを含む。

0027

第1閉鎖空孔と、第2閉鎖空孔を形成している略楕円形の各空孔とは、例えば、長軸長さ30〜80nm、及び、短軸長さ20〜30nmを有している。なお、長軸長さとは、上記断面において観察される略楕円形の空孔の最長径であり、短軸長さとは長軸に直交する方向の径の長さのことである。長軸長さは、20〜80nmであってもよく、30〜70nmであってもよい。短軸長さは、10〜40nmであってもよく、15〜30nmであってもよい。

0028

第1閉鎖空孔と、第2閉鎖空孔を形成している略楕円形の各空孔とは、長軸がコーティング膜の膜面にほぼ沿うように配列されていてもよい。すなわちこの場合、第1閉鎖空孔の立体的形状、及び、第2閉鎖空孔を形成している略楕円形の各空孔の立体的形状は、扁平な略回転楕円体であって、回転軸がコーティング膜の膜厚方向に沿っているとみなすことができる。

0029

上記のように、コーティング膜は、膜内部に閉鎖空孔を含む多孔質構造を有している。コーティング膜の空孔率が高いほどコーティング膜のみかけの屈折率が低くなるので、コーティング膜付きガラス板の反射率を低減することができる。しかし、空孔率が限度を超えて高くなると、コーティング膜の耐久性が低下する。これらの理由から、コーティング膜の空孔率は10〜40%が好ましく、15〜30%がより好ましい。

0030

コーティング膜の膜厚は、例えば50〜300nmであり、好ましくは100〜250nmである。

0031

コーティング膜は、膜表面に粒状物が存在していてもよい。ただし、膜表面に存在する粒状物が多すぎると、コーティング膜付きガラス板の光透過性が低下したり、付着物の除去性が低下したりする場合がある。したがって、コーティング膜を表面側からSEMで観察した場合に、コーティング膜の表面に確認される直径20〜100nmの粒状物が100個/μm2以下であることが好ましく、75個/μm2以下であることがより好ましく、50個/μm2以下であることが特に好ましい。また、コーティング膜を表面側からSEMで観察した場合に、コーティング膜の表面に確認される直径20〜100nmの粒状物は、例えば10個/μm2以上であってよい。

0032

コーティング膜の表面において、評価長さ300nmで、開放空孔の開口部分を除いた部分(表面に上記の粒状物が存在する場合はその粒状物も除いた部分)の表面粗さは、例えば3nm以下の算術平均粗さRaを有する。

0033

コーティング膜は、上述のとおりマトリクスを含んでいる。このマトリクスは、シリコンチタンアルミニウムジルコニウム及び/又はタンタルなどの元素を含む金属酸化物を含むことができるが、シリコンの酸化物(特にシリカ)を主成分として含むことが好ましい。なお、ここでいうマトリクスの主成分とは、マトリクスに最も多く含まれる成分のことである。

0034

シリカは、酸化ケイ素を主成分として含有するガラス板との親和性が優れているため、コーティング膜の耐久性を高めることができる。また、シリカは屈折率が低いため、コーティング膜の見かけの屈折率をさらに低減することができ、さらなる透過率ゲインの向上にも寄与する。後述するが、マトリクスには、さらなる耐久性の向上などの効果を発揮させるために、シリコンの酸化物以外の金属化合物を含んでいてもよい。

0035

マトリクスの供給源(マトリクス原料)としては、シリコンアルコキシドに代表される加水分解性金属化合物を用いることができる。加水分解性金属化合物は、いわゆるゾルゲル法により加水分解及び縮重合することにより、マトリクスを形成し得る。

0036

コーティング膜のマトリクスがシリカを含む場合は、マトリクス原料として加水分解性シリコン化合物が用いられる。すなわち、この場合、マトリクスを形成するシリカは、加水分解性シリコン化合物の加水分解縮合生成物由来する。

