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課題・解決手段

本発明は、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物であって、該抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48位〜100位、148〜162位、193〜216位、205〜228位、および272〜289位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を提供する。また、本発明は、FSTL1抑制剤と別のがん治療との組み合わせ物を提供する。本発明により、免疫抑制免疫不全等の免疫破綻が効果的に解除されることが理解される。

概要

背景

概要

本発明は、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物であって、該抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48位〜100位、148〜162位、193〜216位、205〜228位、および272〜289位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を提供する。また、本発明は、FSTL1抑制剤と別のがん治療との組み合わせ物を提供する。本発明により、免疫抑制免疫不全等の免疫破綻が効果的に解除されることが理解される。

目的

本発明は、広範囲の免疫抑制解除剤または免疫不全解除剤をも提供する

効果

実績

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請求項1

FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物であって、該抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48位〜100位、148〜162位、193〜216位、205〜228位、および272〜289位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項2

前記抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48位〜100位、148〜162位、205〜228位および272〜289位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、請求項1に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項3

前記抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸148〜162位および205〜228位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、請求項1に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項4

抗体#5−2(軽鎖:配列番号6;重鎖:配列番号8)、#5−3(軽鎖:配列番号10;重鎖:配列番号12)、抗体#5−8(軽鎖:配列番号14;重鎖:配列番号16)、#5−10(軽鎖:配列番号18;重鎖:配列番号20)、#5−43(軽鎖:配列番号22;重鎖:配列番号24)、#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#8−4(軽鎖:配列番号38;重鎖:配列番号40)、#8−7(軽鎖:配列番号42;重鎖:配列番号44)、#8−8(軽鎖:配列番号46;重鎖:配列番号48)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)、#22(軽鎖:配列番号62;重鎖:配列番号64)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項5

前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む、請求項4に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項6

前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む、請求項4に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項7

前記抗体は、抗体#5−2(軽鎖:配列番号6;重鎖:配列番号8)、#5−3(軽鎖:配列番号10;重鎖:配列番号12)、抗体#5−8(軽鎖:配列番号14;重鎖:配列番号16)、#5−10(軽鎖:配列番号18;重鎖:配列番号20)、#5−43(軽鎖:配列番号22;重鎖:配列番号24)、#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#8−4(軽鎖:配列番号38;重鎖:配列番号40)、#8−7(軽鎖:配列番号42;重鎖:配列番号44)、#8−8(軽鎖:配列番号46;重鎖:配列番号48)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)、#22(軽鎖:配列番号62;重鎖:配列番号64)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の可変領域の全長を含む、請求項4に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項8

前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の可変領域の全長を含む、請求項4に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項9

前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の可変領域の全長を含む、請求項4に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項10

前記抗体は、抗体#5−2(軽鎖:配列番号96;重鎖:配列番号98)、#5−3(軽鎖:配列番100;重鎖:配列番号102)、抗体#5−8(軽鎖:配列番号104;重鎖:配列番号106)、#5−10(軽鎖:配列番号108;重鎖:配列番号110)、#5−43(軽鎖:配列番号112;重鎖:配列番号114)、#6−55(軽鎖:配列番号116;重鎖:配列番号118)、#7−34(軽鎖:配列番号120;重鎖:配列番号122)、#8−1(軽鎖:配列番号124;重鎖:配列番号126)、#8−4(軽鎖:配列番号128;重鎖:配列番号130)、#8−7(軽鎖:配列番号132;重鎖:配列番号134)、#8−8(軽鎖:配列番号136;重鎖:配列番号138)、#7(軽鎖:配列番号140;重鎖:配列番号142)、#10(軽鎖:配列番号144;重鎖:配列番号146)、#13(軽鎖:配列番号148;重鎖:配列番号150)、#22(軽鎖:配列番号152;重鎖:配列番号154)および#33(軽鎖:配列番号156;重鎖:配列番号158)からなる群より選択される抗体の全長またはそのヒト化配列を含む、請求項4に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項11

前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号116;重鎖:配列番号118)、#7−34(軽鎖:配列番号120;重鎖:配列番号122)、#8−1(軽鎖:配列番号124;重鎖:配列番号126)、#7(軽鎖:配列番号140;重鎖:配列番号142)、#10(軽鎖:配列番号144;重鎖:配列番号146)、#13(軽鎖:配列番号148;重鎖:配列番号150)および#33(軽鎖:配列番号156;重鎖:配列番号158)からなる群より選択される抗体の全長またはそのヒト化配列を含む、請求項4に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項12

前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号116;重鎖:配列番号118)、#7−34(軽鎖:配列番号120;重鎖:配列番号122)、#10(軽鎖:配列番号144;重鎖:配列番号146)、#13(軽鎖:配列番号148;重鎖:配列番号150)および#33(軽鎖:配列番号156;重鎖:配列番号158)からなる群より選択される抗体の全長またはそのヒト化配列を含む、請求項4に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項13

前記抗体は、ヒト化抗体である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項14

前記ヒト化抗体は、配列番号161、163、165および167(H(1)ヒト化重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)、配列番号169、171、173および175(H(2)ヒト化重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)または配列番号177、179、181および183(H(3)ヒト化重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)を含む重鎖フレームワーク配列および配列番号185、187、189および191(L(1)ヒト化軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)、配列番号231、233、235および237(L(2)ヒト化軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)または配列番号239、241、243および245(L(3)ヒト化軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)を含む軽鎖フレームワーク配列、または該重鎖フレームワーク配列および該軽鎖フレームワーク配列において、対応するニワトリ配列の重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4(配列番号206、207、208および209)および軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4(配列番号210、211もしくは214、212もしくは215および213)と相違するアミノ酸を1つ以上ニワトリ配列におけるアミノ酸に変異(バックミューテーション)させた配列を有する、請求項13に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項15

前記ヒト化抗体は、配列番号171、173、175および177(それぞれヒト化重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)、配列番号169、171、173および175(H(2)ヒト化重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)または配列番号177、179、181および183(H(3)ヒト化重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)を含む重鎖フレームワーク配列または該重鎖フレームワーク配列において、対応するニワトリ重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号206、207、208および209)と相違するアミノ酸を1個〜8個ニワトリ配列におけるアミノ酸に変異させた配列を有し、配列番号185、187、189および191(それぞれL(1)ヒト化軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)、配列番号231、233、235および237(L(2)ヒト化軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)または配列番号239、241、243および245(L(3)ヒト化軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)を含む軽鎖フレームワーク配列または該軽鎖フレームワーク配列において、対応するニワトリ軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号210、211もしくは214、212もしくは215および213)と相違するアミノ酸を1個〜4個ニワトリ配列におけるアミノ酸に変異させた配列を有する、請求項13に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項16

記相違するアミノ酸の少なくとも1つは、Vernier残基から選択される、請求項14または15に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項17

前記相違するアミノ酸のすべてが、Vernier残基から選択される、請求項14〜16のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項18

前記抗体は、ヒト化抗体であって、H(2)−L(1)のH鎖FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号169、171、173および175)ならびにL鎖FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号185、187、189および191)を有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項19

請求項1〜18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む医薬

請求項20

請求項1〜18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む抗がん剤

請求項21

請求項1〜18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む転移性悪性腫瘍治療剤

請求項22

請求項1〜18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む、メラノーマ大腸癌乳癌リンパ腫肺癌前立腺癌腎癌頭頸部癌食道癌胃癌、頭頸部癌、膵癌膀胱癌子宮頚部癌、脳中枢神経腫瘍肉腫白血病および多発性骨髄腫からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の治療剤。

請求項23

請求項1〜18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含むがん細胞転移阻害剤

請求項24

前記転移は、骨転移または転移を含む、請求項23に記載の阻害剤。

請求項25

請求項1〜18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む、間葉系幹細胞MSC)による免疫破綻の増強の阻害剤。

請求項26

前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、請求項25に記載の阻害剤。

請求項27

前記免疫破綻の増強は、免疫抑制活性または免疫不全活性を有するMSC細胞の増殖、免疫活性または免疫不全抑制活性を有するMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の増強および免疫抑制活性または免疫不全活性を有しないMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の獲得の少なくとも1つを含む、請求項25に記載の阻害剤。

請求項28

請求項1〜18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む、免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強の阻害剤。

請求項29

前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、請求項28に記載の阻害剤。

請求項30

前記免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強は、制御性T細胞の増殖、制御性T細胞の免疫抑制活性の増強、制御性T細胞への分化制御性樹状細胞の増殖、制御性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、制御性樹状細胞への分化、寛容性樹状細胞の増殖、寛容性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、寛容性樹状細胞への分化、骨髄由来免疫抑制性細胞の増殖、骨髄由来免疫抑制性細胞の免疫抑制活性の増強、骨髄由来免疫抑制性細胞への分化、疲弊T細胞の増殖、疲弊T細胞の免疫不全活性の増強、および疲弊T細胞の誘導からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項28に記載の阻害剤。

請求項31

別のがん治療と組み合わせることを特徴とする、請求項19に記載の医薬、請求項20に記載の抗がん剤、請求項21もしくは22に記載の治療剤、または請求項23〜30のいずれかに記載の阻害剤。

請求項32

前記別のがん治療は別の抗がん剤または放射線療法またはその両者を含む、請求項31に記載の医薬、抗がん剤、治療剤または阻害剤。

請求項33

FSTL1抑制剤とPD−L1抑制剤との組み合わせ物

請求項34

前記FSTL1抑制剤および前記PD−L1抑制剤は、それぞれ独立して、抗体、その抗原結合フラグメント、それらの誘導体、機能的等価物、アンチセンス核酸、siRNA、アプタマー、およびリボザイム、ならびにそれらの複合体からなる群より選択される、請求項33に記載の組み合わせ物。

請求項35

前記FSTL1抑制剤は抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物であり、前記PD−L1抑制剤は抗PD−L1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物である、請求項33に記載の組合せ物

請求項36

抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物と、抗PD−L1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物との組み合わせ物。

請求項37

前記抗FSTL1抗体は、配列番号250(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48位から100位、148〜162位、193〜216位、205〜228位、および272〜289位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、請求項35または36に記載の組合せ物。

請求項38

前記抗体は抗体#6−55(軽鎖:配列番号275;重鎖:配列番号277)、#7−34(軽鎖:配列番号279;重鎖:配列番号281)、#8−1(軽鎖:配列番号283;重鎖:配列番号285)、#7(軽鎖:配列番号299;重鎖:配列番号301)、#10(軽鎖:配列番号303;重鎖:配列番号305)、#13(軽鎖:配列番号307;重鎖:配列番号309)および#33(軽鎖:配列番号315;重鎖:配列番号317)からなる群より選択される抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む、請求項35または36に記載の組合せ物。

請求項39

前記抗FSTL1抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号275;重鎖:配列番号277)、#7−34(軽鎖:配列番号279;重鎖:配列番号281)、#8−1(軽鎖:配列番号283;重鎖:配列番号285)、#7(軽鎖:配列番号299;重鎖:配列番号301)、#10(軽鎖:配列番号303;重鎖:配列番号305)、#13(軽鎖:配列番号307;重鎖:配列番号309)および#33(軽鎖:配列番号315;重鎖:配列番号317)からなる群より選択される抗体の可変領域の全長を含む、請求項35または36に記載の組合せ物。

請求項40

前記抗FSTL1抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号365;重鎖:配列番号367)、#7−34(軽鎖:配列番号369;重鎖:配列番号371)、#8−1(軽鎖:配列番号373;重鎖:配列番号375)、#7(軽鎖:配列番号389;重鎖:配列番号391)、#10(軽鎖:配列番号393;重鎖:配列番号395)、#13(軽鎖:配列番号397;重鎖:配列番号399)および#33(軽鎖:配列番号405;重鎖:配列番号407)からなる群より選択される抗体の全長またはそのヒト化配列を含む、請求項35または36に記載の組合せ物。

請求項41

前記抗FSTL1抗体は、ヒト化抗体である、請求項35〜40のいずれか1項に記載の組合せ物。

請求項42

前記抗FSTL1抗体は、ヒト化抗体であって、H(2)−L(1)のH鎖FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号418、420、422および424)ならびにL鎖FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号434、436、438および440)を有する、請求項35〜41のいずれか1項に記載の組合せ物。

請求項43

抗PD−L1抗体は、PD−L1とPD−1の結合阻害能を有する、請求項35または36に記載の組合せ物。

請求項44

抗PD−L1抗体は、抗体CloneMIH5またはClone10F.9G2の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む、請求項35または36に記載の組合せ物。

請求項45

抗PD−L1抗体は、抗体CloneMIH5またはClone10F.9G2の可変領域の全長を含む、請求項35または36に記載の組合せ物。

請求項46

抗PD−L1抗体は、抗体CloneMIH5またはClone10F.9G2の全長またはそのヒト化配列を含む、請求項35または36に記載の組合せ物。

請求項47

請求項33〜46のいずれか1項に記載の組合せ物を含む医薬。

請求項48

請求項33〜46のいずれか1項に記載の組合せ物を含む抗がん剤。

請求項49

請求項33〜46のいずれか1項に記載の組合せ物を含む転移性悪性腫瘍の治療剤。

請求項50

請求項33〜46のいずれか1項に記載の組合せ物を含むメラノーマ、大腸癌、乳癌、リンパ腫、肺癌、前立腺癌、腎癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、膵癌、膀胱癌、子宮頚部癌、脳中枢神経腫瘍、肉腫、白血病および多発性骨髄腫からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の治療剤。

請求項51

請求項33〜46のいずれか1項に記載の組合せ物を含むがん細胞の転移の阻害剤。

請求項52

前記転移は、骨転移または肺転移を含む、請求項51に記載の阻害剤。

請求項53

請求項33〜46のいずれか1項に記載の組合せ物を含む間葉系幹細胞(MSC)の免疫破綻の増強の阻害剤。

請求項54

前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、請求項53に記載の阻害剤。

請求項55

前記免疫破綻の増強は、免疫抑制活性または免疫不全活性を有するMSC細胞の増殖、免疫活性または免疫不全抑制活性を有するMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の増強および免疫抑制活性または免疫不全活性を有しないMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の獲得の少なくとも1つを含む、請求項53に記載の阻害剤。

請求項56

請求項33〜46のいずれか1項に記載の組合せ物を含む、免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強の阻害剤。

請求項57

前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、請求項56に記載の阻害剤。

請求項58

前記免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強は、制御性T細胞の増殖、制御性T細胞の免疫抑制活性の増強、制御性T細胞への分化、制御性樹状細胞の増殖、制御性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、制御性樹状細胞への分化、寛容性樹状細胞の増殖、寛容性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、寛容性樹状細胞への分化、骨髄由来免疫抑制性細胞の増殖、骨髄由来免疫抑制性細胞の免疫抑制活性の増強、骨髄由来免疫抑制性細胞への分化、疲弊T細胞の増殖、疲弊T細胞の免疫不全活性の増強、および疲弊T細胞の誘導からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項56に記載の阻害剤。

請求項59

FSTL1抑制剤を含む抗がん剤であって、該FSTL1抑制剤はPD−L1抑制剤と組み合わせて投与されることを特徴とする抗がん剤。

請求項60

抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む抗がん剤であって、該抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物は、抗PD−L1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物と組み合わせて投与されることを特徴とする、抗がん剤。

請求項61

PD−L1抑制剤を含む抗がん剤であって、該PD−L1抑制剤はFSTL抑制剤と組み合わせて投与されることを特徴とする抗がん剤。

請求項62

抗PD−L1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む抗がん剤であって、該抗PD−L1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物は、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物と組み合わせて投与されることを特徴とする、抗がん剤。

請求項63

FSTL1抑制剤とCTLA4抑制剤との組み合わせ物。

請求項64

前記FSTL1抑制剤および前記CTLA4抑制剤は、それぞれ独立して、抗体、その抗原結合フラグメント、それらの誘導体、機能的等価物、アンチセンス核酸、siRNA、アプタマー、およびリボザイム、ならびにそれらの複合体からなる群より選択される、請求項63に記載の組み合わせ物。

請求項65

前記FSTL1抑制剤は抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物であり、前記CTLA4抑制剤は抗CTLA4抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物である、請求項63に記載の組合せ物。

請求項66

抗FSTL1抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物と、抗CTLA4抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物との組み合わせ物。

請求項67

前記抗FSTL1抗体は、配列番号503(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48位から100位、148〜162位、193〜216位、205〜228位、および272〜289位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、請求項65または66に記載の組合せ物。

請求項68

前記抗体は抗体#6−55(軽鎖:配列番号528;重鎖:配列番号530)、#7−34(軽鎖:配列番号532;重鎖:配列番号534)、#8−1(軽鎖:配列番号536;重鎖:配列番号538)、#7(軽鎖:配列番号552;重鎖:配列番号554)、#10(軽鎖:配列番号556;重鎖:配列番号558)、#13(軽鎖:配列番号560;重鎖:配列番号562)および#33(軽鎖:配列番号568;重鎖:配列番号570)からなる群より選択される抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む、請求項65または66に記載の組合せ物。

請求項69

前記抗FSTL1抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号528;重鎖:配列番号530)、#7−34(軽鎖:配列番号532;重鎖:配列番号534)、#8−1(軽鎖:配列番号536;重鎖:配列番号538)、#7(軽鎖:配列番号552;重鎖:配列番号554)、#10(軽鎖:配列番号556;重鎖:配列番号558)、#13(軽鎖:配列番号560;重鎖:配列番号562)および#33(軽鎖:配列番号568;重鎖:配列番号570)からなる群より選択される抗体の可変領域の全長を含む、請求項65または66に記載の組合せ物。

請求項70

前記抗FSTL1抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号618;重鎖:配列番号620)、#7−34(軽鎖:配列番号622;重鎖:配列番号624)、#8−1(軽鎖:配列番号626;重鎖:配列番号628)、#7(軽鎖:配列番号642;重鎖:配列番号644)、#10(軽鎖:配列番号646;重鎖:配列番号648)、#13(軽鎖:配列番号650;重鎖:配列番号652)および#33(軽鎖:配列番号658;重鎖:配列番号660)からなる群より選択される抗体の全長またはそのヒト化配列を含む、請求項65または66に記載の組合せ物。

請求項71

抗CTLA4抗体は、CTLA4とCD80および/またはCD86の結合阻害能を有する、請求項65または66に記載の組合せ物。

請求項72

抗CTLA4抗体は、抗体Clone 9H10(BioLegend)またはIpilimumabの重鎖CDR1(配列番号756の31〜35位)、重鎖CDR2(配列番号756の50〜66位)、重鎖CDR3(配列番号756の99〜107位)、軽鎖CDR1(配列番号757の24〜35位)、軽鎖CDR2(配列番号757の51〜57位)および軽鎖CDR3(配列番号757の90〜97位)を含む、請求項65または66に記載の組合せ物。

請求項73

抗CTLA4抗体は、抗体Clone 9H10またはIpilimumabの可変領域(重鎖(配列番号756)の1〜118位および軽鎖(配列番号757)の1〜110位)の全長を含む、請求項65または66に記載の組合せ物。

請求項74

抗CTLA4抗体は、抗体Clone 9H10またはIpilimumabの全長(配列番号756および配列番号757)またはそのヒト化配列を含む、請求項65または66に記載の組合せ物。

請求項75

前記抗FSTL11抗体は、ヒト化抗体である、請求項65〜74のいずれか1項に記載の組合せ物。

請求項76

前記抗FSTL11抗体は、ヒト化抗体であって、H(2)−L(1)のH鎖FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号671、673、675および677)ならびにL鎖FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号687、689、691および693)を有する、請求項65〜75のいずれか1項に記載の組合せ物。

請求項77

請求項63〜76のいずれか1項に記載の組合せ物を含む医薬。

請求項78

請求項63〜76のいずれか1項に記載の組合せ物を含む抗がん剤。

請求項79

請求項63〜76のいずれか1項に記載の組合せ物を含むメラノーマ、大腸癌、乳癌、リンパ腫、肺癌、前立腺癌、腎癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、膵癌、膀胱癌、子宮頚部癌、脳中枢神経腫瘍、肉腫、白血病および多発性骨髄腫からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の治療剤。

請求項80

請求項63〜76のいずれか1項に記載の組合せ物を含む大腸癌の治療剤。

請求項81

請求項63〜76のいずれか1項に記載の組合せ物を含むがん細胞の転移の阻害剤。

請求項82

請求項63〜76のいずれか1項に記載の組合せ物を含む間葉系幹細胞(MSC)の免疫破綻の増強の阻害剤。

請求項83

前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、請求項82に記載の阻害剤。

請求項84

前記免疫破綻の増強は、免疫抑制活性または免疫不全活性を有するMSC細胞の増殖、免疫活性または免疫不全抑制活性を有するMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の増強および免疫抑制活性または免疫不全活性を有しないMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の獲得の少なくとも1つを含む、請求項82に記載の阻害剤。

請求項85

請求項63〜76のいずれか1項に記載の組合せ物を含む、免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強の阻害剤。

請求項86

前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、請求項85に記載の阻害剤。

請求項87

前記免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強は、制御性T細胞の増殖、制御性T細胞の免疫抑制活性の増強、制御性T細胞への分化、制御性樹状細胞の増殖、制御性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、制御性樹状細胞への分化、寛容性樹状細胞の増殖、寛容性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、寛容性樹状細胞への分化、骨髄由来免疫抑制性細胞の増殖、骨髄由来免疫抑制性細胞の免疫抑制活性の増強、骨髄由来免疫抑制性細胞への分化、疲弊T細胞の増殖、疲弊T細胞の免疫不全活性の増強、および疲弊T細胞の誘導からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項85に記載の阻害剤。

請求項88

抗FSTL1抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む抗がん剤であって、該抗FSTL1抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物は、抗CTLA4抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物と組み合わせて投与されることを特徴とする、抗がん剤。

請求項89

FSTL1抑制剤を含む抗がん剤であって、該FSTL1抑制剤はCTLA4抑制剤と組み合わせて投与されることを特徴とする抗がん剤。

請求項90

抗CTLA4抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む抗がん剤であって、該抗CTLA4抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物は、抗FSTL1抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物と組み合わせて投与されることを特徴とする、抗がん剤。

