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技術 真空断熱材を備えた住宅壁および真空断熱材

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 湯淺明子
出願日 2015年12月22日 (3年9ヶ月経過) 出願番号 2016-565917
公開日 2017年10月5日 (1年11ヶ月経過) 公開番号 WO2016-103679
状態 特許登録済
技術分野 建築環境
主要キーワード 低温物質 固定手法 気体吸着剤 火災予防 エネルギー削減 断熱パネル材 化学吸着作用 金属元素群
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年10月5日)のものです。
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図面 (3)

課題・解決手段

住宅壁(20)であって、外被材(11)と、外被材(11)の内部に減圧密閉状態封入される内部部材と、を有する真空断熱材(10)と、壁材(21)と、を備えている。そして、真空断熱材(10)は、壁材(21)の裏面側に配されており、内部部材は、液体の水分に接触した場合に水素を発生しない材料で構成されている。このような構成により、住宅壁に用いられる真空断熱材が破袋して、液体の水が内部部材に接触した場合であっても、住宅壁としての安定性を良好に実現することができる。

概要

背景

近年、地球温暖化抑制の観点より、家電製品および産業機器における省エネルギー化と並んで、住宅起因のエネルギー削減も取り組むべき重要な課題である。住宅起因のエネルギー消費としては、冷暖房運転の影響が大きいため、住宅駆体の断熱強化が重要な取り組みとなっている。そのため、様々な断熱壁が提案されている。

このような断熱壁に用いられる高性能な断熱材の一つとして、真空断熱材が挙げられる。一般的な真空断熱材は、ガスバリア性を有する袋状の外被材の内部に、芯材等を減圧密閉状態封入した構成を有している。例えば、特許文献1には、建築物の壁として使用可能な建築用部材として、真空断熱材を有する断熱パネルを用いた構成が開示されている。

ここで、住宅壁は風雨に晒されるため、住宅壁に用いられる真空断熱材では、外被材が破損したとき(つまり、真空断熱材が破袋したとき)に、雨水等の「液体の水」が内部に進入することを想定する必要があることが、本発明者らの検討により明らかとなっている。

しかしながら、従来の真空断熱材を用いた住宅壁においては、真空断熱材が破袋したときに、内部部材と水分との化学反応が生じる影響については何ら考慮されていない。

概要

住宅壁(20)であって、外被材(11)と、外被材(11)の内部に減圧密閉状態で封入される内部部材と、を有する真空断熱材(10)と、壁材(21)と、を備えている。そして、真空断熱材(10)は、壁材(21)の裏面側に配されており、内部部材は、液体の水分に接触した場合に水素を発生しない材料で構成されている。このような構成により、住宅壁に用いられる真空断熱材が破袋して、液体の水が内部部材に接触した場合であっても、住宅壁としての安定性を良好に実現することができる。

目的

近年、地球温暖化抑制の観点より、家電製品および産業機器における省エネルギー化と並んで、住宅起因のエネルギー削減も取り組むべき重要な課題である

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

外被材と、前記外被材の内部に減圧密閉状態封入される内部部材と、を有する真空断熱材と、壁材と、を備え、前記真空断熱材は、前記壁材の裏面側に配されており、前記内部部材は、液体の水分に接触した場合に水素を発生しない材料で構成されている、住宅壁。

請求項2

前記真空断熱材が有する前記内部部材は、断熱性を有する芯材、および、前記外被材の内部のガス吸着可能とする吸着剤を含む、請求項1に記載の住宅壁。

請求項3

前記吸着剤を形成する元素材料として、水と化学反応しない材料、水と化学反応したときに1g当たりの水素発生量が80mL未満である材料、および、標準電極電位が−2.0V以上である材料のうち、少なくともいずれかの材料が用いられる請求項2に記載の住宅壁。

請求項4

前記吸着剤は、(1)粒径が0.01〜1400μmの範囲内のものを80体積%以上含む、(2)平均粒径が0.01〜1400μmの範囲内である、(3)密度が0.2〜1.4g/mLの範囲内である、および、(4)比表面積が200〜2000m2 /gの範囲内である粒子状である、のうち、少なくともいずれかの条件を満たす請求項2または請求項3に記載の住宅壁。

請求項5

前記吸着剤は、前記真空断熱材の厚さの60%以下の厚さを有する形状、または、その厚さに対する断面積の比が、1:100〜1:250の範囲内にある形状に加工されている、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の住宅壁。

請求項6

前記吸着剤における、前記真空断熱材の厚さ方向の上下の面には、断熱部材が積層または被覆されている請求項5に記載の住宅壁。

請求項7

前記芯材は、無機繊維、または、熱硬化性発泡体で構成される、請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の住宅壁。

請求項8

前記真空断熱材が前記壁材の裏面に固定され、断熱パネル材状に構成された請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の住宅壁。

請求項9

壁材を備えた住宅壁に用いられ、前記壁材の裏面側に配置された真空断熱材であって、外被材と、前記外被材の内部に減圧密閉状態で封入される内部部材と、を備え、前記内部部材は、液体の水分に接触した場合に水素を発生しない材料で構成されている真空断熱材。

技術分野

0001

本発明は、真空断熱材を備えた住宅壁、および、この住宅壁に用いられる真空断熱材に関する。

背景技術

0002

近年、地球温暖化抑制の観点より、家電製品および産業機器における省エネルギー化と並んで、住宅起因のエネルギー削減も取り組むべき重要な課題である。住宅起因のエネルギー消費としては、冷暖房運転の影響が大きいため、住宅駆体の断熱強化が重要な取り組みとなっている。そのため、様々な断熱壁が提案されている。

