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技術 透明皮膜

出願人 住友化学株式会社
発明者 櫻井彩香宮本知典竹厚流
出願日 2015年10月27日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2016-556583
公開日 2017年9月7日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 WO2016-068138
状態 特許登録済
技術分野 塗料、除去剤 けい素重合体
主要キーワード 滑り具合 屋内設備 熱履歴前 滑落速度 オリゴマー残基 直列構造 直鎖状飽和脂肪族炭化水素 アルキルピリジン化合物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年9月7日)のものです。
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図面 (1)

課題・解決手段

本発明は、撥水・撥油性と、耐熱性及び耐光性とを両立することを目的とする。本発明の透明皮膜は、ポリシロキサン骨格と、前記ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖とを含む透明皮膜であって、前記トリアルキルシリル基含有分子鎖中のアルキル基フルオロアルキル基に置き換わっていてもよく、透明皮膜上の液滴の初期接触角をA0、温度200℃で24時間静置した後の接触角をBH、強度250Wのキセノンランプを100時間照射した後の接触角をBLとしたときに、 (BH−A0)/A0×100(%)≧−27(%)、および、 (BL−A0)/A0×100(%)≧−15(%)の少なくとも一方を満足することを特徴とする。

概要

背景

各種の表示装置光学素子半導体素子建築材料自動車部品ナノインプリント技術等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れ腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水性が良好であることが求められており、特に、基材表面への液滴の付着を防止するだけでなく、付着した液滴の除去が容易であることも求められている。

微少水滴であっても小さな傾斜角度滑落させることを可能とする皮膜として、特許文献1には、有機シラン金属アルコキシドを、有機溶媒、水を含む溶液中で共加水分解縮重合させることにより得られる皮膜が提案されている。

概要

本発明は、撥水・撥油性と、耐熱性及び耐光性とを両立することを目的とする。本発明の透明皮膜は、ポリシロキサン骨格と、前記ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖とを含む透明皮膜であって、前記トリアルキルシリル基含有分子鎖中のアルキル基フルオロアルキル基に置き換わっていてもよく、透明皮膜上の液滴の初期接触角をA0、温度200℃で24時間静置した後の接触角をBH、強度250Wのキセノンランプを100時間照射した後の接触角をBLとしたときに、 (BH−A0)/A0×100(%)≧−27(%)、および、 (BL−A0)/A0×100(%)≧−15(%)の少なくとも一方を満足することを特徴とする。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

ポリシロキサン骨格と、前記ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖とを含む透明被膜であって、前記トリアルキルシリル基含有分子鎖中のアルキル基フルオロアルキル基に置き換わっていてもよく、透明皮膜上の液滴の初期接触角をA0、温度200℃で24時間静置した後の接触角をBH、強度250Wのキセノンランプを100時間照射した後の接触角をBLとしたときに、(BH−A0)/A0×100(%)≧−27(%)、および、(BL−A0)/A0×100(%)≧−15(%)の少なくとも一方を満足する透明皮膜。

請求項2

ポリシロキサン骨格と、前記ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖とを含む透明被膜であって、前記トリアルキルシリル基含有分子鎖中のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっていてもよく、透明被膜上の液滴の初期接触角をA1、300nm以下の領域に輝線を有する水銀ランプの光を照射面における強度を200±10mW/cm2として、温度20〜40℃、湿度30〜75%の大気雰囲気下で、4時間照射した後の透明皮膜上の液滴の接触角をBz1としたときに、下記式で表される関係を満足する透明皮膜。(Bz1−A1)/A1×100(%)≧−9(%)

請求項3

前記トリアルキルシリル基含有分子鎖が、下記式(s1)で表されるものである請求項1又は2に記載の透明皮膜。[式(s1)中、Rs1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表す。ただし、Rs1の全てが炭化水素基のとき、これら炭化水素基はアルキル基である。Rs2は、ジアルキルシロキサン鎖を表し、ジアルキルシロキサン鎖の酸素原子は、2価の炭化水素基で置き換わっていてもよく、前記2価の炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)は酸素原子で置き換わっていてもよい。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]

請求項4

前記トリアルキルシリル基含有分子鎖が、下記式(s1−1)で表されるものである請求項3に記載の透明皮膜。[式(s1−1)中、Rs3は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。Rs4は、炭素数1以上、10以下の2価の炭化水素基を表し、Rs4中のメチレン基(−CH2−)は、酸素原子で置き換わっていてもよい。Rs5は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。m1、n1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。*は、ケイ素原子との結合手を表す。ただし添字n1、m1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位存在順序は、式中において任意である。]

請求項5

金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子から選ばれる金属原子と、前記トリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する元素数よりも少ない元素数のシロキサン骨格含有基、およびヒドロキシ基よりなる群から選ばれる基であって、前記金属原子に結合する基とから構成されるユニットを有し、このユニットが金属原子の部位で前記ポリシロキサン骨格に結合している請求項1〜4のいずれかに記載の透明皮膜。

請求項6

下記式(2−I)で表される構造(B)を有する請求項5に記載の透明皮膜。[式(2−I)中、Rb1は、シロキサン骨格含有基、ヒドロキシ基又は−O−基を表し、Zb1は加水分解性基、ヒドロキシ基又は−O−基を表し、複数の式(2)間でRb1とZb1とは同一であっても異なっていてもよい。Mは、金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。jは、Mに応じて、0又は1の整数を表す。]

請求項7

MがAl、Si、Ti又はZrである請求項6に記載の透明皮膜。

請求項8

MがSiである請求項7に記載の透明皮膜。

請求項9

前記構造(B)と、トリアルキルシリル基含有分子鎖がケイ素原子に結合している構造(A)の存在比(構造(B)/構造(A))が、モル基準で0.1以上、80以下である請求項6〜8のいずれかに記載の透明皮膜。

請求項10

透明皮膜上の液滴の初期接触角が、95°以上である請求項1〜9のいずれかに記載の透明皮膜。

請求項11

少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(a)、及び加水分解性基が金属原子に結合している金属化合物(b)を含むコーティング組成物

請求項12

前記金属化合物(b)が下記式(II−1)で表される化合物及びその加水分解縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であって、金属化合物(b)と有機ケイ素化合物(a)のモル比(金属化合物(b)/有機ケイ素化合物(a))が10以上である請求項11に記載のコーティング組成物。[式(II−1)中、Mは金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。Ab1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Rb2は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基を表し、Rb2およびZb2がシロキサン骨格含有基又は炭化水素鎖含有基の場合、Rb2とZb2とは同一であっても異なっていてもよく、Zb2が加水分解性基の場合、Rb2とAb1とは同一でも異なっていてもよい。また、複数の式(II−1)間でRb2とZb2は同一であっても異なっていてもよい。またRb2がシロキサン骨格含有基の場合、シロキサン骨格含有基は、有機ケイ素化合物(a)のトリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する元素数よりも少ない元素数からなる。Zb2は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基を表す。kは、Mに応じて、0又は1の整数を表す。]

請求項13

前記有機ケイ素化合物(a)が下記式(I−I)で表される化合物である請求項11に記載のコーティング組成物。[式(I−I)中、Aa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za2は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基を表し、Za2が加水分解性基の場合、Za2とAa1とは、同一であっても異なっていてもよい。また、複数の式(I−I)間でRaとZa2とは同一であっても異なっていてもよい。Rs3は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。Rs4は、炭素数1以上、10以下の2価の炭化水素基を表し、Rs4中のメチレン基(−CH2−)は、酸素原子で置き換わっていてもよい。Rs5は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。m1、n1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。ただし添字n1、m1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]

請求項14

下記式(I−I)で表される化合物。[式(I−I)中、Aa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za2は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基を表し、Za2が加水分解性基の場合、Za2とAa1とは、同一であっても異なっていてもよい。また、複数の式(I−I)間でRaとZa2とは同一であっても異なっていてもよい。Rs3は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。Rs4は、炭素数1以上、10以下の2価の炭化水素基を表し、Rs4中のメチレン基(−CH2−)は、酸素原子で置き換わっていてもよい。Rs5は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。m1、n1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。ただし添字n1、m1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]

技術分野

0001

本発明は、各種基材撥水性を付与できる透明皮膜に関する。

背景技術

0002

各種の表示装置光学素子半導体素子建築材料自動車部品ナノインプリント技術等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れ腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水性が良好であることが求められており、特に、基材表面への液滴の付着を防止するだけでなく、付着した液滴の除去が容易であることも求められている。

0003

微少水滴であっても小さな傾斜角度滑落させることを可能とする皮膜として、特許文献1には、有機シラン金属アルコキシドを、有機溶媒、水を含む溶液中で共加水分解縮重合させることにより得られる皮膜が提案されている。

先行技術

0004

特開2013−213181号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明者らは、上記特許文献1に記載の皮膜では、耐熱性耐光性不足する場合があるとの知見を得た。耐熱性、耐光性が不足すると、処理膜劣化しやすくなり、結果として撥水性が低下する。そこで本発明は、撥水性と、耐熱性及び耐光性(以下、耐熱性と耐光性を合わせて「耐候性」という。)とを両立することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、上記事情に鑑みて鋭意検討した結果、熱履歴前後、或いは、光照射前後の接触角の変化を一定範囲に調整すると、透明皮膜が撥水性と、耐熱性及び耐光性(耐候性)を両立できるものとなることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る透明皮膜は、ポリシロキサン骨格と、前記ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖とを含む透明皮膜であって、トリアルキルシリル基含有分子鎖中のアルキル基フルオロアルキル基に置き換わっていてもよく、透明皮膜上の液滴の初期接触角をA0、温度200℃で24時間静置した後の接触角をBH、強度250Wのキセノンランプを温度で100時間照射した後の接触角をBLとしたときに、
(BH−A0)/A0×100(%)≧−27(%)、および、
(BL−A0)/A0×100(%)≧−15(%)
の少なくとも一方を満足することを特徴とする。

0007

また本発明の透明皮膜は、ポリシロキサン骨格と、前記ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖とを含む透明皮膜であって、トリアルキルシリル基含有分子鎖中のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっていてもよく、透明被膜上の液滴の初期接触角をA1、300nm以下の領域に輝線を有する水銀ランプの光を照射面における強度を200±10mW/cm2として、温度20〜40℃、湿度30〜75%の大気雰囲気下で、4時間照射した後の透明皮膜上の液滴の接触角をBz1としたときに、下記式で表される関係を満足する透明皮膜。
(Bz1−A1)/A1×100(%)≧−9(%)

0008

前記トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s1)で表されるものであることが好ましい。

0009

0010

[式(s1)中、Rs1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表す。ただし、Rs1の全てが炭化水素基のとき、これら炭化水素基はアルキル基である。Rs2は、ジアルキルシロキサン鎖を表し、ジアルキルシロキサン鎖の酸素原子は、2価の炭化水素基で置き換わっていてもよく、前記2価の炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)は酸素原子で置き換わっていてもよい。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]

0011

前記トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s1−1)で表されるものであることが好ましい。

0012

0013

[式(s1−1)中、Rs3は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。Rs4は、炭素数1以上、10以下の2価の炭化水素基を表し、Rs4中のメチレン基(−CH2−)は、酸素原子で置き換わっていてもよい。Rs5は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。m、nは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。*は、ケイ素原子との結合手を表す。ただし添字n1、m1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位存在順序は、式中において任意である。]

0014

金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子から選ばれる金属原子と、前記トリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する元素数よりも少ない元素数のシロキサン骨格含有基、および、ヒドロキシ基よりなる群から選ばれる基であって、前記金属原子に結合する基とから構成されるユニットを有し、このユニットが金属原子の部位で前記ポリシロキサン骨格に結合していることが好ましい。

