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技術 アクリル系繊維の製造方法

出願人 株式会社カネカ
発明者 野一色亮平田村正信
出願日 2015年10月7日 (5年7ヶ月経過) 出願番号 2016-560109
公開日 2017年8月31日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 WO2016-080103
状態 特許登録済
技術分野 合成繊維 紡糸方法及び装置
主要キーワード シリンダー内筒 吹付け量 溶剤効果 スルホン酸含有モノマー 水洗装置 引き揚げ アクリル系繊維束 ガラスサンプル
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月31日)のものです。
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図面 (5)

課題・解決手段

本発明は、アクリル系重合体有機溶媒に溶解した紡糸原液を用いるアクリル系繊維の製造方法であって、上記紡糸原液を固化させた凝固糸に対し、水の吹き付け3と、ニップロール2によるプレスを交互に行う水洗工程を有するクリル系繊維の製造方法に関する。上記ニップロールによるニップ圧は、0.2MPa以上であることが好ましい。これにより、水浴を用いず、短時間でアクリル系繊維中の有機溶媒を除去することができるアクリル系繊維の製造方法を提供する。

概要

背景

アクリル系繊維湿式紡糸法で製造する時、紡糸原液紡糸ノズルから吐出されて凝固浴中凝固後、紡糸原液の有機溶媒により湿潤状態にある凝固糸(繊維)をそのまま直ちに乾燥させると繊維同士が接着してしまう。このため、乾燥前に予め繊維中の有機溶媒を水槽水浴)中での水洗工程により除去する方法が一般に採用されている。例えば、特許文献1には、湿式紡糸のアクリル系繊維を乾燥する前に、高温水洗浴で水洗して有機溶媒を除去することが記載されている。

概要

本発明は、アクリル系重合体を有機溶媒に溶解した紡糸原液を用いるアクリル系繊維の製造方法であって、上記紡糸原液を固化させた凝固糸に対し、水の吹き付け3と、ニップロール2によるプレスを交互に行う水洗工程を有するクリル系繊維の製造方法に関する。上記ニップロールによるニップ圧は、0.2MPa以上であることが好ましい。これにより、水浴を用いず、短時間でアクリル系繊維中の有機溶媒を除去することができるアクリル系繊維の製造方法を提供する。

目的

本発明は、上記従来の問題を解決するため、水浴を用いず、短時間でアクリル系繊維中の有機溶媒を除去することができるアクリル系繊維の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

アクリル系重合体有機溶媒に溶解した紡糸原液を用いるアクリル系繊維の製造方法であって、前記紡糸原液を固化させた凝固糸に対し、水の吹き付けと、ニップロールによるプレスを交互に行う水洗工程を有することを特徴とするアクリル系繊維の製造方法。

請求項2

前記ニップロールによるニップ圧は、0.2MPa以上である請求項1に記載のアクリル系繊維の製造方法。

請求項3

前記水洗工程において、水の吹き付けと、ニップロールによるプレスを交互に8回以上行う請求項1又は2に記載のアクリル系繊維の製造方法。

請求項4

前記紡糸原液中の有機溶媒が、ジメチルスルホキシドジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選ばれる一種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系繊維の製造方法。

請求項5

前記水洗工程は、前記凝固糸を延伸した後に行う請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル系繊維の製造方法。

請求項6

前記アクリル系重合体は、アクリル系重合体の全体質量に対して、アクリロニトリルを20〜85質量%、ハロゲン含有ビニル及び/又はハロゲン含有ビニルデン15〜80質量%、及びスルホン酸含有単量体を0〜10質量%含み、比粘度が0.1〜0.3である請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル系繊維の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、アクリル系重合体有機溶媒に溶解した紡糸原液を用いたアクリル系繊維の製造方法に関する。