0003

このような断熱壁に用いられる高性能な断熱材の一つとして、真空断熱材が挙げられる。一般的な真空断熱材は、ガスバリア性を有する袋状の外被材の内部に、芯材等を減圧密閉状態封入した構成を有している。例えば、特許文献1には、建築物の壁として使用可能な建築用部材として、真空断熱材を有する断熱パネルを用いた構成が開示されている。

0004

ここで、住宅壁は風雨に晒されるため、住宅壁に用いられる真空断熱材では、外被材が破損したとき(つまり、真空断熱材が破袋したとき)に、雨水等の「液体の水」が内部に進入することを想定する必要があることが、本発明者らの検討により明らかとなっている。

0005

しかしながら、従来の真空断熱材を用いた住宅壁においては、真空断熱材が破袋したときに、内部部材と水分との化学反応が生じる影響については何ら考慮されていない。

先行技術

0006

特開2012−21288号公報

0007

本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、住宅壁に用いられる真空断熱材が破袋して、液体の水が内部部材に接触した場合であっても、住宅壁としての安定性を良好に実現するものである。

0008

本発明に係る住宅壁は、外被材と、外被材の内部に減圧密閉状態で封入される内部部材と、を有する真空断熱材と、壁材と、を備えている。そして、真空断熱材は、壁材の裏面側に配されており、内部部材は、液体の水分に接触した場合に水素を発生しない材料で構成されている。

0009

また、本発明に係る真空断熱材は、壁材を備えた住宅壁に用いられ、前記壁材の裏面側に配置された真空断熱材である。そして、この真空断熱材は、外被材と、外被材の内部に減圧密閉状態で封入される内部部材と、を備えている。さらに、内部部材は、液体の水分に接触した場合に水素を発生しない材料で構成されている。

0010

このような構成によれば、住宅壁としての安定性への影響として好ましくないと想定される水素発生に着眼し、真空断熱材の内部部材と水分とが反応する際に、水素発生による最悪の事態の可能性を抑制することで、真空断熱材を備える住宅壁の信頼性を大幅に向上させることが可能となる。

0011

本発明によれば、住宅壁に用いられる真空断熱材が破袋して、液体の水が内部部材に接触した場合であっても、住宅壁としての安定性を良好に実現することができる。

図面の簡単な説明

0012

図1は、本発明の実施の形態に係る住宅壁の構成の一例を示す模式的断面図である。
図2は、図1に示された住宅壁に用いられている真空断熱材の構成例を示す模式的断面図である。

実施例

0013

以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の例では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。

0014

[住宅壁]
図1に示されるように、本実施の形態に係る住宅壁20は、壁材21と、枠体22と、真空断熱材10とを備えている。壁材21は、建築物の壁として設けられたときに、鉛直方向および水平方向からの力に抵抗しうる耐力を有し、建築物を支持できる壁である。その具体的な構成は特に限定されず、公知の構成を好適に用いることができる。図1では、説明の便宜上、1枚の板部材のように示しているが、壁材21は、柱材筋交材、または、合板材等で構成されるパネルであってもよい。

0015

壁材21の表面21aは、建築物の壁面となるが、壁材21の裏面21bには真空断熱材10が固定されている。したがって、本実施の形態に係る住宅壁20は、壁材21と真空断熱材10とが一体化されて断熱パネル材を構成している。

0016

枠体22は、真空断熱材10を、壁材21の裏面21bに固定して支持するものである。枠体22は、また、壁材21の耐力を補強する機能を有していてもよい。枠体22は、壁材21の表面21aから挿入された釘部材23によって、壁材21に固定されている。そして、枠体22の枠内に真空断熱材10が配され、コーキング材26によって、枠体22と真空断熱材10との隙間が埋められている。

0017

さらに、壁材21の裏面21bのうち、枠体22の外側に露出している部分、ならびに、枠体22の外周面には、気密材24,25が設けられている。この気密材24,25は、パネル化された住宅壁20が、建築物の柱または梁等に取り付けて固定される際に、柱または梁と、住宅壁20との間を気密に保持するために機能する。この気密材24,25およびコーキング材26の具体的構成は特に限定されず、公知のものを好適に用いることができる。

0018

このように、本実施の形態に係る住宅壁20は、真空断熱材10が壁材21の大部分に重なる状態で固定されているので、壁全体を有効に断熱することができる。しかも、真空断熱材10は、断熱性能経年劣化を抑えることが可能であるため、住宅の壁として長期間使用しても断熱性が低下しにくい。それゆえ、次世代省エネルギー住宅の壁等として好適に用いることができる。

0019

なお、本実施の形態に係る住宅壁20は、真空断熱材10と壁材21とを備え、壁材21の裏面21b側に真空断熱材10が配されている構成であればよく、例えば、枠体22等は無くてもよい。さらに、本実施の形態に係る住宅壁20は、パネル化されて「断熱パネル材」を構成しているが、断熱パネル材としての具体的な構成は、本実施の形態に開示の構成に限定されず、公知の断熱パネル材の構成が適用可能である。

0020

また、本実施の形態では、住宅壁20をパネル化する上で、壁材21に枠体22を固定しているが、枠体22の固定手法は、釘部材23を用いた手法に限定されない。例えば、釘部材23以外の固定部材を用いる手法であってもよいし、壁材21および枠体22のそれぞれに、凹部、凸部等を構成して、これらを組み合わせて固定する手法であってもよい。

0021

さらに、本実施の形態に係る住宅壁20は、必ずしも断熱パネル材としてパネル化されている必要はなく、住宅の壁として用いられたときに、壁材21の裏面21bに真空断熱材10が固定されていればよい。それゆえ、住宅を建築する際に、建築現場で、本実施の形態に係る住宅壁20を随時組み立てる等することもできる。