0037

加水分解性シリコン化合物としては、例えばシリコンアルコキシドが用いられる。本実施形態では、上記のような構造的特徴を有するコーティング膜を得やすいという理由から、シリコンアルコキシドが、1又は2の有機基シリコン原子直接結合しているシリコンアルコキシドを含むことが好ましく、さらに、1又は2の有機基がシリコン原子に直接結合しているシリコンアルコキシドからなっていることがより好ましい。またこの有機基は、疎水性であることが好ましい。換言すれば、非加水分解性官能基の数が1又は2であるシリコンアルコキシドが好適に用いられる。後述するように、加水分解性シリコン化合物が、1又は2の有機基がシリコン原子に直接結合したシリコンアルコキシドからなることによって、コーティング膜が膜内部に閉鎖空孔を含む多孔質構造を効果的に作製することができるからである。シリコン原子に直接結合している有機基は、例えば炭素数1〜5の直鎖アルキル基である。このようなシリコンアルコキシドの具体例として、例えばメチルトリメトキシシランジメチルジメトキシシランメチルトリエトキシシラン及びジメチルジエトキシシランが挙げられる。この場合、加水分解性シリコン化合物の加水分解性縮合生成物は、非加水分解性の官能基に由来する有機基を含む。

0038

コーティング膜におけるマトリクスは有機基を含有してもよいが、好ましくはマトリクスが有機基を含有しないことである。有機基を含有しないマトリクスは、より優れた耐久性及び耐摩耗性を有するからである。

0039

コーティング膜のマトリクスがシリカを主成分とする場合に、当該マトリクスが、アルミニウム、チタン及びジルコニウムからなる群から選ばれた少なくともいずれか1種の元素の酸化物をさらに含んでいてもよい。マトリクスがこれらの酸化物をさらに含むことにより、コーティング膜の耐久性が向上する。なお、コーティング膜のマトリクスがこれらの金属酸化物を含む場合は、金属塩化物及びオキシ塩化物など水溶性無機化合物がマトリクス原料に添加されることが好ましい。

0040

コーティング膜のマトリクスは、シリカを90〜100質量%含んでいることが好ましく、94〜100質量%含んでいることがより好ましい。コーティング膜のマトリクスがアルミニウム、チタン及びジルコニウムからなる群から選ばれた少なくともいずれか1種の元素の酸化物を含む場合、当該酸化物はコーティング膜に2〜7質量%含まれていることが好ましく、3〜6質量%含まれていることがより好ましい。

0041

コーティング膜は、閉鎖空孔、開放空孔及びマトリクス以外に、例えば中実微粒子などを含んでいてもよい。コーティング膜が中実微粒子を含むことにより、コーティング膜の耐久性が向上する。中実微粒子は、マトリクスによって固定される。中実微粒子は、平均粒径が例えば10〜100nmであり、この範囲の粒径をもつ略球状の一次粒子であっても、より小さな一次粒子が凝集することでこの範囲の粒径をもつ二次粒子であってもよい。平均粒径が大きいほど、コーティング膜の耐久性を向上させる観点からは好ましい。しかし、平均粒径が大きすぎると、コーティング膜の表面に存在する粒状物が多くなり、コーティング膜に付着した付着物を除去することが困難になるため好ましくない。中実微粒子としては、例えばシリカ微粒子を用いることができる。なお、中実微粒子の平均粒径とは、SEMを用いてコーティング膜の断面を観察することによって求められる。具体的に、粒子の全体を観察できる任意の50個の粒子について、その最大径及び最小径を測定してその平均値を各粒子の粒径とし、50個の粒子の粒径の平均値を「平均粒径」とする。

0042

コーティング膜に含まれる閉鎖空孔、及び、含まれる場合がある開放空孔は、任意の方法で形成され得るが、コーティング膜を形成するためのコーティング液に空孔生成剤として含まれ、且つ所定温度以上の熱処理によって消失する微粒子に由来することが好ましい。このような微粒子は、いわゆる鋳型として用いられ、最終的には熱処理によって消失することにより、当該微粒子が占めていた部分が孔としてコーティング膜内残留する。このように形成される孔が、閉鎖空孔や開放空孔となる。空孔生成剤として用いられる微粒子として、例えば400℃以上、好ましくは600℃以上の熱処理によって、揮発熱分解又は焼失によって消失する微粒子を用いることができる。

0043

空孔生成剤として用いられる微粒子は、例えば有機ポリマー微粒子である。有機ポリマー微粒子は、その表面に極性基を有することが好ましい。極性基の例としては、親水性基であり、その例としてヒドロキシ基カルボニル基及びカルボキシル基を例示できる。極性基の別の例としては、アクリロイル基や(メタ)アクリロイル基(総称してメタクリロイル基)が例示できるが、これらに限られない。この好ましい有機ポリマー微粒子は、コーティング液中で分離しにくく、また、膜内部に閉鎖空孔を有する多孔質構造のコーティング膜を効果的に作製するのに適している。この有機ポリマー微粒子の平均粒径は、好ましくは10〜200nmであり、より好ましくは20〜150nmであり、特に好ましくは30〜100nmである。なお、有機ポリマー微粒子の平均粒径とは、光散乱粒度分布測定によって求められる値である。

