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技術 軌道制御装置および衛星

出願人 三菱電機株式会社
発明者 北村憲司山田克彦島岳也末延博
出願日 2016年1月6日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2016-568739
公開日 2017年6月22日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 WO2016-111317
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 重力ポテンシャル 制御時間間隔 平均軌道 自転周期 宇宙飛翔体 軌道制御装置 保持精度 分配ステップ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年6月22日)のものです。
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図面 (9)

課題・解決手段

衛星(7)は、それぞれが衛星(7)の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて配置されたスラスタ(91、92、93、94)を備える。軌道決定部(8)は、衛星(7)の平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を決定する。目標値設定部(1)は、平均軌道要素の目標値を設定する。制御量計算部(2)は、平均軌道要素、平均軌道要素の時間変化率および目標値から、平均軌道要素の制御量を計算する。分配部(5)は、衛星(7)の運動軌道要素表現し、スラスタ配置角度と複数回のスラスタ噴射量による面外運動および面内運動の連成を考慮した方程式を解き、主として軌道面外方向を制御するスラスタ噴射および主として軌道面内方向を制御するスラスタ噴射を複数回組み合わせることによって、平均軌道要素の制御量を実現させるためのスラスタ噴射タイミングおよび噴射量を計算する。

概要

背景

赤道上の高度約36000km上空円軌道飛行する衛星もしくは宇宙飛翔体は、軌道運動周期と地球の自転周期がほぼ一致するため、地上の観測者から見ておおよそ静止しているように見える。このような衛星は静止衛星と呼ばれている。しかしながら実際には、静止衛星には、地球・太陽の潮汐力、地球の重力ポテンシャルの非一様性による摂動力、太陽輻射圧といった種々の摂動力が働くため、徐々に緯度経度が変動してゆく。そのため、緯度と経度の変動を補正するためのスラスタ噴射を衛星が実施する必要がある。経度の変動を補正するスラスタ噴射は一般に東西制御と呼ばれ、緯度の変動を補正する制御は一般に制御と呼ばれる。東西制御および南北制御を行って衛星の緯度と経度を所望の範囲内に留めることは、一般に軌道保持と呼ばれる。

静止衛星の軌道保持を実現するための技術として、例えば非特許文献1が挙げられる。非特許文献1の技術では、電気推進装置花弁状に配置した静止衛星を対象として、非線形最適制御の手法を用いて軌道保持制御を行う。非特許文献1では4本のスラスタを同時に噴射し、軌道保持精度は0.005°程度である。

概要

衛星(7)は、それぞれが衛星(7)の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて配置されたスラスタ(91、92、93、94)を備える。軌道決定部(8)は、衛星(7)の平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を決定する。目標値設定部(1)は、平均軌道要素の目標値を設定する。制御量計算部(2)は、平均軌道要素、平均軌道要素の時間変化率および目標値から、平均軌道要素の制御量を計算する。分配部(5)は、衛星(7)の運動軌道要素表現し、スラスタ配置角度と複数回のスラスタ噴射量による面外運動および面内運動の連成を考慮した方程式を解き、主として軌道面外方向を制御するスラスタ噴射および主として軌道面内方向を制御するスラスタ噴射を複数回組み合わせることによって、平均軌道要素の制御量を実現させるためのスラスタ噴射タイミングおよび噴射量を計算する。

目的

本発明は、推薬消費量を抑えながら、高精度な軌道保持を行うためのスラスタ噴射則を少ない計算コストで算出することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
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- 件

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請求項1

それぞれが衛星の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて前記衛星に配置された4本のスラスタを備える衛星の軌道制御装置であって、前記衛星の平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を決定する軌道決定部と、前記平均軌道要素の目標値を設定する目標値設定部と、前記平均軌道要素、前記平均軌道要素の時間変化率および前記目標値から、前記平均軌道要素の制御量を計算する制御量計算部と、前記衛星の運動軌道要素表現し、スラスタ配置角度と複数回のスラスタ噴射量による軌道面外運動および軌道面内運動の連成を考慮した方程式を解き、主として軌道面外方向を制御するスラスタ噴射および主として軌道面内方向を制御するスラスタ噴射を複数回組み合わせることによって、前記制御量計算部で計算した前記平均軌道要素の制御量を実現させるための前記スラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する分配部と、前記分配部で計算された前記噴射タイミングおよび前記噴射量に従って、前記スラスタを制御するスラスタ制御部と、を備える軌道制御装置。

請求項2

前記制御量計算部は、前記軌道決定部にて計算された前記平均軌道要素および前記目標値設定部にて設定された前記平均軌道要素の目標値をもとに、前記平均軌道要素のフィードバック制御量を計算するフィードバック制御量計算部と、前記平均軌道要素の時間変化率をもとに、前記平均軌道要素のフィードフォワード制御量を計算するフィードフォワード制御量計算部と、を含む請求項1に記載の軌道制御装置。

請求項3

前記分配部は、同時に使用するスラスタ本数が2本以下になるように前記スラスタの前記噴射タイミングおよび前記噴射量を計算する請求項1に記載の軌道制御装置。

請求項4

前記制御量計算部は、平均傾斜角ベクトルの制御量を計算し、前記分配部は、前記平均傾斜角ベクトルの制御量の偏角を計算し、前記平均傾斜角ベクトルの制御量の偏角から制御の噴射タイミングを決定し、1回目の前記南北制御の噴射タイミングから軌道1/2周期後に2回目の南北制御を実施し、前記1回目の前記南北制御の噴射タイミングから軌道1/4周期後もしくは3/4周期後に平均離心率ベクトルの制御を行うように前記スラスタの前記噴射タイミングおよび前記噴射量を計算する、請求項1に記載の軌道制御装置。

請求項5

前記分配部は、4本のうち2本の前記スラスタを組み合わせて軌道1周回あたり1回南北制御を行い、2本の前記スラスタを組み合わせて軌道1周回あたり2回東西制御を行うように前記スラスタの前記噴射タイミングおよび前記噴射量を計算する、請求項1に記載の軌道制御装置。

請求項6

前記分配部は、前記分配部で計算した前記スラスタの前記噴射タイミングと前記噴射量を初期解として数値探索を実行し、2回の前記東西制御のスラスタ噴射のうち、少なくとも1回は前記スラスタを1本使用しないような前記スラスタの前記噴射タイミングおよび前記噴射量を計算する、請求項5に記載の軌道制御装置。

請求項7

前記制御量計算部は、平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量を計算し、前記分配部においては、軌道一周回においてスラスタ噴射が可能なタイミングを予め固定し、その各タイミングについて前記制御量計算部で計算された前記平均離心率ベクトルおよび前記平均傾斜角ベクトルの制御量に応じて、2回から4回の前記スラスタの前記噴射量および噴射の可否を決定する、請求項1に記載の軌道制御装置。

請求項8

それぞれが衛星の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて前記衛星に配置された4本のスラスタと、請求項1から7のいずれか1項に記載の軌道制御装置と、を備える衛星。

請求項9

それぞれが衛星の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて前記衛星に配置された4本のスラスタを備える衛星の軌道制御方法であって、前記衛星の平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を決定する軌道決定ステップと、前記平均軌道要素の目標値を設定する目標値設定ステップと、前記平均軌道要素、前記平均軌道要素の時間変化率および前記目標値から、前記平均軌道要素の制御量を計算する制御量計算ステップと、前記衛星の運動を軌道要素で表現し、スラスタ配置角度と複数回のスラスタ噴射量による軌道面外運動および軌道面内運動の連成を考慮した方程式を解き、主として軌道面外方向を制御するスラスタ噴射および主として軌道面内方向を制御するスラスタ噴射を複数回組み合わせることによって、前記制御量計算ステップで計算した前記平均軌道要素の制御量を実現させるための前記スラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する分配ステップと、前記分配ステップで計算された前記噴射タイミングおよび前記噴射量に従って、前記スラスタを制御するスラスタ制御ステップと、を備える軌道制御方法。