請求項91

CTLA4抑制剤を含む抗がん剤であって、該CTLA4制剤はFSTL1抑制剤と組み合わせて投与されることを特徴とする抗がん剤。

請求項92

前記抗体は、腫瘍内または静脈内に投与されることを特徴とする、請求項77に記載の医薬、請求項78、88〜91のいずれかに記載の抗がん剤、請求項79もしくは80に記載の治療剤、または請求項81〜87のいずれかに記載の阻害剤。

請求項93

FSTL1抑制剤と化学療法剤との組み合わせ物。

請求項94

前記FSTL1抑制剤は、抗体、その抗原結合フラグメント、それらの誘導体、機能的等価物、アンチセンス核酸、siRNA、アプタマー、およびリボザイム、ならびにそれらの複合体からなる群より選択される、請求項93に記載の組み合わせ物。

請求項95

前記FSTL1抑制剤は抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物である、請求項93に記載の組合せ物。

請求項96

抗FSTL1抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物と、化学療法剤との組み合わせ物。

請求項97

前記化学療法剤はDNA合成阻害機能を有する、請求項93〜96のいずれか1項に記載の組合せ物。

請求項98

前記化学療法剤は、アルキル化剤ニトロソウレア剤、代謝拮抗剤抗癌性抗生物質植物由来アルカロイドトポイソメラーゼ阻害剤ホルモン療法剤、ホルモン拮抗剤アロマターゼ阻害剤P糖蛋白阻害剤および白金錯体誘導体からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項93〜96のいずれか1項に記載の組合せ物。

請求項99

前記化学療法剤は、アルキル化剤を含む、請求項93〜96のいずれか1項に記載の組合せ物。

請求項100

前記化学療法剤は、シクロフォスファミドまたはその誘導体を含む、請求項93〜96のいずれか1項に記載の組合せ物。

請求項101

前記化学療法剤はシクロフォスファミドを含む、請求項93〜96のいずれか1項に記載の組合せ物。

請求項102

前記抗FSTL1抗体は、配列番号758(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48位から100位、148〜162位、193〜228位および272〜289位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、請求項95または96に記載の組合せ物。

請求項103

前記抗体は抗体#6−55(軽鎖:配列番号783;重鎖:配列番号785)、#7−34(軽鎖:配列番号787;重鎖:配列番号789)、#8−1(軽鎖:配列番号791;重鎖:配列番号793)、#7(軽鎖:配列番号807;重鎖:配列番号809)、#13(軽鎖:配列番号815;重鎖:配列番号817)および#33(軽鎖:配列番号823;重鎖:配列番号825)からなる群より選択される抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む、請求項95または96に記載の組合せ物。

請求項104

前記抗FSTL1抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号783;重鎖:配列番号785)、#7−34(軽鎖:配列番号787;重鎖:配列番号789)、#8−1(軽鎖:配列番号791;重鎖:配列番号793807;重鎖:配列番号809)、#13(軽鎖:配列番号815;重鎖:配列番号817)および#33(軽鎖:配列番号823;重鎖:配列番号825)からなる群より選択される抗体の可変領域の全長を含む、請求項95または96に記載の組合せ物。

請求項105

前記抗FSTL1抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号873;重鎖:配列番号875)、#7−34(軽鎖:配列番号877;重鎖:配列番号879)、#8−1(軽鎖:配列番号881;重鎖:配列番号883)、#7(軽鎖:配列番号897;重鎖:配列番号899)、#13(軽鎖:配列番号905;重鎖:配列番号907)および#33(軽鎖:配列番号913;重鎖:配列番号915)からなる群より選択される抗体の全長またはそのヒト化配列を含む、請求項95または96に記載の組合せ物。

請求項106

前記抗FSTL1抗体は、ヒト化抗体である、請求項95〜105のいずれか1項に記載の組合せ物。

請求項107

前記抗FSTL1抗体は、ヒト化抗体であって、H(2)−L(1)のH鎖FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号926、928、930および932)ならびにL鎖FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号942、944、946および948)を有するを有する、請求項95〜106のいずれか1項に記載の組合せ物。

請求項108

請求項93〜107のいずれか1項に記載の組合せ物を含む医薬。

請求項109

請求項93〜107のいずれか1項に記載の組合せ物を含む抗がん剤。

請求項110

請求項93〜107のいずれか1項に記載の組合せ物を含むメラノーマ、大腸癌、乳癌、リンパ腫、肺癌、前立腺癌、腎癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、膵癌、膀胱癌、子宮頚部癌、脳中枢神経腫瘍、肉腫、白血病および多発性骨髄腫からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の治療剤。

請求項111

請求項93〜107のいずれか1項に記載の組合せ物を含む肺癌の治療剤。

請求項112

請求項93〜107のいずれか1項に記載の組合せ物を含むがん細胞の転移の阻害剤。

請求項113

請求項93〜107のいずれか1項に記載の組合せ物を含む間葉系幹細胞(MSC)の免疫破綻の増強の阻害剤。

請求項114

前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、請求項113に記載の阻害剤。

請求項115

前記免疫破綻の増強は、免疫抑制活性または免疫不全活性を有するMSC細胞の増殖、免疫活性または免疫不全抑制活性を有するMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の増強および免疫抑制活性または免疫不全活性を有しないMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の獲得の少なくとも1つを含む、請求項113に記載の阻害剤。

請求項116

請求項93〜107のいずれか1項に記載の組合せ物を含む、免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強の阻害剤。

請求項117

前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、請求項116に記載の阻害剤。

請求項118

前記免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強は、制御性T細胞の増殖、制御性T細胞の免疫抑制活性の増強、制御性T細胞への分化、制御性樹状細胞の増殖、制御性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、制御性樹状細胞への分化、寛容性樹状細胞の増殖、寛容性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、寛容性樹状細胞への分化、骨髄由来免疫抑制性細胞の増殖、骨髄由来免疫抑制性細胞の免疫抑制活性の増強、骨髄由来免疫抑制性細胞への分化、疲弊T細胞の増殖、疲弊T細胞の免疫不全活性の増強、および疲弊T細胞の誘導からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項116に記載の阻害剤。

請求項119

FSTL1抑制剤を含む抗がん剤であって、該FSTL1抑制剤は化学療法剤と組み合わせて投与されることを特徴とする抗がん剤。

請求項120

抗FSTL1抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む抗がん剤であって、該抗FSTL1抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物は、化学療法剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、抗がん剤。

請求項121

化学療法剤を含む抗がん剤であって、該化学療法剤はFSTL1抑制剤と組み合わせて投与されることを特徴とする抗がん剤。

請求項122

化学療法剤を含む抗がん剤であって、該化学療法剤は、抗FSTL1抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物と組み合わせて投与されることを特徴とする、抗がん剤。

請求項123

抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物であって、該抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48位〜100位、148〜162位、193〜216位、205〜228位、および272〜289位からなる群より選択される領域に含まれる1アミノ酸以上をエピトープに含むことを特徴とする、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

請求項124

FSTL1抑制剤と別のがん治療との組み合わせ物。

請求項125

前記別のがん治療は、がん免疫療法分子標的療法および化学療法から選択される少なくとも1つである請求項124に記載の組み合わせ物。

請求項126

前記がん免疫療法は、免疫抑制解除薬投与、がんワクチン投与および免疫細胞療法から選択される少なくとも1つである請求項125に記載の組み合わせ物。

請求項127

前記免疫抑制解除薬は、PD−L1抑制剤、CTLA4抑制剤、PD−1抑制剤、4−1BB抑制剤、4−1BB促進剤、OX40促進剤、GITR抑制剤、CD27抑制剤、CD40促進剤、LAG3抑制剤、B7−H3抑制剤、KIRs抑制剤、NKG2A抑制剤、CSF1R抑制剤、IDO抑制剤、TGFβ抑制剤、CXCR4抑制剤、Phosphatidylserine抑制剤、CD47抑制剤、VEGF抑制剤およびNeuropilin抑制剤から選択される少なくとも1つである請求項126に記載の組み合わせ物。

請求項128

前記免疫細胞療法は、キメラ抗原受容体発現細胞療法樹状細胞療法および活性化リンパ球療法から選択される少なくとも1つである請求項126に記載の組み合わせ物。

請求項129

前記分子標的療法に用いる分子標的薬は、抗CD20抗体、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗EGFR抗体抗VEGF抗体、抗CD33抗体(calicheamicin連結)、抗CD52抗体、抗CD19/CD3抗体、抗RANKL抗体抗CD30抗体、抗CCR4抗体、抗葉酸受容体抗体、抗グリピカン抗体、抗CD26抗体、抗IGF抗体、抗B7−H3抗体、抗EPHA抗体、抗IGFR1抗体、抗GD2(ガングリオシド)抗体、抗EDb(フィブロネクチン)抗体、抗CS1抗体、抗VEGFR−2抗体、抗CD4抗体、抗Met抗体抗CD22抗体、抗G250抗体、抗Integrin(CD51)抗体、抗Integrinαv抗体、抗hepatocyte growth factor/scatter factor抗体、抗PDGFRα抗体、抗HGF(hepatocyto growth factor)抗体、抗PLGF(placental growth factor)抗体、抗c−Met抗体、抗myostatin抗体、抗EpCAM(CD326)抗体、抗EGFL7(Epidermal Growth Factor Domain-Like 7)抗体、抗EGFR/HER3バイスペシフィック抗体、抗LOXL2(lysyl oxidase−like−2)抗体、抗TRAIL R1抗体、抗CD56抗体、抗CD22抗体、抗IL−6抗体、抗GD3抗体、抗FAP(fibroblast activation protein)抗体、抗CD221(insulin・like growth factor 1 receptor)抗体、抗CD19/T cellバイスペシフィック抗体、抗DKK−1(Dickkopf−1)抗体、抗DNA histone complex抗体、抗phosphatidyl serine抗体、抗Angiopoietin−2抗体、抗RI(131I)抗体、抗IL−2抗体、抗TNF−α抗体、抗CD105抗体、抗IL−1α抗体、抗PSCA抗体抗メソセリン抗体、抗TEM−1抗体、抗GPNMB抗体、抗DR5抗体、抗TF−VIIa抗体、抗CD200(OX−2)抗体、抗CD138抗体、抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体、抗IL−13抗体、抗CD38抗体、抗hPAM4抗体、抗CD74抗体、抗MUC5AC抗体および抗CD40抗体から選択される少なくとも1つである請求項125に記載の組み合わせ物。

請求項130

前記化学療法に用いる化学療法剤は、アルキル化剤、ニトロソウレア剤、代謝拮抗剤、抗癌性抗生物質、植物由来アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、ホルモン療法剤、ホルモン拮抗剤、アロマターゼ阻害剤、P糖蛋白阻害剤および白金錯体誘導体からなる群より選択される少なくとも1つである請求項125に記載の組み合わせ物。

請求項131

前記FSTL1抑制剤は、抗体、その抗原結合フラグメント、それらの誘導体、機能的等価物、アンチセンス核酸、siRNA、アプタマー、およびリボザイム、ならびにそれらの複合体からなる群より選択される請求項124に記載の組み合わせ物。

請求項132

前記FSTL1抑制剤は、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物である請求項124に記載の組合せ物。

請求項133

抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物は、請求項1〜18に記載のいずれかである請求項132に記載の組み合わせ物。

請求項134

請求項124〜133のいずれか1項に記載の組合せ物を含む医薬。

請求項135

請求項124〜133のいずれか1項に記載の組合せ物を含む抗がん剤。

請求項136

請求項124〜133のいずれか1項に記載の組合せ物を含むメラノーマ、大腸癌、乳癌、リンパ腫、肺癌、前立腺癌、腎癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、膵癌、膀胱癌、子宮頚部癌、脳中枢神経腫瘍、肉腫、白血病および多発性骨髄腫からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の治療剤。

請求項137

請求項124〜133のいずれか1項に記載の組合せ物を含む肺癌の治療剤。

請求項138

請求項124〜133のいずれか1項に記載の組合せ物を含むがん細胞の転移の阻害剤。

請求項139

請求項124〜133のいずれか1項に記載の組合せ物を含む間葉系幹細胞(MSC)の免疫破綻の増強の阻害剤。

請求項140

前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、請求項139に記載の阻害剤。

請求項141

前記免疫破綻の増強は、免疫抑制活性または免疫不全活性を有するMSC細胞の増殖、免疫活性または免疫不全抑制活性を有するMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の増強および免疫抑制活性または免疫不全活性を有しないMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の獲得の少なくとも1つを含む、請求項139に記載の阻害剤。

請求項142

請求項124〜133のいずれか1項に記載の組合せ物を含む、免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強の阻害剤。

請求項143

前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、請求項142に記載の阻害剤。

請求項144

前記免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強は、制御性T細胞の増殖、制御性T細胞の免疫抑制活性の増強、制御性T細胞への分化、制御性樹状細胞の増殖、制御性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、制御性樹状細胞への分化、寛容性樹状細胞の増殖、寛容性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、寛容性樹状細胞への分化、骨髄由来免疫抑制性細胞の増殖、骨髄由来免疫抑制性細胞の免疫抑制活性の増強、骨髄由来免疫抑制性細胞への分化、疲弊T細胞の増殖、疲弊T細胞の免疫不全活性の増強、および疲弊T細胞の誘導からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項142に記載の阻害剤。

請求項145

重鎖全長が配列番号1008のアミノ酸配列を有し、軽鎖全長が配列番号1010のアミノ酸配列を有する抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。

技術分野

0001

本発明は、悪性腫瘍治療薬等に関する。
背景技術

0002

癌が悪化する原因として免疫抑制が知られるようになった。免疫抑制を解除すると癌の効果的な治療につながるとして開発が進められている。

0003

特許文献1では、免疫抑制解除に関する分子報告がなされた。FSTL1についてはある程度研究が進んでいるが(非特許文献1および2)、その機能は不明な点がまだまだ多い。

0004

免疫抑制解除については、いまだ発展途上であり、癌患者生体内には、癌を攻撃して排除しようとする宿主免疫が存在するが、癌細胞の側でも、宿主免疫の監視から逃れようとするシステムを備えていることが知られており、例えば、癌細胞の存在下で制御性T細胞を除去すると、癌細胞に対する免疫反応が変化することがin vitroとin vivoで示されている(非特許文献3=Andaloussi and Lesniak Neuro-Oncology 8, 234-243, 2006参照)。また、胃癌(非特許文献4=Ichihara et al. Clin.Cancer Res. 9, 4404-4408, 2003,非特許文献5=Wolf et al. Clin.Cancer Res. 9, 606-612, 2003参照)、直腸癌(非特許文献6=Hicky et al. Semin. Immunol. 11, 125-137, 1999参照)、膵臓癌(非特許文献7=Liyanage et al. J. Immunol. 169, 2756-2761, 2002,8=Sasada et al. Cancer 98, 1098-1099, 2003参 照)、肺癌(非特許文献9=Woo et al. Cancer Res. 61, 4766-4772, 2001参照)、グリオーマ(非特許文献3=Andaloussi and Lesniak Neuro-Oncology 8, 234-243, 2006参照)において、制御性T細胞が増加することから、癌細胞による免疫回避システムに制御性T細胞が関与していると考えられている。しかし、そのメカニズムは明らかでなく、制御性T細胞由来サイトカインがどのように貢献しているのか、未だに議論がある(非特許文献3参照)。

0005

さらに、制御性T細胞の欠損重篤自己免疫疾患を引き起こす(非特許文献10=Sakaguchi et al. Immunol. Rev. 182, 18-32, 2001参照)ことから、自己免疫と癌免疫には共通のメカニズムが存在することと考えられている(非特許文献11=Turk et
al. Immunol. Rev. 188, 122-135, 2002参照)。このように、制御性T細胞は、免疫反応の抑制を通じ、癌細胞に対する免疫抑制だけでなく、自己免疫やアレルギー反応のような過剰免疫反応に関与していることが知られている(非特許文献12=Miyara and Sakaguchi TrendsMol. Med. 13, 108-116, 2007参照)。

0006

このような背景から、現在開発されている免疫抑制解除薬は、制御性T細胞や制御性樹状細胞など、一部の免疫抑制性細胞集団を除去あるいはその機能を阻害するようにデザインされているため、免疫系全体を修飾するためには、それらを併用せざるを得ないのが現状で、実際にはあまり有効ではないとされている。
先行技術文献]
[特許文献]

0007

[特許文献1]国際公開公報WO2009/028411
[非特許文献]

0008

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[非特許文献12]Miyara and Sakaguchi TrendsMol. Med. 13, 108-116, 2007
[発明の概要
[課題を解決するための手段]

0009

本発明者らは鋭意検討した結果、FSTL1が免疫抑制解除のためのより有望な標的であり、FSTL1の活性阻害が癌の悪化の一因と考えられる免疫抑制を誘導する癌関連間葉系幹細胞MSC)の誘導や増殖、さらに、癌細胞の転移性、特に骨転移性の獲得に対しても効果があり、癌を排除する上で顕著な効果があることを突き止め、本発明を完成させた。本発明において、FSTL1は、制御性T細胞や制御性樹状細胞、寛容性樹状細胞骨髄由来免疫抑制性細胞などの免疫抑制性細胞を誘導するMSCを誘導することができることが見出された。それゆえ、この上流を阻害することで、免疫抑制機序全体を一斉に解除できる可能性があり、効果的な抗癌剤としての利用価値があることを見出した。したがって、特に、本発明は、「免疫抑制または免疫不全等の免疫破綻を誘導するMSCの阻害」および「癌細胞の転移性阻害」の両方によって、従来の方法よりも効果的に生体内から癌を排除できると期待される点が注目されるべきものである。

0010

したがって、本発明は以下を提供する。
(1)抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物であって、該抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸148〜170位、193〜228位、および233〜289位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(2)前記抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸148〜162位、および233〜289位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、項目1に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(3)前記抗体は、抗体#5−2(軽鎖:配列番号6;重鎖:配列番号8)、#5−3(軽鎖:配列番号10;重鎖:配列番号12)、抗体#5−8(軽鎖:配列番号14;重鎖:配列番号16)、#5−10(軽鎖:配列番号18;重鎖:配列番号20)、#5−43(軽鎖:配列番号22;重鎖:配列番号24)、#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#8−4(軽鎖:配列番号38;重鎖:配列番号40)、#8−7(軽鎖:配列番号42;重鎖:配列番号44)、#8−8(軽鎖:配列番号46;重鎖:配列番号48)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)、#22(軽鎖:配列番号62;重鎖:配列番号64)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(4)前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む、項目3に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(5)前記抗体は、抗体#5−2(軽鎖:配列番号6;重鎖:配列番号8)、#5−3(軽鎖:配列番号10;重鎖:配列番号12)、抗体#5−8(軽鎖:配列番号14;重鎖:配列番号16)、#5−10(軽鎖:配列番号18;重鎖:配列番号20)、#5−43(軽鎖:配列番号22;重鎖:配列番号24)、#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#8−4(軽鎖:配列番号38;重鎖:配列番号40)、#8−7(軽鎖:配列番号42;重鎖:配列番号44)、#8−8(軽鎖:配列番号46;重鎖:配列番号48)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)、#22(軽鎖:配列番号62;重鎖:配列番号64)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の可変領域の全長を含む、項目3に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(6)前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の可変領域の全長を含む、項目3〜5のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(7)前記抗体は、抗体#5−2(軽鎖:配列番号96;重鎖:配列番号98)、#5−3(軽鎖:配列番100;重鎖:配列番号102)、抗体#5−8(軽鎖:配列番号104;重鎖:配列番号106)、#5−10(軽鎖:配列番号108;重鎖:配列番号110)、#5−43(軽鎖:配列番号112;重鎖:配列番号114)、#6−55(軽鎖:配列番号116;重鎖:配列番号118)、#7−34(軽鎖:配列番号120;重鎖:配列番号122)、#8−1(軽鎖:配列番号124;重鎖:配列番号126)、#8−4(軽鎖:配列番号128;重鎖:配列番号130)、#8−7(軽鎖:配列番号132;重鎖:配列番号134)、#8−8(軽鎖:配列番号136;重鎖:配列番号138)、#7(軽鎖:配列番号140;重鎖:配列番号142)、#10(軽鎖:配列番号144;重鎖:配列番号146)、#13(軽鎖:配列番号148;重鎖:配列番号150)、#22(軽鎖:配列番号152;重鎖:配列番号154)および#33(軽鎖:配列番号156;重鎖:配列番号158)からなる群より選択される抗体の全長またはそのヒト化配列を含む、項目3または5に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(8)前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号116;重鎖:配列番号118)、#7−34(軽鎖:配列番号120;重鎖:配列番号122)、#8−1(軽鎖:配列番号124;重鎖:配列番号126)、#7(軽鎖:配列番号140;重鎖:配列番号142)、#13(軽鎖:配列番号148;重鎖:配列番号150)および#33(軽鎖:配列番号156;重鎖:配列番号158)からなる群より選択される抗体の全長またはそのヒト化配列を含む、項目3〜7のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(9)項目1〜8のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む医薬
(10)項目1〜8のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む抗がん剤
(11)項目1〜8のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む転移性悪性腫瘍の治療剤
(12)項目1〜8のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含むメラノーマ大腸癌乳癌リンパ腫、肺癌、前立腺癌腎癌頭頸部癌食道癌、胃癌、頭頸部癌、膵癌膀胱癌子宮頚部癌、脳中枢神経腫瘍肉腫白血病および多発性骨髄腫からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の治療剤。
(13)項目1〜8のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含むがん細胞の転移阻害剤
(14)前記転移は、骨転移または転移を含む、項目13に記載の阻害剤。
(15)項目1〜8のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む、間葉系幹細胞(MSC)による免疫破綻の増強の阻害剤。(16)前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、項目15に記載の阻害剤。
(16A)前記免疫破綻は免疫抑制を含む、項目15に記載の阻害剤。
(16B)前記免疫破綻は免疫不全を含む、項目15に記載の阻害剤。
(17)前記免疫破綻の増強は、免疫抑制活性または免疫不全活性を有するMSC細胞の増殖、免疫活性または免疫不全抑制活性を有するMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の増強および免疫抑制活性または免疫不全活性を有しないMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の獲得の少なくとも1つを含む、項目15に記載の阻害剤。
(18)項目1〜8のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む、免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強の阻害剤。
(19)前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、項目18に記載の阻害剤。
(19A)前記免疫破綻は免疫抑制を含む、項目18に記載の阻害剤。
(19B)前記免疫破綻は免疫不全を含む、項目18に記載の阻害剤。
(20)前記免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強は、制御性T細胞の増殖、制御性T細胞の免疫抑制活性の増強、制御性T細胞への分化、制御性樹状細胞の増殖、制御性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、制御性樹状細胞への分化、寛容性樹状細胞の増殖、寛容性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、寛容性樹状細胞への分化、骨髄由来免疫抑制性細胞の増殖、骨髄由来免疫抑制性細胞の免疫抑制活性の増強、骨髄由来免疫抑制性細胞への分化、疲弊T細胞の増殖、疲弊T細胞の免疫不全活性の増強、および疲弊T細胞の誘導からなる群より選択される少なくとも1つを含む、項目18に記載の阻害剤。

