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技術 硬化性樹脂組成物、硬化性樹脂成形体、硬化物、積層体、複合体および多層プリント配線板

出願人 インテル・コーポレーション
発明者 藤村誠伊賀隆志
出願日 2015年11月30日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2016-562300
公開日 2017年11月2日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 WO2016-088358
状態 特許登録済
技術分野 エポキシ樹脂 積層体(2) プリント板の材料 高分子組成物
主要キーワード 一次プレス 段差膜 油圧プレス装置 エッチング処理面 シリコンウェーハ基板 硬化性樹脂成形体 チオカルボン酸化合物 耐脆性
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この項目の情報は公開日時点(2017年11月2日)のものです。
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課題・解決手段

本発明は、導体層との密着性に優れる硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物の提供を目的とする。本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)と、トリアゾール化合物(B)と、下記式(I)で表される第3級アミン化合物(C)とを含む。なお式(I)中、R1、R2は各々独立して、−(R3O)nH(式中、R3は、炭素原子数2または3のアルキレン基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。)を表す。

化1】

概要

背景

近年、電子機器の小型化、多機能化通信高速化などの追求に伴い、電子機器中の半導体素子などに使用されるプリント基板のさらなる高密度化が要求されており、このような要求に応えるため、多層構造を有するプリント基板(以下、「多層プリント配線板」という。)が使用されている。そして、このような多層プリント配線板は、例えば、基材の両面に電気絶縁層を形成してなるコア基板と、そのコア基板の表面に形成された導体層(配線層)とからなる内層基板の上に、電気絶縁層を積層し、この電気絶縁層の上に導体層を形成した後、更に、内層基板上に電気絶縁層および導体層を順次形成してなる基板に対して電気絶縁層の積層と、導体層の形成とを繰り返し行なうことにより形成される。

このような多層プリント配線板の電気絶縁層には、導体層との間の密着性や、電気特性が良好であること等が求められている。電気絶縁層と導体層の間の密着性が弱い場合には、多層プリント配線板の作製中や実装中、更には多層プリント配線板としての使用中などにこれらの層間で剥離が起きてしまい、信頼性が十分に確保されなくなる虞があるからである。また、電気特性が十分ではなく、電気絶縁層の誘電正接が大きい場合には、電気信号劣化が大きくなり、多層プリント配線板の高性能化に十分に対応できないからである。

ここで従来から、電気絶縁層としては、硬化性樹脂組成物硬化してなる硬化物が用いられている。そこで、導体層との密着性および電気特性に優れる硬化物(電気絶縁層)を形成し得る硬化性樹脂組成物として、エポキシ樹脂活性エステル化合物トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、この特許文献1に記載の硬化性樹脂組成物によれば、誘電正接が小さく、且つ導体層に対して良好に密着しうる電気絶縁層を形成可能であり、加えて当該電気絶縁層は線膨張率も小さいと報告されている。

概要

本発明は、導体層との密着性に優れる硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物の提供を目的とする。本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)と、トリアゾール化合物(B)と、下記式(I)で表される第3級アミン化合物(C)とを含む。なお式(I)中、R1、R2は各々独立して、−(R3O)nH(式中、R3は、炭素原子数2または3のアルキレン基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。)を表す。

目的

本発明は、導体層との密着性に優れる硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

エポキシ化合物(A)と、トリアゾール化合物(B)と、下記式(I):[式中、R1、R2は各々独立して、−(R3O)nH(式中、R3は、炭素原子数2または3のアルキレン基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。)を表す。]で表される第3級アミン化合物(C)とを含む、硬化性樹脂組成物

請求項2

前記トリアゾール化合物(B)が、下記式(II):[式中、R4、R5は各々、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキルチオ基ベンジルチオ基エステル基水酸基、または、−NR6R7(式中、R6、R7は各々独立して、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、またはピリジル基を表す。)を表し、ここで、R4およびR5の少なくとも一方は、前記−NR6R7を表す。]または、下記式(III):[式中、R8、R9、R10は各々、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキルチオ基、ベンジルチオ基、エステル基、水酸基、または、−NR6R7(式中、R6、R7は各々独立して、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、またはピリジル基を表す。)を表し、ここで、R8、R9およびR10のうち少なくとも一つは、前記−NR6R7を表す。]で表されるアミノトリアゾール系化合物である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。

請求項3

前記トリアゾール化合物(B)の含有量と前記第3級アミン化合物(C)の含有量の合計中における前記第3級アミン化合物の含有量の割合が、20質量%以上80質量%以下である、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。

請求項4

更に活性エステル化合物を含む、請求項1〜3の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。

請求項5

更にポリフェニレンエーテル化合物を含む、請求項1〜4の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。

請求項6

請求項1〜5の何れかに記載の硬化性樹脂組成物を用いて形成した硬化性樹脂成形体

請求項7

請求項6に記載の硬化性樹脂成形体を硬化させてなる硬化物

請求項8

周波数GHzにおける誘電正接が0.010以下である、請求項7に記載の硬化物。

請求項9

請求項7または8に記載の硬化物と基材とが積層されてなる積層体

請求項10

請求項9に記載の積層体と、前記積層体の前記硬化物側の表面に形成された導体層と、を備える複合体。

請求項11

請求項10に記載の複合体を用いて形成した多層プリント配線板

技術分野

0001

本発明は、硬化性樹脂組成物硬化性樹脂成形体硬化物積層体複合体および多層プリント配線板に関するものである。

背景技術

0002

近年、電子機器の小型化、多機能化通信高速化などの追求に伴い、電子機器中の半導体素子などに使用されるプリント基板のさらなる高密度化が要求されており、このような要求に応えるため、多層構造を有するプリント基板(以下、「多層プリント配線板」という。)が使用されている。そして、このような多層プリント配線板は、例えば、基材の両面に電気絶縁層を形成してなるコア基板と、そのコア基板の表面に形成された導体層(配線層)とからなる内層基板の上に、電気絶縁層を積層し、この電気絶縁層の上に導体層を形成した後、更に、内層基板上に電気絶縁層および導体層を順次形成してなる基板に対して電気絶縁層の積層と、導体層の形成とを繰り返し行なうことにより形成される。

