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技術 ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体並びにその製造方法、分離及び/又は吸着を行う方法、分離材、吸着材、フィルターメディア、積層体、並びに、フィルターデバイス

出願人 東京応化工業株式会社
発明者 菅原司市川正則越山淳戸張光治
出願日 2016年2月3日 (4年0ヶ月経過) 出願番号 2016-573402
公開日 2017年12月7日 (2年2ヶ月経過) 公開番号 WO2016-125832
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード ケミカルエッチング後 金属凝集体 原料薬液 不純物除去性能 ポリアミドイミド膜 ケミカルエッチング液 脂肪族ポリイミド 多孔質ポリイミド
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課題・解決手段

金属等の不純物除去性能に優れ、応力破断伸度等にも優れたポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体及びその製造方法、該多孔質体を用いて分離及び/又は吸着を行う方法、該多孔質体からなる分離材吸着材及びフィルターメディア、並びに、該多孔質体を含む積層体及びフィルターデバイスを提供すること。 ポリイミド及び/又はポリアミドイミドがカルボキシ基塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有する、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体。

概要

背景

半導体デバイスにおいて、高性能・高機能化低消費電力化の要求が高まるにつれ、回路パターン微細化が進行しており、それに伴い製造歩留まりの低下を引き起こす汚染金属の除去の要請が非常に高くなっている。そのため、基板疎水性を付与するための保護膜形成用薬液シリコンウエハ洗浄液等の薬液中に鉄、ニッケル等の汚染金属が含まれないことが望ましい。

半導体デバイスの製造工程において用いられるこのような薬液は、予め鉄、ニッケル等の汚染金属を除去するため、フィルターデバイス等により清浄化される。フィルターデバイスは、通常、多孔質膜を用いたフィルターメディアを備えている。

金属イオン等の不純物を除去するため、多孔質膜としてはナノパーティクル等の微小物質をも除去可能なものが望ましい。半導体デバイス等の用途に使用される薬液や樹脂材料から不純物を除去し得るフィルター膜として、ナイロン、ポチエレンポリプロピレンPTFE等が一般的であり、例えば、ナイロン等のフィルター膜を用いることで、有機系の不純物も除去されることが知られている(例えば、特許文献1)。

概要

金属等の不純物除去性能に優れ、応力破断伸度等にも優れたポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体及びその製造方法、該多孔質体を用いて分離及び/又は吸着を行う方法、該多孔質体からなる分離材吸着材及びフィルターメディア、並びに、該多孔質体を含む積層体及びフィルターデバイスを提供すること。 ポリイミド及び/又はポリアミドイミドがカルボキシ基塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有する、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体。

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、金属等の不純物除去性能に優れ、応力、破断伸度等にも優れたポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体及びその製造方法、該多孔質体を用いて分離及び/又は吸着を行う方法、該多孔質体からなる分離材、吸着材及びフィルターメディア、並びに、該多孔質体を含む積層体及びフィルターデバイスを提供する

効果

実績

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請求項1

ポリイミド及び/又はポリアミドイミドカルボキシ基塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有する、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体

請求項2

内面曲面を有する孔を含有する多孔質体である、請求項1記載のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体。

請求項3

前記曲面を有する孔が連通孔を形成している、請求項2記載のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体。

請求項4

前記ポリイミド及び/又はポリアミドイミドが下記式(3)〜(6)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1つを有する、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体。[式中、Xは同一若しくは異なって、水素原子又は陽イオン成分であり、Arはアリール基であり、Yはジアミン化合物アミノ基を除いた2価の残基である]

請求項5

ポリイミド及び/又はポリアミドイミドにおけるイミド結合の一部からカルボキシ基及び/又は塩型カルボキシ基を形成する工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体の製造方法。

請求項6

請求項1〜4のいずれか1項記載のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体を用いて、ろ過、単離、除去、捕捉、精製及びいからなる群より選択される少なくとも1つを含むものであってもよい分離並びに/又は吸着を行う方法。

請求項7

半導体製造において行う、請求項6記載の方法。

請求項8

請求項1〜4のいずれか1項記載のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体からなる分離材

請求項9

請求項1〜4のいずれか1項記載のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体からなる吸着材

請求項10

請求項1〜4のいずれか1項記載のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体からなるフィルターメディア

請求項11

他の濾材と請求項10記載のフィルターメディアとを含む積層体

請求項12

請求項1〜4のいずれか1項記載のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体を含むフィルターデバイス

技術分野

0001

本発明は、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体並びにその製造方法、該多孔質体を用いて分離及び/又は吸着を行う方法、該多孔質体からなる分離材吸着材及びフィルターメディア、並びに、該多孔質体を含む積層体及びフィルターデバイスに関する。

背景技術

0002

半導体デバイスにおいて、高性能・高機能化低消費電力化の要求が高まるにつれ、回路パターン微細化が進行しており、それに伴い製造歩留まりの低下を引き起こす汚染金属の除去の要請が非常に高くなっている。そのため、基板疎水性を付与するための保護膜形成用薬液シリコンウエハ洗浄液等の薬液中に鉄、ニッケル等の汚染金属が含まれないことが望ましい。

0003

半導体デバイスの製造工程において用いられるこのような薬液は、予め鉄、ニッケル等の汚染金属を除去するため、フィルターデバイス等により清浄化される。フィルターデバイスは、通常、多孔質膜を用いたフィルターメディアを備えている。

0004

金属イオン等の不純物を除去するため、多孔質膜としてはナノパーティクル等の微小物質をも除去可能なものが望ましい。半導体デバイス等の用途に使用される薬液や樹脂材料から不純物を除去し得るフィルター膜として、ナイロン、ポチエレンポリプロピレンPTFE等が一般的であり、例えば、ナイロン等のフィルター膜を用いることで、有機系の不純物も除去されることが知られている(例えば、特許文献1)。

先行技術

0005

特許第4637476号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、ナイロンからなる膜は、酸耐性が弱いため、酸で洗浄することが難しく、フィルター自体に混入又は付着する不純物除去が難しいという問題があった。またポリエチレンからなる膜は半導体デバイスの製造工程に用いられる薬液から除去されるべき、鉄、ニッケル等の不純物の除去率が低いという問題があった。

0007

また、フィルターメディアに用いられる多孔質膜は、産業上何度も繰り返し使用されるから、応力破断伸度が高い等、耐久性のあるものが好ましい。

0008

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、金属等の不純物除去性能に優れ、応力、破断伸度等にも優れたポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体及びその製造方法、該多孔質体を用いて分離及び/又は吸着を行う方法、該多孔質体からなる分離材、吸着材及びフィルターメディア、並びに、該多孔質体を含む積層体及びフィルターデバイスを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、カルボキシ基塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有するポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体が、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドによる応力、破断伸度等を損なうことなく、少なくともその多孔質構造により金属除去性能に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。

0010

本発明の第一の態様は、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドがカルボキシ基、塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有する、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体である。

0011

本発明の第二の態様は、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドにおけるイミド結合の一部からカルボキシ基又は塩型カルボキシ基を形成する工程を含む、本発明の第一の態様のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体の製造方法である。

0012

本発明の第三の態様は、本発明の第一の態様のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体を用いて、ろ過、単離、除去、捕捉、精製及びいからなる群より選択される少なくとも1つを含むものであってもよい分離並びに/又は吸着を行う方法である。

0013

本発明の第四の態様は、本発明の第一の態様のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体からなる分離材である。

0014

本発明の第五の態様は、本発明の第一の態様のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体からなる吸着材である。

0015

本発明の第六の態様は、本発明の第一の態様のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体からなるフィルターメディアである。

0016

本発明の第七の態様は、他の濾材と本発明の第六の態様のフィルターメディアとを含む積層体である。

0017

本発明の第八の態様は、本発明の第一の態様のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体を含むフィルターデバイスである。

発明の効果

0018

本発明によれば、金属除去性能に優れ、応力、破断伸度等にも優れたポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体及びその製造方法、該多孔質体を用いて分離及び/又は吸着を行う方法、該多孔質体からなる分離材、吸着材及びフィルターメディア、並びに、該多孔質体を含む積層体及びフィルターデバイスを提供することができる。

0019

以下、本発明の実施態様について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施態様に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において、例えば「ポリイミド及び/又はポリアミドイミド」等のように「P及び/又はQ」との記載、また、例えば「カルボキシ基、塩型カルボキシ基及び/又は−NH−結合」等のように「P、Q及び/又はR」との記載は、それぞれ「P及びQからなる群より選択される少なくとも1つ」、「P、Q及びRからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味し、「及び/又は」を用いる他の記載もこれに準じる。ここでP、Q及びRは任意の用語である。

0020

本発明の第一の態様であるポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体は、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドがカルボキシ基、塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有する。