0044

本実施形態のコーティング膜付きガラス板は、コーティング膜上に設けられた接触角上膜をさらに含んでいてもよい。接触角向上膜は、液体が付着したときに高い接触角を有する膜である。この膜がコーティング膜上に設けられることにより、設けられていない場合と比較して、コーティング膜付きガラス板の表面の撥水性及び撥油性が向上する。したがって、接触角向上膜が設けられたコーティング膜付きガラス板は、優れた汚れ落ち性を有し、例えば加工時に表面に付着した汚れも簡単に除去できる。その結果、汚れの付着による外観不良などの問題を解決でき、製造工程での歩留りを向上させることも可能となる。

0045

接触角向上膜は、コーティング膜表面の液体の接触角を高めることができる膜であればよいため、その材料は特には限定されないが、例えば、シリコンに直接結合した疎水基を有する加水分解性シリコン化合物の加水分解物が好適に用いられる。該化合物においては、シリコンに結合する疎水基の数は1又は2であり、加水分解性基としては、アルコキシル基アセトン基、アルケニルオキシ基アミノ基及びハロゲン基が好ましい。疎水基としては、アルキル基フルオロアルキル基及びアルケニル基が好ましく、その炭素数は好ましくは1〜30、より好ましくは1〜6である。具体的には、疎水基としてはメチル基エチル基及びビニル基が好ましく、加水分解性基としてはメトキシ基及びエトキシ基が好ましい。また、別の例としては、フッ素表面防処理剤として市販されているものであり、フルオロアルキル基含有シラン化合物や、パーフルオロポリエーテル含有シラン化合物を挙げることができる。

0046

接触角向上膜の厚さは、用いられる材料の撥水性などの機能に応じて適宜決定されることが好ましいが、例えば1nm〜50nmとすることができる。

0047

接触角向上膜の接触角は、コーティング膜表面よりも高い接触角を有していればよいため特には限定されないが、例えば水の接触角で50〜110°であり、好ましくは水の接触角で70〜110°である。

0048

本実施形態のコーティング膜付きガラス板は、例えば、
(i)ガラス板の一方の主面上に、マトリクス原料及び空孔生成剤を含むコーティング液を塗布して塗膜を形成する工程と、
(ii)前記塗膜を乾燥させる工程と、
(iii)乾燥させた前記塗膜を焼成する工程と、
を含む製造方法によって製造することができる。

0049

コーティング液に含まれる空孔生成剤は、上述したとおりである。また、マトリクス原料とは、いわゆるゾルゲル法により加水分解及び縮重合してマトリクスを形成し得る加水分解性金属化合物であり、その詳細は上述のとおりである。

0050

コーティング液がマトリクス原料として加水分解性シリコン化合物を含み、かつ空孔生成剤として有機ポリマー微粒子を含む場合、加水分解性シリコン化合物の加水分解縮合生成物100質量部に対し、有機ポリマー微粒子は12〜38質量部であることが好ましく、15〜35質量%がより好ましく、17〜25質量%が特に好ましい。コーティング液が有機ポリマー微粒子をこのような割合で含むことにより、透過率ゲイン2.5%以上を実現できるように閉鎖空孔をコーティング膜内部に形成することが容易となる。

0051

コーティング液は、マトリクス原料及び空孔生成剤の他に、加水分解触媒レベリング剤界面活性剤及び溶媒などの他の成分を適宜含んでいてもよい。加水分解触媒は、マトリクス原料である加水分解性金属化合物の加水分解を促進させるために用いられる。レベリング剤及び界面活性剤は、コーティング液を塗布して形成される塗膜のレベリング性向上、コーティング液のガラス板への濡れ性向上及びコーティング液の塗布ムラの低減のために用いられる。

0052

コーティング液の固形分濃度は、特には限定されない。コーティング液の塗布ムラが生じず、乾燥及び焼成工程で塗膜にクラックなどの欠陥が生じず、さらにコーティング膜を所定範囲内の厚さとすることができるような適切な固形分濃度となるように、コーティング液を溶媒で適宜希釈して調製することができる。