0022

[真空断熱材]
次に、住宅壁20に用いられる真空断熱材の代表的な一例について、図2を参照して具体的に説明する。

0023

図2に示されるように、本実施の形態に係る真空断熱材10は、外被材(外包材)11と、この外被材11の内部において減圧密閉状態(略真空状態)で封入される内部部材と、を備えている。内部部材は、外被材11が破袋(または破損等)して、内部に液体の水が進入したときに、この水分に接触した場合に、水素の発生を伴う化学反応が生じない材料で構成されている。本実施の形態に係る真空断熱材10は、内部部材として、芯材12および吸着剤13を有するものとする。

0024

外被材11は、ガスバリア性を有する袋状の部材であり、本実施の形態では、例えば、2枚の積層シートを対向させてその周囲を封止することにより、袋状となっている。周囲の封止された箇所(封止部)は、内部に芯材12が存在せず、積層シート同士が接触している状態であり、真空断熱材10の本体から外周に向かって延伸するヒレ状に形成されている。

0025

積層シートの具体的な構成は、特に限定されないが、例えば、表面保護層ガスバリア層、および熱溶着層の3層が、この順で積層された構成を挙げることができる。より具体的には、例えば、表面保護層としては、厚さ35μmのナイロンフィルムが挙げられ、ガスバリア層としては、厚さ7μmのアルミニウム箔が挙げられ、熱溶着層としては、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムが挙げられるが、特にこの構成に限定されるものではない。また、外被材11としては、ガスバリア性を発揮できるものであれば、積層シート以外の公知の構成を採用することができる。

0026

芯材12は、断熱性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、繊維材料、または発泡材料等の公知の材料を挙げることができる。例えば、本実施の形態では、芯材12として無機繊維を用いている。無機繊維は、無機系材料からなる繊維であればよく、具体的には、例えば、ガラス繊維セラミック繊維スラグウール繊維、およびロックウール繊維等から選択される繊維を挙げることができる。また、芯材12は、板状に成形して用いてもよいので、これら無機繊維以外に、公知のバインダ材、および粉体の少なくともいずれか等を含んでもよい。これらの材料は、芯材12の強度、均一性、および剛性等の、物性の向上に寄与する。

0027

芯材12としては、無機繊維以外の公知の繊維を用いてもよいが、本実施の形態では、例えば、無機繊維として、平均繊維径が4μm〜15μmの範囲内にあるガラス繊維(繊維径が比較的太いガラス繊維)を用いて、さらに、このガラス繊維を焼成して用いている。芯材12が無機繊維であれば、外被材11が破袋して液体の水が接触したとしても、水素の発生を伴う化学反応が生じることがない。これは、ガラス内の元素結合が共有結合であるため、元素同士の結合力が強く、水分に晒されても化学反応しにくいためである。

0028

芯材12は、材料が共有結合しているものであれば、材料を構成するそれぞれの元素の水素発生量ではなく、最終品(各種元素で構成される材料そのもの)1g当たりの水素発生量が80mL未満であればよい。本実施の形態の主旨に合致する、例えばガラス繊維1g当たりの水素発生量の測定方法とは、ガラス繊維を構成する元素ではなく、ガラス繊維そのものの水素発生量を測定する方法であって、この測定方法により測定された水素発生量が80mL未満であればよい。

0029

上述したように、本実施の形態では、真空断熱材10の内部部材を形成する材料が、共有結合(共原子同士で互いの電子共有することによって生じる化学結合)を有するものである場合には、結合力が非常に強いため、芯材または吸着剤といった最終品で水分との反応を測定することが適切である。これに加えて、内部部材を形成する材料がイオン結合正電荷を持つ陽イオン負電荷を持つ陰イオンとの間の静電引力による化学結合)を有するものであっても、元素同士の結合力が強いため、芯材または吸着剤といった最終品で水分との反応を測定することが適切である。

0030

一方で、内部部材を形成する材料が、金属結合を有するものである場合には、結合力が弱いため、最終品に含まれている金属元素そのもの(合金化する前の元素)と、水分との反応を測定することが適切である。金属原子は、いくつかの電子を出して、陽イオン(金属結晶格子点に存在する正電荷を持つ金属の原子核)と自由電子結晶全体に広がる負電荷をもったもの)となる。この規則正しく配列した陽イオンの間を自由電子が自由に動き回り、これらの間に働くクーロン力静電気力、静電引力)で結び付けられている結合を金属結合という。

0031

本実施の形態では、上述したように、材料の結合状態に合わせて、水分との反応を測定した場合に、1g当たりの水素発生量が80mL未満であるように芯材12を構成することで、信頼性の高い真空断熱材10を実現することができる。

0032

また、芯材12として無機繊維を用いることにより、真空断熱材10の内部で芯材12の成分から残留ガスが放出されることによる、真空度の低下を低減することもできる。さらに、芯材12が無機繊維であれば、芯材12の吸水性吸湿性)が低くなるので、真空断熱材10の内部の水分量を低く維持することができる。

0033

また、無機繊維を焼成することで、外被材11が破袋した場合であっても、芯材12が大きく膨らむことがなく、真空断熱材10としての形状を保持することができる。具体的には、例えば、無機繊維を焼成せずに芯材12として密封すると、諸条件にもよるが、破袋時の膨らみは、破袋前の3〜10倍となり得る。これに対して、無機繊維を焼成して芯材12を形成することで、破袋時の膨張を3倍未満に抑えることができる。それゆえ、芯材12となる無機繊維に対して焼成処理を施すことで、水素が発生するおそれを回避できるだけでなく、破袋時の膨張を有効に抑制し、真空断熱材10の寸法安定性(言い換えれば、住宅壁20の形状保持性)を高めることができる。