0021

本発明のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体は、樹脂を含有するものであり、実質的に樹脂のみからなるものであってもよく、具体的には、95質量%以上、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上が樹脂であるものである。本発明のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体に含有される樹脂としては、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドが好ましく、ポリイミドを含有する樹脂がより好ましく、ポリイミドのみであってもよい。本明細書において、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドを「ポリイミド系樹脂」ということがある。

0022

本発明のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体(以下、「ポリイミド系樹脂多孔質体」又は「多孔質体」と略称することがある。)に含有されるポリイミド及び/又はポリアミドイミドは、カルボキシ基、塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有する。該ポリイミド及び/又はポリアミドイミドは、カルボキシ基、塩型カルボキシ基及び/又は−NH−結合を、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドの主鎖末端以外に有することが好ましい。

0023

本明細書において、「塩型カルボキシ基」とは、カルボキシ基における水素原子陽イオン成分置換した基を意味する。本明細書において、「陽イオン成分」とは、完全にイオン化した状態である陽イオン自体であってもよいし、−COO−とイオン結合して事実上電荷のない状態である陽イオン構成要素であってもよいし、これら両者の中間的な状態である部分電荷を有する陽イオン構成要素であってもよい。「陽イオン成分」がn価の金属MからなるMイオン成分である場合、陽イオン自体としてはMn+と表され、陽イオン構成要素としては「−COOM1/n」において「M」で表される要素である。

0024

本発明において「陽イオン成分」とは、後述のケミカルエッチング液に含有される化合物として挙げた化合物がイオン解離した場合の陽イオンが挙げられ、代表的にはイオン成分又は有機アルカリイオン成分が挙げられる。例えば、アルカリ金属イオン成分がナトリウムイオン成分の場合、陽イオン自体としてはナトリウムイオン(Na+)であり、陽イオン構成要素としては「−COONa」において「Na」で表される要素であり、部分電荷を有する陽イオン構成要素としてはNaδ+である。本発明において陽イオン成分としては特に限定されず、無機成分、NH4+、N(CH3)4+等の有機成分の何れであってもよい。無機成分としては、例えば、Li、Na、K等のアルカリ金属、Mg、Ca等のアルカリ土類金属等の金属元素が挙げられる。有機成分、なかでも、有機アルカリイオン成分としては、NH4+、例えばNR4+(4つのRはそれぞれ同一又は異なって、有機基を表す。)で表される第四級アンモニウムカチオン等が挙げられる。上記Rとしての有機基としてはアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。第四級アンモニウムカチオンとしては、N(CH3)4+等が挙げられる。

0025

本発明において、「塩型カルボキシ基」及び「陽イオン成分」がどのような状態であるかは特に限定されず、通常、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドが存在する環境、例えば水溶液中であるか、有機溶媒中であるか、乾燥しているか、等に依存してよい。陽イオン成分がナトリウムイオン成分である場合、例えば、水溶液中であれば、−COO−とNa+とに解離している可能性があり、有機溶媒中であるか又は乾燥していれば、−COONaが解離していない可能性が高い。

0026

本発明におけるポリイミド及び/又はポリアミドイミドは、カルボキシ基、塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有するが、通常、カルボキシ基及び/又は塩型カルボキシ基と−NH−結合とを両方有する。ポリイミド及び/又はポリアミドイミドは、カルボキシ基及び/又は塩型カルボキシ基に関していえば、カルボキシ基のみを有してもよいし、塩型カルボキシ基のみを有してもよいし、カルボキシ基及び塩型カルボキシ基の両方を有してもよい。ポリイミド及び/又はポリアミドイミドが有するカルボキシ基と塩型カルボキシ基との比率は、同一のポリイミド及び/又はポリアミドイミドであっても、例えば、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドが存在する環境に応じて変動し得るし、陽イオン成分の濃度にも影響される。

0027

本発明におけるポリイミド及び/又はポリアミドイミドが有するカルボキシ基及び塩型カルボキシ基の合計モル数は、ポリイミドの場合は、通常、−NH−結合と等モルであり、特に、後述のポリイミド多孔質体の製造方法においてポリイミドにおけるイミド結合の一部からカルボキシ基及び/又は塩型カルボキシ基を形成する場合、実質的に同時に−NH−結合も形成され、該形成されるカルボキシ基及び塩型カルボキシ基の合計モル数は、該形成される−NH−結合と等モルである。ポリアミドイミドの場合は、ポリアミドイミドにおけるカルボキシ基及び塩型カルボキシ基の合計モル数は、−NH−結合と必ずしも等モルではなく、後述のケミカルエッチング等のイミド結合開環工程の条件次第である。−NH−結合は、好ましくはアミド結合(−NH−C(=O)−)の一部である。

0028

本発明におけるポリイミド及び/又はポリアミドイミドは、具体的には、下記式(3)〜(6)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1つを有するものであることが好ましい。ポリイミドである場合、下記式(3)及び/又は(4)で表される構成単位を有することが好ましく、ポリアミドイミドである場合、下記式(5)及び/又は(6)で表される構成単位を有することが好ましい。

0029

上記式中、Xは同一若しくは異なって、水素原子又は陽イオン成分である。Arはアリール基であり、後述のポリアミド酸を構成する式(1)で表される繰り返し単位又は芳香族ポリイミドを構成する式(2)で示される繰り返し単位においてそれぞれカルボニル基が結合しているArで表されるアリール基と同じであってよい。Yはジアミン化合物アミノ基を除いた2価の残基であり、後述のポリアミド酸を構成する式(1)で表される繰り返し単位又は芳香族ポリイミドを構成する式(2)で示される繰り返し単位においてそれぞれNが結合しているArで表されるアリール基と同じであってよい。

0030

本発明におけるポリイミド及び/又はポリアミドイミドは、一般のポリイミド及び/又はポリアミドイミドが有するイミド結合([−C(=O)]2−N−)の一部が開環して、ポリイミドの場合は上記式(3)及び/又は(4)で表される構成単位、ポリアミドイミドの場合は上記式(5)で表される構成単位をそれぞれ有することとなったものが好ましい。
もっともポリアミドイミドの場合、一般のポリアミドイミドが有するイミド結合の開環によらずに元々有しているアミド結合(−NH−C(=O)−)を有することのみによっても本発明の目的を達成することができることを本発明者らは見出した。とはいえポリアミドイミドにおいても、ポリアミドイミドが本来有するイミド結合の一部が開環して上記(5)で表される構成単位を有することが好ましい。

0031

本発明におけるポリイミド及び/又はポリアミドイミドは、イミド結合の一部を開環させることで、カルボキシ基、塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有するポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体としてもよい。イミド結合の一部を開環させる場合の、不変化率は、以下のように求める。
(1)後述のイミド結合開環工程を行わないポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体(ただし、当該多孔質体を作成するためのワニスがポリアミド酸を含む場合、焼成工程において、実質的にイミド化反応が完結しているものとする。)について、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)装置により測定したイミド結合を表すピーク面積を、同じくFT−IR装置により測定したベンゼンを表すピークの面積で除した値で表される値(X1)を求める。
(2)前記値(X1)を求めた多孔質体と同一のポリマー(ワニス)を用いて、得られたポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体に対し、後述のイミド結合開環工程を行った後のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体について、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)装置により測定したイミド結合を表すピークの面積を、同じくFT−IR装置により測定したベンゼンを表すピークの面積で除した値で表される値(X2)を求める。
(3)不変化率(%)=(X2)÷(X1)×100
本発明におけるポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体について、不変化率は、60%以上であることが好ましく、70%〜99.5%であることがより好ましく、80〜99%であることが更に好ましい。
ポリアミドイミドを含む多孔質体の場合は、イミド結合の開環によらずに元々有しているアミド結合(−NH−C(=O)−)を構成する−NH−結合を含むため、不変化率は100%であってもよい。

0032

また、本発明におけるポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体がポリイミド多孔質体である場合は、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)装置により測定したイミド結合を表すピークの面積を、同じくFT−IR装置により測定したベンゼンを表すピークの面積で除した値をイミド化率とすると、ポリイミドの場合は上記説明における(X2)が、1.2以上であるものが好ましく、1.2〜2であるものがより好ましく、1.3〜1.6であるものが更に好ましく、1.30〜1.55であるものが更により好ましく、1.35〜1.5未満が特に好ましい。また、(X1)についてのイミド化率は、本発明においては、1.5以上のものを用いることが好ましい。イミド化率は、相対的に数字が大きいほど、イミド結合の数が多い、即ち、上述の開環したイミド結合が少ないことを表す。

0033

本発明のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体は、内面曲面を有する孔を含有する多孔質体であることが好ましく、多孔質体における孔の多く(好ましくは実質的に全部)が曲面で形成されていることがより好ましい。本明細書において、孔について「内面に曲面を有する」とは、多孔質をもたらす孔の少なくとも内面が、該内面の少なくとも一部に曲面を有することを意味する。本発明の多孔質体における孔は、少なくともその内面の実質的にほぼ全部が曲面であることが好ましい。

