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図面 (3)

課題・解決手段

石綿を除く無機繊維を含む多孔質発泡体であって、常温において圧縮率80%で圧縮した際の圧縮応力が0.1MPa以下であり、常温で圧縮率80%で圧縮した際の復元率が50%以上であることを特徴とする発泡体。

概要

背景

無機繊維発泡体は、無機繊維の水分散液起泡させ、得られた含気泡水分散液を成形したのち乾燥して製造する。無機繊維質発泡体は、発泡ポリウレタン発泡ポリエチレンに似た弾力性があり、軽量で断熱性及び吸音性にすぐれると共に不燃性であるため、航空機ロケット船舶、その他各種産業用機器等の高温部用断熱材に用いることができる。

この種の発泡体の製造に用いる無機繊維としては、石綿繊維水中分散性及び絡合性において抜群にすぐれた性質を有し最も適している。一方、近年、環境衛生上の理由から石綿繊維の使用が困難になったため、使い難くても石綿繊維以外の無機繊維を用いて弾力発泡体を製造する必要が生じ、そのための工夫が種々提案をされている(特許文献1)。
しかしながら、石綿繊維以外の他の無機繊維を用いた場合は分散性や絡合性が悪いため、製造される発泡体は、硬め低反発性になってしまい例えば施工性に優れない等柔軟性や復元性といった変形特性の点で改善の余地があった。

概要

石綿を除く無機繊維を含む多孔質の発泡体であって、常温において圧縮率80%で圧縮した際の圧縮応力が0.1MPa以下であり、常温で圧縮率80%で圧縮した際の復元率が50%以上であることを特徴とする発泡体。

目的

本発明の課題は、変形特性に優れる発泡体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

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請求項1

石綿を除く無機繊維を含む多孔質発泡体であって、常温において圧縮率80%で圧縮した際の圧縮応力が0.1MPa以下であり、常温で圧縮率80%で圧縮した際の復元率が50%以上であることを特徴とする発泡体。

請求項2

常温において圧縮率80%で圧縮した際の見かけヤング率が1MPa以下である請求項1記載の発泡体。

請求項3

常温でかさ密度が0.005〜0.1g/cm3である請求項1又は2記載の発泡体。

請求項4

常温において圧縮率40〜80%で圧縮した際のかさ密度と圧縮応力との積算値[MPa・g/cm3]が0.3以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発泡体。

請求項5

前記無機繊維がガラス繊維である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発泡体。

請求項6

石綿を除く無機繊維からなる多孔質の発泡体であって、常温で圧縮率0〜90%における各圧縮率で圧縮した際の復元率が全て80%以上であることを特徴とする発泡体。

技術分野

0001

本発明は、無機繊維発泡体に関する。

背景技術

0002

無機繊維質発泡体は、無機繊維の水分散液起泡させ、得られた含気泡水分散液を成形したのち乾燥して製造する。無機繊維質発泡体は、発泡ポリウレタン発泡ポリエチレンに似た弾力性があり、軽量で断熱性及び吸音性にすぐれると共に不燃性であるため、航空機ロケット船舶、その他各種産業用機器等の高温部用断熱材に用いることができる。

0003

この種の発泡体の製造に用いる無機繊維としては、石綿繊維水中分散性及び絡合性において抜群にすぐれた性質を有し最も適している。一方、近年、環境衛生上の理由から石綿繊維の使用が困難になったため、使い難くても石綿繊維以外の無機繊維を用いて弾力発泡体を製造する必要が生じ、そのための工夫が種々提案をされている(特許文献1)。
しかしながら、石綿繊維以外の他の無機繊維を用いた場合は分散性や絡合性が悪いため、製造される発泡体は、硬め低反発性になってしまい例えば施工性に優れない等柔軟性や復元性といった変形特性の点で改善の余地があった。