0011

本発明は以下をも提供する。
(A1)抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物であって、該抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48位〜100位、148〜162位、193〜216位、205〜228位、および272〜289位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A2)前記抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48位〜100位、148〜162位、、205〜228位および272〜289位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、項目A1に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A3)前記抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸148〜162位および205〜228位からなる群より選択される領域にエピトープを有する、項目A1またはA2に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A4)抗体#5−2(軽鎖:配列番号6;重鎖:配列番号8)、#5−3(軽鎖:配列番号10;重鎖:配列番号12)、抗体#5−8(軽鎖:配列番号14;重鎖:配列番号16)、#5−10(軽鎖:配列番号18;重鎖:配列番号20)、#5−43(軽鎖:配列番号22;重鎖:配列番号24)、#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#8−4(軽鎖:配列番号38;重鎖:配列番号40)、#8−7(軽鎖:配列番号42;重鎖:配列番号44)、#8−8(軽鎖:配列番号46;重鎖:配列番号48)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)、#22(軽鎖:配列番号62;重鎖:配列番号64)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A5)前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む、項目A4に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A6)前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号148;重鎖:配列番号150)および#33(軽鎖:配列番号156;重鎖:配列番号158)からなる群より選択される抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む、項目A4またはA5に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A7)前記抗体は、抗体#5−2(軽鎖:配列番号6;重鎖:配列番号8)、#5−3(軽鎖:配列番号10;重鎖:配列番号12)、抗体#5−8(軽鎖:配列番号14;重鎖:配列番号16)、#5−10(軽鎖:配列番号18;重鎖:配列番号20)、#5−43(軽鎖:配列番号22;重鎖:配列番号24)、#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#8−4(軽鎖:配列番号38;重鎖:配列番号40)、#8−7(軽鎖:配列番号42;重鎖:配列番号44)、#8−8(軽鎖:配列番号46;重鎖:配列番号48)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)、#22(軽鎖:配列番号62;重鎖:配列番号64)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の可変領域の全長を含む、項目A4〜A6のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A8)前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)からなる群より選択される抗体の可変領域の全長を含む、項目A4〜A7のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A9)前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号148;重鎖:配列番号150)および#33(軽鎖:配列番号156;重鎖:配列番号158)からなる群より選択される抗体の可変領域の全長を含む、項目A4〜A8のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A10)前記抗体は、抗体#5−2(軽鎖:配列番号96;重鎖:配列番号98)、#5−3(軽鎖:配列番100;重鎖:配列番号102)、抗体#5−8(軽鎖:配列番号104;重鎖:配列番号106)、#5−10(軽鎖:配列番号108;重鎖:配列番号110)、#5−43(軽鎖:配列番号112;重鎖:配列番号114)、#6−55(軽鎖:配列番号116;重鎖:配列番号118)、#7−34(軽鎖:配列番号120;重鎖:配列番号122)、#8−1(軽鎖:配列番号124;重鎖:配列番号126)、#8−4(軽鎖:配列番号128;重鎖:配列番号130)、#8−7(軽鎖:配列番号132;重鎖:配列番号134)、#8−8(軽鎖:配列番号136;重鎖:配列番号138)、#7(軽鎖:配列番号140;重鎖:配列番号142)、#10(軽鎖:配列番号144;重鎖:配列番号146)、#13(軽鎖:配列番号148;重鎖:配列番号150)、#22(軽鎖:配列番号152;重鎖:配列番号154)および#33(軽鎖:配列番号156;重鎖:配列番号158)からなる群より選択される抗体の全長またはそのヒト化配列を含む、項目A4〜A9のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A11)前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号116;重鎖:配列番号118)、#7−34(軽鎖:配列番号120;重鎖:配列番号122)、#8−1(軽鎖:配列番号124;重鎖:配列番号126)、#7(軽鎖:配列番号140;重鎖:配列番号142)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号148;重鎖:配列番号150)および#33(軽鎖:配列番号156;重鎖:配列番号158)からなる群より選択される抗体の全長またはそのヒト化配列を含む、項目A4〜A10のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A12)前記抗体は、抗体#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号148;重鎖:配列番号150)および#33(軽鎖:配列番号156;重鎖:配列番号158)からなる群より選択される抗体の全長またはそのヒト化配列を含む、項目A4〜A11のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A13)前記抗体は、ヒト化抗体である、項目A1〜A12のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A14)前記ヒト化抗体は、配列番号161、163、165および167(H(1)ヒト化重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)、配列番号169、171、173および175(H(2)ヒト化重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)または配列番号177、179、181および183(H(3)ヒト化重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)を含む重鎖フレームワーク配列および配列番号185、187、189および191(L(1)ヒト化軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)、配列番号231、233、235および237(L(2)ヒト化軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)または配列番号239、241、243および245(L(3)ヒト化軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)を含む軽鎖フレームワーク配列、または該重鎖フレームワーク配列および該軽鎖フレームワーク配列において、対応するニワトリ配列の重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4(配列番号206、207、208および209)および軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4(配列番号210、211もしくは214、212もしくは215および213)と相違するアミノ酸を1つ以上ニワトリ配列におけるアミノ酸に変異(バックミューテーション)させた配列を有する、項目A13に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A15)前記ヒト化抗体は、配列番号171、173、175および177(それぞれヒト化重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)、配列番号169、171、173および175(H(2)ヒト化重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)または配列番号177、179、181および183(H(3)ヒト化重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)を含む重鎖フレームワーク配列または該重鎖フレームワーク配列において、対応するニワトリ重鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号206、207、208および209)と相違するアミノ酸を1個〜8個ニワトリ配列におけるアミノ酸に変異させた配列を有し、配列番号185、187、189および191(それぞれL(1)ヒト化軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)、配列番号231、233、235および237(L(2)ヒト化軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)または配列番号239、241、243および245(L(3)ヒト化軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4)を含む軽鎖フレームワーク配列または該軽鎖フレームワーク配列において、対応するニワトリ軽鎖配列FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号210、211もしくは214、212もしくは215および213)と相違するアミノ酸を1個〜4個ニワトリ配列におけるアミノ酸に変異させた配列を有する、項目A13またはA14に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A16)前記相違するアミノ酸の少なくとも1つは、Vernier残基から選択される、項目A14またはA15に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A17)前記相違するアミノ酸のすべてが、Vernier残基から選択される、項目A14〜A16のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A18)前記抗体は、ヒト化抗体であって、H(2)−L(1)のH鎖FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号169、171、173および175)ならびにL鎖FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号185、187、189および191)を有する、項目A1〜A17のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物。
(A19)項目A1〜A18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む医薬。
(A20)項目A1〜A18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む抗がん剤。
(A21)項目A1〜A18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む転移性悪性腫瘍の治療剤。
(A22)項目A1〜A18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む、メラノーマ、大腸癌、乳癌、リンパ腫、肺癌、前立腺癌、腎癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、膵癌、膀胱癌、子宮頚部癌、脳中枢神経腫瘍、肉腫、白血病および多発性骨髄腫からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の治療剤。
(A23)項目A1〜A18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含むがん細胞の転移の阻害剤。
(A24)前記転移は、骨転移または肺転移を含む、項目A23に記載の阻害剤。
(A25)項目A1〜A18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む、間葉系幹細胞(MSC)による免疫破綻の増強の阻害剤。
(A26)前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、項目A25に記載の阻害剤。
(A27)前記免疫破綻の増強は、免疫抑制活性または免疫不全活性を有するMSC細胞の増殖、免疫活性または免疫不全抑制活性を有するMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の増強および免疫抑制活性または免疫不全活性を有しないMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の獲得の少なくとも1つを含む、項目A25またはA26に記載の阻害剤。
(A28)項目A1〜A18のいずれか1項に記載の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を含む、免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強の阻害剤。
(A29)前記免疫破綻は免疫抑制および免疫不全を含む、項目A28に記載の阻害剤。
(A30)前記免疫関連細胞の免疫破綻活性の獲得および/または増強は、制御性T細胞の増殖、制御性T細胞の免疫抑制活性の増強、制御性T細胞への分化、制御性樹状細胞の増殖、制御性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、制御性樹状細胞への分化、寛容性樹状細胞の増殖、寛容性樹状細胞の免疫抑制活性の増強、寛容性樹状細胞への分化、骨髄由来免疫抑制性細胞の増殖、骨髄由来免疫抑制性細胞の免疫抑制活性の増強、骨髄由来免疫抑制性細胞への分化、疲弊T細胞の増殖、疲弊T細胞の免疫不全活性の増強、および疲弊T細胞の誘導からなる群より選択される少なくとも1つを含む、項目A28またはA29に記載の阻害剤。
(A31)別のがん治療と組み合わせることを特徴とする、項目A19に記載の医薬、項目A20に記載の抗がん剤、項目A21もしくはA22に記載の治療剤、または項目A23〜A30のいずれかに記載の阻害剤。
(A32)前記別のがん治療は別の抗がん剤または放射線療法またはその両者を含む、項目A31に記載の医薬、抗がん剤、治療剤または阻害剤。

0012

本発明において、上述した1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解することにより、当業者に認識される。
[発明の効果]

0013

本発明は、FSTL1の阻害によって、癌細胞に作用して直接的に、あるいは、免疫を抑制する制御性T細胞(Treg)や骨髄由来免疫抑制性細胞(MDSC)等の免疫抑制性または免疫不全性の細胞の分化誘導、増殖、および/または免疫抑制活性または免疫不全活性の増強を促進する間葉系幹細胞(MSC)の増殖および分化誘導を抑制して間接的に、癌細胞の転移を効果的に抑制し、抑制困難と考えられている癌転移、特に、有効な治療法確立されていない骨転移をも効果的に抑制する。また、骨転移モデルだけに限らず、種々の動物がんモデルにおいても、Tregの分化誘導、腫瘍の増殖、転移、衰弱による体重減少などが抑制される。このように、本発明は、多局面にわたり有効な癌治療薬を提供する。また、免疫抑制または免疫不全も従来のものに比べて一斉に解除できることから、本発明は、広範囲の免疫抑制解除剤または免疫不全解除剤をも提供する。本発明の免疫抑制解除剤または免疫不全解除剤は、制御性T細胞や制御性樹状細胞など、一部の免疫抑制性細胞集団を除去あるいはその機能を阻害するものではないため、従来の免疫抑制解除剤の制約から広く解放され、疲弊T細胞に対する効果もあることから、免疫不全解除効果もあり、免疫破綻を解除する免疫破綻解除剤としても有用である。