0034

多孔質体における孔が内面に曲面を有することにより、本発明のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体に流体を通過させる際に該流体が多孔質体における孔の内部に十分に行き渡り、孔の内面に十分接触することができ、場合によっては該内面の曲面に沿って対流を起こしている可能性も考えられる。このようにして、本発明の多孔質体における孔ないし孔の内面に存在し得る凹部に、流体に存在する金属粒子等の微小物質が吸着しやすいものと考えられる。

0035

本発明のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体において、上述の内面に曲面を有する孔が連通孔を形成していることが好ましい。通常、連通孔は、内面に曲面を有する孔が複数繋がって全体として連通孔を形成したものであり、内面に曲面を有する孔が隣接して形成される部分が連通孔となる。連通孔は、後述のポリイミド系樹脂多孔質体の製造方法において用いる微粒子同士が接していた部分に形成される孔であるともいえる。本発明において、連通孔は、本発明の多孔質体の内部を流体が通過できるように、多孔質体の表面に開口を有し、多孔質体の内部で流路が確保されるように繋がっているものが好ましい。

0036

本発明のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体は、好ましくは、内面に曲面を有する孔が連続してなる連通孔を内部に有するので、かかる多孔質体に流体を通過させると、流体が多孔質体の内部を通過できるのみならず、個々の孔の曲面に接触しながら通過することにより、孔の内面に対する接触面積が増加することとなり、多孔質体における孔に、流体に存在する金属粒子等の微小な物質が吸着しやすいものと考えられる。

0037

本発明のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体は、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドにおけるイミド結合の一部からカルボキシ基及び/又は塩型カルボキシ基を形成する工程(以下、「イミド結合開環工程」ということがある。)を含む方法により製造することができる。イミド結合開環工程において、上述のように、イミド結合の一部からカルボキシ基及び/又は塩型カルボキシ基を形成する場合、実質的に同時に、理論上これらの基と等モルの−NH−結合も形成される。イミド結合開環工程は、後述のケミカルエッチングにより行うことが好ましい。

0038

もっとも、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体が含有する樹脂が実質的にポリアミドイミドからなる場合、イミド結合開環工程を施さなくても既に−NH−結合を有しており、良好な吸着力を有し、また、そのために流体の流速を遅くする必要も特にない点で、イミド結合開環工程は必ずしも必要ではないが、本発明の目的をより効果的に達成するためには、イミド結合開環工程を施すことが好ましい。

0039

本発明の第二の態様である、本発明の第一の態様のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体の製造方法は、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドにおけるイミド結合の一部からカルボキシ基及び/又は塩型カルボキシ基を形成する工程(イミド結合開環工程)を含む。

0040

本発明の第一の態様のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体の製造方法としては、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドを主成分とする膜等の成形体(以下、「ポリイミド及び/又はポリアミドイミド成形体」と略称することがある。)を作製したのち、イミド結合開環工程を行うことが好ましい。イミド結合開環工程を施す対象である、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド成形体としては、多孔質であってもよいし非多孔質であってもよく、また、その形状は特に限定されないが、得られる本発明の第一の態様のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体における多孔質の程度を高めることができる点で、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド成形体は、多孔質であることが好ましく、及び/又は、膜等の薄い形状であることが好ましい。

0041

ポリイミド及び/又はポリアミドイミド成形体は、上述のように、イミド結合開環工程を施す際に非多孔質であってもよいが、その場合、イミド結合開環工程の後に多孔質化することが好ましい。
ポリイミド及び/又はポリアミドイミド成形体をイミド結合開環工程の前であるか後であるかに関わりなく多孔質化する方法としては、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドと微粒子との複合体(以下、「ポリイミド系樹脂−微粒子複合体」ということがある。)から該微粒子を取り除いて多孔質化する微粒子除去工程を含む方法が好ましい。

0042

本発明の第一の態様のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体の製造方法としては、(a)微粒子除去工程の前に、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドと微粒子との複合体にイミド結合開環工程を施してもよいし、又は、(b)微粒子除去工程の後に、該工程により多孔質化したポリイミド及び/又はポリアミドイミド成形体にイミド結合開環工程を施してもよいが、得られるポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体における多孔質の程度を高めることができる点で、後者の(b)の方法が好ましい。

0043

以下に、本発明の第一の態様のポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体の製造方法を、好ましい態様である膜(多孔質膜)の形態をとる場合を主に例にとり、詳述する。膜はワニスを用いて好適に製造することができる。

0044

[ワニスの製造]
ワニス製造は、予め微粒子が分散した有機溶剤とポリアミド酸、ポリイミド又はポリアミドイミドを任意の比率で混合するか、微粒子を予め分散した有機溶剤中でテトラカルボン酸二無水物及びジアミン重合してポリアミド酸とするか、更にイミド化してポリイミドとすることで製造でき、最終的に、その粘度を300〜2000cP(0.3〜2Pa・s)とすることが好ましく、400〜1800cP(0.4〜1.8Pa・s)の範囲がより好ましい。ワニスの粘度がこの範囲内であれば、均一に成膜をすることが可能である。

0045

上記ワニスには、微粒子を、焼成(焼成が任意の場合は乾燥)してポリイミド系樹脂−微粒子複合体とした際に微粒子/ポリイミド系樹脂の比率が1〜4(質量比)となるように樹脂微粒子とポリアミド酸又はポリイミド若しくはポリアミドイミドとを混合でき、微粒子/ポリイミド系樹脂の比率は1.1〜3.5(質量比)であることが好ましい。更に、ポリイミド系樹脂−微粒子複合体とした際に、微粒子/ポリイミド系樹脂の体積比率が1.1〜5となるように、微粒子とポリアミド酸又はポリイミド若しくはポリアミドイミドとを混合するとよい。また、微粒子/ポリイミド系樹脂の比率を1.1〜4.5(体積比)とすることが、更に好ましい。微粒子/ポリイミド系樹脂の質量比又は体積比が下限値以上であれば、多孔質体として適切な密度の孔を得ることができ、上限値以下であれば、粘度の増加や膜中のひび割れ等の問題を生じることなく安定的に成膜をすることができる。なお、本明細書において、体積%及び体積比は、25℃における値である。

0046

<微粒子>
本発明で用いられる微粒子の材質は、ワニスに使用する有機溶剤に不溶で、成膜後選択的に除去可能なものなら、特に限定されることなく使用することができる。例えば、無機材料としては、シリカ二酸化珪素)、酸化チタンアルミナ(Al2O3)、炭酸カルシウム等の金属酸化物有機材料としては、高分子量オレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリスチレンアクリル系樹脂メタクリル酸メチルメタクリル酸イソブチルポリメチルメタクリレートPMMA)等)、エポキシ樹脂セルロースポリビニルアルコールポリビニルブチラールポリエステルポリエーテル、ポリエチレン等の有機高分子微粒子(樹脂微粒子)が挙げられる。

0047

ポリイミド系樹脂多孔質体の製造の際使用することの好ましいものとして、無機材料ではコロイダルシリカ等のシリカ又は有機高分子微粒子のPMMA等を挙げることができる。なかでもこれらの球状粒子を選択することが、内面に曲面を有する微小な孔を形成するためには好ましい。

0048

本発明で用いられる樹脂微粒子としては、例えば、通常の線状ポリマーや公知の解重合性ポリマーから、目的に応じ特に限定されることなく選択できる。通常の線状ポリマーは、熱分解時にポリマーの分子鎖ランダムに切断されるポリマーであり、解重合性ポリマーは、熱分解時にポリマーが単量体に分解するポリマーである。いずれも、加熱時に、単量体、低分子量体、あるいは、CO2まで分解することによって、ポリイミド系樹脂膜から除去可能である。使用される樹脂微粒子の分解温度は200〜320℃であることが好ましく、230〜260℃であることが更に好ましい。分解温度が200℃以上であれば、ワニスに高沸点溶剤を使用した場合も成膜を行うことができ、ポリイミド系樹脂の焼成条件の選択の幅が広くなる。また、分解温度が320℃以下であれば、ポリイミド系樹脂に熱的なダメージを与えることなく樹脂微粒子のみを消失させることができる。

0049

これら解重合性ポリマーのうち、熱分解温度の低いメタクリル酸メチル若しくはメタクリル酸イソブチルの単独(ポリメチルメタクリレート若しくはポリイソブチルメタクリレート)、あるいはこれを主成分とする共重合ポリマー孔形成時の取り扱い上好ましい。