0053

コーティング液がマトリクス原料として加水分解性金属化合物を含む場合、コーティング液にはその加水分解性金属化合物の加水分解生成物が含まれることになる。そのため、加水分解性金属化合物と空孔生成剤とが混合された状態で、加水分解性金属化合物を加水分解して加水分解生成物を含むコーティング液を調製してもよいし、加水分解性金属化合物を予め加水分解させた加水分解液を調製しておき、その加水分解液と空孔生成剤とを混合してコーティング液を調製してもよい。

0054

上記のようなコーティング液を、ガラス板の一方の主面上に所定厚さに塗布して、塗膜を形成する。コーティング液を塗布する方法は、特には限定されず、公知の塗布方法を適宜用いることができる。公知の塗布方法の中でも、量産性の理由から、ロールコータスプレーコートが好ましい。

0055

次に、得られた塗膜を乾燥させる。コーティング液に含まれる加水分解性金属化合物が、シリコン原子に直接結合する疎水性の有機基の数が1又は2の加水分解性シリコン化合物からなり、また、空孔生成剤として含まれる有機ポリマー微粒子がその表面に親水性基を有する場合、塗膜内で加水分解性シリコン化合物と有機ポリマー微粒子との再配列が起こり、乾燥によりその再配列された構造が固定される。この再配列において、加水分解生成物は疎水性基を有するので、親水性の強いガラス板の反対側(すなわち塗膜の自由表面側)の近傍に集まり表面張力により平滑な表面を形成する。一方、有機ポリマー微粒子は親水性基を有するので、ガラス板表面に集まろうとし、塗膜の自由表面上に突出することがほとんどない。これにより、開放空孔を有さない多孔質構造を効果的に形成することができる。この乾燥工程によって、塗膜中の溶媒を揮発させて、且つ加水分解生成物を縮合させる。塗膜の乾燥温度及び乾燥時間は、特には限定されないが、例えば300〜400℃に設定した加熱炉に、20〜120秒間保持することができる。このとき、塗膜の表面温度は100〜150℃に達している。なお、この乾燥工程においては、空孔生成剤のほとんどは、消失せずに残っていると考えられる。

0056

次に、乾燥工程で得られた塗膜を焼成する。この焼成工程により、空孔生成剤が揮発、熱分解又は焼失によって消失して、空孔が形成される。焼成温度及び焼成時間は、特には限定されないが、一例としては、400〜500℃で1〜5分間の焼成を挙げることができる。他の例として、600℃以上で1分間以上の焼成を挙げることができる。前者の例の焼成では、空孔生成剤は消失するが、マトリクスに含有される有機基はその多くが消失せずに残存する。一方、後者の例の焼成では、空孔生成剤及びマトリクスの有機基が共に消失するため、有機基を含まないマトリクスが得られ、コーティング膜が高い耐久性及び耐摩耗性を有する。好適な焼成条件として、市販のソーダ石灰ガラス板風冷強化する際のガラス板の加熱条件が挙げられる。例えば、640〜780℃に設定した加熱炉に塗膜を1〜3分間保持すればよい。このとき、塗膜の表面温度は630〜690℃に達している。この焼成工程で塗膜が膜厚方向に収縮し、さらにそのとき既に形成されている空孔もまた膜厚方向に収縮することにより、第1閉鎖空と、第2閉鎖空孔を形成する各空孔とが、上記のような略楕円形を有するように形成されると考えられる。

0057

以上の方法によれば、本実施形態のコーティング膜付きガラス板を製造することができる。

0058

コーティング膜上に接触角向上膜をさらに形成する場合は、コーティング膜付きガラス板のコーティング膜の表面上に、接触角向上膜を形成する材料を含む処理液を塗布することによって製造することができる。処理液は、接触角向上膜を形成する材料に溶剤などを添加することによって準備することができる。

0059

以下、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は、本発明の要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。

0060

まず、各実施例及び各比較例で作製したコーティング膜付きガラス板の各特性の評価方法を説明する。

0061

(透過率ゲイン)
分光光度計島津製作所製紫外可視分光光度計UV−3100)を用い、コーティング膜の形成前後におけるガラス板の透過率曲線透過スペクトル)をそれぞれ測定した。平均透過率は、波長380〜1100nmにおける透過率を平均化して算出した。コーティング膜が設けられたガラス板の平均透過率の、当該コーティング膜が設けられる前のガラス板の平均透過率に対する増分を透過率ゲインとした。