先行技術

0004

特開昭60−141684号公報

0005

本発明の課題は、変形特性に優れる発泡体を提供することである。

0006

本発明者らは、鋭意研究の結果、石綿原料として用いなくても、変形特性に優れる発泡体を得られることを見い出し、本発明を完成させた。

0007

本発明によれば、以下の態様の発泡体が提供される。
1.石綿を除く無機繊維からなる多孔質の発泡体であって、以下の特性(1)〜(8)から選択される少なくとも1以上を有する発泡体。
(1)常温圧縮率0〜90%における各圧縮率で圧縮した際の圧縮応力が全て1MPa以下である
(2)常温において圧縮率80%で圧縮した際の圧縮応力が0.1MPa以下である
(3)常温で圧縮率80%で圧縮した際の復元率が50%以上である
(4)常温で圧縮率0〜90%における各圧縮率で圧縮した際の復元率が全て80%以上である
(5)常温において圧縮率80%で圧縮した際の見かけヤング率が1MPa以下である
(6)常温において圧縮率80%で圧縮した際の見かけヤング率が0.05MPa以下である
(7)常温でかさ密度が0.005〜0.1g/cm3である
(8)常温において圧縮率40〜80%で圧縮した際のかさ密度と圧縮応力との積算値[MPa・g/cm3]が0.3以下である
(9)常温において圧縮率80%で圧縮した際の前記積算値が0.005以下である
2.前記無機繊維がガラス繊維である1に記載の発泡体。
3.無機繊維の表面を負又は正に荷電させ、
前記荷電した無機繊維と界面活性剤を含む分散液を撹拌して発泡させて湿潤発泡体を得、
前記湿潤発泡体を乾燥し、
前記乾燥発泡体カップリング剤を付与する
無機繊維発泡体の製造方法。
4. 前記無機繊維の表面を負に荷電させたときは、前記荷電した無機繊維とカチオン性界面活性剤を含む分散液を撹拌して発泡させて湿潤発泡体を得、
前記無機繊維の表面を正に荷電させたときは、前記荷電した無機繊維とアニオン性界面活性剤を含む分散液を撹拌して発泡させて湿潤発泡体を得る、
3に記載の無機繊維発泡体の製造方法。
5.無機繊維の表面を、アルカリ性又は酸性処理液に接触させることにより、負又は正に荷電させる3又は4に記載の無機繊維発泡体の製造方法。
6.前記分散液が、前記処理液を含み、前記処理液と接触させながら撹拌して発泡させる5に記載の無機繊維発泡体の製造方法。
7.前記無機繊維を、予め、前記処理液で開繊、分散して荷電する5又は6に記載の無機繊維発泡体の製造方法。
8.前記湿潤発泡体を乾燥した後、カップリング剤を付与する前、加熱して、前記界面活性剤を除去する3〜7のいずれかに記載の無機繊維発泡体の製造方法。

図面の簡単な説明

0008

実施例1で得られた発泡体の断面の写真である。
比較例1で得られた発泡体の断面の写真である。

0009

本発明の発泡体の実施形態について説明する。尚、以下に記載する特性は、特記されていない限り常温での特性である。本実施形態の発泡体は、無機繊維からなる多孔体である。

0010

本実施形態の無機繊維は、石綿繊維を含まないで構成され、例えばセラミック繊維生体溶解性繊維アルカリアースシリケート繊維ロックウール等)及びガラス繊維から選択される1以上を用いることができる。

