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技術 撥水撥油コーティング組成物及び透明皮膜

出願人 住友化学株式会社
発明者 原田好寛櫻井彩香竹厚流
出願日 2015年11月9日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2016-559029
公開日 2017年8月24日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 WO2016-076245
状態 特許登録済
技術分野 塗料、除去剤
主要キーワード 屋内設備 水滴量 アルキルピリジン化合物 窒素ドープ型 ポリアルキレンエーテル基 ビニルピリジンポリマー 性複合膜 生物付着防止剤
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月24日)のものです。
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課題・解決手段

良好な撥水撥油特性を有し、さらに耐摩耗性をより一層向上させた撥水撥油コーティング組成物及びこれから得られる透明皮膜を提供することを目的とする。 本発明は、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテル基を自由端側に有する含フッ素基と、加水分解性基とがケイ素原子に結合している第1の有機ケイ素化合物(A)と、加水分解性シランオリゴマー、或いはフッ化炭素含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合した化合物であって、温度100℃での蒸気圧が1気圧以下である第2の有機ケイ素化合物(B)とを含む撥水撥油コーティング組成物である。

概要

背景

撥水撥油性を有する皮膜の用途、例えば自動車建物窓ガラスなどには、撥水撥油機能の他、更に皮膜の耐摩耗性が要求される。

例えば特許文献1には、フッ化炭素基炭化水素基を主成分とする長鎖物質と、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基とを主成分とする短鎖物質と、シロキサン基を主成分とする物質を含む皮膜が表面に形成された撥水撥油防汚性ガラス板が開示されている。また、特許文献2は、少なくともフッ化炭素基を主成分とする物質1と、炭化水素基を主成分とする物質2と、溶媒とを含む撥水離水防処理液を開示している。さらに特許文献3には、少なくとも有機含フッ素エーテル基または有機含フッ素ポリエーテル基を含むフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を含む第1の物質とフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を含み且つ前記第1の物質とは異なる第2の物質と、(AO)3Si(OSi(OA)2)pOA(pは0または整数、Aはアルキル基、OAはClまたはNCOでもよい。)で表される第3の物質とシラノール縮合触媒とを有機溶媒希釈した溶液であり、前記第2の物質の分子長が前記第1の物質の分子長より短い撥水撥油防汚性複合膜形成溶液が記載されている。

特許文献1〜3では、長鎖物質と、例えばCF3−(CF2)7−(CH2)2−Si(OCH3)3である短鎖物質とを、所定の溶媒に溶解して複合膜形成溶液を作成し、この溶液にガラス板を浸漬することによってガラス板上に複合膜を形成した実施例が開示されている(特許文献1の実施例1、特許文献2の実施例8、特許文献3の実施例1など)。これら実施例では、良好な耐摩耗性、及び撥水撥油特性が実現できたことが開示されている。また、特許文献4には撥水性撥油性を有するパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が開示されている。

概要

良好な撥水撥油特性を有し、さらに耐摩耗性をより一層向上させた撥水撥油コーティング組成物及びこれから得られる透明皮膜を提供することを目的とする。 本発明は、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテル基を自由端側に有する含フッ素基と、加水分解性基とがケイ素原子に結合している第1の有機ケイ素化合物(A)と、加水分解性シランオリゴマー、或いはフッ化炭素含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合した化合物であって、温度100℃での蒸気圧が1気圧以下である第2の有機ケイ素化合物(B)とを含む撥水撥油コーティング組成物である。

目的

本発明は、良好な水滴の撥水撥油特性を発現し、耐摩耗性をより一層向上させた皮膜を得ることができる撥水撥油コーティング組成物及びこれから得られる透明皮膜を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

パーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテル基を自由端側に有する含フッ素基と、加水分解性基とがケイ素原子に結合している第1の有機ケイ素化合物(A)と、加水分解性シランオリゴマー、或いはフッ化炭素含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合した化合物であって、温度100℃での蒸気圧が1気圧以下である第2の有機ケイ素化合物(B)とを含む撥水撥油コーティング組成物

請求項2

前記第1の有機ケイ素化合物(A)の含フッ素基が炭化水素基を含む請求項1に記載の撥水撥油コーティング組成物。

請求項3

前記第2の有機ケイ素化合物(B)の分子長が、前記第1の有機ケイ素化合物(A)の分子長よりも短い請求項1または2に記載の撥水撥油コーティング組成物。

請求項4

前記第2の有機ケイ素化合物(B)がアルキル基又は含フッ素アルキル基を有する加水分解性シランオリゴマーであって、そのアルキル基又は含フッ素アルキル基が、第1の有機ケイ素化合物(A)の含フッ素基の最長の直鎖部よりも、原子の数で数えて短い請求項3に記載の撥水撥油コーティング組成物。

請求項5

前記第2の有機ケイ素化合物(B)がフッ化炭素含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合した化合物であって、そのフッ化炭素含有基の最長の直鎖部が、前記第1の有機ケイ素化合物(A)の含フッ素基の最長の直鎖部よりも、原子の数で数えて短い請求項3に記載の撥水撥油コーティング組成物。

請求項6

前記第2の有機ケイ素化合物(B)は、下記式(1)又は(2)で表される請求項1〜5のいずれかに記載の撥水撥油コーティング組成物。上記式(1)、(2)中、Rf1はそれぞれ独立して、フッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表し、R1はそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し、R2はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表し、Aはそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、−CONR−を表し(Rは水素原子、低級のアルキル基、または低級の含フッ素アルキル基を表す)、Bはそれぞれ独立して、加水分解性基を表し、Xはそれぞれ独立して、加水分解性基、低級のアルキル基、または低級の含フッ素アルキル基を表し、a1、b1、c1、d1、e1、g1はそれぞれ独立して0以上100以下の整数であって、a1、b1、c1、d1、e1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位順序は式中において任意であり、a1、b1、c1、d1、e1の合計値は100以下であり、mは1以上3以下の整数であり、少なくとも1つのXは、加水分解性基を表す。

請求項7

前記第1の有機ケイ素化合物(A)に対する、前記第2の有機ケイ素化合物(B)の質量比が、0.1〜50である請求項1〜6のいずれかに記載の撥水撥油コーティング組成物。

請求項8

溶剤(C)を含む請求項1〜7のいずれかに記載の撥水撥油コーティング組成物。

請求項9

第1の有機ケイ素化合物(A)と第2の有機ケイ素化合物(B)と溶剤(C)との合計量に対して、第1の有機ケイ素化合物(A)と第2の有機ケイ素化合物(B)の合計量が0.001〜20質量%である請求項8に記載の撥水撥油コーティング組成物。