0050

本発明で用いられる微粒子は、形成される多孔質体における孔の内面に曲面を有しやすい点で、真球率が高いものが好ましい。使用する微粒子の粒径平均直径)としては、例えば、50〜2000nm、好ましくは200〜1000nmのものを用いることができる。微粒子を取り除いて得られるポリイミド系樹脂多孔質体が、分離材又は吸着材として流体を通過させる際に多孔質体における孔の内面に流体を万遍なく接触させることができ、流体に含まれる金属粒子等の微小物質の吸着を効率よく行うことができ、好ましい。また、粒径分布指数(d25/75)が1〜6であればよく、1.6〜5が好ましく、2〜4の範囲がより好ましい。下限値を1.6以上とすることで、膜内部に粒子を効率的に充填させることができるため、流路を形成しやすく、流速が向上するため好ましい。また、サイズの異なる孔になり、対流の仕方がかわって吸着率が向上すると考えられる。もっとも、微粒子の粒径分布指数(d25/75)は1以上であれば1.6未満であっても流速及び吸着率が良好であり、破断伸度は向上しやすい。なお、d25、d75は、粒度分布累積度数がそれぞれ25%、75%の粒子径の値であり、本明細書においては、d25が粒径の大きい方となる。

0051

また、後述の製造方法において、未焼成複合体を2層状の未焼成複合膜として形成する場合、第一のワニスに用いる微粒子(B1)と第二のワニスに用いる微粒子(B2)とは、同じものを用いてもよいし、互いに異なったものを用いてもよい。基材に接する側の孔をより稠密にするには、(B1)の微粒子は、(B2)の微粒子よりも粒径分布指数が小さいか同じであることが好ましい。あるいは、(B1)の微粒子は、(B2)の微粒子よりも真球率が小さいか同じであることが好ましい。また、(B1)の微粒子は、(B2)の微粒子よりも微粒子の粒径(平均直径)が小さいことが好ましく、特に、(B1)が100〜1000nm(より好ましくは100〜600nm)、(B2)が500〜2000nm(より好ましくは700〜2000nm)のものを用いることが好ましい。(B1)の微粒子の粒径に(B2)より小さいものを用いることで、得られる多孔質ポリイミド系樹脂多孔質体表面の孔の開口割合を高く均一にすることができ、且つ、多孔質ポリイミド系樹脂多孔質体全体を(B1)の微粒子の粒径とした場合よりも多孔質体(膜)の強度を高めることができる。

0052

本発明では、ワニス中の微粒子を均一に分散することを目的に、上記微粒子とともに更に分散剤を添加してもよい。分散剤を添加することにより、ポリアミド酸、ポリイミド又はポリアミドイミドと微粒子とを一層均一に混合でき、更には、成形又は成膜した前駆体膜中の微粒子を均一に分布させることができる。その結果、最終的に得られるポリイミド系樹脂多孔質体の表面に稠密な開口を設け、且つ、ポリイミド系樹脂多孔質体の透気度が向上するように、該多孔質体の表裏面を効率よく連通させる連通孔を形成することが可能となる。

0053

本発明で用いられる分散剤は、特に限定されることなく、公知のものを使用することができる。例えば、やし脂肪酸塩、ヒマシ硫酸化油塩、ラウリルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルサルフェート塩、アルキルベンゼンスルホン酸アルキルベンゼンスルホン酸塩アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩アルキルナフタレンスルホン酸塩ジアルキルスルホサクシネート塩、イソプロピルホスフェートポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルホスフェート塩等のアニオン界面活性剤オレイルアミン酢酸塩、ラウリルピリジニウムクロライドセチルピリジニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン界面活性剤ヤシアルキルジメチルアミンオキサイド脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩アミドベタイン活性剤アラニン型活性剤、ラウリルイミノプロピオン酸等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミンポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル等、ポリオキシアルキレン一級アルキルエーテル又はポリオキシアルキレン二級アルキルエーテルのノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレン化硬化ヒマシ油ソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド等のその他のポリオキアキレン系のノニオン界面活性剤;オクチルステアレートトリメチロールプロパントリデカノエート等の脂肪酸アルキルエステル;ポリオキシアルキレンブチルエーテル、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル、トリメチロールプロパントリス(ポリオキシアルキレン)エーテル等のポリエーテルポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。また、上記分散剤は、2種以上を混合して使用することもできる。

0054

<ポリアミド酸>
本発明に用いるポリアミド酸は、任意のテトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合して得られるものが、特に限定されることなく使用できる。テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの使用量は特に限定されないが、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、ジアミンを0.50〜1.50モル用いるのが好ましく、0.60〜1.30モル用いるのがより好ましく、0.70〜1.20モル用いるのが特に好ましい。

0055

テトラカルボン酸二無水物は、従来からポリアミド酸の合成原料として使用されているテトラカルボン酸二無水物から適宜選択することができる。テトラカルボン酸二無水物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物であっても、脂肪族テトラカルボン酸二無水物であってもよいが、得られるポリイミド樹脂耐熱性の点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。テトラカルボン酸二無水物は、2種以上を組合せて用いてもよい。

0056

芳香族テトラカルボン酸二無水物の好適な具体例としては、ピロメリット酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニルエタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2,6,6−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシジフタル酸二無水物、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス無水フタル酸フルオレン、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロへキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中では、価格、入手容易性等から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物が好ましい。また、これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独あるいは二種以上混合して用いることもできる。

0057

ジアミンは、従来からポリアミド酸の合成原料として使用されているジアミンから適宜選択することができる。このジアミンは、芳香族ジアミンであっても、脂肪族ジアミンであってもよいが、得られるポリイミド樹脂の耐熱性の点から、芳香族ジアミンが好ましい。これらのジアミンは、2種以上を組合せて用いてもよい。

0058

芳香族ジアミンとしては、フェニル基が1個あるいは2〜10個程度が結合したジアミノ化合物を挙げることができる。具体的には、フェニレンジアミン及びその誘導体ジアミノビフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノジフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノトリフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノナフタレン及びその誘導体、アミノフェニルアミノインダン及びその誘導体、ジアミノテトラフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノヘキサフェニル化合物及びその誘導体、カルド型フルオレンジアミン誘導体である。

0059

フェニレンジアミンはm−フェニレンジアミンp−フェニレンジアミン等であり、フェニレンジアミン誘導体としては、メチル基エチル基等のアルキル基が結合したジアミン、例えば、2,4−ジアミノトルエン、2,4−トリフェニレンジアミン等である。

0060

ジアミノビフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基がフェニル基同士で結合したものである。例えば、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチルビフェニル等である。

0061

ジアミノジフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基が他の基を介してフェニル基同士で結合したものである。結合はエーテル結合スルホニル結合、チオエーテル結合アルキレン又はその誘導体基による結合、イミノ結合アゾ結合ホスフィンオキシド結合、アミド結合、ウレイレン結合等である。アルキレン結合は炭素数が1〜6程度のものであり、その誘導体基はアルキレン基の水素原子の1以上がハロゲン原子等で置換されたものである。

0062

ジアミノジフェニル化合物の例としては、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(p−アミノフェニル)へキサフルオロプロパン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)−1−ペンテン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)−2−ぺンテン、イミノジアニリン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)ペンタン、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル尿素、4,4’−ジアミノジフェニルアミド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。

0063

これらの中では、価格、入手容易性等から、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。

0064

ジアミノトリフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基と1つのフェニレン基が何れも他の基を介して結合したものであり、他の基は、ジアミノジフェニル化合物と同様のものが選ばれる。ジアミノトリフェニル化合物の例としては、1,3−ビス(m−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン等を挙げることができる。

0065

ジアミノナフタレンの例としては、1,5−ジアミノナフタレン及び2,6−ジアミノナフタレンを挙げることができる。

0066

アミノフェニルアミノインダンの例としては、5又は6−アミノ−1−(p−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダンを挙げることができる。

0067

ジアミノテトラフェニル化合物の例としては、4,4’−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス[p−(p’−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[p−(p’−アミノフェノキシ)ビフェニル]プロパン、2,2’−ビス[p−(m−アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン等を挙げることができる。

0068

カルド型フルオレンジアミン誘導体の例としては、9,9−ビスアニリンフルオレン等を挙げることができる。

0069

脂肪族ジアミンは、例えば、炭素数が2〜15程度のものがよく、具体的には、ペンタメチレンジアミン、へキサメレンジアミン、へプタメチレンジアミン等が挙げられる。

0070

なお、これらのジアミンの水素原子がハロゲン原子、メチル基、メトキシ基シアノ基、フェニル基等の群より選択される少なくとも1種の置換基により置換された化合物であってもよい。