図面の簡単な説明

0014

図1図1は、本発明の抗体についてのFSTL1に対する結合活性を示すグラフである(実施例2)。図1Aは、初期スクリーニングより得られたクローンのヒトFSTL1に対する結合活性をELISAによって評価したものを示す。白ひし形がクローン#5−2、×がクローン#5−4、黒三角がクローン#5−8、白丸がクローン#5−10、白四角がクローン#5−43、白三角がクローン#6−55、黒丸がクローン#7−34を示し、黒四角がコントロールである抗ジニトロフェニルDNP)抗体を示す。結合活性の強さは#5−10、#6−55、#7−34>#5−3>#5−8>#5−43であった。図1Bはマウスとヒトとの間の交差反応性調査したものである。図1Aで示した抗体の内、スクリーニングの際にマウスFSTL1にも反応性を示したクローンの結合活性を評価したものである。左にヒトFSTL1に対する結合活性を示し、右にマウスFSTL1に対する結合活性を示す。#6-55および#7-34ともヒトおよびマウスFSTL1にも強い結合活性を示した。図1では、抗体濃度は1000 ng/mlから希釈した。図2以降に示す実験では濃度をさらに希釈して実験を行った。
図2図2は、中期のスクリーニングより得られたクローンのヒトFSTL1に対する結合活性をELISAによって評価したものを示す(実施例2)。白四角はクローン#6−55、白三角はクローン#8−1、黒丸はクローン#8−4、黒三角はクローン#8−7、白ひし形はクローン#8−8を示す。比較として#6-55と共にアッセイを行っている。結合活性の強さはクローン#6−55、#8−1、#8−7>#8−4>#8−8であった。*図2における抗体濃度は125 ng/mlから希釈した。
図3図3は、マウスFSTL1を用いたパニングによって得られたクローンの結合活性を示すグラフである(実施例2)。図3Aの右側と左側、図3Bの右側と左側はそれぞれ同時に評価したものであるが、クローン数が多いために図の見易さを重視して二つに図を分けたものである。図3Aは、マウスFSTL1を用いたパニングによって得られたクローン(#7、#10、#13、#22、#33)も含め、ヒトFSTL1に対する結合活性をELISAによって評価したものである。左グラフでは、白四角はクローン#5−8、白三角はクローン#6−55、黒丸はクローン#7−34、黒三角はクローン#8−1、白ひし形はクローン#8−4、黒四角は抗DNP抗体を示す。右グラフでは、白四角はクローン#7、白三角はクローン#10、黒丸はクローン#13、黒三角はクローン#22、白ひし形はクローン#33、黒四角は抗DNP抗体を示す。ヒトFSTL1への結合活性の強さは#6−55、#7−34、#13>#8−1、#10>#8−4>#7、#33>#5−8>#22であった。抗DNP抗体は結合活性が観察されなかった。図3Bは、同上のクローンのマウスFSTL1に対する結合活性をELISAによって評価したものを示す。左グラフでは、白四角はクローン#5−8、白三角はクローン#6−55、黒丸はクローン#7−34、黒三角はクローン#8−1、白ひし形はクローン#8−4、黒四角は抗DNP抗体を示す。右グラフでは、白四角はクローン#7、白三角はクローン#10、黒丸はクローン#13、黒三角はクローン#22、白ひし形はクローン#33、黒四角は抗DNP抗体を示す。マウスFSTL1への結合活性の強さは#6−55、#7−34、#10、#13>#22>#7>#33>#8−1であった。#8-1が若干結合活性を示している。#5−8、#8−4、抗DNP抗体は全く結合活性を示さなかった。図3における抗体濃度は100ng/mlから希釈した。これらELISAによる結合活性の結果とin vitro評価を元に、in vivo評価に供試する有望なクローンを絞り込んだ(#6−55、#7−34、#8−1)。更に新たなパニングによって得られたクローン(#7、#10、#13、#22、#33)もin vivo評価の対象とした。
図4図4は、欠損変異体(デリションミュータント)および推定エピトープを示す(実施例3)。図4上段はヒトFSTL1の模式図と欠損部位の位置を示す。これらヒトFSTL1の欠損体を抗原に用いたELISAにより、各クローンのエピトープの推定箇所を特定した。図4下段は、取得したクローンと特許文献1(WO2009/028411)の実施例で評価されているR&D Systems社のラット抗FSTL1抗体の推定エピトープとの対比を表に示す。さらにヒトおよびマウスに交差反応性を示すクローン(強い結合活性;○、弱い結合活性;△)を記載した。結合活性の強いまたは弱いの基準は、12.5ng/mlの濃度でヒトおよびマウスの両方に結合活性がみられるものを「強い」と分類し、それより高い濃度でヒトおよびマウスの両方に初めて結合活性がみられるものを「弱い」とした。
図5図5は、FSTL1の抑制による間葉系幹細胞(MSC)および骨転移に関する効果を示す結果である(実施例6〜7)。図5Aは、FSTL1によるマウス骨髄由来間葉系幹細胞誘導効果に及ぼす抗体の影響を示す(実施例6)。間葉系幹細胞(MSC)のマーカーCD45陰性細胞比率フローサイトメトリーにより解析し、細胞の割合と数を示した。左からグラフに示したクローンを示し、右から3番目コントロール抗体(抗DNP抗体)、2番目に抗原のみ、一番右に何も加えないサンプルを示す。コントロール抗体(抗DNP抗体)と比較し、全ての抗体クローンがFSTL1の作用に阻害活性を示した。その中でもクローン#5−3、#5−8、#7−34がより高い阻害活性を示し、FSTL1の作用をほぼ完全に阻害した。図5Bは、FSTL1によるヒト膵癌細胞株Panc1におけるRANKLおよびCCR2陽性細胞の誘導効果に及ぼす抗体の影響を示す(実施例7)。骨転移マーカーとして知られている分子の中からRANKLとCCR2の発現をフローサイトメトリーで解析し、陽性細胞の数をグラフに示した。左からグラフに示したクローンを示し、右から3番目にコントロール抗体(抗DNP抗体)、2番目に抗原のみ、一番右に何も加えないサンプルを示す。コントロ
ル抗体(抗DNP抗体)と比較し、全ての抗体クローンが阻害活性を示した。特にクローン#5−3、#5−8がより高い阻害活性を示している。
[図6−1]図6もまた、FSTL1の抑制による間葉系幹細胞および骨転移に関する効果を示す結果である(実施例8〜11)。図6Aは、FSTL1によるマウス骨髄由来間葉系幹細胞の誘導効果に及ぼす抗体の影響を示す(実施例8;FSTL1濃度は低濃度の20ng/mlとした)。間葉系幹細胞(MSC)のマーカーCD45陰性細胞比率をフローサイトメトリーにより解析し、細胞の割合と数を示した。右からグラフに示したクローンを示し、左から3番目にコントロール抗体(抗DNP抗体)、2番目に抗原のみ、一番左に何も加えないサンプルを示す。クローン#5−8、#5−43、#6−55、#8−1、#8−8で阻害活性が認められた。図6Bは、FSTL1によるヒト膵癌細胞株Panc1におけるRANKLおよびCCR2陽性細胞の誘導効果に及ぼす抗体の影響を示す(実施例9;FSTL1濃度は低濃度の20ng/mlとした)。骨転移マーカーとして知られている分子の中からRANKLおよびCCR2の発現をフローサイトメトリーで解析し、陽性細胞の数をグラフに示した。右からグラフに示したクローンを示し、左から3番目にコントロール抗体(抗DNP抗体)、2番目に抗原のみ、一番左に何も加えないサンプルを示す。クローン#5−8、#6−55がより高い阻害活性を示している。
[図6−2]図6Cは、FSTL1によるヒト膵癌細胞株Panc1における RANKLおよびCCR2陽性細胞の誘導効果に及ぼす抗体の影響を示す(実施例10)。間葉系幹細胞(MSC)のマーカーCD45陰性細胞比率をフローサイトメトリーにより解析し、細胞の割合と数を示した。右からグラフに示したクローンを示し、左から3番目にコントロール抗体(抗DNP抗体)、2番目に抗原のみ、一番左に何も加えないサンプルを示す。コントロール抗体(抗DNP抗体)と比較し、いずれの抗体クローンも阻害活性を示した。特に、クローン#5−2、#6−55、#8−4、#8−7がより高い阻害活性を示した。図6Dは、FSTL1によるヒト膵癌細胞株Panc1におけるRANKLおよびCCR2陽性細胞の誘導効果に及ぼす抗体の影響を示す。ここでは、抗体用量依存試験を行った(実施例11)。骨転移マーカーとして知られている分子の中からRANKLとCCR2の発現をフローサイトメトリーで解析し、陽性細胞の数をグラフに示した。コントロール抗体(抗DNP抗体)と比較し、クローン#6−55が阻害活性を示したが、抗体の用量依存性は認められなかった。右からグラフに示したクローンを示し、左から3番目にコントロール抗体(抗DNP抗体)、2番目に抗原のみ、一番左に何も加えないサンプルを示す。クローン#6−55はRANKL陽性細胞とCCR2陽性細胞の両方の細胞誘導を、同時に強く阻害した。
図7図7は、FSTL1によるマウス骨髄由来間葉系幹細胞の誘導効果に及ぼす抗体の影響を示す(実施例12;FSTL1濃度は低濃度の20ng/mlを使用した)。間葉系幹細胞(MSC)のマーカーCD45陰性細胞比率をフローサイトメトリーにより解析し、細胞の割合と数を示した。右からグラフに示したクローンを示し、左から3番目にコントロール抗体(抗DNP抗体)、2番目に抗原のみ、一番左に何も加えないサンプルを示す。コントロール抗体(抗DNP抗体)と比較し、全ての抗体クローンがFSTL1の作用に阻害活性を示した。特に、クローン#7−34、#5−2、#6−55、#8−7の順で強い阻害活性が認められた。
図8図8は、in vivo用に製造した抗FSTL1抗体および抗PD-L1抗体の活性評価を示す(実施例13)。マウス骨髄細胞にFSTL1と各抗体を添加して培養し、MSCを高確率に含む「CD45陰性細胞」(左グラフ)、癌転移に伴って増加するMSC「CD45陰性、ALCAM陽性、CD271陽性細胞」(中グラフ)、骨髄由来免疫抑制性細胞(MDSC)「CD11b陽性、Gr1陽性、ALCAM陽性細胞」(右グラフ)をフローサイトメトリーにより解析し、細胞数を示した。各グラフにおいて、左端に何も加えないもの、左から2番目にコントロール抗体、右に抗PD−L1抗体を示し、中の4クローンはそれぞれの抗FSTL1抗体を示す。いずれもコントロール抗体と比べ、これまでの結果と同様に高い阻害活性を示したことから、in vivo用に製造されたこれらの抗体も妥当な抗体であることが示された。また、PD-L1はMSCに発現しておりMSCの誘導に影響を及ぼすことは予想されるが、阻害活性は抗FSTL1抗体の方が強いことが示された。
図9図9Aは、図8と同様の試験を別のクローン(各グラフに記載のクローン)によって行った結果を示す(実施例14)。図8同様、マウス骨髄細胞にFSTL1と各抗体を添加して培養し、MSCを高確率に含む「CD45陰性細胞」(左グラフ)、癌転移に伴って増加するMSC「CD45陰性、ALCAM陽性、CD271陽性細胞」(中グラフ)、骨髄由来免疫抑制性細胞(MDSC)「CD11b陽性、Gr1陽性、ALCAM陽性細胞」(右グラフ)をフローサイトメトリーにより解析し、細胞数を示した。各グラフにおいて、左端に何も加えないもの、左から2番目にコントロール抗体(抗DNP抗体)、右端に抗PD−L1抗体を示し、中の4クローンはそれぞれの抗FSTL1抗体を示す。結果、コントロール抗体と比較して、全てのクローンがFSTL1によるMSC、癌関連MSC、MDSCの誘導に対して阻害活性を示した。中でも、#13、#33はポジティブコントロール(#6‐55)と同等以上の阻害活性を示した。#13と#6‐55はエピトープが同じ領域であるため、妥当な結果と思われる。図9Bは、脂肪細胞への分化能を有するMSC誘導の阻害活性を解析した結果を示す。グラフにおいて、左端に何も加えないもの、左から2番目にコントロール、続いて抗FSTL1抗体クローンを示す。いずれの抗FSTL1抗体クローンにおいても、FSTL1による脂肪細胞への分化能を有するMSCの分化誘導に対して阻害活性を示した。
図10図10は特許文献1(WO2009/028411)の実施例で評価されているR&D Systems社製の抗FSTL1抗体との活性比較を示す(実施例15〜16)。(A)#6−55(マウスキメラ抗体)とR&D Systems社製の抗FSTL1抗体(ラット抗体;R&Dと表示)とで比較するために用量依存性試験を行い、図8と同様にFSTL1の作用の阻害活性を解析した結果を示す(実施例15)。図10Aは図8同様、マウス骨髄細胞にFSTL1と各抗体を添加して培養し、MSCを高確率に含む「CD45陰性細胞」(左グラフ)、癌転移に伴って増加するMSC「CD45陰性、ALCAM陽性、CD271陽性細胞」(中グラフ)、骨髄由来免疫抑制性細胞(MDSC)「CD11b陽性、Gr1陽性、ALCAM陽性細胞」(右グラフ)をフローサイトメトリーにより解析し、細胞数を示した。各グラフにおいて、左端に何も加えないもの、左から2番目にマウスコントロール抗体、左から3番目にラットコントロール抗体を示す。2クローンはそれぞれの抗FSTL1抗体を示し、数値は用いた抗体量(μg/mL)を示す。R&D社製の抗体は#6-55と同等レベルでFSTL1による各細胞の誘導の阻害活性を示した。用量依存性の効果は認められなかった。各アイソタイプ抗体を基準とすれば、#6−55の阻害活性の方がやや優位かと考えられる。図10Bは脂肪細胞への分化能を有するMSC誘導の阻害活性を解析した結果を示す(実施例16)。グラフにおいて、左端に何も加えないもの、左から2番目にマウスコントロール抗体、左から3番目にラットコントロール抗体を示す。2クローンはそれぞれの抗FSTL1抗体を示し、数値は用いた抗体量(μg/mL)を示す。#6-55により、脂肪細胞への分化能をもつMSCの誘導が抗体用量依存的に阻害された。他方、R&D社製の抗体は阻害活性を示さなかったことから、#6−55の抗体の優位性が認められた。なお、脂肪細胞への分化能は、免疫抑制を誘導する癌関連MSC(図10Aの中央の細胞にも示されている細胞)の機能の一つである。図10Aと図10Bとの比較から以下のことがいえる。すなわち、マウスコントロール抗体(マウス由来タンパク質)を投与した場合と比べて、ラットコントロール抗体という「ラット由来のタンパク質」をマウスの生体内に投与した際に、それ自体の反応が低下していることがわかる(特に10A中央の図)。これは、マウスの骨髄細胞を使ったための異物に対する免疫反応が若干生じたためと推測されるが、同じ「ラット由来タンパク質」であるR&D社のFSTL1抗体を投与した場合は、本来は、このラットコントロール抗体投与群と比較するのが妥当であるところ、それぞれのコントロールタンパク質に対する『抑制率』を考えると、マウスコントロール抗体投与群に対する6-55の抑制率に比べて、ラットコントロール抗体投与群に対するR&D社のFSTL1抗体の抑制率は小さく、実は、#6-55の方が優位であることが示唆される。FSTL1によって誘導されたCD45陰性MSCの全てが免疫抑制を引き起こす癌関連MSCではなく、数種類のマーカーや脂肪細胞への分化能などで同定する必要がある。本発明の抗体はFSTL1の作用を阻害することで癌関連MSCの誘導を強く阻害することができると言える。
[図11−1]図11は、in vivoにおける抗体活性評価を示しており(実施例17)、Snail強制発現マウスメラノーマ細胞(B16-F10)をC57BL/6Nマウスの皮下および静脈内に移植した骨転移モデルを用いて、抗腫瘍効果ならびに免疫抑制解除効果を比較解析した結果を示す。被験対象である抗FSTL1抗体は、腫瘍内へ投与した。0日目にGFP陽性Snail陽性B16-F10腫瘍細胞(皮下5x105個&静脈内1x105個)を移植し、7日目に抗体を皮下腫瘍内に投与(200 μg/0.1 mL/tumor)、14日目に各種アッセイを行った。図11A(骨髄内に転移した腫瘍細胞数)は、骨髄細胞中におけるGFP陽性腫瘍細胞の割合%をフローサイトメトリーで解析した後、このデータをもとにマウス1匹当たりのGFP陽性腫瘍細胞数(×106細胞)を計数した結果で、骨転移に対する各種抗体の効果(骨転移が抑制されていること)を示している。図11B(骨髄内のCD45陰性細胞数)は、骨髄細胞中におけるCD45陰性細胞の割合%をフローサイトメトリーで解析した後、このデータをもとにマウス1匹当たりのCD45陰性骨髄細胞数(×106細胞)を計数した結果で、骨髄中のMSC増加に対する各種抗体の効果(骨髄内のMSC増加が抑制されていること)を示している。両棒グラフについて、上から、処置なし、コントロール抗体、クローン#6−55、#7−34および#8−1を投与した群を示す。図11C(マウス個体腫瘍体積)は、腫瘍移植7、11、14日後に測定したマウス個体別(1線が1マウス)の腫瘍体積であり、腫瘍増殖に対する各種抗体の効果(皮下に移植した腫瘍増殖が抑制されていること)を示す。左から処置なし、コントロール抗体、クローン#6−55、#7−34および#8−1を投与した群を示す。括弧内の数値および線上の数値(Pと表示)は統計学的有意に関するp値を示す(14日目)。横軸日数を示す。縦軸は腫瘍体積(mm3)を示す。3種の抗FSTL1抗体ともに対照抗体に対して有意に皮下腫瘍の増殖を抑制した。しかし、骨転移は、#6-55と#8-1によってのみ抑制され、#7-34による抑制効果は全く見られなかった。
[図11−2]図11は、in vivoにおける抗体活性評価を示しており(実施例17)、Snail強制発現マウスメラノーマ細胞(B16-F10)をC57BL/6Nマウスの皮下および静脈内に移植した骨転移モデルを用いて、抗腫瘍効果ならびに免疫抑制解除効果を比較解析した結果を示す。被験対象である抗FSTL1抗体は、腫瘍内へ投与した。0日目にGFP陽性Snail陽性B16-F10 腫瘍細胞(皮下5x105個&静脈内1x105個)を移植し、7日目に抗体を皮下腫瘍内に投与(200 μg/0.1 mL/tumor)、14日目に各種アッセイを行った。図11Dは、脾臓内の細胞集団の変化を示す。腫瘍内という局所に抗体を投与しても、全身に修飾/影響を受けることを提示する。左は、CD45陰性細胞数を示し脾臓内でもMSCが減少していることを示す。中央は、CD4陽性Foxp3陽性T細胞数を示し、Tregが減少していることを示す。右はCD8陽性Tim3陽性T細胞数を示し、疲弊CD8陽性T細胞が減少していることを示す。ここで、疲弊とは、機能が低下または不全に陥っている状態を示し、Tim3はその状態を反映するマーカーの一つである。腫瘍細胞を殺傷すべきCD8陽性T細胞が疲弊状態に陥れば、癌細胞は生体内から排除できないということになる。
[図12−1]図12もまた、in vivoにおける抗体活性評価を示す(実施例18)。in vivoにおける抗体活性評価を示しており、Snail強制発現マウスメラノーマ細胞(B16-F10)をC57BL/6Nマウスの皮下および静脈内に移植した骨転移モデルを用いて、抗腫瘍効果ならびに免疫抑制解除効果を比較解析した結果を示す。被験対象である抗FSTL1抗体は、腹腔内投与した(全身投与)。0日目にGFP陽性Snail陽性B16-F10 腫瘍細胞(皮下5x105個&静脈内1x105個)を移植し、5日目に抗体を腹腔内投与(1回目、200 μg/mouse=10 mg/kg 相当)し、10日目に抗体を腹腔内投与(2回目、200μg/mouse=10mg/kg 相当)し、14日目に各種アッセイを行った。図12A左(骨髄内に転移した腫瘍細胞数)は、骨髄細胞中におけるGFP陽性腫瘍細胞の割合%をフローサイトメトリーで解析した後、このデータをもとにマウス1匹当たりのGFP陽性腫瘍細胞数(×106細胞)を計数した結果で、骨転移に対する各種抗体の効果(骨転移が抑制されていること)を示している。図12A中央(骨髄内のCD45陰性細胞数)は、骨髄細胞中におけるCD45-細胞の割合%をフローサイトメトリーで解析した後、このデータをもとにマウス1匹当たりのCD45陰性骨髄細胞数(×106細胞)を計数した結果で、骨髄中のMSC増加に対する各種抗体の効果(骨髄内のMSC増加が抑制されていること)を示している。図12A右(マウス体重)は体重変化に対する効果(骨転移によりマウスが衰弱するが、その指標の一つとして体重を計測したところこれが抑制されていることが示されること)を示す。図12Aの棒グラフについて、上から処置なし、コントロール抗体、クローン#6−55、#7−34および#8−1を投与した群を示す図12Bの5グラフは、腫瘍移植7、11、14日後に測定したマウス個体別(1線が1マウス)の腫瘍体積であり、腫瘍増殖に対する各種抗体の効果を示す。左から処置なし、コントロール抗体、クローン#6−55、#7−34および#8−1を投与した群を示す。括弧内の数値および線上の数値(Pと表示)は統計学的有意に関するp値を示す(14日目)。横軸は日数を示す。縦軸は腫瘍体積(mm3)を示す。被験対象である抗FSTL1抗体3種の抗FSTL1抗体ともに対照抗体に対して有意に皮下腫瘍の増殖を抑制した。加えて、#6-55および#8-1の投与により、体重減少抑制効果が認められた。
[図12−2]図12もまた、in vivoにおける抗体活性評価を示す(実施例18)。in vivoにおける抗体活性評価を示しており、Snail強制発現マウスメラノーマ細胞(B16-F10)をC57BL/6Nマウスの皮下および静脈内に移植した骨転移モデルを用いて、抗腫瘍効果ならびに免疫抑制解除効果を比較解析した結果を示す。被験対象である抗FSTL1抗体は、腹腔内投与した(全身投与)。0日目にGFP陽性Snail陽性B16-F10 腫瘍細胞(皮下5x105個&静脈内1x105個)を移植し、5日目に抗体を腹腔内投与(1回目、200 μg/mouse=10 mg/kg 相当)し、10日目に抗体を腹腔内投与(2回目、200 μg/mouse=10 mg/kg 相当)し、14日目に各種アッセイを行った。図12Cは脾臓内の細胞集団の変化を示す。図12C左上は、GFP陽性腫瘍細胞数であり、脾臓内への転移も調べた結果、これも抑制されていたことを示す。これは、その他の臓器への転移を示す。上右は、CD45陰性細胞数であり、脾臓内でもMSCが減少することを示す。下左はCD4陽性Foxp3陽性T細胞数であり、Tregが減少することを示す。下右は CD8陽性Tim3陽性T細胞数であり、疲弊CD8陽性T細胞が減少することを示す。
図13図13もまた、in vivoにおける抗体活性評価を示す(実施例19)。本図では、マウスメラノーマSnail強制発現B16-F10細胞移植骨転移モデルを用いた既存の免疫抑制解除抗体薬と抗FSTL1抗体との薬効比較が示される。図13Aは、各種抗体の腫瘍容積に対する効果を時間経過とともに示す。腫瘍移植8、11、15日後に測定したマウス個体別(1線が1マウス)の腫瘍体積であり、腫瘍増殖に対する各種抗体の効果を示す。左から処置なし、コントロール抗体、抗FSTL1抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-1抗体、抗PD−L1抗体を示す。括弧内の数値および線上の数値(Pと表示)は統計学的有意に関するp値を示す(15日目)。横軸は日数を示す。縦軸は腫瘍体積(mm3)を示す。Day 0でGFP陽性Snail陽性B16-F10 腫瘍細胞の移植(皮下5x105個&静脈内1x105個)を行い、Day 4で抗体の腹腔内投与-1(200 μg/mouse=10 mg/kg 相当)を行い、Day 8で抗体の腹腔内投与-2(200 μg/mouse=10 mg/kg 相当)を行い、Day 15で各種アッセイを行った。図13B左は、骨転移に対する効果(GFP陽性細胞数(106/マウス))を示し、図13B中央は骨髄中MSCの増加に対する効果(CD45陰性細胞数((106/マウス))について示す。図13B 右は体重変化(体重(g))に対する効果を示す。図13Bはいずれも、上から、処置なし、コントロール抗体、抗FSTL1抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-1抗体、抗PD−L1抗体を示す。対照抗体として、以下の既存の抗体薬を用いた。Anti-CTLA4 mAb (Clone 9H10, BioLegend); Anti-PD-1 mAb (Clone 29F.1A12, BioLegend);Anti-PD-L1 mAb (Clone 10F.9G2, BioLegend)。いずれの治療群においても皮下腫瘍増殖や骨転移、骨転移に伴って増加する間葉系幹細胞(MSC)の増加は全て対照抗体投与群に比較して有意に抑制され、抗FSTL1抗体も既存薬と同等の抗腫瘍効果を発揮することがわかった。しかし、抗CTLA4抗体投与群と抗PD-1抗体投与群では、骨転移によって生じる著しい毛羽立ち運動量低下、体重減少などの衰弱は改善されず、抗FSTL1抗体投与群、抗PD-L1抗体投与群との間に肉眼的にも大きな差が見られた。
図14図14もまた、in vivoにおける抗体活性評価を示す(実施例20)。本図では、マウス大腸癌CT26細胞移植モデルを用いた抗FSTL1抗体の薬効評価が示される。
図14Aは、3つのグラフとも腫瘍増殖に対する効果を示す。腫瘍移植7、11、14日後に測定したマウス個体別(1線が1マウス)の腫瘍体積であり、腫瘍増殖に対する各種抗体の効果を示す。左は処置なし、中央はコントロール抗体(抗DNP抗体)、右は抗FSTL1抗体(#6−55)を示す。括弧内の数値および線上の数値(Pと表示)は統計学的有意に関するp値を示す(14日目)。横軸は日数を示す。縦軸は腫瘍体積(mm3)を示す。Snail+腫瘍骨転移モデル以外のマウス腫瘍モデルを用いて薬効評価を行った。本実施例では、これまで使用してきたマウスであるC57BL/6とは系統が異なるBALB/cマウスの担癌モデルを用いて、抗FSTL1抗体の薬効を評価している。図14Bは、肺転移結節数に関する結果を示す。左から、処置なし、中央はコントロール抗体(抗DNP抗体)、右は抗FSTL1抗体を示す。縦軸は肺転移結節数を示す。縦軸の数値には標準偏差バーを示す。抗FSTL1抗体(#6−55)は、CT26 皮下腫瘍の増殖や肺転移を極めて強く抑制し、5匹中3匹のマウスで固形腫瘍消失し、肺転移結節数もごくわずかであった(対照抗体群平均で14個vs.抗FSTL1抗体群はおよそ0-3個)。この結果から、「骨」への転移だけでなく、「肺」への転移も阻害するというデータも示されたことから、本発明の抗体は、癌転移一般に有効であるものと理解される。
図15図15もまた、in vivoにおける抗体活性評価を示す(実施例21)。本図ではマウス乳癌4T1細胞移植モデルを用いた抗FSTL1抗体の薬効評価が示される。3つのグラフとも腫瘍増殖に対する効果を示す。腫瘍移植4、7、11、14日後に測定したマウス個体別(1線が1マウス)の腫瘍体積であり、腫瘍増殖に対する各種抗体の効果を示す。左は処置なし、中央はコントロール抗体、右は抗FSTL1抗体(#6−55)を示す。括弧内の数値および線上の数値(Pと表示)は統計学的有意に関するp値を示す(14日目)。横軸は日数を示す。縦軸は腫瘍体積(mm3)を示す。Day 0に腫瘍細胞の移植(皮下5x105個&静脈内5x105個)を行い、Day 4および7に抗体の腹腔内投与(10mg/kg)を行い、Day 14に薬効評価(皮下腫瘍増殖)を行った。Snail陽性腫瘍骨転移モデル以外のマウス腫瘍モデルを用いて薬効評価を行った。なお、これまで使用してきたマウスであるC57BL/6とは系統が異なるBALB/c マウスの担癌モデルを用いて、抗FSTL1抗体の薬効を評価した。抗FSTL1抗体(#6-55)の投与によって、4T1皮下腫瘍の増殖を有意に抑制できた。
図16図16Aもまた、in vivoにおける抗体活性評価を示す(実施例22)。
本図ではマウスメラノーマB16-F10を用いた抗FSTL1抗体の薬効評価が示される。左パネルの2つのグラフとも腫瘍増殖に対する効果を示す。腫瘍移植6、10、14日後に測定したマウス個体別(1線が1マウス)の腫瘍体積であり、腫瘍増殖に対する各種抗体の効果を示す。左はコントロール、右は抗FSTL1抗体(#6−55)を示す。括弧内の数値および線上の数値(Pと表示)は統計学的有意に関するp値を示す(14日目)。横軸は日数を示す。縦軸は腫瘍体積(mm3)を示す。図16Bは体重変化に対する効果を示す。左はコントロール抗体、中央は抗FSTL1抗体、右は腫瘍細胞を投与していない未処置の個体を示す。縦軸は腫瘍体積(g)を示す。Snail陽性腫瘍骨転移モデルと同じC57BL/6マウス系の他の担癌モデルを用いて、抗FSTL1抗体の薬効評価を行った。なお、『マウスメラノーマB16-F10』は、これまで用いていた骨転移モデルで移植していたSnail強制発現細胞株親株である。対照抗体投与群と比較し、抗FSTL1抗体(#6-55)の投与によって、皮下腫瘍増殖は強く抑制された。また、体重減少についても抑制活性を示した。
図17図17もまた、in vivoにおける抗体活性評価を示す(実施例23)。本図では、マウスリンパ腫EL4を用いた抗FSTL1抗体の薬効評価が示す。2つのグラフとも腫瘍増殖に対する効果を示す。腫瘍移植3、6、10日後に測定したマウス個体別(1線が1マウス)の腫瘍体積であり、腫瘍増殖に対する各種抗体の効果を示す。左はコントロール抗体、右は抗FSTL1抗体を示す。括弧内の数値および線上の数値(Pと表示)は統計学的有意に関するp値を示す(14日目)。横軸は日数を示す。縦軸は腫瘍体積(mm3)を示す。FSTL1発現が増強されている癌種の一つであるマウスリンパ腫EL4を用いて、抗FSTL1抗体の薬効評価を行った。対照抗体投与群と比較し、抗FSTL1抗体(#6-55)の投与によって、皮下腫瘍増殖は強く抑制された。本モデルでは、他の腫瘍モデルと比較して皮下腫瘍は極めてaggressiveな増殖を示すが、それでも抗FSTL1抗体投与は対照抗体投与群に比し有意に抑制した。
図18図18もまた、in vivoにおける抗体活性評価を示す(実施例24)。本図では、マウスメラノーマB16-F10を用いた抗FSTL1抗体の薬効評価が示される。4つのグラフとも腫瘍増殖に対する効果を示す。腫瘍移植6、10、14日後に測定したマウス個体別(1線が1マウス)の腫瘍体積であり、腫瘍増殖に対する各種抗体の効果を示す。左端はコントロール抗体、左から2番目は1mg/kgの抗FSTL1抗体、右から2番目は3mg/kgの抗FSTL1抗体、そして右端は10mg/kgの抗FSTL1抗体を示す。括弧内の数値および線上の数値(Pと表示)は統計学的有意に関するp値を示す(14日目)。横軸は日数を示す。縦軸は腫瘍体積(mm3)を示す。図16の図の実験と同様の試験系にて、抗FSTL1抗体の薬効評価を行った。ただし、今回はよりクリアな反応性を評価するために皮下移植のみ行った。検討したいずれの用量でも、抗FSTL1抗体投与は
対照抗体投与群に比較して皮下腫瘍増殖を強く抑制し、3mg/kg投与群と10mg/kg投与群では腫瘍消失マウスが観察され、ほぼ用量依存的な薬効が観察された。
図19図19は、本発明の抗FSTL1抗体(#6−55)と、既知の抗FSTL1抗体(R&D Systems社、Cat. No. MAB1694、clone 229007)とを含む実験系で%CD4+Foxp3+CTLA+細胞を指標に活性を測定したTreg誘導実験の結果である。◎、○および△は統計学的有意であり、それぞれ30%以上の減少、10%〜30%の減少および10%未満の減少を示し、×は統計学的には有意差はなかったことを示す。
図20図20は、抗FSTL1 抗体の種々の機能を見た結果である。パネルAでは、様々なヒト腫瘍細胞増殖能浸潤能に及ぼす抗FSTL1 抗体の影響の結果を示す。パネルAの上段は増殖の結果を示し、下段は浸潤の結果を示す。左からPanc1、MIAPaCa、MDA231、Hs294を示す。グラフは、上段では、3日に培養した後の細胞数(×103)を示す。下段では、3日間抗体で処理した腫瘍細胞の細胞数を示す。上段では、それぞれのグラフ中上からなにもなし(None)、コントロールIgG、および抗FSTL1抗体を示す。下段ではそれぞれのグラフ中上がコントロールIgG、下が抗FSTL1抗体を示す。これらから、Snail+腫瘍細胞はきわめて転移性の高いことが明らかになった。パネルBでは、FSTL1刺激下における抗FSTL1 抗体の作用を示す。左は増殖能および右は浸潤能を示す。いずれも左から、何も添加していない(None)、左から2番目はFSTL1(50ng/ml)
の存在下で、左からなにもなし、マウスIgG、抗FSTL1抗体(#6−55)を示す。パネルC〜Dでは、Snail 強制発現細胞に対する抗FSTL1 抗体の作用を示す。Cの左からMatrigel浸潤、CCR2発現、RANKL発現の結果を示す。いずれも左から、Snailを強制発現させていない親株のPanc1細胞(Mock)、左から2番目から右端は抗FSTL1抗体(50ng/ml)の存在下で、左からなにもなし、マウスIgG、抗FSTL1抗体(#6−55)を示す。パネルDでは、マウスメラノーマB16t−F10でのSnailトランスフェクタントでの結果を示す。いずれも左から、抗体(Mock)、左から2番目から右端はFSTL1(50ng/ml)の存在下で、左からなにもなし、マウスIgG、抗FSTL1抗体(#6−55)を示す。
図21図21は、マウス骨髄細胞を用いたMSC誘導阻害試験の結果を示す。パネルAでは、左からCD45+MSC細胞、右はCD45+CD146+ALCAM+sMSCを示す。左から、なにもなし、左から2番目から右端はFSTL1(20ng/ml)での結果であり、左から2番めから、イムノグロブリンなし、マウスイムノグロブリンあり、本発明の抗体#6−55、#7、#10、#13、#33のものを示す。パネルBでは、CD45−MSC細胞、CD45−ALCAM+ sMSC細胞、スフェアコロニー自己新生能)を示す。左端はF10−mockを示し、左から2番目から右端はF10−snail+を示す。左から2番目から順にイムノグロブリンなし、マウスイムノグロブリン、抗FSTL1抗体での結果を示す。結果は左グラフおよび中グラフは細胞数で示される。スフェアコロニーは、コロニー数を示す。スフェアコロニーは3つあるグラフのうち左は総数、中は大きなコロニー(>50細胞)、右は小さなコロニー(10〜50細胞)を示す。
図22図22は、マウス脾臓細胞を用いたTreg誘導阻害試験結果を示す。グラフは、CD4+細胞中のFoxp3+CTLA4+細胞の割合を示す。左端はなにもなし、左から2番目〜右端はFSTL(5ng/ml)の存在下での実験である。左から2番目からそれぞれマウスイムノグロブリン、本発明の抗体#6−55、#7、#10、#33を示す。
図23図23は、新たに作製されたエピトープの異なる抗FSTL1抗体3 種(#7、#10、#33)について、マウス腫瘍活性化に対する阻害活性の評価を示す。左上は細胞接着、右上は細胞浸潤、左下はCCR2発現、右下はRANKL発現を示す。それぞれのグラフ中、左からなにもなし、コントロールイムノグロブリン、本発明の抗体#6−55、#7、#10、#33を示す。*は統計学的有意(p<0.05)を示す。
[図24−1]図24(図24−1〜24−4)は、Snail+腫瘍骨転移モデルを用いて、既に臨床で使用されている免疫解除薬抗体と抗FSTL1 抗体とのin vivo 薬効比較をした結果である。図24−1は、上段に腫瘍増殖、下段に骨転移、骨髄中のsMSC、脾臓中のsMSCを示す。上段の腫瘍増殖では左から、処置なし、コントロール、抗CTLA4抗体、抗PD1抗体、抗PD−L1抗体、および抗FSTL1抗体を示す。統計学的有意かどうかはp値を示すことによって表示する。x軸は腫瘍移植後の日数である(なおp値は14日目の値である)。y軸は腫瘍の容積(mm3)である。骨転移、2種のsMSCグラフトも、上から処置なし、コントロール、抗CTLA4抗体、抗PD1抗体、抗PD−L1抗体、および抗FSTL1抗体、ナイーブ(腫瘍無モデル)を示す。横軸はそれぞれGFP+腫瘍細胞の数、CD45-ALCAM+細胞の数およびCD45-ALCAM+細胞の数を示す。
[図24−2]図24—2は、腫瘍内に浸潤した抗腫瘍免疫を担う細胞群を示す。左から、CD4+T 細胞(CD45+CD3+CD4+細胞)、腫瘍特異的CD8+T細胞(CD45+CD8+テトラマー+)、活性化NK 細胞(CD45+NK1.1+NKG2D+)を示す。上段は、陽性細胞割合を示し。下段はmm3当たりの細胞数を示す。各々のグラフとも、上から処置なし、コントロール、抗CTLA4抗体、抗PD1抗体、抗PD−L1抗体、および抗FSTL1抗体を示す。
[図24−3]図24−3は、図24−2と同様の実験であり、腫瘍内に浸潤した免疫抑制性T 細胞群ならびに皮下腫瘍内における高転移性腫瘍細胞についての結果を示す。左から、CD4+Treg(CD45+CD4+Foxp3+Tregs)、MDSCs(CD45+CD11b+Gr1+MDSCs)、EMTを生じている腫瘍細胞(Snail+CD44+腫瘍)を示し、グラフの説明は図24−2と同様である。上から処置なし、コントロール、抗CTLA4抗体、抗PD1抗体、抗PD−L1抗体、および抗FSTL1抗体を示す。
[図24−4]図24−4は、脾臓内における免疫細胞群の結果を示す。左から、腫瘍特異的CD8+T 細胞(CD3+CD8+テトラマー+CTLs)、CD4+Treg(CD4+CTLA4+Foxp+Tregs)、CD8+Treg(CD8+CTLA4+Foxp3+Tregs)を示す。グラフは脾臓当たりの細胞数(×106で表示)を示す。上から処置なし、コントロール、抗CTLA4抗体、抗PD1抗体、抗PD−L1抗体、および抗FSTL1抗体を示す。
図25図25は、マウス肺癌モデルを用いて薬効を評価(腫瘍増殖、体重および骨髄中のsMSC数)した結果である。腫瘍増殖では、統計学的有意はp値で示す。左はコントロールであり、抗FSTL1抗体は右に示す。横軸は腫瘍移植後の日数であり、縦軸は腫瘍容積(mm3)を示す。中グラフは動物の体重を示す。左からコントロール、抗体FSTL1抗体、ナイーブを示す。体重はgで表す。右グラフは骨髄中のsMSCを示す。左からコントロール、抗FSTL1抗体、ナイーブを示す。CD45−ALCAM+細胞数(×106)を示す。
図26図26図27は、Snail+腫瘍骨転移モデルを用いた抗FSTL1 抗体別のクローンのin vivo 薬効評価の結果を示す。図26は、腫瘍移植後の腫瘍容積の変動(mm3)を示す。左からコントロールイムノグロブリン、本発明の抗体#6−55、#7、#10、#13、#33の結果を示す。いずれもカッコ内にコントロールと比較しての統計学的有意(p値)を示し、#6−55との間の統計学的有意は線で結びp値で示す。横軸は腫瘍移植後の日数である。
図27図26図27は、Snail+腫瘍骨転移モデルを用いた抗FSTL1 抗体別のクローンのin vivo 薬効評価の結果を示す。図27は、生存率を示す。横軸は腫瘍移植後の日数を示し縦軸はマウス生存率(n=5)を示す。コントロールイムノグロブリン、本発明の抗体#6−55、#7、#10、#13、#33の結果を示す。#6−55は細い黒線、#7はグレイ破線、#10は太い黒の実線、#13はグレイの実線、#33は黒の濃い破線を示す。コントロールイムノグロブリンとの統計学的有意値(p値)を示し、#6−55に対する統計学的有意(p値)をカッコ内に示す。
図28図28は、マウスキメラ抗体の親和性データ(BIACOREによる測定)を示す。図は、マウスキメラ抗体に対する抗原結合量および解離量のプロットである。
図29図29図30は、ヒト化抗体のELISA結果を示す。図29は、ヒト化6-55抗体のH鎖(IgG1型)とL鎖の組み合わせによる結合活性比較を示す。白丸に黒実線がヒト化抗体H1−L1、四角に黒実線がH2−L1、白三角に黒実線がH3−L1、黒四角に黒点線がヒト化抗体H1−L2、黒三角に黒点線がH2−L2、黒丸に黒点線がH3−L2、灰四角に灰実線がヒト化抗体H1−L1、灰三角に灰点線がH2−L1、灰丸に灰実線がH3−L1の結果を示す。抗体濃度を横軸にOD450の値を示したものである。H2−L1が最良であることが分かった。
図30図29図30は、ヒト化抗体のELISA結果を示す。図30では、本発明の抗体ヒト化#6−55H2−L1(IgG1型)のヒトおよびマウスFSTL1に対する結合活性を示す。左がヒトFSTL1および右がマウスFSTL1に対する結合活性を示す。黒丸はいずれもヒト#6−55抗体を示し、白四角がヒト抗DNP抗体を示す。抗体濃度を横軸にOD490/630の値を示したものである。
[発明を実施するための形態]