0015

本発明の透明皮膜は、下記式(2)で表される構造(B)を有することが好ましい。

0016

0017

[式(2)中、Rb1は、シロキサン骨格含有基、ヒドロキシ基又は−O−基を表し、Zb1は加水分解性基、ヒドロキシ基又は−O−基を表し、複数の式(2)間でRb1とZb1とは同一であっても異なっていてもよい。Mは、金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。jは、Mに応じて、0又は1の整数を表す。]

0018

前記Mは、Al、Si、Ti又はZrであることが好ましく、Siであることがより好ましい。

0019

本発明の透明皮膜において、前記構造(B)と、トリアルキルシリル基含有分子鎖がケイ素原子に結合している構造(A)の存在比(構造(B)/構造(A))が、モル基準で0.1以上、80以下であることが好ましい。

0020

本発明の透明皮膜上の液滴の初期接触角は95°以上であることが好ましい。

0021

少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(a)、及び加水分解性基が金属原子に結合している金属化合物(b)を含むコーティング組成物も本発明の範囲に包含される。

0022

また本発明のコーティング組成物において、前記金属化合物(b)が下記式(II−1)で表される化合物及びその加水分解縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であって、金属化合物(b)と有機ケイ素化合物(a)のモル比(金属化合物(b)/有機ケイ素化合物(a))が10以上であることも好ましい。

0023

0024

[式(II−1)中、Mは金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。Ab1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Rb2は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基を表し、Rb2およびZb2がシロキサン骨格含有基又は炭化水素鎖含有基の場合、Rb2とZb2とは同一であっても異なっていてもよく、Zb2が加水分解性基の場合、Rb2とAb1とは同一でも異なっていてもよい。また、複数の式(II)間でRb2とZb2は同一であっても異なっていてもよい。Zb2は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基を表す。kは、Mに応じて、0又は1の整数を表す。]

0025

さらに本発明のコーティング組成物において、前記有機ケイ素化合物(a)が下記式(I−I)で表される化合物であることも好ましい。

0026

0027

[式(I−I)中、Aa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za2は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基を表し、Za2が加水分解性基の場合、Za2とAa1とは、同一であっても異なっていてもよい。また、複数の式(I)間でRaとZa2とは同一であっても異なっていてもよい。Rs3は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。Rs4は、炭素数1以上、10以下の2価の炭化水素基を表し、Rs4中のメチレン基(−CH2−)は、酸素原子で置き換わっていてもよい。Rs5は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。m1、n1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。ただし添字n1、m1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]

0028

下記式(I−I)で表される化合物も本発明の範囲に包含される。




[式(I−I)中、複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za2は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基を表し、Za2が加水分解性基の場合、Za2とAa1とは、同一であっても異なっていてもよい。また、複数の式(I)間でRaとZa2とは同一であっても異なっていてもよい。Rs3は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。Rs4は、炭素数1以上、10以下の2価の炭化水素基を表し、Rs4中のメチレン基(−CH2−)は、酸素原子で置き換わっていてもよい。Rs5は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。m、nは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。ただし添字n1、m1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]

発明の効果

0029

本発明の透明皮膜は、熱履歴前後、或いは、光照射前後の接触角の変化が一定範囲に調整されているため、撥水・撥油性と、耐光性、耐熱性を両立することができる。

図面の簡単な説明

0030

図1は、ウシオ電機社製「SP−9 250DB」の分光放射照度を表す。

0031

本発明の透明皮膜は、熱履歴前後、或いは、光照射前後の接触角の変化を抑制したものであり、本発明では、接触角変化を特定の範囲に調整することで、撥水・撥油性と、耐光性、耐熱性とを両立できる透明皮膜が得られることを見出している。本発明の透明皮膜は、ポリシロキサン骨格と、前記ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖とを含む透明皮膜であって、前記トリアルキルシリル基含有分子鎖中のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっていてもよく、具体的には、透明皮膜上の液滴の初期接触角をA0、温度200℃で24時間静置した後の接触角をBH、強度250Wのキセノンランプを100時間照射した後の接触角をBLとしたときに、
(BH−A0)/A0×100(%)≧−27(%)、および、
(BL−A0)/A0×100(%)≧−15(%)
の少なくとも一方を満足する。

0032

以下、温度200℃で24時間静置する試験耐熱試験、強度250Wのキセノンランプを100時間照射する試験を耐光試験とし、(BH−A0)/A0×100(%)を耐熱試験後接触角変化率DH、(BL−A0)/A0×100(%)を耐光試験後接触角変化率DLとして、説明する。
なお、接触角は、液量3μLの水を用い、θ/2法にて測定した値を意味する。また、初期接触角A0は、耐熱試験、耐光試験を行っていない透明皮膜の接触角を意味するものとする。

0033

耐熱試験後接触角変化率DHは、−27(%)以上であり、−27.0(%)以上であることが好ましく、−18(%)以上であることがより好ましく、よりいっそう好ましくは−10(%)以上、さらに好ましくは−5(%)以上であり、通常、10(%)以下であることが好ましい。耐熱試験後接触角変化率DHがこの範囲にあると、撥水・撥油性と、耐候性とを両立することができる。

0034

耐光試験後接触角変化率DLは、−15(%)以上であり、−15.0(%)以上であることが好ましく、より好ましくは−8(%)以上、さらに好ましくは−3(%)以上であり、通常、10(%)以下であることが好ましい。耐光試験後接触角変化率DLがこの範囲にあると、撥水・撥油性と、耐候性とを両立することができる。

0035

初期接触角A0は、80°以上であることが好ましく、より好ましくは90°以上、よりいっそう好ましくは95°以上であり、さらに好ましくは98°以上、特に好ましくは100°以上、通常、180°以下であることが好ましい。

0036

また、耐熱試験後接触角BHは、75°以上であることが好ましく、より好ましくは85°以上、さらに好ましくは90°以上であり、通常、180°以下であることが好ましい。
耐光試験後接触角BLは、75°以上であることが好ましく、より好ましくは90°以上、さらに好ましくは95°以上であり、通常、180°以下であることが好ましい。

0037

また本発明の透明皮膜は、ポリシロキサン骨格と、前記ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖とを含む透明皮膜であって、前記トリアルキルシリル基含有分子鎖中のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっていてもよく、本発明の透明皮膜は、透明皮膜上の液滴の初期接触角をA1、300nm以下の(波長)領域に輝線を有する水銀ランプの光を照射面における強度を200±10mW/cm2として4時間照射した後の透明皮膜上の液滴の接触角をBZ1としたときに、接触角変化率((Bz1−A1)/A1×100(%))が、下記式で表される関係を満たすことが好ましい。
(Bz1−A1)/A1×100(%)≧−9(%)
本発明の透明皮膜は、特に耐光性が良好であり、高強度の光を照射した場合でも、撥水・撥油特性が低下しにくい。前記4時間照射前後の接触角度変化率((Bz1−A1)/A1×100(%))は、−9.0(%)以上であることが好ましく、より好ましくは−7%以上、さらに好ましくは−5%以上、特に好ましくは−3%以上である。

0038

また本発明の透明皮膜は、300nm以下の(波長)領域に輝線を有する水銀ランプの光を照射面における強度を200±10mW/cm2として6時間照射した後の透明皮膜上の液滴の接触角をBZ2としたとき、接触角変化率((Bz2−A1)/A1×100(%))が、下記式で表される関係を満たすことが好ましい。
(Bz2−A1)/A1×100(%)>−18(%)
前記6時間照射前後の接触角変化率((Bz2−A1)/A1×100(%))は、より好ましくは−16%以上、さらに好ましくは−10%以上、よりいっそう好ましくは−7%以上、特に好ましくは−5%以上であり、例えば−1%以下であってもよい。

0039

また、水銀ランプの照射は、空気雰囲気下で行うことが好ましく、温度は20℃以上、40℃以下であることが好ましく、湿度は30%以上、75%以下であることが好ましい。
300nm以下の(波長)領域に輝線を有する水銀ランプとしては、ウシオ電機社製「SP−9 250DB」及びその同等のものが挙げられる。

0040

本発明の透明被膜の厚みは、例えば0.2〜2000nm、好ましくは0.5〜1000nm、より好ましくは1〜80nmである。また、200nm以下であってもよく、100nm以下であってもよく、40nm以下である場合も許容される。

0041

なお本発明の透明被膜は、JIS K 7361−1又はJIS K 7375に準拠した全光線透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。

0042

耐熱試験後、或いは、耐光試験後の接触角変化率を上記範囲に調整するためには、透明皮膜をポリシロキサン骨格で構成し、このポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子にトリアルキルシリル基含有分子鎖を結合させればよい。なおトリアルキルシリル基含有分子鎖中のアルキル基がそれごとフルオロアルキル基に置き換わっていてもよい。

0043

本発明において、ポリシロキサン骨格とは、ケイ素原子と酸素原子とが交互に並び、酸素原子を介してケイ素原子が3次元的に連なった骨格を意味する。ポリシロキサン骨格を含むことで、皮膜の化学的物理的耐久性、透明性が向上する。また、ポリシロキサン骨格は、Si−O−Si結合による3次元網目構造であることが望ましいものの、必要により、2価の炭化水素基がケイ素原子間に介入した構造を有していてもよい。

0044

そして、本発明の透明皮膜は、ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に、トリアルキルシリル基含有分子鎖が結合している構造(A)を有する。

0045

トリアルキルシリル基含有分子鎖は、トリアルキルシリル基が結合した分子鎖を有する1価の基であり、分子鎖にトリアルキルシリル基が結合していることで、透明皮膜界面(表面)の撥水・撥油性が向上する。特に、トリアルキルシリル基含有分子鎖が存在することで、液滴(水滴、油滴等)と透明皮膜の間の摩擦が低減され、液滴が移動しやすくなる。さらに、トリアルキルシリル基を有することで、化学的・物理的耐久性が高められ、耐熱性、耐光性が向上する。トリアルキルシリル基のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっている場合においても、同様に、透明皮膜界面(表面)の撥水・撥油性を向上することができる。

0046

前記トリアルキルシリル基に含まれるアルキル基の炭素数は、1以上、4以下であることが好ましく、より好ましくは1以上、3以下、さらに好ましくは1以上、2以下である。また、トリアルキルシリル基に含まれる3つのアルキル基の合計の炭素数は、9以下であることが好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。
前記トリアルキルシリル基に含まれるアルキル基としては、具体的には、メチル基エチル基プロピル基ブチル基等が挙げられる。また、トリアルキルシリル基中の3つのアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。さらに、トリアルキルシリル基には、メチル基が少なくとも1つ含まれていることが好ましく、より好ましくは2つ以上であり、3つのアルキル基が全てメチル基であることが特に好ましい。

0047

トリアルキルシリル基としては、具体的には、メチルジエチルシリル基メチルエチルプロピルシリル基、メチルエチルブチルシリル基、メチルジプロピルシリル基、メチルプロピルブチルシリル基、メチルジブチルシリル基等の1つのメチル基がケイ素原子に結合しているトリアルキルシリル基;ジメチルエチルシリル基、ジメチルプロピルシリル基、ジメチルブチルシリル基等の2つのメチル基がケイ素原子に結合しているトリアルキルシリル基;トリメチルシリル基;等が挙げられる。

0048

さらに、前記トリアルキルシリル基に含まれる一部又は全部のアルキル基は、その全体がトリアルキルシリルオキシ基で置き換わっていてもよい。このような場合でも、トリアルキルシリル基含有分子鎖は、トリアルキルシリル基を有することとなる。置換するトリアルキルシリルオキシ基としては、上記説明した範囲内から選ばれるトリアルキルシリル基のケイ素原子に酸素原子が結合した基が挙げられ、1つ以上のメチル基がケイ素原子に結合しているトリアルキルシリルオキシ基が好ましく、2つ以上のメチル基がケイ素原子に結合しているトリアルキルシリルオキシ基がより好ましく、3つのメチル基がケイ素原子に結合しているトリアルキルシリルオキシ基が特に好ましい。
またこの場合、トリアルキルシリル基含有分子鎖に含まれるトリアルキルシリル基の数は、好ましくは2個以上、より好ましくは3個となる場合もある。