0034

ここで、本実施の形態における「真空断熱材10の寸法安定性(形状保持性)が高い」という構成において、芯材12が、繊維材料であり、かつ有機材料を含有するバインダを用いていない材料で構成されている場合であれば、破袋前の真空断熱材10の厚みに対して、一部を破袋させた後の厚みが3倍未満であるものは、芯材12には焼成処理が行われているものとみなすことができる。これは、芯材12を圧縮するのみでは復元力が作用するため、形状保持性を高める上では、焼成により塑性変形させることが必須であるからである。

0035

なお、無機繊維の焼成条件は、特に限定されず、公知の種々の条件を好適に用いることができる。また、無機繊維の焼成は、本実施の形態において好ましい処理であるが、必須の処理ではない。

0036

無機繊維以外で、芯材12として用いることができる材料としては、熱硬化性発泡体を挙げることができる。熱硬化性発泡体は、熱硬化性樹脂、またはこれを含む樹脂組成物熱硬化性樹脂組成物)を公知の方法で発泡させて形成されるものであればよい。熱硬化性樹脂としては、具体的に、例えば、エポキシ樹脂フェノール樹脂不飽和ポリエステル樹脂ユリア樹脂メラミン樹脂ポリイミド、およびポリウレタン等を挙げることができるが、特にこれらの例に限定されない。また、発泡方法も特に限定されず、公知の発泡剤を用いて公知の条件で発泡させればよい。

0037

芯材12が熱硬化性発泡体で構成されていれば、無機繊維と同様に、外被材11が破袋して液体の水が接触したとしても、水素を伴う化学反応が生じることがない。また、熱硬化性発泡体は、無機繊維よりも成形性に優れているので、芯材12としての形状安定性、強度、および剛性等の、物性の向上に寄与することができる。なお、無機繊維および熱硬化性発泡体以外で、芯材12として使用可能な材料としては、公知の有機繊維有機系材料からなる繊維)を挙げることができるが、その具体的な種類は特に限定されない。

0038

次に、吸着剤13は、外被材11の内部に芯材12が減圧密封された後に、芯材12の微細な空隙等から放出される残留ガス(水蒸気も含む)、および、封止部等からわずかに侵入する外気(水蒸気も含む)を吸着除去する。それゆえ、吸着剤13は、外被材11の内部のガス(水蒸気を含む)を吸着可能に構成されたものであればよいが、本実施の形態では、後述するように、水分に接触した場合に水素発生を伴わない材料で構成されている。

0039

なお、本実施の形態では、真空断熱材10の内部部材として、芯材12および吸着剤13を挙げているが、内部部材として、芯材12および吸着剤13以外の他の部材を含んでもよい。この場合、他の内部部材も、水分に接触した場合に水素発生を伴わない材料で構成されていればよい。

0040

[水に接触した場合に水素を発生しない材料]
真空断熱材10の内部部材のうち、芯材12として用いられる、繊維材料または発泡材料は、一般的に、水に接触した場合に水素を発生しないものである。しかしながら、吸着剤13として用いられる材料には、水に接触して水素の発生を伴うものが用いられる場合がある。これは、吸着剤13としては、通常、化学吸着剤が好ましいとされているためである。

0041

化学吸着剤とは、化学吸着作用によって、吸着質であるガス(気体)を吸着するものである。このため、例えば、温度上昇といった様々な環境要因が生じて、化学吸着剤に対して何らかの影響を与え得るとしても、一度吸着したガスを再放出することが実質的に防止される。それゆえ、保持される物質として可燃性燃料等を扱う場合に、何らかの影響で、化学吸着剤が可燃性ガスを吸着したとしても、その後の温度上昇等の影響によって、ガスが再放出されることがない。それゆえ、真空断熱材10としての安定性を向上させることができる。

0042

また、化学吸着剤は、一般に、物理吸着剤に比べて、単位重量当たりガス吸着量が大きい。そのため、同量のガスを吸収できる、物理吸着剤と化学吸着剤とを比較したときには、化学吸着剤を用いた方が、真空断熱材10の内部で吸着剤13の占める体積を小さくすることができる、という利点もある。

0043

ところが、前述のように、化学吸着剤の中には、水と接触して水素発生を伴う化学反応を生じる材料が用いられることがある。従来では、このような化学吸着材料(便宜上、「水素発生可能な化学吸着材料」と称する。)を真空断熱材10の吸着剤13として用いたとしても、真空断熱材10の安定性の向上に寄与するため、何ら検討すべき課題は生じ得なかった。しかしながら、雨水等の液体の水に曝露され得る環境下で用いられる住宅壁20においては、真空断熱材10の外被材11が、万が一破袋したときの対応を考慮する必要性が生じる。

0044

水素発生可能な化学吸着材料が、真空断熱材10の内部で密閉保持されている状態であれば、多量の水分と一度に反応することは実質的に起こりえない。真空断熱材10の内部に水蒸気が存在し、この水蒸気が水素発生可能な化学吸着材料により吸着されたとしても、発生する水素の量はごくわずかである。そのため、吸着剤13として、水素発生可能な化学吸着材料以外に、水素を吸着可能とする材料を併用しておけば、真空断熱材10の内部のガスを、吸着剤13で良好に吸着することができる。

