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技術 荷電粒子線装置

出願人 株式会社日立製作所
発明者 金惠眞備前大輔波田野道夫太田洋也鹿島秀夫
出願日 2015年1月26日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2016-571523
公開日 2017年10月26日 (1年9ヶ月経過) 公開番号 WO2016-120971
状態 特許登録済
技術分野 電子顕微鏡(3)
主要キーワード 駆動用リング 平面視サイズ 位置関係表示 中間帯 高アスペクト構造 羽部材 軸ねじ 検出角度範囲
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

本発明の荷電粒子線装置は、一次荷電粒子線(102)を放出する一次荷電粒子線源(101)と、前記一次荷電粒子線を走査するための偏向器(117)と、前記一次荷電粒子線を試料上に収束させる対物レンズ(104)と、前記試料(106)が搭載される試料台(107)と、前記試料から放出する信号荷電粒子を検出する検出器(109)と、前記一次荷電粒子線及び前記信号荷電粒子が通過するための少なくとも1つの開口部を有する絞り(105)とを備える。前記絞りは、前記対物レンズと前記試料台との間に位置し、かつ、前記信号荷電粒子の検出角度範囲に応じて前記開口部の形状及び前記絞りの高さの少なくとも一方を変更できるように構成される。 これにより、信号荷電粒子、特に低エネルギー二次電子(108)を高い角度分解能選択検出することと、高い空間分解能とを両立する荷電粒子線装置が実現できる。

概要

背景

荷電粒子線装置は、一次荷電粒子線走査し、試料から放出される信号荷電粒子検出器で検出し、検出された信号荷電粒子の信号で画像を形成するものである。この荷電粒子線装置において、一次荷電粒子線と信号荷電粒子が共に電子であるものは走査電子顕微鏡(SEM)と呼ばれる。

SEMは、光学顕微鏡より高い空間分解能を有しており、その用途は、エレクトロニクス機能性材料などの材料分野、あるいは、細胞製薬などのバイオテクノロジー分野など広範にわたる。

SEMでは、一次電子の試料への照射によって発生した信号電子を検出するが、検出される信号電子のエネルギー放出角度により、得られるSEM画像コントラストが変化する。様々な試料のSEM画像について最適なコントラストを得るため、試料から放出される信号電子の中で、コントラストに寄与する信号電子だけを選択して検出する技術に対する需要が高まっている。

この信号電子は、通常50eV未満の低エネルギー二次電子と、50eV以上の高エネルギー後方散乱電子に大別される。二次電子は一次電子の非弾性散乱によって、試料内の自由電子励起され、真空中に放出されたものである。広義の二次電子として一次電子の照射に起因して発生した全ての電子を二次電子と言うことがあるが、以下では、エネルギーが50eV未満の電子を二次電子と呼ぶ。

二次電子はエネルギーが小さいため、試料内部で発生したものは試料中で吸収され、試料表面近くで発生したものだけが表面から試料外に放出される。そのため、二次電子を検出したSEM像では試料の表面形状や電位コントラストの情報が得られる。一方、後方散乱電子は一次電子が試料中において弾性散乱又は非弾性散乱する過程で、試料表面から再放出されたものであり、エネルギー範囲は、一次電子のエネルギーを最高値として広く分布する。また、後方散乱電子を検出したSEM像では、原子番号や結晶性に依存して、試料の組成結晶方位の情報が得られる。

また、特定の仰角範囲方位角範囲に放出された信号電子を検出することによって、重要な情報が得られる場合がある。平坦な試料に一次電子が垂直に入射した場合の信号電子の発生量の分布は、仰角に対してはコサイン側に従い、方位角に対しては一様分布となる。このため、検出する信号電子の角度範囲を、試料面の法線方向付近に限定して検出することにより、高アスペクト構造の底部を強調したSEM画像が得られる。また、ある特定の方位角範囲に限定して検出することにより、陰影効果によってパターン凹凸を強調したSEM画像が得られる。

さらに、SEMの高い空間分解能を維持したまま、試料から放出される信号電子の角度選択検出も行いたいというニーズが高まっている。一次電子の試料への入射エネルギーが低い状態で高空間分解能を得る手法として、リターディング法ブースティング法などがある。

リターディング法は、試料台に負の電圧印加することで試料に入射する電子を減速させる。試料台に印加された負の電圧によって試料と対物レンズとの間に静電レンズ陰極レンズ)が形成される。その結果として球面収差色収差を低減し、SEM画像の質が改善される。また、一次電子に対する減速電界は、試料から放出される二次電子に対しては加速電界となる。

また、ブースティング法は、カラム内部に正の電圧を印加する電極ビームブースター)を挿入し、一次電子を加速した状態で対物レンズを通過させ、対物レンズ通過後に元の加速電圧まで減速させる。このビームブースターは対物レンズ終端付近で終わるため、対物レンズ終端と試料との間に静電レンズが生じる。リターディング法と同様に、この静電レンズは、一次電子に対しては減速電界として、試料から放出する信号電子に対しては加速電界として作用する。

概要

本発明の荷電粒子線装置は、一次荷電粒子線(102)を放出する一次荷電粒子線源(101)と、前記一次荷電粒子線を走査するための偏向器(117)と、前記一次荷電粒子線を試料上に収束させる対物レンズ(104)と、前記試料(106)が搭載される試料台(107)と、前記試料から放出する信号荷電粒子を検出する検出器(109)と、前記一次荷電粒子線及び前記信号荷電粒子が通過するための少なくとも1つの開口部を有する絞り(105)とを備える。前記絞りは、前記対物レンズと前記試料台との間に位置し、かつ、前記信号荷電粒子の検出角度範囲に応じて前記開口部の形状及び前記絞りの高さの少なくとも一方を変更できるように構成される。 これにより、信号荷電粒子、特に低エネルギーの二次電子(108)を高い角度分解能で選択検出することと、高い空間分解能とを両立する荷電粒子線装置が実現できる。

目的

本発明は、観察試料から放出される信号荷電粒子の角度情報(仰角及び方位角)を損失することなくその角度範囲を選択して検出する技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

一次荷電粒子線を放出する一次荷電粒子線源と、前記一次荷電粒子線を走査するための偏向器と、前記一次荷電粒子線を試料上に収束させる対物レンズと、前記試料が搭載される試料台と、前記試料から放出する信号荷電粒子を検出する検出器と、前記一次荷電粒子線及び前記信号荷電粒子が通過するための少なくとも1つの開口部を有する絞りとを備え、前記絞りは、前記対物レンズと前記試料台との間に位置し、かつ、前記信号荷電粒子の検出角度範囲に応じて前記開口部の形状及び前記絞りの高さの少なくとも一方を変更できるように構成されることを特徴とする荷電粒子線装置

請求項2

請求項1に記載の荷電粒子線装置において、前記絞りの前記開口部は、前記信号荷電粒子の仰角及び方位角の少なくとも一方の範囲を規定することを特徴とする荷電粒子線装置。

請求項3

請求項1に記載の荷電粒子線装置において、前記絞りの前記開口部の形状及び前記絞りの高さの少なくとも一方を制御する絞り制御機構をさらに備えることを特徴とする荷電粒子線装置。

請求項4

請求項3に記載の荷電粒子線装置において、前記絞りは、形状が異なる複数の開口部を有し、前記絞りの前記複数の開口部のうち1つの開口部を露出させる切欠き部を有する遮蔽部材をさらに備え、前記絞り制御機構は、前記絞り又は前記遮蔽部材を回転し、前記複数の開口部のうちの1つの開口部を前記切欠き部から順次露出させるように構成されること特徴とする荷電粒子線装置。