背景技術

0002

アクリル系繊維を湿式紡糸法で製造する時、紡糸原液が紡糸ノズルから吐出されて凝固浴中凝固後、紡糸原液の有機溶媒により湿潤状態にある凝固糸(繊維)をそのまま直ちに乾燥させると繊維同士が接着してしまう。このため、乾燥前に予め繊維中の有機溶媒を水槽水浴)中での水洗工程により除去する方法が一般に採用されている。例えば、特許文献1には、湿式紡糸のアクリル系繊維を乾燥する前に、高温水洗浴で水洗して有機溶媒を除去することが記載されている。

先行技術

0003

特開2004−346447号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、水浴中での水洗により有機溶媒を除去する場合は、多量の水が必要となるとともに、水洗時間が長くなるという問題がある。

0005

本発明は、上記従来の問題を解決するため、水浴を用いず、短時間でアクリル系繊維中の有機溶媒を除去することができるアクリル系繊維の製造方法を提供する。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、アクリル系重合体を有機溶媒に溶解した紡糸原液を用いるアクリル系繊維の製造方法であって、上記紡糸原液を固化させた凝固糸に対し、水の吹き付けと、ニップロールによるプレスを交互に行う水洗工程を有することを特徴とするアクリル系繊維の製造方法に関する。

0007

上記ニップロールによるニップ圧は、0.2MPa以上であることが好ましい。上記水洗工程において、水の吹き付けと、ニップロールによるプレスを交互に8回以上行うことが好ましい。上記紡糸原液中の有機溶媒が、ジメチルスルホキシドジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選ばれる一種以上であることが好ましい。上記水洗工程は、上記凝固糸を延伸した後に行うことが好ましい。

0008

上記アクリル系重合体は、アクリル系重合体の全体質量に対して、アクリロニトリルを20〜85質量%、ハロゲン含有ビニル及び/又はハロゲン含有ビニルデンを15〜80質量%、及びスルホン酸含有単量体を0〜10質量%含み、比粘度が0.1〜0.3であることが好ましい。

発明の効果

0009

本発明によれば、水浴を用いず、短時間でアクリル系繊維中の溶媒を効果的に除去することができる。

図面の簡単な説明

0010

図1は本発明の実施例で用いた水洗装置の模式断面図である。
図2は比較例1で用いた水洗装置の模式断面図である。
図3は比較例2で用いた水洗装置の模式断面図である。
図4Aはニップロールによるニップ圧を説明する模式断面図であり、図4Bは同模式表面図である。

0011

本発明は、アクリル系重合体を有機溶媒に溶解した紡糸原液を用いるアクリル系繊維の製造方法であって、アクリル系重合体を有機溶媒に溶解した紡糸原液を固化させた凝固糸に対し、水の吹き付けと、ニップロールによるプレスを交互に行う。本発明において、「ニップロール」とは、通常、湿式紡糸で繊維を製造する際に使用されるものであればよく、特に限定されない。本発明において、「ニップロールによるプレス」とは、凝固糸(アクリル系繊維)を上下の一対のニップロールの間を通過させながら圧力を加えることをいう。圧力を加える方法は、ニップロールによって凝固糸に圧力を加えることができればよく、特に限定されない。例えば、シリンダーよって上部ニップロールに圧力を加えること、上部ニップロール上に重りを置くこと、上部ニップロールを下へ引っ張ることなどが挙げられる。本発明において、「水の吹き付けと、ニップロールによるプレスを交互に行う」とは、水の吹き付けとニップロールによるプレスを連続して行うこと、即ち、水の吹き付けを行った後にニップロールによるプレスを行うこと、或いはニップロールによるプレスを行った後に水の吹き付けを行うことを意味する。

