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技術 性ホルモンのバランスの乱れに起因する症状の予防又は改善剤

出願人 森永乳業株式会社
発明者 三澤江里子姚瑞卿齊藤万里江田中美順
出願日 2015年11月27日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2016-561967
公開日 2017年4月27日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 WO2016-084956
状態 特許登録済
技術分野 化合物または医薬の治療活性 食品の着色及び栄養改善 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬
主要キーワード 記載行 最終照射 認定委員会 総照射量 知覚鈍麻 プランツ 商品パッケージ 科学的根拠
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

日常的に安全に摂取でき、可能な限り苦痛を伴うことなく、性ホルモンバランス乱れにより引き起こされる症状を効率よく予防又は改善し得る手段を提供する。ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を性ホルモンバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善剤の有効成分として使用する。

概要

背景

ホルモンは、内分泌腺から分泌され、血液を介して体内標的部位に作用し、活動を制御する化学物質である。ホルモンは全身循環するが、多くのホルモンは特定の臓器又は組織にのみ作用する。標的部位には、ホルモンの刺激を受ける受容体レセプター)が存在し、ホルモンが結合することにより、特定の作用を起こすための情報を伝達する。ホルモンは、成長発達生殖等に影響するとともに、エネルギー代謝や血液成分の濃度を維持するなどホメオスタシスにも関与し、全身の器官の機能を制御している。ホルモンは、ごく微量で非常に大きな反応を引き起こすため、そのバランス乱れると、様々な症状や疾患が現れる(非特許文献1)。

女性更年期障害は、生殖期から非生殖期への移行期間卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌量が減少することにより、ホルモンバランスの乱れが惹起されて生じる。更年期障害によって引き起こされる症状としては、血管運動神経系症状(ほてり、のぼせ発汗冷え動悸息切れ、むくみ)、精神神経系症状(頭痛めまい不眠、不安、いらいら、うつ状態、耳鳴り難聴立ちくらみ、ストレス)、運動器官系症状(腰痛肩こり関節痛筋肉痛骨代謝異常)、消化器系症状(食欲不振吐き気下痢便秘、のどの渇きもたれ胸焼け)、全身症状倦怠感)、泌尿器系症状(頻尿残尿感、排尿痛)、生殖器系症状(月経異常性欲低下)、知覚系症状(しびれ知覚鈍麻知覚過敏視力低下)、皮膚系症状(皮膚の乾燥、かゆみしわ、くすみ)が挙げられる。また、閉経後には、高血圧症糖尿病肥満骨粗しょう症自律神経失調症不定愁訴認知症等を発症しやすくなることも明らかにされている(非特許文献2)。

一方、男性においても更年期障害の増加が報告されており、その症状の多くは様々な精神神経系症状が関与する血中のテストステロン濃度低下が原因とされる。男性更年期障害では、女性と同様に、血管運動神経系症状(ほてり、のぼせ、発汗、冷え、動悸)、精神神経系症状(頭痛、めまい、不眠、不安、うつ状態、耳鳴り、呼吸困難)、運動器官系症状(肩こり、関節痛、筋肉痛)、消化器系症状(食欲不振、便秘、腹痛口内乾燥)、全身症状(倦怠感)、泌尿器系症状(頻尿、残尿感、尿の勢いの低下)、生殖器系症状(性欲低下)、知覚系症状(しびれ、知覚鈍麻)等の多岐にわたる症状が知られている(非特許文献3)。また、男性においてもテストステロンとともに、エストロゲンの低下が生じ、骨粗しょう症を発症するという報告がある(非特許文献4)。

このように、共に、更年期には、老化による臓器の機能低下の影響により性ホルモンバランスの乱れが生ずるが、若年層の女性においても、性ホルモンのバランスの乱れが生ずることがある。このような、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状として月経前症候群PMS;premenstrual syndrome)がある。PMSでは、血管運動神経系症状(動悸、むくみ)、精神神経系症状(頭痛・めまい・微熱・不安・うつ状態、不眠、眠気、ストレス)、運動器官系症状(腰痛、関節痛)、消化器系症状(便秘、下痢、腹痛、食欲亢進、のどの渇き)、全身症状(疲労感)、皮膚系症状(にきび)などの症状が現れる。これらの症状の程度は個人差が大きいものの、症状が重い場合、仕事日常生活に支障をきたすことも少なくない。

従来、更年期の各種の症状に対する対応としては、性ステロイドホルモン投与ホルモン補充療法:HRT;Hormone replacement therapy)が実施されてきた(非特許文献3)。

しかしながら、女性の更年期障害に対してエストロゲンを投与する治療では、乳癌静脈血栓塞栓、脳卒中、虚血性心疾患等の発症リスクが増加するという報告もあるだけでなく、煩雑な投与コントロール患者管理を必要とし、更年期症状の改善という有用性よりもむしろ様々なデメリットの方が問題となる。

また、男性の更年期障害に対しても、テストステロンを含むアンドロゲン製剤によるホルモン補充療法が普及しつつあるが、副作用として、前立腺癌増悪や、排尿障害肝機能障害体液貯留睡眠時無呼吸症候群の増悪等が問題となる。

このような背景において、より安全で使用しやすいエストロゲン様作用物質を含有する植物、これから得られるエキス分画などのいわゆる植物エストロゲンも使用されてきた。植物エストロゲンしては、例えば、大豆イソフラボン類(特許文献1、特許文献2)やブラックコホシュ(特許文献3)、杜仲(特許文献4)、葛根山帰来、熟地黄(特許文献5)等が報告されている。特に、イソフラボンについては、代謝産物であるエクオールが有効成分とされるが、体内でのエクオールへの変換には腸内細菌が関与しており、生成に個人差が大きいことから、ダイゼイン類エクオール産生能を有する微生物を添加した、エクオール産生組成物も開示されている(特許文献6)。これらの植物エストロゲンは、効果が比較的穏やかで、副作用もほとんどないと言われているが、乳癌や子宮癌の発症リスクの可能性は否めず、サプリメント等の摂取に際して、注意喚起が行われている。

また、アンドロゲンからエストロゲンへの変換酵素であるアロマターゼ活性化させることでエストロゲン減少によって現れる各症状の予防、改善又は治療効果を発揮する、アロマターゼ活性化剤(特許文献7)や、アロマターゼを阻害して男性ホルモンの減少に起因する症状や閉経後女性の乳癌に予防/治療効果を発揮する、アロマターゼ阻害剤(特許文献8)も開示されている。

一方、ホルモン様作用を示さずに、更年期の症状を軽減させる素材として、カカオ豆抽出物含有物(特許文献9)やシカクマメ属植物及びその抽出物(特許文献10)、ジオスゲニンを有効成分として含有するヤマノイモ科植物根茎粉末又は抽出物(特許文献11)、ブドウ属植物イタドリの根茎及び抽出物(特許文献12)等が開示されている。