0015

以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、同様な内容については繰り返しの煩雑を避けるために、適宜説明を省略する。また、本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。従って、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。

0016

最初に本発明において使用される用語および一般的な技術を説明する。

0017

本明細書において「FSTL1」とは、フォリスタチンに類似するタンパク質であって、アクチビン結合タンパク質であるタンパク質をコードするものであり、フォリスタチン様配列に含まれるFSモジュールを含み、10個の保存システイン残基を有するとされている。関節リウマチに関する自己抗原であると考えられてきたが、最近の知見は、特許文献1(WO 2009/028411)に説明されている。NCBIに記載されているFSTL1のアクセッションナンバーは、例えば、ヒトはNP_009016(NP_009016.1)(アミノ酸);マウスはNP_032073.2(アミノ酸)、ヒトはNM_007085(NM_007085.4)(mRNA);マウスはNM_008047.5(mRNA)である。FSTL1のアミノ酸配列は、例えば、配列番号1または配列番号3である。FSTL1 mRNAの塩基配列は、例えば、配列番号2または配列番号4である。FSTL1は、FSTL1活性を有していれば、そのアミノ酸配列は限定されない。したがって、本発明の具体的な目的に合致する限り、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体類似体もしくは変異体または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、本発明において用いることができることが理解される。

0018

本明細書で使用される「誘導体」、「類似体」または「変異体」は、好ましくは、限定を意図するものではないが、対象となるタンパク質(例えば、FSTL1)に実質的に相同な領域を含む分子を含み、このような分子は、種々の実施形態において、同一サイズのアミノ酸配列にわたり、または当該分野で公知のコンピュータ相同性プログラムによってアラインメントを行ってアラインされる配列と比較した際、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%同一であるか、あるいはこのような分子をコードする核酸は、(高度に)ストリンジェントな条件、中程度にストリンジェントな条件、またはストリンジェントでない条件下で、構成要素タンパク質をコードする配列にハイブリダイズ可能である。これは、それぞれ、アミノ酸置換欠失および付加によって、天然存在タンパク質を改変した産物であり、その誘導体がなお天然存在タンパク質の生物学的機能を、必ずしも同じ度合いでなくてもよいが示すタンパク質を意味する。例えば、本明細書において記載されあるいは当該分野で公知の適切で利用可能なin vitroアッセイによって、このようなタンパク質の生物学的機能を調べることも可能である。本明細書で使用される「機能的に活性な」は、本明細書において、本発明のポリペプチド、すなわちフラグメントまたは誘導体が関連する態様に従って、生物学的活性などの、タンパク質の構造的機能、制御機能、または生化学的機能を有する、ポリペプチド、すなわちフラグメントまたは誘導体を指す。本発明では、FSTL1についてヒトが主に論じられるが、ヒト以外の多くの動物がFSTL1を発現していることが知られているため、これらの動物、特に哺乳動物についても、本発明の範囲内に入ることが理解される。

0019

したがって、FSTL1の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号1または配列番号3に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド
(b)配列番号2または配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号2または配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号1または配列番号3に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号2または配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、FSTL1の有する活性またはマーカーとして同じ生物内に存在する他のタンパク質から識別し得ることをいう。

0020

FSTL1のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号2または配列番号4に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号2または配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号1または配列番号3に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号2または配列番号4に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、FSTL1の有する活性またはマーカーとして同じ生物内に存在する他のタンパク質から識別し得ること(例えば、抗原として用いられる場合特異的エピトープとして機能し得る領域を含むこと)をいう。配列番号1〜4はリーダー配列を含む前駆体である。配列番号2では最初の20アミノ酸(メチオニンからアラニンまで)および配列番号4では最初の18アミノ酸(メチオニンからグリシンまで)がリーダー配列である。したがって、本発明においてFSTL1といった場合、そのアミノ酸配列は、これらのリーダー配列が削除された後のものをさすことがある
本発明の関連において、「FSTL1に結合する物質」、「FSTL1(の)結合剤」または「FSTL1相互作用分子」は、少なくとも一時的にFSTL1に結合する分子または物質である。検出目的では好ましくは、結合したことを表示しうる(例えば標識されるか標識可能な状態である)ことが有利であり、治療目的では、さらに治療用薬剤が結合していることが有利である。FSTL1に結合する物質は、例としては、抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、低分子量分子(LMW)、結合性ペプチドアプタマーリボザイムおよびペプチド模倣体(peptidomimetic)等を挙げることができる。FSTL1に結合する物質または「FSTL1相互作用分子は、FSTL1の阻害剤であってもよく、例えばFSTL1に対して向けられる、特にFSTL1の活性部位に対して向けられる、結合性タンパク質または結合性ペプチド、並びにFSTL1遺伝子に対して向けられる核酸も含まれる。FSTL1に対する核酸は、例えばFSTL1遺伝子の発現またはFSTL1の活性を阻害する、二本鎖または一本鎖DNAまたはRNA、あるいはその修飾物または誘導体を指し、そしてアンチセンス核酸、アプタマー、siRNA(低分子干渉RNA)およびリボザイムを含むがこれらに限定されない。本明細書において、FSTL1について「結合タンパク質」または「結合ペプチド」とは、FSTL1に結合する任意のタンパク質またはペプチドを指し、そしてFSTL1に対して指向される抗体(例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体)、抗体フラグメントおよび機能的等価物を含むがこれらに限定されない。

0021

本明細書において「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成グリコシル化、脂質化、アセチル化リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)が包含される。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。本明細書において、「アミノ酸」は、アミノ基とカルボキシル基を持つ有機化合物の総称である。本発明の実施形態に係る抗体が「特定のアミノ酸配列」を含むとき、そのアミノ酸配列中のいずれかのアミノ酸が化学修飾を受けていてもよい。また、そのアミノ酸配列中のいずれかのアミノ酸が塩、または溶媒和物を形成していてもよい。また、そのアミノ酸配列中のいずれかのアミノ酸がL型、またはD型であってもよい。それらのような場合でも、本発明の実施形態に係るタンパク質は、上記「特定のアミノ酸配列」を含むといえる。タンパク質に含まれるアミノ酸が生体内で受ける化学修飾としては、例えば、N末端修飾(例えば、アセチル化、ミリストイル化等)、C末端修飾(例えば、アミド化グリコシルホスファチジルイノシトール付加等)、または側鎖修飾(例えば、リン酸化、糖鎖付加等)等が知られている。本発明の目的を満たす限り、天然のものでも非天然のものでもよい。

0022

本明細書において「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた、「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」を含む。「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチルリボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合ホスホロチオエート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体およびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体などが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res.19:5081(1991); Ohtsuka et al., J.Biol.Chem.260:2605-2608(1985); Rossolini et al., Mol.Cell.Probes 8:91-98(1994))。本明細書において「核酸」はまた、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換可能に使用される。本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。

0023

本明細書において「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいい、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」をさすことがある。

0024

本明細書において遺伝子の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいい、一般に「相同性」を有するとは、同一性または類似性の程度が高いことをいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。従って本明細書において「相同体」または「相同遺伝子産物」は、本明細書にさらに記載する複合体のタンパク質構成要素と同じ生物学的機能を発揮する、別の種、好ましくは哺乳動物におけるタンパク質を意味する。こうような相同体はまた、「オルソログ遺伝子産物」とも称されることもある。本発明の目的に合致する限り、このような相同体、相同遺伝子産物、オルソログ遺伝子産物等も用いることができることが理解される。

0025

アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。同一性の検索は例えば、NCBIのBLAST2.2.28(2013.4.2発行)を用いて行うことができる。本明細書における同一性の値は通常は上記BLASTを用い、デフォルトの条件でアラインした際の値をいう。ただし、パラメータの変更により、より高い値が出る場合は、最も高い値を同一性の値とする。複数の領域で同一性が評価される場合はそのうちの最も高い値を同一性の値とする。類似性は、同一性に加え、類似のアミノ酸についても計算に入れた数値である。

0026

本発明の一実施形態において「数個」は、例えば、10、8、6、5、4、3、または2個であってもよく、それらいずれかの値以下であってもよい。1または数個のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入、または他のアミノ酸による置換を受けたポリペプチドが、その生物学的活性を維持することは知られている(Market al., Proc Natl Acad Sci USA.1984 Sep;81(18): 5662-5666.、Zoller et al.,Nucleic AcidsRes. 1982 Oct 25;10(20): 6487-6500.、Wang et al., Science. 1984 Jun 29;224(4656): 1431-1433.)。欠失等がなされた抗体は、例えば、部位特異的変異導入法、ランダム変異導入法、または抗体ファージライブラリを用いたバイオパニング等によって作製できる。部位特異的変異導入法としては、例えばKOD-Plus- Mutagenesis Kit (TOYOBO CO.,LTD.)を使用できる。欠失等を導入した変異型抗体から、野生型と同様の活性のある抗体を選択することは、FACS解析やELISA等の各種キャラクタリゼーションを行うことで可能である

0027

本発明の一実施形態において「90%以上」は、例えば、90、95、96、97、98、99、または100%以上であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。上記「相同性」は、2つもしくは複数間のアミノ酸配列において相同なアミノ酸数の割合を、当該技術分野で公知の方法に従って算定してもよい。割合を算定する前には、比較するアミノ酸配列群のアミノ酸配列を整列させ、同一アミノ酸の割合を最大にするために必要である場合はアミノ酸配列の一部に間隙を導入する。整列のための方法、割合の算定方法比較方法、およびそれらに関連するコンピュータプログラムは、当該技術分野で従来からよく知られている(例えば、BLAST、GENETYX等)。本明細書において「相同性」は、特に断りのない限りNCBIのBLASTによって測定された値で表すことができる。BLASTでアミノ酸配列を比較するときのアルゴリズムには、Blastpをデフォルト設定で使用できる。測定結果はPositivesまたはIdentitiesとして数値化される。

0028

本明細書において「ストリンジェント(な)条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法などを用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline-sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。「ストリンジェントな条件」は、例えば、以下の条件を採用することができる。(1)洗浄のために低イオン強度および高温度を用いる(例えば、50℃で、0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウム)、(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミド等の変性剤を用いる(例えば、42℃で、50%(v/v)ホルムアミドと0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのpH6.5のリン酸ナトリウムバッファー、および750mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム)、または(3)20%ホルムアミド、5×SSC、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハード液、10%硫酸デキストラン、および20mg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中で、37℃で一晩インキュベーションし、次に約37-50℃で1×SSCでフィルターを洗浄する。なお、ホルムアミド濃度は50%またはそれ以上であってもよい。洗浄時間は、5、15、30、60、もしくは120分、またはそれら以上であってもよい。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーに影響する要素としては温度、塩濃度など複数の要素が考えられ、詳細はAusubelet al., Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers,(1995)を参照することができる。「高度にストリンジェントな条件」の例は、0.0015M塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、65〜68℃、または0.015M塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および50% ホルムアミド、42℃である。ハイブリダイゼーション、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1-38, DNA Cloning1:Core Techniques, A Practical Approach, Second Edition, Oxford University Press(1995)などの実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。中程度のストリンジェントな条件は、例えば、DNAの長さに基づき、当業者によって、容易に決定することができ、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Vol.1、7.42-7.45 Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001に示され、そしてニトロセルロースフィルターに関し、5×SSC、0.5% SDS、1.0mMEDTA(pH8.0)の前洗浄溶液、約40−50°Cでの、約50%ホルムアミド、2×SSC−6×SSC(または約42°Cでの約50%ホルムアミド中の、スターク溶液(Stark’s solution)などの他の同様のハイブリダイゼーション溶液)のハイブリダイゼーション条件、および約60°C、0.5×SSC、0.1% SDSの洗浄条件の使用が含まれる。従って、本発明において使用されるポリペプチドには、本発明で特に記載されたポリペプチドをコードする核酸分子に対して、高度または中程度でストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドも包含される。

0029

本明細書において「精製された」物質または生物学的因子(例えば、核酸またはタンパク質など)とは、その物質または生物学的因子に天然に随伴する因子の少なくとも一部が除去されたものをいう。従って、通常、精製された生物学的因子におけるその生物学的因子の純度は、その生物学的因子が通常存在する状態よりも高い(すなわち濃縮されている)。本明細書中で使用される用語「精製された」は、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、よりさらに好ましくは少なくとも95重量%、そして最も好ましくは少なくとも98重量%の、同型の生物学的因子が存在することを意味する。本発明で用いられる物質または生物学的因子は、好ましくは「精製された」物質である。本明細書で使用される「単離された」物質または生物学的因子(例えば、核酸またはタンパク質など)とは、その物質または生物学的因子に天然に随伴する因子が実質的に除去されたものをいう。本明細書中で使用される用語「単離された」は、その目的に応じて変動するため、必ずしも純度で表示される必要はないが、必要な場合、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、よりさらに好ましくは少なくとも95重量%、そして最も好ましくは少なくとも98重量%の、同型の生物学的因子が存在することを意味する。本発明で用いられる物質は、好ましくは「単離された」物質または生物学的因子である。