0011

生体溶解性無機繊維は、例えば、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上の無機繊維である。
生理食塩水溶解率は、例えば、次のようにして測定される。すなわち、先ず、無機繊維を200メッシュ以下に粉砕して調製された試料1g及び生理食塩水150mLを三角フラスコ容積300mL)に入れ、40℃のインキュベーターに設置する。次に、三角フラスコに、毎分120回転の水平振動を50時間継続して加える。その後、ろ過により得られた濾液に含有されている各元素(主要元素でよい)ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na )、カリウム(K)及びアルミニウム(Al)の濃度(mg/L)をICP発光分析装置により測定する。そして、測定された各元素の濃度と、溶解前の無機繊維における各元素の含有量(質量%)と、に基づいて、生理食塩水溶解率(%)を算出する。すなわち、例えば、測定元素が、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びアルミニウム(Al)である場合には、次の式により、生理食塩水溶解率C(%)を算出する;C(%)=[ろ液量(L)×(a1+a2+a3+a4)×100]/[溶解前の無機繊維の質量(mg)×(b1+b2+b3+b4)/100]。この式において、a1、a2、a3及びa4は、それぞれ測定されたケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの濃度(mg/L)であり、b1、b2、b3及びb4は、それぞれ溶解前の無機繊維におけるケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの含有量(質量%)である。

0012

生体溶解性繊維は例えば以下の組成を有する。
SiO2とZrO2とAl2O3とTiO2の合計 50重量%〜82重量%
アルカリ金属酸化物アルカリ土類金属酸化物との合計 18重量%〜50重量%

0013

また、生体溶解性繊維は例えば以下の組成を有して構成されることも可能である。
SiO2 50〜82重量%
CaOとMgOとの合計 10〜43重量%

0014

平均繊維径は限定されないが細い方が好ましい。例えば、0.08μm〜4.0μm、0.1μm〜2.0μm、又は0.2μm〜1.0μmとできる。平均繊維径はランダムに選択した繊維100本について測定した繊維径から求めることができる。

0015

また、本実施形態の発泡体は、無機成分の他、有機成分を含むことができる。一方、発泡体に含まれる全ての無機成分のうち、例えば50重量%〜100重量%を無機繊維が占める。無機繊維は、全無機成分中、好ましくは80重量%以上、90重量%以上、96重量%以上、又は97重量%以上占める。

0016

本実施形態の発泡体は、無機成分として酸化ホウ素窒化ホウ素金属ホウ化物等の無機バインダーを含まないで構成されることができる。
また、本実施形態の発泡体は、有機成分として有機バインダーを含まないで構成されることができる。ここで、有機バインダーは、常温のかさ密度、圧縮応力、圧縮復元率を向上させ得る一方、高温条件下(例えば450℃)では焼失するためかさ密度、圧縮応力、圧縮復元率を低下させ得る。つまり、本実施形態の発泡体は、有機バインダーを含まないため、例えば有機バインダーを含むロックウールマット等とは異なり、高温条件下でもかさ密度、圧縮応力、圧縮復元率を低下させることなく担保できる。なお、本実施形態の発泡体は、有機バインダーを含んで構成されることも可能である。

0017

また、本実施形態の発泡体では、常温(JIS Z 8703による5〜35℃)における圧縮率0〜90%における各圧縮率で圧縮した際の圧縮応力が全て好ましくは2.0MPa以下である。例えば、1.5MPa以下、1.3MPa以下、1.0MPa以下、0.8MPa以下、0.6MPa以下、0.4MPa以下、0.2MPa以下、0.05MPa以下、又は0.02MPa以下とできる。下限は0MPaである。さらに好ましくは、本実施形態の発泡体では、高温下(450℃)における圧縮率0〜90%の各圧縮率で圧縮した際の圧縮応力が全て好ましくは2.3MPa以下である。例えば、2.0MPa以下、1.7MPa以下、1.5MPa以下、1.3MPa以下、1.0MPa以下、0.8MPa以下、0.6MPa以下、0.4MPa以下、0.2MPa以下又は0.04MPa以下とできる。下限は0MPaである。

0018

また、本実施形態の発泡体では、常温における圧縮率80%における圧縮した際の圧縮応力(又は圧縮率0〜80%における各圧縮率で圧縮した際の圧縮応力が全て)が好ましくは0.5MPa以下である。例えば、0.3MPa以下、0.1MPa以下、0.08MPa以下、0.06Pa以下、0.04Pa以下、0.02Pa以下、0.01MPa以下、0.008MPa以下、又は0.005MPa以下とできる。下限は限定されないが、通常0.0001MPa以上又は0.00001MPa以上である。