0062

(付着物の除去性1)
市販の太陽電池用合せガラス中間膜(エチレンビニルアルコール共重合体EVSKY、株式会社ブリストン製)を20×30mmに切断し、それをコーティング膜付きガラス板のコーティング膜上に置き、150℃に設定したオーブン中へ投入し5分間保持した。その後、コーティング膜付きガラス板をオーブンから取り出して室温まで放冷し、中間膜を剥ぎ取った。

0063

コーティング膜付きガラス板において中間膜を載せていた箇所を、エタノールを染み込ませたセルロース系不織布(ベンコット(R)、旭化成せんい株式会社製)で擦り、剥ぎ取った際にコーティング膜上に付着して残っていた中間膜材料を拭き取った。この拭き取りでは、コーティング膜の表面に残留する中間膜材料を除去することができるが、コーティング膜の膜中に染み込んだ中間膜材料を除去することができない。

0064

コーティング膜において、拭き取った後の中間膜材料が付着していた箇所(付着部)と、中間膜を置かなかった箇所(未付着部)との反射色調の違いを目視で確認し、下記の判断基準付着汚れ性を評価した。
◎:付着部と未付着部との反射色の差が、ほとんど認められない。
○:付着部と未付着部との反射色の差が認められるが、その差はわずかである。
×:付着部と未付着部との反射色の差が、明らかに認められる。

0065

(付着物の除去性2)
中間膜をコーティング膜付きガラス板のコーティング膜上に置いて、150℃に設定したオーブン中に投入して保持する時間を30分に変更した点を除いて、上記の「付着物の除去性1」と同じ方法で付着物の除去性の試験を行った。付着汚れ性の評価の判断基準も、上記の「付着物の除去性1」と同じとした。

0066

耐塩水性
コーティング膜の耐塩水性を評価するため、塩水噴霧試験ソルトスプレーテスト)を実施した。コーティング膜付きガラス板について、上記の(透過率ゲイン)の評価の場合と同様に平均透過率を測定し、その後JIS C8917:2005付属書4に準拠する条件でコーティング膜に対して塩水噴霧を行なった後に、さらに平均透過率を測定した。塩水噴霧後の平均透過率から塩水噴霧前の平均透過率を差し引いた値の絶対値を耐塩水性とした。具体的には、塩水噴霧は、温度35℃、濃度5質量%のNaCl水溶液ミスト状にしてコーティング膜に96時間噴霧し、その後にコーティング膜の表面を流水にて洗浄することによって実施された。

0067

(開放空孔数の面密度)
コーティング膜を電界放射型走査型電子顕微鏡(S−4500、株式会社日立製作所製)によって観察した。コーティング膜の表面を視野2.5μm角でFE−SEMで観察し、表面に確認される直径5nm以上の開口の数を測定し、測定値を1視野の面積で除することによって開放空孔数の面密度(個/μm2)を求めた。また、コーティング膜の表面を視野2.5μm角で、同一サンプル内で視野を変えて3回観察した場合に開放空孔が確認されない場合は、「開放空孔が含まれない」と判断した。

0068

(コーティング膜の表面の平滑性)
AFM(エスアイアイナノテクノロジー株式会社製、「SPF−400」)で2.5μm角の視野でコーティング膜の表面を観察し、直径5nm以上の開放空孔の開口部及び粒状物が確認されない部分に300nmの評価長さを設定し、その評価長さにおける算術平均粗さRaを、AFM装置付属の解析ソフトウェア(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、「Nano Navi」)を用いて求めた。

