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技術 焼結蛍光体、発光装置、照明装置、車両前照灯、及び焼結蛍光体の製造方法

出願人 三菱ケミカル株式会社
発明者 浅見晴洋宮元幸博相馬実勝本覚成堀部謙太郎
出願日 2016年1月20日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2016-570689
公開日 2017年12月28日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 WO2016-117623
状態 特許登録済
技術分野 LED素子のパッケージ 照明装置の配光に係わる部品細部及び防護 非携帯用の照明装置またはそのシステム 発光性組成物
主要キーワード 鉄ボール 元素定量分析 周期加熱 低吸収率 グラインダー研削 車載ヘッドランプ 体積メジアン径 軸金型
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この項目の情報は公開日時点(2017年12月28日)のものです。
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図面 (4)

課題・解決手段

高耐熱性高熱伝導性高輝度、高変換効率を有するLED用焼結蛍光体を提供する。また、当該焼結蛍光体を用いた発光装置、並びに、当該発光装置を用いた照明装置及び車両用前照灯を提供する。焼結蛍光体は、窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダを含む焼結蛍光体である。波長が450nmの青色光励起した時の焼結蛍光体の内部量子効率が、60%以上であることが好ましい。さらには、波長700nmにおける透過率が20%以上であることが好ましい。

概要

背景

発光ダイオードLED) は、光スペクトルの特定の領域にピーク波長を有する光を発生させることが可能な半導体発光装置、または半導体光源として、広く知られている。通常LEDは、照明器、標識、車載ヘッドランプおよびディスプレイ光源として使用される。LEDと蛍光体を用いた発光デバイスとして、青色の発光を行うLEDチップと、青色光を黄色に変換するYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)蛍光体と、を組み合わせた白色に発光する発光デバイスが知られている。YAG蛍光体は、エポキシ樹脂シリコーン樹脂に分散させた波長変換発光層として、LEDチップの周囲に配置される。また、前記樹脂に分散させた波長変換発光層以外に、蛍光体からなるセラミック層、あるいは蛍光体をセラミックに分散させた、無機材料のみからなる波長変換発光層(発光セラミック層)が例示される(特許文献1)。

一方、近年、三元系以上の元素から構成される窒化物について、多くの新規物質が製造されており、特に最近では、窒化珪素ベースとした多元系窒化物酸窒化物において、優れた特性を有する蛍光体材料が開発され、波長変換発光層に用いられている。これらの蛍光体材料は、青色LED又は近紫外LEDによって励起され、黄色ないし赤色の発光を示すことが知られており、酸化物系蛍光体に比べて、高輝度であり、高変換効率であり、更に発光効率温度依存性が優れている(特許文献2)。

従来、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの有機バインダに分散させた波長変換発光層では、耐久性耐熱性発光強度が十分ではなかった。そのため、より耐久性、耐熱性に優れた波長変換発光層を得るために、特許文献値1に例示されるように、無機材料のみからなる波長変換発光層(発光セラミック層)を作製する方法が研究されている。

特許文献3では、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム及びフッ化ランタンのうちのいずれか1種からなるか、又は、フッ化カルシウム及びフッ化ストロンチウムからなる無機バインダ中に、YAG:Ce蛍光体粒子を分散させた蛍光体セラミックスが例示されている。

特許文献4では、Y3(Al,Ga)5O12:Ce酸化物蛍光体、Lu3Al5O12:Ce酸化物蛍光体とCaSiAlN3:Eu窒化物蛍光体の組み合わせを、放電プラズマ焼結法を用いて、200℃以上のガラス転移点を持つガラス粉末溶融させることで、無機材料のみからなる波長変換発光層を作製している。

概要

高耐熱性高熱伝導性、高輝度、高変換効率を有するLED用焼結蛍光体を提供する。また、当該焼結蛍光体を用いた発光装置、並びに、当該発光装置を用いた照明装置及び車両用前照灯を提供する。焼結蛍光体は、窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダを含む焼結蛍光体である。波長が450nmの青色光で励起した時の焼結蛍光体の内部量子効率が、60%以上であることが好ましい。さらには、波長700nmにおける透過率が20%以上であることが好ましい。

目的

本発明により、高耐熱性、高熱伝導性、高輝度、高変換効率を有するLED用焼結蛍光体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

波長700nmにおける透過率が、20%以上である請求項1に記載の焼結蛍光体。

請求項3

波長450nmの青色光励起した時の、焼結蛍光体の内部量子効率が、60%以上である請求項1又は2に記載の焼結蛍光体。

請求項4

前記焼結蛍光体が板状焼結蛍光体であって、該板状焼結蛍光体の厚みが50μm以上、2000μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結蛍光体。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結蛍光体と、光源としてLED又は半導体レーザーとを備え、前記焼結蛍光体は、前記光源の光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発する、発光装置

請求項6

請求項5に記載の発光装置を備えた照明装置

請求項7

請求項5に記載の発光装置を備えた車両用前照灯

請求項8

窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダを混合するステップ、及び前記工程で得られた混合物を400℃以上、1500℃以下の温度で焼結するステップ、を含む焼結蛍光体の製造方法。

請求項9

黄色又は緑色に発光するガーネット系蛍光体、赤色に発光する窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダを含む、焼結蛍光体。

請求項10

前記黄色又は緑色に発光するガーネット蛍光体が、次の一般式で表されるLSN;LnxSiyNn:Z(式中Lnは賦活剤として用いる元素を除いた希土類元素である。Zは賦活剤である。2.7≦x≦3.3、5.4≦y≦6.6、10≦n≦12を満たす。)、及び次の一般式で表されるβサイアロン;Si6−zAlz Oz N8−z:Eu(ただし0<z<4.2)からなる群から選択される窒化物蛍光体のうち少なくとも1種を含む、請求項9に記載の焼結蛍光体。

請求項11

前記赤色に発光する窒化物蛍光体が、CaAlSiN3、次の一般式で表されるSCASN;(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN3:Eu及び/又は(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu)、並びに次の一般式で表されるSr2Si5N8;(Sr,Ca,Ba)2AlxSi5−xOxN8−x:Eu(式中0≦x≦2)からなる群から選択される窒化物蛍光体のうち少なくとも1種を含む、請求項9又は10に記載の焼結蛍光体。

請求項12

前記フッ化物無機バインダが、CaF2、BaF2、SrF2、LaF2、及び、MgF2の群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の焼結蛍光体。

請求項13

波長700nmにおける透過率が、20%以上である請求項9〜12のいずれか1項に記載の焼結蛍光体。

請求項14

波長450nmの青色光で励起した時の、焼結蛍光体の内部量子効率が、60%以上である請求項9〜13のいずれか1項に記載の焼結蛍光体。

請求項15

CaAlSiN3、次の一般式で表されるSCASN;(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN3:Eu及び/又は(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu)、次の一般式で表されるSr2Si5N8;(Sr、Ca、Ba)2AlxSi5−xOxN8−x:Eu(式中0≦x≦2)、次の一般式で表されるLSN;LnxSiyNn:Z(式中Lnは賦活剤として用いる元素を除いた希土類元素である。Zは賦活剤である。2.7≦x≦3.3、5.4≦y≦6.6、10≦n≦12を満たす。)、並びに次の一般式で表されるβサイアロン;Si6−zAlz Oz N8−z:Eu(式中0<z<4.2)からなる群から選択される窒化物蛍光体のうち少なくとも1種の蛍光体、並びに立方晶であるフッ化物無機バインダを含む焼結蛍光体であって、波長700nmにおける透過率が20%以上であり、かつ波長450nmの青色光で励起した時の焼結蛍光体の内部量子効率が60%以上である、焼結蛍光体。

請求項16

黄色又は赤色に発光するガーネット系蛍光体、赤色発光する窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダを含む焼結蛍光体。

請求項17

波長700nmにおける透過率が、20%以上である請求項16に記載の焼結蛍光体。

請求項18

波長450nmの青色光で励起した時の、焼結蛍光体の内部量子効率が、60%以上である請求項16又は17に記載の焼結蛍光体。

技術分野

0001

本発明は、窒化物蛍光体及びフッ化物無機バインダを含む焼結蛍光体及び板状焼結蛍光体、当該板状焼結蛍光体を用いた発光装置、当該発光装置を用いた照明装置及び車両用前照灯、並びに焼結蛍光体の製造方法に関する。

背景技術

0002

発光ダイオードLED) は、光スペクトルの特定の領域にピーク波長を有する光を発生させることが可能な半導体発光装置、または半導体光源として、広く知られている。通常LEDは、照明器、標識、車載ヘッドランプおよびディスプレイ光源として使用される。LEDと蛍光体を用いた発光デバイスとして、青色の発光を行うLEDチップと、青色光を黄色に変換するYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)蛍光体と、を組み合わせた白色に発光する発光デバイスが知られている。YAG蛍光体は、エポキシ樹脂シリコーン樹脂に分散させた波長変換発光層として、LEDチップの周囲に配置される。また、前記樹脂に分散させた波長変換発光層以外に、蛍光体からなるセラミック層、あるいは蛍光体をセラミックに分散させた、無機材料のみからなる波長変換発光層(発光セラミック層)が例示される(特許文献1)。