0003

このような多層プリント配線板の電気絶縁層には、導体層との間の密着性や、電気特性が良好であること等が求められている。電気絶縁層と導体層の間の密着性が弱い場合には、多層プリント配線板の作製中や実装中、更には多層プリント配線板としての使用中などにこれらの層間で剥離が起きてしまい、信頼性が十分に確保されなくなる虞があるからである。また、電気特性が十分ではなく、電気絶縁層の誘電正接が大きい場合には、電気信号劣化が大きくなり、多層プリント配線板の高性能化に十分に対応できないからである。

0004

ここで従来から、電気絶縁層としては、硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物が用いられている。そこで、導体層との密着性および電気特性に優れる硬化物(電気絶縁層)を形成し得る硬化性樹脂組成物として、エポキシ樹脂活性エステル化合物トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、この特許文献1に記載の硬化性樹脂組成物によれば、誘電正接が小さく、且つ導体層に対して良好に密着しうる電気絶縁層を形成可能であり、加えて当該電気絶縁層は線膨張率も小さいと報告されている。

先行技術

0005

特開2011−132507号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、近年では多層プリント配線板の高性能化の要求が高まり、硬化性樹脂組成物を硬化させてなる電気絶縁層(硬化物)の特性も更に向上させることが求められている。そのような状況の下、上記従来の硬化性樹脂組成物には、特に、得られる硬化物の導体層との密着性を更に向上させるという点において改善の余地があった。

0007

そこで、本発明は、導体層との密着性に優れる硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、導体層との密着性に優れる硬化物を形成可能な硬化性樹脂成形体を提供することを目的とする。
更に、本発明は、導体層との密着性に優れる硬化物、並びに、当該硬化物を用いて形成した積層体、複合体および多層プリント配線板を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、エポキシ化合物を含む硬化性樹脂組成物に、更にトリアゾール化合物および特定の構造を有する第3級アミン化合物の双方を添加することで、導体層との密着性に優れる硬化物の形成が可能となることを見出し、本発明を完成させた。

0009

即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)と、トリアゾール化合物(B)と、下記式(I):




[式中、R1、R2は各々独立して、−(R3O)nH(式中、R3は、炭素原子数2または3のアルキレン基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。)を表す。]
で表される第3級アミン化合物(C)とを含むことを特徴とする。このように、エポキシ化合物(A)、トリアゾール化合物(B)、および上記式(I)で表される第3級アミン化合物(C)を含有する硬化性樹脂組成物を硬化させることで、導体層との密着性に優れる硬化物を形成することができる。

0010

ここで、本発明の硬化性樹脂組成物では、前記トリアゾール化合物(B)が下記式(II):




[式中、R4、R5は各々、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキルチオ基ベンジルチオ基エステル基水酸基、または、−NR6R7(式中、R6、R7は各々独立して、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、またはピリジル基を表す。)を表し、ここで、R4およびR5の少なくとも一方は、前記−NR6R7を表す。]
または、下記式(III):




[式中、R8、R9、R10は各々、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキルチオ基、ベンジルチオ基、エステル基、水酸基、または、−NR6R7(式中、R6、R7は各々独立して、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、またはピリジル基を表す。)を表し、ここで、R8、R9およびR10のうち少なくとも一つは、前記−NR6R7を表す。]
で表されるアミノトリアゾール系化合物であることが好ましい。トリアゾール化合物(B)として上記式(II)または(III)で表されるアミノトリアゾール系化合物を用いれば、硬化物の導体層との密着性を高めることができるからである。

0011

そして、本発明の硬化性樹脂組成物において、前記トリアゾール化合物(B)の含有量と前記第3級アミン化合物(C)の含有量の合計中における前記第3級アミン化合物の含有量の割合が、20質量%以上80質量%以下であることが好ましい。トリアゾール化合物(B)と第3級アミン化合物(C)の含有量が上記の関係を満たせば、硬化物の導体層との密着性を高めることができるからである。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、更に活性エステル化合物を含むことが好ましい。活性エステル化合物を含めば、硬化性樹脂組成物の硬化を良好に進行させ硬化物を容易に形成でき、硬化物の導体層との密着性を高めつつ、また誘電正接を低下させることができるからである。
加えて、本発明の硬化性樹脂組成物は、更にポリフェニレンエーテル化合物を含むことが好ましい。

0012

また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の硬化性樹脂成形体は、上述した硬化性樹脂組成物の何れかを用いて形成したものであることを特徴とする。上述した硬化性樹脂組成物の何れかから形成した硬化性樹脂成形体を用いれば、導体層との密着性に優れる硬化物を形成することができる。

0013

更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の硬化物は、上述した硬化性樹脂成形体を硬化させたものであることを特徴とする。上述した硬化性樹脂成形体を硬化させて得られる硬化物は、導体層との密着性に優れる。

0014

ここで、本発明の硬化物は、周波数GHzにおける誘電正接が0.010以下であることが好ましい。周波数5GHzにおける誘電正接が0.010以下の硬化物を用いて電気絶縁層を形成すれば、電気信号の伝送損失を抑制し得る高性能な多層プリント配線板を製造することが可能だからである。
なお、本発明において、「周波数5GHzにおける誘電正接」は、空洞共振器摂動法を用いて測定することができる。