ところで、植物ステロールのうち、シクロラノスタン骨格を有する化合物やロフェノール骨格を有する化合物には、動脈硬化モデル動物において、血中過酸化脂質量を低減させる作用があること、胸部大動脈プラーク形成数を抑制する作用があることが見出され、抗酸化剤としての用途が提案されている(特許文献13)。また、植物由来ステロールエステルから得られたステロールには、自律神経賦活作用、脂質低下作用血小板凝集抑制作用脳機能賦活作用等の薬理作用が知られており、これらの薬理作用を存分に発揮し得る前記ステロールを含む脂肪乳剤が開示されている(特許文献14)。しかしながら、シクロラノスタン骨格を有する化合物やロフェノール骨格を有する化合物の性ホルモンバランスの乱れに起因する症状との関係は、一切報告されていなかった。

概要

日常的に安全に摂取でき、可能な限り苦痛を伴うことなく、性ホルモンバランスの乱れにより引き起こされる症状を効率よく予防又は改善し得る手段を提供する。ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善剤の有効成分として使用する。

目的

そこで、本発明は、日常的に安全に摂取でき、可能な限り苦痛を伴うことなく、性ホルモンバランスの乱れにより引き起こされる症状を効率よく予防又は改善し得る機能性素材、これを利用した薬剤を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

フェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を有効成分として含有する、性ホルモンバランス乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善剤

請求項2

前記化合物を総量で0.00001質量%以上含む、請求項1に記載の予防又は改善剤。

請求項3

前記性ホルモンが女性ホルモンである、請求項1又は2に記載の予防又は改善剤。

請求項4

前記予防又は改善剤が性ホルモン様作用を介さずに前記症状を予防又は改善する薬剤である、請求項1〜3の何れか一項に記載の予防又は改善剤。

請求項5

前記性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状が骨代謝異常である、請求項1〜4の何れか一項に記載の予防又は改善剤。

請求項6

前記性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状が精神神経系症状である、請求項1〜4の何れか一項に記載の予防又は改善剤。

請求項7

性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善剤の製造における、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物の使用。

請求項8

性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善のために用いられる、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物。

請求項9

性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善のために用いられる、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を総量で0.00001質量%以上含む組成物

請求項10

前記組成物が飲食品である、請求項9に記載の組成物。

請求項11

ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善が必要な対象に投与することを含む、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状を予防又は改善する方法。

技術分野

0001

本発明は、性ホルモンバランス乱れに起因する症状の予防又は改善剤に関する。

背景技術

0002

ホルモンは、内分泌腺から分泌され、血液を介して体内標的部位に作用し、活動を制御する化学物質である。ホルモンは全身循環するが、多くのホルモンは特定の臓器又は組織にのみ作用する。標的部位には、ホルモンの刺激を受ける受容体レセプター)が存在し、ホルモンが結合することにより、特定の作用を起こすための情報を伝達する。ホルモンは、成長発達生殖等に影響するとともに、エネルギー代謝や血液成分の濃度を維持するなどホメオスタシスにも関与し、全身の器官の機能を制御している。ホルモンは、ごく微量で非常に大きな反応を引き起こすため、そのバランスが乱れると、様々な症状や疾患が現れる(非特許文献1)。

0003

女性更年期障害は、生殖期から非生殖期への移行期間卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌量が減少することにより、ホルモンバランスの乱れが惹起されて生じる。更年期障害によって引き起こされる症状としては、血管運動神経系症状(ほてり、のぼせ発汗冷え動悸息切れ、むくみ)、精神神経系症状(頭痛めまい不眠、不安、いらいら、うつ状態、耳鳴り難聴立ちくらみ、ストレス)、運動器官系症状(腰痛肩こり関節痛筋肉痛骨代謝異常)、消化器系症状(食欲不振吐き気下痢便秘、のどの渇きもたれ胸焼け)、全身症状倦怠感)、泌尿器系症状(頻尿残尿感、排尿痛)、生殖器系症状(月経異常性欲低下)、知覚系症状(しびれ知覚鈍麻知覚過敏視力低下)、皮膚系症状(皮膚の乾燥、かゆみしわ、くすみ)が挙げられる。また、閉経後には、高血圧症糖尿病肥満骨粗しょう症自律神経失調症不定愁訴認知症等を発症しやすくなることも明らかにされている(非特許文献2)。

0004

一方、男性においても更年期障害の増加が報告されており、その症状の多くは様々な精神神経系症状が関与する血中のテストステロン濃度低下が原因とされる。男性更年期障害では、女性と同様に、血管運動神経系症状(ほてり、のぼせ、発汗、冷え、動悸)、精神神経系症状(頭痛、めまい、不眠、不安、うつ状態、耳鳴り、呼吸困難)、運動器官系症状(肩こり、関節痛、筋肉痛)、消化器系症状(食欲不振、便秘、腹痛口内乾燥)、全身症状(倦怠感)、泌尿器系症状(頻尿、残尿感、尿の勢いの低下)、生殖器系症状(性欲低下)、知覚系症状(しびれ、知覚鈍麻)等の多岐にわたる症状が知られている(非特許文献3)。また、男性においてもテストステロンとともに、エストロゲンの低下が生じ、骨粗しょう症を発症するという報告がある(非特許文献4)。

0005

このように、共に、更年期には、老化による臓器の機能低下の影響により性ホルモンバランスの乱れが生ずるが、若年層の女性においても、性ホルモンのバランスの乱れが生ずることがある。このような、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状として月経前症候群PMS;premenstrual syndrome)がある。PMSでは、血管運動神経系症状(動悸、むくみ)、精神神経系症状(頭痛・めまい・微熱・不安・うつ状態、不眠、眠気、ストレス)、運動器官系症状(腰痛、関節痛)、消化器系症状(便秘、下痢、腹痛、食欲亢進、のどの渇き)、全身症状(疲労感)、皮膚系症状(にきび)などの症状が現れる。これらの症状の程度は個人差が大きいものの、症状が重い場合、仕事日常生活に支障をきたすことも少なくない。

0006

従来、更年期の各種の症状に対する対応としては、性ステロイドホルモン投与ホルモン補充療法:HRT;Hormone replacement therapy)が実施されてきた(非特許文献3)。

0007

しかしながら、女性の更年期障害に対してエストロゲンを投与する治療では、乳癌静脈血栓塞栓、脳卒中、虚血性心疾患等の発症リスクが増加するという報告もあるだけでなく、煩雑な投与コントロール患者管理を必要とし、更年期症状の改善という有用性よりもむしろ様々なデメリットの方が問題となる。

0008

また、男性の更年期障害に対しても、テストステロンを含むアンドロゲン製剤によるホルモン補充療法が普及しつつあるが、副作用として、前立腺癌増悪や、排尿障害肝機能障害体液貯留睡眠時無呼吸症候群の増悪等が問題となる。

0009

このような背景において、より安全で使用しやすいエストロゲン様作用物質を含有する植物、これから得られるエキス分画などのいわゆる植物エストロゲンも使用されてきた。植物エストロゲンしては、例えば、大豆イソフラボン類(特許文献1、特許文献2)やブラックコホシュ(特許文献3)、杜仲(特許文献4)、葛根山帰来、熟地黄(特許文献5)等が報告されている。特に、イソフラボンについては、代謝産物であるエクオールが有効成分とされるが、体内でのエクオールへの変換には腸内細菌が関与しており、生成に個人差が大きいことから、ダイゼイン類エクオール産生能を有する微生物を添加した、エクオール産生組成物も開示されている(特許文献6)。これらの植物エストロゲンは、効果が比較的穏やかで、副作用もほとんどないと言われているが、乳癌や子宮癌の発症リスクの可能性は否めず、サプリメント等の摂取に際して、注意喚起が行われている。