0049

また、トリアルキルシリル基のアルキル基、及び、トリアルキルシリル基に含まれるアルキル基を置き換えていてもよいトリアルキルシリルオキシ基のアルキル基は、その全体がフルオロアルキル基に置き換わっていてもよい。このようなフルオロアルキル基としては、前記アルキル基の少なくとも一部の水素原子フッ素原子に置換された基が挙げられ、炭素数は1以上、4以下であることが好ましく、より好ましくは1以上、3以下、さらに好ましくは1以上、2以下である。また、フッ素原子の置換数としては、炭素原子の数をAとしたとき、例えば1以上であることが好ましく、また、2×A+1以下であることが好ましい。フルオロアルキル基としては、具体的には、モノフルオロメチル基ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基パーフルオロメチル基)、モノフルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基(パーフルオロエチル基)、モノフルオロプロピル基、ジフルオロプロピル基、トリフルオロプロピル基、テトラフルオロプロピル基、ペンタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基(パーフルオロプロピル基)、モノフルオロブチル基、ジフルオロブチル基、トリフルオロブチル基、テトラフルオロブチル基、ペンタフルオロブチル基、ヘキサフルオロブチル基、ヘプタフルオロブチル基、オクタフルオロブチル基、ノナフルオロブチル基(パーフルオロブチル基)等が挙げられる。

0050

また、アルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっている場合、その置換数は、ケイ素原子1つあたり1〜3の範囲で適宜選択できる。

0051

トリアルキルシリル基含有分子鎖において、トリアルキルシリル基は、分子鎖の末端(自由端側)、特に主鎖の末端(自由端側)に結合していることが好ましい。透明皮膜の撥水・撥油性が高められるとともに、耐熱性、耐光性が良好となる。

0052

トリアルキルシリル基が結合している分子鎖は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。また、前記分子鎖は、ジアルキルシロキサン鎖であることが好ましく、直鎖状ジアルキルシロキサン鎖であることが好ましい。ここで本発明において、ジアルキルシロキサン鎖とは、2個のアルキル基が結合しているケイ素原子と、酸素原子とが交互に連なっている分子鎖を意味するものとする。ジアルキルシロキサン鎖のケイ素原子に結合するアルキル基は、炭素数1以上、4以下であることが好ましく、より好ましくは炭素数1以上、3以下、さらに好ましくは炭素数1以上、2以下である。ジアルキルシロキサン鎖のケイ素原子に結合するアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。

0053

ジアルキルシロキサン鎖としては、具体的には、(ポリジメチルシロキサン鎖、(ポリ)ジエチルシロキサン鎖等が挙げられる。
また、ジアルキルシロキサン鎖中、ジアルキルシリルオキシ基繰り返し数は、1以上であり、100以下であることが好ましく、より好ましくは80以下、さらに好ましくは50以下、特に好ましくは20以下、最も好ましくは15以下である。

0054

前記ジアルキルシロキサン鎖は、複数個直列につながっていてもよい。また、この直列構造の一部に2価の炭化水素基を含んでいてもよい。具体的には、ジアルキルシロキサン鎖の一部の酸素原子が2価の炭化水素基で置き換わっていてもよい。このように、一部が炭化水素基で置き換わった基であっても、残部がジアルキルシロキサン鎖であるため、化学的・物理的耐久性が高く、耐熱性及び耐光性に優れた透明皮膜となる。前記2価の炭化水素基は、炭素数10以下であることが好ましく、より好ましくは炭素数6以下、さらに好ましくは炭素数4以下であり、通常、炭素数1以上であることが好ましい。前記2価の炭化水素基は、鎖状であることが好ましく、鎖状である場合、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。また、前記2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、2価の飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましい。2価の炭化水素基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基プロピレン基ブチレン基等の2価の飽和脂肪族炭化水素基等が挙げられる。

0055

さらに、ジアルキルシロキサン鎖に含まれる2価の炭化水素基は、必要により、炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基であってもよい。なお、連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることはなく、Si原子に隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わらないことが好ましい。炭化水素基の一部が酸素原子に置き換わった基としては、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基、(ポリ)プロピレングリコール単位を有する基等を例示することができる。

0056

ジアルキルシロキサン鎖は、ジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなることが好ましい。ジアルキルシロキサン鎖がジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなる場合、透明皮膜の耐光性がよりいっそう良好になる。

0057

トリアルキルシリル基含有分子鎖に含まれる分子鎖としては、下記式で表される分子鎖を挙げることができる。なお、式中、右側の*は、ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子に結合する結合手を表し、左側の*は、トリアルキルシリル基に結合する結合手を表すものとする。

0058

0059

0060

また、トリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する元素の数は、24以上であることが好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上であり、1200以下であることが好ましく、より好ましくは700以下、さらに好ましく250以下である。

0061

トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s1)で表されるものであることが好ましい。

0062

0063

[式(s1)中、複数のRs1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表す。ただし、Rs1の全てが炭化水素基のとき、これら炭化水素基はアルキル基である。Rs2は、ジアルキルシロキサン鎖を表し、ジアルキルシロキサン鎖の酸素原子は、2価の炭化水素基で置き換わっていてもよく、前記2価の炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)は酸素原子で置き換わっていてもよい。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]

0064

前記式(s1)中、Rs1の炭化水素基は、炭素数が1以上、4以下であることが好ましく、より好ましくは1以上、3以下、さらに好ましくは炭素数1以上、2以下である。Rs1の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよいが、直鎖状であることが好ましい。また、Rs1の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。Rs1の炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖状飽和脂肪族炭化水素基等が挙げられる。

0065

また、Rs1のトリアルキルシリルオキシ基は、上記説明した範囲から適宜選択可能である。さらに、複数のRs1のうち、全部が炭化水素基である場合、Rs1はアルキル基であることが好ましい。
Rs2のジアルキルシロキサン鎖、および、Rs2のジアルキルシロキサン鎖の酸素原子を置き換えていてもよい2価の炭化水素基は、上記説明した範囲から適宜選択可能である。

0066

トリアルキルシリル基含有分子鎖は、さらに、下記式(s1−1)で表される基であることがより好ましく、下記式(s1−1−1)で表される基であることがさらに好ましい。

0067

0068

[式(s1−1)中、Rs3は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。
Rs4は、炭素数1以上、10以下の2価の炭化水素基を表し、Rs4中のメチレン基(−CH2−)は、酸素原子で置き換わっていてもよい。Rs5は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。m1、n1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。*は、ケイ素原子との結合手を表す。ただし添字n1、m1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]

0069

0070

[式(s1−1−1)中、Rs3、Rs5、n1は、それぞれ上記と同義である。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]

0071

また、トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s1−2)で表される基であることも好ましく、式(s1−2)で表される基のうち、下記式(s1−2−1)で表される基であることがさらに好ましい。

0072

0073

[式(s1−2)中、Rs8は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。
Rs9は、炭素数1以上、10以下の2価の炭化水素基を表し、Rs9中のメチレン基(−CH2−)は、酸素原子で置き換わっていてもよい。Rs10は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。m2、n2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。*は、ケイ素原子との結合手を表す。ただし添字n2、m2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]

0074

[式(s1−2−1)中、Rs8、Rs10、n2は、それぞれ上記と同義である。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]

0075

式(s1−1)、(s1−1−1)、(s1−2)及び(s1−2−1)中、Rs3及びRs8のアルキル基は、炭素数1以上、3以下であることが好ましく、より好ましくは炭素数1以上、2以下であり、特に好ましくは炭素数1である。Rs3のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。

0076

Rs4及びRs9の2価の炭化水素基は、ジアルキルシロキサン鎖の酸素原子を置き換えてもよい炭化水素基として上記説明した範囲から適宜選択でき、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状の2価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
Rs5及びRs10のアルキル基は、トリアルキルシリル基のアルキル基として上記説明した範囲から適宜選択でき、*−Si(Rs5)3又は、*−Si(Rs10)3に含まれるアルキル基の炭素数は、1以上、4以下であることが好ましく、より好ましくは1以上、3以下、さらに好ましくは1以上、2以下である。また、トリアルキルシリル基に含まれる3つのアルキル基の合計の炭素数は、9以下であることが好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。さらに、*−Si(Rs5)3には、メチル基が少なくとも1つ含まれていることが好ましく、より好ましくは2つ以上であり、3つのアルキル基が全てメチル基であることが特に好ましい。
m1及びm2は、0以上4以下であることが好ましく、0以上、3以下であることがより好ましい。また、n1及びn2は、1以上、100以下であることが好ましく、より好ましくは1以上、80以下、さらに好ましくは1以上、50以下、特に好ましくは1以上、30以下、最も好ましくは1以上、20以下である。

0077

ただし添字n1、m1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
なお添字n1、m1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序、及び、添字n2、m2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中に記載した通りの順序であってもよい。

0078

トリアルキルシリル基含有分子鎖としては、具体的には、下記式で表される基が挙げられる。

0079

0080

0081

0082

0083

前記トリアルキルシリル基含有分子鎖が結合するケイ素原子には、シロキサン結合の為の2つの−O−基が結合しており、さらに残る一つの基として、トリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する元素数よりも少ない元素数のシロキサン骨格含有基又はトリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する元素数よりも少ない炭素数の炭化水素鎖を含有する基(以下、「炭化水素鎖含有基」という場合がある。)が結合していてもよい。

0084

前記シロキサン骨格含有基は、シロキサン単位(Si−O−)を含有し、トリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する元素数よりも少ない数の元素で構成されるものであればよい。これにより、シロキサン骨格含有基は、トリアルキルシリル基含有分子鎖よりも長さが短いか、立体的広がりかさ高さ)が小さな基となる。

0085

また、シロキサン骨格含有基は、鎖状であることが好ましく、鎖状である場合、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。シロキサン骨格含有基において、シロキサン単位(Si−O−)は、ジアルキルシリルオキシ基であることが好ましい。前記ジアルキルシリルオキシ基としては、ジメチルシリルオキシ基、ジエチルシリルオキシ基等が挙げられる。前記シロキサン単位(Si−O−)の繰り返し数は、1以上であることが好ましく、また、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。
シロキサン骨格含有基は、シロキサン骨格の一部に2価の炭化水素基を含んでいてもよい。具体的には、シロキサン骨格の一部の酸素原子が2価の炭化水素基で置き換わっていてもよい。シロキサン骨格の一部の酸素原子を置き換えていてもよい2価の炭化水素基としては、トリアルキルシリル基含有分子鎖に含まれるジアルキルシロキサン鎖の酸素原子を置き換えていてもよい2価の炭化水素基と同様の基を好ましく挙げることができる。

0086

また、シロキサン骨格含有基の末端(自由端)のケイ素原子は、隣接するケイ素原子等とのシロキサン単位(Si−O−)形成のための−O−基の他、炭化水素基(好ましくはアルキル基)、ヒドロキシ基等を有していてもよい。この場合、シロキサン骨格含有基は、トリアルキルシリル基を有することとなるが、共存するトリアルキルシリル基含有分子鎖よりも元素数が少なければ、スペーサーとしての機能を発揮しうる。また、シロキサン骨格含有基にトリアルキルシリル基が含まれる場合においても、該トリアルキルシリル基のアルキル基は、フルオロアルキル基に置き換わっていてもよい。

0087

さらに、シロキサン骨格含有基の元素数は、100以下であることが好ましく、より好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下であり、通常、10以上である。また、トリアルキルシリル基含有分子鎖とシロキサン骨格含有基の元素数の差は、10以上であることが好ましく、より好ましくは20以上であり、通常1000以下であることが好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下である。