請求項5

請求項3に記載の荷電粒子線装置において、前記絞りは、相互に重なり合うように配置された複数の部材を備え、前記開口部は、前記複数の部材に囲まれた部分であり、前記絞り制御機構は、前記複数の部材の少なくとも1つを移動させて、前記開口部の形状を変更するように構成されることを特徴とする荷電粒子線装置。

請求項6

請求項3に記載の荷電粒子線装置において、前記絞りの前記開口部の形状及び前記絞りの高さの少なくとも一方を設定する画面を表示する表示部をさらに備え、前記絞り制御機構は、前記画面に入力された情報に応じて前記絞りの前記開口部の形状及び前記絞りの高さの少なくとも一方を制御することを特徴とする荷電粒子線装置。

請求項7

請求項6に記載の荷電粒子線装置において、前記画面は、前記開口部の形状と、前記検出角度範囲と、前記試料と前記対物レンズとの間の距離と、前記絞りの高さとを入力する入力部を備えることを特徴とする荷電粒子線装置。

請求項8

請求項7に記載の荷電粒子線装置において、前記開口部の形状と、前記検出角度範囲と、前記試料と前記対物レンズとの間の距離とから前記絞りの高さを決定する情報処理部をさらに備えることを特徴とする荷電粒子線装置。

請求項9

請求項7に記載の荷電粒子線装置において、前記検出角度範囲と、前記試料と前記対物レンズとの間の距離と、前記絞りの高さとから前記開口部の形状を決定する情報処理部をさらに備えることを特徴とする荷電粒子線装置。

請求項10

請求項1に記載の荷電粒子線装置において、前記検出器からの情報から画像を形成する情報処理部と、前記画像を表示する表示部とをさらに備えることを特徴とする荷電粒子線装置。

請求項11

請求項10に記載の荷電粒子線装置において、前記絞りの複数の条件で取得された複数の画像を格納する画像記憶部をさらに備え、前記情報処理部は、前記複数の画像に対して演算処理を実行し、前記演算処理された画像を前記表示部に表示することを特徴とする荷電粒子線装置。

請求項12

請求項1に記載の荷電粒子線装置において、前記一次荷電粒子線を加速又は減速させる手段をさらに備えることを特徴とする荷電粒子線装置。

請求項13

請求項12に記載の荷電粒子線装置において、前記手段は、前記試料台に電圧印加して、前記一次荷電粒子線を前記試料の直前で減速させる手段であり、前記試料及び前記絞りに同じ極性の電圧を印加することを特徴とする荷電粒子線装置。

請求項14

請求項12に記載の荷電粒子線装置において、前記手段は、少なくとも前記対物レンズ近傍の空間に電圧を印加して、前記一次荷電粒子線を加速させる手段であり、前記絞りと前記加速させる手段との間には電圧を印加するための先端電極が設置されることを特徴とする荷電粒子線装置。

請求項15

請求項14に記載の荷電粒子線装置において、前記先端電極の前記電圧は、前記開口部の形状、前記絞りと前記対物レンズとの間の距離、及び、前記加速させる手段の前記電圧に応じて設定されることを特徴とする荷電粒子線装置。

技術分野

0001

本発明は、荷電粒子線装置に関するものである。

背景技術

0002

荷電粒子線装置は、一次荷電粒子線走査し、試料から放出される信号荷電粒子検出器で検出し、検出された信号荷電粒子の信号で画像を形成するものである。この荷電粒子線装置において、一次荷電粒子線と信号荷電粒子が共に電子であるものは走査電子顕微鏡(SEM)と呼ばれる。

0003

SEMは、光学顕微鏡より高い空間分解能を有しており、その用途は、エレクトロニクス機能性材料などの材料分野、あるいは、細胞製薬などのバイオテクノロジー分野など広範にわたる。

0004

SEMでは、一次電子の試料への照射によって発生した信号電子を検出するが、検出される信号電子のエネルギー放出角度により、得られるSEM画像コントラストが変化する。様々な試料のSEM画像について最適なコントラストを得るため、試料から放出される信号電子の中で、コントラストに寄与する信号電子だけを選択して検出する技術に対する需要が高まっている。

0005

この信号電子は、通常50eV未満の低エネルギー二次電子と、50eV以上の高エネルギー後方散乱電子に大別される。二次電子は一次電子の非弾性散乱によって、試料内の自由電子励起され、真空中に放出されたものである。広義の二次電子として一次電子の照射に起因して発生した全ての電子を二次電子と言うことがあるが、以下では、エネルギーが50eV未満の電子を二次電子と呼ぶ。

0006

二次電子はエネルギーが小さいため、試料内部で発生したものは試料中で吸収され、試料表面近くで発生したものだけが表面から試料外に放出される。そのため、二次電子を検出したSEM像では試料の表面形状や電位コントラストの情報が得られる。一方、後方散乱電子は一次電子が試料中において弾性散乱又は非弾性散乱する過程で、試料表面から再放出されたものであり、エネルギー範囲は、一次電子のエネルギーを最高値として広く分布する。また、後方散乱電子を検出したSEM像では、原子番号や結晶性に依存して、試料の組成結晶方位の情報が得られる。

0007

また、特定の仰角範囲方位角範囲に放出された信号電子を検出することによって、重要な情報が得られる場合がある。平坦な試料に一次電子が垂直に入射した場合の信号電子の発生量の分布は、仰角に対してはコサイン側に従い、方位角に対しては一様分布となる。このため、検出する信号電子の角度範囲を、試料面の法線方向付近に限定して検出することにより、高アスペクト構造の底部を強調したSEM画像が得られる。また、ある特定の方位角範囲に限定して検出することにより、陰影効果によってパターン凹凸を強調したSEM画像が得られる。

0008

さらに、SEMの高い空間分解能を維持したまま、試料から放出される信号電子の角度選択検出も行いたいというニーズが高まっている。一次電子の試料への入射エネルギーが低い状態で高空間分解能を得る手法として、リターディング法ブースティング法などがある。

0009

リターディング法は、試料台に負の電圧印加することで試料に入射する電子を減速させる。試料台に印加された負の電圧によって試料と対物レンズとの間に静電レンズ陰極レンズ)が形成される。その結果として球面収差色収差を低減し、SEM画像の質が改善される。また、一次電子に対する減速電界は、試料から放出される二次電子に対しては加速電界となる。

0010

また、ブースティング法は、カラム内部に正の電圧を印加する電極ビームブースター)を挿入し、一次電子を加速した状態で対物レンズを通過させ、対物レンズ通過後に元の加速電圧まで減速させる。このビームブースターは対物レンズ終端付近で終わるため、対物レンズ終端と試料との間に静電レンズが生じる。リターディング法と同様に、この静電レンズは、一次電子に対しては減速電界として、試料から放出する信号電子に対しては加速電界として作用する。

先行技術

0011

特開平08−124513号公報

発明が解決しようとする課題

0012

試料から放出される信号荷電粒子の角度選択に対するニーズが存在するが、いくつかの要因によって信号荷電粒子の角度情報が失われることがある。その要因として、対物レンズの磁場の影響により信号荷電粒子が偏向して角度情報を失う場合や、リターディング電圧やリターディング電圧による電界に起因して信号荷電粒子が角度情報を失う場合などがある。

0013

そこで、本発明は、観察試料から放出される信号荷電粒子の角度情報(仰角及び方位角)を損失することなくその角度範囲を選択して検出する技術を提供する。

課題を解決するための手段

0014

例えば、上記課題を解決するために、特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例をあげるならば、一次荷電粒子線を放出する一次荷電粒子線源と、前記一次荷電粒子線を走査するための偏向器と、前記一次荷電粒子線を試料上に収束させる対物レンズと、前記試料が搭載される試料台と、前記試料から放出する信号荷電粒子を検出する検出器と、前記一次荷電粒子線及び前記信号荷電粒子が通過するための少なくとも1つの開口部を有する絞りとを備え、前記絞りは、前記対物レンズと前記試料台との間に位置し、かつ、前記信号荷電粒子の検出角度範囲に応じて前記開口部の形状及び前記絞りの高さの少なくとも一方を変更できるように構成される、荷電粒子線装置が提供される。