0071

本発明で使用されるポリアミド酸を製造する手段に特に制限はなく、例えば、有機溶剤中で酸、ジアミン成分を反応させる方法等の公知の手法を用いることができる。

0072

テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応は、通常、有機溶剤中で行われる。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に使用される有機溶剤は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを溶解させることができ、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンと反応しないものであれば特に限定されない。有機溶剤は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。

0073

テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に用いる有機溶剤の例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の含窒素極性溶剤β−プロピオラクトンγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン系極性溶剤;ジメチルスルホキシドアセトニトリル乳酸エチル乳酸ブチル等の脂肪酸エステル類ジエチレングリコールジメチルエーテルジエチレングリコールジエチルエーテルジオキサンテトラヒドロフランメチルセルソルブアセテートエチルセルソルブアセテート等のエーテル類クレゾール類等のフェノール系溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。なかでも、前記含窒素極性溶剤とラクトン系極性溶剤の組み合わせが好ましい。有機溶剤の使用量に特に制限はないが、生成するポリアミド酸の含有量が5〜50質量%とするのが望ましい。

0074

これらの有機溶剤の中では、生成するポリアミド酸の溶解性から、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の含窒素極性溶剤が好ましい。また、成膜性等の観点から、γ−ブチロラクトン等のラクトン系極性溶剤を添加した混合溶剤としてもよく、有機溶剤全体に対し1〜20質量%添加されていることが好ましく、5〜15質量%がより好ましい。

0075

重合温度は一般的には−10〜120℃、好ましくは5〜30℃である。重合時間は使用する原料組成により異なるが、通常は3〜24Hr(時間)である。また、このような条件下で得られるポリアミド酸溶液固有粘度は、好ましくは1000〜100000cP(センチポアズ)、より一層好ましくは5000〜70000cPの範囲である。

0076

<ポリイミド>
本発明に用いるポリイミドは、本発明に係るワニスに使用する有機溶剤に溶解可能な可溶性ポリイミドなら、その構造や分子量に限定されることなく、公知のものが使用できる。ポリイミドについて、側鎖にカルボキシ基等の縮合可能な官能基又は焼成時に架橋反応等を促進させる官能基を有していてもよい。

0077

有機溶剤に可溶なポリイミドとするために、主鎖に柔軟な屈曲構造を導入するためのモノマーの使用、例えば、エチレジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂肪族ジアミン;2−メチルー1,4−フェニレンジアミン、o−トリジン、m−トリジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等の芳香族ジアミン;ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミンポリオキシブチレンジアミン等のポリオキシアルキレンジアミンポリシロキサンジアミン;2,3,3’,4’−オキシジフタル酸無水物、3,4,3’,4’−オキシジフタル酸無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等の使用が有効である。また、有機溶剤への溶解性を向上する官能基を有するモノマーの使用、例えば、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンジアミン等のフッ素化ジアミンを使用することも有効である。更に、上記ポリイミドの溶解性を向上するためのモノマーに加えて、溶解性を阻害しない範囲で、上記ポリアミド酸の欄に記したものと同じモノマーを併用することもできる。

0078

本発明で用いられる、有機溶剤に溶解可能なポリイミドを製造する手段に特に制限はなく、例えば、ポリアミド酸を化学イミド化又は加熱イミド化させ、有機溶剤に溶解させる方法等の公知の手法を用いることができる。そのようなポリイミドとしては、脂肪族ポリイミド全脂肪族ポリイミド)、芳香族ポリイミド等を挙げることができ、芳香族ポリイミドが好ましい。芳香族ポリイミドとしては、式(1)で示す繰り返し単位を有するポリアミド酸を熱又は化学的閉環反応によって取得したもの、若しくは式(2)で示す繰り返し単位を有するポリイミドを溶媒に溶解したものでよい。式中Arはアリール基を示す。

0079

<ポリアミドイミド>
本発明に用いるポリアミドイミドは、本発明に係るワニスに使用する有機溶剤に溶解可能な可溶性ポリアミドイミドなら、その構造や分子量に限定されることなく、公知のものが使用できる。ポリアミドイミドについて、側鎖にカルボキシ基等の縮合可能な官能基又は焼成時に架橋反応等を促進させる官能基を有していてもよい。

0080

また、本発明に用いるポリアミドイミドは、任意の無水トリメリット酸ジイソシアネートとを反応させて得られるものや、任意の無水トリメリット酸の反応性誘導体とジアミンとの反応により得られる前駆体ポリマーをイミド化して得られるものを特に限定されることなく使用できる。

0081

上記任意の無水トリメッと酸又はその反応性誘導体としては、例えば、無水トリメリット酸、無水トリメリット酸クロライド等の無水トリメリット酸ハロゲン化物無水トリメリット酸エステル等が挙げられる。

0082

上記任意のジイソシアネートとしては、例えば、メタフェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、4,4’−オキシビスフェニルイソシアネート)、4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン、ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2′−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]プロパン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートm−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。

0083

上記任意のジアミンとしては、前記ポリアミド酸の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。

0084

<有機溶剤>
ワニスに用いられる有機溶剤としては、ポリアミド酸及び/又はポリイミド系樹脂を溶解することができ、微粒子を溶解しないものであれば、特に限定されず、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に用いる溶剤として例示したものが挙げられる。溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0085

ワニス中の全成分のうち、混合溶剤(S)の含有量は、好ましくは50〜95質量%、より好ましくは60〜85質量%となる量である。ワニスにおける固形分濃度が好ましくは5〜50質量%、より好ましくは15〜40質量%となる量である。

0086

また、後述の製造方法において、未焼成複合体を2層状の未焼成複合膜として形成する場合、第一のワニスにおけるポリアミド酸、ポリイミド又はポリアミドイミド(A1)と微粒子(B1)との体積比を19:81〜45:65とすることが好ましい。微粒子体積が全体を100とした場合に65以上であれば、粒子が均一に分散し、また、81以内であれば粒子同士が凝集することもなく分散するため、ポリイミド系樹脂成形体の基板側面に孔を均一に形成することができる。また、第二のワニスにおける、ポリアミド酸、ポリイミド又はポリアミドイミド(A2)と微粒子(B2)との体積比を20:80〜50:50とすることが好ましい。微粒子体積が全体を100とした場合に50以上であれば、粒子単体が均一に分散し、また、80以内であれば粒子同士が凝集することもなく、また、表面にひび割れ等が生じることもないため、安定して応力、破断伸度等の機械的特性の良好なポリイミド系樹脂多孔質体を形成することができる。

0087

上記の体積比については、第二のワニスは、上記第一のワニスよりも微粒子含有比率の低いものであることが好ましく、上記条件を満たすことにより、微粒子がポリアミド酸、ポリイミド又はポリアミドイミド中に高度に充填されていても、未焼成複合体、ポリイミド系樹脂−微粒子複合体、及びポリイミド系樹脂多孔質体の強度や柔軟性を担保することができる。また、微粒子含有比率の低い層を設けることで、製造コストの低減を図ることができる。

0088

上記した成分のほかに、帯電防止難燃性付与、低温焼成化離型性塗布性等を目的とし、帯電防止剤難燃剤化学イミド化剤縮合剤離型剤表面調整剤等、適宜、公知の成分を必要に応じて含有させることができる。

0089

[未焼成複合体の製造]
ポリアミド酸又はポリイミド系樹脂と微粒子とを含有する未焼成複合体の成形は、成膜の場合、基板上へ上記のワニスを塗布し、常圧又は真空下で0〜120℃(好ましくは0〜100℃)、より好ましくは常圧下60〜95℃(更に好ましくは65〜90℃)で乾燥して行う。なお、基板上には必要に応じて離型層を設けてもよい。また、未焼成複合体の製造において、後述のポリイミド系樹脂−微粒子複合体の製造(焼成工程)の前に、水を含む溶剤への浸漬工程、プレス工程、当該浸漬工程後の乾燥工程をそれぞれ任意の工程として設けてもよい。

0090

上記離型層は、基板上に離型剤を塗布して乾燥あるいは焼き付けを行って作製することができる。ここで使用される離型剤は、アルキルリン酸アンモニウム塩系フッ素系又はシリコーン等の公知の離型剤が特に制限なく使用可能である。上記乾燥したポリアミド酸又はポリイミド系樹脂と微粒子とを含有する未焼成複合膜を基板より剥離する際、未焼成複合膜の剥離面にわずかながら離型剤が残存する。この残存した離型剤は、ポリイミド系樹脂多孔質体表面の濡れ性不純物混入に影響し得るため、これを取り除いておくことが好ましい。

0091

そこで、上記基板より剥離した未焼成複合体を、有機溶剤等を用いて洗浄することが好ましい。洗浄の方法としては、洗浄液に未焼成複合体を浸漬した後取り出す方法、シャワー洗浄する方法等の公知の方法から選択することができる。更に、洗浄後の未焼成複合体乾燥するために、洗浄後の未焼成複合体を室温で風乾する、恒温槽中で適切な設定温度まで加温する等、公知の方法が制限されることなく適用できる。例えば、未焼成複合体の端部をSUS製の型枠等に固定し変形を防ぐ方法を採ることもできる。