技術分野

0001

この発明は、衛星の軌道を保持するための軌道制御装置、および軌道制御装置を搭載する衛星に関する。

背景技術

0002

赤道上の高度約36000km上空円軌道飛行する衛星もしくは宇宙飛翔体は、軌道運動周期と地球の自転周期がほぼ一致するため、地上の観測者から見ておおよそ静止しているように見える。このような衛星は静止衛星と呼ばれている。しかしながら実際には、静止衛星には、地球・太陽の潮汐力、地球の重力ポテンシャルの非一様性による摂動力、太陽輻射圧といった種々の摂動力が働くため、徐々に緯度経度が変動してゆく。そのため、緯度と経度の変動を補正するためのスラスタ噴射を衛星が実施する必要がある。経度の変動を補正するスラスタ噴射は一般に東西制御と呼ばれ、緯度の変動を補正する制御は一般に制御と呼ばれる。東西制御および南北制御を行って衛星の緯度と経度を所望の範囲内に留めることは、一般に軌道保持と呼ばれる。

0003

静止衛星の軌道保持を実現するための技術として、例えば非特許文献1が挙げられる。非特許文献1の技術では、電気推進装置花弁状に配置した静止衛星を対象として、非線形最適制御の手法を用いて軌道保持制御を行う。非特許文献1では4本のスラスタを同時に噴射し、軌道保持精度は0.005°程度である。

先行技術

0004

D. Losa, et al., "Electric Station Keepingof Geostationary Satellites: a Differential Inclusion Approach", 2005.

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、非特許文献1に示される先行技術例では、少ない推薬消費で高精度な軌道保持を実現するために、非線形計画法によって電気推進装置の噴射量を算出している。そのため、大きな計算コストを必要としており、噴射則を算出するのに適していない。

0006

本発明は、推薬消費量を抑えながら、高精度な軌道保持を行うためのスラスタ噴射則を少ない計算コストで算出することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

この発明に係る軌道制御装置は、それぞれが衛星の質量中心から遠ざかる向きに互いに異なる方向に噴射方向を向けて衛星に配置された4本のスラスタを備える衛星の軌道制御装置であって、衛星の平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を決定する軌道決定部と、平均軌道要素の目標値を設定する目標値設定部と、平均軌道要素、平均軌道要素の時間変化率および目標値から、平均軌道要素の制御量を計算する制御量計算部と、衛星の運動軌道要素表現し、スラスタ配置角度と複数回のスラスタ噴射量による軌道面外運動および軌道面内運動の連成を考慮した方程式を解き、主として軌道面外方向を制御するスラスタ噴射および主として軌道面内方向を制御するスラスタ噴射を複数回組み合わせることによって、制御量計算部で計算した平均軌道要素の制御量を実現させるためのスラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する分配部と、分配部で計算された噴射タイミングおよび噴射量に従って、スラスタを制御するスラスタ制御部と、を備える。

発明の効果

0008

この発明によれば、消費推薬を抑えたスラスタ噴射則を少ない計算コストで算出することができる。

図面の簡単な説明

0009

この発明の実施の形態1に係る衛星の軌道制御装置の構成を示すブロック図である。
スラスタの配置を示す図である。
実施の形態1に係る制御量計算部の動作を示すフローチャートである。
実施の形態1に係る分配部の動作を示すフローチャートである。
実施の形態2に係る分配部の動作を示すフローチャートである。
実施の形態3に係る分配部の動作を示すフローチャートである。
本発明のハードウェア構成の例を示す図である。
本発明のハードウェア構成の例を示す図である。

実施例

0010

従来は、高精度な軌道保持を実現するために複数の電気推進スラスタを同時に噴射している。電気推進スラスタは大きな電力を消費するため、複数のスラスタを同時に噴射することは実運用上の大きな制約となる。また、先行技術例では高精度な軌道保持を実現するために非線形最適化計算によって電気推進装置の噴射量を決定するため、大きな計算コストを必要とし、衛星搭載計算機で噴射量を計算するのに適していない。本発明は、消費電力または推薬量を抑制するとともに、高精度に衛星の軌道を保持する軌道制御装置および衛星を提供するものである。

0011

実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る衛星の軌道制御装置の構成を示すブロック図である。軌道制御装置9は衛星7に搭載される。実施の形態では、衛星7として静止衛星を想定する。衛星7は、4つのスラスタ91、92、93、94とそれを制御する軌道制御装置9を備える。軌道制御装置9は、目標値設定部1、制御量計算部2、分配部5、軌道決定部8、およびスラスタ制御部6から構成される。制御量計算部2は、フィードフォワード制御量計算部3とフィードバック制御量計算部4を含む。軌道制御装置9は、衛星7の軌道を保持するためにスラスタ91、92、93、94それぞれの噴射タイミングと噴射量を決定し、決定した噴射タイミングと噴射量でスラスタ91、92、93、94に噴射させるよう制御する。

0012

実施の形態1の軌道制御装置9では、軌道決定部8は、例えばGPS情報地上局に対する衛星のレンジ及びレンジレート情報、地上の光学カメラでの観測で得られる衛星の方位角仰角情報などから、衛星7の平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を決定する。ここで、平均軌道要素とは、衛星の軌道要素から周期的に変動する成分を除去して得られる、平均的な軌道要素である。目標値設定部1は、衛星7の軌道保持を実現する上で適切な平均軌道要素の目標値を設定する。平均軌道要素の目標値とは、平均直下経度や平均離心率ベクトル平均傾斜角ベクトルの目標値などである。制御量計算部2は、軌道決定部8で計算した平均軌道要素、平均軌道要素の時間変化率、および目標値設定部1で設定した平均軌道要素の目標値を元に、衛星7の平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルのフィードフォワード制御量およびフィードバック制御量を計算する。分配部5は、制御量計算部2で計算した平均傾斜角ベクトルの制御量、および目標値設定部1で設定した平均直下点経度の目標値、軌道決定部8で計算した平均軌道要素、および平均軌道要素の時間変化率を受け取り、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量および平均直下点経度を目標値近傍に維持するための平均直下点経度の制御量を計算する。そして、計算した制御量を実現するためのスラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する。スラスタ制御部6は、分配部5で計算したスラスタの噴射タイミングと噴射量に従ってスラスタ91、92、93、94に噴射を実行させる。

0013

スラスタ91、92、93、94は、衛星7の反地球面に花弁状に4台配置される。言い換えると、スラスタ91、92、93、94は、衛星7の質量中心から見て中心天体(地球)から遠ざかる向きに、衛星7の質量中心を通る直線上で、各スラスタが互いに異なる方向に噴射方向を持つように配置される。図2は、スラスタの配置を示す。図2において、C.M.(Center of Mass)は、衛星7の質量中心を表す。図2においてXB軸は、中心天体、典型的には地球の中心から衛星質量中心C.M.を指す方向に一致し、ZB軸は衛星の速度方向に一致し、YB軸はXB軸とZB軸に対して右手座標系を構成する。図2において、スラスタ91、92、93および94は、噴射方向がそれぞれ、北西方向、北東方向、南西方向および南東方向に向いている。スラスタ91、92、93および94は、それぞれNWスラスタ、NEスラスタ、SWスラスタおよびSEスラスタとも呼ぶこととする。図2において角度θは、スラスタ91、92、93および94がYB軸と成す角度である。角度φは、スラスタ91、92、93および94の各スラスタと衛星7の質量中心を結ぶ線分をXBZB平面に投影した線分が、XB軸と成す角度である。