発明の効果

0015

本発明によれば、観察試料から放出される信号荷電粒子の角度情報を損失することなくその角度範囲を選択して検出することができる。本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

0016

第1実施例に関わるSEMの概略を示す全体構成図である。
二次電子の仰角と方位角の定義を説明する図である。
第1実施例に関わるSEMにおけるブースター電極の別の形態(全カラム型のブースター電極)を示す図である。
第1実施例に関わるSEMにおける孔径が固定された絞りの第1の例である。
第1実施例に関わるSEMにおける孔径が固定された絞りの第2の例である。
第1実施例に関わるSEMにおける孔径が固定された絞りの第3の例である。
第1実施例に関わるSEMにおける孔径が固定された絞りの第4の例である。
図4A図4Dの絞りに用いられる絞り制御機構側方断面図である。
図4A図4Dの絞りに用いられる絞り制御機構の上方からの平面図である。
第1実施例に関わるSEMにおける孔径を選択可能な絞りの例である。
第1実施例に関わるSEMにおける遮蔽板の例である。
図6A図6Bの絞りに用いられる絞り制御機構の側方断面図である。
図6A図6Bの絞りに用いられる絞り制御機構の上方からの平面図である。
第1実施例に関わるSEMにおける孔径が変更可能な絞りの第1の例である。
第1実施例に関わるSEMにおける孔径が変更可能な絞りの第2の例である。
第1実施例に関わるSEMにおける孔径が変更可能な絞りの第3の例である。
図8Aの絞りに用いられる絞り制御機構の上方からの平面図である。
第1実施例に関わるSEMにおいてExBを用いた検出器を側方から見た図である。
第1実施例に関わるSEMにおいてExBを用いた検出器を上方から見た図である。
第1実施例に関わるSEMにおいて変換板を用いた検出器の構成を説明する図である。
第1実施例に関わるSEMにおいて二次電子の角度を選択してSEM画像を取得するフローチャートである。
第1実施例に関わるSEMにおいて使用者が角度選択のための設定を行うGUI画面の一例を示す図である。
第1実施例に関わるSEMにおいてブースティング法とリターディング法を使用しないSEMの概略を示す全体構成図である。
第2実施例に関わるSEMの概略を示す全体構成図である。
第2実施例に関わるSEMにおいて使用者が角度選択のための設定を行うGUI画面の一例を示す図である。
第3実施例に関わるSEMの概略を示す全体構成図である。
第3実施例に関わるSEMにおいて使用者が角度選択のための設定を行うGUI画面の一例を示す図である。

実施例

0017

以下、添付図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。

0018

以下の実施例は、一次荷電粒子線を走査して試料から放出される信号荷電粒子を検出器で検出し、検出された信号荷電粒子の信号で画像を形成する荷電粒子線装置に関するものである。以下、一次荷電粒子線及び信号荷電粒子として電子を用いるSEMを例に挙げて説明するが、本発明の適用範囲はSEMに限定されず、他の荷電粒子線装置にも適用可能である。例えば、一次荷電粒子線としてヘリウムイオンを用いるヘリウムイオン顕微鏡でも、本発明の効果を得ることができる。

0019

なお、上述したように、広義の二次電子として一次電子の照射に起因して発生した全ての電子を二次電子と言うことがあるが、以下では、エネルギーが50eV未満の電子を二次電子と呼ぶ。なお、二次電子と後方散乱電子の境界を50eV以外に定義した場合も本発明の効果を得ることができる。

0020

[第1実施例]図1は、本実施例に関するSEMの全体構成を示す。SEMは、一次電子(一次荷電粒子線)102を放出する電子源(一次荷電粒子線源)101と、一次電子102を走査するための偏向器117と、ブースター電極103と、一次電子102を試料106上に収束させる対物レンズ104と、試料106が搭載される試料台107と、試料106から放出する二次電子(信号荷電粒子)108を検出する検出器109と、一次電子102及び二次電子108が通過するための開口部(孔)を有する絞り105と、を備える。

0021

検出器109は、信号処理部110を備える。また、絞り105は、絞り制御機構113を備える。また、SEMは、各種構成要素の電源として、ブースター電源111と、対物レンズ電源112と、リターディング制御電源114と、偏向器用電源118とを備える。

0022

情報処理部115は、信号処理部110、絞り制御機構113、ブースター電源111、対物レンズ電源112、リターディング制御電源114、及び偏向器用電源118に接続される。情報処理部115は、これらの構成要素を制御するとともに、各種情報処理を実行する。画像表示端末116は、情報処理部115への入力を行う入力部(マウスキーボードなど)、及び情報処理部115からの出力を表示する表示部(ディスプレイなど)を備えるものである。

0023

上述した信号処理部110及び情報処理部115は、汎用コンピュータを用いて実現されてもよく、コンピュータ上で実行されるプログラムの機能として実現されてもよい。コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、メモリなどの記憶部と、ハードディスクなどの記憶装置を少なくとも備える。信号処理部110及び情報処理部115の処理は、プログラムコードとしてメモリに格納し、プロセッサが各プログラムコードを実行することによって実現されてもよい。なお、信号処理部110及び情報処理部115の一部が、専用の回路基板などのハードウェアによって構成されてもよい。

0024

図1において、電子源101で生成された一次電子102は、ブースター電極103、偏向器117、対物レンズ104を通過する。一次電子102は、試料台107上に置かれている試料106に照射され、それにより、二次電子108が発生する。

0025

対物レンズ104は対物レンズ電源112によって駆動し、偏向器117は偏向器用電源118によって駆動する。また、ブースター電極103にはブースター電源111により正極性ブースター電圧が印加される。また、試料台107にはリターディング制御電源114より負極性のリターディング電圧が印加される。上記ブースター電源111及びリターディング制御電源114により印加する電圧は、接地電位を基準とする。なお、二次電子108はリターディング電圧によって加速される。

0026

絞り105は、偏向器117と試料106との間で、かつ、対物レンズ104と試料106との間に設置されている。これを言い換えれば、絞り105は、軌道修正のための偏向器117より下側で、かつ、対物レンズ104より下側に配置される。

0027

加速された二次電子108は、絞り105の孔を通過した後に、ブースター電極103においてさらに加速される。その後、加速された二次電子108は、偏向器117によって偏向され、検出器109によって検出される。検出器109で検出された信号は信号処理部110によって処理され、情報処理部115が、信号処理部110からの情報から画像を形成し、その画像を画像表示端末116に表示する。これにより、検出器109で検出された信号で形成された画像を使用者が確認することができる。

0028

なお、ブースター電源111によってブースター電極103に正極性の電圧(ブースター電圧)を印加し、一次電子102を対物レンズ104通過時に加速する方法をブースティング法と呼ぶ。また、リターディング制御電源114によって試料106に負極性の電圧(リターディング電圧)を印加することで、一次電子102を試料106直上で減速する方法をリターディング法と呼ぶ。

0029

ブースティング法とリターディング法は、一次電子102を試料106の直前で減速することで、試料106と対物レンズ104との間に静電レンズが形成され、一次電子102の収差を軽減し、高い空間分解能を実現することができる手法である。