請求項10

前記溶剤(C)がフッ素系溶剤である請求項8又は9に記載の撥水撥油コーティング組成物。

請求項11

請求項1〜10のいずれかに記載の撥水撥油コーティング組成物から得られる透明皮膜

技術分野

0001

本発明は、撥水撥油コーティング組成物、及びこれから得られる透明皮膜に関する。

背景技術

0002

撥水撥油性を有する皮膜の用途、例えば自動車建物窓ガラスなどには、撥水撥油機能の他、更に皮膜の耐摩耗性が要求される。

0003

例えば特許文献1には、フッ化炭素基炭化水素基を主成分とする長鎖物質と、フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基とを主成分とする短鎖物質と、シロキサン基を主成分とする物質を含む皮膜が表面に形成された撥水撥油防汚性ガラス板が開示されている。また、特許文献2は、少なくともフッ化炭素基を主成分とする物質1と、炭化水素基を主成分とする物質2と、溶媒とを含む撥水離水防処理液を開示している。さらに特許文献3には、少なくとも有機含フッ素エーテル基または有機含フッ素ポリエーテル基を含むフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を含む第1の物質とフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を含み且つ前記第1の物質とは異なる第2の物質と、(AO)3Si(OSi(OA)2)pOA(pは0または整数、Aはアルキル基、OAはClまたはNCOでもよい。)で表される第3の物質とシラノール縮合触媒とを有機溶媒希釈した溶液であり、前記第2の物質の分子長が前記第1の物質の分子長より短い撥水撥油防汚性複合膜形成溶液が記載されている。

0004

特許文献1〜3では、長鎖物質と、例えばCF3−(CF2)7−(CH2)2−Si(OCH3)3である短鎖物質とを、所定の溶媒に溶解して複合膜形成溶液を作成し、この溶液にガラス板を浸漬することによってガラス板上に複合膜を形成した実施例が開示されている(特許文献1の実施例1、特許文献2の実施例8、特許文献3の実施例1など)。これら実施例では、良好な耐摩耗性、及び撥水撥油特性が実現できたことが開示されている。また、特許文献4には撥水性撥油性を有するパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が開示されている。

先行技術

0005

特開2008−137858号公報
特開2011−174001号公報
特開2012−46765号公報
特開2014−15609号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、良好な水滴の撥水撥油特性を発現し、耐摩耗性をより一層向上させた皮膜を得ることができる撥水撥油コーティング組成物及びこれから得られる透明皮膜を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、特許文献1〜3に開示される撥水撥油性複合膜の耐摩耗性を更に向上させるべく検討した。その結果、パーフルオロアルキル基、またはパーフルオロポリエーテル基を自由端側に有する含フッ素基と、加水分解性基とがケイ素原子に結合している第1の有機ケイ素化合物(A)と、第2の有機ケイ素化合物(B)とを反応させ、前記第1の有機ケイ素化合物(A)のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基を、第2の有機ケイ素化合物(B)をスペーサーとしつつ並べていく時に、第2の有機ケイ素化合物(B)として100℃での蒸気圧が1気圧以下(沸点が存在する場合は、その沸点が100℃以上)のものを用いると、良好な撥水撥油特性を発現しつつ耐摩耗性もより一層向上することを見いだし、本発明を完成した。なお、上記した特許文献1〜3の実施例に開示されているCF3−(CF2)7−(CH2)2−Si(OCH3)3の沸点は83〜84℃程度であり、そのために耐摩耗性が低下していたと推察される。

0008

すなわち、上記課題を達成した本発明の撥水撥油コーティング組成物は、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテル基を自由端側に有する含フッ素基と、加水分解性基とがケイ素原子に結合している第1の有機ケイ素化合物(A)と、加水分解性シランオリゴマー、或いはフッ化炭素含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合した化合物であって、温度100℃での蒸気圧が1気圧以下である第2の有機ケイ素化合物(B)とを含むことを特徴とする。

0009

前記第1の有機ケイ素化合物(A)の含フッ素基は炭化水素基を含むことが好ましい。
また、前記第2の有機ケイ素化合物(B)の分子長が、前記第1の有機ケイ素化合物(A)の分子長よりも短いことが好ましい。より具体的には、前記第2の有機ケイ素化合物中の、アルキル基、含フッ素アルキル基、またはフッ化炭素含有基のうち最長の直鎖部が、前記第1の有機ケイ素化合物(A)の含フッ素基の最長の直鎖部よりも、原子の数で数えて短いことが好ましい。

0010

前記第2の有機ケイ素化合物(B)は、下記式(1)又は(2)で表される化合物であることが好ましい。

0011

0012

0013

上記式(1)、(2)中、
Rf1はそれぞれ独立してフッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表し、
R1はそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し、
R2はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表し、
Aはそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、−CONR−(Rは水素原子又は、低級のアルキル基、または低級の含フッ素アルキル基を表す)を表し、
Bはそれぞれ独立して、加水分解性基を表し、
Xはそれぞれ独立して、加水分解性基又は低級のアルキル基又は低級の含フッ素アルキル基を表し、
a1、b1、c1、d1、e1、g1はそれぞれ独立して0以上100以下の整数であって、
a1、b1、c1、d1、e1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位順序は式中において任意であり、
a1、b1、c1、d1、e1の合計値は100以下であり、
mは1以上3以下の整数であり、
少なくとも1つのXは、加水分解性基を表す。

0014

更に、前記第1の有機ケイ素化合物(A)に対する、前記第2の有機ケイ素化合物(B)の質量比が、0.1〜50であることや、本発明の撥水撥油コーティング組成物が溶剤(C)を含むことが好ましく、特に溶剤(C)がフッ素系溶剤であることも好ましい。

0015

本発明は、上記したいずれかの撥水撥油コーティング組成物から得られる透明皮膜も包含する。

発明の効果

0016

本発明の撥水撥油コーティング組成物によれば、これから得られる皮膜の耐摩耗性が向上できる。

0017

本発明の撥水撥油コーティング組成物は、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテル基を自由端側に有する含フッ素基と、加水分解性基とがケイ素原子に結合している第1の有機ケイ素化合物(A)と、この有機ケイ素化合物(A)のスペーサーとして機能する第2の有機ケイ素化合物(B)とを含む。これら有機ケイ素化合物(A)と(B)とを反応させると、有機ケイ素化合物(B)のケイ素原子(或いはシロキサン結合)を間に挟みながら、有機ケイ素化合物(A)のパーフルオロアルキル基やパーフルオロポリエーテル基が並び、撥水撥油特性が高められる。なお、上記した自由端とは、含フッ素基のうち、ケイ素原子と結合しない側の末端を言う。

0018

前記パーフルオロアルキル基は、撥水・撥油性を有する。このパーフルオロアルキル基が含フッ素基の自由端側に存在することで、撥水撥油特性が向上する。パーフルオロアルキル基の炭素数(特に最も長い直鎖部分の炭素数)は、例えば3以上であることが好ましく、5以上がより好ましく、より好ましくは7以上である。なお前記炭素数の上限は特に限定されず、例えば20程度であっても優れた撥水・撥油特性を示す。

0019

前記パーフルオロポリエーテル基とは、ポリアルキレンエーテル基またはポリアルキレングリコールジアルキルエーテル残基の全部の水素原子がフッ素原子に置き換わった基であり、パーフルオロポリアルキレンエーテル基、またはパーフルオロポリアルキレングリコールジアルキルエーテル残基という事もできる。パーフルオロポリエーテル基もまた、撥水・撥油性を有する。パーフルオロポリエーテル基の最も長い直鎖部分に含まれる炭素数は、例えば5以上であることが好ましく、10以上がより好ましく、より好ましくは20以上である。前記炭素数の上限は特に限定されず、例えば200程度であってもよい。