0088

シロキサン骨格含有基は、例えば、下記式(s2)で表される基であることが好ましい。

0089

0090

[式(s2)中、複数のRs6は、それぞれ独立に、炭化水素基又はヒドロキシ基を表す。Rs7は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。qは、0以上、4以下の整数を表す。*は、ケイ素原子との結合手を表す。]

0091

前記式(s2)中、Rs6の炭化水素基としては、Rs1の炭化水素基として例示した基と同様の基が挙げられ、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖状飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
また、Rs6は、炭化水素基であることが好ましい。Rs6の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子に置き換わっている場合もある。

0092

また、前記式(s2)中、Rs7の炭素数1以上、4以下のアルキル基としては、式(s1−1)におけるRs3として説明した基と同様の基が挙げられる。

0093

シロキサン骨格含有基としては、具体的には、下記式で表される基が挙げられる。

0094

0095

前記炭化水素鎖含有基は、トリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する元素数よりも炭化水素鎖部分の炭素数が少ないものであればよい。また、トリアルキルシリル基含有分子鎖の最長直鎖を構成する元素数よりも、炭化水素鎖の最長直鎖の炭素数が少ないものであることが好ましい。炭化水素鎖含有基は、通常、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されるが、必要により、この炭化水素鎖の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基であってもよい。また、Si原子に隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わることはなく、また連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることもない。
なお、炭化水素鎖部分の炭素数とは、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基では炭化水素基(炭化水素鎖)を構成する炭素原子の数を意味し、酸素置換型の炭化水素鎖含有基では、酸素原子をメチレン基(−CH2−)と仮定して数えた炭素原子の数を意味するものとする。
以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、そのメチレン基(−CH2−)のうち一部を酸素原子に置き換えることが可能である。

0096

前記炭化水素鎖含有基は、それが炭化水素基の場合には、炭素数は1以上、3以下であることが好ましく、より好ましくは1である。また、前記炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。前記炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素鎖含有基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素鎖含有基であることがより好ましい。前記飽和脂肪族炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)としては、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましい。飽和脂肪族炭化水素基には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が含まれる。

0097

飽和脂肪族炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わる場合、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基等を例示することができる。

0098

トリアルキルシリル基含有分子鎖がポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子に結合している構造(A)は、例えば、下記式(1)で表されるものであることが好ましい。

0099

0100

[式(1)中、Raはトリアルキルシリル基含有分子鎖を表し、Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は−O−基を表す。Za1がトリアルキルシリル基含有分子鎖である場合、RaとZa1は同一であっても異なっていてもよい。また、複数の式(1)間でRa、Za1は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。]

0101

式(1)中、Ra、Za1のトリアルキルシリル基含有分子鎖、Za1のシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基は、それぞれ、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基として上記説明した範囲から適宜選択できる。
中でも、式(1)中、Za1は、シロキサン骨格含有基又は−O−基であることが好ましく、−O−基であることがより好ましい。

0102

構造(A)としては、例えば、下記式(1−1)〜式(1〜32)で表される構造を好ましく例示することができる。

0103

0104

0105

0106

0107

0108

本発明の透明皮膜は、金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子から選ばれる金属原子と、前記トリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する元素数よりも少ない元素数のシロキサン骨格含有基、前記炭化水素鎖含有基、およびヒドロキシ基よりなる群から選ばれる基であって、前記金属原子に結合する基とから構成されるユニットをさらに有し、このユニットの金属原子の部位で前記ポリシロキサン骨格に結合している構造(B)を有していてもよい。特に上記トリアルキルシリル基含有分子鎖が結合するケイ素原子とは異なるケイ素原子(第2ケイ素原子)或いは金属原子にこういったシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又はヒドロキシ基が結合すると、こうした第2ケイ素原子や金属原子もまた、炭素数の少ない炭化水素鎖含有基又はヒドロキシ基が結合しているためにスペーサーとして作用し、トリアルキルシリル基含有分子鎖による撥水・撥油特性向上作用を高めることが可能となる。前記金属原子に結合する基としては、シロキサン骨格含有基又はヒドロキシ基が好ましい。

0109

炭化水素鎖含有基が第2ケイ素原子又は他の金属原子に結合している構造(B)としては、下記式(2−I)〜(2−III)のいずれかで表される構造が好ましく、式(2−I)で表される構造であることがより好ましい。

0110

0111

[式(2−I)中、Rb1は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基又は−O−基を表し、Zb1はシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基又は−O−基を表し、Zb1およびRb1がシロキサン骨格含有基又は炭化水素鎖含有基の場合、Rb1とZb1とは同一であっても異なっていてもよく、複数の式(2)間でRb1とZb1とは同一であっても異なっていてもよい。Mは、金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。j1は、Mに応じて、0又は1の整数を表す。]

0112

0113

[式(2−II)中、Rb10は、フッ化炭素含有基を表す。Zb10は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、加水分解性基又は−O−基を表す。また、複数の式(2−II)間でRb10とZb10は同一であっても異なっていてもよい。]

0114

0115

[式(2−III)中、Rb11は、加水分解性シランオリゴマー残基を表し、Zb11は、加水分解性基、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基、炭素数1〜4のアルキル基又は−O−基を表す。]

0116

式(2−I)中、Rb1、Zb1のシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基は、いずれも上記説明した範囲から適宜選択できる。

0117

中でも、Rb1は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、又はヒドロキシ基であることが好ましく、シロキサン骨格含有基又はヒドロキシ基であることがより好ましく、ヒドロキシ基であることがよりさらに好ましい。またRb1は、−O−基であることも好ましい。
また、Zb1は、シロキサン骨格含有基、ヒドロキシ基又は−O−基であることが好ましく、ヒドロキシ基又は−O−基であることがより好ましい。

0118

前記Mとしては、B、Al、Ge、Ga、Y、In、Sb、La等の3価の金属;Si、Ti、Ge、Zr、Sn、Hf等の4価の金属;等が挙げられ、Al、Si、Ti、Zrが好ましく、Siが特に好ましい。

0119

また式(2−I)において、j1は、Mが3価金属の場合は0を表し、Mが4価金属の場合は1を表す。

0120

式(2−II)中、Rb10で表されるフッ化炭素含有基としては、炭素数が1〜15である基が好ましく、炭素数1〜12である基がより好ましく、炭素数1〜8である基がさらに好ましく、炭素数1〜6である基が特に好ましい。具体的には、フルオロアルキル基を末端に有する基が好ましく、特に末端がトリフルオロメチル基である基が好ましい。フッ化炭素含有基としては、式(f−1)で表される基が好ましい。

0121

0122

[上記式(f−1)中、Rf1はそれぞれ独立して、フッ素原子又は1個以上のフッ素原子に置換された炭素数1〜12のアルキル基を表す。R1はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Lf1はそれぞれ独立して、−O−、−COO−、−OCO−、−NR−、−NRCO−、−CONR−を表す(Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4の含フッ素アルキル基)。h1〜h5はそれぞれ独立して0以上100以下の整数であり、h1〜h5の合計値は100以下である。また、h1〜h5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の順序は式中において任意である。*はMとの結合手を表す。]

0123

ただし、上記式(f−1)において、Siを含む繰り返し単位は、互いに隣り合うことはない。

0124

Rf1はフッ素原子又は炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のパーフルオロアルキルが好ましい。R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキルであることが好ましい。Aは、−O−、−COO−、−OCO−が好ましい。h1は1以上30以下が好ましく、1以上25以下がより好ましく、1以上10以下が更に好ましく、1以上5以下が特に好ましく、最も好ましくは1又は2である。h2は0以上15以下が好ましく、より好ましくは0以上10以下である。h3は0以上5以下が好ましく、より好ましくは0以上2以下である。h4は0以上4以下が好ましく、より好ましくは0以上2以下である。h5は0以上4以下が好ましく、より好ましくは0以上2以下である。h1〜h5の合計値は3以上が好ましく、5以上がより好ましく、また80以下が好ましく、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下である。

0125

特に、Rf1がフッ素原子又は炭素数1〜5のパーフルオロアルキルであり、R1が水素原子であり、h3、h4及びh5がいずれも0であり、h1が1以上5以下、h2が0以上5であることが好ましい。

0126

前記フッ化炭素含有基としては、例えばCr1F2r1+1−(r1は1〜12の整数)、CF3CH2O(CH2)r2−、CF3(CH2)r3Si(CH3)2(CH2)r2−、CF3COO(CH2)r2−(r2はいずれも5〜20であり、好ましくは8〜15であり、r3は1〜7であり、好ましくは2〜6である)が挙げられ、また、CF3(CF2)r4−(CH2)r5−、CF3(CF2)r4−C6H4−(r4はいずれも1〜10であり、好ましくは3〜7であり、r5はいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)も好ましい。

0127

フッ化炭素含有基としては、例えば、フルオロアルキル基、フルオロアルキルオキシアルキル基、フルオロアルキルシリルアルキル基、フルオロアルキルカルボニルオキシアルキル基、フルオロアルキルアリール基、フルオロアルキルアルケニル基、フルオロアルキルアルキニル基等が挙げられる。

0128

フルオロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシル基、フルオロへプチル基、フルオロオクチル基、フルオロノニル基、フルオロデシル基フルオロウンデシル基、フルオロドデシル基などの炭素数が1〜12のフルオロアルキル基が挙げられる。
フルオロアルコキシアルキル基としては、例えばフルオロメトキシC5-20アルキル基、フルオロエトキシC5-20アルキル基、フルオロプロポキシC5-20アルキル基、フルオロブトキシC5-20アルキル基などが挙げられる。
フルオロアルキルシリルアルキル基としては、例えばフルオロメチルシリルC5-20アルキル基、フルオロエチルシリルC5-20アルキル基、フルオロプロピルシリルC5-20アルキル基、フルオロブチルシリルC5-20アルキル基、フルオロペンチルシリルC5-20アルキル基、フルオロヘキシルシリルC5-20アルキル基、フルオロへプチルシリルC5-20アルキル基、フルオロオクチルシリルC5-20アルキル基などが挙げられる。
フルオロアルキルカルボニルオキシアルキル基としては、フルオロメチルカルボニルオキシC5-20アルキル基、フルオロエチルカルボニルオキシC5-20アルキル基、フルオロプロピルカルボニルオキシC5-20アルキル基、フルオロブチルカルボニルオキシC5-20アルキル基などが挙げられる。
フルオロアルキルアリール基としては、フルオロC1-8アルキルフェニル基、フルオロC1-8アルキルナフチル基が挙げられ、フルオロアルキルアルケニル基としては、フルオロC1-17アルキルビニル基が挙げられ、フルオロアルキルアルキニル基としては、フルオロC1-17アルキルエチニル基が挙げられる。

0129

またZb10は、シロキサン骨格含有基、ヒドロキシ基又は−O−基であることが好ましく、ヒドロキシ基又は−O−基であることがより好ましい。

0130

式(2−III)中、Rb11の加水分解性シランオリゴマー残基に含まれるケイ素原子の数は、例えば3以上であり、好ましくは5以上であり、より好ましくは7以上である。縮合数は好ましくは15以下であり、より好ましくは13以下であり、更に好ましくは10以下である。
また、前記オリゴマー残基がアルコキシ基を有する場合、そのアルコキシ基はメトキシ基エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基等である。前記オリゴマー残基は、これらアルコキシ基の1種又は2種以上を有することができ、好ましくは1種を有する。

0131

加水分解性シランオリゴマー残基は、下記式(f−2)で表される基であることが好ましい。

0132

0133

[上記式(f−2)中、Xは、それぞれ独立して、加水分解性基、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。h6は0以上100以下の整数である。*はSiとの結合手を表す。]