0030

本明細書において「対応する」アミノ酸または核酸あるいは部分とは、あるポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子(例えば、FSTL1)において、比較の基準となるポリペプチドまたはポリヌクレオチドにおける所定のアミノ酸またはヌクレオチドあるいは部分と同様の作用を有するか、または有することが予測されるアミノ酸またはヌクレオチドをいい、特に酵素分子にあっては、活性部位中の同様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をするアミノ酸をいい、複合分子にあっては対応する部分(例えば、膜貫通ドメイン等)をいう。例えば、アンチセンス分子であれば、そのアンチセンス分子の特定の部分に対応するオルソログにおける同様の部分であり得る。対応するアミノ酸は、例えば、システイン化グルタチオン化、S−S結合形成酸化(例えば、メチオニン側鎖の酸化)、ホルミル化、アセチル化、リン酸化、糖鎖付加、ミリスチル化などがされる特定のアミノ酸であり得る。あるいは、対応するアミノ酸は、二量体化を担うアミノ酸であり得る。このような「対応する」アミノ酸または核酸は、一定範囲にわたる領域またはドメインであってもよい。従って、そのような場合、本明細書において「対応する」領域またはドメインと称される。このような対応する領域またはドメインは、本発明において複合分子を設計する場合に有用である。

0031

本明細書において「対応する」遺伝子(例えば、ポリヌクレオチド配列または分子)とは、ある種において、比較の基準となる種における所定の遺伝子と同様の作用を有するか、または有することが予測される遺伝子(例えば、ポリヌクレオチド配列または分子)をいい、そのような作用を有する遺伝子が複数存在する場合、進化学的に同じ起源を有するものをいう。従って、ある遺伝子に対応する遺伝子は、その遺伝子のオルソログであり得る。従って、ヒトのFSTL1は、それぞれ、他の動物(特に哺乳動物)において、対応するFSTL1を見出すことができる。そのような対応する遺伝子は、当該分野において周知の技術を用いて同定することができる。従って、例えば、ある動物(例えば、マウス)における対応する遺伝子は、対応する遺伝子の基準となる遺伝子(例えば、FSTL1等)は、配列番号1〜4等の配列をクエリ配列として用いてその動物の配列を含むデータベースを検索することによって見出すことができる。

0032

本明細書において「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、このようなフラグメントは、例えば、全長のものがマーカーまたは標的分子として機能する場合、そのフラグメント自体もまたマーカーまたは標的分子としての機能を有する限り、本発明の範囲内に入ることが理解される。

0033

本発明に従って、用語「活性」は、本明細書において、最も広い意味での分子の機能を指す。活性は、限定を意図するものではないが、概して、分子の生物学的機能、生化学的機能、物理的機能または化学的機能を含む。活性は、例えば、酵素活性、他の分子と相互作用する能力、および他の分子の機能を活性化するか、促進するか、安定化するか、阻害するか、抑制するか、または不安定化する能力、安定性、特定の細胞内位置に局在する能力を含む。適用可能な場合、この用語はまた、最も広い意味でのタンパク質複合体の機能にも関する。

0034

本明細書において「生物学的機能」とは、ある遺伝子またはそれに関する核酸分子もしくはポリペプチドについて言及するとき、その遺伝子、核酸分子またはポリペプチドが生体内において有し得る特定の機能をいい、これには、例えば、特異的な抗体の生成、酵素活性、抵抗性の付与等を挙げることができるがそれらに限定されない。本発明においては、例えば、FSTL1がVLDLの取り込みの阻害等に関与する機能などを挙げることができるがそれらに限定されない。本明細書において、生物学的機能は、「生物学的活性」によって発揮され得る。本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリヌクレオチド、タンパク質など)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能(例えば、転写促進活性)を発揮する活性が包含され、例えば、ある分子との相互作用によって別の分子が活性化または不活化される活性も包含される。2つの因子が相互作用する場合、その生物学的活性は、その二分子の間の結合およびそれによって生じる生物学的変化であり得、そして、例えば、一つの分子を抗体を用いて沈降させたときに他の分子も共沈するとき、2分子は結合していると考えられる。従って、そのような共沈を見ることが一つの判断手法として挙げられる。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。そのような生物学的活性は、当該分野において周知の技術によって測定することができる。従って、「活性」は、結合(直接的または間接的のいずれか)を示すかまたは明らかにするか;応答に影響する(すなわち、いくらか曝露または刺激に応答する測定可能な影響を有する)、種々の測定可能な指標をいい、例えば、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに直接結合する化合物の親和性、または例えば、いくつかの刺激後または事象後の上流または下流のタンパク質の量あるいは他の類似の機能の尺度が挙げられる。

0035

本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」とは、その遺伝子などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一態様である。したがって、本明細書において「発現産物」とは、このようなポリペプチドもしくはタンパク質、またはmRNAを含む。より好ましくは、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。例えば、FSTL1の発現レベルは、任意の方法によって決定することができる。具体的には、FSTL1のmRNAの量、FSTL1タンパク質の量、そしてFSTL1タンパク質の生物学的な活性を評価することによって、FSTL1の発現レベルを知ることができる。このような測定値コンパニオン診断において使用し得る。FSTL1のmRNAやタンパク質の量は、本明細書の他の箇所に詳述したような方法あるいは他の当該分野において公知の方法によって決定することができる。

0036

本明細書において「機能的等価物」とは、対象となるもとの実体に対して、目的となる機能が等価であるが構造が異なる任意のものをいう。従って、「FSTL1」またはその抗体の機能的等価物は、FSTL1またはその抗体自体ではないが、FSTL1またはその抗体の変異体または改変体(例えば、アミノ酸配列改変体等)であって、FSTL1の持つ生物学的作用を有するもの、ならびに、作用する時点において、FSTL1またはその抗体自体またはこのFSTL1またはその抗体の変異体もしくは改変体に変化することができるもの(例えば、FSTL1またはその抗体自体またはFSTL1またはその抗体の変異体もしくは改変体をコードする核酸、およびその核酸を含むベクター、細胞等を含む)が包含されることが理解される。本発明において、FSTL1またはその抗体の機能的等価物は、格別に言及していなくても、FSTL1またはその抗体と同様に用いられうることが理解される。機能的等価物は、データベース等を検索することによって、見出すことができる。本明細書において「検索」とは、電子的にまたは生物学的あるいは他の方法により、ある核酸塩基配列を利用して、特定の機能および/または性質を有する他の核酸塩基配列を見出すことをいう。電子的な検索としては、BLAST(Altschul et al.,J.Mol.Biol. 215:403-410(1990))、FASTA (Pearson & Lipman, Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 85:2444-2448(1988))、Smith and Waterman法(Smith and Waterman, J.Mol.Biol.147: 195-197(1981))、およびNeedleman and Wunsch法(Needleman and Wunsch, J.Mol.Biol. 48:443-453(1970))などが挙げられるがそれらに限定されない。生物学的な検索としては、ストリンジェントハイブリダイゼーション、ゲノムDNAをナイロンメンブレン等に貼り付けたマクロアレイまたはガラス板に貼り付けたマイクロアレイマイクロアレイアッセイ)、PCRおよびin situハイブリダイゼーションなどが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書において、本発明において使用される遺伝子には、このような電子的検索、生物学的検索によって同定された対応遺伝子も含まれるべきであることが意図される。

0037

本発明の機能的等価物としては、アミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加されたものを用いることができる。本明細書において、「アミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加」とは、部位特異的突然変異誘発法等の周知の技術的方法により、あるいは天然の変異により、天然に生じ得る程度の複数個の数のアミノ酸の置換等により改変がなされていることを意味する。改変アミノ酸配列は、例えば1〜30個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜2個のアミノ酸の挿入、置換、もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加がなされたものであることができる。改変アミノ酸配列は、好ましくは、そのアミノ酸配列が、FSTL1、抗体等のポリペプチドのアミノ酸配列において1または複数個(好ましくは1もしくは数個または1、2、3、もしくは4個)の保存的置換を有するアミノ酸配列であってもよい。ここで「保存的置換」とは、タンパク質の機能を実質的に改変しないように、1または複数個のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したアミノ酸残基で置換えることを意味する。例えば、ある疎水性残基を別の疎水性残基によって置換する場合、ある極性残基を同じ電荷を有する別の極性残基によって置換する場合などが挙げられる。このような置換を行うことができる機能的に類似のアミノ酸は、アミノ酸毎に当該分野において公知である。具体例を挙げると、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、バリンイソロイシンロイシンプロリントリプトファンフェニルアラニン、メチオニンなどが挙げられる。極性中性)アミノ酸としては、グリシン、セリンスレオニンチロシングルタミンアスパラギンシステインなどが挙げられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としては、アルギニンヒスチジンリジンなどが挙げられる。また、負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸グルタミン酸などが挙げられる。

0038

本明細書において「抑制剤」とは、対象となる実体(例えば、レセプターまたは細胞)に対してそのレセプターまたは細胞の生物学的作用を阻害する物質または因子をいう。本発明のFSTL1の抑制剤としては、対象となるFSTL1またはFSTL1を発現する細胞等の機能を一時的または永久に低下または消失させることができる因子である。このような因子には、抗体、その抗原結合フラグメント、それらの誘導体、機能的等価物、アンチセンス、siRNA等のRNAi因子等の核酸の形態のもの等を挙げることができるがこれらに限定されない。

0039

本明細書において「アゴニスト」とは、対象となる実体(例えば、レセプター)に対してそのレセプターの生物学的作用を発現またはそれを増強する物質をいう。天然のアゴニスト(リガンドとも称される)のほか、合成されたものや改変されたもの等を挙げることができる。

0040

本明細書において「アンタゴニスト」とは、対象となる実体(例えば、レセプター)に対してそのレセプターの生物学的作用の発現を抑制または阻害する物質をいう。天然のアンタゴニストのほか、合成されたものや改変されたもの等を挙げることができる。アゴニスト(またはリガンド)と競合的に抑制または阻害するもののほか、非競合的に抑制または阻害するもの等がある。アゴニストを改変することによっても得られうる。生理現象を抑制または阻害することから、アンタゴニストは抑制剤(阻害剤)または抑制(する)因子の概念に包含されうる。したがって、本明細書においては実質的にアンタゴニストは「抑制剤」と同義で用いられる。

0041

本明細書において「抗体」は、広義にはポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、キメラ抗体、および抗イディオタイプ抗体、ならびにそれらのフラグメント、例えばFvフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2およびFabフラグメント、ならびにその他の組換えにより生産された結合体または機能的等価物(例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、多機能抗体、二重特異性またはオリゴ特異性(oligospecific)抗体、単鎖抗体、scFV、ダイアボディー(diabody)、sc(Fv)2(singlechain (Fv)2)、scFv−Fc)を含む。さらにこのような抗体を、酵素、例えばアルカリホスファターゼ西ワサビペルオキシダーゼ、αガラクトシダーゼなど、に共有結合させまたは組換えにより融合させてよい。本発明で用いられる抗FSTL1抗体は、FSTL1のタンパク質に結合すればよく、その由来、種類、形状などは問われない。具体的には、非ヒト動物の抗体(例えば、マウス抗体、ラット抗体、ラクダ抗体)、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体などの公知の抗体が使用できる。本発明においては、モノクローナル、あるいはポリクローナルを抗体として利用することができるが好ましくはモノクローナル抗体である。抗体のFSTL1タンパク質への結合は特異的な結合であることが好ましい。また抗体は、抗体修飾物または抗体非修飾物を含む。抗体修飾物は、抗体と、例えばポリエチレングリコール等の各種分子が結合していてもよい。抗体修飾物は、抗体に公知の手法を用いて化学的な修飾を施すことによって得ることができる。

0042

本発明の一実施形態において「抗FSTL1抗体」は、FSTL1に結合性を有する抗体を含む。この抗FSTL1抗体の生産方法は特に限定されないが、例えば、FSTL1を哺乳類または鳥類に免疫することによって生産してもよい。

0043

また、「FSTL1に対する抗体(抗FSTL1抗体)、または、そのフラグメント」の「機能的等価物」は、例えば、抗体の場合、FSTL1の結合活性、必要であれば抑制活性を有する抗体自体およびそのフラグメント自体のほか、キメラ抗体、ヒト化抗体、多機能抗体、二重特異性またはオリゴ特異性(oligospecific)抗体、単鎖抗体、scFV、ダイアボディー、sc(Fv)2(singlechain (Fv)2)、scFv−Fcなども包含されることが理解される。

0044

本発明の一実施形態に係る抗FSTL1抗体は、悪性腫瘍の増殖が特に強く抑制される観点からは、FSTL1の特定のエピトープに特異的に結合する抗FSTL1抗体であることが好ましい。

0045

本発明の一実施形態に係る抗FSTL1抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体であれば、ポリクローナル抗体に比べて、効率的にFSTL1に対して作用させることができる。抗FSTL1モノクローナル抗体を効率的に生産する観点からは、FSTL1をニワトリに免役することが好ましい。

0046

本発明の一実施形態に係る抗FSTL1抗体の抗体クラスは特に限定されないが、例えばIgMIgD、IgG、IgAIgE、またはIgYであってもよい。

0047

本発明の一実施形態に係る抗FSTL1抗体は、抗原結合活性を有する抗体断片(以下、「抗原結合性断片」と称することもある)であっても良い。この場合、安定性または抗体の生産効率が上昇する等の効果がある。

0048

本発明の一実施形態に係る抗FSTL1抗体は、融合タンパク質であってもよい。この融合タンパク質は、抗FSTL1抗体のNまたはC末端に、ポリペプチドまたはオリゴペプチドが結合したものであってもよい。ここで、オリゴペプチドは、Hisタグであってもよい。また融合タンパク質は、マウス、ヒト、またはニワトリの抗体部分配列を融合したものであってもよい。それらのような融合タンパク質も、本実施形態に係る抗FSTL1抗体の一形態に含まれる。

0049

本発明の一実施形態に係る抗FSTL1抗体は、例えば、精製FSTL1、FSTL1発現細胞、またはFSTL1含有脂質膜で生物を免疫する工程を経て得られる抗体であってもよい。FSTL1陽性悪性腫瘍に対する治療効果を高める観点からは、FSTL1発現細胞を免疫に使用することが好ましい。

0050

本発明の一実施形態に係る抗FSTL1抗体は、精製FSTL1、FSTL1発現細胞胞またはFSTL1含有脂質膜で生物を免疫する工程を経て得られる抗体の、CDRセットを有する抗体であってもよい。FSTL1陽性悪性腫瘍に対する治療効果を高める観点からは、FSTL1発現細胞を免疫に使用することが好ましい。CDRセットとは、重鎖CDR1、2、および3、並びに、軽鎖CDR1、2、および3のセットである。

0051

本発明の一実施形態において「FSTL1発現細胞」は、例えば、FSTL1をコードするポリヌクレオチドを細胞に導入後、FSTL1を発現させることによって得てもよい。ここでFSTL1は、FSTL1断片を含む。また本発明の一実施形態において「FSTL1含有脂質膜」は、例えば、FSTL1と脂質二重膜を混合することによって得てもよい。ここでFSTL1は、FSTL1断片を含む。また本発明の一実施形態に係る抗FSTL1抗体は、FSTL1陽性悪性腫瘍に対する治療効果を高める観点からは、抗原をニワトリに免疫する工程を経て得られる抗体、またはその抗体のCDRセットを有する抗体が好ましい。

0052

本発明の一実施形態に係る抗FSTL1抗体は、目的を達成する限り、どのような結合力を有していてもよく、例えば、KD値(kd / ka)が、少なくとも1.0×10-6(M)以下、2.0×10-6(M) 以下、5.0×10-6(M) 以下、1.0×10-7以下であるものを挙げることができるがこれらに限定されず、通常は、KD値(kd/ka)は、1.0×10-7(M)以下であってもよく、1.0×10-9(M)あるいは1.0×10-10(M)以下であり得る。

0053

本発明の一実施形態に係る抗FSTL1抗体は、ADCCまたはCDC活性を有していてもよい。

0054

本発明の一実施形態に係る抗FSTL1抗体は、FSTL1の野生型または変異型に結合する抗体であってもよい。変異型とは、個体間のDNA配列の差異に起因するものを含む。野生型または変異型のFSTL1のアミノ酸配列は、配列番号2または配列番号4に示すアミノ酸配列に対し、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の相同性を有している。

0055

本発明の一実施形態において「抗体」は、抗原上の特定のエピトープに特異的に結合することができる分子またはその集団を含むまた抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であってもよい。抗体は、様々な形態で存在することができ、例えば、全長抗体Fab領域Fc領域を有する抗体)、Fv抗体、Fab抗体、F(ab’)2抗体、Fab’抗体、diabody、一本鎖抗体(例えば、scFv)、dsFv、多価特異的抗体(例えば、二価特異的抗体)、抗原結合性を有するペプチドまたはポリペプチド、キメラ抗体(例えば、マウス-ヒトキメラ抗体、ニワトリ-ヒトキメラ抗体等)、マウス抗体、ニワトリ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、またはそれらの同等物(または等価物)からなる群から選ばれる1種以上の形態であってもよい。また抗体は、抗体修飾物または抗体非修飾物を含む。抗体修飾物は、抗体と、例えばポリエチレングリコール等の各種分子が結合していてもよい。抗体修飾物は、抗体に公知の手法を用いて化学的な修飾を施すことによって得ることができる。さらにこのような抗体を、酵素、例えばアルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、αガラクトシダーゼなど、に共有結合させまたは組換えにより融合させてよい。本発明で用いられる抗FSTL1抗体は、FSTL1のタンパク質に結合すればよく、その由来、種類、形状などは問われない。具体的には、非ヒト動物の抗体(例えば、マウス抗体、ラット抗体、ラクダ抗体)、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体などの公知の抗体が使用できる。本発明においては、モノクローナル、あるいはポリクローナルを抗体として利用することができるが好ましくはモノクローナル抗体である。抗体のFSTL1タンパク質への結合は特異的な結合であることが好ましい。また抗体は、抗体修飾物または抗体非修飾物を含む。抗体修飾物は、抗体と、例えばポリエチレングリコール等の各種分子が結合していてもよい。抗体修飾物は、抗体に公知の手法を用いて化学的な修飾を施すことによって得ることができる。

0056

本発明の一実施形態において「ポリクローナル抗体」は、例えば、抗原に特異的なポリクローナル抗体の産生を誘導するために、哺乳類(例えば、ラット、マウス、ウサギウシサル等)、鳥類等に、目的の抗原を含む免疫原を投与することによって生成することが可能である。免疫原の投与は、1つ以上の免疫剤、および所望の場合にはアジュバント注入をしてもよい。アジュバントは、免疫応答を増加させるために使用されることもあり、フロイントアジュバント(完全または不完全)、ミネラルゲル水酸化アルミニウム等)、または界面活性物質リゾレシチン等)等を含んでいてもよい。免疫プロトコールは、当該技術分野で公知であり、選択する宿主生物に合わせて、免疫応答を誘発する任意の方法によって実施される場合がある(タンパク質実験ハンドブック,土社(2003):86-91.)。

0057

本発明の一実施形態において「モノクローナル抗体」は、集団を構成する個々の抗体が、少量自然に生じることが可能な突然変異を有する抗体を除いて、実質的に単一のエピトープに対応する抗体である場合を含む。または、集団を構成する個々の抗体が、少量自然に生じることが可能な突然変異を有する抗体を除いて、実質的に同一である抗体であってもよい。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、異なるエピトープに対応する異なる抗体を典型的に含むような、通常のポリクローナル抗体とは異なる。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンによって汚染されていないハイブリドーマ培養から合成できる点で有用である。「モノクローナル」という形容は、実質的に均一な抗体集団から得られるという特徴を示していてもよいが、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないことを意味するものではない。例えば、モノクローナル抗体は、"Kohler G, Milstein C., Nature. 1975 Aug7;256(5517):495-497."に掲載されているようなハイブリドーマ法と同様の方法によって作製してもよい。あるいは、モノクローナル抗体は、米国特許第4816567号に記載されているような組換え法と同様の方法によって作製してもよい。または、モノクローナル抗体は、"Clackson et al., Nature. 1991 Aug 15;352(6336): 624-628."、または"Marks et al., J Mol Biol. 1991 Dec 5;222(3): 581-597."に記載されているような技術と同様の方法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。または、"タンパク質実験ハンドブック,羊土社(2003):92-96."に掲載されている方法でよって作製してもよい。

0058

抗体の大量生産については、当該分野で公知の任意の手法を用いることができるが、例えば、代表的な抗体の大量生産系の構築および抗体製造としては、以下を例示することができる。すなわち、CHO細胞にH鎖抗体発現ベクターおよびL鎖抗体発現ベクターをトランスフェクションし、選択試薬であるG418およびZeocinを用いて培養を行い、限界希釈法によるクローニングを行う。クローニング後、安定的に抗体を発現しているクローンをELISA法により選択する。選択したCHO細胞を用いて拡大培養し、抗体を含む培養上清回収する。回収した培養上清からProtein AもしくはProtein G精製により抗体を精製することができる。

0059

本発明の一実施形態において「Fv抗体」は、抗原認識部位を含む抗体である。この領域は、非共有結合による1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメイン二量体を含む。この構成において、各可変ドメインの3つのCDRは相互に作用してVH-VL二量体の表面に抗原結合部位を形成することができる。

0060

本発明の一実施形態において「Fab抗体」は、例えば、Fab領域およびFc領域を含む抗体をタンパク質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体が一部のジスルフィド結合を介して結合した抗体である。Fabは、例えば、Fab領域およびFc領域を含む本発明の実施形態に係る抗FSTL1抗体を、タンパク質分解酵素パパインで処理して得ることができる。

0061

本発明の一実施形態において「F(ab’)2抗体」は、例えば、Fab領域およびFc領域を含む抗体をタンパク質分解酵素ペプシンで処理して得られる断片のうち、Fabに相当する部位を2つ含む抗体である。F(ab’)2は、例えば、Fab領域およびFc領域を含む本発明の実施形態に係る抗FSTL1抗体を、タンパク質分解酵素ペプシンで処理して得ることができる。また、例えば、下記のFab’をチオエーテル結合あるいはジスルフィド結合させることで、作製することができる。

0062

本発明の一実施形態において「Fab’抗体」は、例えば、F(ab’)2のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断して得られる抗体である。例えば、F(ab’)2を還元剤ジチオスレイトール処理して得ることができる。

0063

本発明の一実施形態において「scFv抗体」は、VHとVLとが適当なペプチドリンカーを介して連結した抗体である。scFv抗体は、例えば、本発明の実施形態に係る抗FSTL1抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、VH-ペプチドリンカー-VLをコードするポリヌクレオチドを構築し、そのポリヌクレオチドをベクターに組み込み、発現用の細胞を用いて生産できる。