0010

また、アンドロゲンからエストロゲンへの変換酵素であるアロマターゼ活性化させることでエストロゲン減少によって現れる各症状の予防、改善又は治療効果を発揮する、アロマターゼ活性化剤(特許文献7)や、アロマターゼを阻害して男性ホルモンの減少に起因する症状や閉経後女性の乳癌に予防/治療効果を発揮する、アロマターゼ阻害剤(特許文献8)も開示されている。

0011

一方、ホルモン様作用を示さずに、更年期の症状を軽減させる素材として、カカオ豆抽出物含有物(特許文献9)やシカクマメ属植物及びその抽出物(特許文献10)、ジオスゲニンを有効成分として含有するヤマノイモ科植物根茎粉末又は抽出物(特許文献11)、ブドウ属植物イタドリの根茎及び抽出物(特許文献12)等が開示されている。

0012

ところで、植物ステロールのうち、シクロラノスタン骨格を有する化合物やロフェノール骨格を有する化合物には、動脈硬化モデル動物において、血中過酸化脂質量を低減させる作用があること、胸部大動脈プラーク形成数を抑制する作用があることが見出され、抗酸化剤としての用途が提案されている(特許文献13)。また、植物由来ステロールエステルから得られたステロールには、自律神経賦活作用、脂質低下作用血小板凝集抑制作用脳機能賦活作用等の薬理作用が知られており、これらの薬理作用を存分に発揮し得る前記ステロールを含む脂肪乳剤が開示されている(特許文献14)。しかしながら、シクロラノスタン骨格を有する化合物やロフェノール骨格を有する化合物の性ホルモンバランスの乱れに起因する症状との関係は、一切報告されていなかった。

0013

ホルモン発達のなぞ〜環境ホルモンを理解する近道,江口 保暢,医歯薬出版株式会社,p.2−5,2002
ホルモンと臨床,医学の世界社,Vol.57,p.949−954,2009
アンチエイジング医学の基礎と臨床,日本抗加齢医学会専門医指導認定委員会編,p.214−224,2006
基礎老化研究,日本基礎老化学会,Vol.34,p.13−17,2010

先行技術

0014

特開2007−186483号公報
特開2005−229855号公報
特許第4210190号公報
特表2012−77012号公報
特許第4892856号公報
特開2009−232712号公報
特開2012−171933号公報
特開2014−189539号公報
特開2001−69946号公報
特開2012−31146号公報
特開2007−16013号公報
特許第4768105号公報
国際公開第2010/058795号
特開平4−91026号公報

発明が解決しようとする課題

0015

前記、特許文献9〜12で開示されている素材は、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状に対する効果の一例として、更年期に起こり得る症状の改善効果を示すことが確認されているが、その効果は一部の症状に対するもののみで、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状に対する直接的な効果は確認されていない。また、特許文献14において確認されている効果は、血小板凝集抑制作用のみであり、他の薬理作用に関しての記載は一切なかった。

0016

そこで、本発明は、日常的に安全に摂取でき、可能な限り苦痛を伴うことなく、性ホルモンバランスの乱れにより引き起こされる症状を効率よく予防又は改善し得る機能性素材、これを利用した薬剤を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0017

前記課題を解決する第一の発明は、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を有効成分として含有する、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善剤である(以下、「本発明の薬剤」ともいう)。

0018

本発明の好ましい形態では、前記予防又は改善剤は、前記化合物を総量で0.00001質量%以上含む。

0019

本発明の好ましい形態では、前記化合物は、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール、4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オール、9,19−シクロラノスタン−3−オール、及び24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オールからなる群から選択される。

0020

本発明の予防又は改善剤は、女性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善に有効である。

0021

本発明の好ましい形態では、本発明の予防又は改善剤は、性ホルモン様作用を介さずに前記症状を予防又は改善する薬剤である。

0022

性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状としては、骨代謝異常、精神神経系症状が挙げられ、前記化合物又はこれを含む前記組成物は、これらの症状の予防又は改善に特に有効である。

0023

また、前記課題を解決する第二の発明は、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善剤の製造におけるロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物の使用であり、前記化合物の好ましい形態は前述した通りである。

0024

また、第二の発明には、以下の形態が含まれる。

0025

性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善剤の製造における、前記ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を総量で0.00001質量%以上含有する組成物の使用。

0026

本発明の好ましい形態では、前記予防又は改善剤は、女性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善剤である。

0027

本発明の好ましい形態では、前記予防又は改善剤は、性ホルモン様作用を介さずに前記症状を予防又は改善する薬剤である。

0028

本発明の好ましい形態では、前記予防又は改善剤は、骨代謝異常、精神神経系症状の予防又は改善剤である。

0029

また、前記課題を解決する第三の発明は、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善のために用いられるロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物であり、前記化合物の好ましい形態は前述した通りである。

0030

本発明の好ましい形態では、前記性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状は、女性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状である。

0031

本発明の好ましい形態では、前記化合物は、性ホルモン様作用を介さずに前記症状を予防又は改善するためのものである。

0032

本発明の好ましい形態では、前記性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状は、骨代謝異常、精神神経系症状である。

0033

また、前記課題を解決する第四の発明は、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善のために用いられるロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を総量で0.00001質量%以上含有する組成物であり、前記化合物の好ましい形態は前述した通りである。

0034

第四の発明において、前記組成物は好ましくは飲食品である。

0035

本発明の好ましい形態では、前記性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状は、女性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状である。

0036

本発明の好ましい形態では、前記組成物は、性ホルモン様作用を介さずに前記症状を予防又は改善するためのものである。

0037

本発明の好ましい形態では、前記性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状は、骨代謝異常、精神神経系症状である。

0038

また、前記課題を解決する第五の発明は、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状を有する対象に投与することを含む、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善方法であり、前記化合物の好ましい形態は前述した通りである。

0039

また、第五の発明は、以下を好ましい形態としている。
前記ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物からなる群から選択される化合物を、総量で0.00001質量%以上含有する組成物を前記対象に投与すること。

0040

本発明の好ましい形態では、前記性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状は、女性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状である。

0041

本発明の好ましい形態では、前記予防又は改善は、性ホルモン様作用を介さずに行われる。

0042

本発明の好ましい形態では、前記性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状は、骨代謝異常、精神神経系症状である。

発明の効果

0043

本発明の薬剤は、安全に服用でき、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状を効果的に予防又は改善する。特に、本発明の薬剤は、女性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善に有効である。また、本発明の薬剤は、特に性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状である骨代謝異常や精神神経系症状の予防又は改善に有効である。

0044

次に、本発明の好ましい形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。また、本発明の「予防又は改善剤」(本明細書において、単に「本発明の薬剤」と記載することがある)は、本発明の「予防又は治療剤」と同義であって、いずれの場合であっても、本発明の薬剤の定義に含まれるものである。また、本明細書において「改善」とは、「治療」を含む概念である。

0045

本発明の薬剤は、ロフェノール化合物(化合物1)及びシクロラノスタン化合物(化合物2)からなる群から選択される化合物を有効成分として含有する。化合物1及び化合物2は、それぞれ以下の一般式(1)及び一般式(2)で表される。