0020

含フッ素基は、上記パーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基を自由端側に有していればよい。従って、ケイ素原子と結合する側には、適当な連結基が存在していてもよく、当該連結基なしで上記パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキル基が直接ケイ素原子に結合してもよい。連結基としては、例えば、アルキレン基芳香族炭化水素基などの炭化水素基、(ポリアルキレングリコール基、又はこれらの水素原子の一部がFに置換された基、及びこれらが適当に連結した基などが挙げられる。連結基の炭素数は、例えば1以上、20以下であり、好ましくは2以上、10以下である。

0021

なお、一つの連結基には複数のケイ素原子が結合してもよく、一つの連結基に複数のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基が結合してもよい。
ケイ素原子に結合する含フッ素基の数は、1つ以上であればよく、2または3であってもよいが、1または2であるのが好ましく、1であるのが特に好ましい。

0022

前記加水分解性基は、加水分解脱水縮合反応を通じて、(1)有機ケイ素化合物(A)同士を、又は(2)有機ケイ素化合物(A)と基材表面の活性水素水酸基など)とを、或いは(3)有機ケイ素化合物(A)と(B)とを結合する作用を有する。こうした加水分解性基としては、例えばアルコキシ基(特に炭素数1〜4のアルコキシ基)、ヒドロキシ基アセトキシ基アリル基ハロゲン原子(特に塩素原子)などが挙げられる。好ましい加水分解性基は、アルコキシ基、アリル基、及びハロゲン原子であり、特にメトキシ基エトキシ基、アリル基、塩素原子が好ましい。

0023

ケイ素原子に結合する加水分解性基の数は、1つ以上であればよく、2または3であってもよいが、2または3であるのが好ましく、3であるのが特に好ましい。2つ以上の加水分解性基がケイ素原子に結合している場合、異なる加水分解性基がケイ素原子に結合していてもよいが、同じ加水分解性基がケイ素原子に結合しているのが好ましい。
ケイ素原子に結合する含フッ素基と加水分解性基との合計数は、通常4であるが、2または3(特に3)であってもよい。3以下の場合、残りの結合手には、例えば、アルキル基(特に炭素数が1〜4のアルキル基)、H、NCOなどが結合できる。

0024

第1の有機ケイ素化合物(A)の含フッ素基は、直鎖状であってもよいし、側鎖を有していてもよい。

0025

第1の有機ケイ素化合物(A)としては、例えば下記式(3)の化合物が挙げられる。

0026

0027

上記式(3)中、
Rfはフッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rfは好ましくは1個以上のフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。
Rf2はそれぞれ独立して、フッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rf2は好ましくはそれぞれ独立して、フッ素原子、または炭素数1〜2の含フッ素アルキル基であり、より好ましくはすべてフッ素原子である。R3はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表す。R3はそれぞれ独立して、好ましくは水素原子、または炭素数1もしくは2のアルキル基であり、より好ましくはすべて水素原子である。
R4はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表す。R4は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
Dはそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、−CONR−を表し(Rは水素原子又は低級のアルキル基又は低級の含フッ素アルキル基)を表す。Dは好ましくはそれぞれ独立して、−COO−、−O−、−OCO−であり、より好ましくはすべて−O−である。
Eはそれぞれ独立して、加水分解性基を表す。Eは、炭素数1〜4のアルコキシ基、アリル基、ハロゲン原子が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基、アリル基、塩素原子が好ましい。
a2、b2、c2、d2、e2はそれぞれ独立して0以上600以下の整数であって、a2、b2、c2、d2、e2の合計値は13以上である。好ましくはa2、c2、d2はそれぞれ独立してb2の1/2以下であり、より好ましくは1/4以下であり、さらに好ましくはc2またはd2は0であり、特に好ましくはc2およびd2は0である。
e2は好ましくはa2、b2、c2、d2の合計値の1/5以上であり、a2、b2、c2、d2の合計値以下である。
b2は、20以上、600以下が好ましく、より好ましくは20以上、200以下であり、更に好ましくは50以上、200以下である。
e2は、4以上、600以下が好ましく、より好ましくは4以上、200以下であり、更に好ましくは10以上、200以下である。
a2、b2、c2、d2、e2の合計値は、20以上、600以下が好ましく、20以上、200以下がより好ましく、50以上、200以下が更に好ましい。
a2、b2、c2、d2、e2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は式中において任意であるが、好ましくは最も固定端側(含フッ素基のケイ素原子と結合する側)のb2を付して括弧でくくられた繰り返し単位は、最も自由端側のa2を付して括弧でくくられた繰り返し単位よりも自由端側に位置し、より好ましくは最も固定端側のb2またはd2を付して括弧でくくられた繰り返し単位は、最も自由端側のa2またはc2を付して括弧でくくられた繰り返し単位よりも自由端側に位置する。
nは1以上3以下の整数である。nは2以上3以下が好ましく、より好ましくは3である。

0028

また第1の有機ケイ素化合物(A)としては、下記式(4)の化合物が例示できる。

0029

0030

上記式(4)中、
Rfはフッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rfは好ましくは1個以上のフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。
Rf3はそれぞれ独立して、フッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rf3は好ましくはそれぞれ独立して、フッ素原子、または炭素数1〜2の含フッ素アルキル基であり、より好ましくはすべてフッ素原子である。
R5はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表す。R5は好ましくはそれぞれ独立して、水素原子、または炭素数1もしくは2のアルキル基であり、より好ましくはすべて水素原子である。
R6はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表す。R6は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
Gはそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、−CONR−を表す(Rは水素原子又は低級のアルキル基又は低級の含フッ素アルキル基)。Gは好ましくはそれぞれ独立して、−COO−、−O−、−OCO−であり、より好ましくはすべて−O−である。
Jはそれぞれ独立して、加水分解性基を表す。Jは、アルコキシ基、アリル基、及びハロゲン原子が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基、アリル基、塩素原子が好ましい。
Yはそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。Yは好ましくはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1もしくは2のアルキル基であり、より好ましくはすべて水素原子である。
Zはそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表す。Zは、好ましくは水素原子である。
a3、b3、c3、d3、e3はそれぞれ独立して0以上600以下の整数であり、a3、b3、c3、d3、e3の合計値は13以上である。好ましくはa3、c3、d3はそれぞれ独立してb3の1/2以下であり、より好ましくは1/4以下であり、さらに好ましくはc3またはd3は0であり、特に好ましくはc3およびd3は0である。
e3は、好ましくはa3、b3、c3、d3の合計値の1/5以上であり、a3、b3、c3、d3の合計値以下である。
b3は、20以上、600以下が好ましく、より好ましくは20以上、200以下であり、更に好ましくは50以上、200以下である。e3は4以上、600以下が好ましく、より好ましくは4以上、200以下であり、更に好ましくは10以上、200以下である。a3、b3、c3、d3、e3の合計値は、20以上、600以下が好ましく、20以上、200以下が好ましく、50以上、200以下が更に好ましい。
h3は0以上2以下の整数であり、好ましくは0以上、1以下であり、
qは1以上10以下の整数であり、好ましくは1以上、8以下である。
a3、b3、c3、d3、e3を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は式中において任意であるが、好ましくは最も固定端側(含フッ素基のケイ素原子と結合する側)のb3を付して括弧でくくられた繰り返し単位は、最も自由端側のa3を付して括弧でくくられた繰り返し単位よりも自由端側に位置し、より好ましくは最も固定端側のb3またはd3を付して括弧でくくられた繰り返し単位は、最も自由端側のa3またはc3を付して括弧でくくられた繰り返し単位よりも自由端側に位置する。
pは1以上3以下の整数であり、2以上3以下が好ましく、3がより好ましい。
なお、上記式(3)、(4)中の低級とは、炭素数が1〜4であることを意味する。