0030

なお、ブースター電極103の形態は図1の構成に限定されない。図3は、別の形態のブースター電極103を備えるSEMの全体構成を示す。図3において、ブースター電極103以外の構成は図1と同様である。図1では、ブースター電極103が対物レンズ104近傍の空間に設置されている。一方、図3では、ブースター電極103が電子源101から対物レンズ104までの空間に設置されている。本発明の効果は、図1及び図3の両方の構成において得ることができる。

0031

ここで、ブースター電圧とリターディング電圧によって形成される電界は、二次電子108に対しては加速電界として作用する。つまり、ブースター電圧及び/又はリターディング電圧を変えると、一次電子102の軌道だけでなく二次電子108の軌道にも影響を与える。典型的には、ブースター電圧とリターディング電圧は、それぞれ、正極性と負極性の数kVの電圧でよい。ただし、前述の電圧の絶対値はあくまで典型的な値であり、これに限定されない。

0032

図2は、二次電子108の仰角(θ)と方位角(φ)の定義を説明する図である。二次電子108の仰角(θ)については、試料面に対して法線方向を90度、水平方向を0度とし、以降は、仰角90度付近を高角、仰角0度付近を底角、高角と底角との間の中間帯の45度付近を中角とする。また、方位角(φ)は試料106の水平面内における角度を表すものであり、方位角の範囲は0度から360度である。

0033

図1の対物レンズ104は、二次電子108の仰角情報が保存されるアウトレンズ型の対物レンズであることが望ましい。仰角情報が保存される理由は、アウトレンズ型の対物レンズは、試料上への漏れ磁場が抑制されているので、二次電子108の軌道に影響を与えないからである。ただし、対物レンズ方式はアウトレンズ型に限らない。例えば、焦点距離を短くしアウトレンズより球面収差係数色収差係数が非常に小さく高分解能観察が可能なシュノーケル型対物レンズや、インレンズ型対物レンズも使用することができる。ただし、シュノーケル型対物レンズとインレンズ型対物レンズは、強い漏れ磁場の影響で二次電子軌道を大きく変化させる。この課題は、絞り105と試料106との間の距離を極めて小さくし、二次電子108の軌道が変化する前に角度選択を行うことで解決できる。

0034

図1に示した検出器109の構成として、対物レンズ104の上部に位置したEverhart Thornley(ET)型の検出器を用いた。ET型検出器は、高電圧が印加されたシンチレータと、信号荷電粒子をシンチレータに衝突させて光子に変換し、光子を内部で増倍して電気信号に変える光電子増倍管とから構成されている。検出器109で得られた信号は、信号処理部110で処理される。信号処理部110での処理の結果として得られる情報は、情報処理部115を介して画像表示端末116で走査像(SEM画像)として表示される。なお、画像表示の際、使用者は情報処理部115の入力部を用いて適切な情報を選択し、選択した情報を画像表示端末116に表示させることができる。

0035

なお、検出器109は、ET型検出器に限定されず、半導体検出器、Micro Channel Plate(MCP)であってもよい。また、検出器109の設置場所は、電子源101と偏向器117との間に限定されず、対物レンズ104と偏向器117との間に設置されてもよい。また、検出器109は、対物レンズ104より試料台107側で、かつ、絞り105よりも上側の位置に設置されてもよい。

0036

試料106から放出された二次電子108の角度選択検出を行うために、対物レンズ104と試料106の間に絞り105が設置されている。絞り105を対物レンズ104と試料106の間に設置することで、試料106から放出された二次電子108の電子軌道が対物レンズ104の磁場等の要因によって収束されない状態で、絞り105の孔を通過する二次電子(すなわち、角度範囲が選択された二次電子)108だけを検出器109で検出するという仕組みとなる。

0037

絞り105は、二次電子108の検出角度に応じて、(1)絞りの孔(開口部)の形状(形だけでなくその大きさも含む)、及び、(2)絞り105の高さの少なくとも一方を変化できるように構成される。より具体的には、使用者は、絞り105の孔径、形状、及び、絞り105と試料106との間の距離の少なくとも1つを変化させることで、検出器109で検出される二次電子108の角度範囲を選択することができる。

0038

図4A〜図4Eは、絞り105の例であり、孔の形状が固定された絞りを示す図である。絞り401〜404は、仰角及び方位角の少なくとも一方の範囲を規定する孔(開口部)を有する。この例では、検出角度範囲に応じて絞り401〜404を適宜取り替えてSEM画像を取得することができる。

0039

絞り401〜404は、それぞれ、薄板状の部材であり、一次電子102及び二次電子108が通過するための孔を有する。絞り401〜404の厚さはできるだけ薄い(例えば0.1mm程度)ことが望ましい。なぜなら、絞り401〜404の孔の側壁散乱された二次電子108が検出されうるからである。

0040

また、絞りの大きさ(すなわち、平面視で見たときのサイズ)は観察対象の試料106よりも大きいことが望ましい。図4Aには、絞り401の平面視サイズが試料106の平面視サイズよりも大きい例が示されている。この理由は、絞り401の大きさが小さいと絞り401の孔を通過する二次電子108だけではなく、絞り401の外側を通過した二次電子108が検出器109で検出される可能性があるからである。

0041

また、一次電子102及び二次電子108の絞り105への衝突に起因する帯電を防ぐため、絞り105の材料は金属であることが望ましい。本実施例では絞り105の材料としてモリブデンを用いるが、他の金属であっても本発明の効果を得ることができる。

0042

また、絞り105の孔(開口部)の中心付近を通過する二次電子108と、絞り105の孔の端付近を通過する二次電子108とでは、それぞれ、絞り105の開口部を通過する角度が異なる。従って、SEM画像の倍率が低い場合は、画像の中心と端で検出している角度が異なる事になる。これを防ぐためには、SEM画像の視野は絞り105の孔の1%程度であることが望ましい。具体的には、絞り105に孔径R1.1 mmの孔がある場合、視野は11μm程度であることが望ましい。

0043

図4Aに示す絞り401は、厚さが十分に薄い板であり、その中心に任意の孔径Rの孔401aを有する。絞り401は、試料106から距離Dだけ離れた場所に設置されている。なお、図示を省略しているが、絞り401の上方には、対物レンズ104が存在する。

0044

一次電子102及び二次電子108は、孔401aを通過することになる。絞り401の場合、距離Dと孔径Rとから幾何学的に決まる一つの角度範囲で二次電子108の検出角度を選択することになる。具体的には、対物レンズ104と試料106との間の距離が4 mm、絞り401と試料106との間の距離が1.5 mm、孔径Rが1.1 mmの場合、仰角が70度から90度までの二次電子108が孔401aを通過する。他の角度範囲を検出したい場合は、別の大きさの孔径R’を有する絞り401を測定毎にSEMに挿入してもよい。仰角の下限の値だけを調節するならば、絞り401をz軸方向に移動し、絞り401と試料106との間の距離を小さくしてもよい。

0045

本実施例では、絞り制御機構113が、絞り401の位置を調整して、絞り401の孔401aの重心位置と一次電子102の光軸とを一致させることができる。図5A及び図5Bは、絞り制御機構113の例を示す。

0046

絞り制御機構113は、絞り401を取付けるための支持部501と、x軸ねじ502と、y軸ねじ504と、z軸ねじ503とを備える。絞り401の端部が、支持部501に取付けられ、絞り401がxy平面上に配置される。x軸ねじ502、y軸ねじ504及びz軸ねじ503を回転させることにより、支持部501を、x軸、y軸及びz軸方向に動かすことができる。なお、図5A及び図5Bで説明した絞り制御機構113は、図4B〜4Dで示した他の絞り402〜404の形態にも適用することができる。また、絞り制御機構113の支持部501は、検出角度範囲に応じて、絞り401〜404を適宜着脱可能に構成される。