0046

0047

一般式(1)中、R1は、炭素数5〜16の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、又は2重結合を1つ若しくは2つ含むアルケニル基である。また、前記アルキル基又はアルケニル基は、1又は2の水素原子ヒドロキシル基及び/又はカルボニル基置換された置換アルキル基又は置換アルケニル基であってもよい。
また、R2、R3は各々独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。ここで、前記炭素原子数1〜3のアルキル基としては、メチル基エチル基等が好ましく、メチル基が特に好ましい。また、前記アルキル基は、少なくとも1の水素原子がヒドロキシル基及び/又はカルボニル基に置換された置換アルキル基であってもよい。

0048

0049

また、R4は環を構成する炭素原子とともにC=Oを形成するか、又は−OH、−OCOCH3の何れかである。

0050

前記一般式(1)中、R1は、下記式で表される基の何れかであることが好ましい。

0051

0052

また、前記一般式(1)中、R2及びR3の一方が水素原子であり、他方がメチル基であることが好ましく、R4が水酸基であることが好ましい。

0053

化合物1として、好ましくは、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール及び4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オールが挙げられる。各化合物は、それぞれ、以下の式で表される構造を有する。

0054

0055

0056

0057

化合物1は、公知の製造方法に準じて化学的に製造することができる。
例えば、Vitali Matyash et al.,PLOS BIOLOGY, Volume 2, Issue 10, e280, 2004 に記載されたサプリメントデータに準じて、合成することが可能である。

0058

また、化合物1が植物に含まれていることは公知であり、公知のロフェノールの製造方法に準じて、化合物1を製造することができる(生物化学実験法24、脂肪脂質代謝実験法、山田晃弘著、学会出版センター、第174ページ、1989年)。
例えば、化合物1が含まれていることが公知の植物より、熱水抽出法有機溶媒抽出法、超臨界抽出法又は亜臨界抽出法などの方法を用いて抽出することが可能である(例えば、特許第3905913号公報参照)。化合物1は、例えばユリ科マメ科イネ科ナス科及びバショウ科の植物から抽出することができる。
前記のようにして製造した化合物1は、例えば、マススペクトル(MS)法、及び核磁気共鳴スペクトル(NMR)法等によって、その分子量や構造等を決定又は確認することができる。

0059

また、化合物1は、医薬許容される塩であってもよい。医薬に許容される塩として、金属塩無機塩)と有機塩との両方が含まれ、それらのリストは「レミントン・ファーマシューティカル・サイエンシーズ(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第17版、1985年、第1418頁」に掲載されているものが例示される。
具体的には塩酸塩硫酸塩、リン酸塩二リン酸塩、及び臭化水素酸塩などの無機酸塩や、リンゴ酸塩マレイン酸塩フマル酸塩酒石酸塩コハク酸塩クエン酸塩酢酸塩乳酸塩メタンスルホン酸塩p−トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩サリチル酸塩、及びステアリン酸塩などの有機酸塩が非限定的に含まれる。
また、ナトリウムカリウムカルシウムマグネシウムアルミニウム等の金属の塩、リジン等のアミノ酸との塩とすることもできる。また、前記化合物若しくはその医薬に許容される塩の水和物等の溶媒和物も使用できる。

0060

0061

一般式(2)中、R5は、炭素数6〜8の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基、2重結合を1つ又は2つ含むアルケニル基である。また、前記アルキル基又はアルケニル基は、1又は2の水素原子がヒドロキシル基及び/又はカルボニル基に置換された置換アルキル基又は置換アルケニル基であってもよい。
また、R6、R7は各々独立に水素原子又はメチル基である。また、R8は環を構成する炭素原子とともにC=Oを形成するか、又は下記式の何れかである。

0062

0063

前記一般式(2)中、R5は、下記式で表される基の何れかであることが好ましい。

0064

0065

また、前記一般式(2)中、R6及びR7の一方が水素原子であり、他方がメチル基であることが好ましく、R8が水酸基であることが好ましい。

0066

化合物2としては、好ましくは、9,19−シクロラノスタン−3−オール及び24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オールが挙げられる。各化合物は、それぞれ、以下の式で表される構造を有する。

0067

0068

0069

化合物2は、公知の製造方法に準じて化学的に製造することができる。例えば、24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オール(慣用名:24−メチレンシクロアルタノール)は、特開昭57−018617号公報や国際公開第2012/023599号(γ−オリザノールから合成する方法)に開示される方法にて製造することが可能である。また、化合物2は、特開2003−277269号公報に開示される方法にて、シクロアルテノールフェルレートの加水分解物出発物質として製造することが可能である。

0070

0071

また、化合物2も、ユリ科、マメ科、イネ科、ナス科及びバショウ科などの植物に含まれていることが知られている(〔フィトケミストリー(Phytochemistry)、米国、1977年、第16巻、第140〜141ページ〕、〔ハンドブックオブフィトケミカルコンスティチュエンツ・オブ・GRASハーブアンドアザー・エコノミック・プランツ(Handbook of phytochemical constituents of GRAS herbs andothereconomic plants)、1992年、米国、シーアールシープレス〕、又は〔ハーゲルズ・ハントブーフ・デア・ファルマツォイティシェン・プラクシス(Hager's Handbuch der Pharmazeutischen Praxis)、第2〜6巻、1969〜1979年、ドイツ、シュプリンガー・フェアラークベルリン〕参照)。よって、化合物2は、これらの植物より、有機溶媒抽出法又は熱水抽出法などの公知の方法を用いて抽出することが可能である(例えば、特許第3924310号公報参照)。化合物2は、例えばユリ科アロエ属の植物から抽出することが好ましい。
前記のようにして製造した化合物は、例えば、マススペクトル(MS)法、及び核磁気共鳴スペクトル(NMR)法等によって、その分子量や構造等を決定又は確認することができる。

0072

また、化合物2は、医薬に許容される塩であってもよい。このような塩は化合物1について例示した通りである。

0073

本発明の薬剤は、化合物1及び化合物2からなる群から選択される化合物を、有効成分として含有する。該化合物は、1種、すなわち化合物1又は化合物2のいずれか単独であっても、化合物1及び化合物2の混合物であってもよい。
化合物1又は化合物2を単独で用いる場合としては、化合物1(主に、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール、若しくは4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オール)、又は化合物2(主に、9,19−シクロラノスタン−3−オール若しくは24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オール)の何れかであることが好ましい。
中でも薬剤の有効成分として使用する場合において考慮される溶解性等の物性の点で、化合物1としては、4−メチルコレスト−7−エン−3−オールが特に好ましく、化合物2としては、9,19−シクロラノスタン−3−オールが特に好ましい。
また、化合物1と化合物2とを対比した場合では、化合物1(主に、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール又は4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オール)であることがより好ましい。
また、化合物1又は化合物2各々においても、1種の化合物を用いてもよいし、複数の化合物を混合して用いてもよい。
本発明の薬剤は、好ましくは、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール、4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オール、9,19−シクロラノスタン−3−オール、及び24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オールからなる群から選択される化合物を有効成分として含有する。