0031

そして本発明では、前記第1の有機ケイ素化合物(A)のスペーサーとして使用する第2の有機ケイ素化合物(B)に、温度100℃での蒸気圧が1気圧以下の化合物を使用する。こうした蒸気圧の化合物をスペーサーとして使用すると、得られる膜の耐摩耗性が向上する。なお上記化合物は、沸点が存在しなくてもよいが、沸点を有する場合は、その沸点が100℃以上になる化合物が上記化合物に該当する。好ましい化合物では、蒸気圧が1気圧以上となる温度が110℃以上であり、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上である。蒸気圧が1気圧以上になる温度の上限は特に限定されず、蒸気圧が1気圧以上になる前に分解が開始する化合物であってもよい。

0032

また第2の有機ケイ素化合物(B)は、第1の有機ケイ素化合物(A)と、又は基材表面の水酸基などの活性水素と縮合反応する必要がある。このため、第2の有機ケイ素化合物としては、フッ化炭素含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合した化合物;或いは加水分解性シランオリゴマーが使用できる。こうした化合物は、前記化合物(A)のスペーサーとして機能することで、化合物(A)の含フッ素基による撥水・撥油特性を高めることができる。

0033

さらに第2の有機ケイ素化合物(B)の分子長は、前記第1の有機ケイ素化合物(A)の分子長よりも短いことが好ましい。化合物(B)の分子長を短くすることで、化合物(A)の含フッ素基が皮膜表面露出しやすくなり、撥水・撥油特性がさらに高められる。前記第2の有機ケイ素化合物(B)の分子長は、前記第1の有機ケイ素化合物(A)の分子長に対して1/2以下が好ましく、より好ましくは1/5以下であり、さらに好ましくは1/10以下である。

0034

上記した化合物(B)と化合物(A)の分子長の比較に際し、具体的には、前記第2の有機ケイ素化合物(B)のアルキル基、含フッ素アルキル基、又はフッ化炭素含有基のうち最長の直鎖部が、前記第1の有機ケイ素化合物(A)の含フッ素基の最長の直鎖部よりも、原子の数で数えて短いことが好ましい。

0035

また、第1の有機ケイ素化合物(A)との相溶性を向上させるために、第2の有機ケイ素化合物(B)はフッ素原子を含むことが好ましく、合成の簡便さから上記式(1)で表される化合物であることが更に好ましい。

0036

第2の有機ケイ素化合物(B)が、フッ化炭素含有基を含む場合、前記フッ化炭素含有基には、フルオロアルキル基を末端に有する基が好ましく、特に末端がトリフルオロメチル基である基が好ましい。フルオロアルキル基を末端に有する基としては、例えば、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシアルキレン基、フルオロアルキルシリルアルキレン基、フルオロアルキルカルボニルオキシアルキレン基、フルオロアルキルアリーレン基、フルオロアルキルアルケニレン基、フルオロアルキルアルキニレン基などが挙げられる。
フルオロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシル基、フルオロへプチル基、フルオロオクチル基、フルオロノニル基、フルオロデシル基フルオロウンデシル基、フルオロドデシル基などの炭素数が1〜12のフルオロアルキル基が挙げられる。
フルオロアルコキシアルキレン基としては、例えばフルオロメトキシC5-20アルキレン基、フルオロエトキシC5-20アルキレン基、フルオロプロポキシC5-20アルキレン基、フルオロブトキシC5-20アルキレン基などが挙げられる。
フルオロアルキルシリルアルキレン基としては、例えばフルオロメチルシリルC5-20アルキレン基、フルオロエチルシリルC5-20アルキレン基、フルオロプロピルシリルC5-20アルキレン基、フルオロブチルシリルC5-20アルキレン基、フルオロペンチルシリルC5-20アルキレン基、フルオロヘキシルシリルC5-20アルキレン基、フルオロへプチルシリルC5-20アルキレン基、フルオロオクチルシリルC5-20アルキレン基などが挙げられる。
フルオロアルキルカルボニルオキシアルキレン基としては、フルオロメチルカルボニルオキシC5-20アルキレン基、フルオロエチルカルボニルオキシC5-20アルキレン基、フルオロプロピルカルボニルオキシC5-20アルキレン基、フルオロブチルカルボニルオキシC5-20アルキレン基などが挙げられる。
フルオロアルキルアリーレン基としては、フルオロC1-8アルキルフェニレン基、フルオロC1-8アルキルナフチレン基が挙げられ、フルオロアルキルアルケニレン基としては、フルオロC1-17アルキルビニレン基が挙げられ、フルオロアルキルアルキニレン基としては、フルオロC1-17アルキルエチニレン基が挙げられる。

0037

第2の有機ケイ素化合物(B)の加水分解性基としては、化合物(A)で例示した加水分解性基と同様のものが挙げられ、好ましい加水分解性基は、アルコキシ基、アリル基、及びハロゲン原子であり、特にメトキシ基、エトキシ基、アリル基、塩素原子が好ましい。加水分解性基が複数個存在する場合は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。

0038

ケイ素原子に結合するフッ化炭素含有基と加水分解性基との合計数は、通常4であるが、2または3(特に3)であってもよい。3以下の場合、残りの結合手には、例えば、アルキル基(特に炭素数が1〜4のアルキル基)、H、シアノ基などが結合できる。特にフッ化炭素含有基と加水分解性基の合計数が4であることが好ましく、この場合、フッ化炭素含有基の数が3で加水分解性基の数が1、フッ化炭素含有基及び加水分解性基の数が共に2、フッ化炭素含有基の数が1で加水分解性基の数が3のいずれであってもよいが、フッ化炭素含有基の数が1で加水分解性基の数が3であることが好ましい。

0039

フッ化炭素含有基と加水分解性基の組み合わせは特に限定されず、後述する式(1)を包含するものや、包含しないもののいずれであってもよいが、好ましくは、フルオロアルキル基とアルコキシ基の組み合わせ(フルオロアルキルアルコキシシランなど。特にフルオロアルキルトリアルコキシシランなど)、フルオロアルキル基とアリル基の組み合わせ(フルオロアルキルアリルシランなど。特にフルオロアルキルトリアリルシランなど)、フルオロアルキル基とハロゲン原子の組み合わせ(フルオロアルキルハロシランなど。特にフルオロアルキルトリハロシラン)が挙げられる。