0134

式(f−2)中、Xの加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4(好ましくは1〜2)のアルコキシ基;アリル基;が好ましい。h6は0以上10以下が好ましく、より好ましくは0以上7以下である。Xのうち少なくとも一つが炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜4)の含フッ素アルキル基であることも好ましい。Xのうち、少なくとも一つは加水分解性基(特にメトキシ基、エトキシ基、アリル基)であることが好ましい。
Xとしては、加水分解性基又は炭素数1〜12の(好ましくは炭素数1〜4)含フッ素アルキル基が好ましい。

0135

Rb11の加水分解性シランオリゴマー残基としては、例えば(C2H5O)3Si−(OSi(OC2H5)2)4O−*、(CH3O)2(CF3CH2CH2)Si−(OSi(OCH3)(CH2CH2CF3))4−O−*などが挙げられる。

0136

また、式(2−III)中、Zb11における加水分解性基としては、炭素数メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4(好ましくは1〜2)のアルコキシ基;水素原子;シアノ基;アリル基;が挙げられ、アルコキシ基が好ましい。
Zb11としては、加水分解性基、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基又は−O−基が好ましい。

0137

Zb11における含フッ素アルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、より好ましくは1〜4である。含フッ素アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基に含まれる一部又は全部の水素原子がフッ素原子で置換された基を表し、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブチル基等のフルオロアルキル基;ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基等のペルフルオロアルキル基;等が挙げられる。

0138

また、Rb11におけるアルキル基の炭素数は、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましい。Rb11におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。

0139

構造(B)としては、MがSiの場合、例えば、下記式(2−1)〜式(2−5)で表される構造を好ましく例示することができる。

0140

0141

本発明の透明皮膜において、構造(B)と構造(A)の存在比(構造(B)/構造(A))は、モル基準で0.1以上であることが好ましく、より好ましくは5以上、さらに好ましくは8以上であり、80以下であることが好ましく、より好ましくは60以下、さらに好ましくは50以下である。

0142

本発明の透明皮膜は、熱履歴前後、或いは、光照射前後の接触角の変化が一定範囲に制御されているものであるため、撥水・撥油特性と耐熱性及び耐光性を両立することが可能となる。そのためには、トリアルキルシリル基含有分子鎖が透明皮膜を構成するポリシロキサン骨格上のケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合した構造を有していることが好ましい。このような透明皮膜を形成するには、少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(a)と、加水分解性基が金属原子に結合している金属化合物(b)とを混合し、必要に応じて溶剤(c)で希釈して、有機ケイ素化合物(a)と、金属化合物(b)と、任意に溶剤(c)を含むコーティング組成物を調製し、このコーティング組成物を空気中で基材と接触させればよい。空気中で基材と接触させることにより、有機ケイ素化合物(a)、金属化合物(b)の加水分解性基が加水分解重縮合され、骨格上のケイ素原子にトリアルキルシリル基含有分子鎖が結合したシロキサン骨格が形成される。

0143

前記有機ケイ素化合物(a)は、1分子中に、少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合しているものであることが好ましい。

0144

有機ケイ素化合物(a)において、中心ケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖の個数は、1以上であり、3以下であることが好ましく、より好ましくは2以下であり、特に好ましくは1である。

0145

前記加水分解性基としては、加水分解によりヒドロキシ基(シラノール基)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシ基;アセトキシ基塩素原子イソシアネート基;等を好ましく挙げることができる。中でも、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。
有機ケイ素化合物(a)において、中心ケイ素原子に結合する加水分解性基の個数は、1以上であり、2以上であることが好ましく、通常、3以下であることが好ましい。

0146

有機ケイ素化合物(a)の中心ケイ素原子には、トリアルキルシリル基含有分子鎖、加水分解性基のほか、トリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する元素数よりも少ない元素数のシロキサン骨格含有基又はトリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する元素数よりも少ない炭素数の炭化水素鎖を含有する炭化水素鎖含有基が結合していてもよい。

0147

前記ケイ素化合物(a)は、具体的には、下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。

0148

0149

[式(I)中、Raはトリアルキルシリル基含有分子鎖を表し、複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za2は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基を表し、Za2が加水分解性基の場合、Za2とAa1とは、同一であっても異なっていてもよい。また、複数の式(I)間でRaとZa2とは同一であっても異なっていてもよい。]

0150

式(I)中、Ra、Za2のトリアルキルシリル基含有分子鎖、Za2の炭化水素鎖含有基、Za2のシロキサン骨格含有基、Aa1、Za2の加水分解性基は、それぞれ、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基、加水分解性基として上記説明した範囲から適宜選択できる。

0151

式(I)中、Za2は、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基であることがより好ましい。また、Za2が加水分解性基の場合、Za2とAa1とは、同一の基であることが好ましい。

0152

中でも、有機ケイ素化合物(a)は、下記式(I−I)で表される化合物であることが好ましい。

0153

0154

[式(I−I)中、複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za2は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基を表し、Za2が加水分解性基である場合、Aa1とZa2は同一でも異なっていてもよく、複数の式(I−I)間でRaとZa2とは同一であっても異なっていてもよい。Rs3は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。Rs4は、炭素数1以上、10以下の2価の炭化水素基を表し、Rs4中のメチレン基(−CH2−)は、酸素原子で置き換わっていてもよい。Rs5は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。m1、n1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。ただし添字n1、m1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]

0155

また有機ケイ素化合物(a)は、下記式(I−I−1)で表される化合物であることがより好ましい。

0156

0157

[式(I−I−1)中、Aa1、Za2、Rs3、Rs5、n1はそれぞれ上記と同義である。]

0158

また、有機ケイ素化合物(a)は、下記式(I−II)で表される化合物であってもよい。

0159

0160

[式(I−II)中、Aa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za2は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、炭化水素鎖含有基、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基を表し、Za2が加水分解性基の場合、Za2とAa1とは、同一であっても異なっていてもよい。
また、複数の式(I−II)間でRaとZa2とは同一であっても異なっていてもよい。Rs8は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。Rs9は、炭素数1以上、10以下の2価の炭化水素基を表し、Rs9中のメチレン基(−CH2−)は、酸素原子で置き換わっていてもよい。Rs10は、それぞれ独立に、炭素数1以上、4以下のアルキル基を表す。m2、n2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。ただし添字n2、m2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]

0161

上記式(I−II)で表される化合物の中でも、下記式(I−II−1)で表される化合物が好ましい。

0162

0163

[式(I−II−1)中、Aa1、Za2、Rs8、Rs10、n2は、それぞれ上記と同義である。]

0164

なお添字n1、m1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序、及び、添字n2、m2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中に記載した通りの順序であってもよい。

0165

有機ケイ素化合物(a)としては、1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、3つの加水分解性基とを有する化合物;1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、1つのシロキサン骨格含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物;1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、1つの炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物;等を挙げることができる。

0166

1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、3つの加水分解性基とを有する化合物において、3つの加水分解性基はケイ素原子に結合している。3つの加水分解性基がケイ素原子に結合している基としては、トリメトキシシリル基トリエトキシシリル基トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基トリヒドロキシシリル基;トリアセトキシシリル基;トリクロロシリル基;トリイソシアネートシリル基;等が挙げられ、これらの基のケイ素原子に、上記説明した範囲内から選ばれる1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖が結合している化合物が、1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、3つの加水分解性基とを有する化合物として例示される。

0167

1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、1つのシロキサン骨格含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物において、1つのシロキサン骨格含有基と、2つの加水分解性基は、ケイ素原子に結合している。1つのシロキサン骨格含有基と、2つの加水分解性基がケイ素原子に結合している基としては、トリメチルシリルオキシジメトキシシリル基、トリメチルシリルオキシジエトキシシリル基、トリメチルシリルオキシジプロポキシシリル基等のトリメチルシリルオキシジアルコキシシリル基;等が挙げられ、これらの基の末端のケイ素原子に、上記説明した範囲内から選ばれる1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖が結合している化合物が、1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、1つのシロキサン骨格含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物として例示される。

0168

1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、1つの炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物において、1つの炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基は、ケイ素原子に結合している。1つの炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基がケイ素原子に結合している基としては、メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、メチルジプロポキシシリル基等のアルキルジアルコキシシリル基;等が挙げられ、これらの基のケイ素原子に、上記説明した範囲内から選ばれる1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖が結合している化合物が、1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、1つの炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物として例示される。

0169

有機ケイ素化合物(a)の合成方法の例としては、次のような方法があげられる。第一の方法としては、トリアルキルシリル基含有分子鎖とハロゲン原子(好ましくは塩素原子)とが結合した化合物と、ケイ素原子に加水分解性基が3つ以上(特に4つ)結合した化合物とを反応させることにより、製造することができる。

0170

そして有機ケイ素化合物(a)の中でも、トリアルキルシリル基の全部のアルキル基がトリアルキルシリル基に置き換わっており、この基がジアルキルシロキサン鎖に結合している基(上記式(s1−1)おいて、mが0である基)をトリアルキルシリル基含有分子鎖として有する化合物が好ましく、この化合物は、新規化合物である。
第二の合成方法としては、ジアルキルシロキサン鎖の両末端にハロゲン原子が結合した化合物(以下、「ジハロゲン化ジアルキルシロキサン」)と、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基と、M1O−基(M1は、アルカリ金属を表す。)が結合した化合物(以下、「アルカリ金属シリルオキシド」)及びケイ素原子に加水分解性基が4つ結合した化合物を反応させることにより製造することができる。これらの化合物の反応順序は限定されないが、まずジハロゲン化ジアルキルシロキサンとアルカリ金属シリルオキシドを反応させ、次いで、ケイ素原子に加水分解性基が4つ結合した化合物を反応させることが好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。また、前記アルカリ金属としては、リチウムが好ましい。
アルカリ金属シリルオキシドは、例えば、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基とヒドロキシ基が結合した化合物に、アルキルアルカリ金属を反応させることにより製造することができる。有機アルカリ金属化合物としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキルリチウムが挙げられ、特に好ましくはn−ブチルリチウムである。

0171

また第三の合成方法としては、有機ケイ素化合物は、例えば、アルカリ金属シリルオキシド及び環状ジメチルシロキサンを反応させ、次いで、ケイ素原子に加水分解性基が3つとハロゲン原子(特に、塩素原子)が1つ結合している化合物を反応させることにより製造することもできる。環状ジメチルシロキサンに含まれるケイ素原子の数は、例えば、2以上、10以下であることが好ましく、より好ましくは2以上、5以下、さらに好ましくは2以上、4以下である。

0172

前記金属化合物(b)は、少なくとも1つの加水分解性基が中心金属原子に結合しているものであり、前記シロキサン骨格含有基又は前記炭化水素鎖含有基が前記金属原子に結合していてもよい。前記シロキサン骨格含有基の元素数、及び、前記炭化水素鎖含有基の炭化水素鎖部分の炭素数は、それぞれ有機ケイ素化合物(a)の中心ケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する元素数よりもが少ないため、透明皮膜においてスペーサー機能を有する部位が形成されうる。金属原子に結合している基としては、シロキサン骨格含有基が好ましい。

0173

金属化合物(b)の中心金属原子は、アルコキシ基と結合して金属アルコキシドを形成しうる金属原子であればよく、この場合の金属には、Si、Ge等の半金属も含まれる。
金属化合物(b)の中心金属原子としては、具体的には、Al、Fe、In等の3価金属;Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;Ta等の5価金属;等が挙げられ、3価金属、4価金属が好ましく、より好ましくはAl、Fe、In等の3価金属;Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;であり、さらに好ましくはAl、Si、Ti、Zrであり、特に好ましくはSiである。

0174

金属化合物(b)の加水分解性基としては、有機ケイ素化合物(a)の加水分解性基と同様のものが挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。また、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の加水分解性基は、同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。また、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の加水分解性基は、いずれも炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
金属化合物(b)において、加水分解性基の個数は1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、4以下であることが好ましい。

0175

金属化合物(b)のシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基としては、上記説明した範囲から適宜選択でき、その個数は、1以下であることが好ましく、0であることが特に好ましい。