0047

図4Aの絞り401の場合、光軸と近い仰角90度からある角度までの二次電子108しか絞り401の孔401aを通過できない。使用者が仰角の特定の角度範囲を検出したい場合は、図4Bに示す絞り402のような形を使用してもよい。

0048

図4Bの絞り402は、第1の孔402aと第2の孔402bとを有する。第1の孔402aは、絞り402の中心にあり、一次電子102が通過するための孔である。第2の孔402bは、第1の孔402aの外側にあるリング状の孔である。この第2の孔402bの空間を通過した二次電子108が検出器109で検出される。厳密に言えば、検出器109では第1の孔402aを通過する二次電子108も検出されうるが、検出器109で得られる結果は、実質的に第2の孔402bで規定される角度範囲の情報とみなすことができる。

0049

例えば、対物レンズ104と試料106との間の距離が4 mm、絞り402と試料106との間の距離が1.5 mmの場合、第2の孔402bを規定するリングの内径が1.7 mm、そのリングの外径が5.2 mmにすると、仰角が30度から60度までの二次電子108を第2の孔402bで通過させることができる。絞り402の場合でも、検出する角度範囲を変えるために、測定毎に、別の大きさの孔径を有する絞り402と交換してもよい。また、別の例として、絞り401をz軸方向に移動し、絞り401と試料106との間の距離を変化させて、検出する角度範囲を変化させてもよい。図4Bの絞り402は、二次電子108が特定の仰角の範囲で放出される傾向にある試料106を観察する際に有効である。

0050

上記で説明した絞り401と絞り402は、二次電子108の仰角を選択する形の絞りだが、方位角を選択する絞りの形態を用いてもよい。図4C及び図4Dは、方位角を選択する絞り403、404を示す。

0051

図4Cの絞り403は、第1の孔403aと第2の孔403bとを有する。第1の孔403aは、絞り403の中心にあり、一次電子102が通過するための孔である。第2の孔403bは、第1の孔402aを中心として配置された2つの扇形の孔で構成される。第2の孔403bの空間を、ある方位角の範囲内の二次電子108が通過し、それら二次電子108を検出器109で検出することができる。図4Cの絞り403は、二次電子108が特定の方位角の範囲で放出される傾向にある、例えば凹凸を有する試料106などを観察する際に有効である。

0052

図4Dの絞り404は、第1の孔404aと第2の孔404bとを有する。第1の孔404aは、絞り404の中心にあり、一次電子102が通過するための孔である。絞り404の第2の孔404bは、第1の孔404aを中心として配置された1つの扇形の孔である。図4Cの絞り403と異なり、第2の孔404bは、一方の方位角範囲の二次電子108を通過させることができる。絞り404を用いることにより、微小な凹凸を有する試料106において、横から光を当てたような陰影コントラストを強調したSEM画像を得ることが可能である。

0053

図6Aは、孔径を選択できる絞りの例を示す。板状の絞り601は、径の異なる複数の孔601a〜601dを有する。絞り制御機構113を利用して所望の孔径Rを選択し、孔径の中心と試料106の中心とを合わせる。これにより、複数の検出角度の範囲から所望の範囲を選択して観察を行うことができる。

0054

具体的には、対物レンズ104と試料106との間の距離が4 mm、絞り601と試料106との間の距離が1.5 mmにおいて、第1の孔601aの孔径Rが1.1 mm、第2の孔601bの孔径Rが1.7 mm、第3の孔601cの孔径Rが3.6 mm、第4の孔601dの孔径Rが8.2 mmとする。この場合、第1の孔601aを通過する二次電子108の仰角は70度から90度となり、第2の孔601bを通過する二次電子108の仰角は60度から90度となり、第3の孔601cを通過する二次電子108の仰角は40度から90度となり、第4の孔601dを通過する二次電子108の仰角は20度から90度となる。

0055

ここで、図6Bに示すように、絞り601は、4つの孔601a〜601dのうち3つの孔を遮蔽するための遮蔽板602を備える。遮蔽板602は、絞り601の上側に配置されるものである。遮蔽板602には、平面視で見たときに一部分に切欠き部602aが設けられている。切欠き部602aは、4つの孔601a〜601dが露出するような形状及び平面サイズで形成されていればよい。

0056

図7A及び図7Bは、孔径を選択できる図6A及び図6Bの絞りに用いられる絞り制御機構113の例である。絞り制御機構113は、複数の孔601a〜601dのうち所望の孔径Rを有する孔を選択するための回転機構を備える。図7A及び図7Bでは、図5A及び図5Bと同じ構成要素には同じ番号が付されている。

0057

絞り制御機構113は、支持部501と、x軸ねじ502と、y軸ねじ504と、z軸ねじ503と、回転軸701と、φ軸ねじ702とを備える。絞り601は、回転軸701に取付けられ、XY平面上に配置される。回転軸701は、φ軸ねじ702に接続されている。また、遮蔽板602の端部が支持部501に取付けられ、遮蔽板602が絞り601の上方に配置される。上記構成によれば、φ軸ねじ702を回すことによって絞り601がXY平面上で回転軸701を中心に回転する。絞り601が回転すると、4つの孔601a〜601dのうちの1つの孔が遮蔽板602の切欠き部602aに順次露出することになる。使用者は、所望の孔径Rを有する孔が遮蔽板602の切欠き部602aに露出した時点で、φ軸ねじ702の回転を止めればよい。

0058

また、x軸ねじ502、y軸ねじ504及びz軸ねじ503を回転させることにより、支持部501を、x軸、y軸及びz軸方向に動かすことができ、これにより、絞り601及び遮蔽板602をx軸、y軸及びz軸方向に動かすことができる。

0059

絞り601の利点は、図4Aに示す絞り401のように孔径Rを変えるために試料室大気開放する必要はない点である。すなわち、絞り601を用いることにより、試料室を大気開放することなく、複数の異なる孔径から所望の孔径Rを選択することができる。しかし、孔径Rの1つの孔の中心を観察対象の試料106の中心に合わせた時、隣の孔を通過した二次電子108が検出される可能性がある。この課題は、遮蔽板602によって解決することができる。遮蔽板602を用いることにより、1つの孔が選択されたときに、残りの複数の孔が塞がれることになる。したがって、隣接する複数の孔を二次電子108が通過することを防ぐことができる。

0060

例えば、図6Bに示すように、第4の孔601dを使用する場合、第4の孔601dを通過する二次電子108は検出器109で検出されるが、第1〜第3の孔601a〜601cは遮蔽板602で塞がれるため、二次電子108はこれらを通過することができない。なお、絞り601の形状は四角に限定されない。絞りとしては、板状の部材に複数の異なる孔径を有する孔(開口部)が設けてあればよい。また、別の例として、絞り601が支持部501に取付けられ、遮蔽板602が回転軸701に取付けられてもよい。この場合、遮蔽板602が回転することになる。また、遮蔽板602が絞り601よりも試料106側に配置されてもよい。

0061

図8A図8Cは、絞りの位置を固定した状態で孔径を変更することが可能な絞りの例を示す。絞り制御機構113が図8A図8Cの絞り801〜803を制御することにより、絞り801〜803の位置を固定した状態で、検出角度範囲に応じて希望する孔径Rに変更することができる。図8A図8Cの絞り801〜803の利点は、孔径Rを変化させながらSEM画像を取得できることであり、使用者は孔径Rを変化に応じたSEM画像の変化を画面上で確認することができる。

0062

図8Aの絞り801は、相互に重なり合うように配置された第1の板部材801a及び第2の板部材801bを備える。第1の板部材801a及び第2の板部材801bは、それぞれ四角形状であり、その一辺に切欠き部を備える。第1の板部材801a及び第2の板部材801bの切欠き部で囲まれる部分が孔径Rを有する四角形の孔となる。