0092

一方、未焼成複合体の成膜に、離型層を設けず基板をそのまま使用する場合は、上記離型層形成の工程や未焼成複合膜の洗浄工程を省くことができる。

0093

また、2層状の未焼成複合体として形成する場合、まず、ガラス基板等の基板上にそのまま、上記第一のワニスを塗布し、常圧又は真空下で0〜120℃(好ましくは0〜90℃)、より好ましくは常圧10〜100℃(更に好ましくは10〜90℃)で乾燥して、膜厚1〜5μmの第一未焼成複合体の形成を行う。

0094

続いて、形成した第一未焼成複合体上に、上記第二のワニスを塗布し、同様にして、0〜80℃(好ましくは0〜50℃)、より好ましくは常圧10〜80℃(更に好ましくは10〜30℃)で乾燥を行い、膜厚5〜30μmの第二未焼成複合体の形成を行い、2層状の未焼成複合体を得る。

0095

[ポリイミド系樹脂−微粒子複合体の製造(焼成工程)]
上記乾燥後の未焼成複合体(又は2層状の未焼成複合体、以下同様)に加熱による後処理(焼成)を行ってポリイミド系樹脂と微粒子とからなる複合膜(ポリイミド系樹脂−微粒子複合体)とすることができる。ワニスにポリアミド酸を含む場合、焼成工程においてはイミド化を完結させることが好ましい。なお、焼成工程は任意の工程である。特にワニスにポリイミド又はポリアミドイミドが用いられる場合、焼成工程は行われなくてもよい。

0096

焼成温度は、未焼成複合体に含有されるポリアミド酸又はポリイミド系樹脂の構造や縮合剤の有無によっても異なるが、120〜400℃が好ましく、更に好ましくは150〜375℃である。

0097

焼成を行うには、必ずしも乾燥工程と明確に工程を分ける必要はなく、例えば、375℃で焼成を行う場合、室温〜375℃までを3時間で昇温させた後、375℃で20分間保持させる方法や室温から50℃刻みで段階的に375℃まで昇温(各ステップ20分保持)し、最終的に375℃で20分保持させる等の段階的な乾燥−熱イミド化法を用いることもできる。その際、未焼成複合体の端部をSUS製の型枠等に固定し変形を防ぐ方法を採ってもよい。

0098

できあがったポリイミド系樹脂−微粒子複合体の厚さは、例えば膜の場合、マイクロメータ等で複数の箇所の厚さを測定し平均することで求めることができる。どのような平均厚さが好ましいかは、ポリイミド系樹脂−微粒子複合体又はポリイミド系樹脂多孔質体の用途によって異なるが、例えば、分離材、吸着材等に使用する場合は、薄い方が好ましく、例えば1μm以上であってもよく、5〜500μmであることが好ましく、8〜100μmであることが更に好ましい。

0099

[微粒子除去工程(ポリイミド系樹脂−微粒子複合体の多孔質化)]
ポリイミド系樹脂−微粒子複合体から、微粒子を適切な方法を選択して除去することにより、微細孔を有するポリイミド系樹脂多孔質体を再現性よく製造することができる。例えば、微粒子として、シリカを採用した場合、ポリイミド系樹脂−微粒子複合体を低濃度フッ化水素水(HF)等によりシリカを溶解除去することで、多孔質とすることが可能である。また、微粒子が樹脂微粒子の場合は、上述のような樹脂微粒子の熱分解温度以上で、ポリイミド系樹脂の熱分解温度未満の温度に加熱し、樹脂微粒子を分解させてこれを取り除くことができる。

0100

[イミド結合開環工程]
本発明のポリイミド系樹脂多孔質体の製造方法は、上述のようにイミド結合開環工程を含むが、具体的には、(a)微粒子除去工程の前に、ポリイミド系樹脂−微粒子複合体にイミド結合開環工程を施すか、又は、(b)微粒子除去工程の後に、該工程により多孔質化したポリイミド系樹脂成形体にイミド結合開環工程を施すことを含む方法により行うことができる。上記製造方法としては、前者の(a)の方法であっても、ポリイミド系樹脂成形体の外表面及びその近傍に存在するイミド結合を開環することができ、本発明の目的を達成することができるが、得られるポリイミド系樹脂多孔質体における多孔質の程度を高めることができる点で、後者の(b)の方が好ましい。

0101

上記イミド結合開環工程は、ケミカルエッチング法若しくは物理除去方法、又は、これらを組合せた方法により行うことができる。ケミカルエッチング法としては特に限定されず、例えば従来公知の方法を用いることができる。

0103

上記の各溶液の溶媒については、純水、アルコール類を適宜選択できる。また界面活性剤を適当量添加したものを使用することもできる。アルカリ濃度は、例えば0.01〜20質量%である。

0104

また、物理的な方法としては、例えば、プラズマ酸素アルゴン等)、コロナ放電等によるドライエッチング等が使用できる。

0105

上記した方法は、微粒子除去工程前又は微粒子除去工程後のいずれのイミド結合開環工程にも適用可能であるので好ましい。なお、微粒子除去工程後にケミカルエッチング法を行う場合は、ポリイミド系樹脂多孔質体の内部の連通孔を形成しやすく、開孔率を向上させることができる。

0106

また、イミド結合開環工程として、ケミカルエッチング法を行う場合は、余剰エッチング液成分を除去するため、再度ポリイミド系樹脂多孔質体の洗浄工程を行ってもよい。
ケミカルエッチング後の洗浄としては、水洗単独でもよいが、酸洗浄及び/又は水洗を組み合わせることが好ましい。
また、ポリイミド系樹脂多孔質体の表面の有機溶媒への濡れ性向上及び残存有機物除去のため、ポリイミド系樹脂多孔質体の再度焼成工程を行ってもよい。焼成条件は、[ポリイミド系樹脂−微粒子複合体の製造(焼成工程)]における焼成条件と同様、適宜設定すればよい。

0107

[ポリイミド系樹脂多孔質体]
本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、カルボキシ基、塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有するポリイミド及び/又はポリアミドイミドを主成分とする多孔質体であり、その多孔質の程度としては例えば下記の物性値等により表される。

0108

本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、例えば平均孔径が100〜2000nmの多孔質体として得ることができ、平均孔径は、好ましくは200〜1000nm、より好ましくは300〜900nmである。本明細書において、平均孔径は、ケミカルエッチング処理を行ったものはポロメーターにより平均の連通孔のサイズ変化量を求め、その値から実際の平均孔径を求める値であるが、ポリアミドイミドのように上述のケミカルエッチングを行わないものは、多孔質体の製造に使用した微粒子の平均粒径を平均孔径とすることができる。

0109

本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、後述の方法により求める空隙率が例えば50〜90質量%、好ましくは、55〜80質量%である多孔質体として得ることができる。

0110

本発明のポリイミド系樹脂多孔質体のガーレー透気度は、例えば1000秒以内とすることができ、600秒以内が好ましく、500秒以内が更に好ましく、300秒以内であることが最も好ましい。低いほど好ましいので下限は特に設定されないが、ポリイミド系樹脂多孔質体を通過する流体の流速をある程度高く維持しつつ金属除去等の処理を効率よく行う点で、例えば、30秒以上が好ましい。ガーレー透気度が1000秒以内であれば、多孔質の程度が十分高いため、例えば分離材、吸着材として好適に使用することができる。

0111

[ポリイミド系樹脂多孔質体の用途]
本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、カルボキシ基、塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有するポリイミド及び/又はポリアミドイミドを主成分とする多孔質体であり、上記のように多孔質の程度の高い多孔質体であるので、例えば、分離材、吸着材として好適に使用することができる。本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、多孔質体であり、上述のように、好ましくは、内面に曲面を有する孔を含有する多孔質体であり、また、該曲面を有する孔が連通孔を形成している多孔質体であるので、例えば、該多孔質体に流体を通過させると、流体に存在する金属粒子等の微小な物質が該孔及び/又は連通孔に吸着しやすいものと考えられる。本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、また、更に、カルボキシ基、塩型カルボキシ基及び−NH−結合からなる群より選択される少なくとも1つを有するので、これらの基が備える電荷又はクーロン力により、流体に含まれる金属粒子、例えば金属イオンや金属凝集体(例えば、金属酸化物の凝集体、金属と有機物との凝集体)を吸引しやすく、多孔質体における孔及び/又は多孔質体への吸着を助長することができるものと考えられ、また、イオン交換樹脂としても機能することができるものと考えられる。