0019

ここで、発泡体においては、かさ密度、圧縮応力が各々、高い値であるとき、硬く反発性(復元性)が低くなりがちである。これに対して、本発泡体では、上記のように圧縮率0〜90%における各圧縮率で圧縮した際の圧縮応力が全て低いため、柔軟性を高くでき変形特性を向上できる。よって、例えば発泡体が取り付けられる被取付部に対して馴染み易く発泡体と被取付部との間の隙間を抑制してシール性(施工性)を向上させることができる。より具体的には、かかる発泡体では、常温から高温下(例えば450℃)において高い柔軟性を発現でき、発泡体が取り付けられる被取付部に対して馴染み易く発泡体と被取付部との間の隙間を抑制して常温から高温下におけるシール性を確保及び向上できる。

0020

また、本実施形態の発泡体では、好ましくは常温での圧縮率40〜80%における見かけヤング率が0.7MPa以下である。例えば、0.6MPa以下、0.3MPa以下、0.1MPa以下、0.05MPa以下、又は0.01MPa以下とできる。下限は限定されないが、通常0.0001MPa以上である。より好ましくは、本発泡体では、好ましくは高温下(450℃)における圧縮率40〜80%における見かけヤング率が0.8MPa以下である。例えば、0.6MPa以下、0.1MPa以下、0.08MPa以下、又は0.05MPa以下とできる。下限は限定されないが、通常0.0001MPa以上である。さらに好ましくは、本発泡体では、常温及び高温下(450℃)における圧縮率0〜90%の各圧縮率で圧縮した際の見かけヤング率が上記の低い値である。このように本実施形態の発泡体では、見かけヤング率が低いため、柔軟性を高くでき変形特性を向上できる。

0021

ここで、本発明における見かけヤング率とは、圧縮率を歪量とみなして、所定の圧縮率で圧縮したときの圧縮応力を前記所定の圧縮率で除した値である。

0022

本実施形態の発泡体では、好ましくは常温での圧縮率80%における見かけヤング率が0.7MPa以下である。例えば、0.6MPa以下、0.3MPa以下、0.1MPa以下、0.05MPa以下、又は0.01MPa以下とできる。下限は限定されないが、通常0.0001MPa以上である。

0023

また、本実施形態の発泡体では、かさ密度(常温、圧縮率0%)が好ましくは0.001〜0.13g/cm3である。例えば、0.002〜0.12g/cm3、0.003〜0.1g/cm3、0.004〜0.09g/cm3、0.005〜0.08g/cm3、又は0.006〜0.05とできる。かさ密度が上記の範囲であると、柔軟性を高くでき変形特性を向上できる。

0024

また、本実施形態の発泡体では、好ましくは圧縮率40〜80%における又は圧縮率80%におけるかさ密度と圧縮応力との積算値[MPa・g/cm3]が0.30以下である。より好ましくは、前記積算値[MPa・g/cm3]は、0.28以下である。例えば、0.1以下、0.05以下、0.01以下、0.001以下、又は0.0005以下とできる。かさ密度と圧縮応力との積算値[MPa・g/cm3]が低いと、発泡体のかさ密度及び圧縮応力を低くでき、柔らかいだけでなく高い復元性を発現できる。

0025

また本実施形態の発泡体では、細孔径平均円相当径は、好ましく150μm〜1000μmである。例えば、180μm〜800μm、200μm〜700μm、250μm〜600μmとできる。細孔径の平均円相当径が上記の範囲にあると、構造的強度を保持しつつも圧縮後の復元力を確保(換言すれば、圧縮復元率を担保・調整)してシール性を確保・向上できる。さらに、細孔径の平均円相当径が小さいため、対流による熱伝導を抑制して断熱性を向上させると共に、圧力損失を高めてシール性を向上できる。細孔径の平均円相当径は発泡時の発泡倍率気泡量気泡径等により調整できる。