0040

前記第2の有機ケイ素化合物のうち、加水分解性シランオリゴマーは、2以上の加水分解性基をもつシラン化合物、好ましくは2以上(特に3)の加水分解性基と含フッ素基(特に低級の含フッ素アルキル基)を有するシラン化合物が加水分解縮合することによって生成するオリゴマーの事をいう。オリゴマーに含まれるケイ素原子の数(縮合数)は、例えば3以上であり、好ましくは5以上であり、より好ましくは7以上である。縮合数は好ましくは15以下であり、より好ましくは13以下であり、更に好ましくは10以下である。

0041

前記オリゴマーが有する加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基や、アリル基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、アリル基などである。前記オリゴマーは、これら加水分解性基の1種または2種以上を有することができ、好ましくは1種を有する。

0042

第2の有機ケイ素化合物(B)は、好ましくは下記式(1)又は(2)で表すことができる。式(1)はフッ化炭素含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合した化合物の好ましい例であり、式(2)は加水分解性シランオリゴマーの好ましい例である。

0043

0044

上記式(1)中、
Rf1はそれぞれ独立して、フッ素原子または1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基を表し、
R1はそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し、
R2はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基を表し、
Aはそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、−CONR−を表し(Rは水素原子又は低級のアルキル基、または低級の含フッ素アルキル基)を表し、
Bはそれぞれ独立して、加水分解性基を表し、
a1、b1、c1、d1、e1はそれぞれ独立して0以上100以下の整数であって、
a1、b1、c1、d1、e1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は式中において任意であり、
a1、b1、c1、d1、e1の合計値は100以下であり、
mは1以上3以下の整数である。
上記式(1)中、低級とは、炭素数が1〜4であることを意味する。

0045

Rf1はフッ素原子又は炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のパーフルオロアルキルが好ましい。R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキルであることが好ましい。R2は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。Aは、−O−、−COO−、−OCO−が好ましい。Bは炭素数1〜4のアルコキシ基、アリル基、又はハロゲン原子が好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、アリル基又は塩素原子であり、更に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基であり、最も好ましくはエトキシ基である。さらにa1は1〜30が好ましく、1〜25がより好ましく、1〜10が更に好ましく、1〜5が特に好ましく、最も好ましくは1〜2である。b1は0〜15が好ましく、より好ましくは0〜10である。c1は0〜5が好ましく、より好ましくは0〜2である。d1は0〜4が好ましく、より好ましくは0〜2である。e1は0〜4が好ましく、より好ましくは0〜2である。mは2〜3が好ましく、3がより好ましい。a1、b1、c1、d1、e1の合計値は3以上が好ましく、5以上がより好ましく、また80以下が好ましく、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下である。

0046

特に、Rf1がフッ素原子又は炭素数1〜5のパーフルオロアルキルであり、R1が水素原子であり、Bがメトキシ基又はエトキシ基であると共に、c1、d1及びe1がいずれも0であり、mが3であり、a1が1〜5、b1が0〜5であることが好ましい。

0047

第2の有機ケイ素化合物(B)のうち、フッ化炭素含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合した化合物としては、例えばCF3−Si−(OCH3)3、CjF2j+1−Si−(OC2H5)3(jは1〜12の整数)が挙げられ、この中で特にC4F9−Si−(OC2H5)3、C6F13−Si−(OC2H5)3、C7F15−Si−(OC2H5)3、C8F17−Si−(OC2H5)3が好ましい。また、CF3CH2O(CH2)kSiCl3、CF3CH2O(CH2)kSi(OCH3)3、CF3CH2O(CH2)kSi(OC2H5)3、CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)kSiCl3、CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)kSi(OCH3)3、CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)kSi(OC2H5)3、CF3(CH2)6Si(CH3)2(CH2)kSiCl3、CF3(CH2)6Si(CH3)2(CH2)kSi(OCH3)3、CF3(CH2)6Si(CH3)2(CH2)kSi(OC2H5)3、CF3COO(CH2)kSiCl3、CF3COO(CH2)kSi(OCH3)3、CF3COO(CH2)kSi(OC2H5)3が挙げられる(kはいずれも5〜20であり、好ましくは8〜15である)。また、CF3(CF2)m−(CH2)nSiCl3、CF3(CF2)m−(CH2)nSi(OCH3)3、CF3(CF2)m−(CH2)nSi(OC2H5)3を挙げることもできる(mはいずれも1〜10であり、好ましくは3〜7であり、nはいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。CF3(CF2)p−(CH2)q−Si−(CH2CH=CH2)3を挙げることもできる(pはいずれも2〜10であり、好ましくは2〜8であり、qはいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。
更に、CF3(CF2)p−(CH2)qSiCH3Cl2、CF3(CF2)p−(CH2)qSiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)p−(CH2)qSiCH3(OC2H5)2が挙げられる(pはいずれも2〜10であり、好ましくは3〜7でありqはいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。

0048

下記式(2)は、第2の有機ケイ素化合物(B)が加水分解性シランオリゴマーである場合の好ましい例である。

0049

0050

上記式(2)中、
Xはそれぞれ独立して、加水分解性基、低級のアルキル基、または低級の含フッ素アルキル基を表し、
g1は0以上100以下の整数である。
式(2)において、低級とは、炭素数が1〜4であることを意味する。

0051

前記加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基や、アリル基が挙げられる。Xのうち少なくとも1つは加水分解性基(特にエトキシ基、メトキシ基、アリル基)を含むことが好ましく、更に好ましくは、アルコキシ基であり、エトキシ基が特に好ましい。g1は0以上10以下が好ましく、より好ましくは0以上7以下である。Xのうち少なくとも1つが低級の含フッ素アルキル基であることも好ましい。

0052

加水分解性シランオリゴマーとしては、例えば、(H5C2O)3−Si−(OSi(OC2H5)2)4OC2H5、(H3CO)2Si(CH2CH2CF3)−(OSiOCH3(CH2CH2CF3))4−OCH3などが挙げられる。

0053

前記第1の有機ケイ素化合物(A)と前記第2の有機ケイ素化合物(B)は適切な質量比で用いることが好ましく、前記第1の有機ケイ素化合物(A)に対する、前記第2の有機ケイ素化合物(B)の質量比(すなわち第2の有機ケイ素化合物(B)/第1の有機ケイ素化合物(A))が0.1〜50であることが好ましい。前記質量比は、より好ましくは0.2〜40であり、更に好ましくは0.5〜30である。

0054

本発明の撥水撥油コーティング組成物は、更に溶剤(C)を含むことが好ましい。溶剤(C)としては、フッ素系溶剤が好ましい。フッ素系溶剤は、具体的にはフロン系、ノベック(3M社製)などのハイドロフルオロエーテルフロリナート(3M社製)などのパーフルオロカーボンアサヒクリンAK225(旭ガラス社製)などのハイドロクロロフルオロカーボン、アサヒクリンAC2000(旭ガラス社製)などのハイドロフルオロカーボンなどが挙げられる。含塩素フッ化炭素系有機溶媒を用いる場合には、更にクロロホルム等の有機塩素系溶媒を添加してもよい。