0003

一方、近年、三元系以上の元素から構成される窒化物について、多くの新規物質が製造されており、特に最近では、窒化珪素ベースとした多元系窒化物酸窒化物において、優れた特性を有する蛍光体材料が開発され、波長変換発光層に用いられている。これらの蛍光体材料は、青色LED又は近紫外LEDによって励起され、黄色ないし赤色の発光を示すことが知られており、酸化物系蛍光体に比べて、高輝度であり、高変換効率であり、更に発光効率温度依存性が優れている(特許文献2)。

0004

従来、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの有機バインダに分散させた波長変換発光層では、耐久性耐熱性発光強度が十分ではなかった。そのため、より耐久性、耐熱性に優れた波長変換発光層を得るために、特許文献値1に例示されるように、無機材料のみからなる波長変換発光層(発光セラミック層)を作製する方法が研究されている。

0005

特許文献3では、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム及びフッ化ランタンのうちのいずれか1種からなるか、又は、フッ化カルシウム及びフッ化ストロンチウムからなる無機バインダ中に、YAG:Ce蛍光体粒子を分散させた蛍光体セラミックスが例示されている。

0006

特許文献4では、Y3(Al,Ga)5O12:Ce酸化物蛍光体、Lu3Al5O12:Ce酸化物蛍光体とCaSiAlN3:Eu窒化物蛍光体の組み合わせを、放電プラズマ焼結法を用いて、200℃以上のガラス転移点を持つガラス粉末溶融させることで、無機材料のみからなる波長変換発光層を作製している。

先行技術

0007

特表2008−502131号公報
国際公開第2008/132954号
国際公開第2009/154193号
特開2009−91546号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかし、特許文献1では、発光セラミック層として、アルミニウムガーネット蛍光体を用いている。これは、Y2O3、Al2O3(99.999%)、CeO2からYAG粉末を作製し、YAG粉末のみからなる成型体を得た後、1300℃で焼成することにより得られたYAG焼結蛍光体を発光セラミック層として使用している。該発光セラミック層は、無機バインダを用いておらず、YAG酸化物系蛍光体のみで焼結体を形成している。そのため、高輝度であり、高変換効率であり、更に発光効率の温度依存性に優れた窒化物蛍光体の焼結蛍光体が求められていた。

0009

また、特許文献3に例示されているとおり、YAG酸化物蛍光体相とフッ化物マトリックス相とのセラミック複合体は、内部量子効率がいずれも55%以下という低い値であるという問題があった。
特許文献4では、YAG酸化物蛍光体又はLuAG酸化物蛍光体とCASN窒化物蛍光体の組み合わせを、ガラス粉末を溶融させることで、ガラス中に分散させて波長変換発光層を作製しているが、無機バインダがガラスであるため、耐熱性はあるものの、熱伝導率は2〜3W/mKと低く、更に放熱性が低いために、蛍光体の温度が上昇し輝度が低下(蛍光体が劣化)するという課題がある。

0010

このような状況の中、内部量子効率、及び温度特性に優れる窒化物蛍光体を用いた、熱伝導度の高い焼結蛍光体が求められていた。

課題を解決するための手段

0011

従来、酸化物蛍光体とフッ化物無機バインダを焼結させると、一般的には、蛍光体の酸素と無機バインダのフッ素イオン半径が近いため固溶置換が起こり、酸フッ化物を形成し、内部量子効率の低下を招くと考えられていた。そこで、窒化物蛍光体とフッ化物無機バインダとを混合し、焼結させたところ、本来の窒化物蛍光体の内部量子効率を維持することが可能となることを、本発明者らは見出した。これは、イオン半径に差のある窒素とフッ素では容易に固溶置換が起こらず、内部量子効率の低下を防ぐことが可能となったためと考えられる。

0012

また、フッ化物無機バインダを用いることで、例えばAl2O3を無機バインダとして用いた場合に比べて、焼結温度下げることができるために、窒化物蛍光体と無機バインダとの反応を抑制させることができる。このようにして、内部量子効率の高い窒化物蛍光体の焼結蛍光体が得られることに、本発明者らは想到した。
更に、例えば三方晶系であるAl2O3は複屈折を有するため、焼結体とするとAl2O3が多結晶体となり透光性が不十分であるのに対し、CaF2、BaF2、SrF2等の結晶系が立方晶のフッ化物無機バインダを用いれば、複屈折がなく、透明性の高い焼結蛍光体を製造することが可能である。

0013

これにより、本発明者らは、窒化物蛍光体を用いて、内部量子効率が高く、高耐熱性高透過率低吸収率、かつ、高熱伝導率のLED用焼結蛍光体を発明するに至った。更に該焼結蛍光体を用い、高変換効率、高輝度、かつ、励起光強度及び温度の変化による明るさ変化・色ズレの少ない、優れた発光装置及び照明装置を発明するに至った。
本発明は以下のとおりである。

0014

(1)窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダを含む焼結蛍光体。
(2)波長700nmにおける透過率が、20%以上である(1)に記載の焼結蛍光体。
(3)波長450nmの青色光で励起した時の、焼結蛍光体の内部量子効率が、60%以上である(1)又は(2)に記載の焼結蛍光体。
(4)前記焼結蛍光体が板状焼結蛍光体であって、該板状焼結蛍光体の厚みが50μm以上、2000μm以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の焼結蛍光体。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の焼結蛍光体と、光源としてLED又は半導体レーザーとを備え、
前記焼結蛍光体は、前記光源の光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発する、発光装置。
(6)(5)に記載の発光装置を備えた照明装置。
(7)(5)に記載の発光装置を備えた車両用前照灯。
(8)窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダを混合するステップ、及び
前記工程で得られた混合物を400℃以上、1500℃以下の温度で焼結するステップ、を含む焼結蛍光体の製造方法。
(9)黄色又は緑色に発光するガーネット系蛍光体、赤色に発光する窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダを含む、焼結蛍光体。
(10)前記黄色又は緑色に発光するガーネット蛍光体が、次の一般式で表されるLSN;LnxSiyNn:Z(式中Lnは賦活剤として用いる元素を除いた希土類元素である。Zは賦活剤である。2.7≦x≦3.3、5.4≦y≦6.6、10≦n≦12を満たす。)、及び次の一般式で表されるβサイアロン;Si6−zAlz Oz N8−z:Eu(ただし0<z<4.2)からなる群から選択される窒化物蛍光体のうち少なくとも1種を含む、(9)に記載の焼結蛍光体。
(11)前記赤色に発光する窒化物蛍光体が、CaAlSiN3、次の一般式で表されるSCASN;(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN3:Eu及び/又は(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu)、並びに及び次の一般式で表されるSr2Si5N8;(Sr,Ca,Ba)2AlxSi5−xOxN8−x:Eu(式中0≦x≦2)からなる群から選択される窒化物蛍光体のうち少なくとも1種を含む、(9)又は(10)に記載の焼結蛍光体。
(12)前記フッ化物無機バインダが、CaF2、BaF2、SrF2、LaF2、及び、MgF2の群から選ばれる少なくとも1種を含む、(9)〜(11)のいずれかに記載の焼結蛍光体。
(13)波長700nmにおける透過率が、20%以上である(9)〜(12)のいずれかに記載の焼結蛍光体。
(14)波長450nmの青色光で励起した時の、焼結蛍光体の内部量子効率が、60%以上である(9)〜(13)のいずれかに記載の焼結蛍光体。
(15)CaAlSiN3、次の一般式で表されるSCASN;(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN3:Eu及び/又は(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu)、次の一般式で表されるSr2Si5N8;(Sr、Ca、Ba)2AlxSi5−xOxN8−x:Eu(式中0≦x≦2)、次の一般式で表されるLSN;LnxSiyNn:Z(式中Lnは賦活剤として用いる元素を除いた希土類元素である。Zは賦活剤である。2.7≦x≦3.3、5.4≦y≦6.6、10≦n≦12を満たす。)、並びに次の一般式で表されるβサイアロン;Si6−zAlz Oz N8−z:Eu(式中0<z<4.2)からなる群から選択される窒化物蛍光体のうち少なくとも1種の蛍光体、並びに立方晶であるフッ化物無機バインダを含む焼結蛍光体であって、
波長700nmにおける透過率が20%以上であり、かつ
波長450nmの青色光で励起した時の焼結蛍光体の内部量子効率が60%以上である、焼結蛍光体。
(16)黄色又は赤色に発光するガーネット系蛍光体、赤色発光する窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダを含む焼結蛍光体。
(17)波長700nmにおける透過率が、20%以上である(16)に記載の焼結蛍光体。
(18)波長450nmの青色光で励起した時の、焼結蛍光体の内部量子効率が、60%以上である(16)又は(17)に記載の焼結蛍光体。

発明の効果

0015

本発明により、高耐熱性、高熱伝導性、高輝度、高変換効率を有するLED用焼結蛍光体を提供することができる。また、該焼結蛍光体を用いることで、励起光強度及び温度の変化による明るさ変化・色ズレの少ない発光装置、並びに、当該発光装置を用いた照明装置及び車両用前照灯を提供することができる。

図面の簡単な説明

0016

本発明の実施態様に係る半導体発光装置の構成例を示す模式図である。
本発明の実施態様に係る半導体発光装置の構成例を示す模式図である。
本発明の実施例又は比較例で用いるLSN蛍光体1とLSN蛍光体2の赤外吸収スペクトルをクベルカムンク関数値へ変換した変換値を比較するグラフである。

0017

<1.焼結蛍光体>
本発明の実施形態に係る焼結蛍光体は、窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダを含む焼結蛍光体である。用いられるフッ化物無機バインダは、少なくとも耐熱性があり、熱伝導率が大きいことが好ましい。