0015

そして、上述した硬化物を使用すれば、硬化物と基材とが積層されてなる積層体、積層体の硬化物側の表面に導体層を形成してなる複合体、および、複合体を用いて形成した多層プリント配線板を好適に形成することができる。

発明の効果

0016

本発明によれば、導体層との密着性に優れる硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、導体層との密着性に優れる硬化物を形成可能な硬化性樹脂成形体を提供することができる。
更に、本発明によれば、導体層との密着性に優れる硬化物、並びに、当該硬化物を用いて形成した積層体、複合体および多層プリント配線板を提供することができる。

0017

以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱などにより硬化させることが可能な樹脂組成物であり、本発明の硬化性樹脂成形体の製造に用いることができる。また、本発明の硬化性樹脂組成物を用いて形成した本発明の硬化性樹脂成形体は、電気絶縁層等として好適に使用し得る本発明の硬化物の製造に用いることができる。そして、本発明の硬化物は、硬化物と基材とが積層されてなる積層体、当該積層体の硬化物側の表面に導体層を形成してなる複合体、および、当該複合体を用いて形成した多層プリント配線板の製造に好適に用いることができる。

0018

(硬化性樹脂組成物)
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)、トリアゾール化合物(B)、および第3級アミン化合物(C)を含むことを特徴とする。なお、本発明の硬化性樹脂組成物は、上記成分に加え、活性エステル化合物、ポリフェニレンエーテル化合物、溶媒、そして電気絶縁層の形成に使用される樹脂組成物に一般に配合されるその他の添加剤を含有していてもよい。

0019

<エポキシ化合物(A)>
エポキシ化合物(A)としては、特に限定されることなく、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物、例えば、脂環式オレフィン構造を有するエポキシ化合物、フルオレン構造を有するエポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノールAF型エポキシ化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、tert−ブチルカテコール型エポキシ化合物、ナフトール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物ビフェニル型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、線状脂肪族エポキシ化合物ブタジエン構造を有するエポキシ化合物、複素環式エポキシ化合物、スピロ環含有エポキシ化合物シクロヘキサンジメタノール型エポキシ化合物、トリメチロール型エポキシ化合物、等が挙げられる。
これらは、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。

0020

これらのなかでも、硬化性樹脂組成物、当該硬化性樹脂組成物を用いた硬化性樹脂成形体および当該硬化性樹脂成形体を硬化させて得られる硬化物などの機械特性および耐熱性を良好なものとすることができるという点より、エポキシ化合物(A)としては、グリシジル基を2つ以上有するエポキシ化合物が好ましく、ビフェニル型エポキシ化合物および脂環式オレフィン構造を有するエポキシ化合物が更に好ましい。また、硬化物の電気特性や耐熱性を更に良好なものとすることができるという点からは、エポキシ化合物(A)としては、脂環式オレフィン構造を有するエポキシ化合物またはビフェニル型エポキシ化合物と、1分子中に3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物との混合物を用いることが特に好ましい。

0021

なお、脂環式オレフィン構造を有するエポキシ化合物としては、特に限定されることなく、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物が挙げられる。そして、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物としては、例えば、商品名「エピクロンHP7200L」、「エピクロンHP7200」、「エピクロンHP7200H」、「エピクロンHP7200HH」、「エピクロンHP7200HHH」(以上、DIC社製);商品名「Tactix558」(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製);商品名「XD−1000−1L」、「XD−1000−2L」(以上、日本化薬社製)が挙げられる。
また、ビフェニル型エポキシ化合物としては、例えば、商品名「NC−3000H」、「NC−3000L」、「NC−3000」、「NC−3100」(以上、日本化薬社製);商品名「YX4000」、「YX4000H」、「YX4000HK」、「YL6121」(以上、三菱化学社製)が挙げられる。
更に、多官能エポキシ化合物としては、例えば、商品名「1031 S」、「630」、「604」、「1032 H60」(以上、三菱化学社製)が挙げられる。

0022

<トリアゾール化合物(B)>
本発明で用いられるトリアゾール化合物(B)は、トリアゾール環(1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環)を有する化合物であれば特に限定されない。トリアゾール化合物(B)および後述する第3級アミン化合物(C)の双方を硬化性樹脂組成物に含めることで、得られる硬化物の導体層との密着性を高めることができる。
ここで、トリアゾール化合物(B)としては、アミノトリアゾール系化合物や、ベンゾトリアゾール系化合物が挙げられ、アミノトリアゾール系化合物が好ましい。なお、トリアゾール化合物(B)は、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。

0023

[アミノトリアゾール系化合物]
アミノトリアゾール系化合物は、トリアゾール環およびアミノ基(トリアゾール環を構成するものを除く)を有する化合物であれば特に限定されない。
アミノトリアゾール系化合物としては、例えば、下記の一般式(II)または(III)で表される化合物が挙げられる。

0024

[式中、R4、R5は各々、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキルチオ基、ベンジルチオ基、エステル基、水酸基、または、−NR6R7(式中、R6、R7は各々独立して、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、またはピリジル基を表す。)を表し、ここで、R4およびR5の少なくとも一方は、前記−NR6R7を表す。]

0025

[式中、R8、R9、R10は各々、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキルチオ基、ベンジルチオ基、エステル基、水酸基、または、−NR6R7(式中、R6、R7は各々独立して、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、またはピリジル基を表す。)を表し、ここで、R8、R9およびR10のうち少なくとも一つは、前記−NR6R7を表す。]

0026

[ベンゾトリアゾール系化合物]
ベンゾトリアゾール系化合物としては、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(但し、トリアゾール環を構成するアミノ基以外のアミノ基を有するものを除く)であれば特に限定されないが、例えば、下記の一般式(IV)で表される化合物が好ましい。