0055

溶剤(C)を含む場合、第1の有機ケイ素化合物(A)と第2の有機ケイ素化合物(B)と溶剤(C)との合計量に対して、第1の有機ケイ素化合物(A)と第2の有機ケイ素化合物(B)の合計量は、製膜方法により適宜適当な範囲を選択することができる。たとえば湿式法コーティングする場合、好ましくは、0.001〜20質量%であり、更に好ましくは0.01〜5.0質量%であり、更に好ましくは、0.01〜0.2質量%である。濃度をこれよりも高くすると、塗膜上に余剰分の化合物がブリードアウトし、塗膜が白く白濁して、耐摩耗性が著しく低下する。

0056

撥水撥油コーティング組成物は、さらにシラノール縮合触媒を含んでいてもよい。シラノール縮合触媒としては、塩酸硝酸などの無機酸、酢酸などの有機酸チタン錯体(たとえば、ファインケミカル製、オルガチクスTC−750など)や錫錯体などの金属錯体金属アルコキシドなどがあげられる。シラノール縮合触媒の量は、第一の有機ケイ素化合物(A)と第二の有機ケイ素化合物(B)と溶剤(C)との合計量に対して、例えば、0.00001〜0.1質量%、好ましくは、0.00002〜0.01質量%、さらに好ましくは0.0005〜0.001質量%である。

0057

撥水撥油コーティング組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤防錆剤紫外線吸収剤光安定剤防カビ剤抗菌剤生物付着防止剤消臭剤顔料難燃剤帯電防止剤等、各種の添加剤を含有していてもよい。

0059

例えば、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニルプロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−チオ−エチレンビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンテトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸}ペンタエリスリチルエステル、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニルエチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H、3H、5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤。

0060

例えば、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−ドデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシルエステル、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリチルエステル等の硫黄系酸化防止剤。

0061

例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォイト、ビス−[2,4−ジ−t−ブチル,(6−メチル)フェニル]エチルホスファイト等のリン系酸化防止剤。

0062

例えば、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(融点81〜86℃)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(融点58℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3、−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}−1,6−ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系酸化防止剤。

0063

また、防錆剤としては、例えば、アルカノールアミン第四アンモニウム塩アルカンチオールイミダゾリンメタバナジン酸ナトリウムクエン酸ビスマスフェノール誘導体ポリアルケニルアミン、アルキルイミダゾリン誘導体、ジアノアルキルアミンカルボン酸アミドアルキレンジアミンピリミジンおよびこれらのカルボン酸ナフテン酸スルホン酸複合体、亜硝酸カルシウム、アルキルアミンとエステル、ポリアルコールポリフェノール、アルカノールアミン、モリブデン酸ナトリウムタングステン酸ナトリウム亜硝酸ナトリウムホスホン酸ナトリウムクロム酸ナトリウムケイ酸ナトリウムゼラチン、カルボン酸のポリマー脂肪族および芳香族アミンジアミンエトキシ化アミンイミダゾールベンズイミダゾールニトロ化合物ホルムアルデヒドアセチレンアルコール、脂肪族および芳香族チオールスルフィドスルホキシドチオ尿素、アセチレンアルコール、2−メルカプトベンズイミダゾール、アミン又は第四アンモニウム塩+ハロゲンイオンアセチレンチオールおよびスルフィド、ジベンジルスルホキシド、アルキルアミン+ヨウ化カリウム亜硝酸ジシクロヘキシルアミン安息香酸シクロヘキシルアミンベンゾトリアゾールタンニンリン酸ナトリウムトリエタノールアミンラウリルサルコシン、+ベンゾトリアゾール、アルキルアミン+ベンゾトリアゾール+亜硝酸ナトリウム+リン酸ナトリウム等の防錆剤を例示できる。

0064

紫外線吸収剤/光安定剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量約300)との縮合物ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−エトキシ−2’−エチル−オキサリック酸ビスアニリド等の紫外線吸収剤/光安定剤が挙げられる。

0065

防カビ剤/抗菌剤としては、例えば、2−(4−チアゾリルベンツイミダゾールソルビン酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3オン、(2−ピリジルチオ−1−オキシドナトリウムデヒドロ酢酸、2−メチル−5−クロロ−4−イソチアゾロン錯体、2,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、モノあるいはジブロモシアノアセトアミド類、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,1−ジブロモ−1−ニトプロパノールおよび1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン等の防カビ剤/抗菌剤を含有してもよい。

0066

生物付着防止剤としては、例えば、テトラメチルチウラムサルファイド、ビス(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアジクロロ−N−((ジメチルアミノスルフォニル)フルオロ−N−(P−トリルメタンスルフェンアミドピリジントリフェニルボラン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオスルファミドチオシアン酸第一銅(1)、酸化第一銅テトラブチルチウラムジサルファイド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルジンエチレンビスジチオカーバーメート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フラノン類アルキルピリジン化合物グラミン系化合物、イソニル化合物等の生物付着防止剤を例示できる。

0067

消臭剤としては、例えば、乳酸コハク酸リンゴ酸クエン酸マレイン酸マロン酸エチレンジアミンポリ酢酸、アルカン-1,2-ジカルボン酸アルケン-1,2-ジカルボン酸、シクロアルカン-1,2-ジカルボン酸、シクロアルケン-1,2-ジカルボン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機酸類ウンデシレン酸亜鉛2-エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛等の脂肪酸金属類;酸化鉄硫酸鉄酸化亜鉛硫酸亜鉛塩化亜鉛酸化銀酸化銅、金属(鉄、銅等)クロロフィリンナトリウム、金属(鉄、銅、コバルト等)フタロシアニン、金属(鉄、銅、コバルト等)テトラスルホン酸フタロシアニン、二酸化チタン可視光応答型二酸化チタン窒素ドープ型など)等の金属化合物;α-、β-、又はγ-シクロデキストリン、そのメチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体等のシクロデキストリン類多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の芳香族系ポリマー、それらの共重合体及びキチンキトサン活性炭シリカゲル活性アルミナゼオライトセラミック等の多孔質体等の消臭剤が例示できる。

0069

難燃剤としては、例えば、デカブロビフェニル三酸化アンチモンリン系難燃剤水酸化アルミニウム等の難燃剤を含有できる。

0070

帯電防止剤としては、例えば、4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤ベタイン型両性界面活性剤リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤、硫酸化油石鹸硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩脂肪酸エチルスルホン酸塩アルキルナフタレンスルホン酸塩アルキルベンゼンスルホン酸塩琥珀酸エステルスルホン酸塩燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノ又は脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等の帯電防止剤を例示できる。

0071

滑剤充填剤可塑剤核剤アンチブロッキング剤発泡剤乳化剤光沢剤結着剤等も本発明撥水撥油コーティング組成物に含有されていてもよい。

0072

本発明の撥水撥油コーティング組成物が各種の添加剤を含む場合、各種の添加剤の含有量としては、例えば、本発明の撥水撥油コーティング組成物の全重量に対して、0.01重量%以上70重量%以下、好ましくは0.1重量%以上50重量%以下、より好ましくは0.5重量%以上30重量%以下、さらに好ましくは2重量%以上15重量%以下である。