0026

なお、上記の圧縮応力、かさ密度、見かけヤング率、平均円相当径は、例えば無機繊維に対する界面活性処理方法、無機繊維の濃度(含有割合)、発泡倍率、気泡量、気泡径等により調整(制御)できる。

0027

本実施形態の発泡体は、好ましくは、常温で、圧縮率80%(好ましくは0〜90%)で圧縮した際の復元率が50%以上である。例えば、60%、70%、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上とできる。上限は限定されないが、通常99%以下である。より好ましくは高温下(450℃)における圧縮率80%(好ましくは0〜90%)で圧縮した際の復元率が50%以上である。例えば、60%、70%、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上とできる。上限は限定されないが、通常99%以下である。

0028

本実施形態の発泡体は、好ましくは、常温で、圧縮率40%における各圧縮率で圧縮した際の復元率が87%以上(より好ましくは90%以上)である。上限は限定されないが、通常99%以下である。

0029

かかる発泡体では、復元率が高いため、復元性を高くでき変形特性を向上できる。より具体的には、発泡体が取り付けられる被取付部に対して馴染み易く発泡体と被取付部との間の隙間を抑制して常温から高温下におけるシール性を確保及び向上できる。

0030

本発明の発泡体は上記の特性を任意に組み合わせて有することができる。

0031

以上のような本発明の発泡体は、後述の方法で気泡を形成する。そのため、上記実施形態の発泡体は、気泡形成を助長するためのフッ素雲母や、アラビアゴムを含まないで構成されることができる。なお、異なる実施形態として、発泡体はフッ素雲母やアラビアゴムを含んで構成されることも可能である。

0032

次に、上記実施形態の無機繊維質発泡体の製造方法について説明する。本製造方法は、無機繊維分散液を作成する作成工程と、無機繊維分散液を発泡させる発泡工程と、発泡体を乾燥する脱水工程(分散媒の除去工程)と、カップリング剤を付与するカップリング剤付与工程とを含んで構成される。カップリング剤の付着を促すために、発泡体を所定温度焼成を行う焼成工程を、カップリング剤付与工程の前に追加してもよい。

0033

前記作成工程の一態様は、無機繊維の表面をアルカリ性又は酸性の処理液に接触させることにより、負又は正に荷電させる荷電ステップと、荷電した無機繊維に界面活性剤を添加させて分散液を作成する界面活性剤添加ステップとを含む。無機繊維の表面を負に荷電させたときは、カチオン性界面活性剤を、又は、無機繊維の表面を正に荷電させたときは、アニオン性界面活性剤を添加することが好ましい。

0034

前記荷電ステップでは、アルカリ性又は酸性の処理液を用いてpH調整することにより、無機繊維の表面のゼータ電位を制御する。具体的には、無機繊維の表面のゼータ電位をマイナス又はプラスとする。

0035

界面活性剤添加ステップでは、好ましくは、前記荷電した無機繊維に対し、逆符号の親水基を有する界面活性剤を添加し、界面活性剤の親水基側を無機繊維の表面に吸着させて疎水基側を無機繊維の表面と反対側に配置させることで無機繊維(最外面)を疎水化する。このように界面活性剤を無機繊維の表面に吸着させて無機繊維表面を疎水化した状態において、後述の発泡工程によって空気を導入して発泡させると、無機繊維表面の疎水基側に泡の形成が助長されて良好に発泡した発泡体を得ることができる。換言すれば、無機繊維表面のゼータ電位を制御することで、無機繊維に界面活性剤を相互作用させて繊維を疎水化させ、無機繊維の周りに泡を係止(付着)し易くして発泡させた発泡体(スポンジ構造)を形成する。