0012

上記ニップロールとしては、例えば、ゴム系ニップロール、金属製のニップロール等を用いることができる。上部ニップロールとしてはゴム系ニップロール(ゴムロールとも記す。)が好適に用いられ、下部ニップロールとしては金属製のニップロール(金属ロールとも記す。)が好適に用いられる。ゴム系ニップロールの材質としては、天然ゴムスチレンブタジエンゴムニトリルゴムクロロプレンゴムブチルゴムエチレンプロピレンゴムクロロスルホン化ポリエチレンゴムシリコーンゴムフッ素ゴムウレタンゴムなどが挙げられる。また、ゴム系ニップロールは、金属製のロールにゴムを巻いたロールでもよい。ゴムの厚みは、繊維の断面形状を維持する観点から、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、8mm以上であることがさらに好ましい。金属製のニップロールの材質としては、ステンレスステンレス鋼などが挙げられる。ニップロールの硬度は、40〜100であることが好ましく、50〜90であることがより好ましく、55〜85であることがさらに好ましい。本発明において、ニップロールの硬度は、JIS K 6253に準じ、タイプAデュロメータで測定した値をいう。

0013

本発明においては、アクリル系重合体を有機溶媒に溶解した紡糸原液を用い、凝固浴中で上記紡糸原液を紡糸ノズルより吐出し、固化(凝固)させて凝固糸を得ることができる。上記凝固浴としては、凝固状態コントロールしやすい観点から、水と有機溶媒の混合液を用いる。特に限定されないが、例えば、上記凝固浴としては、混合液全体質量に対して、有機溶媒20〜75質量%、水25〜80質量%を含む混合液を用いることができる。上記紡糸原液中の有機溶媒及び上記凝固浴中の有機溶媒は、アクリル系重合体の良溶媒であればよく、特に限定されない。生産性の観点から、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選ばれる一種以上が好ましく、安全性の観点から、ジメチルスルホキシドを用いることがより好ましい。アクリル系繊維の品質工程管理簡便性の観点から、上記紡糸原液中の有機溶媒と上記凝固浴中の有機溶媒は同じものであることが好ましい。

0014

上記水洗工程は、上記凝固糸を延伸する前に行ってもよく、延伸した後に行ってもよいが、生産性を高める観点から、上記凝固糸を延伸した後に行うことが好ましい。上記凝固糸の延伸は、延伸浴中で行うことができる。上記延伸浴は、特に限定されないが、水と有機溶媒の混合液を用いることができる。例えば、混合液全体質量に対して、有機溶媒20〜75質量%、水25〜80質量%含む混合液を用いることができる。なお、上記凝固糸の延伸は、凝固浴中で行ってもよい。延伸温度は、特に限定されないが、例えば、25〜90℃の温度範囲で行うことができる。延伸倍率は、特に限定されないが、繊維の強度及び生産性を高める観点から、2〜8倍であることが好ましく、2〜7倍であることがより好ましく、2〜6倍であることがさらに好ましい。

0015

上記凝固糸は、延伸後(延伸糸)に、水の吹き付けと、ニップロールによるプレスを交互に行う水洗工程によって脱溶媒されることが好ましい。上記水洗工程において、有機溶媒の除去効率を高める観点から、水の吹き付けと、ニップロールによるプレスは交互に6回以上行うことが好ましく、8回以上行うことがより好ましく、10回以上行うことがさらに好ましい。

0016

乾燥工程における繊維間の融着糸切れを十分に防ぐ観点から、水洗後のアクリル系繊維における有機溶媒の含有率は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。

0017

本発明において、有機溶媒の沸点が水より高い場合、アクリル系繊維における有機溶媒の含有率は、下記のように測定算出する。純水を入れたガラスサンプル瓶中に、純水が溢れないように繊維を入れ、95℃以上の熱水中で2時間以上静置し、繊維中の有機溶媒を抽出した後にこの抽出液ガスクロマトグラフィ等で分析し、繊維中の有機溶媒の質量(W1)を得る。ガラスサンプル瓶中の繊維は純水で洗浄した後に、110℃の雰囲気下で4時間以上乾燥させて、乾燥後の繊維の質量(W2)を測定し、次式にてアクリル系繊維における有機溶媒の含有率を算出する。
アクリル系繊維における有機溶媒の含有率(質量%)=(W1)/(W2)×100