0073

本発明は上記した撥水撥油コーティング組成物から得られる透明皮膜も包含する。本発明の透明皮膜は、本発明の撥水撥油コーティング組成物を、基材に製膜し空気中で静置することで、空気中の水分を取り込んで加水分解性基が加水分解され、シロキサン結合が形成される。得られた透明皮膜は、さらに加温乾燥してもよい。
例えば、上記第1の有機ケイ素化合物(A)と、上記第2の有機ケイ素化合物(B)とを、溶剤(C)で希釈した皮膜形成用溶液を室温で所定時間撹拌し、該溶液を基板に製膜した後、室温・空気中で静置し、さらに50〜300℃、好ましくは100〜200℃で加温乾燥することによって本発明の透明皮膜を得ることができる。

0074

基板に皮膜形成用溶液を製膜する方法としては、ディップコート法ロールコート法バーコート法スピンコート法スプレーコート法ダイコート法蒸着法などを適宜採用できる。透明皮膜の膜厚は、例えば1〜200nm、好ましくは1〜20nmである。

0075

このようにして得られる透明皮膜は、撥水・撥油性を有すると共に、耐摩耗性に優れている。例えば、本発明の透明皮膜は、凹凸のない平滑な面において水滴量3μlでθ/2法により測定した接触角が90°以上(好ましくは100°以上、より好ましくは110°以上。上限は限定されないが、例えば120°以下。)である。

0076

また、本発明の透明被膜は、JIS K 7136−1又はJIS K 7375に準拠した全光線透過率が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。

0077

本発明の透明皮膜を形成する基板は特に限定されず、有機系材料無機系材料のいずれでも良く、形状は平面、曲面のいずれであってもよいし、多数の面が組み合わさった三次元的構造でもよい。前記有機系材料としては、アクリル樹脂ポリカーボネート樹脂ポリエステル樹脂スチレン樹脂アクリルスチレン共重合樹脂セルロース樹脂ポリオレフィン樹脂ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂フェノール樹脂ユリア樹脂メラミン樹脂エポキシ樹脂不飽和ポリエステルシリコーン樹脂ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。前記無機系材料としては、鉄、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属、これら金属を含む合金セラミックス、ガラスなどが挙げられる。
基板には予め易接着処理を施しておいてもよい。易接着処理としては、コロナ処理プラズマ処理紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂シランカップリング剤テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を用いてもよい。

0078

また、プライマー層を本発明の透明皮膜と基板の間に設けることで、耐湿性耐アルカリ性等の耐久性がより向上できるため好ましい。

0079

プライマー層としては、下記式(5)で表される化合物および/またはその部分加水分解縮合物からなる(D)成分を含む下地層形成用組成物を用いて形成された層が好ましい。
Si(X2)4 ・・・(5)
(ただし、式(5)中、X2はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルコキシ基またはイソシアネート基を示す。)

0080

上記式(5)中、X2は、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基またはイソシアネート基であることが好ましく、さらに4個のX2が同一であることが好ましい。

0081

このような式(5)で示される化合物として、具体的には、Si(NCO)4、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4等が好ましく用いられる。(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0082

プライマー層形成用組成物に含まれる(D)成分は、上記式(5)で表される化合物の部分加水分解縮合物であってもよい。上記式(5)で表される化合物の部分加水分解縮合物は、酸や塩基触媒を用いた一般的な加水分解縮合方法を適用することで得ることができる。ただし、部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。(D)成分としては、上記式(5)で表される化合物であっても、上記式(5)で表される化合物の部分加水分解縮合物であってもよく、上記式(5)で表される化合物とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の上記式(5)で表される化合物が含まれる該化合物の部分加水分解縮合物であってもよい。なお、上記式(5)で表される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。

0083

また、下地層形成用組成物は、上記(D)成分と、下記式(6)で表わされる化合物(化合物(6)という場合がある)および/またはその部分加水分解縮合物からなる(E)成分とを含む、もしくは、上記(D)成分と上記(E)成分の部分加水分解縮合物(ただし、上記(D)成分および/または上記化合物(6)を含んでもよい)を含む組成物であってもよい。
(X3)3Si−(CH2)p−Si(X3)3 ・・・(6)
(ただし、式(6)中、X3はそれぞれ独立して加水分解性基または水酸基を示し、pは1〜8の整数である。)
式(6)で表される化合物は、2価有機基を挟んで両末端に加水分解性シリル基またはシラノール基を有する化合物である。

0084

式(6)中、X3で示される加水分解性基としては、上記X2と同様の基または原子が挙げられる。上記式(6)で表される化合物の安定性と加水分解のし易さとのバランスの点から、X3としては、アルコキシ基およびイソシアネート基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。これらは、製造上の目的、用途等に応じて適宜選択され用いられる。式(6)中に複数個存在するX3は同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。

0085

式(6)で表される化合物として、具体的には、(CH3O)3SiCH2CH2Si(OCH3)3、(OCN)3SiCH2CH2Si(NCO)3、Cl3SiCH2CH2SiCl3、(C2H5O)3SiCH2CH2Si(OC2H5)3、(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(OCH3)3等が挙げられる。(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0086

プライマー層形成用組成物に含まれる成分は、式(6)で表される化合物の部分加水分解縮合物であってもよい。式(6)で表される化合物の部分加水分解縮合物は、式(5)で表される化合物の部分加水分解縮合物の製造において説明したのと同様の方法で得ることができる。部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。(E)成分としては、式(6)で表される化合物であっても、式(6)で表される化合物の部分加水分解縮合物であってもよく、式(6)で表される化合物とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の式(6)で表される化合物が含まれる該化合物の部分加水分解縮合物であってもよい。なお、上記式(6)で示される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。

0087

また、下地層には、上記式(5)と同様のケイ素を主成分とする酸化膜を得ることができる、各種ポリシラザンを用いてもよい。

0088

プライマー層形成用組成物は、通常、層構成成分となる固形分の他に、経済性、作業性、得られるプライマー層の厚さ制御のしやすさ等を考慮して、有機溶剤を含む。有機溶剤は、プライマー層形成用組成物が含有する固形分を溶解するものであれば特に制限されない。有機溶剤としては、本発明の撥水撥油コーティング組成物に用いられる溶剤と同様の化合物が挙げられる。有機溶剤は1種に限定されず、極性蒸発速度等の異なる2種以上の溶剤を混合して使用してもよい。プライマー層形成用組成物が、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含有する場合、これらを製造するために使用した溶媒を含んでもよい。

0089

さらに、プライマー層形成用組成物においては、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含まないものであっても、加水分解共縮合反応を促進させるために、部分加水分解縮合の反応において一般的に使用されるのと同様の酸触媒等の触媒を配合しておくことも好ましい。部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含む場合であっても、それらの製造に使用した触媒が組成物中に残存していない場合は、触媒を配合することが好ましい。下地層形成用組成物は、上記含有成分が加水分解縮合反応や加水分解共縮合反応するための水を含んでいてもよい。