0036

なお、前記無機繊維にはセラミック繊維、生体溶解性繊維(アルカリアースシリケート繊維、ロックウール等)、ガラス繊維等を用いることができる。また、前記処理液には、水に溶解してpHを変化させることができるものであればよく、無機化合物の酸又は塩基有機化合物の酸又は塩基を用いることができる。無機繊維の表面のゼータ電位は、0でない値を示すこと、例えば−5mV〜−70mV、−7mV〜−60mV、−10mV〜−45mV、+5mV〜+65mV、+7mV〜+60mV又は、+10mV〜+45mVとする。繊維の種類により、所定のゼータ電位にするためのpHは異なるため、pHを一義的に特定することはできないが、pHは、例えばpH7.5〜13で負に荷電し、pH2〜6で正に荷電させ得る。尚、ゼータ電位は、所定のpHに調整した水系の分散媒中に繊維を分散させ、繊維の汎用ゼータ電位計(例えばModelFPA、AFG Analytik社製)を用いて測定することで得られる。

0037

また、前記作成工程における荷電ステップと界面活性剤添加ステップとは経時的又は同時に実施し得る。荷電ステップと界面活性剤添加ステップとを同時に実施する場合、処理液、無機繊維及び界面活性剤を一緒に混ぜることができる。一方、荷電ステップと界面活性剤添加ステップとを経時的に実施する場合、無機繊維を、予め処理液で開繊、分散して荷電し、その後、界面活性剤と混ぜることができる。また、前記作成工程の他の態様としては、界面活性剤を用いることなく、両親媒性物質疎水性官能基を有するシランカップリング剤、疎水性の官能基を有するチタンカップリング剤等による表面処理によって少なくとも表面を疎水化した無機繊維を分散液(分散媒)に入れて作成することも可能である。尚、この工程のカップリング剤は発泡体を形成するために疎水化の状態にするためのものである。後のカップリング剤付与工程で用いるカップリング剤は発泡体の形態が水に濡れることにより崩壊することを防止するためのものである。

0038

分散液における界面活性剤の量は無機繊維より適宜調整できるが、例えば、ガラス繊維100重量部に対し、界面活性剤を0.01〜1.0重量部としてよい。前記界面活性剤は、好ましくは0.1〜0.8重量部、より好ましくは0.2〜0.7重量部とすることが可能である。尚、界面活性剤の添加量は、少なすぎると無機繊維の表面を十分に疎水化できず発泡性が低下する恐れがあり、一方で界面活性剤の量が多すぎると界面活性剤同士が付着し無機繊維の表面を十分に疎水化できない恐れがある点に鑑みて調整され得る。

0039

また、分散液は、有機結合剤樹脂エマルジョンゴムエラストマー)成分(アラビアゴム等)又はマグネシウム酸化物若しくは水酸化物を含まないで構成され得る。

0040

前記発泡工程では、処理液と無機繊維と界面活性剤とが混合されてなる無機繊維分散液に気泡供給装置から空気(気泡)を供給して発泡させる。なお、気泡供給装置を用いることなく、攪拌によって無機繊維分散液に空気(気泡)を供給して発泡させてもよい。かかる気泡供給装置や攪拌によって、気泡倍率、気泡量、気泡径を調整できる。

0041

前記脱水工程では、発泡体を所定時間(例えば4時間)、常温又は常温外の所定温度下で分散液に含まれていた分散媒を乾燥(自然乾燥を含む)することによって脱水する。

0042

前記焼成工程では、発泡体を高温度(例えば450℃)で焼成し、界面活性剤を除去する。なお、焼成工程は、前記脱水工程と同時に実施することが可能である。

0043

前記カップリング剤付与工程では、発泡体と、カップリング剤と水蒸気を反応させて付与する。具体的には、カップリング剤を加熱して発生した蒸気を発泡体に付着させて、水蒸気と反応させる。水蒸気で処理することにより、カップリング剤が加水分解脱水縮合されて、発泡体に付着する。例えば、閉鎖容器(外から容器内に気体混入しないが、内部の加熱による圧力の上昇が可能な程度の密閉容器)内で発泡体とカップリング剤蒸気を接触させる。接触後、閉鎖容器に水を入れて水蒸気を発生させてカップリング剤と反応させる。尚、カップリング剤を多く付与させるときは、前記の処理に代えて又は前記の処理に加えて、発泡体にカップリング剤を直接含浸させて加熱してもよい。その後水蒸気と接触させる。