0014

次に、本実施の形態のハードウェア構成について説明する。図7は、ハードウェア構成の例を示す図である。図のように、衛星7は、GPS信号やレンジ及びレンジレート信号を受信する受信部111、受信部111からの信号を受けて軌道決定してスラスタの制御を行う軌道制御装置9、並びに制御対象のスラスタ91、92、93および94を備える。また、軌道制御装置9は、目標値設定部1、制御量計算部2、分配部5および軌道決定部8の各機能を実現する処理回路101と、分配部5の計算結果に基づきスラスタを制御するスラスタ制御部6を備える。処理回路は、専用のハードウェアであっても、メモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置処理装置演算装置マイクロプロセッサマイクロコンピュータプロセッサ、DSPともいう)であってもよい。

0015

また、図8は、本実施の形態のハードウェア構成の別の例を示す図である。図のように、衛星7は、GPS信号やレンジ及びレンジレート信号を受信する受信部111、受信部111からの信号を受けて軌道決定してスラスタの制御を行う軌道制御装置9、並びに制御対象のスラスタ91、92、93および94を備えるように構成してもよい。図7の処理回路101は、プロセッサ(CPU)102とメモリ103に当たる。

0016

処理回路101が、専用のハードウェアである場合、処理回路101は、例えば、単一回路複合回路プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASICFPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。目標値設定部1、制御量計算部2、分配部5および軌道決定部8の各部の機能それぞれを処理回路で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路で実現してもよい。

0017

処理回路がプロセッサ(CPU)102の場合、目標値設定部1、制御量計算部2、分配部5および軌道決定部8の機能は、ソフトウェアファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。処理回路は、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、軌道制御装置9は、処理回路101により実行されるときに、目標設定テップ、制御量計算ステップ、分配ステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリを備える。また、これらのプログラムは、目標値設定部1、制御量計算部2、分配部5および軌道決定部8の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリとは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリーEPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性半導体メモリや、磁気ディスクフレキシブルディスク光ディスクコンパクトディスクミニディスク、DVD等が該当する。

0018

メモリは、上述のプログラムの他、軌道決定部8で決定される平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率、目標値設定部1で設定される平均軌道要素の目標値、制御量計算部2で計算される平均軌道要素のフィードフォワード制御量およびフィードバック制御量、分配部5で計算されるおのおののスラスタの噴射量および噴射タイミングを記憶する。上述のメモリに記憶された情報は適宜読みだされ処理に用いられ、修正される。

0019

なお、目標値設定部1、制御量計算部2、分配部5および軌道決定部8の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、軌道決定部8については専用のハードウェアとしての処理回路でその機能を実現し、 分配部5については処理回路がメモリに格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。なお、上記において、図8では、処理回路101は、図8のプロセッサ102に当たり、メモリは、図8のメモリ103に当たる。

0020

このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。以下、軌道制御装置9の各部の動作を説明する。

0021

目標値設定部1では、衛星7の平均軌道要素の目標値を設定する。平均軌道要素としては、例えば平均平均直下点経度ΛM、平均平均直下点経度角速度Λ'M、平均平均直下点経度角加速度Λ"M、平均離心率ベクトルex、ey、平均傾斜角ベクトルix、iyが挙げられる。ただし、平均直下点経度λMは、衛星の昇交点赤経Ω、近地点引数ω、平均近点離角M、グリニッジ緯度引数θgとして、λM=ω+Ω+M−θgで定義され、平均平均直下点経度ΛMとは、平均直下点経度λMの時間平均をとったものである。なお平均軌道要素として他のパラメータを用いてもよいことは言うまでもない。衛星7の平均離心率ベクトルの目標値をexref、eyref、および平均傾斜角ベクトルの目標値をixref、iyref、および平均平均直下点経度の目標値をΛMrefと記述する。ここで、角度の単位は、特に明示しない場合には〔rad〕とする。

0022

平均離心率ベクトルの目標値exrefとeyrefの設定方法は、例えばexref=0、eyref=0と設定することが挙げられる。その他の設定方法として、離心率ベクトルが太陽輻射圧の影響により1年間で半径enの円状の軌跡を描くという特性を利用することも可能である。ここで、半径enの大きさは、衛星7の質量、有効断面積、および衛星表面の光学定数によって定まる。半径enの大きさが離心率として許容できる場合には、原点を中心とした半径enの円に沿って、平均離心率ベクトルの目標値exrefとeyrefを設定することが可能であり、これにより制御量計算部2における平均離心率ベクトルの制御量を抑えることができる。平均傾斜角ベクトルの目標値ixrefとiyrefの設定方法は、例えばixref=0、iyref=0と設定することが挙げられる。
また、平均平均直下点経度の目標値ΛMrefの設定方法は、例えば衛星7を日本の上空に保持する場合にはΛMref=140degと設定することが挙げられる。

0023

制御量計算部2は、平均軌道要素、平均軌道要素の時間変化率および目標値から、平均軌道要素の制御量を計算する。制御量計算部2は、フィードフォワード制御量計算部3とフィードバック制御量計算部4から構成される。フィードフォワード制御量計算部3では、軌道決定部8で計算した平均軌道要素の時間変化率をもとに、衛星7の平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードフォワード制御量を計算する。フィードバック制御量計算部4では、軌道決定部8で計算した平均軌道要素および目標値設定部1で設定した平均軌道要素の目標値を元に、衛星7の平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードバック制御量を計算する。以下、フィードフォワード制御量計算部3とフィードバック制御量計算部4の動作について説明する。

0024

フィードフォワード制御量計算部3では、軌道決定部8で計算した平均軌道要素の時間変化率をもとに、衛星7の平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードフォワード制御量を計算する。平均離心率ベクトルの時刻t0における時間変化率をe'x0、e'y0とし、平均傾斜角ベクトルの時刻t0における時間変化率をi'x0、i'y0と定義する。このとき、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの軌道1周期あたりの変化量Δe、Δiは以下の式(1)、(2)で表される。右肩の添え字「T」は転置を表す。
Δe=[e'x0T e'y0T]T (1)
Δi=[i'x0T i'y0T]T (2)
ここで、静止衛星の場合、衛星7の軌道運動の周期Tは、地球の自転周期に等しい。平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルが軌道1周期あたりにΔe、Δiだけ変化することを見越して、Δe、Δiを定数倍したものを平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードフォワード制御量に設定する。平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルそれぞれのフィードフォワード制御量δeFF、δiFFを、例えば以下の式(3)、(4)のように設定することができる。
δeFF=−(3/4)Δe (3)
δiFF=−(3/4)Δi (4)
以上が、フィードフォワード制御量計算部3の動作の説明である。続いて、フィードバック制御量計算部4の動作について説明する。

0025

フィードバック制御量計算部4では、軌道決定部8で計算した平均軌道要素および目標値設定部1で設定した平均軌道要素の目標値を元に、衛星7の平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードバック制御量を計算する。時刻t0における平均離心率ベクトルをe0=[ex0 ey0]Tとし、時刻t0における平均傾斜角ベクトルをi0=[ix0 iy0]Tと表す。また、目標値設定部1で設定した平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの目標値をeref=[exref eyref]T、iref=[ixref iyref]Tと表す。そして、e0とerefの差分をDe=e0−erefと定義し、i0とirefの差分をDi=i0−irefと定義する。平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードバック制御量をそれぞれδeFB、δiFBと定義すると、δeFBとδiFBは、DeとDiを基に決定される。例えば以下の式(5)、(6)のようにPID制御として決定することが可能である。