0063

絞り801では、第1の板部材801aと第2の板部材801bを利用して孔径Rの大きさを変える。第1の板部材801aと第2の板部材801bがお互い近づくことで孔径Rが小さくなり、また、第1の板部材801aと第2の板部材801bがお互いに離れることで孔径Rが大きくなる。第1の板部材801aと第2の板部材801bの両方が動いて孔径Rの大きさを調節することができるが、片方だけが動いて孔径Rの大きさを調節してもよい。

0064

図9は、絞り801を駆動するための絞り制御機構113の例である。図9では、図5A及び図5Bと同じ構成要素には同じ番号が付されている。

0065

絞り制御機構113は、第1の板部材801aと第2の板部材801bを動かすための駆動機構を備える。図9の例では、支持部501をX方向(図面上の左方向)に延長し、その延長した部分に逆ねじ902が取付けられている。逆ねじ902は、二種類のテーパ部分902a、902bを有し、φ軸ねじ901に接続されている。第1の板部材801aは、逆ねじ902の第1のテーパ部分902aに接続され、第2の板部材801bは、逆ねじ902の第2のテーパ部分902bに接続されている。

0066

例えば、φ軸ねじ901を回転すると、第1の板部材801aは左に移動し、第2の板部材801bは右に移動する。これと逆にφ軸ねじ901を回転させると、第1の板部材801aは右に移動し、第2の板部材801bは左に移動する。従って、φ軸ねじ901を回転するだけで絞り801の孔の重心位置を変えずに、孔径Rのみを変えることができる。また、絞り801の位置は、x軸ねじ502、y軸ねじ504及びz軸ねじ503を回転させることにより、x軸、y軸及びz軸方向に動かすことができる。

0067

なお、Rの最大値は第1の板部材801aと第2の板部材801bの大きさに依存するため、使用者が必要とされる角度範囲とRをあらかじめ計算し、第1の板部材801aと第2の板部材801bを設計する必要がある。

0068

図8Bの絞り802は、相互に重なり合うように配置された、第1の板部材802a、第2の板部材802b、第3の板部材802c、及び第4の板部材802dを備える。第1〜第4の板部材802a〜802dは、四角形の1つの頂点部分が切欠いた形状であり、それらの切欠き部で囲まれる部分が孔径Rを有する四角形の孔となる。絞り802の利点は、第1〜第4の板部材802a〜802dのそれぞれを独立にx方向及びy方向に移動させることにより、正方形以外の任意の長方形の孔を形成することができる点である。

0069

絞り802用の絞り制御機構113は、図9と同様の構成で実装することができる。例えば、絞り制御機構113は、第1〜第4の板部材802a〜802dのそれぞれを独立にx方向及びy方向に移動させる駆動機構を備える。具体的には、図9と同様の構成で、複数のθ軸ねじを支持部501に取付け、第1〜第4の板部材802a〜802dのそれぞれを各θ軸ねじに接続する方法が考えられる。

0070

なお、観察対象の試料106の中心からの二次電子108だけではなく、必要によっては、第1〜第3の板部材802a〜802cを固定した状態で、第4の板部材802dのみを動かすことで観察試料の中心から半分の二次電子108だけを検出することが可能である。この場合、第1〜第4の板部材802a〜802dの平面視でのサイズは、観察試料よりも充分に大きい必要がある。

0071

図8Cの絞り803は、相互に重なり合うように配置された5つの絞り羽部材803a〜803eを備える。この構成によれば、5つの絞り羽部材803a〜803eをカメラの絞りのように動かすことで、孔径Rを変化させることができる。絞り羽部材803a〜803eは、少なくとも内縁曲線部を有しており、それらの曲線部で囲まれる部分が孔径Rを有する実質的な円又は楕円となる。なお、図8Cに示す通り、絞り羽部材803a〜803eの外縁も曲線部であってもよい。

0072

なお、5つの絞り羽部材803a〜803eの内縁の曲線部で形成される形状は完全な円形とはならない。したがって、図4Aに示す絞り401に比べて角度分解能落ちる場合もあるが、図8Cの構成によれば、円形に近い形状を維持しながら連続的なSEM画像を取得できるという利点がある。

0073

図8Cの絞り803は、5つの絞り羽部材803a〜803eを備えているが、羽部材の数は5つに限定されない。また、羽部材の数が多いほど、それらの内縁で形成される孔の形状が円形に近づく。

0074

また、絞り803用の絞り制御機構113は、カメラの絞りを動かす機構と同様の機構となる。例えば、5つの絞り羽部材803a〜803eは、リング状の基板上に配置される。基板には、各羽部材の運動軌跡に沿ってガイド溝が設けられており、各羽部材とガイド溝とがピンなどのガイド部材で連結される。そして、基板に設けた駆動用リングによって各羽部材を動かすことにより、各羽部材の開閉動作を行うことができる。なお、絞り羽部材を駆動する機構はこれに限定されず、他の公知のシャッタ機構を適用してもよい。

0075

図4A〜4D、図6A図8A〜8Cに示した絞りを通過する二次電子108の角度は、Working distance(WD,試料106と対物レンズ104の距離)と距離D(絞り105と試料106の距離)をある一定値に固定して状態にして選択されてもよい。上記の説明では、任意の検出角度を設定するために絞り105の孔径Rを変化させる方法を使ったが、孔径Rを固定し、距離Dを変化させることでも同じ効果が得られる。例えば、図4Aの絞り401において、WDを一定値に固定して距離Dを小さくすれば、絞りを通過する二次電子108は高角から低角までの範囲を選択することができる。具体的には、孔径Rが1.7 mmの場合、Dを0.1 mmから5.0 mmまで変化させると、絞りの孔を通過する二次電子108の最小の仰角は7度から80度まで変化する(最大の仰角は常に90度)。このような効果は上記に列挙した全ての絞りの形に適応される。また、上記の効果を得るために、絞り制御機構113は、絞り105の位置を一次電子102の光軸と同じ方向(z方向)に動かして距離Dを変えるための駆動機構を有している。

0076

図1に示す検出器109は、絞り105を通過した二次電子108を検出する必要がある。ブースティング法を用いる場合、絞り105を通過した二次電子108はブースター電極103と絞り105との間の電界によって加速され、対物レンズ104を通過する。従って、対物レンズ104に対して電子源101側に検出器109を設置する必要がある。

0077

この場合、Everhart Thornley(ET)型の検出器を用いることができる。ET型検出器は、正極性の高電圧が印加されたシンチレータと、信号荷電粒子がシンチレータに衝突することで発生する光子を取り出すためのライトガイドと、光子を電気信号に変換する光電子増倍管とから構成されている。対物レンズ104を通過した二次電子108は、正極性の電圧が印加されたシンチレータに引き寄せられ、検出される。

0078

ただし、上記の場合、シンチレータに印加された正極性の電圧によって生じた電界で一次電子102が偏向されることが考えられる。この課題は、ExB偏向器を用いることで解決できる。

0079

図10A及び図10Bは、ExB偏向器を用いた検出器の例を示す。ExB偏向器1001は電場と磁場を直交させた光学素子であり、一次電子102が偏向されないように電場と磁場の大きさは設定される。この時、一次電子102と反対方向に進行する二次電子108は前述の電場及び磁場から偏向作用を受け、検出器109側に偏向される。グリッド1002に正極性の電圧を印加することで、接地した対向電極1003との間に電界を発生させ、磁場はコイル1004に電流を流すことで発生させる。