0074

本発明の薬剤における前記化合物の含有量は、症状等に応じて適宜選択することができるが、総量で、好ましくは少なくとも0.00001質量%、より好ましくは少なくとも0.0001質量%、さらに好ましくは少なくとも0.0005質量%、特に好ましくは少なくとも0.001質量%である。また本発明の薬剤における当該量の上限は特に制限されないが、総量で、90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下が例示される。

0075

化合物1及び化合物2の両者を組み合わせる場合(化合物1と化合物2との混合物)において、化合物1及び化合物2の質量比の範囲は、例えば以下が挙げられる。
化合物1:化合物2は、好ましくは5:1〜1:5、さらに好ましくは3:1〜1:3、特に好ましくは2:1〜1:2である。

0076

たとえば、天然の植物に含まれる例として、アロエベラ中には、化合物1(主に、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール及び4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オール)、及び化合物2(主に、9,19−シクロラノスタン−3−オール及び24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オール)が含まれていることが知られている。

0077

そのため、アロエベラを原料として、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール、若しくは4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オール(化合物1)のいずれか、又は9,19−シクロラノスタン−3−オール、若しくは24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オール(化合物2)のいずれかをそれぞれ精製して、化合物1:化合物2が5:1〜1:5、好ましくは3:1〜1:3、特に好ましくは2:1〜1:2で含む混合物を得ることが可能である。このようにして得られた混合物は、本発明の薬剤の有効成分として好適である。

0078

本発明の薬剤は、医薬の態様で用いることができる。
本発明の薬剤は、経口的、又は非経口的にヒトを含む哺乳動物に投与することができる。

0079

本発明において、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状としては、骨代謝異常、精神神経系症状等の他、更年期障害、閉経後障害若年性更年期障害、月経異常、月経困難症睡眠障害等によって引き起こされる症状も例示することが可能である。

0080

例えば、更年期障害によって引き起こされる症状としては、血管運動神経系症状(ほてり、のぼせ、発汗、冷え、動悸、息切れ、むくみ)、精神神経系症状(頭痛、めまい、不眠、不安、いらいら、うつ状態、耳鳴り、難聴、立ちくらみ、ストレス、呼吸困難)、運動器官系症状(腰痛、肩こり、関節痛、筋肉痛、骨代謝異常)、消化器系症状(食欲不振、吐き気、下痢、便秘、のどの渇き、胃もたれ、胸焼け)、全身症状(倦怠感)、泌尿器系症状(頻尿、残尿感、排尿痛、尿の勢いの低下)、生殖器系症状(月経異常、性欲低下)、知覚系症状(しびれ、知覚鈍麻、知覚過敏、視力低下)、皮膚系症状(皮膚の乾燥、かゆみ、しわ、くすみ)、睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群等)が挙げられる。その他にも、慢性関節リウマチ甲状腺腫等も挙げられる。これらの症状は、男性においても女性においても更年期に見られる症状である。

0081

また、閉経後障害によって引き起こされる症状としては、高血圧症、糖尿病、肥満、骨粗しょう症、不定愁訴、認知症等が挙げられる。
また、月経前症候群の症状として、血管運動神経系症状(動悸、むくみ)、精神神経系症状(頭痛・めまい・微熱・不安・うつ状態、不眠、眠気、ストレス)、運動器官系症状(腰痛、関節痛)、消化器系症状(便秘、下痢、腹痛、食欲亢進、のどの渇き)、全身症状(疲労感)、皮膚系症状(にきび)が挙げられる。

0082

中でも、本発明の薬剤は、女性ホルモンのバランスの乱れに起因する症状に有効である。女性ホルモンとしては、エステロンエストラジオールエストリオールを含むエストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン黄体ホルモン)が知られている。このうち、エストロゲンは、種々の組織に受容体を有し、生殖機能心血管骨格、皮膚等に作用を及ぼす。そのため、本発明の薬剤は、エストロゲンの欠乏要因とする女性ホルモンのバランスの乱れによって引き起こされる症状に特に有効である。このような症状として、骨代謝異常、精神神経系症状等が挙げられ、また、更年期障害、閉経後障害、若年性更年期障害、月経異常、月経困難症、月経前症候群等によって引き起こされる症状も例示することが可能である。

0083

なお、女性の更年期障害によって引き起こされる症状としては、血管運動神経系症状(ほてり、のぼせ、発汗、冷え、動悸、息切れ、むくみ)、精神神経系症状(頭痛、めまい、不眠、不安、いらいら、うつ状態、耳鳴り、難聴、立ちくらみ、ストレス)、運動器官系症状(腰痛、肩こり、関節痛、筋肉痛、骨代謝異常)、消化器系症状(食欲不振、吐き気、下痢、便秘、のどの渇き、胃もたれ、胸焼け)、全身症状(倦怠感)、泌尿器系症状(頻尿、残尿感、排尿痛)、生殖器系症状(月経異常、性欲低下)、知覚系症状(しびれ、知覚鈍麻、知覚過敏、視力低下)、皮膚系症状(皮膚の乾燥、かゆみ、しわ、くすみ)が挙げられる。また、閉経後に発症するとされる、高血圧症、糖尿病、肥満、骨粗しょう症、自律神経失調症、不定愁訴、認知症等も挙げられる。閉経後障害、月経前症候群によって引き起こされる症状は、上述したとおりである。

0084

本発明の薬剤は、性ホルモン様作用を介さずに、前記症状を予防又は改善する効果を有するものである。すなわち、本発明の薬剤は、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状に働きかけ、該症状に対し予防又は改善の作用を発揮するものである。従って、本発明は、例えば、対象者性別の違いによって症状の予防又は改善の効果の差に殆ど影響がない点、安全性の点で、優れた薬剤を提供することが可能である。

0085

本発明の薬剤は、前記症状のうち一又は複数の症状を予防又は改善するのに有効である。また、後述する実施例に示すように、本発明の薬剤は、これらの症状のうち複数の症状を予防又は改善する効果を有する点で特に有用である。
本発明の薬剤の効果は、性ホルモンのバランスの乱れを引き起こすモデル動物である、卵巣摘出マウスOVXマウス)を使用して確認することができる。
OVXマウスは、性ホルモンが欠乏することにより、性ホルモンのバランスの乱れを起こしているため、これに起因して様々な症状を発症する。OVXマウスでは、性ホルモンのバランスの乱れに起因し、例えば骨代謝異常(血中骨アルカリフォスファターゼ濃度の低下)や精神神経系症状(血中コルチコステロン濃度の増加)が観察される(EXPERIMENTAL AND THERAPEUTICMEDICINE、v.8、p.957-967、2014、Metab Brain Dis、(2013)、v.28、p.77-84)。
すなわち、OVXマウスに薬剤を投与したときに、血中骨型アルカリフォスファターゼ濃度の増加や血中コルチコステロン濃度の低下が確認されれば、投与した薬剤による、骨代謝異常や精神神経系症状を含む性ホルモンのバランスの乱れに起因する症状の予防又は改善の効果が得られることが裏付けられる。