0018

また、本発明において、有機溶媒の沸点が水より低い場合は、アクリル系繊維における有機溶媒の含有率は、下記のように測定算出する。アクリル系重合体を溶解可能な有機溶媒(繊維中の有機溶媒とは異なる)中に繊維を入れ、溶解して得たポリマー溶液をガスクロマトグラフィで分析し、繊維中の有機溶媒の質量(W3)を得る。有機溶媒に溶解した上記繊維と同じ質量の繊維を110℃の雰囲気下で4h以上乾燥させ、乾燥後の繊維の質量(W4)を測定し、次式にてアクリル系繊維における有機溶媒の含有率を算出する。
アクリル系繊維における有機溶媒の含有率(質量%)=(W3)/(W4)×100

0019

上記水洗工程において、アクリル系繊維中の有機溶媒の除去効率を高める観点から、上記ニップロールによるニップ圧は、0.2MPa以上であることが好ましく、0.4MPa以上であることがより好ましく、0.6MPa以上であることがさらに好ましい。また、複数のニップロールによるニップ圧は、同様であってもよく異なっていてもよい。繊維の断面形状を保持する観点から、アクリル系繊維における有機溶媒の含有率が50質量%以上の場合は、上記ニップロールによるニップ圧は、0.6MPa以下であることが好ましく、0.4MPa以下であることがより好ましい。

0020

本発明において、ニップロールによるニップ圧は、ニップロールとアクリル系繊維(繊維束)との接触部分にかかる圧力/ニップロールとアクリル系繊維との接触部分の面積で示される。以下、シリンダーにてニップロールに圧力を加えた場合のニップロールによるニップ圧を図面を用いて説明する。図4Aはニップロールによるニップ圧を説明する模式断面図であり、図4Bは同模式表面図である。矢印で示す方向の空気圧力がかかったシリンダー200が上部のニップロール100に圧力を加え、これにより、上下のニップロール100で挟まれたアクリル系繊維300がプレスされるが、この際、上部のニップロール100とアクリル系繊維300との接触部分は400で示した部分となる。シリンダーの内筒210の横断面の面積をシリンダー内筒面積とした場合、ニップロールによるニップ圧は下記のように算出したものである。
ニップ圧=(シリンダーにかかる空気圧力×シリンダー内筒面積)/ニップロールとアクリル系繊維との接触部分の面積

0021

上記水洗工程において、水の吹付け手段は、特に限定されないが、吹付けやすい観点から、ノズルにより行うことが好ましい。上記ノズルは水を吹付けることができるものであればよく、その形状などは特に限定されない。例えば、スリット状や孔形状のノズルを用いることができる。水を吹き付ける向きは特に限定されず、横から及び/又は下から吹き付けてもよい。水を均一に吹付ける観点から、複数の孔を有するシャワーノズルを用いることが好ましい。水の吹付けに用いる水の温度は、特に限定されず、例えば、20〜95℃の温度範囲の水を用いることができる。脱溶剤効果を高める観点から、水の温度は、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることがさらに好ましい。

0022

上記水の吹付けに用いる各ノズルからの単位時間当たりの水量(水の吹付け量)は、脱溶剤効果を高める観点から、単位時間当たりにニップロールを通過するアクリル系繊維を構成する樹脂の質量に対して2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましく、4倍以上であることがさらに好ましい。また、脱溶剤効果を高めつつ水量を低減するという観点から、アクリル系繊維を構成する樹脂の質量に対して8倍以下であることが好ましく、7倍以下であることがより好ましく、6倍以下であることがさらに好ましい。各ノズルから吹付けられる水量は、各ノズルで一定であってもよく、異なっていてもよい。以下において、単位時間当たりにニップロールを通過するアクリル系繊維を構成する樹脂の質量に対する各ノズルからの単位時間当たりの水量の倍率を水洗倍率ともいう。

0023

上記において、単位時間当たりにニップロールを通過するアクリル系繊維を構成する樹脂の質量は、下記のように算出するものである。下記において、紡糸原液中の固形分濃度(質量%)は、紡糸原液中のアクリル系重合体の濃度である。
単位時間当たりにニップロールを通過するアクリル系繊維を構成する樹脂の質量(g)=(紡糸原液吐出量(L/hr)×紡糸原液比重(g/L)×(紡糸原液中の固形分濃度(質量%))/100