0018

(焼結蛍光体の形態)
本明細書において、焼結蛍光体とは、特に、窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダから構成された複合体であれば特に制限はないが、好ましくは、窒化物蛍光体がフッ化物無機バインダ中に分散された状態であり、窒化物蛍光体とフッ化物無機バインダが物理的及び/または化学的な結合によって、一体化された複合体である。イオン半径の異なる窒化物とフッ化物を組み合わせることで、焼結時の窒化物蛍光体とフッ化物無機バインダとの反応を抑制させ、高い内部量子効率を有する焼結蛍光体を得ることが可能である。
このような焼結蛍光体の形態は、走査電子顕微鏡による焼結蛍光体の表面観察、焼結蛍光体を切断することで断面を切り出す、あるいはクロスセクションポリッシャーによる焼結蛍光体断面を作製した後、走査電子顕微鏡による焼結蛍光体断面観察、等の観察方法にて、観察が可能である。

0019

<1−1.窒化物蛍光体>
本発明の実施形態に係る焼結蛍光体において、窒化物蛍光体が存在することを確認するための手法としては、X線回折による窒化物蛍光体相の同定、電子顕微鏡による粒子構造の観察および元素分析蛍光X線による元素分析などが挙げられる。

0020

窒化物蛍光体は、少なくとも発光素子から放出された励起光を吸収して波長変換を行い、発光素子と異なる波長の光を発することを特徴とするものである。また、窒素を蛍光体組成に含む蛍光体であればその種類は特に限定されるものではなく、例えば、ストロンチウム及びケイ素結晶相に含む窒化物蛍光体(具体的には、SCASN、Sr2Si5N8)、カルシウム及びケイ素を結晶相に含む窒化物蛍光体(具体的には、SCASN、CASN、CASON)、ストロンチウム、ケイ素、及びアルミニウムを結晶相に含む窒化物蛍光体(具体的には、SCASN、Sr2Si5N8)、カルシウム、ケイ素、及びアルミニウムを結晶相に含む窒化物蛍光体(具体的には、SCASN、CASN、CASON)が挙げられる。
さらに、具体的には、例えば、
次の一般式で表すことができるβサイアロン;Si6−zAlz Oz N8−z:Eu(式中0<z<4.2)、αサイアロン、
次の一般式で表されるLSN;LnxSiyNn:Z(式中Lnは賦活剤として用いる元素を除いた希土類元素である。Zは賦活剤である。2.7≦x≦3.3、5.4≦y≦6.6、10≦n≦12を満たす。)
次の一般式で表されるCASN;CaAlSiN3、
次の一般式で表すことができるSCASN;(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN3:Eu及び/又は(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu)、
次の一般式で表すことができるCASON;(CaAlSiN3)1−x(Si2N2O)x:Eu(式中0<x<0.5)、
次の一般式で表すことができるCaAlSi4N7:Euy(Sr,Ca,Ba)1−y:Al1+xSi4−xOxN7−x(式中、0≦x<4、0≦y<0.2)、
次の一般式で表すことができるSr2Si5N8;(Sr,Ca,Ba)2AlxSi5−xOxN8−x:Eu(式中0≦x≦2)等の蛍光体が挙げられる。
これらの蛍光体の中でも、焼結蛍光体にした時の輝度が低下しないという観点からは、酸素を含まない窒化物蛍光体、即ち、LSN、CaAlSiN3、SCASN、Sr2Si5N8、βサイアロン等の窒化物蛍光体を用いることが好ましい。

0021

上記LSN蛍光体の組成式中、上記Lnは、Laを80モル%以上含む希土類元素であることが好ましく、Laを95モル%以上含む希土類元素であることがより好ましく、Laであることが更に好ましい。Lnに含まれるLa以外の元素としては、希土類であれば問題なく使用できると考えられるが、好ましくは、他の蛍光体の場合にもしばしば置換が行われるイットリウムやガドリニウムなどであり、これらの元素はイオン半径も近く電荷も等しいため好ましい。

0022

賦活剤Zとしては、Eu、Ceのどちらかを含むことが好ましく、Ceを80モル%以上含むことがより好ましく、Ceを95モル%以上含むことが更に好ましく、そしてCeであることが最も好ましい。
元素のモル比、すなわちx,y,zの比は、化学量論組成としては3:6:11であり、これに1割程度の過不足が有っても蛍光体として使用可能であることから、x、y、zの値はそれぞれ2.7≦x≦3.3、5.4≦y≦6.6、10≦n≦12の範囲に設定される。

0023

尚、本実施形態に用いる窒化物蛍光体は、色度点を変えるなどの目的で、カルシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属元素やアルミニウムなどで一部のサイトを置換したものであってよく、本発明の範囲から排除されるものではない。例えば、カルシウム、イットリウム、ガドリニウム、ストロンチウムによる置換は発光波長を長くする際に使用でき、好ましく例示できる。またこれらの元素は、電荷保存則を満たすため、他の元素と同時に置換され、その結果SiやNのサイトが一部酸素などで置換されることがあり、そのような蛍光体も好適に使用することができる。

0024

また、窒化物蛍光体は、その他の蛍光体に比べ屈折率が高いため、蛍光体の表面に特殊な水の膜を形成することが好ましい。窒化物蛍光体表面に特殊な水の膜を形成する技術については後述するが、国際公開第2013/073598号を参照できる。窒化物蛍光体の表面に特殊な水の膜を設ける場合には、好ましくは表面の水酸基の数が増えるようなコート又は表面処理を行うとよい。

0025

また、窒化物蛍光体は、酸素原子を含んでいてもよいが、窒化物蛍光体中の酸素原子の割合が、多すぎると焼結蛍光体の輝度が低下する可能性があるため、吸着水分由来の酸素を含めない場合には、窒化物蛍光体中の酸素原子の質量割合は、好ましくは25%以下、よりに好ましくは10%以下、さらに好ましくは5.0%以下、よりさらに好ましくは3.0%以下、特に好ましくは1.0%以下である。

0026

(窒化物蛍光体の粒径
窒化物蛍光体は、その体積メジアン径が、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上であり、また、通常35μm以下、好ましくは25μm以下の範囲である。上記範囲とすることで、輝度の低下が抑制され、また蛍光体粒子凝集を抑制できる。なお、体積メジアン径は、例えばコールターカウンター法で測定でき、代表的な装置としては、ベックマンコールター社の「マルチサイザー」等を用いて測定することができる。

0027

(窒化物蛍光体の体積分率
焼結蛍光体の全体積に対する窒化物蛍光体の体積分率は、通常1%以上、50%以下である。窒化物蛍光体の体積分率が低すぎると、十分な波長変換ができず、体積分率が高すぎると波長変換効率が低下することがあるからである。

0028

(焼結蛍光体における窒化物蛍光体の表面層
焼結蛍光体における窒化物蛍光体の表面は、蛍光体及び無機バインダの組成とは異なる組成の酸素原子含有層を形成しているものを用いることもできる。酸素原子含有層は、窒化物蛍光体の表面に水分が吸着等することで形成され、酸素原子含有層の厚みは、通常5nm以上、500nm以下であり、好ましくは、10nm以上、400nm以下、より好ましくは、20nm以上、300nm以下である。窒化物蛍光体表面の酸素原子含有層がこの範囲より小さすぎると、焼結蛍光体形成時の蛍光体内部量子効率の低下を防ぐことができず、一方、酸素原子含有層が厚すぎると、透光性を阻害する要因とある傾向がある。なお、酸素原子含有層は、赤外吸収スペクトル、昇温脱離質量分析法飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、光電子分光法(XPS)、走査電子顕微鏡による焼結体の表面観察、焼結体を切断することで断面を切り出す、あるいはクロスセクションポリッシャーによる焼結体断面を作製した後、走査電子顕微鏡による焼結体断面観察、等々の観察方法にて測定することができる。

0029

(窒化物蛍光体の表面処理工程)
窒化物蛍光体の表面に水分が吸着等することに酸素原子を含有する層を形成させる方法は、国際公開第2013/073598号を参照でき、表面処理を施す方法があげられる。窒化物蛍光体に表面処理を施す手段としては、特に制限はないが、例えば、蒸気加熱処理法、ゾルゲル法スパッタリング法化学気相堆積CVD)法、蒸着法、オゾン処理法、プラズマ処理法、コロナ処理法などが挙げられる。これらの中で、蒸気加熱処理法が好ましく用いられる。以下、上記加熱処理法について、説明する。

0030

(蒸気加熱処理工程)
上記加熱法は上記加熱処理工程を有し、通常の工程を経て製造された窒化物蛍光体に、蒸気存在下、好ましくは水蒸気存在下で静置し、蒸気加熱処理することで得ることができる。

0031

蒸気存在下に窒化物蛍光体を置くことで窒化物蛍光体表面に吸着水を存在させる場合は、蒸気温度は、通常50℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、また、通常400℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下である。温度が低すぎると吸着水が窒化物蛍光体表面に存在することによる効果が得られにくい傾向があり、高すぎると窒化物蛍光体粒子の表面が荒れてしまう場合がある。

0032

また湿度相対湿度)は、通常50%以上、好ましくは80%以上であり、100%であることが特に好ましい。湿度が低すぎると吸着水が窒化物蛍光体表面に存在することによる効果が得られにくい傾向がある。なお、吸着水層形成の効果が得られる程度であれば、湿度が100%である気相に液相が共存していてもよい。