0086

本発明の薬剤は、性ホルモンのバランスの乱れに起因する症状のうち、骨代謝異常等の運動器官系症状、及び精神神経系症状の予防又は改善に顕著な効果を示す。骨代謝異常の予防又は改善の効果としては、骨生成促進効果が挙げられる。また、精神神経系症状の予防又は改善の効果としては、紫外線ストレスにより引き起こされる症状の予防又は改善の効果が挙げられる。
本発明の薬剤は、骨代謝異常に起因する骨密度低下、骨粗しょう症、若しくは精神神経系症状が主要因となりうる不定愁訴の予防又は改善にも有効である。また、本発明の薬剤は、これら複数の症状の予防又は改善にも有効である。

0087

本発明の薬剤の形態は特に限定されず、用法に応じて適宜選択できる。具体的には、錠剤丸剤散剤液剤懸濁剤乳剤顆粒剤カプセル剤シロップ剤坐剤注射剤軟膏剤貼付剤点眼剤点鼻剤等を例示できる。

0088

本発明の薬剤の投与時期は特に限定されず、対象となる疾患に応じて、適宜選択することが可能である。また、投与量は製剤形態、用法、患者年齢、性別、その他の条件、症状の程度等に応じて決定されることが好ましい。
本発明の薬剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件等により適宜選択される。通常、有効成分の量に換算して、好ましくは0.0001〜100mg/日、より好ましくは、0.001〜50mg/日、特に好ましくは0.01〜10mg/日の範囲を目安とする。

0089

本発明の薬剤は、医薬に汎用される添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤希釈剤界面活性剤注射剤用溶剤等が挙げられる。

0090

本発明の薬剤は、前記化合物を有効成分として医薬用担体に配合することで製造することができる。本発明の薬剤は、例えば、前記化合物を、前述した添加剤と共に製剤化することで製造することができる。
また、本発明の薬剤は、前記化合物を含む公知の植物等を原料として、熱水や各種溶媒を用いた抽出、超臨界抽出、亜臨界抽出することにより得た化合物を、前述した添加剤と共に製剤化することで製造することもできる。
特に、化合物1及び化合物2を前記特定の質量比の範囲で含む本発明の薬剤は、各化合物を前記質量比の範囲で混合することで製造することができる。また、このような医薬は、化合物1と化合物2とを含む混合物が含まれている公知の植物等を原料として、各種溶媒を用いた抽出、超臨界抽出、亜臨界抽出等の方法にて製造することも可能である。

0091

本発明の薬剤は、前記化合物が、有効成分として機能し、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善作用を有する。特に、女性ホルモンのバランスの乱れに起因する症状に有効である。また、中でも骨代謝異常や精神神経系症状には、顕著な予防又は改善効果を発揮する。

0092

本発明の薬剤は、飲食品に使用され得る原料と混合することで、飲食品に加工することも可能である。本発明において、「飲食品」には、人間が摂取する飲食品の他、人間以外の動物が摂取する飼料も含まれる。
飲食品を製造する場合には、これらにおける前記化合物の量は、総量で、好ましくは少なくとも0.00001質量%、より好ましくは少なくとも0.0001質量%、さらに好ましくは少なくとも0.0005質量%、特に好ましくは少なくとも0.001質量%である。また本発明の飲食品における当該量の上限は特に制限されないが、総量で、90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下が例示される。

0093

また、飲食品における前記化合物の量は、その形態に応じて、前記化合物を、総量で、好ましくは0.0001〜100mg/日、より好ましくは0.001〜50mg/日、特に好ましくは0.01〜10mg/日の範囲で摂取するのに適した量とすることもできる。従って、本発明の飲食品の好ましい形態の一つは、前記化合物を、総量で、好ましくは0.0001〜100mg/日、より好ましくは0.001〜50mg/日、特に好ましくは0.01〜10mg/日摂取するように用いられる飲食品である。

0094

前記飲食品は、好ましくは保健機能食品である。「保健機能食品」とは、疾患の予防効果、又は疾患の発生リスク低減効果が、直接的又は間接的に表示された食品、及び事業者責任科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者届け出られた食品を意味する。例えば、現在、日本において、特定保健用食品、機能性表示食品、健康補助食品等の態様で販売される食品が挙げられる。

0095

前記飲食品の形態としては特に制限されないが、清涼飲料炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料乳酸菌飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調製用粉末を含む)が、前記化合物を効率よく摂取する観点から特に好ましい。

0096

また、機能性飲食品の形態としては、顆粒状、タブレット状又は液状のサプリメントであることも、摂取者が有効成分の摂取量を把握し易いという点で好ましい。

0097

また、このような機能性飲食品には、「性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善のため」、「性ホルモンバランスを整えるため」、「骨代謝異常の改善の予防又は改善のため」、「精神神経系症状の改善の予防又は改善のため」の用途の表示が付された形態とすることも好ましい。すなわち、本発明の飲食品は、例えば、「性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善のため」の用途が付された、化合物1及び化合物2からなる群から選択される化合物を有効成分として含有する、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善のための飲食品として販売することが好ましい。

0098

前記「表示」は、需要者に対して前記用途を知らしめる機能を有する全ての表示を含む。すなわち、前記用途を想起類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物媒体等の如何に拘わらず、すべて前記「表示」に該当する。
また、前記「表示が付された」とは、前記表示と、飲食品(製品)を関連付けて認識させようとする表示行為が存在していることをいう。
表示行為は、需要者が前記用途を直接的に認識できるものであることが好ましい。具体的には、本発明の飲食品に係る商品又は商品の包装への前記用途の記載行為、商品に関する広告価格表若しくは取引書類電磁的方法により提供されるものを含む)への前記用途の記載行為が例示できる。

0099

一方、表示される内容(表示内容)としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示)であることが好ましい。
例えば、健康食品、機能性飲食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等の表示を例示することができる。特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品制度、これに類似する制度にて認可される表示を例示できる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示等を例示することができ、詳細にいえば、健康増進施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、及びこれに類する表示が、典型的な例として列挙することが可能である。

0100

前記用途を表す文言は、「性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善のため」、「性ホルモンバランスを整えるため」、「骨代謝異常の予防又は改善のため」、「精神神経系症状の予防又は改善のため」という文言に限られるものでなく、それ以外の文言であっても、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる諸症状を緩和、改善する作用又は効果を表現する文言であれば、本発明の範囲に包含されることは言うまでもない。
また、本発明の飲食品は、前記用途の表示に加え、前記有効成分の表示、さらには、前記用途と前記有効成分の関連性を示す表示を含むことも好ましい。

0101

前記飲食品は、化合物1及び化合物2から選ばれる化合物を、有効成分として配合することで製造することができる。本発明の飲食品は、例えば、前記化合物を、飲食品原料に混合して、加工することで製造することができる。
また、前記飲食品は、前記化合物を含む公知の植物等を原料として、熱水や各種溶媒を用いた抽出、超臨界抽出、亜臨界抽出することにより得た抽出物を、飲食品原料と共に加工することで製造することもできる。

0102

また、前記飲食品の形態を、顆粒状、タブレット状又は液状のサプリメントとする場合には、有効成分である前記化合物を、例えば、ラクチュロースマルチトール、及びラクチトール等の糖類、及びそれ以外の糖類、例えばデキストリンデンプン等;ゼラチン大豆タンパクトウモロコシタンパク等のタンパク質アラニングルタミンイソロイシン等のアミノ酸類セルロースアラビアゴム等の多糖類大豆油中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等と共に、製剤化することも好ましい。