0024

また、上記において、各ノズルからの単位時間当たりの水量は、下記のように算出するものである。
各ノズルからの単位時間当たりの水量(g)=単位時間当たりにニップロールを通過するアクリル系繊維を構成する樹脂の質量(g)×水洗倍率(倍)

0025

上記水の吹付けに用いる各ノズルからの水の吹付けの強さ(水の打力)は、脱溶剤効果を高める観点から、0.10kg以上であることが好ましく、0.15kg以上であることがより好ましく、0.20kg以上であることがさらに好ましい。また、脱溶剤効果を高めつつアクリル系繊維の乱れを低減して工程安定性を確保する観点から、1.0kg以下であることが好ましく、0.90kg以下であることがより好ましく、0.80kg以下であることがさらに好ましい。本発明において、ノズルからの水の吹付けの強さは、電子天秤を用いて測定することができる。

0026

上記水洗工程は、交互に配置されているニップロールと、水の吹付け手段により行う。ニップロールによるプレスと、水の吹付けを交互に2回以上行う場合、2セット以上の交互に配置されているニップロールと、水の吹付け手段を含む水洗装置を用いることができる。これらの複数のニップロールと、水の吹付け手段は、交互に直列に配置されていてもよく、交互に二列以上に分けて配置されていてもよい。例えば、図1に示しているように、13対のニップロール2と、12個の水の吹付け手段3(シャワーノズル)で構成されている水洗装置10において、ニップロール2と水の吹付け手段3(シャワーノズル)は、グループa、グループb、グループcと3列に分かれて配置されている。各グループには、水受け4が配置され、一度吹き付けた水洗水は水受け4で回収し、排水する。凝固糸は、グループa、グループb、グループcの順番で水洗装置10を通過する。グループaは、交互に配置されている5対のニップロール2と4個の水の吹付け手段3(シャワーノズル)からなり、グループbは、交互に配置されている4対のニップロール2と4個の水の吹付け手段3(シャワーノズル)からなり、グループcは交互に配置されている4対のニップロール2と4個の水の吹付け手段3(シャワーノズル)からなる。

0027

上記アクリル系重合体は、アクリロニトリルの単独重合体であってもよく、アクリロニトリルとその他の共重合可能モノマーとの共重合体であってもよい。その他共重合可能なモノマーとしては、アクリロニトリルと共重合可能なモノマーであればよく、特に限定されないが、例えば塩化ビニル、臭化ビニルなどに代表されるハロゲン化ビニル塩化ビニリデン、臭化ビニリデンなどに代表されるハロゲン化ビニリデン類、アクリル酸メタクリル酸に代表される不飽和カルボン酸類及びこれらの塩類メタクリル酸メチルに代表されるメタクリル酸エステルグリシジルメタクリレートなどに代表される不飽和カルボン酸エステル類酢酸ビニル酪酸ビニルに代表されるビニルエステル類など公知のビニル化合物を用いることができる。その他共重合可能なモノマーとしては、スルホン酸含有モノマーを用いてよい。上記スルホン酸含有モノマーとしては、特に限定されないが、アリスルホン酸メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸並びにこれらのナトリウム塩などの金属塩類及びアミン塩類などを用いることができる。これらのその他共重合可能なモノマーは単独もしくは2種以上混合して用いることができる。