0026

式(5)、(6)において、kep、kedおよびkedはそれぞれ、平均離心率ベクトルのフィードバック制御量を計算するための比例ゲイン微分ゲインおよび積分ゲインである。kip、kidおよびkiiはそれぞれ、平均傾斜角ベクトルのフィードバック制御量を計算するための比例ゲイン、微分ゲインおよび積分ゲインである。

0027

以上が、フィードバック制御量計算部4の動作の説明である。制御量計算部2が出力する制御量は、フィードフォワード制御量計算部3で計算したフィードフォワード制御量と、フィードバック制御量計算部4で計算したフィードバック制御量を足したものである。
制御量計算部2が出力する平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量をそれぞれδe、δiと定義すると、δeとδiは以下の式(7)、(8)のように表される。
δe=δeFF+δeFB (7)
δi=δiFF+δiFB (8)
平均離心率ベクトルの制御は、衛星7の軌道面内方向の制御であり、平均傾斜角ベクトルの制御は、衛星7の軌道面外方向の制御である。

0028

制御量計算部2では、式(1)から式(8)の演算に従って、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量を計算する。制御量計算部2では、フィードフォワード制御量によって高精度な軌道制御を実現し、フィードバック制御によって制御系の安定性ロバスト性を高めている。以上が制御量計算部2の動作の説明であるが、以下、フローチャートにて説明する。

0029

図3は、実施の形態1に係る制御量計算部2の動作を表すフローチャートである。制御量計算部2は、フィードフォワード制御量計算部3とフィードバック制御量計算部4から構成される。以下フローチャートに沿って説明する。ステップS250は、フィードフォワード制御量計算部3が、軌道決定部8から平均軌道要素の時間変化率を受け取る(ステップS250)。次に、ステップS251は、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの軌道1周回あたりの変化量Δe、Δiを算出する(Sステップ251)。次に、ステップS252は、Δe、Δiを定数倍したものをフィードフォワード制御量δeFF,δiFFに設定する(ステップS252)。以上のステップS250からS252までは、フィードフォワード制御量計算部3が実行する。フィードフォワード制御量計算部3は、処理回路101、またはプロセッサ102で処理してもよいし、独立した処理回路で実現してもよい。また、フィードフォワード制御量計算部3は、平均軌道要素の時間変化率等をメモリから読出し、算出した変化量Δe、Δi、フィードフォワード制御量δeFF,δiFFをメモリに記憶する。

0030

次に、フィードバック制御量計算部4の動作に移る。まず、ステップS253は、フィードバック制御量計算部4が、軌道決定部8から平均軌道要素を受け取り、目標値設定部1から平均軌道要素の目標値を受け取る(ステップS253)。次に、ステップS254は、平均軌道要素の軌道決定値と目標値の差分De,Diを算出する(ステップS254)。次に、ステップS255は、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルのフィードバック制御量δeFB、δiFBを算出する(ステップS255)。以上のステップS253からS255までは、フィードバック制御量計算部4が実行する。フィードバック制御量計算部4は、処理回路101、またはプロセッサ102で処理してもよいし、独立した処理回路で実現してもよい。また、フィードバック制御量計算部4は、平均軌道要素、平均軌道要素の目標値等をメモリから読出し、算出した差分De,Di、フィードバック制御量δeFB、δiFBをメモリに記憶する。

0031

次に、ステップS256は、フィードフォワード制御量とフィードバック制御量は最終的に加算され、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量が算出される(ステップS256)。さらに、ステップS257では、算出された平均軌道要素の制御量が、分配部5へ渡される(ステップS257)。以上のステップS256とS257とは、制御量計算部2によって実行される。制御量計算部2は、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量をメモリに記憶する。

0032

軌道制御装置9の分配部5では、制御量計算部2で計算した平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量、目標値設定部1で設定した平均直下点経度の目標値、ならびに軌道決定部8で計算した平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を受け取る。そして、平均離心率ベクトル(軌道面内方向)と平均傾斜角ベクトル(軌道面外方向)の制御量および平均直下点経度を目標値近傍に維持するための平均直下点経度(軌道面内方向)の制御量を実現するスラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する。

0033

分配部5はまず、制御量計算部2で計算した時刻t0における平均傾斜角ベクトルの制御量δiの大きさδi=|δi|と偏角βを計算する。すなわち、δiを以下の式(9)のように表現する。
δi=[δicosβ δisinβ]T (9)
ただしδi>0を満たす。

0034

次に分配部5は、1回目の南北制御(軌道面外制御)のタイミングの判定を行う。ここで、経度の変動を補正する制御は一般に東西制御と呼ばれ、緯度の変動を補正する制御は一般に南北制御と呼ばれる。傾斜角ベクトルに関する方程式(例えばガウス惑星方程式)より、南北制御を行う最適なタイミングは、衛星7の平均経度がβもしくはβ+πと一致する場合であることが示される。πは円周率である。それ故に、時刻t0における衛星7の平均経度λ0がβもしくはβ+πと一致する場合に、時刻t0にて1回目の南北制御を行う。平均経度λ0がβにもβ+πにも一致しない場合には、時刻t0にては噴射量の計算を行わず、南北制御を行わない。以下では、平均経度λ0がβに一致する場合と平均経度λ0がβ+πに一致する場合の2通りに分けて、分配部5の動作について説明する。

0035

平均経度λ0がβに一致する場合、分配部5は1回目と2回目の南北制御のタイミングと噴射量を計算する。1回目と2回目の南北制御を行うときの平均経度をそれぞれλ1、λ2と記すと、λ1とλ2は以下の式(10)、(11)で与えられる。
λ1=β (10)
λ2=β+π (11)

0036

1回目の南北制御ではSWスラスタとSEスラスタを使用し、2回目の南北制御ではNWスラスタとNEスラスタを使用する。1回目の南北制御におけるSWスラスタとSEスラスタの噴射量の合計をfSとし、2回目の南北制御におけるNWスラスタとNEスラスタの噴射量の合計をfNと定義する。このとき、ガウスの惑星方程式(Walker M J H, Ireland B, Owens J., A set of modified equinoctial orbit elements. Celestial Mechanics 1985, 36(4): 409-419.)より、fSとfNは以下のように定まる。

0037

まず制御量計算部2において計算した平均離心率ベクトルの制御量δeの成分をδe=[δex δey]Tと表す。また衛星7の軌道長半径aと平均軌道角速度nを用いて、δeとδiに依存する変数A、Bを以下の式(12)、(13)のように定義する。
A=naδi(−δexcosβ+δeysinβ)/(sinθcosφ) (12)
B=naδi/cosθ (13)
ここで、角度θはスラスタ91、92、93および94がYB軸と成す角度であり、角度φは、スラスタ91、92、93および94の各スラスタと衛星7の質量中心を結ぶ線分をXBZB平面に投影した線分が、XB軸と成す角度である(図2)。
ここで、上記変数AとBとは、速度の次元を有する。変数Bは、傾斜角ベクトルに関するガウス惑星方程式にSWスラスタとSEスラスタの噴射で生じるYB軸方向の力積の成分を代入することで得られる。また、上記変数Aは、離心率ベクトルに関するガウス惑星方程式にSWスラスタとSEスラスタの噴射で生じるXB軸方向の力積の成分を代入することで得られる。
分配部5は、AとBの大きさに応じて、fSとfNを以下の式(14)のように与える。