0176

前記金属化合物(b)は、具体的には、下記式(II−1)〜(II−3)のいずれかで表される化合物であることが好ましく、式(II−1)で表される化合物であることがより好ましい。また、式(II−1)〜(II−3)のいずれかで表されるそれぞれの化合物は、その加水分解縮合物であってもよい。ここで、加水分解縮合物は、各化合物(II−1)〜(II−3)の全部又は一部の加水分解性基が、加水分解により縮合した化合物を意味する。

0177

0178

[式(II−1)中、Mは金属アルコキシドを形成しうる3価又は4価の金属原子を表す。Rb2は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基を表し、複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Zb2は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基を表し、Rb2およびZb2がシロキサン骨格含有基又は炭化水素鎖含有基の場合、Rb2とZb2とは同一であっても異なっていてもよく、Zb2が加水分解性基の場合、Rb2とAb1とは同一でも異なっていてもよい。また、複数の式(II−1)間でRb2とZb2は同一であっても異なっていてもよい。kは、Mに応じて、0又は1の整数を表す。]

0179

0180

[式(II−2)中、Rb10は、炭素数1〜8のフッ化炭素含有基を表す。Ab1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Zb10は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は加水分解性基を表し、複数の式(II−2)間でRb10とZb10は同一であっても異なっていてもよい。]

0181

0182

[上記式(II−3)中、Rb11は、加水分解性シランオリゴマー残基を表す。
Xは、それぞれ独立して、加水分解性基、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。]

0183

式(II−1)中、Rb2、Zb2のシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、Rb2、Ab1、Zb2の加水分解性基は、それぞれシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、加水分解性基として上記説明した範囲から適宜選択できる。また、Rb2のフッ化炭素含有基は、Rb1のフッ化炭素含有基、加水分解性シランオリゴマー残基として上記説明した範囲から適宜選択できる。

0184

中でも、Rb2は、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基であることがより好ましい。Zb2は、シロキサン骨格含有基又は加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基であることがより好ましい。また、Rb2、Zb2がいずれも加水分解性基であることが好ましい。この場合、Rb2、Ab1とは同一の加水分解性基であることが好ましく、Rb2、Ab1、Zb2が同一の加水分解性基であることがより好ましい。
また、有機ケイ素化合物(a)と、金属化合物(b)の加水分解性基は同一の基であってもよく、いずれも炭素数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましい。

0185

式(II−1)中、金属Mとしては、Al等の3価金属;Si、Ti、Zr、Sn等の4価金属;が好ましく、Si、Al、Ti、Zrがより好ましく、Siが特に好ましい。これら金属のアルコキシドは、液状化が容易であり、透明皮膜中、上記構造(B)の分布均一性を高めるのが容易である。また、Mが3価金属の場合、kは0を表し、Mが4価金属の場合、kは1を表す。

0186

金属化合物(b)100質量%中、上記式(II−1)〜(II−3)のいずれかで表される化合物及びその加水分解縮合物以外の、他の金属化合物の割合は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。

0187

金属化合物(b)としては、加水分解性基のみを有する化合物;シロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物;2個のシロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物;炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物;2個の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物;フッ化炭素含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合した化合物;加水分解性シランオリゴマー;等を挙げることができる。
加水分解性基のみを有する化合物としては、テトラメトキシシランテトラエトキシシランテトラプロポキシシランテトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム;トリエトキシ鉄等のトリアルコキシ鉄;トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム等のトリアルコキシインジウム;テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラプロポキシハフニウム、テトラブトキシハフニウム等のテトラアルコキシハフニウム;テトラメトキシチタンテトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン;テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ等のテトラアルコキシスズ;テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウムペンタメトキシタンタルペンタエトキシタンタル、ペンタプロポキシタンタル、ペンタブトキシタンタル等のペンタアルコキシタンタル;等が挙げられる。

0188

シロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物としては、トリメチルシリルオキシトリメトキシシラン、トリメチルシリルオキシトリエトキシシラン、トリメチルシリルオキシトリプロポキシシラン等のトリメチルシリルオキシトリアルコキシシラン;等が挙げられる。
2個のシロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物としては、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジメトキシシラン、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジエトキシシラン、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジプロポキシシラン等のジ(トリメチルシリルオキシ)ジアルコキシシラン;等が挙げられる。

0189

炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物としては、メチルトリメトキシシランエチルトリメトキシシランメチルトリエトキシシランエチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン等のアルキルトリアルコキシシランビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン;等が挙げられる。
2個の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン;等が挙げられる。

0190

フッ化炭素含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合した化合物としては、例えばCF3−Si−(OCH3)3、Cr1F2r1+1−Si−(OC2H5)3(r1としては1〜15の整数が好ましく、1〜12の整数がより好ましく、1〜6の整数がさらに好ましい。)が挙げられ、この中で特にC4F9−Si−(OC2H5)3、C6F13−Si−(OC2H5)3、C7F15−Si−(OC2H5)3、C8F17−Si−(OC2H5)3が好ましい。また、CF3CH2O(CH2)r2SiCl3、CF3CH2O(CH2)r2Si(OCH3)3、CF3CH2O(CH2)r2Si(OC2H5)3、CF3(CH2)r3Si(CH3)2(CH2)r2SiCl3、CF3(CH2)r3Si(CH3)2(CH2)r2Si(OCH3)3、CF3(CH2)r3Si(CH3)2(CH2)r2Si(OC2H5)3、CF3COO(CH2)r2SiCl3、CF3COO(CH2)r2Si(OCH3)3、CF3COO(CH2)r2Si(OC2H5)3が挙げられる(r2はいずれも5〜20であり、好ましくは8〜15であり、r3は1〜7であり、好ましくは2〜6である)。また、CF3(CF2)r4−(CH2)r5SiCl3、CF3(CF2)r4−(CH2)r5Si(OCH3)3、CF3(CF2)r4−(CH2)r5Si(OC2H5)を挙げることもできる(r4はいずれも1〜10であり、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜5であり、r5はいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。CF3(CF2)r6−(CH2)r7−Si−(CH2CH=CH2)3を挙げることもできる(r6はいずれも2〜10であり、好ましくは2〜8であり、r7はいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。
更に、CF3(CF2)r8−(CH2)r9SiCH3Cl2、CF3(CF2)r8−(CH2)r9SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)r8−(CH2)r9SiCH3(OC2H5)2が挙げられる(r8はいずれも2〜10であり、好ましくは3〜7であり、r9はいずれも1〜5であり、好ましくは2〜4である)。

0191

加水分解性シランオリゴマーとしては、例えば(H5C2O)3−Si−(OSi(OC2H5)2)4OC2H5、(H3CO)2−Si(CH2CH2CF3)−(OSiOCH3(CH2C
H2CF3))4−OCH3などが挙げられる。

0192

中でも、加水分解性基のみを有する化合物;シロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物;2個のシロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物;炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物;又は2個の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物;が好ましく、加水分解性基のみを有する化合物がより好ましい。

0193

金属化合物(b)と有機ケイ素化合物(a)のモル比(金属化合物(b)/有機ケイ素化合物(a))は、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは1以上、よりいっそう好ましくは5以上、さらに好ましくは8以上であり、100以下であることが好ましく、より好ましくは80以下、よりいっそう好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下、特に好ましくは50以下である。

0194

前記コーティング組成物の好ましい態様としては、以下の態様が挙げられる。

0195

第1に、金属化合物(b)が、下記式(II−2)で表される化合物のうちRb10で表されるフッ化炭素含有基の炭素数が1〜8(好ましくは1〜6)である化合物及びその加水分解縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である態様が好ましい。

0196

0197

[式(II−2)中、Ab1、Rb10、Zb10は、上記と同義である。]

0198

この場合、有機ケイ素化合物(a)が、下記式(I−II)で表される化合物であることが好ましい。

0199

0200

[式(I−II)中、Aa1、Za2、Rs8、Rs9、Rs10、m2、n2は、それぞれ上記と同義である。]

0201

この態様において、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)のモル比(金属化合物(b)/有機ケイ素化合物(a))は、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは5以上、さらに好ましくは8以上であり、80以下であることが好ましく、より好ましくは60以下、さらに好ましくは50以下である。

0202

第2に、金属化合物(b)が下記式(II−1)で表される化合物及びその加水分解縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、金属化合物(b)と有機ケイ素化合物(a)のモル比(金属化合物(b)/有機ケイ素化合物(a))が10以上である態様が好ましい。

0203

0204

[式(II−1)中、Rb2、Ab1、Zb2、kは、上記と同義である。]

0205

この場合、有機ケイ素化合物(a)が、下記式(I−II)で表される化合物であることが好ましい。

0206

0207

[式(I−II)中、Aa1、Za2、Rs8、Rs9、Rs10、m2、n2は、それぞれ上記と同義である。]

0208

この態様において、金属化合物(b)と有機ケイ素化合物(a)のモル比(金属化合物(b)/有機ケイ素化合物(a))は、10以上であり、15以上であることが好ましく、18以上であることがより好ましい。また、モル比(金属化合物(b)/有機ケイ素化合物(a))は、80以下であることが好ましく、より好ましくは60以下、さらに好ましくは50以下である。

0209

第3に、有機ケイ素化合物が、下記式(I−I)で表される化合物である態様も好ましい。

0210

0211

[式(I−I)中、Aa1、Za2、Rs3、Rs4、Rs5、m1、n1はそれぞれ上記と同義である。]

0212

この態様において、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)のモル比(金属化合物(b)/有機ケイ素化合物(a))は、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは5以上、さらに好ましくは8以上であり、80以下であることが好ましく、より好ましくは60以下、さらに好ましくは50以下である。

0213

有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)を希釈する溶剤(c)としては、アルコール系溶剤エーテル系溶剤ケトン系溶剤エステル系溶剤アミド系溶剤、水等の親水性有機溶剤が挙げられる、これらを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール系溶剤としては、メタノールエタノールプロパノールイソプロピルアルコールブタノールエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、前記エーテル系溶剤としては、ジメトキシエタンテトラヒドロフランジオキサン等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、アセトンメチルエチルケトン等が挙げられ、エステル系溶剤としては、酢酸エチル酢酸ブチル等が挙げられ、アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
中でも、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤が好ましく、水を含んでいてもよい。

0214

溶剤(c)は、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の合計1質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上であり、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。溶剤(c)の量がこの範囲にあると、透明皮膜の厚みの制御が容易である。

0215

有機ケイ素化合物(a)と、金属化合物(b)を基材と接触させる際、触媒(d)を共存させてもよい。触媒(d)は、ケイ素原子に結合する加水分解性基の加水分解触媒として作用しうるものであればよく、例えば、酸性化合物塩基性化合物有機金属化合物;等が挙げられる。前記酸性化合物としては、塩酸硝酸等の無機酸;酢酸等の有機酸;等が挙げられる。前記塩基性化合物としては、アンモニアアミン;等が挙げられる。前記有機金属化合物としては、Al、Fe、Zn、Sn等の金属元素中心金属とする有機金属化合物が挙げられ、アルミニウムアセチルアセトン錯体アルミニウムエチルアセトアセテート錯体等の有機アルミニウム化合物オクチル酸鉄等の有機鉄化合物亜鉛アセチルアセトナートモノハイドレートナフテン酸亜鉛オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物ジブチル錫ジアセテート錯体等の有機錫化合物;等が挙げられる。
中でも、触媒(d)としては、有機金属化合物、酸性化合物が好ましく、有機アルミニウム化合物、塩酸がより好ましい。

0216

触媒(d)は、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.0002質量部以上、さらに好ましくは0.001質量部以上であり、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
また、触媒として酸性化合物を用いる場合、触媒(d)は、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の合計100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上であり、1質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以下である。
さらに、触媒として有機金属化合物を用いる場合、触媒(d)は、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.0002質量部以上、さらに好ましくは0.001質量部以上であり、0.1質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量部以下である。