0044

カップリング剤としてシランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤としてメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。カップリング剤の量は無機繊維により適宜調整でき限定されないが、例えば、1〜10重量%程度である。

0045

本発明の発泡体は、無機繊維、界面活性剤及びカップリング剤、又は無機繊維及びカップリング剤から本質的になってもよく、これらのみからなってもよい。ここで本質的になるとは95重量%以上、98重量%以上又は99重量%以上がこれらからなることをいう。また、本発明の発泡体の96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上又は99重量%以上を無機繊維としてもよい。

0046

以下、具体的な実施例を示すが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。

0047

実施例1
マイクロガラス繊維(平均繊維径0.4μm)を、pH10のアンモニア水に濃度0.5重量%となるように分散させて繊維表面のゼータ電位を−55mvに調整して処理した。次に、カチオン性界面活性剤(ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド商品名;コータミン24P、花王株式会社製))を、繊維100重量部に対して、界面活性剤の固形物換算で0.5重量部添加して、撹拌混合した。このとき空気を取り込み発泡させた。得られた湿潤発泡体を乾燥させ、電気炉を用いて450℃にて1時間処理し、発泡体に付着している界面活性剤を除去した。次に、カップリング剤を付与した。カップリング剤はメチルトリエトキシシラン(商品名;KBE−13、信越化学工業製)を用い、密閉容器内にシランカップリング剤を入れ、160℃程度に加熱し、シランカップリング剤の蒸気を発生させ、発泡体へ4時間処理した。次に、カップリング剤の反応を進行させるため、閉鎖容器内へ水を8g添加し、水蒸気を発生させ、発泡体へ2時間処理した。さらに閉鎖容器内にて、発泡体重量1gあたり10g程度のカップリング剤を直接塗布し、105℃にて4時間加熱した。その後、上記と同様にカップリング剤の半分の質量に相当する水を容器にいれ、105℃にて2時間処理した。常温(20℃)の非圧縮時における発泡体細孔径の平均円相当径は、257μm程度であった。

0048

得られた発泡体の断面の写真を図1に示す。発泡体について以下の評価をした。結果を表1に示す。なお、得られた発泡体は、下記評価の他、熱伝導率(断熱性)や吸音性についても優れていた。

0049

(1)かさ密度と圧縮応力との積算値
下記かさ密度と圧縮応力とを積算して算出した。
(a)かさ密度
作成した発泡体からサンプルを切断し、寸法計測装置(例えばノギス)を用いて、前記サンプルの縦、横、高さの寸法を計測した。次に、前記サンプルの重量を計測し、以下の式によりかさ密度を測定した。
かさ密度(g/cm3)=重量÷縦寸法÷横寸法÷高さ
(b)圧縮応力
以下の式に示すように、試験時のサンプル圧縮時の荷重値を上記サンプル寸法計測により求めた面積(縦寸法と横寸法)で除算して算出した。圧縮時の荷重は、上記のかさ密度と同じようにサンプルの寸法を計測し、このサンプルの厚さを100%として圧縮率を設定(0〜90%)して、材料試験機オートグラフ島津製作所)を用いて所定厚さまで圧縮(2mm/min)した際の加重値とした。
圧縮応力N/m2=測定荷重(N)÷サンプル面積(m2)

0050

(2)復元率
上記のかさ密度と同じようにサンプルの寸法を計測した。このサンプルの厚さを100%として圧縮率を設定(0〜90%)して、材料試験機(オートグラフ、島津製作所)を用いて所定厚さまで圧縮(2mm/min)した。試験終了後のサンプルの厚さを計測し、以下の式から復元率を算出した。
復元率(%)=圧縮試験後の厚さ÷試験前の厚さ×100