0038

0039

次に分配部5は、平均離心率ベクトルを制御(軌道面内制御)するための制御量の計算を行う。平均離心率ベクトルの制御は、NWスラスタとSEスラスタを組み合わせてそれぞれ等しく噴射すること、またはNEスラスタとSWスラスタを組み合わせてそれぞれ等しく噴射することで、衛星7に軌道半径方向の力を加えることで達成する。平均離心率ベクトルの制御を行うときの平均経度をλrとし、そのときの衛星に加わる軌道半径方向の制御量をfrと定義する。また、偏角β方向の単位ベクトルをρβ=[cosβ sinβ]Tと定義する。単位ベクトルρβと平均離心率ベクトルの制御量δeのなす角に応じて、λrを以下の式(15)で与える。

0040

ここで、δe・ρβはδeとρβの内積を表す。また、frを以下の式(16)で与える。
fr=−na|δe・ρβ| (16)

0041

次に分配部5は、1回目の南北制御におけるSWスラスタとSEスラスタの噴射量の配分率αS、および2回目の南北制御におけるNWスラスタとNEスラスタの噴射量の配分率αNを、拘束条件付き最適化問題解くことで決定する。最適化問題における評価関数Jを、例えば以下の式(17)のように設定することができる。
J=|(2αS−1)fS−(2αN−1)fN| (17)
式(17)で表される評価関数は、1回目の南北制御で発生するZB軸方向の力積と,2回目の南北制御で発生するZB軸方向の力積の差が小さくなることを要請している。
また、拘束条件を例えば以下の式(18)のように設定できる。
ΛMT=ΛMref−(1/2)ΔΛMtotal (18)
式(18)は、平均直下点経度を目標値ΛMrefに制御するための拘束条件である。式(18)において、ΔΛMtotalは、平均経度λ1における1回目の南北制御と平均経度λ2における2回目の南北制御と平均経度λrにおける平均離心率ベクトル制御によって生じる衛星7の平均平均直下点経度の変化量の総和であり、以下の式(19)のように表せる。
ΔΛMtotal=2tanθcosφδi+2|δe・ρβ| (19)
式(19)は、平均直下点経度に関するガウス惑星方程式に、平均経度λ1における1回目の南北制御、平均経度λ2における2回目の南北制御、および平均経度λrにおける平均離心率ベクトル制御によって生じるXB軸方向の力積を代入することで得られる。式(18)において、ΛMrefは衛星7の直下点経度の目標保持値であり、目標値設定部1にて設定される。また、式(18)において、ΛMTは1回目の南北制御を行ってから軌道1周期後の衛星7の平均平均直下点経度であり、以下の式(20)のように表せる。
ΛMT=ΛM0+Λ'M0T+(1/2)Λ"M0T2+ΔΛMtotal
−(3/a)sinθsinφ[(2αS−1)fS+(1/2)(2αN−1)fN]T
(20)
式(20)において、最初の3項は,1回目の南北制御を実行する直前の平均平均直下点経度の角速度と角加速度を時間積分することで得られる。また、最後の項は、1回目と2回目の南北制御で生じる平均平均直下点経度の角速度を時間積分することで得られる。ここで、Λ'M0、Λ'M0、Λ"M0はそれぞれ時刻t0における衛星7の平均平均直下点経度、平均平均直下点経度の角速度、および平均平均直下点経度の角加速度である。これらは軌道決定部8にて計算される。分配部5は、式(18)で与えられる平均直下点経度を目標値ΛMrefに制御するための拘束条件を満たしつつ、式(17)で与えられる評価関数Jが最小となるように、配分率αSとαNを決定する。

0042

次に分配部5は、計算した配分率αSとαNから、1回目と2回目の南北制御の噴射量を以下の式(21)、(22)のように決定する。式(21)、(22)で、噴射量fの添え字NW、NE、SW、SEはそれぞれ、NWスラスタ、NEスラスタ、SWスラスタ、SEスラスタを表す。また、添え字の1は1回目を、添え字の2は2回目を示す。式(21)は、1回目の南北制御における各スラスタの噴射量を示す。式(22)は、2回目の南北制御における各スラスタの噴射量を示す。
fNW1=0、fNE1=0、fSW1=αSfS、fSE1=(1−αS)fS (21)
fNW2=αNfN、fNE2=(1−αN)fN、fSW2=0、fSE2=0 (22)

0043

分配部5は、計算した南北制御および平均離心率ベクトル制御の噴射タイミングと噴射量をスラスタ制御部6へ渡す。スラスタ制御部6は、分配部5で計算された噴射タイミングおよび噴射量に従って、スラスタ91、92、93および94を制御する。

0044

南北制御のタイミング判定に戻って、平均経度λ0がβ+πに一致する場合の分配部5の動作を説明する。平均経度λ0がβ+πに一致する場合、分配部5は、1回目と2回目の南北制御のタイミングと噴射量を計算する。1回目と2回目の南北制御を行うときの平均経度をそれぞれλ1、λ2と記すと、λ1とλ2は以下の式(23)、(24)で与えられる。
λ1=β+π (23)
λ2=β+2π (24)

0045

1回目の南北制御ではNWスラスタとNEスラスタを使用し、2回目の南北制御ではSWスラスタとSEスラスタを使用する。1回目の南北制御におけるNWスラスタとNEスラスタの噴射量の合計をfNとし、2回目の南北制御におけるSWスラスタとSEスラスタの噴射量の合計をfSと定義する。以下、fSとfNの計算方法について述べる。

0046

計算した平均離心率ベクトルの制御量δeの成分をδe=[δex δey]Tと表す。また衛星7の軌道長半径と平均軌道角速度をそれぞれa、nと表す。そして、δeとδiに依存する変数A、Bを以下の式(25)、(26)ように定義する。
A=naδi(−δexcosβ+δeysinβ)/(sinθcosφ) (25)
B=naδi/cosθ (26)
角度θはスラスタ91、92、93および94がYB軸と成す角度であり、角度φはスラスタ91、92、93および94の各スラスタと衛星7の質量中心を結ぶ線分を向けXBZB平面に投影した線分が、XB軸と成す角度である(図2)。
分配部5は、AとBの大きさに応じて、fSとfNを以下の式(27)のように与える。

0047

0048

次に分配部5は、平均離心率ベクトルを制御するための制御量の計算を行う。平均離心率ベクトルの制御は、NWスタスタとSEスラスタを組み合わせてそれぞれ等しく噴射すること、もしくはNEスラスタとSWスラスタを組み合わせてそれぞれ等しく噴射することで、衛星7に軌道半径方向の力を加えることで達成する。平均離心率ベクトルの制御を行うときの平均経度をλrとし、そのときの衛星に加わる軌道半径方向の制御量をfrと定義する。また、偏角β方向の単位ベクトルをρβ=[cosβ sinβ]Tと定義する。単位ベクトルρβと平均離心率ベクトルの制御量δeのなす角に応じて、平均離心率ベクトルの制御を行うときの平均経度λrを以下の式(28)で与える。

0049

ここで、δe・ρβはδeとρβの内積を表す。また、衛星に加わる軌道半径方向(XB軸方向)の制御量frを以下の式(29)で与える。
fr=−na|δe・ρβ| (29)

0050

次に分配部5は、1回目の南北制御におけるNWスラスタとNEスラスタの噴射量の配分率αN、および2回目の南北制御におけるSWスラスタとSEスラスタの噴射量の配分率αSを、拘束条件付き最適化問題を解くことで決定する。最適化問題における評価関数Jを、例えば以下の式(30)のように設定することができる。
J=|(2αS−1)fS−(2αN−1)fN| (30)
また、拘束条件を例えば以下の式(31)のように設定できる。
ΛMT=ΛMref−(1/2)ΔΛMtotal (31)