0028

上記有機溶媒に溶解しやすい観点から、上記アクリル系重合体は、アクリル系重合体の全体質量に対して、アクリロニトリルを20〜85質量%、ハロゲン含有ビニル及び/又はハロゲン含有ビニルデン15〜80質量%、及びスルホン酸含有単量体を0〜10質量%含むことが好ましく、アクリロニトリルを30〜70質量%、ハロゲン含有ビニル及び/又はハロゲン含有ビニルデンを30〜70質量%、及びスルホン酸含有単量体を0〜10質量%含むことがより好ましい。また、上記有機溶媒に溶解しやすい観点から、上記アクリル系重合体は、比粘度が0.1〜0.3であることが好ましく、0.15〜0.25であることがより好ましい。上記有機溶媒により溶解しやすい観点から、上記アクリル系重合体は、アクリル系重合体の全体質量に対して、アクリロニトリルを20〜85質量%、ハロゲン含有ビニル及び/又はハロゲン含有ビニルデン15〜80質量%、及びスルホン酸含有単量体を0〜10質量%含み、比粘度が0.1〜0.3であることが好ましく、アクリロニトリルを30〜70質量%、ハロゲン含有ビニル及び/又はハロゲン含有ビニルデンを30〜70質量%、及びスルホン酸含有単量体を0〜10質量%含み、比粘度が0.15〜0.25であることがさらに好ましい。本発明においては、アクリル系重合体2gをジメチルホルムアミド1Lに溶解させた重合体溶液の比粘度を、30℃で、オストワルド粘度計を使用して測定し、アクリル系重合体の比粘度とする。

0029

上記紡糸原液は、紡糸安定性の観点から、紡糸原液の全体質量に対して、アクリル系重合体を15〜40質量%、有機溶媒を60〜85質量%、水を0〜10質量%含むことが好ましく、アクリル系重合体を20〜35質量%、有機溶媒を65〜80質量%、水を0〜10質量%含むことがより好ましい。

0030

上記アクリル系繊維は、特に限定されないが、水洗工程において、脱溶剤効果を高める観点から、アクリル系繊維束の幅に対する総繊度の比が30万dtex/cm以下であることが好ましく、20万dtex/cm以下であることがより好ましく、10万dtex/cm以下であることがさらに好ましい。

0031

以下実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。

0032

(実施例1)
45.7質量%のアクリロニトリルと、52.3質量%の塩化ビニルと、2.0質量%のスルホン酸含有単量体からなるアクリル系共重合体(比粘度0.174)をジメチルスルホキシド(DMSO)にて溶解し、樹脂濃度が28.0質量%、水分濃度が3.5質量%の紡糸原液を作製した。得られた紡糸原液を、紡糸ノズル(孔径0.3mm、孔数1250個)を用いて20℃、57質量%のDMSO水溶液の凝固浴中に押出して固化させてアクリル系繊維(凝固糸)を得た(紡糸速度2m/min)後、80℃、50質量%のDMSO水溶液の延伸浴中で3.2倍に延伸した。得られた繊維において、繊維束の幅に対する総繊度の比は、6万dtex/cmであった。得られた延伸糸1を、図1に示すように、13対の上部のゴムロール(硬度80であり、厚み6mmのニトリルゴム(NBR)をステンレスロールに巻いた)と下部のSUS304製の金属駆動ロールからなるニップロール2(直径100mm、幅85mm)と、12個の扇型状に噴霧されるシャワーノズル3を有する水洗装置10を通過させた。水洗装置10を通過する際、ゴムロールと金属駆動ロールの間を通させつつシリンダーよって圧力を加えることによるプレスと、シャワーノズル3による水の吹き付けを交互に行うことで水洗し、延伸糸1中のDMSOを除去した。水洗装置10は、水受け4を備え、一度吹き付けた水洗水は水受け4で回収、排水した。なお、13対のニップロール2は三つのグループに分けて3列に配置されており、一つのグループ内のそれぞれのニップロールによるニップ圧は同様であった。全てのグループにおいて、ニップロールによるニップ圧は0.96MPaであった。グループaは、交互に配置されている5対のニップロール2と4個の水の吹付け手段3(シャワーノズル)からなり、グループbは、交互に配置されている4対のニップロール2と4個の水の吹付け手段3(シャワーノズル)からなり、グループcは交互に配置されている4対のニップロール2と4個の水の吹付け手段3(シャワーノズル)からなる。延伸糸1は、グループa、グループb、グループcの順番で水洗装置10を通過した。下記表2に、各グループのニップロールによるニップ圧を示した。各々のシャワーノズルからの時間当たりの水量(水の噴霧量)は、単位時間当たりにニップロールを通過するアクリル系繊維を構成する樹脂の質量に対して4倍になるようにした。各々のシャワーノズルによって噴霧される水の温度は80℃とした。各々のシャワーノズルによって噴霧される水の打力は、0.15kgとした。下記表1に示す水洗時間で水洗したアクリル系繊維のサンプルを採集し、アクリル系繊維における有機溶媒(DMSO)の含有率を下記のように測定算出し、その結果を表1に示した。具体的には、水洗時間0秒(1番目のニップロールでプレスした後)、水洗時間2.4秒(3番目のニップロールでプレスした後)、水洗時間4.8秒(5番目のニップロールでプレスした後)、水洗時間7.2秒(7番目のニップロールでプレスした後)、水洗時間9.6秒(9番目のニップロールでプレスした後)、水洗時間12.0秒(11番目のニップロールでプレスした後)、水洗時間14.4秒(13番目のニップロールでプレスした後)に、アクリル系繊維中の有機溶媒の含有率を測定算出した。