0027

[式中、R11はベンゼン環上の置換基であって、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基メルカプト基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシカルボニル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基等を表し、nは0以上4以下の整数であって、nが2以上である場合は、n個のR11は同一であっても異なっていても良い。また、式中、R12は、水素原子、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、炭素原子数1以上12以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、メルカプト基、炭素原子数1以上12以下のアルコキシカルボニル基、又は炭素原子数1以上12以下のアルコキシ基等を表す。]

0028

本発明の硬化性樹脂組成物では、トリアゾール化合物(B)の含有量は、エポキシ化合物(A)100質量部当たり、0.01質量部以上であることが好ましく、0.03質量部以上であることがより好ましく、0.05質量部以上であることが更に好ましく、13質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、8質量部以下であることが更に好ましい。エポキシ化合物(A)100質量部当たりの化合物(B)の含有量を0.01質量部以上とすれば、硬化物の導体層との密着性を高めることができるからである。また、エポキシ化合物(A)100質量部当たりの化合物(B)の含有量を13質量部以下とすれば、耐熱性の低下を抑制できるからである。

0029

<第3級アミン化合物(C)>
本発明の硬化性樹脂組成物は、以下の式(I)で表される第3級アミン化合物(C)を含むことが必要である。

0030

[式中、R1、R2は各々独立して、−(R3O)nH(式中、R3は、炭素原子数2または3のアルキレン基を表し、nは1以上3以下の整数を表す)を表す。]
なお、炭素原子数2または3のアルキレン基としては、−CH2(CH3)−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2(CH3)−、および−CH2(CH3)CH2−が挙げられる。
また、第3級アミン化合物(C)は、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。

0031

本発明の硬化性樹脂組成物では、第3級アミン化合物(C)の含有量は、エポキシ化合物(A)100質量部当たり、0.01質量部以上であることが好ましく、0.03質量部以上であることがより好ましく、0.05質量部以上であることが更に好ましく、13質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、8質量部以下であることが更に好ましい。エポキシ化合物(A)100質量部当たりの化合物(C)の含有量を0.01質量部以上とすれば、硬化性樹脂組成物の保存安定性および硬化物の導体層との密着性を高めることができるからである。また、エポキシ化合物(A)100質量部当たりの化合物(C)の含有量を13質量部以下とすれば、耐熱性の低下を抑制できるからである。

0032

また、本発明の硬化性樹脂組成物では、トリアゾール化合物(B)の含有量と第3級アミン化合物(C)の含有量の合計中における第3級アミン化合物の含有量の割合が、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、また80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。化合物(B)と化合物(C)の合計中の化合物(C)の割合を上述の範囲内とすれば、硬化物の導体層との密着性を向上させることができる。

0033

<活性エステル化合物>
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に活性エステル化合物を含むことが好ましい。活性エステル化合物は硬化性樹脂組成物を硬化させる硬化剤として機能しうり、硬化性樹脂組成物が活性エステル化合物を含めば、硬化を良好に進行させ硬化物を容易に形成でき、硬化物の導体層との密着性を高めつつ、また誘電正接を低下させることができるからである。

0034

ここで、活性エステル化合物としては、エポキシ化合物(A)のエポキシ基に対する反応性を有する基である活性エステル基を有する化合物を用いることができる。そして、活性エステル化合物としては、1分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する化合物を用いることが好ましい。なお、活性エステル基とは、エポキシ基と反応する際に、開環したエポキシ基の−O−部分と反応して水酸基(−OH)を形成しないエステル基である。より具体的には、活性エステル基とは、エポキシ基と反応する際にプロトン(H+)以外の電子吸引基を生じるエステル基である。

0035

具体的には、活性エステル化合物としては、耐熱性等の観点から、カルボン酸化合物および/またはチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物および/またはチオール化合物とを、例えば、縮合反応させたものから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物と、フェノール化合物ナフトール化合物およびチオール化合物からなる群から選択される1種または2種以上とを反応させたものから得られる活性エステル化合物がより好ましく、カルボン酸化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させたものから得られ、かつ、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する芳香族化合物が特に好ましい。なお、活性エステル化合物の調製に用い得るカルボン酸化合物、チオカルボン酸化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物およびチオール化合物としては、例えば、特開2011−132507号公報に記載されている化合物が挙げられる。

0036

また、活性エステル化合物としては、たとえば、特開2002−12650号公報および特開2004−277460号公報に開示されている活性エステル化合物、あるいは、市販のものを用いることができる。市販されている活性エステル硬化剤としては、たとえば、商品名「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」(以上、DIC社製)などが挙げられる。

0037

本発明の硬化性樹脂組成物では、硬化を良好に進行させる観点から、活性エステル化合物の含有量は、エポキシ化合物(A)100質量部当たり、10質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが更に好ましく、150質量部以下であることが好ましく、130質量部以下であることがより好ましく、120質量部以下であることがさらに好ましい。

0038

<溶媒>
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、硬化性樹脂組成物の調製時に使用される有機溶媒などの溶媒が含まれていてもよい。

0039

<その他の添加剤>
更に、本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、上述した成分以外にも、無機充填材硬化促進剤、ポリフェニレンエーテル化合物などのその他の添加剤を含有していてもよい。

0040

無機充填材としては、工業的に一般に使用される無機充填材を用いることができる。具体的には、無機充填材としては、例えば、特開2012−136646号公報に記載の無機充填材を用いることができる。その中でも、微細粒子が得やすいため、特にシリカが好ましい。なお、無機充填材は、シランカップリング剤処理や、ステアリン酸などの有機酸処理をしたものであってもよく、分散性耐水性などの観点からはシランカップリング剤処理したものが好ましい。

0041

ここで、本発明の硬化性樹脂組成物では、無機充填材を配合することにより、硬化物の線膨張率を低くすることができる。そして、本発明の硬化性樹脂組成物では、硬化物とした場合の線膨張率を十分に低くする観点から、無機充填材の含有割合固形分換算)は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、また好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。