0045

これに対して、万が一、外被材11が破袋した場合には、雨水等の液体の水に曝露され得る環境で用いられる住宅壁20では、外被材11の破袋により、液体としての水が内部に進入する可能性がある。ここで、吸着剤13として水素発生可能な化学吸着材料が用いられていると、真空断熱材10の内部で、長期間に亘ってガス(水蒸気を含む)が化学吸着されるために、吸着剤13には、ある程度の吸着量を見込んでおく必要がある。そのため、吸着剤13に含まれる、水素発生可能な化学吸着材料の重量そのものが相対的に多くなる。このような吸着剤13に液体の水が接触すると、この水と、水素発生可能な化学吸着材料とが急激に反応して、多量の水素を発生することで、最悪の場合、発火する可能性もあり得る。

0046

真空断熱材10の内部で多量の水素が発生すると、外被材11の破袋箇所から水素が抜け出す前に、袋状の外被材11の内部に水素が蓄積し、真空断熱材10が膨張する可能性がある。また、膨張した真空断熱材10の内部は、可燃性ガスである水素が充満している状態にあるので、火花程度のわずかな火気で、最悪の場合、発火する可能性もあり得る。本実施の形態において、住宅壁20は、家屋の壁材として用いられているので、火災予防の観点からも、水素の発火は回避しなければならない事態となる。

0047

そこで、本実施の形態では、真空断熱材10の内部部材、特に、吸着剤13として、水に接触しても実質的に水素発生を伴わないもの(液体の水に接触しても水素の発生が回避または抑制されるもの)を用いる。これにより、外被材11が破袋したとしても、真空断熱材10の内部で水素が発生することそのものを回避することができる。それゆえ、住宅壁20に用いられる真空断熱材10が破袋して、液体の水が内部部材に接触した場合であっても、住宅壁20としての安定性を良好に保持することが可能となる。

0048

吸着剤13に用いられる、水に接触しても実質的に水素を発生しない材料としては、具体的には特に限定されないが、例えば、吸着剤13を形成する元素材料として、(1)水と化学反応しない材料、(2)水と化学反応したときに、1g当たりの水素発生量が80mL未満である材料、および、(3)標準電極電位が、−2.0V以上である材料という条件のうち、少なくともいずれかの条件を満たすものが用いられればよい。

0049

まず、(1)水と化学反応しない材料としては、物理吸着剤を挙げることができる。代表的な物理吸着剤としては、例えば、ゼオライト活性炭シリカゲル、および珪藻土等から選択される材料を挙げることができる。これら物理吸着剤は1種類のみが用いられてもよいし、2種類以上が選択されて組み合わせられて用いられてもよい。

0050

また、化学吸着剤の中にも水と化学反応しない材料が存在するので、水と反応しない材料は、物理吸着剤に限定されない。例えば、ZSM5型ゼオライトは、化学吸着作用を有する気体吸着剤(すなわち化学吸着剤)であるが、水に接触して水素を発生するようなことがないので、上述した(1)の条件を満たす材料として好適に用いることができる。特に、ZSM−5型ゼオライトが、イオン交換して銅イオンを導入した「銅イオン交換ZSM−5型ゼオライト」であれば、水蒸気だけでなく、窒素等の吸着特性も向上することができる。このため、上述した(1)の条件を満たす吸着剤13として、好適に用いることができる。

0051

次に、(2)水と化学反応したときに、1g当たりの水素発生量が80mL未満である材料としては、水と化学反応する材料、または、条件によっては水と化学反応し得る材料であって、化学反応式により導き出される1g当たりの水素発生量が80mL未満である材料であればよい。材料1g当たりの水素発生量が80mL未満であれば、真空断熱材10の内部容積等を考慮しても、破袋箇所から水素が抜け出す前に、袋状の外被材11の内部に水素が蓄積するような事態が実質的に回避されると判断できる。よって、材料に水分に接触した場合にも水素発生を伴わないとみなすことができる。

0052

ここで、本実施の形態における元素材料とは、吸着剤に含まれる元素成分が特定された際、その元素そのもののことを指す。例えば、一般的に、吸着剤として合金が用いられる場合があるが、合金の金属結合では元素同士の結合が弱いため、水と容易に化学反応が行われる。よって、このような金属結合からなる材料については、合金ではなく、元素材料として1g当たりの水素発生量を測定したときの水素発生量によって条件が判断される。したがって、本実施の形態における上述した(2)の条件を言い換えれば、吸着剤13を構成する元素材料1g当たりの水素発生量が、80mL未満である条件ということができる。

0053

また、(3)標準電極電位が−2.0V以上である材料としては、電気化学反応における標準状態での電極電位であって、標準水素電極を基準(±0V)としたときの電極電位が、−2.0V以上である材料であればよい。標準電極電位が−2.0V以上の材料であれば、常温の条件下で、水と化学反応することがほとんどないと判断されるため、このような材料は、水分に接触した場合にも水素発生を伴わないものとなる。

0054

水と化学反応し得る材料としては、典型的には、イオン化傾向の大きい金属材料を挙げることができる。イオン化傾向の大きい金属材料は、標準電極電位が高く、また、1g当たりの水素発生量が80mL以上となるので、このような金属材料は、上述した(2)および(3)に挙げられる材料から除かれる。

0055

本実施の形態において、水に接触しても水素発生を伴わない材料から確実に除かれる金属材料としては、周期表1族の金属元素(アルカリ金属)、ならびに、Beを除く周期表2族の金属元素(Mgおよびアルカリ土類金属)が挙げられる。これらの金属元素は、常温の条件下で水と化学反応して、水素を発生し得る。周期表1族および2族元素として一般的に用いられ得る、Li,Cs,Rb,K,Ba,Sr,Ca,Na,およびMg(便宜上、第一金属元素群と称する。)は、この記載順で標準電極電位が高くなっていく(すなわち、この金属元素群の中では、Liの標準電極電位が最も低く、Mgの標準電極電位が最も高い)。これらの金属元素の標準電極電位は、いずれも−2.35V以下であるため、上述した(3)の条件から外れる。