0103

次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0104

[製造例1]
(ロフェノール化合物(化合物1)の製造)
アロエベラの葉肉(透明ゲル部分)100kgを、ホモジナイザーを用いて液状化し、ここに100Lの酢酸エチルブタノール(3:1)混合液を添加して攪拌した。一晩放置した後、酢酸エチル/ブタノール混合液と水層を分液して、酢酸エチル/ブタノール混合液を回収した。この酢酸エチル/ブタノール混合液を減圧下で濃縮した。回収された酢酸エチル/ブタノール混合液抽出物の質量は、13.5gであった。
シリカゲル60(メルク社製)を400g充填したカラムに、当該抽出物13gを1mlのクロロホルムメタノール(1:1)混合液に溶解させた溶液通液し、カラムに吸着させた後、クロロホルム/メタノール混合液(クロロホルム:メタノール=100:1、25:1、10:1、5:1及び1:1の各混合比)を使用して、メタノール濃度を段階的に上昇させるステップワイズグラジエント法により溶出し、前記混合液の混合比毎に溶出液を分画した。これらのフラクションのうち、クロロホルム:メタノール=25:1で溶出してきたフラクションに本発明のロフェノール化合物が存在することを、順相及び逆相薄層クロマトグラフィー(メルク社製、シリカゲル60F254及びRP−18F2543)にて確認した。
このフラクションの溶媒を除去した後、1mlのクロロホルム/メタノール(1:1)混合液に溶解し、シリカゲル60を100g充填したカラムに通液し、カラムに吸着させた後、ヘキサン/酢酸エチル(4:1)混合液1100mlで溶出した。溶出フラクションを、順に300ml(フラクションA)、 300ml(フラクションB)、500ml(フラクションC)ずつ分取した。
本発明の化合物1であるロフェノール化合物が、フラクションAに濃縮されたことを、順相及び逆相薄層クロマトグラフィーにて確認し、さらに、コスシールC18(ナカライテスク社製)を装着したHPLCを用いて、クロロホルム/ヘキサン(85:15)混合液にて分離し、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール、及び4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オールを、それぞれ1.3mg、1.2mg、1mg得た。各々の化合物の構造は質量(MS)分析及びNMRにて確認した。

0105

[製造例2]
(シクロラノスタン化合物(化合物2)の製造)
γ−オリザノール(オリザ油化社製)8.0gに蒸留水250ml、水酸化ナトリウム50g、イソプロパノール150ml、エタノール150ml、メタノール150mlを加え、マントルヒーターを用いて2時間加熱還流を行った。反応後に、反応液を1300mlの水に添加し、生じた白色の析出物吸引ろ過し、固形物を得た。残存するアルカリ洗浄するために、得られた残渣を1000mlの水の中に懸濁させた後、再び吸引ろ過を行った。この操作を2回繰り返し、最終的な残渣を凍結減圧乾燥させることによりオリザノール加水分解物5.91gを得た。当該加水分解物はHPLCにて精製を行い、2435mgのシクロアルテノール、及び1543mgの24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オール(化合物2)を得た。
次に、得られたシクロアルテノールを用いて、9,19−シクロラノスタン−3−オール(化合物2)の合成を行った。
シクロアルテノールを302mg、イソプロパノールを150ml、及び粉末状の5%パラジウム担持炭素触媒1.0gを仕込み、これをオートクレーブ内で密閉して、窒素ガスで置換した後、水素ガス3kg/cm2の圧力をかけながら導入した。攪拌しながら加熱していき、50℃になったところで、水素の圧力を5kg/cm2とし、吸収された水素を補うことで圧力を保ちながら6時間反応させた。反応液について、ろ過により触媒を除去し、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー展開溶媒:クロロホルム100%)により精製を行い、9,19−シクロラノスタン−3−オール275mgを得た。

0106

[製造例3]
(ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物の混合物を添加した試料の調製)
上記製造例1によって得られた、4−メチルコレスト−7−エン−3−オール、4−メチルエルゴスト−7−エン−3−オール、及び4−メチルスチグマスト−7−エン−3−オールと、製造例2によって得られた、9,19−シクロラノスタン−3−オール及び24−メチレン−9,19−シクロラノスタン−3−オールとを用いて、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物の質量比が、ロフェノール化合物(化合物1):シクロラノスタン化合物(化合物2)=1:1となるような混合物を得た。
カルボキシメチルセルロースCMC:第一工業製薬株式会社製)を用いて、ロフェノール化合物及びシクロラノスタン化合物の混合物を分散させ、10000倍希釈ならびに100000倍希釈させた粉末を作製した。これらの粉末を、AIN93G飼料に2%添加し、試験試料1及び試験試料2を調製した。
すなわち、化合物1(ロフェノール化合物)及び化合物2(シクロラノスタン化合物)を総量で0.00002質量%含有した試験試料1、及びこれらの化合物を総量で、0.000002質量%含有した試験試料2を製造した。

0107

[実施例1]
本実施例では、性ホルモンのバランスの乱れを引き起こすモデルである、卵巣摘出(OVX)処置を行ったヘアレスマウスを用いて、化合物1及び化合物2を含有する組成物の骨生成促進作用について検討した。

0108

(1)試料の調製
前記製造例3で得られた試験試料1及び試験試料2、並びに化合物1(ロフェノール化合物)を単独で0.00002質量%含有する試料(試験試料3)及び化合物2(シクロラノスタン化合物)を単独で0.00002質量%含有する試料(試験試料4)を使用した。また、化合物1(ロフェノール化合物)を単独で0.00001質量%含有する試料(試験試料5)及び化合物2(シクロラノスタン化合物)を単独で0.00001質量%含有する試料(試験試料6)も作成した。なお、対照試料として、動物用飼料AIN93Gを用いた。

0109

(2)試験方法
週齢時に卵巣摘出手術(OVX)を施したメスHos:HR−1マウス(OVXマウス)、8週齢時に偽手術(Sham)を施したメスHos:HR−1マウス(Shamマウス)を、日本エスエルシーより9週齢で購入した。OVXマウス、Shamマウスの何れについても動物用飼料AIN93Gにて2週間予備飼育を行った後、Shamマウス(6匹)には対照試料(AIN93G)を与え(Sham群陰性対照))、OVXマウスは6匹1群合計5群に分け、1群には対照試料を与え(OVX群陽性対照))、残りの4群には、それぞれ試験試料1、試験試料2、試験試料3、又は試験試料4を与えて(OVX+試験試料群)8週間飼育した。
飼育期間終了時に、各マウスから血液を採取血清を得て、血中骨型アルカリフォスファターゼ(BALP)値をCUSABIO社のELISAKitを用いて測定し、シクロラノスタン化合物、ロフェノール化合物が骨形成に及ぼす作用について評価した。

0110

(3)試験結果
投与開始から8週目の血中骨型アルカリフォスファターゼ濃度を表1に示す。表中、値は、1群6匹の平均値±標準偏差で示し、表中のp値は、Studentt-検定による有意確率を示す。
表1に示されるとおり、陰性対照であるSham群に比較し、陽性対照であるOVX群では、血中骨型アルカリフォスファターゼ濃度が低値を示した。これより、卵巣摘出によりホルモンが欠乏し、ホルモンバランスが乱れ、血中骨型アルカリフォスファターゼ濃度の低下が起こることが判った。