0033

さらに圧力は、通常常圧以上、好ましくは0.12MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、また、通常10MPa以下、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.5MPa以下である。圧力が低すぎると吸着水が窒化物蛍光体表面に存在することによる効果が得られにくい傾向があり、高すぎると処理装置が大掛かりとなり、また作業上の安全性の問題が出てくる場合がある。

0034

蒸気存在下に窒化物蛍光体を保持する時間は前記の温度、湿度及び圧力に応じて一様ではないが、通常は高温であるほど、高湿度であるほど、高圧であるほど保持時間は短くて済む。具体的な時間の範囲を挙げると、通常0.5時間以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは1.5時間以上、また、通常200時間以下、好ましくは100時間以下、より好ましくは12時間以下、更に好ましくは5時間以下である。

0035

上記の条件を満たしながら蒸気加熱工程を行うための具体的な方法としては、オートクレーブ中で高湿度、高圧下におくという方法が例示できる。ここで、オートクレーブに加えて、あるいは、オートクレーブを用いる代わりに、プレッシャークッカー等のオートクレーブと同程度に高温・高湿条件下にすることができる装置を用いてもよい。プレッシャークッカーとしては、例えば、TPC−412M(ESPEC株式会社製)等を用いることができ、これによれば、温度を105℃〜162.2℃に、湿度を75〜100%(但し、温度条件によって異なる)に、圧力を0.020MPa〜0.392MPa(0.2kg/cm2〜4.0kg/cm2)に制御することができる。

0036

オートクレーブ中に窒化物蛍光体を保持して蒸気加熱工程を行うようにすれば、高温、高圧かつ高湿度の環境において特殊な水の層を形成することが可能であるため、特に短時間で吸着水を窒化物蛍光体表面に存在させることができる。具体的条件を挙げると、圧力が常圧(0.1MPa)以上であり、かつ、蒸気が存在する環境下に前記窒化物蛍光体を0.5時間以上置くとよい。なお、蛍光体は、例えばアルミナ製、磁製等の容器に入れてからオートクレーブに入れるとよい。この際、蛍光体に予め酸洗浄分級、表面処理などの工程を実施しておいてもよいが、焼成後の蛍光体をそのまま使用しても効果は得られる。

0037

(窒化物蛍光体の製造方法)
本実施形態で用いる窒化物蛍光体は既知の蛍光体であり、それぞれ既知の方法で製造することができることから、ここでは説明を省略する。

0038

<1−2.フッ化物無機バインダ>
(フッ化物無機バインダ、およびフッ化物無機バインダ粒子)
本発明の実施形態に係る焼結蛍光体において、フッ化物無機バインダが存在することを確認するための手法としては、X線回折による無機バインダ相の同定、電子顕微鏡による焼結体表面あるいは断面構造の観察および元素分析、蛍光X線による元素分析などが挙げられる。

0039

焼結蛍光体の全体積に対する窒化物蛍光体とフッ化物無機バインダの合計体積分率は、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である。合計体積分率が低いと本発明の効果を発揮することができなくなるからである。
また、窒化物蛍光体とフッ化物無機バインダの全体積に対するフッ化物無機バインダの体積分率は、通常50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、また通常99%以下、好ましくは98%以下、より好ましくは97%以下である。

0040

本実施形態では、フッ化物無機バインダは窒化物蛍光体を分散させるマトリックスとして用いられる。当該フッ化物無機バインダは、発光素子から放出された励起光の一部又は窒化物蛍光体から放出された光の少なくとも一部が透過するものが好ましい。また、窒化物蛍光体から放出される光を効率的に取り出すために、フッ化物無機バインダの屈折率が、蛍光体の屈折率に近いことが好ましい。更に、強励起光照射による生じる発熱に耐え、かつ放熱性を有することが好ましい。また、フッ化物無機バインダを用いることで、焼結蛍光体の成型性が良好となる。
フッ化物無機バインダとしては、具体的には、CaF2(フッ化カルシウム)、MgF2(フッ化マグネシウム)、BaF2(フッ化バリウム)、SrF3(フッ化ストロンチウム)、LaF2(フッ化ランタン)等、及び、これらの複合体からなる群から選ばれる何れか1種以上のものがあげられる。
フッ化物無機バインダは、フッ化物無機バインダと同じ組成からなる粒子が物理的及び/または化学的に結合されて構成される。

0041

(フッ化物無機バインダ粒子の物性)
・粒径
フッ化物無機バインダ粒子は、その体積メジアン径が、通常0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上、より好ましくは0.03μm以上、特に好ましくは0.05μm以上であり、また、通常15μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは3μm以下、特に好ましくは2μm以下である。フッ化物無機バインダ粒子が上記範囲であることで、焼結温度を低減させることが可能となり、窒化物蛍光体と無機バインダが反応することによる窒化物蛍光体の失活を抑制することができ、焼結蛍光体の内部量子効率の低下を抑制できる。なお、体積メジアン径は、例えば前述のコールターカウンター法で測定でき、その他の代表的な装置としては、レーザー回折粒度分布測定走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡TEM)、ベックマンコールター社の「マルチサイザー」等を用いて測定する。

0042

純度
フッ化物無機バインダ粒子の純度を確認するための手法としては、ICP−AESによる元素分析、蛍光X線による元素定量分析などが挙げられる。
フッ化物無機バインダ粒子の純度は、通常99%以上、好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.9%以上である。純度が低いと、焼結後に黒色等の異物が生成し、透光性、発光効率を低下させる傾向がある。このため上記範囲が好ましい。

0043

・屈折率
フッ化物無機バインダ粒子の屈折率を確認するための手法としては、フッ化物無機バインダ粒子からなる焼結体を鏡面研磨し、それを用いて最小偏角法、臨界角法、Vブロック法により測定する方法が挙げられる。
フッ化物無機バインダ粒子の屈折率nbは、窒化物蛍光体の屈折率npとの比 nb/npが、1以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下である。屈折率比が1より大きいと、焼結後の光取り出し効率を低下させる傾向がある。このため上記範囲が好ましい。

0044

・熱伝導率
フッ化物無機バインダ粒子の熱伝導率を確認するための手法としては、フッ化物無機バインダ粒子からなる焼結体を作製し、それを用いて定常加熱法、レーザーフラッシュ法周期加熱法により測定する方法が挙げられる。
フッ化物無機バインダ粒子の熱伝導率は、通常3.0W/(m・K)以上、好ましくは5.0W/(m・K)以上であり、より好ましくは10W/(m・K)以上である。熱伝導率が3.0W/(m・K)より小さいと、強励起光照射によって焼結蛍光体の温度が上昇する場合があり、蛍光体及び周辺部材を劣化させる傾向がある。このため上記範囲が好ましい。

0045

融点
フッ化物無機バインダ粒子は、その融点が低いことが好ましい。融点が低いフッ化物無機バインダ粒子を用いることで、焼結温度を低減させることが可能となり、窒化物蛍光体と無機バインダが反応することによる窒化物蛍光体の失活を抑制することができ、焼結蛍光体の内部量子効率の低下を抑制できる。具体的には、融点が1500℃以下であることが好ましく、1300℃以下であることがより好ましい。下限温度は特段限定されず、通常500℃以上である。

0046

・結晶系
フッ化物無機バインダ粒子は、結晶系が立方晶系であることが好ましい。フッ化物無機バインダ粒子が立方晶系であることで、焼結蛍光体とした際の透明度が高く、光取出し効率が向上する。

0047

・溶解度
フッ化物無機バインダ粒子は、溶解度が20℃において、水100g当たり、0.05g以下であることが好ましい。

0048

<1−3.黄色又は緑色に発光するガーネット系蛍光体>
本発明の別の実施形態に係る焼結蛍光体は、黄色又は緑色に発光するガーネット系蛍光体、赤色に発光する窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダを含む。
赤色に発光する窒化物蛍光体としては、既に説明したCaAlSiN3、
次の一般式で表すことができるSCASN;(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN3:Eu及び/又は(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu)、
次の一般式で表すことができるCASON;(CaAlSiN3)1−x(Si2N2O)x:Eu(式中0<x<0.5)、
次の一般式で表すことができるCaAlSi4N7:Euy(Sr,Ca,Ba)1−y:Al1+xSi4−xOxN7−x(式中、0≦x<4、0≦y<0.2)、
次の一般式で表すことができるSr2Si5N8;(Sr,Ca,Ba)2AlxSi5−xOxN8−x:Eu(式中0≦x≦2)等の蛍光体が挙げられる。

0049

黄色又は緑色に発光するガーネット系蛍光体としては、以下の一般式(1)で表されるYAG蛍光体、一般式(2)で表されるGYAG蛍光体、一般式(3)で表されるLuAG蛍光体、一般式(4)で表される蛍光体、が例示される。
Ya(Ce,Tb,Lu)b(Ga,Sc)cAldOe ・・・(1)
(式中、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0≦c≦0.2、10.8≦e≦13.4である)
Ya(Ce,Tb,Gd,Lu)b(Ga,Sc)cAldOe ・・・(2)
(a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、1.2≦c≦2.6、10.8≦e≦13.4)
Lua(Ce,Tb,Gd,Y)b(Ga,Sc)cAldOe ・・・(3)
(a+b=3、0≦c≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0≦d≦0.2、10.8≦e≦13.4)
YaTbf(Ce,Gd,Lu)b(Ga,Sc)cAldOe ・・・(4)
(a+b+f=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0≦c≦2.6、10.8≦e≦13.4、0.1≦f≦1)