0042

硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリアミン芳香族ポリアミン、第2級アミン酸無水物イミダゾール誘導体テトラゾール誘導体有機酸ヒドラジドジシアンジアミドおよびその誘導体尿素誘導体などが挙げられるが、これらのなかでも、イミダゾール誘導体が特に好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物における硬化促進剤の含有量は、例えばエポキシ化合物(A)や活性エステル化合物の含有量に応じて適宜設定することができる。

0043

また、硬化性樹脂組成物には、上述した成分に加えて、ポリフェニレンエーテル化合物を更に配合してもよい。ポリフェニレンエーテル化合物を配合すれば、硬化性樹脂組成物を用いて形成した硬化物(電気絶縁層)の耐熱性を高めると共に誘電正接を低減することができる。更に、硬化性樹脂組成物には、難燃剤難燃助剤耐熱安定剤、耐候安定剤老化防止剤紫外線吸収剤レーザー加工性向上剤)、レベリング剤帯電防止剤スリップ剤アンチブロッキング剤防曇剤滑剤染料天然油合成油ワックス乳剤磁性体、誘電特性調整剤、靭性剤などの任意添加剤を任意の配合量で配合してもよい。

0044

<硬化性樹脂組成物の調製方法
そして、上述した硬化性樹脂組成物は、特に限定されることなく、上記各成分をそのまま混合して調製してもよいし、上記各成分を有機溶媒などの溶媒に溶解もしくは分散させた状態で混合して調製してもよいし、上記各成分の一部を溶媒に溶解もしくは分散させた状態の組成物を調製し、当該組成物に残りの成分を混合して調製してもよい。

0045

(硬化性樹脂成形体)
本発明の硬化性樹脂成形体は、上述した本発明の硬化性樹脂組成物を例えばシート状またはフィルム状などの任意の形状に成形したものである。そして、本発明の硬化性樹脂成形体としては、特に限定されることなく、本発明の硬化性樹脂組成物をシート状またはフィルム状に成形してなるフィルムや、本発明の硬化性樹脂組成物を繊維基材含浸させることによりシート状またはフィルム状の複合成形体の形態としてなるプリプレグが挙げられる。
なお、本発明の硬化性樹脂成形体は、本発明の硬化性樹脂組成物を用いて形成されているので、導体層との密着性に優れる硬化物を形成可能である。

0046

<フィルム>
ここで、本発明の硬化性樹脂成形体としてのフィルムは、必要に応じて溶媒を添加した本発明の硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布し、次いで、必要に応じて支持体上の硬化性樹脂組成物を乾燥することにより形成することができる。そして、上述のように得られるフィルムは、支持体上に付着させた状態のままで、或いは、支持体から剥がしてから、使用される。

0047

フィルムの形成に用いる支持体としては、例えば国際公開第2012/090980号に記載の樹脂フィルム金属箔などが挙げられる。
なお支持体を剥離する前に、多層プリント配線板において、積層方向に互いに離隔した導体層同士を電気的に接続するビア用の穴を形成する場合であって穴の形成にレーザー加工を用いる場合には、支持体は紫外線吸収性を有していることが好ましい。支持体が紫外線吸収性を有していれば、エキシマレーザーUVレーザー、UV−YAGレーザーなどを用いたレーザー加工が容易になるからである。更に、支持体が紫外線吸収性を有していれば、穴の形成後に紫外線を利用し、デスミア処理(発生した樹脂残渣などのスミアの除去)を実施する場合等に、支持体で紫外線を吸収し、電気絶縁層の表面が荒れるのを十分に抑制することもできるからである。
なお、本発明において、「紫外線吸収性を有する」とは、紫外可視吸光光度計により測定した波長355nmにおける光透過率が20%以下であることを指す。

0048

また、硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、ディップコートロールコート、カーテンコート、ダイコートスリットコート、グラビアコートなどが挙げられる。

0049

更に、支持体上に塗布した硬化性樹脂組成物を乾燥する際の温度は、本発明の硬化性樹脂組成物が硬化しない程度の温度とすることが好ましく、通常、20℃以上300℃以下、好ましくは30℃以上200℃以下である。乾燥温度が高すぎると、硬化反応が進行しすぎてしまうおそれがある。また、乾燥時間は、通常、30秒以上1時間以下、好ましくは1分以上30分以下である。

0050

なお、フィルムの厚さは、特に限定されないが、作業性などの観点から、通常、1μm以上150μm以下、好ましくは2μm以上100μm以下、より好ましくは5μm以上80μm以下である。

0051

そして、フィルムは、硬化性樹脂組成物が未硬化または半硬化の状態であることが好ましい。ここで未硬化とは、フィルムを、エポキシ化合物(A)を溶解可能な溶剤漬けたときに、実質的にエポキシ化合物(A)の全部が溶解する状態をいう。また、半硬化とは、加熱すれば更に硬化しうる程度に途中まで硬化された状態であり、好ましくは、フィルムを、エポキシ化合物(A)を溶解可能な溶剤に漬けたときに、エポキシ化合物(A)の一部(具体的には7質量%以上)が溶解する状態であるか、あるいは、溶剤中にフィルムを24時間浸漬した後の体積が、浸漬前の体積の200%以上となる状態をいう。

0052

なお、本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなるフィルムは、2層以上の複層多層構造フィルムとしてもよい。具体的には、フィルムは、多層プリント配線板の製造等に使用されるフィルムであって、一方の層が基材の表面と接着する接着層よりなり、他方の層が表面に導体層を形成される被めっき層よりなる2層構造のフィルムとしてもよい。