0051

式(31)において、ΔΛMtotalは、平均経度λ1における1回目の南北制御、平均経度λ2における2回目の南北制御、および平均経度λrにおける平均離心率ベクトル制御によって生じる衛星7の平均平均直下点経度の変化量の総和であり、以下の式(32)のように表せる。
ΔΛMtotal=2tanθcosφδi+2|δe・ρβ| (32)

0052

ΛMrefは衛星7の直下点経度の目標保持値であり、目標値設定部1にて設定される。また、式(31)において、ΛMTは1回目の南北制御を行ってから軌道1周期経過した後の衛星7の平均平均直下点経度であり、以下の式(33)のように表せる。
ΛMT=ΛM0+Λ'M0T+(1/2)Λ"M0T2+ΔΛMtotal
−(3/a)sinθsinφ[(2αN−1)fN+(1/2)(2αS−1)fS]T
(33)
ここで、ΛM0、Λ'M0およびΛ"M0はそれぞれ時刻t0における衛星7の平均平均直下点経度、平均平均直下点経度の角速度、および平均平均直下点経度の角加速度であり、これらは軌道計算部8にて計算される。分配部5は、式(31)で与えられる拘束条件を満たしつつ、式(30)で与えられる評価関数Jが最小となるように、配分率αSとαNを決定する。

0053

分配部5は、計算した配分率αSとαNから、1回目と2回目の南北制御の噴射量を以下の式(34)、(35)のように決定する。噴射量fの添え字は、式(21)および(22)と同じである。式(34)は、1回目の南北制御における各スラスタの噴射量を示す。式(35)は、2回目の南北制御における各スラスタの噴射量を示す。
fNW1=αNfN、fNE1=(1−αN)fN、fSW1=0、fSE1=0 (34)
fNW2=0、fNE2=0、fSW2=αSfS、fSE2=(1−αS)fS (35)

0054

式(12)〜(14)、(16)および(18)〜(20)は、軌道面外運動および軌道面内運動の連成を考慮した方程式である。分配部5は複数回のスラスタ噴射量による面外運動および面内運動の連成を考慮した方程式を解き、主として軌道面外方向を制御するスラスタ噴射および主として軌道面内方向を制御するスラスタ噴射を複数回組み合わせることによって、制御量計算部2で計算した平均軌道要素の制御量を実現させるためのスラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する。

0055

分配部5は、以上で計算した南北制御および平均離心率ベクトル制御の各スラスタの噴射タイミングと噴射量をスラスタ制御部6に渡す。スラスタ制御部6は、分配部5で計算された噴射タイミングおよび噴射量に従って、スラスタ91、92、93および94を制御する。

0056

図4は実施の形態1に係る分配部5の動作を示すフローチャートである。分配部5はまず、式(9)で表される平均傾斜角ベクトルの制御量の大きさと偏角を計算する(ステップS01)。そして、南北制御のタイミングを判定する(ステップS02)。衛星7の平均経度λ0が偏角βに一致する場合(ステップS02;Y)、式(10)および式(11)で南北制御の噴射タイミングλ1、λ2を計算し、それぞれの合計噴射量fS、fNを式(12)から式(14)で計算する(ステップS03)。分配部5は、平均傾斜角ベクトルの制御量の大きさと偏角、南北制御の噴射タイミングλ1、λ2、合計噴射量fS、fNをメモリに記憶する。

0057

分配部5は次に、平均離心率ベクトル制御の噴射タイミングλrと噴射量frを、式(15)および式(16)で計算する(ステップS04)。そして、式(18)の拘束条件の下で、式(17)の評価関数Jを最小にする配分率αSとαNを決定する(ステップS05)。分配部5は、配分率αSとαNから、式(21)および式(22)で1回目と2回目の各スラスタの噴射量を計算する(ステップS06)。そして、計算した噴射タイミングと噴射量をスラスタ制御部6に送る(ステップS07)。分配部5は、平均離心率ベクトル制御の噴射タイミングλrと噴射量fr、配分率αSとαN、および噴射タイミングと噴射量をメモリに記憶する。

0058

ステップS02で平均経度λ0が偏角βに一致せず(ステップS02;N)、λ0がβ+πに一致する場合(ステップS08;Y)、分配部5は、式(23)および式(24)で南北制御の噴射タイミングλ1、λ2を計算し、それぞれの合計噴射量fS、fNを式(25)から式(27)で計算する(ステップS09)。分配部5は、南北制御の噴射タイミングλ1、λ2、および合計噴射量fS、fNをメモリに記憶する。

0059

分配部5は次に、平均離心率ベクトル制御の噴射タイミングλrと噴射量frを、式(28)および式(29)で計算する(ステップS10)。そして、式(31)の拘束条件の下で、式(30)の評価関数Jを最小にする配分率αSとαNを決定する(ステップS11)。分配部5は、配分率αSとαNから、式(34)および式(35)で1回目と2回目の各スラスタの噴射量を計算する(ステップS12)。そして、計算した噴射タイミングと噴射量をスラスタ制御部6に送る(ステップS07)。分配部5は、平均離心率ベクトル制御の噴射タイミングλrと噴射量fr、配分率αSとαNおよび1回目と2回目の各スラスタの噴射量をメモリに記憶する。

0060

ステップS02およびステップS08で、平均経度λ0が偏角βにもβ+πにも一致しない場合(ステップS02;N,ステップS08;N)、噴射量の計算も噴射も行わず(ステップS13)、その回の処理を終了する。

0061

以上の実施の形態1の構成によれば、分配部5において、スラスタ配置角度と複数回のスラスタ噴射に依存した軌道面内と軌道面外の連成を含んだガウスの惑星方程式を解析的に解くことによって、消費推薬を抑えたスラスタ噴射則を少ない計算コストで算出することができる。

0062

また、スラスタの同時噴射を1本もしくは2本までに制限した噴射則を計算することができ、消費電力を抑制することができる。具体的には、分配部5によって電気推進装置の同時噴射を1本もしくは2本までに制限した噴射則を少ない計算量で得ることができるので、消費電力を抑制しつつ、かつ高精度に衛星の軌道を保持することができる。そして、平均傾斜角ベクトルの制御量をもとに最適な南北制御の噴射タイミングを計算することができ、高精度な南北制御を実現することができる。また、平均平均直下点経度、平均傾斜角ベクトル、平均離心率ベクトルの制御を南北制御において同時に行うことが可能となる。さらに、2回の南北制御に加えて、平均離心率ベクトルの制御を軌道1周回あたりに1回行うことで、平均離心率ベクトルを目標値近傍に保持することが可能となり、衛星7の直下点経度を目標値近傍に高精度に保持することが可能となる。実施の形態1によれば、南北制御と平均離心率ベクトル制御の間隔を軌道1/4周期あけることが可能となり、南北制御と平均離心率ベクトル制御のスラスタ噴射のタイミングが重なることを回避できる。

0063

実施の形態2.
実施の形態2では、軌道一周回においてスラスタ噴射が可能なタイミングを予め固定しておく。そして、その各タイミングについて制御量計算部で計算された平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量に応じて2回〜4回のスラスタの噴射量および噴射の可否を決定する。実施の形態2の構成は実施の形態1と同様であるが、軌道制御装置9における分配部5の動作のみが異なる。その他の、目標値設定部1、制御量計算部2、スラスタ制御部6および軌道決定部8は実施の形態1と共通である。

0064

分配部5は、実施の形態1と同様に、制御量計算部2で計算した平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量、目標値設定部1で設定した平均直下点経度の目標値、ならびに軌道決定部8で計算した平均軌道要素および平均軌道要素の時間変化率を受け取る。そして、平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量および平均直下点経度を目標値近傍に維持するための平均直下点経度の制御量を実現するスラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する。