0050

本実施形態では、黄色又は緑色に発光するガーネット系蛍光体、赤色に発光する窒化物蛍光体の配合比は、要求される光の色温度演色性に応じ、適宜調整することができるが、それぞれ焼結蛍光体の全体積に対し、通常0.5%以上、好ましくは1.0%以上であり、また通常20%以下、好ましくは10%以下である。

0051

<1−4.焼結蛍光体の製造方法>
上述した窒化物蛍光体及びフッ化物無機バインダ粒子、又はガーネット系蛍光体、窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダ粒子を主たる原料とし、これらの混合物を圧密・焼結することで、上記材料の複合体である焼結蛍光体を製造することができるが、製法についての制限は特にない。より好ましい製造方法を以下に記載する。

0052

具体的には、以下の(工程1)〜(工程2)が例示される。
(工程1)窒化物蛍光体(又はガーネット系蛍光体及び窒化物蛍光体)と無機バインダ粒子を撹拌・混合し、加圧プレス成形し、成形体を焼結する工程
(工程2)窒化物蛍光体(又はガーネット系蛍光体及び窒化物蛍光体)と無機バインダ粒子を撹拌・混合し、加圧プレスと同時に焼結する工程

0053

(工程1)
・撹拌・混合工程
最初に、窒化物蛍光体(又はガーネット系蛍光体及び窒化物蛍光体)と無機バインダ粒子を混合させ、窒化物蛍光体等(以下、ガーネット系蛍光体を含んでもよい窒化物蛍光体を窒化物蛍光体等と称する)と無機バインダ粒子の混合粉を得る。窒化物蛍光体等と無機バインダ粒子からなる焼結体全体を100%とした場合、フッ化物無機バインダの体積分率が、通常50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であり、通常99%以下、好ましくは98%以下、より好ましくは97%以下となるよう、混合させる。これらを撹拌・混合する方法は、例えば、ボールミル、Vブレンダーなどの乾式混合法、あるいは、窒化物蛍光体等と無機バインダに溶媒を加えてスラリー状態にし、ボールミル、ホモジナイザー超音波ホモジナイザー、2軸混練機などを用いた湿式混合法、等が挙げられる。撹拌・混合時間は、通常0.5時間以上、好ましくは2時間以上、より好ましくは6時間以上であり、通常72時間以下、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下である。このように、機械的に撹拌・混合することにより、全体を均一に混合させることが可能である。

0054

ここで、加圧プレスによる成形性を上げるために、有機バインダ、分散剤、更に溶媒を加えても構わない。有機バインダ等を加える場合、例えば、焼結体全体を100重量%とした場合、有機バインダを通常0.1重量%以上5重量%以下、分散剤を通常0.01重量%以上3重量%以下、溶媒を通常10重量%以上70重量%以下混合し、スラリーを作製する。この場合、有機バインダには、ポリビニルアルコールポリアクリル酸ポリビニルブチラールメチルセルロースデンプン等を用いることができる。分散剤には、ステアリン酸ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムポリカルボン酸アンモニウ ム等を用いることができる。溶媒には、水、メチルアルコールエチルアルコールイソプロピルアルコールなどを用いることができる。これらは単独、あるいは混合して用いても構わない。
これらを混合する方法は、例えば、ボールミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、2軸混練機などを用いた湿式混合法、等が挙げられる。有機バインダ等を加える場合、撹拌・混合時間は、通常0.5時間以上、好ましくは2時間以上、より好ましくは6時間以上であり、通常72時間以下、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下である。このように、機械的に撹拌・混合することにより、全体を均一に混合させることが可能である。また、有機バインダが被覆された無機バインダ粒子を用いて、蛍光体と混合しても構わない。

0055

湿式混合の場合、撹拌・混合工程の次に、溶媒乾燥・造粒工程を行う。溶媒乾燥・造粒工程 では、撹拌・混合工程により得られたスラリーを、所定の温度で溶媒を揮発させて、窒化物蛍光体等と無機バインダ粒子と有機バインダの混合粉を得る。あるいは、公知の噴霧乾燥装置スプレードライヤー装置)を使用することにより、所定の粒径を有する造粒粒子を作製しても構わない。造粒粒子の平均粒径は、通常22μm以上、好ましくは24μm以上、より好ましくは26μm以上であり、通常200μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下である。造粒粒子径が小さいと、嵩密度が小さくなり、粉体ハンドリング性プレス金型への充填が困難になり、造粒粒子径が大きいと、プレス後の成形体中に気孔が残留し、焼結度の低下につながる。

0056

成形工程
ここでは、一軸金型成形、冷間静水圧成形(CIP)を用いて、撹拌・混合工程で得られた混合粉をプレス成形し、目的の形状のグリーン体を得る。成形時の圧力は、通常1MPa以上、好ましくは5MPa以上、より好ましくは10MPa以上であり、通常1000MPa以下、好ましくは800MPa以下、より好ましくは600MPa以下である。成形時の圧力が低すぎると、成形体を得ることができず、圧力が高すぎると、蛍光体に機械的ダメージを与え、発光特性を低下させる原因となりえる。

0057

脱脂工程
必要に応じ、有機バインダを用いて成形したグリーン体から、空気中で有機バインダ成分を焼き飛ばす脱脂を実施する。脱脂に使用する炉は所望の温度、圧力を実現できれば特段限定されない。上記要件を満たせば特に制約はないが、例えば、シャトル炉、トンネル炉リードハンマー炉、ロータリーキルン、オートクレーブ等の反応槽タンマン炉アチソン炉ホットプレス装置パルス通電加圧焼結装置熱間静水圧焼結装置、加圧雰囲気炉、加熱方式も、高周波誘導加熱炉直接式抵抗加熱間接式抵抗加熱、直接燃焼加熱輻射熱加熱、通電加熱等を用いることができる。処理時には、必要に応じて攪拌を行なってもよい。

0058

脱脂処理雰囲気は、特に限定されるものではないが、大気中、あるいは大気フロー下において実施することが好ましい。脱脂処理温度は、使用する無機バインダにより適する温度範囲は異なるが、通常300℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃以上であり、通常1200℃以下、好ましくは1100℃以下、より好ましくは1000℃以下である。
脱脂処理時間は、通常0.5時間以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、通常6時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは4時間以下である。処理温度、時間がこの範囲より小さい場合、十分に有機成分を取り除くことができず、この範囲より大きい場合は、蛍光体の酸化等表面が変質し、発光特性を低下させる原因となる傾向にある。

0059

脱脂工程において、熱履歴温度条件、昇温速度、冷却速度熱処理時間等は、適宜設定できる。また、比較的低温領域で熱処理した後、所定の温度に昇温することもできる。なお、本工程に用いる反応機は回分式でも連続式でも、また一基でも複数基でもよい。

0060

・焼結工程
成形工程及び/又は脱脂工程を経て得られた成形体を焼結することにより、焼結蛍光体を得る。焼結に使用する工程は、所望の温度、圧力を実現できれば特段限定されない。例えば、シャトル炉、トンネル炉、リードハンマー炉、ロータリーキルン、オートクレーブ等の反応槽、タンマン炉、アチソン炉、ホットプレス装置、パルス通電加圧焼結装置、熱間静水圧焼結装置、加圧雰囲気炉、加熱方式も、高周波誘導加熱炉、直接式抵抗加熱、間接式抵抗加熱、直接燃焼加熱、輻射熱加熱、通電加熱等を用いることができる。処理時には、必要に応じて攪拌を行なってもよい。焼結処理の雰囲気は、特に限定されるものではないが、大気雰囲気下、N2雰囲気下、Ar雰囲気下、真空下、あるいは大気フロー下、N2フロー下、Arフロー下、大気加圧下、N2加圧下、Ar加圧下、において実施することが好ましい。また、適宜雰囲気ガス中にH2を導入してもよい。焼結処理温度は、使用する無機バインダにより最適温度範囲は異なるが、通常300℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃以上であり、通常1900℃以下、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1300℃以下、更に好ましくは1000℃以下である。また、焼結温度は、使用するフッ化物無機バインダの融点より、通常50℃以下の温度であり、好ましくは100℃以下、より好ましくは150℃以下である。ここで、フッ化カルシウム(CaF2)の融点は1418℃、フッ化ストロンチウム(SrF2)の融点は1477℃である。焼結処理の雰囲気を加圧下で実施してもよく、その場合、加圧雰囲気として、0.05MPaであればよく、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上である。

0061

焼結処理時間は、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上であり、通常6時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは4時間以下である。この処理温度、時間がこの範囲より小さい場合、十分に有機成分を取り除くことができず、この範囲より大きい場合は、蛍光体の酸化等表面が変質し、発光特性を低下させる原因となる。

0062

焼結工程において、熱履歴温度条件、昇温速度、冷却速度、熱処理時間等は、適宜設定する。また、比較的低温領域で熱処理した後、所定の温度に昇温することもできる。なお、本工程に用いる反応機は回分式でも連続式でも、また一基でも複数基でもよい。
一度焼結工程において得られた成形体を、更に焼結させることもできる。焼結に使用する工程は、特に制限はないが、熱間静水圧焼結装置などが挙げられる。
また、焼結工程において、適宜焼結助剤を用いることができる。焼結工程に使用する焼結助剤として特に制限はないが、MgO、Y2O3、CaO、Li2O、BaO、La2O3、Sm2O3、Sc2O3、ZrO2、SiO2、MgAl2O4、LiF、NaF、BN、AlN、Si3N4、Mg、Zn、Ni、W、ZrB2、H2、Ti、Mn、などが挙げられ、これらを2種以上混合して用いても構わない。