0053

<プリプレグ>
また、本発明の硬化性樹脂成形体としてのプリプレグは、必要に応じて溶媒を添加した本発明の硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させ、次いで、必要に応じて硬化性樹脂組成物を乾燥させることにより形成することができる。

0054

ここで、プリプレグの形成に用いる繊維基材としては、たとえば、ポリアミド繊維ポリアラミド繊維ポリエステル繊維などの有機繊維や、ガラス繊維カーボン繊維などの無機繊維が挙げられる。また、繊維基材の形態としては、平織りもしくは綾織りなどの織布の形態、または不織布の形態などが挙げられる。

0055

また、硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させる方法としては、特に限定されないが、粘度などを調整するために溶媒を添加した硬化性樹脂組成物に繊維基材を浸漬する方法や、溶媒を添加した硬化性樹脂組成物を繊維基材に塗布する方法などが挙げられる。塗布する方法においては、支持体の上に置いた繊維基材に対し、溶媒を添加した硬化性樹脂組成物を塗布することができる。

0056

ここで、繊維基材に含浸させた硬化性樹脂組成物の乾燥は、上述したフィルムと同様にして行うことができる。そして、プリプレグは、上述したフィルムと同様に、硬化性樹脂組成物が未硬化または半硬化の状態で含有されていることが好ましい。

0057

なお、プリプレグの厚さは、特に限定されないが、作業性などの観点から、通常、1μm以上150μm以下、好ましくは2μm以上100μm以下、より好ましくは5μm以上80μm以下である。また、プリプレグ中の繊維基材の量は、通常、20質量%以上90質量%以下、好ましくは30質量%以上85質量%以下である。

0058

(硬化物)
本発明の硬化物は、上述の方法により得られる本発明の硬化性樹脂成形体に対して硬化処理を行なうことで、得ることができる。硬化処理は、通常、本発明の硬化性樹脂成形体に対する加熱処理である。
なお、本発明の硬化物は、本発明の硬化性樹脂成形体を硬化して形成しているので、導体層との密着性に優れている。

0059

硬化性樹脂成形体を硬化させる際の硬化温度は、通常、30℃以上400℃以下、好ましくは70℃以上300℃以下、より好ましくは100℃以上250℃以下である。また、硬化時間は、0.1時間以上5時間以下、好ましくは0.5時間以上3時間以下である。そして、加熱の方法は特に制限されず、例えば電気オーブンなどを用いて行えばよい。

0060

ここで、本発明の硬化物は、電気信号の伝送損失を抑制し得る高性能な多層プリント配線板を製造する観点からは、周波数5GHzにおける誘電正接が0.010以下であることが好ましい。ここで、硬化物の誘電正接は、例えば硬化性樹脂組成物の組成を変更することにより調整することができ、例えば硬化性樹脂組成物に含まれている樹脂などが有する極性基の数を減らせば硬化物の誘電正接を低くすることができる。

0061

(積層体)
本発明の積層体は、上述した本発明の硬化物と、基材とを積層してなるものである。そして、本発明の積層体は、例えば、上述した本発明の硬化性樹脂成形体を基材上に積層し、基材上で硬化性樹脂成形体を硬化することにより得ることができる。

0062

ここで、基材としては、例えば、表面に導体層を有する基板を用いることができる。表面に導体層を有する基板は、例えば、電気絶縁性基板の表面に導体層を有するものである。電気絶縁性基板は、公知の電気絶縁材料(たとえば、脂環式オレフィン重合体、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタアクリル樹脂ジアリルフタレート樹脂トリアジン樹脂ポリフェニレンエーテルガラス等)を含有する樹脂組成物を硬化して形成されたものである。導体層は、特に限定されないが、通常、導電性金属等の導電体により形成された配線を含む層であって、更に各種の回路を含んでいてもよい。配線や回路の構成、厚み等は、特に限定されない。表面に導体層を有する基板の具体例としては、プリント配線基板シリコンウェーハ基板等を挙げることができる。そして、表面に導体層を有する基板の厚みは、通常、10μm以上10mm以下、好ましくは20μm以上5mm以下、より好ましくは30μm以上2mm以下である。
なお、表面に導体層を有する基板は、本発明の硬化性樹脂成形体を硬化させてなる硬化物との密着性を向上させる観点から、既知の方法で前処理されていてもよい。
ここで既知の前処理としては、例えば、導体層と硬化物の間の密着性を確保することを目的として、防錆剤を導体層上に塗布する処理が挙げられる。しかしながら、本発明の硬化性樹脂成形体を形成してなる硬化物は、上述したトリアゾール化合物(B)および第3級アミン化合物(C)の寄与により、上記防錆剤を塗布する処理を省略しても、十分な密着性向上効果を得ることができる。
また、トリアゾール化合物(B)および第3級アミン化合物(C)は、本願発明のように硬化性樹脂組成物中に配合することで、導体層上に塗布して用いられた場合に比して優れた密着性向上効果を発揮する。この原因は定かではないが、これらを硬化性樹脂組成物中に配合することで、得られる硬化物の強度(耐脆性弾性率等の機械的強度)が向上するからであると推察される。

0063

(複合体および多層プリント配線板)
本発明による複合体は、本発明の積層体と、当該積層体における硬化物側の表面に形成された導体層とを備えるものである。かかる複合体は、上述の積層体について、硬化性樹脂成形体を硬化した層(硬化物)の表面上に金属めっきや金属箔により導体層を更に形成することにより得ることができる。

0064

そして、当該複合体は、例えば多層プリント配線板として用いることができる。具体的には、積層体における硬化物側の表面に形成された導体層上で本発明による硬化性樹脂成形体を硬化させて電気絶縁層を生成した後、例えば特開2012−136646号公報に記載の方法に従って更なる導体層を形成することで、所望の多層プリント配線板を得ることができる。