0069

(実施例1)
<コーティング膜形成用のコーティング液の調製>
実施例1では、コーティング膜のマトリクス原料として、メチルトリエトキシシラン(MTES)を用いた。したがって、まずMTES加水分解液を調製した。イソプロピルアルコール(溶媒)64.38g、精製水8.05g、1N硝酸(加水分解触媒)1.00g、MTES26.57gをガラス瓶量し、40℃にて8時間加水分解反応を行い、固形分濃度10質量%の加水分解液(MTES加水分解液)を得た。次に、このMTES加水分解液3.00g、イソプロピルアルコール(溶媒)6.25g、3−メトキシー1−ブタノール(溶媒)0.30g、有機ポリマー微粒子分散液(空孔生成剤)(ポリメタクリル酸メチル架橋物、株式会社日本触媒製「エポスターMX−050」、微粒子の平均粒子径0.05〜0.10μm、固形分濃度10.0質量%)0.75gをガラス製容器に入れ、コーティング液を得た。コーティング液において、表1に示されているマトリクス原料の質量%とは、そのマトリクス原料として用いた材料の加水分解縮合生成物の質量の、コーティング液の質量に対する質量%のことである。また空孔生成剤の質量部とは、コーティング液に含まれるマトリクス原料の質量を100質量部としたときの空孔生成剤の質量部のことである。また、イソプロピルアルコール、3−メトキシー1−ブタノール及び水の質量%は、コーティング液の調製において添加した各々の成分の質量の、コーティング液の質量に対する質量%のことであり、したがって、加水分解縮合反応で副生するアルコール及び水は含まれない。

0070

<ガラス板の準備>
実施例1では、型板ガラスをガラス板として用いた。この型板ガラスは、通常のソーダライムシリケート組成からなり、評価長さ1cmで評価した表面凹凸の算術平均粗さRaが0.76μm、平均間隔Smが1120μm(JIS B0601−1994の規定に基づく)、厚さ3.2mmの日本板硝子株式会社製である。この型板ガラスを100×100mmに切断し、アルカリ溶液(KOH 25wt%水溶液)に浸漬して超音波洗浄機を用いて洗浄し、脱イオン水水洗したのち常温で乾燥させてコーティング膜を形成するためのガラス板とした。コーティング膜を形成する前のこのガラス板の透過特性を前述のとおり評価したところ、平均透過率91.7%であった。

0071

<コーティング膜の作製>
コーティング液の塗布は、スピンコート法で行なった。準備された上記ガラス板をスピンコート装置上で水平に保持し、ガラス板の中央部にコーティング液を0.17cc滴下し、ガラス板を回転数600rpmで回転させ、10秒間その回転数を保持した後、ガラス板の回転を停止させた。これにより、ガラス板の一方の主面上に塗膜が形成された。次いで、この塗膜から溶媒を除去して乾燥させた。乾燥は、塗膜が一方の主面上に形成されたガラス板を、350℃に設定した電気炉内で60秒間保持した後電気炉から取り出し、室温まで放冷することで行なった。次に、乾燥させた塗膜を焼成した。焼成は、塗膜を760℃に設定した電気炉内で5分間保持することによって行った。このとき、塗膜の表面温度は665℃に達していた。図1に、得られたコーティング膜のFE−SEM写真を示す。

0072

(実施例2)
コーティング液の調製において、有機ポリマー微粒子分散液として、「エポスターMX−050」の代わりに「エポスターMX−030」(株式会社日本触媒製、微粒子の平均粒子径0.03〜0.05μm、固形分濃度10.0質量%)を0.53g用いた点、さらに、コーティング液の塗布時のガラス板の回転数を550rpmに変更した点以外は、実施例1と同様の方法で実施例2のコーティング膜付きガラス板を作製した。

0073

(実施例3)
コーティング液の調製において、有機ポリマー微粒子分散液の添加量を0.45gに変更した点以外は、実施例1と同様の方法で実施例3のコーティング膜付きガラス板を作製した。

0074

(実施例4)
コーティング液の調製において、有機ポリマー微粒子分散液の添加量を1.05gに変更した点以外は、実施例1と同様の方法で実施例4のコーティング膜付きガラス板を作製した。

0075

(比較例1)
<コーティング膜形成用のコーティング液の調製>
比較例1では、コーティング膜のマトリクス原料として、テトラエトキシシラン(TEOS)を用いた。したがって、まずTEOS加水分解液を調製した。イソプロピルアルコール(溶媒)52.33g、精製水12.00g、1N硝酸(加水分解触媒)1.00g、TEOS34.67gをガラス瓶に秤量し、40℃にて8時間加水分解反応を行い、固形分濃度10質量%の加水分解物を得た。次に、このTEOS加水分解液2.00g、イソプロピルアルコール(溶媒)6.70g、精製水0.50g、3−メトキシー1−ブタノール(溶媒)0.30g、有機ポリマー微粒子分散液(空孔生成剤)(株式会社日本触媒製「エポスターMX−050」、微粒子の平均粒子径0.05〜0.10μm、固形分濃度10.0質量%)0.50gをガラス製容器に入れ、コーティング液を得た。図2に、得られたコーティング膜のFE−SEM写真を示す。