0112

本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、上記のとおり多孔質の程度の高い多孔質体であるので、該ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質体を用いて、分離及び/又は吸着を行う方法に好適に使用することができる。本明細書において、「分離」とは、ろ過、単離、除去、捕捉、精製及び篩いからなる群より選択される少なくとも1つを含むものであってよく、例えば、これらの何れかの「分離」を含む工業上利用される種々の処理等に利用することができ、例えば排水処理にも利用可能である。本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、例えば多孔質体の孔及び/又は連通孔等に微小物質を吸着することにより、該微小物質を含有していた流体から該微小物質を分離する処理のように、分離と吸着との両方を行うこととなる処理にも好適に使用することができる。このような、ポリイミド系樹脂多孔質体からなる分離材及び/又は吸着材もまた、本発明の一つである。

0113

本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、上述のように、好ましくは数百ナノメートル単位の平均孔径を有する孔を含有する多孔質体であるので、例えばナノメートル単位の微小物質をも、多孔質体における孔及び/又は連通孔に吸着ないし捕捉することができる。そのため、本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、非常に精緻な不純物除去が要求される電子材料、特に、半導体製造分野においても使用することができ、例えば半導体製造において分離及び/又は吸着を行う方法に好適に使用することができ、例えば、基板を改質するための保護膜形成用薬液、シリコンウエハの洗浄液等の薬液、レジスト組成物等の感光性材料を含む薬液、及び樹脂溶液等の感光性材料の原料薬液の中に含まれる不純物、例えば鉄、ニッケル等の汚染金属を非常に高い除去率で除去することができる。

0114

本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、例えば、フィルターメディアその他の濾材に好適に使用することができ、具体的には、単独で用いてもよいし、濾材として用いて他の機能層メンブレン)を付与してもよいし、また、他の濾材に組み合わせるメンブレンとして用いてもよく、例えば、フィルターデバイス等に用いられるメンブレンとして使用することもできる。本発明のポリイミド系樹脂多孔質体と組み合わせて用いることができる機能層としては特に限定されず、例えば、ナイロン膜ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)膜又はこれらを修飾した膜等の化学的又は物理化学的な機能を備えるもの等が挙げられる。

0115

本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、例えば半導体製造分野において用いられる金属フィルター等のフィルターメディアにも好適であり、また、該フィルターメディアと他の濾材とを含む積層体にも使用することができ、フィルターデバイスにも好適に使用することができる。フィルターデバイスとしては特に限定されないが、フィルターデバイスにおいて、本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、供給液濾過液とが交差するように配置される。液体流路との関係においては、流路と並行に配置してもよいし交差するように配置してもよい。供給液が濾過液と分離されるように、ポリイミド系樹脂多孔質体を通液する前後の領域は、適宜シーリングされる。例えば、シーリングの方法として、本発明のポリイミド系樹脂多孔質体を、必要に応じて、光(UV)硬化による接着若しくは熱による接着(アンカー効果による接着(熱溶着等)を含む))、若しくは接着剤を用いた接着等により加工してもよく、又は本発明のポリイミド系樹脂多孔質体と他の濾材(フィルタ)とを例えば組み込み法等により接着して用いることができ、これらのポリイミド系樹脂多孔質体を更に、ポリエチレン、ポリプロピレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド、ポリアミドイミド等の熱可塑性樹脂等からなる外側容器に備えて用いることができる。

0116

本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、半導体製造分野に用いられる上述の薬液等に含まれる金属を除去するために好適に使用することができ、金属としては、特に鉄、ニッケルの除去率が高く、後述のメタル除去率が鉄については例えば90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上とすることができ、ニッケルについては例えば90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上とすることができる。メタル除去率の上限は、高いほど好ましいので特に設定されないが、鉄については例えば100%未満、通常99%以下とすることができ、ニッケルについては例えば100%以下とすることができ、場合により99%以下となることもある。

0117

本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、好ましくは連通孔を有し、より好ましくは、該多孔質体の外部表面に開口を有する連通孔が該多孔質体の内部を連通して多孔質体の反対側(裏側)の外部表面にも開口を有するように、該多孔質体を通過させる流体の流路が確保されるような連通孔を有する。本発明のポリイミド系樹脂多孔質体がかかる連通孔を有することは、例えば、ガーレー透気度により表すことができ、ガーレー透気度としては、例えば30〜1000秒とすることができる。

0118

また、本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、半導体製造分野に用いられる上述の薬液等に含まれる金属を除去するために使用する場合、薬液等の流体の流速を高く維持して金属除去処理を行うこともでき、その場合の流速としては特に限定されないが、例えば、室温において0.08MPaで加圧した場合の純水の流速が1ml/分以上であればよく、好ましくは3ml/分以上、より好ましくは5ml/分以上、特に好ましくは、10ml/分以上である。上限は特に限定されず、例えば、50ml/分以下とすることができる。

0119

本発明のポリイミド系樹脂多孔質体は、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドを主成分とする多孔質体であるので、応力、破断伸度等の機械的特性にも優れており、例えば、応力は、例えば10MPa以上が好ましく、より好ましくは15MPa以上、更に好ましくは15〜50MPaとすることができ、また、破断伸度は、例えば10%GL以上、好ましくは15%GL以上とすることができる。破断伸度の上限は、例えば50%GL、好ましくは45%GL、より好ましくは40%GLとすることができるが、空隙率を下げると、破断伸度が高くなる傾向がある。

0120

以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。

0121

実施例及び比較例では、以下に示すテトラカルボン酸二無水物、ジアミン、ポリアミド酸、ポリアミドイミド、有機溶剤、分散剤及び微粒子を用いた。なお、シリカ(1)の粒径分布指数(d25/75)は約3.3であり、シリカ(2)の粒径分布指数(d25/75)は約1.5である。
・テトラカルボン酸二無水物:ピロメリット酸二無水物
・ジアミン:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
・ポリアミド酸溶液:ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの反応物固形分21.9質量%(有機溶剤:N,N−ジメチルアセトアミド))
ポリアミドイミド溶液:重合成分として無水トリメリット酸及びo−トリジンジイソシアネートを含むポリアミドイミド(Mw:約3万;固形分14.0質量%(有機溶剤:N−メチル−2−ピロリドン))。
・有機溶剤(1):N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)
・有機溶剤(2):ガンマブチロラクトン
・有機溶剤(3):N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
・分散剤:ポリオキシエチレン二級アルキルエーテル系分散剤
・微粒子 :シリカ(1):平均粒径700nmのシリカ
シリカ(2):平均粒径300nmのシリカ
・エッチング液(1):
メタノール:水(質量比3:7)の混合液のNaOH 1.1質量%溶液
・エッチング液(2):
メタノール:水(質量比1:9)の混合液のNaOH 0.5質量%溶液
・エッチング液(3):
メタノール:水(質量比4:6)の混合液の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH) 1.0質量%溶液

0122

<実施例1〜4>ポリイミド多孔質体
シリカ分散液の調製−1]
有機溶剤(1)23.1質量部及び分散剤0.1質量部の混合物に、表1に示すシリカ(1)又はシリカ(2)を23.1質量部添加し、撹拌してシリカ分散液を調製した。

0123

[ワニスの調製−1]
ポリアミド酸溶液41.1質量部に、シリカ分散液の調製−1で得たシリカ分散液を42.0質量部添加し、更に有機溶剤(1)及び(2)をワニス全体における溶剤組成が有機溶剤(1):有機溶剤(2)=90:10となるようにそれぞれ追加し、撹拌してワニスを調製した。なお、得られたワニスにおけるポリアミド酸とシリカとの体積比は40:60(質量比は30:70)である。

0124

[未焼成複合体の成膜]
上記のワニスを、基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムアプリケーターを用い成膜した。90℃で5分間プリベークして、膜厚40μmの未焼成複合体(未焼成複合膜)を製造した。水に3分間浸漬したのち、2本のロール間に未焼成複合膜を通して、未焼成複合膜をプレスした。その際、ロール抑え圧は3.0kg/cm2、ロール温度は80℃、未焼成複合膜の移動速度は0.5m/minであった。基材から未焼成複合体を剥離して未焼成複合体を得た。

0125

[未焼成複合体のイミド化]
上記未焼成複合膜を表1に記載した温度で各15分間加熱処理(焼成)を施し、イミド化させ、ポリイミド−微粒子複合体を得た。

0126

[ポリイミド多孔質体の形成]
上記で得たポリイミド−微粒子複合体を、10%HF溶液中に10分間浸漬することで、膜中に含まれる微粒子を除去した後水洗及び乾燥を行い、ポリイミド多孔質体を得た。

0127

[ケミカルエッチング]
イミド結合開環工程として、表1の「CE」欄に示すケミカルエッチング条件に従い、ポリイミド多孔質体を所定のケミカルエッチング液に所定時間浸漬してイミド結合開環工程を施し、ポリイミド多孔質体としてポリイミド多孔質膜を得た。表1に示すケミカルエッチング条件は下記のとおりである。その後、表1に示す温度及び時間で再焼成を行った。
条件1:エッチング液(1)中に2分間浸漬する
条件2:エッチング液(2)中に5分間浸漬する