0056

言い換えると、標準電極電位が比較的低いLi,Cs,Rb以外の物質をもちいることが好ましい。

0057

また、周期表1族の金属元素および周期表2族の金属元素は、いずれも、水と反応したときに、1g当たりで80mL以上の水素を発生する(最も水素の発生量の低いCsで、1g当たり84mLの水素を発生する)。したがって、これら金属元素は、上述した(2)の条件からも外れる。

0058

また、金属材料は、水に接触しても、通常では水素発生を伴わないが、化学的活性な条件下では、水素発生を伴う化学反応を生じる金属材料も存在する。このような金属材料は、通常、上述した(2)または(3)の条件を満たす材料として、吸着剤13に用いることができる。例えば、Be,Al,Zr,Mn,Ta,Zn,Cr,Fe,Cd,Co,およびNi(便宜上、第二金属元素群と称する。)は、この記載順で標準電極電位が高くなっていく(すなわち、この第二金属元素群の中では、Beの標準電極電位が最も低く、Niの標準電極電位が最も高い)。この第二金属元素群の標準電極電位は、いずれも−2.0V以上である(例えば、最も低いBeの標準電極電位は−1.9V)。したがって、この第二金属元素群に属する金属材料は、上述した(3)の条件に該当するので、吸着剤13として好適に用いることができる。

0059

ただし、上述した第二金属元素群の金属材料は、水と反応可能な程度に化学的に活性となると、いずれも1g当たりの水素発生量が80mLを超える(例えば、最も水素発生量が低いCdで、1g当たり200mL)。住宅壁20の使用条件によって、外被材11が破袋したときに吸着剤13が化学的に活性になる可能性がある場合に、上述した(3)の条件に該当するものの、(2)の条件から外れる材料は、吸着剤13の材料として除外することもあり得る。言い換えれば、第二金属元素群の金属材料は、上述した(2)の条件を満たすため、基本的には吸着剤13として好適に用いることができるが、住宅壁20の使用条件によっては、吸着剤13として用いないこともある。

0060

また、第二金属元素群の中では、Niが最も標準電位が高い(−0.257V)が、これを超える標準電極電位を有する材料であれば、化学的に活性な条件下であっても、実質的に水と化学反応することがないと判断される。それゆえ、上述した(3)の条件においては、材料の標準電極電位が−0.26V以上であることがより好ましい。このような金属材料としては、例えば、Sn,Pb,Sb,Bi,Cu,Hg,Ag,Pd,Ir,Pt,Au等が挙げられる。

0061

これらの金属元素群(便宜上、第三金属元素群と称する。)は、この記載順で標準電極電位が高くなっているので、この第三金属元素群の中では、Snが最も標準電極電位が低い(−0.1315V)。また、SnおよびPbは、標準水素電極(±0V)よりも標準電極電位が低い(Pbの標準電極電位は−0.1263V)ため、理論上では、水との化学反応によって水素を発生する可能性がある。しかしながら、標準電極電位が−0.26V以上であれば、化学的に活性な状態であっても標準水素電極の電位との差が十分小さいため、実質的に水と反応しないと判断される。したがって、第三金属元素群は、上述した(3)の条件を満たすとともに、(1)の条件を満たす材料であるということもできる。

0062

なお、前述した例では、(1)〜(3)の条件を満たす材料の一例として、金属元素を例示しているが、もちろん本発明はこれに限定されず、(1)〜(3)の条件のうち、少なくともいずれかを満たすものであれば、金属元素の化合物または非金属元素の化合物(有機化合物)等であってもよい。

0063

ここで、吸着剤13として用いられる材料の使用状態は、特に限定されず、粒子状粉末状)、ブロック状(錠剤状)、およびシート状等の公知のさまざまな状態を採用することができる。特に、粒子状である場合には、多孔体のように表面積が大きいと吸着量が大きくなり、好ましいため、(i)粒径が0.01〜1400μmの範囲内のものを80体積%以上含むこと、(ii)平均粒径が0.01〜1400μmの範囲内であること、(iii)密度が0.2〜1.4g/mLの範囲内であること、および(iv)比表面積が200〜2000m2 /gの範囲内であることの、4つのうち、少なくともいずれかの条件を満たしていればよい。なお、すべての条件を満たしていることが好ましい。

0064

ここで、密度は、吸着剤が固形化タイプの場合には、その吸着剤の密度が上記範囲内であることが条件となる。また、吸着剤が粉体の場合には、かさ密度が所定の範囲内であることが条件となる。かさ密度は、体積既知容器に粉体を充填し、粒子間の空隙も含めた体積で、粉体の質量を除した値である。測定方法の一例としては、500mlメスシリンダーの開口部にロートを設置し、その上部より吸着剤を100mlまで充填し、充填された吸着剤重量を100で除して求めることができる。本実施の形態においては、吸着剤を充填した後、20回タップを行い、タップ後の体積で吸着剤重量を除した値も、かさ密度とみなしている。

0065

また、比表面積は、粉体粒子の表面に、吸着占有面積のわかった分子を吸着させて、定容量法により吸脱着等温線を測定し、その量から算出することができる。一般的には、上述した原理を利用した市販BET比表面積測定装置によって、液体窒素を吸着させて測定する。