0080

図11は、変換板を用いた検出器の構成を示す。変換板1101は、検出器109の上方に配置され、一次電子102を通過させるための孔を有する。この構成によれば、二次電子108の変換板1101への衝突に起因して発生する三次電子1102をExB偏向器1001によって検出器109へ引き込む図10A及び図10Bと同様に、ExB偏向器1001の電場と磁場の大きさは一次電子102が偏向されない条件に設定するが、一次電子102と比較して三次電子1102のエネルギーは小さいため、検出器109側に偏向される。図11に示す構成は、二次電子108のエネルギーが高い場合、例えばリターディング法を用いた場合に有効である。

0081

なお、検出器109はET型検出器に限らず、半導体検出器、Micro Channel Plate(MCP)であってもよい。また、検出器109の設置場所は、電子源101と偏向器117との間に限定せず、対物レンズ104と偏向器117との間や、対物レンズ104に対して試料台107側に設置されてもよい。また、変換板1101の代わりに半導体検出器やMCPを設置してもよい。

0082

検出器109で得られた信号は、信号処理部110で処理される。処理によって得られた画像信号は、情報処理部115を介して画像表示端末116に表示される。画像表示の際、使用者は情報処理部115の入力部を用いて適切な情報を選択し、選択した情報を画像表示端末116に表示させることができる。

0083

図12は、絞り105を用いて試料106から放出する二次電子108の角度を絞り105の孔径Rを変化させながらSEM画像を撮るフローチャートである。

0084

まず、試料106をSEMの中に導入する(S1201)。次に、SEM画像を見ながら所望の観察位置に試料106を移動し、フォーカス調整や非点調整を行い、WDと距離Dを設定する(S1202)。この状態で試料106のSEM画像を取得する(S1203)。その後、絞り105を試料106と対物レンズ104との間に挿入する(S1204)。次に、フォーカス調整や非点調整を行う(S1205)。次に、SEM画像を見ながら、絞り制御機構113を用いて絞り105の中心と観察位置の中心とを合わせる(S1206)。その後、SEM画像を取得する(S1207)。次に、絞り105を取り出す(S1208)。ここまでの流れにより、絞り105を入れていない状態でのSEM画像と、絞り105を入れた状態(すなわち、角度選択を行った状態)でのSEM画像とを比較することができる。最後に、WD又は距離Dの設定を変えて、再度SEM画像を撮りたい場合は、ステップS1202に戻ってWD又は距離Dを変更した後で残りのステップを実行する。これにより、検出角度範囲の変更前と変更後のSEM画像を比較することができる。なお、WDと距離Dを変えない場合は、そのまま観察を終了する(S1209)。

0085

図13は、使用者が角度選択検出を行うために必要な設定を行うGUI画面の一例を示す。図13のGUI画面は、画像表示端末116に表示されるものであり、使用者は、入力部(マウス、キーボードなど)を用いて、GUI画面上で設定を行うことができる。

0086

GUI画面1301は、各種パラメータを設定及び表示する部分と、画像を表示する部分とに大別される。まず、試料106がSEMの中に導入された後、加速電圧等の基本条件光学条件入力部1304に入力する。その後の設定は、使用者が距離Dを動かして角度選択を行うか、孔径Rを変化させて角度選択を行うかで異なる。

0087

距離Dを動かして角度選択を行う場合、使用者は、SEMの中に挿入されている絞り105の孔径RとWDの値をそれぞれ孔径入力部1305とWD入力部1307に入力し、検出したい角度範囲を検出角度入力部1306に入力する。このとき、情報処理部115が、入力された情報に基づいて適切な距離Dを決定する。情報処理部115は、決定した距離Dの情報を絞り制御機構113に入力し、絞り制御機構113は、決定した距離Dの位置に絞り105を移動させる。この条件で取得されたSEM画像がSEM画像表示部1303に表示される。

0088

孔径Rが変化可能な絞り105を用いて孔径Rを変化させて角度選択を行う場合、使用者は、WD及び距離Dの値をそれぞれWD入力部1307及び距離D入力部1308に入力し、検出したい角度範囲を検出角度入力部1306に入力する。情報処理部115は、入力された情報に基づいて適切な孔径Rを決定する。情報処理部115は、決定した孔径Rの情報を絞り制御機構113に入力し、絞り制御機構113は、決定された孔径Rとなるように絞り105を制御する。この条件で取得されたSEM画像がSEM画像表示部1303に表示される。

0089

なお、WD、距離D、及び孔径Rは、GUI画面1301上のWD入力部1307、距離D入力部1308、孔径入力部1305、及び、位置関係表示部1302に表示され、これらの表示を使用者が確認することができる。

0090

したがって、GUI画面1301を用いることにより、GUI画面1301に入力された情報に応じて、絞り105の開口部の形状及び絞り105の高さの少なくとも一方を変更することができる。また、使用者は、検出角度範囲を変更しながら、その選択した検出角度範囲のSEM画像を確認することができる。

0091

本実施例によれば、対物レンズを通過する前に、信号荷電粒子の角度を絞り105により制限することにより、特定の角度範囲の二次電子108のみを検出することができる。例えば、対物レンズの内部や対物レンズの上側の位置では、対物レンズの磁場の影響などにより特定の角度範囲の二次電子を弁別することができない。これに対して、本実施例は、対物レンズを通過する前に角度の弁別を行うため、観察試料から放出される信号荷電粒子の角度情報(仰角及び方位角)を損失することなく、その角度範囲を選択して検出することができる。

0092

本実施例は、信号荷電粒子、特に低エネルギーの二次電子108を高い角度分解能で選択検出することと、高い空間分解能を両立するSEMを提供することができる。一次電子の試料への入射エネルギーが低い状態で高空間分解能を得る手法として、リターディング法やブースティング法などがあるが、本実施例は、これらの方法に対して特に効果がある。

0093

上述の通り、高空間分解能を得るためにはブースティング法が有効であるが、ブースター電圧によって生じた電界は二次電子108に対して収束作用を及ぼす。つまり、絞り105を用いない場合、二次電子108がブースター電圧によって加速されると試料106から放出されたときの角度情報を失う可能性がある。しかし、対物レンズ104と試料106との間に絞り105を設置する場合は、絞り105を通過した二次電子108は、すでに放出角度が既知であるため、ブースター電圧によって加速されても角度選択性能には影響を及ぼさない。

0094

また、本実施例は、リターディング法に関しても高空間分解能を得ることができる。リターディング電圧によって一次電子102が減速されると同時に二次電子108が加速される。従って、絞り105に電圧を印加しない場合は、絞り105と試料106との間で二次電子108が偏向され、角度情報を失う可能性がある。したがって、この課題に関して、絞り105と試料106に同じ極性の電圧を印加することが望ましい。なお、絞り105と試料106に印加する電圧は同じ極性の電圧であることに限定されない。

0095

図14は、ブースティング法とリターディング法を使用しないSEMの概略を示す全体構成図である。図14に示すように、リターディング電圧とブースター電圧が適応されていないSEMでも、対物レンズ104と試料106の間に絞り105を設置することによって効果が得られる。この場合は一次電子102の空間分解能は劣化することになるが、二次電子108の角度選択を行うことができる。対物レンズ104を通過した信号荷電粒子はレンズ磁場によって、そのエネルギーに応じた回転運動を伴って収束されるため、信号荷電粒子は角度情報を失う場合が多い。この構成によれば、対物レンズ104を通過する前に角度弁別を行うことができ、角度弁別されたSEM画像を得ることができる。

0096

[第2実施例]図15は、本実施例に関するSEMの全体構成を示す。なお、第1実施例に記載され、本実施例に記載されてない事項は第1実施例と同様である。

0097

情報処理部115は、SEM画像を記憶する画像記憶部1501を備える。使用者は、絞り105の第1の条件(形状、孔径R、絞り105と試料106との間の距離Dなど)を設定し、この第1の条件でSEM画像を取得する。第1の条件で取得された第1のSEM画像は画像記憶部1501に保存される。