0063

(工程2)
・撹拌・混合工程
工程1の撹拌・混合工程と同様に実施することができる。

0064

・加圧プレス焼結工程
撹拌・混合工程により得られた窒化物蛍光体等と無機バインダ粒子との混合粉を、加圧しながら加熱することにより、焼結蛍光体を得る。加圧プレス焼結に使用する炉は、所望の温度、圧力を実現できれば特段限定されない。例えば、ホットプレス装置、パルス通電加圧焼結装置、熱間静水圧焼結装置、加熱方式も、高周波誘導加熱炉、直接式抵抗加熱、間接式抵抗加熱、直接燃焼加熱、輻射熱加熱、通電加熱等を用いることができる。加圧プレス焼結処理の雰囲気は、特に限定されるものではないが、大気雰囲気下、N2雰囲気下、Ar雰囲気下、真空下、あるいは大気フロー下、N2フロー下、Arフロー下、大気加圧下、N2加圧下、Ar加圧下、において実施することが好ましい。また、適宜雰囲気ガス中にH2を導入してもよい。焼結処理温度は、使用する無機バインダにより最適温度範囲は異なるが、通常300℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃以上であり、通常1900℃以下、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1300℃以下、更に好ましくは1000℃以下である。また、焼結温度は、使用するフッ化物無機バインダの融点より、50℃以下の温度であればよく、好ましくは100℃以下、より好ましくは150℃以下である。ここで、フッ化カルシウム(CaF2)の融点は1418℃、フッ化ストロンチウム(SrF2)の融点は1477℃である。

0065

焼結処理時間は、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上であり、通常6時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは4時間以下である。
加圧プレス圧力は、通常1MPa以上、好ましくは5MPa以上、より好ましくは10MPa以上であり、通常1000MPa、好ましくは800MPa以下、より好ましくは600MPa以下である。成形時の圧力が低すぎると、成形体を得ることができず、圧力が高すぎると、蛍光体に機械的ダメージを与え、発光特性を低下させる原因となりえる。

0066

加圧プレス焼結工程において、熱履歴温度条件、昇温速度、冷却速度、熱処理時間等は、適宜設定する。また、比較的低温領域で熱処理した後、所定の温度に昇温することもできる。なお、本工程に用いる反応機は回分式でも連続式でも、また一基でも複数基でもよい。
また、焼結工程において、適宜焼結助剤を用いることができる。焼結工程に使用する焼結助剤としては特に制限はないが、MgO、Y2O3、CaO、Li2O、BaO、La2O3、Sm2O3、Sc2O3、ZrO2、SiO2、MgAl2O4、LiF、NaF、BN、AlN、Si3N4、Mg、Zn、Ni、W、ZrB2、H2、Ti、Mn、などが挙げられ、これらを2種以上混合して用いても構わない。

0067

<2.焼結蛍光体>
得られた焼結蛍光体はそのままで用いてもよいが、通常所定の厚みでスライスし、更に研削研磨により所定の厚みプレート状まで加工することで、板状の焼結蛍光体が得られる。研削・研磨条件は、特に限定されるものではないが、例えば、♯800のダイヤモンド砥石で、砥石回転数80rpm、ワーク回転数80rpm、50g/cm2として研磨を行い、プレート状に加工する。最終的な焼結蛍光体の厚みは、下限が、通常30μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、上限が、通常2000μm以下、好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは800μm以下、より好ましくは500μm以下である。焼結蛍光体プレートの厚みがこの範囲以下では破損しやすく、一方この範囲を超えると光が透過しにくくなる。
さらに表面を適宜研磨した後、適宜ウエットエッチング処理ドライウェットエッチング処理等により、凹凸加工を施してもよい。

0068

(焼結蛍光体の物性)
本実施形態に係る焼結蛍光体(板状焼結蛍光体を含む。以下、同じ。)は、以下のような特性を持つ。
・焼結度
本発明の焼結蛍光体の焼結度を確認するための手法としては、アルキメデス法による密度ρaを測定し、焼結体の理論密度ρtheoreticalを用いて、ρa/ρtheoretical×100により算出する。
ここで、理論密度とは、材料中の原子理想的に配列しているとした場合の密度である。
焼結蛍光体の焼結度は、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上である。焼結度が、この範囲であれば、焼結蛍光体内部に存在する空孔(空隙)が少なくなり、光透過率、光取り出し効率(変換効率)が向上する。一方、焼結度が、この範囲以下であると、光散乱が強く光取り出し効率が低下する。このため上記範囲が好ましい。
なお、焼結蛍光体の焼結度は、焼結温度及び焼結時間を調整することで、上記範囲とすることができる。

0069

・熱伝導率
本実施形態に係る焼結蛍光体の熱伝導率を確認するための手法としては、定常加熱法、レーザーフラッシュ法、周期加熱法により測定する方法が挙げられる。
焼結蛍光体の熱伝導率は、通常3.0W/(m・K)以上、好ましくは5.0W/(m・K)以上、より好ましくは10.0W/(m・K)以上である。熱伝導率が3.0W/(m・K)より小さいと、強励起光照射による焼結体の温度が上昇し、蛍光体及び周辺部材を劣化させる傾向がある。このため上記範囲が好ましい。

0070

吸収率
本実施形態に係る焼結蛍光体の吸収率を確認するための手法としては、吸光光度計(UV−Vis)、により測定する方法が挙げられる。
焼結蛍光体の吸収率は、通常10%以下、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。吸収率が10%より大きいと、発光効率(内部量子効率)、透過率を低下させ、それにより、光取り出し効率(変換効率)を低下させる傾向がある。このため上記範囲が好ましい。

0071

・透過率
本実施形態に係る焼結蛍光体の透過率を確認するための手法としては、積分球及び分光器により測定する方法が挙げられる。
焼結蛍光体の透過率は、例えば発光装置に用いられる形状において、波長700nmにおける焼結蛍光体の透過率を測定し、通常20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上である。透過率が20%より小さいと焼結蛍光体を透過する励起光の量が低下し、所望の色度を実現にし難くなり、かつ光取り出し効率(変換効率)を低下させる傾向にある。

0072

機械強度
本実施形態に係る焼結蛍光体は、加工(スライス、研削、研磨)に耐える機械強度を有していることが好ましい。焼結蛍光体をプレート状に加工する際や発光装置に組み込む際に、十分な機械強度を有していない場合は、製造上の歩留まり低下や、組み込み方法に制限が生じるため、好ましくない。

0073

・色温度CCT色度座標CIE−x, y
本実施形態に係る焼結蛍光体の色温度は、LEDから発せられるピーク波長450nmの青色光を照射して得られる青色光の透過光を含めた発光色から算出する。
一般照明装置等に用いられる焼結蛍光体の色温度は、波長が450nmの青色光で励起した時に放出される光の色温度が、通常1900K以上、10000K以下であり、より一般的には、2700K以上8000K以下である。

0074

・内部量子効率
本実施形態に係る焼結蛍光体の内部量子効率(iQE)は、ピーク波長450nmの青色光を照射した際の焼結蛍光体が吸収した光子数nexと吸収した光子を変換した変換光の光子数nemからnem/nexとして算出される。波長が450nmの青色光で励起した時に放出される光の内部量子効率が通常40%以上である高輝度発光装置とするためには、焼結蛍光体の内部量子効率は高ければ高いほど好ましく、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上、よりさらに好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上である。内部量子効率が低いと、光取り出し効率(変換効率)を低下させる傾向がある。

0075

<3.発光装置>
本発明の別の実施形態は、焼結蛍光体、又は板状焼結蛍光体と半導体発光素子を備える発光装置である。
本実施形態に係る発光装置は、一例として青色半導体発光素子青色発光ダイオード、又は、青色半導体レーザー)と、青色光の波長を変換する波長変換部材である本発明の実施形態に係る焼結蛍光体、又は板状焼結蛍光体を含有するものである。青色半導体発光素子と焼結蛍光体又は板状焼結蛍光体とは密着していても、離間していてもよく、その間に透明樹脂を備えていてもよく、空間を有していてもよい。図1に模式図として示す様に半導体発光素子と焼結蛍光体との間に空間を有する構造であることが好ましい。

0076

以下、その構成を図1及び図2を用いて説明する。
図2は、本発明の具体的実施形態に係る発光装置の模式図である。
発光装置10は、その構成部材として、少なくとも青色半導体発光素子1と板状焼結蛍光体3を有する。青色半導体発光素子1は、板状焼結蛍光体3に含有される蛍光体を励起するための励起光を発する。

0077

青色半導体発光素子1は、通常ピーク波長が425nm〜475nmの励起光を発し、好ましくはピーク波長が430nm〜470nmの励起光を発する。青色半導体発光素子1の数は、装置が必要とする励起光の強さにより適宜設定することが可能である。
一方青色半導体発光素子1の代わりに、紫色半導体発光素子を用いることができる。紫色半導体発光素子は、通常ピーク波長が390nm〜425nmの励起光を発し、好ましくはピーク波長が395〜415nmの励起光を発する。