0076

比較例1におけるガラス板の準備及びコーティング膜の作製は、実施例1と同様であった。

0077

(比較例2)
<コーティング膜形成用のコーティング液の調製>
MTES加水分解液3.00g、イソプロピルアルコール6.40g、3−メトキシー1−ブタノール0.30g、有機ポリマー微粒子分散液(株式会社日本触媒製「エポスターMX−050」、微粒子の平均粒子径0.05〜0.10μm、固形分濃度10.0質量%)0.30gをガラス製容器に入れ、コーティング液を得た。なお、比較例2で用いたMTES加水分解液は、実施例1と同様の方法で調製されたものである。

0078

比較例2におけるガラス板の準備及びコーティング膜の作製は、実施例1と同様であった。

0079

(比較例3)
有機ポリマー微粒子分散液の添加量を1.20gに変更した点以外は、比較例2と同様の方法で比較例3のコーティング膜付きガラス板を作製した。

0080

表1に示すとおり、実施例1〜4のコーティング膜付きガラス板は、コーティング膜の表面が平滑であって、さらに、コーティング膜の表面において2.5μm角の視野内に開放空孔の開口が観察されなかった。これら実施例1〜4のコーティング膜付きガラス板は、付着物の除去性が良好であり、さらに耐塩水性にも優れていた。また、実施例1〜4のコーティング膜付きガラス板は、SEM写真でも確認できるようにコーティング膜の内部に閉鎖空孔を含んでおり、2.5%以上の透過率ゲインを有していた。これに対し、比較例1のコーティング膜は、その表面が平滑でなく、さらにコーティング膜の表面に開口している開放空孔の数が10個/μm2以上であった。したがって、比較例1のコーティング膜付きガラス板は、付着物の除去性が劣っていた。また、比較例2のコーティング膜は、コーティング膜の作製時に添加した有機ポリマー微粒子の量が少な過ぎたこともあり、コーティング膜内部に閉鎖空孔が十分に形成されずに、透過率ゲインが低かった。一方、比較例3のコーティング膜は、コーティング膜の作製時に添加した有機ポリマー微粒子の量が多過ぎたこともあり、コーティング膜内部に閉鎖空孔が多く形成され過ぎてしまい、却って透過率ゲインが低くなってしまった。

0081

(実施例5)
実施例5は、コーティング液の塗布をロールコータを用いて行い、その後風冷強化工程を施した例である。つまり、実施例1の焼成に相当する加熱を施した直後、空気を吹き付けて急冷する工程を追加して、作製されるコーティング膜付きガラス板を強化ガラスとした例である。以下に具体的に説明する。

0082

まず、実施例1と同じコーティング液を準備し、実施例1と同じガラス板を準備した。コーティング液の塗布を、ロールコータを用い、塗膜の厚さが1μm〜5μmになるように塗布して、ガラス板の一方の主面上に塗膜を形成した。塗布開始時のガラス板の温度を、20〜25℃の間になるように調節した。

0083

塗布に続く乾燥は、塗膜が一方の主面上に形成されたガラス板を、連続搬送式の加熱炉を通過させることで行った。加熱炉から出てきたとき、塗膜の表面温度は140℃に達していた。この後、ガラス板を室温まで放冷した。

0084

その後、乾燥膜が形成されているガラス板に、風冷強化処理を施した。風冷強化処理は、ガラス板を700℃に設定した電気炉内に180秒間保持した後、電気炉から取り出したガラス板に常温の空気を吹きつけて急冷することによって実施した。電気炉から取り出したとき、ガラス板の表面温度は650℃に達していた。

0085

この急冷における冷却速度は、650〜550℃の温度範囲で80〜100℃/秒であった。得られた強化ガラス板には、90〜110MPaの範囲内の表面圧縮応力印加されていた。

0086

得られたコーティング膜について、ランダムに選択した2視野でのFE−SEM写真を図4及び図5に示す。実施例5のコーティング膜付きガラス板は、コーティング膜の表面は平滑であるが、コーティング膜の表面において、開放空孔の開口が2.5μm角の視野内に観察されない部分(図4)と、観察される部分(図5)とが混在していた。開放空孔の開口が観察される部分では、開放空孔の数は4個/μm2であった。コーティング膜の平滑性は、算術平均粗さRaで4.75nmであった。