0065

このとき実施の形態2では、スラスタの噴射タイミングを1周期において最大4回とする。それぞれのタイミングは平均経度λを用いて、λ1、λ2、λ3、λ4と表し次の式(48)〜(51)で与える。
λ1=λC (48)
λ2=λ1+π/2 (49)
λ3=λ1+π (50)
λ4=λ1+3π/2 (51)
λCは予め与える1回目のスラスタ噴射タイミングである。実施の形態2においてはこのλCを昇交点Ω付近の適当な値に固定する。例えばλC=80[deg]と設定する。そして1回目のスラスタ噴射から等間隔に位相をπ/2ずつ離してスラスタ噴射を行う。但しこのλCおよびλ1、λ2、λ3、λ4は上記の与え方以外の値を選ぶことも可能である。ここではスラスタの噴射回数を4回としているが実際に計算された制御量から、スラスタ噴射の回数が2回に抑えられる場合もありうる。以下に軌道の保持に必要な制御力とスラスタの噴射量の計算方法について説明する。

0066

はじめに分配部5は面外方向の制御力を計算する。まず、制御量計算部2において計算された平均離心率ベクトルの制御量δe=[δex δey]Tと平均傾斜角ベクトルの制御量δi=[δix δiy]Tを受け取る。また目標値設定部1より平均平均直下点経度の目標値ΛMTrefを受け取る。これらを元に分配部5は各スラスタ噴射タイミングにおける面外方向の制御力fhi(i=1〜4)を計算する。制御力の計算に当たって次の単位ベクトルρei=[sinλi −cosλi]T 、ρii=[cosλi sinλi]Tを用いる。すると各タイミングにおける面外方向の制御力fhiは次の二つの式を満たすように与えられる。
|fhi|−|fh(i+2)|=anδe・ρei/(tanθcosφ) (52)
fhi−fh(i+2)=anδi・ρei (53)
θおよびφは、図2で与えられる角度である。

0067

式(52)の右辺をδei、式(53)の右辺をδiiとおいて、δei、δiiの大小関係によって場合分けしてfhiを決定する。この場合分けを行う際には、平均離心率ベクトルの制御量を実現することを優先する。スラスタの配置よりfhiが定まると自動的にfriは決まってしまう。δei>δiiとなった場合は平均傾斜角ベクトルの制御量に合わせてしまうと、平均離心率ベクトルの制御量が足りなくなってしまう。そのためこのような場合は平均離心率ベクトルの制御量を基準にfhiを決めることとする。

0068

(1) |δei|>|δii|のとき
(1a) δei<0 のとき
fhi=sign(δii)|δei|、fh(i+2)=0 (54)
(1b) δei>0のとき
fhi=0、fh(i+2)=−sign(δii)|δei| (55)
(2) |δei|<|δii|のとき
(2a) δei+δii>0かつδei−δii<0 のとき
fhi=(1/2)(δei+δii)、fh(i+2)=(1/2)(δei−δii)
(56)
(2b) δei+δii<0かつδei−δii>0のとき
fhi=−(1/2)(δei+δii)、fh(i+2)=−(1/2)(δei−δii)
(57)

0069

次に東西制御(直下点経度の保持)に必要なfθi(i=1〜4) を決定する。分配部5は、次の条件式(58)を満たすように、fθi(i=1〜4)を決定する。

0070

aは軌道長半径、nは平均軌道角速度、θおよびφは図2で与えられる角度である。

0071

このfθiを与えるためのスラスタ噴射は原則として、面外方向の制御力fhiを与える際にSWスラスタとSEスラスタ、または、NWスラスタとNEスラスタに対する噴射量の配分(電気推進の場合は噴射時間の配分)を行うことで実現する。この配分量は、fhiとfθiが与えられた時、スラスタ配置角にもとづいて一意に定めることができる。ただし実施の形態2ではfθiを決定する際に、fhiは制御サイクルごとに異なり、場合によっては4回の制御では十分な合計のfθiを得られない場合も考えうる。そのような場合は一回目のスラスタ噴射においてスラスタ2本もしくは1本による噴射を行い、必要なfθを追加で与えることとする。分配部5は、以上の計算結果をスラスタ制御部6へ渡す。

0072

実施の形態2における基本の動作は以上の通りであるが、推薬のさらなる節約を目指す場合は面外制御量fhiを計算する際に次のような制御を行う。制御後の平均傾斜角ベクトルの値を予測した際に、その値が予め設定しておいた許容範囲内に収まる場合、すなわち平均傾斜角ベクトルの誤差ιが十分小さい値、例えば|ι|<0.003[deg]に収まる場は、平均的な離心率ベクトルの制御に必要な制御量にのみ制御量を合わせることとしてスラスタ噴射の回数を3回以下に削減する。

0073

図5は、実施の形態2に係る分配部5の動作を示すフローチャートである。分配部5は、まず、平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量、平均平均直下点経度の目標値などを受け取る(ステップS21)。そして、平均経度λが設定したλ1(=λc)になったとき、式(52)および(53)を満たす面外制御量fhiを、δei、δiiの大小関係によって場合分けして式(54)〜(57)に従って計算する(ステップS22)。分配部5は、平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量、平均平均直下点経度の目標値およびδei、δiiをメモリから読出し、面外制御量fhiをメモリに記憶する。

0074

次に、分配部5は、制御量fhiを元に、東西制御(直下点経度の保持)に必要なfθi(i=1〜4) を式(58)を満たすように計算する(ステップS23)。Σfθiが東西制御で十分かどうか判定し(ステップS24)、十分でなければ(ステップS24;N)、Σfθiが十分となるようにfθiを再計算して追加する(ステップS25)。Σfθiが東西制御で十分なら(ステップS24;Y)、再計算を行わない。分配部5は、制御量fhiをメモリから読出し、東西制御(直下点経度の保持)に必要なfθi(i=1〜4)をメモリに記憶する。

0075

分配部5は、実施の形態1と同様にして、各スラスタ噴射タイミングにおける各スラスタの噴射量の配分を決定し(ステップS26)、固定されている噴射タイミングと各スラスタの噴射量をスラスタ制御部6に送る(ステップS27)。分配部5は、各スラスタ噴射タイミングにおける各スラスタの噴射量の配分をメモリに記憶する。

0076

以上のステップS21からステップS27にしたがって、実施の形態2では平均離心率ベクトルと平均傾斜角ベクトルの制御量および平均直下点経度を目標値近傍に維持するための平均直下点経度の制御量を実現するスラスタの噴射タイミングおよび噴射量を計算する。

0077

以上の実施の形態2の構成と動作によれば、各スラスタ噴射間の噴射間隔を固定することができ、制御時間間隔の変動によって生じる経度方向の軌道保持誤差を低減することができる。この実施の形態2は、最も高精度の東西制御(例えば直下点経度誤差Δλ=0.005[deg]以下など)が要求される場合に有用である。

0078

実施の形態3.
実施の形態3では、4本のスラスタのうち2本のスラスタを組み合わせて軌道1周回あたり1回南北制御を行い、2本のスラスタを組み合わせて軌道1周回あたり2回東西制御を行う。実施の形態3の構成は実施の形態1と同様であるが、軌道制御装置9における分配部5の動作のみが異なる。その他の、目標値設定部1、制御量計算部2、スラスタ制御部6、衛星7および軌道決定部8は実施の形態1と共通である。実施の形態1と異なる部分は分配部5のみであるので、分配部5について述べる。