0217

さらに、有機ケイ素化合物(a)と、金属化合物(b)を基材と接触させる際、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤防錆剤紫外線吸収剤光安定剤防カビ剤抗菌剤生物付着防止剤消臭剤顔料難燃剤帯電防止剤等の各種の添加剤を共存させてもよい。

0218

前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤硫黄系酸化防止剤リン系酸化防止剤、ヒンダ−ドアミン系酸化防止剤等が挙げられる。

0219

前記フェノール系酸化防止剤としては、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニルプロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−チオ−エチレンビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリ−エチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンテトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸ペンタエリスリチルエステル、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニルエチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等が挙げられる。

0220

前記硫黄系酸化防止剤としては、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−ドデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシルエステル、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。

0221

前記リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォイト、ビス−[2,4−ジ−t−ブチル,(6−メチル)フェニル]エチルホスファイト等が挙げられる。

0222

前記ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(融点81〜86℃)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(融点58℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}−1,6−ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等が挙げられる。

0223

前記防錆剤としては、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン第四級アンモニウム塩アルカンチオールイミダゾリンイミダゾール、アルキルイミダゾリン誘導体ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールベンゾトリアゾール等のアゾール類メタバナジン酸ナトリウムクエン酸ビスマスフェノール誘導体アルキルアミンポリアルケニルアミン等の脂肪族アミン芳香族アミンエトキシ化アミン、シアノアキルアミン、安息香酸シクロヘキシルアミンアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン芳香族ジアミン等のアミン化合物;前記アミン化合物とカルボン酸とのアミドアルキルエステルピリミジンナフテン酸スルホン酸複合体;亜硝酸カルシウム亜硝酸ナトリウム亜硝酸ジシクロヘキシルアミン等の亜硝酸塩ポリアルコールポリフェノール等のポリオール化合物;モリブデン酸ナトリウムタングステン酸ナトリウムホスホン酸ナトリウムクロム酸ナトリウムケイ酸ナトリウム等のヘテロポリ酸塩ゼラチン;カルボン酸のポリマーニトロ化合物ホルムアルデヒドアセチレンアルコール脂肪族チオール芳香族チオールアセチレンチオール等のチオール化合物脂肪族スルフィド芳香族スルフィド、アセチレンスルフィド等のスルフィド化合物スルホキシドジベンジルスルホキシド等のスルホキシド化合物チオ尿素;アミン又は第四級アンモニウム塩とハロゲンイオン組合せ;アルキルアミンとヨウ化カリウムの組合せ;タンニンリン酸ナトリウムの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンとベンゾトリアゾールの組合せ;アルキルアミンとベンゾトリアゾールと亜硝酸ナトリウムとリン酸ナトリウムの組合せ;等が挙げられる。

0224

前記紫外線吸収剤/光安定剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−エトキシ−2’−エチル−オキサリック酸ビスアニリド等が挙げられる。

0225

前記防カビ剤/抗菌剤としては、2−(4−チアゾリルベンツイミダゾールソルビン酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3オン、(2−ピリジルチオ−1−オキシドナトリウムデヒドロ酢酸、2−メチル−5−クロロ−4−イソチアゾロン錯体、2,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、モノあるいはジブロモシアノアセトアミド類、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,1−ジブロモ−1−ニトロプロパノールおよび1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン等が挙げられる。

0226

前記生物付着防止剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、ビス(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアジクロロ−N−((ジメチルアミノスルフォニル)フルオロ−N−(P−トリルメタンスルフェンアミドピリジントリフェニルボラン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオスルファミドチオシアン酸第一銅(1)、酸化第一銅、テトラブチルチウラムサルファイド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルジンエチレンビスジチオカーバーメート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フラノン類アルキルピリジン化合物グラミン系化合物、イソニル化合物等が挙げられる。

0227

前記消臭剤としては、乳酸コハク酸リンゴ酸クエン酸マレイン酸マロン酸エチレンジアミンポリ酢酸、アルカン−1,2−ジカルボン酸アルケン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルカン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルケン−1,2−ジカルボン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機酸類ウンデシレン酸亜鉛2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛等の脂肪酸金属類;酸化鉄硫酸鉄酸化亜鉛硫酸亜鉛塩化亜鉛酸化銀酸化銅、金属(鉄、銅等)クロロフィリンナトリウム、金属(鉄、銅、コバルト等)フタロシアニン、金属(鉄、銅、コバルト等)テトラスルホン酸フタロシアニン、二酸化チタン可視光応答型二酸化チタン窒素ドープ型など)等の金属化合物;α−、β−、又はγ−シクロデキストリン、そのメチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体等のシクロデキストリン類多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の芳香族系ポリマー、それらの共重合体及びキチンキトサン活性炭シリカゲル活性アルミナゼオライトセラミック等の多孔質体等が挙げられる。

0229

前記難燃剤としてはデカブロビフェニル三酸化アンチモンリン系難燃剤水酸化アルミニウム等が挙げられる。

0230

前記帯電防止剤としては、4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤ベタイン型両性界面活性剤リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤、硫酸化油石鹸硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩脂肪酸エチルスルホン酸塩アルキルナフタレンスルホン酸塩アルキルベンゼンスルホン酸塩琥珀酸エステルスルホン酸塩燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノ又は脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等が挙げられる。

0231

また、添加剤としてさらに、滑剤充填剤可塑剤核剤アンチブロッキング剤発泡剤乳化剤光沢剤結着剤等を共存させてもよい。

0232

これら添加剤を含む場合、添加剤の含有量は、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)とを含むコーティング組成物中、通常、0.1〜70質量%であり、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜30質量%であり、さらに好ましくは2〜15質量%である。

0233

また、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の合計(溶剤(c)を含む場合、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)と溶剤(c)の合計)の含有量は、コーティング組成物中、通常60質量%以上であり、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは95量%以上である。

0234

有機ケイ素化合物(a)と、金属化合物(b)とを基材と接触させる方法としては、例えば、スピンコーティング法ディップコーティング法、スプレーコーティング法ロールコート法バーコート法ダイコート法などが挙げられ、スピンコーティング法、スプレーコーティング法が好ましい。スピンコーティング法、スプレーコーティング法によれば、所定の厚さの透明皮膜を形成することが容易になる。

0235

この際、コーティング組成物は、必要に応じて、さらに希釈しておいてもよい。希釈倍率は、希釈前の組成物に対して、例えば2〜100倍であり、好ましくは5〜50倍である。希釈溶剤としては、溶剤(c)として例示した溶媒を適宜使用することができる。

0236

有機ケイ素化合物(a)と、金属化合物(b)とを基材と接触させた状態で、空気中で静置することで、空気中の水分を取り込んで加水分解性基が加水分解され、シロキサン骨格が形成される。静置する際、40〜250℃で保持してもよい。

0237

このようにして得られた本発明の透明被膜は、従来のフッ素コート剤から得られる被膜よりも耐候性の点で優れる。

0238

また、本発明の透明皮膜は、トリアルキルシリル基含有分子鎖又はトリアルキルシリル基含有分子鎖中のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わった分子鎖を有するものであり、熱履歴前後、或いは、光照射前後の接触角の変化が一定範囲に制御されているものであるため、化学的・物理的耐久性が高く、耐摩耗性に優れている。耐摩耗性は、例えば、消しゴムを用いた摩耗試験等により確認できる。

0239

また、本発明の透明皮膜は、液滴の滑り性にも優れている。液滴の滑り性は、例えば、本発明の透明皮膜上に液滴を乗せ、水平から90°まで傾けた際の液滴の滑落速度等により確認することができる。

0240

さらに本発明の透明皮膜は、化学的・物理的耐久性が高く、かつ、液滴の滑り性にも優れているため、指で摩擦したときの滑り性も良好である。

0241

本発明の透明皮膜は、通常、基材上に形成されており、基材上に本発明の透明皮膜を形成した透明皮膜処理基材も本発明の範囲に包含される。基材の形状は、平面、曲面のいずれでもよいし、多数の面が組み合わさった三次元的構造でもよい。また、基材は、有機系材料無機系材料のいずれで構成されていてもよく、前記有機系材料としては、アクリル樹脂ポリカーボネート樹脂ポリエステル樹脂スチレン樹脂アクリルスチレン共重合樹脂セルロース樹脂ポリオレフィン樹脂ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂フェノール樹脂ユリア樹脂メラミン樹脂エポキシ樹脂不飽和ポリエステルシリコーン樹脂ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;等が挙げられ、無機系材料としては、セラミックスガラス;鉄、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム、等の金属;前記金属を含む合金;等が挙げられる。
前記基材には、予め易接着処理を施しておいてもよい。易接着処理としては、コロナ処理プラズマ処理紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂シランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を用いてもよい。プライマー処理によりプライマー層撥水膜基体の間に設けることで、耐湿性耐アルカリ性等の耐久性をより向上できる。

0242

プライマー層としては、シロキサン骨格を形成しうる成分(P)を含む下地層形成用組成物を用いて形成された層が好ましい。
プライマー層としては、例えば、下記式(III)で表される化合物および/またはその部分加水分解縮合物からなる(P1)成分を含む下地層形成用組成物を用いて形成された層が好ましい。

0243

Si(XP2)4 …(III)
[ただし、式(III)中、XP2はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルコキシ基またはイソシアネート基を示す。]

0244

上記式(III)中、XP2は、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基またはイソシアネート基であることが好ましく、さらに4個のXP2が同一であることが好ましい。

0245

このような上記一般式(III)で示される化合物(以下、化合物(III)という場合がある。)として、具体的には、Si(NCO)4、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4等が好ましく用いられる。本発明において、化合物(III)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0246

プライマー層形成用組成物に含まれる(P1)成分は、化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(III)の部分加水分解縮合物は、酸や塩基触媒を用いた、一般的な加水分解縮合方法を適用することで得ることができる。ただし、部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。(P1)成分としては、化合物(III)であっても、化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(III)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(III)が含まれる化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよい。なお、一般式(III)で示される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。

0247

また、下地層形成用組成物は、上記(P1)成分と、下記式(IV)で表される化合物(以下、化合物(IV)という場合がある。)および/またはその部分加水分解縮合物からなる(P2)成分とを含む、もしくは、上記(P1)成分と上記(P2)成分の部分加水分解共縮合物(ただし、上記(P1)成分および/または化合物(IV)を含んでもよい)を含む組成物であっても良い。

0248

(XP3)3Si−(CH2)p−Si(XP3)3 …(IV)
[ただし、式(IV)中、XP3はそれぞれ独立して加水分解性基または水酸基を示し、pは1〜8の整数である。]

0249

化合物(IV)は、2価有機基を挟んで両末端に加水分解性シリル基またはシラノール基を有する化合物である。

0250

式(IV)中XP3で示される加水分解性基としては、上記XP2と同様の基または原子が挙げられる。化合物(IV)の安定性と加水分解のし易さとのバランスの点から、XP3としては、アルコキシ基およびイソシアネート基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。これらは、製造上の目的、用途等に応じて適宜選択され用いられる。化合物(IV)中に複数個存在するXP3は同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。

0251

化合物(IV)として、具体的には、(CH3O)3SiCH2CH2Si(OCH3)3、(OCN)3SiCH2CH2Si(NCO)3、Cl3SiCH2CH2SiCl3、(C2H5O)3SiCH2CH2Si(OC2H5)3、(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(OCH3)3等が挙げられる。本発明において、化合物(IV)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0252

プライマー層形成用組成物に含まれる成分は、化合物(IV)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(IV)の部分加水分解縮合物は、化合物(III)の部分加水分解縮合物の製造において説明したのと同様の方法で得ることができる。部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。(P)成分としては、化合物(IV)であっても、化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(IV)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(IV)が含まれる化合物(IV)の部分加水分解縮合物であってもよい。