0087

開放空孔や平滑性の差が、風冷による急冷の有無に起因するのか否かは現時点で不明である。しかし、実施例5のコーティング膜の透過率ゲインは2.80%、耐塩水性は0.03%であり、それらの観点からは優秀な性能を示していた。

0088

(実施例6)
実施例6は、実施例5のコーティング膜付きガラス板のコーティング膜上に、さらに接触角向上剤としてフッ素系撥水剤を塗布して接触角向上膜を形成した例である。

0089

フッ素系撥水剤の1種である、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン〔CF3(CF2)5C2H4Si(OC2H5)3〕1.05gをエタノール40.6gに溶解し、1時間攪拌を行った後、イオン交換水0.8g及び0.1N塩酸を1.0g添加し、更に1時間攪拌し、処理液を得た。

0090

この処理液3mLを綿布につけ、実施例5のコーティング膜付きガラス板のコーティング膜面に塗り込んだ後、過剰に付着した処理剤をエタノールを含ませた新しい綿布で拭き取り、実施例6のコーティング膜付きガラス板を得た。

0091

(実施例7)
実施例7は、実施例6において接触角向上剤としてフッ素系撥水剤の代りにメチルトリエトキシシランを塗布した例である。

0092

トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン1.3gの代りに、メチルトリエトキシシラン0.22gとした以外は、実施例6と同様にして処理液を得た。

0093

この処理液3mLを綿布につけ、実施例5のコーティング膜付きガラス板のコーティング膜面に塗り込んだ後、過剰に付着した処理剤を、何も含ませていない乾いた新しい綿布で乾拭きして拭き取り、実施例7のコーティング膜付きガラス板を得た。

0094

(実施例8)
実施例8は、実施例6において接触角向上剤の別例として、市販のフッ素系撥水付与剤を塗布した例である。

0095

ガラス用指紋付着防止剤として市販されている「オプツールDSX」(ダイキン工業株式会社製、フッ化炭素系化合物パーフルオロヘキサンでの20%希釈液)を、さらにパーフルオロヘキサンで希釈して0.1wt%溶液を調製した。この処理液を用いて実施例7と同様の方法で、実施例8のコーティング膜付きガラス板を得た。

0096

接触角向上膜が形成された実施例6〜8のコーティング膜は、実施例5のコーティング膜と比較し、付着物の除去性が明確に改善されていた。

0097

(実施例9)
実施例9では、実施例1で作製したコーティング膜付きガラス板のコーティング膜上に、以下の接触角向上膜形成用コーティング液を用いて作製された接触角向上膜がさらに設けられたコーティング膜付きガラス板を作製した。

0098

<接触角向上膜形成用コーティング液の調製>
実施例1で多孔質層形成用コーティング液を調製する際に用いたMTES加水分解液と同じMTES加水分解液(固形分濃度10質量%)を調製し、このMTES加水分解液をIPAで固形分濃度が3質量%となるように希釈した。得られた固形分濃度3質量%のMTES加水分解液0.67g、IPA8.83g、オキシ塩化ジルコニウム水和物(ZrOCl2・8H2O)の1質量%水溶液0.26g、塩化アルミニウム六水和物(AlCl3・6H2O)の1質量%水溶液0.24gを混合し、接触角向上膜形成用コーティング液を得た。

0099

<接触角向上膜の作製>
実施例1のコーティング膜付きガラス板と同じコーティング膜付きガラス板を準備した。準備されたコーティング膜付きガラス板をスピンコート装置上で水平に保持し、コーティング膜上の中央部に接触角向上膜形成用コーティング液を滴下し、ガラス板を回転数1000rpmで回転させ、10秒間その回転数を保持した後、ガラス板の回転を停止させた。これにより、コーティング膜上に接触角向上膜形成用塗膜が形成された。次いで、この接触角向上膜形成用塗膜から溶媒を除去して乾燥させた。乾燥は、接触角向上膜形成用塗膜が形成されたコーティング膜付きガラス板を、350℃に設定した電気炉内で60秒間保持した後電気炉から取り出し、室温まで放冷することで行った。

実施例

0100

0101

本発明のコーティング膜付きガラス板は、付着物を容易に除去することができ、さらに高い光透過性を実現できるので、例えば車両用ガラス、ショーウィンドウ又は光電変換装置用ガラス板などのあらゆる分野に利用できる。

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