0079

図2に示すスラスタ91(NWスラスタ)、スラスタ92(NEスラスタ)、スラスタ93(SWスラスタ)およびスラスタ94(SEスラスタ)の各スラスタの噴射量をそれぞれfNW、fNE、fSW、fSEと記す。スラスタを2本同時に噴射する場合を前提にすると、北方向噴射量fN、南方向噴射量fS、東方向噴射量fE、西方向噴射量fWをそれぞれ次のように表すことができる。
fN=fNW+fNE、fS=fSW+fSE、
fE=fNE+fSE、fW=fNW+fSW

0080

分配部5は受け取った軌道要素の制御量のうち、平均傾斜角の制御量を北方向噴射量fNまたは南方向噴射量fSによって制御する。東方向噴射量fEや西方向噴射量fWは平均傾斜角には影響を与えないので、北方向噴射量fNあるいは南方向噴射量fSを平均傾斜角の制御量だけから定めることができる。噴射タイミングは、平均傾斜角ベクトルの制御量δiの偏角βから決めることができる。この北方向噴射量fNあるいは南方向噴射量fSはどちらを用いても平均傾斜角を制御することができるが、この両方の場合を計算し、最終的に噴射量の合計値が小さくなる方を採用する。

0081

つぎに分配部5は、北方向噴射量fNあるいは南方向噴射量fSによって平均離心率や平均平均直下点経度は影響を受けるのでその分の補正量を加えて、新たな平均離心率ベクトルの制御量と平均平均直下点経度の目標値を定める。この補正量は、北方向噴射量fNまたは南方向噴射量fSのXB軸およびZB軸方向成分を離心率ベクトルおよび平均直下点経度に関するガウスの惑星方程式に代入することで算出することができる。

0082

分配部5は、新たな平均離心率ベクトルの制御量と平均平均直下点経度の目標値から、東方向噴射量fEと西方向噴射量fWを定める。平均離心率ベクトルの制御量と平均平均直下点経度の目標値に対応する噴射量を定めるためには、東方向噴射量fEと西方向噴射量fWは合計2回分が必要となる。すなわち、ある経度において東方向噴射量fEあるいは西方向噴射量fWを与え、異なる経度において東方向噴射量fEあるいは西方向噴射量fWを与えるような解を求める。その結果、東西方向の噴射においてはfEとfWが各1回ずつか、fEが2回か、fWが2回かのいずれかの解が得られる。この合計2回の噴射とfNあるいはfSの1回の噴射によって一連制御動作は終了する。したがって一連の制御動作において、合計3回の噴射を行うことになる。

0083

次に分配部5は、北方向噴射量fNあるいは南方向噴射量fSのいずれを採用するかを次のように決定する。分配部5は、fNを用いたときの東西噴射量もあわせた噴射量の合計値と、fSを用いたときの東西噴射量もあわせた噴射量の合計値を比較して、その合計値の小さな方を最終的な噴射として採用する。このように噴射量の少ない方を用いることにより、南北のfNあるいはfSの1回の噴射と東西の2回の噴射において、それらを実施するときの経度は離れることになるので、これらの噴射のタイミングが重なることはないという効果も得られる。

0084

このように南北および東西の噴射において2本のスラスタを組み合わせて用いることにより、一連の制御動作において南北1回、東西2回のスラスタ噴射で、平均傾斜角、平均離心率、平均平均直下点経度を望ましい値に制御することができる。

0085

また、上記のスラスタ噴射量の計算をもとに、東西における2回のスラスタ噴射において、これを東方向や西方向に力を出すような2本のスラスタの同時噴射に代えて、一部あるいは全部を1本のスラスタだけの噴射にすることで、平均傾斜角にも影響を与えるようにすることができる。この場合、東西のスラスタ噴射によって平均傾斜角が影響を受けるため、南北のスラスタ噴射量を簡単に決定することはできないが、スラスタ2本の同時噴射の解をもとに、たとえば全部を1本のスラスタだけの噴射に代えるように数値探索を行うことによって、2回の東西方向のスラスタ噴射において、その両方あるいは一方を1本のスラスタだけの噴射で計画することができる。このように計画すると東西方向のスラスタ噴射で平均傾斜角の一部を制御するため、噴射量の合計値を低く抑える効果がある。

0086

図6は、実施の形態3に係る分配部5の動作を示すフローチャートである。分配部5は、まず、平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量、平均平均直下点経度の目標値などを受け取る(ステップS31)。そして、このうち平均傾斜角ベクトルの制御量から北方向噴射量fNまたは南方向噴射量fS(南北噴射量fNまたはfS)を決定する(ステップS32)。分配部5は、平均離心率ベクトルおよび平均傾斜角ベクトルの制御量、平均平均直下点経度の目標値などをメモリから読出し、北方向噴射量fNまたは南方向噴射量fS(南北噴射量fNまたはfS)をメモリに記憶する。

0087

つぎに分配部5は、決定した南北噴射量fNまたはfSより新たな平均離心率の制御量と平均平均直下点経度の目標値を修正する(ステップS33)。そして、新たな平均離心率の制御量と平均平均直下点経度の目標値から、東方向噴射量fEと西方向噴射量fW(東西噴射量fE、fW)を定める(ステップS34)。分配部5は、南北噴射量fNまたはfSをメモリから読出し、新たな平均離心率の制御量、平均平均直下点経度の目標値、東方向噴射量fEと西方向噴射量fW(東西噴射量fE、fW)をメモリに記憶する。

0088

分配部5は、南北噴射量fNまたはfSにおいて、東西噴射量を加えた合計噴射量の少ない方を採用する(ステップS35)。さらに、スラスタの噴射量の計算をもとに、東西における2回のスラスタ噴射において、これを東方向や西方向に力を出すような2本のスラスタの同時噴射に代えて、一部あるいは全部を1本のスラスタだけの噴射で代替するように再計算する(ステップS36)。そして、計算したスラスタの噴射量をスラスタ制御部6に送る(ステップS37)。分配部5は、計算したスラスタの噴射量をメモリに記憶する。

0089

以上の実施の形態3の構成によれば、2本のスラスタを組み合わせた噴射を前提とすることで、簡単な計算により、南北に1回の噴射、東西に2回の噴射によって、平均傾斜角、平均離心率、平均平均直下点経度を望ましい値に制御することが可能になる。また、実施の形態3の構成によれば、2本のスラスタを組み合わせた噴射を前提とした解に基づいて、東西2回のスラスタ噴射の少なくとも1回をスラスタ1本だけの噴射とするような数値探索の解を求めることにより、平均傾斜角、平均離心率、平均平均直下点経度を望ましい値に制御するとともに、噴射量の合計値を低く抑える効果が得られる。

0090

実施の形態では、静止衛星を想定して説明した。実施の形態の軌道制御装置9が適用できるのは、静止衛星には限らない。軌道制御装置9は、例えば、準天頂衛星にも適用できる。準天頂衛星は、地上の1点から観測すると南北に長い8の字の軌道に見えるが、周期と高度は静止衛星と同じで軌道面が赤道面に対して傾いている。従って、上述の式を適当に座標変換すれば、そのまま適用できる。

0091

本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態および変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。

0092

本出願は、2015年1月9日に出願された、明細書、特許請求の範囲、図、および要約書を含む、日本国特許出願2015−002864号に基づく優先権を主張するものである。日本国特許出願2015−002864号の開示内容は参照により全体として本出願に含まれる。

0093

1目標値設定部、2 制御量計算部、3フィードフォワード制御量計算部、4フィードバック制御量計算部、5分配部、6スラスタ制御部、7 衛星、8軌道決定部、9軌道制御装置、91,92,93,94 スラスタ。

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