0253

一般式(IV)で示される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。

0254

また、下地層には、化合物(III)と同様のケイ素を主成分とする酸化膜を得ることができる、各種ポリシラザンを用いても良い。

0255

プライマー層形成用組成物は、通常、層構成成分となる固形分の他に、経済性、作業性、得られるプライマー層の厚さ制御のしやすさ等を考慮して、有機溶剤を含む。有機溶剤は、プライマー層形成用組成物が含有する固形分を溶解するものであれば特に制限されない。有機溶剤としては、撥水膜形成用組成物と同様の化合物が挙げられる。有機溶剤は1種に限定されず、極性蒸発速度等の異なる2種以上の溶剤を混合して使用してもよい。

0256

プライマー層形成用組成物は、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含有する場合、これらを製造するために使用した溶媒を含んでもよい。

0257

さらに、プライマー層形成用組成物においては、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含まないものであっても、加水分解共縮合反応を促進させるために、部分加水分解縮合の反応において一般的に使用されるのと同様の酸触媒等の触媒を配合しておくことも好ましい。部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含む場合であっても、それらの製造に使用した触媒が組成物中に残存していない場合は、触媒を配合することが好ましい。

0258

下地層形成用組成物は、上記含有成分が加水分解縮合反応や加水分解共縮合反応するための水を含んでいてもよい。

0259

プライマー層形成用組成物を用いて下地層を形成する方法としては、オルガノシラン化合物系の表面処理剤における公知の方法を用いることが可能である。例えば、はけ塗り流し塗り回転塗布、浸漬塗布スキージ塗布、スプレー塗布手塗り等の方法で下地層形成用組成物を基体の表面に塗布し、大気中または窒素雰囲気中において、必要に応じて乾燥した後、硬化させることで、下地層を形成できる。硬化の条件は、用いる組成物の種類、濃度等により適宜制御される。

0260

なお、プライマー層形成用組成物の硬化は、撥水膜形成用組成物の硬化と同時に行ってもよい。

0261

プライマー層の厚さは、その上に形成される撥水膜に耐湿性、密着性、基体からのアルカリ等のバリア性を付与できる厚さであれば特に限定されない。

0262

本発明の透明皮膜は、撥水・撥油性と耐熱性及び耐光性(耐候性)を両立でき、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。また本発明の透明皮膜は、電車自動車船舶航空機等の輸送機器におけるボディー窓ガラス(フロントガラスサイドガラスリアガラス)、ミラーバンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁テント太陽光発電モジュール遮音板コンクリート、などの屋外用途にも用いることができる。漁網虫取り網水槽などにも用いることができる。更に、台所風呂場洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリアタイルなどの陶磁器人工大理石エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具内壁配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル眼鏡ヘルメットパチンコ、繊維、遊具サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材化粧品用包材ポットの内部、など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。

0263

本願は、2014年10月31日に出願された日本国特許出願第2014−223651号に基づく優先権の利益を主張するものである。2014年10月31日に出願された日本国特許出願第2014−223651号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。

0264

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
本発明の実施例で用いた測定法は下記の通りである。

0265

接触角の測定
協和界面化学社製「DM700」を使用し、液量を3μLとして、θ/2法にて透明皮膜表面の水に対する接触角を測定した。
耐光試験後の接触角変化率が−27%以上であるか、耐熱試験後の接触角変化率が−15%以上である場合を○、これらの条件を満たさない場合を×として評価した。

0266

耐摩耗性の測定
消しゴム付きHB鉛筆(三菱鉛筆社)を具備した、スチールウール試験機(大栄精機社製)を用いた。消しゴムが透明皮膜に接した状態で、荷重500gをかけて摩耗試験を行い、初期接触角から−15°以下となるまでの回数を測定した。

0267

液滴の滑り性
透明皮膜表面に3μLの液滴を乗せ、水平から90°まで傾けた際の液滴の滑り具合を、滑落スピード官能評価にて評価した。評価基準は下記の通りとした。
◎:非常によく滑る、○:滑る、△:引っかかりを感じる、×:滑らない

0268

触感・指の滑り性
透明皮膜表面を指でこすり、触感、指の滑り性を官能評価にて評価した。評価基準は下記の通りとした。
◎:非常によく滑る、○:滑る、△:引っかかりを感じる、×:滑らない

0269

合成例1
オルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)13.4gに、水酸化ナトリウム0.86gを添加し、室温で2時間撹拌した。得られた溶液をドライアイスで−40℃に冷却しながら、ヘプタンで0.4倍に希釈した下記式

0270

で表される化合物1を4.12g滴下した。得られた溶液を濾過し、濾液からヘプタンを留去して、下記式で表される化合物1を得た。

0271

0272

合成例2
三つ口フラスコに、トリメチルシラノール4.8g、テトラヒドロフラン(THF)56mLを仕込み窒素置換した。−40℃に冷却し、n−ブチルリチウム(n−BuLi)ヘキサン溶液(1.6mol/L)を33.6mL滴下した。15分撹拌して室温に戻して前駆体溶液を得た。三ツ口フラスコに、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサン20gとTHF80mLを仕込み、−30℃まで冷却して、前駆体溶液を滴下した。2時間撹拌した後、140hPa、30℃で濃縮したのち、ヘキサン洗浄した。6hPa、74.9℃〜82.4℃で蒸留して、蒸留物(前駆体2)を回収した。

0273

三ツ口フラスコにテトラエトキシシラン(TEOS)7.74g、水酸化ナトリウム0.5gを仕込み、撹拌して水酸化ナトリウムを溶解させた。1.3hPa、50℃でTEOSを留去した。−50℃に冷やしながらヘプタン7.4mLに溶解させた前駆体2を5.0g滴下した。得られた反応物を濾過し、6hPa、50℃でヘプタンを留去して、下記式で表される化合物2を得た。

0274

0275

合成例3
コンデンサーを装着した三ツ口フラスコに、トリクロロイソシアヌル酸3.94gを仕込み、窒素置換を実施した。セプタムよりジクロロメタン50mLを仕込み、撹拌、トリス(トリメチルシロキシシラン5.0gを加えた。1時間撹拌した後、ろ過した。濾液をジエチルエーテル150mL、イオン交換水50mL、トリエチルアミン1.87gを仕込んだバスで冷却しながら、濾液を滴下した。室温で1時間撹拌した。イオン交換水で洗浄し、硫酸マグネシウム脱水して、150mmHg、25℃で濃縮し、目的の中間体3(シラノール1)を5.8g得た。

0276

三ツ口フラスコに、中間体3(シラノール1)を0.63g、THFを1.68g仕込み、撹拌した。−40℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/L)を1.25mL滴下した。0℃まで昇温し、4.11gのTHFに溶解したヘキサメチルシクロシロキサン1.33gを滴下し、12時間撹拌した。−40℃に冷却し、THF1.78gに溶解させたクロロトリエトキシシラン0.4gを滴下した。ヘキサン50mLを加えて濾過した。濾液を130hPa、25℃で濃縮し、下記式で表される化合物3を得た。

0277

0278

合成例4
合成例3と同様にして、中間体3(シラノール1)を得た。次いで、三ツ口フラスコに、中間体3(シラノール1)を1.88g、THFを5.04g仕込み、撹拌した。−40℃に冷却し、n−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/L)を3.75mL滴下した。0℃まで昇温し、12.32gのTHFに溶解したヘキサメチルシクロトリシロキサン10.68gを滴下し、17時間撹拌した。−40℃に冷却し、THF5.33gに溶解させたクロロトリエトキシシラン1.19gを滴下した。ヘキサン150mLを加えて濾過した。濾液を130hPa、25℃で濃縮し、下記式で表される化合物4を13.11g得た。
得られた化合物4の1H-NMR(400MHz,基準:CHCl3 (=7.24ppm))の測定結果を以下に示す。

0279

1H-NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):0.08-0.1((CH3)3-Si))、0.02-0.06((CH3)2-Si))、3.6-4.0(Si-O-CH2)、1.1-1.3(Si-O-CH2CH3)

0280

0281

実施例1
溶剤(c)としてのメチルエチルケトン3.88mL(3.12g)に、上記有機ケイ素化合物(a)としての化合物1を2.5×10-4モル(0.14g)、金属化合物(b)としてのオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)を5×10-3モル(1.04g)、触媒(d)としてのエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートの25%イソプロピルアルコール溶液(川研ファインケミカル社製「ALCH−75」を3倍希釈したもの)を200μL加え、24時間撹拌して試料溶液1を作製した。

0282

実施例2〜4
溶剤(c)、有機ケイ素化合物(a)、金属化合物(b)、触媒(d)を表1に示す通りにしたこと以外は実施例1と同様にして、試料溶液2〜4を作製した。

0283

比較例1
オクチルトリエトキシシラン0.5mL、オルトケイ酸テトラエチル7.05mL、0.01M塩酸9.5mL、エタノール17mLを混合した。得られた混合液をエタノールで8倍希釈し、比較試料溶液1とした。

0284

比較例2
オプツールDSX−E(ダイキン社製)0.2gとNovec7200(3M社製)39.8gを室温で撹拌して、比較塗布溶液2を得た。

0285

0286

耐候性試験(耐光試験・耐熱試験)
アルカリ洗浄したガラス基板(Corning社製「EAGLEXG」)に、試料溶液1、3、4、又は比較試料溶液1を3000rpm、20秒の条件でスピンコーターMIKASA社製)を用いてスピンコートし、これを1日室温で静置した後、さらに120℃で硬化させ、本発明の透明皮膜、又は比較例の皮膜を得た。
得られた皮膜の接触角、耐摩耗性、液滴の滑り性、触感・指の滑り性を表1に示す。

0287

さらに、得られた透明皮膜に、キセノン促進暴露装置(ATLAS社製「CPS+」)を用い、ランプ強度を250W、槽内温度を50〜60℃に調整して100時間照射し、耐光試験を行った。また、得られた透明皮膜を温度200℃で24時間静置し、耐熱試験を行った。耐摩耗性、液滴の滑り性、触感・指の滑り性を表2に示す。また、耐候性試験前および後の皮膜の接触角及び変化率を表2、3に示す。

0288

0289

0290

水銀ランプ照射試験
試料溶液2、3を、それぞれメチルエチルケトンで30倍に希釈し、塗布溶液2、3とした。また、試料溶液4をメチルエチルケトンで20倍に希釈し、塗布溶液4とした。
アルカリ洗浄したガラス基板(Corning社製「EAGLEXG」)に、塗布溶液2〜4、又は比較塗布溶液2を3000rpm、20秒の条件でスピンコーター(MIKASA社製)を用いてスピンコートし、これを1日室温で静置した後、さらに120℃で硬化させ、本発明の透明皮膜、又は比較例の皮膜を得た。

0291

水銀ランプ(ウシオ電機社製「SP−9 250DB」)に均一光照射ユニットウシオ社製)を取り付け、レンズから17.5cmの距離にサンプルを設置した。200−800nmの光強度を強度計(OPHIL社製「VEGA」)を用いて測定したところ、200mW/cm2であった。温度20〜40℃、湿度30〜75%の大気雰囲気下で、水銀ランプをサンプルに4時間、又は6時間照射した。透明皮膜上の液滴の初期接触角をA1、照射後の液滴の接触角度をBZとして、下記式に基づいて計算される照射前後の接触角の変化率を表3に示す。
なお、上記水銀ランプ(ウシオ電機社製「SP−9 250DB」)の分光放射照度は図1に示す通りであり、波長300nm以下の領域に輝線を有していた。
接触角変化率(%)={(BZ−A1)/A1}×100(%)

実施例

0292

0293

本発明の透明皮膜は、撥水・撥油性と耐熱性及び耐光性(耐候性)を両立でき、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。

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