0064

本発明の一実施形態において「diabody」は、二価の抗原結合活性を有する抗体である。二価の抗原結合活性は、同一であることもできるし、一方を異なる抗原結合活性とすることもできる。diabodyは、例えば、scFvをコードするポリヌクレオチドをペプチドリンカーのアミノ酸配列の長さが8残基以下となるように構築し、得られたポリヌクレオチドをベクターに組み込み、発現用の細胞を用いて生産できる。

0065

本発明の一実施形態において「dsFv」は、VHおよびVL中にシステイン残基を導入したポリペプチドを、上記システイン残基間のジスルフィド結合を介して結合させた抗体である。システイン残基に導入する位置はReiterらにより示された方法(Reiter et al., Protein Eng. 1994 May;7(5):697-704.)に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。

0066

本発明の一実施形態において「抗原結合性を有するペプチドまたはポリペプチド」は、抗体のVH、VL、またはそれらのCDR1、2、もしくは3を含んで構成される抗体である。複数のCDRを含むペプチドは、直接または適当なペプチドリンカーを介して結合させることができる。

0067

上記のFv抗体、Fab抗体、F(ab’)2抗体、Fab’抗体、scFv抗体、diabody、dsFv抗体、抗原結合性を有するペプチドまたはポリペプチド(以下、「Fv抗体等」と称することもある)の生産方法は特に限定しない。例えば、本発明の実施形態に係る抗FSTL1抗体におけるFv抗体等の領域をコードするDNAを発現用ベクターに組み込み、発現用細胞を用いて生産できる。または、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBOC法(t-ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法によって生産してもよい。なお本発明の一実施形態に係る抗原結合性断片は、上記Fv抗体等の1種以上であってもよい。

0068

本発明の一実施形態において「キメラ抗体」は、例えば、異種生物間における抗体の可変領域と、抗体の定常領域とを連結したもので、遺伝子組換え技術によって構築できる。マウス-ヒトキメラ抗体は、例えば、"Roguska et al., Proc Natl Acad Sci USA. 1994 Feb 1;91(3):969-973."に記載の方法で作製できる。マウス-ヒトキメラ抗体を作製するための基本的な方法は、例えば、クローン化されたcDNAに存在するマウスリーダー配列および可変領域配列を、哺乳類細胞の発現ベクター中にすでに存在するヒト抗体定常領域をコードする配列に連結する。または、クローン化されたcDNAに存在するマウスリーダー配列および可変領域配列をヒト抗体定常領域をコードする配列に連結した後、哺乳類細胞発現ベクターに連結してもよい。ヒト抗体定常領域の断片は、任意のヒト抗体のH鎖定常領域およびヒト抗体のL鎖定常領域のものとすることができ、例えばヒトH鎖のものについてはCγ1、Cγ2、Cγ3またはCγ4を、L鎖のものについてはCλまたはCκを各々挙げることができる。

0069

本発明の一実施形態において「ヒト化抗体」は、例えば、非ヒト種由来の1つ以上のCDR、およびヒト免疫グロブリン由来のフレームワーク領域(FR)、さらにヒト免疫グロブリン由来の定常領域を有し、所望の抗原に結合する抗体である。抗体のヒト化は、当該技術分野で既知の種々の手法を使用して実施可能である(Almagro et al., Front Biosci. 2008 Jan 1;13: 1619-1633.)。例えば、CDRグラフティング(Ozaki et al.,Blood. 1999 Jun 1;93(11): 3922-3930.)、Re-surfacing(Roguska et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1994 Feb 1;91(3):969-973.)、またはFRシャッフル(Damschroder et al., Mol Immunol. 2007 Apr;44(11):3049-3060. Epub 2007 Jan 22.)などが挙げられる。抗原結合を改変するために(好ましくは改善するために)、ヒトFR領域のアミノ酸残基は、CDRドナー抗体からの対応する残基と置換してもよい。このFR置換は、当該技術分野で周知の方法によって実施可能である(Riechmann et al., Nature. 1988 Mar 24;332(6162):323-327.)。例えば、CDRとFR残基の相互作用のモデリングによって抗原結合に重要なFR残基を同定してもよい。または、配列比較によって、特定の位置で異常なFR残基を同定してもよい。好ましい実施形態では、田らのMolecular Immunology 43(2006)634−642 の報告に基づきヒト化抗体を構築してもよい。

0070

本発明の好ましい実施形態では、H(2)−L(1)のH鎖FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号169、171、173および175)ならびにL鎖FR1、FR2、FR3およびFR4(それぞれ配列番号185、187、189および191)を有するヒト化抗体が使用され得るがこれに限定されない。これらのヒト化抗体の全長配列は、このヒト化抗体において、H(1)重鎖の全長配列は、IgG1型が配列番号192および193(それぞれ核酸およびアミノ酸の配列を示す)で示され、IgG4型が配列番号198および199(それぞれ核酸およびアミノ酸の配列を示す)で示され、IgG1型がH(2)重鎖の全長配列は、配列番号194および195(それぞれ核酸およびアミノ酸の配列を示す)で示され、IgG4型が配列番号200および201(それぞれ核酸およびアミノ酸の配列を示す)で示され、IgG1型がH(3)重鎖の全長配列は、配列番号196および197(それぞれ核酸およびアミノ酸の配列を示す)で示され、IgG4型が配列番号202および203(それぞれ核酸およびアミノ酸の配列を示す)で示され、L(1)軽鎖の全長配列は、配列番号204および205(それぞれ核酸およびアミノ酸の配列を示す)で示され、L(2)軽鎖の全長配列は、配列番号246および247(それぞれ核酸およびアミノ酸の配列を示す)で示され、L(3)軽鎖の全長配列は、配列番号248および249(それぞれ核酸およびアミノ酸の配列を示す)で示される。理論に束縛されることを望まないが、H(2)−L(1)は、H(3)−L(1)(H(3)のフレームワークは(それぞれ配列番号177、179、181および183))およびH(1)−L(1)(H(1)のフレームワークは(それぞれ配列番号161、163、165および167))よりも1桁高い活性が観察されているからである。

0071

本発明の一実施形態において「ヒト抗体」は、例えば、抗体を構成する重鎖の可変領域および定常領域、軽鎖の可変領域および定常領域を含む領域が、ヒトイムノグロブリンをコードする遺伝子に由来する抗体である。主な作製方法としてはヒト抗体作製用トランスジェニックマウス法、ファージディスプレイ法などがある。ヒト抗体作製用トランスジェニックマウス法では、内因性Igをノックアウトしたマウスに機能的なヒトのIg遺伝子を導入すれば、マウス抗体の代わりに多様な抗原結合能を持つヒト抗体が産生される。さらにこのマウスを免疫すればヒトモノクローナル抗体を従来のハイブリドーマ法で得ることが可能である。例えば、"Lonberg et al., Int Rev Immunol. 1995;13(1):65-93."に記載の方法で作製できる。ファージディスプレイ法は、典型的には大腸菌ウイルスの一つであるM13やT7などの繊維状ファージコートタンパク質(g3p、g10p等)のN末端側にファージの感染性を失わないよう外来遺伝子を融合タンパク質として発現させるシステムである。例えば、"Vaughan et al., Nat Biotechnol. 1996 Mar;14(3):309-314."に記載の方法で作製できる。

0072

また抗体は、CDR-grafting(Ozaki et al., Blood. 1999 Jun 1;93(11):3922-3930.)によって任意の抗体に本発明の実施形態に係る抗FSTL1抗体の重鎖CDRまたは軽鎖CDRをグラフティングすることで作製してもよい。または、本発明の実施形態に係る抗FSTL1抗体の重鎖CDRまたは軽鎖CDRをコードするDNAと、公知のヒトまたはヒト以外の生物由来の抗体の、重鎖CDRまたは軽鎖CDRを除く領域をコードするDNAとを、当該技術分野で公知の方法に従ってベクターに連結後、公知の細胞を使用して発現させることによって得ることができる。このとき、抗FSTL1抗体の標的抗原への作用効率を上げるために、当該分野で公知の方法(例えば、抗体のアミノ酸残基をランダムに変異させ、反応性の高いものをスクリーニングする方法、またはファージディスプレイ法等)を用いて、重鎖CDRまたは軽鎖CDRを除く領域を最適化してもよい。また、例えば、FRシャッフル(Damschroder et al., Mol Immunol. 2007 Apr;44(11):3049-3060. Epub 2007 Jan 22.)、またはバーニヤゾーンのアミノ酸残基またはパッケージング残基を置換する方法(特開2006-241026、またはFooteet al., J Mol Biol.1992 Mar 20;224(2):487-499.)を用いて、FR領域を最適化してもよい。

0073

本発明の一実施形態において「重鎖」は、典型的には、全長抗体の主な構成要素である。重鎖は、通常、軽鎖とジスルフィド結合および非共有結合によって結合している。重鎖のN末端側のドメインには、同種の同一クラスの抗体でもアミノ酸配列が一定しない可変領域(VH)と呼ばれる領域が存在し、一般的に、VHが抗原に対する特異性、親和性に大きく寄与していることが知られている。例えば、"Reiter et al., J Mol Biol. 1999 Jul 16;290(3):685-98."にはVHのみの分子を作製したところ、抗原と特異的に、高い親和性で結合したことが記載されている。さらに、"Wolfson W, Chem Biol. 2006 Dec;13(12):1243-1244."には、ラクダの抗体の中には、軽鎖を持たない重鎖のみの抗体が存在していることが記載されている。

0074

本発明の一実施形態において「CDR(相補性決定領域)」は、抗体において、実際に抗原に接触して結合部位を形成している領域である。一般的にCDRは、抗体のFv(重鎖可変領域可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む)上に位置している。また一般的にCDRは、5〜30アミノ酸残基程度からなるCDR1、CDR2、CDR3が存在する。そして、特に重鎖のCDRが抗体の抗原への結合に寄与していることが知られている。またCDRの中でも、CDR3が抗体の抗原への結合における寄与が最も高いことが知られている。例えば、"Willy et al., Biochemical and Biophysical Research Communications Volume 356, Issue 1, 27 April 2007, Pages 124-128"には、重鎖CDR3を改変させることで抗体の結合能を上昇させたことが記載されている。CDR以外のFv領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれ、FR1、FR2、FR3およびFR4からなり、抗体間で比較的よく保存されている(Kabatet al.,「Sequence of Proteins of Immunological Interest」US Dept. Health and Human Services,1983.)。即ち、抗体の反応性を特徴付け要因はCDRにあり、特に重鎖CDRにあるといえる。

0075

CDRの定義およびその位置を決定する方法は複数報告されている。例えば、Kabatの定義(Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))、またはChothiaの定義(Chothiaet al., J. Mol. Biol.,1987;196:901-917)を採用してもよい。本発明の一実施形態においては、Kabatの定義を好適な例として採用するが、必ずしもこれに限定されない。また、場合によっては、Kabatの定義とChothiaの定義の両方を考慮して決定しても良く、例えば、各々の定義によるCDRの重複部分を、または各々の定義によるCDRの両方を含んだ部分をCDRとすることもできる。そのような方法の具体例としては、Kabatの定義とChothiaの定義の折衷案である、Oxford Molecular's AbM antibody modeling softwareを用いたMartinらの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1989;86:9268-9272)がある。このようなCDRの情報を用いて、本発明に使用されうる変異体を生産することができる。このような抗体の変異体では、もとの抗体のフレームワークに1または数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)の置換、付加もしくは欠失を含むが、該CDRには変異を含まないように生産することができる。

0076

本明細書において「抗原」(antigen)とは、抗体分子によって特異的に結合され得る任意の基質をいう。本明細書において「免疫原」(immunogen)とは、抗原特異的免疫応答を生じるリンパ球活性化を開始し得る抗原をいう。本明細書において「エピトープ」または「抗原決定基」とは、抗体またはリンパ球レセプターが結合する抗原分子中の部位をいう。エピトープを決定する方法は、当該分野において周知であり、そのようなエピトープは、核酸またはアミノ酸の一次配列が提供されると、当業者はそのような周知慣用技術を用いて決定することができる。本発明の抗体は、エピトープが同じであれば、他の配列を有する抗体であっても同様に利用することができることが理解される。

0077

本明細書において使用される抗体は、擬陽性が減じられる限り、どのような特異性の抗体を用いても良いことが理解される。従って、本発明において用いられる抗体は、ポリクローナル抗体であってもよく、モノクローナル抗体であってもよい。

0078

本明細書において「手段」とは、ある目的(例えば、検出、診断、治療)を達成する任意の道具となり得るものをいい、特に、本明細書では、「選択的に認識する手段」とは、ある対象を他のものとは異なって認識することができる手段をいう。

0079

本明細書において使用される「悪性腫瘍」は、例えば、正常な細胞が突然変異を起こして発生する腫瘍を含む。悪性腫瘍は全身のあらゆる臓器や組織から生じ得る。特に識別しない場合、本明細書では「癌」「がん」と同義で用いる。この悪性腫瘍は、例えば、肺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌副腎癌、胆道癌、乳癌、大腸癌、小腸癌、卵巣癌子宮癌、膀胱癌、前立腺癌、尿管癌、腎盂癌、尿管癌、陰茎癌、精巣癌、脳腫瘍、中枢神経系の癌、末梢神経系の癌、頭頸部癌、グリオーマ、多形性膠芽腫皮膚癌、メラノーマ、甲状腺癌唾液腺癌、悪性リンパ腫癌腫、肉腫、白血病および血液悪性腫瘍からなる群から選ばれる1種以上を含む。ここで、卵巣癌は、例えば、卵巣漿液性腺癌、または卵巣明細胞線癌を含む。子宮癌は、例えば、子宮内膜癌、または子宮頸癌を含む。頭頸部癌は、例えば、口腔癌咽頭癌喉頭癌、鼻腔癌、副鼻腔癌、唾液腺癌、または甲状腺癌を含む。肺癌は、例えば、非小細胞肺癌、または小細胞肺癌を含む。また悪性腫瘍は、FSTL1陽性であってもよい。

0080

本明細書において「転移」(metastasis)とは、癌が体の原発部位から他の領域に広がるか移って新しい場所に類似した癌性病巣発達する過程を指す。「転移性」または「転移する」細胞は、隣接細胞との接着性接触を失い、血流またはリンパを通して疾患の原発部位から移動して、近隣体構造侵入する細胞である。本明細書において転移の用語は好ましくは、ただし限定はされないが、本明細書に記載の癌の、より好ましくは固形癌の、より好ましくは乳房心臓、肺、小腸、大腸、脾臓、腎臓膀胱、頭頸部、卵巣、前立腺、脳、膵臓、皮膚、骨、胸腺子宮睾丸子宮頸部および/または肝臓の癌からなる群から選択される癌の、転移を含む。本発明によれば、本発明による転移は、より好ましくは、乳癌、肺癌、大腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、膀胱癌、頭頸部癌、卵巣癌、前立腺癌、脳癌、膵臓癌、皮膚癌、胸腺癌、子宮癌、睾丸癌、子宮頸癌および肝臓癌からなる群から選択される癌の骨転移を含む。

0081

本明細書において「骨転移」とは、骨への癌の転移を意味し、任意の起源の骨転移を含む。骨転移の用語は好ましくは、ただし限定はされないが、本明細書に記載の癌の、より好ましくは固形癌の、より好ましくは乳房、心臓、肺、小腸、大腸、脾臓、腎臓、膀胱、頭頸部、卵巣、前立腺、脳、膵臓、皮膚、骨、胸腺、子宮、睾丸、子宮頸部および/または肝臓の癌からなる群から選択される癌の、骨転移を含む。本発明によれば、骨転移の用語は好ましくはまた、骨病変、好ましくは溶骨性および/または骨形成骨病変を含み、より好ましくは溶骨性骨病変、さらにより好ましくは骨髄腫悪性骨髄腫および/または多発性骨髄腫の骨病変を含み、特に骨髄腫、悪性骨髄腫および/または多発性骨髄腫の溶骨性骨病変も含む。本発明によれば、骨転移の用語は好ましくはまた、ワルデンストレーム病の骨病変、好ましくはワルデンストレーム病の溶骨性および/または骨形成骨病変、より好ましくはワルデンストレーム病の溶骨性骨病変も含む。本発明による骨転移は、より好ましくは、乳癌、肺癌、大腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、膀胱癌、頭頸部癌、卵巣癌、前立腺癌、脳癌、膵臓癌、皮膚癌、胸腺癌、子宮癌、睾丸癌、子宮頸癌および肝臓癌からなる群から選択される癌の骨転移を含む。

0082

本明細書において「間葉系幹細胞」またはその略称「MSC」とは、交換可能に使用することができる用語であり、自己再生能力を有し、骨芽細胞軟骨細胞、及び脂肪細胞などの間葉系細胞に分化する能力を備えた多能性幹細胞を指し、代表的に、未分化の状態で増殖し、骨芽細胞、軟骨芽細胞及び脂肪芽細胞の全て又はいくつかへの分化が可能な幹細胞又はその前駆細胞の集団を広義に意味する。生体においては、間葉系幹細胞は骨髄、末梢血臍帯血脂肪組織中などに低頻度で存在する。間葉系幹細胞は、これらの組織から公知の方法で単離又は精製することができ、主な分子指標はCD45発現が陰性であることである。「単離」または「精製」とは、天然に存在する状態とは異なる状態に人為的に置かれること、例えば、天然に存在する状態から、目的とする成分以外の 成分を除去する操作が施されていることを意味する。例えば、ヒト間葉系幹細胞は、パーコールグラディエント法により骨髄液から単離することができる (Hum. Cell, vol.10, p.45-50, 1997)。或いは、骨髄穿刺後の造血幹細胞等の培養、継代によりヒト間葉系幹細胞を単離することができる(Journal of Autoimmunity, 30 (2008) 163-171)。

0083

間葉系幹細胞は、免疫抑制、免疫不全等の免疫破綻を誘導または増強するが、この活性を獲得するためには活性化が必須であり、癌に関連して増加するMSCは、様々な生体内因子によって活性化された「活性化MSC」であると考えられており、本明細書でもこのようなMSCは「活性化間葉系幹細胞」または「活性化MSC」と称する。つまり、もともと免疫抑制活性を持っている細胞(例えば、制御性T細胞や寛容性樹状細胞、制御性樹状細胞、骨髄由来免疫抑制性細胞)が増殖して総合的に免疫抑制活性が強くなる場合と、通常の何も活性を有さない細胞(つまり前駆細胞)が免疫抑制性を獲得してそれらの免疫抑制活性を有する細胞(例えば、制御性T細胞や寛容性樹状細胞、制御性樹状細胞、骨髄由来免疫抑制性細胞)に転じる割合が多くなって免疫抑制活性が強くなる場合、および、免疫機能を果たすことができない不全状態に陥る疲弊T細胞の誘導等の免疫破綻機序が存在するが、FSTL1はこれらを直接的および/または活性化MSCの増殖等を介して間接的に制御していると考えられる(Immunology and Cell Biology 91:12-18, 2013)。理論に束縛されることを望まないが、本発明の抗体FSTL1抗体等は、このMSCの免疫抑制の誘導または増強、および免疫不全等を阻害することができ、それによって、癌の悪化の原因となる免疫抑制を解除することができ、それゆえ、顕著な癌の予防または治療効果を達成することができるといえる。また、本発明ではこれらの免疫抑制性細胞および/または免疫不全性細胞等の免疫破綻の細胞を誘導するMSCの誘導または増強について、この上流を阻害することができるため、免疫抑制機序および/または免疫不全機序等の免疫破綻機序の全体を一斉に解除できるものと考えられ、より効果的な治療が可能になるものと考えられる。

0084

間葉系幹細胞(MSC)(癌関連MSCおよび活性化MSCを含む)の誘導や増殖の抑制は、例えば、MSCの脂肪細胞への分化の阻害を見ることで確認することができ、例えば、図9、10に示されている。理論に束縛されることを望まないが、FSTL1は免疫抑制性のMSC自身を増やし、および/または他の細胞の抑制活性を強めるものと考えられる。

0085

本明細書において「免疫抑制」(「免疫抑制」の用語は、このほか、免疫抑制性、免疫制御、免疫制御性、免疫調節免疫調節性、免疫修飾、免疫修飾性とも言われ、これらは当該分野で交換可能に使用される用語である。)の「増強」とは、免疫抑制性の細胞の能力が増強されることおよび免疫抑制性の細胞が増加する(免疫抑制性の細胞の免疫抑制活性の増強および/または免疫抑制性の細胞の増殖が促進されるおよび/または免疫抑制性ではない細胞が免疫抑制性の細胞に分化されることを含む)ことを包含する概念であり、結果として、免疫抑制が増強されることをいう。したがって、免疫抑制の増強には、免疫抑制性の細胞の能力が増強されることおよび免疫抑制性の細胞が増加する(免疫抑制性の細胞の免疫抑制活性の増強および/または免疫抑制性の細胞の増殖が促進されるおよび/または免疫抑制性ではない細胞が免疫抑制性の細胞に分化されることを含む)の概念が含まれることが理解される。MSC細胞の免疫抑制性の細胞の誘導の形態としては、制御性T細胞等の免疫抑制性の細胞への分化が促進されること、制御性T細胞等の免疫抑制性の細胞の免疫抑制活性の増強、および制御性T細胞等の免疫抑制性の細胞の増殖が包含され、結果として免疫抑制性が増強されることが包含される。

0086

本明細書において、「免疫抑制性の細胞」(「免疫抑制性」の用語は、このほか、免疫制御性、免疫調節性、免疫修飾性とも言われ、これらは当該分野で交換可能に使用される用語である。)とは、免疫能を抑制する働きを有する細胞を指し、代表的には、制御性T細胞、制御性樹状細胞、寛容性樹状細胞、および骨髄由来免疫抑制性細胞等を挙げることができるがそれらに限定されない。

0087

間葉系幹細胞(MSC)が免疫機能を破壊する機序として、上記で説明したような免疫抑制のみならず、免疫不全も役割を果たしていることが知られており、これらは、合わせて「免疫破綻」と総称される。

0088

本明細書において「免疫不全」とは、免疫系を構成する細胞要素の一部あるいはいくつかの欠損あるいは機能不全によって,正常免疫機構障害を生じた状態をいう。これに起因する病態免疫不全症(immunodeficiency diseases)と総称する。免疫不全症は一次性二次性に大別され,前者は主に先天性の遺伝的異常に起因するもので,後者は薬剤X線など物理化学的因子,ウイルスなどの感染症栄養状態などの外的環境因子によるものをいう。障害部位は,抗体産生などB細胞領域の機能不全,細胞性免疫にかかわるT細胞領域の異常,補体系貪食機能など貪食系細胞機能の障害などさまざまであるとされている。「疲弊T細胞」が免疫不全の主な指標である。抗PD-1抗体などは、この「疲弊/不全」を阻害できる抗体としても開発されている。