0066

特に、吸着剤13として物理吸着剤が用いられる場合、一般的には、物理吸着剤は、化学吸着剤よりも単位重量当たりの吸着質の吸着量が小さいため、吸着性能を向上させる観点から、上述の4つのうち、少なくともいずれかの条件を満たしていればよい。なお、上述した(i)〜(iv)のすべての条件を満たしていることが好ましい。また、吸着剤13として化学吸着剤が用いられる場合であっても、この化学吸着剤が粒子状であれば、上述の4つのうち、少なくともいずれかの条件を満たしていればよい。なお、上述した(i)〜(iv)のすべての条件を満たしていることが好ましい。なお、吸着剤13として物理吸着剤および化学吸着剤が併用される場合でも、粒子状で用いられるのであれば、上述の4つのうち、少なくともいずれかの条件を満たしていればよい。なお、同様に(i)〜(iv)のすべての条件を満たしていることが好ましい。

0067

上述した条件のうち、(i)の条件、すなわち全粒子中、80体積%以上の粒子の範囲としては、0.01〜60μmの範囲内であることがより好ましい。また、(ii)の条件、すなわち平均粒径については、0.01〜20μmの範囲内であることがより好ましい。また、(iv)の条件、すなわち比表面積は、200〜800m2 /gの範囲内であることがより好ましい。これにより、吸着剤13として少なくとも物理吸着剤を用いた場合であっても、その吸着性能を良好なものとすることができる。

0068

また、吸着剤13として用いられる材料が、ブロック状またはシート状である場合、吸着剤13の形状は、(I)真空断熱材10の厚さT1(単位:mm)の60%以下の厚さT2(単位:mm)を有する(図2参照)形状、または、(II)その厚さT2(単位:mm)に対する厚さ方向に垂直な面の断面積CS(単位:mm2 )の比が、T2:CS=1:100〜1:250の範囲内にある形状に加工されていることが好ましい。もちろん、(I)および(II)の双方の条件を満たしていてもよいことはいうまでもない。

0069

上述した(I)の条件、すなわち、吸着剤13の厚さT2が、真空断熱材10の厚さT1の60%以下であれば、真空断熱材10の厚さ方向において吸着剤13を介した熱移動を抑制することができる。また、(II)の条件、すなわち、吸着剤13の厚さT2:断面積CS=1:100〜1:250の範囲内であれば、真空断熱材10の厚さ方向において、吸着剤13を介した熱移動を抑制できるとともに、真空断熱材10の内部で良好な吸着性能を実現でき、さらに、吸着剤13の形状保持性も良好なものとすることができる。

0070

なお、上述した(I)の条件に関して、吸着剤13の厚さT2が、真空断熱材10の厚さT1の60%を超えると、真空断熱材10の厚さ方向において、吸着剤13を介した熱移動が大きくなる。また、吸着剤13を介した熱移動をより有効に抑制する観点から、吸着剤13の厚さT2は、真空断熱材10の厚さT1の50%以下であると、より好ましい。

0071

さらに、上述した(I)の条件に関して、吸着剤13の厚さT2が、真空断熱材10の厚さT1の60%以下で30%を超えるときには、厚さ方向の上下の面を、断熱部材で積層または被覆することが好ましい。例えば、吸着剤13の上下両面を、芯材12と同様の無機繊維、または、無機繊維の不織布(例えば、ガラスクロス等)で被覆することができる。また、吸着剤13の上下両面を、伝熱性の高い材料で被覆することもできる。例えば、吸着剤13の上下両面にカーボンシートを積層することによって、吸着剤13に達した熱が、カーボンシートによって周囲の芯材12に逃がされるので、結果として、吸着剤13の断熱性を向上することができる。

0072

また、上述した(II)の条件に関して、吸着剤13の厚さT2に対する断面積CSの比が、上述の下限(T2:CS=1:100)を下回ると、吸着剤13が相対的に厚くなって、吸着剤13を介した熱移動を有効に抑制できなくなる可能性がある。また、吸着剤13の厚さT2に対する断面積CSの比が、上述の上限(T2:CS=1:250)を上回ると、吸着剤13が相対的に薄くなって、吸着質(ガス)が吸着剤13の外表面から内部に達するまでの時間(内部到達時間)が短すぎて、吸着剤13が十分に吸着質を吸着できない可能性がある。また、吸着剤13が相対的に薄くなることにより、割れ、または欠け等の破損が生じやすくなり、形状保持性が低下する可能性もある。

0073

なお、本実施の形態では、真空断熱材10の厚さT1および吸着剤13の厚さT2の単位がいずれも(mm)であり、吸着剤13の断面積CSの単位が(mm2)であるが、厚さの比、または、厚さと断面積との比を計算したときに、上述した(I)または(II)の範囲内となるのであれば、単位の種類は特に限定されない。

0074

本実施の形態に係る吸着剤13を用いることで、真空断熱材10の内部の真空度(減圧状態)を維持するとともに、水蒸気等により芯材が劣化する可能性を抑制することができる。特に、化学吸着剤による吸着は、物理吸着に比べて強固で、一般に不可逆吸着であるため、一度吸着した水分が脱離することがほとんどない。そのため、真空断熱材10の吸着剤13としては、化学吸着剤を好適に用いることができる。

0075

このように、本実施の形態によれば、壁材の裏面側に真空断熱材が配されている構成の住宅壁において、真空断熱材の内部部材として、外被材が破袋して内部に液体の水が進入したときに、水分に接触した場合に水素発生を伴わない材料が用いられる。これにより、万が一、外被材が破袋して液体としての水が真空断熱材の内部に進入したとしても、真空断熱材の内部で水素が発生することそのものを回避することができる。それゆえ、住宅壁に用いられる真空断熱材が破袋して、液体の水が内部部材に接触した場合であっても、住宅壁の安定性を良好に実現することができる。