0111

一方、試験試料1を与えたOVX群では、血中骨型アルカリフォスファターゼ濃度が、陽性対照であるOVX群に比較し有意に高値を示した。これより、卵巣摘出により血中骨型アルカリフォスファターゼ濃度が低下した状態において、シクロラノスタン化合物、ロフェノール化合物を含む組成物を摂取することで、血中骨型アルカリフォスファターゼ濃度が上昇することが判った。なお、表1には含まれていないが、試験試料2を与えたOVX群においても試験試料1を与えたOVX群と同様の効果が確認された。
さらに、試験試料3及び試験試料4を与えたOVX群における血中骨型アルカリフォスファターゼ濃度についても、いずれも、試験試料1及び試験試料2と同程度の効果が確認された(データ未記載)。
また、試験試料5、6を与えたOVX群における血中骨型アルカリフォスファターゼ濃度についても、いずれも、試験試料1及び試験試料2と同程度の効果が確認された(データ未記載)。

0112

0113

[実施例2]
本実施例では、卵巣摘出(OVX)処置を行ったヘアレスマウスに紫外線照射というストレス負荷を与え、化合物1及び化合物2を含有する組成物の抗精神神経系症状作用について検討した。

0114

(1)試料の調製
前記実施例1で使用した対照試料、製造例3で製造した試験試料1及び試験試料2、並びに試験試料3及び試験試料4を使用した。

0115

(2)試験方法
OVXマウス及びShamマウスを、9週齢時から動物用飼料AIN93Gにて2週間予備飼育を行った後、Shamマウス(6匹)には対照試料(AIN93G)を与え(Sham群(陰性対照))、OVXマウスは6匹1群合計5群に分け、1群には対照試料を与え(OVX群(陽性対照))、残りの4群には、それぞれ試験試料1、試験試料2、試験試料3、又は試験試料4を与えて(OVX+試験試料群)8週間飼育した。また、OVXマウス6匹1群として、さらに2群を作成し、それぞれ、試験試料5、試験試料6を与えて(OVX+試験試料群)8週間飼育した。
各群につき、予備飼育完了後、対照試料又は試験試料での飼育開始3週目から6週間、週3回ストレス負荷(紫外線照射)を行った。紫外線照射は線量50mJ/cm2から開始し、段階的に125mJ/cm2まで増加させ、最終的な総照射量は1.7J/cm2とした。
最終照射から24時間後に、血液を採取し血清を得て、血中コルチコステロン値をEnzo社のELISAKitを用いて測定した。

0116

(3)試験結果
最終照射から24時間後の血中コルチコステロン濃度を表2に示す。表中、値は、1群6匹の平均値±標準偏差で示し、表中のp値は、Studentt-検定による有意確率を示す。
表2に示されるとおり、陰性対照であるSham群に比較し、陽性対照であるOVX群では、血中コルチコステロン濃度が有意に高値を示した。これより、卵巣摘出によりホルモンが欠乏し、ホルモンバランスが乱れ、血中コルチコステロン濃度の上昇が起こることが判った。
一方、試験試料1及び試験試料2を与えたOVX群では、血中コルチコステロン濃度が、陽性対照であるOVX群に比較し有意に低値を示した。これより、卵巣摘出により血中コルチコステロン濃度が上昇した状態において、シクロラノスタン化合物、ロフェノール化合物を含む組成物を摂取することで、血中コルチコステロン濃度を低下させることができることが判った。
さらに、試験試料3及び試験試料4を与えたOVX群における血中コルチコステロン濃度についても、いずれも、試験試料1及び試験試料2と同程度の低減効果が確認された(データ未記載)。
さらに、試験試料5、試験試料6を与えたOVX群における血中コルチコステロン濃度についても、いずれも、試験試料1及び試験試料2と同程度の低減効果が確認された(データ未記載)。

0117

0118

[実施例3]
本実施例では、卵巣摘出(OVX)処置を行ったヘアレスマウスにおける、シクロラノスタン化合物及びロフェノール化合物から選ばれる化合物を有効成分として含有する組成物のエストロゲン様作用の有無について検討した。

0119

(1)試料の調製
前記実施例1又は2で使用した対照試料、試験試料1、試験試料2、試験試料3、及び試験試料4を使用した。
(2)試験方法
前記実施例2の各試験群と同じ条件にて飼育を終了したマウスを解剖し、解剖時に子宮摘出し、重量を測定した。
(3)試験結果
解剖時の子宮重量を表3に示す。
陰性対照であるSham群に比較し、陽性対照であるOVX群では、子宮重量の有意な低下が認められたが、試験試料1、試験試料2、試験試料3、又は試験試料4の投与により、いずれも子宮重量の変動(増加の傾向)は確認されなかった。また、この現象は、ストレス負荷による影響も受けなかった。以上の結果から、ロフェノール化合物及び/又はシクロラノスタン化合物にはエストロゲン様作用はないことが示唆された。

0120

0121

以上の実施例から、本発明の薬剤は、性ホルモンバランスの乱れにより引き起こされる症状の改善に有効であることが判った。特に、性ホルモンバランスの乱れにより引き起こされる骨代謝異常や精神神経系症状の改善に有効であることが判った。また、本発明の薬剤には、性ホルモン様作用がないことも示唆された。すなわち、本発明の薬剤は骨代謝異常や精神神経系症状に働きかけ、該症状に対し予防又は改善の作用を発揮するものであることが判った。そのため、本発明の薬剤はエストロゲン等の女性ホルモンの欠乏に起因した症状のみならず、他の原因に起因した同様の症状に対しても予防又は改善の作用が期待されることが判った。また、本発明の薬剤には、性ホルモン様作用がないため、高い安全性を有するものであることも判った。

実施例

0122

[実施例4]
次の組成からなる性ホルモンのバランスの乱れに起因する症状の予防及び改善効果を有する医薬を、以下の方法により製造した。
製造例1で製造したロフェノール化合物と、及び製造例2で製造したシクロラノスタン化合物とを、ロフェノール化合物:シクロラノスタン化合物=1:1の割合で含有した混合物に、カルボキシメチルセルロース(CMC:第一工業製薬株式会社製)を添加し分散させて調製した前記混合物を0.001質量%含有する組成物を2質量%、中鎖脂肪酸(MCT:理研ビタミン株式会社製)を2質量%、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社製)を4質量%、サポニン(丸善製薬株式会社製)を0.5質量%、エタノール(日本アルコール産業株式会社製)を0.2%、マルチトール(株式会社林原製)を1.3質量%、グリセリン(日油株式会社製)を78%、さらに水を添加して全量が100質量%、となるように混合して、ロフェノール化合物(化合物1)及びシクロラノスタン化合物(化合物2)の混合物が最終濃度で0.00002質量%含有するシロップ状の製剤を製造した。
本実施例の薬剤は、性ホルモンバランスの乱れにより引き起こされる症状の改善に有効である。

0123

本発明は、性ホルモンのバランスの乱れにより引き起こされる症状の予防又は改善に利用できる。

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