0065

このようにして得られる本発明の複合体および本発明の複合体の一例としての多層プリント配線板は、本発明の硬化性樹脂成形体を硬化させてなる電気絶縁層(本発明の硬化物)を有してなり、当該電気絶縁層は、導体層との密着性に優れているので、各種用途に好適に用いることができる。

0066

以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
実施例および比較例において、硬化性樹脂組成物の保存安定性、硬化物の誘電正接、並びに硬化物の導体への初期密着性および高温高湿試験後の密着性は、それぞれ以下の方法を使用して評価した。

0067

<保存安定性>
硬化性樹脂組成物のフィルム(硬化性樹脂成形体)を6日間、室温下に保存した。次いで、内層回路基板(IPC MULTI−PURPOSE TESTBOARD No.IPC−B−25パターン、導体厚30μm、基板厚さ0.8mm)の両面に、保存後の上記フィルムを、硬化性樹脂組成物側の面が接するように積層した。積層は、一次プレスは、耐熱ゴムプレス板を上下に備えた真空ラミネータにて、200Paの減圧下で温度110℃、圧力0.7MPaで30秒間の加熱圧着にて行い、さらに、金属製プレス板を上下に備えた油圧プレス装置を用いて、圧着温度110℃、1MPaで60秒間、加熱圧着した。この積層体から支持体を剥がし、180℃で30分間硬化した。硬化後、導体幅165μm、導体間隔165μmのくし型パターン部分の導体がある部分とない部分との段差最大値触針段差膜厚計(Tencor Instruments製 P−10)にて測定し、以下の基準で評価した。この段差の最大値が小さいほど、保存後の硬化性樹脂組成物を用いて得られる硬化物の配線埋め込み平坦性が優れることを示し、すなわち、硬化性樹脂組成物の保存安定性が優れることを示す。
A:段差の最大値が4μm未満
B:段差の最大値が4μm以上
<誘電正接>
調製したフィルム状の硬化物から幅2.6mm、長さ80mm、厚さ40μmの小片切り出し、空洞共振器摂動法誘電率測定装置を用いて5GHzにおける誘電正接の測定を行なった。
<初期密着性>
厚さ35μmの電解銅箔の表面をエッチング剤(商品名「CZ−8101」、メック社製)で約1μmエッチングした。得られた電解銅箔のエッチング処理面に、フィルムの硬化性樹脂組成物側の面が接するように積層し、真空ラミネータにて、真空度1kPa以下、110℃、30秒間、圧力0.7MPaの条件で加熱圧着した。次に、フィルムの前記硬化性樹脂組成物側の面と反対側の面から支持体を剥がし、現れた硬化性樹脂組成物の表面に、前記エッチング剤で約2μmエッチングしたガラスエポキシ銅張積層板(FR−4)のエッチング処理面を重ね、真空ラミネータにて前記と同条件で加熱圧着した。その後、オーブンにて180℃で30分間、ついで190℃で90分間加熱することにより複合体サンプルを得た。得られた複合体サンプルからの銅箔の引き剥がし強さ(ピール強度)をJIS C6481に準じて測定し、以下の基準で評価した。
A:ピール強度が6.0kN/m以上
B:ピール強度が5.5kN/m以上6.0kN/m未満
C:ピール強度が5.0kN/m以上5.5kN/m未満
D:ピール強度が5.0kN/m未満
<高温高湿試験後の密着性>
上記「初期密着性」と同様にして得られた複合体サンプル表面の銅箔を幅10mm残してそれ以外の部分の銅箔を剥離した試料を、温度130℃、湿度85%RHの恒温恒湿槽中で100時間放置した後、この複合体サンプルからの銅箔の引きはがし強さ(ピール強度)をJIS C6481に準じて測定し、以下の基準で評価した。
A:ピール強度が4.0kN/m以上
B:ピール強度が3.5kN/m以上4.0kN/m未満
C:ピール強度が3.0kN/m以上3.5kN/m未満
D:ピール強度が3.0kN/m未満

0068

(実施例1)
<硬化性樹脂組成物の調製>
エポキシ化合物(A)としてのビフェニルジメチレン骨格ノボラック型エポキシ樹脂(商品名「NC−3000L」、日本化薬社製、エポキシ当量269)100部、トリアゾール化合物(B)としての3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール和光純薬社製、式(II)中のR4が−NH2、R5がH(水素原子)である化合物に相当)をエタノールに8%溶解した溶液12.5部(3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール換算で1部)、第3級アミン化合物(C)としてのN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)-N-シクロヘキシルアミン(商品名「ワンダミン(登録商標)CHE−20P」、新日本理化社製、式(I)中のR1およびR2が−CH2CH2OHである化合物に相当)1部、活性エステル化合物(商品名「エピクロンHPC−8000−65T」、不揮発分65%のトルエン溶液、DIC社製、活性エステル基当量223)127.7部(活性エステル化合物換算で83部)、無機充填材としてのシリカ(商品名「SC2500−SXJ」、アドマテクス社製)351部、老化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「イルガノックス(登録商標)3114」、BASF社製)1部、及びアニソール110部を混合し、遊星式攪拌機で10分間攪拌した。更にこれに、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾールをエタノールに20%溶解した溶液(商品名「キュアゾール(登録商標)2PZ」、四国化成社製)15部(2−フェニルイミダゾール換算で3部)を混合し、遊星式攪拌機で5分間攪拌して硬化性樹脂組成物のワニスを得た。なお、ワニス中、充填剤の含有量は、固形分換算で65%であった。
<フィルムの作製>
上記にて得られた硬化性樹脂組成物のワニスを、ダイコーターを用いて、縦300mm×横300mmの大きさで厚さが38μm、表面平均粗度Raが0.08μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔支持体:ルミラー(登録商標)T60 東レ社製〕上に塗布し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で10分間乾燥し、支持体上に厚さ43μmの硬化性樹脂組成物のフィルム(硬化性樹脂成形体)を得た。そして、得られたフィルムを用いて、上記方法に従って保存安定性、並びに初期密着性および高温高湿試験後の密着性を評価した。結果を表1に示す。
フィルム状硬化物の作製>
ついで、得られたフィルムから切り出した小片を、厚さ10μmの銅箔に、支持体が付いた状態で、フィルムが内側(銅箔側)になるようにして積層した。そして、支持体付きフィルムと銅箔との積層体について、耐熱性ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用い、200Paに減圧して、温度110℃、圧力0.1MPaで60秒間加熱圧着した。その後、支持体を剥がして、180℃30分間、次いで190℃90分間空気中で加熱硬化した。硬化後、銅箔付き硬化樹脂を切り出し、銅箔を1mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液にて溶解し、フィルム状の硬化物を得た。得られたフィルム状硬化物を用いて、上記方法に従って硬化物の誘電正接の測定を行った。結果を表1に示す。