0078

青色半導体発光素子1は、配線基板2のチップ実装面2aに実装される。配線基板2には、これら青色半導体発光素子1に電極を供給するための配線パターン(図示せず)が形成され、電気回路を構成する。図2中、配線基板2に板状焼結蛍光体3が載っているように表示されているがこの限りではなく、配線基板2と板状焼結蛍光体3が他の部材を介して配置されていてもよい。

0079

例えば図1では、配線基板2と板状焼結蛍光体3が、枠体4を介して配置される。枠体4は、光に指向性を持たせるために、テーパ状になっていてもよい。また、枠体4は反射材であってもよい。
発光装置10の発光効率を向上させる観点から、配線基板2は、電気絶縁性に優れて良好な放熱性を有し、かつ、反射率が高いことが好ましいが、配線基板2のチップ実装面上で青色半導体発光素子1の存在しない面上、もしくは配線基板2と板状焼結蛍光体3を接続する他の部材の内面の少なくとも一部に反射率の高い反射板を設ける事もできる。

0080

板状焼結蛍光体3は、青色半導体発光素子1が発する入射光の一部を波長変換し、入射光とは異なる波長の出射光放射する。板状焼結蛍光体3は、無機バインダと窒化物蛍光体を含有する。窒化物蛍光体(図示せず)、又は黄色若しくは緑色に発光するガーネット系蛍光体及び赤色に発光する窒化物蛍光体、の種類は特段限定されず、発光装置が白色発光装置であれば、半導体発光素子の励起光の種類に合わせて、白色光を発するように蛍光体の種類を適宜調整すればよい。

0081

半導体発光素子が青色半導体発光素子である場合、窒化物蛍光体として黄色蛍光体を用いるか、ガーネット系蛍光体として黄色蛍光体又は緑色蛍光体を用い、かつ窒化物蛍光体として赤色蛍光体を用いることで、白色光を発する発光装置とすることができる。また、板状焼結蛍光体3は、青色半導体発光素子1との間に距離を有することが好ましい。板状焼結蛍光体3と青色半導体発光素子1との間は、空間であってもよく、透明樹脂が備えられていてもよい。このように、板状焼結蛍光体3と青色半導体発光素子1との間に距離を有する態様により、青色半導体発光素子1が発する熱によって板状焼結蛍光体3及び板状焼結蛍光体に含まれる蛍光体の劣化を抑制することができる。青色半導体発光素子1と板状焼結蛍光体3との間の距離は、10μm以上が好ましく、100μm以上がさらに好ましく、1.0mm以上が特に好ましい、一方1.0m以下が好ましく、500mm以下がさらに好ましく、100mm以下が特に好ましい。

0082

本実施形態に係る発光装置は、白色光を放射する発光装置であることが好ましい。白色光を放射する発光装置は、発光装置から放射される光が、光色の黒体輻射軌跡からの偏差duvが−0.0200〜0.0200であり、かつ色温度が1800K以上、30000K以下であることが好ましい。
このように白色光を出射する発光装置は、照明装置に好適に備えられる。

0083

<4.照明装置>
本発明の別の実施形態は、上記発光装置を備える照明装置である。
上記のように、発光装置からは高い全光束が出射されるため、全光束の高い照明器具を得ることが出来る。照明器具は、消灯時に板状焼結蛍光体の色が目立たないように、発光装置中の板状焼結蛍光体を覆う拡散部材を配置することが好ましい。

0084

<5.車両用前照灯>
本発明の別の実施形態は、上記発光装置を備える車両用前照灯である。
車両用前照灯に用いる発光装置は、白色光を放射する発光装置であることが好ましい。白色光を放射する発光装置は、発光装置から放射される光が、光色の黒体輻射軌跡からの偏差duvが−0.0200〜0.0200であり、かつ色温度が5000K以上、30000K以下であることが好ましい。

0085

次に実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、本明細書における焼結度、吸収率、透過率、熱伝導率、内部量子効率、光学特性の測定は次記により行った。

0086

(焼結度)
焼結度は、焼結蛍光体のアルキメデス法により測定した密度ρaを、理論密度ρtheoreticalで除することで算出した。
焼結度(%)=(ρa/ρtheoretical)×100

0087

(熱伝導率)
焼結蛍光体の熱伝導率は、熱伝導率測定装置アイフェイズ(アイフェイズ社製)を用いて測定した。

0088

(光学特性)
投入電流コントロールすることで、強度0.05〜0.2W/mm2の光が照射可能なLEDチップ(ピーク波長450nm)から発光させた青色光を照射することで焼結蛍光体の発光を得ることができる発光装置を作製した。その装置から発光スペクトルをSphereOptics社製20inch積分球およびOceanOptics社製分光器USB2000を用いて観測し、強度0.05W/mm2の光で励起した際の色温度、色度座標、光束(lumen)を計測した。さらに、光束(lumen)とLEDチップの照射エネルギー(W)から変換効率(lm/W)を各強度で算出した。

0089

次に、光源としてキセノン分光光源を用い、励起波長を700nmとし、焼結蛍光体へ照射した際の反射および透過スペクトルから、焼結蛍光体の励起波長700nmにおける吸収率、及び透過率を測定した。
続いて、励起波長450nmに変更し、焼結蛍光体へ照射した際の反射および透過スペクトルから、焼結蛍光体の励起波長450nmにおける内部量子効率を測定した。
分光光源はスペクトラコープ社製を用い、ラブスフェア社製20inch積分球(LMS−200)及びCarlZeiss社製分光器(Solid LambdaUV−Vis)によって反射および透過スペクトルを観測した。

0090

<実施例1>
[LSN蛍光体の製造]
(原料の調合
La:Si=1:1(モル比)の合金、Si3N4、CeF3をLa:Si=3:6(モル比)かつCeF3/(合金+Si3N4)=6wt%になるように量した。秤量した原料をボールミルで混合した後、ナイロンメッシュを通して原料を調合した。なお秤量から調合までの作業は、酸素濃度1%以下の窒素雰囲気グローブボックス内で実施し、ボールミルは窒素を封入したポリポットを、同じく窒素を封入した密閉容器に入れた二重容器の状態で大気中に出して行った。ボールミルのメディアボール)は、ナイロンコートされた鉄ボールを使用した。

0091

(焼成工程)
調合した原料をMoるつぼに充填し、電気炉内にセットした。装置内を真空排気した後、炉内温度を120℃まで昇温し、炉内圧力が真空であることを確認後、水素含有窒素ガス(窒素:水素=96:4(体積比))を大気圧になるまで導入した。その後、1550℃まで炉内温度を昇温し、1550℃で8時間保持した後降温を開始し、焼成処理を終了し蛍光体を得た。

0092

洗浄工程)
焼成した蛍光体をナイロンメッシュの篩を通した後ボールミルで粉砕し、1N塩酸中で1時間以上攪拌した後、水洗した。その後、脱水し、120℃の熱風乾燥機で乾燥し、ナイロンメッシュの篩を通して蛍光体を回収した。

0093

(蒸気加熱処理)
上記の洗浄工程で得られた蛍光体をガラス製サンプル瓶に入れ、このサンプル瓶をオートクレーブ(平山製作所製ハイクレーブ HG−50)内に入れ、20時間静置した。オートクレーブ内の環境は、飽和水蒸気下、135℃、0.33MPaであった。なお、上記の圧力値は、装置に表示される圧力(常圧との差圧)に常圧0.1MPaを足したものである。オートクレーブに静置した後の蛍光体を140℃の熱風乾燥機で2時間乾燥し、最終的なLSN蛍光体1(La3Si6N11:Ce)を得た。

0094

また、蒸気加熱処理を実施しなかった以外は実施例1と同様にして蛍光体を製造し、LSN蛍光体2とした。
得られたLSN蛍光体1及び2の赤外吸収スペクトルをクベルカムンク関数に変換した値をそれぞれ図3に示す。図3からLSN蛍光体1の表面には、吸着水、あるいは、酸素含有層が存在することがわかる。

0095

[焼結蛍光体の作製]
焼結蛍光体のフッ化物無機バインダ材料として、CaF2粉末(高純度化学研究所、重量平均メジアン径13μm)を10.0g用い、蛍光体として、前記実施例で得たLSN蛍光体1(La3Si6N11:Ce)を焼結体中の蛍光体濃度が5体積%となるように0.8gをそれぞれ秤量し、混合した。これらの粉末に3mmΦのアルミナビーズ50gを加え、ボールミルによって6時間乾式混合した後、篩分け(目開き90μmの篩)し、焼結用原料に供した。

0096

この原料2.0gを上部パンチ、下部パンチと円柱状ダイからなる一軸プレス用ダイ(ステンレス製、Φ20mm)にセット後、30MPaのプレス加圧をかけ、5min保持後、Φ20mm、厚さ3mmのペレットを得た。
得られたペレットを真空ラミネートパックし、冷間静水圧成形(CIP)装置(日機装ラバープレス)に導入し、300MPa、1min加圧した。この後、焼成炉管状炉)(入江製作所 管状炉IRH)に導入し、10℃/minで1200℃まで昇温し、60min保持後、炉冷し、Φ20mm、厚さ3mmの焼結体を得た。
ここで、焼結度を測定した結果、93%であった。