0033

(実施例2)
全てのグループにおいて、ニップロールによるニップ圧を1.92MPaにした以外は、実施例1と同様にしてアクリル系繊維中のDMSOを除去した。

0034

(実施例3)
各々のシャワーノズルからの時間当たりの水量(水の噴霧量)を、単位時間当たりにニップロールを通過するアクリル系繊維を構成する樹脂の質量に対して6倍になるようにした以外は、実施例2と同様にしてアクリル系繊維中のDMSOを除去した。

0035

(比較例1)
49.4質量%のアクリロニトリルと、48.1質量%の塩化ビニルと、2.5質量%のスルホン酸含有単量体からなるアクリル系共重合体(比粘度0.188)をジメチルスルホキシド(DMSO)にて溶解し、樹脂濃度が27.0質量%、水分濃度が3.4質量%の紡糸原液を作製した。この紡糸原液を30℃、65質量%のDMSO水溶液の凝固浴中に、紡糸ノズル(孔径0.35mm、孔数50個)を用いて押出して固化させてアクリル系繊維(凝固糸)を得た(紡糸速度2m/min)後、70℃、30質量%のDMSO水溶液の延伸浴中で3.3倍に延伸した。得られた延伸糸11を、図2に示すように、浴槽12へ15秒浸漬させた後にSUS製の金属駆動ロール(図示なし)で大気中へ引き揚げ、ただちに次の浴槽12へ送り15秒浸漬させるようにして、5つの水槽12に順番に漬浸することで水洗して延伸糸中のDMSOを除去した。このときの浴槽の水温は80℃とした。水洗したアクリル系繊維のサンプルは、1番目の水槽に浸漬した後(水洗時間15秒)、2番目の水槽に浸漬した後(水洗時間30秒)、3番目の水槽に浸漬した後(水洗時間45秒)、4番目の水槽に浸漬した後(水洗時間60秒)、5番目の水槽に浸漬した後(水洗時間75秒)に採集し、アクリル系繊維中の有機溶媒の含有率を測定算出した。