0069

(実施例2〜5)
硬化性樹脂組成物の調製の際に、トリアゾール化合物(B)としての3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、第3級アミン化合物(C)としてのN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)-N-シクロヘキシルアミン、および無機充填剤の配合量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物、フィルム、およびフィルム状硬化物を作製した。そして実施例1と同様の項目について評価した。結果を表1に示す。

0070

(実施例6)
硬化性樹脂組成物の調製の際に、さらにポリフェニレンエーテル化合物としての両末端スチリル基変性ポリフェニレンエーテル化合物(商品名「OPE−2St1200」、三菱斯化学社製、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチルビフェニル−4,4’−ジオール・2,6−ジメチルフェノール重縮合物クロロメチルスチレンとの反応生成物、数平均分子量(Mn)=1200、60%トルエン溶液)を167部(ポリフェニレンエーテル化合物換算で100部)、硬化剤としてのジクミルパーオキサイド(商品名「パーカドックスBC−FF」、化薬アクゾ社製)をトルエンに50%溶解した溶液2部(ジクミルパーオキサイド換算で1部)を使用し、無機充填剤の配合量を535部に変更した以外は、実施例2と同様にして、硬化性樹脂組成物を作製した。
そして、フィルムの作製の際に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを、離型剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムに変更した以外は、実施例2と同様にして、フィルムを作製した。
さらに、フィルム状硬化物の作製の際に、支持体を剥がさず、180℃30分間熱処理し、次いで支持体を剥離して190℃90分間空気中で加熱硬化した以外は、実施例2と同様にして、フィルム状硬化物を作製した。
そして実施例1と同様の項目について評価した。結果を表1に示す。

0071

(比較例1)
硬化性樹脂組成物の調製の際に、トリアゾール化合物(B)としての3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾールの配合量を13部に変更し、第3級アミン化合物(C)を使用せず、そして無機充填剤の配合量を371部に変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物、フィルム、およびフィルム状硬化物を作製した。そして実施例1と同様の項目について評価した。結果を表1に示す。

0072

(比較例2)
硬化性樹脂組成物の調製の際に、トリアゾール化合物(B)を使用せず、第3級アミン化合物(C)としてのN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)-N-シクロヘキシルアミンの配合量を13部に変更し、そして無機充填剤の配合量を371部に変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物、フィルム、およびフィルム状硬化物を作製した。そして実施例1と同様の項目について評価した。結果を表1に示す。

0073

(比較例3)
<比較例3−1>
トリアゾール化合物(B)および第3級アミン化合物(C)を何れも使用せず、そして無機充填剤の配合量を347部に変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物、フィルム、およびフィルム状硬化物を作製した。そして実施例1と同様の項目について評価した。結果を表1に示す。

0074

<比較例3−2>
比較例3−1の硬化性樹脂組成物を用いて、導体層にトリアゾール化合物(B)および第3級アミン化合物(C)の前処理を施した際の密着性を評価した。具体的には、「初期密着性」、「高温高湿後の密着性」の評価の際に、厚さ35μmの電解銅箔の表面をエッチング剤(商品名「CZ−8101」、メック社製)で約1μmエッチングし、得られた電解銅箔のエッチング処理面に、トリアゾール化合物(B)としての3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール0.2部と、第3級アミン化合物(C)としてのN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)-N-シクロヘキシルアミン0.2部と、水50部とを混合してなる組成物を塗布し100℃で1時間乾燥する処理を行い、当該電解銅箔を用いて複合体サンプルを作製し、実施例1と同様にしてピール強度の評価を行った。結果を表1に示す。

0075

実施例

0076

表1より、実施例1〜6の硬化物は、導体層との密着性に優れていることがわかる。加えて、実施例1〜6の硬化性樹脂組成物は、保存安定性に優れていることがわかる。
一方で、比較例1は、硬化物と導体層との密着性が確保できておらず、また硬化性樹脂組成物の保存安定性も確保できていないことがわかる。また比較例2、3−1は、硬化性樹脂組成物の保存安定性に優れるものの、硬化物と導体層との密着性を確保できていないことがわかる。更に比較例3−2では、トリアゾール化合物(B)と3級アミン化合物(C)を、導体層上に塗布する前処理を行っても、実施例1〜6に比して硬化物と導体層との密着性に劣ることがわかる。

0077

本発明によれば、導体層との密着性に優れる硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、導体層との密着性に優れる硬化物を形成可能な硬化性樹脂成形体を提供することができる。
更に、本発明によれば、導体層との密着性に優れる硬化物、並びに、当該硬化物を用いて形成した積層体、複合体および多層プリント配線板を提供することができる。

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