0097

得られたΦ20mm、厚さ5mmの焼結蛍光体から、ダイヤモンドカッターで厚み0.5mm程度に切断し、さらにグラインダー研削を用いて、Φ20mm、厚み0.2mmの板状焼結蛍光体を作製した。当該板状焼結蛍光体を用いて測定した焼結度、熱伝導率、波長700nmの光の吸収率、波長700nmの透過率、内部量子効率、変換効率、色度座標、色温度、を表1及び表2に示す。

0098

<実施例2>
フッ化物無機バインダとして、CaF2粉末の粒径を0.5μmとした以外は、実施例1と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。

0099

<実施例3>
フッ化物無機バインダとして、CaF2粉末の粒径を30nmとした以外は、実施例1と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。

0100

<実施例4>
LSN蛍光体1に加え、CASN蛍光体(三菱化学社製、平均粒径9μm)を焼結体中の総蛍光体濃度が5体積%となるように加え、それぞれの蛍光体の重量比を9:1とした以外は、実施例2と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。

0101

<実施例5>
LSN蛍光体1のかわりに、CASN蛍光体(三菱化学社製、平均粒径9μm)を用いた以外は、実施例2と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。

0102

<実施例6>
LSN蛍光体1のかわりに、β−SiALON(三菱化学社製、平均粒径22μm)を用いた以外は、実施例2と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。

0103

<実施例7>
LSN蛍光体1のかわりに、SCASN(三菱化学社製、平均粒径14μm)を用いた以外は、実施例2と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。

0104

<実施例8>
LSN蛍光体1のかわりに、YAG(三菱化学社製、平均粒径17μm)を用いた以外は、実施例4と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。

0105

<実施例9>
LSN蛍光体1のかわりに、LuAG(三菱化学社製、平均粒径9μm)を用いた以外は、実施例4と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。

0106

<実施例10>
LSN蛍光体1のかわりに、(Sr,Ca,Ba)2AlxSi5−xOxN8−x:Eu(式中0≦x≦2)(平均粒径7μm)を用いた以外は、実施例2と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。

0107

<実施例11>
フッ化物無機バインダ材料として、CaF2のかわりにSrF2(重量平均メジアン径0.5μm)を用いた以外は実施例1と同様に焼結蛍光体を作成し、評価を実施した。

0108

<比較例1>
焼結蛍光体の無機バインダとして、粒径20μmのα−Al2O3粉末(和光純薬)を用いた以外は、実施例1と同様に、一軸プレス機によりペレット作製を実施した。焼結蛍光体の作製、評価を実施した。しかしながら、ペレットを作成できなかった。

0109

<比較例2>
焼結蛍光体の無機バインダとして、粒径0.3μmのα−Al2O3粉末(和光純薬)を用いた以外は、実施例1と同様に焼結蛍光体の作製、評価を実施した。

0110

<比較例3>
焼結蛍光体の無機バインダとして、粒径0.15μmのα−Al2O3粉末(大明化学TM−DAR)を用い以外は、実施例1と同様に焼結蛍光体の作製、評価を実施した。

0111

<比較例4>
焼結蛍光体の無機バインダとして、粒径0.15μmのα−Al2O3粉末(大明化学TM−DAR)を用い、焼結温度を600℃にした以外は、実施例1同様に焼結蛍光体の作製、評価を実施した。しかしながら焼結度が低く、加工が困難なため、評価結果を得ることができなかった。

0112

<比較例5>
LSN蛍光体1のかわりに、CASN蛍光体(三菱化学社製、平均粒径9μm)を用いた以外は、比較例2と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。しかしながら蛍光体の劣化により、評価結果を得ることができなかった。

0113

<比較例6>
LSN蛍光体1のかわりに、YAG蛍光体(三菱化学社製、平均粒径17μm)を用い、焼結蛍光体の無機バインダとして、CaF2粉末(粒径0.5μm)を用いた以外は、比較例2と同様に焼結蛍光体の作製、評価を実施した。

0114

<比較例7>
蛍光体の種類を、蛍光体の総量は5体積%のままCASN蛍光体(三菱化学社製、平均粒径9μm)、及びYAG蛍光体(三菱化学社製、平均粒径17μm)とし、それぞれの蛍光体の重量比を1:9とした以外は、比較例3と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。

0115

<比較例8>
LSN蛍光体1のかわりに、SCASN蛍光体(三菱化学社製、平均粒径14μm)を用い、窒素及び水素雰囲気下、焼結温度を1300℃とした以外は、比較例3と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。

0116

<比較例9>
LSN蛍光体1のかわりに、CASN蛍光体(三菱化学社製、平均粒径9μm)を用い、窒素及び水素雰囲気下、焼結温度を1300℃とした以外は、比較例3と同様に焼結蛍光体を作製し、評価を実施した。

0117

<比較例10>
フッ化物無機バインダ材料を用いなかった以外は、実施例8と同様に焼結蛍光体の製造を試みた。しかしながら、ペレットを作成できなかった。
以上、実施例及び比較例の評価結果を、表1乃至表4に記載する。

0118

0119

0120

0121

0122

<参考例1>
焼結蛍光体の無機バインダ材料として、α−Al2O3粉末(大明化学社製、タイミクロンTM−DAR、重量平均メジアン径0.15μm)を18.8g用い、蛍光体として、前記実施例で得たLSN蛍光体1(La3Si6N11:Ce)を焼結体中の蛍光体濃度が5体積%となるように1.2gをそれぞれ秤量し、混合した。これらの粉末に3mmΦのアルミナビーズ150gを加え、ボールミルによって6時間乾式混合した後、篩分け(目開き90μmのステンレス製篩)し、焼結用原料に供した。

0123

この原料6.5gを上部パンチ、下部パンチと円柱状ダイからなる焼結用ダイ(カーボン製、Φ20mm)にセット後、予備プレスをかけた後、放電プラズマ焼結装置(富士電波工機社製 Dr.SinterSPS515)にセットした。焼結は、5Paの真空下、上部・下部パンチに50MPaのプレス加圧をかけ、100℃/minで1300℃まで昇温し、10min保持後、炉冷し、Φ20mm、厚さ5mmの焼結蛍光体を得た。

0124

ここで、焼結中に焼結体表面に付着するカーボンを取り除き、焼結度を測定した結果、99.9%とほぼ理論密度まで焼結が進んでいた。
得られたΦ20mm、厚さ5mmの焼結蛍光体から、ダイヤモンドカッターで厚み0.5mm程度に切断し、さらにグラインダー研削を用いて、Φ20mm、厚み0.3mmの焼結蛍光体プレートを作製した。当該焼結蛍光体プレートを用いて測定した焼結度、熱伝導率、波長700nmの光の吸収率、内部量子効率、変換効率、色度座標、色温度、励起強度変化に対する色度差及び変換効率変化率温度変化に対する色度差及び変換効率変化率を表5に示す。なお、変換効率、色度座標、色温度は、強度0.05W/mm2および度0.2W/mm2の光で励起した際の計測値である。

0125

<参考例2>
焼結蛍光体のマトリックス(無機バインダ)材料として、CaF2粉末(高純度化学研究所製、CAH20PB、粒径13μm)を6.0g用い、蛍光体として、LSN蛍光体1を焼結体中の蛍光体濃度が5体積%となるように0.5gをそれぞれ秤量・混合し、焼結用原料に供した。

0126

この原料2.0gを1軸加圧プレス機にセットし、300MPaの圧力で成形、Φ20mm、厚さ2mmのペレットを作製した。得られたペレットを、管状炉(入江製作所)にセットし、窒素フロー(1リッター/分)下、10℃/minで1250℃まで昇温し、60min保持後、炉冷し、焼結蛍光体を得た。
得られた焼結蛍光体は、参考例1同様に評価を実施した。

0127

<参考例3>
焼結蛍光体のマトリックス材料は用いず、蛍光体としてLSN蛍光体1のみを6.5g秤量し、参考例1同様に焼結蛍光体を作製、評価を実施した。

0128

0129

0130

上記実施例より、CaF2を無機バインダとして用いた場合には、Al2O3を無機バインダとして用いた場合に比べて、高い内部量子効率が得られている。酸化物蛍光体とフッ化物無機バインダを焼結させると、一般的には、蛍光体の酸素と無機バインダのフッ素のイオン半径が近いため固溶置換が起こり、酸フッ化物を形成し、内部量子効率の低下を招くと考えられる。一方、窒化物蛍光体とフッ化物無機バインダを焼結させた場合、イオン半径に差のある窒素とフッ素では容易に固溶置換が起こらないため、内部量子効率の低下を防いだと考えられる。また、フッ化物無機バインダを用いる場合、例えばAl2O3を無機バインダとして用いる場合に比べて、焼結温度を下げることができるために、窒化物蛍光体と無機バインダとの反応を抑制させることができ、内部量子効率の高い窒化物蛍光体の焼結蛍光体が得られたと考えられる。更に、例えば結晶系が三方晶系であるAl2O3は複屈折を有するため、多結晶体では透光性が不十分であるのに対し、CaF2結晶系が立方晶のフッ化物無機バインダは、複屈折がなく、透光性の高い焼結蛍光体を製造することが可能であると考えられる。

実施例

0131

以上の通り、本願発明の焼結蛍光体を用いることにより、内部量子効率が高く、高透過率、低吸収率、かつ、熱伝導性の高い焼結蛍光体、及び、光学特性と温度特性に優れた発光装置が得られることがわかる。

0132

10発光装置
1青色半導体発光素子
2配線基板
2aチップ実装面
3 板状焼結蛍光体
4 枠体

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