0090

プライマー層形成用組成物を用いて下地層を形成する方法としては、オルガノシラン化合物系の表面処理剤における公知の方法を用いることが可能である。例えば、はけ塗り流し塗り回転塗布、浸漬塗布スキージ塗布、スプレー塗布手塗り等の方法で下地層形成用組成物を基体の表面に塗布し、大気中または窒素雰囲気中において、必要に応じて乾燥した後、硬化させることで、下地層を形成できる。硬化の条件は、用いる組成物の種類、濃度等により適宜制御される。なお、プライマー層形成用組成物の硬化は、撥水膜形成用組成物の硬化と同時に行ってもよい。

0091

プライマー層の厚さは、その上に形成される透明皮膜に耐湿性を付与できる他、基板との密着性を付与でき、また基板からのアルカリ等をバリアできる厚さであれば特に限定されない。

0092

本発明の透明皮膜は、タッチパネルディスプレイ等の表示装置光学素子半導体素子建築材料ナノインプリント技術太陽電池、自動車や建物の窓ガラス、調理器具などの金属製品食器などのセラミック製品プラスチック製の自動車部品等に好適に製膜することができ、産業上有用である。また、漁網虫取り網水槽などにも用いることができる。更に、台所風呂場洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品シャンデリアタイルなどの陶磁器人工大理石エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具内壁配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル眼鏡ヘルメットパチンコ、繊維、遊具サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材化粧品用包材ポットの内部、など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。

0093

本願は、2014年11月12日に出願された日本国特許出願第2014−230153号に基づく優先権の利益を主張するものである。2014年11月12日に出願された日本国特許出願第2014−230153号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。

0094

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。

0095

特開2014−15609号公報の合成例1、2に記載の方法により、下記式(a)で表される第1の有機ケイ素化合物(A)(分子量約8000)を合成した。

0096

0097

上記式(a)において、nは43であり、mは1〜6の整数である。

0098

実施例1
第1の有機ケイ素化合物(A)として上記式(a)で表される化合物(以下、化合物(a))、第2の有機ケイ素化合物(B)としてFAS9E(C4F9−C2H4−Si−(OC2H5)3、沸点:241℃、東京化成工業社製)、溶剤(C)としてノベック7200(C4H9OC2H5、3M社製)を混合し、室温で所定の時間撹拌して、撥水撥油コーティング組成物を得た。該撥水撥油コーティング組成物中、第1の有機ケイ素化合物(A)の比率は0.03質量%であり、第2の有機ケイ素化合物(B)の比率は0.07質量%である。得られた撥水撥油コーティング組成物を、Corning製のガラス基板EAGLEXGの上に滴下し、MIKASA製スピンコーターにより該ガラス基板を3000rpmで20秒回転させた。さらに150℃で10分間加温乾燥を行い、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0099

実施例2
第1の有機ケイ素化合物(A)の比率を0.05質量%、第2の有機ケイ素化合物(B)の比率を0.05質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0100

実施例3
第1の有機ケイ素化合物(A)の比率を0.1質量%としたこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0101

実施例4
第2の有機ケイ素化合物(B)の比率を0.1質量%としたこと以外は、実施例3と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0102

実施例5
第2の有機ケイ素化合物(B)としてFAS13E(C6F13−C2H4−Si−(OC2H5)3、沸点:220℃、東京化成工業社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0103

実施例6
第2の有機ケイ素化合物(B)としてFAS13E(C6F13−C2H4−Si−(OC2H5)3、沸点:220℃、東京化成工業社製)を使用したこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0104

比較例1
第2の有機ケイ素化合物(B)を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0105

比較例2
第2の有機ケイ素化合物(B)を使用しなかったこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0106

比較例3
第2の有機ケイ素化合物(B)としてFAS9M(C4F9−C2H4−Si−(OCH3)3、沸点:43℃、東京化成社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0107

比較例4
第2の有機ケイ素化合物(B)としてFAS9M(C4F9−C2H4−Si−(OCH3)3、沸点:43℃、東京化成社製)を使用したこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0108

比較例5
第2の有機ケイ素化合物(B)としてFAS17M(C8F17−C2H4−Si−(OCH3)3、沸点:80℃、東京化成社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0109

比較例6
第2の有機ケイ素化合物(B)としてFAS17M(C8F17−C2H4−Si−(OCH3)3、沸点:80℃、東京化成社製)を使用したこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0110

比較例7
第2の有機ケイ素化合物(B)としてFAS17M(C8F17−C2H4−Si−(OCH3)3、沸点:80℃、東京化成社製)およびテトラメトキシシラン(Si−(OCH3)4、沸点:122℃、東京化成社製)を使用し、触媒としてジブチル錫オキシドを使用し、FAS17Mの比率を0.19質量%、テトラエトキシシランの比率を0.05質量%、ジブチル錫オキシドの比率を0.004質量%とし、溶剤(C)としてペンタフルオロブタン(CF3CH2CF2CH3、東京化成工業(株)社製)とAK225(旭硝子(株)社製)を重量比で7:3で用いたこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0111

比較例8
第1の有機ケイ素化合物(A)を使用せず、第2の有機ケイ素化合物(B)としてFAS9M(C4F9−C2H4−Si−(OCH3)3、沸点:43℃、東京化成社製)を使用し、FAS9Mの比率を0.1質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0112

比較例9
第1の有機ケイ素化合物(A)を用いず、第2の有機ケイ素化合物(B)としてFAS9E(C4F9−C2H4−Si−(OC2H5)3、沸点:241℃、東京化成社製)を用い、FAS9Mの比率を0.1質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板上に透明皮膜を得た。

0113

(1)水接触角の測定
協和界面科学社製DM700を使用し、水滴量3μlで、θ/2法にて接触角の測定を行った。

0114

(2)耐摩耗性の評価
モノワンダストキャッチトンボ鉛筆社)を具備したスチールウール試験機(大栄精機社製)により、消しゴムサンプルに接した状態で、荷重500gをかけて摩耗試験を行い、初期接触角から−15度以下となるまでの回数を測定した。

0115

結果を表1〜3に示す。

0116

0117

0118

0119

実施例1〜6では、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテル基を自由端側に有する含フッ素基と、加水分解性基とがケイ素原子に結合している上記化合物(a)と、フッ化炭素含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合した化合物であって沸点が100℃以上の化合物(具体的には、FAS9E又はFAS13E)を用いているため、良好な撥水性を有すると共に、耐摩耗性にも優れている。

実施例

0120

一方、化合物(a)のみを用いた比較例1、2、及び化合物(a)と、第2の有機ケイ素化合物としてフッ化炭素含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合した化合物であって沸点が100℃未満の化合物(具体的には、FAS9M又はFAS17M)を用いた比較例3〜7は、耐摩耗性が不十分であった。また、化合物(a)を用いることなく、上記FAS9M又はFAS9Eのみを用いた比較例8、9では、撥水性も耐摩耗性も不十分となった。

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