0098

次に、使用者は、第1の条件とは異なる、絞り105の第2の条件を設定し、この第2の条件でSEM画像を取得する。第2の条件で取得された第2のSEM画像は画像記憶部1501に保存される。情報処理部115は、画像記憶部1501に保存された複数のSEM画像に対して演算処理を実施することができる。具体的には、複数のSEM画像の差分画像、又は合成画像を作成することができる。なお、ここでの演算処理は、差分処理合成処理に限定されず、その他の加工処理が実施されてもよい。

0099

図16は、角度選択検出を行うために必要な設定、及び、SEM画像の演算処理設定を行うGUI画面の一例を示す。GUI画面1301は、第1の条件で取得された第1の画像及び第2の条件で取得された第2の画像を表示するSEM画像表示部1601を備える。また、GUI画面1301は、第1の画像及び第2の画像に対して演算処理(減算処理加算処理)を行った画像を表示する演算SEM画像表示部1602を備える。なお、演算SEM画像表示部1602は、演算の種類を設定するための演算設定部1603を備える。演算設定部1603は、例えば、プルダウンの形態の設定部であり、差分画像(A−B)、合成画像(A+B)など、第1の画像及び第2の画像に対して実行する演算処理の種類を選択できる設定部である。

0100

図16の例では、角度範囲Aで取得された第1の画像と、角度範囲Bで取得された第2の画像がSEM画像表示部1601に表示されている。演算設定部1603には、差分画像(A−B)が設定されている。この場合、角度範囲A、Bが仰角に関する設定ならば、減算処理によって、図4Bに示す絞り402で得られるような特定の仰角範囲を選択した画像を表示させることができる。角度範囲A、Bが方位角に関する設定ならば、減算処理によって、図4C、Dに示す絞り403、404で得られるような特定の方位角範囲を選択した画像を表示させることができる。

0101

加算処理の場合は、例えば、角度範囲Aの第1の画像と角度範囲Bの第2の画像との合成画像となり、複数の角度範囲を選択した画像を表示させることができる。

0102

なお、図16には図示していないが、情報処理部115は、前述の演算処理をする際、各SEM画像(第1の画像、第2の画像)に任意の重みをつけて演算してもよい。また、図16では2枚のSEM画像を演算処理する例について説明したが、絞り105に関する3つ以上の条件で取得した3つ以上のSEM画像について演算処理を行ってもよい。なお、WD、R、Dの値とそれらの位置関係は位置関係表示部1302で確認できる。

0103

本実施例によれば、絞り105に関する複数の条件で複数の画像を取得して保存しておくことで、使用者が複数の画像から任意の組み合わせを選択して、それらの組み合わせに対して任意の演算処理を実行させることができる。したがって、あらかじめ複数の条件で画像を取得しておくことで、使用者が適宜角度範囲を変更しながら画像を確認することができる。

0104

[第3実施例]図17は、本実施例に関するSEMの全体構成を示す。なお、上述の実施例に記載され、本実施例に記載されてない事項は上述の実施例と同様である。

0105

本実施例で用いるブースティング法は空間分解能を向上させる効果がある。ブースティング法を用いる場合、対物レンズ104と試料106との間に位置する絞り105の孔径Rを大きくする、又は絞り105と試料106の間の距離Dを小さくすると、二次電子108の電子軌道はブースター電圧の影響を受ける可能性が生じる。この影響を回避するための手段として、SEMは、先端電極1701と、先端電極用電源1702とを備える。先端電極1701は、ブースター電極103と絞り105との間に位置する。先端電極用電源1202は、先端電極1701に任意の電圧を印加することができる。

0106

絞り105の孔径Rが小さい時は、ブースター電圧によって生じる電界が絞り105によって遮蔽されるために、低エネルギーの二次電子108であっても絞り105の孔径Rより広い角度の二次電子108は通過しない。しかし、絞り105の孔径Rが大きくなるにつれてエネルギーが小さい二次電子108であるほど、二次電子108は絞り105の孔から漏れるブースター電界によって収束され、絞り105を通過することになる。これは、シュノーケル型対物レンズで起こる現像と似ており、絞り105を用いた角度選択機構が影響を受ける要因になる。

0107

この課題は、絞り105と近い位置に配置された先端電極1701に負極性の電圧を印加し、絞り105の孔付近に形成される電界を制御することで解決できる。先端電極1701に印加する電圧は、絞り105の孔径R、絞り105と対物レンズ104との間の距離、及びブースター電極の電圧に依存する。従って、先端電極1701に印加する電圧は、絞り105の孔径R、絞り105と対物レンズ104との間の距離、及びブースター電極の関数として装置製造者があらかじめ設定していることが望ましい。

0108

図18は、使用者が角度選択検出を行うために必要な設定を行うGUI画面の一例を示す。GUI画面1301は、先端電極電圧入力部1801を備える。図18に示すように、先端電極1701に印加する電圧は、使用者がGUI画面1301における先端電極電圧入力部1801に任意の値を入力してもよい。なお、先端電極1701の電圧が0kVであっても、絞り105の角度選択機構は成立する。

0109

なお、絞り105の孔径Rに応じて先端電極1701に印加する電圧を変化させてもよい。また、絞り105の孔径Rは固定して、先端電極1701に印加する電圧だけを変化させて孔径Rを通過する二次電子108の角度を選択することも可能である。例えば、同じ絞り105の孔径Rの条件下で、先端電極1701の電圧を小さくすると二次電子108の仰角が高角まで検出できるが、先端電極1701の電圧を大きくすると中角まで検出することができる。

0110

以上、3つの実施例について述べてきたが、装置構成数値等はほんの一例であり、これに限定されるものではない。

0111

本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることもできる。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることもできる。また、各実施例の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換することもできる。

0112

上述した信号処理部110及び情報処理部115の処理は、それらの機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスクCD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、光ディスク光磁気ディスク、CD−R、磁気テープ不揮発性メモリカード、ROMなどが用いられる。

0113

ここで述べたプロセス及び技術は本質的に如何なる特定の装置に関連することはなく、コンポーネントの如何なる相応しい組み合わせによってでも実装できる。更に、汎用目的の多様なタイプのデバイス使用可能である。ここで述べた処理を実行するのに、専用の装置を構築するのが有益である場合もある。つまり、上述した信号処理部110及び情報処理部115の一部が、例えば集積回路等の電子部品を用いたハードウェアにより実現されてもよい。

0114

さらに、上述の実施例において、制御線情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。

0115

101 :電子源102 :一次電子103 :ブースター電極104 :対物レンズ105 :絞り106 :試料107 :試料台108 :二次電子109 :検出器110 :信号処理部111 :ブースター電源112 :対物レンズ電源113 :絞り制御機構114 :リターディング制御電源115 :情報処理部116 :画像表示端末117 :偏向器118 :偏向器用電源401、402、403、404 :絞り501 :支持部502 :x軸ねじ503 :z軸ねじ504 :y軸ねじ601 :絞り602 :遮蔽板602a :切欠き部701 :回転軸702 :φ軸ねじ801、802、803 :絞り901 :φ軸ねじ902 :逆ねじ1001 :ExB偏向器1002 :グリッド1003 :対向電極1004 :コイル1101 :変換板1102 :三次電子1202 :先端電極用電源1301 :GUI画面1302 :位置関係表示部1303 :SEM画像表示部1304 :光学条件入力部1305 :孔径入力部1306 :検出角度入力部1307 :WD入力部1308 :距離D入力部1501 :画像記憶部1601 :SEM画像表示部1602 :演算SEM画像表示部1603 :演算設定部1701 :先端電極1702 :先端電極用電源1801 :先端電極電圧入力部

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