0051

(3)細孔径の平均円相当径
作成した発泡体からサンプルを切断し、断面をマイクロスコープハイロックス社製MODEL KH2200)を用いて20倍にて撮影した。撮影した画像内の全細孔(12〜332個)を画像解析ソフトImageProPlus(Media Cybernetics社製)を用いて計測した。計測は、細孔と認められる部分が楕円形状となっていることから、細孔の長径短径を計測し、断面積を以下の式により算出した。
細孔断面積=長径÷2×短径÷2×π
また、前記断面積から真円相当となる径を円相当径として以下の式により算出した。そして、前記画像内の全細孔についての円相当径の平均を算出した。
円相当細孔径=2×√(細孔断面積÷π)

0052

(4)見かけヤング率
前記圧縮応力と、サンプルの寸法計測によって計測した歪量とに基づき見かけヤング率を算出した。

0053

(5)シール性
発泡体を内径15mm×外形30mmのリング状に打ち抜いてサンプルを作成した。一対の挟持部で、サンプルとスペーサーを挟み、所定の圧縮率(0〜90%)の厚さになるようにボルト締結した。N2ボンベから差圧計を用いてガス圧を20kPaに調整してN2ガスを一対の挟持部の一方の内部から試料を貫通するように流した。一対の挟持部の他方の内部に設置した流量計により、系内のN2ガスの流量を測定した。該測定したN2ガスの流量を挟持部の他方の断面から流出しているN2ガスの漏れ量L/min・mmとした。

0054

実施例2
セラミック繊維(アルミナ約50重量%、シリカ約50重量%)(平均繊維径2.0μm)を、pH10のアンモニア水に濃度2重量%となるように分散させて繊維表面のゼータ電位を−32mvにした。次に、カチオン性界面活性剤(ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(商品名;コータミン24P、花王株式会社製))を、繊維100重量部に対して界面活性剤の固形物換算重量で0.5重量部添加して、撹拌混合した。このとき空気を取り込み発泡させた。得られた発泡体を実施例1と同様に乾燥、焼成およびカップリング剤付与処理を行った。常温の非圧縮時における発泡体細孔径の平均円相当径は、312μm程度であった。得られた発泡体について実施例1と同様に評価をした。結果を表2に示す。

0055

実施例3
実施例1において、カチオン性界面活性剤の代わりに、アニオン性界面活性剤(ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名;ネオレックスG65、花王株式会社製))を用いた他は、実施例1と同様にして発泡体を作製して評価した。結果を表3に示す。

0056

実施例4
実施例2において、カチオン性界面活性剤の代わりに、アニオン性界面活性剤(ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名;ネオペレックスG65、花王株式会社製))を用いた他は、実施例2と同様にして発泡体を作製して評価した。結果を表4に示す。

0057

比較例1
実施例1と同様に繊維の分散液を作製した上で、繊維表面のゼータ電位調整も発泡操作も行わずに脱水・乾燥を行った。得られた未発泡体(常温の非圧縮時)の細孔径の平均円相当径は、143μm程度であった。
得られた未発泡体の断面の写真を図2に示す。さらに未発泡体について実施例1と同様に評価をした。結果を表5に示す。

0058

比較例2
実施例1において、カップリング剤を付与しなかった他は、実施例1と同様にして発泡体を作製した。得られた発泡体は脆く、評価できなかった。

0059

0060

0061

0062

実施例

0063

0064

本発明の発泡体は、例えば断熱材、シール材吸音材等として使用できる。

0065

上記に本発明の実施形態及び/又は実施例を幾つか詳細に説明したが、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施形態及び/又は実施例に多くの変更を加えることが容易である。従って、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
この明細書に記載の文献及び本願のパリ優先基礎となる日本出願明細書の内容を全てここに援用する。

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