0036

(比較例2)
46.4質量%のアクリロニトリルと、51.1質量%の塩化ビニルと、2.5質量%のスルホン酸含有単量体からなるアクリル系共重合体(比粘度0.18)をジメチルスルホキシド(DMSO)にて溶解し、樹脂濃度が27.0質量%、水分濃度が3.4質量%の紡糸原液を作製した。この紡糸原液を30℃、65質量%のDMSO水溶液の凝固浴中に、紡糸ノズル(孔径0.35mm、孔数50個)を用いて押出して固化させてアクリル系繊維(凝固糸)を得た(紡糸速度2m/min)後、70℃、30質量%のDMSO水溶液の延伸浴中で3.3倍に延伸した。得られた延伸糸21を、図3に示すように、浴槽22に2秒浸漬させた後に上部のゴムロール(硬度80であり、厚み6mmのニトリルゴム(NBR)をステンレスロールに巻いた)と下部のSUS304製の金属駆動ロールからなるニップロール23で挟んで引き揚げながらプレスし、再度浴槽22に2秒浸漬させるようにして、交互に配置された6つの水槽22及び6対のニップロール23を通過させることで水洗して延伸糸中のDMSOを除去した。各ニップロールによるニップ圧は2.0MPaであった。このときの浴槽の水温は80℃とした。水洗したアクリル系繊維のサンプルは、1番目のニップロールでプレスした後(水洗時間2秒)、2番目のニップロールでプレスした後(水洗時間4秒)、3番目のニップロールでプレスした後(水洗時間6秒)、4番目のニップロールでプレスした後(水洗時間8秒)、5番目のニップロールでプレスした後(水洗時間10秒)、6番目のニップロールでプレスした後(水洗時間12秒)に採集し、アクリル系繊維中の有機溶媒の含有率を測定算出した。

0037

実施例1〜3及び比較例1〜2において、上述したとおり、下記表1に示す水洗時間の水洗したアクリル系繊維のサンプルを採集し、アクリル系繊維における有機溶媒(DMSO)の含有率を下記のように測定算出し、その結果を下記表1に示した。

0038

(アクリル系繊維における有機溶媒の含有率の測定)
アクリル系繊維における有機溶媒の含有率は、下記のように測定算出した。純水を入れたガラスサンプル瓶中に、純水が溢れないように繊維を入れ、95℃以上の熱水中で2h以上静置し、繊維中の有機溶媒を抽出した後にこの抽出液をガスクロマトグラフィで分析し、繊維中の有機溶媒の質量(W1)を得た。ガラスサンプル瓶中の繊維は純水で洗浄した後に、110℃の雰囲気下で4h以上乾燥させ、乾燥後の繊維の質量(W2)を測定し、次式にてアクリル系繊維における有機溶媒の含有率を算出した。
アクリル系繊維における有機溶媒の含有率(質量%)=(W1)/(W2)×100

0039

0040

上記表1の結果から分かるように、実施例1〜3は、アクリル系繊維を交互に行う水の吹き付けと、ニップロールによるプレスによって水洗したことで、水槽(水浴)を用いてアクリル系繊維を水洗した比較例1より、極めて短い水洗時間で、アクリル系繊維中の有機溶媒を効果的に除去することができた。また、実施例1〜3は、水浴を用いた水洗とニップロールによるプレスを交互に行った比較例2と比べると、水浴を用いなくても、短時間でアクリル系繊維中の有機溶媒を効果的に除去することができた。

0041

(実施例4〜11)
各グループのニップロールによるニップ圧を下記表2に示したとおりにした以外は、実施例1と同様にして、アクリル系繊維中のDMSOを除去した。

0042

(実施例12、13)
各グループのニップロールによるニップ圧を下記表2に示したとおりにした以外は、実施例3と同様にして、アクリル系繊維中のDMSOを除去した。

0043

実施例1〜13において、下記表2に示す回数のニップロールを通過した後のアクリル系繊維のサンプルを採集し、アクリル系繊維における有機溶媒(DMSO)の含有率を上記のように測定算出し、その結果を下記表2に示した。下記表2には、対応する水洗時間も示した。

0044

実施例

0045

上記表2の結果から分かるように、全ての実施例において、ニップロール及び水の吹付けを交互に行う回数が7回を超えると、アクリル系繊維における有機溶媒の含有率が7.0質量%以下になり、9回を超えると、アクリル系繊維における有機溶媒の含有率が5.0質量%程度になる。実施例2と実施例3、実施例4と実施例12、実施例9と実施例13の比較から、水の吹付け量が多いほど、脱溶剤効果が高くなることが分かった。

0046

1、11、21、300アクリル系繊維(延伸糸)
2、23、100ニップロール
3シャワーノズル
4水受け
10水洗装置
12、22水槽(水浴)
200シリンダー
210 シリンダーの内筒
400 アクリル系繊維とニップロールとの接触部分

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