0128

<実施例5>ポリアミドイミド多孔質体
[シリカ分散液の調製−2]
シリカ(2)19.3質量部、有機溶剤(3)19.3質量部及び分散剤0.1質量部を混合し撹拌してシリカ分散液を調製した。

0129

[ワニスの調製−2]
ポリアミドイミド溶液53.6質量部に、シリカ分散液の調製−2で得たシリカ(2)分散液を35.0質量部添加し、更に有機溶剤(1)及び(3)をワニス全体における溶剤組成が有機溶剤(1):有機溶剤(3)=5:95となるようにそれぞれ追加し、撹拌してワニスを調製した。なお、得られたワニスにおけるポリアミドイミドとシリカ(2)との体積比は40:60(質量比は30:70)である。

0130

[未焼成複合体の成膜]
上記のワニスを、PETフィルム上にアプリケーターを用い成膜した。90℃で5分間プリベークして、膜厚40μmの未焼成複合体(未焼成複合膜)を製造した。水に3分間浸漬したのち、2本のロール間に未焼成複合膜を通して、未焼成複合膜をプレスした。その際、ロール抑え圧は3.0kg/cm2、ロール温度は80℃、未焼成複合膜の移動速度は0.5m/minであった。基材から未焼成複合体を剥離してポリアミドイミド−微粒子複合体を得た。ポリアミドイミド−微粒子複合体に対し280℃で15分間加熱処理(焼成)を施し、ポリアミドイミド−微粒子複合体を得た。

0131

[多孔質ポリアミドイミド膜の形成]
上記で得たポリアミドイミド−微粒子複合体を、10%HF溶液中に10分間浸漬することで、膜中に含まれる微粒子を除去した後水洗及び乾燥を行い、多孔質ポリアミドイミド膜を得た。その後、イミド結合開環工程としてのケミカルエッチング及び再焼成は行わず、ポリアミドイミド多孔質体(ポリアミドイミド多孔質膜)とした。

0132

<比較例1〜2> 他の樹脂の多孔質膜
比較例1としてポリアミド(ナイロン)製多孔質膜(孔サイズ:約10nm以下、膜厚約75μm)、比較例2としてポリエチレン製多孔質膜(孔サイズ:約10nm以下、膜厚約50μm)をそれぞれ用意した。

0133

<評価>
上記により用意した各多孔質膜について下記評価を行った。
[空隙率]
各多孔質膜の製造において使用した各樹脂と微粒子との合計質量に対する、微粒子の質量を空隙率(質量%)とした。

0134

[イミド化率]
イミド結合開環工程としてケミカルエッチング処理を行った多孔質膜については表1に示す温度で15分間再焼成したのち、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)装置により測定したイミド結合を表すピークの面積を、同じくFT−IR装置により測定したベンゼンを表すピークの面積で除した値(前記X2)を求めた。各多孔質膜と同様のワニスにより作成した多孔質膜(実質的にイミド化反応が完結した、ケミカルエッチング処理を行わない膜)について測定した値(前記X1)を求め、不変化率(%)を求めた。各不変化率とX2の値について、それぞれ表1に併記する。

0135

[応力及び破断伸度]
用意した各多孔質膜を3cm×3mmの大きさに切り出して短冊状のサンプルを得た。このサンプルの破断時の応力(MPa;引張強度)及び破断伸度(%GL)を、EZ Test(島津製作所社製)を用いて評価した。結果を表1に表す。

0136

[メタル除去率]
鉄及びニッケルを純水に添加して調製した金属不純物含有液を、該液の鉄、ニッケルの各含有量(A)を測定したのち、用意した各多孔質膜をフィルターとして用いて通液し、通液後の液の金属不純物量(B)を測定し、下記式で表される値をメタル除去率(%)とした。結果を表1に表す。
(A−B)/B×100

0137

[流速]
用意した各多孔質膜を直径47mmの円形に切り取って濾材として用い、0.08MPaで窒素加圧しながら純水を通液し、流速(ml/分)を測定した。結果を表1に表す。

0138

[ガーレー透気度]
上記の各多孔質膜に対して、厚さ約40μmのサンプルを、5cm角に切り出した。ガーレーデンソメーター(東洋精機社製)を用いて、JIS P 8117に準じて、100mlの空気が上記サンプルを通過する時間を測定した。結果を表1に表す。

0139

耐溶剤性
実施例1及び2と同じポリイミド多孔質体の試験片を用意し、酢酸ブチルシクロヘキサノンに室温で24時間浸漬した後の影響を確認した。具体的に、浸漬前の引張強度を100%とした場合の浸漬後の引張強度の低下率を求めた。引張強度は、上述の破断時の応力の測定方法と同様にして測定した。引張強度の低下率はいずれの溶媒でも1%未満であり、溶剤による影響がほとんどないことが確認できた。

0140

0141

表1から、各実施例は特にメタル除去率が比較例よりも遥かに優れることがわかった。
実施例1と実施例2から、平均空孔サイズが大きいと、流速及びメタル除去率(吸着率)の両方の向上が可能になることがわかった。
実施例2及び実施例3から、イミド結合開環工程としてのケミカルエッチングの条件としては比較的弱い条件2よりも条件1の方が結果が良好であることがわかった。
実施例2及び実施例4から、イミド結合開環工程としてのケミカルエッチングの条件1によりイミド化率を下げると、メタル除去率(吸着率)を良好に維持したまま、流速の向上が可能になることがわかった。
実施例5から、ポリアミドイミド多孔質体は、イミド結合開環工程としてのケミカルエッチングを行わなくても、比較例と同等の流速を維持しつつ、メタル除去率(吸着率)の向上が可能になることがわかった。これは、ポリアミドイミドが有する−NH−結合によるものと考えられる。

0142

また、耐溶剤性の試験から、ポリイミド多孔質体は酢酸ブチルとシクロヘキサノンへの耐性があることが確認できた。一般的に、酢酸ブチルはポリエチレン系フィルターへの使用が敬遠されており、シクロヘキサノンは、ポリエチレン系フィルター及びナイロン系のフィルターにおいて使用が敬遠されているため、これらの溶剤を精製する場合にポリイミド多孔質体を分離材として適用できる可能性がある。

0143

<実施例6>
実施例2と同様のポリイミド多孔質体を備えるフィルターデバイスを用意した。

0144

<実施例7>
ケミカルエッチング液としてエッチング液(3)を用いた他は、実施例2と同様にしてポリイミド多孔質体を得た。得られたポリイミド多孔質体の前記X2のイミド化率は、1.51であった。ガーレー透気度は230秒であった。そのポリイミド多孔質体を備えるフィルターデバイスを用意した。

0145

<比較例3>
ポリアミド(ナイロン)製多孔質膜(孔サイズ:約20nm)を備えるフィルターデバイス(Pall社製、Dispo)を用意した。

0146

<評価>
実施例6及び7並びに比較例3により用意した各フィルターデバイスについて、表2に示す通液対象を用いて、下記評価を行った。
[メタル除去率]
以下の樹脂溶液及び化学増幅型レジスト組成物を調製し、メタル除去率を評価した。メタル除去率は、上述のメタル除去率の評価と同様の式により求めた。通液前の樹脂溶液又は化学増幅型レジスト組成物の鉄含有量を(A)とし、用意した各フィルターデバイスによる通液後の液の鉄不純物量を(B)とした。ろ過条件は、いずれの場合も、室温で濾過圧1.0kgf/cm2(9.8N/cm2)とした。

0147

・樹脂溶液(1)〜(3)
下記高分子化合物(1)〜(3)をそれぞれ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートプロピレングリコールモノメチルエーテル=60:40(質量比)の混合溶剤に溶解した4質量%の樹脂溶液。

0148

[Mw:7000、 l:m:n=40:40:20(モル比)]

0149

[Mw:7000、 l:m:n=40:40:20(モル比)]

0150

[Mw:7000、 l:m:n:o:p=35:27:18:13:7(モル比)]

0151

・化学増幅型レジスト組成物(1)
上記高分子化合物(1)100質量部と、下記酸発生剤(1)3.6質量部と、トリ−n−オクチルアミン0.4質量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:プロピレングリコールモノメチルエーテル=60:40(質量比)の混合溶剤と、混合し、高分子化合物(1)の固形分濃度が約7%になるように調製して化学増幅型レジスト組成物(以下、「レジスト(1)」ということがある。)を得た。

0152

0153

実施例

0154

表2から、各実施例は、通液対象が樹脂溶液やレジスト組成物の場合でも、メタル除去率が比較例よりも遥かに優れることがわかった。

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