0076

なお、本発明は、上述した実施の形態の記載に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態または複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。

0077

以上述べたように、本発明の第1の態様に係る住宅壁は、外被材と、外被材の内部に減圧密閉状態で封入される内部部材と、を有する真空断熱材と、壁材とを備えている。そして、真空断熱材は、壁材の裏面側に配されており、内部部材は、液体の水分に接触した場合に水素を発生しない材料で構成されている。

0078

このような構成によれば、内部部材が、液体の水分に接触した場合に、実質的に水素を発生しない材料であるため、万が一、外被材が破袋して液体としての水が真空断熱材の内部に進入したとしても、真空断熱材の内部で水素が発生することそのものを回避することができる。それゆえ、住宅壁に用いられる真空断熱材が破袋して、液体の水が内部部材に接触した場合であっても、住宅壁の安定性を良好に実現することができる。

0079

内部部材である吸着剤が化学吸着剤であれば、化学吸着剤が液体の水と吸着反応したときには、ガスとしての水分(すなわち水蒸気)と吸着反応するときよりも激しい化学反応を起こすことが想定される。これに対して、上述した構成であれば、真空断熱材の内部で水素が発生することそのものを回避することができるので、住宅壁の安定性を良好に実現することができる。

0080

また、第2の態様として、第1の態様において、真空断熱材が有する内部部材は、断熱性を有する芯材、および、外被材の内部のガスを吸着可能とする吸着剤を含む構成であってもよい。

0081

このような構成によれば、内部部材である芯材および吸着剤を、水分に接触した場合に水素発生を伴わない材料で構成するため、真空断熱材が破袋して液体の水が内部部材に接触した場合であっても、住宅壁としての安定性を良好に実現することができる。

0082

また、第3の態様として、第2の態様において、吸着剤を形成する元素材料として、水と化学反応しない材料、水と化学反応したときに1g当たりの水素発生量が80mL未満である材料、および、標準電極電位が−2.0V以上である材料のうち、少なくともいずれかの材料が用いられる構成であってもよい。

0083

このような構成によれば、上述したいずれかの条件を満たす材料であれば、実質的に、水分に接触した場合に水素発生を伴わない材料とみなすことができるので、真空断熱材が破袋して液体の水が内部部材に接触した場合であっても、住宅壁としての安定性を良好に実現することができる。

0084

また、第4の態様として、第2の態様または第3の態様において、吸着剤は、(1)粒径が0.01〜1400μmの範囲内のものを80体積%以上含む、(2)平均粒径が0.01〜1400μmの範囲内である、(3)密度が0.2〜1.4g/mLの範囲内である、および、(4)比表面積が200〜2000m2/gの範囲内である粒子状である、のうち、少なくともいずれかの条件を満たす構成であってもよい。

0085

このような構成によれば、吸着剤が上述の条件を満たすものであるため、水分に接触した場合に水素発生を伴わないだけでなく、良好な吸着性能を実現することができる。

0086

また、第5の態様として、第2の態様から第4の態様までのいずれかの態様において、吸着剤は、真空断熱材の厚さの60%以下の厚さを有する形状、または、その厚さ(例えば単位:mm)に対する断面積(例えば単位:mm2 )の比が、1:100〜1:250の範囲内にある形状に加工されている構成であってもよい。

0087

このような構成によれば、吸着剤が上述した条件を満たすものであるため、水分に接触した場合に水素発生を伴わないだけでなく、吸着剤を介する熱移動の発生を抑制して、断熱性の低下を回避することができる。

0088

また、第6の態様として、第5の態様において、吸着剤における、真空断熱材の厚さ方向の上下の面には、断熱部材が積層または被覆されている構成であってもよい。

0089

このような構成によれば、吸着剤が断熱部材によって覆われていることになるので、吸着剤を介する熱移動の発生を抑制して、断熱性の低下のおそれを回避することができる。

0090

また、第7の態様として、第2の態様から第6の態様までのいずれかの態様において、芯材は、無機繊維、または、熱硬化性発泡体で構成されてもよい。

0091

このような構成によれば、芯材が実質的に水分に接触した場合に水素発生を伴わない材料となるので、真空断熱材が破袋して液体の水が内部部材に接触した場合であっても、貯蔵されている低温物質に及ぼされる影響を回避または抑制することができる。

0092

また、第8の態様として、第1の態様から第7の態様までのいずれかの態様において、真空断熱材が壁材の裏面に固定され、断熱パネル材状である構成であってもよい。

0093

このような構成によれば、住宅壁が真空断熱材を含む断熱パネル材として構成されているため、断熱性および安定性に優れるだけでなく、取扱性にも優れた住宅壁を提供することができる。

0094

また、第9の態様として、住宅壁に用いられる真空断熱材も含まれる。すなわち、壁材を備えた住宅壁に用いられ、壁材の裏面側に配置された真空断熱材であって、外被材と、外被材の内部に減圧密閉状態で封入される内部部材と、を備えている。そして、内部部材は、液体の水分に接触した場合に水素を発生しない材料で構成されている。

0095

以上述べたように、本発明によれば、住宅壁に用いられる真空断熱材が破袋して、液体の水が内部部材に接触した場合であっても、住宅壁としての安定性を良好に実現することができるという格別な効果を奏することができる。よって、本発明は、断熱性が求められる、真空断熱材を備えた住宅壁、および、この住宅壁に用いられる真空断熱材等の分野に広く好適に用いることができ、有用である。

0096

10真空断熱材
11外被材(外包材)
12芯材
13吸着剤
20 住宅壁
21壁材
21a 表面
21b 裏面
22枠体
23釘部材
24,25気密材
26 コーキング材

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