0089

本明細書において「免疫破綻」とは免疫抑制および免疫不全を合わせた概念をいう。免疫破綻が起こると、より生存に有利な免疫原性の低いがん細胞が選ばれて増殖する(平衡相(免疫細胞とがん細胞との相互作用により、消えもしない、大きくもならないといった状態)から逃避相へ移行する)。そして、平衡相の終わりから逃避相にかけての短い時間に、がんの免疫原性が低下すると考えられており、がん細胞を殺すはずのT細胞が逆説的にこの役割を果たしているとされている。

0090

本明細書において「疲弊」(exhaustion)とは抗原の長期的な曝露によって,T細胞上にPD-1,CTLA4,TIM3などさまざまな共抑制分子(後述)が誘導される結果,T細胞が機能不全状態に陥ることをいう。慢性感染症やがんの際に,T細胞の不応答性が誘導される原因と考えられている。そのようなT細胞を本明細書において「疲弊T細胞」という。

0091

抗PD-1抗体などは、この「疲弊」状態および「免疫不全」を阻害できる抗体としても開発されている。したがって、本発明で使用される抗FSTL1抗体は、実施例において示されているように疲弊T細胞(の増殖または発生)を阻害することができることから、このような「疲弊」状態および「免疫不全」を阻害できるものと期待され、したがって、「免疫破綻」を阻害できるものと理解される。

0092

本明細書において、「免疫関連細胞」とは、免疫抑制や機能不全などを受ける任意の免疫系の細胞を指し、「免疫関連細胞の免疫抑制活性の獲得および/または増強」は、本明細書では代表的に、制御性T細胞の増殖、制御性T細胞への分化、制御性樹状細胞の増殖、制御性樹状細胞への分化、寛容性樹状細胞の増殖、寛容性樹状細胞への分化、骨髄由来免疫抑制性細胞の増殖および骨髄由来免疫抑制性細胞への分化、疲弊T細胞の増加等を含むことが理解される。

0093

本明細書において「被験体(者)」とは、本発明の診断または検出、あるいは治療等の対象となる対象(例えば、ヒト等の生物または生物から取り出した細胞、血液、血清等)をいう。

0094

本明細書において「試料」とは、被験体等から得られた任意の物質をいい、例えば、血清等が含まれる。当業者は本明細書の記載をもとに適宜好ましい試料を選択することができる。

0095

本明細書において「薬剤」、「剤」または「因子」(いずれも英語ではagentに相当する)は、広義には、交換可能に使用され、意図する目的を達成することができる限りどのような物質または他の要素(例えば、光、放射能、熱、電気などのエネルギー)でもあってもよい。そのような物質としては、例えば、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリドオリゴサッカリド、脂質、有機低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(例えば、低分子リガンドなど)など)、これらの複合分子が挙げられるがそれらに限定されない。ポリヌクレオチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリヌクレオチドの配列に対して一定の配列相同性を(例えば、70%以上の配列同一性)もって相補性を有するポリヌクレオチド、プロモーター領域に結合する転写因子のようなポリペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。ポリペプチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリペプチドに対して特異的に指向された抗体またはその誘導体あるいはその類似物(例えば、単鎖抗体)、そのポリペプチドがレセプターまたはリガンドである場合の特異的なリガンドまたはレセプター、そのポリペプチドが酵素である場合、その基質などが挙げられるがそれらに限定されない。

0096

本明細書において「診断」とは、被験体における疾患、障害、状態(例えば、悪性腫瘍)などに関連する種々のパラメータを同定し、そのような疾患、障害、状態の現状または未来を判定することをいう。本発明の方法、装置、システムを用いることによって、体内の状態を調べることができ、そのような情報を用いて、被験体における疾患、障害、状態、投与すべき処置または予防のための処方物または方法などの種々のパラメータを選定することができる。本明細書において、狭義には、「診断」は、現状を診断することをいうが、広義には「早期診断」、「予測診断」、「事前診断」等を含む。本発明の診断方法は、原則として、身体から出たものを利用することができ、医師などの医療従事者の手を離れて実施することができることから、産業上有用である。本明細書において、医師などの医療従事者の手を離れて実施することができることを明確にするために、特に「予測診断、事前診断もしくは診断」を「支援」すると称することがある。

0097

本明細書において「予後」という用語は、悪性腫瘍(例えば、卵巣癌)などの腫瘍性疾患再発、転移拡散、および薬剤耐性など、癌に起因する死亡または進行が起こる可能性を予測することを意味する。したがって、本明細書において「予後状態が良好」とは、癌組織切除後から一定期間(例えば、4年)を超えて当該癌を原発とする再発癌を認めない状態のことを、「予後状態が不良」または「予後不良」とは、癌組織切除後から一定期間(例えば、4年)を超えて当該癌を原発とする再発癌が認められる状態のことをいう。予後因子とは悪性腫瘍の自然経過に関する変数のことであり、これらは、いったん悪性腫瘍を発症した患者の再発率および転帰に影響を及ぼす。予後の悪化に関連した臨床的指標には、例えば、リンパ節転移、および高悪性度の腫瘍が含まれる。予後因子は、しばしば、患者を異なった基礎再発リスクをもつサブグループに分類するために用いられる。このように、本発明のFSTL1の発現は、予後因子として使用することができる。本明細書において「予測」という用語は、原発腫瘍摘出後に、患者が、良不良を問わず特定の臨床転帰を持つ可能性を意味する。したがって、本発明のFSTL1は、予後不良マーカーとして用いることができる。本発明の予測法を臨床的に用いて、特定の患者にとって最適な治療法を選択することによって治療法を決定することができる。本発明の予測法は、患者が治療計画、例えば、外科的介入など に対して良好な反応をする可能性があれば、予測する際の有益な手段となる。予測には予後因子を含むことができる。

0098

本明細書において「検出薬(剤)」または「検査薬(剤)」とは、広義には、目的の対象を検出または検査することができるあらゆる薬剤をいう。

0099

本明細書において「診断薬(剤)」とは、広義には、目的の状態(例えば、悪性腫瘍等の疾患など)を診断できるあらゆる薬剤をいう。

0100

本明細書において「治療」とは、ある疾患または障害(例えば、悪性腫瘍)について、そのような状態になった場合に、そのような疾患または障害の悪化を防止、好ましくは、現状維持、より好ましくは、軽減、さらに好ましくは消退させることをいい、患者の疾患、もしくは疾患に伴う1つ以上の症状の、症状改善効果あるいは予防効果を発揮しうることを含む。事前に診断を行って適切な治療を行うことは「コンパニオン治療」といい、そのための診断薬を「コンパニオン診断薬」ということがある。

0101

本明細書において「治療薬(剤)」とは、広義には、目的の状態(例えば、悪性腫瘍等の疾患など)を治療できるあらゆる薬剤をいう。本発明の一実施形態において「治療薬」は、有効成分と、薬理学的に許容される1つもしくはそれ以上の担体とを含む医薬組成物であってもよい。医薬組成物は、例えば有効成分と上記担体とを混合し、製剤学の技術分野において知られる任意の方法により製造できる。また治療薬は、治療のために用いられる物であれば使用形態は限定されず、有効成分単独であってもよいし、有効成分と任意の成分との混合物であってもよい。また上記担体の形状は特に限定されず、例えば、固体または液体(例えば、緩衝液)であってもよい。なお悪性腫瘍の治療薬は、悪性腫瘍の予防のために用いられる薬物(予防薬)、または悪性腫瘍細胞増殖抑制剤を含む。

0102

本明細書において「予防」とは、ある疾患または障害(例えば、悪性腫瘍)について、そのような状態になる前に、そのような状態にならないようにすることをいう。本発明の薬剤を用いて、診断を行い、必要に応じて本発明の薬剤を用いて例えば、悪性腫瘍等の予防をするか、あるいは予防のための対策を講じることができる。

0103

本明細書において「予防薬(剤)」とは、広義には、目的の状態(例えば、悪性腫瘍等の疾患など)を予防できるあらゆる薬剤をいう。

0104

本明細書において「相互作用」とは、2つの物質についていうとき、一方の物質と他方
の物質との間で力(例えば、分子間力ファンデルワールス力)、水素結合疎水性相互作用など)を及ぼしあうこという。通常、相互作用をした2つの物質は、会合または結合している状態にある。本発明の検出、検査および診断は、このような相互作用を利用して実現することができる。

0105

本明細書中で使用される用語「結合」は、2つの物質の間、あるいはそれらの組み合わせの間での、物理的相互作用または化学的相互作用を意味する。結合には、イオン結合非イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合、疎水性相互作用などが含まれる。物理的相互作用(結合)は、直接的または間接的であり得、間接的なものは、別のタンパク質または化合物の効果を介するかまたは起因する。直接的な結合とは、別のタンパク質または化合物の効果を介してもまたはそれらに起因しても起こらず、他の実質的な化学中間体を伴わない、相互作用をいう。

0106

従って、本明細書においてポリヌクレオチドまたはポリペプチドなどの生物学的因子に対して「特異的に」相互作用する(または結合する)「因子」(または、薬剤、検出剤等)とは、そのポリヌクレオチドまたはそのポリペプチドなどの生物学的因子に対する親和性が、他の無関連の(特に、同一性が30%未満の)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対する親和性よりも、代表的には同等またはより高いか、好ましくは有意に(例えば、統計学的に有意に)高いものを包含する。そのような親和性は、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ、結合アッセイなどによって測定することができる。

0107

本明細書において第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に」相互作用する(または結合する)とは、第一の物質または因子が、第二の物質または因子に対して、第二の物質または因子以外の物質または因子(特に、第二の物質または因子を含む試料中に存在する他の物質または因子)に対するよりも高い親和性で相互作用する(または結合する)ことをいう。物質または因子について特異的な相互作用(または結合)としては、例えば、核酸におけるハイブリダイゼーション、タンパク質における抗原抗体反応、酵素−基質反応など、核酸およびタンパク質の反応、タンパク質−脂質相互作用、核酸−脂質相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。従って、物質または因子がともに核酸である場合、第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」ことには、第一の物質または因子が、第二の物質または因子に対して少なくとも一部に相補性を有することが包含される。また例えば、物質または因子がともにタンパク質である場合、第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に」相互作用する(または結合する)こととしては、例えば、抗原抗体反応による相互作用、レセプター−リガンド反応による相互作用、酵素−基質相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。2種類の物質または因子がタンパク質および核酸を含む場合、第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に」相互作用する(または結合する)ことには、抗体と、その抗原との間の相互作用(または結合)が包含される。このような特異的な相互作用または結合の反応を利用することにより、試料中の対象物の検出または定量お行うことができる。

0108

本明細書においてポリヌクレオチドまたはポリペプチド発現の「検出」または「定量」は、例えば、検出剤、検査剤または診断剤への結合または相互作用を含む、mRNAの測定および免疫学的測定方法を含む適切な方法を用いて達成され得る。分子生物学測定方法としては、例えば、ノーザンブロット法ドットブロット法またはPCR法などが例示される。免疫学的測定方法としては、例えば、方法としては、マイクロタイタープレートを用いるELISA法、RIA法、蛍光抗体法発光イムノアッセイ(LIA)、免疫沈降法(IP)、免疫拡散法(SRID)、免疫比濁法(TIA)、ウェスタンブロット法免疫組織染色法などが例示される。また、定量方法としては、ELISA法またはRIA法などが例示される。アレイ(例えば、DNAアレイプロテインアレイ)を用いた遺伝子解析方法によっても行われ得る。DNAアレイについては、(秀潤社編、細胞工学別冊DNAマイクロアレイ最新PCR法」)に広く概説されている。プロテインアレイについては、Nat Genet.2002 Dec;32 Suppl:526−532に詳述されている。遺伝子発現分析法としては、上述に加えて、RT−PCR、RACE法、SSCP法、免疫沈降法、two−hybridシステム、in vitro翻訳などが挙げられるがそれらに限定されない。そのようなさらなる分析方法は、例えば、ゲノム解析実験法・中祐輔ラボマニュアル編集・中村祐輔羊土社(2002)などに記載されており、本明細書においてそれらの記載はすべて参考として援用される。

0109

本明細書において「発現量」とは、目的の細胞、組織などにおいて、ポリペプチドまたはmRNA等が発現される量をいう。そのような発現量としては、本発明の抗体を用いてELISA法、RIA法、蛍光抗体法、ウェスタンブロット法、免疫組織染色法などの免疫学的測定方法を含む任意の適切な方法により評価される本発明ポリペプチドタンパク質レベルでの発現量、またはノーザンブロット法、ドットブロット法、PCR法などの分子生物学的測定方法を含む任意の適切な方法により評価される本発明において使用されるポリペプチドのmRNAレベルでの発現量が挙げられる。「発現量の変化」とは、上記免疫学的測定方法または分子生物学的測定方法を含む任意の適切な方法により評価される本発明において使用されるポリペプチドのタンパク質レベルまたはmRNAレベルでの発現量が増加あるいは減少することを意味する。あるマーカーの発現量を測定することによって、マーカーに基づく種々の検出または診断を行うことができる。

0110

本明細書において、活性、発現産物(例えば、タンパク質、転写物(RNAなど))の「減少」または「抑制」あるいはその類義語は、特定の活性、転写物またはタンパク質の量、質または効果における減少、または減少させる活性をいう。減少のうち「消失」した場合は、活性、発現産物等が検出限界未満になることをいい、特に「消失」ということがある。本明細書では、「消失」は「減少」または「抑制」に包含される。

0111

本明細書において、活性、発現産物(例えば、タンパク質、転写物(RNAなど))の「増加」または「活性化」あるいはその類義語は、特定の活性、転写物またはタンパク質の量、質または効果における増加または増加させる活性をいう。

0112

本明細書において「インビボ」(in vivo)とは、生体の内部をいう。特定の文脈において、「生体内」は、目的とする物質が配置されるべき位置をいう。

0113

本明細書において「インビトロ」(in vitro)とは、種々の研究目的のために生体の一部分が「生体外に」(例えば、試験管内に)摘出または遊離されている状態をいう。インビボと対照をなす用語である。

0114

本明細書において「エキソビボ」(ex vivo)とは、ある処置について、体外で行われるがその後体内に戻されることが意図される場合、一連の動作をエキソビボという。本発明においても、生体内にある細胞を本発明の薬剤で処置して再度患者に戻すような実施形態を想定することができる。

0115

本明細書において「キット」とは、通常2つ以上の区画に分けて、提供されるべき部分(例えば、検査薬、診断薬、治療薬、抗体、標識、説明書など)が提供されるユニットをいう。安定性等のため、混合されて提供されるべきでなく、使用直前に混合して使用することが好ましいような組成物の提供を目的とするときに、このキットの形態は好ましい。そのようなキットは、好ましくは、提供される部分(例えば、検査薬、診断薬、治療薬をどのように使用するか、あるいは、試薬をどのように処理すべきかを記載する指示書または説明書を備えていることが有利である。本明細書においてキットが試薬キットとして使用される場合、キットには、通常、検査薬、診断薬、治療薬、抗体等の使い方などを記載した指示書などが含まれる。

0116

本明細書において「指示書」は、本発明を使用する方法を医師または他の使用者に対する説明を記載したものである。この指示書は、本発明の検出方法、診断薬の使い方、または医薬などを投与することを指示する文言が記載されている。また、指示書には、投与部位として、経口、食道への投与(例えば、注射などによる)することを指示する文言が記載されていてもよい。この指示書は、本発明が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局FDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、いわゆる添付文書(package insert)であり、通常は紙媒体で提供されるが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ、電子メール)のような形態でも提供され得る。

0117

(好ましい実施形態)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本発明の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。

0118

(抗FSTL1抗体)
1つの局面において、本発明は、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物(本明細書において総称して「抗FSTL1抗体等」あるいは「本発明の抗体等」ということがある)であって、該抗体は、配列番号2(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48位〜100位、148〜170位または148〜162位、193〜228位または193〜216位および205〜228位、ならびに233〜289位または272〜289位からなる群より選択される領域に含まれる1アミノ酸以上をエピトープに含む、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物を提供する。好ましくは該当する領域にエピトープを有する、抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物である。1つの好ましい実施形態では、配列番号2(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸148〜162位または272〜289位の領域にエピトープを有していてもよい。

0119

本発明における抗体について、エピトープは、該当する領域中の連続するまたは不連続の、5アミノ酸以上、あるいは6アミノ酸以上、7アミノ酸以上、8アミノ酸以上、9アミノ酸以上、10アミノ酸以上、11アミノ酸以上、12アミノ酸以上の領域あるいはそれらの組合せが該当し得る。

0120

好ましい実施形態では、本発明の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物における抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48位〜100位、148〜162位、205〜228位および272〜289位からなる群より選択される領域にエピトープを有する。これらのエピトープは動物試験において薬効が確認されているものを含む。なお、#6−55、#7−34、#13については、148−162部位を認識するものと理解される。また、#5−2、#5−3、#5−8.#5−10、#5−43、#8−1、#8−4、#8−6、#8−8は、アミノ酸272〜289位を認識するものと理解され、#7および#10はアミノ酸205位〜228位を認識するものと理解され、#22はアミノ酸193位〜216位を認識するものと理解され、#33はアミノ酸48位〜100位を認識するものと理解される。さらに好ましくは、本発明の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物における抗体は、配列番号1(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸148〜162位および205〜228位からなる群より選択される領域にエピトープを有する。これらのエピトープは、より活性が強いことが確認されている抗体が認識するものを含む。別の好ましい実施形態では、配列番号2(ヒトFSTL1のアミノ酸配列)のアミノ酸48〜100位、148〜162位または205〜228位の領域にエピトープを有する。理論に束縛されることは望まないが、これらのエピトープはインビトロ試験またはインビボ試験において薬効が確認されているものを含む。

0121

別の実施形態では、本発明の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物における抗体は、特定のCDRを有する。あるいは、本発明の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物は、全長配列のCDRを含む任意の配列を含む抗体またはその抗原結合フラグメント、あるいは、本発明の特定の抗体に関する配列の可変領域を含む抗体またはその抗原結合フラグメントであって、そのフレームワーク領域において、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、15個、17個、もしくは、20個、またはそれ以上の置換、不可、もしくは、欠失を含む抗体またはその抗原結合フラグメントであってもよい。より特定すると、そのような特定のCDRについて、重鎖CDR1,2,3、軽鎖CDR1,2,3の具体的な例としては、抗体#5−2(軽鎖:配列番号6;重鎖:配列番号8)、#5−3(軽鎖:配列番号10;重鎖:配列番号12)、抗体#5−8(軽鎖:配列番号14;重鎖:配列番号16)、#5−10(軽鎖:配列番号18;重鎖:配列番号20)、#5−43(軽鎖:配列番号22;重鎖:配列番号24)、#6−55(軽鎖:配列番号26;重鎖:配列番号28)、#7−34(軽鎖:配列番号30;重鎖:配列番号32)、#8−1(軽鎖:配列番号34;重鎖:配列番号36)、#8−4(軽鎖:配列番号38;重鎖:配列番号40)、#8−7(軽鎖:配列番号42;重鎖:配列番号44)、#8−8(軽鎖:配列番号46;重鎖:配列番号48)、#7(軽鎖:配列番号50;重鎖:配列番号52)、#10(軽鎖:配列番号54;重鎖:配列番号56)、#13(軽鎖:配列番号58;重鎖:配列番号60)、#22(軽鎖:配列番号62;重鎖:配列番号64)および#33(軽鎖:配列番号66;重鎖:配列番号68)の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3あるいはそれらの機能的等価物(例えば、1つ、2つまたは3つあるいはそれ以上の保存的アミノ酸置換を含むもの)の少なくとも1つ、好ましくは2つ、3つ、4つ、5つ、さらに好ましくは6つすべてを含む。あるいは、本発明の抗FSTL1抗体、またはそのフラグメントもしくは機能的等価物は、該抗体の変異体であって、該変異体において該抗体のフレームワークに1または数個の置換、付加もしくは欠失を含むが、該CDRには変異を含まない、変異体であってもよい。抗体の製造等については、本明細書の他の箇所に記載された実施形態および/または当該分野で公知の手法を用いることができる。なお、本発明の治療または予防の目的では、このような抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物は、好ましくは、FSTL1またはその情報伝達経路の下流の抑制活性を有することが好ましい。そのような活性は、FSTL1の発現量またはその活性をみるか、あるいはがん細胞株を直接使用して細胞の増殖阻害転移活性阻害、骨転移阻害、MSCの免疫抑制や免疫不全等の免疫破綻を増強する活性(例えば、免疫抑制活性または免疫不全活性を有するMSC細胞の増殖、免疫抑制活性または免疫不全活性を有するMSC細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の増強および免疫抑制活性または免疫不全活性を有しない細胞の免疫抑制活性または免疫不全活性の獲得)の阻害、免疫関連細胞の免疫抑制性化または免疫不全化(例えば、制御性T細胞の増殖、制御性T細胞の免疫抑制活性の増加、制御性T細胞への分化、制御性樹状細胞の増殖、制御性樹状細胞の免疫抑制活性の増加、制御性樹状細胞への分化、寛容性樹状細胞の増殖、寛容性樹状細胞の免疫抑制活性の増加、寛容性樹状細胞への分化、骨髄由来免疫抑制性細胞の増殖、骨髄由来免疫抑制性細胞免疫抑制活性の増加および骨髄由来免疫抑制性細胞への分化、疲弊T細胞の増殖、疲弊T細胞の免疫不全活性の増強、および疲弊T細胞の増殖・誘導等による疲弊T細胞の増加の阻害、抗体依存性細胞傷害(ADCC)での細胞傷害活性、またはモデル動物に移植して腫瘍の退縮を観察する等をみることで確認してもよい。これらの手法は、当該分野において周知であり、本明細書において使用される手法を用いてもよい。本発明のこれらの抗体は、特定の実施形態では、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、多機能抗体、二重特異性またはオリゴ特異性(oligospecific)抗体、単鎖抗体、scFV、ダイアボディー、sc(Fv)2(single chain (Fv)2)、およびscFv−Fcから選択される抗体でありうる。

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